JPH08292611A - 電子写真式製版印刷版の作成方法 - Google Patents

電子写真式製版印刷版の作成方法

Info

Publication number
JPH08292611A
JPH08292611A JP3672696A JP3672696A JPH08292611A JP H08292611 A JPH08292611 A JP H08292611A JP 3672696 A JP3672696 A JP 3672696A JP 3672696 A JP3672696 A JP 3672696A JP H08292611 A JPH08292611 A JP H08292611A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
resin
transfer layer
transfer
toner image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3672696A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Yusuke Nakazawa
雄祐 中沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP3672696A priority Critical patent/JPH08292611A/ja
Publication of JPH08292611A publication Critical patent/JPH08292611A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 穏和な転写条件下で高速転写しても製版画質
及び印刷画質が良好で、長期間連続して処理しても、安
定した性能の印刷版が得られる。 【解決手段】 電子写真感光体表面に化学反応処理で除
去可能な樹脂(A)を含有する剥離可能な第1転写層(T1)を
設け、電子写真プロセスでトナー画像を形成した後、
(i)トナー画像上に更に第2転写層(T2)を形成した後一次
レセプターにトナー画像と転写層を一括転写するか又は
(ii)第2転写層(T2)を設けた一次レセプターにトナー画
像と転写層(T1)を一括転写し、更に印刷時に平版印刷可
能な親水性表面となる被転写材にトナー画像を転写層ご
と一括転写して印刷原版とし、被転写材上の転写層を化
学反応処理で除去して印刷版を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体上に転写
層を設け、トナー画像を転写する平版印刷版の作成方法
に関し、更に詳細には、転写層の転写性に優れた、製版
画質及び印刷画質が良好な電子写真式製版印刷版の作成
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版、特に、原稿入力、補正、編
集、割付から頁組まで一貫してコンピューター操作さ
れ、高速通信網や衛星通信により即時に遠隔地の末端プ
ロッターに出力できる電子編集システムにおいて、末端
プロッターの出力から直接平版印刷版を作成する直接型
印刷版を提供し得る高い光感度を有する感光体として電
子写真感光体が用いられる。電子写真感光体を用いて平
版印刷版を作成する方法として、電子写真プロセスでト
ナー画像を形成後、非画像部を不感脂化処理液で不感脂
化(親水化)して印刷版とする方法、トナー画像形成
後、非画像部の光導電層を除去して印刷版とする方法が
知られている。
【0003】しかしながら、感光層を親水化処理し電子
写真感光体そのものの表面を改質して親水性非画像部を
形成する方法あるいは感光層を溶出させて表面親水性支
持体を露出させる方法では、感光体、特に光導電層に用
いられる光導電性化合物や結着樹脂などに種々の制約が
あり、得られる印刷版の画質や耐刷性の点で多くの問題
点があった。
【0004】従来のこのような問題を解決するものとし
て、電子写真感光体の表面に化学反応処理により除去さ
れ得る熱可塑性樹脂からなる転写層を設け、該転写層上
に通常の電子写真プロセスを用いてトナー画像を形成
し、該トナー画像を転写層と共に平版印刷版としての親
水性表面を形成する被転写材に転写した後、転写層を除
去してトナー画像を被転写材上に残すことにより平版印
刷版とする方法が国際公開WO93/16418号に記
載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この転写層を用いた印
刷版の作成方法は、感光体表面を改質して親水性非画像
部を形成するのではなく、感光体とは別個に転写層をト
ナー画像上に形成し、親水性表面を有する他の支持体上
にトナー画像を転写層ごと転写させた後、転写層を化学
反応処理により除去するものであるため、従前の光導電
層に要求される種々の制約をうけることなく、良好な画
質の印刷版を得ることができる。
【0006】かかる方法においては、特に、転写層の膜
厚が薄く、転写時の条件が低温あるいは低転写圧に緩和
されたり、転写スピードが高速化されても依然転写層及
びトナー画像が良好に被転写材に転写されることが望ま
れる。転写後に感光体上に転写層あるいは転写層とトナ
ー画像の転写残りがあると、良好な画質の転写画像が得
られない。また、転写画像の画像面積率を種々変えて調
べた所、トナー画像面積率が高くなると、被転写材とト
ナー画像部との密着性が変化し、用いた画像用トナーの
種類によっては、転写性が低下してしまう場合があるこ
とが判った。本発明は、以上のような従来技術の有する
種々の課題を解決するものであり、特に、穏和な転写条
件下で高速転写しても製版画質及び印刷画質が良好で、
長期間連続して処理しても、安定した性能の印刷版を得
ることができる電子写真式製版印刷版の作成方法を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電子写真感
光体表面に、化学反応処理で除去可能な樹脂(A)を主
として含有する剥離可能な第1転写層(T1)を設け、こ
の層の上に電子写真プロセスでトナー画像を形成した
後、下記の(i)又は(ii)の方法で、トナー画像を一
次レセプターに転写した後、印刷時に平版印刷可能な親
水性表面となる最終被転写材にトナー画像を転写層ごと
一括転写し、次いで、転写された被転写材の第2転写層
(T2)及び非画像部の第1転写層(T1)を化学反応処理
により除去することを特徴とする電子写真式製版印刷版
の作成方法により達成されることが見いだされた。 方法(i):トナー画像上に樹脂(A)を主として含有
する剥離可能な第2転写層(T2)を形成した後、一次レ
セプター上にトナー画像と転写層を一括転写する。 方法(ii):樹脂(A)を主として含有する剥離可能な
第2転写層(T2)を設けた一次レセプター上に、トナー
画像と第1転写層(T1)を一括転写する。
【0008】本発明の電子写真式製版印刷版の作成方法
は、そのプロセスの概要を図1に示すように、少なくと
も支持体1及び感光層2からなる電子写真感光体11の
表面に、樹脂(A)から主として成る第1転写層12T
1を設け、通常の電子写真プロセスでトナー画像3を形
成した後、更にこの上に、樹脂(A)から主として成る
第2転写層12T2を形成し、一次レセプター20に熱
転写によりトナー画像3を転写層12T1及び12T2
と転写する{方法(i)}か、あるいは、上記トナー画
像3を形成した感光体を、樹脂(A)から主として成る
第2転写層12T2を設けた一次レセプター20と熱圧
接触させて、トナー画像3を転写層12T1とともに一
次レセプター20上の転写層12T2に転写する{方法
(ii)}ことにより、一次レセプター20上においてト
ナー画像3を第1転写層12T1及び第2転写層12T2
で挟み込んだ構造とし、次いで、オフセット印刷版に供
される支持体と同様な支持体である被転写材30に第1
転写層12T1及び第2転写層12T2ごとトナー画像3
を転写して印刷原版とし、更に、この印刷原版の被転写
材30上に転写された転写層における第2転写層12T
2の全てと非画像部の第1転写層12T1とを化学反応処
理で除去することで印刷版とするものである。
【0009】上記の通り、本発明は、転写時にトナー画
像を第1転写層(T1)及び第2転写層(T2)でサンドイ
ッチする構造をとることを大きな特徴とする。
【0010】本発明によれば、感光体上にまず感光体表
面との接着力が小さく転写時に剥離性良好となる第1転
写層(T1)を設け、その上にトナー画像を形成し、更に
その上に第2転写層(T2)を設けるかあるいは一次レセ
プター上に第2転写層(T2)を設けるといういずれかの
方法で、トナー画像を第1転写層(T1)及び第2転写層
(T2)ではさみ込んだ形の樹脂層を利用することによ
り、トナー画像を一次レセプターから被転写材上に容易
に且つ完全に転写することができる。また、トナー画像
の上にもう一層の第2転写層(T2)を設けた後に一括転
写するので、トナー画像が高精細な画像(細線、細文
字、網点中間調部等)であっても、画像の歪がみやズレ
を生じることなく、またトナー画像の面積率が向上した
り、画像用トナーの種類が種々変わっても、一次レセプ
ターとは第2転写層(T2)のみが密着するので、密着力
が常に安定することから、トナー画像を安定して容易に
且つ完全に転写することができる。更に、最終被転写材
の種類を選ばずに、画像の形成が容易に行われる。
【0011】本発明は、また、上記の方法を行うために
好適な装置を提供する。上記方法(i)を経由する場合
には、電子写真感光体上の第1転写層(T1)に電子写真
プロセスによりトナー画像を形成する手段、トナー画像
を設けた感光体上に第2転写層(T2)を形成する手段、
一次レセプターに感光体からトナー画像を第1転写層
(T1)及び第2転写層(T2)と共に転写する手段、及び
被転写材に一次レセプターからトナー画像を転写層ごと
転写する手段を少なくとも有する電子写真式製版印刷用
原版作成装置を用いることができる。更に、上記装置内
に、電子写真感光体上に第1転写層(T1)を形成する手
段を設けてもよい。
【0012】また、上記方法(ii)を経由する場合に
は、電子写真感光体上の第1転写層(T1)に電子写真プ
ロセスによりトナー画像を形成する手段、第2転写層
(T2)を設けた一次レセプターに感光体からトナー画像
を第1転写層(T1)と共に転写する手段、及び被転写材
に一次レセプターからトナー画像を転写層ごと転写する
手段を少なくとも有する電子写真式製版印刷用原版作成
装置を用いることができる。更に、上記装置内に、電子
写真感光体上に第1転写層(T1)を形成する手段及び/
又は一次レセプター上に第2転写層(T2)を形成する手
段を設けてもよい。
【0013】本発明に供せられる電子写真感光体につい
て説明する。電子写真感光体としては、従来公知のいず
れのものでも用いることができる。重要なことは、感光
体上に形成された第1転写層(T1)を後にトナー画像と
ともに容易に剥離できるように、感光体の表面が、第1
転写層(T1)形成時に剥離性を有することである。特に
本発明では、転写層形成時の感光体の表面のJIS Z0237-
1980の「粘着テープ・粘着シート試験方法」による粘着
力が、100g・f以下であることが好ましい。このよ
うに粘着力を調整することにより、感光体上に形成され
た転写層をトナー画像と共に一次レセプターに一括して
容易に剥離転写することができる。
【0014】上記JIS Z 0237-1980 「粘着テープ・粘着
シート試験方法」による粘着力の測定は、8.3.1 の18
0度引きはがし法に従い、以下の修正を加えて行う。 「試験板」として第1転写層(T1)が形成されるべき
電子写真感光体を用いる。 「試験片」として6mm巾のJIS C 2338-1984 に従って
製造された粘着テープを用いる。 定速緊張形引張試験機を用い、120mm/分の速さで
引きはがす。 即ち、上記試験板に、上記試験片の粘着面を下側にし
て、試験片の上からローラを約300mm/分の速さで一
往復させて圧着する。圧着後20〜40分の間に、定速
緊張形引張試験機を用い、約25mmはがした後、120
mm/分の速さで引きはがす。20mmはがれるごとに力を
読み取り、計4回読み取る。試験は3枚の試験片につい
て行い、3枚の試験片から測定した12個の平均値を求
め、これを10mm巾当たりに比例換算する。一次レセプ
ターや被転写材の粘着力も、これらを試験板として用い
ることにより、同様にして測定することができる。電子
写真感光体表面の粘着力は、より好ましくは50g・f
以下、特に好ましくは30g・f以下である。
【0015】本発明では、電子写真感光体として予め表
面剥離性を有するものを用いてもよいが、第1転写層
(T1)を形成する前に、感光体の表面にフッ素原子及び
/又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物(S)を
適用することにより感光体表面に所望の剥離性を付与し
てもよい。これにより電子写真感光体表面の剥離性を勘
案することなく、通常の電子写真感光体を用いることが
できる。更には、予め表面剥離性の電子写真感光体を本
発明において繰り返し使用した場合に、感光体表面の剥
離性が低下した時に化合物(S)を適用してもよい。こ
れにより、感光体の剥離性を簡便に保持することができ
る。この電子写真感光体への剥離性付与は、上記の装置
内で行うことが好ましい。これは電子写真感光体の表面
に化合物(S)を適用する手段を上記電子写真式製版印
刷用原版作成装置に更に設置することにより行うことが
できる。
【0016】剥離性表面を有する感光体を得るには、具
体的には、予め剥離性表面を有する感光体を用いる方
法、通常汎用される電子写真感光体の表面に化合物
(S)を適用することで感光体表面に剥離性を付与する
方法、及び化合物(S)を含有する電着用分散液を用い
て第1転写層(T1)を電着法により感光体上に形成する
ことで感光体への剥離性の付与と転写層の形成とを一度
に行う方法が挙げられる。
【0017】第一の方法に用いることができる、剥離性
表面を有する感光体の例としては、アモルファスシリコ
ンの表面を離型性に改質した光導電体を用いたものが挙
げられる。アモルファスシリコンを主として含有する電
子写真感光体の表面を剥離性に改質する方法としては、
フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有するカップリン
グ剤(シランカップリング剤、チタンカップリング剤
等)等でアモルファスシリコン層表面を処理する方法が
あり、特開昭55−89844号、特開平4−2313
18号、特開昭60−170860号、同59−102
244号、同60−17750号等に記載されている。
また、他の方法としては、後述する化合物(S)、特に
フッ素原子及び/又はケイ素原子を置換基として含有す
る成分をブロックで含有する化合物(例えばポリエーテ
ル、カルボン酸、アミノ基、カルビノール等変性のポリ
ジアルキルシリコン類等)、を吸着固定する方法が挙げ
られる。
【0018】また、剥離性表面を有する感光体の他の例
としては、電子写真感光体がその表面近傍ににケイ素原
子及びフッ素原子の少なくとも一方を含有する(ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有)重合体成分を含有する
重合体を含むものが挙げられる。ここで、電子写真感光
体の表面近傍とは、感光体の最上層を意味し、光導電層
の上に設けられるコーバーコート層、及び最上の光導電
層を包含する。即ち、光導電層を有する感光体の最上層
としてオーバーコート層を設け、このオーバーコート層
に上記重合体を含有させ剥離性を付与したもの、又は光
導電層(単一光導電層及び積層光導電層のいずれでもよ
い)の最上層に上記重合体を含有させ、その表面を剥離
性が発現する状態に改質させたもの等が挙げられる。こ
のような感光体は、その表面が良好な剥離性を有するた
め、トナー画像と転写層とが一括して一次レセプター上
に容易且つ完全に転写されるものである。
【0019】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与するには、この層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体を用いれば
よい。あるいは、以下に詳細に述べる如きケイ素原子及
び/又はフッ素原子含有の重合体成分から成る重合体セ
グメントを含むブロック共重合体(表面偏在型共重合
体)を他の結着樹脂とともに少量用いることも好まし
い。また、かかるケイ素原子及び/又はフッ素原子含有
の樹脂は粒子の形で用いることもできる。なかでも、オ
−バ−コ−ト層を設ける場合には、光導電層とオーバー
コート層の密着性を充分に保持できることから、表面偏
在型共重合体を併用する方法が好ましい。上記表面偏在
型共重合体は、通常、最上の光導電層全組成物100重
量部中0.5〜30重量部、オーバーコート層全組成物
100重量部中0.1〜20重量部の割合で使用でき
る。
【0020】そのようなオーバーコート層としては、具
体的には、乾式トナーを用いたPPC感光体において、
感光体の繰り返し使用に対する感光体表面の耐久性を保
持する1つの手段として公知となっている、感光体上に
表面層を設けて保護するために用いられる保護層が挙げ
られる。例えばシリコーン系ブロック共重合体を利用し
た保護層に関する技術として、特開昭61−95358
号、同55−83049号、同62−87971号、同
61−189559号、同62−75461号、同61
−139556号、同62−139557号、同62−
208055号等に記載のものが挙げられる。また、フ
ッ素系ブロック共重合体を利用した保護層として、特開
昭61−116362号、同61−117563号、同
62−270768号、同62−14657号等に記載
のものが挙げられる。更には、フッ素原子含有重合体成
分を含有する樹脂を粒子の形で併用する保護層として、
特開昭63−249152号及び同63−221355
号に記載のものが挙げられる。
【0021】また、最上層の光導電層の表面を剥離性が
発現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂と
を少なくとも用いた、いわゆる分散型の感光体を用いる
場合に有効に適用される。即ち、光導電層の最上層を構
成する層に、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重
合体成分を含有する重合体セグメントをブロックで含有
するブロック共重合体の樹脂、及びケイ素原子及び/又
はフッ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒子の少
なくともいずれか一方を共存させることにより、これら
の材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥離性表
面に改質することができる。この共重合体及び樹脂粒子
については特開平5−197169号に記載されている
ものを挙げることができる。
【0022】更に表面偏在化をより強固にするために、
オーバーコート層や光導電層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有の重合体セグメントと、
熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグ
メントとを少なくとも1種ずつブロックで結合して成る
ブロック共重合体を用いることができる。かかる熱及び
/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグメント
については、特開平5−197169号に記載されてい
るものを挙げることができる。あるいは、光及び/又は
熱硬化性樹脂を、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
樹脂とともに併用してもよい。
【0023】感光体表面を改質するのに有効な本発明の
ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体成分
を含有する重合体は、樹脂{以下樹脂(P)と称する}
又は樹脂粒子{以下樹脂粒子(PL)と称する}の形で
用いられる。
【0024】重合体がランダム共重合体である場合に
は、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体
成分は、全重合体成分中60重量%以上であることが好
ましく、より好ましくは80重量%以上である。より好
ましくは、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する
重合体成分を50重量%以上含有する重合体セグメント
(α)とケイ素及び/又はフッ素原子含有重合体成分を
0〜20重量%含有する重合体セグメント(β)がブロ
ックで結合して成るブロック共重合体である。更に好ま
しくは、ブロック共重合体中の上記セグメント(β)中
に光及び/又は熱硬化性官能基を含有する重合体成分を
少なくとも1種含有するブロック共重合体である。これ
らのブロック共重合体において、セグメント(β)中に
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分
を全く含有しないものが好ましい。
【0025】重合体セグメント(α)及び(β)を含有
するブロック共重合体(表面偏在型共重合体)を用いる
と、ランダム共重合体に比べ表面の剥離性自身が向上
し、更には剥離性が良好に保持される。即ち、フッ素原
子及び/又はケイ素原子含有のブロック共重合体を少量
共存させて塗膜を形成すると、塗布後の乾燥工程終了ま
での間に、これらは容易に膜の表面部に移行・濃縮さ
れ、膜表面が剥離性を発現できる状態に改質される。
【0026】前述の様に、樹脂(P)において、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント
(α)がブロック化されている場合には、他方のフッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含んでい
ても少ない重合体セグメント(β)が膜形成の結着樹脂
との相溶性が良好なことから、これと充分な相互作用を
行ない、転写層が形成される場合においても、これらの
樹脂は転写層への移行が抑制もしくは解消されて、転写
層と電子写真感光体との界面を明確に形成維持すること
ができる(即ち、アンカー効果)。ブロック共重合体の
セグメント(β)中に硬化性基を含有する重合体を用い
て成膜時に重合体間を架橋することで、更に感光体との
界面を明確に維持する効果が発揮される。
【0027】重合体は、前記の如く、樹脂粒子(PL)
として用いられてもよい。好ましい樹脂粒子(PL)
は、非水溶媒中に分散される樹脂粒子である。かかる樹
脂粒子としては、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有する、非水溶媒に不溶な重合体セグ
メント(α)と、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有しても20%以下である、非水溶媒
に可溶性の重合体セグメント(β)とを結合して成るも
のが好ましい。樹脂粒子(PL)の場合には、不溶化し
ている重合体セグメント(α)の作用により、表面への
移行・濃縮が行われ、更に、粒子に結合した非水溶媒に
可溶性の重合体セグメント(β)が、前記樹脂の場合と
同様に、結着樹脂と相互作用してアンカー効果の作用を
行なう。更には硬化性基を重合体中又は結着樹脂中に含
有することで、転写層への移行が解消される。
【0028】上記フッ素原子及び/又はケイ素原子を含
有する置換基を含む重合体成分は、当該置換基が重合体
の高分子主鎖に組み込まれていても高分子の側鎖の置換
基として含有されていてもよい。フッ素原子を含有する
置換基としては、例えば、下記の一価又は二価の有機残
基等が挙げられる。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】ケイ素原子を含有する置換基としては、例
えば、下記の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0032】
【化3】
【0033】但し、R31、R32、R33、R34及びR
35は、各々同じでも異なってもよく、置換されていても
よい炭化水素基又は−OR36基(R36は置換されていて
いもよい炭化水素基を表わす)を表わす。
【0034】R31〜R36の示す炭化水素基としては、具
体的には炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキ
サデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル
基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−シアノエ
チル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−メ
トキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メトキシ
カルボニルエチル基、2,2,2,2′,2′,2′−
ヘキサフルオロイソプロピル基等)、炭素数4〜18の
置換されてもよいアルケニル基(例えば2−メチル−1
−プロペニル、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3
−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−
ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘ
キセニル基等)、炭素数7〜12の置換されていてもよ
いアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3
−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチ
ルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メ
チルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル
基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、
炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式基(例えば
シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−
シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の置換
されていてもよい芳香族基(例えばフェニル基、ナフチ
ル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブ
チルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニ
ル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブト
キシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェ
ニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シア
ノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニ
ルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキ
シカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プ
ロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル
基等)が挙げられる。
【0035】また、フッ素原子及び/又はケイ素原子含
有の有機残基は、組み合わされて構成されてもよく、そ
の場合には、直接結合してもよいし更には他の連結基を
介して組み合わされてもよい。連結する基として具体的
には二価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N
(d1)−、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO
−、−OCO−、−CONHCO−、−NHCONH
−、−CON(d1)−、−SO2N(d1)−等から選ば
れた結合基を介在させても良い、二価の脂肪族基もしく
は二価の芳香族基、又はこれらの二価の残基の組み合わ
せにより構成された有機残基を表わす。ここで、d1
前記R31と同一の内容を表わす。
【0036】二価の脂肪族基として、例えば下記で示さ
れる基が挙げられる。
【0037】
【化4】
【0038】ここで、e1及びe2は、互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−O
−、−S−又は−N(d2)−を表し、d2は炭素数1〜
4のアルキル基、−CH2Cl又は−CH2Brを表わ
す。
【0039】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
複素環基としては、例えばフラン環、チオフェン環、ピ
リジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、ピロ
ール環、テトラヒドロピラン環、1,3−オキサゾリン
環等が挙げられる。
【0040】次に、以上のようなフッ素原子及び/又は
ケイ素原子を含有した置換基を有する繰り返し単位の具
体例を以下に示す。しかし、本発明の範囲がこれらに限
定されるものではない。以下の(F−1)〜(F−32)
における各例において、Rfは、下記に示す(1)〜(11)の
いずれかの基を示し、bは水素原子又はメチル基を表わ
す。
【0041】
【化5】
【0042】但し、上記(1)〜(11)において、Rf ′は
上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは1〜18の整数
を示し、mは1〜18の整数を示し、lは1〜5の整数
を示す。
【0043】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】樹脂(P)及び樹脂粒子(PL)におい
て、いわゆる表面偏在型共重合体である場合、ケイ素原
子及び/又はフッ素原子含有の重合体成分を含有するセ
グメント(α)において、かかる重合体成分は、セグメ
ント(α)全体の総量の内、少なくとも50重量%を含
み、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重
量%以上である。また、セグメント(β)においては、
フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分はセ
グメント(β)全体総量の内20重量%以下であり、好
ましくは0重量%である。セグメント(α)とセグメン
ト(β)の重量比は1〜95対5〜99、好ましくは5
〜90対10〜95である。樹脂(P)及び樹脂粒子
(PL)ともに、この範囲内において、光導電層最上層
部表面への良好な濃縮効果及びアンカー効果が得られ
る。
【0049】樹脂(P)の重量平均分子量は、好ましく
は5×103〜1×106、より好ましくは1×104
5×105である。樹脂(P)におけるセグメント
(α)の重量平均分子量は、1×103以上である事が
好ましい。重量平均分子量はGPC法によるポリスチレ
ン換算価である。樹脂粒子(PL)は、その平均粒径が
好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.0
5〜0.5μmである。
【0050】樹脂(P)における、いわゆる表面偏在型
共重合体として好ましい態様を以下に説明する。樹脂
(P)では、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重
合体成分がブロックで構成されていればいずれの態様で
もよい。ここでブロックで構成するとは、フッ素原子及
び/又はケイ素原子を50重量%以上含有する重合体セ
グメント(α)を重合体中に有していることをいい、例
えば下記に示すようなA−B型ブロック、A−B−A型
ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型ブロッ
ク、スター型ブロック等が挙げられる。
【0051】
【化11】
【0052】これらの各種ブロック共重合体は、従来公
知の重合方法に従って合成することができる。例えば、
W. J. Burlant, A. S. Hoffman「Block and Graft poly
mers」(1986年、Reuhold)、R. J. Cevesa「Block and
Graft Copolymers」(1962年、Butterworths)、D. C.
Allport, W. H. James「Block Copolymers」(1972年、
Applied Sci)、A. Noshay, J. E. McGrath「Block Copo
lymers」(1977年、Academis Press.)、G. Huvterg, D.
J. Wilson, G. Riess, NATO ASIser. SerE. 1985, 14
9、V. Perces, Applied. Polymer Sci. 285, 95 (1985)
等の成書、総説に記載されている。
【0053】例えば、有機金属化合物(例えばアルキル
リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルカリ
金属アルコラート類、アルキルマグネシウムハライド
類、アルキルアルミニウムハライド類等)等を重合開始
剤とするイオン重合反応については、T. E. Hogeu-Esc
h、J. Smid「Recent Advances in Anion Polymerizatio
n」(1987年、Elsevier New York)、岡本佳男、高分
子、38、912 (1989)、澤本光男、高分子、38、1018(198
9)、成田正、高分子、37、252(1988)、B. C. Anderson
et al., Macromolecules 14, 1601(1981)、S. Aoshim
a、T. Higashimura、Macromolecules 22, 1009(1989)
等に具体的に記載されている。また、ヨウ化水素/ヨウ
素系等によるイオン重合反応については、T. Higashimu
ra at al., Macromol. Chem., Macromol. Symp.,131
4, 457(1988)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集46
189 (1989)等に記載されている。
【0054】グループ移動重合反応については、D. Y.
Sogah et al., Macromolecules, 20, 1473(1987)、O.
