JPH08295269A - トラックリンクのマスタピン抜け止め装置 - Google Patents

トラックリンクのマスタピン抜け止め装置

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Publication number
JPH08295269A
JPH08295269A JP12742695A JP12742695A JPH08295269A JP H08295269 A JPH08295269 A JP H08295269A JP 12742695 A JP12742695 A JP 12742695A JP 12742695 A JP12742695 A JP 12742695A JP H08295269 A JPH08295269 A JP H08295269A
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JP
Japan
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master pin
elastic ring
track
pin
recess
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Application number
JP12742695A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Okane
宏明 大鐘
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トラックリンクにマスタピンを装着した状態
で、機械を長期間稼動させても、このマスタピンが脱落
するのを確実に防止でき、この抜け止め機構の長寿命化
を図る。 【構成】 トラックリンク23Rの挿通孔27Rには円
環状の凹部28が形成され、マスタピン26に小径部2
6bを設けて、このマスタピン26を所定の位置に装着
すると、凹部28と小径部26bとにより円環状の空所
29が形成され、その内部に弾性リング30を収容させ
る。弾性リング30は空所29内では、凹部28の周壁
部に当接する状態まで拡径し、かつ内周面は小径部26
b側に位置することになり、マスタピン26に衝撃力が
加わっても、弾性リング30がマスタピン26とトラッ
クリンク23Rとの間における抜け止めキーとしての機
能を発揮して、その間が分離できなくなる。また、弾性
リング30の端部にテーパ面30aを形成しているか
ら、強力な力を加えると、マスタピン26をトラックリ
ンク23から抜き出して、履帯20を分解できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建設機械等の下部走行
体における無限走行軌条を構成する履帯を切り離す機構
として設けられるトラックリンクのマスタピンの抜け止
め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建設機械として、例えば油圧ショベル
は、概略図9に示す構成としている。図中において、1
は下部走行体、2は下部走行体1上に旋回可能に設置し
た上部旋回体である。オペレータが搭乗して操作を行う
ための運転室3及びフロント作業機構4は、この上部旋
回体2に設けられている。下部走行体1は、トラックフ
レーム1aの前後の部位に設けたスプロケット5及びア
イドラ6間に履帯7を巻回して設けることにより構成さ
れ、スプロケット5,アイドラ6及び履帯7からなる走
行部ユニットは下部走行体1における左右両側に設けら
れている。また、トラックフレーム1aには、履帯7を
確実に接地させるための複数の下ローラ8及びその弛み
を防止するための上ローラ9が装着されている。
【0003】履帯7は、図10及び図11に示したよう
に、シュー10に固着した設けたトラックリンク11を
順次枢動可能に連結して無端状とした無限走行軌条を構
成している。前後の対のトラックリンク11,11を連
結するために、トラックピン12及びブッシュ13が用
いられる。トラックリンク11はボルト・ナット14に
よってシュー10に取り付けられるが、一方側が外側壁
部11aで他方側が内側壁部11bとなり、その中間部
は斜めとなった連結部11cとなっており、ボルト・ナ
ット14はこの連結部11cに装着され、これによって
シュー10には、一対のトラックリンク11が略ハ字状
に取り付けられる。
【0004】前後のトラックリンクは、内側壁部11b
を相手方の外側壁部11aの内側に接合させて、トラッ
クピン12により枢動可能に連結されるが、両内側壁部
11bにはそれぞれブッシュ装着用の開口が設けられ
て、ブッシュ13の両端部をこの開口に挿通させるよう
にして取り付けられている。一方、外側壁部11aに
は、内側壁部11bに装着したブッシュ13に対面する
