JPH0562186A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH0562186A
JPH0562186A JP24498991A JP24498991A JPH0562186A JP H0562186 A JPH0562186 A JP H0562186A JP 24498991 A JP24498991 A JP 24498991A JP 24498991 A JP24498991 A JP 24498991A JP H0562186 A JPH0562186 A JP H0562186A
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magnetic
crucible
magnetic material
evaporation source
recording medium
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JP24498991A
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Kazunobu Chiba
一信 千葉
Kenichi Sato
研一 佐藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁性層の膜厚及び磁気特性のバラツキをなく
すとともに、生産性に優れた磁気記録媒体の製造方法を
提供する。 【構成】 非磁性支持体2上に磁性薄膜を形成するため
の真空蒸着を行うに際し、蒸発源9を収納してなるルツ
ボ8の周囲にヒーター12を配設し、前記蒸発源9を従
来より使用されている電子銃10で加熱するとともに、
上記ヒーター12でも補助的に加熱する。また、上記ル
ツボ8を蒸発せしめられた蒸発源8を飛散させる部分の
みに開口部を有してなる遮蔽体とする。更に、上記開口
部により上記蒸発せしめられた蒸発源の比磁性支持体2
に対する最低入射角を規制する。 【効果】 電子銃から放出される電子線のしぼり状態が
劣化されることなく、高い蒸着レートを実現することが
できる。また、蒸発されてなる磁性材料のルツボの壁面
等への付着を防止し、磁性材料の歩留りを向上させるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性層とされる磁性薄
膜を真空蒸着により非磁性支持体上に形成する磁気記録
媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より磁気記録媒体としては、ポリエ
ステルやポリエチレンテレフタレート(PET)等から
なる非磁性支持体上に酸化物磁性粉末や合金磁性粉末等
の粉末磁性材料を有機高分子材料からなる結合剤中に分
散せしめた磁性塗料を塗布,乾燥することにより磁性層
を形成した、所謂塗布型の磁気記録媒体が広く使用され
ている。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりとともに、金属あるいはCo−Ni等の合金から
なる磁性材料をメッキや真空薄膜形成技術(真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)に
よりポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等の非
磁性支持体上に直接被着した、所謂強磁性金属薄膜型の
磁気記録媒体が提案され注目を集めている。この強磁性
金属薄膜型の磁気記録媒体は、保磁力、角形比等に優
れ、短波長域における電磁変換特性に優れるばかりでな
く、磁性層の薄膜化が可能であるために記録減磁や再生
時の厚み損失が著しく小さいこと、或いは磁性層中に非
磁性材料である結合剤等を混入する必要がないために磁
性材料の充填密度を高くできること等、数々の利点を有
している。
【0004】更に、この種の磁気記録媒体の電磁変換特
性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよう
にするために、当該磁気記録媒体の磁性層を形成する手
段として、磁性材料を斜めに蒸着する所謂斜方蒸着が提
案され実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な真空蒸着を行うことにより磁気記録媒体を製造する方
法においては、使用する磁性材料であるCo、Ni、F
e等の金属は、沸点が非常に高いために、これら磁性材
料を溶解させ蒸発させる手段として従来より使用されて
