JPH08295268A - トラックリンクのマスタピン抜け止め装置 - Google Patents

トラックリンクのマスタピン抜け止め装置

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Publication number
JPH08295268A
JPH08295268A JP12742595A JP12742595A JPH08295268A JP H08295268 A JPH08295268 A JP H08295268A JP 12742595 A JP12742595 A JP 12742595A JP 12742595 A JP12742595 A JP 12742595A JP H08295268 A JPH08295268 A JP H08295268A
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JP
Japan
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pin
diameter
hole
insertion hole
track
Prior art date
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Application number
JP12742595A
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English (en)
Inventor
Ichiro Aizawa
一郎 相沢
Hiroaki Okane
宏明 大鐘
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 マスタピンを装着した状態で、機械を長期間
稼動してもそれが脱落するのを確実に防止でき、長寿命
のものとする。 【構成】 抜け止めピン28は、その軸部28aに弾性
スリーブ29を嵌合させた状態で、マスタピン26の軸
線方向と直交する方向に穿設した嵌入孔30と、トラッ
クリンク23Lの外側壁部23Laに、軸挿通孔27L
を貫通する状態に穿設した嵌入孔31からなるピン嵌入
孔32内に嵌入される。弾性スリーブ29の端部は、ピ
ン嵌入孔32における嵌入孔30,31間の段差及び抜
け止めピン28の軸部28aと太径部28bとの間の段
差に対面するから、この抜け止めピン28が単独で抜け
出すことはなく、弾性スリーブ29は嵌入孔30,31
間の段差により規制されて、ピン嵌入孔32から脱落し
ないように保持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建設機械等の下部走行
体における無限走行軌条を構成する履帯を切り離す機構
として設けられるトラックリンクのマスタピンの抜け止
め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建設機械として、例えば油圧ショベル
は、概略図9に示す構成としている。図中において、1
は下部走行体、2は下部走行体1上に旋回可能に設置し
た上部旋回体である。オペレータが搭乗して操作を行う
ための運転室3及びフロント作業機構4は、この上部旋
回体2に設けられている。下部走行体1は、トラックフ
レーム1aの前後の部位に設けたスプロケット5及びア
イドラ6間に履帯7を巻回して設けることにより構成さ
れ、スプロケット5,アイドラ6及び履帯7からなる走
行部ユニットは下部走行体1における左右両側に設けら
れている。また、トラックフレーム1aには、履帯7を
確実に接地させるための複数の下ローラ8及びその弛み
を防止するための上ローラ9が装着されている。
【0003】履帯7は、図10及び図11に示したよう
に、シュー10に固着した設けたトラックリンク11を
順次枢動可能に連結して無端状とした無限走行軌条を構
成している。前後の対のトラックリンク11,11を連
