JPH08194341A - 電子写真式製版印刷版の作成方法 - Google Patents

電子写真式製版印刷版の作成方法

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JPH08194341A
JPH08194341A JP7019897A JP1989795A JPH08194341A JP H08194341 A JPH08194341 A JP H08194341A JP 7019897 A JP7019897 A JP 7019897A JP 1989795 A JP1989795 A JP 1989795A JP H08194341 A JPH08194341 A JP H08194341A
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group
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transfer
polymer
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JP7019897A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 転写層の電子写真特性の良否を勘案すること
なく良好な画像が得られ、且つ転写層の転写性及び不感
脂化処理性が優れ、更に製版時間を短縮化及び感光体の
耐久性向上が達成できる。 【構成】 電子写真プロセスにより剥離性を有する電子
写真感光体11上にトナー画像3を形成し、Tgの異なる二
種以上の樹脂を同一粒子内に含有する樹脂粒子(AL)をト
ナー画像3上に電着塗布法により成膜して第1転写層12T
1を形成、更にTgの高い樹脂を含有する第2転写層12T2
を形成した後、トナー画像3と転写層12T1,12T2を、印刷
時に平版印刷可能な親水性表面となる被転写材16に転写
し、非画像部の転写層12T1,12T2をを化学反応処理で除
去して製版印刷版を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に転写層
を利用した平版印刷版の作成方法に関し、更に詳細に
は、転写層の転写性に優れた、製版画質及び印刷画質が
良好な電子写真式製版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版オフセット印刷版、特に、原稿入
力、補正、編集、割付から頁組まで一貫してコンピュー
ター操作され、高速通信網や衛生通信により即時遠隔地
の末端プロッターに出力できる電子編集システムにおい
て、末端プロッターの出力から直接印刷版を作成する直
接型印刷版を提供し得る高い光感度を有する感光体とし
て電子写真感光体が用いられる。電子写真感光体を用い
て平版印刷版を作成する方法として、電子写真プロセス
でトナー画像形成後、非画像部を不感脂化処理液で不感
脂化して印刷版として用いる方法、トナー画像形成後、
非画像部の光導電層の除去を行う方式が知られている。
しかしながら、感光層を親水化処理したりあるいは感光
層を溶出させて表面親水性支持体を露出させて、電子写
真感光体そのものの表面を改質して親水性非画像部を形
成する方法では、感光体、特に光導電層に用いられる光
導電性化合物や結着樹脂などに種々の制約があり、得ら
れる印刷版の画質や耐刷性の点で多くの問題点があっ
た。
【0003】従来のこのような問題を解決するものとし
て、電子写真感光体の表面に化学反応処理により除去さ
れ得る熱可塑性樹脂からなる転写層を設け、該転写層上
に通常の電子写真プロセスを用いてトナー画像を形成
し、該トナー画像を転写層と共に平版印刷版としての親
水性表面を形成する被転写材に転写した後、転写層を除
去してトナー画像を被転写材上に残すことにより平版印
刷版とする方法が、国際公開WO93/16418号に
記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この転写層を用いた印
刷版の作成方法は、感光体表面を改質して親水性非画像
部を形成するのではなく、感光体とは別個に転写層をト
ナー画像上に形成し、親水性表面を有する他の支持体上
にトナー画像を転写層ごと転写させた後、転写層を化学
反応処理により除去するものであるため、従前の光導電
層に要求される種々の制約をうけることなく、良好な画
質の印刷版を得ることができる。
【0005】しかしながら、この方法では、転写層を形
成した感光体上に通常の電子写真プロセスによりトナー
画像を形成するため、転写層は、転写性や、後に印刷版
とするための溶出性の他に、電子写真特性(Ep特性)
も満足する必要があった。1つの転写層に、転写性、溶
出性及び電子写真特性(Ep特性)の全てを満足させる
ことは容易なことではなく、樹脂の重合成分や分子量と
いった重合体の一次構造に種々の制約が生じる。特に、
Ep特性の良否は、樹脂の電気的特性(帯電性の保持)
の影響が大きく、転写層の膜厚が5μmを越えると更に
その影響は顕著になる。その結果、複写画像のDH
下、細線・文字の欠落等の画像再現性に不都合を生じ易
い。しかしながら、転写層を薄層化すると、転写性が悪
化する傾向にあるため、電子写真特性と転写性の両方を
満足させるのは、非常に困難であった。
【0006】更に、上記の方法では、転写層を熱圧転写
した時の転写性がいまだ不十分であり、細かな画像部で
の欠落がみられたり、感光体表面上にトナー画像部や転
写層の残存が認められた。特に、転写層の転写性を満足
させるためには、最終被転写材に制約があり、例えば、
支持体として紙等の平滑性の比較的粗いものを用いた被
転写材の場合には、転写層の密着性が低下し、結果とし
て転写性が充分ではないことが判った。従って、転写層
の膜厚が薄く、転写条件が低温あるいは高速度に緩和さ
れても、依然転写層及びトナー画像が良好に被転写材に
転写されることが望まれる。
【0007】本発明は、このような転写層を用いた平版
印刷版の作成方法において、優れた転写性を達成できる
とともに、転写層の電子写真特性の良否を勘案すること
なく良好な画像を得ることのできる平版印刷版の作成方
法を提供することを目的とする。特に、最終被転写材の
種類によらず、完全に転写層及びトナー画像部を転写す
ることができ、転写ラチチュード(転写可能な転写温度
幅や転写圧力幅)を拡大することができ、また転写スピ
ードを速めることができる印刷版の作成方法を提供する
ことを目的とする。更に、本発明は、印刷版とするため
に、最終被転写材上の非画像部の転写層の溶出除去性に
優れた、転写層を用いた平版印刷版の作成方法を提供す
ることを目的とする。特に、不感脂化処理条件を緩和で
き、例えば環境上の廃液規制となる高pH処理液を用い
なくても迅速に不感脂化処理できる印刷版の作成方法を
提供することを目的とする。更に、本発明は、製版時間
を短縮が可能で、感光体の耐久性を向上させる印刷版の
作成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、電
子写真プロセスにより電子写真感光体上にトナー画像を
形成し、次いで、ガラス転移点10〜140℃又は軟化
点35℃〜180℃の樹脂(A1)及びガラス転移点45
℃以下又は軟化点60℃以下の樹脂(A2)であって、樹
脂(A1)のガラス転移点又は軟化点が樹脂(A2)のそれ
よりも2℃以上高い少なくとも二種の樹脂を同一粒子内
に含有してなる熱可塑性樹脂粒子(AL)を主として含
有する粒子を該トナー画像上に電着塗布法により成膜し
て第1転写層(T1)を形成し、更にこの層の上に上記樹
脂(A2)を主として含有する第2転写層(T2)を設けて
積層構造とすることにより化学反応処理で除去可能な樹
脂(A)を主として含有する剥離可能な転写層を形成し
た後、該トナー画像と該転写層を、印刷時に平版印刷可
能な親水性表面となる被転写材に転写し、次いで、該転
写された被転写材の非画像部の転写層を化学反応処理に
より除去することを特徴とする電子写真式製版印刷版の
作成方法により達成されることが見出された。
【0009】本発明の電子写真式製版印刷版の作成方法
は、そのプロセスの概要を示した図1に示すように、少
なくとも支持体1及び感光層2からなる電子写真感光体
11上に、まず通常の電子写真プロセスでトナー画像3
を形成し、次いで、このトナー画像3を設けた感光体1
1上に剥離可能で且つ化学反応処理で除去可能な転写層
12を、形成することを第一の特徴とする。次いで、こ
のトナー画像3と転写層12とを一括して、オフセット
印刷版に供される支持体と同様の支持体である被転写材
16に転写し、印刷原版とする。この被転写材16に転
写された転写層12を、上記と同一の装置内で又は該装
置とは別途に、化学反応処理で親水化し、溶解又は膨潤
して脱離して除去することによって平版印刷版とするも
のである。
【0010】更に本発明は、転写層12が積層構造であ
り、且つ感光体側の第1転写層(T1)となる電着用熱可
塑性樹脂粒子(AL)が、ガラス転移点又は軟化点の異
なる少なくとも二種の上記樹脂(A1)及び樹脂(A2)を
同一粒子内に含有するものであり、第2転写層(T2)が
樹脂(A2)を主として含有することを第二の特徴とす
る。
【0011】上記のように、本発明は、感光体上に通常
の電子写真プロセスによりトナー画像を形成した後に、
転写層を形成する。公知の転写層を用いた平版印刷原版
作成法では、転写層を形成した感光体上に電子写真プロ
セスによりトナー画像を形成するため、用いる転写層
は、電子写真特性(帯電性、暗中電荷保持率、光感度
等)を劣化させずに良好な複写画像を形成するための条
件を満足する必要があった。
【0012】本発明によれば、転写層はトナー画像形成
後に形成されるため、上記電子写真特性に関する条件を
勘案することなく、転写性と溶出性を満足させるよう分
子設計すればよく、用いる樹脂の電気絶縁性を無視する
ことができる。この結果、転写性のラチチュード拡大
(転写圧や転写温度の軽減、転写速度の向上)と不感脂
化処理条件の緩和を達成することができる。また、被転
写材の種類を選ばずにトナー画像の形成が可能になる。
更に、転写層なしで感光体上にトナー画像が形成できる
ため、画像再現性にも有利である。また本発明では、非
画像部の転写層の溶出除去性に優れた樹脂を選択できる
ため、不感脂化処理条件を緩和することができる。例え
ば、環境上の廃液規制となる高pH処理液を用いる必要
がなくなり、不感脂化処理時間を短縮することができ
る。
【0013】更に、従来の印刷版作成法によれば、転写
層形成工程と被転写材への転写層転写工程との間に、電
子写真プロセスによるトナー画像形成工程があったのに
対し、本発明の転写層は形成後直ちに被転写材への熱転
写工程に入ることができるため、トナー画像形成のため
の転写層の冷却、更に熱転写のための加熱を簡易化でき
る。これにより、システム全体の時間を更に短縮できる
のみならず、感光体の加熱時間を削減できるため、感光
体の耐久性に有利となる。
【0014】更に、本発明は、上記の印刷版の作成方法
を行うに際し、感光体上への転写層の形成を、ガラス転
移点又は軟化点が2℃以上異なる二種の樹脂(A1)(ガ
ラス転移点10〜140℃又は軟化点35℃〜180
℃)及び樹脂(A2)(ガラス転移点45℃以下又は軟化
点60℃以下)を少なくとも同一粒子内に含有する熱可
塑性樹脂粒子(AL)を電着塗布法で成膜して行ない、
更にこの層の上に上記樹脂(A2)を主として含有する第
2転写層(T2)を設けた積層構造になるように行うもの
である。
【0015】これにより、上記の種々の条件を更に満足
することができ、転写層の転写性が極めて良好で、耐久
性もよく、優れた画質及び耐刷性を有する印刷版が得ら
れることが判った。これは、転写層を上記通りの積層構
造とすることにより、感光体表面と第1転写層(T1)と
の界面の接着力を小さくし、且つ被転写材表面と第2転
写層(T2)との密着力を大きくする相乗効果によると推
定され、これにより転写層の転写性が飛躍的に向上し、
転写条件(温度・圧力)の軽減及び転写スピードの向上
が可能となったものである。その結果、感光体への加熱
・加圧が軽減されることで電子写真特性の劣化が抑制さ
れ、感光体の繰り返し耐久性が向上し、更に転写過程に
要する時間短縮で製版スピードが向上した。
【0016】上記第2転写層(T2)は、電子写真感光体
表面上に形成した第1転写層(T1)の上に、熱溶融塗布
法、電着塗布法及び転写法のいずれかの方法により形成
することができる。
【0017】更に本発明では、樹脂(A1)及び樹脂(A
2)を同一粒子内に含有する樹脂粒子(AL)、また転写
層(T2)を電着塗布法で形成する場合には、樹脂(A2)
を含有する樹脂粒子(A2L)が、各々比誘電率3.5
以下の電気絶縁性液体中に分散させて供給されることに
より、剥離層用転写層の膜厚を均一な厚みで薄膜で容易
に調整することができる。更に、粒子(AL)及び樹脂
粒子(A2L)が、各々電子写真感光体と対向して設置
された対向電極の間に供給され、外部電源より印加され
た電位勾配に従って電気泳動して電子写真感光体に付着
又は電着させて成膜されることにより、より均一な薄膜
の調整が容易になる。
【0018】他方、本発明では、少なくとも樹脂粒子
(AL)の電着塗布法による成膜で転写層が形成される
時に、用いる電子写真感光体が転写層と隣接することと
なる表面を、JIS Z0237-1980「粘着テープ・粘着シート
試験方法」における粘着力試験による値が、100gram
・force(g・f)以下、好ましくは80g・f以下更に
好ましくは50g・f以下とすることが好ましい。これ
により、光導電層と転写層との剥離性をより良好に発現
することができ、被転写材への転写時に、転写層を感光
体から容易に剥離させることができる。
【0019】上記JIS Z0237-1980「粘着テープ・粘着シ
ート試験方法」による粘着力の測定は、8.3.1 の180
度引きはがし法に従い、以下の修正を加えて行う。 「試験板」として転写層が形成されるべき電子写真感
光体を用いる。 「試験片」として6mm巾のJIS C 2338-1984に従って
製造された粘着テープを用いる。 定速緊張形引張試験機を用い、120mm/分の速さで
引きはがす。即ち、上記試験板に、上記試験片の粘着面
を下側にして、試験片の上からローラを約300mm/分
の速さで一往復させて圧着する。圧着後20〜40分の
間に、定速緊張形引張試験機を用い、約25mmはがした
後、120mm/分の速さで引きはがす。20mmはがれる
ごとに力を読み取り、計4回読み取る。試験は3枚の試
験片について行い、3枚の試験片から測定した12個の
平均値を求め、これを10mm巾当たりに比例換算する。
【0020】更に、本発明では、電子写真感光体として
予め表面剥離性を有するものを用いてもよいが、トナー
画像を形成する前に、感光体の表面にフッ素原子及び/
又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物(S)を吸
着又は付着することにより感光体表面に剥離性を付与し
てもよい。これにより電子写真感光体表面の剥離性を勘
案することなく、通常の電子写真感光体を用いることが
できる。
【0021】更には、予め表面剥離性の電子写真感光体
を本システムにおいて繰り返し使用した場合に、感光体
表面の剥離性が低下してしまう時には、化合物(S)を
吸着又は付着する方法を併用してもよい。これにより、
感光体の易剥離性を簡便に保持することができる。この
電子写真感光体への剥離性付与は、上記の転写装置内で
行うことが好ましく、電子写真感光体の表面に上記化合
物(S)を吸着又は付着する手段を、電子写真式製版印
刷用原版作成装置に適宜設定することができる。
【0022】以下本発明を更に詳述する。本発明に供せ
られる電子写真感光体について説明する。電子写真感光
体としては、従来公知のいずれのものでも用いることが
できる。重要なことは、感光体上に形成されたトナー画
像を後に転写層とともに後に容易に剥離できるように、
感光体の表面が、トナー現像プロセスの前に剥離性を有
することである。特に本発明では、トナー現像プロセス
前の感光体の表面のJIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘
着シート試験方法」による粘着力が、100g・f以
下、更に50g・f以下、特に30g・f以下であるこ
とが好ましい。剥離性表面を有する感光体を得るには、
具体的には、予め剥離性表面を有する感光体を用いる方
法、及び通常汎用される電子写真感光体の表面に前記の
離型性化合物(S)を吸着もしくは付着させることで感
光体表面に剥離性を付与する方法が挙げられる。
【0023】前者の方法に用いることができる、剥離性
表面を有する感光体の例としては、アモルファスシリコ
ンの表面を離型性に改質した光導電体を用いたものが挙
げられる。電子写真感光体において、アモルファスシリ
コンを主として含有する電子写真感光体の表面を離型性
に改質する方法としては、フッ素原子及び/又はケイ素
原子を含有するカップリング剤(シランカップリング
剤、チタンカップリング剤等)等で該アモルファスシリ
コン層表面を処理する方法があり、特開昭55−898
44行、特開平4−231318号、、特開昭60−1
70860号、同59−102244号、同60−17
750号等に記載されている。また、他の方法として
は、後述する離型性化合物(S)、特にフッ素原子及び
/又はケイ素原子を置換基として含有する成分をブロッ
クで含有する離型剤(例えばポリエーテル変性ポリジア
ルキルシリコン類、カルボン酸、アミノ基、カルビノー
ル等変性のポリジアルキルシリコン類等)を吸着固定す
る方法が挙げられる。また、離型性表面を有する感光体
の他の例としては、電子写真感光体がその表面近傍にに
ケイ素原子及びフッ素原子の少なくとも一方を含有する
(ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有)重合体成分を
含有する重合体を含むものが挙げられる。
【0024】このような感光体は、その表面が良好な剥
離性を有するため、トナー画像と転写層とが一括して一
次レセプター上に容易且つ完全に転写されるものであ
る。ここで、電子写真感光体の表面近傍とは、感光体の
最上層を意味し、光導電層の上に設けられるコーバーコ
ート層、及び最上の光導電層を包含する。即ち、光導電
層を有する感光体の最上層としてオーバーコート層を設
け、該オーバーコート層に上記重合体を含有させ剥離性
を付与したもの、又は光導電層(光導電体単一層及び光
導電体積層のいずれでもよい)の最上層に上記重合体を
含有させ、その表面を剥離性が発現する状態に改質させ
たもの等が挙げられる。
【0025】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与する方法は、該層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体を用いれば
よい。あるいは、以下に詳細に述べる如きケイ素原子及
び/又はフッ素原子含有の重合体成分から成る重合体セ
グメントを含むブロック共重合体(表面偏在化型共重合
体)を他の結着樹脂とともに少量用いることも好まし
い。また、かかるケイ素原子及び/又はフッ素原子含有
の樹脂を粒子の形で併用することもできる。なかでも、
オ−バ−コ−ト層を設ける場合には、光導電体層とオー
バーコート層の密着性を充分に保持できることから、表
面偏在化型共重合体を併用する方法が好ましい。上記表
面偏在化型共重合体は、通常オーバーコート層全組成物
100重量部中0.1〜20重量部の割合で、他の結着
樹脂と併用することができる。
【0026】そのようなオーバーコート層としては、具
体的には、乾式トナーを用いたPPC感光体において、
感光体の繰り返し使用に対する感光体表面の耐久性を保
持する1つの手段として公知となっている、感光体上に
表面層を設けて保護するために用いられる保護層が挙げ
られる。例えばシリコーン系ブロック共重合体を利用し
た保護層に関する技術として、特開昭61−95358
号、同55−83049号、同62−87971号、同
61−189559号、同62−75461号、同62
−75461号、同61−139556号、同62−1
39557号、同62−208055号等の各公報に記
載のものが挙げられる。また、フッ素系ブロック共重合
体を利用した保護層として、特開昭61−116362
号、同61−117563号、同61−270768
号、同62−14657号等の各公報に記載のものが挙
げられる。更には、フッ素原子含有重合体成分を含有す
る樹脂を粒子の形で併用する保護層として、特開昭63
−249152号及び同63−221355号の各公報
に記載のものが挙げられる。
【0027】また、最上層の光導電層の表面を剥離性が
発現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂と
を少なくとも用いた、いわゆる分散型の感光体を用いる
場合に有効に適用される。即ち、光導電層の最上層を構
成する層に、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重
合体成分を含有する重合体セグメントをブロックで含有
するブロック共重合体の樹脂、及びケイ素原子及び/又
はフッ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒子の少
なくともいずれか一方を共存させることにより、これら
の材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥離性表
面に改質することができる。この共重合体及び樹脂粒子
については特開平5−197169号に記載されている
ものを挙げることができる。
【0028】更に表面偏在化をより強固にするために、
オーバーコート層や光導電層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有の重合体セグメントと、
熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグ
メントとを少なくとも1種ずつブロックで結合して成る
ブロック共重合体を用いることができる。かかる熱及び
/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグメント
については、特開平5−197169号に記載されてい
るものを挙げることができる。あるいは、光及び/又は
熱硬化性樹脂を、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
樹脂とともに併用してもよい。
【0029】かかる方法により感光体表面を改質するの
に有効な本発明のケイ素原子及び/又はフッ素原子を含
有する重合体成分を含有する重合体は、樹脂{以下樹脂
(P)と称する}又は樹脂粒子{以下樹脂粒子(PL)
と称する}の形で構成される。
【0030】該重合体がランダム共重合体である場合に
は、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体
成分は、全重合体成分中60重量%以上であることが好
ましく、より好ましくは80重量%以上である。より好
ましくは、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する
重合体成分を50重量%以上含有する重合体セグメント
(α)とケイ素及び/又はフッ素原子含有重合体成分を
0〜20重量%含有する重合体セグメント(β)がブロ
ックで結合して成るブロック共重合体である。更に好ま
しくは、ブロック共重合体中の上記セグメント(β)中
に光及び/又は熱硬化性官能基を含有する重合体成分を
少なくとも1種含有するブロック共重合体である。これ
らのブロック共重合体において、セグメント(β)中に
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分
を全く含有しないものが好ましい。
【0031】重合体セグメント(α)及び(β)を含有
するブロック共重合体(表面偏在化型共重合体)とする
ことで、ランダム共重合体に比べ、表面の剥離性自身が
向上し、更には剥離性の維持が保持される。即ち、フッ
素原子及び/又はケイ素原子含有のブロック共重合体を
少量共存させて塗膜を形成すると、塗布後の乾燥工程終
了までの間に、これらは容易に膜の表面部に移行・濃縮
され、膜表面が剥離性を発現できる状態に改質される。
【0032】前述の様に、樹脂(P)において、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント
(α)がブロック化されている場合には、他方のフッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含んでい
ても少ない重合体セグメント(β)が膜形成の結着樹脂
との相溶性が良好なことから、これと充分な相互作用を
行ない、トナー画像又は転写層が形成される場合におい
ても、これらの樹脂はトナー画像や転写層への移行が抑
制もしくは解消されて、トナー画像及び転写層と電子写
真感光体との界面を明確に形成維持することができるる
(即ち、アンカー効果)。ブロック共重合体のセグメン
ト(β)中に硬化性基を含有する重合体を用いて、成膜
時に重合体間を架橋することで、更に感光体界面の剥離
性を明確に維持する効果が発揮される。
【0033】該重合体は、前記の如く、樹脂粒子(P
L)として用いられてもよい。好ましい樹脂粒子(P
L)は、非水溶媒中に分散される樹脂粒子である。かか
る樹脂粒子としては、フッ素原子及び/又はケイ素原子
含有の重合体成分を含有する、該非水溶媒に不溶な重合
体セグメント(α)と、フッ素原子及び/又はケイ素原
子含有の重合体成分を含有しても20%以下である、該
非水溶媒に可溶性の重合体セグメント(β)とを結合し
て成るものが好ましい。樹脂粒子(PL)の場合には、
不溶化している重合体セグメント(α)の作用により、
表面への移行・濃縮が行われ、更に、粒子に結合した非
水溶媒に可溶性の重合体セグメント(β)が、前記樹脂
の場合と同様に、結着樹脂と相互作用してアンカー効果
の作用を行なう。更には硬化性基を重合体中又は結着樹
脂中に含有することで、トナー画像への移行が解消され
る。
【0034】上記フッ素原子及び/又はケイ素原子を含
有する置換基を含む重合体成分は、該置換基が重合体の
高分子主鎖に組み込まれていても高分子の側鎖の置換基
として含有されていてもよい。フッ素原子を含有する置
換基としては、例えば、下記のl価又は2価の有機残基
等が挙げられる。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】ケイ素原子含有の置換基としては、例えば
下記の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0038】
【化3】
【0039】但し、R31、R32、R33、R34及びR
35は、各々同じでも異なってもよく、置換されていても
よい炭化水素基又は−OR36基(R36は置換されていて
いもよい炭化水素基を表わす)を表わす。R31〜R36
示す炭化水素基としては、具体的には炭素数1〜18の
置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−クロロエ
チル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリフルオ
ロエチル基、2−シアノエチル基、3,3,3−トリフ
ルオロプロピルエチル基、2−メトキシエチル基、3−
ブロモプロピル基、2−メトキシカルボニルエチル基、
2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプ
ロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアル
ケニル基(例えば2−メチル−1−プロペニル、2−ブ
テニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテ
ニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘ
キセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素
数7〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例え
ばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロ
ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換
されていてもよい脂環式基(例えばシクロヘキシル基、
2−シクロヘキシル基、2−シクロペンチルエチル基
等)又は炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族
基(例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリ
ル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチ
ルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル
基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシル
オキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチル
フェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシ
カルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル
基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0040】また、フッ素原子及び/又はケイ素原子含
有の有機残基は、組み合わされて構成されてもよく、そ
の場合には、直接結合してもよいし更には他の連結基を
介して組み合わされてもよい。連結する基として具体的
には二価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N
(d1)−、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO
−、−OCO−、−CONHCO−、−NHCONH
−、−CON(d1)−、−SO2N(d1)−等から選ば
れた結合基を介在させても良い、二価の脂肪族基もしく
は二価の芳香族基、又はこれらの二価の残基の組み合わ
せにより構成された有機残基を表わす。ここで、d1
前記R31と同一の内容を表わす。
【0041】二価の脂肪族基として、例えば下記で示さ
れる基が挙げられる。
【0042】
【化4】
【0043】ここで、e1及びe2は、互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−O
−、−S−又は−N(d2)−を表し、d2は炭素数1〜
4のアルキル基、−CH2Cl又は−CH2Brを表わ
す。
【0044】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
複素環基としては、例えばフラン環、チオフェン環、ピ
リジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、ピロ
ール環、テトラヒドロピラン環、1,3−オキサゾリン
環等が挙げられる。
【0045】次に、以上のようなフッ素原子及び/又は
ケイ素原子を含有した置換基を有する繰り返し単位の具
体例を以下に示す。しかし、本発明の範囲がこれらに限
定されるものではない。以下の(F−1)〜(F−32)
における各例において、Rfは、下記に示す(1)〜(11)の
いずれかの基を示し、bは水素原子又はメチル基を表わ
す。
【0046】
【化5】
【0047】但し、上記(1)〜(11)において、Rf ′は
上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは1〜18の整数
を示し、mは1〜18の整数を示し、pは1〜5の整数
を示す。
【0048】
【化6】
【0049】
【化7】
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】樹脂(P)及び樹脂粒子(PL)におい
て、いわゆる表面偏在化型共重合体である場合、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有の重合体成分を含有する
セグメント(α)において、該重合体成分は、セグメン
ト(α)全体の総量の内、少なくとも50重量%を含
み、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重
量%以上である。また、セグメント(β)においては、
フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分はセ
グメント(β)全体総量の内20重量%以下であり、好
ましくは0重量%である。セグメント(α)とセグメン
ト(β)の重量比は、1〜95対5〜99(重量比)
で、好ましくは、5〜90対10〜95(重量比)であ
る。樹脂(P)及び樹脂粒子(PL)ともに、この範囲
内において、光導電層最上層部表面への良好な濃縮効果
及びアンカー効果が得られる。
【0054】樹脂(P)の重量平均分子量は、好ましく
は5×103〜1×106、より好ましくは1×104
5×105である。樹脂(P)におけるセグメント
(α)部の重量平均分子量は、1×103以上である事
が好ましい。樹脂粒子(PL)は、その平均粒径が好ま
しくは0.001〜1μm、より好ましくは0.05〜
0.5μmである。
【0055】樹脂(P)における、いわゆる表面偏在化
型共重合体として好ましい態様を以下に説明する。樹脂
(P)では、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重
合体成分がブロックで構成されていればいずれの態様で
もよい。ここでブロックで構成するとは、フッ素原子及
び/又はケイ素原子を50重量%以上含有する重合体セ
グメント(α)を重合体中に有していることをいい、例
えば下記に示すようなA−B型ブロック、A−B−A型
ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型ブロッ
ク、スター型ブロック等が挙げられる。
【0056】
【化11】
【0057】これらの各種ブロック共重合体は、従来公
知の重合方法に従って合成することができる。例えば、
W. J. Burlant, A. S. Hoffman「Block and Graft poly
mers」(1986年、Reuhold)、R. J. Cevesa「Block and
Graft Copolymers」(1962年、Butterworths)、D. C.