W. Webster, D. Y. Sogah、高分子、36、808(1987)、M.
T. Reetg et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eugl. 25,
9108(1986)、特開昭63−97609号等に記載されて
いる。金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重合反応
については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Macromole
cules, 17, 2217(1984)、M. Kuroki, T. Aida, S. Inou
e, T. Ann. Chem. Soc.109, 4737(1987)、M. Kuroki et
al., Macromolecules, 21, 3115(1988)、M. Kuroki,
I. Inoue、有機合成化学、47、1017(1989)等に記載され
ている。
【0055】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayashi, T. Saegusa「Ring Opening Polym
erization」(1984年、Applied Scence Publishers Lt
d.)、W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eng
l. 5, 875(1966)、S. Kobayashi et al., Poly. Bull.1
3, 447(1985)、Y. Chujo et al., Macromolecules,22,1
074(1989)等に記載されている。更には、ジチオカーバ
メイト化合物又はザンテート化合物等を開始剤として用
いる光リビング重合反応については、大津隆行、高分
子、37、248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Polym. Rep.
Jap.37, 3508(1988)、特開昭64−111号、特開昭
64−26619号、M. Niwa, Macromolecules,189, 2
187(1988)等に記載されている。
【0056】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集33
931(1976)、上田明、大阪市立工業研究所報告、84(198
9)、O. Nuyken et al., Macromol. Chem., Rapid. Comm
un. 9, 671(1988)、森屋泰夫等「強化プラスチック」2
9、907(19 )、小田良平「科学と工業」61、43(1987)等
に記載されている。
【0057】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に井手文雄「グ
ラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行会)、高
分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981年、東京化学同
人)等に記載されている。例えば、高分子鎖を、重合開
始剤、化学的活線(放射線、電子線等)、機械的応用化
でのメカノケミカル反応等で、グラフト化する方法、高
分子鎖と高分子鎖の官能基を利用して、化学結合(いわ
ゆる高分子間反応)しグラフト化する方法、及びマクロ
モノマーを用いて重合反応し、グラフト化する方法等が
知られている。
【0058】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T. Shota et al., J. Appl. Polym. S
ci. 13, 2447(1969)、W. H. Buck, Rubber Chemistry a
nd Technology,50, 109(1976)、遠藤剛、植沢勉、日本
接着協会誌24、323(1988)、遠藤剛、ibid. 25, 409(198
9) 等に記載されている。
【0059】また、マクロモノマーを用いて重合反応し
グラフト化する方法として、具体的には、P. Dreyfuss
& R. P. Quirk, Encycl. Polym. Sci. Eng., 7, 551(1
987)、P. F. Rempp, E. Franta, Adv. Polym. Sci., 5
8, 1(1984)、V. Percec, Appl. Poly. Sci. ,285, 95(1
984)、R. Asami, M. Takari, Macromol. Chem. Suppl.,
12, 163(1985)、P. Rempp et al., Macromol. Chem. Su
ppl.,8, 3(1985)、川上雄資、化学工業、38、56(198
7)、山下雄也、高分子、31、988(1982)、小林四郎、高
分子、30、625(1981)、東村敏延、日本接着協会誌、1
8、536(1982)、伊藤浩一、高分子加工、35、262(198
6)、東貴四郎、津田隆、機能材料、1987、No.10,5、山
下雄也編著「マクロモノマーの化学と工業」(1989年、
アイ・ピーシー(株))、遠藤剛編著「新しい機能性高分
子の分子設計」第4章(1991年、C.M.C.(株))、Y. Yam
ashita et al., Polym. Bull. 5, 361(1981)等に記載さ
れている。
【0060】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えば M. T. Reetz, Angew. Chem.Int. Ed. Engl., 2
7, 1373(1988)、M. Sgwarc「Carbanions, Living Polym
ers and Electron Transfer Prodesses」(1968年、Wile
y. New York)、B. Gordon etal., Polym. Bull.11, 349
(1984)、R. B. Bates et al., J. Org. Chem. 44, 3800
(1979)、Y. Sogah, A. C. S. Polym. Rapr. 1988, No.
2, 3、J. W. Mays, Polym. Bull.23, 247(1990)、I. M.
Khan et al., Macromolecules,21, 2684(1988)、A. Mo
rikawa, Macromolecules,24, 3469(1991)、上田明、永
井透、高分子39、202(1990)、T. Otsu, Polym. Bull. 1
1, 135(1984) 等に記載されている。しかしながら、上
記ブロック共重合体の合成法はこれらの方法に限定され
るものではない。
【0061】次に樹脂粒子(PL)についての好ましい
態様について説明する。前記の如く、樹脂粒子(PL)
は、好ましくは、非水溶媒に不溶な、フッ素原子及び/
又はケイ素原子含有の重合体セグメント(α)と、この
溶媒に可溶性の、フッ素原子及び/又はケイ素原子を殆
ど含有しない重合体セグメント(β)とから成る。更に
は、樹脂粒子(PL)の不溶性部分を構成する重合体セ
グメント(α)部は、架橋構造を形成していてもよい。
樹脂粒子(PL)を製造する好ましい方法としては、後
に非水分散樹脂粒子の製造に関して述べる非水系分散重
合方法が挙げられる。
【0062】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独で又は2種以上を混合して用
いることができる。この有機溶媒の具体例は、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、フッ化ア
ルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチ
ルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボ
ン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の
炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、
メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロ
パン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が
挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に限定される
ものではない。
【0063】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。具体的に
は、セグメント(α)を構成する重合体成分に相当する
単量体(a)、セグメント(β)を構成する重合体成分
に相当する単量体(b)とを、単量体(a)は溶解する
が重合すると不溶となる非水溶媒を用いて、過酸化物
(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等)、ア
ゾビス化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスイソバレロニトリル等)、有機金属化合物(例え
ば、ブチルリチウム等)等の重合開始剤の存在下に加熱
重合させればよい。又は、上記単量体(a)、セグメン
ト(β)から成る重合体(Pβ)とを、上記と同様にし
て重合させればよい。
【0064】更には、樹脂粒子(PL)の不溶化した重
合体粒子の内部が架橋構造を有していてもよい。これら
の架橋構造を形成させるには、従来公知の方法のいずれ
をも用いることができる。即ち、重合体セグメント
(α)を含有する重合体を種々の架橋剤又は硬化剤によ
って架橋する方法、重合体セグメント(α)に相当す
る単量体(a)を少なくとも含有させて重合反応を行う
際に、重合性官能基を2個以上含有する多官能性単量体
又は多官能性オリゴマーを共存させることにより、分子
間に網目構造を形成する方法、及び重合体セグメント
(α)と反応性基を含有する成分を含む重合体類とを重
合反応あるいは高分子反応によって架橋させる方法等に
よって行うことができる。
【0065】上記の方法の架橋剤としては、通常架橋
剤として用いられる化合物を挙げることができる。具体
的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」
大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子データハン
ドブック、基礎編」培風館(1986年)等に記載されてい
る化合物を用いることができる。例えば、有機シラン系
化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシラン
カップリング剤等)、ポリイソシアナート系化合物(例
えば、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタン
ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナ
ート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキ
サメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナ
ート、高分子ポリイソシアナート等)、ポリオール系化
合物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、
1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン
系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシ
プロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、
変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップリング
系化合物(例えばテトラブトキシチタネート、テトラプ
ロポキシチタネート、イソプロピルトリステアロイルチ
タネート等)、アルミニウムカップリング系化合物(例
えばアルミニウムブチレート、アルミニウムアセチルア
セテート、アルミニウムオキシドオクテート、アルミニ
ウムトリス(アセチルアセテート)等)、ポリエポキシ
基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著
「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著
「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載
された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、
松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社
(1969年刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)
クリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東
村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大森英三
「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0066】また、上記の方法で共存させる重合性官
能基を2個以上含有する多官能性単量体〔多官能性単量
体(d)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの重
合性官能基としては、具体的には、CH2=CHCH
2−、CH2=CHCOO−、CH2=CH−、CH2=C
(CH3)−COO−、CH(CH3)=CHCOO−、C
2=CHCONH−、CH2=C(CH3)−CONH
−、CH(CH3)=CHCONH−、CH2=CHOC
O−、CH2=C(CH3)−OCO−、CH2=CHCH
2OCO−、CH2=CHNHCO−、CH2=CHCH2
NHCO−、CH2=CHSO2−、CH2=CHCO
−、CH2=CHO−、CH2=CHS−等を挙げること
ができる。これらの重合性官能基の同一のものあるいは
異なったものを2個以上有する単量体あるいはオリゴマ
ーであればよい。
【0067】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0068】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体、等のビニル
基を含有したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えば
メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビ
ニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコ
ン酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイ
ルプロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ア
リル、メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエス
テル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシ
カルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミ
ド、N−アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン
酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド
等)又はアミノアルコール類(例えばアミノエタノー
ル、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、
1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)と
ビニル基を含有するカルボン酸との縮合体などが挙げら
れる。本発明に用いられる2個以上の重合性官能基を有
する単量体あるいはオリゴマーは、単量体(a)及び単
量体(a)と共存する他の単量体との総量に対して10
モル%以下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、樹
脂を形成する。
【0069】更には、上記の方法の高分子間の反応性
基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋架け
を行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と同様
に行うことができる。
【0070】分散重合において、粒子の粒径が揃った単
分散性の粒子が得られること及び0.5μm以下の微小
粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法とし
ては多官能性単量体を用いるの方法が好ましい。即
ち、前記した単量体(a)、単量体(b)及び/又は重
合体(Pβ)に、更に多官能性単量体(d)を共存させ
て重合造粒反応を行なうことで合成することができる。
更に、上記したセグメント(β)で構成される重合体
(Pβ)を用いる場合は、重合体(Pβ)の高分子主鎖
中の側鎖あるいは主鎖の片末端に、単量体(a)と共重
合可能な重合性二重結合基を有して成る重合体(P
β′)であることが好ましい。
【0071】重合性二重結合基としては、上記の様に単
量体(a)と共重合性を有すればいずれでもよいが、具
体的な例としては、CH2=C(p)COO−、C(C
3)H=CHCOO−、CH2=C(CH2COOH)C
OO−、CH2=C(p)CONH−、CH2=C(p)
CONHCOO−、CH2=C(p)CONHCONH
−、C(CH3)H=CHCONH−、CH2=CHCO
−、CH2=CH(CH 2)nOCO−(nは0又は1〜3
の整数)、CH2=CHO−、CH2=CHC6 4−等が
挙げられる(ここでpは−H又は−CH3を表わす)。
【0072】これらの重合性基二重結合基は、高分子鎖
に直接結合してもよいし、他の二価の有機残基を介して
結合してもよい。これら重合体の具体的態様について
は、例えば特開昭61−43757号、特開平1−25
7969号、同2−74956号、同1−282566
号、同2−173667号、同3−15862号、同4
−70669号等に記載されている。重合性化合物の総
量は非水溶媒100重量部に対して5〜80重量部程度
であり、好ましくは10〜50重量部である。重合開始
剤の量は、重合性化合物の総量の0.1〜5重量%であ
る。また、重合温度は30〜180℃程度であり、好ま
しくは40〜120℃である。反応時間は1〜15時間
が好ましい。
【0073】次に、光及び/又は熱硬化性基を、上記結
着樹脂(P)中に重合体成分として含有する場合、又は
該硬化性基含有樹脂を樹脂(P)と併用する場合を説明
する。結着樹脂(P)中に含有され得る、光及び/又は
熱硬化性基を少なくとも1種含有して成る重合体成分と
しては、前記の如き公知文献に記載のものを挙げること
ができ、より具体的には、例えば前記重合性官能基とし
て記載したものと同様のものが挙げられる。
【0074】これらの重合体において含有される、光及
び/又は硬化性基を少なくとも1種含有する重合体成分
は、ブロック共重合体(P)の重合体セグメント(β)
100重量部中1〜95重量部であり、好ましくは10
〜70重量部である。更には、共重合体(P)全体の重
合体成分の全量100重量部において5〜40重量部含
有していることが好ましい。光及び/又は硬化性基含有
重合体成分は1重量部以上含有されれば、光導電層の成
膜後の硬化が充分に進行し、トナー画像の剥離性に有効
に作用する。また、95重量部以下において、複写画像
の原稿再現性の低下や非画像部の地カブリの発生等を生
じることなく、光導電層の結着樹脂として良好な電子写
真特性が得られる。これらの光及び/又は熱硬化性基含
有のブロック共重合体(P)は全結着樹脂100重量部
中40重量%以下で使用する事が好ましい。この範囲内
で良好な電子写真特性が得られる。
【0075】また、上記のフッ素原子及び/又はケイ素
原子含有樹脂とともに光及び/熱硬化性樹脂(D)を併
用してもよい。光及び/又は熱硬化性樹脂(D)として
は、従来公知の硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、
ブロック共重合体(P)で説明した如き硬化性基を含有
する樹脂がその例として挙げられる。
【0076】従来公知の電子写真感光層用の結着樹脂も
用いられ、例えば、柴田隆治、石渡次郎,高分子、第17
巻、第278頁(1968年)、宮本晴視、武井秀彦、イメー
ジング、1973(No.8) 、中村孝一編「記録材料用バイン
ダーの実際技術」第10章、C.M.C.出版(1985年)、電子
写真学会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウ
ム」予稿集(1985年)、小門宏編「最近の光導電材料と
感光体の開発・実用化」日本科学情報(株)(1986年)、
電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」第5章、
コロナ社(株)(1988年)、D. Tatt, S. C. Heidecker,
Tappi,49(No.10),439(1966)、E. S. Baltazzi,R. G. B
lanclotte et al,Phot.Sci. Eng. 16(No.5), 354(197
2)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写
真学会誌18(No.2),22(1980)等の成書・総説に記載の化
合物等が挙げられる。
【0077】また、オレフィン重合体及び共重合体、塩
化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、アルカン
酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル重合体
及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体及び共
重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブレン−
スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン酸エス
テル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタクリロ
ニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重合体、
アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタクリル酸
エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重
合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水
マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタク
リルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリ
コン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性
ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタ
ール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、
環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒素原子を含
有しない複素環を含有する共重合体(複素環として例え
ば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェン環、
ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン環、ベンゾ
フラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジオキセタン
環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0078】更に、遠藤剛「熱硬化性高分子の精密化」
(C.M.C.(株)、1986年刊)、原崎勇次「最新バインダー
技術便覧」第II−1章(総合技術センター、1985年
刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開
発」(中部経営開発センター出版部、1985年刊)、大森
英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシステム、1985
年刊)等の総説に引例された従来公知の樹脂が用いられ
る。
【0079】以上の如く、予め剥離性を有する感光体と
するためには、最上層、例えばオーバーコート層又は光
導電層は、結着樹脂及び表面改質用の樹脂(P)を少な
くとも各々1種以上含有し、好ましくは、膜の硬化を向
上させるために光及び/又は熱硬化性樹脂(D)及び/
又は架橋剤を少量共存させる。その使用量は、結着樹脂
及び樹脂(P)の総量に対して0.01〜20重量%が
好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%である。
この範囲内において、電子写真特性に悪影響を及ぼすこ
となく、膜の硬膜化向上の効果が発揮される。
【0080】また、架橋剤を併用することが好ましく、
通常架橋剤として用いられる化合物を使用することがで
きる。具体的には、山下普三、金子東助編「架橋剤ハン
ドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子
データハンドブック基礎編」培風館(1986年)等に記載
されている化合物を用いることができる。具体的には前
記架橋剤と同様のものが挙げられ、更に、多官能重合性
基含有の単量体(例えばビニルメタクリレート、アクリ
ルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジビニル
コハク酸エステル、ジビニルアジピン酸エステル、ジア
クリルコハク酸エステル、2−メチルビニルメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ
ビニルベンゼン、ペンタエリスリトールポリアクリレー
ト等)等が挙げられる。
【0081】上記感光体の最上層(転写層と隣接する
層)は、成膜後に硬化されることが好ましい。供せられ
る結着樹脂、樹脂(P)、硬化性樹脂(D)及び架橋剤
は、高分子間が化学結合しやすい官能基同志の組合せで
用いることが好ましい。例えば官能基の組合せによる高
分子反応として、通常よく知られた方法が挙げられ、例
えば下表−1に示す様なA群の官能基とB群の官能基の
組合せが例示される。但しこれに限定されるものではな
い。
【0082】
【表1】
【0083】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、結着樹脂に必要に応じて反応促進剤を
添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成
する反応様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェ
ノール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモ
フェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有
機金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、
アセチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバ
ルト塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカル
バミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、
チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジ
スルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル酸、無
水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物、
3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフェノン
ジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げられる。
架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始剤(過
酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる。
【0084】結着樹脂は、感光層形成物を塗布した後、
光及び/又は熱硬化されることが好ましい。熱硬化を行
なうためには、例えば、乾燥条件を従来の感光体作製時
の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥条件を高温度
及び/又は長時間とするか、あるいは塗布溶剤の乾燥
後、更に加熱処理することが好ましい。例えば60℃〜
150℃で5〜120分間処理する。上述の反応促進剤
を併用すると、より穏やかな条件で処理することができ
る。
【0085】樹脂中の特定の官能基を光照射で硬化する
方法としては、化学的活性光線で光照射する工程を入れ
る様にすればよい。化学的活性光線としては、可視光
線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線など
いずれでもよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは
波長310nmから波長500nmの範囲の光線である。一
般には低圧、高圧あるいは超高圧の水銀ランプ、ハロゲ
ンランプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜5
0cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分に行うこ
とができる。
【0086】次に、剥離性表面を有する感光体を得る第
二の方法である、第1転写層(T1)形成の前に、通常の
電子写真感光体の表面上に化合物(S)を適用して、感
光体表面を剥離性にする方法について説明する。
【0087】化合物(S)としては、フッ素原子及び/
又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物が挙げら
れ、電子写真感光体表面の剥離性を改善するものであれ
ば、その構造は特に限定されるものではなく、低分子化
合物、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。。オリ
ゴマー又はポリマーの場合、フッ素原子及び/又はケイ
素原子を含有する置換基は、重合体の主鎖に組み込まれ
ていてもよく、あるいは重合体の側鎖の置換基として存
在していてもよい。好ましくは、オリゴマー又はポリマ
ーにおいて、かかる置換基を含有する繰り返し単位をブ
ロックで含有されたものが挙げられ、これらは電子写真
感光体表面への吸着性及び剥離性を特に有効に発現す
る。
【0088】これらのフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基は、具体的には、前記の樹脂(P)に
関連して述べたものと同様である。本発明で用いられる
フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の化合物(S)と
しては、具体的には、吉田時行等編「新版・界面活性剤
ハンドブック」工学図書(株)刊(1987年)、刈米孝夫
監修「最新・界面活性剤応用技術」(株)シーエムシー
(1990年)、伊藤邦雄編「シリコーン・ハンドブック」
日刊工業新聞社刊(1990年)、刈米孝夫監修「特殊機能
界面活性剤」(株)C.M.C.(1986年)、A. M.Schwartz e
t al 「Surface Active Agents and Detergents vol.II
」等に記載のフッ素系及び/又はケイ素系有機化合物
が挙げられる。更には、石川延男「フッ素化合物の合成
と機能」(株)C.M.C.(1987年)、平野二郎等編「含フ
ッ素有機化合物−その合成と応用−」(株)技術情報協
会(1991年)、石川満夫監修「有機ケイ素戦略資料」第
3章(株)サイエンスフォーラム(1991年)等の文献に
記載の合成方法を利用して、本発明の化合物(S)を合
成することができる。
【0089】また、オリゴマー又はポリマーとしてフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む重
合体成分の具体例としては、前記樹脂(P)に関して記
載された重合体成分を例として挙げることができる。
【0090】化合物(S)がいわゆるブロック共重合体
である場合には、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分がブロックで構成されていればよい。ここ
でブロックで構成するとは、フッ素原子及び/又はケイ
素原子を有する成分を70重量%以上含有する重合体セ
グメントを重合体中に有していることをいい、例えば前
記樹脂(P)で述べたと同様なA−B型ブロック、A−
B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型
ブロックあるいはスター型ブロック等が挙げられる。こ
れらは、前記と同様の方法で合成することができる。
【0091】電子写真感光体表面に化合物(S)を適用
することにより、その表面は所望の剥離性を有するよう
に改質される。電子写真感光体の表面に化合物(S)を
適用するとは、化合物(S)を電子写真感光体表面に供
給して、感光体表面に化合物(S)が吸着または付着し
た状態を形成することをいう。
【0092】化合物(S)を電子写真感光体表面に適用
するには、従来公知のいずれの方法を適用してもよい。
例えば、原崎勇次「コーティング工学」(株)朝倉書店
(1971年刊)、原崎勇次「コーティング方式」槇書店
(1979年刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」
(株)高分子刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクタ
ーコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、スク
イズコーター、含浸コーター、リバースロールコータ
ー、トランファーロールコーター、グラビアコーター、
キスロールコーター、スプレイコーター、カーテンコー
ター、カレンダーコーター等の各方式が挙げられる。
【0093】また、化合物(S)を含浸させた布、紙、
フェルト等を感光体に密接させる方法、化合物(S)を
含浸させた硬化性樹脂を感光体に圧接させる方法、化合
物(S)を溶解した非水溶媒で感光体を濡らした後、溶
媒を乾燥させる方法、化合物(S)を分散させた非水溶
媒を後述の電着塗布法と同様にして電気泳動させて感光
体に付着させる方法等も挙げられる。更には、インキジ
ェット方式により化合物(S)の非水溶液を感光体表面
に一様に濡らした後、乾燥させることにより吸着又は付
着させることができる。インキジェット方式による方法
は、例えば大野信編集「ノンインパクトプリンティン
グ」(株)C.M.C.(1986年刊)記載の原理及び手段によ
って達成される。例えば連続噴射型のSweet方式、Hertz
方式、間欠噴射型のWinston方式、インクオンデマンド
型のパルスジェット方式、バブルジェット方式、インキ
ミスト型のミスト方式などが挙げられる。
【0094】いずれもインキの代わりに化合物(S)を
直接あるいは溶媒に希釈して、インキタンク及び/又は
インキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常液
の粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/cm
で、必要により界面活性剤等を加えても良く、また液を
加熱しても良い。従来のインキジェットプリンターは、
文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を30〜
100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同程度
となっているが、本発明においてはこれよりも大きくと
も良い。この場合にはインキの吐出量が多くなるので、
塗布にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル化す
ることも塗布時間短縮のために極めて有効である。
【0095】化合物(S)としてシリコーンゴムを用い
ることもできる。好ましくは金属芯ローラーに巻いてシ
リコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表面に押
し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/cm2、接
触時間は1秒〜30分間で良い。この時感光体及び/又
はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加熱されて
いても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低分子量成
分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転移するも
のと思われる。シリコーンゴムはシリコーンオイルで膨
潤されたものでも良い。シリコーンゴムは更にスポンジ
状であっても、そのスポンジローラーに更にシリコーン
オイル、シリコーン界面活性剤溶液等を含浸させてあっ
ても良い。
【0096】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物(S)の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物(S)の流動性
を調整することもできる。化合物(S)の適用は電子写
真式製版印刷原版作成装置内に容易に組み込める態様で
行うことが好ましい。
【0097】化合物(S)の感光体表面への適用量は特
に規定されるものではなく、感光体の電子写真特性への
悪影響が実用上問題とならなければよい。通常塗膜膜厚
で1μm以下で充分であり、本発明の剥離性の発現は
「Weakboundary Layer」(Bikerman "The Science of Ad
hesive Joints" Academic Press(1961年刊) により定
義)の状態で充分である。本発明においては、化合物
(S)が電子写真感光体上に吸着又は付着して表面に剥
離性を付与し、好ましくは表面の粘着力が100g・f
以下となればよい。本発明の製版印刷版作成工程におい
て、常にこの工程を繰り返す必要はなく、用いる感光体
及び化合物(S)適用による剥離性を保持できる能力及
びその手段の組合に従って、適宜行えばよい。
【0098】更に、本発明においては、剥離性表面を有
する感光体を得る第三の方法として、第1転写層(T1)
を電着塗布法により感光体上に形成する場合に電着用分
散液の中に化合物(S)を含有させることで、感光体へ
の剥離性の付与と転写層の形成とを同時に行う方法が挙
げられる。
【0099】即ち、比誘電率が3.5以下の電気絶縁性
有機溶媒中に、樹脂(A)の粒子が分散し、且つ化合物
(S)を少なくとも1種含有した電着用分散液を用い
て、樹脂粒子を電気泳動により電子写真感光体表面に電
着又は付着させて成膜することにより、剥離可能な転写
層を形成する。
【0100】上記転写層形成用の電着用分散液中に含有
され化合物(S)は、分散樹脂粒子が電気泳動して感光
体表面に電着される前に、感光体に吸着もしくは付着す
るため、結果的に第1転写層(T1)の形成前に剥離性を
有する感光体とすることができるものである。ここで用
いられる化合物(S)は前記第二の方法において述べた
化合物(S)と本質的に同じである。化合物(S)のう
ち、比誘電率が3.5以下の電気絶縁性有機溶媒1リッ
トルに対して0.01g以上溶解する(温度25℃)も
のが好ましい。化合物(S)の溶解量が0.01g未満
の場合、化合物(S)が感光体への吸着ムラを起こすこ
とがある。化合物(S)の電気絶縁性有機溶媒中の添加
量は、使用される化合物(S)及び電気絶縁性有機溶媒
などにより異なる。得られる効果や樹脂粒子の電気泳動
に悪影響(液抵抗の低下、粘度の上昇等)を及ぼさない
こと等を考慮して適量がきめられる。好ましい範囲は
0.01g/リットル〜20g/リットル程度である。
【0101】本発明に供せられる電子写真感光体の構成
及び材料は従来公知のいずれでも用いることができ、限
定されるものではない。例えば、R. M. Schaffert, "El
ectrophotography" Focal Press London(1980)、S. W.