結するために、トラックピン12及びブッシュ13が用
いられる。トラックリンク11はボルト・ナット14に
よってシュー10に取り付けられるが、一方側が外側壁
部11aで他方側が内側壁部11bとなり、その中間部
は斜めとなった連結部11cとなっており、ボルト・ナ
ット14はこの連結部11cに装着され、これによって
シュー10には、一対のトラックリンク11が略ハ字状
に取り付けられる。
【0004】前後のトラックリンクは、内側壁部11b
を相手方の外側壁部11aの内側に接合させて、トラッ
クピン12により枢動可能に連結されるが、両内側壁部
11bにはそれぞれブッシュ装着用の開口が設けられ
て、ブッシュ13の両端部をこの開口に挿通させるよう
にして取り付けられている。一方、外側壁部11aに
は、内側壁部11bに装着したブッシュ13に対面する
位置に挿通孔15が穿設されており、トラックピン12
は、両挿通孔15とその間に設けたブッシュ13とに挿
通されている。そして、トラックピン12が走行中等に
おいて、みだりに脱落しないようにするために、トラッ
クピン12は挿通孔15に対しては圧入等により抜き出
し不能となっている。
【0005】ここで、全てのトラックピン12を挿通孔
15に圧入すると、スプロケット5,アイドラ6間に巻
回することができず、また1度組み立てた後には、もは
や分解できなくなってしまう。そこで、1箇所または数
箇所において、トラックピンを着脱可能となし、このト
ラックピンをトラックリンクから分離することによっ
て、履帯7を分解できるように構成している。この抜き
出し可能なトラックピンは、他のものと区別するために
マスタピンと呼ばれるものであり、図10及び図11に
おいては、符号16を用いて示したものである。
【0006】マスタピン16は、トラックリンク11に
着脱可能にする必要があるが、履帯7として組み立てた
状態では、みだりに脱落しないように保持しなければな
らない。このマスタピン16の抜け止め機構としては、
マスタピン16の一方側の端部に挿通孔15の孔径より
大きな外径を有する大径部16aを形成し、他方側を止
めピン17を装着する構成としている。止めピン17を
装着するために、マスタピン16には、その軸線と直交
する方向に貫通孔18aが穿設され、またトラックリン
ク11の外側壁部11aには挿通孔15を貫通するよう
に貫通孔18bを設けることによりピン嵌入孔18とな
し、止めピン17は、このピン嵌入孔18の全長より十
分長いものとして、それを止めピン17を挿通させた状
態で両端を曲成する構成としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、止めピン1
7はピン嵌入孔18を貫通させた後に、両端を曲成しな
ければならないことから、軟鋼材であって、しかも熱処
理しない生材を用いられる。これによって、止めピン1
7を叩くことにより容易に曲成できるものの、あまり高
い強度のものを用いることができない。下部走行体1の
走行中等においては、マスタピン16が軸線方向に振動
することから、止めピン17には剪断する方向の力が加
わる。従って、長期間作動を継続すると、止めピン17
に過大な剪断力が繰り返し加わって、折損するおそれが
ある。そして、止めピン17が折損して脱落すると、マ
スタピン16に対する規制がなくなり、マスタピン16
も脱落して、履帯7が切り離されてしまうという可能性
がある。
【0008】本発明は以上の点に鑑みてなされたもので
あって、その目的とするところは、マスタピンをトラッ
クリンクに着脱可能なものとなし、かつマスタピンを装
着した状態で、機械を長期間稼動してもそれが脱落する
のを確実に防止でき、長寿命で、安定したマスタピンの
抜け止め装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明は、マスタピンの端部近傍部位に、その
軸線と直交する方向に大径嵌入孔を、またトラックリン
クの大径嵌入孔の両側に連なる一対の小径嵌入孔からな
