JPH08295609A - トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物と有機溶剤からなる溶液とその用途 - Google Patents
トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物と有機溶剤からなる溶液とその用途Info
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Abstract
の水棲汚損生物に対し、優れた防汚効果を示す水中防汚
剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 トリフェニルボラン−n−オクタデシル
アミン錯化合物と、有機溶剤からなる溶液と、その溶液
からなる漁網防汚剤により、標記課題を解決出来る。こ
の漁網防汚剤は、オベリア、ヒドロ虫などの腔腸動物、
フジツボ、ムラサキイガイ、カキなどの貝類、および、
カサネカンザシ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウ
ズマキゴカイなどの管棲多毛類、あるいはその他の水棲
生物の付着に対して優れた防汚効果を示すとともに、溶
液として漁網防汚剤を得られるために、それを使用する
際、きわめて作業が効率的である。また、1,3−ジシ
アノテトラクロロベンゼン、2−(チオシアノメチルチ
オ)ベンゾチアゾール、テトラアルキルチウラムジスル
フィッド、2,3−ジクロロマレイミド類フェノール
類、ジアルキルポリスルフィッド類、ポリブテン、パラ
フィン類と併用することによっても、標記課題を解決で
きる。
Description
の漁網、あるいは、漁網に使用される浮き子とロープな
どの資材などに対し使用することにより、腔腸動物、貝
類、管棲多毛類、および、その他の海棲付着生物による
汚損を防止し、さらに、有効成分が有機溶剤に可溶であ
るために、網染めの作業性などが大きく改善された漁網
防汚剤に関する。
長期間保持されるため、ヒドロ虫などの腔腸動物、貝
類、管棲多毛類、海藻類、コケムシ、軟体動物類などの
海棲汚損生物が激しく付着する。汚損生物の付着は、漁
網に大きな経済的損失を与えるため、多大の労力と費用
をかけて、これら被汚損対象物の保守に努めているのが
現状である。
研究、提案がなされてきた。実用的には一連の有機錫化
合物が有効であることが知られている。しかし、有機錫
化合物は概して毒性が強く、これらを含有する商品を不
用意に取り扱うと取扱者に障害を及ぼす恐れがあるうえ
に、環境を破壊する可能性もある。この様な理由から低
公害性の水中防汚剤の出現が望まれるようになった。
にはベンゾチアゾール化合物を有効成分とする水中防汚
塗料が、特開昭60−38306号公報、特開昭63−
284275号公報、特公平1−11606号公報には
テトラアルキルチウラムジスルフィッド化合物とその他
の水中防汚剤化合物とを組み合わせた種々の漁網用防汚
剤、防汚塗料組成物、漁網防汚用溶液が、特公昭61−
50984号公報には3−イソチアゾロン化合物を有効
成分とする海洋構築物の汚染防止剤が、特公平1−20
665号公報、特公平2−24242号公報、特開昭5
3−9320号公報、特開平5−201804号公報、
特開平6−100405号公報、特開平6−10040
8号公報などにはマレイミド化合物を有効成分とする防
汚塗料がそれぞれ開示されている。
ロ虫、オベリアなどの腔腸動物に対する付着防止効果が
弱く、腔腸動物発生海域では使用できなかった。腔腸動
物発生海域とは、主に、定置網の使用される東北地方と
北海道沿岸である。ヒドロ虫は漁網に付着すると、短期
間にすさまじい勢いで繁殖し、網目を完全に塞いでしま
い、漁網としての用をなさなくする。また、ヒドロ虫の
体の一部が網に残存すると、その部分から再びヒドロ虫
が繁殖するので、除去作業は完全に行わなければならな
いが、ヒドロ虫は非常に強固に付着するため、完全に除
去するのは極めて困難である。
が大きい上に、最も対策が難しい海棲付着生物である。
従って、特に最近ではヒドロ虫などの腔腸動物に有効な
定置網用防汚剤の開発が熱望されてきている。ところ
で、特開平6−157219号公報には、水不溶性ジチ
オカルバミン酸金属塩を有効成分とする腔腸動物付着防
止用水中防汚剤が開示されている。しかし、これらの化
合物はキシレンなどの有機溶剤に不溶であるため、得ら
れた防汚剤は有効成分を分散させた分散型となる。この
ような分散型漁網防汚剤は、使用前によく撹拌、混合し
なければ、その効力を充分に発揮しないため、網染めと
