JPH07181751A - 電子写真式製版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置 - Google Patents

電子写真式製版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置

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JPH07181751A
JPH07181751A JP29907794A JP29907794A JPH07181751A JP H07181751 A JPH07181751 A JP H07181751A JP 29907794 A JP29907794 A JP 29907794A JP 29907794 A JP29907794 A JP 29907794A JP H07181751 A JPH07181751 A JP H07181751A
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electrophotographic
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polymer
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Application number
JP29907794A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 電子写真プロセスで剥離性表面を有する電子
写真感光体11上にトナー画像5を形成し、化学反応処理
で除去可能な剥離性転写層22を設けた一次レセプター20
上にトナー画像5を転写し、一次レセプター20上のトナ
ー画像5を転写層22ごと印刷時に平版印刷可能な親水性
表面となる被転写材30に転写し、転写された被転写材30
の転写層22を化学反応処理により除去して電子写真式製
版印刷版を作成する。 【効果】 製版画質及び印刷画質が良好で、長期間且つ
連続して処理しても、安定した性能の印刷版を得ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体を利用し
た平版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置に関し、
更に詳細には、製版画質及び印刷画質が良好な電子写真
式製版印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】今日、平版オフセット印刷版としては、
ジアゾ化合物とフェノール樹脂を主成分とするポジ型感
光剤や、アクリル系モノマーやプレポリマーを主成分と
するネガ型感光剤を用いるPS版などが実用化されてい
るが、これらはすべて低感度のため、あらかじめ画像記
録されたフィルム原版を密着露光して製版を行う必要が
ある。
【0003】一方、コンピューター画像処理と大容量デ
ータの保存及びデータ通信技術の進歩によって、近年で
は、原稿入力、補正、編集、割付から頁組まで一貫して
コンピューター操作され、高速通信網や衛生通信により
即時遠隔地の末端プロッターに出力できる電子編集シス
テムが実用化している。特に、即時性の要求される新聞
印刷分野において電子編集システムの要求度は高い。ま
た、オリジナルが原版フィルムの形で保存され、これを
もとに必要に応じて印刷版が複製されている分野におい
ても、光ディスクなどの超大容量記録メディアにデジタ
ルデータとして保存されるようになると考えられる。
【0004】しかしながら、末端プロッターの出力から
直接印刷版を作成する直接型印刷版はほとんど実用化さ
れておらず、電子編集システムの稼動しているところで
も出力は銀塩写真フィルムに行われ、これをもとに間接
的にPS版へ密着露光により印刷版が作成されているの
が実状である。これは、出力プロッターの光源(例え
ば、He−Neレーザー、半導体レーザーなど)により
実用的な時間内に印刷版を作成できるだけの高い感度を
有する直接型印刷版の開発が困難であることも1つの原
因であった。
【0005】直接型印刷版を提供し得る高い光感度を有
する感光体として電子写真感光体が考えられる。その1
つとして、光導電性酸化亜鉛を用いた電子写真感光体
を、電子写真プロセスでトナー画像形成後、非画像部を
不感脂化処理液で不感脂化して印刷版として用いる電子
写真式平版印刷用原版のシステムにおいて、半導体レー
ザー光に対して高感度を示す感光体を用いて対応する方
式が提案されている。例えば、特定の分光増感色素と組
み合わせるものとして、特公平2−28143号、特開
昭63−124054号、同63−241561号、同
63−264763号各公報などに記載の技術が挙げら
れ、更に、光導電層の結着樹脂を改良して、光感度化と
非画像部の地汚れ低下(即ち保水性の向上)を達成する
ものとして、例えば特開昭63−220148号、特開
平1−116643号、同2−69759号各公報に記
載の技術が提案されている。
【0006】しかしながら、印刷版とするために酸化亜
鉛を不感脂化反応して親水性を発現させることを原理と
するために、専用の不感脂化処理液及び浸し水を用いる
ことから、特定の色インキしか使えない、印刷用紙とし
て中性紙を用いると耐刷性が極端に低下する、PS版を
用いている印刷機を併用する際、印刷機を充分に清掃し
ないと共用できない等の種々の制約を生じてしまう。
【0007】また、他の電子写真式平版印刷用原版とし
て、トナー画像形成後、非画像部の光導電層の除去を行
う方式が知られている。例えば、特公昭37−1716
2号、同38−6961号、同38−7758号、同4
1−2426号、同46−39405号、特開昭50−
19509号、同50−19510号、同52−243
7号、同54−145538号、同54−134632
号、同55−105254号、同55−153948
号、同55−161250号、同57−147656
号、同57−161863号等に記載の電子写真式製版
用印刷原版が挙げられる。
【0008】電子写真感光体を印刷版として使用するに
は、非画像部をエッチングで除去し親水性の面を露出さ
せる必要があるため、結合樹脂としてアルカリ性溶剤に
溶解するか又は膨潤して脱離する結合樹脂を用いること
が多い。通常、電子写真感光体の結合樹脂として広く用
いられているポリカーボネート樹脂等に比べて、これら
のアルカリ性溶剤に溶解又は分散する樹脂は有機光導電
性化合物との相溶性が悪く、このため有機光導電性化合
物の電子写真感光層への導入量が制限される。光導電層
中で表面電位を打ち消すのに充分なキャリアーが発生し
ていても、有機光導電性化合物の光導電層中での含有量
が低いと、光導電層中でのキャリアーの移動速度が低下
し表面電位の減衰速度すなわち応答速度が低下する。こ
のため、露光終了後、表面電位がかぶりを与えない程度
まで充分減衰しトナー現像を開始できるまでの時間が長
くなる。プロセス時間をできるだけ短くするために、露
光照度をあげて露光時間を短くしているほどこの応答時
間は長くなる。したがって応答速度の速さは、全プロセ
ス時間の短縮の大きな妨げになっている。
【0009】また、レーザー光源などの高照度光源によ
って走査露光を行う場合には別の問題を生じる。すなわ
ち、応答速度が遅いと、書き込み開始部と、書き込み終
了部では表面電位の減衰率が異なってくるため、書き込
み開始部ではかぶりはないが、書き込み終了部ではかぶ
りの多い画像ができあがり、印刷版の作成に不都合を生
じる現象が発生するのである。
【0010】電子写真式製版用印刷原版に用いられてい
る従来公知の結合樹脂としては、特公昭41−2426
号、同37−17162号、同38−6961号、特開
昭52−2437号、同54−19803号、同54−
134632号、同55−105254号、同50−1
9509号、同50−19510号各公報等に記載の、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−クロ
トン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、フェノール樹脂等が知られている。
【0011】しかしながら、これらを有機光導電性化合
物を使用した電子写真式製版用印刷原版に用いたときは
種々の問題点を有していることが既に知られている。す
なわち、スチレン−無水マレイン酸共重合体を結合樹脂
とした場合は形成皮膜が硬く印刷版を湾曲させたときに
ひび割れを生じることがある。また、膜の接着性に乏し
く多数枚の印刷に耐えられない。フェノール樹脂を結合
樹脂として用いた場合は、形成皮膜が脆弱で、耐刷性が
悪い。酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−
無水マレイン酸共重合体はやはり耐刷性に問題があっ
た。更に、これらの樹脂では、電子写真特性(特に暗中
電荷保持性、光感度)の性能が不充分であった。
【0012】以上のような問題等を解決したとして、特
開昭57−161863号、同58−76843号各公
報には、アクリル酸エステルモノマーもしくはメタクリ
ル酸エステルモノマーとカルボン酸含有モノマ−との共
重合体が開示されている。これらの結合樹脂を用いれば
電子写真式製版用印刷原版として使用することは可能で
ある。しかしながら、前述したとおり、応答速度の遅さ
に起因する近年指摘され始めた問題点(即ち、光感度不
足)は未だ未解決のままであった。
【0013】更には、耐刷性及び光感度を向上したとす
る特公平1−209458号公報等では、芳香族環含有
のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと例え
ばカルボン酸の如き酸性基含有の単量体との共重合体が
開示されている。これらの結合樹脂を用いれば、上記の
性能が向上するが、トナー画像部以外の非画像部の光導
電層の除去性が速やかに進行しにくいところに問題があ
り、除去のための条件の厳格な管理が必要であることが
判った。即ち、微小面積のトナ−画像部でも溶出するこ
となく、非画像部のみが完全に除去された複写画像の忠
実な再現が行われ且つ印刷地汚れの生じない印刷版を作
成するための条件が狭いという問題が未解決である。更
にこの方式では、非画像部である光導電層全体を溶出さ
せるために、これらが溶出処理用のアルカリ性処理液中
に蓄積されることから、処理液を連続して多数枚処理す
る場合に、凝集物の析出、溶出除去能力の低下等の問題
を生じる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来技術の有する種々の課題を解決するものであり、
製版画質及び印刷画質が良好で、長期間且つ連続して処
理しても、安定した性能の印刷版を得ることができる電
子写真式製版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置を
提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、以
下の(i)〜(iv)の工程を含むことを特徴とする電子
写真式製版印刷版の作成方法によって解決されることが
見出された。 (i)電子写真プロセスで剥離性表面を有する電子写真
感光体上にトナー画像を形成する工程、(ii)化学反応
処理で除去可能な樹脂(A)を主として含有する剥離可
能な転写層を設けた一次レセプター上に、該トナー画像
を転写する工程、(iii)一次レセプター上の該トナー画
像を転写層ごと印刷時に平版印刷可能な親水性表面とな
る被転写材に転写する工程、及び(iv)該転写された被
転写材の転写層を化学反応処理により除去する工程。
【0016】本発明の電子写真式製版印刷版の作成方法
は、そのプロセスの概要を図1に示すように、少なくと
も支持体1及び感光層2からなる電子写真感光体の上
に、通常の電子写真プロセスを用いてトナー画像5を形
成し、そのトナー画像5を、一次レセプター20上に設
けた転写層22上に転写する。更に、オフセット印刷版
に供される支持体と同様の支持体である被転写材30
に、熱転写によりトナー画像5を転写層22ごと転写
し、印刷原版とする。次いで、この被転写材30に転写
された転写層22を化学反応処理で除去することで平版
印刷版とするものである。
【0017】従来の印刷版は感光体そのものの表面を改
質して、例えば、感光層を親水化処理したり、あるいは
感光層を溶出させて表面親水性支持体を露出させること
により、非画像部の親水化を行っていたのに対して、本
発明では、転写層22を親水性表面を有する他の支持体
(被転写材)30上にトナー画像5ごと転写させた後、
転写層22を化学反応処理により除去するという、従来
とは全く視点の異なった方法で印刷版を作成するもので
ある。
【0018】本発明によれば、感光体11上に形成した
トナー画像5を転写層22を有する一次レセプター20
上に転写するため、感光体11上のトナー画像5は、転
写層という樹脂層22を利用することで感光体11から
の剥離が十分になされ、転写層へ容易且つ完全に転写で
きる。また、トナー画像5を転写層22上に転写した
後、被転写材30に転写層22ごと一括転写するので、
ずれが少なく高精細、高画質の画像を簡便に、安定して
得られる。更に、シンプルな構成の転写装置で良く、更
に被転写材30の種類を選ばずにトナー画像の形成が可
能になる。
【0019】また、本発明に供される転写層22は、後
に印刷版とするために化学反応処理により溶解又は膨潤
して脱離することで容易に除去される樹脂(A)から主
としてなるものである。更に、本発明に供される転写層
22は、感光体11上に形成されたトナー画像5を効率
よく且つ画像劣化を生じることなく一次レセプター上に
転写し、次の転写プロセスでは、被転写材料30の種類
によらず容易に被転写材料30に転写する性質を有して
いることが好ましい。このような特性を満足する樹脂
(A)として、ガラス転移点140℃以下もしくは軟化
点180℃以下であって、化学反応処理で除去可能な樹
脂が好ましい。
【0020】本発明においては、転写層22は、予め一
次レセプター20上に形成されていてもよいが、電子写
真プロセスと同一装置内で一次レセプター20上にその
都度形成することが好ましい。このことにより、転写層
22を剥離させた後の一次レセプター20を繰り返し用
いることができるため、一次レセプター20を使い捨て
ることなく、電子写真製版機内で連続して行うことがで
き、低ランニングコスト化及び環境対策上有利である。
一次レセプター20上に転写層22をその都度形成する
方法としては、熱溶融塗布法、転写法及び電着塗布法の
うちの少なくともいずれか1つの方法を用いることが好
ましい。
【0021】更に、本発明に供される電子写真感光体1
1の表面は、JIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シー
ト試験法」による粘着力が好ましくは100gram・forc
e(g・f)以下、更に好ましくは50g・f以下、特に好
ましくは30g・f以下であり、且つ一次レセプター2
0の表面の粘着力が感光体11の表面の粘着力より大き
いこと、更に10g・f以上、特に30g・f以上大き
いことが好ましい。一次レセプター20表面の粘着力は
200g・f以下、特に180g・f以下であることが
好ましい。
【0022】このように粘着力を調整することにより、
感光体11及び転写層22の剥離性を発現できるととも
に、感光体11から一次レセプター20へのトナー画像
5の転写、及び一次レセプター20から被転写材30へ
の転写層22ごとのトナー画像5の転写が容易に達成で
きるものである。更に加えるなら、一次レセプター20
表面と被転写材30表面の粘着力においても、少なくと
も前者は後者より粘着力が小さいことが好ましい。
【0023】また本発明は、上記の方法を行うための、
電子写真感光体11上に電子写真プロセスによりトナー
画像5を形成する手段、一次レセプター20上に剥離可
能な転写層22を設ける手段、転写層22を設けた一次
レセプター20上にトナー画像5を転写する手段及び一
次レセプター20から被転写材30にトナー画像5を転
写層22ごと転写する手段を少なくとも有する電子写真
式製版印刷用原版作成装置を提供する。
【0024】一方本発明では、電子写真感光体11とし
て予め表面剥離性を有するものを用いてもよいが、トナ
ー画像5を形成する前に、感光体11の表面にフッ素原
子及び/又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物
(S)を吸着又は付着することにより感光体表面に剥離
性を付与してもよい。これにより電子写真感光体表面の
剥離性を勘案することなく、通常の電子写真感光体を用
いることができる。更には、予め表面剥離性の電子写真
感光体を本システムにおいて繰り返し使用した場合に、
感光体表面の剥離性が低下した時には、化合物(S)を
吸着又は付着する方法を併用してもよい。これにより、
感光体の剥離性を簡便に保持することができる。
【0025】この電子写真感光体への剥離性付与は、上
記の装置内で行うことが好ましく、上記電子写真式製版
印刷用原版作成装置に、電子写真感光体11の表面に化
合物(S)を吸着又は付着する手段を更に設定すること
ができる。
【0026】以下本発明を更に詳述する。本発明に供せ
られる電子写真感光体について説明する。電子写真感光
体としては、従来公知のいずれのものでも用いることが
できる。重要なことは、感光体上に形成されたトナー画
像を後に剥離する場合に容易に剥離できるように、感光
体の表面が、トナー現像プロセスの前に剥離性を有する
ことである。本発明では、トナー現像プロセス前の感光
体の表面のJIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート
試験方法」による粘着力が、100g・f以下、更に5
0g・f以下、特に30g・f以下であることが好まし
い。
【0027】上記JIS Z 0237-1980 「粘着テープ・粘着
シート試験方法」による粘着力の測定は、8.3.1の18
0度ひきはがし法に従い、以下の修正を加えて行う。 「試験板」として転写層が形成されるべき電子写真感
光体を用いる。 「試験片」として6mm 巾のJIS C 2338-1984 に従って
製造された粘着テープを用いる。 定速緊張形引張試験機を用い、120mm/分の速さで
ひきはがす。 即ち、上記試験板に、上記試験片の粘着面を下側にし
て、試験片の上からローラを約300mm/分の速さで一
往復させて圧着する。圧着後20〜40分の間に、定速
緊張形引張試験機を用い、約25mmはがした後、120
mm/分の速さでひきはがす。20mmはがれるごとに力を
読み取り、計4回読み取る。試験は3枚の試験片につい
て行い、3枚の試験片から測定した12個の平均値を求
め、これを10mm巾当たりに比例換算する。一次レセプ
ターや被転写材の粘着力を測定する場合も、これらを試
験板として用い、上記と同様にして行う。
【0028】剥離性表面を有する感光体を得るには、具
体的には、予め剥離性表面を有する感光体を用いる方
法、及び通常汎用される電子写真感光体の表面に化合物
(S)を吸着もしくは付着させることで感光体表面に剥
離性を付与する方法が挙げられる。
【0029】前者の方法に用いることができる、予め剥
離性表面を有する感光体の例としては、アモルファスシ
リコンを光導電体として用いたもの、及び、電子写真感
光体がその表面近傍ににケイ素原子及びフッ素原子の少
なくとも一方を含有する(ケイ素原子及び/又はフッ素
原子含有)重合体成分を含有する重合体を含むものが挙
げられる。このような感光体を用いることにより、その
表面が良好な剥離性を有するため、トナー画像が転写層
へ容易に且つ完全に転写される。
【0030】ここで、電子写真感光体の表面近傍とは、
感光体の最上層を意味し、光導電層の上に設けられるコ
ーバーコート層、及び最上の光導電層を包含する。即
ち、光導電層を有する感光体の最上層としてオーバーコ
ート層を設け、オーバーコート層に上記重合体を含有さ
せ剥離性を付与したもの、又は光導電層(光導電体単一
層及び光導電体積層のいずれでもよい)の最上層に上記
重合体を含有させ、その表面を剥離性が発現する状態に
改質させたもの等が挙げられる。
【0031】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与する方法は、その層の結着樹脂として、ケイ
素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体を用いれ
ばよい。あるいは、以下に詳細に述べる如きケイ素原子
及び/又はフッ素原子含有の重合体成分から成る重合体
セグメントを含むブロック共重合体(表面偏在化型共重
合体)を他の結着樹脂とともに少量用いることも好まし
い。また、かかるケイ素原子及び/又はフッ素原子含有
の樹脂を粒子の形で併用することもできる。
【0032】なかでも、オ−バ−コ−ト層を設ける場合
には、光導電体層とオーバーコート層の密着性を充分に
保持できることから、表面偏在化型共重合体を併用する
方法が好ましい。上記表面偏在化型共重合体は、通常オ
ーバーコート層全組成物100重量部中0.1〜20重
量部の割合で、他の結着樹脂と併用することができる。
【0033】そのようなオーバーコート層としては、具
体的には、乾式トナーを用いたPPC感光体において、
感光体の繰り返し使用に対する感光体表面の耐久性を保
持する1つの手段として公知となっている、感光体上に
表面層を設けて保護するために用いられる保護層が挙げ
られる。例えばシリコーン系ブロック共重合体を利用し
た保護層に関する公知例としては、特開昭61−953
58号、特開昭55−83049号、特開昭62−87
971号、特開昭61−189559号、特開昭62−
75461号、特開昭62−75461号、特開昭61
−139556号、特開昭62−139557号、特開
昭62−208055号等の各公報が挙げられる。ま
た、フッ素系ブロック共重合体を利用した保護層として
は、特開昭61−116362号、特開昭61−117
563号、特開昭62−270768号、特開昭62−
14657号等の各公報が挙げられる。更には、フッ素
原子含有重合体成分を含有する樹脂を粒子の形で併用す
る保護層として、特開昭63−249152号及び特開
昭63−221355号の各公報が挙げられる。
【0034】また、最上層の光導電層の表面を剥離性が
発現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂と
を少なくとも用いた、いわゆる分散型の感光体を用いる
場合に有効に適用される。即ち、光導電層の最上層を構
成する層に、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重
合体成分を含有する重合体セグメントをブロックで含有
するブロック共重合体の樹脂、及びケイ素原子及び/又
はフッ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒子の少
なくともいずれか一方を共存させることにより、これら
の材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥離性表
面に改質することができる。この共重合体及び樹脂粒子
については特開平5−197169号に記載されている
ものを挙げることができる。
【0035】更に表面偏在化をより強固にするために、
オーバーコート層や光導電層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有の重合体セグメントと、
熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグ
メントとを少なくとも1種ずつブロックで結合して成る
ブロック共重合体を用いることができる。かかる熱及び
/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグメント
については、特開平5−197169号に記載されてい
るものを挙げることができる。あるいは、光及び/又は
熱硬化性樹脂を、本発明に従うフッ素原子及び/又はケ
イ素原子含有樹脂とともに併用してもよい。
【0036】電子写真感光体において用いられる、感光
体表面を改質するのに有効な本発明のケイ素原子及び/
又はフッ素原子を含有する重合体成分を含有する重合体
は、樹脂(P)又は樹脂粒子(PL)の形で構成され
る。重合体がランダム共重合体である場合には、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体成分は、全
重合体成分中60重量%以上であることが好ましく、よ
り好ましくは80重量%以上である。
【0037】より好ましくは、重合体はケイ素原子及び
/又はフッ素原子を含有する重合体成分を50重量%以
上含有する重合体セグメント(A)と該ケイ素及び/又
はフッ素原子含有重合体成分を0〜20重量%含有する
重合体セグメント(B)がブロックで結合して成るブロ
ック共重合体である。更に好ましくは、ブロック共重合
体中の上記セグメント(B)中に光及び/又は熱硬化性
官能基を含有する重合体成分を少なくとも1種含有する
ブロック共重合体である。これらのブロック共重合体に
おいて、セグメント(B)中には、フッ素原子及び/又
はケイ素原子含有の重合体成分を全く含有しないものが
好ましい。
【0038】本発明では、重合体セグメント(A)及び
(B)を含有するブロック共重合体(表面偏在化型共重
合体)とすることで、ランダム共重合体に比べ、表面の
剥離性自身が向上し、更には、剥離性の維持が保持され
る。即ち、本発明のフッ素原子及び/又はケイ素原子含
有のブロック共重合体を少量共存させて塗膜を形成する
と、塗布後の乾燥工程終了までの間に、これらは容易に
膜の表面部に移行・濃縮され、膜表面が剥離性を発現で
きる状態に改質される。
【0039】前述の様に、樹脂(P)において、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメントがブ
ロック化されている場合には、他方の重合体セグメント
(フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を
含んでいても少ない)が膜形成の結着樹脂との相溶性が
良好なことから充分な相互作用を行ない、トナー画像形
成時においても、これらの樹脂はトナー画像への移行が
抑制もしくは解消される(即ち、アンカー効果)。
【0040】更にブロック共重合体のセグメント(B)
中に硬化性基を含有する重合体を用いて成膜時に重合体
間を架橋することで、更に、感光体界面の剥離性を明確
に維持する効果を有する。
【0041】重合体は、前記の如く、樹脂粒子(PL)
として用いられてもよい。好ましい樹脂粒子(PL)
は、非水溶媒中に分散される樹脂粒子である。かかる樹
脂粒子としては、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有する、非水溶媒に不溶な重合体セグ
メントと、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合
体成分を含有しても20%以下である、非水溶媒に可溶
性の重合体セグメントとを結合して成るものが好まし
い。
【0042】本発明に従う樹脂粒子(PL)の場合に
は、不溶化している重合体セグメントの作用により、表
面への移行・濃縮が行われ、更に、粒子に結合した非水
溶媒に可溶性の重合体セグメントが、前記樹脂の場合と
同様に、結着樹脂と相互作用してアンカー効果の作用を
行なう。更には硬化性基を重合体中又は結着樹脂中に含
有することで、トナー画像への移行が解消される。
【0043】本発明のフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基を含む重合体成分は、該置換基が重合
体の高分子主鎖に組み込まれたもの及び高分子の側鎖の
置換基として含有されたものの両者を含めたものであ
る。フッ素原子を含有する置換基としては、例えば、下
記のl価又は2価の有機残基等が挙げられる。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】ケイ素原子含有の置換基としては、例えば
下記の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0047】
【化3】
【0048】但し、R31、R32、R33、R34及びR
35は、各々同じでも異なってもよく、置換されていても
よい炭化水素基又は−OR36基(R36は置換されてもよ
い炭化水素基を表わす)を表わす。
【0049】R31〜R35の示す炭化水素基としては、具
体的には炭素数1〜18の置換されてもよいアルキル基
(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキ
サデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル
基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2−シアノエ
チル基、3,3,3−トリフルオロプロピルエチル基、
2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メ
トキシカルボニルエチル基、2,2,2,2′,2′,
2′−ヘキサフルオロイソプロピル基等)、炭素数4〜
18の置換されてもよいアルケニル基(例えば2−メチ
ル−1−プロペニル、2−ブテニル基、2−ペンテニル
基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル
基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル
−2−ヘキセニル基等)、炭素数7〜12の置換されて
いてもよいアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチ
ル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2
−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジ
ル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシ
ベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル
基等)、炭素数5〜8の置換されていてもよい脂環式基
(例えばシクロヘキシル基、2−シクロヘキシル基、2
−シクロペンチルエチル基等)又は炭素数6〜12の置
換されていてもよい芳香族基(例えばフェニル基、ナフ
チル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、
ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェ
ニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブ
トキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフ
ェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シ
アノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボ
ニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブト
キシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、
プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニ
ル基等)が挙げられる。−OR36基において、R36は上
記R31の炭化水素基と同一の内容を表わす。
【0050】また、該フッ素原子及び/又はケイ素原子
含有の有機残基は、組み合わされて構成されてもよく、
その場合には、直接結合してもよいし更には他の連結基
を介して組み合わされてもよい。連結する基として具体
的には二価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−
N(d1)−、−SO−、−SO2−、−COO−、−O
CO−、−CONHCO−、−NHCONH−、−CO
N(d1)−、−SO2N (d1)−等から選ばれた結合基
を介在させても良い、二価の脂肪族基もしくは二価の芳
香族基、又はこれらの二価の残基の組み合わせにより構
成された有機残基を表わす。ここで、d1は前記R31
同一の内容を表わす。
【0051】二価の脂肪族基として、例えば下記で示さ
れる各基が挙げられる。
【0052】
【化4】
【0053】ここで、e1及びe2は、互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−O
−、−S−又は−N(d2)−を表し、d2は炭素数1〜
4のアルキル基、−CH2Cl又は−CH2Brを表わ
す。
【0054】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
複素環基としては、例えばフラン環、チオフェン環、ピ
リジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、ピロ
ール環、テトラヒドロピラン環、1,3−オキサゾリン
環等が挙げられる。
【0055】次に、以上のようなフッ素原子及び/又は
ケイ素原子を含有した置換基を有する繰り返し単位の具
体例を以下に示す。しかし、本発明の範囲がこれらに限
定されるものではない。以下の(F−1)〜(F−32)
における各例においてRf は、下記に示す(1)〜(11)の
いずれかの基を示し、bは水素原子又はメチル基を表わ
す。
【0056】
【化5】
【0057】但し、上記(1)〜(11)において、Rf ′は
上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは1〜18の整数
を示し、mは1〜18の整数を示し、l は1〜5の整数
を示す。
【0058】
【化6】
【0059】
【化7】
【0060】
【化8】
【0061】
【化9】
【0062】
【化10】
【0063】本発明の樹脂(P)及び樹脂粒子(PL)
において、いわゆる表面偏在化型共重合体である場合を
説明する。該ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重
合体成分を含有するセグメント(A)において、該重合
体成分は、セグメント(A)全体の総量の内、少なくと
も50重量%を含み、好ましくは70重量%以上、より
好ましくは80重量%以上である。また、セグメント
(A)と結合して成る他のセグメント(B)において
は、該フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成
分はセグメント(B)全体総量の内20重量%以下であ
り、好ましくは0重量%である。
【0064】セグメント(A)と他のセグメント(B)
の重量比は、1〜95対5〜99(重量比)で、好まし
くは、5〜90対10〜95(重量比)である。この範
囲を外れると、本発明の樹脂(P)、樹脂粒子(PL)
ともに、光導電層最上層部表面への濃縮効果及びアンカ
ー効果が低下してしまう。
【0065】樹脂(P)の重量平均分子量は、好ましく
は5×103〜1×106、より好ましくは1×104
5×105である。樹脂(P)におけるセグメント
(A)の重量平均分子量は、1×103以上である事が
好ましい。樹脂粒子(PL)は、その平均粒子が好まし
くは0.001〜1μm、より好ましくは0.05〜
0.5μmである。
【0066】本発明の樹脂(P)における、いわゆる表
面偏在化型共重合体として好ましい態様を以下に説明す
る。即ち、樹脂(P)において、フッ素原子及び/又は
ケイ素原子含有の重合体成分がブロックで構成されてい
ればいずれの態様でもよい。ここでブロックで構成する
とは、フッ素原子及び/又はケイ素原子を50重量%以
上含有する重合体セグメント(A)を重合体中に有して
いることをいい、例えば以下に示すようなA−B型ブロ
ック、A−B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、
グラフト型ブロック、スター型ブロック等が挙げられ
る。
【0067】
【化11】
【0068】これらの各種ブロック共重合体は、従来公
知の重合方法に従って合成することができる。例えば、
W. J. Burlant, A. S. Hoffman「Block and Graft poly
mers」(1986年、Reuhold)、R. J. Cevesa「Block and
Graft Copolymers」(1962年、Butterworths)、D. C.