るピン嵌入孔を穿設し、そして小径嵌入孔より小さな外
径で、少なくとも大径嵌入孔の軸線方向の長さを有する
軸部の両端に、小径嵌入孔にほぼ密嵌状態に挿嵌される
太径部を連設した抜け止めピンをピン嵌入孔内に挿通す
ると共に、この抜け止めピンの軸部と大径嵌入孔との間
の隙間には、断面がC字状となり大径嵌入孔と小径嵌入
孔との半径の差以上の厚みを有する弾性スリーブを介装
させ、この弾性スリーブの少なくとも一方側の端部外面
と小径嵌入孔とのいずれかを傾斜面とする構成としたこ
とをその特徴とするものである。
【0010】
【作用】まず、抜け止めピンをマスタピンに装着した後
に、曲げたり、変形させたりする必要をなくす。これに
よって、抜け止めピンを熱処理して硬化させることがで
き、その強度の向上が図られる。抜け止めピンをマスタ
ピン及びトラックリンクに穿設したピン嵌入孔に着脱可
能に挿通させ、かつ挿通状態ではみだりに脱落しないよ
うにする必要がある。この抜け止めピンの脱落を防止す
るために弾性スリーブを用い、この弾性スリーブは拡縮
可能な弾性部材で断面をC字状とする。そして、マスタ
ピンの嵌入孔とトラックリンクにおける嵌入孔とに径差
を持たせ、マスタピン側を大径嵌入孔となし、またトラ
ックリンク側を小径嵌入孔とすることによって、ピン嵌
入孔における移行部に段差を持たせる。弾性スリーブの
厚みとしては、大径嵌入孔と小径嵌入孔との半径の差以
上の寸法を持たせる。一方、抜け止めピンは、小径嵌入
孔の孔径より小さな外径を有する軸部の両端に、小径嵌
入孔にほぼ密嵌する太径部を設けたものとなし、軸部の
長さは少なくともマスタピンにおける大径嵌入孔の軸線
方向の長さを持たせる。
【0011】弾性スリーブを抜け止めピンにおける軸部
に嵌合させて、それを縮径した状態にしてトラックリン
クの外側から、その小径嵌入孔に叩き込むように挿入す
る。弾性スリーブがこの小径嵌入孔を通過して、マスタ
ピンにおける大径嵌入孔内に移行すると、縮径されてい
た弾性スリーブが拡径して、大径嵌入孔の孔壁に密着す
るようになる。また、抜け止めピンの先端は、一方側の
小径嵌入孔から大径嵌入孔を経てもう一方の小径嵌入孔
内に導かれる。
【0012】マスタピンは抜け止めピンの作用により確
実に抜け止めされる。しかも、この抜け止めピンは嵌入
孔に挿通させるだけで良いから、熱処理により硬化する
ことができ、もってその強度の向上が図られる。抜け止
めピンが嵌入孔から脱落しないように保持する機能は、
弾性スリーブが発揮する。弾性スリーブは抜け止めピン
とマスタピンの大径挿入孔の孔壁との間に介在してお
り、この弾性スリーブにより実質的に抜け止めピンが挿
通されている部位の孔径が縮径される。しかも、その孔
径は抜け止めピンの太径部の外径より小さくなる。従っ
て、抜け止めピンに軸線方向の力が作用しても、それが
嵌入孔から脱落するおそれはない。ただし、弾性スリー
ブの少なくとも一方側の端部外面はテーパ状となってい
るので、このテーパ部分が前方となる方向に向けて抜け
止めピンを大きな力で叩き出すことによって、抜け止め
ピンと弾性スリーブとを一体的にピン嵌入孔から脱出さ
せることができる。従って、必要時には、抜け止めピン
を取り外して、マスタピンを脱着させることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず、図1及び図2に履帯におけるマスタ
ピンの装着部の構成を示す。図中において、20は履帯
を示し、この履帯20は、シュー21にボルト・ナット
22により一対のトラックリンク23を固着したものを
構成単位として、ブッシュ24を介してトラックピン2
5を順次連結することにより無端状に形成したものであ
る。そして、トラックリンク23は、外側壁部23a,
内側壁部23b及びその間の連結部23cから構成され
る。また、無端状に形成した履帯20を分解できるよう
にするために、1箇所乃至複数個所において、トラック
ピン25に変えてマスタピン26が設けられている。以
上の点については、前述した従来技術のものと格別の差