いる抵抗加熱や誘導加熱等を用いた場合では、生産性を
確保しながら長時間安定に蒸着させることは困難であ
る。
【0006】このために、一般的には電子銃を使用し
て、大きなパワーで加熱溶解する手段をとっている。こ
の電子銃より出る電子線は加速電圧及びビーム電流の増
加に伴って、電子線のスポット径が広り、安定した蒸着
が行えないばかりか、投入したパワーに比べて高い蒸着
レートを実現できないという問題がある。
【0007】これらの問題に対して、電子銃本体にビー
ムを収束させるレンズを1個乃至数個取り付ける等の対
策を施し、スポット径の広がりが極力抑えられるような
機能を電子銃本体に付与する方法もある。しかし、この
方法でも、良好な蒸着レートを実現するには未だ不十分
である。
【0008】一方、上述のような斜方蒸着を行うことに
より磁気記録媒体を製造する場合においては、移動する
非磁性支持体が巻回される冷却キャンの下方に設けられ
たルツボ内に磁性材料を収納し、この磁性材料を加熱手
段を介して加熱蒸発させ、その蒸発せしめられた磁性材
料を上記非磁性支持体上に被着形成させるのであるが、
この斜方蒸着を行うためには、上記冷却キャン近傍にシ
ャッタを設け、このシャッタにより上記蒸発せしめられ
た磁性材料の入射角を規制している。
【0009】しかしながら、上記シャッタにより上記磁
性材料の非磁性支持体に対する最低入射角を規制して磁
気記録媒体を製造する方法では、得られる磁気記録媒体
の磁性層の膜厚が均一にならないばかりか、磁性材料の
歩留りが悪く、大半は非磁性支持体以外のシャッタ等の
周囲に付着してしまい、生産効率が非常に悪いという問
題がある。
【0010】そこで本発明は、上述の従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、磁気記録媒体に被着形成され
る磁性層の膜厚の均一化を図るとともに、磁性材料の歩
留り及び生産性に優れた磁気記録媒体の製造方法を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
製造方法は、上述の目的を達成するために提案されたも
のである。即ち、本願の第1の発明は、非磁性支持体上
に真空蒸着により磁性薄膜を形成する磁気記録媒体の製
造方法において、蒸発源を電子銃で加熱するとともに、
当該蒸発源近傍に配設されたヒーターにより加熱するこ
とを特徴とするものである。
【0012】また、本願の第2の発明は、非磁性支持体
上に真空蒸着により磁性薄膜を形成する磁気記録媒体の
製造方法において、蒸発源を収納してなる容器は蒸発さ
れた蒸発源を飛散させる部分のみに開口部を有してなる
遮蔽体であることを特徴とするものである。
【0013】本願第1の発明においては、蒸着時に蒸発
源を加熱蒸発させる手段として、通常使用される電子銃
と、上記加熱源近傍に配設されたヒーター等の補助的な
加熱源とを併用する。これにより、安定な蒸着を行うと
ともに、高い蒸着レートを実現することができる。
【0014】上記ヒーターとしては、ニクロム線等を使
用したものやその周囲をセラミクスで被覆し、更にステ
ンレス製のケース等に入れたもの(遠赤外線ヒーター)
が一般的に使用されるが、本発明ではこれに限定され
ず、この他にも各種ヒーター、ハロゲンランプ、誘導加
熱等も使用可能とされる。
【0015】このようなヒーターによる加熱温度は、ル
ツボと蒸着機本体(例えば、冷却台)との接触状態や周
辺部材の状況、或いは使用する金属磁性材料の種類等に
応じて適宜選定されることが望ましいが、具体的に例示
すれば、実効的には300〜1000℃程度とされるこ
とが好ましい。ヒーターによる加熱温度は、一般的に高
い程効果が大きいと考えられ、温度があまり低すぎると
十分な効果が期待できないが、逆に高すぎるとヒーター
が簡単に入手できなくなるので、自ずと上限が決定され
る。
【0016】また、この時、電子銃のパワーは、ルツボ
の形状や容量、ルツボと蒸着機本体(例えば、冷却台)
との接触状態、蒸着レート等に応じて適宜選定されるこ
とが望ましいが、成膜速度、磁性層の膜厚及び電子銃の
加速電圧を一定とした場合、図3に示すように、投入す
る電子銃の電流値は、ヒーター温度を高くするほど小さ
くてすむ。
【0017】また、本願第2の発明において、蒸発源を
収納してなる容器は、蒸発せしめられた蒸発源を飛散さ
せる部分のみに開口部を有しており、その開口部以外の
部分は遮蔽された構成とされる。
【0018】ここで、この容器に収納された蒸着源の非
磁性支持体に対する最低入射角が上記開口部によって規