Allport, W. H. James「Block Copolymers」(1972年、
Applied Sci)、A. Noshay, J. E. McGrath「Block Copo
lymers」(1977年、Academis Press.)、G. Huvterg, D.
J. Wilson, G. Riess, NATO ASIser. SerE. 1985, 14
9、V. Perces, Applied. Polymer Sci. 285, 95 (1985)
等の成書、総説に記載されている。
【0069】例えば、有機金属化合物(例えばアルキル
リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルカリ
金属アルコラート類、アルキルマグネシウムハライド
類、アルキルアルミニウムハライド類等)等を重合開始
剤とするイオン重合反応については、T. E. Hogeu-Esc
h、J. Smid「Recent Advances in Anion Polymerizatio
n」(1987年、Elsevier New York)、岡本佳男、高分
子、38、912 (1989)、澤本光男、高分子、38、1018(198
9)、成田正、高分子、37、252(1988)、B. C. Anderson
et al., Macromolecules 14, 1601(1981)、S. Aoshim
a、T. Higashimura、Macromolecules 22, 1009(1989)等
に具体的に記載されている。
【0070】また、ヨウ化水素/ヨウ素系等によるイオ
ン重合反応については、T. Higashimura at al., Macro
mol. Chem., Macromol. Symp.,1314, 457(1988)、東
村敏延、沢本光男、高分子論文集46、189 (1989)等に記
載されている。グループ移動重合反応については、D.
Y. Sogah et al., Macromolecules, 20, 1473(1987)、
O. W. Webster, D. Y. Sogah、高分子、36、808(198
7)、M. T. Reetg et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eug
l. 25, 9108(1986)、特開昭63−97609号等に記
載されている。
【0071】金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重
合反応については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Mac
romolecules, 17, 2217(1984)、M. Kuroki, T. Aida,
S. Inoue, T. Ann. Chem. Soc.109, 4737(1987)、M. Ku
roki et al., Macromolecules, 21, 3115(1988)、M. Ku
roki, I. Inoue、有機合成化学、47、1017(1989)等に記
載されている。
【0072】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayashi, T. Saegusa「Ring Opening Polym
erization」(1984年、Applied Scence Publishers Lt
d.)、W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eng
l. 5, 875(1966)、S. Kobayashi et al., Poly. Bull.1
3, 447(1985)、Y. Chujo et al., Macromolecules,22,1
074(1989)等に記載されている。
【0073】更には、ジチオカーバメイト化合物又はザ
ンテート化合物等を開始剤として用いる光リビング重合
反応については、大津隆行、高分子、37、248(1988)、
檜森俊一、大津隆一、Polym. Rep. Jap.37、3508(198
8)、特開昭64−111号、特開昭64−26619
号、M. Niwa, Macromolecules,189, 2187(1988)等に記
載されている。
【0074】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集33
931(1976)、上田明、大阪市立工業研究所報告、84(198
9)、O. Nuyken et al., Macromol. Chem., Rapid. Comm
un. 9, 671(1988)、森屋泰夫等「強化プラスチック」2
9、907、小田良平「科学と工業」61、43(1987)等に記載
されている。
【0075】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に井手文雄「グ
ラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行会)、高
分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981年、東京化学同
人)等に記載されている。例えば、高分子鎖を、重合開
始剤、化学的活線(放射線、電子線等)、機械的応用化
でのメカノケミカル反応等で、グラフト化する方法、高
分子鎖と高分子鎖の官能基を利用して、化学結合(いわ
ゆる高分子間反応)しグラフト化する方法、及びマクロ
モノマーを用いて重合反応し、グラフト化する方法等が
知られている。
【0076】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T. Shota et al., J. Appl. Polym. S
ci. 13, 2447(1969)、W. H. Buck, Rubber Chemistry a
nd Technology,50, 109(1976)、遠藤剛、植沢勉、日本
接着協会誌24、323(1988)、遠藤剛、ibid. 25, 409(198
9) 等に記載されている。
【0077】また、マクロモノマーを用いて重合反応し
グラフト化する方法として、具体的には、P. Dreyfuss
& R. P. Quirk, Encycl. Polym. Sci. Eng., 7, 551(1
987)、P. F. Rempp, E. FraNTA, Adv. Polym. Sci., 5
8, 1(1984)、V. Percec, Appl. Poly. Sci.,285, 95(19
84)、R. Asami, M. Takari, Macromol. Chem. Suppl.,1
2, 163(1985)、P. Rempp et al., Macromol. Chem. Sup
pl.,8, 3(1985)、川上雄資、化学工業、38、56(1987)、
山下雄也、高分子、31、988(1982)、小林四郎、高分
子、30、625(1981)、東村敏延、日本接着協会誌、18、5
36(1982)、伊藤浩一、高分子加工、35、262(1986)、東
貴四郎、津田隆、機能材料、1987、No.10,5、山下雄也
編著「マクロモノマーの化学と工業」(1989年、アイ・
ピーシー(株))、遠藤剛編著「新しい機能性高分子の分
子設計」第4章(1991年、C.M.C.(株))、Y. Yamashita
et al., Polym. Bull. 5, 361(1981)等に記載されてい
る。
【0078】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えば M. T. Reetz, Angew. Chem.Int. Ed. Engl., 2
7, 1373(1988)、M. Sgwarc「Carbanions, Living Polym
ers and Electron Transfer Prodesses」(1968年、Wile
y. New York)、B. Gordon etal., Polym. Bull.11, 349
(1984)、R. B. Bates et al., J. Org. Chem. 44, 3800
(1979)、Y. Sogah, A. C. S. Polym. Rapr. 1988, No.
2, 3、J. W. Mays, Polym. Bull.23, 247(1990)、I. M.
Khan et al., Macromolecules,21, 2684(1988)、A. Mo
rikawa, Macromolecules,24, 3469(1991)、上田明、永
井透、高分子39、202(1990)、T. Otsu, Polym. Bull. 1
1, 135(1984) 等に記載されている。しかしながら、上
記ブロック共重合体の合成法はこれらの方法に限定され
るものではない。
【0079】次に本発明の樹脂粒子(PL)についての
好ましい態様について説明する。前記の如く、樹脂粒子
(PL)は、好ましくは、非水溶媒に不溶な、フッ素原
子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント(A)
と、該溶媒に可溶性の、フッ素原子及び/又はケイ素原
子を殆ど含有しない重合体セグメント(B)とから成る
ものであり、且つ、粒子の平均粒径が、1μm以下の微
小なものである。更には、樹脂粒子の不溶性部分を構成
する重合体セグメント(A)部は、架橋構造を形成して
いてもよい。
【0080】以上の様な樹脂粒子(PL)を具体的に合
成する好ましい方法としては、非水系分散重合方法が挙
げられる。
【0081】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独で又は2種以上を混合して用
いることができる。この有機溶媒の具体例は、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、フッ化ア
ルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチ
ルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボ
ン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の
炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、
メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロ
パン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が
挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に限定される
ものではない。
【0082】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。更に、具体
的には、セグメント(A)を構成する重合体成分に相当
する単量体(a)、セグメント(B)を構成する重合体
成分に相当する単量体(b)とを、単量体(a)は溶解
するが重合すると不溶となる非水溶媒を用いて、過酸化
物(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等)、
アゾビス化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスイソバレロニトリル等)、有機金属化合物(例
えば、ブチルリチウム等)等の重合開始剤の存在下に加
熱重合させればよい。又は、上記単量体(a)、セグメ
ント(B)から成る重合体(PB)とを、上記と同様に
して重合させればよい。
【0083】更には、本発明の樹脂粒子(PL)の不溶
化した重合体粒子の内部が架橋構造を有していてもよ
い。これらの架橋構造を形成させるには、従来公知の方
法のいずれをも用いることができる。即ち、重合体セ
グメント(A)を含有する重合体を種々の架橋剤あるい
は硬化剤によって架橋する方法、重合体セグメント
(A)に相当する単量体(a)を少なくとも含有させて
重合反応を行う際に、重合性官能基を2個以上含有する
多官能性単量体又は多官能性オリゴマーを共存させるこ
とにより、分子間に網目構造を形成する方法、及び重
合体セグメント(A)と反応性基を含有する成分を含む
重合体類とを重合反応あるいは高分子反応によって架橋
させる方法等の方法によって行うことができる。
【0084】上記の方法の架橋剤としては、通常架橋
剤として用いられる化合物を挙げることができる。具体
的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」
大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子データハン
ドブック、基礎編」培風館(1986年)等に記載されてい
る化合物を用いることができる。
【0085】例えば、有機シラン系化合物(例えば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤
等)、ポリイソシアナート系化合物(例えば、トルイレ
ンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナー
ト、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリメチ
レンポリフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジイ
ソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分子ポ
リイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例えば、
1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレングリコ
ール、ポリオキシエチレングリコール、1,1,1−ト
リメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物(例え
ば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル化エチ
レンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪族ポリ
アミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ
樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂
(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業
新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミ
ン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メ
ラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載され
た化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例
えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」
講談社(1976年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹
脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載された化合物
類が挙げられる。
【0086】また、上記の方法で共存させる重合性官
能基を2個以上含有する多官能性単量体〔多官能性単量
体(d)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの重
合性官能基としては、具体的には、CH2=CHCH
2−、CH2=CHCOO−、CH2=CH−、CH2=C
(CH3)−COO−、CH(CH3)=CHCOO−、CH
2=CHCONH−、CH2=C(CH3)−CONH−、
CH(CH3)=CHCONH−、CH2=CHOCO−、
CH2=C(CH3)−OCO−、CH2=CHCH2OCO
−、CH2=CHNHCO−、CH2=CHCH2NHC
O−、CH2=CHSO2−、CH2=CHCO−、CH2
=CHO−、CH2=CHS−等を挙げることができ
る。これらの重合性官能基の同一のものあるいは異なっ
たものを2個以上有する単量体あるいはオリゴマーであ
ればよい。
【0087】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0088】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体(例えばアリ
ルオキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボ
ニル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリ
ルアミノカルボニルプロピオン酸等)、ビニル基を含有
したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメタクリ
ル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、メ
タクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸アル
リ、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロピ
オン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、メ
タクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、ア
クリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボニ
ルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N−
アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミ
ド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等)又は
アミノアルコール類(例えばアミノエタノール、1−ア
ミノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノ
ヘキサノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を
含有したカルボン酸との縮合体などが挙げられる。本発
明に用いられる2個以上の重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーは、単量体(a)及び単量体(a)
と共存する他の単量体との総量に対して10モル%以
下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、樹脂を形成
する。
【0089】更には、上記の方法の高分子間の反応性
基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋架け
を行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と同様
に行うことができる。
【0090】分散重合において、粒子の粒径が揃った単
分散性の粒子が得られること及び0.5μm以下の微小
粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法とし
ては多官能性単量体を用いるの方法が好ましい。即
ち、前記した単量体(a)、単量体(b)及び/又は重
合体(PB)に、更に多官能性単量体(d)を共存させ
て重合造粒反応を行なうことで合成することができる。
更に、上記したセグメント(B)で構成される重合体
(PB)を用いる場合は、該重合体(PB)の高分子主
鎖中の側鎖あるいは主鎖の片末端に、単量体(a)と共
重合可能な重合性二重結合基を有して成る重合体(P
B′)であることが好ましい。
【0091】該重合性二重結合基としては、上記の様に
単量体(a)と共重合を有すればいずれでもよいが、具
体的な例としては、CH2=C(p)−COO−、C
(CH3)H=CH−COO−、CH2=C(CH2COO
H)−COO−、CH2=C(p)−CONH−、CH2
=C(p)−CONHCOO−、CH2=C(p)−C
ONHCONH−、C(CH3)H=CHCONH−、C
2=CHCO−、CH2=CH(CH2)n−OCO−
(nは0又は1〜3の整数)、CH2=CHO−、CH2
=CHC64−等が挙げられる(ここでpは−H又は−
CH3を表わす)。
【0092】これらの重合性基二重結合基は、高分子鎖
に直接結合してもよいし、他の二価の有機残基を介して
結合してもよい。これら重合体の具体的態様について
は、例えば特開昭61−43757号、特開平1−25
7969号、同2−74956号、同1−282566
号、同2−173667号、同3−15862号、同4
−70669号等の明細書に記載の方法と同様にして行
なうことができる。
【0093】重合性化合物の総量は非水溶媒100重量
部に対して5〜80重量部程度であり、好ましくは10
〜50重量部である。重合開始剤の量は、重合性化合物
の総量の0.1〜5重量%である。また、重合温度は3
0〜180℃程度であり、好ましくは40〜120℃で
ある。反応時間は1〜15時間が好ましい。
【0094】次に、光及び/又は熱硬化性基を、上記結
着樹脂(P)中に重合体成分として、又は該硬化性基含
有樹脂として樹脂(P)と併用して、含有する場合を説
明する。結着樹脂(P)中に含有され得る、光及び/又
は熱硬化性基を少なくとも1種含有して成る重合体成分
としては、前記の如き公知文献に記載のものを挙げるこ
とができる、より具体的には例えば前記重合性官能基と
して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0095】これらの重合体において含有される、光及
び/又は硬化性基を少なくとも1種含有する重合体成分
は、ブロック共重合体(P)の重合体セグメント(B)
100重量部中1〜95重量部であり、好ましくは10
〜70重量部である。更には、共重合体(P)全体の重
合体成分の全量100重量部において5〜40重量部含
有していることが好ましい。上記含有量の下限以下にな
ると、光導電層の成膜後の硬化が充分に進行しなくな
り、トナー画像の剥離性改良効果が得にくい。他方、上
記含有量の上限以上になると、光導電層の結着樹脂とし
ての電子写真特性が劣化し、複写画像の原稿再現性の低
下、非画像部の地カブリの発生等を生じる場合がある。
これらの光及び/又は熱硬化性基含有のブロック共重合
体(P)は全結着樹脂100重量部中40重量%以下で
使用する事が好ましい。40重量%を越えると、電子写
真特性の劣化が生じる場合がある。
【0096】また、本発明では、上記のフッ素原子及び
/又はケイ素原子含有樹脂とともに光及び/熱硬化性樹
脂(D)を併用してもよい。かかる樹脂(D)に含有さ
れる光及び/又は熱硬化性基は、いずれでもよいが具体
的には前記したブロック共重合体で含有される硬化性基
と同様の内容のものが挙げられる。光及び/又は熱硬化
性樹脂(D)としては、従来公知の硬化性樹脂のいずれ
でもよく、例えば、本発明のブロック共重合体(P)で
説明した硬化性基と同様の官能基含有の樹脂がその例と
して挙げられる。
【0097】更に、従来公知の電子写真感光層用の結着
樹脂類も用いられ、例えば、柴田隆治、石渡次郎,高分
子、第17巻、第278頁(1968年)、宮本晴視、武井秀
彦、イメージング、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料
用バインダーの実際技術」第10章、C.M.C.出版(1985
年)、電子写真学会編「電子写真用有機感光体の現状シ
ンポジウム」予稿集(1985年)、小門宏編「最近の光導
電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報(株)(19
86年)、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」
第5章、コロナ社(株)(1988年)、D. Tatt, S. C. Hei
decker,Tappi,49(No.10), 439(1966)、E. S. Baltazz
i,R. G. Blanclotte et al,Phot.Sci. Eng. 16(No.
5), 354(1972)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上
英一、電子写真学会誌18(No.2),22(1980)等の成書・総
説に記載の化合物等が挙げられる。
【0098】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0099】また、遠藤剛「熱硬化性高分子の精密化」
(C.M.C.(株)、1986年刊)、原崎勇次「最新バインダー
技術便覧」第II−1章(総合技術センター、1985年
刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開
発」(中部経営開発センター出版部、1985年刊)、大森
英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシステム、1985
年刊)等の総説に引例された従来公知の樹脂が用いられ
る。
【0100】以上の如く、本発明では、オーバーコート
層又は光導電層は、結着樹脂(B)及び表面界質用の結
着樹脂(P)を少なくとも各々1種以上含有し、好まし
くは、膜の硬化を向上させるために光及び/又は熱硬化
性樹脂(D)及び/又は架橋剤を少量共存させる。その
使用量は、結着樹脂(B)及び結着樹脂(P)の総量に
対して0.01〜20重量%が好ましく、より好ましく
は0.1〜15重量%である。その使用量が0.01重
量%以下となると、膜の硬膜化向上の効果が薄れてしま
う。一方20重量%を越えると電子写真特性に悪影響を
及ぼす。
【0101】また、架橋剤を併用することが好ましく、
架橋剤としては、通常架橋剤として用いられる化合物を
使用することができる。具体的には、山下普三、金子東
助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)、光分
枝学会編「高分子データハンドブック基礎編」培風館
(1986年)等に記載されてきいる化合物を用いることが
できる。
【0102】例えば、有機シラン系化合物(例えば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルエトキシシラン等のシランカップリング剤等)、ポ
リイソシアナート系化合物(例えば、トルイレンジイソ
シアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリ
フェニルメタントリイソシアナート、ポリメチレンポリ
フェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジイソアアナ
ート、イソホロンジイソシアナート、高分子ポリイソシ
アナート等)、ポリオール系化合物(例えば、1,4−
ブタンジオール、ポリオキシプロピレングリコール、ポ
リオキシエチレングリコール、1,1,1−トリメチロ
ールプロパン等)、ポリアミン系化合物(例えば、エチ
レンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル化エチレンジア
ミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、
N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪族ポリアミン類
等)、チタネートカップリング系化合物(例えばテトラ
ブトキシチタネート、テトラクロロポキシチタネート、
イソプロピルトリステアロイルチタネート等、)アルミ
ニウムカップリング系化合物(例えばアルミニウム−ブ
チレート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニ
ウムオキシドオクテート、アルミニウムトリス(アセチ
ルアセテート)等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば垣内弘編著「エポキシ樹脂」昭晃堂
(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業
新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミ
ン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メ
ラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載され
た化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例
えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」
講談社(1976年)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」
テクノシステム(1985年刊)等に記載された化合物類が
挙げられる。また、多官能重合性基含有の単量体(例え
ばビニルメタクリレート、アクリルメタクリレート、エ
チレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ジビニルコハク酸エステル、ジビ
ニルアジピン酸エステル、ジアクリルコハク酸エステ
ル、2−メチルビニルメタクリレート、トリメチロール
プロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、ペン
タエリスリトールポリアクリレート等)等が挙げられ
る。
【0103】以上の如く、本発明の光導電層の最上層
は、成膜後に硬化されることが好ましい。供せられる結
着樹脂(B)、結着樹脂(P)、硬化用樹脂(D)及び
架橋剤は、高分子間が化学結合しやすい官能基同志の組
合せで用いることが好ましい。例えば官能基の組合せに
よる高分子反応として、通常よく知られた方法が挙げら
れ、例えば下表−1に示す様なA群の官能基とB群の官
能基の組合せが例示される。但しこれに限定されるもの
ではない。
【0104】
【表1】
【0105】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、結着樹脂に必要に応じて反応促進剤を
添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成
する反応様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェ
ノール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモ
フェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有
機金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、
アセチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバ
ルト塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカル
バミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、
チノウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチノウラ
ムジスルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル
酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無
水物、3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフ
ェノンジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げら
れる。架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始
剤(過酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる。
【0106】本発明の結着樹脂は、感光層形成物を塗布
した後、光及び/又は熱硬化されることが好ましい。熱
硬化を行なうためには、例えば、乾燥条件を従来の感光
体作製時の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥条件
を高温度及び/又は長時間とする。あるいは塗布溶剤の
乾燥後、更に加熱処理することが好ましい。例えば60
℃〜150℃で5〜120分間処理する。上述の反応促
進剤を併用すると、より穏やかな条件で処理することが
できる。
【0107】本発明の樹脂中の特定の官能基を光照射で
硬化する方法としては、「化学的活性光線」で光照射す
る工程を入れる様にすればよい。本発明に用いられる
「化学的活性光線」としては、可視光線、紫外線、遠紫
外線、電子線、X線、γ線、α線などいずれでもよい
が、好ましくは紫外線が挙げられる。より好ましくは波
長310nmから波長500nmの範囲での光線を発しうる
ものが好ましく、一般には低圧、高圧あるいは超高圧の
水銀ランプ、ハロゲンランプ等が用いられる。光照射の
処理は通常5cm〜50cmの距離から10秒〜10分間の
照射で充分に行うことができる。
【0108】次に、剥離性表面を有する感光体を得る後
者の方法である、トナー現像の前に、通常の電子写真感
光体の表面上に化合物(S)を吸着又は付着させて、感
光体表面を所定の粘着力にする方法について説明する。
本発明において用いられるフッ素原子及び/又はケイ素
原子を含有する化合物(S)は電子写真感光体表面の剥
離性を改良するものであれば、その構造は限定されるこ
とはなく、低分子化合物、オリゴマー、ポリマーのいず
れでもよい。好ましくは電気抵抗108 Ω・cm以上、
比誘電率3.5以下の電気絶縁性有機溶媒1.0リット
ル中に少なくとも0.01g溶解するものである。
【0109】オリゴマー又はポリマーの場合、フッ素原
子及び/又はケイ素原子を含有する置換基は、重合体の
主鎖に組み込まれたもの及び重合体の側鎖の置換基とし
て含有されたものの両者を含めたものである。オリゴマ
ー又はポリマーにおいて、該置換基を含有する繰り返し
単位はブロックで含有されたものが好ましく、これらは
電子写真感光体表面への吸着性がすぐれ、剥離性が特に
有効に発現される。
【0110】これらのフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基としては、具体的には、前記の樹脂
(P)に含有され得る置換基と同様のものを挙げること
ができる。
【0111】本発明で用いられるフッ素原子及び/又は
ケイ素原子含有の化合物(S)としては、具体的には、
吉田時行等編「新版・界面活性剤ハンドブック」工学図
書(株)刊(1987年)、刈米孝夫監修「最新・界面活性
剤応用技術」(株)シーエムシー(1990年)、伊藤邦雄
編「シリコーン・ハンドブック」日刊工業新聞社刊(19
90年)、刈米孝夫監修「特殊機能界面活性剤」(株)C.