異はない。
【0014】図2に示したように、各々のシュー21に
設けた一対からなるトラックリンク23において(以下
の説明においては、一対からなるトラックリンクのう
ち、区別する必要がある場合には、図2において上方の
トラックリンクを23R,下方のトラックリンクを23
Lの符号を用いる。)、それらが連結される他の対のト
ラックリンク23の内側壁部23bの外側に接合される
外側壁部23Ra,23Laには、マスタピン26を挿
通させる軸挿通孔27R,27Lが穿設されている。マ
スタピン26は、トラックリンク23Rの軸挿通孔27
Rからブッシュ24内を経て他方のトラックリンク23
Lの軸挿通孔27L内に挿入される。そして、マスタピ
ン26の挿入方向における基端側の端部には大径部26
aが設けられており、この大径部26aは軸挿通孔27
Rより大径のものであり、この大径部26aを外側壁部
23Raの外面に当接させることによって、マスタピン
26は、その挿入方向前方、即ち図2の矢印A方向に抜
け出すのを防止できる。
【0015】これに対して、挿入方向とは反対方向、即
ち図2の矢印B方向にマスタピン26が抜け出すのを防
止するために、抜け止めピン28と弾性スリーブ29と
が用いられる。図3に示したように、抜け止めピン28
は、軸部28aの両端に太径部28b,28bを連設し
てなるものであって、この抜け止めピン28は、マスタ
ピン26の軸線方向と直交する方向に穿設した嵌入孔3
0と、トラックリンク23Lの外側壁部23Laに、こ
の嵌入孔30と同軸となるように、軸挿通孔27Lを貫
通する状態に穿設した嵌入孔31からなるピン嵌入孔3
2内に嵌入されるようになっている。また、弾性スリー
ブ29は、図4からも明らかなように、断面がC字状の
弾性を有する金属からなり、この弾性スリーブ29は、
マスタピン26の嵌入孔30において、この嵌入孔30
の孔壁と抜け止めピン28の軸部28aとの間に介在し
ている。
【0016】ここで、抜け止めピン28の軸部28aの
長さは嵌入孔30の長さと同じか、それより長くなって
おり、また弾性スリーブ29の軸線方向の長さは嵌入孔
30の軸線方向の長さとほぼ同じか、またはそれより短
くなっている。さらに、抜け止めピン28の全長は、ピ
ン嵌入孔32の全長と同じか、またはそれより短くなっ
ている。
【0017】図3,図5及び図6に示したように、抜け
止めピン28の軸部28aの外径をD1 、太径部28b
の外径をD2 、マスタピン26の嵌入孔30の孔径をD
3 、トラックリンク23Lの嵌入孔31の孔径D4 、弾
性スリーブ29の自由状態の外径がD5 で、その厚みを
Tとした時に、D2 はD1 より大きく、かつD4 とはほ
ぼ同じ寸法を有するものであり、またD3 はD4 より大
きくなっている。さらに、D5 はD4 より大きく、そし
て弾性スリーブ29の厚みTは、(D3 −D4)/2<
T<(D3 −D1 )/2の関係を有する。
【0018】換言すると、嵌入孔30の孔径は嵌入孔3
1の孔径より大きく、従ってピン嵌入孔32は、中間部
の嵌入孔30が大径嵌入孔で、両端部は嵌入孔31は小
径嵌入孔となった段差を有するものである。また、抜け
止めピン28の太径部28bは小径嵌入孔31にほぼ密
嵌状態に挿嵌されるようになっており、軸部28aと大
径嵌入孔30との間には、弾性スリーブ29の厚み以上
の隙間が形成される。弾性スリーブ29は、自由状態で
は大径嵌入孔30の孔径より大きいことから、それが縮
径された状態で大径嵌入孔30内に挿入され、その外面
が大径嵌入孔30の孔壁に密着する。しかも、弾性スリ
ーブ29の厚みは、大径嵌入孔30と小径嵌入孔31と
の間に形成される段差以上の寸法を有するものである。
さらに、弾性スリーブ29の両端面は、その外面側から
内向きに傾斜するテーパ面29aとすることによって、
少なくとも大径嵌入孔30と小径嵌入孔31との間の段
差部とは面接触しない形状となっている。なお、抜け止
めピン28の一方側の太径部28bには、小径嵌入孔3