Ing, M. D. Tabak, W. E. Haas, "Electrophotography
Fourth International Conference" SPSE(1983)、篠原
功、土田英俊、草川英昭編「記録材料と感光性樹脂」
(株)学会出版センター刊(1979年)、小門宏、化学と
工業、39(3), 161 (1986年)、総合技術資料集「最近の
光導電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報
(株)出版部(1986年)、電子写真学会編「電子写真技
術の基礎と応用」コロナ社(株)(1986年)、電子写真学
会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿
集(1985年)等の成書、総説に記載の各種感光体が挙げ
られる。即ち、光導電性化合物自身から成る単独層、又
は、光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導電層が
挙げられ、分散された光導電層は単一層型でもよいし積
層型でもよい。
【0102】また本発明において用いられる光導電性化
合物は無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよ
い。本発明の光導電性化合物として用いられる無機化合
物としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、
硫化カドミウム、セレン、セレン−テルル、無定形シリ
コン、硫化鉛等従来公知の無機光導電性化合物が挙げら
れ、これらは、結着樹脂とともに光導電層を形成しても
よいし、また、蒸着又はスパッタリング等により単独で
光導電層を形成してもよい。酸化亜鉛、酸化チタン等の
無機光導電性化合物を用いる場合は、無機光導電性化合
物100重量部に対して結着樹脂を通常10〜100重
量部、好ましくは15〜40重量部の割合で使用する。
【0103】一方、有機化合物を用いた光導電層として
は、従来公知のいずれでもよく、具体的には、特公昭3
7−17162号、同62−51462号、特開昭52
−2437号、同54−19803号、同56−107
246号、同57−161863号等に記載のような有
機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体とする光
導電層、特開昭56−146145号、同60−177
51号、同60−17752号、同60−17760
号、同60−254142号、同62−54266号等
に記載のような電荷発生剤、電荷輸送剤、結合樹脂を主
体とする光導電層、及び特開昭60−230147号、
同60−230148号、同60−238853号等に
記載のような電荷発生剤と電荷輸送剤とをそれぞれ別の
層に含有した二層構成の光導電層が挙げられる。
【0104】本発明の電子写真感光体は上記の光導電層
のいずれの形態をとっていてもよい。本発明に用いられ
る有機光導電性化合物としては、(a) 米国特許3,11
2,197号等に記載のトリアゾール誘導体、(b) 米国
特許3,189,447号等に記載のオキサジアゾール
誘導体、(c) 特公昭37−16096号に記載のイミダ
ゾール誘導体、(d) 米国特許3,615,402号、同
3,820,989号、同3,542,544号、特公
昭45−555号、同51−10983号、特開昭51
−93224号、同55−108667号、同55−1
56953号、同56−36656号等に記載のポリア
リールアルカン誘導体、(e) 米国特許3,180,72
9号、同4,278,746号、特開昭55−8806
4号、同55−88065号、同49−105537
号、同55−51086号、同56−80051号、同
56−88141号、同57−45545号、同54−
112637号、同55−74546号等に記載のピラ
ゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、(f) 米国特許3,
615,404号、特公昭51−10105号、同46
−3712号、同47−28336号、特開昭54−8
3435号、同54−110836号、同54−119
925号等に記載のフェニレンジアミン誘導体、
【0105】(g) 米国特許3,567,450号、同
3,180,703号、同3,240,597号、同
3,658,520号、同4,232,103号、同
4,175,961号、同4,012,376号、特公
昭49−35702号、西独国特許(DAS)1,11
0,518号、特公昭39−27577号、特開昭55
−144250号、同56−119132号、同56−
22437号等に記載のアリールアミン誘導体、(h) 米
国特許3,526,501号等に記載のアミノ置換カル
コン誘導体、(i) 米国特許3,542,546号等に記
載のN,N−ビカルバジル誘導体、(j) 米国特許3,2
57,203号等に記載のオキサゾール誘導体、(k) 特
開昭56−46234号等に記載のスチリルアントラセ
ン誘導体、(l) 特開昭54−110837等に記載のフ
ルオレノン誘導体、(m) 米国特許3,717,462
号、特開昭54−59143号(米国特許4,150,
987号に対応)、特開昭55−52063号、同55
−52064号、同55−46760号、同55−85
495号、同57−11350号、同57−14874
9号、同57−104144号等に記載されているヒド
ラゾン誘導体、
【0106】(n) 米国特許4,047,948号、同
4,047,949号、同4,265,990号、同
4,273,846号、同4,299,897号、同
4,306,008号各等に記載のベンジジン誘導体、
(o) 特開昭58−190953号、同59−95540
号、同59−97148号、同59−195658号、
同62−36674号等に記載のスチルベン誘導体、
(p) 特公昭34−10966号に記載のポリビニルカル
バゾール及びその誘導体、(q) 特公昭43−18674
号、同43−19192号に記載のポリビニルピレン、
ポリビニルアントラセン、ポリ−2−ビニル−4−
(4′−ジメチルアミノフェニル)−5−フェニル−オ
キサゾール、ポリ−3−ビニル−Nエチルカルバゾール
等のビニル重合体、(r) 特公昭43−19193号に記
載のポリアセナフチレン、ポリインデン、アセナフチレ
ンとスチレンの共重合体等の重合体、(s) 特公昭56−
13940号等に記載のピレン−ホルムアルデヒド樹
脂、ブロムピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカル
バゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の縮合樹脂、(t) 特
開昭56−90833号、同56−161550号に記
載の各種のトリフェニルメタンポリマー、等がある。な
お本発明において、有機光導電性化合物は、(a)〜(t)に
挙げられた化合物に限定されず、これまで公知の全ての
有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有
機光導電性化合物は場合により2種類以上併用すること
が可能である。
【0107】光導電層に含有される増感色素としては、
電子写真感光体に使用される従来公知の増感色素が使用
可能である。これらは、「電子写真」12、9(1973)、
「有機合成化学」24(11)、1010(1966)等に記載されてい
る。例えば、米国特許3,141,770号、同4,2
83,475号、特開昭48−25658号、特開昭6
2−71965号等に記載のピリリウム系染料、Applie
d Optics Supplement 50 (1969)、特開昭50−39
548号等に記載のトリアリールメタン系染料、米国特
許3,597,196号等に記載のシアニン系染料、特
開昭60−163047号、同59−164588号、
同60−252517号等に記載のスチリル系染料等が
有利に使用される。
【0108】光導電層に含有される電荷発生剤として
は、電子写真感光体において従来公知の有機及び無機の
各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレン、セレ
ン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び以下(1)
〜(9)に示す有機顔料を使用することができる。
【0109】(1) 米国特許4,436,800号、同
4,439,506号、特開昭47−37543号、同
58−123541号、同58−192042号、同5
8−219263号、同59−78356号、同60−
179746号、同61−148453号、同61−2
38063号、特公昭60−5941号、同60−45
664号等に記載されたモノアゾ、ビスアゾ、トリスア
ゾ顔料等のアゾ顔料、(2) 米国特許3,397,086
号、同4,666,802号、特開昭51−90827
号、同52−55643号に記載の無金属あるいは金属
フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、(3) 米国特許
3,371,884号、特開昭47−30330号等に
記載のペリレン系顔料、(4) 英国特許2,237,68
0号、特開昭47−30331号等に記載のインジゴ、
チオインジゴ誘導体、(5) 英国特許2,237,679
号、特開昭47−30332号等に記載のキナクリンド
ン系顔料、
【0110】(6) 英国特許2,237,678号、特開
昭59−184348号、同62−28738号、同4
7−18544号等に記載の多環キノン系顔料、(7) 特
開昭47−30331号、同47−18543号等に記
載のビスベンズイミダゾール系顔料、(8) 米国特許4,
396,610号、同4,644,082号等に記載の
スクアリウム塩系顔料、(9) 特開昭59−53850
号、同61−212542号等に記載のアズレニウム塩
系顔料、等である。これらは単独もしくは2種以上を併
用して用いることもできる。
【0111】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は10〜100重量部である。
【0112】本発明の感光体に用いることのできる結着
樹脂(以下結着樹脂(B)と称することもある)は、従
来公知の電子写真感光体に用いられる樹脂のいずれでも
よく、重量平均分子量は好ましくは5×103〜1×1
6、より好ましくは2×10 4〜5×105のものであ
る。また、結着樹脂のガラス転移点は好ましくは−40
℃〜200℃、より好ましくは−10℃〜140℃であ
る。例えば、柴田隆治・石渡次郎、高分子、第17巻、第
278頁(1968年)宮本晴視、武井秀彦、イメージング、1
973(No.8)、中村孝一編「記録材料用バインダーの実際
技術」第10章、C.H.C.出版(1985年)電子写真学会編、
「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿集
(1985年)小門宏編、「最近の光導電材料と感光体の開
発・実用化」日本科学情報(株)(1986年)電子写真学会
編「電子写真技術の基礎と応用」第5章コロナ社(株)
(1988年)、D. Tatt, S. C. Heidecker, Tappi,49(No.1
0), 439(1966)、E. S. Baltazzi, R. G. Blanclotte et
al,Phot. Sci. Eng. 16(No.5), 354(1972)、グエン・
チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写真学会誌18(N
o.2), 22(1980) 等の成書・総説に記載の化合物等が挙
げられる。
【0113】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体の重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0114】特に、光導電体の結着樹脂(B)として、
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含
有する比較的低分子量(103〜104程度)の樹脂を併
用することで、静電特性を良化することができる。例え
ば、特開昭63−217354号に記載の酸性基含有重
合成分が重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、特開昭
64−70761号に記載の重合体主鎖の片末端に酸性
基を結合してなる樹脂、特開平2−67563号、同2
−236561号、同2−238458号、同2−23
6562号及び同2−247656号等に記載の酸性基
をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂又
は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有する
樹脂、特開平3−181948号に記載の酸性基をブロ
ックで含有するAB型ブロック共重合体が挙げられる。
更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不充分な光導電
層の機械的強度を向上させるために、中〜高分子量の他
の樹脂を併用することが好ましい。例えば、特開平2−
68561号に記載のポリマー間に架橋構造を形成する
熱硬化性樹脂、特開平2−68562号に記載の一部が
架橋構造を有する樹脂、特開平2−69759号に記載
の酸性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してな
る樹脂等が挙げられる。
【0115】また、特定の中〜高分子量の樹脂を用いる
ことで、環境が著しく変動した場合でも安定した性能を
維持することができる。例えば、特開平3−29954
号、同3−77954号、同3−92861号及び同3
−53257号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の
グラフト部の末端に結合する樹脂又は酸性基をグラフト
型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、特開平3−2
06464号及び同3−223762号記載の酸性基含
有のAブロックと酸性基非含有のBブロックとからなる
ABブロック型共重合体をグラフト部に含有するグラフ
ト型共重合体を挙げることができる。これらの樹脂を用
いることで、光導電体を均一に分散させ、平滑性良好な
光導電層を形成することができ、また環境の変化や半導
体レーザー光を用いたスキャニング露光方式を用いた場
合においても、優れた静電特性を維持することができ
る。
【0116】光導電層の厚さは1〜100μm、特に1
0〜50μmが好適である。また、電荷発生層と電荷輸
送層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用
する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μm、特に
0.05〜2μmが好適である。
【0117】本発明では、可視光の露光又は半導体レー
ザー光の露光等光源の種類によって必要に応じて各種の
色素を分光増感剤として併用することができる。例え
ば、宮本晴視、武井秀彦;イメージング1973(No.8)第12
頁、C. J. Young等:RCA Review15, 469頁(1954年)、
清田航平等:電気通信学会論文誌、J63-C(No.2)、97頁
(1980年)、原崎勇次等、工業化学雑誌、66、78及び18
8頁(1963年)、谷忠昭、日本写真学会誌35, 208頁(197
2年)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジフェニル
メタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン系色
素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例えば、オキ
ソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色素、ロダ
シアニン色素、スチリル色素等)、フタロシアニン色素
(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0118】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許3,052,540号、同4,054,450
号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げら
れる。
【0119】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F. M. Hamer「The Cyanine Dyes and Related Co
mpounds 」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具
体的には、米国特許3,047,384号、同3,11
0,591号、同3,121,008号、同3,12
5,447号、同3,128,179号、同3,13
2,942号、同3,622,317号、英国特許1,
226,892号、同1,309,274号、同1,4
05,898号、特公昭48−7814号、同55−1
8892号等に記載の色素が挙げられる。
【0120】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許3,619,154
号、同4,175,956号、「Research Discloseur
e」1982年、216、第117〜118頁等に記載のものが挙げら
れる。
【0121】本発明の感光体は、種々の増感色素を併用
させてもその性能が変動しにくい点においても優れてい
る。
【0122】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体用添加剤を用いることができる。
これらの添加剤としては、電子写真感度を改良するため
の化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑剤、
界面活性剤等が含まれる。
【0123】化学増感剤としては、例えばハロゲン、ベ
ンゾキノン、クロラニル、フルオラニル、ブロマニル、
ジニトロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロロ
ベンゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロロフ
タル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、N−ヒドロキ
シマレインイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、2,
3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、ジニト
ロフルオレノン、トリニトロフルオレノン、テトラシア
ノエチレン、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸等の電
子吸引性化合物、小門宏等「最近の光導電材料と感光体
の開発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)
出版部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化
合物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジ
アミン化合物等が挙げられる。また、特開昭58−65
439号、同58−102239号、同58−1294
39号、同62−71965号等に記載の化合物等も挙
げることができる。
【0124】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフ
ェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイ
ソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセ
バケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリコ
レート、ジメチルグリコールフタレート等を光導電層の
可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑剤は
光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させるこ
とが好ましい。これら各種添加剤の添加量は、特に限定
的ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.
001〜2.0重量部である。
【0125】電子写真感光層は、従来公知の支持体上に
設けることができる。一般的にいって電子写真感光層の
支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支持体
としては、従来と全く同様、例えば金属、紙、プラスチ
ックシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるなどし
て導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と
反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等
の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支
持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の
表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート
層を設けたもの、アルミニウム等を蒸着した基体導電化
プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用でき
る。
【0126】具体的には、導電性基体あるいは導電化材
料の例として、坂本幸男、電子写真、14(No.1),2〜11
頁(1975年刊)、森賀弘之「入門特殊紙の化学」高分子
刊行会(1975年刊)、M. F. Hoover,J. Macromol. Sc
i. Chem. A-4(6)、1327〜1417頁(1970年刊)等に記載
されているものが用いられる。
【0127】次に、本発明に用いられる転写層について
詳しく説明する。ここで転写層とは第1転写層(T1)及
び第2転写層(T2)を包含し、両者を総括して単に転写
層と称することもある。
【0128】本発明の転写層は電子写真感光体から印刷
版の支持体となる被転写材へトナー画像を転写するとと
もに、印刷版とするために、化学反応処理により除去さ
れる機能を有する層である。従って転写層は、感光体上
に形成されたトナー画像を効率よく且つ画像劣化を生じ
ることなく、また、被転写材の種類によらず容易に被転
写材に転写する熱可塑性を有していること、及び印刷版
とするために化学反応処理により溶解又は膨潤して脱離
することで容易に除去されることが望ましい。
【0129】本発明の第1転写層(T1)は光透過性のも
のであり、且つ電子写真感光体の分光感度領域の波長光
の少なくとも一部に対して透過性を有するものであれば
よく、着色されていてもよい。通常無色で透明な第1転
写層(T1)を用いる。第1転写層(T1)は電子写真感光
体表面に設けられるから、電子写真プロセスによりトナ
ー画像を形成するまでは電子写真特性(帯電性、暗中電
荷保持率、光感度)を劣化させず、良好な複写画像を形
成させること、次の熱転写プロセスでは容易に転写する
熱可塑性を有していること、更には、印刷版とするため
に化学反応処理により容易に除去されることが重要であ
る。
【0130】他方、第2転写層(T2)はトナー画像の形
成には関係しないので、電子写真特性を保持するための
性質を考慮する必要がない。他の特性は第1転写層(T
1)と同様である。第2転写層(T2)は通常無色透明であ
るが、必要により着色していても良いし、不透明でも良
い。第1転写層(T1)及び第2転写層(T2)の組成は同
じでも異なっても良い。
【0131】また、本発明の転写層は、180℃以下の
温度及び/又は30kgf/cm2以下の圧力、より好ましく
は160℃以下の温度及び/又は20kgf/cm2以下の圧
力という条件で転写されることが好ましい。上記値以下
であれば、転写層を感光体表面から剥離・転写するため
に転写装置の熱容量及び圧力を維持するために装置を大
型化する必要も殆どなく、適度な転写スピードで充分に
転写を行うことができ、実用上問題がない。下限値は特
に限定されないが、通常室温以上の温度又は100gf/c
m2以上の圧力の転写条件で剥離可能となることが好まし
い。
【0132】従って、本発明の転写層を形成する樹脂
(A)は熱可塑性で化学反応処理により除去され得る樹
脂である。熱特性からいえば、樹脂(A)は好ましくは
ガラス転移点140℃以下又は軟化点180℃以下、よ
り好ましくはガラス転移点120℃以下又は軟化点16
0℃以下である。
【0133】化学反応処理で除去可能な樹脂(A)は、
化学反応処理により溶解及び/又は膨潤して除去される
樹脂、並びに化学反応処理により親水化されその結果溶
解及び/又は膨潤して除去される樹脂を包含する。
【0134】化学反応処理により除去される樹脂(A)
の1つの代表例は、アルカリ性処理液で除去し得る樹脂
であり、特に有用な樹脂は重合体成分に親水性基を含有
する樹脂である。また、他の代表例としては、親水性基
を保護基で保護した形で含有しており、化学反応により
親水性基を発現させ得る樹脂が挙げられる。官能基を親
水性基に変換し得る化学反応は、従来公知の加水分解反
応、加水素分解反応、加酸素分解反応、β−脱離反応、
求核置換反応等を利用した処理液による親水化反応、又
は化学的活性光線の照射を受けて分解反応することによ
る親水化反応のいずれでもよい。
【0135】特に、転写層用熱可塑性樹脂(A)が、下
記の特定の親水性基を含有する重合体成分(a)及び化
学反応で特定の親水性基を生成する官能基を含有する重
合体成分(b)のうちの少なくともいずれか一方の重合
体成分を含有する重合体であることが好ましい。
【0136】重合体成分(a):−CO2H基、−CH
O基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)
1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭
化水素基を表わす)基を表わす}基、フェノール性OH
基、環状酸無水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭
化水素基を表わす)基及び−CONHSO23基のうち
の少なくとも1つの基を含有する重合体成分 重合体成分(b):化学反応で−CO2H基、−CHO
基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R
1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化
水素基を表わす)基を表わす}基及び−OH基のうちの
少なくとも1つの基を生成する官能基を少なくとも1種
含有する重合体成分
【0137】ここで、−P(=O)(OH)R1は、下記
で表わされる基を示す。
【0138】
【化12】
【0139】上記のR1、R2及びR3で示される炭化水
素基は、具体的には置換されていてもよい炭素数1〜1
8の脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−
メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、アリル
基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル基、ベ
ンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、、
メチルベンジル基、クロロベンジル基、フロロベンジル
基、メトキシベンジル基等)又は置換されていてもよい
アリール基(フェニル基、トリル基、エチルフェニル
基、プロピル−メチル−フェニル基、ジクロロフェニル
基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、アセチルフェニル基、ブトキシフェニ
ル基等)等である。
【0140】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0141】脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、
コハク酸無水物、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無
水物環、シクロぺンタン−1,2−ジカルボン酸無水物
環、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、
シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,
3−ビシクロ〔2.2.2〕オクタンジカルボン酸無水
物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、臭
素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル
基、ヘキシル基等のアルキル基等が置換されていてもよ
い。
【0142】芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、
フタル酸無水物環、ナフタレンジカルボン酸無水物環、
ピリジンジカルボン酸無水物環、チオフェンジカルボン
酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原
子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシル
基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(例
えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)
等が置換されていてもよい。
【0143】重合体成分(a)及び(b)の存在量が少
なすぎると、転写層の化学反応処理による除去が難しく
なり、印刷版として印刷すると非画像部の地汚れとなっ
てしまう。他方、多すぎる場合には、樹脂(A)の他の
共重合成分をいかに調整しても樹脂(A)のガラス転移
点又は軟化点が高くなってしまい、結果として転写層の
転写性の悪化を生じる。
【0144】従って、樹脂(A)における重合成分
(a)及び重合成分(b)の含有量は以下の通りが好ま
しい。特定の親水性基を含有する重合体成分(a)のみ
を樹脂(A)に含有する場合には、樹脂(A)の全重合
体成分中好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5
〜40重量%である。また、化学反応処理で親水性基を
生成する官能基を含有する重合体成分(b)のみを含有
する場合には、樹脂(A)の全重合体成分中好ましくは
3〜100重量%、より好ましくは5〜70重量%であ
る。更には、重合体成分(a)及び重合体成分(b)を
含有する場合には、樹脂(A)の全重合体成分中、重合
体成分(a)は好ましくは0.5〜30重量%、より好
ましくは1〜25重量%であり、重合体成分(b)は好
ましくは3〜99.5重量%、より好ましくは5〜50
重量%である。
【0145】次に、樹脂(A)中に含有され得る各重合
体成分について詳述する。重合体成分(a)は、前記し
た様な特定の親水性基を含有する共重合成分であればよ
く、特に限定されるものではない。親水性基は塩の形を
とってもよい。親水性基含有の共重合成分の具体例は、
かかる親水性基を含有するビニル系化合物であればいず
れでもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハ
ンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に記載さ
れている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置
換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキ
シメチル体、α−(2−アミノ)エチル体、α−クロロ
体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリ
ル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α
−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、
メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、
イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカ
ルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−
ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセ
ン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、
マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニ
ルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビ
ニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボン酸類の
ビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及びこれらの
カルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導
体の置換基中に親水性基を含有する化合物等が挙げられ
る。
【0146】以下に上記親水性基含有の共重合成分
(a)を例示する。ここで、R4は−H又は−CH3を示
し、R5は−H、−CH3又は−CH2COOCH3を示
し、R6は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素
数1〜6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示
し、eは1又は2の整数を示し、fは1〜3の整数を示
し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜11の整数を
示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜10の整数を
示す。
【0147】
【化13】
【0148】
【化14】
【0149】
【化15】
【0150】
【化16】
【0151】
【化17】
【0152】
【化18】
【0153】
【化19】
【0154】次に、重合体成分(b)について説明す
る。重合体成分(b)は、化学反応により少なくとも1
個の親水性基を生成する官能基を少なくとも1種含有す
る重合体成分である。化学反応により1つの官能基から
生成する上記親水性基は1個でも2個以上でもよい。
【0155】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボキシル基を生成する官能基について説明する。本発
明の1つの好ましい態様によれば、カルボキシル基生成
官能基としては、例えば、下記一般式(I)で示される
官能基が挙げられる。 一般式(I) −COO−L1 一般式(I)において、L1は下記の基を表わす。
【0156】
【化20】
【0157】ここで、R11及びR12は互いに同じでも異
なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基を表わし、
Xは芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン原子、
トリハロメチル基、アルキル基、−CN基、−NO
2基、−SO21(Z1は炭化水素基を示す)基、−CO
OZ2(Z2は炭化水素基を示す)基、−OZ3(Z3は炭化
水素基を示す)又は−COZ4(Z4は炭化水素基を示
す)基を表わし、n、mはそれぞれ0、1又は2を表わ
す。但し、n及びmが共に0の場合、Zは水素原子を表
わさない。
【0158】A1及びA2は同じでも異なっていてもよ
く、Hammetの置換基定数σ値が正の値を示す電子吸引性
基を表わす。R13は水素原子又は炭化水素基を表わす。
14、R15及びR16並びにR20及びR21は、互いに同じ
でも異なっていてもよく、各々炭化水素基又は−OZ
5(Z5は炭化水素基を示す)基を表わす。Y1は酸素原子
又はイオウ原子を表わし、R17、R18及びR19は同じで
も異なっていてもよく、各々水素原子、炭化水素基又は
−OZ7(Z7は炭化水素基を示す)基を表わし、pは3
又は4の整数を表わす。Y2 は環状イミド基を形成する
有機残基を表わす。
【0159】以下更に詳しく説明する。R11、R12は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子
又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は分枝
状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメ
チル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよい、フェニル基又はナフチル基(例えばフェニ
ル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチル
フェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)
を表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例
えばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、
炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状ア
ルキル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロ
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN基、−NO2基、−
SO21{Z1は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の置
換されてもよいアルキル基、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペンチ
ル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されてもよ
いアラルキル基、具体的にはベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフ
ェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基(例
えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチル
基、具体的にはフェニル基、クロロフェニル基、ジクロ
ロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル
基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メ
トキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す}基、−COOZ2(Z2は上記Z1と同義である)基、
−OZ3(Z3は上記Z1と同義である)基又は−COZ
4(Z4は上記Z1と同義である)基を表わす。n、mは各
々0、1又は2を表わす。但し、n及びmが共に0の場
合、Zは水素原子を表わさない。
【0160】R14、R15、R16及びR20、R21は互いに
同じでも異なっていてもよく、好ましくは、炭素数1〜
18の置換されてもよい脂肪族基{脂肪族基はアルキル
基、アルケニル基、アラルキル基又は脂環式基を示し、
置換基としては例えばハロゲン原子、−CN基、−OZ
6(Z6はアルキル基、アラルキル基、脂環式基、アリー
ル基を示す)基等が挙げられる}、炭素数6〜18の置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、トリル
基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、ナフチル基等)又は−OZ5(Z5は置
換されてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換され
てもよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換されても
よい炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数5〜18の
置換されてもよい脂環式基、炭素数6〜18の置換され
てもよいアリール基を示す)基を表わす。
【0161】A1、A2は互いに同じでも異なっていても
よく、各々少なくとも一方が電子吸引基であり、A1
2のHammetのσp 値の和が0.45以上であればよ
い。ここで言う電子吸引基の例としては、例えばアシル
基、アロイル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、フェノキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、
アロイルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン
原子、ハロゲン化アルキル基、カルバモイル基等が挙げ
られる。
【0162】Hammetのσp 値は、通常置換基の電子吸引
・供与の度合いを見積もる指標として用いられており、
+側に大きいほど強い電子吸引基として扱われる。各置
換基に対する具体的な数値については、稲本直樹著「ハ
メット則―構造と反応性」丸善(1984年刊)等に記載さ
れている。また、この系におけるHammetのσp 値は加成
性が成り立つと考えられ、A1、A2の両方が電子吸引基
である必要はない。従って、一方、例えばA1が電子吸
引基である場合、他方のA2の置換基は、A1、A2のσp
値の和が0.45以上になるものであればいずれでもよ
く、特に制限されるところはない。
【0163】R13は好ましくは炭素数1〜8の置換され
ていてもよい炭化水素基を表わし、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル
基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、
2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−
