JP3278241B2 - 電子写真式製版印刷版の作成方法 - Google Patents

電子写真式製版印刷版の作成方法

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JP3278241B2 JP13505893A JP13505893A JP3278241B2 JP 3278241 B2 JP3278241 B2 JP 3278241B2 JP 13505893 A JP13505893 A JP 13505893A JP 13505893 A JP13505893 A JP 13505893A JP 3278241 B2 JP3278241 B2 JP 3278241B2
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    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
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    • G03G13/26Electrographic processes using a charge pattern for the production of printing plates for non-xerographic printing processes
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    • G03G13/283Planographic printing plates obtained by a process including the transfer of a tonered image, i.e. indirect process

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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体を利用し
た平版印刷版の新規作成方法及びそれに用いる装置に関
し、更に詳細には、転写層の転写性及び溶出除去性に優
れた、製版画質及び印刷画質が良好な新規電子写真式製
版印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】今日、平版オフセット印刷版としては、
ジアゾ化合物とフェノール樹脂を主成分とするポジ型感
光剤や、アクリル系モノマーやプレポリマーを主成分と
するネガ型感光剤を用いるPS版などが実用化されてい
るが、これらはすべて低感度のため、あらかじめ画像記
録されたフィルム原版を密着露光して製版を行う必要が
ある。
【0003】一方、コンピューター画像処理と大容量デ
ータの保存及びデータ通信技術の進歩によって、近年で
は、原稿入力、補正、編集、割付から頁組まで一貫して
コンピューター操作され、高速通信網や衛生通信により
即時遠隔地の末端プロッターに出力できる電子編集シス
テムが実用化している。特に、即時性の要求される新聞
印刷分野において電子編集システムの要求度は高い。ま
た、オリジナルが原版フィルムの形で保存され、これを
もとに必要に応じて印刷版が複製されている分野におい
ても、光ディスクなどの超大容量記録メディアにデジタ
ルデータとして保存されるようになると考えられる。
【0004】しかしながら、末端プロッターの出力から
直接印刷版を作成する直接型印刷版はほとんど実用化さ
れておらず、電子編集システムの稼動しているところで
も出力は銀塩写真フィルムに行われ、これをもとに間接
的にPS版へ密着露光により印刷版が作成されているの
が実状である。これは、出力プロッターの光源(例え
ば、He−Neレーザー、半導体レーザーなど)により
実用的な時間内に印刷版を作成できるだけの高い感度を
有する直接型印刷版の開発が困難であることも1つの原
因であった。
【0005】直接型印刷版を提供し得る高い光感度を有
する感光体として電子写真感光体が考えられる。その1
つとして、光導電性酸化亜鉛を用いた電子写真感光体
を、電子写真プロセスでトナー画像形成後、非画像部を
不感脂化処理液で不感脂化して印刷版として用いる電子
写真式平版印刷用原版のシステムにおいて、半導体レー
ザー光に対して高感度を示す感光体を用いて対応する方
式が提案されている。