1内に円滑に挿入できるようにするために、呼び込み部
33が形成されている。
【0019】本実施例は以上のように構成されるもので
あって、履帯20は、マスタピン26の装着部で切り離
されており、マスタピン26を装着することによって、
無端状に連結される。マスタピン26を装着するに当っ
ては、まず内側壁部23bにブッシュ24を取り付けた
他のトラックリンク23の外側に、マスタピン26が挿
通されるトラックリンク23R,23Lを接合させて、
その軸挿通孔27R,27Lをブッシュ24と一致させ
る。この状態で、マスタピン26を、その呼び込み部3
3を設けた側からトラックリンク23Rの軸挿通孔27
Rに挿入して押し込むことによって、その先端をブッシ
ュ24を経てトラックリンク23Lの軸挿通孔27L内
に導く。そして、マスタピン26の大径部26aがトラ
ックリンク23Rの端面に当接する位置まで挿入される
と、ピン嵌入孔32を構成するマスタピン26の嵌入孔
30がトラックリンク23L側に穿設した嵌入孔31と
同軸状態になる。
【0020】この状態で、まず弾性スリーブ29を抜け
止めピン28の軸部28aに嵌合させておき、この抜け
止めピン28を、その呼び込み部33側から嵌入孔31
内に嵌入させる。なお、この時には弾性スリーブ29を
ある程度縮径させるようにすれば、より円滑な嵌入が可
能となる。そして、弾性スリーブ29を嵌合させた抜け
止めピン28がピン嵌入孔32内に嵌入されると、弾性
スリーブ29は、マスタピン26における嵌入孔30の
孔壁に密着するようになり、また抜け止めピン28にお
ける両端の太径部28bはトラックリンク23L側の嵌
入孔31内にほぼ密嵌状態に挿嵌される。この時におい
て、弾性スリーブ29の端部は、ピン嵌入孔32におけ
る嵌入孔30,31間の段差及び抜け止めピン28にお
ける軸部28aと太径部28bとの間の段差に対面して
おり、これによって抜け止めピン28は軸部28aと太
径部28bとの間の段差に係合する弾性スリーブ29に
規制されて、この抜け止めピン28が単独で抜け出すこ
とはなく、またこの抜け止めピン28を規制している弾
性スリーブ29は嵌入孔30,31間の段差により規制
されて、やはりピン嵌入孔32から脱落しないように保
持される。従って、抜け止めピン28及び弾性スリーブ
29はピン嵌入孔32から抜け出すことはない。
【0021】以上によって、マスタピン26は、大径部
26aに規制されて、図2の矢印A方向に抜け出すおそ
れはなく、また抜け止めピン28によって矢印B方向に
抜け出すおそれもない。しかも、矢印B方向に抜け止め
を行う抜け止めピン28は、単にピン嵌入孔32内に叩
き込むだけのものであり、曲げたり変形したりする必要
がないから、抜け止めピン28を軟鋼材の生材ではな
く、熱処理を行うことにより硬化させて、強度を高める
ことができる。従って、走行中に繰り返し大きな剪断力
が作用しても、変形したり、折損したりすることはな
く、その耐久性及び安定性が著しく向上する。
【0022】履帯20を分解する際には、嵌入孔31に
治具を挿入して、抜け止めピン28の太径部28bの端
面に当接させた状態で、叩き込むことによってこの抜け
止めピン28の軸線方向に衝撃力を加える。この衝撃力
は抜け止めピン28を介して弾性スリーブ29にも伝達
される。弾性スリーブ29は拡縮可能な弾性C字状の部
材であって、その端面はテーパ面29aとなっているか
ら、このテーパ面29aがピン嵌入孔32における大径
嵌入孔30から段差を乗り越えて、小径嵌入孔31側に
移行する。これによって、弾性スリーブ29と共に抜け
止めピン28をピン嵌入孔32から脱出させて、マスタ
ピン23は矢印B方向に対する規制を失わすことができ
る。従って、この方向に力を加えることによって、マス
タピン23を取り外せる。
【0023】ここで、抜け止めピン28の脱着時に必要
な力は、弾性スリーブ29の弾性やテーパ面29aの傾
斜角度等に依存する。抜け止めピン28の脱着を容易に