クロロエチル基等が挙げられる。Y1は酸素原子又はイ
オウ原子を表わす。
【0164】R17、R18及びR19は互いに同じでも異な
っていてもよく、好ましくは水素原子、置換されてもよ
い炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシ
ル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、メトキシプ
ロピル基等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等)、置換されてもよ
い炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、
フエネチル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
ナフチル基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフ
ェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジクロロフ
ェニル基等)又は−OZ7(Z7は炭化水素基を表わし、
具体的には上記R17、R18、R19の炭化水素基と同一の
置換基類を示す)を表わす。pは3又は4の整数を表わ
す。
【0165】Y2は、環状イミド基を形成する有機残基
を表わす。好ましくは、一般式(A)又は一般式(B)
で示される有機残基を表わす。
【0166】
【化21】
【0167】式(A)中、R22及びR23は各々同じでも
異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニル基、1
2−オクタデセニル基等)、−SZ8{Z8は前記R22
はR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基と同
一の内容を表わす置換基、又は置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェニル
基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシ
フェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)を表わ
す}基又は−NHZ9(Z9は前記Z8と同一の内容を表わ
す)基を表わす。
【0168】また、R22とR23で環を形成する残基を表
わしてもよい{例えば5又は6員環の単環(例えばシク
ロベンチル環、シクロヘキシル環)、又は5もしくは6
員環を含むビシクロ環(例えばビシクロヘプタン環、ビ
シクロヘプタン環、ビシクロオクタン環、ビシクロオク
テン環等)、更にはこれらの環は置換されていてもよ
く、置換基としてはR22、R23で前記した内容と同一の
ものを含む}。qは2又は3の整数を表わす。
【0169】
【化22】
【0170】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
てもよく、前記R22、R23と同一の内容を表わす。更に
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表わしてもよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。
【0171】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(II)で示されるオキサゾロン環を挙
げることができる。
【0172】
【化23】
【0173】一般式(II)において、R26、R27は互い
に同じでも異なっていてもよく、各々水素原子若しくは
炭化水素基を表わすか、又はR26とR27とが一緒に環を
形成する。
【0174】好ましくは、R26、R27は互いに同じでも
異なってもよく、各々水素原子、置換されていてもよい
炭素数1〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基等)、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基(例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4
−アセトアミドベンジル基、フェネチル基、4−メトキ
シベンジル基等)、置換されていてもよい炭素数2〜1
2のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、イソプ
ロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換され
ていてもよい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペン
チル基、シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミド
フェニル基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、
ニトロフェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基等)を表わすか、又はR26とR27とが
一緒に環(例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等)を形成してもよい。
【0175】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば下記一般式
(III)又は(IV)で表される官能基が挙げられる。 一般式(III) −SO2−O−L2 一般式(IV) −SO2−S−L2 式(III)又は(IV)中、L2は、下記の基を表わす。
【0176】
【化24】
【0177】ここで、R11、R12、X、Z、n、m、Y
2、R20及びR21はそれぞれ前記と同一の内容を表わ
す。R26′、R27′はそれぞれ水素原子又は炭化水素基
(R26の炭化水素基と同一内容)を表わす。
【0178】更に、化学反応により少なくとも1つのス
ルフィン酸基を生成する官能基としては、例えば下記一
般式(V)で表される官能基が挙げられる。
【0179】
【化25】
【0180】式(V)中、A1、A2及びR13は、それぞ
れ前記と同一の内容を表わす。
【0181】また、化学反応により−P(=O)(OH)
1基を生成する官能基としては、例えば下記一般式(V
Ia)又は(VIb)で表される官能基が挙げられる。
【0182】
【化26】
【0183】式(VIa)又は(VIb)中、L3、L4は同
じでも異なってもよく、それぞれ前記L1と同一の内容
を表わす。R1は前記と同一の内容を表わす。
【0184】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基としては、例えば下記一般式(VII)で表される官
能基が挙げられる。 一般式(VII) −O−L5 式(VII)中、L5は、下記の基を表わす。
【0185】
【化27】
【0186】ここで、R28は炭化水素基を表わし、具体
的にはR11と同一の内容を表わす。R14〜R19、Y1
びpはそれぞれ前記と同一の内容を表わす。
【0187】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基の他の好ましい態様によれば、ヒドロキシル基生
成官能基は、互いに立体的に近い位置にある少なくとも
2つのヒドロキシル基を1つの保護基で同時に保護した
形で有する官能基である。互いに立体的に近い位置にあ
る少なくとも2つのヒドロキシル基を1つの保護した形
で有する官能基の例としては例えば下記一般式(VIII)、
(IX)及び(X)で表される官能基を挙げることができ
る。
【0188】
【化28】
【0189】式(VIII)〜(X)中、R29及びR30は、互
いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化
水素基又は−OZ10(Z10は炭化水素基を示す)基を表
わし、Uはヘテロ原子を介してもよい炭素―炭素結合を
表わす(但し、酸素原子間の原子数は5個以内であ
る)。
【0190】上記官能基について更に詳しく説明する
と、R29、R30は、互いに同じでも異なっていてもよ
く、好ましくは水素原子、炭素数1〜12の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−メトキシエチル
基、オクチル基等)、炭素数7〜9の置換されてもよい
アラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、メチ
ルベンジル基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基
等)、炭素数5〜7の脂環式基(例えば、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等)又は置換されてもよいアリ
ール基(例えばフェニル基、クロロフェニル基、メトキ
シフェニル基、メチルフェニル基、シアノフェニル基
等)又は−OZ10(Z10はR29、R30における炭化水素
基と同義である)基を表わす。Uは、ヘテロ原子を介し
てもよい炭素―炭素結合を表わし、且つ酸素原子間の原
子数は5個以内である。
【0191】以下に前記した一般式(I)〜(X)で表
される各官能基の具体例(b−1)〜(b−67)を例
示する。但し、本発明の内容は、これらに限定されるも
のではない。なお、下記具体例において、各記号は下記
に示す通りである。
【0192】
【化29】
【0193】
【化30】
【0194】
【化31】
【0195】
【化32】
【0196】
【化33】
【0197】
【化34】
【0198】本発明において用いることのできる、化学
反応により−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−
SO2H基、−P(=O)(OH)R1基及び−OH基のう
ちの少なくとも1つの親水性基を生成する官能基を含有
する重合体成分(b)は、特に限定されるものではな
い。好ましくは前記した重合体成分(a)の親水性基が
保護された重合体成分を例として挙げることができる。
【0199】本発明に用いることのできる前記した様な
−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−SO2
基、−P(=O)(OH)R1基及び/又は−OH基を化
学反応で発現する官能基は、これらの親水性基を保護し
た官能基であり、これら保護基の当該親水性基への化学
結合による導入の方法は、従来公知の方法によって、容
易に行うことができる。例えば、J. F. W. McOmie「Pro
tective groups in Organic Chemistry」(Plenum Pres
s.1973年刊)、T. W. Greene「Protective groups in O
rganic Synthesis」(Wiley-Interscience 1981年刊)、
日本化学会編「新実験化学講座、第14巻、有機化合物の
合成と反応」(丸善(株)1978年刊)、岩倉義男・栗田
恵輔著「反応性高分子」(講談社)等に記載された各単
位反応が用いられる。
【0200】これらの官能基を樹脂(A)中に導入する
方法としては、−CO2H基、−CHO基、−SO3
基、−PO32基、−SO2H基、−OH基等から選ば
れた少なくとも1種の親水性基を含有する重合体を、反
応によって各々の親水性基を保護した官能基に変換す
る、いわゆる高分子反応による方法、又は前記した一般
式(I)〜(X)で示される官能基を1種又はそれ以上
含有する1種又はそれ以上の単量体を合成した後、これ
と共重合し得る他の任意の単量体との重合反応により重
合体とする方法により得られる。
【0201】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得る、あるいは、不純物(高分子反応の場合、
用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない等の理由か
ら、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後重合反
応を行なう方法)により製造することが好ましい。例え
ばカルボキシル基を生成する官能基を導入する場合、具
体的には重合性二重結合を含むカルボン酸類又はその酸
ハライド類を、例えば前記した公知文献等に記載された
方法に従って、そのカルボキシル基を一般式(I)で示
される官能基に変換した後、重合反応を行ない製造する
方法で行なうことができる。
【0202】また、化学反応によりカルボキシル基を生
成する官能基として前記一般式(II)で示されるオキサ
ゾロン環を含有する樹脂は、該オキサゾロン環を含有す
る1種又はそれ以上の単量体の、又は該単量体及びこれ
と共重合し得る他の単量体の重合反応により重合体とす
る方法により得ることができる。このオキサゾロン環を
含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN−ア
シロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製造す
ることができる。具体的には、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文献
記載の方法によって製造することができる。
【0203】樹脂(A)は、上記特定の重合体成分
(a)及び/又は重合体成分(b)とともに、熱可塑性
を保持し、第1転写層(T1)の場合、トナー画像部が不
感脂化処理時に除去されないよう調整するために、他の
重合体成分を含有することが好ましい。他の重合体成分
としては、その重合体成分からなるホモ重合体のガラス
転移点が130℃以下であるものが好ましい。具体的に
は、例えば下記一般式(U)で示される繰り返し単位の
成分が挙げられる。
【0204】
【化35】
【0205】式(U)において、Vは−COO−、−O
CO−、−O−、−CO−、−C64−、−(CH2)n
COO−又は−(CH2)nOCO−を表わす。但し、n
は1〜4の整数を表わす。R60は炭素数1〜22の炭化
水素基を表わす。b1及びb2は同じでも異なっていても
よく、各々水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、シアノ基、トリフロロメチル基、炭素数1〜7の炭
化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジ
ル基等)又は−COOZ11(Z11は炭化水素基を表わ
し、具体的には上記炭素数1〜7の炭化水素基の具体的
内容と同じものが挙げられる)を表わす。
【0206】R60は好ましくは、炭素数1〜18の置換
されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基、、トリデシル基、テトラデシル基、2−クロロエチ
ル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−
ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エト
キシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等)、炭素数
2〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、ビ
ニル基、アリル基、イソプロぺニル基、ブテニル基、ヘ
キセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等)、炭素数
7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベ
ンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、2−ナフ
チルエチル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル
基、メチルベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されて
もよいシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)又は炭素数6
〜12の置換されてもよいアリール基(例えば、フェニ
ル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル
基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フロロ
フェニル基、メチルクロロフェニル基、ジフロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロ
フェニル基、メチルカルボニルフェニル基、メトキシカ
ルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、
メタンスルホニルフェニル基、シアノフェニル基等)等
が挙げられる。
【0207】上記の式(U)で示される重合体成分は1
種又は2種以上用いられるが、その含有量は樹脂(A)
中30〜97重量%であることが好ましい。
【0208】更に、樹脂(A)は、上記の重合体成分
(a)、重合体成分(b)及び/又は一般式(U)で示
される重合体成分とともに、樹脂(A)自体の剥離性を
向上する効果を有するフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基を含む重合体成分(f)を含有しても
よい。このことにより、転写層の剥離性が向上し、結果
として転写性がより良好になる。このフッ素原子/ケイ
素原子含有置換基は、重合体の高分子主鎖に組み込まれ
ていても高分子の側鎖の置換基として含有されていても
よい。好ましくは、フッ素/ケイ素含有重合体成分
(f)は熱可塑性樹脂(A)においてブロックとして含
有される。
【0209】重合体成分(f)は、全重合体成分中1〜
20重量%程度含有するのが好ましい。成分(f)は1
重量%以上含有させることによりその剥離性向上効果が
発揮され、また20重量%以下であれば、樹脂(A)の
不感脂化処理液との濡れ性を低下させることなく、転写
層の除去が充分に行われる。
【0210】重合体成分(f)は、具体的には、前述の
感光層に用いられる樹脂(P)に含有され得るフッ素/
ケイ素含有重合体成分と同様の内容のものが挙げられ
る。更に、重合体成分(f)をブロックで含有する場合
のブロック共重合体の重合パターンの態様及び共重合体
の合成方法も、前述のフッ素/ケイ素含有重合体成分を
含有するブロック共重合体の場合と全く同様である。
【0211】樹脂(A)は、上記特定の重合体成分及び
/又は一般式(U)で示される重合体成分とともに、こ
れらと共重合可能な他の重合体成分を更に含有していて
もよい。このような他の重合体成分としては、例えば一
般式(U)で説明した以外の置換基を含有するメタクリ
ル酸エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エ
ステル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル
又はアリル酸エステル類(例えばカルボン酸として、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレ
ンカルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類(例え
ばジメチルエステル、ジエチルエステル等)、アクリル
アミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例えばス
チレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、N,N−ジ
メチルアミノメチルスチレン、メトキシカルボニルスチ
レン、メタンスルホニルオキシスチレン、ビニルナフタ
レン等)、ビニルスルホン含有化合物、ビニルケトン含
有化合物、複素環ビニル類(例えばビニルピロリドン、
ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェ
ン、ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾール、ビニルジ
オキサン、ビニルキノリン、ビニルテトラゾール、ビニ
ルオキサジン等)等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。これら他の共重合成分は、樹脂(A)
の転写性を疎外しない範囲内で任意に用いることができ
るが、具体的には樹脂(A)中の30重量%を越えない
ことが好ましい。
【0212】樹脂(A)は単独でも2種以上併用しても
よい。特にガラス転移点又は軟化点の異なる少なくとも
2種の樹脂を併用することが好ましい。特に第1転写層
(T 1)を構成する樹脂(以下樹脂(A1)と称することが
ある)が、ガラス転移点20℃〜140℃又は軟化点3
5℃〜180℃の樹脂(以下樹脂(A1H)と称するこ
ともある)及びガラス転移点40℃以下又は軟化点45
℃以下の樹脂(以下樹脂(A1L)と称することもあ
る)から主としてなり、且つ樹脂(A1H)と樹脂(A1
L)とのガラス転移点又は軟化点の差が2℃以上である
ことが好ましい。これにより感光体表面と第1転写層
(T1)との界面の接着力が低下し、転写層を薄層化して
も一次レセプターへの転写が良好に行われ、また転写条
件(温度、圧力、搬送スピード等)のラチチュードの更
なる拡大が可能となる。
【0213】更に、樹脂(A1H)は、好ましくはガラ
ス転移点30℃〜120℃又は軟化点38℃〜160℃
であり、より好ましくはガラス転移点35℃〜90℃又
は軟化点40℃〜120℃であり、樹脂(A1L)は、
好ましくはガラス転移点−50℃〜38℃又は軟化点−
30℃〜40℃であり、より好ましくはガラス転移点−
20℃〜33℃又は軟化点0℃〜35℃である。また、
樹脂(A1L)のガラス転移点又は軟化点は、樹脂(A1
H)より5℃以上低いことが好ましい。ここで、樹脂
(A1H)又は樹脂(A1L)が2種以上含有される場合
におけるガラス転移点又は軟化点の差は、樹脂(A
1H)中の最もガラス転移点又は軟化点の低いものと、
樹脂(A1L)中の最もガラス転移点又は軟化点の高い
ものとの差をいうものである。
【0214】転写層における樹脂(A1H)と樹脂(A1
L)との存在割合は、5〜90/95〜10(重量
比)、特に、20〜70/80〜30(重量比)である
ことが好ましい。樹脂(A1H)/(A1L)の存在比が
上記範囲をはずれると、併用による効果が低下する。
【0215】また、転写層には樹脂(A)とともに、必
要に応じて他の樹脂を1種以上併用してもよい。但し、
転写層の溶出除去の性能を低下させないために、転写層
形成の全樹脂100重量部中上記重合体成分(a)及び
/又は(b)の存在割合が3重量部以上であることが好
ましい。
【0216】併用され得る他の樹脂の例としては、例え
ば塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル酸エ
ステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル重合
体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合
体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、イタコ
ン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マレイン酸共
重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド共
重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ア
ミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステル
樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、環
化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−ア
クリル酸エステル共重合体、複素環を含有する共重合体
(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン
環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、
ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、
1,3−ジオキセタン環等)、セルローズ系樹脂、脂肪
酸変性セルローズ系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ
る。
【0217】具体的には、例えば、日刊工業新聞社刊
「プラスチック材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1981
年)、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日
刊工業新聞社刊(1988年)、大森英三「機能性アクリル
樹脂」(株)テクノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎
「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988
年)、湯木和男編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブッ
ク」日刊工業新聞社刊(1989年)、高分子学会編「高分
子データハンドブック〈応用編〉」第1章焙風館(1986
年)、原崎勇次編「最新・バインダー技術便覧」第2章
(株)総合技術センター(1985年)、奥田平編「高分子
加工 別冊・8第20巻増刊号“粘着”」高分子刊行会
(1976年刊)、福沢敬司「粘着技術」高分子刊行会(19
87年刊)、西口守「接着便覧第14版」(株)高分子刊行
会(1985年)、日本接着協会編「接着ハンドブック第2
版」日刊工業新聞社(1980年)等に記載の各種樹脂類が
挙げられる。
【0218】更に転写層には、接着性、成膜性、膜強度
等種々の物理的特性を向上させるために、他の添加剤を
用いてもよい。例えば、接着性調整のためにロジン、石
油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ性の改良
や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤としてポリブ
テン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、低分子ポ
リエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
パラフインワックス等、また酸化防止剤として高分子ヒ
ンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を加える
ことができる。詳しくは「ホットメルト接着の実際」
(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29〜107頁に
記載がある。
【0219】本発明においては、第1転写層(T1)に相
対的に高いガラス転移点又は軟化点の樹脂を用い、第2
転写層(T2)に相対的に低いガラス転移点又は軟化点の
樹脂を用いる構成を採ることが好ましい。
【0220】特に、第1転写層(T1)を主として構成す
る樹脂(A1)がガラス転移点20℃〜140℃又は軟化
点35℃〜180℃の樹脂(A1H) から少なくとも構
成され、第2転写層(T2)を主として構成する樹脂
(A)(以下樹脂(A2)と称することもある)がガラス転
移点45℃以下又は軟化点50℃以下の樹脂(以下(A
2L) と称することもある)から少なくとも構成され、
且つ樹脂(A1H) と樹脂(A2L) とのガラス転移点又
は軟化点の差が2℃以上であることが好ましい。
【0221】樹脂(A1H) は好ましくはガラス転移点
30℃〜120℃又は軟化点38℃〜160℃、より好
ましくはガラス転移点35℃〜90℃又は軟化点40℃
〜120℃である。樹脂(A2L) は好ましくはガラス
転移点−50℃〜38℃又は軟化点−30℃〜40℃、
より好ましくはガラス転移点−20℃〜33℃又は軟化
点0℃〜35℃である。
【0222】より好ましくは、樹脂(A2L) のガラス
転移点又は軟化点は、樹脂(A1H)のそれより5℃以上
低いものである。ここで各転写層における樹脂(A1H)
または樹脂(A2L) が2種以上含有される場合におけ
るガラス転移点又は軟化点の差は、樹脂(A1H) 中の
最もガラス転移点又は軟化点の低いものと、樹脂(A2
L) 中の最もガラス転移点又は軟化点の高いものとの差
をいうものである。
【0223】更に、第1転写層(T1)が、感光体上に高
ガラス転移点の樹脂、例えば樹脂(A1H)からなる第
一の層と、その上に低ガラス転移点の樹脂、例えば樹脂
(A1L)からなる第二の層との重層で形成されてもよ
い。このことにより、一次レセプターへの転写性が一層
向上し、転写時の条件(加熱温度、圧力、搬送スピード
等)のラチチュードが更に拡大し、特に感光体への加
熱、圧力の負担が軽減されるため、感光体の耐久性向上
に有効である。
【0224】また、第2転写層(T2)が、トナー画像と
接する低ガラス転移点の樹脂、例えば樹脂(A2L)か
ら成る第二の層と一次レセプター側に接する高ガラス転
移点の樹脂、例えば樹脂(A2H)(これは樹脂(A1H)
と同様のものである)から成る第一の層との重層で形成
されてもよい。このことにより、第1転写層(T1)及び
トナー画像と第2転写層との密着性が向上し、一次レセ
プターへの転写性が一層向上し、更には、一次レセプタ
ーと第2転写層との接着性が低くなることで最終被転写
材への転写性が一層向上し、転写時の条件のラチチュー
ドが更に拡大する。
【0225】上記のように、転写層を主として構成する
樹脂(A)のガラス転移点又は軟化点を調整することに
より、感光体から一次レセプターへの転写及び一次レセ
プターから最終被転写材への転写において、感光体表面
と第1転写層(T1)との間の接着力及び第2転写層(T
2)と一次レセプターとの接着力が適当にコントロールさ
れることで転写性が一層向上し、転写時の条件(加熱温
度、圧力、搬送スピード等)のラチチュードが拡大する
とともに被転写材の種類によらず、更に容易に転写させ
ることが可能になる。
【0226】第1転写層(T1)の膜厚は、合計で、好ま
しくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μ
mの範囲である。膜厚が0.1μm以上であれば転写が
充分良好に行われ、また厚すぎても本発明の効果には特
に悪影響を与えないが、樹脂の消費量の節約の観点か
ら、10μm以下が好ましい。
【0227】本発明においては、感光体上にまず第1転
写層(T1)が設けられる。この転写層は、電子写真プロ
セスを行う装置内でその都度感光体上に形成されること
が好ましい。このように、転写層形成装置を電子写真装
置内に組み込むことにより、トナー画像を転写層ごと剥
離した後の感光体を同一装置内で繰り返し使用すること
が可能となり、製版工程を連続して行うことができ、印
刷版のコストを著しく低減できるというメリットを生じ
る。
【0228】転写層を感光体上に設けるには、公知の層
形成法が利用できる。例えば、転写層用組成物の溶液あ
るいは分散液を公知の方法で塗布すればよい。特に、熱
溶融塗布法、電着塗布法及び転写法のうちの少なくとも
1つの方法により感光体上に転写層を形成させることが
好ましい。これらの方法は、電子写真装置内で感光体表
面に転写層を容易に形成できる点で好ましい。
【0229】以下各々の好ましい転写層形成方法につい
て説明する。熱溶融塗布法とは、転写層組成物を公知の
方法で熱溶融塗布するものであり、無溶剤型塗布機、例
えば前記資料「ホットメルト接着の実際」の197〜215頁
に記載のホットメルト接着剤用加熱溶融塗布装置(ホッ
トメルトコーター)の機構を、感光体のドラム塗布仕様
にして転用できる。例としては、ダイレクトロールコー
ター、オフセットグラビアロールコーター、ロットコー
ター、エクストルージョンコーター、スロットオリフィ
スコーター、カ−テンコーター等が挙げられる。
【0230】塗布時の熱可塑性樹脂(A)を含む転写層
組成物の溶融温度は、用いる熱可塑性樹脂の組成により
最適化するが、通常は50〜180℃の範囲である。密
閉された自動温度制御手段を有する予備加熱装置を用い
て予め溶融した後、感光体に塗布する位置で短時間に適
温に上昇させることが望ましい。このようにすること
で、熱可塑性樹脂の熱酸化による変質や塗布ムラを防止
することができる。塗布スピードは、熱可塑性樹脂の熱
溶融時の流動性、コーター方式、塗布量等によるが、1
〜100mm/秒が適当であり、より好ましくは5〜40
mm/秒の範囲である。
【0231】次に電着塗布法について説明する。電着塗
布法は、熱可塑性樹脂(A)を樹脂粒子の状態で感光体
の表面上に電着又は静電的に付着(以下単に電着という
こともある)させ、例えば加熱等により均一な薄膜を形
成して、転写層とするものである。従って、熱可塑性樹
脂(A)の粒子(以下樹脂粒子(AR)と称することも
ある)は、正電荷あるいは負電荷のいずれかの荷電を有
していることが必要であり、その検電性は組み合せる感
光体の帯電性によって任意に決定される。
【0232】樹脂粒子は所望により2種以上の樹脂を含
有させることができる。例えば、ガラス転移点又は軟化
点が2℃以上、好ましくは5℃以上異なる少なくとも2
種の樹脂(例えば前記のガラス転移点の高い樹脂(A1
H)と前記のガラス転移点の低い樹脂(A1L)の少な
くとも二種)を同一粒子内に含有する樹脂粒子(以下特
に樹脂粒子(ARW)と称する)を用いることにより、
転写層の転写性が更に向上し、転写条件のラチチュード
が更に拡大する。この場合、樹脂は粒子中において単な
る混合状態で存在してもよいし、コア部とシェル部が異
なる樹脂からなるコア/シェル構造の如く積層を形成し
ていてもよい。コア部が樹脂(A1L)及び樹脂(A
1H)のうちのいずれか1つから成り、シェル部が他方
の樹脂からなるコア/シェル構造を有する樹脂粒子が好
ましく、これにより転写層の穏和な条件下での迅速な転
写を実施することができる。
【0233】樹脂粒子(AR)は、前記した物性を満た
す範囲のものであって、その平均粒径は、通常0.01
μm〜15μmの範囲であり、好ましくは0.05μm
〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲で
ある。粒子は粒子粉体(乾式)又は非水系に分散された
樹脂粒子(湿式)、あるいは常温で固体であり加熱によ
り液体となる電気絶縁性有機物中に分散された樹脂粒子
(疑似湿式)のいずれの状態でもよい。好ましくは、転
写層の膜厚を均一に且つ薄く調整することが容易な非水
系分散樹脂粒子が挙げられる。
【0234】樹脂粒子は、従来公知の機械的粉砕方法又
は重合造粒方法によって製造することができる。これら
の製造方法は、乾式電着あるいは湿式電着のいずれの粒
子でも用いることができる。
【0235】乾式電着方法で用いられる微小粒子を製造
する場合において、機械的粉砕方法としては、従来公知
の粉砕機で直接粉砕し、微粒子とする方法(例えば、ボ
ールミル、ペイントシェーカー、ジェットミルを使用す
る方法等)が挙げられ、必要に応じて、樹脂粒子とする
材料を混合し、溶融、混練を経て粉砕したり、粉砕後粒
径をそろえるための分級又は粒子の表面を処理する後処
理等を適宜組合わせて行なうことができる。また、スプ
レードライ法も知られている。例えば、(社)日本粉体
工業技術協会編「造粒ハンドブック」第II編(オーム社
刊、1991年)、神奈川経営開発センター「最新造粒技術
の実際」(神奈川経営開発センター出版部、1984年)、
荒川正文等編「最新粉体の設計技術」(株)テクノシス
テム社、1988年)等の成書に詳細に記載された方法を適
宜用いて容易に製造することができる。
【0236】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行う乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反応、
非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等が知
られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテックス
の化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲垣寛「合
成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978年)、室井宗
一「高分子ラテックス入門」工文社(1983年)、I. Pue
rma, P. C. Wang「EmulsionPolymerization」、I. Puer
ma & J. L. Gardon, ACS Symp. Sev. 24, p.34(1974
年)、北原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書(1979
年)、室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端技術」
C.M.C.(1991年)等の成書に記載されている方法で粒子
化した後、上記機械的方法に関する成書に記載の様な各
種の方式で補集し粉末化することで製造することができ
る。
【0237】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は、乾式静
電写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的
には、J. F. Hughes著(長坂秀雄・緑川真知子訳)「静
電粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯電、
インダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現象利
用等の方法で帯電した微粒子を電着する方法、中村孝一
編「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・
実用化」第1章(日本科学情報(株)、1985年)等の成
書に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ法、ファー
ブラシ法、エレクトロスタチック法、インダクション
法、タッチダウン法、パウダークラウド法等の現像方法
等を用いて適宜行なうことができる。
【0238】湿式電着方法で用いられる、非水系ラテッ
クスを製造する場合も、前記の如く機械的方法と重合造
粒方法のいずれでも製造することができる。例えば、分
散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば、ボー
ルミル、ペイントシェーカー、ケデイミル、ダイノミル
等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、分散
補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混練して混練
物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させて分散
する方法等が挙げられる。具体的には、塗料又は静電写
真用現像剤の製造方法を利用することができ、例えば植
木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、D.H.Solomon 「The Chemistry of Organic Film
Formers 」John Wiley(1967)、「Paint and Surface Co
ating Theory and Practice」、原崎勇次「コーティン
グ工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次「コーティング
の基礎科学」(1977年)等の成書に記載されている。
【0239】また、重合造粒法としては非水溶媒系分散
重合法を用いて容易に製造することができる。具体的に
は、前記した「超微粒子ポリマーの最先端技術」第2
章、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発
・実用化」第3章、K. E. J. Barvett「Dispersion Pol
ymerization in Organic Media」John Wiley(1975年)
等の成書に記載されている。
【0240】前述のガラス転移点の異なる少なくとも2
種の樹脂を同一粒子内に含有する樹脂粒子(ARW)を
得る場合には、例えばシード重合法を用いて容易に製造
することができる。具体的には上記した従来公知の非水
系分散重合方法でまず微粒子を合成し、次にこの微粒子
をシードとして更に上記と同様にしてシード粒子とガラ
ス転移点の異なる樹脂(A)に相当する単量体類をフィ
ードして重合させる方法により製造することができる。
【0241】上記重合造粒法において、樹脂(A)に剥
離性向上のための重合体成分(f)を導入するには、熱
可塑性樹脂となる有機溶媒には可溶で、重合することで
不溶化する単量体とともに、重合体成分(f)に相当す
る単量体を共存させて重合反応を行うことで樹脂(A)
中に共重合され、ランダム共重合体の樹脂粒子(AR)
が容易に得られる。
【0242】更に、重合体成分(f)を重合体にブロッ
クで導入するには、用いる分散安定用樹脂に、重合体成
分(f)をブロックで含有するブロック共重合体を用い
る方法、又は重合体成分(f)を主たる繰り返し単位と
して含有する重量平均分子量1×103〜2×104(好
ましくは3×103〜1.5×104)の一官能性マクロ
モノマーを共存させて単量体類と共重合させることで容
易にブロック共重合体の樹脂粒子とすることができる。
また、他の方法としては、重合体成分(f)を主たる繰
り返し単位として含有する高分子開始剤(アゾビス高分
子開始剤又は過酸化物高分子開始剤)を用いることで
も、同様にブロック共重合体の樹脂粒子を得ることがで
きる。
【0243】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。かかる有機溶媒の具体例は、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フ
ッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオ
クタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジ
クロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に
限定されるものではない。これらの非水溶媒系で分散樹
脂粒子を分散重合法で合成することにより、樹脂粒子の
平均粒子径は容易に1μm以下となり、しかも粒子径の
分布が非常に狭く且つ単分散の粒子とすることができ
る。
【0244】これらの非水系分散樹脂粒子は、湿式静電
写真現像方法又は電界の印圧場で電気泳動させて電着さ
れる方法を行なうことから、電着時に用いられる分散媒
としては、電気抵抗108Ω・cm以上、且つ誘電率3.