Allport, W. H. James「Block Copolymers」(1972年、
Applied Sci)、A. Noshay, J. E. McGrath「Block Copo
lymers」(1977年、Academis Press.)、G. Huvterg, D.
J. Wilson, G. Riess, NATO ASIser. SerE. 1985, 14
9、V. Perces, Applied. Polymer Sci. 285, 95 (1985)
等の成書、総説に記載されている。
【0058】例えば、有機金属化合物(例えばアルキル
リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルカリ
金属アルコラート類、アルキルマグネシウムハライド
類、アルキルアルミニウムハライド類等)等を重合開始
剤とするイオン重合反応については、T. E. Hogeu-Esc
h、J. Smid「Recent Advances in Anion Polymerizatio
n」(1987年、Elsevier New York)、岡本佳男、高分
子、38、912 (1989)、澤本光男、高分子、38、1018(198
9)、成田正、高分子、37、252(1988)、B. C. Anderson
et al., Macromolecules 14, 1601(1981)、S. Aoshim
a、T. Higashimura、Macromolecules 22, 1009(1989)等
に具体的に記載されている。また、ヨウ化水素/ヨウ素
系等によるイオン重合反応については、T. Higashimura
at al., Macromol. Chem., Macromol. Symp.,1314,
457(1988)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集46、189
(1989)等に記載されている。
【0059】グループ移動重合反応については、D. Y.
Sogah et al., Macromolecules, 20, 1473(1987)、O.
W. Webster, D. Y. Sogah、高分子、36、808(1987)、M.
T. Reetg et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eugl. 25,
9108(1986)、特開昭63−97609号等に記載されて
いる。金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重合反応
については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Macromole
cules, 17, 2217(1984)、M. Kuroki, T. Aida, S. Inou
e, T. Ann. Chem. Soc.109, 4737(1987)、M. Kuroki et
al., Macromolecules, 21, 3115(1988)、M. Kuroki,
I. Inoue、有機合成化学、47、1017(1989)等に記載され
ている。
【0060】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayashi, T. Saegusa「Ring Opening Polym
erization」(1984年、Applied Scence Publishers Lt
d.)、W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eng
l. 5, 875(1966)、S. Kobayashi et al., Poly. Bull.1
3, 447(1985)、Y. Chujo et al., Macromolecules,22,1
074(1989)等に記載されている。更には、ジチオカーバ
メイト化合物又はザンテート化合物等を開始剤として用
いる光リビング重合反応については、大津隆行、高分
子、37、248(1988)、檜森俊一、大津隆一、Polym. Rep.
Jap.37、3508(1988)、特開昭64−111号、特開昭
64−26619号、M. Niwa, Macromolecules,189, 2
187(1988)等に記載されている。
【0061】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集33
931(1976)、上田明、大阪市立工業研究所報告、84(198
9)、O. Nuyken et al., Macromol. Chem., Rapid. Comm
un. 9, 671(1988)、森屋泰夫等「強化プラスチック」2
9、907(19 )、小田良平「科学と工業」61、43(1987)等
に記載されている。
【0062】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に井手文雄「グ
ラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行会)、高
分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981年、東京化学同
人)等に記載されている。例えば、高分子鎖を、重合開
始剤、化学的活線(放射線、電子線等)、機械的応用化
でのメカノケミカル反応等で、グラフト化する方法、高
分子鎖と高分子鎖の官能基を利用して、化学結合(いわ
ゆる高分子間反応)しグラフト化する方法、及びマクロ
モノマーを用いて重合反応し、グラフト化する方法等が
知られている。
【0063】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T. Shota et al., J. Appl. Polym. S
ci. 13, 2447(1969)、W. H. Buck, Rubber Chemistry a
nd Technology,50, 109(1976)、遠藤剛、植沢勉、日本
接着協会誌24、323(1988)、遠藤剛、ibid. 25, 409(198
9) 等に記載されている。また、マクロモノマーを用い
て重合反応しグラフト化する方法として、具体的には、
P. Dreyfuss & R. P. Quirk, Encycl. Polym. Sci. En
g., 7, 551(1987)、P. F. Rempp, E. Franta, Adv. Pol
ym. Sci., 58, 1(1984)、V. Percec, Appl. Poly. Sc
i.,285, 95(1984)、R. Asami, M. Takari, Macromol. C
hem. Suppl.,12, 163(1985)、P. Rempp et al., Macrom
ol. Chem. Suppl.,8, 3(1985)、川上雄資、化学工業、3
8、56(1987)、山下雄也、高分子、31、988(1982)、小林
四郎、高分子、30、625(1981)、東村敏延、日本接着協
会誌、18、536(1982)、伊藤浩一、高分子加工、35、262
(1986)、東貴四郎、津田隆、機能材料、1987、No.10,
5、山下雄也編著「マクロモノマーの化学と工業」(1989
年、アイ・ピーシー(株))、遠藤剛編著「新しい機能性
高分子の分子設計」第4章(1991年、C.M.C.(株))、Y.
Yamashita et al., Polym. Bull. 5, 361(1981)等に記
載されている。
【0064】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えば M. T. Reetz, Angew. Chem.Int. Ed. Engl., 2
7, 1373(1988)、M. Sgwarc「Carbanions, Living Polym
ers and Electron Transfer Prodesses」(1968年、Wile
y. New York)、B. Gordon etal., Polym. Bull.11, 349
(1984)、R. B. Bates et al., J. Org. Chem. 44, 3800
(1979)、Y. Sogah, A. C. S. Polym. Rapr. 1988, No.
2, 3、J. W. Mays, Polym. Bull.23, 247(1990)、I. M.
Khan et al., Macromolecules,21, 2684(1988)、A. Mo
rikawa, Macromolecules,24, 3469(1991)、上田明、永
井透、高分子39、202(1990)、T. Otsu, Polym. Bull. 1
1, 135(1984) 等に記載されている。しかしながら、上
記ブロック共重合体の合成法はこれらの方法に限定され
るものではない。
【0065】次に樹脂粒子(PL)についての好ましい
態様について説明する。前記の如く、樹脂粒子(PL)
は、好ましくは、非水溶媒に不溶な、フッ素原子及び/
又はケイ素原子含有の重合体セグメント(α)と、該溶
媒に可溶性の、フッ素原子及び/又はケイ素原子を殆ど
含有しない重合体セグメント(β)とから成る。更に
は、該樹脂粒子(PL)の不溶性部分を構成する重合体
セグメント(α)部は、架橋構造を形成していてもよ
い。樹脂粒子(PL)を製造する好ましい方法として
は、後に非水系分散樹脂粒子の製造に関して述べる非水
系分散重合方法が挙げられる。
【0066】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独で又は2種以上を混合して用
いることができる。この有機溶媒の具体例は、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、フッ化ア
ルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチ
ルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボ
ン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の
炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、
メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロ
パン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が
挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に限定される
ものではない。
【0067】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。具体的に
は、セグメント(α)を構成する重合体成分に相当する
単量体(a)、セグメント(β)を構成する重合体成分
に相当する単量体(b)とを、単量体(a)は溶解する
が重合すると不溶となる非水溶媒を用いて、過酸化物
(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等)、ア
ゾビス化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスイソバレロニトリル等)、有機金属化合物(例え
ば、ブチルリチウム等)等の重合開始剤の存在下に加熱
重合させればよい。又は、上記単量体(a)、セグメン
ト(β)から成る重合体(Pβ)とを、上記と同様にし
て重合させればよい。
【0068】更には、樹脂粒子(PL)の不溶化した重
合体粒子の内部が架橋構造を有していてもよい。これら
の架橋構造を形成させるには、従来公知の方法のいずれ
をも用いることができる。即ち、重合体セグメント
(α)を含有する重合体を種々の架橋剤又は硬化剤によ
って架橋する方法、重合体セグメント(α)に相当す
る単量体(a)を少なくとも含有させて重合反応を行う
際に、重合性官能基を2個以上含有する多官能性単量体
又は多官能性オリゴマーを共存させることにより、分子
間に網目構造を形成する方法、及び重合体セグメント
(α)と反応性基を含有する成分を含む重合体類とを重
合反応あるいは高分子反応によって架橋させる方法等に
よって行うことができる。
【0069】上記の方法の架橋剤としては、通常架橋
剤として用いられる化合物を挙げることができる。具体
的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」
大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子データハン
ドブック、基礎編」培風館(1986年)等に記載されてい
る化合物を用いることができる。例えば、有機シラン系
化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシラン
カップリング剤等)、ポリイソシアナート系化合物(例
えば、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタン
ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナ
ート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキ
サメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナ
ート、高分子ポリイソシアナート等)、ポリオール系化
合物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、
1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン
系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシ
プロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、
変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップリング
系化合物(例えばテトラブトキシチタネート、テトラク
ロロポキシチタネート、イソプロピルトリステアロイル
チタネート等)、アルミニウムカップリング系化合物
(例えばアルミニウムブチレート、アルミニウムアセチ
ルアセテート、アルミニウムオキシドオクテート、アル
ミニウムトリス(アセチルアセテート)等)、ポリエポ
キシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘編
著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編
著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記
載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一
郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新
聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メ
タ)クリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武
夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大
森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985
年刊)等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0070】また、上記の方法で共存させる重合性官
能基を2個以上含有する多官能性単量体〔多官能性単量
体(d)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの重
合性官能基としては、具体的には、CH2=CHCH
2−、CH2=CHCOO−、CH2=CH−、CH2=C
(CH3)−COO−、CH(CH3)=CHCOO−、CH
2=CHCONH−、CH2=C(CH3)−CONH−、
CH(CH3)=CHCONH−、CH2=CHOCO−、
CH2=C(CH3)−OCO−、CH2=CHCH2OCO
−、CH2=CHNHCO−、CH2=CHCH2NHC
O−、CH2=CHSO2−、CH2=CHCO−、CH2
=CHO−、CH2=CHS−等を挙げることができ
る。これらの重合性官能基の同一のものあるいは異なっ
たものを2個以上有する単量体あるいはオリゴマーであ
ればよい。
【0071】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0072】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体(例えばアリ
ルオキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボ
ニル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリ
ルアミノカルボニルプロピオン酸等)等のビニル基を含
有したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメタク
リル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、
メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸ア
リル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロ
ピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、
メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、
アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボ
ニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N
−アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミ
ド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等)又は
アミノアルコール類(例えばアミノエタノール、1−ア
ミノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノ
ヘキサノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を
含有するカルボン酸との縮合体などが挙げられる。本発
明に用いられる2個以上の重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーは、単量体(a)及び単量体(a)
と共存する他の単量体との総量に対して10モル%以
下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、樹脂を形成
する。
【0073】更には、上記の方法の高分子間の反応性
基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋架け
を行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と同様
に行うことができる。
【0074】分散重合において、粒子の粒径が揃った単
分散性の粒子が得られること及び0.5μm以下の微小
粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法とし
ては多官能性単量体を用いるの方法が好ましい。即
ち、前記した単量体(a)、単量体(b)及び/又は重
合体(Pβ)に、更に多官能性単量体(d)を共存させ
て重合造粒反応を行なうことで合成することができる。
更に、上記したセグメント(β)で構成される重合体
(Pβ)を用いる場合は、重合体(Pβ)の高分子主鎖
中の側鎖あるいは主鎖の片末端に、単量体(a)と共重
合可能な重合性二重結合基を有して成る重合体(P
β′)であることが好ましい。
【0075】重合性二重結合基としては、上記の様に単
量体(a)と共重合を有すればいずれでもよいが、具体
的な例としては、CH2=C(p)COO−、C(C
3)H=CHCOO−、CH2=C(CH2COOH)C
OO−、CH2=C(p)CONH−、CH2=C(p)
CONHCOO−、CH2=C(p)CONHCONH
−、C(CH3)H=CHCONH−、CH2=CHCO
−、CH2=CH(CH2)nOCO−(nは0又は1〜3
の整数)、CH2=CHO−、CH2=CHC64−等が
挙げられる(ここでpは−H又は−CH3を表わす)。
【0076】これらの重合性基二重結合基は、高分子鎖
に直接結合してもよいし、他の二価の有機残基を介して
結合してもよい。これら重合体の具体的態様について
は、例えば特開昭61−43757号、特開平1−25
7969号、同2−74956号、同1−282566
号、同2−173667号、同3−15862号、同4
−70669号等の各公報に記載されている。重合性化
合物の総量は非水溶媒100重量部に対して5〜8重量
部程度であり、好ましくは10〜50重量部である。重
合開始剤の量は、重合性化合物の総量の0.1〜5重量
%である。また、重合温度は30〜180℃程度であ
り、好ましくは40〜120℃である。反応時間は1〜
15時間が好ましい。
【0077】次に、光及び/又は熱硬化性基を、上記結
着樹脂(P)中に重合体成分として含有する場合、又は
該硬化性基含有樹脂を樹脂(P)と併用する場合を説明
する。結着樹脂(P)中に含有され得る、光及び/又は
熱硬化性基を少なくとも1種含有して成る重合体成分と
しては、前記の如き公知文献に記載のものを挙げること
ができ、より具体的には、例えば前記重合性官能基とし
て記載したものと同様のものが挙げられる。
【0078】これらの重合体において含有される、光及
び/又は硬化性基を少なくとも1種含有する重合体成分
は、ブロック共重合体(P)の重合体セグメント(β)
100重量部中1〜95重量部であり、好ましくは10
〜70重量部である。更には、共重合体(P)全体の重
合体成分の全量100重量部において5〜40重量部含
有していることが好ましい。光及び/又は硬化性基含有
重合体成分は1重量部以上含有されれば、光導電層の成
膜後の硬化が充分に進行し、トナー画像の剥離性に有効
に作用する。また、95重量部以下において、複写画像
の原稿再現性の低下や非画像部の地カブリの発生等を生
じることなく、光導電層の結着樹脂として良好な電子写
真特性が得られる。これらの光及び/又は熱硬化性基含
有のブロック共重合体(P)は全結着樹脂100重量部
中40重量%以下で使用する事が好ましい。この範囲内
で良好な電子写真特性が得られる。
【0079】また、上記のフッ素原子及び/又はケイ素
原子含有樹脂とともに光及び/熱硬化性樹脂(D)を併
用してもよい。光及び/又は熱硬化性樹脂(D)として
は、従来公知の硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、
ブロック共重合体(P)で説明した如き硬化性基を含有
する樹脂がその例として挙げられる。
【0080】これら従来公知の電子写真感光層用の結着
樹脂類は、例えば、柴田隆治、石渡次郎,高分子、第17
巻、第278頁(1968年)、宮本晴視、武井秀彦、イメー
ジング、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料用バインダ
ーの実際技術」第10章、C.M.C.出版(1985年)、電子写
真学会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」
予稿集(1985年)、小門宏編「最近の光導電材料と感光
体の開発・実用化」日本科学情報(株)(1986年)、電子
写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」第5章、コロ
ナ社(株)(1988年)、D. Tatt, S. C. Heidecker,Tapp
i,49(No.10), 439(1966)、E. S. Baltazzi,R. G. Blan
clotte et al,Phot.Sci. Eng. 16(No.5), 354(197
2)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写
真学会誌18(No.2),22(1980)等の成書・総説に記載の化
合物等が挙げられる。
【0081】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0082】更に具体的には、遠藤剛「熱硬化性高分子
の精密化」(C.M.C.(株)、1986年刊)、原崎勇次「最新
バインダー技術便覧」第II−1章(総合技術センター、
1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新
用途開発」(中部経営開発センター出版部、1985年
刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシス
テム、1985年刊)等の総説に引例された従来公知の樹脂
が用いられる。
【0083】以上の如く、予め剥離性を有する感光体と
するためには、オーバーコート層又は光導電層は、結着
樹脂(B)及び表面改質用の結着樹脂(P)を少なくと
も各々1種以上含有し、好ましくは、膜の硬化を向上さ
せるために光及び/又は熱硬化性樹脂(D)及び/又は
架橋剤を少量共存させる。その使用量は、結着樹脂
(B)及び結着樹脂(P)の総量に対して0.01〜2
0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量
%である。この範囲内において、電子写真特性に悪影響
を及ぼすことなく、膜の硬膜化向上の効果が発揮され
る。
【0084】また、架橋剤を併用することが好ましく、
通常架橋剤として用いられる化合物を使用することがで
きる。具体的には、山下普三、金子東助編「架橋剤ハン
ドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子
データハンドブック基礎編」培風館(1986年)等に記載
されている化合物を用いることができる。具体的には前
記架橋剤と同様のものが挙げられ、更に、多官能重合性
基含有の単量体(例えばビニルメタクリレート、アクリ
ルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジビニル
コハク酸エステル、ジビニルアジピン酸エステル、ジア
クリルコハク酸エステル、2−メチルビニルメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ
ビニルベンゼン、ペンタエリスリトールポリアクリレー
ト等)等が挙げられる。
【0085】上記光導電層の最上層(転写層と隣接する
層)は、成膜後に硬化されることが好ましい。供せられ
る結着樹脂(B)、結着樹脂(P)、硬化性樹脂(D)
及び架橋剤は、高分子間が化学結合しやすい官能基同志
の組合せで用いることが好ましい。例えば官能基の組合
せによる高分子反応として、通常よく知られた方法が挙
げられ、例えば下表に示す様なA群の官能基とB群の官
能基の組合せが例示される。但しこれに限定されるもの
ではない。
【0086】
【表1】
【0087】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、結着樹脂に必要に応じて反応促進剤を
添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成
する反応様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェ
ノール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモ
フェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有
機金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、
アセチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバ
ルト塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカル
バミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、
チノウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチノウラ
ムジスルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル
酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無
水物、3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフ
ェノンジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げら
れる。架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始
剤(過酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる。
【0088】結着樹脂は、感光層形成物を塗布した後、
光及び/又は熱硬化されることが好ましい。熱硬化を行
なうためには、例えば、乾燥条件を従来の感光体作製時
の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥条件を高温度
及び/又は長時間とするか、あるいは塗布溶剤の乾燥
後、更に加熱処理することが好ましい。例えば60℃〜
150℃で5〜120分間処理する。上述の反応促進剤
を併用すると、より穏やかな条件で処理することができ
る。
【0089】樹脂中の特定の官能基を光照射で硬化する
方法としては、化学的活性光線で光照射する工程を入れ
る様にすればよい。化学的活性光線としては、可視光
線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線など
いずれでもよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは
波長310nmから波長500nmの範囲の光線である。一
般には低圧、高圧あるいは超高圧の水銀ランプ、ハロゲ
ンランプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜5
0cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分に行うこ
とができる。
【0090】次に、剥離性表面を有する感光体を得る後
者の方法である、トナー現像の前に、通常の電子写真感
光体の表面上に離型性化合物(S)を吸着又は付着させ
て、感光体表面を剥離性にする方法について説明する。
【0091】離型性化合物(S)としては、フッ素原子
及び/又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物が挙
げられ、電子写真感光体表面の剥離性を改善するもので
あれば、その構造は特に限定されるものではなく、低分
子化合物、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。オ
リゴマー又はポリマーの場合、フッ素原子及び/又はケ
イ素原子を含有する置換基は、重合体の主鎖に組み込ま
れていてもよく、あるいは重合体の側鎖の置換基として
存在していてもよい。好ましくは、オリゴマー又はポリ
マーにおいて、該置換基を含有する繰り返し単位はブロ
ックで含有されたものが挙げられ、これらは電子写真感
光体表面への吸着性及び剥離性を特に有効に発現する。
【0092】これらのフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基は、具体的には、前記の結着樹脂
(P)に関連して述べたものと同様である。本発明で用
いられるフッ素原子及び/又はケイ素原子含有の化合物
(S)としては、具体的には、吉田時行等編「新版・界
面活性剤ハンドブック」工学図書(株)刊(1987年)、
刈米孝夫監修「最新・界面活性剤応用技術」(株)シー
エムシー(1990年)、伊藤邦雄編「シリコーン・ハンド
ブック」日刊工業新聞社刊(1990年)、刈米孝夫監修
「特殊機能界面活性剤」(株)C.M.C.(1986年)、A. M.