よばれる防汚加工処理時の作業性が非常に悪い。また、
長期間、放置しておくと、有効成分が沈降、凝集し、再
分散しなくなるおそれもある。
貝類と管棲多毛類に対しては、先に記した従来の防汚剤
では、その付着防止効果が弱く、これらの生物の付着を
防止することはできなかった。養殖用漁網における貝類
や管棲多毛類の付着による具体的な被害としては、第一
に、エサやりや網替えなど、漁網を海上に持ち上げる作
業の際、これらの生物の付着によって漁網の重量が増大
し、作業が困難になる事、第二に、これらの付着生物は
硬い石灰質で覆われているため、魚に傷をつけ、商品価
値を落とすおそれがある事、第三に、これらの付着生物
は、非常に強固に付着するため、除去作業が極めて困難
である事などがあげられる。
棲多毛類による被害は、他の付着生物による被害と比べ
特に大きく、そして、これらの生物の付着を防止するの
は、従来の防汚剤では難しい。従って、貝類と管棲多毛
類に有効な養殖網用防汚剤の開発も強く望まれている。
貝類に対しては銅が有効である事が知られており、事
実、銅系の漁網防汚剤が貝類と管棲多毛類に対し効果が
あることが確認された。しかし、銅系の漁網防汚剤に
は、様々な欠点がある。例えば、重金属の銅を利用して
いるため環境に悪影響を及ぼす可能性がある事、処理し
た漁網が硬く、そして、重くなるためエサやりや網替え
時の作業性が悪い事、値段が高い事、一度使用した漁網
を再度、銅系漁網防汚剤で処理すると効力が低下する事
などである。加えて、銅系の漁網防汚剤の最大の欠点
は、有効成分がキシレンなどの有機溶剤に溶解しないた
め、得られた防汚剤が分散型となることである。分散型
漁網防汚剤の欠点は、前述した通りである。
細書には、トリフェニルボラン−錯化合物を、船底船底
塗料に用いることついて記載されている。この明細書に
は、トリフェニルボラン錯化合物の置換されてもよいピ
リジン塩や炭素数4から20までのアルキルアミン塩
が、有効成分として25重量%以上含有する防汚塗料が
記載されている。
合物は、船底塗料組成物すなわち、有機溶剤には本質的
に不溶であると記載がされており、船底塗料として使用
する場合も、有機溶剤に溶解させるのではなく、微結晶
化やサスペンジョン化など分散させて使用すると明細書
2頁に記載されている。したがって、従来、トリフェニ
ルボラン−アミン錯化合物は、有機溶剤に溶解しないも
のとして、しられていた化合物であった。
キシレンなどの有機溶剤に溶解させることにより、網染
めの作業性などが大きく改善された漁網防汚剤を与える
ことについて全く示唆されていない。加えて、当該錯化
合物を有効成分として利用するヒドロ虫などの腔腸動
物、あるいは、貝類、および、管棲多毛類に対する防汚
効果が特にすぐれている漁網防汚剤についても示唆され
ていない。
漁網に付着するヒドロ虫などの腔腸動物、および、貝類
や管棲多毛類などの養殖用漁網に付着するいずれの生物
群に対しても、すぐれた防汚効果を示す、漁網防汚剤を
得ることにある。有機溶剤に溶解する当該漁網防汚剤の
有効成分を提供すること、さらに、当該漁網防汚剤とし
て使用にの用途まさらに、有効成分が有機溶剤に溶解す
るため、網染めの作業性などが著しく改善された有機溶
剤溶解型の漁網防汚剤を提供することを目的とする。
剤を提供する事を、あわせて目的とする。
従来の水中防汚剤の諸欠点を克服するために、鋭意研究
に努力した結果、漁網防汚剤として有効な効果を示すも
のであって、作業性が大きく改善できる溶液として得ら
れる漁網防汚剤であり、加えて低毒性であるために環境
へ与える影響が少ない漁網防汚剤を発明した。
タデシルアミン錯化合物と有機溶剤などからなる溶液
が、ヒドロ虫などの腔腸動物、フジツボ、ムラサキイガ
イ、カキ、セルプラなどの貝類、および、カサネカンザ
シ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ
などの管棲多毛類、あるいはその他の生物の付着に対し
てすぐれた防汚効果を示しすことが見出された。これ
は、有機溶剤、すなわち溶液になっているため、特に網
染めにおいて極めて作業性のよい、実用的な製剤が可能
であることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
錯化合物、トリフェニルボラン−エチルアミン錯化合
物、トリフェニルボラン−ピリジン錯化合物などについ
ては、キシレンなどの有機溶剤に対する溶解度が低く、
本発明の目的には合わない。
溶剤溶解型の漁網防汚剤には、次に述べるような長所が
ある。第一に防汚剤の消費量が少なく経済的である事、
第二に処理網の重量が処理前とほとんど変わらず、か