【0006】例えば、特定の分光増感色素と組み合わせ
るものとして、特公平2−28143号、特開昭63−
124054号、同63−241561号、同63−2
64763号各公報などに記載の技術が挙げられ、更
に、光導電層の結着樹脂を改良して、光感度化と非画像
部の地汚れ低下(即ち保水性の向上)を達成するものと
して、例えば特開昭63−220148号、特開平1−
116643号、同2−69759号各公報に記載の技
術が提案されている。
【0007】しかしながら、印刷版とするために酸化亜
鉛を不感脂化反応して親水性を発現させることを原理と
するために、専用の不感脂化処理液及び浸し水を用いる
ことから、特定の色インキしか使えない、印刷用紙とし
て中性紙を用いると耐刷性が極端に低下する、PS版を
用いている印刷機を併用する際、印刷機を充分に清掃し
ないと共用できない等の種々の制約を生じてしまう。
【0008】また、他の電子写真式平版印刷用原版とし
て、トナー画像形成後、非画像部の光導電層の除去を行
う方式が知られている。例えば、特公昭37−1716
2号、同38−6961号、同38−7758号、同4
1−2426号、同46−39405号、特開昭50−
19509号、同50−19510号、同52−243
7号、同54−145538号、同54−134632
号、同55−105254号、同55−153948
号、同55−161250号、同57−147656
号、同57−161863号等に記載の電子写真式製版
用印刷原版が挙げられる。
【0009】電子写真感光体を印刷版として使用するに
は、非画像部をエッチングで除去し親水性の面を露出さ
せる必要があるため、結合樹脂としてアルカリ性溶剤に
溶解するか又は膨潤して脱離する結合樹脂を用いること
が多い。通常、電子写真感光体の結合樹脂として広く用
いられているポリカーボネート樹脂等に比べて、これら
のアルカリ性溶剤に溶解又は分散する樹脂は有機光導電
性化合物との相溶性が悪く、このため有機光導電性化合
物の電子写真感光層への導入量が制限される。光導電層
中で表面電位を打ち消すのに充分なキャリアーが発生し
ていても、有機光導電性化合物の光導電層中での含有量
が低いと、光導電層中でのキャリアーの移動速度が低下
し表面電位の減衰速度すなわち応答速度が低下する。こ
のため、露光終了後、表面電位がかぶりを与えない程度
まで充分減衰しトナー現像を開始できるまでの時間が長
くなる。プロセス時間をできるだけ短くするために、露
光照度をあげて露光時間を短くしているほどこの応答時
間は長くなる。したがって応答速度の速さは、全プロセ
ス時間の短縮の大きな妨げになっている。
【0010】また、レーザー光源などの高照度光源によ
って走査露光を行う場合には別の問題を生じる。すなわ
ち、応答速度が遅いと、書き込み開始部と、書き込み終
了部では表面電位の減衰率が異なってくるため、書き込
み開始部ではかぶりはないが、書き込み終了部ではかぶ
りの多い画像ができあがり、印刷版の作成に不都合を生
じる現象が発生するのである。
【0011】電子写真式製版用印刷原版に用いられてい
る従来公知の結合樹脂としては、特公昭41−2426
号、同37−17162号、同38−6961号、特開
昭52−2437号、同54−19803号、同54−
134632号、同55−105254号、同50−1
9509号、同50−19510号各公報等に記載の、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−クロ
トン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、フェノール樹脂等が知られている。
【0012】しかしながら、これらを有機光導電性化合
物を使用した電子写真式製版用印刷原版に用いたときは
種々の問題点を有していることが既に知られている。す
なわち、スチレン−無水マレイン酸共重合体を結合樹脂
とした場合は形成皮膜が硬く印刷版を湾曲させたときに
ひび割れを生じることがある。また、膜の接着性に乏し
く多数枚の印刷に耐えられない。フェノール樹脂を結合
樹脂として用いた場合は、形成皮膜が脆弱で、耐刷性が
悪い。酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−
無水マレイン酸共重合体はやはり耐刷性に問題があっ
た。更に、これらの樹脂では、電子写真特性(特に暗中