Schwartz et al「Surface Active Agents and Detergen
ts vol.II 」等に記載のフッ素系及び/又はケイ素系有
機化合物が挙げられる。更には、石川延男「フッ素化合
物の合成と機能」(株)C.M.C.(1987年)、平野二郎等
編「含フッ素有機化合物−その合成と応用−」(株)技
術情報協会(1991年)、石川満夫監修「有機ケイ素戦略
資料」第3章(株)サイエンスフォーラム(1991年)等
の文献に記載の合成方法を利用して、前記物性を満たす
本発明の化合物(S)を合成することができる。
【0093】また、オリゴマー又はポリマーとしてフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む重
合体成分の具体例としては、前記結着樹脂(P)に記載
された重合体成分(F)を例として挙げることができ
る。
【0094】化合物(S)がいわゆるブロック共重合体
である場合には、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分がブロックで構成されていればよい。ここ
でブロックで構成するとは、フッ素原子及び/又はケイ
素原子を有する成分を70重量%以上含有する重合体セ
グメントを重合体中に有していることをいい、例えば前
記樹脂(P)で述べたと同様なA−B型ブロック、A−
B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型
ブロックあるいはスター型ブロック等が挙げられる。こ
れらは、前記と同様の方法で合成することができる。
【0095】以上の様な化合物(S)を電子写真感光体
表面に吸着もしくは付着させるには、従来公知のいずれ
の方法を適用してよく、本発明に用いられる装置内に適
宜組み込める態様にして用いることが好ましい。例え
ば、原崎勇次「コーティング工学」(株)朝倉書店(19
71年刊)、原崎勇次「コーティング方式」槇書店(1979
年刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」(株)高分
子刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクターコータ
ー、ブレードコーター、ナイフコーター、スクイズコー
ター、含浸コーター、リバースロールコーター、トラン
ファーロールコーター、グラビアコーター、キスロール
コーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレ
ンダーコーター等の各方式が挙げられる。
【0096】また、化合物(S)を含浸させた布、紙、
フェルト等を感光体に密接させる方法、化合物(S)を
含浸させた硬化性樹脂を感光体に圧接させる方法、化合
物(S)を溶解した非水溶媒で感光体を濡らした後、該
溶媒を乾燥させる方法、化合物(S)を分散させた非水
溶媒を後述の湿式電着法と同様にして電気泳動させて感
光体に付着させる方法等も挙げられる。更には、インキ
ジェット方式により化合物(S)の非水溶液を感光体表
面に一様に濡らした後、乾燥させることにより吸着又は
付着させることができる。インキジェット方式による方
法は、例えば大野信編集「ノンインパクトプリンティン
グ」(株)C.M.C.(1986年刊)記載の原理及び手段によ
って達成される。例えば連続噴射型のSweet方式、Hertz
方式、間欠噴射型のWinston方式、インクオンデマンド
型のパルスジェット方式、バブルジェット方式、インキ
ミスト型のミスト方式などが挙げられる。
【0097】いずれもインキの代わりに化合物(S)を
直接あるいは溶媒に希釈して、インキタンク及び/又は
インキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常イ
ンキの粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/
cmで、必要により界面活性剤等を加えても良く、又イン
キを加熱しても良い。従来のインキジェットプリンター
は、文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を3
0〜100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同
程度となっているが、本発明においてはこれよりも大き
くとも良い。この場合にはインキの吐出量が多くなるの
で、塗布にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル
化することも塗布時間短縮のために極めて有効である。
【0098】一方、化合物(S)としてシリコーンゴム
を用いることもできる。好ましくは金属芯ローラーに巻
いてシリコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表
面に押し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/cm
2、接触時間は1秒〜30分間で良い。又この時感光体
及び/又はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加
熱されていても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低
分子量成分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転
移するものと思われる。又シリコーンゴムはシリコーン
オイルで膨潤されたものでも良い。シリコーンゴムは更
にスポンジ状であっても、そのスポンジローラーに更に
シリコーンオイル、シリコーン界面活性剤溶液等を含浸
させてあっても良い。
【0099】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物(S)の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物(S)の流動性
を調整することもできる。本発明においては、化合物
(S)が電子写真感光体上に吸着又は付着して表面に剥
離性を付与し、好ましくは該表面の粘着力が100g・
f以下となればよく、本発明の製版印刷版作成工程にお
いて、常にこの工程を繰り返す必要はない。用いる感光
体及び化合物(S)の吸着もしくは付着による剥離性を
保持できる能力及びその手段の組合に従って、適宜行え
ばよい。
【0100】また、化合物(S)の該感光体表面への吸
着又は付着の量は特に規定されるものではなく、感光体
の電子写真特性への悪影響が実用上問題とならなければ
よい。通常塗膜膜厚で1μm以下で充分であり、本発明
の粘着力の発現は「Weakboundary Layer」(Bikerman "T
he Science of Adhesive Joints" Academic Press(1961
年刊) により定義)の状態で充分である。
【0101】本発明に供せられる電子写真感光体の構成
及び材料は、従来公知のいずれでも用いることができ、
限定されるものではない。例えば、R. M. Schaffert, "
Electrophotography" Focal Press London(1980)、S.
W. Ing, M. D. Tabak, W. E. Haas, "Electrophotograp
hy Fourth International Conference" SPSE(1983)、篠
原功、土田英俊、草川英昭編「記録材料と感光性樹脂」
(株)学会出版センター刊(1979年)、小門宏、化学と
工業、39(3), 161 (1986年)、総合技術資料集「最近の
光導電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報
(株)出版部(1986年)、電子写真学会編「電子写真技
術の基礎と応用」コロナ社(株)(1986年)、電子写真学
会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿
集(1985年)等の成書、総説に記載の各種感光体が挙げ
られる。即ち、光導電性化合物自身から成る単独層、又
は、光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導電層が
挙げられ、分散された光導電層は、単一層型でもよい
し、積層型でもよい。
【0102】また本発明において用いられる光導電性化
合物は無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよ
い。本発明の光導電性化合物として用いられる無機化合
物としては、例えばアモルファスシリコン、酸化亜鉛、
酸化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン、セレ
ン−テルル、無定形シリコン、硫化鉛等従来公知の無機
光導電性化合物が挙げられ、これらは、結着性樹脂とと
もに光導電層を形成してもよいし、また、蒸着又はスパ
ッタリング等により単独で光導電層を形成してもよい。
光導電性化合物として、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機
光導電性化合物を用いる場合は、無機光導電性化合物1
00重量部に対して、結着樹脂を10〜100重量部な
る割合、好ましくは15〜40重量部なる割合で使用す
る。
【0103】一方、有機化合物を用いた光導電層として
は、従来公知のいずれでもよく、具体的には、特公昭3
7−17162号、同62−51462号、特開昭52
−2437号、同54−19803号、同56−107
246号、同57−161863号各公報等に記載のよ
うな、有機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体
とする光導電層、特開昭56−146145号、同60
−17751号、同60−17752号、同60−17
760号、同60−254142号、同62−5426
6号各公報等に記載のような電荷発生剤、電荷輸送剤、
結合樹脂を主体とする光導電層、及び特開昭60−23
0147号、同60−230148号、同60−238
853号各公報等に記載のような電荷発生剤と電荷輸送
剤とをそれぞれ別の層に含有した二層構成の光導電層が
挙げられる。
【0104】本発明の電子写真感光体は上記の光導電層
のいずれの形態をとっていてもよい。本発明における有
機光導電性化合物としては、(a) 米国特許第3,11
2,197号明細書等に記載のトリアゾール誘導体、
(b) 米国特許第3,189,447号明細書等に記載の
オキサジアゾール誘導体、(c) 特公昭37−16096
号公報に記載のイミダゾール誘導体、(d) 米国特許第
3,615,402号、同3,820,989号、同
3,542,544号各明細書、特公昭45−555
号、同51−10983号各公報、特開昭51−932
24号、同55−108667号、同55−15695
3号、同56−36656号各公報等に記載のポリアリ
ールアルカン誘導体、(e) 米国特許第3,180,72
9号、同4,278,746号各明細書、特開昭55−
88064号、同55−88065号、同49−105
537号、同55−51086号、同56−80051
号、同56−88141号、同57−45545号、同
54−112637号、同55−74546号各公報等
に記載のピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、(f)
米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−
10105号、同46−3712号、同47−2833
6号各公報、特開昭54−83435号、同54−11
0836号、同54−119925号各公報等に記載の
フェニレンジアミン誘導体、
【0105】(g) 米国特許第3,567,450号、同
3,180,703号、同3,240,597号、同
3,658,520号、同4,232,103号、同
4,175,961号、同4,012,376号各明細
書、特公昭49−35702号公報、西独国特許(DA
S)第1,110,518号明細書、特公昭39−27
577号、特開昭55−144250号、同56−11
9132号、同56−22437号各公報等に記載され
ているアリールアミン誘導体、(h) 米国特許第3,52
6,501号明細書等に記載のアミノ置換カルコン誘導
体、(i) 米国特許第3,542,546号明細書等に記
載のN,N−ビカルバジル誘導体、(j) 米国特許第3,
257,203号明細書等に記載のオキサゾール誘導
体、(k) 特開昭56−46234号公報等に記載のスチ
リルアントラセン誘導体、(l) 特開昭54−11083
7公報等に記載のフルオレノン誘導体、(m) 米国特許第
3,717,462号明細書、特開昭54−59143
号公報(米国特許第4,150,987号明細書に対
応)、特開昭55−52063号、同55−52064
号、同55−46760号、同55−85495号、同
57−11350号、同57−148749号、同57
−104144号各公報等に記載されているヒドラゾン
誘導体、
【0106】(n) 米国特許第4,047,948号、同
4,047,949号、同4,265,990号、同
4,273,846号、同4,299,897号、同
4,306,008号各明細書等に記載のベンジジン誘
導体、(o) 特開昭58−190953号、同59−95
540号、同59−97148号、同59−19565
8号、同62−36674号各公報等に記載されている
スチルベン誘導体、(p) 特公昭34−10966号公報
記載のポリビニルカルバゾール及びその誘導体、(q) 特
公昭43−18674号、同43−19192号各公報
記載のポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポ
リ−2−ビニル−4−(4′−ジメチルアミノフェニ
ル)−5−フェニル−オキサゾール、ポリ−3−ビニル
−Nエチルカルバゾール等のビニル重合体、(r) 特公昭
43−19193号公報記載のポリアセナフチレン、ポ
リインデン、アセナフチレンとスチレンの共重合体等の
重合体、(s) 特公昭56−13940号公報等に記載の
ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、ブロムピレン−ホルム
アルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒ
ド樹脂等の縮合樹脂、(t) 特開昭56−90833号、
同56−161550号各公報に記載の各種のトリフェ
ニルメタンポリマー、等がある。なお本発明において、
有機光導電性化合物は、(a)〜(t)に挙げられた化合物に
限定されず、これまで公知の全ての有機光導電性化合物
を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は
場合により2種類以上併用することが可能である。
【0107】光導電層に含有される増感色素としては、
電子写真感光体に使用される従来公知の増感色素が使用
可能である。これらは、「電子写真」12、9(1973)、
「有機合成化学」24(11)、1010(1966)等に記載されてい
る。例えば、米国特許第3,141,770号、同4,
283,475号各明細書、特開昭48−25658号
公報、特開昭62−71965号公報等に記載のピリリ
ウム系染料、Applied Optics Supplement 50 (196
9)、特開昭50−39548号公報等に記載のトリアリ
ールメタン系染料、米国特許第3,597,196号明
細書等に記載のシアニン系染料、特開昭60−1630
47号、同59−164588号、同60−25251
7号各公報等に記載のスチリル系染料等が有利に使用さ
れる。
【0108】光導電層に含有される電荷発生剤として
は、電子写真感光体において従来公知の有機及び無機の
各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレン、セレ
ン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び以下(1)
〜(9)に示す有機顔料を使用することができる。
【0109】(1) 米国特許第4,436,800号、同
4,439,506号各明細書、特開昭47−3754
3号、同58−123541号、同58−192042
号、同58−219263号、同59−78356号、
同60−179746号、同61−148453号、同
61−238063号各公報、特公昭60−5941
号、同60−45664号各公報等に記載されたモノア
ゾ、ビスアゾ、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、(2) 米国
特許第3,397,086号、同4,666,802号
各明細書、特開昭51−90827号、同52−556
43号各公報に記載の無金属あるいは金属フタロシアニ
ン等のフタロシアニン顔料、(3) 米国特許第3,37
1,884号明細書、特開昭47−30330号公報等
に記載のペリレン系顔料、(4) 英国特許第2,237,
680号明細書、特開昭47−30331号公報等に記
載のインジゴ、チオインジゴ誘導体、(5) 英国特許第
2,237,679号明細書、特開昭47−30332
号公報等に記載のキナクリンドン系顔料、
【0110】(6) 英国特許第2,237,678号明細
書、特開昭59−184348号、同62−28738
号、同47−18544号各公報等に記載の多環キノン
系顔料、(7) 特開昭47−30331号、同47−18
543号各公報等に記載のビスベンズイミダゾール系顔
料、(8) 米国特許第4,396,610号、同4,64
4,082号各明細書等に記載のスクアリウム塩系顔
料、(9) 特開昭59−53850号、同61−2125
42号各公報等に記載のアズレニウム塩系顔料、等であ
る。これらは単独もしくは2種以上を併用して用いるこ
ともできる。
【0111】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は10〜100重量部である。また、有機光導電性化合
物は、単独であるいは2種以上混合して使用することが
できる。
【0112】本発明の感光体に用いることのできる結着
樹脂(B)は、従来公知の電子写真感光体に用いられる
樹脂のいずれでもよく、重量平均分子量は好ましくは5
×103〜1×106、より好ましくは2×104〜5×
105のものである。また、結着樹脂のガラス転移点は
好ましくは−40℃〜200℃、より好ましくは−10
℃〜140℃である。例えば、柴田隆治・石渡次郎、高
分子、第17巻、第278頁(1968年)宮本晴視、武井秀
彦、イメージング、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料
用バインダーの実際技術」第10章、C.H.C.出版(1985
年)電子写真学会編、「電子写真用有機感光体の現状シ
ンポジウム」予稿集(1985年)小門宏編、「最近の光導
電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報(株)(19
86年)電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」第
5章コロナ社(株)(1988年)、D. Tatt,S. C. Heidecke
r, Tappi,49(No.10), 439(1966)、E. S. Baltazzi, R.
G. Blanclotte et al,Phot. Sci. Eng. 16(No.5), 354
(1972)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電
子写真学会誌18(No.2), 22(1980)等の成書・総説に記載
の化合物等が挙げられる。
【0113】具体的には、オレフィン重合体及び非重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体の重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0114】特に、光導電体の結着樹脂(B)として、
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含
有する比較的低分子量(103〜104程度)の樹脂を併
用することで、静電特性を良化することができる。例え
ば、特開昭63−217354号に記載の酸性基含有重
合成分が重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、特開昭
64−70761号に記載の重合体主鎖の片末端に酸性
基を結合してなる樹脂、特開平2−67563号、同2
−236561号、同2−238458号、同2−23
6562号及び同2−247656号等に記載の、酸性
基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂
又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有す
る樹脂、特開平3−181948号に記載の酸性基をブ
ロックで含有するAB型ブロック共重合体が挙げられ
る。更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不充分な光
導電層の機械的強度を充分ならしめるために、中〜高分
子量の他の樹脂を併用することが好ましい。例えば、特
開平2−68561号に記載のポリマー間に架橋構造を
形成する熱硬化性樹脂、特開平2−68562号に記載
の一部が架橋構造を有する樹脂、特開平2−69759
号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結
合してなる樹脂等が挙げられる。
【0115】また、特定の中〜高分子量の樹脂を用いる
ことで、環境が著しく変動した場合でも安定した性能を
維持することができ、例えば、特開平3−29954
号、同3−77954号、同3−92861号及び同3
−53257号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の
グラフト部の末端に結合する樹脂又は酸性基をグラフト
型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、特開平3−2
06464号及び同3−223762号記載の酸性基含
有のAブロックと酸性基非含有のBブロックとからなる
ABブロック型共重合体をグラフト部に含有するグラフ
ト型共重合体を挙げることができる。これらの樹脂を用
いることで、光導電体を均一に分散させ、平滑性良好な
光導電層を形成することができ、また環境の変化や半導
体レーザー光を用いたスキャニング露光方式を用いた場
合においても、優れた静電特性を維持することができ
る。
【0116】光導電層の厚さは1〜100μm、特に1
0〜50μmが好適である。また、電荷発生層と電荷輸
送層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用
する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μm、特に
0.05〜2μmが好適である。
【0117】本発明では、可視光の露光又は半導体レー
ザー光の露光等光源の種類によって必要に応じて各種の
色素を分光増感剤として併用することができる。例え
ば、宮本晴視、武井秀彦;イメージング1973(No.8)第12
頁、C. J. Young等:RCA Review 15, 469頁(1954
年)、清田航平等:電気通信学会論文誌、J63-C(No.
2)、97頁(1980年)、原崎勇次等、工業化学雑誌、66
78及び188頁(1963年)、谷忠昭、日本写真学会誌35, 2
08頁(1972年)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジ
フェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサン
テン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例え
ば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタロシア
ニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0118】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号各
公報、米国特許第3,052,540号、同4,05
4,450号各明細書、特開昭57−16456号公報
等に記載のものが挙げられる。オキソノール色素、メロ
シアニン色素、シアニン色素、ロダシアニン色素等のポ
リメチン色素としては、F. M. Hamer「The Cyanine Dye
s and Related Compounds」等に記載の色素類が使用可
能であり、更に具体的には、米国特許第3,047,3
84号、同3,110,591号、同3,121,00
8号、同3,125,447号、同3,128,179
号、同3,132,942号、同3,622,317号
各明細書、英国特許第1,226,892号、同1,3
09,274号、同1,405,898号各明細書、特
公昭48−7814号、同55−18892号各公報等
に記載の色素が挙げられる。
【0119】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号各公報、米国特許第3,619,
154号、同4,175,956号各明細書、「Resear
ch Discloseure」1982年、216、第117〜118頁等に記載
のものが挙げられる。本発明の感光体は、種々の増感色
素を併用させてもその性能が増感色素により変動しにく
い点においても優れている。
【0120】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体用添加剤を併用することができ
る。これらの添加剤としては、電子写真感度を改良する
ための化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑
剤、界面活性剤等が含まれる。
【0121】化学増感剤としては、例えばハロゲン、ベ
ンゾキノン、クロラニル、フルオラニル、ブロマニル、
ジニトロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロロ
ベンゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロロフ
タル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、N−ヒドロキ
シマレインイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、2,
3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、ジニト
ロフルオレノン、トリニトロフルオレノン、テトラシア
ノエチレン、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸等の電
子吸引性化合物、小門宏等「最近の光導電材料と感光体
の開発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)
出版部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化
合物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジ
アミン化合物等が挙げられる。また、特開昭58−65
439号、同58−102239号、同58−1294
39号、同62−71965号各公報等に記載の化合物
等も挙げることができる。
【0122】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフ
ェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイ
ソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセ
バケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリコ
レート、ジメチルグリコールフタレート等を光導電層の
可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑剤は
光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させるこ
とができる。これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
01〜2.0重量部である。
【0123】光導電層は、従来公知の支持体上に設ける
ことができる。一般にいって電子写真感光層の支持体
は、導電性であることが好ましく、導電性支持体として
は、従来と全く同様、例えば金属、紙、プラスチックシ
ート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるなどして導電
処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と反対
面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等の目
的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支持体
の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の表面
層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート層を
設けたもの、Al等を蒸着した基体導電化プラスチック
を紙にラミネートしたもの等が使用できる。具体的に、
導電性基体あるいは導電化材料の例として、坂本幸男、
電子写真、14(No.1),2〜11頁(1975年刊)、森賀弘之
「入門特殊紙の化学」高分子刊行会(1975年刊)、M.