5以下の非水溶媒系に調節されることが好ましい。具体
的には、直鎖状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環
式炭化水素又は芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン
置換体を用いることができる。例えばオクタン、イソオ
クタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデ
カン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタ
ン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メ
シチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパー
H、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品
名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾ
ール;シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、ア
ムスコ460溶剤(アムスコ;アメリカン・ミネラル・
スピリッツ社の商品名)等を単独あるいは混合して用い
ることができる。従って、重合造粒時に用いる溶媒とし
て、初めから上記絶縁性有機溶媒を用いることが好まし
いが、これら溶媒以外の溶媒で造粒した後、分散媒の置
換をして調節することもできる。
【0245】また、非水系ラテックスの他の合成方法と
しては、上記した電気抵抗108Ωcm以上且つ誘電率
3.5以下の非水溶媒に可溶性となる重合体成分と、こ
の溶媒に不溶性となる重合体成分とで構成されるブロッ
ク共重合体を、この溶媒に湿式分散することで微小樹脂
粒子として供することもできる。即ち、可溶性の重合体
成分と不溶性の重合体成分とからなるブロック共重合体
を、予めこのブロック共重合体を溶解する有機溶媒中
で、前記したブロックポリマーの合成法を用いて重合体
とした後、電着用非水溶媒に分散させる方法である。
【0246】分散媒中の分散粒子を電気泳動で電着させ
るためには、樹脂粒子は正荷電又は負荷電の検電性粒子
である。樹脂粒子に検電性を付与することは湿式静電写
真用現像剤の技術を適宜利用することで達成できる。具
体的には、前記の「最近の電子写真現像システムとトナ
ー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編
「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、
1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(19
77年)等に記載の検電材料及び他の添加剤を用いること
で行なわれる。例えば、英国特許893,429号、同
934,038号、米国特許1,122,397号、同
3,900,412号、同4,606,989号、特開
昭60−179751号、同60−185963号、特
開平2−13965号等に記載されている。
【0247】電着に供せられる非水系ラテックスの構成
としては、通常少なくとも電気絶縁性分散媒1リットル
中に、熱可塑性樹脂を主として含有する粒子が0.1〜
20g、分散安定用樹脂は0.01〜50g、必要に応
じて加える荷電制御剤は、0.0001〜10gの範囲
である。
【0248】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持等のために、他の添加剤を添加してもよく、例えば、
ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル
類、シリコーンオイル類、パラフィンワックス類、トリ
アジン誘導体等が挙げられる。しかし、これらに限定さ
れるものではない。これらの添加剤の総量は、電着用ラ
テックスの電気抵抗によってその上限が規制される。即
ち、電気抵抗が108Ωcmより低くなると熱可塑性樹脂
粒子の付着量が充分に得られ難くなるので、各添加剤の
添加量はこの限度内でコントロールされる。
【0249】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した熱可塑性樹脂粒子は電子写
真湿式現像剤と同様の挙動を示す。よって例えば前掲の
「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に示される現
像デバイス、例えばスリット現像電極装置を用いて感光
体表面に電気泳動させることができる。即ち、熱可塑性
樹脂(A)を主として含有する粒子が、感光体と対向し
て設置された対向電極の間に供給され、外部電源より印
加された電位勾配に従って電気泳動して感光体に付着又
は電着されて成膜される。
【0250】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前提の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体を均
一帯電させた後通常の湿式トナー現像をする。
【0251】他方、加熱により液化する媒体中に分散し
た樹脂粒子を用いる場合に供される好ましい媒体は、常
温で固体であり、加熱温度30〜80℃、好ましくは4
0〜70℃で液体となる電気絶縁性の有機化合物であ
り、これに好適な化合物としては、凝固点30〜80℃
のパラフィン類、ロウ類、凝固点20〜80℃の低分子
量のポリプロピレン、凝固点20〜50℃の牛脂、凝固
点30〜80℃の硬化油等が挙げられ、これらを単独又
は組み合わせて用いることができる。その他必要な特性
は、上記湿式現像法に供される電着樹脂粒子分散物の場
合と同様である。
【0252】更に、この疑似湿式法に供される樹脂粒子
は、供される媒体の液化する温度では軟化しない高ガラ
ス転移点又は高軟化点の樹脂成分が粒子の外殻を構成す
る、いわゆるコア−シェル型粒子(コア部が低ガラス転
位点の樹脂、シェル部が高ガラス転位点の樹脂)とする
ことで、分散された樹脂粒子が加熱で融着することな
く、安定に分散された状態を維持することが可能とな
る。
【0253】感光体上の熱可塑性樹脂粒子の付着量は外
部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び処理時間
などにより任意に調節できる。電着後公知のゴムローラ
ー、ギャップローラ、リバースローラなどによるスクイ
ズで現像液を拭い去る。またコロナクイズやエアースク
イズなどの方法も公知である。更に冷風もしくは温風、
あるいは赤外線ランプなどにより乾燥し、好ましくは熱
可塑性樹脂粒子を皮膜化させて転写層とする。電着塗布
法は、簡便な装置で実施できること、均一な薄層を安定
且つ容易に形成できること等の利点があり好ましい。
【0254】次に、転写法による転写層の形成について
説明する。転写法とは、離型紙で代表される剥離性支持
体上に設けられた転写層を感光体表面に転写するもので
ある。
【0255】転写層が設けられる離型紙は、通常ロール
状又はシート状で、電子写真式製版印刷原版作成装置に
簡便に供給できる。供される離型紙は、従来公知のいず
れもものも使用でき、例えば、粘着(粘接着)の新技術
とその用途・各種応用製品の開発資料(発行;経営開発
センター出版部、昭和53年5月20日)、オールペーパー
ガイド紙の商品事典、上巻・文化産業編)発行;(株)
紙業タイムス社、昭和58年12月1日)等の成書に記載の
ものが挙げられる。具体的には、剥離紙は、シリコーン
を主とする離型剤を、ポリエチレン樹脂をラミネートし
た未晒クルパック紙、耐溶剤性の樹脂をプリコートした
上級紙、クラフト紙、アンダーコートを施したPETベ
ース、又は直接グラシン紙に塗布したもの等である。シ
リコーンは一般に溶剤タイプのものが用いられ、3〜7
%の濃度でグラビアロール、ワイヤーバー方式で塗布・
乾燥後、150℃以上で熱処理され、硬化される。塗布
量は1g/m2程度である。
【0256】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えば、セ
パレート紙(王子製紙)、キングリーズ(四国製紙)、
サンリリース(山陽国策パルプ)、NKハイレリーズ
(日本加工製紙)などが挙げられる。離型紙上に転写層
を形成するには、熱可塑性樹脂(A)を主成分とする転
写層組成物を、常法に従って、バー塗布、スピン塗布、
スプレー塗布等により塗布成膜することにより容易に行
われる。また、前記熱溶融塗布法や電着塗布法によって
も行われる。
【0257】離型紙上の転写層を感光体上に熱転写する
には、通常の熱転写方法が利用できる。即ち、転写層を
保持した離型紙を感光体に圧着し、転写層を熱転写すれ
ばよい。このためには、例えば後述の図4に示す如き装
置が用いられる。離型紙から転写層を感光体表面へ転写
する場合の条件は以下の通りが好ましい。ローラーのニ
ップ圧力は好ましくは0.1〜10kgf/cm2、より好ま
しくは0.2〜8kgf/cm2であり、転写時の温度は好ま
しくは25℃〜100℃、より好ましくは40℃〜80
℃である。搬送スピードは好ましくは0.5〜300mm
/秒、より好ましくは3〜200mm/秒であり、これ
は、電子写真工程及び一次レセプターへの熱転写工程の
各々と異なっていてもよい。
【0258】次に、電子写真感光体上に設けられた第1
転写層(T1) の上にトナー画像を形成する方法につい
て説明する。前述のようにして電子写真感光体上に転写
層を形成した後、通常の電子写真プロセスによりトナー
画像を形成する。即ち、帯電−露光−現像−定着の各プ
ロセスを従来公知の方法によって行う。
【0259】現像プロセスに供される現像剤は、従来公
知の静電写真用現像剤を使用することができ、乾式現像
剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例えば、前述の
「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁、中村孝一監
修「トナー材料の開発・実用化」第3章(日本科学情報
社刊、1985年)、町田元「記録用材料と感光性樹脂」10
7〜127頁(1983年刊)、(株)学会出版センター、電子
写真学会「イメージングNo.2〜5 電子写真の現像・定着
・帯電・転写」等に具体的な態様が示されている。乾式
現像剤としては、一成分磁性トナー、二成分トナー、一
成分非磁性トナーあるいはカプセルトナー等が実用され
ており、これらのいずれも利用することができる。
【0260】また、具体的な液体現像剤の基本構成とし
ては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィン系脂
肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG(エッソ社
製)シェルゾール70、シェルゾール71(シェル社製)、
IP−ソルベント1620(出光石油化学製)等}を分散媒
として、着色剤である無機又は有機の顔料あるいは染料
とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、
スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の分散安定性、定着
性、荷電性を付与するための樹脂とを分散し、且つ、荷
電特性の強化あるいは画像特性の改良等のために所望に
より種々の添加剤を加えてなる。
【0261】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等であ
る。また、他の添加剤として、例えば原崎勇次「電子写
真」第16巻、第2号、44頁に具体的に記載されているも
のが用いられる。例えば、ジ−2−エチルヘキシルスル
ホコハク酸金属塩、ナフテン酸金属塩、高級脂肪酸金属
塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルリン
酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニルピロリドン)、半マ
レイン酸アミド成分を含む共重合体、クマロンインデン
樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル類、ポリシロキ
サン、ワックス類等が挙げられる。
【0262】液体現像剤の主要な各組成分の量について
は通常下記の通りである。樹脂(及び所望により用いら
れる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、担体液
体1000重量部に対して0.5重量部〜50重量部が
好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が不足
し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生じ易
い。前記の分散安定用の担体液体可溶性樹脂も必要に応
じて使用され、担体液体1000重量部に対して0.5
重量部〜100重量部程度加えることができる。荷電調
節剤は担体液体1000重量部に対して0.001重量
部〜1.0重量部が好ましい。更に所望により各種添加
剤を加えても良く、それら添加物の総量は、液体剤の電
気抵抗によってその上限が規制される。即ち、トナー粒
子を除去した状態の液体現像剤の電気抵抗が109Ωcm
より低くなると良質の連続階調像が得られ難くなるの
で、各添加物の各添加量はこの限度内でコントロールさ
れる。
【0263】液体現像剤の製造方法の具体例としては、
着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェットミ
ル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分散して
着色粒子を製造する方法が、例えば、特公昭35−55
11号、同35−13424号、同50−40017
号、同49−98634号、同58−129438号、
特開昭61−180248号等に記載されている。他の
着色粒子の製造方法としては、例えば分散樹脂粒子を微
小粒径で単分散性の良好なものとして得る非水系分散重
合方法を用いて製造し、これを着色する方法が挙げられ
る。
【0264】着色の方法の1つとして、特開昭57−4
8738号等に記載されている如く、分散樹脂を好まし
い染料で染色する方法がある。また、特開昭53−54
029号に開示されている如く、分散樹脂と染料を化学
的に結合させる方法、特公昭44−22955号等に記
載されている如く、重合造粒法で製造する際に、予め色
素を含有した単量体を用い、色素含有の共重合体とする
方法等がある。
【0265】デジタル情報に基づいて露光するレーザー
光によるスキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる
現像方式の組合せが、高精細な画像を形成できることか
ら有効なプロセスである。その一例を以下に示す。
【0266】まず、電子写真感光体上に第1転写層(T
1 )を設けた電子写真感光材料をフラットベット上にレ
ジスターピン方式による位置決めを行った後背面よりエ
アーサクションにより吸引して固定する。次いで、例え
ば「電子写真技術の基礎と応用」(電子写真学会編、コ
ロナ社、昭和63年6月15日発行)212頁以降に記載の帯電
デバイスにより感光材料を帯電する。コロトロン又はス
コトロン方式が一般的である。この時感光材料の帯電電
位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範囲の表面
電位となるようフィードバックをかけ、帯電条件をコン
トロールすることも好ましい。その後例えば同じく上記
引用資料の254頁以降に記載の方式を用いてレーザー光
源による走査露光を行う。
【0267】次いで液体現像剤を用いてトナー画像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料は、そ
こからはずして同上引用資料の275頁以降に示された湿
式現像法を用いることができる。この時の露光モード
は、トナー画像現像モードに対応して行われ、例えば反
転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー光を照
射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電荷極性
を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加して露光
部にトナーが電着するようにする。原理の詳細は同上引
用資料の157頁以降に説明がある。現像後に余剰の現像
液を除くために、同資料283頁に示されるようなスクイ
ーズを行った後乾燥する。スクイーズ前に現像剤の担体
液体のみでリンスをすることも好ましい。
【0268】上記の様にして第1転写層(T1)上にトナ
ー画像を形成した後、更にこの上に第2転写層(T2)を
設け、転写層(T1)及び(T2)をトナー画像ごと一次レ
セプターへ転写する{方法(i)}か、あるいは第2転
写層(T2)を設けた一次レセプター上に、第1転写層
(T1)をトナー画像ごと転写する{方法(ii)}ことに
より、トナー画像は一次レセプターへ転写される。
【0269】方法(ii)において、一次レセプター上の
第2転写層(T2)は予め一次レセプター上に設けておい
てもよいし、電子写真プロセスを行なうのと同じ装置内
で一次レセプター上に設けてもよい。後者は一次レセプ
ターを繰り返し使用できること及び目的に合わせて任意
に選択できる利点がある。その結果、コストの低減や用
途の変更に対する容易な対応が可能となる。第2転写層
(T2)に供せられる樹脂(A)については先に述べた通
りである。
【0270】また、第2転写層(T2)を感光体上のトナ
ー画像を坦持した第1転写層(T1)上にあるいは一次レ
セプター上に形成する方法は特に限定されない。いずれ
の場合においても、電子写真プロセスと同一装置内で第
2転写層(T2)を形成するには、前記第1転写層(T1)
の形成に関して述べた熱溶融塗布法、電着塗布法及び転
写法のいずれかの方法を用いることが好ましい。第2転
写層(T2)の形成方法やその条件は第1転写層(T1)形
成の場合と同じでも異なっていてもよい。また、単一の
装置を二つの転写層の形成に用いることもできる。
【0271】第2転写層(T2)の膜厚は、合計で、好ま
しくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μ
mである。この範囲内において、必要以上に樹脂(A)
を転写層に使うことなく、一次レセプターの表面粗さ等
の影響を受けずに、安定且つ容易に完全な転写が実施で
きる。
【0272】本発明においては、感光体上に第1転写層
(T1)を設け、この上にトナー画像を形成した後、第2
転写層(T2)を感光体上に更に設けてから一次レセプタ
ーへ転写するか、あるいは第2転写層(T2)を設けた一
次レセプターへ転写する。この熱転写には、公知の方法
及び装置を用いることができる。例えば、トナー画像と
転写層を有する感光体を一次レセプターと密着させ、加
熱下にローラー間を通すことによりトナー画像は転写層
ごと一次レセプター上に転写される。
【0273】熱転写時の温度は好ましくは30〜150
℃、より好ましくは35〜80℃である。感光体や一次
レセプターはあらかじめ所望の温度に加熱しても良い。
このためには、非接触の加熱手段、例えば赤外線ライン
ヒーター又はフラッシュヒーター等を用いることが好ま
しい。ローラーのニップ圧力は好ましくは0.2〜20
kgf/cm2、より好ましくは0.5〜15kgf/cm2である。
ローラー加圧手段としてはローラー軸の両端にスプリン
グもしくは圧縮空気を用いるエアーシリンダーを使うこ
とができる。搬送スピードは好ましくは0.1〜300
mm/秒、より好ましくは10〜250mm/秒である。搬
送スピードは電子写真プロセスと熱転写工程とで異なっ
ていてもよい。
【0274】次に、本発明に用いられる一次レセプター
について述べる。一次レセプターは、感光体からトナー
画像を転写層ごと加熱及び/又は加圧条件下での接触転
写法により受け取り、更に被転写材上へ加熱及び/又は
加圧条件下に剥離転写する機能を有する。
【0275】一次レセプターの表面の剥離性は、感光体
表面のそれよりも低いこと及び被転写材に剥離転写する
剥離性を保つことが重要である。即ち、一次レセプター
の表面の粘着力は感光体表面の粘着力より大きいこと、
好ましくは30g・f以上、より好ましくは50g・f
以上大きいことが必要である。一方、一次レセプター表
面の粘着力は最大で250g・fであることが好まし
く、より好ましくは200g・f以下である。
【0276】以上の条件を満たす一次レセプターであれ
ばいずれでもよい。本発明において、感光体から一次レ
セプターへのトナー画像の転写に用いられる方式として
は、例えばドラム方式や、繰り返し使用可能な無端ベル
ト方式を挙げることができる。
【0277】ドラム方式において、ドラム上に設けられ
るべき一次レセプターの材料としては上記条件を満たす
材料であればいずれでもよいが、好ましくは弾性体層又
は弾性体層と補強層支持体を含む積層構造体であり、且
つ積層構造体の表面が上記物性を満足していればよい。
これら積層体はドラムに直接設けるかあるいは交換でき
るように取り外し式にしておいてもよい。
【0278】弾性体としては、従来公知の天然樹脂類・
合成樹脂類が挙げられる。これらは単独もしくは2種以
上併用して単一層又は複数層として用いることができ
る。例えば、A. D. Roberts「Natural Rubber Science
and Technology」Oxford Science Publications(1988年
刊)、W. Hofmann「Rubber Technology Handbook」、Ha
nser Publishers(1989年刊)、プラスチック材料構座、
全18巻、日刊工業新聞社等に記載の種々の樹脂が用いら
れる。
【0279】具体的には、スチレン−ブタジエンゴム、
ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、
環化ゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴ
ム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、
シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、
イソプレンゴム、ウレタンゴム等が挙げられるが、これ
らに限定されるものでなく、転写層との剥離性、耐久性
等を勘案して任意に選択することができる。弾性体層の
厚さは0.01〜10mmが好ましい。
【0280】上記弾性体層の補強層としては、布、ガラ
ス繊維、樹脂含浸特殊紙、アルミニウム、ステンレスな
どが用いられる。弾性体層と補強層の間にはスポンジ状
ゴム層があってもよい。無端ベルト方式においても一次
レセプターの部材は公知のものを用いることができ、例
えば米国特許第3,893,761号、同4,684,
238号、同4,690,539号等に記載されたもの
が挙げられる。ベルト式一次レセプターのベルト担体の
層中に、例えば特表平4−503265号等に記載の如
く加熱媒体となる一層を設ける方法も用いられる。
【0281】一次レセプター表面の粘着力は、前記剥離
性感光体に関して述べた方法、例えば化合物(S)を適
用する方法によって容易に調整することができる。一次
レセプターの表面の平均粗さは0.01mm以下が好まし
い。
【0282】本発明の方法(i)においては、トナー画
像上に設けられた第2転写層(T2)は特に冷却すること
なく、直ちに次の工程である一次レセプターへ転写する
ことができる。ことことは、処理工程の簡易・短縮化、
及び感光材料の耐久性の向上の点で有利である。
【0283】一次レセプター上のトナー画像は、次い
で、転写層ごと被転写材に熱転写される。この熱転写に
おいても、公知の方法及び装置を用いることができる。
転写時の好ましい加熱温度の範囲、圧力範囲及び搬送ス
ピードの範囲は上記の感光体と一次レセプターの熱転写
条件の範囲と同様である。また、電子写真感光体から一
次レセプターへの転写と一次レセプターから被転写材へ
の転写は同一条件でも異なる条件でもよい。
【0284】被転写材への熱転写挙動は、次のように推
定される。即ち、例えば一次レセプターへの転写により
あるいは予熱手段によりある程度軟化した転写層が例え
ば加熱ローラーにより更に加熱されることにより粘着性
が増し被転写材に密着する。次いで、例えば剥離用の冷
却ローラー下を通過した後では温度が下がり、流動性や
粘着性が低減して被膜のままトナーごと感光体表面から
剥離する。従って、このような状態が具現するように条
件を設定すべきである。
【0285】冷却ローラーは、例えばアルミニウム、銅
等の熱良伝導体金属にシリコーンゴム被覆を施し、ロー
ラー内部又は被転写材に接しない外周部に冷却手段を付
与して放熱することが望ましい。冷却手段はクーリング
ファン、冷媒循環又は電子冷却素子などを用い、温度コ
ントローラーと組み合わせて所定の温度範囲に保つこと
が好ましい。
【0286】感光体から一次レセプターへのトナー画像
及び転写層の転写と、一次レセプターから被転写材への
トナー画像の転写層ごとの転写は、一画面内同時であっ
てもよいし、あるいは一次レセプターに一画面全ての転
写が終わった後、被転写材に転写してもよい。
【0287】本発明の印刷版の作成方法において、トナ
ー画像及び転写層を転写する条件設定は、使用している
感光体(感光層及び支持体)、転写層、一次レセプタ
ー、被転写材等の物性により最適化することは当然であ
る。特に熱転写工程における温度条件は転写層のガラス
転移点、軟化温度、流動性、粘着性、皮膜性、膜厚など
の要因を加味して決定することが重要である。
【0288】本発明に用いる被転写材は平版印刷に適し
た親水性表面を提供するものであればよく、従来オフセ
ット印刷版に供される支持体をそのまま用いることがで
きる。具体的には、プラスチックシート、耐刷性を施し
た紙、アルミニウム板、亜鉛板、銅−アルミニウム板、
銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメタル板、ク
ロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄板、クロム
−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の親水性表面
を有する基板が用いられる。その厚さは0.1〜3mm、
特に0.1〜1mmが好ましい。
【0289】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許2,714,066号に記載され
ている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリウム水溶
液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭47−51
25号に記載されているように、アルミニウム板を陽極
酸化処理したのち、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸
漬処理したものも好適に使用される。
【0290】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許3,658,662号に記載され
ているようなシリケート電着も有効である。西独特許公
開1,621,478号に記載のポリビニルスルホン酸
による処理も適当である。
【0291】これらの親水化処理は、支持体の表面を親
水性とするために主として施されるる。また、支持体と
トナー画像を坦持した転写層との間の接着性を調節する
ために、支持体表面に表面層を設けてもよい。プラスチ
ックシート又は紙を支持体とする場合には、当然のこと
ながら、トナー画像部以外が親水性でなければならない
ことから、親水性を有する表面層を設けたものが供され
る。具体的には、公知の直描型平版印刷用原版又はかか
る原版の画像受理層と同様の層を有する被転写材を用い
ることができる。
【0292】本発明では、以上のようにして得られたト
ナー画像及び転写層を有する被転写材(印刷原版)を化
学反応処理して、第2転写層(T2)全部と非画像部の第
1転写層(T1)を溶解又は膨潤そして脱離する等により
完全に除去することでオフセット用印刷版を作成するこ
とができる。転写層を除去するためには、処理液による
反応の他に化学的光学活線による脱保護反応を用いても
よく、また併用してもよい。トナー画像部はトナー画像
がレジストとして作用するから、その下の第1転写層
(T1)は除去されない。
【0293】処理液は、所定のpHに調整された水溶性
溶液を用いる。pHの調整は、公知のpH調整剤を用い
ることができる。適用されるpH域は酸性〜中性〜アル
カリ性のいずれでもよいが、処理液の防錆性又は転写層
の溶出除去性を勘案すると、pH8以上のアルカリ性領
域で用いることが好ましい。アルカリ性処理液とする化
合物としては、従来公知の無機化合物又は有機化合物の
いずれでもよく、例えば、炭酸塩、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、
有機アミン化合物等を単独又は混合して用いることがで
きる。
【0294】更には、親水性反応を迅速化するために併
用できる化合物として、パーソン(Pearson)の求核定数
n〔R. G. Pearson & H. Sobel, J. Amer. Chem. Soc.,
90,319(1968) 〕が5.5以上の値を有する置換基を含
有し、且つ蒸留水100重量部中に1重量部以上溶解す
る求核性化合物が挙げられる。具体的な化合物として
は、例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸塩
(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩
等)、チオ硫酸塩等が挙げられ、また、分子内にヒドロ
キシル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ア
ミノ基から選ばれた少なくとも1つの極性基を含有する
メルカプト化合物、ヒドラジド化合物、スルフィン酸化
合物、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物等が挙