位置に挿通孔15が穿設されており、トラックピン12
は、両挿通孔15とその間に設けたブッシュ13とに挿
通されている。そして、トラックピン12が走行中等に
おいて、みだりに脱落しないようにするために、トラッ
クピン12は挿通孔15に対しては圧入等により抜き出
し不能となっている。
【0005】ここで、全てのトラックピン12を挿通孔
15に圧入すると、スプロケット5,アイドラ6間に巻
回することができず、また1度組み立てた後には、もは
や分解できなくなってしまう。そこで、1箇所または数
箇所において、トラックピンを着脱可能となし、このト
ラックピンをトラックリンクから分離することによっ
て、履帯7を分解できるように構成している。この抜き
出し可能なトラックピンは、他のものと区別するために
マスタピンと呼ばれるものであり、図10及び図11に
おいては、符号16を用いて示したものである。
【0006】マスタピン16は、トラックリンク11に
着脱可能にする必要があるが、履帯7として組み立てた
状態では、みだりに脱落しないように保持しなければな
らない。このマスタピン16の抜け止め機構としては、
マスタピン16の一方側の端部に挿通孔15の孔径より
大きな外径を有する大径部16aを形成し、他方側を止
めピン17を装着する構成としている。止めピン17を
装着するために、マスタピン16には、その軸線と直交
する方向に貫通孔18aが穿設され、またトラックリン
ク11の外側壁部11aには挿通孔15を貫通するよう
に貫通孔18bを設けることによりピン嵌入孔18とな
し、止めピン17は、このピン嵌入孔18の全長より十
分長いものとして、それを止めピン17を挿通させた状
態で両端を曲成する構成としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、止めピン1
7はピン嵌入孔18を貫通させた後に、両端を曲成しな
ければならないことから、軟鋼材であって、しかも熱処
理しない生材を用いられる。これによって、止めピン1
7を叩くことにより容易に曲成できるものの、あまり高
い強度のものを用いることができない。下部走行体1の
走行中等においては、マスタピン16が軸線方向に振動
することから、止めピン17には剪断する方向の力が加
わる。従って、長期間作動を継続すると、止めピン17
に過大な剪断力が繰り返し加わって、折損するおそれが
ある。そして、止めピン17が折損して脱落すると、マ
スタピン16に対する規制がなくなり、マスタピン16
も脱落して、履帯7が切り離されてしまうという可能性
がある。
【0008】本発明は以上の点に鑑みてなされたもので
あって、その目的とするところは、トラックリンクにマ
スタピンを装着した状態で、機械を長期間稼動させて
も、このマスタピンが脱落するのを確実に防止でき、長
寿命で、安定したマスタピンの抜け止め装置を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明は、トラックリンクのマスタピンの挿通
孔に円環状の凹部を設け、またマスタピンのこの凹部に
対面する部位に小径部を設けて、これら凹部及び小径部
により円環状の空所を形成し、この空所内に、断面が略
C字状で、拡縮径可能な弾性リングを装着するようにな
し、この弾性リングは、空所内で、その内周面が小径部
側に、外周面が凹部側に位置する厚みを持つものであ
り、かつこの弾性リングの少なくとも一方側の端部と、
それに対面する凹部の段差部または小径部における段差
部とのうちの少なくとも一方をテーパ面とする構成とし
たことをその特徴とするものである。
【0010】
【作用】マスタピンの抜け止めは、このマスタピンとト
ラックリンクとの間に弾性リングを介在させることによ
り行う。即ち、トラックリンクのマスタピン挿通孔に円
環状凹部を形成し、マスタピンのこれに対面する部位に
小径部を形成する。これによって、マスタピンをトラッ
クリンクに装着した時に、凹部と小径部とにより円環状
の空所が形成される。そして、この空所内に弾性リング
を配置する。断面が略C字状の弾性リングは、拡縮径可
能なものである。そして、マスタピンの小径部に弾性リ
ングを縮径状態で嵌合することによって、マスタピンは
トラックリンクに装着する。マスタピンが所定の位置に
装着されると、弾性リングは凹部と小径部とで形成され
る円環状の空所に配置される。この時に、弾性リングの
縮径力が解除されて、外周面は凹部内に位置し、好まし
くは凹部における円周壁に当接するようになり、また内
周面は小径部内の位置に保持される。
【0011】マスタピンに軸線方向に力が作用すると、
このマスタピンは、弾性リングの端面と衝合するから、
この弾性リングにより動きが規制されて、弾性リングと
一体的にしか動かない状態になる。一方、弾性リングは
トラックリンクの凹部内において、軸線方向の動きが規
制されている。従って、マスタピンの軸線方向の動きが
規制され、走行中にマスタピンの端面に軸線方向に押す