F. Hoover,J. Macromol. Sci. Chem. A-4(6)、1327〜1
417頁(1970年刊)等に記載されているもの等を用い
る。
【0124】次に、本発明の電子写真式製版印刷版を作
成する方法について説明する。まず、前述のように表面
が剥離性を有する電子写真感光体上に、通常の電子写真
プロセスによりトナー画像を形成する。即ち、帯電−露
光−現像−定着の各プロセスを従来公知の方法によって
行う。また、表面の剥離性が不十分な場合には、かかる
通常の電子写真プロセスに入る前に感光体表面に上記化
合物(S)を吸着又は付着させることにより、離型性
(剥離性)を有する感光体とすることができる。
【0125】現像プロセスに供される現像剤は、従来公
知の静電写真用現像剤を使用することができ、静電写真
用乾式乾式現像剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例
えば、前述の「電子写真技術の基礎と応用」497〜505
頁、中村孝一監修「トナー材料の開発・実用化」第3章
(日本科学情報社刊、1985年)、町田元「記録用材料と
感光性樹脂」107〜127頁(1983年刊)、(株)学会出版
センター、電子写真学会「イメージングNo.2〜5 電子写
真の現像・定着・帯電・転写」等に具体的な態様が示さ
れている。乾式現像剤としては、一成分磁性トナー、二
成分トナー、一成分非磁性トナーあるいはカプセルトナ
ー等が実用されており、これらのいずれも利用すること
ができる。
【0126】デジタル情報に基づいて露光するレーザー
光によるスキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる
現像方式の組合せが、高精細な画像を形成できることか
ら有効なプロセスである。その一例を以下に示す。ま
ず、感光材料をフラットベット上にレジスターピン方式
による位置決めを行った後背面よりエアーサクションに
より吸引して固定する。次いで、例えば「電子写真技術
の基礎と応用」(電子写真学会編、コロナ社、昭和63年
6月15日発行)212頁以降に記載の帯電デバイスにより、
感光材料を帯電する。コロトロン又はスコトロン方式が
一般的である。この時感光材料の帯電電位検出手段から
の情報に基づき、常に所定の範囲の表面電位となるよ
う、フィードバックをかけ、帯電条件をコントロールす
ることも好ましい。その後例えば同じく上記引用資料の
254頁以降に記載の方式を用いてレーザー光源による走
査露光を行う。
【0127】次いで液体現像剤を用いてトナー画像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料は、そ
こからはずして同上引用資料の275頁以降に示された直
接法の湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て、露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細
は同上引用資料の157頁以降に説明がある。現像後に余
剰の現像液を除くために、同資料283頁に示されるよう
なスクイーズを行った後乾燥する。スクイーズ前に現像
剤の担体液体のみでリンスをすることも好ましい。
【0128】また、具体的な湿式現像剤の材料の基本構
成としては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィ
ン系脂肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG(エ
ッソ社製)シェルゾール70、シェルゾール71(シェル社
製)、IP−ソルベント1620(出光石油化学製)等}を
分散媒として、着色剤である無機又は有機の顔料あるい
は染料とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の分散安定
性、定着性、荷電性を付与するための樹脂とを分散し、
且つ、荷電特性の強化あるいは画像特性の改良等のため
に所望により種々の添加剤を加えてなるものが挙げられ
る。
【0129】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等の染料
あるいは顔料等である。また、他の添加剤として、例え
ば原崎勇次「電子写真」第16巻、第2号、44頁に具体的
に記載されているものが用いられる。例えば、ジ−2−
エチルヘキシルスルホコハク酸金属塩、ナフテン酸金属
塩、高級脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金
属塩、アルキルリン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニル
ピロリドン)、半マレイン酸アミド成分を含む共重合
体、クマロンインデン樹脂、高級アルコール類、ポリエ
ーテル類、ポリシロキサン、ワックス類等が挙げられ
る。しかし、これらに限定されるものではない。
【0130】これら湿式現像剤の主要な各組成分の量に
ついては通常下記の通りである。樹脂(及び所望により
用いられる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、
担体液体1000重量部に対して0.5重量部〜50重
量部が好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が
不足し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生
じ易い。さらに、前記の分散安定用の担体液体可溶性樹
脂も必要に応じて使用され、担体液体1000重量部に
対して0.5重量部〜100重量部程度加えることがで
きる。上述の様な荷電調節剤は、担体液体1000重量
部に対して0.001重量部〜1.0重量部が好まし
い。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら
添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が
規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現
像剤の電気抵抗が109Ωcmより低くなると良質の連続
階調像が得られ難くなるので、各添加物の各添加量は、
この限度内でコントロールされている。
【0131】また、湿式現像剤の製造方法の具体例とし
ては、着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェ
ットミル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分
散して着色粒子を製造する方法が、例えば特公昭35−
5511号、特公昭35−13424号、特公昭50−
40017号、特公昭49−98634号、特公昭58
−129438号、特開昭61−180248号等に記
載されている。他の着色粒子の製造方法としては、例え
ば分散樹脂粒子を微小粒径で単分散性の良好なものとし
て得る非水系分散重合方法を用いて製造し、該樹脂粒子
を着色する方法が挙げられる。
【0132】着色の方法の1つとして、特開昭57−4
8738号等に記載されている如く、分散樹脂を好まし
い染料で染色する方法がある。また、他の方法として、
特開昭53−54029号に開示されている如く、分散
樹脂と染料を化学的に結合させる方法、又は、特公昭4
4−22955号等に記載されている如く、重合造粒法
で製造する際に、予め色素を含有した単量体を用い、色
素含有の共重合体とする方法等がある。
【0133】次に、感光材料上のトナー画像上に、剥離
可能な転写層を設ける。まず、本発明に用いられる転写
層について詳しく説明する。本発明の転写層は、上記の
如く、少なくとも樹脂粒子(AL)の電着塗布法による
成膜で第1転写層(T1)が形成される時に剥離性表面を
有する電子写真感光体から、印刷用の支持体となる被転
写材に、トナー画像とともに剥離転写して製版原版を提
供するとともに、該製版原版を印刷版とするために、化
学反応処理により溶出除去する機能を有する層である。
従って、本発明に供される転写層を構成する主成分の樹
脂は、熱可塑性樹脂であり、且つ、化学反応処理により
溶出除去される樹脂である。ここで、この熱可塑性樹脂
を一括して樹脂(A)と称する〔上記樹脂(A1)及び樹
脂(A2)が含まれる〕。
【0134】樹脂(A)は、光透過性のものであり、且
つ電子写真感光体の分光感度領域の波長光の少なくとも
一部に対して透過性を有するものであれば、特に限定さ
れるものではなく、着色されていてもよい。被転写材料
に転写後の画像がカラー画像である場合には、通常無色
で透明な転写層を用いる。
【0135】更に、本発明の第1転写層(T1)を形成す
るために用いられる樹脂粒子(AL)は、前記の如く、
ガラス転移点又は軟化点の2℃以上異なる二種の樹脂
(A1)及び樹脂(A2)を少なくとも同一粒子内に含有す
る。ガラス転移点及び軟化点が本発明の範囲に属する樹
脂(A1)及び樹脂(A2)とを任意に選択して、本発明に
供することができる。樹脂(A1)と樹脂(A2)とは、ガ
ラス転移点又は軟化点で2℃以上、好ましくは5℃以
上、更に好ましくは10℃以上の差のある樹脂の組合せ
である。
【0136】樹脂(A1)と樹脂(A2)は、樹脂(A1)/
樹脂(A2)が5〜90/95〜10(重量比)の存在割
合で樹脂粒子(AL)内に含有されることにより、転写
性が良好で、転写層の耐久性もよく、且つ優れた耐刷性
の印刷版を得ることができる。特に、被転写材に転写し
て版とした場合に、転写層を化学反応処理により除去す
る前の版を重ね合わせて放置した時に、転写層と重ね合
わされた上側の版の裏側と密着してハガレを生じてしま
い、結果としてトナー画像の欠落を生じるなどの問題が
生じない(置き版特性が良い)。より好ましい使用割合
は、樹脂(A1)/樹脂(A2)が10〜70/90〜30
である。
【0137】また、本発明の樹脂粒子(AL)中に含有
される少なくとも二種の樹脂(A1)及び樹脂(A2)は、
樹脂粒子(AL)内で任意に混在する状態又は樹脂(A
1)が主たる部分と樹脂(A2)が主たる部分とに分離した
層構造を形成する状態(即ち、コア−シェル構造の粒
子)のいずれでもよく、また、コア−シェル構造の場合
には、コアとなる部分が樹脂(A1)であっても樹脂(A
2)であっても、特に限定されるものではない。
【0138】本発明の転写層では、上記第1転写層(T
1)の上に更に設けられる第2転写層(T2)を形成する樹
脂は、ガラス転移点45℃以下、又は軟化点60℃以下
の樹脂(A2)を主として成ることを更なる特徴とする。
特に、第1転写層(T1)に供される樹脂粒子(AL)中
の樹脂(A1)よりガラス転移点又は軟化点で2℃以上、
好ましくは5℃以上低い樹脂(A2 )である。特に、樹
脂粒子(AL)中の樹脂(A1)がガラス転移点25℃以
上又は軟化点35℃以上であり、第2転写層(T2)に含
有される樹脂(A2)が樹脂(A1)よりガラス転移点又は
軟化点で10℃〜40℃の範囲で低い樹脂であることが
好ましい。第1転写層(T1)中の樹脂(A2)と第2転写
層(T2)の樹脂(A2)とは、同じでも異なってもよく、
前記熱物性値を満たす範囲のものであればよい。また、
第1転写層(T1)及び/又は第2転写層(T2)に供せら
れる樹脂(A1)及び樹脂(A2)の重量平均分子量は、そ
れぞれ好ましくは1×103〜5×105、より好ましく
は3×103〜8×104の範囲である。
【0139】また、本発明の転写層を形成する樹脂
(A)は、化学反応処理で除去可能な樹脂である。化学
反応処理で除去可能な樹脂(A)は、化学反応処理によ
り溶解及び/又は膨潤して除去される樹脂、並びに化学
反応処理により親水化されその結果溶解及び/又は膨潤
して除去される樹脂を包含する。
【0140】化学反応処理により除去される樹脂(A)
の代表例は、アルカリ性処理液で除去し得る樹脂であ
り、特に有用な樹脂は重合体成分に極性基を含有する樹
脂である。また、他の代表例としては、親水性基を保護
基で保護した形で含有しており、化学反応により親水性
基を発現し得る樹脂が挙げられる。官能基を親水性基に
変換し得る化学反応は、従来公知の加水分解反応、加水
素分解反応、加酸素分解反応、β−脱離反応、求核置換
反応等を利用した処理液による親水化反応、又は化学的
活性光線の照射を受けて分解反応することによる親水化
反応のいずれでもよい。
【0141】特に、転写層に用いられる上記熱可塑性樹
脂(A1)及び(A2)が、それぞれ下記の、特定の親水性
基を含有する重合体成分(a)及び化学反応処理で特定
の親水性基を生成する官能基を含有する重合体成分
(b)のうちの少なくともいずれか一方の重合体成分を
含有する共重合体であることが好ましい。重合体成分
(a):−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−S
2H基、−P(=O)(OH)R1{R1は−OH基、炭
化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表わす)基を
表わす}基、フェノール性OH基、酸環状無水物含有
基、−CONHCOR3(R3は炭化水素基を表わす)基
及び−CONHSO23基のうちの少なくとも1つの基
を含有する重合体成分。重合体成分(b):化学反応処
理で−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−SO2
H基、−P(=O)(OH)R1{R1は−OH基、炭化水
素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表わす)基を表わ
す}基及び−OH基のうちの少なくとも1つの基を生成
する官能基を少なくとも1種含有する重合体成分。
【0142】転写層用熱可塑性樹脂として、上記重合体
成分(a)を含有する樹脂を用いる場合には、化学反応
処理における転写層の溶出除去が簡易かつ迅速に達成さ
れる点で好ましく、上記重合体成分(b)を含有する樹
脂を用いる場合には、樹脂自身のガラス転移点低い温度
範囲内に調整することができる点で好ましい。
【0143】更に重合体成分(a)及び重合体成分
(b)を含有すれば、樹脂(A)の良好なガラス転移点
が満足され、転写プロセスでの加熱温度の緩和下での転
写性が著しく向上し、且つ印刷版としての非画像部の親
水性もトナー画像を劣化させることなく、迅速且つ完全
に除去することができる。その結果、被転写材に転写さ
れた複写画像の原画に対する再現性は極めて良好であ
り、また転写の条件も低温・低圧で容易に剥離転写され
ることから、転写装置の小型化が可能となる。また、印
刷版として用いても、転写層の残存による非画像部が全
く見られず、且つ細線・細文字、網点、階調部分等の高
精細なトナー画像部の欠落も殆ど生じなくなり、好まし
い。
【0144】ここで、−P(=O)(OH)R1は、下記
で表わされる基を示す。
【0145】
【化12】
【0146】R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2
(R2は炭化水素基を表わす)を表わし、R1及びR2
示す炭化水素基としては、具体的には、置換されていて
もよい炭素数1〜12の脂肪族基(例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、2−クロ
ロエチル基、2−メトキシエチル基、3−エトキシプロ
ピル基、アリル基、クロトニル基、ブテニル基、シクロ
ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニル
プロピル基、メチルベンジル基、クロロベンジル基、フ
ロロベンジル基、メトキシベンジル基等)又は置換され
ていてもよいアリール基(フェニル基、トリル基、エチ
ルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジクロロフ
ェニル基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、ア
セトアミドフェニル基、アセチルフェニル基、ブトキシ
フェニル基等)等である。
【0147】−CONHCOR3基及び−CONHSO2
3基におけるR3は炭化水素基を表わし、具体的には上
記R2と同様の内容を表わす。
【0148】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボ
ン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、グルタコン
酸無水物環、マレイン酸無水物環、シクロペンタン−
1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキサン−1,
2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2.2.
2〕オクタジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これら
の環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、
メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキ
ル基等が置換されていてもよい。芳香族ジカルボン酸無
水物の例としては、フタル酸無水物環、ナフタレン−ジ
カルボン酸無水物環、ピリジン−ジカルボン酸無水物
環,チオフェン−ジカルボン酸無水物環等が挙げられ、
これらの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン
原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の
アルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、ア
ルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、
エトキシカルボニル基等)等が置換されていてもよい。
【0149】樹脂(A)における重合成分(a)及び重
合成分(b)の含有量の態様は以下の通りが好ましい。
特定の極性基を含有する重合体成分(a)のみを樹脂
(A)に含有する場合には、樹脂(A)の全重合体成分
中好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5〜40
重量%である。また、化学反応処理で親水性基を生成す
る官能基を含有する重合体成分(b)のみを含有する場
合には、樹脂(A)の全重合体成分中好ましくは3〜1
00重量%、より好ましくは5〜70重量%である。更
には、重合体成分(a)及び重合体成分(b)を含有す
る場合には、樹脂(A)の全重合体成分中、重合体成分
(a)は好ましくは0.5〜30重量%、より好ましく
は1〜25重量%であり、重合体成分(b)は好ましく
は3〜99.5重量%、より好ましくは5〜50重量%
である。
【0150】上記各成分の存在量内であれば、いずれの
場合も、転写層の化学処理による除去が良好で、印刷版
として印刷する場合に非画像部の地汚れが生じない。ま
た、樹脂(A)の他の共重合成分を適宜調整することに
より樹脂(A)のガラス転移点又は軟化点を好適範囲に
することができ、転写条件の緩和化、転写層の被転写材
への転写性、被写画像の再現性等を良好にすることがで
きる。
【0151】次に、樹脂(A)中に含有され得る各重合
体成分について詳述する。重合体成分(a)は、前記し
た様な特定の極性基を含有する共重合成分であればよ
く、特に限定されるものではない。極性基含有の共重合
成分の具体例は、該極性基を含有するビニル系化合物で
あればいずれでもよく、例えば、高分子学会編「高分子
データ・ハンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)
等に記載されている。具体的は、アクリル酸、α及び/
又はβ置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−
アセトキシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α
−クロロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブ
チルシリル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロ
モ体、α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ
体等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エス
テル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アル
ケニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチ
ル−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2
−ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレ
イン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボ
ン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及び
これらのカルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、ア
ミド誘導体の置換基中に該極性基を含有する化合物等が
挙げられる。
【0152】以下に極性基含有の共重合成分(a)につ
いて例示する。ここで、R4は−H又は−CH3を示し、
5は−H、−CH3又は−CH2COOCH3を示し、R
6は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素数1〜
6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、R
8は−Cn2n+1(nは1〜4の整数)を示し、R9は−
n2n+1又は−OCn2n+1(nは1〜4の整数)を示
し、eは1又は2の整数を示し、fは1〜3の整数を示
し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜11の整数を
示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜10の整数を
示す。
【0153】
【化13】
【0154】
【化14】
【0155】
【化15】
【0156】
【化16】
【0157】
【化17】
【0158】
【化18】
【0159】
【化19】
【0160】次に、重合体成分(b)について説明す
る。重合体成分(b)は、化学反応処理により少なくと
も1個の親水性基〔−CO2H基、−CHO基、−SO3
H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1は−
OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表
わす)基を表わす}基及び−OH基〕を生成する官能基
を少なくとも1種含有する重合体成分である。化学反応
により1つの官能基から生成する上記親水性基は1個で
も2個以上でもよい。
【0161】官能基を親水性基に変換し得る化学反応
は、従来公知の加水分解反応、加水素分解反応、加酸素
分解反応、β−脱離反応、求核置換反応等を利用した処
理液による親水化反応、又は化学的活性線の照射を受け
て分解反応することによる親水化反応のいずれでもよ
い。
【0162】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボキシル基を生成する官能基について説明する。本発
明の1つの好ましい態様によれば、カルボキシル基生成
官能基としては、例えば、下記一般式(I)で示される
官能基が挙げられる。 一般式(I) −COO−L1 〔一般式(I)において、L1 は下記の基を表わす。〕
【0163】
【化20】
【0164】ここで、R11及びR12は互いに同じでも異
なっていてもよく、水素原子又は脂肪族基を表わし、X
は芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン原子、ト
リハロメチル基、アルキル基、−OH基、−NO2基、
−SO21(Z1は炭化水素基を示す)基、−COOZ
2(Z2は炭化水素基を示す)基、−OZ3(Z3は炭化水素
基を示す)又は−COZ4(Z4は炭化水素基を示す)基
を表わし、n及びmはそれぞれ0、1又は2を表わす。
1及びA2は同じでも異なっていてもよく、Hamme
tの置換基定数σ値が正の値を示す電子吸引性基を表わ
す。R13は水素原子又は炭化水素基を表わす。R14、R
15及びR16は、互いに同じでも異なっていてもよく、炭
化水素基又は−OZ5(Z5は炭化水素基を示す)基を表
わす。Y1は酸素原子又はイオウ原子を表わし、R17
18及びR19は同じでも異なっていてもよく、各々水素
原子又は脂肪族基を表わし、pは3又は4の整数を表わ
す。Y2は環状イミド基を形成する有機残基を表わす。
【0165】以下更に詳しく説明する。R11、R12は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子
又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は分枝
状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメ
チル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよい、フェニル基又はナフチル基(例えばフェニ
ル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチル
フェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)
を表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例
えばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、
炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状ア
ルキル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロ
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN基、−NO2基、−
SO21{Z1は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の置
換されてもよいアルキル基、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペンチ
ル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されてもよ
いアラルキル基、具体的にはベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフ
ェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基(例
えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチル
基、具体的にはフェニル基、クロロフェニル基、ジクロ
ロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル
基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メ
トキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す}基、−COOZ2(Z2は上記Z1と同義である)基、
−OZ3(Z3は上記Z1と同義である)基又は−COZ
4(Z4は上記Z1と同義である)基を表わす。n及びmは
各々0、1又は2を表わす。
【0166】R14、R15、R16は互いに同じでも異なっ
ていてもよく、好ましくは、炭素数1〜18の置換され
てもよい脂肪族基{脂肪族基はアルキル基、アルケニル
基、アラルキル基又は脂環式基を示し、置換基としては
例えばハロゲン原子、−CN基、−OH基、−OZ6(Z
6はアルキル基、アラルキル基、脂環式基、アリール基
を示す)基等が挙げられる}、炭素数6〜18の置換さ
れてもよい芳香族基(例えばフェニル基、トリル基、ク
ロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミドフ
ェニル基、ナフチル基等)又は−OZ5(Z5は置換され
てもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換されてもよ
い炭素数2〜12のアルケニル基、置換されてもよい炭
素数7〜12のアラルキル基、炭素数5〜18の置換さ
れてもよい脂環式基、炭素数6〜18の置換されてもよ
いアリール基を示す)基を表わす。
【0167】A1、A2は互いに同じでも異なっていても
よく、各々少なくとも一方が電子吸引基であり、−
1、−A2のHammetのσp 値の和が0.45以上
であればよい。ここで言う電子吸引基の例としては、例
えばアシル基、アロイル基、ホルミル基、アルコキシカ
ルボニル基、フェノキシカルボニル基、アルキルスルホ
ニル基、アロイルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、
ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルバモイル基
等が挙げられる。Hammetのσp 値は、通常置換基
の電子吸引・供与の度合いを見積もる指標として用いら
れており、+側に大きいほど強い電子吸引基として扱わ
れる。各置換基に対する具体的な数値については、稲本
直樹著「ハメット則−構造と反応性」丸善(1984年刊)
等に記載されている。また、この系におけるHamme
tのσp 値は加成性が成り立つと考えられ、−A1、−
2の両方が電子吸引基である必要はない。従って、一
方、例えば−A1が電子吸引基である場合、他方の−A2
の置換基は、−A1、−A2のσp 値の和が0.45以上
になるものであればいずれでもよく、特に制限されると
ころはない。
【0168】R13は炭素数1〜8の置換されていてもよ
い炭化水素基を表わし、例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オク
チル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキ
シエチル基、3−メトキシプロピル基、2−クロロエチ
ル基等が挙げられる。Y1 は酸素原子又はイオウ原子を
表わす。
【0169】R17、R18及びR19は互いに同じでも異な
っていてもよく、好ましくは水素原子、置換されてもよ
い炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシ
ル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、メトキシプ
ロピル基等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等)、置換されてもよ
い炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、
フェネチル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
ナフチル基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフ
ェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジクロロフ
ェニル基等)又は−OZ7(Z7は炭化水素基を表わし、
具体的には上記R17、R18、R19の炭化水素基と同一の
置換基類を示す)を表わす。pは3又は4の整数を表わ
す。
【0170】Y2は、環状イミド基を形成する有機残基
を表わす。好ましくは、一般式(A)又は一般式(B)
で示される有機残基を表わす。
【0171】
【化21】
【0172】式(A)中、R22及びR23は各々同じでも
異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニイル基、
12−オクタデセニル基等)、−SZ8{Z8は前記R22
又はR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基と
同一の内容を表わす置換基、又は置換されてもよいアリ
ール基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェニル
基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシ
フェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)を表わ
す}基又は−NHZ9(Z9は前記Z8と同一の内容を表わ
す)を表わす。また、R22とR23で環を形成する残基を
表わしてもよい{例えば5又は6員環の単環(例えばシ
クロペンチル環、シクロヘキシル環)又は5又は6員環
のビシクロ環(例えばビシクロヘプタン環、ビシクロヘ
プタン環、ビシクロオクタン環、ビシクロオクテン環
等)、更にはこれらの環は置換されていてもよく、置換
基としてはR22、R23で前記した内容と同一のものを含
む}。qは2又は3の整数を表わす。
【0173】
【化22】
【0174】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
てもよく、前記R22、R23と同一の内容を表わす。更に
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表わしてもよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。更に、前記一般式(I)において、R20及びR21
は前記R16と同一の内容を表わす。
【0175】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(II)で示されるオキサゾロン環を挙
げることができる。
【0176】
【化23】
【0177】一般式(II)において、R26、R27は互い
に同じでも異なっていてもよく、各々水素原子若しくは
炭化水素基を表わすか、又はR26とR27とが一緒に環を
形成する。好ましくは、R26、R27は互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、置換されていてもよい炭
素数1〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基等)、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基(例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4
−アセトアミドベンジル基、フェネチル基、4−メトキ
シベンジル基等)、置換されていてもよい炭素数2〜1
2のアルケニル基(例えばエチレン基、アリル基、イソ
プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換さ
れていてもよい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミド
フェニル基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、
ニトロフェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基等)を表わすか、又はR16とR17とが
一緒に環(例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等)を形成してもよい。
【0178】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば一般式(III)
又は(IV)で表される官能基が挙げられる。 一般式(III) −SO2−O−L2 一般式(IV) −SO2−S−L2 〔式(III)又は(IV)中、L2は、下記の基を表わ