つ、柔らかさも保持される事、第三に一度使用した漁網
を繰り返し処理しても効力が低下しない事、第四に長期
間の保存に適している事などである。
(1)
されるトリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯
化合物と、有機溶剤からなることを特徴とする溶液、
〔2〕:〔1〕に記載の有機溶剤が、芳香族化合物系有
機溶剤またはケトン化合物系有機溶剤である、〔1〕に
記載の溶液、〔3〕:〔1〕または〔2〕に記載の溶液
からなる漁網防汚剤、〔4〕:〔1〕または〔2〕に記
載の溶液と、1,3−ジシアノテトラクロロベンゼン、
2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、一般
式(2)
す。)により表されるテトラアルキルチウラムジスルフ
ィッド類の1種または2種以上、一般式(3)
ル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルキル置換フ
ェニル基、ハロゲン置換フェニル基、ベンジル基、アル
キル置換ベンジル基、ハロゲン置換ベンジル基を示
す。)により表される2,3−ジクロロマレイミド類の
1種または2種以上、一般式(4)
素、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シクロアル
キル基、フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基、カルボ
ニル基、アルケニル基、アラルキル基を示す。)により
表されるフェノール類の1種または2種以上の中から選
ばれる化合物の1種または2種以上とを含有する溶液、
〔5〕:〔4〕に記載の溶液からなる漁網防汚剤、
〔6〕:〔1〕または〔2〕に記載の溶液と、テトラエ
チルチウラムジスルフィッドを含有する溶液、〔7〕:
〔1〕または〔2〕に記載の溶液と、2,3−ジクロロ
−N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミドおよび
/または2,3−ジクロロ−N−ベンジルマレイミドを
含有する溶液、〔8〕:〔6〕または〔7〕に記載の溶
液からなる漁網防汚剤、
〔4〕に記載の溶液と、溶出調整剤として一般式(5) R7−(S)n−R7 (式中、R7は炭素数1〜20個のアルキル基を示し、
nは2〜10の整数を示す。)により表されるジアルキ
ルポリスルフィッド類、平均分子量が200〜1000
を有するポリブテン、パラフィン類およびワセリンから
選ばれる1種または2種以上とを含有する溶液、〔1
0〕:
る。
アミン部の構造によって有機溶剤に対する溶解度が異な
っている。大別すると、芳香族アミン化合物は、有機溶
剤に溶け難く、脂肪族アミンは、解け易い性質を有して
いる。
漁網防汚剤として使用する場合、作業性の良さまた均一
なコート性を得るためには、キシレンに代表される芳香
族有機溶剤またはメチルイソブチルケトンに代表される
ケトン系有機溶剤に溶解することが必要条件となってお
り、この条件を満たすトリフェニルボラン−アミン錯化
合物は、炭素数3以上の直鎖アルキルアミン錯化合物で
ある。
させるためには、加水分解性に優れるという特性を有し
ていなければならない。すなわち、加水分解し易い化合
物は、漁網上にコートした塗膜から水中へ溶出し易く、
効力を長時間持続させることができない。
錯化合物のなかでは、アルキル基の長いものほど、加水
分解し難い性質を有しており、漁網防汚剤として使用す
る場合は、アルキル基が長いものほど良い。したがっ
て、実際に、人手が容易な長鎖アルキルアミンは、n−
オクタデシルアミンである。
ン錯化合物が、効力を発揮する部位は、トリフェニルボ
ラン基の部分であると考えられる。アルキル基が長くな
るほど分子内でのトリフェニルボラン部分の比率が低く
なるにもかかわらず、効力が良くなるということは、一
見矛盾するようであるが、上述したような理由から裏付
けられる。
不溶であると、文献に記載された化合物群のである、ト
リフェニルボラン−アミン錯化合物のなかから、特定の
トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物
が、有機溶剤に溶解することを見出し、さらに、上述し
た理由により、産業上、実際に使用できるもののなかで
は最も最も効果が高いものであることを見出し、本発明
を完成させたものである。
クタデシルアミン錯化合物は、下記の一般式により合成
することができる。
わち、トリフェニルボランの水酸化ナトリウム付加体と
n−オクタデシルアミンを水溶液中で反応させることに