M.C.(1986年)、A. M.Schwartz et al「Surface Active
Agents and Detergents vol.II 」等に記載のフッ素系
及び/又はケイ素系有機化合物が挙げられる。
【0112】更には、本発明の化合物(S)は、石川延
男「フッ素化合物の合成と機能」(株)C.M.C.(1987
年)、平野二郎等編「含フッ素有機化合物−その合成と
応用−」(株)技術情報協会(1991年)、石川満夫監修
「有機ケイ素戦略資料」第3章(株)サイエンスフォー
ラム(1991年)等の文献に記載の合成方法を利用して、
前記物性を満たす本発明の化合物(S)を合成すること
ができる。
【0113】また、オリゴマー又はポリマーとしてフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む重
合体成分の具体例としては、同様に、前記結着樹脂
(P)に記載されたと同様の重合体成分を例として挙げ
ることができる。しかし、本発明の範囲はこれらに限定
されるものではない。
【0114】本発明の化合物(S)がオリゴマーもしく
はポリマーの場合、いわゆるブロック共重合体である場
合には、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体
成分がブロックで構成されていれば、いずれでもよい。
ここでブロックで構成するとは、フッ素原子及び/又は
ケイ素原子を有する成分を70重量%以上含有する重合
体セグメントを重合体中に有していることをいい、例え
ば前記樹脂(P)で述べたと同様なA−B型ブロック、
A−B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グラフ
ト型ブロックあるいはスター型ブロック等が挙げられ
る。これらは前記と同様の方法で合成することができ
る。
【0115】以上の様な化合物(S)を電子写真感光体
表面に吸着もしくは付着させる方法は、従来公知のいず
れの方法を適用してよく、本発明に用いられる装置内に
適宜組み込める態様にして用いることが好ましい。例え
ば、原崎勇次「コーティング工学」(株)朝倉書店(19
71年刊)、原崎勇次「コーティング方式」槇書店(1979
年刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」(株)高分
子刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクターコータ
ー、ブレードコーター、ナイフコーター、スクイズコー
ター、含浸コーター、リバースロールコーター、トラン
ファーロールコーター、グラビアコーター、キスロール
コーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレ
ンダーコーター等の各方式等が挙げられる。
【0116】また、化合物(S)を含浸させた布、紙、
フェルト等を感光体11に密接させる方法、化合物
(S)を含浸させた硬化性樹脂を感光体11に圧接させ
る方法、化合物(S)を溶解した非水溶媒で感光体11
を濡らした後、該溶媒を乾燥させる方法、化合物(S)
を分散させた非水溶媒を後述の湿式電着法と同様にして
電気泳動させて感光体に付着させる方法等も挙げられ
る。
【0117】更には、インキジェット方式により化合物
(S)の非水溶液を感光体表面に一様に濡らした後、乾
燥させることにより吸着又は付着させることができる。
インキジェット方式による方法は、例えば大野信編集
「ノンインパクトプリンティング」(株)C.M.C.(1986
年刊)記載の原理及び手段によって達成される。例えば
連続噴射型のSweet方式、Hertz方式、間欠噴射型のWins
ton方式、インクオンデマンド型のパルスジェット方
式、バブルジェット方式、インキミスト型のミスト方式
などが挙げられる。
【0118】いずれもインキの代わりに化合物(S)を
直接あるいは溶媒に希釈して、インキタンク及び/又は
インキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常イ
ンキの粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/
cmで、必要により界面活性剤等を加えても良く、又イン
キを加熱しても良い。従来のインキジェットプリンター
は、文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を3
0〜100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同
程度となっているが、本発明においてはこれよりも大き
くとも良い。この場合にはインキの吐出量が多くなるの
で、塗布にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル
化することも塗布時間短縮のために極めて有効である。
【0119】一方、化合物(S)としてシリコーンゴム
を用いることもできる。好ましくは金属芯ローラーに巻
いてシリコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表
面に押し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/cm
2、接触時間は1秒〜30分間で良い。又この時感光体
及び/又はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加
熱されていても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低
分子量成分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転
移するものと思われる。また、シリコーンゴムはシリコ
ーンオイルで膨潤されたものでも良い。シリコーンゴム
は更にスポンジ状であっても、そのスポンジローラーに
更にシリコーンオイル、シリコーン界面活性剤溶液等を
含浸させてあっても良い。
【0120】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物(S)の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物(S)の流動性
を調整することもできる。
【0121】本発明においては、化合物(S)が電子写
真感光体上に吸着又は付着して表面に剥離性が付与され
る。化合物(S)の感光体表面への吸着又は付量の量は
特に規定されるものではないが、感光体の電子写真特性
への悪影響が実用上問題とならない程度で行われる。通
常塗膜膜厚で1μm以下で充分であり、本発明の剥離性
の発現は「Weakboundary Layer」(Bikerman "The Scien
ce of Adhesive Joints" Academic Press(1961年刊) に
より定義)の状態で充分である。好ましくは感光体表面
の粘着力が100g・f以下となればよく、本発明の製
版印刷版作成工程において、常にこの工程を繰り返す必
要はない。用いる感光体及び化合物(S)の吸着もしく
は付着による剥離性を保持できる能力及びその手段の組
合せで、適宜選択される様にすればよい。
【0122】本発明に供せられる電子写真感光体の構成
及び材料は、従来公知のいずれでも用いることができ、
限定されるものではない。例えば、R. M. Schaffert, "
Electrophotography" Focal Press London(1980)、S.
W. Ing, M. D. Tabak, W. E. Haas, "Electrophotograp
hy Fourth International Conference" SPSE(1983)、篠
原功、土田英俊、草川英昭編「記録材料と感光性樹脂」
(株)学会出版センター刊(1979年)、小門宏、化学と
工業、39(3), 161 (1986年)、総合技術資料集「最近の
光導電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報
(株)出版部(1986年)、電子写真学会編「電子写真技
術の基礎と応用」コロナ社(株)(1986年)、電子写真学
会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿
集(1985年)等の成書、総説に記載の各種感光体が挙げ
られる。即ち、光導電性化合物自身から成る単独層、又
は、光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導電層が
挙げられ、分散された光導電層は、単一層型でもよい
し、積層型でもいずれでもよい。
【0123】また本発明において用いられる光導電性化
合物は無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよ
い。本発明の光導電性化合物として用いられる無機化合
物としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、
硫化カドミウム、セレン、セレン−テルル、シリコン硫
化鉛等従来公知の無機光導電性化合物が挙げられ、これ
らは、結着性樹脂とともに光導電層を形成してもよい
し、また、蒸着又はスパッタリング等により単独で光導
電層を形成してもよい。光導電性化合物として、酸化亜
鉛、酸化チタン等の無機光導電性化合物を用いる場合
は、無機光導電性化合物100重量部に対して、結着樹
脂を10〜100重量部なる割合、好ましくは15〜4
0重量部なる割合で使用する。
【0124】一方、有機化合物としては、従来公知の化
合物のいずれでもよく、具体的には、特公昭37−17
162号、同62−51462号、特開昭52−243
7号、同54−19803号、同56−107246
号、同57−161863号各公報などに記載のよう
な、有機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体と
する光導電層を有するもの、特開昭56−146145
号、同60−17751号、同60−17752号、同
60−17760号、同60−254142号、同62
−54266号各公報などに記載のような電荷発生剤、
電荷輸送剤、結合樹脂を主体とする光導電層を有するも
の、及び特開昭60−230147号、同60−230
148号、同60−238853号各公報などに記載の
ような電荷発生剤と電荷輸送剤とをそれぞれ別の層に含
有した二層構成の光導電層も知られている。
【0125】本発明の電子写真感光体は上記の光導電層
のいずれの形態をとっていてもよい。本発明における有
機光導電性化合物としては、(a)米国特許第3112
197号明細書等に記載のトリアゾール誘導体、(b)
米国特許第3189447号明細書等に記載のオキサジ
アゾール誘導体、(c)特公昭37−16096号公報
に記載のイミダゾール誘導体、(d)米国特許第361
5402号、同3820989号、同3542544号
各明細書、特公昭45−555号、同51−10983
号各公報、特開昭51−93224号、同55−108
667号、同55−156953号、同56−3665
6号各公報等に記載のポリアリールアルカン誘導体、
(e)米国特許第3180729号、同4278746
号各明細書、特開昭55−88064号、同55−88
065号、同49−105537号、同55−5108
6号、同56−80051号、同56−88141号、
同57−45545号、同54−112637号、同5
5−74546号各公報等に記載のピラゾリン誘導体及
びピラゾロン誘導体、(f)米国特許第3615404
号明細書、特公昭51−10105号、同46−371
2号、同47−28336号各公報、特開昭54−83
435号、同54−110836号、同54−1199
25号各公報等に記載のフェニレンジアミン誘導体、
【0126】(g)米国特許第3567450号、同3
180703号、同3240597号、同365852
0号、同4232103号、同4175961号、同4
012376号各明細書、特公昭49−35702号公
報、西独国特許(DAS)第1110518号明細書、
特公昭39−27577号、特開昭55−144250
号、同56−119132号、同56−22437号各
公報などに記載されているアリールアミン誘導体、
(h)米国特許第3526501号明細書等に記載のア
ミノ置換カルコン誘導体、(i)米国特許第35425
46号明細書などに記載のN,N−ビカルバジル誘導
体、(i)米国特許第3257203号明細書などに記
載のオキサゾール誘導体、(k)特開昭56−4623
4号公報等に記載のスチリルアントラセン誘導体、
(l)特開昭54−110837公報等に記載のフルオ
レノン誘導体、(m)米国特許第3717462号明細
書、特開昭54−59143号公報(米国特許第415
0987号明細書に対応)、特開昭55−52063
号、同55−52064号、同55−46760号、同
55−85495号、同57−11350号、同57−
148749号、同57−104144号各公報等に記
載されているヒドラゾン誘導体、
【0127】(n)米国特許第4047948号、同4
047949号、同4265990号、同427384
6号、同4299897号、同4306008号各明細
書などに記載のベンジジン誘導体、(o)特開昭58−
190953号、同59−95540号、同59−97
148号、同59−195658号、同62−3667
4号各公報などに記載されているスチルベン誘導体、
(p)特公昭34−10966号公報記載のポリビニル
カルバゾール及びその誘導体、(q)特公昭43−18
674号、同43−19192号各公報記載のポリビニ
ルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリ−2−ビニル
−4−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5−フェニ
ル−オキサゾール、ポリ−3−ビニル−Nエチルカルバ
ゾール等のビニル重合体、(r)特公昭43−1919
3号公報記載のポリアセナフチレン、ポリインデン、ア
セナフチレンとスチレンの共重合体等の重合体、(s)
特公昭56−13940号公報などに記載のピレン−ホ
ルムアルデヒド樹脂、ブロムピレン−ホルムアルデヒド
樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の
縮合樹脂、(t)特開昭56−90833号、同56−
161550号各公報に記載の各種のトリフェニルメタ
ンポリマー、などがある。
【0128】なお本発明において、有機光導電性化合物
は、(a)〜(t)に挙げられた化合物に限定されず、
これまで公知の全ての有機光導電性化合物を用いること
ができる。これらの有機光導電性化合物は場合により2
種類以上併用することが可能である。
【0129】光導電層に含有される増感色素としては、
電子写真感光体に使用される従来公知の増感色素が使用
可能である。これらは、「電子写真」12、9(1973)、
「有機合成化学」24(11)、1010(1966)等に記載されてい
る。例えば、米国特許第3141770号、同4283
475号各明細書、特開昭48−25658号公報、特
開昭62−71965号公報等に記載のピリリウム系染
料、Applied Optics Supplement 50 (1969)、特開昭
50−39548号公報等に記載のトリアリールメタン
系染料、米国特許第3597196号明細書等に記載の
シアニン系染料、特開昭60−163047号、同59
−164588号、同60−252517号各公報等に
記載のスチリル系染料などが有利に使用される。
【0130】光導電層に含有される電荷発生剤として
は、電子写真感光体において従来公知の有機及び無機の
各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレン、セレ
ン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び以下
(1)〜(9)に示す有機顔料を使用することができ
る。
【0131】(1)米国特許第4436800号、同4
439506号各明細書、特開昭47−37543号、
同58−123541号、同58−192042号、同
58−219263号、同59−78356号、同60
−179746号、同61−148453号、同61−
238063号各公報、特公昭60−5941号、同6
0−45664号各公報等に記載されたモノアゾ、ビス
アゾ、トリスアゾ顔料などのアゾ顔料、(2)米国特許
第3397086号、同4666802号各明細書、特
開昭51−90827号、同52−55643号各公報
に記載の無金属あるいは金属フタロシアニン等のフタロ
シアニン顔料、(3)米国特許第3371884号明細
書、特開昭47−30330号公報等に記載のペリレン
系顔料、(4)英国特許第2237680号明細書、特
開昭47−30331号公報等に記載のインジゴ、チオ
インジゴ誘導体、(5)英国特許第2237679号明
細書、特開昭47−30332号公報等に記載のキナク
リンドン系顔料
【0132】(6)英国特許第2237678号明細
書、特開昭59−184348号、同62−28738
号、同47−18544号各公報等に記載の多環キノン
系顔料、(7)特開昭47−30331号、同47−1
8543号各公報等に記載のビスベンズイミダゾール系
顔料、(8)米国特許第4396610号、同4644
082号各明細書等に記載のスクアリウム塩系顔料、
(9)特開昭59−53850号、同61−21254
2号各公報等に記載のアズレニウム塩系顔料、などであ
る。これらは単独もしくは2種以上を併用して用いるこ
ともできる。
【0133】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は、有機光導電性化合物10〜100重量部である。ま
た、有機光導電性化合物は、単独であるいは2種以上混
合して使用することができる。
【0134】本発明の感光体に用いることのできる結着
樹脂は、従来公知の電子写真感光体に用いられる樹脂の
いずれでもよく、重量平均分子量は好ましくは5×10
3〜1×106、より好ましくは2×104〜5×105
ものである。また、結着樹脂のガラス転移点は好ましく
は−40℃〜200℃、より好ましくは−10℃〜14
0℃である。例えば、柴田隆治・石渡次郎、高分子、第
17巻、第278頁(1968年)宮本晴視、武井秀彦、イメー
ジング、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料用バインダ
ーの実際技術」第10章、C.H.C.出版(1985年)電子写真
学会編、「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」
予稿集(1985年)小門宏編、「最近の光導電材料と感光
体の開発・実用化」日本科学情報(株)(1986年)電子写
真学会編「電子写真技術の基礎と応用」第5章コロナ社
(株)(1988年)、D. Tatt, S. C. Heidecker,Tappi,49
(No.10), 439(1966)、E. S. Baltazzi, R. G. Blanclot
te et al,Phot. Sci. Eng. 16(No.5), 354(1972)、グ
エン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写真学会
誌18(No.2), 22(1980)等の成書・総説に記載の化合物等
が挙げられる。
【0135】具体的には、オレフィン重合体及び非重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0136】特に、光導電体の結着樹脂として、カルボ
キシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含有する
比較的低分子量(103〜104程度)の樹脂を併用する
ことで、静電特性を良化することができる。例えば、特
開昭63−217354号に記載の酸性基含有重合成分
が重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、同64−70
761号に記載の重合体主鎖の片末端に酸性基を結合し
てなる樹脂、特開平2−67563号、同2−2365
61号、同2−238458号、同2−236562号
及び同2−247656号等に記載の、酸性基をグラフ
ト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂又は酸性基
をグラフト型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、同
3−181948号に記載の酸性基をブロックで含有す
るAB型ブロック共重合体が挙げられる。
【0137】更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不
充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめるために、
中〜高分子量の他の樹脂を併用することが好ましい。例
えば、特開平2−68561号に記載のポリマー間に架
橋構造を形成する熱硬化性樹脂、特開平2−68562
号に記載の一部が架橋構造を有する樹脂、特開平2−6
9759号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の主鎖
末端に結合してなる樹脂等が挙げられる。また、特定の
中〜高分子量の樹脂を用いることで、環境が著しく変動
した場合でも安定した性能を維持することができ、例え
ば、特開平3−29954号、同3−77954号、同
3−92861号及び同3−53257号に記載の酸性
基をグラフト型共重合体のグラフト部の末端に結合する
樹脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含
有する樹脂、同3−206464号及び同3−2237
62号記載の酸性基含有のAブロックと酸性基非含有の
BブロックとからなるABブロック型共重合体をグラフ
ト部に含有するグラフト型共重合体を挙げることができ
る。これらの特定の樹脂を用いることで、光導電体を均
一に分散させ、平滑性良好な光導電層を形成することが
でき、また環境の変化や半導体レーザー光を用いたスキ
ャニング露光方式を用いた場合においても、優れた静電
特性を維持することができる。
【0138】光導電層の厚さは1〜100μm、特に1
0〜50μmが好適である。また、電荷発生層と電荷輸
送層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用
する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μm、特に
0.05〜2μmが好適である。
【0139】本発明では、可視光の露光又は半導体レー
ザー光の露光等光源の種類によって必要に応じて各種の
色素を分光増感剤として併用することができる。例え
ば、宮本晴視、武井秀彦;イメージング1973(No.8)第12
頁、C. J. Young等:RCA Review 15, 469頁(1954
年)、清田航平等:電気通信学会論文誌、J63-C(No.
2)、97頁(1980年)、原崎勇次等、工業化学雑誌、66
78及び188頁(1963年)、谷忠昭、日本写真学会誌35, 2
08頁(1972年)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジ
フェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサン
テン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例え
ば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタロシア
ニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0140】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号各
公報、米国特許第3052540号、同4054450
号各明細書、特開昭57−16456号公報等に記載の
ものが挙げられる。
【0141】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F. M. Hamer「The Cyanine Dyes and Related Co
mpounds」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具
体的には、米国特許第3047384号、同31105
91号、同3121008号、同3125447号、同
3128179号、同3132942号、同36223
17号各明細書、英国特許第1226892号、同13
09274号、同1405898号各明細書、特公昭4
8−7814号、同55−18892号各公報等に記載
の色素が挙げられる。
【0142】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号各公報、米国特許第361915
4号、同4175956号各明細書、「Research Discl
oseure」1982年、216、第117〜118頁等に記載のものが
挙げられる。
【0143】本発明の感光体は、種々の増感色素を併用
させてもその性能が増感色素により変動しにくい点にお
いても優れている。
【0144】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体用添加剤を併用することができ
る。これらの添加剤としては、電子写真感度を改良する
ための化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑
剤、界面活性剤などが含まれる。
【0145】化学増感剤としては、例えばハロゲン、ベ
ンゾキノン、クロラニル、フルオラニル、ブロマニル、
ジニトロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロロ
ベンゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロロフ
タル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、N−ヒドロキ
シマレインイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、2,
3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、ジニト
ロフルオレノン、トリニトロフルオレノン、テトラシア
ノエチレン、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸等の電
子吸引性化合物、小門宏等「最近の光導電材料と感光体
の開発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)
出版部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化
合物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジ
アミン化合物等が挙げられる。また、特開昭58−65
439号、同58−102239号、同58−1294
39号、同62−71965号各公報等に記載の化合物
等も挙げることができる。
【0146】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフ
ェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイ
ソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセ
バケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリコ
レート、ジメチルグリコールフタレートなどを光導電層
の可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑剤
は光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させる
ことができる。これら各種添加剤の添加量は、特に限定
的ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.
001〜2.0重量部である。
【0147】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般にいって電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば金属、紙、プラ
スチックシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるな
どして導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける
面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図
る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前
記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持
体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコ
ート層を設けたもの、アルミニウム等を蒸着した基体導
電化プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用で
きる。
【0148】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例として、坂本幸男、電子写真、14(No.1),2〜11頁
(1975年刊)、森賀弘之「入門特殊紙の化学」高分子刊
行会(1975年刊)、M. F. Hoover,J. Macromol. Sci.
Chem. A-4(6)、1327〜1417頁(1970年刊)等に記載され
ているもの等を用いる。
【0149】次に、電子写真法によるトナー画像の作成
方法について説明する。表面が剥離性を有する電子写真
感光体上に、通常の電子写真プロセスによりトナー画像
を形成する。即ち、帯電−露光−現像−定着の各プロセ
スを従来公知の方法によって行う。表面の剥離性が不十
分な場合には、かかる通常の電子写真プロセスに入る前
に感光体表面に上記化合物(S)を吸着又は付着させる
ことにより、充分な剥離性を付与する。
【0150】現像プロセスに供される現像剤は、従来公
知の静電写真用現像剤を使用することができ、静電写真
用乾式現像剤及び湿式(液体)現像剤のいずれでもよ
い。例えば、前述の「電子写真技術の基礎と応用」497
〜505頁、中村孝一監修「トナー材料の開発・実用化」
第3章(日本科学情報社刊、1985年)、町田元「記録用
材料と感光性樹脂」107〜127頁(1983年刊)、(株)学
会出版センター、電子写真学会「イメージングNo.2〜5
電子写真の現像・定着・帯電・転写」等に具体的な態様
が示されている。
【0151】乾式現像剤としては、一成分磁性トナー、
二成分トナー、一成分非磁性トナーあるいはカプセルト
ナー等が実用されており、これらのいずれも利用するこ
とができる。
【0152】また、具体的な湿式現像剤の基本構成とし
ては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィン系脂
肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG(エッソ社
製)シェルゾール70、シェルゾール71(シェル社製)、
IP−ソルベント1620(出光石油化学製)等}を分散媒
として、着色剤である無機又は有機の顔料あるいは染料
とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、
スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の分散安定性、定着
性、荷電性を付与するための樹脂とを分散し、且つ、荷
電特性の強化あるいは画像特性の改良等のために所望に
より種々の添加剤を加えてなるものが挙げられる。
【0153】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等の染料
あるいは顔料等である。
【0154】また、他の添加剤として、例えば原崎勇次
「電子写真」第16巻、第2号、44頁に具体的に記載され
ているものが用いられる。例えば、ジ−2−エチルヘキ
シルスルホコハク酸金属塩、ナフテン酸金属塩、高級脂
肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アル
キルリン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニルピロリド
ン)、半マレイン酸アミド成分を含む共重合体、クマロ
ンインデン樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル類、
ポリシロキサン、ワックス類等が挙げられる。しかし、
これらに限定されるものではない。
【0155】これら湿式現像剤の主要な各組成分の量に
ついては通常下記の通りである。樹脂(及び所望により
用いられる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、
担体液体1000重量部に対して0.5重量部〜50重
量部が好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が
不足し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生
じ易い。さらに、前記の分散安定用の担体液体可溶性樹
脂も必要に応じて使用され、担体液体1000重量部に
対して0.5重量部〜100重量部程度加えることがで
きる。上述の様な荷電調節剤は、担体液体1000重量
部に対して0.001重量部〜1.0重量部が好まし
い。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら
添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が
規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現
像剤の電気抵抗が109Ωcmより低くなると良質の連続
階調像が得られ難くなるので、各添加物の添加量は、こ
の限度内でコントロールされることが好ましい。
【0156】また、湿式現像剤の製造方法の具体例とし
ては、着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェ
ットミル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分
散して着色粒子を製造する方法が、例えば特公昭35−
5511号、特公昭35−13424号、特公昭50−
40017号、特公昭49−98634号、特公昭58
−129438号、特開昭61−180248号等に記
載されている。他の着色粒子の製造方法としては、例え
ば分散樹脂粒子を微小粒径で単分散性の良好なものとし
て得る非水系分散重合方法を用いて製造し、該樹脂粒子
を着色する方法が挙げられる。
【0157】着色の方法の1つとして、特開昭57−4
8738号などに記載されている如く、分散樹脂を好ま
しい染料で染色する方法がある。また、他の方法とし
て、特開昭53−54029号に開示されている如く、
分散樹脂と染料を化学的に結合させる方法、又は、特公
昭44−22955号等に記載されている如く、重合造
粒法で製造する際に、予め色素を含有した単量体を用
い、色素含有の共重合体とする方法等がある。
【0158】より好ましくは、デジタル情報に基づいて
露光するレーザー光によるスキャニング露光方式及び液
体現像剤を用いる現像方式の組合せが、高精細な画像を
形成できることから有効なプロセスである。その一例を
以下に示す。
【0159】まず、感光材料をフラットベット上にレジ
スターピン方式による位置決めを行った後背面よりエア
ーサクションにより吸引して固定する。次いで、例えば
「電子写真技術の基礎と応用」(電子写真学会編、コロ
ナ社、昭和63年6月15日発行)212頁以降に記載の帯電デ
バイスにより、感光材料を帯電する。コロトロン又はス
コトロン方式が一般的である。この時感光材料の帯電電
位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範囲の表面
電位となるよう、フィードバックをかけ、帯電条件をコ
ントロールすることも好ましい。その後例えば同じく上
記引用資料の254頁以降に記載の方式を用いてレーザー
光源による走査露光を行う。
【0160】次いで液体現像剤を用いてトナー画像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料は、そ
こからはずして同上引用資料の275頁以降に示された直
接法の湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て、露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細
は同上引用資料の157頁以降に説明がある。現像後に余
剰の現像液を除くために、同資料283頁に示されるよう
なスクイーズを行った後乾燥する。スクイーズ前に現像
剤の担体液体のみでリンスをすることも好ましい。
【0161】次に、感光材料上のトナー画像を、剥離可
能な転写層を設けた一次レセプター上に熱転写する。ま
ず、本発明に用いられる転写層について詳しく説明す
る。本発明の転写層は、樹脂(A)から主として構成さ
れ、光透過性のものであり、且つ電子写真感光体の分光
感度領域の波長光の少なくとも一部に対して透過性を有
するものであれば、特に限定されるものではなく、着色
されていてもよい。通常無色で透明な転写層を用いる。
【0162】また、転写層は、上記の如く、一次レセプ
ターから印刷用の支持体となる被転写材にトナー画像ご
と剥離転写して得られた印刷原版を印刷版とするため
に、化学反応処理により溶出除去される機能を有する層
である。従って、本発明に供される転写層を構成する主
成分の樹脂(A)は熱可塑性であり、好ましくはガラス
転移点140℃以下又は軟化点180℃以下、より好ま
しくはガラス転移点100℃以下又は軟化点150℃以
下であって、化学反応処理により溶出除去される樹脂で
ある。
【0163】また、本発明の転写層は、180℃以下の
温度及び/又は30kgf/cm2以下の圧力、より好ましく
は160℃以下の温度及び/又は20kgf/cm2以下の圧
力で密着して剥離可能となることが好ましい。この値を
越えると、転写層を一次レセプター表面から剥離・転写
するために転写装置の熱容量及び圧力を維持するための
装置の大型化が必要であったり、この条件を越える転写
条件でしか剥離しない樹脂を用いると、実際には転写を
充分に行うには転写スピードを極めて遅くしなければな
らない等の実用上困難な問題を生じ好ましくない。下限
値は特に限定されないが、通常室温以上の温度又は10
0gf/cm2以上の圧力条件下で剥離可能となる樹脂が好ま
しい。
【0164】転写層を構成する樹脂(A)としては、前
記の熱物性を有し、化学反応処理で除去可能な樹脂であ
ればいずれでもよい。化学反応処理で除去可能な樹脂
(A)とは、化学反応処理により溶解及び/又は膨潤し
て除去される樹脂、並びに化学反応処理により親水化さ
れその結果溶解/又は膨潤して除去される樹脂を包含す
る。
【0165】化学反応処理により除去される樹脂(A)
の代表例は、アルカリ性処理液で除去し得る樹脂であ
り、特に有用な樹脂は重合体成分に極性基を含有する樹
脂である。また、他の代表例としては、親水性基を保護
基で保護した官能基の形で含有しており、化学反応によ
り親水性基を発現させ得る樹脂が挙げられる。官能基を
親水性基に変換し得る化学反応は、従来公知の加水分解
反応、加水素分解反応、加酸素分解反応、β−脱離反
応、求核置換反応等を利用した処理液による親水化反
応、又は化学的活性光線の照射を受けて分解反応するこ
とによる親水化反応のいずれでもよい。
【0166】具体的には、樹脂(A)は、下記の重合体
成分(a)及び重合体成分(b)から選ばれる重合成分
の少なくとも1種を含有する重合体が挙げられる。重合
体成分(a)としては、−CO2H基、−CHO基、−
SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1
は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基
を表す)基を表す}基、フェノ−ル性OH基、環状酸無
水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭化水素基を表
す)基及び−CONHSO23基から選ばれる少なくと
も1つの基を含有する重合体成分であり、重合体成分
(b)としては、化学反応処理で−CO2H基、−CH
O基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)
1{R1 は上記と同一の内容を表す}基及び−OH基
のうちの少なくとも1つの基を生成する官能基を少なく
とも1種含有する重合体成分である。
【0167】ここで、−P(=O)(OH)R1は、下記
式で表わされる基を示す。R1は−OH基、炭化水素基
又は−OR2基(R2は炭化水素基を表す)を表し、具体
的にはR1は置換されていてもよい炭素数1〜12の脂
肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−メトキ
シエチル基、3−エトキシプロピル基、アリル基、クロ
トニル基、ブテニル基、シクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、メチルベ
ンジル基、クロロベンジル基、フロロベンジル基、メト
キシベンジル基等)又は置換されていてもよいアリール
基(フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピ
ルメチルフェニル基、ジクロロフェニル基、メトキシフ
ェニル基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニル
基、アセチルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等で
ある。R2はR1と同一の内容を表す。
【0168】
【化12】
【0169】−CONHCOR3基及び−CONHSO2
3基におけるR3は炭化水素基を表し、具体的には、R
1と同様の内容を表す。
【0170】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボ
ン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、グルタコン
酸無水物環、マレイン酸無水物環、シクロぺンタン−
1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキサン−1,
2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2.2.