す。〕
【0179】
【化24】
【0180】〔ここで、R11、R12、X、Z、n、m、
2、R20及びR21はそれぞれ前記と同一の内容を表わ
す。〕
【0181】更に、化学反応により少なくとも1つのス
ルフィン酸基を生成する官能基としては、例えば下記一
般式(V)で表される官能基が挙げられる。
【0182】
【化25】
【0183】〔式(V)中、A1、A2及びR13は、それ
ぞれ前記と同一の内容を表わす。〕
【0184】また、化学反応により−PO32基を生成
する官能基としては、例えば下記一般式(VI)が表され
る官能基が挙げられる。
【0185】
【化26】
【0186】〔式(VI)中、L3、L4は同じでも異なっ
てもよく、それぞれ前記L1と同一の内容を表わす。〕
【0187】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基としては、例えば下記一般式(VII)で表される官
能基が挙げられる。 一般式(VII) −O−L5 〔式(VII)中、L5は下記の基を表わす。〕
【0188】
【化27】
【0189】〔ここで、R28は炭化水素基を表わし、具
体的にはR11と同一の内容を表わす。R14〜R19、Y1
及びpはそれぞれ前記と同一の内容を表わす。〕
【0190】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基の他の好ましい態様によれば、ヒドロキシル基生
成官能基は、互いに立体的に近い位置にある少なくとも
2つのヒドロキシル基を1つの保護基で同時に保護した
形で有する官能基である。互いに立体的に近い位置にあ
る少なくとも2つのヒドロキシル基を1つの保護した形
で有する官能基の例としては、例えば下記一般式(I
X)、(X)及び(XI)で表される官能基を挙げること
ができる。
【0191】
【化28】
【0192】〔式(IX)〜(XI)中、R29、R30は、互
いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化
水素基又は−OZ10(Z10は炭化水素基を示す)基を表
わし、Uはヘテロ原子を介してもよい炭素−炭素結合を
表わす(但し、酸素原子間の原子数は5個以内であ
る)。〕
【0193】更に詳しく説明すると、R29、R30は、互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原
子、炭素数1〜12の置換されてもよいアルキル基(例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘ
キシル基、2−メトキシエチル基、オクチル基等)、炭
素数7〜9の置換されてもよいアラルキル基(例えばベ
ンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基、メトキシ
ベンジル基、クロロベンジル基等)、炭素数5〜7の脂
環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基
等)又は置換されてもよいアリール基(例えばフェニル
基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、メチルフ
ェニル基、シアノフェニル基等)又は−OZ10(Z10
29、R30における炭化水素基と同義である)基を表わ
す。Uは、ヘテロ原子を介してもよい炭素−炭素結合を
表わし、且つ酸素原子間の原子数は5個以内である。
【0194】以下に前記した一般式(I)〜(XI)で表
される各官能基の具体例(b−1)〜(b−67)を例示
する。但し、本発明の内容は、これらに限定されるもの
ではない。なお、下記具体例において、各記号は下記に
示す通りである。
【0195】
【化29】
【0196】
【化30】
【0197】
【化31】
【0198】
【化32】
【0199】
【化33】
【0200】
【化34】
【0201】本発明において用いることのできる、化学
反応処理により−CO2H基、−CHO基、−SO3
基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1基及び−OH
基のうちの少なくとも1つの親水性基を生成する官能基
を含有する共重合体成分(b)は、特に限定されるもの
ではない。好ましくは前記した重合体成分(a)の親水
性基が保護された重合体成分を例として挙げることがで
きる。
【0202】本発明において用いることのできる前記し
た様な−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−SO
2H基、−P(=O)(OH)R1基及び/又は−OH基を
化学反応で発現する官能基は、これらの親水性基を保護
した官能基であり、これら保護基の該親水性基への化学
結合による導入の方法は、従来公知の方法によって、容
易に行うことができる。例えば、J. F. W. McOmie 「Pr
otective groups in Organic Chmistry」(Plenum Pres
s. 1973年刊)、T. W. Greene「Protective groups in
Organic Synthesis」(Wiley-Interscience、1981年
刊)、日本化学会編「新実験化学講座、第14巻、有機化
合物の合成と反応」(丸善(株)1978年刊)、岩倉義男
・栗田恵輔著「反応性高分子」(講談社)等に記載され
た各単位反応が用いられる。
【0203】これらの官能基を樹脂(A)中に導入する
方法としては、−CO2H基、−CHO基、−SO3
基、−PO32基、−SO2H基、−OH基等から選ば
れた少なくとも1種の親水性基を含有する重合体を、反
応によって各々の親水性基を保護した官能基に変換す
る、いわゆる高分子反応による方法、又は前記した一般
式(I)〜(XI)で示される官能基を1種又はそれ以上
含有する1種又はそれ以上の単量体を合成した後、これ
と共重合し得る他の任意の単量体との重合反応により重
合体とする方法により得られる。
【0204】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得ること、あるいは、不純物(高分子反応の場
合、用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない事等の
理由から、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後
重合反応を行なう方法)により製造する事が好ましい。
例えばカルボキシル基を生成する官能基を導入する場
合、具体的には重合性の二重結合を含むカルボン酸類又
はその酸ハライド類を、例えば前記した公知文献等に記
載された方法に従って、そのカルボキシル基を一般式
(I)で示される官能基に変換した後、重合反応を行な
い製造する方法で行なうことができる。
【0205】また、化学反応によりカルボキシル基を生
成する官能基として前記一般式(II)で示されるオキサ
ゾロン環を含有する樹脂は、該オキサゾロン環を含有す
る1種又はそれ以上の単量体の、又は該単量体及びこれ
と共重合し得る他の単量体の重合反応により重合体とす
る方法により得ることができる。このオキサゾロン環を
含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN−ア
シロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製造す
ることができる。具体的には、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文献
記載の方法によって製造することができる。
【0206】更に、樹脂(A)は、上記特定の重合成分
(a)及び/又は重合成分(b)とともに、熱可塑性を
保持し、及びトナー画像部が不感脂化処理時に除去され
ないように調整するために、他の重合成分を含有しても
よい。他の重合成分としては、該重合体成分のホモ重合
体のガラス転移点が130℃以下のものが好ましい。具
体的には、例えば、下記一般式(U)で示される繰り返
し単位の成分が挙げられる。これらの繰り返し単位は、
単独もしくは2種以上を併用してもよい。
【0207】
【化35】
【0208】式(U)において、Vは−COO−、−O
CO−、−O−、−CO−、−C64−、−(CH2)n
COO−又は−(CH2)nOCO−を表わす。但し、n
は1〜4の整数を表わす。b1及びb2は同じでも異なっ
ていてもよく、各々水素原子、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子、シアノ基、トリフロロメチル基、炭素数1〜
7の炭化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、
ベンジル基等)又は−COOZ11(Z11は炭化水素基を
表わし、具体的には上記炭素数1〜7の炭化水素基の具
体的内容と同じものが挙げられる)を表わす。
【0209】R60は炭素数1〜22の炭化水素基を表わ
す。R60は好ましくは、炭素数1〜18の置換されてい
てもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、、トリデシ
ル基、テトラデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロ
モエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチ
ル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、
2−ヒドロキシプロピル基等)、炭素数2〜18の置換
されてもよいアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル
基、イソプロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘ
プテニル基、オクテニル基等)、炭素数7〜12の置換
されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェ
ネチル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、
メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、メチルベン
ジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよいシクロア
ルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基等)又は炭素数6〜12の置換さ
れてもよいアリール基(例えば、フェニル基、トリル
基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフ
ェニル基、エトキシフェニル基、フロロフェニル基、メ
チルクロロフェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフ
ェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、メ
チルカルボニルフェニル基、メトキシカルボニルフェニ
ル基、エトキシカルボニルフェニル基、メタンスルホニ
ルフェニル基、シアノフェニル基等)等が挙げられる。
上記の式(U)で示される共重合成分の含有量は、樹脂
(A)の全重合体中50〜97重量%であることが好ま
しい。
【0210】更に、樹脂(A)は、上記の重合体成分
(a)、重合体成分(b)及び/又は一般式(U)で示
される共重合成分とともに、樹脂(A)自体の剥離性を
向上する効果を有するフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基を含む重合体成分(f)を共重合体成
分として更に含有してもよい。このことにより、易剥離
性表面の感光体との剥離性が更に向上し、結果として転
写性がより良好になる。この重合体成分(f)は、全重
合体成分中1〜20重量%で含有するものが好ましい。
成分(f)は1重量%以上含有させることによりその剥
離性向上効果が充分に発揮され、また20重量%以下で
あれば、樹脂(A)の不感脂化処理液との濡れ性が低下
することなく、転写層が充分に除去される。
【0211】該置換基は、重合体の高分子主鎖に組み込
まれていても高分子の側鎖の置換基として含有されてい
てもよく、好ましくは、これらの重合体成分(f)は、
該熱可塑性樹脂(A)の共重合体においてブロック体と
して含有される。また、前述の如く、転写層を構成する
樹脂(A)が、ガラス転移点又は軟化点が異なる2種以
上の樹脂からなる場合、これらフッ素原子及び/又はケ
イ素原子含有重合体成分(f)を含有する樹脂は、高い
ガラス転移点の樹脂(AH)及び低いガラス転移点の樹
脂(AL)のいずれに含有されてもよい。これらの重合
体成分(f)は、具体的には、前述の剥離性を有する感
光層に用いられる樹脂(P)に含有され得る重合体成分
(F)と同様の内容のものが挙げられる。
【0212】転写層に用いられる樹脂(A)における、
いわゆるブロック共重合体として、好ましい態様として
は、該ブロック共重合体において、フッ素原子及び/又
はケイ素原子含有の重合体成分(f)がブロックで構成
されていればいずれでもよい。ここでブロックで構成す
るとは、フッ素原子及び/又はケイ素原子を70重量%
以上含有する重合体セグメントを重合体中に有している
ことをいい、例えば前記樹脂(P)で記載したと同様
に、A−B型ブロック、A−B−A型ブロック、B−A
−B型ブロック、グラフト型ブロックあるいはスター型
ブロック等が挙げられる。
【0213】これらの各種ブロック共重合体(A)は、
従来公知の重合方法に従って合成することができ、具体
的には、前記重合体成分(F)をブロックで含有する樹
脂(P)で引用したと同様の方法が挙げられる。該ブロ
ック共重合体は、転写層全組成物総量中、70重量%以
上であることが好ましく、更には90重量%以上の割合
で用いることが好ましい。これらの共重合体は、単独で
あっても2種以上を併用してもよい。
【0214】樹脂(A)は、上記の重合体成分及び/又
は一般式(U)で示される共重合成分とともに、これら
と共重合可能な他の共重合成分を更に含有していてもよ
い。このような他の共重合成分としては、例えば一般式
(U)で説明した以外の置換基を含有するメタクリル酸
エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エステ
ル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル又は
アリル酸エステル類(例えばカルボン酸として、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレンカ
ルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類(例えば
ジメチルエステル、ジエチルエステル等)、アクリルア
ミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例えばスチ
レン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシス
チレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、メト
キシカルボニルスチレン、メタンスルホニルオキシスチ
レン、ビニルナフタレン等)、ビニルスルホン含有化合
物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニル類(例えば
ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾー
ル、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピ
ラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニル
テトラゾール、ビニルオキサジン等)等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。これら他の共重
合成分は、樹脂(A)の転写性を疎外しない範囲内で任
意に用いることができるが、具体的には樹脂(A)中の
30重量%を越えないことが好ましい。
【0215】また、転写層には、樹脂(A)とともに、
必要に応じて他の樹脂を併用してもよい。但し、転写層
の溶出除去の性能を低下させないためには、転写層形成
の全樹脂100重量部中の上記重合体成分(a)及び/
又は(b)の存在割合が3重量%以上を満足することが
好ましい。
【0216】併用され得る他の樹脂の例としては、例え
ば塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル酸エ
ステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル重合
体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合
体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、イタコ
ン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マレイン酸共
重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド共
重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ア
ミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステル
樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、環
化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−ア
クリル酸エステル共重合体、複素環を含有する共重合体
(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン
環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、
ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、
1,3−ジオキセタン環等)、セルローズ系樹脂、脂肪
酸変性セルローズ系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ
る。
【0217】また、例えば、日刊工業新聞社刊「プラス
チック材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1981年)、近
畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新
聞社刊(1988年)、大森英三「機能性アクリル樹脂」
(株)テクノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎「ポリ
エステル樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988年)、
湯木和男編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊
工業新聞社刊(1989年)、高分子学会編「高分子データ
ハンドブック〈応用編〉」第1章焙風館(1986年)、原
崎勇次編「最新・バインダー技術便覧」第2章(株)総
合技術センター(1985年)、奥田平編「高分子加工 別
冊・8第20巻増刊号“粘着”」高分子刊行会(1976年
刊)、福沢敬司「粘着技術」高分子刊行会(1987年
刊)、西口守「接着便覧第14版」(株)高分子刊行会
(1985年)、日本接着協会編「接着ハンドブック第2
版」日刊工業新聞社(1980年)等に記載の各種樹脂類が
挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独又は2種以
上併用してもよい。
【0218】更に転写層には、接着性、成膜性、膜強度
等種々の物理的特性を向上させるために、他の添加剤を
併用してもよい。例えば、接着性調整のためにロジン、
石油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ性の改
良や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤としてボリ
ブテン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、低分子
ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、パラフインワックス等、また酸化防止剤として高分
子ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を加
えることができる。詳しくは「ホットメルト接着の実
際」(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29〜107
頁に記載がある。
【0219】転写層の膜厚は好ましくは0.1〜10μ
m、より好ましくは0.5〜7μmの範囲である。膜厚
が0.1μm以上であれば転写が充分良好に行われ、ま
た厚すぎても本発明の効果には特に悪影響を与えない
が、樹脂の消費量の節約の観点から、10μm以下が好
ましい。また、転写層における第1転写層(T1)と第2
転写層(T2)との膜厚構成比は、10〜80/90〜2
0、好ましくは20〜70/80〜30である。この範
囲内で本発明の良好な転写性向上の効果が得られる。
【0220】本発明においては、感光体上にトナー画像
形成後、被転写材へ転写する前に、感光体上に転写層が
設けられる。
【0221】まず、以上述べた様な熱可塑性樹脂を、特
定のガラス転移点を有する樹脂(A1)及び樹脂(A2)を
同一粒子内に含有する樹脂粒子(AL)の状態で、感光
体の表面上に電着付着させ、例えば加熱等により均一な
薄膜を形成して、第1転写層(T1)とする。従って、該
熱可塑性樹脂粒子(AL)は、正電荷あるいは負電荷の
いずれかの荷電を有していることが必要であり、その検
電性は組み合せる電子写真感光体の帯電性によって任意
に決定される。
【0222】樹脂粒子(AL)は、前記した物性を満た
す範囲のものであって、通常その平均粒径は、0.01
μm〜10μmの範囲であり、好ましくは0.05μm
〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲で
ある。該粒子は粒子粉体(乾式)、非水系に分散された
樹脂粒子(湿式)、あるいは常温で固体で加熱により液
体になる電気絶縁性有機物中に分散された樹脂粒子(疑
似湿式)のいずれの状態でもよい。好ましくは、剥離用
転写層の膜厚を均一厚みで薄膜まで調整することが容易
な、非水系分散樹脂粒子である。
【0223】上記微小径樹脂粒子は、従来公知の機械的
粉砕方法又は重合造粒方法によって製造することができ
る。これらの製造方法は、乾式電着あるいは湿式電着の
いずれの粒子でも用いることができる。
【0224】乾式電着方法で用いられる微小粒子を製造
する場合において、機械的粉砕方法としては、従来公知
の粉砕機で直接粉砕し、微粒子とする方法(例えば、ボ
ールミル、ペイントシェーカー、ジェットミルを使用す
る方法等)が挙げられ、必要に応じて、樹脂粒子とする
材料を混合し、溶融、混練を経て粉砕したり、粉砕後粒
径をそろえるための分級又は粒子の表面を処理する後処
理等を適宜組合わせて行なうことができる。また、スプ
レードライ法も知られている。具体的には、(社)日本
粉体工業技術協会編「造粒ハンドブック」第II編(オー
ム社刊、1991年)、神奈川経営開発センター「最新造粒
技術の実際」(神奈川経営開発センター出版部、1984
年)、荒川正文等編「最新粉体の設計技術」(株)テク
ノシステム社、1988年)等の成書に詳細に記載された方
法を適宜用いて容易に製造することができる。
【0225】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行なう乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反
応、非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等
が知られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテッ
クスの化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲垣寛
「合成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978年)、室
井宗一「高分子ラテックス入門」工文社(1983年)、I.
Piirma, P. C. Wang 「EmulsionPolymerization」、I.
Piirma & J. L. Gardon, ACS symp. Sev. 24, p.34
(1974年)、北原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書
(1979年)、室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端
技術」C.M.C.(1991年)等の成書に記載されている方法
で粒子化した後、上記機械的方法に関する成書に記載の
様な各種の方式で補集し粉末化することで製造すること
ができる。
【0226】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は乾式静電
写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的に
は、J.F. Hughes 著(長坂秀雄・緑川真知子訳)「静電
粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯電、イ
ンダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現象利用
等の方法で帯電した微粒子を電着する方法、中村孝一編
「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実
用化」第1章(日本科学情報(株)、1985年)等の成書
に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ法、ファーブ
ラシ法、エレクトロスタチック法、インダクション法、
タッチダウン法、パウダークラウド法等の現像方法等を
用いて適宜行なうことができる。
【0227】湿式電着方法で用いられる、非水系ラテッ
クスを製造する場合も、前記の如く機械的方法と重合造
粒方法のいずれでも製造することができる。例えば、分
散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば、ボー
ルミル、ペイントシェーカー、ケディミル、ダイノミル
等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、分散
補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混練して混練
物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させて分散
する方法等が挙げられる。具体的には、塗料又は静電写
真用現像剤の製造方法を利用することができ、例えば植
木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、「ソロモン、塗料の科学」、「Paint and Surfac
e Coating Theory and Practice」、原崎勇次「コーテ
ィング工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次「コーティ
ングの基礎科学」朝倉書店(1977年)等の成書に記載さ
れている。
【0228】また、重合造粒法としては、シード重合法
を用いて、容易に製造することができ、具体的には、前
記した「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、「最近
の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」
第3章、K. E. J. Barvett「Dispersion Polymerizatio
n in Organic Media」John Wiley(1975年)等の成書に
記載されている従来公知の非水系分散重合方法でまず樹
脂(A1)〔又は樹脂(A2)〕から成る微粒子を合成し、
次に、この微粒子をシードとして更に上記と同様にして
樹脂(A2)〔又は樹脂(A1)〕に相当する単量体類をフ
ィードして重合させることにより製造する方法が好まし
い。
【0229】上記重合造粒法において、樹脂(A)に剥
離性向上のための重合体成分(f)を導入するには、熱
可塑性樹脂となる有機溶媒には可溶で、重合することで
不溶化する単量体とともに、重合体成分(f)に相当す
る単量体を共存させて重合反応を行うことで樹脂(A)
中に共重合され、ランダム共重合体の樹脂粒子(AR)
が容易に得られる。
【0230】更に、重合体成分(f)を重合体のブロッ
クで導入するには、用いる分散安定用樹脂に、重合体成
分(f)をブロックで含有するブロック共重合体を少な
くとも用いる方法、又は重合体成分(f)を主たる繰り
返し単位として含有する重量平均分子量1×103〜2
×104(好ましくは3×103〜1.5×104)の一官
能性マクロモノマーを共存させて単量体類と共重合させ
ることで容易にブロック共重合体とすることができる。
また、他の方法としては、重合体成分(f)を主たる繰
り返し単位として含有する高分子開始剤(アゾビス高分
子開始剤又は過酸化物高分子開始剤)を用いることで
も、同様にブロック共重合体の樹脂粒子を得ることがで
きる。
【0231】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。かかる有機溶媒の具体例は、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フ
ッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオ
クタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジ
クロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に
限定されるものではない。これらの非水溶媒系で分散樹
脂粒子を分散重合法で合成することにより、樹脂粒子の
平均粒子径は容易に1μm以下となり、しかも粒子径の
分布が非常に狭く且つ単分散の粒子とすることができ
る。
【0232】これらの非水系分散樹脂粒子は、湿式静電
写真現像方法又は電界の印圧場で電気泳動させて電着さ
れる方法を行なうことから、電着時に用いられる分散媒
としては、電気抵抗108 Ω・cm以上、且つ誘電率
3.5以下の非水溶媒系に調節される。具体的には、直
鎖状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素
又は芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン置換体を用
いることができる。例えはオクタン、イソオクタン、デ
カン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソ
ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデ
カン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ア
イソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパー
L(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール
70、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル
社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤
(アムスコ:アメリカン・ミネラル・スピリッツ社の商
品名)等を単独あるいは混合して用いることができる。
従って、好ましくは、重合造粒時に用いる溶媒として、
初めから、上記絶縁性有機溶媒を用いるが、これら溶媒
以外の溶媒で造粒した後、分散媒の置換をして調節する
こともできる。
【0233】以上の如く、分散媒中の分散粒子を電気泳
動で電着させるためには、該粒子は正荷電又は負荷電の
検電性粒子であり、該粒子に検電性を付与する技術は、
湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成
可能である。具体的には、前記の「最新の電子写真現像
システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電
子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁
(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(N
o.2)、44頁(1977年)等に記載の検電材料及び他の添
加剤を用いることで行なわれる。例えば、英国特許第8
93,429号、同934,038号、米国特許第1,
122,397号、同3,900,412号、同4,6
06,989号、特開昭60−179751号、同60
−185963号、特開平2−13965号等に記載さ
れている。電着に供せられる非水系ラテックスの構成と
しては、通常少なくとも電気絶縁性分散媒1リットル中
に、熱可塑性樹脂を主として含有する粒子が0.1〜2
0g、分散安定用樹脂は0.01〜50g、必要に応じ
て加える荷電制御剤は、0.0001〜10gの範囲で
ある。
【0234】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持等のために、他の添加剤を添加してもよく、例えば、
ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル
類、シリコーンオイル類、パラフィンワックス類、トリ
アジン誘導体等が挙げられる。しかし、これらに限定さ
れるものではない。これらの添加剤の総量は、該電着用
ラテックスの電気抵抗によってその上限が規制される。
即ち、電気抵抗が108Ω・cmより低くなると熱可塑性
樹脂粒子の付着量が充分な量得られ難くなるので、各添
加剤の各添加量はこの限度内でコントロールされる。
【0235】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した熱可塑性樹脂粒子(AL)
は、電子写真湿式現像剤と同様の挙動を示す。よって例
えば前掲の「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に
示される現像デバイス、例えばスリット現像電極装置を
用いて感光体表面に電気泳動させることができる。即
ち、熱可塑性樹脂を主として含有する粒子が、電子写真
感光体と対向して設置された対向電極の間に供給され、
外部電源より印加された電位勾配に従って電気泳動して
電子写真感光体に付着又は電着されて成膜される。
【0236】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前掲の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体を均
一帯電させた後露光を行なわず、又は不要領域のみに露
光を行なういわゆる焼き落としをし、次いで通常の湿式
トナー現像をする。
【0237】他方、加熱により液化する媒体中に分散し
た樹脂粒子を用いる場合に供される該媒体としては、常
温で固体であり、加熱温度30〜80℃(好ましくは4
0〜70℃)で液体となる電気絶縁性の有機化合物であ
り、これに好適な化合物としては、凝固点30〜80℃
のパラフィン類、ロウ類、凝固点30〜80℃の低分子
量のポリプロピレン、凝固点20〜50℃の牛脂、凝固
点30〜80℃の硬化油等が挙げられ、これらを単独又
は組み合わせて用いることができる。その他必要な特性