制されることが望ましい。
【0019】この開口部によって規制される最低入射角
は、製造されるべき磁気記録媒体の磁性層の傾斜によっ
て適宜設定すれば良いが、余りに小さな角度とすると磁
性材料が斜めに被着形成されず、逆に余り大きな角度に
設定すると非磁性支持体に磁性材料が被着されない。従
って、これらの両者を充足し得るように、上記最低入射
角度は少なくとも20°程度に設定することが望まし
い。
【0020】なお、ここで言う最低入射角度は、非磁性
支持体面の法線方向に対する上記蒸発した磁性材料の入
射角度をいう。本発明では、このように開口部によって
蒸着源の最低入射角を規制すると同時に、冷却キャンの
近傍に当該冷却キャンの外周面に沿ってシャッタを配設
し、このシャッタを用いることにより、より確実に上記
磁性材料の最低入射角度を規定するようにしても良い。
【0021】上記磁性薄膜を構成する磁性材料として
は、一般的に使用されているものであれば何れでも良い
が、好ましくは金属磁性材料が使用されるのが良い。こ
の場合、金属磁性材料としては、通常この種の磁気記録
媒体で使用されるものが何れも使用可能である。具体的
に例示すれば、Fe、Co、Ni等の磁性金属や、Fe
−Co、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Co−
Cr、Co−Ni−Cr、Fe−Co−Ni−Cr等が
挙げられる。
【0022】また、上記非磁性支持体としては、通常こ
の種の磁気記録媒体において使用されるものが何れも使
用可能であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル樹
脂や芳香族ポリアミドフィルム、ポリイミド樹脂フィル
ム等が挙げられる。
【0023】更に、本発明においては、必要に応じて、
上記基体上に下塗り膜を形成する工程やバックコート
層、トップコート層等を形成する工程等を加えても良
い。この場合、下塗り膜、バックコート層、トップコー
ト層等の成膜条件は、通常この種の磁気記録媒体の製造
方法に適用される方法であれば良く、特に限定されな
い。
【0024】
【作用】蒸発源近傍にヒーターを配設し、通常使用され
る電子銃で前記蒸着源を加熱蒸発させるとともに、上記
ヒーターにより補助的に上記蒸発源を加熱することによ
り、電子銃のパワーを大きくしなくても蒸発源を十分安
定に加熱溶解することができるとともに、高い蒸着レー
トが得られる。
【0025】また、蒸発された蒸発源が飛散される部分
のみが開口し、その開口部以外は遮蔽された構造を有す
る容器内に蒸発源を収納して蒸着を行うことにより、上
記蒸発された蒸発源の非磁性支持体に対する入射角が規
制される。このために、得られた磁性層の長さ方向にお
ける膜厚や磁気特性のバラツキが抑えられる。更に、上
記開口部を有する遮蔽体からなる容器内に収納された蒸
発源の近傍にヒーターを配設することにより、加熱蒸発
された蒸発源が上記開口部の近傍に付着しても上記ヒー
ターの加熱により再溶解されて、容器内に自然に落下し
て、再び利用されるので、蒸発源の歩留りが向上する。
【0026】
【実施例】以下、本発明を適用した磁気記録媒体の製造
方法の実施例を具体的に説明する。実施例1 先ず、本実施例において使用した製造装置の構成につい
て説明する。
【0027】図1に示すように、この製造装置において
は、頭部と底部にそれぞれ設けられた排気口15から排
気されて内部が真空状態となされた真空室1内に、図中
の反時計回り方向に定速回転する送りロール3と、図中
の時計回り方向に定速回転する巻取りロール4とが設け
られ、これら送りロール3から巻取りロール4にテープ
状の非支持支持体2が順次走行するようになされてい
る。
【0028】これら送りロール3から巻取りロール4側
に上記非支持支持体2が走行する中途部には、上記各ロ
ール3,4の径よりも大径となされた冷却キャン5が設
けられている。この冷却キャン5は、上記非支持支持体
2を図中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回
り方向に定速回転する構成とされる。なお、上記送りロ
ール3、巻取りロール4及び冷却キャン5は、それぞれ
非支持支持体2の幅と略同じ長さからなる円筒状をなす
ものであり、また上記冷却キャン5には、内部に図示し
ない冷却装置が設けられ、上記非磁性支持体2の温度上
昇による変形等を抑制し得るようになされている。
【0029】従って、上記非磁性支持体2は、送りロー
ル3から順次送り出され、さらに上記冷却キャン5の周