力が加わっても、このマスタピンが脱落するようなこと
はない。ここで、弾性リングによるマスタピンの両方向
の動きの規制を行うようにすることもできるが、一方向
においてはマスタピンの端部に挿通孔より大径となった
大径部を設けることにより、その規制を行うこともでき
る。
【0012】弾性リングとトラックリンクの凹部におけ
る段差部とは、テーパ状に係合しているから、弾性リン
グに対して、その軸線方向に強力な力を加えれば、弾性
リングは凹部を乗り上げるようになって、縮径されるこ
とになるから、弾性リングによる規制が解除されて、マ
スタピンと共にトラックリンクから脱着させることがで
きる。なお、弾性リングにおけるマスタピンの小径部の
段差部に対面する部位にテーパ面を形成しておけば、弾
性リングを凹部内に残して、マスタピンを単独で抜き出
すことができる。
【0013】履帯として無端状に形成した状態では、マ
スタピンに外力が加わっても、弾性リングがテーパ状に
係合している凹部の段差部に乗り上げず、それが逸脱し
ないように保持する必要があり、履帯を無端状から分解
する際には、マスタピンを抜き出さなければならない。
そこで、走行中等に外力が加わっただけでは、マスタピ
ンが抜け出さず、分解時に加える力により抜けるように
するには、弾性リングの凹部における段差部への乗り上
げるのに必要な力を調整しておく。この弾性リングの段
差部への乗り上げに必要な力は、弾性リングの弾性力及
びその縮径時における外径、さらにはテーパ部分の角度
等に応じて変化するために、これらの要素を適宜のもの
に設定すれば良い。
【0014】マスタピンに大径部が設けられておれば、
この大径部に対して衝撃力が加わっても、マスタピンが
抜け出すおそれは全く生じないが、それとは反対側に極
端に大きな力が加わると、それが抜け出す可能性が残
る。これを防止するには、弾性リングの両端面部におい
て、大径部側に向く端面と前記凹部の段差部はマスタピ
ンの軸線と略直交するものとして、相互に面接触させる
ようになし、反対側の端部と、それに対面する凹部の段
差部との少なくとも一方をテーパ面とすれば良い。これ
によって、大径部側に力が加わっても、それとは反対側
に力が加わっても、マスタピンが脱落するおそれはな
い。そして、履帯を分割するために、マスタピンを抜き
出す場合には、大径部を切断除去し、この切断部側を押
圧すれば、弾性リングは凹部の段差部とテーパ係合して
いるから、この凹部を乗り上げて、マスタピンの外径と
ほぼ同じ状態に縮径されるから、マスタピンの抜き出し
は可能になる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず、図1乃至図5は本発明の第1の実施
例であって、図1及び図2に履帯におけるマスタピンの
装着部の構成を示す。図中において、20は履帯を示
し、この履帯20は、シュー21にボルト・ナット22
により一対のトラックリンク23を固着したものを構成
単位として、ブッシュ24を介してトラックピン25を
順次連結することにより無端状に形成したものである。
そして、トラックリンク23は、外側壁部23a,内側
壁部23b及びその間の連結部23cから構成される。
また、無端状に形成した履帯20を分解できるようにす
るために、1箇所乃至複数個所において、トラックピン
25に変えてマスタピン26が設けられている。以上の
点については、前述した従来技術のものと格別の差異は
ない。
【0016】図3に示したように、各々のシュー21に
設けた一対からなるトラックリンク23において(以下
の説明においては、一対からなるトラックリンクのう
ち、区別する必要がある場合には、図2において上方の
トラックリンクを23R,下方のトラックリンクを23
Lの符号を用いる。)、それらが連結される他の対のト
ラックリンク23の内側壁部23bの外側に接合される
外側壁部23Ra,23Laには、マスタピン26を挿
通させる挿通孔27R,27Lが穿設されている。そし
て、マスタピン26の一端部には挿通孔27Rより大径
の大径部26aが形成されており、他端部からトラック
リンク23Rの挿通孔27Rからブッシュ24内を経て
他方のトラックリンク23Lの挿通孔27L内に挿入さ
れて、大径部26aをトラックリンク23Rの外面に当
接させる。
【0017】ここで、トラックリンク23Rの挿通孔2
7Rには、その中間部に円環状の凹部28が形成されて
いる。また、マスタピン26には、それをトラックリン
ク23Rからブッシュ24を経てトラックリンク23L
に至る所定の位置に挿嵌させた時において、凹部28に
対面する部位を細径化することにより小径部26bが形
成されている。従って、これら凹部28及び小径部26
bによって円環状の空所29が形成されることになる。
【0018】空所29内には弾性リング30が収容され
る。弾性リング30は弾性を有する金属材を略C字状に