は、上記湿式現像法に供される電着樹脂粒子分散物の場
合と同様である。
【0238】更に、この疑似湿式法に供される本発明の
樹脂粒子は、供される媒体の液化する温度では軟化しな
い高ガラス転移点又は高軟化点の樹脂成分が粒子の外殻
を構成する、いわゆるコアーシェル型粒子(コア部にガ
ラス転移点の低い樹脂、シェル部にガラス転移点の高い
樹脂)とすることで分散された樹脂粒子が加熱で融着さ
れることがなく、安定に分散された状態を維持すること
が可能となる。
【0239】感光体上の熱可塑性樹脂粒子の付着量は外
部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び現像時間
などにより任意に調節できる。電着後公知のゴムローラ
ー、ギャップローラ、リバースローラなどによるスクイ
ズで現像液を拭い去る。またコロナクイズやエアースク
イズなどの方法も公知である。更に冷風もしくは温風、
あるいは赤外線ランプなどにより乾燥し、好ましくは熱
可塑性樹脂粒子を皮膜化させて第1転写層(T1)とす
る。次にこの感光体表面に形成した第1転写層上に更に
設けられる第2転写層(T2)は通常の溶剤塗布法に従い
形成してもよいが、前記電子写真プロセス装置内で形成
する態様が、低ランニングコスト化する上で好ましい。
第2転写層(T2)を第1転写層(T1)表面に形成する方
法には、熱溶融塗布法、電着塗布法及び転写法が好まし
く用いられる。これらの方法により、転写装置内で感光
体上の第1転写層(T1)表面に第2転写層(T2)を容易
に形成することができる。
【0240】以下、各々の方法について詳細に説明す
る。熱溶融塗布法は転写層組成物を公知の方法で熱溶融
塗布するものであり、このためには、無溶剤型塗布機、
例えば前記「ホットメルト接着の実際」197〜215頁に記
載のホットメルト接着剤用加熱溶融塗布装置(ホットメ
ルトコーター)の機構を、感光体ドラム塗布仕様にして
転用できる。例としては、ダイレクトロールコーター、
オフセットグラビアロールコーター、ロットコーター、
エクストルージョンコーター、スロットオリフィスコー
ター、カーテンコーター等が挙げられる。
【0241】塗布時の転写層を構成する樹脂の溶融温度
は、用いる転写層を構成する樹脂の成分組成により最適
化するが、通常は40〜180℃の範囲である。密閉さ
れた自動温度制御手段を有する予備加熱装置を用いて予
め溶融した後、感光体に塗布する位置で短時間に適温に
上昇させることが望ましい。このようにすることで、転
写層を構成する樹脂の熱酸化による変質や塗布ムラを防
止することができる。塗布スピードは、転写層を構成す
る樹脂の熱溶融時の流動性、コーター方式、塗布量等に
よるが、1〜100mm/秒が適当であり、好ましくは5
〜40mm/秒の範囲である。
【0242】次に、転写法による転写層の形成について
説明する。この方法は離型紙で代表される離型性支持体
(以下、離型紙という)上に保持された転写層(T2)を
第1転写層(T1)表面に転写するものである。転写層が
形成された離型紙は、ロール状、シート状で、転写装置
中に簡便に供給できる。本発明に供される離型紙は、従
来公知のものがいずれでも使用でき、例えば、「粘着
(粘接着)の新技術とその用途・各種応用製品の開発資
料」(発行;経営開発センター出版部、昭和53年5月20
日)、「オールペーパーガイド紙の商品事典、上巻・文
化産業編」(発行;(株)紙業タイムス社、昭和58年12
月1日)等の成書に記載のものが挙げられる。
【0243】具体的には、離型紙は、シリコーンを主と
する離型剤を、ポリエチレン樹脂をラミネートした末晒
クルパック紙や耐溶剤性の樹脂をプリコートした上級
紙、クラフト紙に塗布したもの、またアンダーコートを
施したPETベース、あるいは直接グラシン紙に塗布し
たものである。シリコーンは一般に溶剤タイプのものが
用いられ、上記基体上に3〜7%の濃度でグラビアロー
ル、リバースロール、ワイヤーバー等で塗布・乾燥後、
150℃以上で熱処理され硬化される。塗布量は1g/
m2程度である。シリコーンは一般に溶剤タイプのものが
用いられ、3〜7%の濃度でグラビアロール、ワイヤー
バー方式で塗布・乾燥後、150℃以上で熱処理され、
硬化される。塗布量は1g/m2程度である。
【0244】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えばセパ
レート紙(王子製紙(株)製)、キングリーズ(四国製
紙(株)製)、サンリリース(山陽国策パルプ(株)
製)、NKハイレリーズ(日本加工製紙(株)製)など
があげられる。
【0245】離型紙上に転写層(T2)を形成するには、
転写層を構成する樹脂を主成分とする転写層組成物を、
常法に従って、バー塗布、スピン塗布、スプレー塗布等
により塗布成膜することにより容易に行われる。離型紙
上の転写層(T2)を電子写真感光体上の第1転写層(T
1)上に熱転写するには、通常の熱転写方法が利用でき
る。即ち、転写層(T2)を保持した離型紙を電子写真感
光体上の第1転写層(T1)に圧着し、転写層(T2)を熱
転写すればよい。離型紙から転写層(T2)を第1転写層
(T1)表面へ転写する場合の条件は、以下の通りが好ま
しい。ローラーのニップ圧力は0.1〜10kgf/cm2
より好ましくは0.2〜8kgf/cm2であり、転写時の温
度は25℃〜100℃、より好ましくは40℃〜80℃
である。搬送スピードは0.5〜100mm/秒、より好
ましくは3〜50mm/秒である。
【0246】また、熱可塑性樹脂(A2)を樹脂粒子(A
2L)として、静電的に電着もしくは付着する電着塗布
法の具体的態様としては、第1転写層(T1)を形成する
樹脂粒子(AL)を電着塗布する方法と同様にして行な
うことができる。
【0247】本発明においては、上記のようにして、ト
ナー画像を形成した感光体上に転写層を形成した後、転
写層をトナー画像ごと被転写材へ転写する。この熱転写
には公知の方法及び装置を用いることができる。本発明
では、トナー画像上に形成された転写層を特に冷却させ
ることなく、直ちに次の工程である被転写材へ転写する
ことができる。このことは、処理工程の簡易・短縮化に
とって有利である。
【0248】本発明に用いる被転写材は、従来オフセッ
ト印刷版に供される支持体をそのまま用いることができ
る。具体的には、プラスチックシート又は特に耐刷性を
施した紙、アルミニウム、板、亜鉛板、銅−アルミニウ
ム板、銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメタル
板、クロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄板、
クロム−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の親水
性表面を有する基板が用いられ、その厚さは0.1〜3
mm、特に0.1〜1mm、が好ましい。
【0249】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許第2,714,066号明細書に
記載されている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリ
ウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭4
7−5125号公報に記載されているように、アルミニ
ウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属ケイ酸
塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。
【0250】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許第3,658,662号明細書に
記載されているようなシリケート電着も有効である。西
独特許公開第1,621,478号に記載のポリビニル
スルホン酸による処理も適当である。これらの親水化処
理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外
は、その上に設けられるトナ−画像との密着性の向上の
ために施されるものである。また、支持体とトナー画像
を形成した転写層との間との接着性を調節するために、
支持体表面に表面層を設けて特性を改良することもでき
る。プラスチックシート又は紙を支持体とする場合に
は、当然のことながら、トナー画像部層以外が親水性で
なければならないことから、親水性を有する表面層を設
けたものが供される。具体的には、公知の直描型平版印
刷用原版又は該原版の画像受理層と同様の内容を有する
被転写材を用いることができる。
【0251】以下に本発明の電子写真式製版印刷原版
(不感脂化処理前の印刷版)の作成方法を添付図面をも
って詳細に説明する。
【0252】図2は、本発明の方法を実施するにおいて
用いることのできる電子写真式製版印刷原版作成装置の
概略図である。前述のように、表面が剥離性に改質され
た電子写真感光体を用いる場合には、通常の電子写真プ
ロセスにより感光体上にトナー画像を形成する。また、
感光体表面の剥離性が不十分な場合には、電子写真プロ
セスに入る前に化合物(S)を吸着又は付着させる装置
を設けることにより、感光体表面に離型性を付与するこ
とができる。即ち、前記した具体的態様のいずれかの方
式を用いた、化合物(S)の塗布ユニット10により、
感光体表面に化合物(S)を供給する。化合物(S)を
感光体表面に吸着又は付着させる塗布ユニット10は、
固定及び可動式のいずれでもよい。
【0253】前述の如く、本発明における現像は、乾式
現像剤及び湿式現像剤のいずれを用いてもよいが、湿式
現像剤を用いる方法で得られた複写画像の方が高解像力
の画像が得られる。従って、以下トナー現像に湿式現像
剤を用いる場合を例として、具体的態様を説明する。
【0254】まず、感光体11をコロナ帯電装置18
で、例えばプラスに一様帯電した後、露光装置(例えば
半導体レーザー等)19で画像情報に基づき画像露光す
ると、露光部の電位が低減され、未露光部との間に電位
コントラストが得られる。プラスの静電荷を有する樹脂
粒子が電気絶縁性分散媒中に分散している液体現像剤を
含む液体現像ユニット14Lを現像ユニットセット14
から感光体表面に接近させギャップを1mmにして固定す
る。該ユニットセット14は、湿式現像剤を含む現像装
置14Lを含み、各々には必要に応じて非画像部の汚れ
を防止する意味でもプレバス、リンス、スクイズ手段を
備えておいても良い。プレバス及びリンス液には通常湿
式現像剤のキャリヤー液体を用いる。
【0255】まず感光体は現像部に具備されたプレバス
手段によりプレバスされ、次いで図には示されていない
バイアス電源及び電気結線により感光体11と現像電極
の間に現像バイアス電圧を印加しながら湿式現像剤を感
光体表面に供給する。この時のバイアス電圧は現像電極
側を正に、感光体側を負になるように接続し、印加電圧
は未露光部の表面電位よりもやや低くする。印加電圧が
低すぎると充分なトナー画像濃度が得られない。その後
現像ユニット14に内蔵してあるリンス手段により感光
体表面に付着した現像液を洗い落とし、続いてスクイズ
手段により感光体表面に付着したリンス液を除いてか
ら、吸排気ユニット15下を通過させることにより乾燥
させる。
【0256】次に、トナー画像を形成した感光体11上
に第1転写層12T1を設ける。熱可塑性樹脂粒子(A
L)の分散液12aは可動式の上記現像ユニットセット
14内にある電着ユニット13a内に供給されている。
電着ユニット13aを感光体表面11に接近させ、電着
ユニット13aの現像電極との距離が1mmとなるように
固定する。このギャップ間に粒子分散液12aを供給
し、図示していない外部電源から電圧を印加しながら回
転させ、感光体表面11の画像形成領域全面に粒子(A
L)が電着するようにする。電着ユニット13aに内蔵
してあるスクイズ装置で感光体表面11に付着している
粒子分散液12aを除き、次いで吸排気ユニット15下
を通過させ乾燥し、加熱手段17aにより熱可塑性樹脂
粒子(AL)を熱溶融させて皮膜化した熱可塑性樹脂の
第1転写層12T1を得る。
【0257】その後必要に応じて図示していない吸排気
ユニット15に類似の冷却装置にて感光体外側からか又
は感光体ドラム内部から、所定の温度まで冷却する。こ
の際、分散液の分散溶媒の排気は、電子写真感光体の電
子写真プロセス用に設けた吸排気ユニット15を利用す
ることができる。プレバス及びリンス液には通常の湿式
現像剤のキャリヤーを用いる。電着ユニットは上記のよ
うに現像ユニットセット14内に併設されていてもよい
し、現像ユニットとは別に設置してもよい。電着ユニッ
ト13aを降下させたのち湿式現像ユニットセット14
が移動される。
【0258】熱可塑性樹脂からなる第1転写層12T1
が形成された感光体11に、次いで熱溶融塗布法、電着
塗布法及び転写法のいずれかの方法により第2転写層1
2T2を形成する。湿式電着法で熱可塑性樹脂粒子(A2
L)の分散液12bを用いる場合には、図2に示すよう
に、該分散液12bを含む電着ユニット13bを上記湿
式現像ユニットセット14内に設けて、第1転写層12
1の時と同様にして行なうことができる。
【0259】離型紙からの転写法又は熱溶融塗布法によ
り第2転写層12T2を形成する場合には、図2に示す
電着ユニット13bを用いる代わりに、それぞれ図3又
は図4に示す装置を、適宜図2に示す全体図に適用する
ことにより容易に実施できる。
【0260】熱溶融塗布法には、図3に示す装置を適用
することができる。図3において、液体現像ユニット1
4を待機位置まで移動した後、その場所に、待機位置1
3wからホットメルトコーター13が移動される。転写
層用樹脂12bは、ホットメルトコーター13により、
ドラム周面の感光体11上の第1転写層12T1上へ塗
布され、吸排気ユニット15下を通過することにより所
定の温度まで冷却され、第2転写層12T2が形成され
る。その後、ホットメルトコーター13を待機位置13
wまで移動することが好ましい。
【0261】離型紙を利用して、第2転写層12T2
感光体11上の第1転写層12T1上に簡便に作成する
装置部117としては、図4に示す概略部分図のものが
挙げられる。即ち、第2転写層12T2を設けた離型紙
20を、加熱ローラー117bで加熱圧着させて、第2
転写層12T2を第1転写層12T1の表面へ転写させ
る。離型紙20は、冷却ローラー117cで冷却されて
回収される。更に必要に応じて、感光体11自身を予熱
手段17aで加熱して、第2転写層12T2の加熱圧着
による転写性を向上させてもよい。図4に示す装置を組
み入れる位置は特に限定的ではない。図4に示すよう
に、後述の被転写材16への熱転写手段17と上記装置
部117とを可動方式で入れ替えてもよいし、離型紙2
0により第2転写層12T2を転写する117部分と、
トナー画像とともに転写層12を被転写材16へ転写す
る17部分をそれぞれ別個に装置内に組み入れてもよ
い。
【0262】離型紙から転写層を感光体表面へ転写する
場合における転写条件は、以下の通りが好ましい。ロー
ラーのニップ圧力は0.1〜10kgf/cm2、より好まし
くは0.2〜8kgf/cm2であり、転写時の温度は25〜
120℃、より好ましくは4〜80℃である。搬送スピ
ードは0.5〜300mm/秒、より好ましくは3〜20
0mm/秒であり、転写層形成工程、電子写真工程及び被
転写材への熱転写工程の各々で異なっていてもよい。
【0263】本発明では、転写層12(12T1及び1
2T2)を形成した後、感光体ドラムを冷却せずにそのま
ま被転写材16に圧接して感光体11表面上のトナー画
像3を転写層12ごと一括して被転写材16に熱転写で
きる。必要に応じて、感光体ドラムや転写部を加熱手段
を用いて所定の予熱を行ってもよい。加熱手段17a
は、非接触の、例えば赤外線ラインヒーター又はフラッ
シュヒーター等を用いることが好ましく、また、熱転写
時の感光層の加熱表面温度は30〜150℃、特に35
〜80℃が好ましい。他方、被転写材16は、転写用バ
ックアップローラー17bにより所定の予熱をし、感光
体11上に圧接して転写層12を熱転写後、剥離用バッ
クローラー17cで冷却しながら、被転写材16上に転
写層12ごとトナー画像を剥離転写し、一連の工程を終
了する。
【0264】転写工程におけるローラーのニップ圧力は
0.2〜20kgf/cm2、より好ましくは0.5〜10kgf
/cm2であり、図には示していないがローラー加圧手段と
してはローラー軸の両端にスプリングもしくは圧縮空気
を用いるエアーシリンダーを使うことができる。搬送ス
ピードは0.1〜300mm/秒、より好ましくは50〜
200mm/秒の範囲である。
【0265】また、感光体11に表面離型性を付与する
必要のある場合は、化合物(S)を塗布ユニット10で
吸着又は付着した状態で装置を停止することにより、次
の装置稼働時にすぐ電子写真プロセスからスタートする
ことができる。
【0266】本発明の印刷版の作成方法において、トナ
ー画像及び転写層を転写する各条件設定は、使用してい
る感光体(感光層及び支持体)、転写層、被転写材等の
材料の物性により最適化することは当然である。特に熱
転写工程における温度条件は転写層のガラス転移点、軟
化温度、流動性、粘着性、皮膜性、膜厚などの要因を加
味して決定することが必要である。最終被転写材への熱
転写挙動は、次のように推定される。即ち転写層形成工
程終了時にある程度軟化している転写層(更に必要に応
じて予熱されていてもよい)が加熱ローラー下を通過す
ることにより粘着性が増し被転写材に密着する。次いで
冷却ローラー下を通過した後では、温度が下がり、流動
性や粘着性が低減して皮膜のまま、トナー画像ごと転写
層に接着された状態で剥離するように条件を設定すべき
である。
【0267】冷却ローラーの材質は例えばアルミニウ
ム、銅等の熱良導体金属にシリコーンゴム被覆を施し、
ローラー内部もしくは転写紙に接しない外周部に冷却手
段を用いて放熱することが望ましい。冷却手段はクーリ
ングファン、冷媒循環又は電子冷却素子などを用い、温
度コントローラーと組合せて所定の温度範囲に保つこと
が好ましい。
【0268】本発明では、以上のようにして得られた転
写層を有する被転写材(印刷原版)を化学反応処理し
て、転写層を溶解又は膨潤そして脱離すること等により
完全に除去することで、平版印刷版を作成することがで
きる。転写層を除去するための処理には、処理液による
反応の他に化学的光学活線による脱保護反応を用いても
よく、また併用してもよい。処理液は、所定のpHに調
整された水溶性溶液を用いる。pHの調整は、公知のp
H調整剤を用いることができる。適用されるpH域は酸
性〜中性〜アルカリ性のいずれでもよいが、処理液の防
錆性又は転写層の溶出除去性を勘案すると、pH8以上
のアルカリ性領域で用いることが好ましい。アルカリ性
処理液とする化合物としては、従来公知の無機化合物又
は行き化合物のいずれでもよく、例えば、炭酸塩、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ
酸ナトリウム、有機アミン化合物等いずれでもよく、ま
た、単独又は混合して用いることができる。
【0269】更には、親水性反応を迅速化するために併
用できる化合物として、パーソン(Pearson)等の求核定
数n〔R. G. Pearson, H. Sobel, J. Amer. Chem. So
c., 90, 319(1968)〕が5.5以上の値を有する置換基
を含有し、且つ蒸留水100重量部中に1重量部以上溶
解する親水性化合物が挙げられる。具体的な化合物とし
ては、例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸
塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛
塩等)、チオ硫酸塩等が挙げられ、また、分子内にヒド
ロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、
アミノ基から選ばれた少なくとも1つの極性基を含有す
るメルカプト化合物、ヒドラジド化合物、スルフィン酸
化合物、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物等が
挙げられる。
【0270】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシロピルメルカ
プタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢酸
等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエチ
ルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンス
ルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンカ
ルボン酸等を、第1級又は第2級アミン化合物として、
例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ(2−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオン酸、
アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼンジカ
ルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2−カル
ボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラジン等
を挙げることができる。これら処理液中の求核性化合物
の存在量は0.05〜10モル/リットル、好ましくは
0.1〜5モル/リットルである。また、処理液のpH
は8以上が好ましい。処理の条件は温度15〜60℃、
浸漬時間10秒〜5分間が好ましい。
【0271】該処理液は、上記した求核性化合物及びp
H調整剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例え
ば、水に可溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1〜
50重量部含有してもよい。このような水に可溶性の有
機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、プロパギルアルコール、ベ
ンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルテトン、シクロヘキサノ
ン、アセトフェノン等)、エーテル類(ジオキサン、ト
リオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコー
ル、ジメチルエ−テル、プロピレングリコール、ジエチ
ルエ−テル、エチレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒド
ロピラン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ピロ
リドン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド
等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチ
ル、スルホラン、テトラメチル尿素等)等が挙げられ、
これらは単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0272】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性又はノニオン性
の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界面
活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、寺村
一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年刊)槇書
店等に記載される化合物を用いることができる。更に、
該処理液の保存時の防腐性、防黴性向上の為に、従来公
知の防腐性化合物、防黴性化合物を併用してもよい。更
に処理時に、超音波下に行う又は機械的な摺動(ブラシ
等でこする等)等の物理的操作を併用してもよい。
【0273】他方、化学的活性光線の照射により脱保護
反応する場合に用いられる光線としては、可視光線、紫
外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線等いずれで
もよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは波長31
0nm〜波長500nmの範囲の光線である。一般には高圧
又は超高圧の水銀ランプ等が用いられる。光照射の処理
は通常5cm〜50cmの距離から10秒〜10分間の照射
で充分に行うことができる。この様にして光照射した
後、上記の様な水溶性溶液中に浸漬することで容易に転
写層が除去される。
【0274】
【実施例】以下に実施例を示し、更に本発明の内容を詳
しく説明するが、これによって本発明が限定をうけるも
のではない。
【0275】〔転写層用樹脂粒子の製造例〕 転写層用樹脂粒子(AL)の製造例1:(AL−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)20g、メチルメ
タクリレート30g、エチルアクリレート55g、アク
リル酸15g、3−メルカプトプロピオン酸メチル2.
6g及びアイソパーH542gの混合溶液を窒素気流下
攪拌しながら温度60℃に加温した。重合開始剤として
2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.
N.) 0.8gを加え、2時間反応した。開始剤を添加し
て20分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上昇し
た。開始剤を0.5g加え、2時間反応した後、更に開
始剤0.3gを加え、3時間反応した。次に、減圧度2
0mmHgで未反応単量体を留去した後、冷却し、200メ
ッシュのナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率
98%で平均粒径0.15μmの単分散ラテックスであ
った〔粒径はCAPA−500{堀場製作所(株)製}
で測定した。以下同様〕。
【0276】
【化36】
【0277】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)全
量及び分散安定用樹脂(Q−1)10gの混合溶液を窒
素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。これに、
メチルメタクリレート45g、メチルアクリレート40
g、アクリル酸15g、3−メルカプトプロピオン酸メ
チル3.0g及びA.I.V.N.0.8gの混合物を2時間で
滴下し、そのまま更に2時間反応した。次に開始剤を
0.8g加え、温度70℃にして2時間反応し、更に開
始剤を0.6g加え3時間反応した。冷却後、200メ
ッシュナイロン布を通し、得られた白色分散物の重合率
は98%で平均粒径0.25μmの単分散性良好なラテ
ックスであった。
【0278】次に、得られた樹脂粒子が、単独の粒子と
して形成されたか否かを走査型電子顕微鏡(SEM)を
用いて粒子の状態を観察することで調べた。PETフィ
ルム上に樹脂粒子が分散した状態になるように調製して
作製したフィルムを、温度50℃及び80℃に5分間加
熱処理した後、各サンプルをJSL−T330型 Scann
ing Microscope(JEOL社製)を用いて、2万倍で観
察したところ、温度50℃のサンプルは粒子状態が観察
されたが、温度80℃では観察されなかった。即ち、粒
子が加熱により融解していた。
【0279】同様にして、本発明の粒子を構成する二層
の樹脂(共重合体)の各々からなる樹脂粒子{それぞれ
後述の比較用樹脂粒子(RAL−1)及び(RAL−
2)}及び該二種の樹脂粒子を1/1重量比で混合した
分散樹脂粒子について調べた。樹脂粒子(RAL−1)
からなるサンプルは、加熱しないサンプルは粒子状態で
あったが、温度50℃で粒子状態が観察されず、樹脂粒
子(RAL−2)のサンプルは温度80℃で粒子が見え
なくなった。更に、混合粒子からなるサンプルについ
て、加熱しないサンプルと温度50℃のサンプルを調べ
たところ、未加熱サンプルを比べると、温度50℃のも
のは粒子が見えなくなっている所が観察された。
【0280】以上のように、粒子の熱挙動を目視観察し
た結果、上記の様にして製造した本発明の樹脂粒子は、
二種類の樹脂粒子の混合したものではなく、一つの粒子
中に二種の樹脂が含有されており、この場合には、高T
gの樹脂が外層に低Tgの樹脂が内層に各々分配したコ
ア−シェル粒子であることが確認された。
【0281】 比較用樹脂粒子の製造例1:(RAL−1) 分散安定用樹脂(Q−1)8.0g、メチルメタクリレ
ート15g、エチルアクリレート22.5g、アクリル
酸7.5g、3−メルカプトプロピオン酸メチル1.3
g及びアイソパーH165gの混合溶液を窒素気流下攪
拌しながら温度60℃に加温した。重合開始剤として、
A.I.V.N.0.4gを加え2時間反応した。開始剤を添加
して20分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上昇
した。開始剤を0.2g加え、2時間反応した後、更に
開始剤0.3gを加え、3時間反応した。冷却後200
メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重
合率99%で平均粒径0.25μmの単分散性のラテッ
クスであった(粒子径を調整のために分散安定用樹脂
(Q−1)量は変更)。上記分散物の一部を遠心沈降機
を用いて粒子分を沈降させた後、沈降成分を取り出し、
減圧乾燥で乾燥させた。得られた樹脂分のガラス転移点
を測定したところ、28℃であった。
【0282】 比較用樹脂粒子の製造例2:(RAL−2) 分散安定用樹脂(Q−1)7.5g、メチルメタクリレ
ート22.5g、メチルアクリレート20g、アクリル
酸7.5g、3−メルカプトプロピオン酸1.5g及び
アイソパーH163gの混合溶液を、比較用樹脂粒子の
製造例1(ARL−1)と同様の方法に従って反応し、
樹脂粒子を合成した。得られた白色分散物は重合率98
%で平均粒径0.24μmの単分散性のラテックスであ
った。また、樹脂粒子分のガラス転移点は、60℃であ
った。
【0283】 転写層用樹脂粒子(AL)の製造例2:(AL−2) 下記分散安定用樹脂(Q−2)9g(固形分量とし
て)、酢酸ビニル65g、クロトン酸10g、プロピオ
ン酸ビニル25g及びアイソパーH291gの混合溶液
を、窒素気流下攪拌しながら温度80℃に加温した。
2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.B.
N.) 1.6gを加え2時間反応し、A.I.B.N.1.0gを
加え2時間、更にA.I.B.N.0.5gを加え3時間反応し
た。次に、温度を100℃に上げ且つ、窒素気流を50
0ml/分の流量下で2時間攪拌し、未反応のビニルエス
テルモノマーを留去した後、冷却して200メッシュの
ナイロン布を通し、白色分散物を重合率87%で得た。
平均粒径0.17μmの単分散ラテックスであった。
【0284】
【化37】
【0285】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)全
量及び分散安定用樹脂粒子(Q−1)12gの混合溶液
を窒素気流下攪拌しながら、温度60℃に加温した。こ
れに、メチルメタクリレート38g、2−ブトキシエチ
ルメタクリレート50g、アクリル酸12g、3−メル
カプトプロピオン酸メチル2.6g及びA.I.V.N.0.8
gの混合物を2時間で滴下し、そのまま1時間反応し
た。次に開始剤を0.8g加え、温度75℃にして2時
間反応し、更に開始剤を0.6g加え3時間反応した。
冷却後、200メッシュのナイロン布を通し、得られた
白色分散物は、重合率98%で平均粒径0.24μmの
単分散性良好なラテックスであった。
【0286】 転写層用樹脂粒子(AL)の製造例3:(AL−3) 下記構造の分散安定用樹脂粒子(Q−3)25g、アイ
ソパーH300g及び酢酸エチル100gの混合溶液を
窒素気流下に攪拌しながら温度60℃とした。この溶液
中に2−ヒドロキシエチルメタクリレート8g、フェネ
チルメタクリレート65g、下記構造の単量体(b−
1)27g、チオグリコール酸1.5g、A.I.V.N.0.
6g及びアイソパーH199.5g及び酢酸エチル6
6.5gの混合物を1時間で滴下した。そのまま1時間
反応し後、A.I.V.N.0.3gを加えて2時間、更にA.I.
V.N.0.3gを加えて3時間反応した。次に、減圧度3
0mmHgで酢酸エチルを留去し、留去した分量と同量
のアイソパーHを加えた後、冷却し、200メッシュの
ナイロン布で濾過して白色分散物を得た。重合率93
%、平均粒径0.20μmの単分散ラテックスであっ
た。
【0287】
【化38】
【0288】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)3
72g及び分散安定用樹脂(Q−1)16gの混合溶液
を窒素気流下攪拌しながら温度75℃に加温した。これ
に、酢酸ビニル70g、下記構造の単量体(b−2)2
5g、ビニル酢酸5g、アイソパーH400g及びA.I.
V.N.0.9gの混合物を2時間で滴下し、そのまま更に
2時間反応した。開始剤を0.8g加え、温度85℃に
して2時間反応し、更に開始剤としてA.I.B.N.0.6g
を加え3時間反応した。冷却後、200メッシュナイロ
ン布を通し、得られた白色分散物の重合率は98%で平
均粒径0.26μmの単分散性良好なラテックスであっ
た。
【0289】
【化39】
【0290】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例4〜1
0:(AL−4)〜(AL−10) 転写層用樹脂粒子(AL)の製造例1において、下記表
−Bに記載の各単量体を用いた他は、上記製造例と全く
同様に操作して樹脂粒子(AL−4)〜(AL−10)を
製造した。得られた各ラテックス粒子の重合率は95〜
99%であり、平均粒径は0.20〜0.30μmの範
囲で各々単分散性は良好であった。
【0291】
【表2】
【0292】
【表3】
【0293】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例11〜1
6:(AL−11)〜(AL−16) 転写層用樹脂粒子(AL)の製造例3において、単量体
(b−2)の代わりに、下記表−Cに記載の各単量体を
用いた他は、上記製造例3と全く同様に操作して本発明
の粒子(AL−11)〜(AL−16)を製造した。得られ
た各ラテックス粒子の重合率は95〜99%であり、平
均粒径は0.18〜0.30μmの範囲で各々単分散性
は良好であった。
【0294】
【表4】
【0295】 転写層用樹脂粒子(AL)の製造例17:(AL−17) 分散安定用樹脂(Q−4)15g、メチルメタクリレー
ト48g、2,3−ジプロピオニルオキシプロピルメタ
クリレート40g、アクリル酸12g、3−メルカプト
プロピオン酸メチル2.0g及びアイソパーH549g
の混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温
した。重合開始剤としてA.I.V.N.0.8gを加え、2時
間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁を生じ、
反応温度は88℃まで上昇した。開始剤を0.5g加
え、2時間反応した後、更に開始剤0.3gを加え、3
時間反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を
通し、得られた白色分散物は重合率98%で平均粒径
0.18μmの単分散性ラテックスであった。
【0296】上記樹脂粒子分散物(即ちシード粒子)2
60g及び分散安定用樹脂(Q−1)14g、下記構造
のマクロモノマー(m−1)10g及びアイソパーH5
53gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃
に加温した。これに、ベンジルメタクリレート75g、
アクリル酸10g、単量体(B−8)15g、3−メル
カプトプロピオン酸2g及び2,2′−アゾビス(2−
シクロプロピルプロピオニトリル)(略称:A.C.P.P.)