2〕オクタジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これら
の環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、
メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキ
ル基等が置換されていてもよい。芳香族ジカルボン酸無
水物の例としては、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジ
カルボン酸無水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物
環、チオフェン−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、
これらの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン
原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の
アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ア
ルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、
エトキシ基カルボニル等)等が置換されていてもよい。
【0171】重合体成分(a)は、前記した様な特定の
極性基を含有する共重合成分であればよく、特に限定さ
れるものではない。極性基含有の共重合成分の具体例
は、該極性基を含有するビニル系化合物であればいずれ
でもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハン
ドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に記載され
ている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換
アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシ
メチル体、α−(2−アミノ)エチル体、α−クロロ
体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリ
ル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α
−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、
メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、
イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカ
ルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−
ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセ
ン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、
マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニ
ルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビ
ニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボン酸類の
ビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及びこれらの
カルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導
体の置換基中に該極性基を含有する化合物等が挙げられ
る。
【0172】以下に極性基含有の重合体成分(a)につ
いて例示する。ここで、R4は−H又は−CH3を示し、
5は−H、−CH3又は−CH2COOCH3を示し、R
6は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素数1〜
6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、e
は1又は2の整数を示し、fは1〜3の整数を示し、g
は2〜11の整数を示し、hは1〜11の整数を示し、
iは2〜4の整数を示し、jは2〜10の整数を示す。
【0173】
【化13】
【0174】
【化14】
【0175】
【化15】
【0176】
【化16】
【0177】
【化17】
【0178】
【化18】
【0179】
【化19】
【0180】次に、重合体成分(b)について説明す
る。重合体成分(b)は、化学反応により少なくとも1
個の親水性基〔−CO2H基、−CHO基、−SO3
基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1は−O
H基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表
す)基を表す}基及び−OH基〕を生成する官能基を少
なくとも1種含有する重合体成分である。1つの官能基
から化学反応により生成する親水性基は1個でも2個以
上でもよい。
【0181】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボキシル基を生成する官能基について説明する。
【0182】本発明の1つの好ましい態様によれば、カ
ルボキシル基生成官能基としては、例えば、下記一般式
(I)で示される官能基が挙げられる。 一般式(I) −COO−L1 〔一般式(I)において、L1は下記の基を表わす。〕
【0183】
【化20】
【0184】但し、R11及びR12は互いに同じでも異な
っていてもよく、水素原子又は脂肪族基を表わし、Xは
芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン原子、トリ
ハロメチル基、アルキル基、シアノ基、−NO2基、−
SO21(但し、Z1は炭化水素基を示す)基、−COO
2(但し、Z2は炭化水素基を示す)基、−OZ3(但
し、Z3は炭化水素基を示す)又は−COZ4(但し、Z4
は炭化水素基を示す)基を表わし、n、mは0、1又は
2を表わす。但し、nとmが共に0の場合、Zは水素原
子ではない。
【0185】A1及びA2は同じでも異なっていてもよ
く、Hammetの置換基定数σ値が正の値を示す電子吸引性
基を表わす。R13は水素原子又は炭化水素基を表わす。
14、R15及びR16は、互いに同じでも異なっていても
よく、炭化水素基又は−OZ5(但し、Z5は炭化水素基
を示す)基を表わす。
【0186】Y1は酸素原子又はイオウ原子を表わし、
17、R18及びR19は同じでも異なっていてもよく、各
々水素原子、炭化水素基又は−OZ7(但し、Z7は炭化
水素基を示す)基を表わし、pは3又は4の整数を表わ
す。Y2は環状イミド基を形成する有機残基を表わす。
20及びR21は、互いに同じでも異なっていてもよく、
14と同一の内容を表す。
【0187】以下更に詳しく説明する。R11、R12は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原
子、又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は
分枝状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロ
メチル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよいフェニル基又はナフチル基(例えばフェニル
基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチルフ
ェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)を
表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例え
ばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、炭
素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状アル
キル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN基、−NO2 基、−
SO2 −Z1{Z1は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の
置換されてもよいアルキル基:具体的にはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペン
チル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されても
よいアラルキル基:具体的にはベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフ
ェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基(例
えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチル
基:具体的には、フェニル基、クロロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル
基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メ
トキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す}基、−COOZ2(Z2は上記Z1と同義である)基、
−OZ3(Z3は上記Z1と同義である)基又は−COZ
4(Z4は上記Z1と同義である)基を表わす。n、mは各
々0、1又は2を表わす。但し、nとmが共に0の場
合、Zは水素原子ではない。
【0188】R14、R15及びR16並びにR20及びR21
互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは炭素数
1〜18の置換されてもよい脂肪族基〔脂肪族基はアル
キル基、アルケニル基、アラルキル基又は脂環式基を示
し、置換基としては例えばハロゲン原子、−CN基、−
OH基、−OZ6(Z6はアルキル基、アラルキル基、脂
環式基、アリール基を示す)基等が挙げられる〕、炭素
数6〜18の置換されてもよい芳香族基(例えばフェニ
ル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル
基、アセトアミドフェニル基、ナフチル基等)又は−O
5(Z5は置換されてもよい炭素数1〜12のアルキル
基、置換されてもよい炭素数2〜12のアルケニル基、
置換されてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、炭素
数5〜18の置換されてもよい脂環式基、炭素数6〜1
8の置換されてもよいアリール基を示す)基を表わす。
【0189】A1、A2は互いに同じでも異なっていても
よく、各々少なくとも一方が電子吸引基であり、−
1、−A2のHammetのσp値の和が0.45以上であれ
ばよい。ここで言う電子吸引基の例としては、例えばア
シル基、アロイル基、ホルミル基、アルコキシカルボニ
ル基、フェノキシカルボニル基、アルキルスルホニル
基、アロイルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロ
ゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルバモイル基等が
挙げられる。
【0190】Hammetのσp値は、通常置換基の電子吸引
・供与の度合いを見積もる指標として用いられており、
+側に大きいほど強い電子吸引基として扱われる。各置
換基に対する具体的な数値については、稲本直樹著「ハ
メット則―構造と反応性」丸善(1984年刊)等に記載さ
れている。また、この系におけるHammetのσp値は加成
性が成り立つと考えられ、−A1、−A2の両方が電子吸
引基である必要はない。従って、一方、例えば−A1
電子吸引基である場合、他方の−A2の置換基は、−
1、−A2のσp値の和が0.45以上になるものであれば
いずれでもよく、特に制限されるない。
【0191】R13は炭素数1〜8の置換されていてもよ
い炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル基、2−ヒド
ロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシ
エチル基、3−メトキシプロピル基、2−クロロエチル
基等が挙げられる。
【0192】Y1は酸素原子又はイオウ原子を表わす。
17、R18及びR19は互いに同じでも異なっていてもよ
く、好ましくは水素原子、置換されてもよい炭素数1〜
18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、クロロ
エチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基
等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等)、置換されてもよい炭素数
7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチ
ル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基等)、置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル
基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフェニル
基、メトキシカルボニルフェニル基、ジクロロフェニル
基等)又は−OZ7(Z7は炭化水素基を表わし、具体的
には上記R14、R15、R16の炭化水素基と同一の置換基
類を示す)を表わす。pは3又は4の整数を表わす。
【0193】Y2は、環状イミド基を形成する有機残基
を表わす。好ましくは、下記の一般式(A)又は一般式
(B)で示される有機残基を表わす。
【0194】
【化21】
【0195】
【化22】
【0196】式(A)中、R22及びR23は各々同じでも
異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基{例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等}、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニル基、1
2−オクタデセニル基等)、−SZ8{Z8は前記R22
はR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基と同
一の内容を表わす置換基、又は置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェニル
基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシ
フェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)を表
す}基又は−NHZ9(Z9は前記Z8と同一の内容を表わ
す)基を表わす。また、R22とR23で環を形成する残基
を表わしてもよい{例えば、5若しくは6員環の単環
(例えばシクロペンチル環、シクロヘキシル環)又は5
若しくは6員環のビシクロ環(例えばビシクロヘプタン
環、ビシクロヘプテン環、ビシクロオクタン環、ビシク
ロオクテン環等)、更にはこれらの環は置換されていて
もよく、置換基としてはR22、R23で前記した内容と同
一のものを含む}。qは2又は3の整数を表わす。
【0197】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
てもよく、前記R22、R23と同一の内容を表わす。更に
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表わしてもよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。
【0198】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(II)で示されるオキサゾロン環を挙
げることができる。
【0199】
【化23】
【0200】一般式(II)において、R26、R27は互い
に同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化水
素基を表わすか、又はR26とR27とが一緒に環を形成し
てもよい。
【0201】好ましくは、R26、R27は互いに同じでも
異なってもよく、各々水素原子、置換されていてもよい
炭素数1〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基等)、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基(例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4
−アセトアミドベンジル基、フェネチル基、4−メトキ
シベンジル基等)、置換されていてもよい炭素数2〜1
2のアルケニル基(例えばエチレン基、アリル基、イソ
プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換さ
れていてもよい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミド
フェニル基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、
ニトロフェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基等)を表わすか、又はR26とR27とが
一緒に環(例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等)を形成してもよい。
【0202】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば下記一般式
(III)又は(IV)で表される官能基が挙げられる。 一般式(III) −SO2−O−L2 一般式(IV) −SO2−S−L2 〔式(III)又は(IV)中、L2は、下記の基を表わ
す。〕
【0203】
【化24】
【0204】ここで、R11、R12、X、Z、n、m、Y
2 、R20、R21、R22及びR23はそれぞれ前記と同一の
内容を表わす。
【0205】更に、化学反応により少なくとも1つのス
ルフィン酸基を生成する官能基としては、例えば下記一
般式(V)で表される官能基が挙げられる。
【0206】
【化25】
【0207】〔式(V)中、A1、A2及びR13はそれぞ
れ前記と同一の内容を表わす。〕
【0208】また、化学反応により−P(=O)(O
H)R1 基を生成する官能基としては、例えば下記一般
式(VIa)又は(VIb)で表される官能基が挙げられ
る。
【0209】
【化26】
【0210】〔式(VIa)及び(VIb)中、L3、L4
同じでも異なってもよく、それ ぞれ前記L1と同一
の内容を表わす。R1 は前記と同様である。〕
【0211】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基(ヒドロシル基生成官能基)としては、例えば下
記一般式(VII)で表される官能基が挙げられる。 一般式(VII) −O−L5 〔式(VII)中、L5は、下記の基を表わす。
【0212】
【化27】
【0213】ここで、R14〜R19、Y1 及びpはそれぞ
れ前記と同一の内容を表す。R28は炭化水素基を表わ
し、具体的には前記R11と同一の内容を表わす。〕
【0214】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基の他の好ましい態様によれば、ヒドロキシル基生
成官能基は、互いに立体的に近い位置にある少なくとも
2つのヒドロキシル基を1つの保護基で同時に保護した
形で有する官能基である。互いに立体的に近い位置にあ
る少なくとも2つのヒドロキシル基を1つの保護した形
で有する官能基の例としては例えば下記一般式(VIII)、
(IX)及び(X)で表される官能基を挙げることができ
る。
【0215】
【化28】
【0216】〔式(VIII)〜(X)中、R29、R30は、互
いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化
水素基又は−OZ10(Z10は炭化水素基を示す)基を表
わし、Uはヘテロ原子を介してもよい炭素―炭素結合を
表わす(但し、酸素原子間の原子数は5個以内であ
る)。〕
【0217】該官能基について更に詳しく説明すると、
29、R30は、互いに同じでも異なっていてもよく、好
ましくは水素原子、炭素数1〜12の置換されてもよい
アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、2−メトキシエチル基、オ
クチル基等)、炭素数7〜9の置換されてもよいアラル
キル基(例えばベンジル基、フェネチル基、メチルベン
ジル基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基等)、
炭素数5〜7の脂環式基(例えば、シクロペンチル基、
シクロヘキシル基等)又は置換されてもよいアリール基
(例えばフェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェ
ニル基、メチルフェニル基、シアノフェニル基等)又は
−OZ10(Z10はR29、R30における炭化水素基と同義
である)基を表わす。Uは、ヘテロ原子を介してもよい
炭素―炭素結合を表わし、且つ酸素原子間の原子数は5
個以内である。
【0218】以下に前記した一般式(I)〜(X)で表
される各官能基の具体例(b−1)〜(b−67)を例
示する。但し、本発明の内容は、これらに限定されるも
のではない。なお、下記具体例において、各記号は以下
に示す通りである。
【0219】
【化29】
【0220】
【化30】
【0221】
【化31】
【0222】
【化32】
【0223】
【化33】
【0224】
【化34】
【0225】本発明において用いることのできる、化学
反応により−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−
SO2H基、−P(=O)(OH)R1基及び−OH基のう
ちの少なくとも1つの親水性基を生成する官能基を含有
する共重合体成分(b)は、特に限定されるものではな
い。好ましくは前記した重合体成分(a)の親水性基が
保護された重合体を例として挙げることができる。
【0226】本発明に用いることのできる前記した様な
−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−SO2
基、−P(=O)(OH)R1基及び/又は−OH基を化
学反応で発現する官能基は、これらの親水性基を保護し
た官能基であり、これら保護基の該親水性基への化学結
合による導入の方法は、従来公知の方法によって、容易
に行うことができる。例えば、J. F. W. McOmie「Prote
ctive groups in Organic Chemistry」(Plenum Press.
1973年刊)、T. W. Greene「Protective groups in Org
anic Synthesis」(Wiley-Interscience,1981年刊)、日
本化学会編「新実験化学講座、第14巻、有機化合物の合
成と反応」(丸善(株)1978年刊)、岩倉義男・栗田恵
輔著「反応性高分子」(講談社)等に記載された各単位
反応が用いられる。
【0227】これらの本発明に供することのできる官能
基を樹脂(A)中に導入する方法としては、−COOH
基、−CHO基、−SO3H基、−PO32基、−SO2
H基、−OH基等から選ばれた少なくとも1種の親水性
基を含有する重合体を、反応によって各々の親水性基を
保護した官能基に変換する、いわゆる高分子反応による
方法、又は前記した一般式(I)〜(X)で示される官
能基を1種又はそれ以上含有する1種又はそれ以上の単
量体を合成した後、これと共重合し得る他の任意の単量
体との重合反応により重合体とする方法により得られ
る。
【0228】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得ること、あるいは、不純物(高分子反応の場
合、用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない事等の
理由から、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後
重合反応を行なう方法)により製造することが好まし
い。例えばカルボキシル基を生成する官能基を導入する
場合、具体的には重合性の二重結合を含むカルボン酸類
又はその酸ハライド類を、例えば前記した公知文献等に
記載された方法に従って、そのカルボキシル基を一般式
(I)で示される官能基に変換した後、重合反応を行な
い製造するという方法で行なうことができる。
【0229】また、化学反応によりカルボキシル基を生
成する官能基として、前記一般式(II)で示されるオキ
サゾロン環を含有する樹脂は、オキサゾロン環を含有す
る1種又はそれ以上の単量体の、又はこれら単量体及び
これと共重合し得る他の単量体の重合反応により重合体
とする方法により得ることができる。このオキサゾロン
環を含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN
−アシロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製
造することができる。具体的には、岩倉義男・栗田恵輔
著「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文
献記載の方法によって製造することができる。
【0230】樹脂(A)のうち、重合成分(a)と重合
成分(b)を共に有するものは、転写性及び転写層の除
去性の点で好ましい。
【0231】また、樹脂(A)における重合成分(a)
及び重合成分(b)の含有量の態様は以下の通りが好ま
しい。即ち、重合体成分(a)のみを樹脂(A)に含有
する場合には、樹脂(A)の全重合体成分中好ましくは
3〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%であ
る。また、重合体成分(b)のみを含有する場合には樹
脂(A)の全重合体成分中好ましくは3〜100重量
%、より好ましくは5〜70重量%である。更には、重
合体成分(a)及び重合体成分(b)を含有する場合に
は、樹脂(A)の全重合体成分中、重合体成分(a)は
好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜2
5重量%であり、重合体成分(b)は好ましくは3〜9
9.5重量%、より好ましくは5〜50重量%である。
【0232】更に、本発明の転写層に供せられる樹脂
(A)は、樹脂(A)自体の剥離性を向上する効果を有
するフッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基
を含む重合体成分(c)を、上記の重合体成分(a)及
び/又は(b)とともに、更に含有してもよい。この事
により、一次レセプターとの剥離性が向上し、結果とし
て転写性がより良好になる。フッ素原子及び/又はケイ
素原子含有置換基は、重合体の高分子主鎖に組み込まれ
たもの及び高分子の側鎖の置換基として含有されたもの
の両者を含めたものである。好ましくは、これらの重合
体成分(c)は、樹脂(A)においてブロック体として
含有される。重合体成分(c)は、全重合体成分中1〜
20重量%で含有するものが好ましい。重合体成分
(c)が1重量%以下であるとその剥離性向上効果が薄
れてしまい、また20重量%以上であると、樹脂(A)
の処理液との濡れ性が低下し、転写層の除去に困難を伴
うことがある。
【0233】また、後述の如く、転写層を構成する樹脂
(A)が、ガラス転移点又は軟化点が異なる2種以上の
樹脂からなる場合、これらフッ素原子及び/又はケイ素
原子含有重合体成分(c)を含有する樹脂は、高いガラ
ス転移点の樹脂(AH)及び低いガラス転移点の樹脂
(AL)のいずれに含有されてもよい。
【0234】これらの重合体成分(c)は、具体的に
は、前述の剥離性を有する感光体に用いられる樹脂
(P)に含有され得るフッ素原子及び/又はケイ素原子
含有の重合体成分と同様の内容のものが挙げられる。
【0235】本発明の樹脂(A)における、いわゆるブ
ロック共重合体として、好ましい態様としては、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分(c)がブ
ロックで構成されていればいずれでもよい。ここでブロ
ックで構成するとは、フッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する重合体成分を70重量%以上含有する重合体
セグメントを重合体中に有していることをいい、例えば
前記樹脂(P)で記載したと同様に、A−B型ブロッ
ク、A−B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グ
ラフト型ブロックあるいはスター型ブロック等が挙げら
れる。
【0236】これらの各種ブロック重合体(A)は、従
来公知の重合方法に従って合成することができ、具体的
には、かかる重合体成分をブロックで含有する樹脂
(P)で引用したと同様の方法が挙げられる。
【0237】更に、樹脂(A)は、上記特定の重合体成
分(a)及び/又は(b)、更に必要により重合体成分
(c)とともに、電気絶縁性及び熱可塑性を保持するた
めに他の重合成分を含有することも好ましい。他の重合
成分としては、当該重合体成分のホモ重合体のガラス転
移点が130℃以下のものが好ましい。具体的には、例
えば、下記一般式(U)で示される繰り返し単位の成分
が挙げられる。これらの繰り返し単位は、単独もしくは
2種以上を併用してもよい。
【0238】
【化35】
【0239】式(U)中、Vは−COO−、−OCO
−、−O−、−CO−、−C64−、−(CH2)nCO
O−又は−(CH2)nOCO−を表す。但し、nは1〜
4の整数を表す。b1及びb2は同じでも異なっていても
よく、各々水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、シアノ基、トリフロロメチル基、炭素数1〜7の炭
化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジ
ル基等)又は−COOZ11(Z11は炭化水素基を表し、
具体的には上記炭素数1〜7の炭化水素基と同じものが
挙げられる)を表す。
【0240】R60は炭素数1〜22の炭化水素基を表
す。R60は好ましくは、炭素数1〜18の置換されてい
てもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、、トリデシ
ル基、テトラデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロ
モエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチ
ル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、
2−ヒドロキシプロピル基等)、炭素数2〜18の置換
されてもよいアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル
基、イソプロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘ
プテニル基、オクテニル基等)、炭素数7〜12の置換
されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェ
ネチル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、
メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、メチルベン
ジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよいシクロア
ルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基等)又は炭素数6〜12の置換さ
れてもよいアリール基(例えば、フェニル基、トリル
基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフ
ェニル基、エトキシフェニル基、フロロフェニル基、メ
チルクロロフェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフ
ェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、メ
チルカルボニルフェニル基、メトキシカルボニルフェニ
ル基、エトキシカルボニルフェニル基、メタンスルホニ
ルフェニル基、シアノフェニル基等)等が挙げられる。
【0241】以上の式(U)で示される共重合成分の含
有量は、樹脂(A)中50〜97重量%であることが好
ましい。
【0242】樹脂(A)は、上記の重合体成分及び一般
式(U)で示される重合体成分とともに、これらと共重
合可能な他の重合体成分を更に含有していてもよい。こ
のような他の重合体成分としては、例えば一般式(U)
で説明した以外の置換基を含有するメタクリル酸エステ
ル類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類に
加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル又はアリル
酸エステル類(例えばカルボン酸として、酢酸、プロピ
オン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレンカルボン
酸等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニ
ルエーテル類、イタコン酸エステル類(例えばジメチル
エステル、ジエチルエステル等)、アクリルアミド類、
メタクリルアミド類、スチレン類(例えばスチレン、ビ
ニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、
N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、メトキシカル