電荷保持性、光感度)の性能が不充分であった。
【0013】以上のような問題等を解決したとして、特
開昭57−161863号、同58−76843号各公
報には、アクリル酸エステルモノマーもしくはメタクリ
ル酸エステルモノマーとカルボン酸含有モノマ−との共
重合体が開示されている。これらの結合樹脂を用いれば
電子写真式製版用印刷原版として使用することは可能で
ある。しかしながら、前述したとおり、応答速度の遅さ
に起因する近年指摘され始めた問題点(即ち、光感度不
足)は未だ未解決のままであった。
【0014】更には、耐刷性及び光感度を向上したとす
る特公平1−209458号公報等では、芳香族環含有
のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと例え
ばカルボン酸の如き酸性基含有の単量体との共重合体が
開示されている。これらの結合樹脂を用いれば、上記の
性能が向上するが、トナー画像部以外の非画像部の光導
電層の除去性が速やかに進行しにくいところに問題があ
り、除去のための条件の厳格な管理が必要であることが
判った。
【0015】即ち、微小面積のトナ−画像部でも溶出す
ることなく、非画像部のみが完全に除去された複写画像
の忠実な再現が行われ、且つ印刷地汚れの生じない印刷
版を作成するための条件が狭いという問題が未解決であ
る。更にこの方式では、非画像部である光導電層全体を
溶出させるために、これらが溶出処理用のアルカリ性処
理液中に蓄積されることから、処理液を連続して多数枚
処理する場合に、凝集物の析出、溶出除去能力の低下等
の問題を生じる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな従来技術の有する種々の課題を解決するものであ
り、本発明の請求項1記載の発明の目的は、製版画質及
び印刷画質が良好で、長期間且つ連続して処理しても、
更に作業上重ねて静置しても、安定した性能の印刷版を
得ることができ、更にレーザー等の走査露光による画像
形成に適した、新規な電子写真式製版印刷版の作成方法
を提供することにある。
【0017】本発明の請求項2記載の発明の目的は、更
に感光体の繰り返し使用が可能な、低ランニングコスト
化に有効な電子写真式製版印刷版の作成方法を提供する
ことにある。請求項3記載の発明は、更に熱転写プロセ
スでの被転写材への転写性が良好で、且つ転写層の除去
が容易である印刷版の作成方法を提供することにある。
【0018】請求項4記載の発明は、かかる方法を行う
に際し、転写層に有効に用いることができる熱可塑性樹
脂を提供するものであり、請求項5記載の発明は、転写
層の剥離性の良好な熱可塑性樹脂を提供するものであ
る。請求項6記載の発明は、本発明に好適な電子写真感
光体を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の上記第一の目的
は、請求項1記載の如く、化学反応処理で除去可能であ
って、ガラス転移点30℃〜140℃又は軟化点35℃
〜180℃の熱可塑性樹脂〔AH〕と、該樹脂〔AH〕
よりもガラス転移点又は軟化点が2℃以上低く且つガラ
ス転移点−20℃〜40℃又は軟化点0℃〜45℃の熱
可塑性樹脂〔AL〕とを主として含有する、剥離可能な
転写層を最上層に有し、且つ該転写層に隣接する光導電
層表面がJIS Z0237−1980の「粘着テープ
・粘着シート試験方法」による粘着力が200gram
・force(gf)以下である電子写真感光体を用い
て、電子写真プロセスにより該転写層上にトナー画像を
形成し、該トナー画像を転写層ごと、印刷時に平版印刷
可能な親水性表面となる被転写材に熱転写し、次いで、
該転写された被転写材の転写層を化学反応処理により除
去することを特徴とする電子写真式製版印刷版の作成方
法により達成されることが判った。
【0020】即ち、本発明の電子写真式製版印刷版の作
成方法は、そのプロセスの概要を示した図1に示すよう
に、少なくとも支持体1及び感光層2からなる電子写真
感光体11の最上層に、更にガラス転移点又は軟化点の
異なる熱可塑性樹脂〔AH〕及び〔AL〕を主として含
有する、化学反応処理で除去可能で剥離可能な転写層1
2を設け、通常の電子写真プロセスでトナー画像3を形
成した後、オフセット印刷版に供される支持体と同様な
支持体である被転写材16に、熱転写によりトナー画像
3を転写層12ごと転写し、印刷原版とする。次いで、