するには、弾性スリーブ29として弾性に富んだものを
用い、テーパ面29aの傾斜角度を緩やかにすれば良い
が、そうすると、衝突物等による外部から抜け止めピン
28の軸線方向に衝撃力が加わった時にも、容易に脱落
することになる。従って、外部からの衝撃力の加わる可
能性等を考慮して、適宜の傾斜角度を選択する必要があ
る。また、テーパ面29aが必要なのは、ピン嵌入孔3
2における大径嵌入孔30を乗り越えるためであり、弾
性スリーブ29の端面全体に丸みを持たせるようにして
も良いが、弾性スリーブ29の端面における抜け止めピ
ン28の軸部28aと太径部28bとの間の段差に対面
する部位においては、履帯20の分解時に加えられる衝
撃力を弾性スリーブ29を介してトラックリンク23に
受承させるために、この段差部と面接触するように構成
するのが好ましい。なお、テーパ面29aは少なくとも
抜け止めピン28をピン嵌入孔32から抜き出す際にお
ける抜き出し方向前方側の端部に設けられておれば良
い。また、小径嵌入孔31のエッジ部分をテーパ状とし
ても良い。
【0024】前述したように、抜け止めピン28の軸線
方向に衝撃力が作用すると、抜け止めピン28及び弾性
スリーブ29がピン嵌入孔32から脱落するおそれは否
定できない。ただし、抜け止めピン28はピン嵌入孔3
2から非突出状態に保たれており、かつピン嵌入孔32
の孔径はかなり小さいものであり、またトラックリンク
23から左右に大きく張り出したシュー21の内側に位
置しており、さらにピン嵌入孔32の開口部近傍には、
トラックリンク23の壁やボルト・ナット22等の障害
物が存在しているから、ピン嵌入孔32内に位置する抜
け止めピン28の端面に、しかもそれに抜け止めピン2
8の軸線方向に対して極端に大きな衝撃力が作用するこ
とはない。勿論、抜け止めピン28は、その太径部28
bは小径嵌入孔31にほぼ密嵌状に挿嵌されており、し
かもこの太径部28bは軸線方向にある程度の長さを有
していることからも、もともと脱落しにくい構造となっ
ている。
【0025】そして、走行中等において、抜け止めピン
に軸線方向への衝撃力が加わるのをさらに抑制するに
は、図7に示したように、抜け止めピン40を、その軸
部40aの両側に連設される太径部40bの軸線方向の
長さを短縮して、嵌入孔31内に完全に埋入させれば良
い。また、太径部40bを完全に埋入させた上に、緩衝
作用を発揮するゴム等の弾性部材41を充填しておけ
ば、直接抜け止めピン40に衝撃力が加わらなくなる。
さらに、抜け止めピンはピン嵌入孔に一方向から嵌入さ
れ、反対方向に脱着させるものであるから、図8に示し
たように、ピン嵌入孔50における挿入方向の前方に位
置する嵌入孔51に段差部51aを設けて、抜け止めピ
ン52のストッパ壁とすれば、それをピン嵌入孔50か
ら脱落させる可能性があるのは、段差部51aにより縮
径された部位からの衝撃のみであり、反対方向から衝撃
力が加わっても、抜け止めピン52は脱出することはな
い。従って、段差部51aにより縮径された部位の孔径
を履帯の切り離し時に用いられる治具を挿入できる程度
において、最小限に設定しておけば、実質的に抜け止め
ピン52に外力が加わるおそれはない。また、この部位
に弾性部材53を充填することによって、たとえ外力が
加わったとしても、その力が緩衝されて、抜け止めピン
52には殆ど伝達されなくなる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、マスタ
ピンを抜け止めするために、マスタピンの軸線と直交す
る方向の大径嵌入孔と、これに連なるトラックリンクの
小径嵌入孔とからなる段付きのピン嵌入孔を設けて、こ
のピン嵌入孔に軸部の両側に太径部を設けた段付きの抜
け止めピンと、この抜け止めピンの軸部に嵌合される弾
性リングとをピン嵌入孔に嵌入させて、弾性リングをピ
ン嵌入孔から抜け出さないように保持し、かつ抜け止め
ピンが弾性リングから逸脱しないようになし、また弾性
リングの端部には、外面が傾斜する面としたので、マス