より目的とするトリフェニルボラン−n−オクタデシル
アミン錯化合物を合成することができる。得られた錯化
合物は水に不溶であるため、ただちに分離する。分離し
た錯化合物が結晶化した場合は、濾取し、水洗した後、
乾燥させればよい。反応温度は、室温で良いが、必要に
応じて、0℃から60℃まで変化させることができる。
また、反応時間は30分間から2日間である。
57B巻、813ページ(1924年)に記載の方法で
も目的物を得ることができる。
ロピル、イソプロピル、ブチルがあげられ、化合物とし
ては、テトラメチルチウラムジスルフィッド、テトラエ
チルチウラムジスルフィッド、テトライソプロピルチウ
ラムジスルフィッド、テトラ−n−ブチルチウラムジス
ルフィッドなどがあげられる。
ル基とはエチル、イソプロピル、ブチル、第3級ブチ
ル、オクチルなどが、ハロゲン置換アルキル基とはジク
ロロメチル、ジクロロエチル、トリクロロエチルなど
が、シクロアルキル基とはシクロヘキシルなどが、アル
キル置換フェニル基とはジメチルフェニル、ジエチルフ
ェニル、メチルエチルフェニルなどが、ハロゲン置換フ
ェニル基とはジクロロフェニルなどが、アルキル置換ベ
ンジル基とはメチルベンジル、ジメチルベンジル、ジエ
チルベンジル、α−メチルベンジルなどが、ハロゲン置
換ベンジル基とはクロロベンジル、ジクロロベンジルな
どがあげられ、化合物としては、2,3−ジクロロ−N
−エチルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−イソプロ
ピルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−n−ブチルマ
レイミド、2,3−ジクロロ−N−第3級ブチルマレイ
ミド、2,3−ジクロロ−N−n−オクチルマレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−シクロヘキシルマレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−ベンジルマレイミド、2,
3−ジクロロ−N−(2−クロロベンジル)マレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−(4−クロロベンジル)マ
レイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−メチルベンジ
ル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,4−ジ
メチルベンジル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−
(3,4−ジメチルベンジル)マレイミド、2,3−ジ
クロロ−N−α−メチルベンジルマレイミド、2,3−
ジクロロ−N−(2,4−ジクロロベンジル)マレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチル−6−メチル
フェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2,
6−ジメチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ
−N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、2,
3−ジクロロ−N−(2,4−ジエチルフェニル)マレ
イミド、2,3−ジクロロ−N−(2,4,6−トリメ
チルフェニル)マレイミドなどまたはその混合物があげ
られる。
おけるアルキル基とはメチル、エチル、イソプロピル、
ブチル、第3級ブチル、ノニルなどが、ハロゲン置換ア
ルキル基とはジクロロメチル、ジクロロエチル、トリク
ロロエチルなどが、シクロアルキル基とはシクロヘキシ
ルなどが、ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素
が、アルコキシ基とはメトキシ、エトキシ、プロポキシ
などが、アルケニル基とはビニル、アリル、イソプロペ
ニルなどが、アラルキル基とはクミルなどがあげられ、
化合物としては、ノニルフェノール、クミルフェノー
ル、4,6−ジ第3級ブチル−m−クレゾール、1−シ
クロヘキシル−5−メチルフェノール、2,6−ジ第3
級ブチル−p−クレゾール、2−フェニルフェノール、
2−ブチルー6−エチル−4−イソプロピルフェノー
ル、2−ブロモ−6−クロロ−4−ジクロロメチルフェ
ノール、2−フルオロ−4−ヨード−3−トリクロロエ
チルフェノール、3−ヒドロキシ−5−メトキシ安息香