ボニルスチレン、メタンスルホニルオキシスチレン、ビ
ニルナフタレン等)、ビニルスルホン含有化合物、ビニ
ルケトン含有化合物、複素環ビニル類(例えばビニルピ
ロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニ
ルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾー
ル、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニルテトラ
ゾール、ビニルオキサジン等)等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。これら他の重合体成分
は、樹脂(A)の転写性を疎外しない範囲内で任意に用
いることができるが、具体的には樹脂(A)中の30重
量%を越えないことが好ましい。
【0243】本発明の樹脂(A)は、更に、ガラス転移
点又は軟化点の異なる少なくとも2種の樹脂を併用する
ことが好ましい。特に、ガラス転移点30℃〜140℃
又は軟化点35℃〜180℃の樹脂(AH)及びガラス
転移点−50℃〜40℃又は軟化点0℃〜45℃の樹脂
(AL)から主としてなり、且つ樹脂(AH)と樹脂
(AL)とのガラス転移点又は軟化点の差が2℃以上で
あることが好ましい。更に、樹脂(AH)は、好ましく
はガラス転移点30℃〜120℃又は軟化点38℃〜1
60℃であり、より好ましくはガラス転移点30℃〜8
0℃又は軟化点40℃〜120℃であり、樹脂(AL)
は、好ましくはガラス転移点−25℃〜38℃又は軟化
点5℃〜40℃であり、より好ましくはガラス転移点−
20℃〜33℃又は軟化点10℃〜35℃である。更に
好ましくは、樹脂(AL)のガラス転移点又は軟化点
は、樹脂(AH)より5℃以上低いものである。ここ
で、樹脂粒子(AH)又は樹脂粒子(AL)が2種以上
含有される場合におけるガラス転移点又は軟化点の差
は、樹脂粒子(AH)中の最もガラス転移点又は軟化点
の低いものと、樹脂粒子(AL)中の最もガラス転移点
又は軟化点の高いものとの差をいうものである。
【0244】また、転写層において、樹脂(AH)と樹
脂(AL)との存在割合は5〜90/95〜10(重量
比)、特に、10〜70/90〜30(重量比)で構成
されることが好ましい。樹脂(AH)/(AL)の存在
比が上記範囲をはずれると、転写層の被転写材料への転
写性の改良効果が失われてしまう。
【0245】転写層には、本発明の樹脂(A)ととも
に、必要に応じて他の樹脂を併用してもよい。但し、転
写層の除去の性能を低下させないためには、転写層形成
の全樹脂100重量部中の上記重合体成分(a)及び
(b)の存在割合が3重量%以上を満足することが好ま
しい。併用され得る他の樹脂の例としては、例えば塩化
ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル酸エステル
重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル重合体及び
共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ス
チレン−メタクリル酸エステル共重合体、イタコン酸ジ
エステル重合体及び共重合体、無水マレイン酸共重合
体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド共重合
体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、アミド
樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステル樹
脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、環化
ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−アク
リル酸エステル共重合体、複素環を含有する共重合体
(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン
環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、
ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、
1,3−ジオキセタン環等)、セルローズ系樹脂、脂肪
酸変性セルローズ系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ
る。
【0246】また、例えば、日刊工業新聞社刊「プラス
チック材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1981年)、近
畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新
聞社刊(1988年)、大森英三「機能性アクリル樹脂」
(株)テクノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎「ポリ
エステル樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988年)、
湯木和男編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊
工業新聞社刊(1989年)、高分子学会編「高分子データ
ハンドブック〈応用編〉」第1章焙風館(1986年)、原
崎勇次編「最新・バインダー技術便覧」第2章(株)総
合技術センター(1985年)、奥田平編「高分子加工 別
冊・8第20巻増刊号“粘着”」高分子刊行会(1976年
刊)、福沢敬司「粘着技術」高分子刊行会(1987年
刊)、西口守「接着便覧第14版」(株)高分子刊行会
(1985年)、日本接着協会編「接着ハンドブック第2
版」日刊工業新聞社(1980年)等に記載の各種樹脂類が
挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独又は2種以
上併用してもよい。
【0247】更に転写層には、接着性、成膜性、膜強度
等種々の物理的特性を向上させるために、他の添加剤を
併用してもよい。例えば、接着性調整のためにロジン、
石油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ性の改
良や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤としてボリ
ブテン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、低分子
ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、パラフインワックス等、また酸化防止剤として高分
子ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を加
えることができる。詳しくは「ホットメルト接着の実
際」(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29〜107
頁に記載がある。
【0248】更に、本発明の転写層は、一次レセプター
表面上に高ガラス転移点の樹脂(AH)から成る第1の
層と、その上に低ガラス転移点の樹脂(AL)から成る
第2の層との重層で形成されることが好ましい。このこ
とにより、被転写材30への転写性が一層向上し、転写
時の条件(加熱温度、圧力、搬送スピード等)のラチチ
ュードが拡大するとともに、被転写材の種類を選ばずに
容易に転写させることが可能となる。更に、被転写材に
転写された転写層の表面側は、高ガラス転移点の樹脂
(AH)で構成されることで、トナー画像を形成し被転
写材に転写した印刷原版とした場合、転写層を化学反応
処理で除去する前に版を重ねて放置等した時にも転写層
と重ね合わせた上の版の裏側と接着して剥がれを生じる
(いわゆる重置き版適性)等の問題が解消される。
【0249】転写層の膜厚は好ましくは0.1〜10μ
m、より好ましくは0.5〜5μmである。膜厚が薄す
ぎると転写不良が起きやすくなる。転写層が積層構造の
場合、各層の膜厚は0.1μm以上が好ましい。
【0250】本発明においては、一次レセプターには、
感光体上へのトナー画像の形成プロセス終了時までに
は、転写層が設けられていることが望ましい。剥離可能
な転写層は、一次レセプター上に予め設けられたもので
もよいが、転写層は前記電子写真装置内で転写層を形成
されることが好ましい。これにより、この転写層形成装
置を電子写真プロセスを行う装置内に組み込むことがで
き、一次レセプターを同一装置内で繰り返し使用するこ
とが可能となり、一次レセプターを使い捨てることな
く、製版工程を連続して行い得る。その結果、作成され
る印刷版のコストを著しく低減できるというメリットを
生じる。特に、熱溶融塗布法、電着塗布法及び転写法は
装置内で一次レセプター上に転写層を形成させることが
容易に行われるので好ましい。
【0251】「熱溶融塗布法」とは、転写層組成物を公
知の方法で熱溶融塗布するものであり、無溶剤型塗布
機、例えば前記資料「ホットメルト接着の実際」の197
〜215頁に記載のホットメルト接着剤用加熱溶融塗布装
置(ホットメルトコーター)の機構を、一次レセプター
のドラム塗布仕様にして転用できる。例としては、ダイ
レクトロールコーター、オフセットグラビアロールコー
ター、ロットコーター、エクストルージョンコーター、
スロットオリフィスコーター、カ−テンコーター等が挙
げられる。
【0252】塗布時の樹脂(A)の溶融温度は、用いる
樹脂(A)の成分組成により最適化するが、通常は50
〜180℃の範囲である。密閉された自動温度制御手段
を有する予備加熱装置を用いて予め溶融した後、一次レ
セプターに塗布する位置で短時間に適温に上昇させるこ
とが望ましい。このようにすることで、樹脂(A)の熱
酸化による変質や塗布ムラを防止することができる。
【0253】塗布スピードは、樹脂(A)の熱溶融時の
流動性、コーター方式、塗布量等によるが、1〜100
mm/秒が適当であり、より好ましくは5〜40mm/秒の
範囲である。
【0254】転写層形成に、電着塗布法を用いる場合に
は、前述の樹脂(A)を、樹脂粒子の状態で一次レセプ
ターの表面上に静電的に電着または付着させ、例えば加
熱等により均一な薄膜を形成して、転写層とする。従っ
て、樹脂粒子は、正電荷あるいは負電荷のいずれかの荷
電を有している事が必要であり、その検電性は組み合せ
る一次レセプターの帯電性によって任意に決定される。
【0255】樹脂粒子は、所望により2種以上の樹脂を
含有することができる。例えば、2℃以上、好ましくは
5℃以上ガラス転移点の互いに異なる樹脂(AH)及び
(AL)から選ばれる樹脂を例えば併用する場合には、
得られる転写層の被転写材への転写性が向上し、転写条
件のラチチュードの拡大が達成できる。この場合、これ
らの樹脂は粒子中で混合物として存在していてもよい
し、コア部分とシェル部分がそれぞれ異なる樹脂から成
るコア/シェル構造の如き層構造を形成していてもよ
い。コア部が樹脂(AL)及び(AH)のうちのいずれ
か1つから成り、シェル部が他方の樹脂から成るコア/
シェル構造を有する樹脂粒子が好ましく、これにより転
写層の被転写材への緩和条件下での迅速な転写を達成す
ることができる。
【0256】樹脂粒子は、前記した物性を満たす範囲の
ものであって、通常その平均粒径は、0.01μm〜1
5μmの範囲であり、好ましくは0.05μm〜5μ
m、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲である。
粒子は粒子粉体(乾式)あるいは、非水系に分散された
樹脂粒子(湿式)のいずれの状態でもよい。好ましく
は、転写層の膜厚を均一な厚みで薄膜まで調整すること
が容易な、非水系分散樹脂粒子が挙げられる。
【0257】本発明の微小径樹脂粒子は、従来公知の機
械的粉砕方法又は重合造粒方法によって製造することが
できる。これらの製造方法は、乾式電着あるいは湿式電
着のいずれの粒子でも用いることができる。乾式電着方
法で用いられる微小粒子を製造する場合において、機械
的粉砕方法としては、従来公知の粉砕機で直接粉砕し、
微粒子とする方法(例えば、ボールミル、ペイントシェ
ーカー、ジェットミルを使用する方法等)が挙げられ、
必要に応じて、樹脂粒子とする材料を混合し、溶融、混
練を経て粉砕したり、粉砕後粒径をそろえるための分級
又は粒子の表面を処理する後処理等を適宜組合わせて行
なうことができる。また、スプレードライ法も知られて
いる。
【0258】例えば、(社)日本粉体工業技術協会編
「造粒ハンドブック」第II編(オーム社刊、1991年)、
神奈川経営開発センター「最新造粒技術の実際」(神奈
川経営開発センター出版部、1984年)、荒川正文等編
「最新粉体の設計技術」(株)テクノシステム社、1988
年)等の成書に詳細に記載された方法を適宜用いて容易
に製造することができる。
【0259】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行なう乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反
応、非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等
が知られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテッ
クスの化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲垣寛
「合成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978年)、室
井宗一「高分子ラテックス入門」工文社(1983年)、I.
Piirma, P. C. Wang「EmulsionPolymerization」、I.
Piirma & J. L. Gardon, ACS symp. Sev. 24, p.34(19
74年)、北原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書(19
79年)、室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端技
術」C.M.C.(1991年)等のの成書に記載されている方法
で粒子化した後、上記機械的方法に関する成書に記載の
様な各種の方式で補集し粉末化することで製造すること
ができる。
【0260】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は、乾式静
電写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的
には、J. F. Hughes著(長坂秀雄・緑川真知子訳)「静
電粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯電、
インダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現象利
用等の方法で帯電した微粒子を電着する方法、中村孝一
編「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・
実用化」第1章(日本科学情報(株)、1985年)等の成
書に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ法、ファー
ブラシ法、エレクトロスタチック法、インダクション
法、タッチダウン法、パウダークラウド法等の現像方法
等を用いて適宜行なうことができる。
【0261】湿式電着方法で用いられる、非水系ラテッ
クスを製造する場合も、前記の如く機械的方法と重合造
粒方法のいずれでも製造することができる。例えば、分
散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば、ボー
ルミル・ペイントシェーカー、ケデイミル、ダイノミル
等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、分散
補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混練して混練
物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させて分散
する方法等が挙げられる。具体的には、塗料又は静電写
真用現像剤の製造方法を利用することができ、例えば植
木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、D.H.Solomon 「The Chemistry of Organic Film
Formers」John Weley (1967),「Paint and Surface Coa
ting Theory and Practice」、原崎勇次「コーティング
工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次「コーティングの
基礎科学」(1977年)等の成書に記載されている。
【0262】また、重合造粒法としては、従来公知の非
水系分散重合方法で製造することができ、具体的には、
前記した「超微子ポリマーの最新技術」第2章、「最近
の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」
第3章、K. E. J. Barvett「Dispersion Polymerizatio
n in Organic Media」John Wiley(1975年)等の成書に
記載されている。
【0263】重合造粒法において、樹脂(A)に剥離性
向上のための重合体成分(c)を導入するには、樹脂粒
子となる有機溶媒には可溶で、重合することで不溶化す
る単量体とともに、重合体成分(c)に相当する単量体
を共存させて重合反応を行うことで樹脂(A)中に共重
合され、ランダム共重合体の樹脂粒子が容易に得られ
る。
【0264】更に、重合体成分(c)をブロックで導入
するには、用いる分散安定用樹脂に、重合体成分(c)
をブロックで含有するブロック共重合体を少なくとも用
いる方法、又は重合体成分(c)を主たる繰り返し単位
として構成する重量平均分子量1×103〜2×10
4(好ましくは3×103〜1.5×104)の一官能性マ
クロモノマーを共存させて単量体と共重合させることで
容易に行うことができる。また、他の方法としては、重
合体成分(c)を主たる繰り返し単位として含有する高
分子開始剤(アゾビス高分子開始剤又は過酸化物高分子
開始剤)を用いることでも、同様にブロック共重合体の
樹脂粒子を得ることができる。
【0265】前述のコア/シェル型樹脂粒子も重合造粒
法を用いて容易に製造できる。まず、第1の樹脂からな
る微細粒子を重合造粒法により作り、これをシードとし
て、第2の樹脂に相当する単量体を供給して重合を行う
ことにより積層構造の粒子が得られる。
【0266】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。かかる有機溶媒の具体例は、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フ
ッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオ
クタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジ
クロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に
限定されるものではない。
【0267】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。これらの非
水系分散樹脂粒子は、湿式静電写真現像方法又は電界の
印圧場で電気泳動させて電着される方法を行なう事か
ら、電着時に用いられる分散媒としては、電気抵抗10
8Ωcm以上、且つ誘電率3.5以下の非水溶媒系が適当
である。
【0268】具体的には、直鎖状もしくは分枝状の脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、及び
これらのハロゲン置換体を用いることができる。例えば
オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリ
ン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサ
ン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレン、アイソパーE、アイソパー
G、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソ
ン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71
(シェルゾール;シェルオイル社の商品名)、アムスコ
OMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;アメリカン・
ミネラル・スピリッツ社の商品名)等を単独あるいは混
合して用いることができる。
【0269】従って、重合造粒時に用いる溶媒として、
初めから上記絶縁性有機溶媒を用いることが好ましい
が、これら溶媒以外の溶媒で造粒した後、分散媒の置換
をして調製することもできる。
【0270】また、非水系ラテックスの他の合成方法と
しては、上記した電気抵抗108Ωcm以上且つ誘電率
3.5以下の非水溶媒に可溶性となる重合体成分と、当
該溶媒に不溶性となる重合体成分とで構成されるブロッ
ク共重合体を、当該溶媒に湿式分散することで微小樹脂
粒子として供することもできる。即ち、可溶性の重合体
成分と不溶性の重合体成分とからなるブロック共重合体
を、予めブロック共重合体を溶解する有機溶媒中で、前
記したブロックポリマーの合成法を用いて重合体とした
後、電着用非水溶媒に分散させる方法である。
【0271】以上の如く、分散媒中の分散粒子を電気泳
動で電着させるためには、粒子は正荷電又は負荷電の検
電性粒子であり、粒子に検電性を付与する技術は、湿式
静電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成可能
である。具体的には、前記の「最近の電子写真現像シス
テムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写
真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コ
ロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、
44頁(1977年)等に記載の検電材料及び他の添加剤を用
いることで行なわれる。
【0272】例えば、英国特許第893429号、同9
34038号、米国特許第1122397号、同390
0412号、同4606989号、特開昭60−179
751号、同60−185963号、特開平2−139
65号等に記載されている。電着に供せられる非水系ラ
テックスの構成としては、通常少なくとも電気絶縁性分
散媒1リットル中に、樹脂(A)を主として含有する粒
子が0.1〜20g、分散安定用樹脂は0.01〜50
g、必要に応じて加える荷電制御剤は、0.0001〜
10gの範囲である。
【0273】また、電着用樹脂粒子の分散物には化合物
(S)を含めることができる。これにより転写層の剥離
性を改良することができる。更に、粒子の分散安定性、
荷電安定性の保持等のために、他の添加剤を添加しても
よく、例えば、ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、
ポリエーテル類、シリコーンオイル類、パラフィンワッ
クス類、トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0274】これらの添加剤の総量は、電着用ラテック
スの電気抵抗によってその上限が規制される。即ち、電
気抵抗が108Ωcmより低くなると樹脂粒子の付着量が
充分な量得られ難くなるので、添加剤の各添加量はこの
限度内でコントロールされる。
【0275】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した樹脂粒子は電子写真湿式現
像剤と同様の挙動を示す。よって例えば前掲の「電子写
真技術の基礎と応用」 275〜285頁に示される現像デバ
イス、例えばスリット現像電極装置を用いて一次レセプ
ター表面に電気泳動させることができる。即ち、樹脂
(A)を主として含有する粒子が、一次レセプターと対
向して設置された対向電極の間に供給され、外部電源よ
り印加された電位勾配に従って電気泳動して一次レセプ
ターに付着又は電着されて成膜される。
【0276】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
一次レセプターの導電性支持体と現像デバイスの現像電
極との間に、一次レセプター側が負電位になるように外
部電源から電圧を印加し、粒子を静電気的に一次レセプ
ター表面へ電着させる。また通常の電子写真プロセスに
より湿式トナー現像によって電着させることもできる。
即ち前提の「電子写真技術の基礎と応用」46〜79頁に示
されるように、一次レセプターを均一帯電させた後通常
の湿式トナー現像をする。一次レセプター上の樹脂粒子
の付着量は外部バイアスの印加電圧、一次レセプターの
帯電電位及び現像時間などにより任意に調節できる。
【0277】電着後公知のゴムローラー、ギャップロー
ラ、リバースローラなどによるスクイズで現像液を拭い
去る。またコロナスクイズやエアースクイズなどの方法
も公知である。更に冷風もしくは温風、あるいは赤外線
ランプなどにより乾燥し、好ましくは樹脂粒子を皮膜化
させて転写層とする。
【0278】電着塗布法は、転写装置を簡便にできるこ
と、均一な薄膜を安定且つ容易に形成できること等から
特に好ましい。
【0279】次に、転写法による転写層の形成について
説明する。転写層形成に転写法を用いる場合には、剥離
性支持体、特に剥離紙上に形成された転写層が一次レセ
プター表面に熱転写される。
【0280】転写層が形成された離型紙は、ロール状、
シート状で、電子写真装置に簡便に供給できる。この方
式に供される離型紙は、従来公知のいずれのものも使用
でき、例えば、粘着(粘接着)の新技術とその用途・各
種応用製品の開発資料(発行;経営開発センター出版
部、昭和53年5月20日)、オールペーパーガイド紙の商
品事典、上巻・文化産業編)発行;(株)紙業タイムス
社、昭和58年12月1日)等の成書に記載のものが挙げら
れる。具体的には、剥離紙は、シリコーンを主とする離
型剤を、ポリエチレン樹脂をラミネートした未晒クルパ
ック紙や耐溶剤性の樹脂をプリコートした上級紙、クラ
フト紙に、またアンダーコートを施したPETベース、
又は直接グラシン紙に塗布したものである。
【0281】シリコーンは一般に溶剤タイプのものが用
いられ、3〜7%の濃度でグラビアロール、ワイヤーバ
ー方式で塗布・乾燥後、150℃以上で熱処理され、硬
化される。塗布量は1g/m2程度である。
【0282】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えば、セ
パレート紙(王子製紙)、キングリーズ(四国製紙)、
サンリリース(山陽国策パルプ)、NKハイレリーズ
(日本加工製紙)などが挙げられる。離型紙上に転写層
を形成するには、樹脂(A)を主成分とする転写層組成
物を、常法に従って、バー塗布、スピン塗布、スプレー
塗布等により塗布成膜することにより容易に行われる。
また、前記熱溶融塗布法又は電着塗布法を適用してもよ
い。
【0283】離型紙上の転写層を一次中間レセプター上
に熱転写するには、通常の熱転写方法が利用できる。即
ち、転写層を保持した離型紙を一次レセプターに圧着
し、転写層を熱転写すればよい。このためには、例えば
図4に示す如き装置が用いられる。
【0284】図4において、転写層22を設けた離型紙
24を、加熱ローラー25bで加熱圧着させて、転写層
22を一次レセプター20の表面へ転写させる。離型紙
24は、冷却ローラー25cで冷却されて回収される。
更に必要に応じて、一次レセプター20自身を予熱手段
25aで加熱して、転写層22の加熱圧着による転写性
を向上させてもよい。
【0285】離型紙から転写層を一次レセプター表面へ
転写する場合における転写条件は、以下の通りが好まし
い。ローラーのニップ圧力は0.1〜10kgf/cm2、よ
り好ましくは0.2〜8kgf/cm2であり、転写時の温度
は25〜100℃、より好ましくは40〜80℃であ
る。搬送スピードは0.5〜100mm/秒、より好まし
くは3〜50mm/秒であり、転写層形成工程、電子写真
工程及び被転写材への熱転写工程の各々で異なっていて
もよい。
【0286】本発明によれば、感光体表面に形成された
トナー画像は、 静電転写法又は加熱及び/又は圧力下
での接触転写法により、一次レセプター上の転写層上に
転写し、更にトナー画像を坦持した転写層を被転写材上
に加熱及び/又は圧力条件下に剥離転写するものであ
る。
【0287】感光体表面上のトナー画像を一次レセプタ
ー上の転写層に転写する為に静電転写法を用いる場合、
従来公知の技術を適用することができる。例えば、電子
写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」66頁及び1
71頁、コロナ社刊(1988年)等に記載のコロナ転写
法、ローラー転写法、ベルト転写法等を用いることがで
きる。
【0288】また、熱及び圧力条件下の接触転写法を用
いる場合には、一次セレプターの表面の剥離性は、感光
体表面のそれよりも低いこと及び被転写材に剥離転写す
る剥離性を保つことが重要で、一次セレプター表面の粘
着力が感光体表面の粘着力より大きいこと、好ましくは
10gram・force(g・f)以上、より好ましくは30g
・f以上大きいことが必要である。また、一次レセプタ
ー表面の粘着力は最大で250g・fであることが好ま
しく、より好ましくは180g・f以下である。
【0289】この熱転写には、公知の方法及び装置を用
いることができる。感光体の加熱には、非接触の、例え
ば赤外線ラインヒーター又はフラッシュヒーター等を用
いることが好ましく、また、熱転写時の感光層の加熱表
面温度は40〜150℃、特に50〜120℃が好まし
い。転写におけるニップ圧力は0.2〜20kgf/cm2
より好ましくは0.5〜15kgf/cm2であり、ローラー
加圧手段として、ローラー軸の両端にスプリングもしく
は圧縮空気を用いるエアーシリンダーを使うことができ
る。搬送スピードは0.1〜100mm/秒、より好まし
くは0.5〜50mm/秒の範囲であり、他の工程と異な
っていても良い。
【0290】次に、一次レセプターについて述べる。用
いられる一次レセプターの方式はいずれでもよい。感光
体から一次レセプターへのトナー画像の転写に用いられ
る方式としては、例えばドラム方式や、繰り返し使用可
能な無端ベルト方式を挙げることができる。
【0291】ドラム方式又は無端ベルト方式において、
ドラム上に設けられるべき一次レセプターの材料として
は、上記条件を満たす材料であればいずれでもよいが、
好ましい態様としては弾性体層及び/又は弾性体層と補
強層支持体を含む積層構造体が望ましく、且つ積層構造
体の表面が上記物性を満足していればよい。これら積層
体を例えばドラムに直接設けるかあるいは交換できるよ
うに取り外し式にしておいても良い。
【0292】弾性体としては、従来公知の天然樹脂類・
合成樹脂類が挙げられ、これらを単独もしくは2種以上
併用して単一層又は複数層として用いることができる。
例えば、A. D. Roberts「Natural Rubber Science and
Technology」Oxford Science Publications(1988年
刊)、W. Hofmann「Rubber Technology Handbook」、Ha
nser Publishers(1989年刊)、プラスチック材料構座、
全18巻、日刊工業新聞社等に記載の種々の樹脂が用いら
れる。
【0293】例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジ
エンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、環化ゴ
ム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブ
チルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、シリコ
ーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、イソプ
レンゴム、ウレタンゴム等が挙げられるが、これらに限
定されるものでなく、転写層との離型性、耐久性等を勘
案して任意に選択することができる。表面弾性体層の厚
さは0.01mmから10mmが好ましい。
【0294】また上記弾性体層の補強層として布、ガラ
ス繊維、樹脂含浸特殊紙、アルミニウム、ステンレスな
どが用いられる。表面弾性体層と補強層の間にはスポン
ジ状ゴム層があってもよい。
【0295】無端ベルト方式において、ベルト式の一次
レセプターの部材は公知のものを用いることができ、例
えば米国特許第3893761号、同4684238
号、同4690539号等に記載されたものが挙げられ
る。更にベルト式一次レセプターのベルト担体の層中
に、加熱媒体となる一層を設ける方法も挙げられ、例え
ば特表平4−503265明細書等の方法が知られてい
る。
【0296】一次レセプター表面の粘着力の調整は、前
記した剥離性感光体で記載したと同様の方法、例えば化
合物(S)の付与で容易に行なうことができる。また、
一次レセプターの表面の平均粗さは0.01mm以下が好
ましい。
【0297】次いで、本発明では、一次レセプター上の
トナー画像5転写層ごと被転写材に熱転写する。この熱
転写にも、公知の方法及び装置を用いることができる。
【0298】本発明に用いる被転写材は、従来オフセッ
ト印刷版に供される支持体をそのまま用いることができ
る。具体的には、プラスチックシート又は特に耐刷性を
施した紙、アルミニウム、板、亜鉛板、銅−アルミニウ
ム板、銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメタル
板、クロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄板、
クロム−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の親水
性表面を有する基板が用いられ、その厚さは0.1〜3
mm、特に0.1〜1mm、が好ましい。
【0299】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許第2,714,066号に記載さ
れている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリウム水