1.0gの混合溶液を1時間で滴下した。そのまま1時
間攪拌後、A.C.P.P.0.8gを加え2時間反応した。更
にA.I.B.N.0.5gを加え、温度を80℃に設定し、3
時間反応した。冷却後、200メッシュナイロン布を通
し得られた白色分散物の重合率は97%で平均粒径0.
24μmの単分散性良好なラテックスであった。
【0297】
【化40】
【0298】転写層用樹脂粒子(AL)の製造例18〜2
0:(AL−18)〜(AL−20) 樹脂粒子(AL)の製造例において、マクロモノマー
(m−1)10gの代わりに下記表−Dの各マクロモノ
マー(m)(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用い
た他は上記製造例17と同様にして各樹脂粒子を合成し
た。各粒子の重合率は98〜99%で、それらの粒子の
平均粒径は0.20〜0.25μmの範囲内で、粒子の
粒度分布も狭く、単分散性が良好であった。
【0299】
【表5】
【0300】 熱可塑性樹脂粒子(AL)の製造例21:(AL−21) 下記構造の樹脂(A−1)20g及び下記構造の樹脂
(A−2)30gをテトラヒドロフラン100gを用い
て温度40℃で加熱溶解した後、溶媒を留去し、減圧乾
燥した。次にこの固形物を、トリオブレンダー(トリオ
サイエンス(株)製)を用いて粗粉砕した後、この粉砕
物20g、下記構造の分散安定用樹脂(Q−5)5g及
びアイソパーG80gからなる混合物をダイノミルにて
分散した。得られた粒子分散物は、平均粒径0.45μ
mのラテックスであった。
【0301】
【化41】
【0302】 熱可塑性樹脂粒子(A2L)の合成例1:(A2L−1) 分散安定用樹脂(Q−1)10g、下記構造のマクロモ
ノマー(m−5)20g及びアイソパーH560gの混
合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度65℃に加温し
た。これにメチルメタクリレート28g、3−エトキシ
プロピルメタクリレート40g、アクリル酸12g、3
−メルカプトプロピオン酸2.6g及びA.I.V.N.0.8
gの混合溶液を1時間で滴下した。そのまま1時間攪拌
後、A.I.V.N.0.8gを加え2時間反応した。更に、A.
I.B.N.0.5gを加え、温度を80℃に設定し、3時間
反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
得られた白色分散物は重合率97%で、平均粒径0.2
0μmの単分散性ラテックスであった。また、樹脂粒子
分のMwは9×103 、ガラス転移点は20℃であっ
た。
【0303】
【化42】
【0304】 熱可塑性樹脂粒子(A2L)の合成例2:(A2L−2) 分散安定用樹脂(Q−4)18g及びアイソパーH56
0gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃に
加温した。これに、ベンジルメタクリレート48g、2
−メトキシエチルメタクリレート40g、アクリル酸1
2g、3−メルカプトプロピオン酸メチル3.2g及び
A.I.V.N.0.8gの混合溶液を1時間で滴下した。その
まま1時間攪拌後、A.I.V.N.0.8gを加え2時間反応
した。更に、A.I.B.N.0.5gを加え、温度を80℃に
設定し、3時間反応した。冷却後、200メッシュのナ
イロン布を通し得られた白色分散物は重合率97%で、
平均粒径0.20μmの単分散性ラテックスであった。
また、樹脂粒子分のMwは8.5×103 、ガラス転移
点は18℃であった。
【0305】熱可塑性樹脂粒子(A2L)の合成例3〜
8:(A2L−3)〜(A2L−8) 樹脂粒子(A2L)の合成例2において用いた各単量体
の代わりに下記表−Eの各単量体を用いた他は、上記合
成例3と同様に操作して各樹脂粒子を製造した。得られ
た各粒の平均粒径は0.15〜0.25μmの範囲の単
分散性良好なラテックスであった。また各樹脂粒子分の
Tgは15〜28℃の範囲であった。
【0306】
【表6】
【0307】〔結着樹脂(P)の合成例〕 樹脂(P)の合成例1:(P−1) メチルメタクリレート80g、ジメチルシロキサンのマ
クロモノマー(M−1):プラクセルFM−0725
{チッソ(株)製、Mw1×104 }20g及びトルエ
ン200gの混合溶液を、窒素気流下温度75℃に加温
した。これにA.I.B.N.1.0gを加え4時間反応し、更
にA.I.B.N.0.7gを加えて4時間反応した。得られた
共重合体のMwは5.8×104 であった(G.P.
C.法測定値)。
【0308】
【化43】
【0309】 樹脂(P)の合成例2〜9:(P−2)〜(P−9) 樹脂(P)の合成例1において、メチルメタクリレート
及びマクロモノマー(M−1):プラクセルFM−07
25の代わりに、下記表−Fに記載の重合体成分に相当
する各単量体を用いた他は、上記合成例1と同様にし
て、各重合体を合成した。得られた各重合体のMwは、
4.5×104 〜6×104 の範囲であった。
【0310】
【表7】
【0311】
【表8】
【0312】樹脂(P)の合成例10:(P−10) 2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタク
リレート60g、メチルメタクリレートのマクロモノマ
ー(AA−6){東亜合成化学(株)製、Mw1×10
4 }40g、ベンゾトリフルオリド200gの混合溶液
を窒素気流下に温度75℃に加温した。これにA.I.B.N.
1.0gを加え4時間反応し、更にA.I.B.N.0.5gを
加えて4時間反応した。得られた共重合体のMwは6.
5×104 であった。
【0313】
【化44】
【0314】樹脂(P)の合成例11〜12:(P−1
1)〜(P−12) 樹脂(P)の合成例10において用いた単量体及びマク
ロモノマーの代わりに、下記表−Gに記載の重合体成分
に相当する各単量体及び各マクロモノマーを用いた他
は、上記合成例10と同様にして、各共重合体を合成し
た。得られた共重合体のMwは4.5×104 〜6×1
4 の範囲であった。
【0315】
【表9】
【0316】樹脂(P)の合成例13:(P−13) メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート22
g、メタクリル酸1g及びトルエン200gの混合溶液
を、窒素気流下に温度80℃に加温した。これに下記構
造の高分子アゾビス開始剤(PI−1)10gを加えて
8時間反応した。反応終了後、メタノール1.5リット
ル中に再沈し、得られた沈澱物を補集、乾燥して、収量
75gでMw3×104 の共重合体を得た。
【0317】
【化45】
【0318】樹脂(P)の合成例14:(P−14) エチルメタクリレート50g、グリシジルメタクリレー
ト10g及びベンジルN,N−ジエチルジチオカーバメ
ート4.8gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、
温度50℃に加温した。これに、400Wの高圧水銀灯
で10cmの距離からガラスフィルターを通して、6時
間光照射し光重合した。これをテトラヒドロフラン10
0gに溶解し、更に、下記単量体(M−1)40gを加
えた後、窒素置換し再び10時間光照射した。得られた
反応物をメタノール1リットルに再沈し、補集、乾燥し
た。得られた重合体は、収量73gでMw4.8×10
4であった。
【0319】
【化46】
【0320】樹脂(P)の合成例15〜18:(P−1
5)〜(P−18) 樹脂(P)の合成例14と同様にして、下記表−Hの各
共重合体を合成した。得られた重合体のMwは3.5×
104 〜6×104 の範囲であった。
【0321】
【表10】
【0322】樹脂(P)の合成例19:(P−19) 樹脂(P)の合成例14において、ベンジルN,N−ジ
エチルジチオカーバメイトの代わりに、下記構造の開始
剤(I−11)18gを用いた他は上記合成例14と同
様に合成し、Mw4.5×104 の共重合体を得た。
【0323】
【化47】
【0324】樹脂(P)の合成例20:(P−20) メチルメタクリレート68g、メチルアクリレート22
g、グリシジルメタクリレート10g及び下記構造の開
始剤(I−12)17.5g及びテトラヒドロフラン1
50gの混合溶液を窒素気流下に温度50℃に加温し
た。この溶液に400Wの高圧水銀灯で10cmの距離
からガラスフィルターを通して10時間光照射し光重合
した。得られた反応物をメタノール1リットル中に再沈
し、沈殿物を補集し乾燥して、収量72gでMw4.0
×104 の重合体を得た。この重合体70g、単量体
(M−2)30g及びテトラヒドロフラン100gの混
合溶液を、窒素気流下に温度50℃とし、上記と同条件
で13時間光照射した。次にこの反応物をメタノール
1.5リットル中に再沈し、沈殿物を捕集、乾燥して収
量78gでMw6×104 の共重合体を得た。
【0325】
【化48】
【0326】樹脂(P)の合成例21〜25:(P−2
1)〜(P−25) 樹脂(P)の合成例20において、開始剤(I−12)
17.5gの代わりに、下記表−Iの開始剤(I)0.
031モルを用いた他は、該合成例20と同様の条件で
操作した。得られた各重合体の収量は70〜80gでM
w4×104 〜6×104 であった。
【0327】
【表11】
【0328】
【表12】
【0329】〔樹脂粒子(PL)の合成例〕 樹脂粒子(PL)の合成例1:(PL−1) 下記構造の単量体(LM−1)40g、エチレングリコ
ールジメタクリレート2g、下記構造の分散安定用樹脂
(LP−1)4.0g及びメチルエチルケトン180g
の混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温
した。A.I.V.N.0.3gを加え3時間反応した。更に、
A.I.V.N.0.1gを加えて4時間反応した。冷却後、2
0メッシュのナイロン布を通して白色分散物を得た平均
粒子径0.25μmのラテックスであった。
【0330】
【化49】
【0331】 樹脂粒子(PL)の合成例2:(PL−2) 分散安定用樹脂として(AB−6){東亜合成(株)
製:ブチルアクリレート単位から成る一官能性マクロモ
ノマー}5g及びメチルエチルケトン140gの混合溶
液を、窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。
これに、下記構造の単量体(LM−2)40g、エチレ
ングリコールジアクリレート1.5g、A.I.V.N.0.2
g及びメチルエチルケトン40gの混合溶液を1時間で
滴下した。そのまま2時間反応後、更にA.I.V.N.0.1
gを加え3時間反応して、白色分散物を得た。冷却後、
200メッシュのナイロン布を通して得られた分散物の
平均粒径0.35μmであった。
【0332】
【化50】
【0333】樹脂粒子(PL)の合成例3〜6:(PL
−3)〜(PL−6) 樹脂粒子(PL)の合成例1において、単量体(LM−
1)、エチレングリコールジメタクリレート及びメチル
エチルケトンの代わりに下記表−Jの各化合物に代えた
他は、該合成例1と同様にして樹脂粒子を製造した。得
られた各樹脂粒子の平均粒径は0.15〜0.30μm
の範囲であった。
【0334】
【表13】
【0335】実施例1 X型無金属フタロシアニン{大日本インキ(株)製}2
g、下記構造の結着樹脂(B−1)14.4g、下記樹
脂(B−2)3.6g、下記構造の化合物(A)0.1
5g及びテトラヒドロフラン80gの混合物を、500
mlのガラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペイント
シェーカー(東洋精機製作所製)で60分間分散した
後、ガラスビーズをろ別して感光層分散液とした。
【0336】
【化51】
【0337】次いでこの分散液を脱脂処理した0.2m
m厚のアルミニウム版の上にワイヤーバーで塗布し、指
触乾燥した後110℃循環式オーブンで、20秒間加熱
した。得られた感光体の膜厚は8μmであった。上記感
光体上に膜厚1.5μmの下記内容の易剥離性表面層を
設けた。 <易剥離性表面層の形成>下記構造のシリコン樹脂10
g、下記構造の架橋剤1g、下記構造の架橋制御剤0.
2g及び架橋用触媒白金0.1gをn−ヘキサン100
g中に含有した塗布物をワイヤーラウンドロッドを用い
て、膜厚1.5μmになる様に塗布し、指触乾燥後、更
に120℃で10分間加熱した。得られた該表面の粘着
力は1g・f以下であった。
【0338】
【化52】
【0339】上記の易剥離性表面の感光体を、図2に示
す装置に電子写真感光体11として装着した。電子写真
プロセスにより感光体上にトナー画像の形成を行なっ
た。感光体11を暗所にてコロナ帯電装置18の下を通
過させ、+450vにコロナ帯電をしたのち、あらかじ
め原稿からカラースキャナーにより読み取り、色分解
し、システム特有の幾つかの色再現に関わる補正を加え
た後、デジタル画像データとしてシステム内のハードデ
ィスクに記憶させてあった情報をもとにネガ像モード
で、半導体レーザー描画装置19を用いて788nmの光
で感光体上露光量が30erg/cm2になるように露光し
た。
【0340】他方、下記の方法で液体現像剤(LD−
1)を調製した。 ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート65g、メチルアクリレート35
g、下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH6
80gの混合溶液を窒素気流下に、攪拌しながら温度6
5℃に加温した。これに、A.I.V.N.1.2gを加え2時
間反応し、更にA.I.V.N.0.5gを加えて2時間反応
し、更にA.I.V.N.0.5gを加えて2時間反応した。次
に、反応温度を90℃に上げて、30mmHgの減圧下に1
時間攪拌し、未反応単量体を除去した。室温に冷却後、
200メッシュのナイロン布を通して濾過し、白色分散
物を得た。得られた分散物の単量体の反応率は95重量
%で樹脂粒子の平均粒径は0.25μmで且つ単分散性
良好なものであった。
【0341】
【化53】
【0342】・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)10g、ニグロシン10
g及びアイソパーG30gをガラスビーズと共にペイン
トシェーカー{東京精機(株)製}に入れ、4時間分散
し、ニグロシンの微小な分散物を得た。
【0343】・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシル
アミド共重合体0.2g及びFOC−1800{日産化
学(株)製}15gをアイソパーG1リットルに希釈す
ることにより静電写真用液体現像剤(LD−1)を作製
した。上記の方法で製造した液体現像剤(LD−1)を
用い、一対の平板現像電極を有する現像装置で感光材料
面側電極に+400Vのバイアス電圧を印加し、露光部
にトナーが電着するようにした反転現像を行ない、つい
でアイソパーH単独浴中でリンスをして非画像部の汚れ
を除いた。この様にして得られた製版後の感光材料をヒ
ートロールの定着方法でトナー画像を定着した。
【0344】感光体ドラム上に、下記内容の樹脂(A)
の分散液〔L−1〕を湿式電着ユニット13aに供給
し、湿式電着方法で第1転写層12T1 を形成した。 ・樹脂(A)分散液〔L−1〕 前記樹脂粒子(AL−2) 20g(固形分量として) 荷電調整用化合物(D−1) 0.12g (オクタデシルビニルエーテル/t−オクチル マレイン酸半アミド)共重合体 荷電調整補助剤(AD−1) 0.1g 〔ドデシルメタクリレート/メタクリル酸(95/5)重量比〕共重合体 を全量で1リットルになる様にアイソパーHで調整し
た。
【0345】感光体ドラムの周速度を100mm/秒で回
転させ、感光体表面にスリット電着装置を用いて分散液
を供給しながら、感光体側を接地しスリット電着装置の
電極側に−100Vの電圧を印加して樹脂粒子を電着し
た。次いで吸排気ユニットを用いエアースクイズで分散
液を除き予熱手段の赤外線ラインヒーターにて溶融・皮
膜化し熱可塑性樹脂転写層12T1 を形成した。このと
きの膜厚1.0μmであった。
【0346】更に樹脂(A)の分散液として、上記分散
液〔L−1〕において樹脂粒子(AL−2)20gの代
わりに前記樹脂分散物(A2L−1)20g(固形分量
として)を用いた他は該分散液〔L−1〕と同様の組成
の樹脂(A)の分散液〔L−2〕を用い、更に電着時の
印加電圧を−120Vとした他は、上記の第1転写層1
2T1の形成法と同様の方法で、上記第1転写層12
(T1)の上に第2転写層12T2を形成した。第2転写
層(T2)の膜厚は1.0μmであった。
【0347】つぎに表面温度を温度調節手段17で50
℃に設定された感光体ドラムと、130℃に設定された
転写用バックアップローラー17b及び10℃に設定さ
れた剥離用バックアップローラー17cの間に、被転写
材として、FujiPSプレート;FPD{富士写真フ
ィルム(株)製}に用いられる脱脂処理したアルミ支持
体16を導き、ニップ圧を4kgf/cm2、ドラム周速を1
20mm/秒として、加熱と加圧を行ったところ、トナー
画像はアルミ支持体上にすべて転写し、高画質の鮮明な
トナー画像が得られた。
【0348】他方、転写層を設けることなく転写する方
法でトナー画像を脱脂したアルミ支持体上に転写形成
し、本発明と比較した。得られたアルミ支持体の画像
に、トナー画像の欠落あるいは画像濃度にムラのある所
が見られた。更に細線・細文字等の部分を20倍のルー
ペで目視観察した所、細かな画像の欠落が認められた。
また、感光体の表面を観察した所、トナー画像部の残存
が認められた。
【0349】更に、転写層として、膜厚2.0μmから
成る樹脂(AL−2)のみで構成された単一樹脂層をト
ナー画像を設けた感光体上に設けて転写する方法で比較
した。本発明の上記転写条件で、アルミ支持体上に転写
を行なった所、得られたアルミ支持体上の画像は転写ム
ラを生じた。そこでこの比較転写層を設けた時に、完全
に転写する条件を調べた所、下記の条件において可能と
なった。 感光体表面温度 : 70℃ ドラム周速 : 90mm/秒 このことは、トナー画像を形成した感光体上に転写層を
設けてトナー画像を転写層ごと最終被転写材上に転写す
る本発明の方法は、感光体上から最終被転写材上にトナ
ー画像を、低温転写温度・高速転写スピードで良好に転
写する方法として非常に良好であることが判る。
【0350】次に、アルミ支持体16に転写層12を転
写した版を不感脂化処理(即ち転写層除去)して、印刷
版としての印刷性能を調べた。上記の版を下記の不感脂
化処理液〔E−1〕中に20秒間浸漬して版面をゆるく
毛ブラシでこすりながら非画像部の転写層を除去し、充
分水洗した後、ガム引きし、オフセット用印刷版を作成
した。この様にして得た印刷版を200倍の光学顕微鏡
を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察したとこ
ろ、非画像部には転写層の残存は認められず、且つ画像
部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認められなか
った。 ・不感脂化処理液〔E−1〕 PS版処理剤〔DP−4〕{富士写真フィルム(株)
製}を蒸留水で50倍に希釈した溶液(pH12.5、
温度35℃)
【0351】この版を浸し水としてPS版用浸し水〔S
G−23〕{東京インキ(株)製}を蒸留水で130倍
に希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機として
オリバー94型{(株)桜井製作所製}を用い、印刷紙
として中性紙を使用して、各種オフセット印刷用色イン
キで印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる
印刷枚数を調べた。その結果、色インキの種類にかかわ
らず、いずれの場合も6万枚以上の耐刷枚数が得られ
た。
【0352】更に、本発明の印刷版による印刷を行った
後、通常の操作のまま、次にPS版を印刷したところ、
何の問題も生じなかった。即ち、印刷機を同一にして、
PS版等の他のオフセット印刷版と容易に共用できるこ
とが確認された。以上の様に、本発明によって供される
オフセット印刷版は、半導体レーザー光スキャニング露
光方式によって得られる画像再現性が極めて良好で且つ
それが印刷物に良好に再現されること、色インキ適性が
充分で、インキ選択性がほとんどみられず、フルカラー
印刷が高耐刷性で得られること、他のオフセット印刷版
と容易に共用できること等、極めて優れた性能を示すこ
とが確認された。
【0353】実施例2 図2に示される装置に、電子写真感光体としてアモルフ
ァスシリコン感光体{京セラ(株)製}を装着した。こ
の感光体表面の粘着力は220g・fであった。この感
光体への離型性付与は、同一装置内で本発明の化合物
(S)を溶解した溶液に浸漬させる(浸漬方法)ことで
行なった。即ち、下記化合物(S−1)1.0gをアイ
ソパーG{エッソ(株)製}1リットル中に溶解した溶
液を入れた浴に上記感光体を周速10mm/秒の回転速度
で回転し7秒間触れる様にして処理し、エアースクイズ
で乾燥した。この様にして得られた該感光体表面の粘着
力を測定した所3g・fと低下し、良好な離型性を示し
た。
【0354】
【化54】
【0355】次に上記の感光体を感光体の表面温度を5
0℃に調整して、+700Vにコロナ帯電した後、あら
かじめ原稿からカラースキャナーにより読み取り、色分
解しシステム特有の幾つかの色再現に関わる補正を加え
た後、デジタル画像データとしてシステム内のハードデ
ィスクに記憶させてあった情報をもとに半導体レーザー
を用いて780nmの光で露光した。露光部の電位は+2
20Vで未露光部は+600Vであった。
【0356】続いて現像ユニットに組み込まれているプ
レバス装置によりアイソパーG(エッソスタンダード石
油製)にてプレバスをしたのち、下記内容の液体現像剤
〔LD−2〕を現像ユニットから感光体表面へ供給し
た。この時現像ユニット側へ+500Vの現像バイアス
電圧を印加し、反転現像を行なって未露光部にトナーが
電着するようにした。次いでアイソパーG単独浴中でリ
ンスをして非画像部の汚れを除き、吸排気ユニットにて
乾燥した。
【0357】・液体現像剤〔LD−2〕 被覆用樹脂:ポリ〔オクタデシルメタクリレート/メチ
ルメタクリレート(9/1)モル比〕共重合体及びカー
ボンブラック#40(三菱化成(株)製)を重量比にし
て2:1にて充分に混合した後、140℃に加熱した三
本ロールミルにて、溶融混練した。この混練物12g、
スチレン−ブタジエン共重合体{ソルプレン1205
旭化成(株)製}4g、アイソパーG76gよりなる混
合物をダイノミルにて分散した。これによって得たトナ
ー濃厚液を固形分濃度が6g/リットルとなるようにア
イソパーGにて希釈し、更にジオクチルスルホコハク酸
ソーダを1×10-4モル/リットルとなるように添加
し、現像剤とした。
【0358】次に、該感光体表面温度を50℃としたま
ま感光体ドラムの周速度を100mm/秒で回転させ感光
体表面にスリット電着装置を用いて下記内容の正荷電樹
脂粒子分散液〔L−3〕を供給しながら、感光体側を接
地しスリット電着装置の電極側に−100Vの電圧を印
加して樹脂粒子を電着・定着した。この時の膜厚は0.