酸、4−エトキシ−2−ビニルフェノールなどがあげら
れる。
デシルアミン錯化合物の配合量は、漁網防汚剤の適用環
境によって任意に変更できるが、通常、1重量%から2
5重量%未満、好ましくは3重量%から25重量%未満
である。トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン
錯化合物の配合量が1重量%以下の防汚剤は、充分な効
果を発揮しない。一方、25重量%以上の配合量の防汚
剤は、25重量%の配合量のものと効果の差が見られな
いので、コスト高になる分非経済的である。他の有効成
分の配合量も任意に変更できるが、通常1〜30重量
%、好ましくは3〜25重量%である。
ピル、第3級ブチル、第3級アミル、第3級ノニル、第
3級ドデシル、ノナデシルが好ましく、化合物として
は、ジエチルペンタスルフィッド、ジプロピルテトラス
ルフィッド、ジ第3級ブチルジスルフィッド、ジ第3級
ブチルテトラスルフィッド、ジ第3級アミルテトラスル
フィッド、ジ第3級ノニルペンタスルフィッド、ジ第3
級ドデシルペンタスルフィッド、ジノナデシルテトラス
ルフィッドなどがあげられる。また、これらの混合物で
あってもよい。
子量が200〜1000を有するポリブテンとしては、
例えば、日本石油(株)製のLV−5、LV−10、L
V−25、LV−50、LV−100、HV−15、H
V−35、HV−50、HV−100、HV−300な
どがあげられ、これらの混合物であってもよい。
ィン類には、例えば、流動パラフィン、パラフィンワッ
クス、塩化パラフィンなどがあげられ、これらの混合物
であってもよい。
リンには、白色ワセリン、黄色ワセリンがあげられる。
されるジアルキルポリスルフィッド類、ポリブテン、パ
ラフィン類、およびワセリンから選ばれる化合物の配合
量は、3〜20重量%、望ましくは5〜10重量%であ
る。その各溶出調整剤の混合比は、使用条件により任意
に変更できる。
に製造できる。たとえば、トリフェニルボラン−n−オ
クタデシルアミン錯化合物と有機溶剤からなる溶液に、
溶出調節剤、樹脂、有機溶剤、あるいは他の有効成分を
1種または2種以上加えることにより製造できる。
ば、ロジン樹脂、アクリル樹脂、ポリブテン樹脂、塩化
ゴム樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、クマロン
樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などがあげられる。こ
れらの樹脂の1種を使用することもできるし、2種以上
を併用することもできる。また、樹脂は特にこれらに限
定されるものではない。
合物系有機溶剤、ケトン化合物系有機溶剤、脂肪族化合
物系有機溶剤を使用することができ、たとえば、キシレ
ン、トルエン、プソイドクメン、ジエチルベンゼン、ト
リエチルベンゼン、メシチレン、ソルベントナフサ、ブ
タノール、イソプロパノール、メチルイソブチルケト
ン、ヘキサンなどがあげられる。また、これらの混合物
であってもよい。ただし、本発明のトリフェニルボラン
−アルキルアミン錯化合物は、ヘキサンなどの脂肪族炭
化水素に比べ、芳香族炭化水素に対する溶解度が高いの
で、溶剤には芳香族炭化水素が望ましい。特にキシレン
は、錯化合物を25重量%以上溶解させるので、本発明
の溶剤に最もふさわしい。
高く、かつ、長期にわたってヒドロ虫などの腔腸動物、
フジツボ、ムラサキイガイ、カキ、セルプラなどの貝
類、カサネカンザシ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザ
シ、ウズマキゴカイなどの管棲多毛類、および、その他
の生物の付着に対し優れた防汚効果を示す。また、有効
成分が有機溶剤に溶解するため、均一な溶解型の漁網防
汚剤が得られ、網染めの作業性などを一段と改善する。
を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の配合は重量%を示す。 合成例1 トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミ
ン錯化合物 メカニカルスターラー、冷却管、滴下ロート、温度計を
取り付けた1Lの四つ口フラスコに、N−オクタデシル
アミン(和光純薬工業(株)の試薬)44.0gを入
れ、内温を75℃まで上げる。結晶が完全に溶融した
後、撹拌下、トリフェニルボランの水酸化ナトリウム付
加物水溶液(東京化成(株)の試薬;トリフェニルボラ
ンの水酸化ナトリウム付加物の含有率9.6%)50
0.0gを、1時間かけて、内温を70℃から75℃に