溶液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭47−5
125号に記載されているように、アルミニウム板を陽
極酸化処理したのちに、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液
に浸漬処理したものも好適に使用される。
【0300】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許第3,658,662号に記載さ
れているようなシリケート電着も有効である。西独特許
公開第1,621,478号に記載のポリビニルスルホ
ン酸による処理も適当である。
【0301】これらの親水化処理は、支持体の表面を親
水性とするために施される他に、その上に設けられるト
ナ−画像との密着性の向上のために施されるものであ
る。また、支持体とトナー画像を形成した転写層との間
の接着性を調節するために、支持体表面に表面層を設け
て特性を改良することもできる。プラスチックシート又
は紙を支持体とする場合には、当然のことながら、トナ
ー画像部以外が親水性でなければならないことから、親
水性を有する表面層を設けたものが供される。具体的に
は、公知の直描型平版印刷用原版又はかかる原版の画像
受理層と同様の層を有する被転写材を用いることができ
る。
【0302】転写時の好ましい加熱温度範囲、一次レセ
プターと被転写材間のニップ圧力の範囲及び搬送スピー
ドの範囲は、上記の感光体と一次中間レセプターの熱転
写条件の範囲と同様である。また、一次中間レセプター
へのトナー画像の転写と、被転写材への転写層の転写と
は、同一条件でも異なる条件でもよい。
【0303】被転写材への熱転写挙動は、次のように推
定される。即ち、ある程度軟化した転写層が加熱される
ことにより粘着性が増し、被転写材に密着する。次い
で、冷却ローラー下を通過した後では温度が下がり、流
動性や粘着性が低減して被膜のまま、トナー画像一次レ
セプター表面から剥離する。従って、このような状態が
具現するように条件を設定すべきである。
【0304】冷却ローラーの材質は例えばアルミニウ
ム、銅等の熱良導体金属にシリコーンゴム被覆を施し、
ローラー内部もしくは被転写材に接しない外周部に冷却
手段を用いて放熱する事が望ましい。冷却手段はクーリ
ングファン、冷媒循環又は電子冷却素子などを用い、温
度コントローラーと組合せて所定の温度範囲に保つこと
が好ましい。
【0305】感光体から一次レセプターへのトナー画像
の転写と、一次レセプターから被転写材への転写層ごと
の転写は、一画面内同時であってもよいし、また一次レ
セプターに一画面全ての転写が終わった後、被転写材に
転写してもよい。また、一次レセプター上に転写層を形
成した状態で装置を停止することにより、次の装置稼働
時にすぐ電子写真プロセスからスタートすることができ
る。
【0306】本発明の印刷版の作成方法において、トナ
ー画像や転写層を各々転写する各条件設定は、使用して
いる感光体(感光層及び支持体)、一次レセプター表面
の物性、転写層、更に被転写材等の材料の物性により最
適化することは当然である。特に熱転写工程における温
度条件は転写層のガラス転移点、軟化温度、流動性、粘
着性、皮膜性、膜厚などの要因を加味して決定すること
が必要である。
【0307】本発明では、以上のようにして得られた転
写層を有する被転写材(印刷原版)を化学反応処理し
て、転写層を溶解又は膨潤そして脱離すること等により
完全に除去することで、オフセット用印刷版を作成する
ことができる。転写層を除去するための処理には、処理
液による反応の他に化学的光学活線による脱保護反応を
用いてもよく、また併用してもよい。
【0308】処理液は、所定のpHに調整された水溶性
溶液を用いる。pHの調整は、公知のpH調整剤を用い
ることができる。適用されるpH域は酸性〜中性〜アル
カリ性のいずれでもよいが、処理液の防錆性又は転写層
の溶出除去性を勘案すると、pH8以上のアルカリ性領
域で用いることが好ましい。アルカリ性処理液とする化
合物としては、従来公知の無機化合物又は行き化合物の
いずれでもよく、例えば、炭酸塩、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、
有機アミン化合物等いずれでもよく、また、単独又は混
合して用いることができる。
【0309】更には、親水性反応を迅速化するために併
用できる化合物として、パーソン(Pearson)等の求核定
数n〔R. G. Pearson, H. Sobel, J. Amer. Chem. So
c., 90, 319(1968)〕が5.5以上の値を有する置換基
を含有し、且つ蒸留水100重量部中に1重量部以上溶
解する親水性化合物が挙げられる。
【0310】具体的な化合物としては、例えばヒドラジ
ン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸塩(アンモニウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩等)、チオ硫酸塩等
が挙げられ、また、分子内にヒドロキシル基、カルボキ
シル基、スルホ基、ホスホノ基、アミノ基から選ばれた
少なくとも1つの極性基を含有するメルカプト化合物、
ヒドラジド化合物、スルフィン酸化合物、第1級アミン
化合物、第2級アミン化合物等が挙げられる。
【0311】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシロピルメルカ
プタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢酸
等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエチ
ルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンス
ルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンカ
ルボン酸等を、第1級又は第2級アミン化合物として、
例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ(2−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオン酸、
アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼンジカ
ルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2−カル
ボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラジン等
を挙げることができる。
【0312】これら処理液中の求核性化合物の存在量は
0.05〜10モル/リットル、好ましくは0.1〜5
モル/リットルである。また、処理液のpHは8以上が
好ましい。
【0313】該処理液は、上記した求核性化合物及びp
H調整剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例え
ば、水に可溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1〜
50重量部含有してもよい。このような水に可溶性の有
機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、プロパギルアルコール、ベ
ンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルテトン、シクロヘキサノ
ン、アセトフェノン等)、エーテル類(ジオキサン、ト
リオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール
ジメチルエ−テル、プロピレングリコールジエチルエ−
テル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロピラ
ン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ピロリド
ン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド
等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチ
ル、スルホラン、テトラメチル尿素等)等が挙げられ、
これらは単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0314】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性又はノニオン性
の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界面
活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、寺村
一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年刊)槇書
店等に記載される化合物を用いることができる。更に、
該処理液の保存時の防腐性、防黴性向上の為に、従来公
知の防腐性化合物、防黴性化合物を併用してもよい。処
理の条件としては、温度は15〜60℃で浸漬時間は1
0秒〜5分間が好ましい。更に処理時に、超音波下に行
う又は機械的な摺動(ブラシ等でこする等)等の物理的
操作を併用してもよい。
【0315】他方、「化学的活性光線」の照射により脱
保護反応する場合に用いられる光線としては、可視光
線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線等い
ずれでもよいが、好ましくは紫外線が挙げられる。より
好ましくは波長310nm〜波長500nmの範囲での光線
を発しうるものが好ましく、一般には高圧又は超高圧の
水銀ランプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜
50cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分に行う
ことができる。この様にして光照射した後、上記の様な
水溶性溶液中に浸漬することで容易に転写層が除去され
るものである。
【0316】以下に本発明の電子写真式印刷版の作成方
法を添付図面をもって詳細に説明する。
【0317】図2は、一次レセプターとしてドラム方式
を用いた、本発明の方法を実施する電子写真式製版印刷
原版作成装置の概略図である。前述のように、表面が剥
離性に改質された電子写真感光体11を用いる場合に
は、通常の電子写真プロセスにより感光体11上にトナ
ー画像を形成する。また、感光体11表面の剥離性が不
十分な場合には、電子写真プロセスに入る前に化合物
(S)を吸着又は付着させる装置を設けることにより、
感光体11表面に離型性を付与することができる。即
ち、前記した具体的態様のいずれかの方式を用いた本発
明の化合物(S)塗布ユニット10により、感光体11
表面に化合物(S)を供給する。化合物(S)を感光体
11表面に吸着又は付着させる塗布ユニット10は、固
定及び可動式のいずれでもよい。
【0318】以下、電子写真プロセスを、トナー現像に
湿式現像剤を用いる場合を例として具体的に説明する。
まず、コロナ帯電装置18で、例えばプラスに一様帯電
された後、露光装置(例えば半導体レーザー等)19で
画像情報に基づき画像露光されると、露光部の電位が低
減され、未露光部との間に電位コントラストが得られ
る。プラスの静電荷を有する樹脂粒子が電気絶縁性分散
媒中に分散している液体現像剤を含む液体現像ユニット
14Lを現像ユニットセット14から感光体11表面に
接近させギャップを1mmにして固定する。
【0319】まず感光体11は現像部に具備されたプレ
バス手段によりプレバスされ、次いで図には示されてい
ないバイアス電源及び電気結線により感光体と現像電極
の間に現像バイアス電圧を印加しながら湿式現像剤を感
光体表面に供給する。この時のバイアス電圧は現像電極
側を正に、感光体側を負になるように接続し、印加電圧
は未露光部の表面電位よりもやや低くする。印加電圧が
低すぎると充分なトナー画像濃度が得られない。
【0320】その後現像ユニットに内蔵してあるリンス
手段により感光体表面に付着した現像液を洗い落とし、
続いてスクイズ手段により感光体表面に付着したリンス
液を除いてから、吸排気ユニット15下を通過させるこ
とにより乾燥させる。この間一次レセプター20は感光
体11表面より離して置く。
【0321】他方、一次レセプター20には、感光体1
1上にトナー画像形成プロセス終了時までに、転写層2
2が転写層形成装置21により設けられる。電着塗布法
の場合を例にして、転写層22の形成を説明する。
【0322】樹脂粒子の分散液を入れた電着ユニットを
一次レセプター20に接近させ、電着ユニットの現像電
極との距離が1mmとなるように固定する。このギャップ
間に粒子分散液を供給し、外部から電圧を印加しながら
回転させ、一次レセプター20表面の全面に粒子が吸着
するようにする。電着ユニットに内蔵してあるスクイズ
装置で一次レセプター表面に過剰に付着している粒子分
散液を除き、次いで加熱手段により樹脂粒子を熱溶融さ
せて皮膜化した樹脂転写層22を得る。この際、分散液
の分散溶媒の排気のために、電子写真感光体用に設けた
吸排気ユニット15を併用可能な位置にレイアウトして
併用してもよいし、一次レセプター20上に同様のユニ
ットを設けてもよい。プレバス及びリンス液には通常の
湿式現像剤のキャリヤーを用いる。
【0323】トナー画像を感光体11上に形成した後、
感光体ドラムの熱転写のための加熱手段16により所定
の予熱をし、必要に応じて、更に一次レセプター20上
の転写層22も加熱手段16を用いて所定の予熱を行
い、感光体11表面上のトナー画像を一次レセプター2
0上の転写層22上に圧接して熱転写する。
【0324】次いで、一次レセプター20上に完全に転
写されたトナー画像を転写層22ごと被転写材30に圧
接して熱転写を行う。
【0325】一次レセプター20の加熱手段16により
所定の予熱をし、且つ被転写材30を転写用バックアッ
プローラー31により所定の予熱をし、一次レセプター
20上のトナー画像を形成した転写層22に圧接して熱
転写後、剥離用バックローラー32で冷却しながら、被
転写材30上に転写層22ごとトナー画像を剥離転写
し、一連の工程を終了する。
【0326】図3に示すように一次レセプター20が、
無端ベルト方式であってもよい。また、一次レセプター
20上への転写層形成装置21としては、上記電着塗布
法の代わりに、熱溶融塗布法の装置又は転写法の装置を
用いることができる。
【0327】熱溶融塗布法の場合、例えば、樹脂(A)
をホットメルトコーターにより例えばドラム周面の一次
レセプターの表面に塗布し、吸排気ユニット下を通過さ
せることにより所定の温度まで冷却し、転写層を形成す
ることができる。その後、ホットメルトコーターを待機
位置まで移動することが好ましい。
【0328】剥離紙を利用した転写法により転写層を感
光体上に簡便に作成する装置としては、例えば図4に示
す概略図のものが挙げられる。図4の転写層形成部12
0は、離型紙24により転写層22を一次レセプター2
0上へ転写した後、転写層形成部分120を図2又は図
3に示す被転写材30を有する転写部分130に置き換
えて、同様に転写させる方法を用いてもよいし、離型紙
24により転写層22を一次レセプター20上に転写す
る転写層形成部分120と、トナー画像3の転写された
転写層22を被転写材30へ転写する転写部分130の
両方を装置内に組み入れてもよい。
【0329】
【実施例】以下に実施例を示し更に詳しく本発明の内容
を説明するが、これによって本発明が限定を受けるもの
ではない。
【0330】〔樹脂粒子(AR)の合成例〕 樹脂粒子(ARH)の合成例1:(ARH−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)16g及びアイソパ
ーH 550gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度50
℃に加温した。これに、ベンジルメタクリレート85.5
g、アクリル酸12.5g、3−メルカプトプロピオン酸メ
チル 2.0g及び2,2′−アゾビス(2−シクロプロピル
プロピオニトリル)(略称A.C.P.P.)1.2gの混合溶液を1
時間で滴下した。そのまま1時間攪拌後、A.C.P.P. 0.8
gを加え2時間反応した。更に、2, 2′−アゾビス(イ
ソブチロニトリル)(略称A.I.B.N.)0.5gを加え、温度を
80℃に設定し、3時間反応した。冷却後、200メッシュ
のナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率97%で
平均粒径0.17μmの単分散性のラテックスであった〔粒
径はCAPA−500{堀場製作所(株)製}で測定し
た。以下同様〕。
【0331】上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転
数1×104r.p.m.、回転時間1時間)にかけ、沈降した
樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重量平均分
子量(Mw)とガラス転移点(Tg)を測定したとこ
ろ、Mwは1.5×104(G.P.C.によるポリスチレン換算
値。以下同様)、Tgは63℃であった。
【0332】
【化36】
【0333】樹脂粒子(ARH)の合成例2:(ARH
−2) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−2)14g、下記構造の
マクロモノマー(M−1)10g及びアイソパーH 553g
の混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃に加温し
た。これに、メチルメタクリレート51.2g、メチルアク
リレート30g、アクリル酸12.5g、3−メルカプトプロ
ピオン酸メチル 1.3g及びA.C.P.P. 1.2gの混合溶液を
滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応し
た。次に2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称
A.I.V.N.) 0.8gを加えた後、直ちに温度設定を75℃と
して2時間、更にA.I.V.N. 0.5gを加えて2時間反応し
た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し、得られ
た白色分散物は重合率98%で平均粒径 0.18 μmの単分
散性のラテックスであった。樹脂粒子分のMwは、2×
104でTgは50℃であった。
【0334】
【化37】
【0335】樹脂粒子(ARH)の合成例3〜11:(A
RH−3)〜(ARH−11) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−3)20g及びアイソパ
ーG 480gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。これに、下記表−Aに記載の各単量体の
所定量、3−メルカプトプロピオン酸メチル 2.6g、A.
I.V.N. 1.5g及びテトラヒドロフラン60gの混合溶液
を、滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応
した。次いで、A.I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃
としてそのまま2時間反応後、更にA.I.V.N. 0.8gを加
えて3時間反応した。
【0336】
【化38】
【0337】上記反応物にアイソパーH60gを加え、温
度50℃で水流ポンプの減圧下にてテトラヒドロ溶媒を留
去した後、冷却し、200メッシュのナイロン布を通して
白色分散物を得た。得られた各ラテックスは、平均粒径
0.15〜0.30μmの範囲で各々単分散性は良好であった。
また、各ラテックスの樹脂粒子分のMwは1×104〜2
×104の範囲であり、Tgは35〜80℃の範囲であった。
【0338】
【表2】
【0339】
【表3】
【0340】
【表4】
【0341】樹脂粒子(ARH)の合成例12〜22:(A
RH−12)〜(ARH−22) 樹脂粒子(ARH)の合成例2において、マクロモノマ
ー(M−1)10gの代わりに下記表−Bの各マクロモノ
マー(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用いた他は該
合成例2と同様にして各樹脂粒子を合成した。各粒子の
重合率は98〜99%で、それらの粒子の平均粒径は0.15〜
0.25μmの範囲で、粒子の粒度分布も狭く、単分散性が
良好であった。該樹脂粒子のMwは9×103〜2×104
ガラス転移点は40〜70℃の範囲であった。
【0342】
【表5】
【0343】
【表6】
【0344】
【表7】
【0345】
【表8】
【0346】樹脂粒子(ARL)の合成例1:(ARL
−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−4)18g及びアイソパ
ーH 560gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度55
℃に加温した。これに、フェネチルメタクリレート84.8
g、アクリル酸10.0g、3−メルカプトプロピオン酸
5.2g及びA.I.V.N. 0.8gの混合溶液を1時間で滴下し
た。そのまま1時間撹拌後、A.I.V.N. 0.8gを加え2時
間反応した。更に、A.I.B.N. 0.5gを加え、温度を80
℃に設定し、3時間反応した。冷却後、200メッシュの
ナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率97%で、
平均粒径0.18μmの単分散性ラテックスであった。ま
た、樹脂粒子分のMwは6×103、Tgは25℃であっ
た。
【0347】
【化39】
【0348】樹脂粒子(ARL)の合成例2:(ARL
−2) 分散安定用樹脂(Q−5)の合成 ドデシルメタクリレート99.5g、ジビニルベンゼン 0.5
g及びトルエン 200gの混合溶液を、窒素気流下撹拌し
ながら温度80℃に加温した。A.I.B.N. 2gを加え3時間
反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて4時間反応した。
得られた重合体(Q−5)の固形分は33.3%(重量)
で、Mwは4×104であった。
【0349】粒子の合成 上記樹脂(Q−5)25g(固形分量として)、酢酸ビニ
ル54g、酪酸ビニル40g、クロトン酸6g及びアイソパ
ーH 275gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度
80℃に加温した。A.I.V.N. 1.6gを加え、1.5時間反応
し、A.I.V.N. 0.8gを加え2時間、更にA.I.B.N. 0.5g
を加え4時間反応した。次いで、温度を100℃に上げ2
時間撹拌し、未反応のモノマーを留去した後、冷却して
200メッシュのナイロン布を通し、白色分散物を重合率9
3%で得た。平均粒径0.25μmの単分散ラテックスであっ
た。また、樹脂粒子分のMwは8×104、Tgは30℃で
あった。
【0350】樹脂粒子(ARL)の合成例3:(ARL
−3) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−6)20g、ベンジルメ
タクリレート44.1g、2-ブトキシエチルメタクリレート
40g、アクリル酸12g、3 −メルカプトプロピオン酸3.
9 g及びアイソパーH 546gの混合溶液を、窒素気流下
撹拌しながら温度60℃に加温した。A.I.V.N. 1.0gを加
え2時間反応した後、A.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反
応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えた後、温度設定を80℃
にして3時間反応した。冷却後200メッシュナイロン布
を通して白色分散物を重合率99%で得た。平均粒径は0.
22μmの単分散ラテックスであった。また、樹脂粒子分
のMwは9×103で、Tgは23℃であった。
【0351】
【化40】
【0352】樹脂粒子(ARL)の合成例4:(ARL
−4) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−7)18g及びアイソパ
ーH 500gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。これに、メチルメタクリレート39.1g、
エチルアクリレート30g、2−スルホエチルメタクリレ
ート25g、3−メルカプトプロピオン酸メチル 5.9g、
A.I.V.N. 1.5g及びテトラヒドロフラン120gの混合溶
液を滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応
した。次いで、A.I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃
としてそのまま2時間反応後、更にA.I.V.N. 1.0gを加
えて3時間反応した。
【0353】この反応物にアイソパーH 120gを加え、
温度50℃で水流ポンプの減圧下にテトラヒドロ溶媒を留
去し、冷却後200メッシュのナイロン布を通して白色分
散物を得た。平均粒径0.18μmの単分散性良好な分散物
であった。また、重合率は98%であった。樹脂粒子のM
wは4×103、Tgは28℃であった。
【0354】
【化41】
【0355】樹脂粒子(ARL)の合成例5:(ARL
−5) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−8)20g、繰り返し単
位がジメチルシロキサンからなる一官能性マクロモノマ
ー:FM0721{Mw6×104、(株)チッソ製}15
g、メチルメタクリレート30.8g、エチルアクリレート
30g、アクリル酸15g、3−メルカプトプロピオン酸エ
チル 9.2g及びアイソパーG 547gの混合溶液を、窒素
気流下撹拌しながら温度60℃に加温した。A.I.V.N. 2.0
gを加え2時間反応した後、A.I.V.N. 1.0gを加えて更
に2時間反応した。次いで、A.I.V.N. 1.0gを加えた
後、直ちに温度設定を75℃として2時間、更にA.I.V.N.
0.8gを加えて2時間反応した。冷却後200メッシュの
ナイロン布を通して白色分散物で、重合率98%、平均粒
径0.20μmの単分散ラテックスを得た。該樹脂粒子のM
wは4×103、Tgは18℃であった。
【0356】
【化42】
【0357】樹脂粒子(ARL)の合成例6:(ARL
−6) 前記分散安定用樹脂(Q−4)12g及びアイソパーG 4
55gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら、温度50℃に
加温した。これに、フェネチルメタクリレート62.5g、
(2−ペンチルカルボニル−1−メチル)エチルメタク
リレート20g、アクリル酸7.5g、4−メルカプトブタ
ンカルボン酸メチル10g、A.C.P.P. 3g及びアイソパー
G 100gの混合溶液を滴下時間1時間で滴下した後、そ
のまま更に1時間反応後、A.C.P.P. 1.0gを加え2時間
反応した。次いで、A.I.V.N. 0.8gを加えた後、直ちに
温度設定を75℃とし、2時間反応し、更にA.I.V.N. 0.5
gを加えて2時間反応した。冷却後、200メッシュのナ
イロン布を通して白色分散物で重合率98%、平均粒径0.
17μmの単分散ラテックスを得た。該樹脂粒子のMwは
6×103、Tgは15℃であった。
【0358】樹脂粒子(ARL)の合成例7〜16:(A
RL−7)〜(ARL−16) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−9)25g及びアイソパ
ーH 392gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら、温度
50℃に加温した。
【0359】
【化43】
【0360】これに、下記表−Cの各単量体、3−メル
カプトプロピオン酸メチル 3.1g、開始剤A.C.P.P. 3g
及びメチルエチルケトン150gの混合溶液を滴下時間1
時間で滴下し、そのまま1時間反応し、更にA.C.P.P.
1.0gを加え2時間反応した。次いで、A.I.V.N. 1.0g
を加えた後直ちに温度設定を75℃とし2時間反応し、更
にA.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反応した。冷却後、20
0メッシュのナイロン布を通して、白色分散物を得た。
各樹脂粒子の重合率は93〜99%で、その平均粒径は0.15
〜0.25μmの範囲の粒度分布の狭いラテックスであっ
た。また、各粒子の樹脂分のMwは8×103〜1×104
Tgは10〜35℃の範囲であった。
【0361】
【表9】
【0362】
【表10】
【0363】
【表11】
【0364】〔樹脂粒子(ARW)の製造例〕 樹脂粒子(ARW)の製造例1:(ARW−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−10)20g、メチルメタ
クリレート30g、メチルアクリレート55g、アクリル酸
15g、3−メルカプトプロピオン酸メチル1.3g及びアイ
ソパーH 542gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温
度60℃に加温した。重合開始剤としてA.I.V.N. 0.8gを
加え、2時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁
を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。開始剤を0.5g加
え、2時間反応した後、更に開始剤0.3gを加え、3時間
反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し得
られた白色分散物は重合率99%で平均粒径0.18μmの単
分散性のラテックスであった。
【0365】
【化44】
【0366】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)650
g及び分散安定用樹脂(Q−10)10gの混合溶液を窒素
気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。これに、ベン
ジルメタクリレート85g、アクリル酸15g、3ーメルカ
プトプロピオン酸1.0g、A.I.V.N. 0.8g及びアイソパー
H 200gの混合物を2時間で滴下し、そのまま更に2時
間反応した。次に、A.I.V.N.を0.8g加え、温度70℃にし
て2時間反応し、さらにA.I.V.N.を0.6g加え3時間反応
した。冷却後、200メッシュナイロン布を通し、得られ
た白色分散物の重合率は98%で平均粒径0.25μmの単分
散性良好なラテックスであった。
【0367】次に、得られた樹脂粒子が、単独の粒子と
して形成されたか否かを走査型電子顕微鏡(SEM)を
用いて粒子の状態を観察することで調べた。PETフィ
ルム上に樹脂粒子が分散した状態になる様に調製して作
製したフィルムを、温度50℃及び80℃に5分間加熱処理
した後、各サンプルをJSLーT330型Scanning Mic
roscope (JEOL社製)を用いて、2万倍で観察した
所、温度50℃のサンプルは粒子状態が観察されたが、温
度80℃のサンプルでは粒子が観察されなかった。即ち、
粒子が加熱により融解していた。
【0368】同様にして、上記樹脂粒子(ARWー1)
を構成する二種の樹脂(共重合体)の各々からなる樹脂
粒子(それぞれ後述の比較用樹脂粒子(1)及び(2)及びこ
れら二種の樹脂粒子を1/1重量比で混合した樹脂粒子
について調べた。比較用樹脂粒子(1)の場合は、加熱し
ないサンプルは粒子状態であったが、温度50℃のサンプ
ルでは粒子状態が観察されず、他方、比較用樹脂粒子
(2)の場合、温度80℃のサンプルで粒子が見えなくなっ
た。更に、混合粒子の場合、加熱しないサンプルと温度
50℃のサンプルを調べた所、未加熱サンプルに比べる
と、温度50℃のものは粒子が見えなくなっている所が確
認された。
【0369】以上の様に、粒子の熱挙動を目視観察した
結果、上記樹脂粒子(ARW−1)は、二種類の樹脂粒
子が混合されたものでなく、一つの粒子中にニ種の樹脂
が含有されており、この場合には、高Tgの樹脂が外層
に低Tgの樹脂が内層に各々分配したコア−シェル粒子
であることが確認された。
【0370】比較用樹脂粒子(1)の製造 前記分散安定用樹脂(Q−10)10g、メチルメタクリレ
ート15g、メチルアクリレート27.5g、アクリル酸7.5
g、3−メルカプトプロピオン酸メチル0.65g及びアイ
ソパーH 329gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温
度60℃に加温した。重合開始剤として、A.I.V.N. 0.4g
を加え2時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁
を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。開始剤を0.2g加
え、2時間反応した後、更に開始剤0.3gを加え、3時間
反応した。冷却後200メッシュのナイロン布を通した。
得られた白色分散物は重合率99%で平均粒径0.25μmの
単分散性のラテックスであった。樹脂粒子分のTgは38
℃であった。
【0371】比較用樹脂粒子(2)の製造 前記分散安定用樹脂(Q−10)10g、ベンジルメタクリ
レート42.5g、アクリル酸7.5g、3−メルカプトプロピ
オン酸0.5g及びアイソパーH 326gの混合溶液を用い、
上記比較用樹脂粒子(1)の製造と同様の方法に従って反
応し、樹脂粒子を合成した。得られた白色分散物は重合
率98%で平均粒径0.24μmの単分散性のラテックスであ
った。樹脂粒子分のTgは65℃であった。
【0372】樹脂粒子(ARW)の製造例2:(ARW
−2) 分散安定用樹脂(Q−11)の合成 ドデシルメタクリレート99.5g、ジビニルベンゼン0.5g
及びトルエン200gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら
温度80℃に加温した。A.I.B.N.2gを加え、3時間反応
し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて4時間反応した。得ら
れた重合体の固形分は33.3%(重量)でMw4×104
あった。
【0373】上記分散安定用樹脂(Q−11)18g(固形
分量として)、酢酸ビニル72g、クロトン酸8g、プロ
ピオン酸ビニル20g及びアイソパーH 382gの混合溶液
を、窒素気流下攪拌しながら温度80℃に加温した。A.I.