げられる。
【0295】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシロピルメルカ
プタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢酸
等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエチ
ルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンス
ルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンカ
ルボン酸等を、第1級又は第2級アミン化合物として、
例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ(2−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオン酸、
アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼンジカ
ルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2−カル
ボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラジン等
を挙げることができる。
【0296】これら処理液中の求核性化合物の存在量は
好ましくは0.05〜10モル/リットル、より好まし
くは0.1〜5モル/リットルである。また、処理液の
pHは8以上が好ましい。
【0297】処理液は、上記した求核性化合物及びpH
調整剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例えば、
水に可溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1〜50
重量部含有してもよい。このような水に可溶性の有機溶
媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタ
ノール、プロパノール、プロパギルアルコール、ベンジ
ルアルコール、フェネチルアルコール等)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルテトン、シクロヘキサノン、
アセトフェノン等)、エーテル類(ジオキサン、トリオ
キサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメ
チルエ−テル、プロピレングリコールジエチルエ−テ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロピラン
等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ピロリドン、
N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等)、エ
ステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、スル
ホラン、テトラメチル尿素等)等が挙げられる。これら
は単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0298】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性又はノニオン性
の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界面
活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、寺村
一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年刊)槇書
店等に記載される化合物を用いることができる。更に、
処理液の保存時の防腐性、防黴性向上の為に、従来公知
の防腐性化合物、防黴性化合物を併用してもよい。処理
の条件としては、温度は15〜60℃、浸漬時間は10
秒〜5分間が好ましい。更に処理時に、超音波下に行う
又は機械的な摺動(ブラシ等でこする等)等の物理的操
作を併用してもよい。
【0299】他方、化学的活性光線の照射により脱保護
反応する場合に用いられる光線としては、可視光線、紫
外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線等いずれで
もよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは波長31
0nm〜波長500nmの範囲の光線である。一般には高圧
又は超高圧の水銀ランプ等が用いられる。光照射処理は
通常5cm〜50cmの距離から10秒〜10分間の照射で
充分に行うことができる。この様にして光照射した後、
上記の様な水溶性溶液中に浸漬することで容易に転写層
が除去される。
【0300】以下に本発明の電子写真式製版印刷版の作
成方法に用いられる印刷原版の作成を添付図面をもって
詳細に説明する。図2は、転写層の形成に電着塗布法を
用いた本発明の方法を実施するのに適した電子写真式製
版印刷原版作成装置の概略図である。前述のように、表
面が剥離性に改質された電子写真感光体を用いる場合に
は、そのまま感光体上に第1転写層(T1)を形成する。
また、感光体表面の剥離性が不十分な場合には、第1転
写層(T1)を形成前に化合物(S)を適用する装置を設
けることにより、感光体表面に剥離性を付与することが
できる。即ち、前記した具体的態様のいずれかの方式を
用いた化合物(S)適用ユニット10により、感光体1
1表面に化合物(S)を供給する。化合物(S)適用ユ
ニット10は、固定又は可動式のいずれでもよい。
【0301】まず、感光体11上に第1転写層(T1)1
2T1が転写層形成装置により設けられる。ここでは、
電着塗布法を用いた場合を例にして、第1転写層(T1)
の形成を説明する。
【0302】第1転写層(T1)用の樹脂粒子分散液を入
れた電着ユニット13aを感光体11に接近させ、電着
ユニットの現像電極との距離が1mmとなるように固定す
る。このギャップ間に樹脂粒子分散液を供給し、外部か
ら電圧を印加しながら回転させ、感光体表面の全面に樹
脂粒子が吸着するようにする。液体現像ユニットセット
14に内蔵してあるスクイズ装置14Rで感光体表面に
付着している分散溶媒を除き、次いで加熱手段により樹
脂粒子を熱溶融させて皮膜化し第1転写層(T1)を得
る。この際、分散液の分散溶媒の排気は、電子写真感光
体の電子写真プロセス用に設けた吸排気ユニット15を
利用することができる。プレバス及びリンス液には通常
の液体現像剤のキャリヤーが好ましく用いられる。電着
ユニットは、図2にに示すように液体現像ユニットセッ
ト14内に併設されていてもよいし、別個に設けられて
もよい。
【0303】また、感光体上への第1転写層(T1)形成
装置としては、上記電着塗布法用装置の代わりに、熱溶
融塗布法の装置又は転写法の装置を用いることができ
る。熱溶融塗布法の場合、例えば図3に示すように、第
1転写層(T1)用の樹脂12aをホットメルトコーター
13hによりドラム周面の感光体11の表面に塗布し、
吸排気ユニット15下を通過させることにより所定の温
度まで冷却して感光体11上に第1転写層(T1)12T
1を形成することができる。形成後、ホットメルトコー
ター13hは待機位置13wまで移動することが好まし
い。更に、第2転写層(T2)12T2の形成にも熱溶融
塗布法を用いる場合には、第2転写層(T2)用ホットメ
ルトコーターを設定し、交互に可動させてもよい。勿論
ホットメルトコーター13hを第2転写層(T2)の形成
に用いることもできる。
【0304】また、剥離紙を利用して転写法により第1
転写層(T1) 12T1 を感光体11上に転写する装置
としては、例えば図4に示す概略図のものが挙げられ
る。
【0305】図4において第1転写層(T1)用の転写層
12T1を設けた離型紙24を加熱ローラー25bで加
熱し感光体11に圧着させて、転写層12T1を感光体
11の表面へ転写させる。離型紙24は、冷却ローラー
25cで冷却されて回収される。更に必要に応じて、感
光体自身を加熱手段25aで予熱して、転写層の加熱圧
着による転写性を向上させてもよい。図4の感光体への
転写ユニット100は、離型紙24から第1転写層(T
1)12T1 を感光体11上へ転写した後、これを図2や
図3に示す被転写材への転写ユニット130として用い
てもよい。あるいは図4の如く、離型紙24から第1転
写層(T1)12T1を感光体11上に転写する感光体へ
の転写ユニット110と、後にトナー画像とともに転写
層を被転写材へ転写する転写ユニット130の両方を装
置内に組み入れてもよい。
【0306】感光体上に第1転写層(T1)を形成した
後、電子写真プロセスに入る。前述の如く、本発明にお
ける現像は乾式現像剤及び湿式現像剤のいずれも用いる
ことができるが、湿式現像剤を用いた方が高解像力の画
像が得られる。従って、以下トナー現像に湿式現像剤を
用いる場合を例として、具体的に説明する。
【0307】第1転写層(T1)を設けた、感光体11を
コロナ帯電装置18で、例えばプラスに一様帯電した
後、露光装置(例えば半導体レーザー)19で画像情報
に基づき画像露光すると、露光部の電位が低減され、未
露光部との間に電位コントラストが得られる。プラスの
静電荷を有する樹脂粒子が電気絶縁性分散媒中に分散し
ている液体現像剤を含む液体現像ユニット14Lを液体
現像ユニットセット14から第1転写層(T1)を設けた
感光体に接近させギャップを1mmにして固定する。
【0308】まず感光体は現像ユニットに具備されたプ
レバス手段によりプレバスされ、次いで図には示されて
いないバイアス電源及び電気結線により感光体と現像電
極の間に現像バイアス電圧を印加しながら液体現像剤を
感光体に供給する。この時のバイアス電圧は現像電極側
を正に、感光体側を負になるように接続し、印加電圧は
未露光部の表面電位よりもやや低くする。印加電圧が低
すぎると充分なトナー画像濃度が得られない。
【0309】その後液体現像ユニットに内蔵してあるリ
ンス手段により感光体表面に付着した現像液を洗い落と
し、続いてスクイズ装置により感光体表面に付着したリ
ンス液を除いてから、吸排気ユニット15下を通過させ
ることにより乾燥させる。
【0310】上記のようにして、電子写真プロセスによ
り第1転写層(T1)12T1上にトナー画像を形成した
後、本発明では、第2転写層(T2)12T2をトナー画
像上に形成して一次レセプター20に熱転写するか(方
法(i))、あるいは感光体から上記トナー画像を第1
転写層(T1)12T1とともに第2転写層(T2)を予め
設けた一次レセプター20又は装置内で転写層形成装置
により第2転写層(T 2)を設けた一次レセプター20上
に熱転写を行なう(方法(ii))。図2において、第2
転写層(T2)はホットメルトコーター13hを用いてト
ナー画像を有する第1転写層(T1)上に形成される。
【0311】この様にして得られた、第1転写層
(T1)、トナー画像及び第2転写層(T2)を有する感光
体11を一次レセプター20に圧接して感光体からトナ
ー画像を転写層ごと一括して一次レセプター20に熱転
写することができる。必要に応じて、感光体や一次レセ
プターを加熱手段を用いて所定の予熱を行ってもよい。
【0312】図3に示す装置において、第1転写層(T
1)はホットメルトコーター13hを用いて熱溶融塗布法
により形成され、第2転写層(T2)は一次レセプター2
0上に第2転写層(T2)形成ユニット21を用いて形成
される。第2転写層(T2)形成ユニット21は可動式で
あることが好ましい。一次レセプター20上への第2転
写層(T2)の形成は、トナー画像の転写前に行われてい
ればよいが、感光体11上への第1転写(T1)の形成と
同時に行えば効率的である。
【0313】次いで、一次レセプター20上に転写層ご
と完全に転写されたトナー画像を、更に被転写材30に
圧接して熱転写を行う。即ち、一次レセプター20の加
熱手段17により所定の予熱をし、且つ被転写材30を
転写用バックアップローラー31により所定の予熱を
し、一次レセプター20を被転写材30に圧接して熱転
写後、剥離用バックローラー32で冷却しながら、被転
写材30上に転写層ごとトナー画像を剥離転写し、一連
の工程を終了する。また、感光体11の表面に剥離性を
付与する必要のある場合は、化合物(S)をユニット1
0で適用した状態で装置を停止することにより、次の装
置稼働時に転写層形成工程からスタートすることができ
る。
【実施例】以下に実施例を示し更に詳しく本発明の内容
を説明するが、これによって本発明が限定を受けるもの
ではない。
【0314】〔樹脂粒子(AR)の合成例〕 樹脂粒子(AR)の合成例1:(AR−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)16g及びアイソパ
ーH 550gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度50
℃に加温した。これに、ベンジルメタクリレート85.0
g、アクリル酸15.0g、3−メルカプトプロピオン酸メ
チル 2.0g及び2,2′−アゾビス(2−シクロプロピル
プロピオニトリル)(略称A.C.P.P.)1.2gの混合溶液を1
時間で滴下した。そのまま1時間攪拌後、A.C.P.P. 0.8
gを加え2時間反応した。更に、2, 2′−アゾビス(イ
ソブチロニトリル)(略称A.I.B.N.)0.5 gを加え、温度
を80℃に設定し、3時間反応した。冷却後、200メッシ
ュのナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率97%
で平均粒径0.17μmの単分散性のラテックスであった
〔粒径はCAPA−500{堀場製作所(株)製}で測
定した。以下同様〕。上記白色分散物の一部を遠心分離
機(回転数1×104r.p.m.、回転時間1時間)にかけ、
沈降した樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重
量平均分子量(Mw)とガラス転移点(Tg)を測定し
たところ、Mwは9×103(G.P.C.によるポリスチレン換
算値。以下同様)、Tgは60℃であった。
【0315】
【化36】
【0316】樹脂粒子(AR)の合成例2:(AR−
2) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−2)14g、下記構造の
マクロモノマー(M−1)10g及びアイソパーH 553g
の混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃に加温し
た。これに、メチルメタクリレート51.2g、メチルアク
リレート30g、アクリル酸12.5g、3−メルカプトプロ
ピオン酸メチル 1.3g及びA.C.P.P. 1.2gの混合溶液を
滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応し
た。次に2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称
A.I.V.N.)0.8gを加えた後、直ちに温度設定を75℃とし
て2時間、更にA.I.V.N. 0.5gを加えて2時間反応し
た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し、得られ
た白色分散物は重合率98%で平均粒径0.18μmの単分散
性のラテックスであった。樹脂粒子分のMwは、2×10
4でTgは50℃であった。
【0317】
【化37】
【0318】樹脂粒子(AR)の合成例3〜11:(AR
−3)〜(AR−11) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−3)20g及びアイソパ
ーG 480gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。これに、下記表−Aに記載の各単量体の
所定量、3−メルカプトプロピオン酸メチル 2.6g、A.
I.V.N. 1.5g及びテトラヒドロフラン60gの混合溶液
を、滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応
した。次いで、A.I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃
としてそのまま2時間反応後、更にA.I.V.N. 0.8gを加
えて3時間反応した。
【0319】
【化38】
【0320】上記反応物にアイソパーH60gを加え、温
度50℃で水流ポンプの減圧下にてテトラヒドロ溶媒を留
去した後、冷却し、200メッシュのナイロン布を通して
白色分散物を得た。得られた各ラテックスは、平均粒径
0.15〜0.30μmの範囲で各々単分散性は良好であった。
また、各ラテックスの樹脂粒子分のMwは9×103〜1.5
×104の範囲であり、Tgは35〜80℃の範囲であった。
【0321】
【表2】
【0322】
【表3】
【0323】
【表4】
【0324】樹脂粒子(AR)の合成例12〜17:(AR
−12)〜(AR−17) 樹脂粒子(AR)の合成例2において、マクロモノマー
(M−1)10gの代わりに下記表−Bの各マクロモノマ
ー(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用いた他は合成
例2と同様にして各樹脂粒子を合成した。各粒子の重合
率は98〜99%で、それらの粒子の平均粒径は0.15〜0.25
μmの範囲で、粒子の粒度分布も狭く、単分散性が良好
であった。樹脂粒子のMwは9×103〜2×104、ガラス
転移点は40〜70℃の範囲であった。
【0325】
【表5】
【0326】
【表6】
【0327】樹脂粒子(AR)の合成例18:(AR−1
8) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−4)18g及びアイソパ
ーH 560gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度55
℃に加温した。これに、メチルメタクリレート40g、2
−プロポキシエチルメタクリレート45g、アクリル酸15
g、3−メルカプトプロピオン酸メチル 1.3g及びA.I.
V.N. 0.8gの混合溶液を1時間で滴下した。そのまま1
時間撹拌後、A.I.V.N. 0.8gを加え2時間反応した。更
に、A.I.B.N. 0.5gを加え、温度を80℃に設定し、3時
間反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
得られた白色分散物は重合率97%で、平均粒径0.17μm
の単分散性ラテックスであった。また、樹脂粒子分のM
wは6×103、Tgは25℃であった。
【0328】
【化39】
【0329】樹脂粒子(AR)の合成例19:(AR−1
9) 前記分散安定用樹脂(Q−1)15g、酢酸ビニル62g、
吉草酸ビニル30g、クロトン酸8g及びアイソパーH 2
75gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度80℃に
加温した。A.I.V.N. 1.6gを加え、1.5時間反応し、A.
I.V.N. 0.8gを加え2時間、更にA.I.B.N. 0.5gを加え
4時間反応した。次いで、温度を100℃に上げ2時間撹
拌し、未反応のモノマーを留去した後、冷却して200メ
ッシュのナイロン布を通し、白色分散物を重合率93%で
得た。平均粒径0.25μmの単分散ラテックスであった。
また、樹脂粒子分のMwは8×104、Tgは26℃であっ
た。
【0330】樹脂粒子(AR)の合成例20:(AR−2
0) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−5)20g、ベンジルメ
タクリレート44.1g、2−ブトキシエチルメタクリレー
ト40g、アクリル酸12g、3−メルカプトプロピオン酸
3.9g及びアイソパーH 546gの混合溶液を、窒素気流
下撹拌しながら温度60℃に加温した。A.I.V.N. 1.0gを
加え2時間反応した後、A.I.V.N. 0.8gを加えて2時間
反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えた後、温度設定を80
℃にして3時間反応した。冷却後200メッシュナイロン
布を通して白色分散物を重合率99%で得た。平均粒径は
0.22μmの単分散ラテックスであった。また、樹脂粒子
分のMwは9×103で、Tgは23℃であった。
【0331】
【化40】
【0332】樹脂粒子(AR)の合成例21:(AR−2
1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−6)18g及びアイソパ
ーH 500gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。これに、メチルメタクリレート35g、
2,3−ジプロポキシカルボニルプロピルメタクリレー
ト40g、2−スルホエチルメタクリレート25g、3−メ
ルカプトプロピオン酸メチル 5.2g、A.I.V.N. 1.5g及
びテトラヒドロフラン 120gの混合溶液を滴下時間1時
間で滴下し、そのまま更に1時間反応した。次いで、A.
I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃としてそのまま2
時間反応後、更にA.I.V.N. 1.0gを加えて3時間反応し
た。この反応物にアイソパーH 120gを加え、温度50℃
で水流ポンプの減圧下にテトラヒドロ溶媒を留去し、冷
却後200メッシュのナイロン布を通して白色分散物を得
た。平均粒径0.18μmの単分散性良好な分散物であっ
た。また、重合率は98%であった。樹脂粒子のMwは6
×103、Tgは28℃であった。
【0333】
【化41】
【0334】樹脂粒子(AR)の合成例22:(AR−2
2) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−7)20g、繰り返し単
位がジメチルシロキサンからなる一官能性マクロモノマ
ー(FM0721,Mw6×103、(株)チッソ製)15
g、メチルメタクリレート50g、2−ペンチルオキシエ
チルメタクリレート35g、アクリル酸15g、3−メルカ
プトプロピオン酸メチル 6g及びアイソパーG 547gの
混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度60℃に加温し
た。A.I.V.N. 2.0gを加え2時間反応した後、A.I.V.N.
1.0gを加えて更に2時間反応した。次いで、A.I.V.N.
1.0gを加えた後、直ちに温度設定を75℃として2時
間、更にA.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反応した。冷却
後200メッシュのナイロン布を通して白色分散物で、重
合率98%、平均粒径0.20μmの単分散ラテックスを得
た。樹脂粒子のMwは6.5×103、Tgは20℃であった。
【0335】
【化42】
【0336】樹脂粒子(AR)の合成例23〜32:(AR
−23)〜(AR−32) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−8)25g及びアイソパ
ーH 392gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら、温度
50℃に加温した。
【0337】
【化43】
【0338】これに、下記表−Cの各単量体、3−メル
カプトプロピオン酸メチル 3.1g、開始剤A.C.P.P. 3g
及びメチルエチルケトン150gの混合溶液を滴下時間1
時間で滴下し、そのまま1時間反応し、更にA.C.P.P.
1.0gを加え2時間反応した。次いで、A.I.V.N. 1.0g
を加えた後直ちに温度設定を75℃とし2時間反応し、更
にA.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反応した。冷却後、20
0メッシュのナイロン布を通して、白色分散物を得た。
各樹脂粒子の重合率は93〜99%で、その平均粒径は0.15
〜0.25μmの範囲の粒度分布の狭いラテックスであっ
た。また、各粒子の樹脂分のMwは8×103〜1×104
Tgは10〜35℃の範囲であった。
【0339】
【表7】
【0340】
【表8】
【0341】
【表9】
【0342】樹脂粒子(ARW)の合成例:(ARW−
1) 樹脂粒子(AR)の合成例18に従って、樹脂粒子(AR
−18)を合成した。この樹脂粒子分散物(即ち、シード
粒子)及び前記分散安定用樹脂(Q−1)10gの混合溶
液を、窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。こ
れに、ベンジルメタクリレート85g、アクリル酸15g、
3−メルカプトプロピオン酸メチル2.0g,A.I.V.N. 0.
8g及びアイソパーH 200gの混合物を、2時間で滴下
し、そのまま更に2時間反応した。次に開始剤を0.8g
加え温度70℃にして、2時間反応し、更に、開始剤を0.
6g加え3時間反応した。冷却後、200メッシュナイロン
布を通し、得られた白色分散物の重合率98%で平均粒径
0.24μmの単分散性良好なラテックスであった。
【0343】次に、得られた樹脂粒子が、単独の粒子と
して形成されたか否かを走査型電子顕微鏡(SEM)を
用いて、粒子の状態を観察することで調べた。PETフ
ィルム上に、樹脂粒子が分散した状態になる様に調製し
て作成したフィルムを、温度50℃及び80℃に5分間加熱
処理した後、各サンプルをJEOL社、JSL−T33
0型 Scanning Hicroscopeを用いて、2万倍で観察した
所、温度50℃のサンプルは粒子状態が観察されたが、温
度80℃のサンプルでは粒子が観察されなかった。即ち、
粒子が加熱により融解していた。
【0344】同様にして、本発明の粒子を構成する二種
の樹脂(共重合体)の各々から成る樹脂粒子(AR−
1)、樹脂粒子(AR−18)及びこの二種の粒子を1/
1重量比で混合した分散樹脂粒子について調べた。樹脂
粒子(AR−18)の場合は、加熱しないサンプルは粒子
状態であったが、温度50℃のサンプルでは粒子状態が観
察されず、他方、樹脂粒子(AR−1)の場合、温度80
℃のサンプルで粒子が見えなくなった。更に、混合粒子
の場合、加熱しないサンプルと温度50℃のサンプルを調
べた所、未加熱サンプルに比べると温度50℃のものは、
粒子が見えなくなっている所が確認された。
【0345】以上の様に、粒子の熱挙動を目視観察した
結果、本発明の実施例により合成された樹脂粒子(AR
W−1)は、二種類の樹脂粒子が混合されたものでな
く、1つの粒子中に2種の樹脂が含有されており、この
場合には、高Tgの樹脂が外層に低Tgの樹脂が内層に
各々分配したコア/シェル粒子であることが確認され
た。
【0346】樹脂粒子(ARW)の製造例2〜14:(A
RW−2)〜(ARW−14) 上記樹脂粒子(ARW)の製造例1において、下記表−
Dに記載の各単量体を用いた他は、上記製造例1と全く
同様に操作して樹脂粒子(ARW−2)〜(ARW−1
4)を製造した。得られた各ラテックス粒子の重合率は9
5〜99%で、平均粒径は0.20〜0.30μmの範囲内で且つ
単分散性が良好であった。
【0347】
【表10】
【0348】
【表11】
【0349】
【表12】
【0350】〔樹脂(P)の合成例〕 樹脂(P)の合成例1:(P−1) メチルメタクリレート80g、ジメチルシロキサンのマク
ロモノマー( FM−0725,チッソ(株)製、Mw1
×104)20g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流
下温度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4
時間反応し、更にA.I.B.N. 0.7gを加えて4時間反応し
た。得られた共重合体のMwは5.8×104であった。
【0351】
【化44】
【0352】樹脂(P)の合成例2〜9:(P−2)〜
(P−9) 樹脂(P)の合成例1において、メチルメタクリレート
及びマクロモノマー(FM−0725)の代わりに、下
記表−Eに記載の重合体成分に相当する各単量体を用い
た他は、合成例1と同様にして、各重合体を合成した。
得られた各重合体のMwは、4.5×104〜6×104の範囲
であった。
【0353】
【表13】
【0354】
【表14】
【0355】樹脂(P)の合成例10:(P−10) 2, 2, 3, 4, 4, 4−ヘキサフルオロブチルメタクリレー
ト60g、メチルメタクリレートのマクロモノマー(AA
−6){東亜合成化学(株)製、Mw1×104}40g、
ベンゾトリフルオリド200gの混合溶液を窒素気流下に
温度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4時
間反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて4時間反応し
た。得られた共重合体のMwは6.5×104であった。
【0356】
【化45】
【0357】樹脂(P)の合成例11〜12:(P−11)〜
(P−12) 樹脂(P)の合成例10において用いた単量体及びマクロ
モノマーの代わりに、下記表−Fに記載の重合体成分に
相当する各単量体及び各マクロモノマーを用いた他は、
合成例10と同様にして、各共重合体を合成した。得られ
た共重合体のMwは4.5×104〜6.5×104の範囲であっ
た。
【0358】
【表15】
【0359】樹脂(P)の合成例13:(P−13) メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート22g、
メタクリル酸1g及びトルエン200gの混合溶液を、窒
素気流下に温度80℃に加温した。これに下記構造の高分
子アゾビス開始剤(PI−1)10gを加えて8時間反応
した。反応終了後、メタノール1.5リットル中に再沈
し、得られた沈澱物を補集・乾燥して、収量75gでMw
3×104の共重合体を得た。
【0360】
【化46】
【0361】樹脂(P)の合成例14:(P−14) エチルメタクリレート50g、グリシジルメタクリレート
10g及びベンジル N,N−ジエチルジチオカーバメート4.
8gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃
に加温した。これに、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離
からガラスフィルターを通して、6時間光照射し光重合
した。これをテトラヒドロフラン100gに溶解し、更
に、下記単量体(m−1)40gを加えた後、窒素置換し
再び10時間光照射した。得られた反応物をメタノール1
リットルに再沈し、補集し乾燥した。得られた重合体
は、収量73gでMw4.8×104であった。
【0362】
【化47】
【0363】樹脂(P)の合成例15〜18:(P−15)〜
(P−18) 樹脂(P)の合成例14と同様にして、下記表−Gの各共
重合体を合成した。得られた重合体のMwは3.5×104
6×104の範囲であった。
【0364】
【表16】
【0365】樹脂(P)の合成例19:(P−19) 樹脂(P)の合成例14において、ベンジル N,N−ジエチ
ルジチオカーバメートの代わりに、下記構造の開始剤
(I−1)18gを用いた他は合成例14と同様に合成し、
Mw4.5×104の共重合体を得た。
【0366】
【化48】
【0367】樹脂(P)の合成例20:(P−20) メチルメタクリレート68g、メチルアクリレート22g、
グリシジルメタクリレート10g及び下記構造の開始剤
(I−2)17.5g及びテトラヒドロフラン150gの混合
溶液を窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に40
0Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルターを
通して10時間光照射し光重合した。得られた反応物をメ
タノール1リットル中に再沈し、沈殿物を補集し乾燥し
て、収量72gでMw4.0×104の重合体を得た。この重合
体70g、下記単量体(m−2)30g及びテトラヒドロフ
ラン100gの混合溶液を、窒素気流下に温度50℃とし、
上記と同条件で13時間光照射した。次にこの反応物をメ
タノール1.5リットル中に再沈し、沈殿物を捕集・乾燥
して収量78gでMw6×104の共重合体を得た。
【0368】
【化49】
【0369】樹脂(P)の合成例21〜25:(P−21)〜
(P−25) 樹脂(P)の合成例20において、開始剤(I−2)17.5
gの代わりに、下記表−Hの開始剤(I)0.031モルを
用いた他は、合成例20と同様の条件で操作した。得られ
た各重合体の収量は70〜80gでMw4×104〜6×104
であった。
【0370】
【表17】
【0371】
【表18】
【0372】〔樹脂粒子(PL)の合成例〕 樹脂粒子(PL)の合成例1:(PL−1) 下記構造の単量体(LM−1)40g、エチレングリコー
ルジメタクリレート2g、下記構造の分散安定用樹脂
(LP−1)4.0g及びメチルエチルケトン180gの混合
溶液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。A.
I.V.N. 0.3gを加え3時間反応した。更に、A.I.V.N.
0.1gを加えて4時間反応した。冷却後、200メッシュの
ナイロン布を通して白色分散物を得た平均粒子径0.25μ
mのラテックスであった。
【0373】
【化50】
【0374】樹脂粒子(PL)の合成例2:(PL−
2) 下記構造の分散安定用樹脂(LP−2)5g及びメチル
エチルケトン140gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しな
がら温度60℃に加温した。これに、下記構造の単量体
(LM−2)40g、エチレングリコールジアクリレート
1.5g、A.I.V.N.0.2g及びメチルエチルケトン40gの混
合溶液を1時間で滴下した。そのまま2時間反応後、更
にA.I.V.N. 0.1gを加え3時間反応して、白色分散物を
得た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通して得ら
れた分散物の平均粒径0.35μmであった。
【0375】
【化51】
【0376】樹脂粒子(PL)の合成例3〜6:(PL
−3)〜(PL−6) 樹脂粒子(PL)の合成例1において、単量体(LM−
1)、エチレングリコールジメタクリレート及びメチル
エチルケトンの代わりに下記表−Iの各化合物に代えた
他は、合成例1と同様にして樹脂粒子を製造した。得ら
れた各樹脂粒子の平均粒径は0.15〜0.30μmの範囲であ
った。
【0377】
【表19】
【0378】実施例1 X型無金属フタロシアニン{大日本インキ(株)製}2
g、下記構造の結着樹脂(B−1)14.4g、下記構造の
結着樹脂(B−2)3.6 g、下記構造の化合物(A)0.
15g及びテトラヒドロフラン80gの混合物を500mlのガ
ラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペイントシェーカ
ー(東洋精機製作所製)で60分間分散した後、ガラスビ
ーズを濾別して感光層分散液とした。
【0379】
【化52】
【0380】この分散液を脱脂処理を施した0.2mm厚の
アルミニウム板の上にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥
した後110℃循環式オーブンで20秒間加熱した。得られ
た感光層の膜厚は8μmであった。上記感光層上に下記
の剥離性表面層を設けた。
【0381】〈剥離性表面層の形成〉下記構造のシリコ
ン樹脂10g、下記構造の架橋剤1g、下記構造の架橋制
御剤0.2g、架橋用触媒として白金0.1g及びn−ヘキサ
ン100gからなる混合物をワイヤーラウンドロッドを用
いて塗布し、指触乾燥後120℃で10分間加熱し膜厚1.5μ
mの表面層を形成した。得られた表面の粘着力は1g・
f以下であった。
【0382】
【化53】
【0383】以上の様にして得られた表面剥離性電子写
真感光体を図2に示す様な装置に装着した。但し、第2
転写層(T2)も電着塗布法で形成すべく、ホットメルト
コーター13hの代わりに液体現像ユニットセット14
内に第2転写層用分散液を供給する電着ユニットを更に
設けた。一次レセプター20として、オフセット印刷用
ブランケット9600−A(粘着力80g・f/10mm幅、厚み
1.6mm、明治ゴム(株)製)を装着した。下記の樹脂
(A)分散液〔L−1〕を第1転写層(T1)形成用電着
ユニット13aに供給し、感光体上に湿式電着塗布法で
第1転写層(T1)12T1を形成した。
【0384】 ・樹脂(A)分散液〔L−1〕 樹脂粒子(AR−3) 5g(固形分量として) 樹脂粒子(AR−18) 5g(固形分量として) 荷電調節剤(D−1) 0.03 g オクタデシルビニルエーテル/t−オクチル マレイン酸半アミド(1/1モル比)共重合体 シリコンオイル 5g (KF−96、信越シリコーン(株)製) を全量で1リットルになる様にアイソパーHで調製した。
【0385】感光体の表面温度を赤外線ラインヒーター
で50℃に設定し、感光体ドラムを周速度10mm/秒で回転
させ、感光体表面にスリット電着装置を用いて樹脂
(A)分散液〔L−1〕を供給しながら、感光体側を接
地しスリット電着装置の電極側に150Vの電圧を印加し
て樹脂粒子を電着した。次いで吸排気ユニットを用いエ
アースクイズで分散溶媒を除き樹脂粒子を溶融・皮膜化
して熱可塑性樹脂からなる第1転写層(T1)12T1
形成した。このときの膜厚は1.5μmであった。
【0386】次いで、感光体表面温度50℃のまま、電子
写真プロセスにより感光体上にトナー画像の形成を行な
った。感光体11を暗所にてコロナ帯電装置18の下を
通過させ、+450Vにコロナ帯電をしたのち、あらかじ
め原稿からカラースキャナーにより読み取り、色分解
し、システム特有の幾つかの色再現に関わる補正を加え
た後、デジタル画像データとしてシステム内のハードデ
ィスクに記憶させてあった情報をもとに、露光装置19
として半導体レーザー描画装置を用いて788nmの光で感
光体上露光量が30erg/cm2になるように露光した。
【0387】下記の方法で液体現像剤〔LD−1〕を調
製した。 ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート65g、メチルアクリレート35g、
下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH 680gの
混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら温度65℃に加温し
た。これに、A.I.V.N. 1.2gを加え2時間反応し、更に
A.I.V.N. 0.5gを加えて2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応した。反応温度を90℃に上げ
て、30mmHgの減圧下に1時間攪拌し未反応単量体を除
去した。
【0388】
【化54】
【0389】室温に冷却後、200メッシュのナイロン布
を通して濾過して白色分散物を得た。分散物中の単量体
の反応率は95重量%、樹脂粒子の平均粒径は0.25μmで
且つ単分散性良好であった。
【0390】・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸(95/5重
量比)共重合体10g、ニグロシン10g及びアイソパーG
30gをガラスビーズと共にペイントシェーカー{東京精
機(株)製}に入れ、4時間分散してニグロシンの微小
な分散物を得た。
【0391】・液体現像剤の調製 上記トナー粒子の分散物45g、上記ニグロシンの分散物
25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシルアミド
(1/1モル比)共重合体0.2g及び分枝オクタデシル
アルコール(FOC−1800、日産化学(株)製)15gを
アイソパーGで1リットルに希釈することにより静電写
真用液体現像剤〔LD−1〕を作製した。
【0392】上記液体現像剤〔LD−1〕を用い、現像
電極に+400Vのバイアス電圧を印加し、露光部にトナ
ーが電着するように反転現像を行ない、ついでアイソパ
ーH単独浴でリンスして非画像部の汚れを除いた。
【0393】このトナー画像を有する第1転写層(T1)
上に、第1転写層(T1)の形成と同様にして第2転写層
(T2)を形成した。即ち、感光体の表面温度を50℃に保
ったまま、下記の樹脂(A)分散液〔L−2〕を液体現
像ユニットセット14内に設けた電着ユニットから供給
し、電着塗布法で膜厚1.5μmの第2転写層(T2)12
2を形成した。但し、感光体側に−130Vの電圧を印加
た。
【0394】 ・樹脂(A)分散液〔L−2〕 樹脂粒子(AR−19) 10g(固形分量として) 荷電調節剤(D−1) 0.025g 分枝テトラデシルアルコール 10g (FOC-1400、日産化学(株)製) を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調製した。
【0395】次に、表面温度50℃に設定された感光体
と、表面温度100℃に設定された一次レセプターを接触
させ、ニップ圧3.5kfg/cm2、ドラム周速度100mm/秒の
条件で加熱と加圧を行った。トナー画像は転写層ととも
に、一次レセプター上にすべて転写した。続けて、表面
温度100℃に設定したままの一次レセプターと、100℃に
設定された転写用バックアップローラー31及び温度設定
をしていない剥離用バックアップローラー32の間に、被
転写材30として富士PSプレートFPD(富士写真フイ
ルム(株)製)用アルミ支持体を導き、ニップ圧4kgf
/cm2、搬送速度100mm/秒として加熱と加圧を行いトナ
ー画像を転写層ごとアルミ支持体上に転写した。
【0396】この様にして得られたアルミ支持体上に複
写画像を有する平版印刷原版をRICOH FUSER モデル592
(リコー(株)製)を用いて更に加熱してトナー画像部
を十分に定着した後、200倍の光学顕微鏡を用いて目視
観察した。非画像部に地汚れは認められず、画像部にお
いては、細線・細文字や中間調部の網点等の高解像度域
の欠落・乱れは見られず複写画像として極めて良好なも
のであった。
【0397】次に、この平版印刷原版を不感脂化処理
(即ち転写層除去)して印刷版とし、その印刷性能を調
べた。印刷原版を温度35℃の下記不感脂化処理液〔E−
1〕中に20秒間浸漬して版面をゆるく毛ブラシでこすり
ながら第2転写層(T2)の全てと非画像部の第1転写層
(T1)を除去し、充分水洗した後、ガム引きしオフセッ
ト用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−1〕 PS版処理剤{DP−4、富士写真フィルム(株)製}
を蒸留水で50倍に希釈した溶液(pH12.5)
【0398】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて目視観察したところ、非画像部には転写層
の残存は認められず、且つ画像部の細線・細文字等の高
解像度域の欠落は認められなかった。
【0399】この印刷版を浸し水としてPS版用浸し水
(SG−23、東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に
希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてオリバ
ー94型{(株)桜井製作所製}を用い、印刷紙として中
性紙を使用して、各種オフセット印刷用色インキで印刷
した。その結果、色インキの種類にかかわらずいずれの
場合も、地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が6万
枚以上得られた。
【0400】更に、本発明の印刷版による印刷を行った
後、通常の操作のまま、次にPS版による印刷を行った
ところ何の問題も生じなかった。即ち、印刷機を同一に
して、PS版等の他のオフセット印刷版と容易に共用で
きる。
【0401】以上の様に、本発明によって供されるオフ
セット印刷版は、半導体レーザー光スキャニング露光方
式によって得られる画像再現性が極めて良好で且つそれ
が印刷物に良好に再現されること、色インキ適性が充分
で、インキ選択性がほとんどみられず、フルカラー印刷
が高耐刷性で得られること、他のオフセット印刷版と容
易に共用できること等、極めて優れた性能を示すことが
確認された。
【0402】上述のように、トナー画像形成に用いる液
体現像剤の種類あるいはトナー定着の条件によっては、
トナー画像部と被転写材との充分な密着性を保持し、印
刷時のトナー画像強度を維持するために、被転写材に転
写した後に密着性向上手段を用いてもよい。上記加熱定
着手段として、フラッシュ定着による方法、ヒートロー
ル定着による方法によっても同様の効果が得られた。
【0403】他方、以下の比較を実施した。 比較例1 実施例1において、第2転写層(T2)を設けない他は実
施例1と同様にして複写画像の形成を行なった。第1転
写層(T1)とトナー画像が完全に転写されず、感光体上
に転写残りを生じた。従って得られたアルミ支持体上の
複写画像には、トナー画像の欠落が見られた。そこで、
一次レセプターへの転写条件を感光体の表面温度90℃、
圧力5kgf/cm2及び転写速度10mm/秒に代えて行なった
所、アルミ支持体上にトナー画像及び第1転写層(T1)
ともに完全に転写し、画像の欠落・乱れも見られない、
実施例1とほぼ同等の複写画像が得られた。
【0404】比較例2 実施例1において、第1転写層(T1)を設けない他は実
施例1と同様にして複写画像の形成を行なった。得られ
た結果は、比較例1と同じで、転写が不完全なものでっ
た。そこで、一次レセプターへの転写条件を感光体表面
の温度80℃、圧力5kgf/cm2及び転写速度2mm/秒に代
えて行なった所、実施例1と同等の複写画像が得られ
た。このことは、本発明の方法により転写条件が緩和さ
れ且つ転写速度の向上が可能となることを示している。
【0405】実施例2 図3に示される様な装置(但し、第1転写層(T1)の形
成は電着塗布法で行うように変更)に電子写真感光体と
してアモルファスシリコン感光体{京セラ(株)製}を
装着した。感光体表面の粘着力は230g・fであった。感
光体への剥離性付与は同一装置内で本発明の化合物
(S)を溶解した溶液に浸漬させること(浸漬法)で行
なった。即ち、下記化合物(S−1)1.0gをアイソパ
ーG{エッソ(株)製}1リットル中に溶解した溶液を
入れた浴に感光体を周速10mm/秒の回転速度で回転し7
秒間触れる様にして処理し、エアースクイズで乾燥し
た。この様にして得られた感光体表面の粘着力は3g・
fと低下し、良好な剥離性を示した。
【0406】
【化55】
【0407】次に、感光体表面温度を50℃に設定し、感
光体を周速度100mm/秒で回転させ、感光体表面にスリ
ット電着装置を用いて下記の正荷電樹脂粒子を含む樹脂
(A)分散液〔L−3〕を供給し、感光体側を接地しス
リット電着装置の電極側に130Vの電圧を印加して樹脂
粒子を電着・定着して膜厚2.0μmの第1転写層(T1)
を形成した。
【0408】 ・樹脂(A)分散液〔L−3〕 樹脂粒子(ARW−1) 20g(固形分量として) 荷電調節剤(D−2) 0.06g 1-ヘキサデセン/N-デシルマレイン酸半アミド(1/1モル比)共重合体 分枝テトラデシルアルコール(FOC-1400) 5g をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調製した。
【0409】次に感光体の表面温度を50℃としたまま+
700Vにコロナ帯電した後、あらかじめ原稿からカラー
スキャナーにより読み取り、色分解しシステム特有の幾
つかの色再現に関わる補正を加えた後、デジタル画像デ
ータとしてシステム内のハードディスクに記憶させてあ
った情報をもとに半導体レーザーを用いて780nmの光で
露光した。露光部の電位は+220Vで未露光部は+600V
であった。
【0410】続いて現像ユニットに組み込まれているプ
レバス装置によりアイソパーG(エッソスタンダード石
油製)にてプレバスをしたのち、下記の液体現像剤〔L
D−2〕を現像ユニットから感光体へ供給し、現像ユニ
ット側へ+500Vの現像バイアス電圧を印加し、現像を
行なった。次いでアイソパーG単独浴中でリンスをして
非画像部の汚れを除き、吸排気ユニットにて乾燥した。
【0411】・液体現像剤〔LD−2〕 被覆用樹脂としてオクタデシルメタクリレート/メチル
メタクリレート(9/1モル比)共重合体及びカーボン
ブラック#40(三菱化成(株)製)を重量比2:1に
て充分に混合した後、140℃に加熱した三本ロールミル
にて溶融混練した。この混練物12g、スチレン/ブタジ
エン共重合体(ソルプレン1205、旭化成(株)製)
4g、アイソパーG76gよりなる混合物をダイノミルに
て分散した。これによって得たトナー濃厚液を固形分濃
度が6g/リットルとなるようにアイソパーGにて希釈
し、更にジオクチルスルホコハク酸ソーダを1×10-4
ル/リットルとるように添加して現像剤とした。
【0412】他方、一次レセプター20として、実施例
1で用いたブランケット9600−Aの表面にイソプレンゴ
ム100gに対して樹脂(P−2)1g及び無水フタル酸
0.001gからなる混合物を膜厚10μmに塗膜し、140℃で
2時間加熱して硬化膜を形成したもの(表面の粘着力は
110g・f)を用いた。
【0413】この一次レセプター20上に第2転写層
(T2)を第2転写層(T2)形成ユニット21を用いて熱
溶融塗布法により設けた。即ち、下記構造の樹脂(A−
1)を、90℃に設定したホットメルトコーターにより一
次レセプター表面へ20mm/秒の速度で塗布し、冷却空気
を吸排気ユニットから吹きつけて冷却した後、一次レセ
プター表面温度を80℃に保った。得られた第2転写層
(T2)の厚みは2.0μmであった。
【0414】
【化56】
【0415】第1転写層(T1)上にトナー画像を形成し
た感光体と、温度80℃に設定された第2転写層(T2)を
設けた一次レセプターとを接触させ、ニップ圧4kgf/c
m2、ドラム周速度100mm/秒の条件下で、トナー画像と
第1転写層(T1)とを一次レセプターの第2転写層(T
2)上に転写した。次に、実施例1で用いたと同様のFP
D用アルミ支持体を、トナー画像を有する一次レセプタ
ーと表面温度が常に100℃にコントロールされた加熱ゴ
ムローラー(転写用バックアップローラー31)の間を
4kgf/cm2の圧力下100mm/秒の搬送速度で通過させ、次
いで剥離用バックアップローラー32の下を通して両者
を剥離した。アルミ支持体上にトナー画像及び転写層の
いずれも完全に転写されており、200倍の光学顕微鏡で
目視観察したところ、トナー画像の欠落は全く認められ
なかった。
【0416】この印刷原版をフラッシュ定着方法でトナ
ー画像部を更に定着した後、温度30℃の下記処方の不感
脂化処理液〔E−2〕中に20秒間浸漬し、ゆるくこすり
ながら転写層を除去し、充分水洗した後、ガム引きして
オフセット用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−2〕 亜硫酸ナトリウム 85g N,N−ジメチルエタノールアミン 15g を蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH12.0に調整して全量を1リットル にしたもの
【0417】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて非画像部の転写層の有無及びトナー画像部
の欠落の有無を目視観察した。不感脂化処理性は良好
で、転写層は完全に除去され、地汚れは見られなかっ
た。また画像部の細文字、細線及び連続階調の中間部の
網点等の高精細な画像部においても、トナー画像の欠落
は認められず、画像部レジスト性は良好であった。この
印刷版を用いて実施例1と同様にしてオフセット印刷を
行った。各種オフセット印刷用色インキで印刷しても、
地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が6万枚以上得
られた。
【0418】実施例3 電子写真プロセスを行なう装置内で化合物(S)を適用
して、感光体表面に剥離性を付与する方法として、実施
例2の浸漬法に代えて以下の方法で行なった。
【0419】(1) 化合物(S)塗設部分110におい
て、感光体11に剥離性付与のため下記構造の化合物
(S−2):カルボキシ変性シリコンオイル(TSF4
770、東芝シリコン(株)製)のオイルを入れた浴に
接したシリコンゴム層を表面に有するメタリングロール
を感光体に接触させ、周速15mm/秒で両ドラムを20秒間
回転させた。この処理により感光体表面の粘着力は5g
・fとなった。
【0420】
【化57】
【0421】また、シリコンオイル浴に浸されたメタリ
ングロールと感光体の間にスチレン−ブタジエンゴム層
を表面に有するトランスファーロールを介して処理して
も、上記と同様の結果が得られた。更には、上記メタリ
ングロール/トランスファーロールを用いる方法におい
て、図5に示す様にメタリングロール112とトランス
ファーロール111の間に化合物(S−2)113を供
給する方法を化合物(S)付与部分110に適用しても
同様に良好な結果が得られた。
【0422】(2) 化合物(S−3):ジメチルシリコン
オイル(KF−96L−2.0、信越シリコーン(株)製)
2gを均一に含浸させたAW処理フェルト(厚み15mm×
巾20mmのウール材質)を感光体に押圧200gで圧接し、
感光体を周速20mm/秒で30秒間回転した。処理後の感光
体表面の粘着力は5g・fとなった。
【0423】(3) 加熱手段を内蔵したゴムローラーに化
合物(S−4):フッ素系界面活性剤(サーフロンS−
141、旭硝子(株)製)を含浸させた布を巻きつけ、
表面温度60℃に加熱した後、感光体と接触させ、両ドラ
ムを周速度20mm/秒で30秒間回転した。感光体表面の粘
着力は12g・fになった。
【0424】(4) 金属芯ローラーにシリコンゴムを巻い
たシリゴムローラー((株)金陽社製)を、感光体表面
にニップ圧500g・f/cm2で当接し、周速15mm/秒で10秒
間回転した。これにより感光体表面の粘着力は10g・f
に低下した。
【0425】これらの方法(1)〜(4)によって処理された
感光体を用い、実施例2と同様にしてトナー画像の形
成、一次レセプターを介して被転写材への転写、印刷版
の作成及び印刷を行なった。いずれも、実施例2と同様
に良好な結果が得られた。
【0426】実施例4 実施例2で用いたと同様のアモルファスシリコン感光体
を同様の装置に装着し、感光体への剥離性付与と第1転
写層(T1)の形成を同時に電着塗布法により行なった。
即ち、下記の樹脂(A)分散液〔L−4〕を用いて、実
施例2と同様の方法で感光体上に膜厚2.0μmの第1転
写層(T1)を形成した。 ・樹脂(A)分散液〔L−4〕 樹脂粒子(ARW−4) 10g(固形分量として) 下記の荷電調節剤(D−3) 0.02 g 下記の化合物(S−5) 0.8g を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調製した。
【0427】
【化58】
【0428】次いで、実施例2と同様にして、電子写真
プロセスで第1転写層(T1)上にトナー画像を形成し
た。
【0429】他方、一次レセプター20として以下のも
のを用いた。中空ローラー上にまずゴム硬度75度で厚さ
4mmの天然ゴムシート(コクゴ社(株)製)を固定し、
この上にメトキシメチル変性ナイロン樹脂(ダイアミド
MX-100、ダイセル(株)製)からなる2μmの樹脂層
を設け、更にこの上に下記の樹脂(a)10g、下記の樹
脂(b)0.1g、無水フタル酸 0.2g、o−クロロフェノ
ール0.02g及びテトラヒドロフラン70gからなる溶液を
膜厚3μmとなるように塗布し、温度120℃で2時間加
熱し、膜硬化を行って樹脂層を設けた。得られた一次レ
セプターの表面粘着力は120g・f であった。
【0430】
【化59】
【0431】この一次レセプター上に離型紙からの転写
法により第2転写層(T2)を形成した。即ち、離型紙と
してセパレート紙(王子製紙(株)製)を用い、この上
に、まず、比較的低ガラス転移点の樹脂(A)である下
記構造の樹脂(A−2)を1.5 μmの膜厚で塗膜形成
し、更にその上に比較的高ガラス転移点の樹脂(A)で
ある下記構造の樹脂(A−3)を1.0μmの膜厚で塗膜
形成した重層構成の第2転写層(T2)を設けた紙を、一
次レセプターに圧接し、ローラー圧力3kgf/cm2、表面
温度60℃及び通過スピード100mm/秒の条件下で一次レ
セプター表面上に膜厚2.5μmの第2転写層(T2)を形
成した。
【0432】
【化60】
【0433】この工程は、感光体上に第1転写層(T1)
を形成するのと併行して行う等感光体からのトナー画像
の転写に入る前までに終了させておくことにより、全工
程の時間短縮が可能となる。
【0434】次いで、感光体の表面温度を60℃とし、表
面温度80℃とした一次レセプターとニップ圧3.5kgf/cm2
となるように接触させ、ドラム周速度150mm/秒で一次レ
セプターにトナー画像及び第1転写層(T1)の転写を行
った。続けて、表面温度80℃とした一次レセプターと、
100℃に設定された転写用バックアップローラー及び20
℃に設定された剥離用バックアップローラーの間に、被
転写材であるFPD用アルミ支持体をニップ圧4.5kgf/c
m2及びドラム周速度100mm/秒で通過させ、アルミ支持体
上にトナー画像を転写層とともに完全に転写した。
【0435】このようにして得られた印刷原版をRICOH
FUSER モデル592(リコー(株)製)を用いて更に加熱し
てトナー部を十分に定着した後、200倍の光学顕微鏡を
用いて目視観察したところ、非画像部には地汚れは認め
られず、且つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠
落は認められなかった。
【0436】他方、樹脂(A)分散液〔L−4〕中の化
合物(S−5)を除いた電着液を用いて第1転写層(T
1)を設けたアモルファスシリコン感光体を用いて上記と
同様の操作を行ったが、得られたアルミ支持体上の画像
は著しい転写不良によるムラを生じていた。また、感光
体表面を観察したところ、トナー画像及び転写層の残存
が著しかった。このことは、本発明に従って剥離性付与
剤を転写層形成用電着液に含有させて処理することによ
り、感光体表面に電着液が触れると同時に液中に溶解し
ていた剥離性付与剤が優先的に吸着し、その後電気泳動
してきた樹脂粒子が付着又は吸着することによるものと
考えられる。
【0437】次に、本発明の印刷原版を温度35℃の下記
内容の不感脂化処理液〔E−3〕中に15秒間浸漬して版
面をゆるく毛ブラシでこすりながら転写層を除去し、充
分水洗した後、ガム引きし、平版用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−3〕 2−メルカプトプロピオン酸 80g N,N−ジメチルエタノールアミン 20g グリセリン 10g を蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH12.4に調整した全量1リットルの 水溶液
【0438】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて目視観察したところ、非画像部には転写層
の残存は認められず、且つ画像部の細線、細文字等の高
解像度域の欠落は認められなかった。この印刷版を用い
て実施例1と同様にして平版印刷した所、色インキの種
類にかかわらず、いずれの場合も6万枚以上の地汚れの
発生しない鮮明な画像の印刷物が得られた。
【0439】実施例5 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)1
g、下記構造の結着樹脂(B−3)8g、下記構造の化
合物(B)0.15g及びテトラヒドロフラン80gの混合物
を500mlのガラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペイ
ントシェーカー(東洋精機製作所製)で60分間分散し、
更にこれに樹脂(P−2)2g、無水フタル酸0.03g及
びo−クロロフェノール0.002gを加えて2分間分散し
た後、ガラスビーズを濾別して感光層分散液とした。
【0440】
【化61】
【0441】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.2m
m厚のアルミニウム板の上にワイヤーバーで塗布し、指
触乾燥した後、110℃の循環式オーブンで20秒間加熱
し、更に140℃で1時間加熱した。得られた感光層の膜
厚は8μmであった。感光体表面の粘着力は3g・fで
あった。
【0442】他方、比較として、上記感光体において、
樹脂(P−2)2gを除き、樹脂(B−3)10gを用い
た他は全く同様にして電子写真感光体を作成したとこ
ろ、表面の粘着力は420g・fで、全く剥離性を示さな
かった。
【0443】次に、この感光体を図3に示す様な装置に
装填し、まず、第1転写層(T1)12T1を電着塗布法