面を通過し、巻取りロール4に巻き取られていくように
なされている。なお、上記送りロール3と上記冷却キャ
ン5との間及び該冷却キャン5と上記巻取りロール4と
の間にはそれぞれガイドロール6,7が配設され、上記
送りロール3から冷却キャン5及び該冷却キャン5から
巻取りロール4に亘って走行する非磁性支持体2に所定
のテンションをかけ、該非磁性支持体2が円滑に走行す
るようになされている。
【0030】また、上記真空室1内には、上記冷却キャ
ン5の下方にルツボ8が設けられ、このルツボ8内に金
属磁性材料9が充填されている。このルツボ8は、上記
冷却キャン5の長手方向の幅と略同一の幅を有してな
る。
【0031】このルツボ8の周囲には、当該ルツボ8を
加熱するためのヒーター12が配設されている。これに
より、上記ルツボ8の熱が放熱されるのを防止するとと
もに、ルツボ8内の金属磁性材料9も補助的に加熱して
おり、大きなパワーで金属磁性材料9を加熱溶解するこ
とができるので、高い蒸着レートを実現することができ
る。
【0032】一方、上記真空室1の側壁部には、上記ル
ツボ8内に充填された金属磁性材料9を加熱蒸発させる
ための電子銃10が取付けられる。この電子銃10は、
当該電子銃10より放出される電子線Xが上記ルツボ8
内の金属磁性材料9に照射されるような位置に配設され
る。そして、この電子銃10によって蒸発した金属磁性
材料9が上記冷却キャン5の周面を定速走行する非磁性
支持体2上に磁性層として被着形成されるようになされ
ている。
【0033】また、上記冷却キャン5と上記ルツボ8と
の間であって該冷却キャン5の近傍には、シャッタ13
が配設されている。このシャッタ13は、上記冷却キャ
ン5の周面を定速走行する非磁性支持体2の所定領域を
覆うかたちで形成され、このシャッタ13により上記蒸
発せしめられた金属磁性材料9が上記非磁性支持体2に
対して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるようになされ
ている。
【0034】従って、このような製造装置においては、
上記ルツボ8内に充填された金属磁性材料9が上記電子
銃10により加熱蒸発され、上記冷却キャン5の周面を
走行する非磁性支持体2に被着されるが、当該非磁性支
持体2が上記シャッタ13の一端部(上記非磁性支持体
2の送出し側の端部)13aにより被覆される時点まで
の領域で蒸着が行われ、上記時点で蒸発せしめられた金
属磁性材料9の上記非磁性支持体2に対する入射角θ1
が最低値をとるようになされている。
【0035】また、上記真空室1内には、上記冷却キャ
ン5の下方側と上方側を分断するごとく、仕切り板11
が設けられている。これにより、上記送りロール3から
送り出された非磁性支持体2がこの仕切り板11を通過
した時点より蒸着が行われ、この時点で上記蒸発せしめ
られた金属磁性材料9の上記非磁性支持体2に対する入
射角θ2 が最高値をとるようになされている。また、こ
のような仕切り板11を設けることにより、仕切り板1
1よりも上方側には蒸発せしめられた金属磁性材料9が
拡散されることがなくなるので、蒸着効率が向上する。
【0036】更に、このような蒸着に際し、上記真空室
1の側壁部を貫通して設けられる酸素ガス導入口14を
介して非磁性支持体2の表面に酸素ガスが供給され、耐
候性の向上が図られている。そこで、このような構成を
有する製造装置を用いて、以下のようにして磁気テープ
を製造した。
【0037】即ち、内容積240ccの角型のセラミッ
ク製(MgO)のルツボ(内のりの形状は幅150mm
×奥行80mm×深さ60mm、肉厚15mm)内に、
金属磁性材料としてCo100 (数値は重量%を表す。)
インゴット240ccを充填して溶解し、上記ルツボ内
の金属磁性材料が完全に溶解してからシャッターを解放
して斜方蒸着を行った。
【0038】なお、蒸着に際して、真空室の真空度を1
×10-4Torrに保ち、15m/秒の速度で走行され
る非磁性支持体の表面に酸素ガスを250cc/分の割
合で供給しながら、蒸発せしめられた金属磁性材料の非
磁性支持体に対する入射角が45〜90°の範囲で変化
させて斜め蒸着を行い、膜厚が2000Åとされる単層
のCo層からなる磁性層を形成した。また、ルツボの加
熱温度は電子銃から電子線が照射されていない状態で4
00℃とした。
【0039】そして、例えばカーボン及びエポキシ系バ
インダーからなるバックコート層とパーフルオロポリエ
ーテルからなる潤滑剤を用いたトップコート層を形成
し、これを8mm幅に裁断して磁気テープを作製した。