V.N. 1.6gを加え1.5時間反応し、A.I.V.N. 0.8gを加
え2時間、更にA.I.V.N. 0.5gを加え3時間反応した。
次に、温度を100℃に上げ2時間攪拌し、未反応のモノ
マーを留去したあと、冷却して200メッシュのナイロン
布を通し、白色分散物を重合率87%で得た。平均粒径0.
17μmの単分散ラテックスであった。
【0374】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)48
0g及び分散安定用樹脂粒子(Q−11)20gの混合溶液を
窒素気流下攪拌しながら、温度60℃に加温した。これ
に、メチルメタクリレート50g、2−ブトキシエチルメ
タクリレート35g、アクリル酸15g、3−メルカプトプ
ロピオン酸メチル2.6gg、A.I.V.N. 0.8g及びアイソパ
ーH 200gの混合物を2時間で滴下し、そのまま1時間
反応した。次にA.I.V.N. 0.8g加え、温度75℃にして2
時間反応し、更にA.I.V.N.を0.6g加え3時間反応した。
冷却後、200メッシュのナイロン布を通し、得られた白
色分散物は、重合率98%で平均粒径0.23μmの単分散性
良好なラテックスであった。
【0375】樹脂粒子(ARW)の製造例3:(ARW
−3) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−12)25g及びアイソパ
ーH 546gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しながら温度
60℃とした。この溶液に、ベンジルメタクリレート50
g、アクリル酸8g、下記構造の単量体(b−1)42
g、2−メルカプトエタノール1.8g、A.I.V.N. 1.0g及
びアイソパーH 200gの混合溶液を、1時間で滴下し、
そのまま1時間反応した。次にA.I.V.N. 0.8gを加えて
2時間反応後、A.I.V.N. 0.5gを加えて温度80℃にて2
時間反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加え3時間反応し
た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通して得られ
た白色分散物は、重合率98%平均粒径0.17μmの単分散
性良好なラテックスであった。
【0376】
【化45】
【0377】上記分散物に、分散安定用樹脂(Q−12)
15gを加えた混合溶液を窒素気流下に攪拌しながら、温
度60℃とした。これに、メチルメタクリレート52g、メ
チルアクリレート35g、アクリル酸13g、3−メルカプ
トプロピオン酸2g、A.I.V.N. 0.8g及びアイソパーH
564gの混合物を2時間で滴下し、そのまま更に2時間
滴下した。次にA.I.B.N. 0.8gを加え、温度80℃にして
2時間反応し、更にA.I.B.N. 0.6gを加え3時間反応し
た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し、得られ
た白色分散物は、重合率98%で平均粒径0.24μmの単分
散性良好なラテックスであった。
【0378】樹脂粒子(ARW)の製造例4:(ARW
−4) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−13)25g、アイソパー
H 300g及び酢酸エチル100gの混合溶液を窒素気流下に
攪拌しながら温度60℃とした。この溶液中に2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート8g、フェネチルメタクリレ
ート65g、下記構造の単量体(b−2)27g、チオグリ
コール酸1.5g、A.I.V.N. 0.6g及びアイソパーH 199.5
g及び酢酸エチル66.5gの混合溶液を1時間で滴下し
た。そのまま1時間反応した後、A.I.V.N. 0.3gを加え
て2時間、更にA.I.V.N. 0.3gを加えて3時間反応し
た。次に減圧度30mmHgで酢酸エチルを留去し、留去した
分量と同量のアイソパーHを加えた後、冷却し、200メ
ッシュのナイロン布で濾過して白色分散物を得た。重合
率93%、平均粒径0.20μmの単分散ラテックスであっ
た。
【0379】
【化46】
【0380】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)37
2g及び分散安定用樹脂(Q−10)16gの混合溶液を窒素
気流下攪拌しながら温度75℃に加温した。これに、酢酸
ビニル70g、下記構造の単量体(b−3)25g、クロト
ン酸5g、アイソパーH 400g及びA.I.V.N. 0.9gの混
合物を2時間で滴下し、そのまま更に2時間反応した。
開始剤を0.8g加え、温度85℃にして2時間反応し、更に
開始剤としてA.I.B.N.を0.6g加え3時間反応した。冷却
後、200メッシュナイロン布を通し、得られた白色分散
物の重合率は98%で平均粒径0.26μmの単分散性良好な
ラテックスであった。
【0381】
【化47】
【0382】樹脂粒子(ARW)の製造例5〜11:(A
RW−5)〜(ARW−11)上記樹脂粒子(ARW)の
製造例1において、下記表−2に記載の各単量体を用い
た他は、上記製造例1と全く同様に操作して樹脂粒子
(ARW−5)〜(ARW−11)を製造した。得られた
各ラテックス粒子の重合率は95〜99%であり、平均粒径
は0.20〜0.30μmの範囲で各々単分散性は良好であっ
た。
【0383】
【表12】
【0384】
【表13】 樹脂粒子(ARW)の製造例12〜21:(ARW−12)〜
(ARW−21) 上記樹脂粒子(ARW)の製造例3において、単量体
(b−1)の代わりに、下記表−3に記載の各単量体を
用いた他は、上記製造例3と全く同様に操作して樹脂粒
子(ARW−12)〜(ARW−21)を製造した。得られ
た各ラテックス粒子の重合率は95〜99%であり、平均粒
径は0.18〜0.28μmの範囲で各々単分散性は良好であっ
た。
【0385】
【表14】
【0386】
【表15】
【0387】樹脂粒子(ARW)の製造例22:(ARW
−22) 分散安定用樹脂(Q−13)15g、メチルメタクリレート
48g、2,3−ジプロピオニルオキシプロピルメタクリ
レート40g、アクリル酸12g、3−メルカプトプロピオ
ン酸メチル2.0g及びアイソパーH 549gの混合溶液を窒
素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。重合開始剤
としてA.I.V.N. 0.8gを加え、2時間反応した。開始剤
を添加して20分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上
昇した。A.I.V.N.を0.5g加え2時間反応した後、更にA.
I.V.N. 0.3gを加え、3時間反応した。冷却後、200メ
ッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合
率98%で平均粒径0.18μmの単分散性のラテックスであ
った。
【0388】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)26
0g、分散安定用樹脂(Q−10)14g、下記構造のマクロ
モノマー(m−1)10g及びアイソパーH 553gの混合
溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃に加温した。こ
れに、ベンジルメタクリレート75g、アクリル酸10g、
単量体(b−11)15g、3−メルカプトプロピオン酸2
g、A.C.P.P. 1.0g及びアイソパーH 200gの混合溶液
を1時間で滴下した。そのまま1時間攪拌後、A.C.P.P.
0.8gを加え2時間反応した。更にA.I.B.N.を0.5g加
え、温度を80℃に設定し、3時間反応した。冷却後、20
0メッシュナイロン布を通し得られた白色分散物の重合
率は97%で平均粒径0.24μmの単分散性良好なラテック
スであった。
【0389】
【化48】
【0390】樹脂粒子(ARW)の製造例23〜28:(A
RW−23)〜(ARW−28) 樹脂粒子(ARW)の製造例22において、マクロモノマ
ー(m−1)の代わりに下記表−4の各マクロモノマー
(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用いた他は該製造
例22と同様にして各樹脂粒子を合成した。各粒子の重合
率は98〜99%、粒子の平均粒径は0.20〜0.25μmの範囲
内で、粒子の粒度分布も狭く、単分散性が良好であっ
た。
【0391】
【表16】
【0392】
【表17】
【0393】樹脂粒子(ARW)の製造例29:(ARW
−29) 下記構造の樹脂(A−1)20g及び下記構造の樹脂(A
−2)30gをテトラヒドロフラン100gを用いて温度40℃
で加熱溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾燥した。次に
この固形物を、トリオブレンダー{トリオサイエンス
(株)製}を用いて粗粉砕した後、この粉砕物20g、下
記構造の分散安定用樹脂(Q−14)5g及びアイソパー
G80gからなる混合物をダイノミルにて分散した。得ら
れた粒子分散物は、平均粒径0.45μmのラテックスであ
った。
【0394】
【化49】
【0395】〔樹脂(P)の合成例〕 樹脂(P)の合成例1:(P−1) メチルメタクリレート80g、ジメチルシロキサンのマク
ロモノマーFM−0725{チッソ(株)製、Mw1×
104}20g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流下
温度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4時
間反応させ、更にA.I.B.N. 0.7gを加えて4時間反応さ
せた。得られた共重合体のMwは5.8×104であった。
【0396】
【化50】
【0397】樹脂(P)の合成例2〜9:(P−2)〜
(P−9) 樹脂(P)の合成例1において、メチルメタクリレート
及びFM−0725の代わりに、下記表−Dに記載の重
合体成分に相当する各単量体を用いた他は、合成例1と
同様にして、各重合体を合成した。得られた重合体のM
wは、4.5×104〜6×104の範囲であった。
【0398】
【表18】
【0399】
【表19】
【0400】樹脂(P)の合成例10:(P−10) 2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート60
g、メチルメタクリレートのマクロモノマー(AA−
6){東亜合成化学(株)製、Mw1×104}40g、ベ
ンゾトリフルオリド200gの混合溶液を窒素気流下に温
度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4時間
反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて、4時間反応し
た。得られた共重合体のMwは6.5×104であった。
【0401】
【化51】
【0402】樹脂(P)の合成例11〜15:(P−11)〜
(P−15) 樹脂(P)の合成例10において用いた単量体及びマクロ
モノマーの代わりに、下記表−Eに記載の重合体成分に
相当する各単量体及び各マクロモノマーを用いた他は、
該合成例10と同様にして、各共重合体を合成した。得ら
れた共重合体のMwは4.5×104〜6.5×104の範囲であっ
た。
【0403】
【表20】
【0404】
【表21】
【0405】
【表22】
【0406】樹脂(P)の合成例16:(P−16) メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート22g、
メタクリル酸1g及びトルエン200gの混合溶液を、窒
素気流下に温度80℃に加温した。これに下記構造の高分
子アゾビス開始剤(PI−1)10gを加えて8時間反応
させた。反応終了後、メタノール1.5リットル中に再沈
し、得られた沈澱物を捕集、乾燥して、収量75gでMw
3×104の共重合体を得た。
【0407】
【化52】
【0408】樹脂(P)の合成例17:(P−17) メチルメタクリレート70g及びテトラヒドロフラン200
gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−20℃に冷
却した。1, 1−ジフェニルブチルリチウム0.8gを加え1
2時間反応させた。更に、この混合溶液に、下記単量体
(m−1)30g及びテトラヒドロフラン60gの混合溶液
を、窒素気流下に充分に脱気した後添加し、更に8時間
反応した。この混合物を0℃にした後、メタノール10ml
を加え30分間反応し、重合を停止させた。得られた重合
体溶液を攪拌下にて温度30℃とし、これに30%塩化水素
エタノール溶液3mlを加え1時間攪拌した。次に、減圧
下に反応混合物を全体量が半分になるまで溶媒を留去し
た後、石油エーテル1リットル中に再沈した。沈澱物を
補集し、減圧乾燥して得られた重合体のMw6.8×104
で収量76gであった。
【0409】
【化53】
【0410】樹脂(P)の合成例18:(P−18) メチルメタクリレート52.5g、メチルアクリレート22.5
g、(テトラフェニルポルフィナート)アルミニウムメ
チル0.5g及び塩化メチレン200gの混合溶液を窒素気流
下にて温度30℃とした。これに300W−キセノンランプ
光をガラスフィルターを通して25cmの距離から光照射
し、20時間反応させた。この混合物に更に、下記単量体
(m−2)25gを加え、同様に12時間光照射した後、こ
の反応混合物にメタノール3gを加えて30分間攪拌し反
応を停止させた。次にこの反応混合物をメタノール1.5
リットル中に再沈し、沈澱物を捕集し乾燥した。得られ
た重合体は収量78gで、Mw9×104であった。
【0411】
【化54】
【0412】樹脂(P)の合成例19:(P−19) エチルメタクリレート50g、グリシジルメタクリレート
10g及びベンジル N,N−ジエチルジチオカーバメート4.
8gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃
に加温した。これに、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離
からガラスフィルターを通して、6時間光照射し光重合
した。これをテトラヒドロフラン100gに溶解し、更
に、下記単量体(m−3)40gを加えた後、窒素置換し
再び10時間光照射した。得られた反応物をメタノール1
リットルに再沈、捕集し乾燥した。得られた重合体は、
収量73gでMw4.8×104であった。
【0413】
【化55】
【0414】樹脂(P)の合成例20:(P−20) メチルメタクリレート50g、エチルメタクリレート25g
及びベンジルイソプルザンテート1.0gの混合物を、窒
素気流下に容器に密閉し、温度50℃に加温した。これに
400Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルター
を通して6時間光照射し光重合した。これに前記単量体
(m−1)25gを加えて窒素置換し再び10時間光照射し
た。得られた反応物を、メタノール2リットル中に再沈
し捕集、乾燥し得られた重合体は収量63gでMw6×10
4であった。
【0415】
【化56】
【0416】樹脂(P)の合成例21〜27:(P−21)〜
(P−27) 樹脂(P)の合成例19と同様にして、下記表−Fの各共
重合体を合成した。得られた重合体のMwは3.5×104
6×104の範囲であった。
【0417】
【表23】
【0418】
【表24】
【0419】樹脂(P)の合成例28:(P−28) 樹脂(P)の合成例19において、ベンジル N,N−ジエチ
ルジチオカーバメートの代わりに、下記構造の開始剤
(I−1)18gを用いた他は合成例19と同様に合成し、
Mw4.5×104 の共重合体を得た。
【0420】
【化57】
【0421】樹脂(P)の合成例29:(P−29) 樹脂(P)の合成例20において、ベンジルイソプルザン
テートの代わりに下記構造の開始剤(I−2)0.8gを
用いた他は、合成例20と同様に反応し、Mw2.5×104
共重合体を得た。
【0422】
【化58】
【0423】樹脂(P)の合成例30:(P−30) メチルメタクリレート68g、メチルアクリレート22g、
グリシジルメタクリレート10g及び下記構造の開始剤
(I−3)17.5g及びテトラヒドロフラン150gの混合
溶液を窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に40
0Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルターを
通して10時間光照射し光重合した。得られた反応物をメ
タノール1リットル中に再沈し、沈澱物を捕集し乾燥し
て、収量72gでMw4.0×104の重合体を得た。
【0424】
【化59】
【0425】この重合体70g、前記単量体(M−2)30
g及びテトラヒドロフラン100gの混合溶液を、窒素気
流下に温度50℃とし、上記と同条件で13時間光照射し
た。次にこの反応物をメタノール1.5リットル中に再沈
し、沈澱物を捕集・乾燥して収量78gでMw6×104
共重合体を得た。
【0426】樹脂(P)の合成例31〜38:(P−31)〜
(P−38) 樹脂(P)の合成例30において、開始剤(I−3)17.5
gの代わりに、下記表−Gの開始剤(I)0.031モルを
用いた他は、合成例30と同様の条件で操作した。得られ
た各重合体の収量は70〜80gでMw4×104〜6×104
あった。
【0427】
【表25】
【0428】
【表26】
【0429】
【表27】
【0430】〔樹脂粒子(PL)の合成例〕 樹脂粒子(PL)の合成例1:(PL−1) 下記構造の単量体(LM−1)40g、エチレングリコー
ルジメタクリレート2g、下記構造の分散安定用樹脂
(LP−1)4.0g及びメチルエチルケトン180gの混合
溶液を窒素気流下、攪拌しながら温度60℃に加温した。
A.I.V.N. 0.3gを加え3時間反応させた。更に、A.I.V.
N. 0.1gを加えて4時間反応した。冷却後、200メッシ
ュのナイロン布を通して白色分散物を得た。平均粒子径
0.25μmのラテックスであった。
【0431】
【化60】
【0432】樹脂粒子(PL)の合成例2:(PL−
2) 分散安定用樹脂として(AB−6)(東亜合成(株)製:
ブチルアクリレート単位から成る一官能性マクロモノマ
ー)5g及びメチルエチルケトン140gの混合溶液を、
窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。これに、
下記構造の単量体(LM−2)40g、エチレングリコー
ルジアクリレート1.5g、A.I.V.N. 0.2g及びメチルエチ
ルケトン40gの混合溶液を1時間で滴下した。そのまま
2時間反応後、更にA.I.V.N. 0.1gを加え3時間反応し
て、白色分散物を得た。冷却後、200メッシュのナイロ
ン布を通して得られた分散物の平均粒径は0.35μmであ
った。
【0433】
【化61】
【0434】樹脂粒子(PL)の合成例3〜11:(PL
−3)〜(PL−11) 樹脂粒子(PL)の合成例1において、単量体(LM−
1)、エチレングリコールジメタクリレート及びメチル
エチルケトンの代わりに下記表−Hの各化合物に代えた
他は、該合成例1と同様にして樹脂粒子を製造した。得
られた各樹脂粒子の平均粒径は0.15〜0.30μmの範囲で
あった。
【0435】
【表28】
【0436】
【表29】
【0437】樹脂粒子(PL)の合成例12〜17:(PL
−12)〜(PL−17) 樹脂粒子(PL)の合成例2において、分散安定用樹脂
(AB−6)5gの代わりに下記表−Iの樹脂(LP)
に代えた他は、該合成例2と同様にて各樹脂粒子を合成
した。得られた各粒子の平均粒径は0.10〜0.25μmの範
囲であった。
【0438】
【表30】
【0439】
【表31】
【0440】樹脂粒子(PL)の合成例18〜23:(PL
−18)〜(PL−23) 樹脂粒子(PL)の合成例2において、単量体(LM−
2)40gの代わりに下記表−Jの各単量体を、分散安定
用樹脂(AB−6)5gの代わりに下記構造の樹脂(L
P−8)6gを用いた他は、該合成例2と同様にして、
各樹脂粒子を合成した。得られた各粒子の平均粒径は0.