保ちながら、滴下する。滴下終了後、70℃で3時間撹
拌し、反応させる。その後、30℃以下に冷却すると結
晶が析出した。結晶を吸引濾取した後、水洗を行い、乾
燥させると73.7g(収率90%)の白色結晶が得ら
れた。
り再結晶すると、融点63.0℃〜64.0℃の白色結
晶が得られた。
−オクタデシルアミン錯化合物であることを、IR(赤
外線吸収スペクトル)、元素分析によって確認した。I
Rチャートを図1に示した。また、元素分析の結果を以
下に示した。
ある。
タデシルアミン錯化合物 メカニカルスターラー、冷却管、滴下ロート、温度計を
取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ファーミン80
(花王(株)の製品;炭素数16の脂肪族アルキルアミ
ン:6%、炭素数18の脂肪族アルキルアミン:92
%、その他のアルキルアミン2%を含有するアルキルア
ミン組成物)を42.8gを入れ、内温を75℃まで上
げる。結晶が完全に溶解した後、撹拌下、トリフェニル
ボランの水酸化ナトリウム付加物水溶液(合成例1に記
載した試薬)500.0gを1時間かけて、内温を70
℃〜75℃に保ちながら、滴下する。滴下終了後、70
℃で3時間撹拌し、反応させる。その後、30℃以下に
冷却すると結晶が析出した。結晶を吸引濾取した後、水
洗を行い、過剰の水酸化ナトリウムと未反応のアミンを
除去した後、乾燥させると74.5g(収率91%)の
白色結晶が得られた。
ン−n−オクタデシルアミン錯化合物などのトリフェニ
ルボラン−脂肪族アルキルアミン錯化合物が含有されて
いることを、IR(赤外線吸収スペクトル)、元素分析
などによって確認した。
比較のために、比較例1〜3を調製した。
5重量部と、キシレン95重量部とを混合し、攪拌し、
1時間後、24時間後、10日後に肉眼で観察したとこ
ろ、無色透明の溶液であり、沈殿など不溶物を認めなか
った。 実施例2 トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物
15重量部と、キシレン85重量部とを混合し、攪拌
し、1時間後、24時間後、10日後に肉眼で観察した
ところ、無色透明の溶液であり、沈殿など不溶物を認め
なかった。 実施例3 トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物
30重量部と、キシレン70重量部とを混合し、攪拌
し、1時間後、24時間後、10日後に肉眼で観察した
ところ、無色透明の溶液であり、沈殿など不溶物を認め
なかった。 実施例4 トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物
5重量部と、キシレン95重量部とを混合し、攪拌し、
−5℃に保存した。24時間後、および10日後に肉眼
で観察したところ、無色透明の溶液であり、沈殿など不
溶物を認めなかった。 実施例5 トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物
15重量部と、キシレン85重量部とを混合し、攪拌
し、−5℃に保存した。24時間後、および10日後に
肉眼で観察したところ、無色透明の溶液であり、沈殿な
ど不溶物を認めなかった。 実施例6 トリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯化合物
30重量部と、キシレン70重量部とを混合し、攪拌
し、−5℃に保存した。24時間後、および10日後に
肉眼で観察したところ、無色透明の溶液であり、沈殿な
ど不溶物を認めなかった。
シレン95重量部とを混合し、攪拌し、1時間後、24
時間後、10日後に肉眼で観察したところ、大量の淡黄
色の沈殿を認めた。 比較例2 トリフェニルボラン−ピリジン錯化合物1重量部と、キ
シレン99重量部とを混合し、攪拌し、1時間後、24
時間後、10日後に肉眼で観察したところ、大量の淡黄
色の沈殿を認めた。 比較例3 トリフェニルボラン−エチルアミン錯化合物5重量部
と、キシレン95重量部とを混合し、攪拌し、1時間
後、24時間後、10日後に肉眼で観察したところ、大
量の淡黄色の沈殿を認めた。
ミン錯化合物20重量部と、キシレン80重量部からな
る溶液(以下、TPB溶液という)を用いて、処方例1
〜7の漁網防汚剤を製造した。製造したこれらの漁網防
汚剤は、すべて沈殿物や分散物が認められない溶液であ
る。以下、LV−50との記載は、日本石油化学製のポ
リブテンを示し、LR−155との記載は、三菱レイヨ
ン製のアクリル樹脂を示す。
それぞれ、テトロン製無結節網(1000/26 3寸