タピンをトラックリンクに対して着脱でき、かつ装着し
た状態ではその脱落を確実に防止できるようになり、し
かもマスタピンの抜け止め機能を発揮する抜け止めピン
は、曲げたり変形したりする必要がないから、抜け止め
ピンを軟鋼材の生材ではなく、熱処理を行うことにより
硬化させて、強度を高めることができ、その長寿命化が
図られ、常に安定した抜け止め機能を発揮させることが
できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す履帯のマスタピン
装着部の正面図である。
【図2】図1のX−X矢示方向の断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】抜け止めピンと弾性スリーブとの嵌合状態を示
す断面図である。
【図5】弾性スリーブの断面図である。
【図6】抜け止めピンの正面図である。
【図7】本発明の第2の実施例を示すマスタピンのトラ
ックリンクへの装着部の要部断面図である。
【図8】本発明の第3の実施例を示すマスタピンのトラ
ックリンクへの装着部の要部断面図である。
【図9】履帯が設けられる建設機械の一例としての油圧
ショベルの外観図である。
【図10】従来技術の履帯のマスタピン装着部の正面図
である。
【図11】図10のY−Y矢示方向の断面図である。
【符号の説明】
20 履帯 21 シュー 23,23R,23L トラックリンク 25 トラックピン 26 マスタピン 26a 大径部 27,27R,27L 軸挿通孔 28,40,52 抜け止めピン 28a,40a 軸部 28b,40b 太径部 29 弾性リング 29a テーパ面 30,31,51 嵌入孔 32,50 ピン嵌入孔 41,53 弾性部材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シューに連結したトラックリンクをトラ
    ックピンにより順次連結して無端状とした履帯であっ
    て、この履帯を切り離し可能とするために、少なくとも
    1個のトラックピンをマスタピンとして着脱可能に装着
    したものにおいて、前記マスタピンの端部近傍部位に、
    その軸線と直交する方向に大径嵌入孔を、またトラック
    リンクの大径嵌入孔の両側に連なる一対の小径嵌入孔か
    らなるピン嵌入孔を穿設し、前記小径嵌入孔より小さな
    外径で、少なくとも前記大径嵌入孔の軸線方向の長さを
    有する軸部の両端に、前記小径嵌入孔にほぼ密嵌状態に
    挿嵌される太径部を連設した抜け止めピンを前記ピン嵌
    入孔内に挿通すると共に、この抜け止めピンの軸部と前
    記大径嵌入孔との間の隙間に、断面がC字状となり前記
    大径嵌入孔と小径嵌入孔との半径の差以上の厚みを有す
    る弾性スリーブを介装させ、この弾性スリーブの少なく
    とも一方側の端部外面と小径嵌入孔とのいずれかを傾斜
    面とする構成としたことを特徴とするトラックリンクの
    マスタピン抜け止め装置。
  2. 【請求項2】 前記抜け止めピンの太径部は、前記ピン
    嵌入孔の各小径嵌入孔内に埋入する状態に装着する構成
    としたことを特徴とする請求項1記載のトラックリンク
    のマスタピン抜け止め装置。
  3. 【請求項3】 前記トラックリンクに設けた両小径嵌入
    孔のうちの一方の嵌入孔を、縮径することによって、前
    記抜け止めピンの逸脱防止用のストッパ壁とする構成と
    したことを特徴とする請求項2記載のトラックリンクの
    マスタピン抜け止め装置。
  4. 【請求項4】 前記トラックリンクの小径嵌入孔には、
    その抜け止めピンの太径部より外側の部位に緩衝用の弾
    性部材を充填する構成としたことを特徴とする請求項2
    記載のトラックリンクのマスタピン抜け止め装置。
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