曲成してなるものであって、空所29の軸線方向の長さ
より僅かに短い軸線方向の寸法を有し、外力を加えれる
ことにより拡縮できるものである。この弾性リング30
は、図4に示したように、マスタピン26における小径
部26bに所定の隙間をもって緩く嵌合されており、自
由状態では、その内径寸法は小径部26bの外径より大
きく、また外径寸法は凹部28の周壁部の径より大きく
なっている。そして、それを内面が小径部26bに当接
する状態まで縮径すると、外面はマスタピン26の外径
に対して突出しない状態になる。弾性リング30は、空
所29内では、拡径して凹部28の周壁部に当接した状
態になり、この時には、その内面は小径部26b内に位
置する厚み寸法を持っている。さらに、弾性リング30
の両端部は、図5に示したように、外面側が内向きに傾
斜するテーパ面30a,30aとなっている。
【0019】本実施例は以上のように構成されるもので
あって、履帯20は、マスタピン26の装着部で切り離
されており、マスタピン26を装着することによって、
無端状に連結される。マスタピン26を装着するに当っ
ては、まず両内側壁部23b間にブッシュ24を取り付
けた他のトラックリンク23の外側に、マスタピン26
が挿通されるトラックリンク23R,23Lを接合させ
て、その挿通孔27R,27Lの軸芯をブッシュ24の
軸芯と一致させる。一方、マスタピン26には、その小
径部26bに弾性リング30を嵌合させる。この状態
で、マスタピン26における呼び込み部26cを設けた
側からトラックリンク23Rの挿通孔27Rに挿入して
押し込む。マスタピン26には弾性リング30が嵌合さ
れているが、この弾性リング30の先端部にはテーパ面
30aが形成されているから、このテーパ面30aが挿
通孔27Rに入り込むことによって、弾性リング30が
縮径される。また、より円滑に弾性リング30を挿通孔
27R内に挿入するためには、弾性リング30を強制的
に縮径させるようにすれば良い。
【0020】マスタピン26が所定の位置、即ち挿通孔
27Rからブッシュ24を経て挿通孔27L内にまで挿
入されて、大径部26aがトラックリンク23Rの外面
に当接すると、弾性リング30を嵌合させた小径部26
bは凹部28に対面する状態になる。従って、大径部2
6aに規制されて、マスタピン26はそれ以上図2の矢
印A方向に移動することはない。弾性リング30は自由
状態では凹部28の周壁部の径より大きくなっているか
ら、弾性リング30はこの凹部28の周壁部に当接する
状態まで拡径する。しかしながら、このように弾性リン
グ30が拡径しても、その内周面は小径部26b側に位
置している。従って、弾性リング30が凹部28内に入
り込むことによって、この凹部28から脱出できなくな
り、しかもマスタピン26における小径部26b内に弾
性リング30が入り込んでいるから、マスタピン26に
図5の矢印方向に力が作用しても、弾性リング30がマ
スタピン26とトラックリンク23Rとの間における抜
け止めキーとしての機能を発揮して、その間が分離でき
なくなる。この結果、マスタピン26は図2の矢印B方
向の動きも規制されることになり、トラックリンク23
Rから脱落することはない。そして、マスタピン26の
抜け止めを図るために、曲げたり変形したりすることか
ら軟鋼材の生材で形成する必要のある抜け止めピンを用
いないので、耐久性が著しく向上し、長期間にわたって
極めて安定したマスタピン26の抜け止め作用を発揮す
る。
【0021】マスタピン26は下部走行体による走行時
等の衝突物等による外力が作用しても脱落することはな
く、工具等を用いて行う履帯20の分解時には、それを
取り外せなければならない。ここで、履帯20を分解す
るのは極めて稀であり、しかもこの作業は、通常、修理
工場等で行われるものであるから、マスタピン26に強
力な衝撃力を加える工具を用いることができる。従っ
て、走行中等におけるマスタピン26の脱落を確実に防
止するという点を考慮して、マスタピン26はトラック
リンク23にある程度強固に嵌合させる方が好ましい。
このためには、弾性リング30の剛性を高め、かつ縮径
時にマスタピン26の外径との差が殆ど出ない程度の厚
み寸法を持たせ、さらにテーパ面30aの角度を大きく
すれば良い。そもそも、トラックリンク23はシュー2
1の内側に位置して、このシュー21によりガードされ
ており、マスタピン26に、とりわけその軸線方向に極
端に大きな力が作用することはないから、走行中におけ
るマスタピン26の脱落事故の発生は確実に防止でき
る。しかも、マスタピン26は強固に挿嵌されている
が、圧入等のように全く抜き出せない構造ではないの
で、適宜の工具を用いることによって、マスタピン26
をトラックリンク23から抜き出して、履帯20を分解
することは可能である。
【0022】次に、図6に示したように、自由状態では
外径寸法がトラックリンク23Rにおける挿通穴27R