目)に浸漬塗布して風乾した後に、平成5年8月から4
ヶ月間、北海道昆布森近海の海面下約10mに浸海保持
した。網の汚損状況を以下に示した基準により評価し、
結果を表1にまとめた。
得られる防汚剤は、溶液であるが、比較例2、3の処方
で得られる防汚剤は、固体微粒子の分散液である。
付着しているが、実用上差し支えない。 評価C:漁網の汚損面積10〜50%。付着物も多く、
もはや漁網として使用できない。 評価D:漁網の汚損面積50%以上。付着物が著しく多
量に付着している。
た。
とも4ヶ月間は浸海した漁網にヒドロ虫が全く付着しな
かった。比較例2、3において3ヶ月間は浸海した漁網
にヒドロ虫が全く付着しなかったが、4ヶ月目には付着
した。したがって、処方例8〜12は、比較例2、3に
対して、同等以上の効力を持つことがわかった。すなわ
ち、本発明のトリフェニルボラン−アルキルアミン錯化
合物と、有機溶剤からなる溶液を用いた漁網防汚剤は、
ヒドロ虫などの腔腸動物に対し、ビス(ジメチルジチオ
カルバモイル)エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、
および、トリフェニルボラン−ピリジン錯化合物と同等
以上の極めて強力な持続性のある実用的な効果を示すこ
とが判明した。
ぞれ、ポリエチレン製無結節網(6節、400デニール
/60本)に浸漬塗布して風乾した後に、平成6年4月
から6ヶ月間、和歌山県田辺湾内の海面下約0.5mに
浸海保持した。網の汚損状況を上記の基準により評価
し、結果を表2にまとめた。
ボやカサネカンザシをはじめとする多数の付着生物が付
着した。一方、処方例8、9では、6ヶ月間浸海した網
に貝類、管棲多毛類、および、その他の生物の付着が全
く認められなかった。
それぞれ、ポリエチレン製無結節網(6節、400デニ
ール/60本)に浸漬塗布して風乾した後に、平成7年
4月から6ヶ月間、和歌山県田辺湾内の海面下約0.5
mに浸海保持した。網の汚損状況を上記の基準により評
価し、結果を表3にまとめた。比較例5 テトラエチルチウラムジスルフィッド 15% アクリル樹脂(50%キシレン液) 50% キシレン 35%
ボやカサネカンザシをはじめとする多数の付着生物が付
着した。一方、処方例10〜12のすべてにおいて、少
なくとも6ヶ月間浸海したすべての網に貝類、管棲多毛
類、および、その他の生物の付着が全く認められなかっ
た。合成例2で示した、工業製品のオクタデシルアミン
組成物を合成したトリフェニルボラン−n−オクタデシ
ルアミン化合物も極めて強力な効果を示すことが判明し
た。
処理した後、充分乾燥させた。定置網は北海道釧路沖定
置漁場に4ヵ月間に渡り浸海し、ヒドラ、オベリア等の
付着物に対する防汚効力を確認した。また、養殖網は和
歌山県田辺市、愛媛県津島町および高知県宿毛市の養殖
場に6ヵ月間に渡り浸海し、フジツボ、カサネカンザ
シ、フサコケムシ、イガイ等の付着物に対する防汚効力
を確認した。いずれも、現在、使用されている防汚剤に
比べ優れた防汚効果を示した。
発明のトリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯
化合物を有効成分とする漁網防汚剤は、あらゆる海棲付
着生物に対して、優れた効果を持つことがわかった。特
に、従来の防汚剤では、付着防止が困難であり、かつ、
付着すると非常に被害の大きいヒドロ虫などの腔腸動
物、フジツボなどの貝類、カサネカンザシなどの管棲多
毛類に対し、非常に有効であることが判明した。さら
に、本発明の錯化合物は、キシレンなどの有機溶剤に可
溶であるため、均一の溶解型漁網防汚剤を製剤でき、網
染めの作業性などを著しく向上させた点で、分散型の漁
網防汚剤より優れている。すなわち、本発明は、ヒドロ
虫などの腔腸動物、フジツボなどの貝類、および、カサ
ネカンザシなどの管棲多毛類を始めとするすべての付着
生物に対し有効であり、かつ、作業性のよい有機溶剤溶
解型の漁網防汚剤を提供するものである。また、本防汚
剤は、毒性が低く安全性が高いことが確認されている。
n−オクタデシルアミン錯化合物の赤外線吸収スペクト
ル図(IRチャート)。
Claims (10)
- 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1はn−オクタデシル基を示す。)により表
されるトリフェニルボラン−n−オクタデシルアミン錯
化合物と、有機溶剤からなることを特徴とする溶液。 - 【請求項2】 請求項1に記載の有機溶剤が、芳香族化
合物系有機溶剤またはケトン化合物系有機溶剤である、