05〜0.20μmの範囲であった。
【0441】
【化62】
【0442】
【表32】
【0443】
【表33】
【0444】実施例1 X型無金属フタロシアニン{大日本インキ(株)製}2
g、下記構造の結着樹脂(B−1)10g、前記樹脂(P
−1)0.8g、下記構造の化合物(A)0.15g及びテト
ラヒドロフラン80gの混合物を、500mlのガラス容器に
ガラスビーズと共に入れ、ペイントシェーカー(東洋精
機製作所製)で60分間分散し、更にこれに無水フタル酸
0.1g及びo−クロロフェノール0.02gを加えて5分間
分散した後ガラスビーズを濾別して感光層分散液とし
た。
【0445】
【化63】
【0446】次いでこの分散液を導電性処理および耐溶
剤処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上にワ
イヤーバーで塗布し、指触乾燥した後110℃循環式オー
ブンで、20秒間加熱した。得られた感光層の膜厚は8μ
mであった。JIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シー
ト試験法」に従って測定した感光体表面の粘着力は、6
g・fであった。他方、上記感光層において、樹脂(P
−1)0.8gを除いた他は全く同様にして作成した感光
層を有する感光体表面の粘着力は450g・f以上で、
全く剥離性を示さなかった。上記の剥離性表面を有する
感光体を、図2に示す装置の電子写真感光体11として
装着した。また、図2の装置において、一次レセプター
20としてドラム上にオフセット印刷用ブランケット96
00−A(粘着力80g・f、厚み1.6mm、明治ゴム化成
製)を装着し、この表面に下記の樹脂(A)分散液〔L
−1〕を用いて電着塗布法で転写層22を形成した。
【0447】 樹脂(A)分散液〔L−1〕 樹脂(A)分散物:(ARH−4) 5g(固形分量として) 樹脂(A)分散物:(ARL−1) 5g(固形分量として) 荷電調整用化合物(D−1) 0.03 g オクタデシルビニルエーテル/t−オクチル マレイン酸半アミド(1/1モル比)共重合体 シリコンオイル{KF−96、信越シリコーン(株)製}5g を全量で1リットルになる様にアイソパーHで調整し
た。
【0448】即ち、一次レセプター20を周速度10mm/
秒で回転させ、一次レセプター20表面に転写層形成装
置21としてスリット電着装置を用いて樹脂(A)分散
液を供給しながら、一次レセプター側を接地しスリット
電着装置の電極側に−250Vの電圧を印加して樹脂粒子
を電着した。次いで吸排気ユニットを用いエアースクイ
ズで分散液を除き加熱手段の赤外線ラインヒーターにて
溶融・皮膜化し熱可塑性樹脂からなる転写層22を形成
した。このときの膜厚は5μmであった。
【0449】次いで電子写真プロセスを行なった。感光
体11を暗所にてコロナ帯電装置18の下を通過させ、
+450Vにコロナ帯電をしたのち、あらかじめ原稿から
カラースキャナーにより読み取り、色分解し、システム
特有の幾つかの色再現に関わる補正を加えた後、デジタ
ル画像データーとしてシステム内のハードディスクに記
憶させてあった情報をもとにネガ鏡像モードで、半導体
レーザー描画装置19を用いて788nmの光で感光体上露
光量が30erg/cm2になるように露光した。
【0450】下記の方法で液体現像剤〔LD−1〕を調
製した。 ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート65g、メチルアクリレート35g、
下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH 680gの
混合溶液を窒素気流下に、攪拌しながら温度65℃に加温
した。これに、A.I.V.N. 1.2gを加え2時間反応し、更
にA.I.V.N. 0.5gを加えて2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応した。次に、反応温度を90℃
に上げて、30mmHgの減圧下に1時間攪拌し未反応単量体
を除去した。
【0451】
【化64】
【0452】室温に冷却後、200メッシュのナイロン布
を通して濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の
単量体の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.25
μmで且つ単分散性良好なものであった。
【0453】・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)10g、ニグロシン10g及
びアイソパーG30gをガラスビーズと共にペイントシェ
ーカー{東京精機(株)製}に入れ、4時間分散しニグ
ロシンの微小な分散物を得た。
【0454】・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分散
物25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシルアミ
ド(1/1モル比)共重合体 0.2g及びFOC−180
0{日産化学(株)製}15gをアイソパーG1リットル
に希釈することにより静電写真用液体現像剤〔LD−
1〕を作製した。
【0455】液体現像剤〔LD−1〕を用い、一対の平
板現像電極を有する現像装置で感光体面側電極に+400
Vのバイアス電圧を印加し、露光部にトナーが電着する
ようにした反転現像を行ない、ついでアイソパーH単独
浴中でリンスをして非画像部の汚れを除いた。この様に
して得られた製版後の感光体をヒートロールの定着方法
で画像を定着した。
【0456】つぎに表面温度を65℃に設定された感光体
11ドラムと表面温度を90℃に設定された一次レセプタ
ー20ドラムを接触させ、ニップ圧が5kgf/cm2、ドラ
ム周速が5mm/秒の条件で、加熱と加圧を行った。トナ
ー画像は一次レセプター20上の転写層22にすべて転
写した。つぎに表面温度を90℃に設定された一次レセプ
ター20ドラムと、130℃に設定された転写用バックア
ップローラー31及び10℃に設定された剥離用バック
アップローラー32の間に、被転写材30であるFuj
i PSプレートFPD{富士写真フイルム(株)製}
に用いられるアルミ支持体を導き、ニップ圧を10kgf/cm
2、ドラム周速を10mm/秒として、加熱と加圧を行っ
た。トナー画像はアルミ支持体上にすべて転写し、高画
質の鮮明なトナー画像が得られた。
【0457】他方、一次中間レセプター20上に、転写
層を設けることなく転写する方法でトナー画像をアルミ
支持体上に形成し、本発明と比較した。得られたアルミ
支持体上の画像には、トナー画像の欠落あるいは画像濃
度にムラのある所が見られた。更に細線・細文字等の部
分を20倍のルーペで目視観察した所、細かな画像の欠落
が認められた。また、感光体の表面を観察した所、トナ
ー画像の残存が認められた。以上のことから、一次レセ
プター上に転写層を設けてトナー画像を転写層ごと被転
写材上に転写する本発明の方法は、感光体上から被転写
材上にトナー画像を良好に転写する方法として非常に良
好であることが判る。
【0458】次に、アルミ支持体30に転写層22を転
写した版(平板印刷原板)を不感脂化処理(即ち転写層
除去)して印刷版とし、その印刷性能を調べた。上記の
版を、温度35℃の下記不感脂化処理液〔E−1〕中に1
分間浸漬して版面をゆるく毛ブラシでこすりながら転写
層を除去し、充分水洗した後、ガム引きしオフセット用
印刷版を作成した。 不感脂化処理液〔E−1〕 PS版処理剤{DP−4、富士写真フィルム(株)製}
を蒸留水で50倍に希釈した溶液(pH12.5)
【0459】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察した
ところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且つ
画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認められ
なかった。この版を浸し水としてPS版用浸し水{SG
−23、東京インキ(株)製}を蒸留水で130倍に希釈
した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてオリバー9
4型{(株)桜井製作所製}を用い、印刷紙として中性
紙を使用して、各種オフセット印刷用色インキで印刷
し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる印刷枚数
を調べた。その結果、色インキの種類にかかわらず、い
ずれの場合も6万枚以上の耐刷性を示した。
【0460】更に、本発明の印刷版による印刷を行った
後、通常の操作のまま、次にPS版を印刷したところ、
何の問題も生じなかった。即ち、印刷機を同一にして、
PS版等の他のオフセット印刷版と容易に共用できるこ
とが確認された。以上の様に、本発明によって供される
オフセット印刷版は、半導体レーザー光スキャニング露
光方式によって得られる画像再現性が極めて良好で且つ
それが印刷物に良好に再現されること、色インキ適性が
充分で、インキ選択性がほとんどみられず、フルカラー
印刷が高耐刷性で得られること、印刷機を他のオフセッ
ト印刷版と容易に共用できること等、極めて優れた性能
を示すことが確認された。
【0461】実施例2 アモルファスシリコン感光体をトリデシルフロロオキシ
ルトリメトキシシランを用いて表面修飾した電子写真感
光体(感光体表面の粘着力は30g・fであった)を図2
に示す装置に装填した。
【0462】また、一次レセプター20上に樹脂(A)
としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有
量20重量%、環球法による軟化点90℃)を用い、120℃
設定のホットメルトコーターにより一次レセプター表面
へ20mm/秒のスピードで塗布をし、冷却空気を吸排気ユ
ニットから吹き付けて冷却し、転写層22を形成した。
この時の転写層22の厚みは2.5μmであった。
【0463】次に、離型性表面を有するアモルファスシ
リコン感光体を、暗所にて+700Vにコロナ帯電をした
のち、あらかじめ原稿からカラースキャナーにより読み
取り、色分解しシステム特有の幾つかの色再現に関わる
補正を加えた後、デジタル画像データとしてシステム内
のハードディスクに記憶させてあった情報をもとに半導
体レーザーを用いて780nmの光で露光した。露光部の電
位は+220Vで未露光部は+600Vであった。
【0464】続いて現像ユニットに組み込まれているプ
レバス装置によりアイソパーH(エッソスタンダード石
油製)にてプレバスをしたのち、前記の湿式現像剤〔L
D−1〕を現像ユニットから感光体表面へ供給した。こ
のとき現像ユニット側へ+500Vの現像バイアス電圧を
印加し、反転現像を行なって未露光部にトナーが電着す
るようにした。次いでアイソパーH単独浴中でリンスを
して非画像部の汚れを除き、吸排気ユニットにて乾燥し
た。
【0465】つぎに赤外線ラインヒーターを点灯してそ
の下を通過させて、表面温度を放射温度計で測定してほ
ぼ80℃にしたのち、上記の転写層を設けた一次レセプタ
ー(ドラム)を、温度100℃に加熱し、感光体ドラムと
一次レセプターを接触させ、ニップ圧が4kgf/cm2、ド
ラム周速が5mm/秒の条件下でトナー画像を一次レセプ
ター上にすべて転写した。
【0466】つぎに表面温度を温度調節手段で60℃に設
定された一次レセプタードラムと、130℃に設定された
転写用バックアップローラー及び10℃に設定された剥離
用バックアップローラーの間に、被転写材であるFPD
プレート用アルミニウム支持体を導き、ニップ圧を5kg
f/cm2、ドラム周速を10mm/秒として、加熱と加圧を行
ったところ、トナー画像はプレート上にすべて転写し、
高画質の鮮明なトナー画像が得られた。
【0467】他方、一次レセプター上に転写層を設ける
ことなく、トナー画像を直接一次レセプターに転写する
方法でトナー画像をプレート上に形成して本発明と比較
した。得られたプレート上の画像には、トナー画像の欠
落、あるいは画像濃度にムラのある所が見られた。更に
細線、細文字等の部分を20倍のルーペで目視観察した
所、細かな画像の欠落が認められた。また、感光体の表
面を観察した所、トナー画像部の残存が認められた。こ
のことは、感光体を繰り返し使用する方法においては、
残存トナーの除去のために、感光体表面のクリーニン
グ、そのための装置の設定あるいはクリーニングによる
感光体表面の損傷等が問題となってくる。
【0468】これに対し、本発明では、トナー画像の感
光体からの剥離が充分になされ、更に一次レセプターか
ら被転写材に容易に且つ充分に転写するため、上記のよ
うな問題は生じなかった。また、実施例1と同様にして
印刷版とし、印刷したところ、実施例1と同様に良好な
性能を示した。
【0469】実施例3 実施例1において、一次レセプター20への転写層22
の形成として用いた電着塗布法の代わりに、図4に示す
如き離型紙24からの転写法を用いた。即ち、離型紙2
4として、セパレート紙{王子製紙(株)製}を用い、
この上に、下記樹脂(A−1)及び樹脂(A−2)の1
/1重量比から成る4μmの膜厚で塗膜形成した紙を、
実施例1と同様の一次レセプター20に圧接し、ローラ
ー間圧力3kgf/cm2、表面温度60℃及び通過スピード10m
m/秒の条件下で一次レセプター20表面上に、膜厚4
μmの転写層22を形成した。
【0470】
【化65】
【0471】転写層22を形成した一次レセプター20
を用いて、実施例1と同様にして印刷版を作成した。得
られた印刷物の画像及び耐刷性は実施例1と同様に良好
な性能を示した。
【0472】実施例4 実施例1において、一次レセプター20への転写層22
形成に用いた電着塗布法の代わりに、熱溶融塗布法を用
いた。即ち、転写層22用の樹脂として、下記樹脂(A
−3)及び樹脂(A−4)の6/4重量比から成る混合
物を用い、120℃設定のホットメルトコーターにより一
次レセプター表面へ20mm/秒のスピードで塗布をし、冷
却空気を吸排気ユニットから吹きつけて冷却したのち一
次レセプター20表面温度を30℃に保った。このときの
転写層22の厚みは5μmであった。
【0473】
【化66】
【0474】この転写層22を形成した一次レセプター
20を用いて、実施例1と同様にして、印刷版を作成し
た。得られた印刷物の画像及び耐刷性は実施例1と同様
に良好な性能を示した。
【0475】実施例5〜14 実施例1において、一次レセプター20上の転写層の樹
脂(A)として、下記表−Kの各樹脂粒子を用いた他は
実施例1と同様に操作して印刷版を作成し、印刷を行っ
た。各印刷版から得られた印刷物の画質及び耐刷性は実
施例1と同様に良好であった。
【0476】
【表34】
【0477】実施例15〜34 実施例1において、樹脂(P−1)0.8gの代わりに、
下記表−Lの樹脂(P)及び/又は樹脂粒子(PL)を
各々用いた他は実施例1と同様に操作して、印刷版を作
成し、印刷を行った。各印刷版から得られた印刷物の画
質及び耐刷性は、実施例1と同様に良好であった。
【0478】
【表35】
【0479】実施例35〜45 実施例1において、樹脂(P−1)、無水フタル酸及び
o−クロロフェノールの代わりに、下記表−Mの各化合
物を各々用いた他は実施例1と同様に操作して、印刷版
を作成し、印刷を行った。各印刷版から得られた印刷物
の画質及び耐刷性は、実施例1と同様に良好であった。
【0480】
【表36】
【0481】実施例46〜57 実施例3において、セパレート紙の代わりに、離型紙と
してサンリリース(山陽国策パルプ(株)製)を用い、
この上に膜厚4μmの下記表−Nの各樹脂(A)から成
る転写層を設けた紙を用いた他は実施例3と同様に操作
して、印刷版を作成し、印刷を行ったところ、実施例3
と同様に良好な結果を得た。
【0482】
【表37】
【0483】
【表38】
【0484】
【表39】
【0485】
【表40】
【0486】実施例58 有機光導電性物質として、4, 4′−ビス(ジエチルアミ
ノ)−2, 2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、下記
構造の結着樹脂(B−2)4g、本発明の樹脂(P−2
7)0.4g、下記構造式の色素(D−1)40mg、化学増
感剤として下記構造式のアニリド化合物(B)0.2g
を、メチレンクロライド30mlとエチレンクロライド30ml
との混合物に溶解し、感光層分散液とした。
【0487】
【化67】
【0488】この感光層分散液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて導電性透明支持体(厚さ100μmのポリエチ
レンテレフタレート支持体上に、酸化インジウムの蒸着
膜を有する。表面抵抗103Ω)上に塗布して約4μmの感
光層を有する有機感光体を得た。感光体表面の粘着力は
8g・fであった。この感光体を、実施例1で用いた感
光体の代わりに用いた他は実施例1と同様に操作して、
印刷版を作成した。得られた、印刷物の印刷画像は地カ
ブリのない鮮明なもので、且つ、耐刷性も実施例1と同
様に良好であった。
【0489】実施例59 実施例2において、電子写真感光体として、下記の様に
アモルファスシリコン上に剥離性表面層を設けた感光体
を用いた他は、実施例2と同様に操作して、印刷版を作
成した。 〈剥離性表面層の形成〉樹脂(P−12)1.0g、下記構
造の結着樹脂(B−3)15g、無水フタル酸0.03g及び
トルエン100 gの溶液を用いて、アモルファスシリコン
感光体上に膜厚1.5μmとなる様に塗膜を形成した後指触
乾燥し、更に130℃で1時間加熱して膜を硬化させた。
得られた感光体表面の粘着力は8g・fであった。
【0490】
【化68】
【0491】得られた印刷版を用いて実施例1と同様に
印刷したところ、実施例1と同様の性能が得られた。
【0492】実施例60 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95g
及びポリエステル樹脂{バイロン200、東洋紡績
(株)製}5gの混合物をボールミル中で充分に粉砕し
た。次いで、この混合物を攪拌下テトラヒドロフラン52
0gを加えた。この分散物をワイヤーラウンドロッドを
用いて実施例58で用いた導電性透明支持体上に塗布し
て約0.7μmの電荷発生層を形成した。
【0493】
【化69】
【0494】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合溶液
をワイヤラウンドロッドを用いて上記電荷発生層の上に
塗布し、60℃で30秒間乾燥し、更に温度100℃で20秒間
加熱して約18μmの電荷輸送層を形成し、2層から成る
感光層を有する電子写真感光体を得た。
【0495】
【化70】
【0496】更に、この感光層の上に剥離性を付与する
ための表面層を形成するために、下記樹脂(P−39)13
g、無水フタル酸0.2g、o−クロロフェノール0.002g
及びトルエン100gの混合溶液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて、膜厚1μmになる様に塗布し、指触乾燥
後、更に120℃で1時間加熱した。得られた感光体の表
面の粘着力は5g・fであった。
【0497】
【化71】
【0498】この感光材料を、暗所で表面電位+500V
に帯電させた後、He−Neレーザーを用いて633nmの
光で、版面での露光量が30erg/cm2になるように露光し
た他は実施例1と同様に操作し、感光体上にトナー画像
を形成した。また、一次レセプターとして、実施例1で
用いたブランケット9600−Aのロール表面上にイソ
プレンゴム100g、樹脂(P−2)7g、及び無水フタ
ル酸0.001gを用いて塗膜し、140℃で2時間加熱して硬
化膜(膜厚10μm)を形成したものを用いた。一次レセ
プター表面の粘着力は80g・fであった。
【0499】この一次レセプター上に転写層を下記の方
法で形成した。 <転写層の形成>下記の樹脂(A)の分散液〔L−2〕
を用いて、一次レセプター上に膜厚1μmの第1層を設
けた。更に、この層の上に、下記の樹脂(A)の分散液
〔L−3〕を用いて、膜厚3μmの第2層を設けた。 ・樹脂(A)の分散液〔L−2〕 樹脂粒子(ARH−3) 10g(固
形分量として) 前記正荷電用調節剤(CD−1) 0.02 g FOC−1800の 10g を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調整した
もの。 ・樹脂(A)の分散液〔L−3〕 上記樹脂(A)分散液〔L−2〕において、樹脂粒子
(ARH−3)10gの代わりに樹脂粒子(ARL−17)
10g(固形分量として)を用いた他は該分散液〔L−
2〕と同様にして調製したもの。
【0500】上記感光体のトナー画像を上記の一次レセ
プターを介してFPDプレート用アルミニウム支持体上
に実施例1と同様にして転写した後、この平版印刷原版
を温度25℃で下記不感脂化処理液〔E−2〕中に1分間
浸漬し、版面をゆるくこすりながら転写層を除去し、充
分水洗した後、ガム引きし、オフセット用印刷版を作成
した。 ・不感脂化処理液〔E−2〕 メルカプトエタンスルホン酸 10g ネオソープ{松本油脂(株)製} 5g N, N−ジメチルアセトアミド 10g を蒸留水で希釈し、全量を1.0リットルにした後、水酸
化ナトリウムでpH12.0に調整したもの。
【0501】このようにして得た印刷版を200倍の光学
顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察し
たところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且
つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認めら
れなかった。この版を、実施例1と同様にしてオフセッ
ト印刷したところ、地汚れの発生しない鮮明な画像の印
刷物が5万枚以上得られた。また、この平版印刷原版
を、転写層を上側にして重ね合わせ、5kgf/cm2の圧力
をかけて25℃65%RHの条件で1週間放置した後、転写
層の剥がれの有無を調べたところ、転写層の剥がれはな
く、トナー画像の欠損は認められなかった。
【0502】実施例61 実施例1において、被転写材として用いたFPDプレー
ト用アルミニウム支持体の代わりに、ストレートマスタ
ー{三菱製紙(株)製}を用いた他は実施例1と同様に
して印刷版を作成した。ストレートマスター上に形成さ
れた画像(カブリ、画像の画質)を目視で評価したとこ
ろ、転写は完全に行われており、地カブリのない鮮明な
画像であった。得られた印刷版を用いてオフセット印刷
を行ったところ、地汚れのない鮮明な画像の印刷物が1
500枚得られた。
【0503】実施例62 電子写真感光体11として、アモルファスシリコンを用
いて、図2の装置に装着した。感光体表面に剥離性を付
与するために、下記構造の化合物(S−1)(ポリエーテ
ル変性シリコンオイル)1gをアイソパーG1リットル
中に溶解した溶液中に感光体を接触し、周速30mm/秒の
回転スピードで10秒間回転後、スクイズロールでスクイ
ズした後、予熱手段16で乾燥した。これにより、感光
体表面の粘着力は185g・fから3g・fに減少した。
【0504】
【化72】
【0505】次に、実施例2と同様にして操作して印刷
版を作成し、オフセット印刷を行った。その結果、色イ
ンキの種類にかかわらず、地汚れの発生しない鮮明な画
像の印刷物が6万枚以上得られた。
【0506】実施例63〜83 実施例62において、アモルファスシリコン感光体の表
面剥離性付与手段として、化合物(S−1)の代わり
に、下記表−Oの各化合物(S)を所定量アイソパーG
1リットル中に溶解した溶液を用いた他は、実施例62
と同様に操作した。各化合物(S)による処理で感光体
表面の粘着力は各々1〜20g・fの範囲となった。得ら
れた結果は、いずれも実施例62の場合と同等に良好な
ものであった。
【0507】
【表41】
【0508】
【表42】
【0509】
【表43】
【0510】
【表44】
【0511】
【表45】
【0512】
【表46】
【0513】実施例84 実施例62において、感光体の表面剥離性付与手段とし
て下記の内容に代えた他は実施例62と同様に操作して
印刷版を作成した。 化合物(S−23):ジメチルシリコンオイル{FK-96L-
2.0、信越シリコーン(株)製}2gを均一に含浸させ
たAW処理フェルト(厚み15mm×巾20mmのウール材質)
を感光体に押圧200gで圧接し、該感光体を周速20mm/秒
の回転速度で30秒間回転した。処理後の感光体表面の粘
着力は5g・fとなった。得られた印刷版は実施例62
と同様の性能を示した。
【0514】実施例85 実施例62において、感光体の表面剥離性付与手段とし
て下記の内容に代えた他は実施例62と同様に操作して
印刷版を作成した。 加熱手段を内蔵したゴムローラーに、化合物(S−2
4):フッ素系界面活性剤サーフロン{S−141、旭硝子
(株)製}を含浸させた布を巻きつけたローラーを、表
面温度60℃に加熱した後、感光体と接触させ、両ドラム
を周速20mm/秒の回転速度で30秒間回転した。感光体表
面の粘着力は12g・fとなった。得られた印刷版は実施
例62と同様の性能を示した。
【0515】実施例86〜97 実施例1〜61で作成したトナー像を転写層ごと被転写
材に転写後の版(印刷原版)を用いて、不感脂化処理を
下記の様に操作してオフセット印刷版を作成した。下記
表−Pの求核性化合物0.2モル、有機溶媒100g及びニュ
ーコールB4SN{日本乳化剤(株)製}2gに蒸留水
を加え1リットルとした後、pHを12.5に調整した。印
刷原版を処理液中に温度35℃で1分間浸漬し、ゆるくこ
すりながら、不感脂化処理を行った。得られたプレート
を実施例1と同様の印刷条件で印刷した。各印刷版とも
実施例1の場合と同等の良好な性能を示した。
【0516】
【表47】
【0517】実施例98 X型無金属フタロシアニン{大日本インキ(株)製}2
g、下記構造の結着樹脂(B−4)14.4g、下記構造の
結着樹脂(B−5)3.6g、下記構造の化合物(C)0.15
g及びテトラヒドロフラン80gの混合物を、500mlのガ
ラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペイントシェーカ
ー(東洋精機製作所製)で60分間分散した後、ガラスビ
ーズを濾別して感光層分散液とした。
【0518】
【化73】
【0519】次いで、この分散液を0.2mm厚のアルミニ
ウム板の上にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥した後11
0℃循環式オーブンで20秒間加熱した。得られた感光層
の膜厚は8μmであった。この感光層上に、下記の内容
の剥離性表面層を設けた。
【0520】〈剥離性表面層の形成〉下記構造のシリコ
ン樹脂10g、下記構造の架橋剤1g、下記構造の架橋制
御剤0.2g、架橋用触媒として白金0.1g及びn-ヘキサン10
0gからなる混合物をワイヤーラウンドロッドを用いて塗
布し、指触乾燥後、120℃で10分間加熱し、膜厚2μm
の表面層を形成した。得られた表面の粘着力は1g・f
以下であった。
【0521】
【化74】
【0522】以上の様にして得られた剥離性表面を有す
る電子写真感光体を図2に示す様な装置に装着した。
【0523】また、一次レセプターとして、下記のもの
を用いた。即ち、中空ローラー上に、まず、ゴム硬度75
度で厚さ4mmの天然ゴムシート{コクゴ社(株)製}を
固定し、この上に、メトキシメチル変性ナイロン樹脂
{ダイアミド MX-100、ダイセル化学工業(株)製}か
らなる2μmの樹脂層を設け、更にこの上に下記の樹脂
(a) 10g、下記の樹脂(b)0.1g、無水フタル酸0.2g、o-
クロロフェノール0.02g及びテトラヒドロフラン70gか
らなる溶液を塗布し、120℃で2時間加熱して膜硬化を
行い、1μmの樹脂層を形成した。
【0524】
【化75】
【0525】この一次レセプタードラム上に、電着塗布
法で転写層を形成した。即ち、一次レセプターを周速度
100mm/秒で固定させ、一次レセプターの表面温度が60
℃になる様に調節し、これに、スリット電着装置を用い
て下記樹脂(A)分散液〔L−4〕を供給しながら、一
次レセプター側を接地し、スリット電着装置の電極側に
−150Vの電圧を印加して樹脂粒子を電着した。電着と
同時に樹脂粒子は溶融皮膜化され、熱可塑性樹脂からな
る転写層を形成した。このときの膜厚は2μmであっ
た。
【0526】 樹脂(A)分散液〔L−4〕 樹脂(A)分散物(ARW−2) 2g(固形分量として) 荷電調整用化合物(D−1) 0.08 g を全量で1リットルになるようにアイソパーGで調整し
た。
【0527】次いで、実施例1と同様にして、電子写真
プロセスでトナー画像形成を行った。次に、感光体ドラ
ムを50℃、一次レセプタードラムを80℃に各々調節し、
両ドラムを接触させ、ニップ圧4kgf/cm2、ドラム周速1
00mm/秒の条件で加熱、加圧を行い、トナー画像を一次
レセプター上の転写層に転写した。トナー画像は転写層
に完全に転写した。
【0528】続けて、この一次レセプタードラムと100
℃に設定された転写層バックアップローラー及び室温の
ままの剥離用バックアップローラーの間に、被転写材で
あるFPD用アルミ支持体を導き、ニップ圧を4kgf/cm
2 、ドラム周速を100mm/秒として、加熱と加圧を行った
ところ、トナー画像はアルミ支持体上にすべて転写し、
高画質の鮮明なトナー画像が得られた。更に、実施例1
と同様に不感脂化処理して印刷版とし、印刷を行った。
実施例1と同様の良好な結果が得られた。
【0529】実施例99〜106 実施例98において、分散液〔L−4〕中に用いた樹脂
(A)の分散物(ARW−2)の代わりに、下記表−Q
の各分散物を用いた他は実施例98と同様に操作して印
刷版を作成し、印刷を行った。その結果、実施例98と
同様に、地汚れのない鮮明な画質の印刷物が6万枚以上
得られた。
【0530】
【表48】
【0531】
【発明の効果】本発明に従い、剥離性を有する感光体表
面にトナー現像を行った後、転写層を形成した一次レセ
プター上にトナー画像を転写し、次いで、転写層ごと被
転写材に転写させ、該転写層を不感脂化処理して除去す
ることにより、高精細、高画質の画像を有する印刷版を
簡便に得ることができる。更に、電子写真プロセス工程
と被転写材への熱転写工程とを行う装置内で、一次レセ
プター表面に該転写層をその都度形成する工程をも行う
ことにより、一次レセプターを繰り返して用いることが
でき、低ランニングコストが達成できる。また、離型性
化合物(S)を用いて、トナー現像前の感光体表面に剥
離性を付与することにより、通常の電子写真感光体を用
いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】一次レセプターとしてドラム方式を採用した、
本発明の方法を実施するための装置例を示す図である。
【図3】一次レセプターとして無端ベルト方式を採用し
た、本発明の方法を実施するための装置例を示す図であ
る。
【図4】剥離紙を利用して転写層を一次レセプター上に
形成する部分装置例を示す図である。
【符号の説明】
1 感光体の支持体 2 感光層 3 トナー画像 10 化合物(S)塗布装置 11 感光体 14 液体現像ユニットセット 14L 液体現像ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 予熱手段 17 温度調節手段 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 20 一次レセプター 21 転写層形成装置 22 転写層 24 剥離紙 25a 予熱手段 25b 加熱ローラー 25c 冷却ローラー 30 被転写材 31 転写用バックアップローラー 32 剥離用バックアップローラー 110 化合物(S)付与部分 120 剥離紙を用いた一次レセプターへの転写層形
成部分 130 被転写材への転写部分

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(i)〜(iv)の工程を含むこと
    を特徴とする電子写真式製版印刷版の作成方法。(i)
    電子写真プロセスで剥離性表面を有する電子写真感光体
    上にトナー画像を形成する工程、(ii)化学反応処理で
    除去可能な樹脂(A)を主として含有する剥離可能な転
    写層を設けた一次レセプター上に、該トナー画像を転写
    する工程、(iii)一次レセプター上の該トナー画像を転
    写層ごと印刷時に平版印刷可能な親水性表面となる被転
    写材に転写する工程、及び(iv)該転写された被転写材
    の転写層を化学反応処理により除去する工程。
  2. 【請求項2】 剥離可能な転写層が、熱溶融塗布法、転
    写法及び電着塗布法のうちの少なくとも1つの方法によ
    り一次レセプター上に形成されることを特徴とする請求
    項1記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。
  3. 【請求項3】 電子写真感光体の表面が、JIS Z0237-19
    80の「粘着テープ・粘着シート試験方法」による粘着力
    が100gram・force以下であり、且つ一次レセプター
    の表面の粘着力が電子写真感光体の表面の粘着力より大
    きいことを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真式
    製版印刷版の作成方法。
  4. 【請求項4】 電子写真感光体上に電子写真プロセスに
    よりトナー画像を形成する手段、一次レセプター上に剥
    離可能な転写層を設ける手段、転写層を設けた一次レセ
    プター上に該トナー画像を転写する手段及び一次レセプ
    ターから被転写材に該トナー画像を転写層ごと転写する
    手段を少なくとも有することを特徴とする電子写真式製
    版印刷用原版作成装置。
  5. 【請求項5】 剥離性表面を有する電子写真感光体が、
    感光体の表面にフッ素原子及び/又はケイ素原子を少な
    くとも含有する化合物(S)を吸着又は付着したもので
    ある請求項1記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。
  6. 【請求項6】 電子写真感光体の表面にフッ素原子及び
    /又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物(S)を
    吸着又は付着する手段を更に有する請求項4記載の電子
    写真式製版印刷用原版作成装置。
JP29907794A 1993-11-09 1994-11-09 電子写真式製版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置 Pending JPH07181751A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022138784A1 (ja) * 2020-12-24 2022-06-30 株式会社クラレ 変性ビニルアルコール系重合体、変性ビニルアルコール系重合体の製造方法、粒子、水溶液、塗工液、塗工物、成形体、剥離紙、分散剤、ビニル系重合体の製造方法、及び混合物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022138784A1 (ja) * 2020-12-24 2022-06-30 株式会社クラレ 変性ビニルアルコール系重合体、変性ビニルアルコール系重合体の製造方法、粒子、水溶液、塗工液、塗工物、成形体、剥離紙、分散剤、ビニル系重合体の製造方法、及び混合物

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