【0040】このようにして得られた磁気テープと、比
較として上記ヒーターを配設せず、ルツボ内に収納され
た金属磁性材料の補助的な加熱を行わずに蒸着を行って
磁性層を形成した磁気テープ(比較例1)について、磁
気テープの幅方向における任意の5箇所をサンプリング
し、それら各箇所の一部を王水でエッチングした後、ラ
ンクテーラーホブソン社製の段差計(タリステップ;針
径0.2μm×0.2μm台形針、針厚2mg)を用い
て、磁性層のついた部分と上記王水でエッチングされた
部分との段差を測定し、幅方向の厚みムラを調べた。ま
た、磁気テープの中央部における角形比をVSM計によ
り測定した。これらの結果を下記の表1に示す。なお、
表1中には、蒸着を行う際に投入した電子銃のパワー、
この電子銃から放出された電子線のスポット径の大きさ
及び非磁性支持体の走行速度を併せて記した。なお、電
子線のスポット径の大きさは、目視による相対的な評価
とした。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示すように、比較例1では、ヒータ
ーによるルツボの加熱を行わなかったために、投入した
電子銃のパワーの一部は、ルツボの周囲から冷却キャン
近傍等の蒸着が行われる領域等へと熱伝導等により放熱
されるので、この放熱分を補いながら蒸着に必要なパワ
ーをルツボに供給しなければならない。その結果、電子
銃から放出された電子線のスポット径が広がってしま
う。
【0043】このような電子線のスポット径の広がり
は、一般に電子銃本体の構造や収束機構に依存するもの
であり、電子銃のパワーが大きくなるほど電子線のシボ
リ状態は劣化する傾向にあると考えられる。これに対し
て、本実施例では、上記放熱分をルツボの周囲に配設し
たヒーターにより補っているので、電子銃のパワーは比
較例1に比べて小さくてすむので、電子線のスポット径
の広がりが抑えられる。その結果、幅方向の厚みムラが
少なくなり、角形比等の磁気特性を著しく向上させるこ
とができた。
【0044】また、この蒸着においては、実施例1及び
比較例1とも非磁性支持体の走行速度が同じであり、得
られた磁性層の膜厚も同じであることから、上述のよう
に、本実施例では電子銃のパワーを比較例1よりも小さ
くしたにもかかわらず、蒸着レートはほぼ同程度であっ
た。
【0045】これらの結果から、本実施例における優位
性が明らかとなった。
【0046】実施例2 次に、金属磁性材料を収納してなるルツボを、蒸発せし
められた金属磁性材料を飛散させる部分のみに開口部を
有する遮蔽体とし、その他の主な構成は上記実施例1で
使用したものとほぼ同一の製造装置を用いて磁気テープ
を作製した。
【0047】先ず、本実施例において使用した製造装置
の構成について説明する。なお、ここでは、上記実施例
1における製造装置と同じ部材については同一番号を付
して説明を省略した。
【0048】図2にしめすように、この製造装置におい
て、冷却キャン5の下方には、金属磁性材料9が収納さ
れてなるルツボ18が配設される。このルツボ18は、
上記冷却キャン5と配向する側にのみ開口部16を有
し、この開口部16以外の部分は遮蔽された構成とされ
る。これにより、後述の電子銃20により加熱蒸発され
た金属磁性材料は、上記開口部16のみから上方に飛散
され、この開口部16の一端側15aにより非磁性支持
体2に対する最低入射角θ1 が規定される。
【0049】このルツボ18の一部には、上記金属磁性
材料9を加熱蒸発させる電子銃20が取り付けられてお
り、この電子銃20の近傍で、且つルツボ8の外側に
は、マグネット22が配設されている。そして、このマ
グネット22により上記電子銃20から放出された電子
線Xが偏向されて金属磁性材料9に照射される。
【0050】また、この電子銃20の近傍の当該ルツボ
18内には、当該ルツボ18内を高真空に保つための排
気口11が設けられている。
【0051】このようなルツボ18の周囲には、当該ル
ツボ8を加熱するためのヒーター12が配設され、上記
ルツボ18の熱が外部に放熱されるのを防止するととも
に、ルツボ18内の金属磁性材料9も補助的に加熱して
いる。ここでは、上記ヒーター12として、棒状のFe
−Cr−Al合金ヒーターを使用した。これにより、上
記金属磁性材料9が上記電子銃20により加熱蒸発され
て飛散していく時に、上記開口部16近傍やルツボ18
の側面等に付着しても、これら付着した金属磁性材料9
は再溶解されて、凝固せずに液状のまま自然にルツボ1
8内に落下され、再び利用されるようになる。従って、
この製造装置によれば、金属磁性材料9の歩留りが著し