請求項1に記載の溶液。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の溶液からなる
漁網防汚剤。 - 【請求項4】 請求項1または2に記載の溶液と、1,
3−ジシアノテトラクロロベンゼン、2−(チオシアノ
メチルチオ)ベンゾチアゾール、一般式(2) 【化2】 (式中、R2は、炭素数1〜4個のアルキル基を示
す。)により表されるテトラアルキルチウラムジスルフ
ィッド類の1種または2種以上、一般式(3) 【化3】 (式中、R3は水素、アルキル基、ハロゲン置換アルキ
ル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルキル置換フ
ェニル基、ハロゲン置換フェニル基、ベンジル基、アル
キル置換ベンジル基、ハロゲン置換ベンジル基を示
す。)により表される2,3−ジクロロマレイミド類の
1種または2種以上、一般式(4) 【化4】 (式中、R4,R5,R6は、同一または異なって水
素、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シクロアル
キル基、フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基、カルボ
ニル基、アルケニル基、アラルキル基を示す。)により
表されるフェノール類の1種または2種以上の中から選
ばれる化合物の1種または2種以上とを含有する溶液。 - 【請求項5】 請求項4に記載の溶液からなる漁網防汚
剤。 - 【請求項6】 請求項1または2に記載の溶液と、テト
ラエチルチウラムジスルフィッドを含有する溶液。 - 【請求項7】 請求項1または2に記載の溶液と、2,
3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニル)マレ
イミドおよび/または2,3−ジクロロ−N−ベンジル
マレイミドを含有する溶液。 - 【請求項8】 請求項6または7に記載の溶液からなる
漁網防汚剤。 - 【請求項9】 請求項1、2または4に記載の溶液と、
溶出調整剤として一般式(5) R7−(S)n−R7 (式中、R7は炭素数1〜20個のアルキル基を示し、
nは2〜10の整数を示す。)により表されるジアルキ
ルポリスルフィッド類、平均分子量が200〜1000
を有するポリブテン、パラフィン類およびワセリンから
選ばれる1種または2種以上とを含有する溶液。 - 【請求項10】 請求項9に記載の溶液からなる漁網防
汚剤。
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998033829A1 (fr) * | 1997-01-30 | 1998-08-06 | Yoshitomi Fine Chemicals, Ltd. | Polymere a teneur en triphenylbore et utilisation correspondante |
JPH11130610A (ja) * | 1997-10-31 | 1999-05-18 | Katayama Chem Works Co Ltd | 工業用殺菌剤および工業的殺菌方法 |
JP2007246482A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Chugoku Marine Paints Ltd | 防汚組成物、ならびに該組成物から形成された被膜および漁網 |
WO2008155414A1 (en) | 2007-06-21 | 2008-12-24 | Ppg B.V. | Antifouling coating, resin composition and methods of production thereof |
EP2199349A1 (en) | 2008-12-19 | 2010-06-23 | Ppg B.V. | Resin composition, antifouling coating comprising barnacle antifoulant and processes of production thereof |
JP4806884B2 (ja) * | 1999-07-21 | 2011-11-02 | 株式会社エーピーアイ コーポレーション | トリフェニルボロン含有ポリマーおよびその用途 |
-
1996
- 1996-02-27 JP JP08186196A patent/JP3894981B2/ja not_active Expired - Lifetime
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