の孔径と凹部28の周壁部の径との中間のもので、内径
寸法はマスタピン26における小径部26bの外径寸法
より小さい弾性リング31を用い、この弾性リング31
を予めトラックリンク23Rの凹部28内に嵌合した状
態で、マスタピン26を装着することもできる。この場
合には、弾性リング31の内面側にテーパ面31aを形
成する。そして、マスタピン26を挿通孔27Rに挿入
して、その先端が弾性リング31の部位に至ると、この
マスタピン26により弾性リング31が拡径されるよう
になり、小径部26bが弾性リング31と対面する位置
まで挿入されると、弾性リング31は縮径されて、小径
部26bに密着する。
【0023】このように構成することによっても、前述
した第1の実施例と同様、弾性リング31によりマスタ
ピン26の抜け止め機能が発揮される。勿論、マスタピ
ン26に強力な衝撃力を加えれば、マスタピン26を抜
き出すことができる。この場合には、マスタピン26が
単独で挿脱でき、弾性リング31をブッシュ24内を通
過させる必要がないことから、凹部及びこの凹部に装着
される弾性リングは、マスタピン26の挿入方向手前側
のトラックリンク23Rの挿通孔27R側ではなく、反
対側のトラックリンク23Lの挿通孔27L側に設ける
こともでき、また双方に設けることも可能になる。そし
て、両挿通孔27R,27Lに弾性リングを設けるよう
に構成すれば、マスタピンの端部に大径部を設けなくと
も、両方向の抜け出しを防止できる。
【0024】さらに、図7及び図8に本発明の第3の実
施例を示す。この実施例において、第1の実施例と同一
または均等な構成要素については、同一の符号を付して
その説明を省略する。トラックリンク23Rに設けた挿
通孔27Rには、凹部28が形成され、このトラックリ
ンク23Rの挿通孔27R側から挿入され、ブッシュ2
4を経てトラックリンク23Lの挿通孔27Lにまで貫
通させるマスタピン40の一端部には大径部40aが設
けられており、また挿通孔27Rの凹部28に対面する
位置に小径部40bが設けられている点は、前述した第
1の実施例と同様である。然るに、マスタピン40にお
ける小径部40bと挿通孔27Rに設けた凹部28との
間に形成される円環状の空所に介在させる弾性リング4
1としては、その内外径は第1の実施例に示した弾性リ
ング30と実質的に同じであるが、テーパ面41aは、
大径部40aを設けた側とは反対側の端面部にのみ形成
されており、大径部40aに向く側の端面はマスタピン
40の軸線と直交する方向の平面部41bとなってお
り、また凹部28における少なくともこの平面部41b
と対面する段差面も平面部28aとなっている。
【0025】この第3の実施例のように構成すれば、マ
スタピン40が図7の矢印Aで示したように、大径部4
0aに対して力が作用しても、この大径部40aに規制
されて、マスタピン40は抜け出すことはなく、また反
対方向の矢印B方向から力が作用した時には、弾性リン
グ41における平面部41bが凹部28の平面部28a
と面接触することにより弾性リング41の動きが完全に
規制され、この弾性リング41に規制されているマスタ
ピン40が抜け出すのを確実に防止できる。
【0026】前述のように、マスタピン40は、実質的
に抜き出し不能な構造となっているが、履帯を分離する
ために、マスタピン40を抜き取る際には、まずマスタ
ピン40における大径部40aを切断除去する。これに
より、図8に示したように、矢印A方向に対する規制が
解除されるから、この矢印A方向に外力を加えると、弾
性リング41のテーパ面41aが凹部28に乗り上げる
ようにして縮径し、弾性リング41と共にマスタピン4
0を抜き取ることができる。そして、大径部40aの切
断をより容易に行えるようにするには、弾性リング41
の軸線方向の長さを凹部28及び小径部40bの軸線方
向の長さよりある程度短くしておき、マスタピン40を
軸線方向に所定量移動できるようにする。これによっ
て、大径部40aをトラックリンク23Rの外面から離
間させた状態で切断できるようになる。
【0027】なお、前述した各実施例においては、テー
パ面を弾性リング側に設けるようにしたが、凹部または
小径部における段差部分に設けるようにしても良い。ま
た、第3の実施例において、弾性リングの両端をテーパ
面とすれば、大径部を切断せずとも、この大径部とは反
対方向から力を加えると、マスタピンを抜き出すことが
できるようになり、さらにマスタピンと弾性リングとを
図6に示した関係を持たせれば、マスタピンを単独で挿
脱できるようになる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、マスタ
ピンを抜け止めするために、トラックリンクのマスタピ
ン挿通孔に凹部を設け、またマスタピンに小径部を形成
して、これら凹部と小径部とにより円環状の空所を形成
して、この空所内に弾性リングを介在させる構成とな