く向上し、蒸着効率を向上させることができる。また、
ルツボ18内の金属磁性材料9を補助的に加熱している
ので、大きなパワーで金属磁性材料9を加熱溶解するこ
とができ、高い蒸着レートを実現することができる。
【0052】このようなヒーター12は、金属磁性材料
9の融点まで昇温する必要はなく、電子銃20から放出
された電子線により加熱蒸発せしめられた金属磁性材料
9のもつ熱や反射電子等の熱等が加えられて、これらの
熱により上記ルツボ18の開口部16近傍や側面に付着
した金属磁性材料9の温度が融点以下に下がらなければ
良い。
【0053】一方、上記冷却キャン5と上記金属磁性材
料9が収納されたルツボ18との間であって該冷却キャ
ン5の近傍には、冷却キャン5の周面と対向するように
湾曲形成されたシャッタ23が配設されている。このシ
ャッタ23は、上記金属磁性材料9が上記非磁性支持体
2に対して所定の角度範囲で斜めに蒸着されるように該
非磁性支持体2の所定領域を覆うものである。
【0054】従って、このような製造装置においては、
上記ルツボ18内に充填された金属磁性材料9は、上記
電子銃20により加熱され蒸発される。そして、この蒸
発された金属磁性材料9の一部は、上記ルツボ18の開
口部16の一端側16aにより前記冷却キャン5を通過
する非磁性支持体2に被着する最低入射角θ1 が規定さ
れる。また、蒸発した他の金属磁性材料9は、上記非磁
性支持体2に対して斜めに被着され磁性層となる。
【0055】この際、上記冷却キャン5と上記金属磁性
材料9が収納されたルツボ18との間には、前記シャッ
タ23が配設されているので、上記ルツボ18の開口部
16の一端側16aにより最低入射角θ1 が規定された
該金属磁性材料9は、更にこのシャッタ23によっても
該最低入射角θ1 が規定される。従って、確実に最低入
射角θ1 が規定されるので、得られる磁性層の長さ方向
における膜厚の均一性が向上し、磁気特性のバラツキが
抑えられる。
【0056】そこで、このような構成を有する製造装置
を用いて、以下の通りに磁気テープを製造した。
【0057】即ち、内容積が900cc(金属磁性材料
を充填できる容積、即ち本体部,電子銃との連結部及び
排気口の容積の合計とする。)の角型であるルツボ内に
Co80Ni20合金(重量%を表す。)2kgを充填して
溶解し、上記ルツボ内の磁性材料が完全に溶解してから
シャッターを解放して斜方蒸着を行った。
【0058】なお、蒸着に際して、ルツボには蒸発せし
められた金属磁性材料の飛散してゆく方向側に開口部を
設け、この開口部の一端側により上記蒸発せしめられた
磁性材料の非磁性支持体に対する入射角を規制するとと
もに、冷却キャン近傍に配設されたシャッタによっても
2重に入射角を規制し、この入射角が45〜90°とな
るように設定した。また、ルツボの周囲に配設されたヒ
ーターの温度は、電子銃を使用しない状態で450℃と
した。更に、非磁性支持体の走行速度は20m/分と
し、蒸着時に酸素ガスを200cc/分の割合で導入
し、磁性層の膜厚が2000Åとされるように電子銃の
パワーを制御した。
【0059】このようにして得られた磁気テープについ
て、蒸着初期時点とこの初期時点から600m製造した
時点での保磁力HC 及び膜厚を測定した。また、長さ6
00mの蒸着原反製造終了後にルツボ内の金属磁性材料
の重量を測定し、初期投入量との割合から材料消費率を
算出した。なお、保磁力HC はVSM計を用いて測定
し、膜厚はランクテーラーホブソン社製の接触式段差計
(タリステップ;針圧2mg、2μm×2μm台形針使
用)により測定した。この結果を下記の表2に示す。
【0060】この時、上述のように上方側に開口部を有
する以外は遮蔽体となされたルツボを用いた効果を検討
するために、上記実施例1と同じルツボを使用し、上記
シャッターを取り外して、上記ルツボの開口部の一端側
のみで入射角を規制しながら、その他は実施例1と同じ
同様にして蒸着を行った場合(実施例3とする。)と、
比較として上記実施例1〜2で使用したルツボの代わり
に、従来より使用されているセラミック製(MgO)の
ルツボ(内容積240cc、幅120mm×奥行50m
m×深さ40mm、ルツボの一側壁の上端には、上記金
属磁性材料の非磁性支持体に対する入射角を規制するた
めの熱反射板が配設される。)を用い、電子銃のみによ
る加熱を行い、その他は実施例1と同じ条件にて蒸着を
行った場合(比較例2とする。)についてもそれぞれ同
様に検討し、この結果を表2中に併せて記した。なお、