により形成した。即ち、感光体表面温度を60℃とし、且
つ、感光体を周速度100mm /秒で回転させ感光体表面に
スリット電着装置を用いて下記の正荷電樹脂粒子を含む
樹脂(A)分散液〔L−5〕を供給しながら、感光体側
を接地しスリット電着装置の電極側に150Vの電圧を印
加して樹脂粒子を電着・定着し、膜厚1.5μmの第1転
写層(T1)を形成した。
【0444】 ・樹脂(A)分散液〔L−5〕 樹脂粒子(AR−5) 12g(固形分量として) 樹脂粒子(AR−20) 8g(固形分量として) 荷電調節剤(D−4) 0.02g オクタデシルビニルエーテル/N−ヘキサデシルマレイン酸 半アミド(1/1モル比)共重合体 荷電調整補助剤 0.1g ドデシルメタクリレート/メタクリル酸(94/6重量比)共重合体 をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調製した。
【0445】他方、一次レセプター20としてオフセッ
ト印刷用ブランケット9600−Aをドラムに装着し、第2
転写層形成ユニット21である湿式電着ユニットを用い
て湿式電着塗布法で二層構成の第2転写層(T2)12T
2を形成した。即ち、まず一次レセプターを−120Vに帯
電し、下記の樹脂(A)分散液〔L−6〕を用いて樹脂
粒子を電着し、膜厚1.5μmの第1の層を形成した。次
にこの上に樹脂(A)分散液〔L−7〕を用いて−180
Vに帯電して樹脂粒子を電着し、膜厚2μmの第2の層
を形成した。
【0446】 ・樹脂(A)分散液〔L−6〕 樹脂粒子(ARW−2) 15g(固形分量として) 荷電調節剤(D−2) 0.038g 分岐テトラデシルアルコール(FOC-1400) 8g を全量で1.0リットルになるようにアイソパーGで調製した。 ・樹脂(A)分散液〔L−7〕 上記樹脂(A)分散液〔L−6〕において、樹脂粒子
(ARW−2)の代わりに樹脂粒子(AR−21)を用い
た他は全く同様にして調製した。トナー画像に接する一
次レセプター上の第2転写層(T2)の第2の層が低ガラ
ス転移点からなる樹脂で構成されている。
【0447】次に、実施例1と同様にして感光体の第1
転写層(T1)上に電子写真プロセスによりトナー画像を
形成した。続いて感光体の表面温度60℃に、一次レセプ
ターの表面温度を90℃に調節し、感光体と一次レセプタ
ーとをニップ圧3.5kgf/cm2、ドラム周速度120mm/秒の条
件で圧接して、第1転写層ごとトナー画像を一次レセプ
ターの第2転写層上に転写した。次に、温度90℃に調節
した転写用バックアップローラーと一次レセプターの間
をストレートマスター(三菱製紙(株)製)をニップ圧
力3kgf/cm2、搬送スピード150mm/秒の条件で通過さ
せ、すぐに一次レセプターとストレートマスターと分離
して第1転写層、トナー画像及び第2転写層をストレー
トマスターに転写した。
【0448】この時ストレートマスターに転写した画像
を目視評価した所、転写前の感光体上の複写画像と変わ
りなく、画像の劣化は認められなかった。また、転写後
の感光体の表面には、第1転写層の残存は全く認められ
ず、転写性は極めて良好であった。
【0449】次に、この印刷原版を温度35℃の下記不
感脂化処理液〔E−4〕中に20秒間浸漬して版面をゆ
るく毛ブラシでこすりながら処理して印刷版とし、その
印刷性能を調べた。 ・不感脂化処理液〔E−4〕 メルカプトプロピオン酸 8g ネオソープ{松本油脂(株)製} 5g N,N−ジメチルアセトアミド 10g を蒸留水で希釈し全量を1リットルにした後水酸化ナトリウムでpH12.5に調 整したもの。
【0450】この印刷版を浸し水としてPS版用浸し水
(SG−23、東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に
希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてリョー
ビ3200MCD型{リョービ(株)製}を用い、印刷紙と
して中性紙を使用して、各種平版印刷用色インキで印刷
した。その結果、色インキの種類にかかわらず、いずれ
の場合も、地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が千
枚以上得られた。
【0451】実施例6 実施例1において、感光体上への第1転写層の形成法と
して用いた電着塗布法の代わりに、図4に示す様な離型
紙からの転写法を適用した。即ち、離型紙24として、
セパレート紙(王子製紙(株)製)を用い、この上に、
下記樹脂(A−4)及び樹脂(A−5)の1/1重量比
から成る混合物を1.5μmの膜厚で塗膜形成した紙を、
実施例1と同様の感光体に、ローラー圧力3kgf/cm2
表面温度60℃及び通過スピード50mm/秒の条件下で圧接
し、感光体上に膜厚1.5μmの第1転写層(T1)を形成
した。トナー画像上への第2転写層(T2)の形成も上記
と同様に行う以外は実施例1と同様に操作して印刷版を
作成した。得られた印刷物の画像及び耐刷枚数は実施例
1と同様に良好であった。
【0452】
【化62】
【0453】実施例7〜20 実施例1において、第1転写層用樹脂粒子(AR−3/
AR−18)及び第2転写層用樹脂粒子(AR−19)の代
わりに、下記表−Jの各樹脂粒子を用いて、第1転写層
及び第2転写層の膜厚を各々1.25μmとなる様にして転
写層を形成した他は実施例1と同様に操作して印刷版の
作成及び平版印刷を行なった。各印刷版からは地汚れの
ない鮮明な画像の印刷物が6万枚以上得られ、実施例1
と同様に良好な性能であった。
【0454】
【表20】
【0455】実施例21 アモルファスシリコン感光体{京セラ(株)製}を予め
下記化合物(S−6)を付与して感光体表面の粘着力を
2g・fとし、良好な剥離性をもつ様に表面処理した。
【0456】
【化63】
【0457】上記感光体を装置に装着し、感光体上に膜
厚2μmの第1転写層(T1)を熱溶融塗布法によって形
成した。即ち、赤外線ラインヒーターの下を通過させ
て、表面温度を放射温度計で測定してほぼ60℃にしたの
ち、転写層用樹脂として下記構造の樹脂(A−6)及び
樹脂(A−7)との5/1重量比から成る混合物を用い
100℃設定のホットメルトコーターにより、20mm/秒の
スピードで塗布をし、冷却空気を吸排気ユニットから吹
き付けて冷却して、第1転写層(T1)を形成した。
【0458】
【化64】
【0459】以下実施例2と同様にしてトナー画像の形
成、第2転写層の形成、転写、印刷版の作成、オフセッ
ト印刷を行った。色インキの種類にかかわらず、いずれ
の場合も地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が6万
枚以上得られた。
【0460】実施例22〜25 実施例2において、第2転写層(T2)の形成に用いた樹
脂(A−1)の代わりに下記表−Kの各樹脂(A)を用
いた他は実施例2と同様にして印刷版を作成し、平版印
刷を行った。いずれも実施例2と同等の良好な結果を示
した。
【0461】
【表21】
【0462】実施例26〜29 実施例4において、セパレート紙上に転写層を設けた紙
の代わりに、離型紙サンリリース(山陽国策パルプ
(株)製)上に膜厚1.3μmの下記表−Lの各樹脂
(A)からなる転写層を設けた紙を用いた他は実施例4
と同様にして印刷版を作成し、平版印刷を行った。その
結果、色インキの種類にかかわらず、地汚れの発生しな
い鮮明な画像の印刷物が6万枚以上得られた。
【0463】
【表22】
【0464】実施例30〜37 実施例5において、樹脂(P−2)2gの代わりに、下
記表−Mの樹脂(P)及び/又は樹脂粒子(PL)を各
々用いた他は、実施例5と同様に操作して印刷版を作成
し、印刷を行なった。各印刷版から得られた印刷物の画
質及び耐刷性は実施例5と同様に良好であった。
【0465】
【表23】
【0466】実施例38〜47 実施例5において、樹脂(P−2)、無水フタル酸及び
o−クロロフェノールの代わりに、下記表−Nの各化合
物を用いた他は、実施例5と同様に操作して印刷版を作
成し、印刷を行なった。各印刷版から得られた印刷物の
画質及び耐刷性は実施例5と同様に良好であった。
【0467】
【表24】
【0468】実施例48 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂(B−
4)20g、下記構造の結着樹脂(B−5)3g、樹脂
(P−1)3g、ウラニン0.01g、ローズベンガル−0.
02g、ブロムフェノールブルー0.01g、無水マレイン酸
0.15g及びトルエン150gの混合物をホモジナイザー
(日本精機(株)製)に入れ、回転数9×103r.p.m.で1
0分間分散した。
【0469】
【化65】
【0470】次いでこの分散液を導電処理及び耐溶剤処
理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上に塗布量2
0g/m2となる様にワイヤーバーで塗布し、110℃で15秒
間加熱した。この様にして得られた感光体表面の粘着力
を測定したところ4g・fであった。
【0471】この感光体に以下の様にして第1転写層
(T1)の形成を行った。即ち、下記の樹脂(A)分散液
〔L−8〕を用い、感光体を−150Vに帯電して樹脂粒
子を電着して、膜厚2μmの第1転写層(T1)を形成し
た。 ・樹脂(A)分散液〔L−8〕 樹脂粒子(ARW−2) 20g(固形分量として) 荷電調節剤(D−2) 0.035g 分枝テトラデシルアルコール(FOC-1400) 15g を全量1リットルになるようにアイソパーGで調製した。
【0472】この感光体を表面電位−600Vになるよう
に帯電後、400W出力のハロゲンランプを用いて7秒間
面露光方式で露光した後、現像部のバイアス電圧を100
Vに設定し液体現像剤(ELP−Tトナー、富士写真フ
イルム(株)製)を用いて現像し、次にアイソパーGの
リンス浴を通してリンスを行い、ヒートロールで画像を
定着した。
【0473】続いて、前記樹脂(A)分散液〔L−8〕
において、樹脂粒子(ARW−2)20gの代わりに樹脂
粒子(ARW−8)20gを用いた他は同じ組成の樹脂
(A)分散液〔L−9〕を用いて膜厚2μmの第2転写
層(T2)を形成した。感光体の表面温度を60℃に、実施
例1で用いたと同様の一次レセプターの表面温度を80℃
に調節し、感光体と一次レセプターとをニップ圧3.5kgf
/cm 2、ドラム周速150mm/秒の条件で圧接して、転写層
ごとトナー画像を一次レセプターに転写した。
【0474】次に、温度90℃に調節した転写用バックア
ップゴムローラーと一次レセプターの間にストレートマ
スター(三菱製紙(株)製)をニップ圧力3kgf/cm2
搬送スピード150mm/秒で通過させ、すぐに一次レセプタ
ーとストレートマスターを分離し、トナー画像を転写層
ごとストレートマスター上に転写した。この時ストレー
トマスターに転写した画像を目視評価した所、転写前の
感光体上の複写画像と変わりなく、画像の劣化は認めら
れなかった。また、転写後の感光体の表面には、第1転
写層の残存は全く認められず、転写性は極めて良好であ
った。
【0475】他方、比較として、上記感光体において、
樹脂(P−1)3gを用いない他は全く同様にして電子
写真感光体を作成したところ、表面の粘着力は400g・
f以上であった。上記と同様に転写層を付与して転写さ
せたところ、感光体表面と転写層との界面での剥離性を
全く示さなかった。
【0476】次に、本発明の印刷原版を下記内容の不感
脂化処理液〔E−5〕に温度35℃にて20秒間ゆるくブラ
ッシングしながら浸漬して転写層を除去し、充分水洗し
た。 ・不感脂化処理液〔E−5〕 メルカプトエタンスルホン酸 10g ネオソープ{松本油脂(株)製} 5g N,N−ジメチルアセトアミド 10g を蒸留水で希釈し全量を1リットルにした後水酸化ナトリウムでpH12.5に調 整したもの。
【0477】この様にして得られた印刷版を200倍の光
学顕微鏡を用いて目視観察したところ、非画像部には転
写層の残存は認められず、また画像部の細線・細文字等
の高解像度域の欠落は認められなかった。
【0478】この印刷版を浸し水としてPS版用浸し水
(SG−23、東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に
希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてリョー
ビ3200MCD型{リョービ(株)製}を用い、印刷紙と
して中性紙を使用して、各種平版印刷用色インキで印刷
した。その結果、色インキの種類にかかわらず、いずれ
の場合も、地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が千
枚以上得られた。
【0479】他方、酸化亜鉛を用いた電子写真感光体
を、酸性条件下でキレート化剤を主剤とする不感脂化液
で不感脂化して平版印刷版とする公知のシステムでは、
中性紙を印刷用紙として使用すると、数百枚の印刷で非
画像部に地汚れが発生し、また墨以外の平版印刷用色イ
ンキを用いるとやはり数百枚程度で地汚れが発生した。
以上のように、本発明の平版印刷版の作成方法は、同じ
酸化亜鉛感光体を利用しながらも、従来の方式とは異な
り、極めて良好な印刷性能を示す印刷版が得られること
が判った。
【0480】実施例49 有機光導電性物質として、4, 4′−ビス(ジエチルアミ
ノ)−2, 2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、下記
構造の結着樹脂(B−6)4g、樹脂(P−17)0.4
g、下記構造の色素(D−1)40mg、化学増感剤として
下記構造のアニリド化合物(C)0.2gを、メチレンク
ロライド30mlとエチレンクロライド30mlとの混合物に溶
解し、感光層分散液とした。
【0481】
【化66】
【0482】この感光層分散液をワイヤーラウンドロッ
ドを用いて導電性透明支持体(厚さ100μmのポリエチ
レンテレフタレート支持体上に酸化インジウムの蒸着膜
を有する。表面抵抗103Ω)上に塗布して約4μmの感
光層を有する有機薄膜を得た。感光体表面の粘着力は8
g・fであった。この感光体を用いた他は実施例1と同
様に操作して印刷版を形成し、印刷を行った。得られた
印刷物上の画像は地カブリのない鮮明なもので、且つ、
耐刷性も実施例1と同様に良好であった。
【0483】実施例50 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95g
及びポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績(株)
製)5gの混合物をボールミル中で充分に粉砕した。こ
の混合物を取り出し、攪拌下テトラヒドロフラン520g
を加えた。この分散物をワイヤーラウンドロッドを用い
て実施例49で用いた導電性透明支持体上に塗布して約
0.7μmの電荷発生層を形成した。
【0484】
【化67】
【0485】次に、下記構造のヒドラゾン化合物20g、
ポリカーボネート樹脂(レキサン121、GE社製)20
g及びテトラヒドロフラン160gの混合溶液をワイヤラ
ウンドロッドを用いて上記電荷発生層の上に塗布し、60
℃で30秒間乾燥し更に100℃で20秒間加熱して約18μm
の電荷輸送層を形成して二層から成る感光層を有する電
子写真感光体を得た。
【0486】
【化68】
【0487】更に、この感光層の上に剥離性を付与する
ための表面層を形成するために、下記樹脂(P−26)13
g、無水フタル酸0.2g、o−クロロフェノール0.002g
及びトルエン100 gの混合溶液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて膜厚1μmになる様に塗布し、指触乾燥
後、更に120℃で1時間加熱した。得られた感光体表面
の粘着力は5g・fであった。この感光材料を暗所で表
面電位−500Vに帯電させた後、He−Neレーザーを
用いて633nmの光で、版面での露光量が30erg/cm2にな
るように露光した他は、実施例1と同様に操作して印刷
版を作成し、平版印刷を行った。実施例1と同等の良好
な結果が得られた。
【0488】
【化69】
【0489】実施例51〜56 実施例2において、化合物(S−1)1.0g/リットル
の代わりに下記表−Oの各化合物(S)を用いた他は実
施例2と全く同様にして印刷物を得た。実施例2と全く
同様の良好な性能であった。即ち、これらの化合物
(S)を用いることで感光体表面の剥離性が有効に発現
した。
【0490】
【表25】
【0491】
【表26】
【0492】実施例57〜68 実施例1〜56で作成した被転写材に転写後の印刷原版
を用いて、不感脂化処理を下記の様に操作して平版印刷
版を作成した。下記表−Pの求核性化合物0.2モル、有
機化合物30g及びニューコールB4SN{日本乳化剤
(株)製}2gに蒸留水を加え1リットルとした後pH
を12.5に調整した。印刷原版をこの処理液中に温度30℃
で20秒間浸漬し、ゆるくこすりながら不感脂化処理を行
った。得られた印刷版を用いて実施例1と同様の印刷条
件で印刷した。各印刷版とも実施例1と同等の良好な性
能を示した。
【0493】
【表27】
【0494】
【発明の効果】本発明によれば、転写層の膜厚が薄く、
転写時の条件が低温あるいは低転写圧に緩和されたり、
転写スピードが高速化されても依然転写層及びトナー画
像を良好に被転写材に転写することができ、良好な製版
画質を得ることができる。また、トナー画像面積率が多
くても、被転写材とトナー画像部との密着性が良好で、
用いた画像用トナーの種類によらず転写性が良好であ
る。特に、穏和な転写条件下で高速転写しても製版画質
及び印刷画質が良好で、長期間連続して処理しても、安
定した性能の印刷版を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】感光体上への第1及び第2転写層形成法として
電着塗布法及び熱溶融塗布法を用い、一次レセプターと
して無端ベルト方式を用いた電子写真製版印刷原版作成
装置例を示す図である。
【図3】第1転写層形成法として熱溶融塗布法を用い、
ドラム方式の一次レセプターへの第2転写層形成装置を
有する電子写真製版印刷原版作成装置例を示す図であ
る。
【図4】転写法を用いて第1転写層を感光体上に形成す
る部分装置例を示す図である。
【図5】化合物(S)を感光体表面に適用する装置例を
示す図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 感光層 3 トナー画像 10 化合物(S)付与ユニット 11 感光体 12T1 第1転写層(T1) 12T2 第2転写層(T2) 12a 第1転写層(T1)形成用樹脂 13a 第1転写層(T1)形成用電着ユニット 13h ホットメルトコーター 13w ホットメルトコーター待機位置 14 液体現像ユニットセット 14L 液体現像ユニット 14R スクイズ装置 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 加熱手段 17 温度調節手段 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 20 一次レセプター 21 第2転写層(T2)形成ユニット 24 剥離紙 25a 加熱手段 25b 加熱ローラー 25c 冷却ローラー 30 被転写材 31 転写用バックアップローラー 32 剥離用バックアップローラー 100 感光体への転写部分 110 化合物(S)付与部分 111 トランスファーロール 112 メタリングロール 113 化合物(S) 120 第2転写層(T2)形成部分 130 被転写材への転写部分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真感光体表面に、化学反応処理で
    除去可能な樹脂(A)を主として含有する剥離可能な第
    1転写層(T1)を設け、この層の上に電子写真プロセス
    でトナー画像を形成した後、下記の(i)又は(ii)の
    方法で、トナー画像を一次レセプターに転写した後、印
    刷時に平版印刷可能な親水性表面となる最終被転写材に
    トナー画像を転写層ごと一括転写し、次いで、転写され
    た被転写材の第2転写層(T2)及び非画像部の第1転写
    層(T1)を化学反応処理により除去することを特徴とす
    る電子写真式製版印刷版の作成方法。 方法(i):トナー画像上に樹脂(A)を主として含有
    する剥離可能な第2転写層(T2)を形成した後、一次レ
    セプター上にトナー画像と転写層を一括転写する。 方法(ii):樹脂(A)を主として含有する剥離可能な
    第2転写層(T2)を設けた一次レセプター上に、トナー
    画像と第1転写層(T1)を一括転写する。
  2. 【請求項2】 転写層を構成する化学反応処理で除去可
    能な樹脂(A)が、ガラス転移点140℃以下又は軟化
    点180℃以下の樹脂であり、更に、第1転写層(T1)
    に主として含有される樹脂(A1)がガラス転移点30℃
    〜140℃又は軟化点35℃〜180℃の樹脂(A
    1H)から少なくとも構成され、第2転写層(T2)に主
    として含有される樹脂(A2)がガラス転移点45℃以下
    又は軟化点50℃以下の樹脂(A2L)から少なくとも
    構成され、且つ、樹脂(A1H)と樹脂(A2L)のガラ
    ス転移点又は軟化点の差が2℃以上であることを特徴と
    する請求項1記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。
  3. 【請求項3】 第1転写層(T1)に主として含有される
    樹脂(A1)が、ガラス転移点30℃〜140℃又は軟化
    点35℃〜180℃の樹脂(A1H)及びガラス転移点
    40℃以下又は軟化点45℃以下の樹脂(A1L)から
    少なくとも構成され、且つ樹脂(A1H)と樹脂(A
    1L)のガラス転移点又は軟化点の差が2℃以上である
    ことを特徴とする請求項2記載の電子写真式製版印刷版
    の作成方法。
  4. 【請求項4】 剥離可能な第1転写層(T1)及び第2転
    写層(T2)が、熱溶融塗布法、電着塗布法及び転写法の
    うちの少なくともいずれかの方法により形成されること
    を特徴とする請求項1記載の電子写真式製版印刷版の作
    成方法。
  5. 【請求項5】 電子写真感光体の表面が、少なくとも第
    1転写層(T1)が形成される時には、JIS Z023
    7−1980の「粘着テープ・粘着シート試験方法」に
    よる粘着力が100gram・force 以下であることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真式製版
    印刷版の作成方法。
  6. 【請求項6】 第1転写層(T1)及び第2転写層(T2)
    に主として含有される樹脂(A)が、それぞれ下記の重
    合体成分(a)及び重合体成分(b)のうちの少なくと
    も一つを含有することを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。 重合体成分(a):−CO2H基、−CHO基、−SO3
    H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1 は−
    OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表
    わす)基を表わす}基、フェノール性OH基、環状酸無
    水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭化水素基を表
    わす)基及び−CONHSO23基のうちの少なくとも
    1つの基を含有する重合体成分 重合体成分(b):化学反応で−CO2H基、−CHO
    基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R
    1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化
    水素基を表わす)基を表わす}基及び−OH基のうちの
    少なくとも1つの基を生成する官能基を少なくとも1種
    含有する重合体成分
JP3672696A 1995-02-24 1996-02-23 電子写真式製版印刷版の作成方法 Pending JPH08292611A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3672696A JPH08292611A (ja) 1995-02-24 1996-02-23 電子写真式製版印刷版の作成方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-60079 1995-02-24
JP6007995 1995-02-24
JP3672696A JPH08292611A (ja) 1995-02-24 1996-02-23 電子写真式製版印刷版の作成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08292611A true JPH08292611A (ja) 1996-11-05

Family

ID=26375817

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3672696A Pending JPH08292611A (ja) 1995-02-24 1996-02-23 電子写真式製版印刷版の作成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08292611A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020516675A (ja) * 2017-04-17 2020-06-11 ザ・ユニバーシティ・オブ・シカゴThe University Of Chicago ヒトの健康及び疾患の治療用途向けの短鎖脂肪酸の腸への送達用ポリマー材料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020516675A (ja) * 2017-04-17 2020-06-11 ザ・ユニバーシティ・オブ・シカゴThe University Of Chicago ヒトの健康及び疾患の治療用途向けの短鎖脂肪酸の腸への送達用ポリマー材料
US11633486B2 (en) 2017-04-17 2023-04-25 The University Of Chicago Polymer materials for delivery of short-chain fatty acids to the intestine for applications in human health and treatment of disease

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3278241B2 (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
EP0679957B1 (en) Method for the preparation of a printing plate by an electrophotographic process
US5589308A (en) Method for preparation of printing plate by electrophotographic process
US5607533A (en) Method for preparation of printing plate by electrophotographic process and apparatus for use therein
US5648190A (en) Method of forming color images and apparatus used therefor
JPH0954463A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
US5601958A (en) Method for preparation of printing plate by electrophotographic process
JPH08194341A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
US5597672A (en) Method for preparation of printing plate by electrophotographic process
US5648191A (en) Method for preparation of printing plate by electrophotographic process
JP3620655B2 (ja) 電子写真式印刷版の作成方法
JP3315207B2 (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
US5800954A (en) Method of forming color images and apparatus used therefor
JPH0850380A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法及び印刷原版作成装置
JPH08234503A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
JPH08292611A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
JPH09304975A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法及びその装置
US5691094A (en) Method for preparation of printing plate by electrophotographic process and apparatus for use therein
JP3278250B2 (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
EP0692743B1 (en) Method for forming color image and apparatus used therefor
JPH09146336A (ja) カラー画像形成方法
JP3180967B2 (ja) 電子写真転写方法
JPH08211661A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
JPH0869135A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法
JPH07181751A (ja) 電子写真式製版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置