し、マスタピンとトラックリンクとのピン嵌入孔にピン
を挿通させて、その両端を曲げる等の必要性をなくした
ので、マスタピンの抜け止め機構を長期間にわたって安
定した抜け止め機能を発揮させることができ、その長寿
命化が図られるようになり、また弾性リングの少なくと
も一方側の端部と、それに対面する凹部の段差部または
小径部における段差部とのうちの少なくとも一方をテー
パ面としているから、履帯を分解する際等には、マスタ
ピンの着脱を行える等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す履帯のマスタピン
装着部の正面図である。
【図2】図1のX−X矢示方向の断面図である。
【図3】マスタピンの抜け止め機構部の構成を示す断面
図である。
【図4】マスタピンと弾性リングとの嵌合状態を示す断
面図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施例を示すマスタピンの抜け
止め機構部の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例を示すマスタピンの装着
部の断面図である。
【図8】第3の実施例におけるマスタピンの脱着状態を
示す作用説明図である。
【図9】履帯が設けられる建設機械の一例としての油圧
ショベルの外観図である。
【図10】従来技術の履帯のマスタピン装着部の正面図
である。
【図11】図10のY−Y矢示方向の断面図である。
【符号の説明】
20 履帯 21 シュー 23,23R,23L トラックリンク 25 トラックピン 26,40 マスタピン 26a,40a 大径部 26b,40b 小径部 27,27R,27L 挿通孔 28 凹部 28a,41b 平面部 29 空所 30,31,41 弾性リング 30a,31a,41a テーパ面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シューに連結したトラックリンクをトラ
    ックピンにより順次連結して無端状とした履帯であっ
    て、この履帯を分離するために、少なくとも1個のトラ
    ックピンをマスタピンとしてトラックリンクに対して着
    脱可能に装着したものにおいて、前記トラックリンクの
    マスタピンの挿通孔に円環状の凹部を設け、また前記マ
    スタピンのこの凹部に対面する部位に小径部を設けて、
    これら凹部及び小径部により円環状の空所を形成し、こ
    の空所内に、断面が略C字状で、拡縮径可能な弾性リン
    グを装着するようになし、この弾性リングは、空所内
    で、その内周面が小径部側に、外周面が凹部側に位置す
    る厚みを持つものであり、かつこの弾性リングの少なく
    とも一方側の端部と、それに対面する凹部の段差部また
    は小径部における段差部とのうちの少なくとも一方をテ
    ーパ面とする構成としたことを特徴とするトラックリン
    クのマスタピン抜け止め装置。
  2. 【請求項2】 前記マスタピンの端部には前記マスタピ
    ン挿通孔の孔径よりも大きな外径の大径部を形成する構
    成としたことを特徴とする請求項1記載のトラックリン
    クのマスタピン抜け止め装置。
  3. 【請求項3】 前記弾性リングの端面部のうち、大径部
    側に向く端面と前記凹部の段差部はマスタピンの軸線と
    略直交する平面状のものであり、反対側の端部と、それ
    に対面する凹部の段差部との少なくとも一方をテーパ面
    としたことを特徴とする請求項2記載のトラックリンク
    のマスタピン抜け止め装置。
  4. 【請求項4】 前記マスタピンにおける弾性リングが嵌
    合される小径部は、前記大径部の近傍側の部位に設ける
    構成としたことを特徴とする請求項3記載のトラックリ
    ンクのマスタピン抜け止め装置。
JP12742695A 1995-04-28 1995-04-28 トラックリンクのマスタピン抜け止め装置 Pending JPH08295269A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001187590A (ja) * 1999-12-09 2001-07-10 Caterpillar Inc 履帯チェーンの接合部を保持する方法と装置
KR101032524B1 (ko) * 2006-10-30 2011-05-04 현대중공업 주식회사 무한궤도식 중장비의 트랙체인용 나사형 트랙 마스터 장치
US8104551B2 (en) 2007-08-06 2012-01-31 Mitsubishi Materials Corporation Excavation tool

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