ルツボを加熱する際に、電子銃の加速電圧は各実施例及
び比較例とも17kV×1Aとした。
【0061】
【表2】
【0062】表2に示すように、金属磁性材料が飛散し
ていくための開口部を有し、その開口部以外の部分は遮
蔽されたルツボを用いて斜方蒸着を行った場合には、蒸
発せしめられた金属磁性材料の非磁性支持体の表面に対
する入射角が規制されるので、磁性層の長さ方向におけ
る保磁力Hcのバラツキが極めて小さく抑えられるとと
もに、膜厚の均一性が良好となるとが判った。
【0063】また、この時、上記ルツボの周囲をヒータ
ーで補助的に加熱しているので、上記ルツボの開口部付
近に付着した金属磁性材料は再溶解されてルツボ内に戻
され、再び利用することができる。この結果、従来より
真空蒸着法、特に斜め蒸着法の大きな問題点とされてい
た金属磁性材料の歩留りを大幅に向上させることができ
た。
【0064】更に、本実施例では、従来の技術では不十
分であったビームしぼりのコントロールや走査幅、走査
長さ等のコントロールもあまり正確に行わなくても安定
な磁性薄膜を得ることができた。
【0065】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、金属磁性材料が収納されてなる容器を電子銃と
ヒーターを併用して加熱しているので、安定で蒸着レー
トの高い蒸着を行うことができ、生産性を大幅に向上さ
せることができる。また、本発明では、上記容器に設け
られた開口部によって蒸発せしめられた金属磁性材料の
非磁性支持体の表面に対する入射角を確実に規定するこ
とができるので、得られる磁性層の膜厚や磁気特性の長
さ方向のバラツキが抑えられ、信頼性に優れた磁気記録
媒体を提供するとが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造方法において使用
される製造装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の製造方法において使用
される製造装置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
2・・・非磁性支持体 5・・・冷却キャン 8,18・・・ルツボ 9・・・金属磁性材料 10,20・・・電子銃 12・・・ヒーター 13,23・・・シャッタ 16・・・開口部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に真空蒸着により磁性薄
    膜を形成する磁気記録媒体の製造方法において、 蒸発源を電子銃で加熱するとともに、当該蒸発源近傍に
    配設されたヒーターにより加熱することを特徴とする磁
    気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に真空蒸着により磁性薄
    膜を形成する磁気記録媒体の製造方法において、 蒸発源を収納してなる容器は蒸発された蒸発源を飛散さ
    せる部分のみに開口部を有してなる遮蔽体であることを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 開口部は蒸発された蒸発源の入射角を規
    制することを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 蒸発源を電子銃で加熱するとともに、当
    該蒸発源近傍に配設されたヒーターにより加熱すること
    を特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08144299A (ja) * 1994-11-18 1996-06-04 Ryuji Takase 鋼製プレハブ地下室の接続用プレート付パネル
KR101011979B1 (ko) * 2002-05-17 2011-01-31 가부시키가이샤 한도오따이 에네루기 켄큐쇼 증착원 홀더

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US8206507B2 (en) 2002-05-17 2012-06-26 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Evaporation method, evaporation device and method of fabricating light emitting device

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