8μmであった。 ・樹脂粒子分散液〔L−3〕 樹脂粒子(AL−3) 20g(固形分量として) 正荷電用調節剤(CD−2) 0.10g {1−ヘキサデセン/N−デシルマレイン酸 半アミド(1/1)重量比}共重合体 分枝テトラデシルアルコールFOC−1400 5g {日産化学(株)製} をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調整し
た。
【0359】続けて、下記の正荷電樹脂粒子分散液〔L
−4〕を、印加電圧−160V下で、上記と同様にして
電着して、膜厚1.5μmの転写層を形成した。 ・樹脂粒子分散液〔L−4〕 分散液(L−3)において、樹脂粒子(AL−3)20
gの代わりに、樹脂粒子(A2 L−2)20g(固有分
量として)を用いた他は〔L−4〕と同組成のものに調
整した。
【0360】次に表面温度を温度調節手段で60℃に設
定された感光体ドラム11と、100℃に設定された転
写用バックアップローラー17b及び10℃に設定され
た剥離用バックアップローラー17cの間に、被転写材
16であるFPDプレートを導き、ニップ圧を3.8kg
f/cm2、ドラム周速を60mm/秒として、加熱と加圧を
行ったところ、トナー画像はプレート上にすべて転写
し、高画質の鮮明なトナー画像が得られた。
【0361】このようにして得られた製版原版を、RI
COH FUSER モデル592{リコー(株)製}
を用いて更に加熱し、トナー部を充分に定着した後、2
00倍の光学顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部
を目視観察したところ、非画像部には転写層の残存は認
められず、且つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の
欠落は認められなかった。即ち、本発明のように、特定
の離型性付与剤を転写層形成上電着分散液に含有させて
処理することにより、感光体表面に該電着液が濡れると
同時に該分散液中に溶解していた離型性付与剤が選択的
に吸着し、その後電気泳動してきた樹脂粒子(AL)が
付着又は吸着することによるものと推定される。
【0362】この版を、温度30℃の下記処方の不感脂
化処理液〔E−2〕中に20秒間浸漬し、且つその間ゆ
るくこすりながら、転写層を除去し、充分水洗した後、
ガム引きし、オフセット用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−2〕 亜硫酸ナトリウム 85g N,N−ジメチルエタノールアミン 15g を蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH12.0に
調整して全量を1リットルにしたもの。
【0363】この様にして得た印刷版を、200倍の光
学顕微鏡を用いて非画像部の転写層の有無及びトナー画
像部の欠落の有無を目視観察した。不感脂化処理性は良
好で、転写層は完全に除去され、地汚れは見られなかっ
た。且つ画像部の細文字、細線及び網点連続階調の中間
部等の高精細な画像部においても、トナー画像の欠落は
認められず、画像部レジスト性は良好であった。
【0364】この版を浸し水としてPS版用浸し水〔S
G−23〕{東京インキ(株)製}を蒸留水で130倍
に希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機として
オリバー94型{(株)桜井製作所製}を用い、印刷紙
として中性紙を使用して、各種オフセット印刷用色イン
キで印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる
印刷枚数を調べた。その結果、色インキの種類にかかわ
らず、いずれの場合も6万枚以上の耐刷枚数が得られ
た。以上のように、トナー画像形成用に用いる液体現像
剤〔LD〕の種類によっては、トナー画像部と被転写材
との充分な密着性を保持させ、印刷時のトナー画像強度
を維持するために、転写層ごと転写した後に、密着性向
上手段を組み合わせてもよい。
【0365】本実施例の態様の他の手段として、フラッ
シュ定着による方法、ヒートロール定着による方法にお
いても、同様の効果が得られた。
【0366】また、上記方法において、感光体表面に電
子写真プロセスを行なう同一装置内で化合物(S)を付
着又は吸着させて、該感光体表面に離型性を付与する方
法として、上記浸漬法に代えて、以下の(1)〜(4)の方法
を行なった。
【0367】(1) 実施例2における化合物(S)塗設部
分110において、感光体11に離型性付与のため下記
構造の化合物(S−2){カルボキシ変性シリコンオイ
ルTSF4770:東芝シリコン(株)製}のオイルを
入れた浴に接したシリゴム層を最表面に有するメタリン
グロールを該感光体に接触させ、周速15mm/秒の回転
スピードで、両ドラムを20秒間回転させた。この処理
により感光体11表面の粘着力は5g・fとなった。
【0368】
【化55】
【0369】また、シリコンオイル浴に浸されたメタリ
ングロールと感光体の間にスチレン−ブタジエンゴム層
を最表面に有するトランスファーロールを介して処理し
ても、上記と同様の結果が得られた。更には、上記メタ
リングロール/トランスファーロールを用いる方法にお
いて、図5に示す様にメタリングロール112とトラン
スファーロール111の間に該化合物(S−2)113
を供給する方法を化合物(S)塗設部分110に適用し
ても同様に良好な結果が得られた。
【0370】(2) 化合物(S−3):ジメチルシリコン
オイル{KF−96L−2.0:信越シリコーン(株)
製}2gを均一に含浸させたAW処理フェルト〔厚み1
5mm×巾20mmのウール材質〕を感光体に押圧200g
で圧接し、感光体を周速20mm/秒の回転速度で30秒
間回転した。処理後の感光体表面の粘着力は5g・fと
なった。
【0371】(3) 加熱手段を内蔵したゴムローラーに、
化合物(S−4):フッ素系界面活性剤サーフロン〔S
−141;旭硝子(株)製}を含浸させた布を巻きつけ
たローラーを、表面温度60℃に加熱した後、感光体と
接触させ、両ドラムを周速度20mm/秒回転速度で30
秒間回転した。感光体表面の粘着力は12g・fになっ
た。
【0372】(4) 金属芯ローラーにシリコンゴムを巻い
たシリゴムローラー{(株)金陽社製}を、感光体表面
にニップ圧500gf/cm2で当接し、周速15mm/秒の回
転速度で10秒間回転した。これにより該感光体表面の
粘着力は、10g・fに低下した。
【0373】これらの(1)〜(4)の方法によって、上記と
同様にして、トナー画像形成・PSプレートへの転写印
刷版の作成及び印刷を行なった。いずれも、実施例2と
同様の良好な結果を示した。
【0374】実施例3 X型無金属フタロシアニン{大日本インキ(株)製}1
g、下記構造の結着樹脂(B−3)8g、下記構造の化
合物(A)0.15g及びテトラヒドロフラン80gの
混合物を、500mlのガラス容器にガラスビーズと共に
入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で60
分間分散し、更にこれに樹脂(P−2)2.0g、無水
フタル酸0.03g及びo−クロロフェノール0.00
2gを加えて2分間分散した後、ガラスビーズをろ別し
て感光層分散液とした。
【0375】
【化56】
【0376】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.
2mm厚のアルミニウム版の上にワイヤーバーで塗布し、
指触乾燥した後、110℃循環式オーブンで20秒間加
熱した。更に140℃で1時間加熱した。得られた感光
層の膜厚は8μmであった。感光体表面をJIS Z−
0237−1980の「粘着テープ・シート試験方法」
により、表面の粘着力を測定した所、3g・fであっ
た。他方、比較として、上記感光体において、樹脂(P
−2)2.0gを除き、樹脂(B−1)10gを用いた
他は全く同様にして電子写真感光体を作成したところ、
表面の粘着力は420g・fであった。実施例1と同様
に転写層を付与して転写させたところ、全く剥離性を示
さなかった。
【0377】次に、この感光体を用いて、実施例1と同
様にして、トナー画像形成し、続けて、積層構成の転写
層を形成した。即ち、感光体表面温度を60℃とし且
つ、感光体ドラムの周速度を100mm/秒で回転させ感
光体表面にスリット電着装置を用いて下記内容の正荷電
樹脂粒子分散液〔L−5〕を供給しながら、感光体側を
接地しスリット電着装置の電極側に−120Vの電圧を
印加して樹脂粒子を電着・定着した。この第1転写層1
2(T1)の膜厚は1.5μmであった。 ・樹脂粒子分散液〔L−5〕 樹脂粒子(AL−17) 20g(固形分量として) 正荷電用調節剤(CD−3) 0.11g {オクタデシルビニルエーテル/N−ヘキサデシルマレイン酸 半アミド(1/1)重量比}共重合体 下記構造の荷電調整補助剤(AD−2) 0.5g をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調整し
た。
【0378】
【化57】
【0379】更にこの上に第2の転写層(T2)を上記と
同様の方法で、下記分散液〔L−6〕を用い、印加電圧
−100Vで電着した。この第2転写層12T2 の膜厚
は1.0μmであった。 ・樹脂粒子分散液〔L−6〕 樹脂粒子(A2 L−1) 20g(固形分量として) 上記正荷電用調節剤(CD−3) 0.11g 上記荷電調整補助剤(AD−2) 0.5g をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調整し
た。
【0380】続けて、最終被転写材として、紙版マスタ
ーのストレート・マスター{三菱製紙(株)製}を用い
て、実施例1と同様の方法で印刷原版の作成を行なっ
た。ストレートマスター上に転写されたトナー画像は、
地汚れもなく、高画質の鮮明なものであり、また、感光
体上に転写層及びトナー画像の残存は、全く認められな
かった。
【0381】次に、上記の版を、温度35℃の下記内容
の不感脂化処理液〔E−3〕中に15秒間浸漬して版面
をゆるく毛ブラシでこすりながら非画像部の転写層を除
去し、充分水洗した後、ガム引きし、平版用印刷版を作
成した。 ・不感脂化処理液〔E−3〕 2−メルカプトプロピオン酸 80g N−メチルエタノールアミン 20g グリセリン 10g を蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH12.4に
調整した全量1リットルの水溶液
【0382】この様にして得た印刷版を200倍の光学
顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察し
たところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且
つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認めら
れなかった。この版を実施例1と同様にして平版印刷し
た所、色インキの種類にかかわらず、いずれの場合も千
枚以上の地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が得ら
れた。
【0383】実施例4 実施例3において、トナー画像形成の感光体上への第2
転写層(T2)の形成法として用いた湿式電着法の代わり
に、図4に示す離型紙からの転写法を適用して行なっ
た。即ち、離型紙20として、セパレート紙{王子製紙
(株)製〕を用い、この上に、下記樹脂(A−3)及び
前記樹脂(A−2)の(4/6)重量比から成る2μm
の膜厚で塗膜形成した紙を、実施例2と同様の感光体に
圧接し、ローラー間圧力3kgf/cm2、表面温度60℃及
び通過スピード80mm/秒の条件下で感光体表面上に、
膜厚2μmの第2転写層12T2 を形成した。他は実施
例3と同様に操作して、印刷版を作成した。得られた最
終印刷物の画像及び耐刷枚数は実施例3と同様の性能を
示した。
【0384】
【化58】
【0385】実施例5 実施例3において、トナー画像形成の感光体上への第2
転写層12(T2)の形成法として用いた湿式電着法の代
わりに、図3に示すホットメルトコーターからの転写法
を行なった。即ち、赤外線ラインヒーターを点灯してそ
の下を通過させて、表面温度を放射温度計で測定してほ
ぼ60℃にしたのち、転写層用樹脂(A)として下記構
造の樹脂(A−4)を用い100℃設定のホルトメルト
コーター13により、20mm/秒のスピードで塗布を
し、冷却空気を吸排気ユニットから吹き付けて冷却し、
膜厚2μmの転写層12(T2)を形成した。他は実施例
3と同様に操作して、印刷版を作成した。得られた最終
印刷物の画像及び耐刷枚数は実施例3と同様の性能を示
した。
【0386】
【化59】
【0387】実施例6〜13 実施例3において、樹脂(P−2)2gの代わりに、下
記表−Kの樹脂(P)及び/又は樹脂粒子(L)を各々
用いた他は、実施例3と同様に操作して印刷版を作成
し、印刷を行なった。各印刷版から得られた印刷物の画
質及び耐刷性は実施例3と同様に良好であった。
【0388】
【表14】
【0389】実施例14〜23 実施例3において、樹脂(P−2)、無水フタル酸及び
o−クロロフェノールの代わりに、下記表−Lの各化合
物を用いた他は実施例3と同様に操作して印刷版を作成
し印刷を行なった。各印刷版から得られた印刷物の画質
及び耐刷性は実施例3と同様に良好であった。
【0390】
【表15】
【0391】実施例24 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂(B−
4)19g、下記構造の結着樹脂(B−5)3g、前記
樹脂(P−1)3g、ウラニン0.01g、ローズベン
ガル0.02g、ブロムフェノールブルー0.01g、
無水マレイン酸0.15g及びトルエン150gの混合
物をホモジナイザー{日本精機(株)製}に入れ、回転
数1×104 r.p.m.で10分間分散した。この分散物
に、無水フタル酸0.02g及びo−クロロフェノール
0.001gを加えて、更に回転数1×103 r.p.m.で
1分間分散した。
【0392】
【化60】
【0393】次いでこの分散液を導電性処理及び耐溶剤
処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上に塗
布量20g/m2となる様にワイヤーバーで塗布し、指触
乾燥した後、120℃で循環式オーブンで1時間加熱し
た。この様にして得られた感光体表面の粘着力を測定し
たところ、4g・fであった。他方、比較として、上記
感光体において、樹脂(P−1)3gを用いない他は全
く同様にして電子写真感光体を作成したところ、表面の
粘着力は400g・f以上であった。実施例1と同様に
転写層を付与して転写させたところ、感光体表面と転写
層との界面での剥離性を全く示さなかった。
【0394】この感光体を表面電位−600Vになるよ
うに帯電後、400W出力のハロゲンランプを用いて7
秒間面露光方式で露光した後、現像部のバイアス電圧を
100Vに設定して液体現像剤〔LD−1〕を用いて現
像し、次にアイソパーGのリンス浴を通してリンスを行
い、ヒートロールで画像を定着した。
【0395】次いで、感光体表面上に、以下の様にして
転写層形成を行った。下記の電着分散液〔L−6〕を用
い、感光体を−150Vに帯電して樹脂粒子を電着し、
膜厚2.0μmの第1転写層12(T1)を形成した。 ・樹脂(A)の電着分散液〔L−6〕 樹脂粒子(AL−19) 20g(固形分量として) 荷電調整用化合物(D−2) 0.038g 分枝テトラデシルアルコール(FOC−1400) 8g {日産化学(株)製} を全量1リットルになるようにアイソパーGで調整し
た。
【0396】続けて、上記分散液〔L−6〕の代わり
に、下記分散液〔L−7〕を用いて、印加電圧−100
Vで電着し、膜厚1.0μmの第2転写層12(T2)を
形成した。 ・樹脂(A)の電着分散液〔L−7〕 樹脂粒子(A2 L−3) 20g(固形分量として) 荷電調整用化合物(D−2) 0.038g FOC−1400 8g を全量1.0リットルになる様にアイソパーGで調整し
た。
【0397】次に、以上の様に製版された感光体を、表
面粘着力が60g・fに調整された膜厚100μmのシ
リコーンゴムで被覆した中空ローラーの内部に赤外線ラ
ンプヒーターを組み込んだ一対の加熱ローラーの間にO
Kマスターと重ねて通過させた。この時のローラーの表
面温度は上下とも130℃、ローラー間のニップ圧力は
3kgf/cm2、搬送スピードは50mm/秒であった。通過
後、コート紙と重ねたまま室温まで冷却してから感光体
とOKマスターを分離した。この時OKマスターに転写
した転写層の状態を目視評価した所、転写前の感光体上
の複写画像と殆ど変わりなく、画像の劣化は認められな
かった。また、複写後の感光体の表面上には、転写層の
残存は全く認められず、転写性は極めて良好であった。
【0398】次に、OKマスター支持体に転写層を転写
した版を、下記内容の不感脂化処理液〔E−4〕で処理
して、印刷版としての印刷性能を調べた。 ・不感脂化処理液〔E−4〕 メルカプトエタンスルホン酸 10g ネオソープ(松本油脂(株)製) 5g N,N−ジメチルアセトアミド 10g を蒸留水で希釈し全量を1リットルにした後水酸化ナト
リウムでpH12.5に調整したもの。
【0399】上記の版を温度35℃にて60秒間ゆるく
ブラッシングしながら浸漬し、非画像部の転写層を除去
し、充分水洗した。この様にして得られた印刷版を20
0倍の光学顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を
目視観察したところ、非画像部には転写層の残存は認め
られず、且つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠
落は認められなかった。
【0400】この版を浸し水としてPS版用浸し水(S
G−23){東京インキ(株)製}を蒸留水で130倍に希
釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてリョ
ービ3200MCD型{リョービ(株)製}を用い、印
刷紙として中性紙を使用して、各種平版印刷用色インキ
で印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる印
刷枚数を調べた。その結果、色インキの種類にかかわら
ず、いずれの場合も千枚以上の耐刷枚数が得られた。他
方、酸化亜鉛を用いた電子写真感光体を、酸性条件下で
キレート化剤を主剤とする不感脂化液で不感脂化して平
版印刷版とする公知のシステムでは、中性紙を印刷用紙
として使用すると、耐刷枚数が数百枚で、非画像部に地
汚れの発生が生じ、また墨以外の平版印刷用色インキを
用いるとやはり耐刷枚数が数百枚程度で地汚れの発生を
生じた。以上のように、本発明の平版印刷用原版の作成
方法では、同じ酸化亜鉛感光体を利用しながらも、従来
の方式とは異なり、極めて良好な印刷性能を有すること
が判った。
【0401】実施例25 有機光導電性物質として、4,4′−ビス(ジエチルア
ミノ)−2,2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、
下記構造の結着樹脂(B−6)4g、前記樹脂(P−2
3)0.4g、下記構造式の色素(D−1)40mg、化
学増感剤として下記構造のアニリド化合物(C)0.2
gを、メチレンクロライド30mlとエチレンクロライド
30mlとの混合物に溶解し、感光層分散液とした。
【0402】
【化61】
【0403】この感光層分散液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて導電性透明支持体(厚さ100μmのポリ
エチレンテレフタレート支持体上に、酸化インジウムの
蒸着膜を有する。表面抵抗103 Ω)上に塗布して約4
μmで感光層を有する有機薄膜を得た。感光体表面の粘
着力は8g.fであった。この感光体を、実施例1で用
いた感光体の代わりに用いた他は実施例1と同様に操作
して印刷版を形成した。得られた印刷物上の印刷画像は
地カブリのない鮮明なもので、且つ、耐刷性も同様の良
好な結果を得た。
【0404】実施例26 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95
g及びポリエステル樹脂バイロン200{東洋紡積
(株)製}5gの混合物をボールミル中で充分に粉砕し
た。次いで、この混合物を取り出し、攪拌下、テトラヒ
ドロフラン520gを加えた。この分散物をワイヤーラ
ウンドロッドを用いて実施例25で用いた導電性透明支
持体上に塗布して約0.7μmの電荷発生層を形成し
た。
【0405】
【化62】
【0406】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合
溶液をワイヤラウンドロッドを用いて上記電荷発生層の
上に塗布し、60℃で30秒間乾燥し更に温度100℃
で20秒間加熱して約18μmの電荷輸送層を形成し、
二層から成る感光層を有する電子写真感光体を得た。
【0407】
【化63】
【0408】更に、この感光層の上に剥離性を付与する
ための表面層を形成するために、樹脂(P−22)13
g、無水フタル酸0.2g、o−クロロフェノール0.
002g及びトルエン100gの混合溶液を、ワイヤー
ラウンドロッドを用いて、膜厚1μmになる様に塗布
し、指触乾燥後、更に120℃で1時間加熱した。得ら
れた感光体の表面の粘着力は5g・fであった。この感
光材料を、暗所で表面電位+500Vに帯電させた後、
He−Neレーザーを用いて633nmの光で、版面での
露光量が30erg/cm2になるように露光した他は、実施
例3と同様に操作して印刷版を作成し、平版印刷を行っ
た。実施例3と同等の良好な性能を示した。
【0409】実施例27〜32 実施例2において、化合物(S−1)1.0g/リット
ルの代わりに下記表−Mの各化合物(S)を用いた他は
実施例2と全く同様にして印刷物を得た。実施例2と全
く同等の良好な性能であった。即ち、これらの化合物
(S)を用いることで感光体表面の剥離性が有効に発現
した。
【0410】
【表16】
【0411】
【表17】
【0412】実施例33〜46 実施例1において、用いた第1転写層12(T1)の代わ
りに、下記表−Nに示す樹脂粒子を用いて、湿式電着法
を用いて転写層を形成した他は、実施例1と同様にし
て、トナー画像形成・FPDプレートへの転写及び印刷
版の作成を行なった。実施例1と同様にして、各版を印
刷した所、いずれも実施例1と同等の性能が得られた。
【0413】
【表18】
【0414】実施例47〜52 実施例3において、用いた積層転写層の代わりに、下記
表−Oに示す樹脂粒子を用いて、湿式電着法で積層転写
層を形成した他は、実施例3と同様に操作して印刷版の
作成を行なった。実施例3と同様にして各版を印刷した
所、いずれも、実施例3と同等の性能が得られた。
【0415】
【表19】
【0416】実施例53〜64 実施例1〜52で作成した被転写材に転写後の版(製版
原版)を用いて、不感脂化処理を下記の様に操作してオ
フセット印刷版を作成した。下記表−Pの求核性化合物
0.2モル、有機溶媒10g及びニューコールB4SN
{日本乳化剤(株)製}1gに蒸留水を加え1リットル
とした後、各混合物のpHを12.4に調整した。各感
光材料を該処理液中に温度35℃で20秒間浸漬し、ゆ
るくこすりながら、不感脂化処理を行った。得られたプ
レートを実施例1と同様の印刷条件で印刷した。各材料
とも実施例1の場合と同等の良好な性能を示した。
【0417】
【表20】
【0418】
【発明の効果】本発明に従うことにより、転写層の転写
性のラチチュード拡大と不感脂化処理条件の緩和を達成
でき、画像再現性が良好であると同時に被転写材の種類
によらずトナー画像の形成が可能になる。また、転写層
の転写が良好で、感光体上に転写残りが発生せず、転写
不良によるトナー画像の欠落の生じない、高精細、高画
質の画像を有する印刷版を簡便に得ることができる。更
に、システム全体の簡易化や時間短縮に効果的である。
また、離型性化合物(S)を用いて、トナー現像前の感
光体表面に剥離性を付与することにより、通常の電子写
真感光体を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】第2転写層(T2)の形成法として、電着塗布法
を用いた本発明の方法を実施するための装置例を示す図
である。
【図3】第2転写層(T2)の形成法として、熱溶融塗布
法を用いた本発明の方法を実施するための装置例を示す
図である。
【図4】第2転写層(T2)の形成法として、転写法を用
いた本発明の方法を実施するための装置例を示す図であ
る。
【図5】離型性化合物(S)付与法の一例を示す部分装
置図である。
【符号の説明】
1 感光体の支持体 2 感光層 3 トナー画像 10 化合物(S)塗布装置 11 感光体 12 転写層 12T1 第1転写層 12T2 第2転写層 13a 第1転写層(T1)用電着ユニット 13b 第2転写層(T2)用電着ユニット 13 ホットメルトコーター 13w ホットメルトコーター待機位置 14 液体現像ユニットセット 14L 液体現像ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 被転写材 17 熱転写手段 17a 予熱手段 17b 転写用バックアップローラー 17c 剥離用バックアップローラー 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 20 剥離紙 111 トランスファーロール 112 メタリングロール 113 化合物(S) 117 第2転写層(T2)転写装置部分 117b 加熱ローラー 117c 冷却ローラー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真プロセスにより電子写真感光体
    上にトナー画像を形成し、次いで、ガラス転移点10〜
    140℃又は軟化点35℃〜180℃の樹脂(A1)及び
    ガラス転移点45℃以下又は軟化点60℃以下の樹脂
    (A2)であって、樹脂(A1)のガラス転移点又は軟化点
    が樹脂(A2)のそれよりも2℃以上高い少なくとも二種
    の樹脂を同一粒子内に含有してなる熱可塑性樹脂粒子
    (AL)を主として含有する粒子を該トナー画像上に電
    着塗布法により成膜して第1転写層(T1)を形成し、更
    にこの層の上に上記樹脂(A2)を主として含有する第2
    転写層(T2)を設けて積層構造とすることにより化学反
    応処理で除去可能な樹脂(A)を主として含有する剥離
    可能な転写層を形成した後、該トナー画像と該転写層
    を、印刷時に平版印刷可能な親水性表面となる被転写材
    に転写し、次いで、該転写された被転写材の非画像部の
    転写層を化学反応処理により除去することを特徴とする
    電子写真式製版印刷版の作成方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂粒子(AL)及び第2転写
    層(T2)に含有される樹脂(A1)及び樹脂(A2)が、そ
    れぞれ下記の重合体成分(a)及び重合体成分(b)の
    うちの少なくともいずれか一方を含有することを特徴と
    する請求項1記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。 重合体成分(a):−CO2H基、−CHO基、−SO3
    H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1は−
    OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表
    わす)基を表わす}基、フェノール性OH基、酸環状無
    水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭化水素基を表
    わす)基及び−CONHSO23基のうちの少なくとも
    1つの基を含有する重合体成分 重合体成分(b):化学反応処理で−CO2H基、−C
    HO基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(O
    H)R1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2
    は炭化水素基を表わす)基を表わす}基及び−OH基の
    うちの少なくとも1つの基を生成する官能基を少なくと
    も1種含有する重合体成分
  3. 【請求項3】 第2転写層(T2)を、熱溶融塗布法、電
    着塗布法及び転写法のいずれかの方法により形成するこ
    とを特徴とする請求項2記載の電子写真式製版印刷版の
    作成方法。
  4. 【請求項4】 樹脂粒子(AL)又は第2転写層(T2)
    を電着塗布法で形成する際の樹脂粒子(A2L)が、各
    々比誘電率3.5以下の電気絶縁性液体中に分散されて
    供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。
  5. 【請求項5】 樹脂粒子(AL)又は樹脂粒子(A
    2L)が、各々電子写真感光体と対向して設置された対
    向電極の間に供給され、外部電源より印加された電位勾
    配に従って電気泳動して電子写真感光体に付着又は電着
    されて成膜されることを特徴とする請求項4記載の電子
    写真式製版印刷版の作成方法。
  6. 【請求項6】 電子写真感光体が、少なくとも樹脂粒子
    (AL)の電着による成膜で転写層が形成される時に
    は、JIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試験方
    法」による粘着力が、100gram・force(g・f)以下
    の表面剥離性を有することを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。
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