上記と同一の装置内で又は該装置とは別途に、この被転
写材16に転写された転写層12を化学反応処理し、転
写層12を溶解又は膨潤して脱離によって除去すること
で印刷版とするものである。
【0021】従来の印刷版は、感光体そのものの表面を
改質して、例えば、感光層を親水化処理したりあるいは
感光層を溶出させて表面親水性支持体を露出させること
により、非画像部の親水化を行っていたのに対して、本
発明では、転写層12を親水性表面を有する他の支持体
(被転写材)16上にトナー画像3ごと転写させた後、
転写層12を化学反応処理により除去するという、従来
とは全く視点の異なった方法で印刷版を作成するもので
ある。
【0022】ここで、本発明に供される転写層は、電子
写真プロセスによりトナー画像を形成するまでは電子写
真特性(帯電性、暗中電荷保持率、光感度等)を劣化さ
せないこと、良好な複写画像を形成し、次の熱転写プロ
セスでは、容易に被転写材に転写する熱可塑性を有して
いること、印刷版とするために、化学反応処理により溶
解又は膨潤して脱離することで容易に除去されること、
更には、転写層を転写後の不感脂化処理前の原版を作業
の都合上重ねて静置しておいても、転写層が裏面に剥が
れを生じて欠損することもなく保存されていること等が
必要である。
【0023】種々検討の結果、剥離可能で且つ化学反応
処理で除去可能な熱可塑性樹脂として、ガラス転移点又
は軟化点の異なる2種の熱可塑性樹脂〔AH〕(ガラス
転移点30℃〜140℃又は軟化点35℃〜180℃)
及び熱可塑性樹脂〔AL〕(ガラス転移点−20℃〜4
0℃又は軟化点0℃〜45℃であって、且つ該樹脂〔A
H〕よりもガラス転移点又は軟化点が2℃以上低い)を
併用することにより、上記の種々の条件を極めて有効に
満足することが判った。
【0024】更に、請求項3記載の如く、本発明の転写
層は、剥離性表面の感光体上に第1の樹脂〔AH〕を主
として含有する層、更にその上に第2の樹脂〔AL〕を
主として含有する層を有してなる積層構成であることが
好ましい。このことにより、被転写材への転写性が一層
向上し、転写時の条件(加熱温度、圧力、搬送スピード
等)のラチチュードが拡大するとともに、印刷版となる
表面親水性の被転写材の種類によらず、容易に転写させ
ることが可能となった。更に、被転写材に転写された転
写層の最表面側は、高いガラス転移点を有する層〔A
H〕で構成されることから、前記の様な重ねて置き版さ
れても全く不都合が生じなくなる。
【0025】更に、請求項4記載の如く、転写層用熱可
塑性樹脂〔AH〕及び〔AL〕が、−CO2 H基、−C
HO基、−SO3 H基、−SO2 H基、−P(=O)(O
H)R1 {R1 は−OH基、炭化水素基又は−OR
2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す}基、フェノ−
ル性OH基、環状酸無水物含有基、−CONHCOR3
(R3 は炭化水素基を表す)基及び−CONHSO2
3 基から選ばれる少なくとも1つの基を含有する重合体
成分(a)及び/又は化学反応処理で−CO2 H基、−
CHO基、−SO3 H基、−SO2 H基、−P(=O)
(OH)R1 {R1 は−OH基、炭化水素基又は−OR
2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す}基及び−OH
基のうちの少なくとも1つの基を生成する官能基を少な
くとも1種含有する重合体成分(b)を含有する共重合
体であることが好ましい。
【0026】転写層用熱可塑性樹脂として、上記の特定
の極性基を含有する重合体成分(a)を含有する樹脂を
用いる場合には、化学反応処理による該樹脂の除去を容
易にするために該重合体成分(a)の樹脂中での含有量
を増加すると、樹脂自身の電気的絶縁性が損なわれ、電
子写真特性が低下し、複写画像の劣化(濃度低下、画像
のにじみ、非画像部の地汚れなど)が生じる。また、樹
脂自身のガラス転移点が向上してしまい、熱可塑性を生
じるのに高い温度が必要となることから、熱圧転写時の
転写条件が高温・高圧力という過酷な条件と長い転写時
間を必要とする。従って、電子写真特性、転写性及び化
学反応による除去性を満足するには、転写プロセスにお
ける転写用装置の大型化及び平版印刷版の作成時間の長
時間化という好ましくない問題がある。
【0027】また、上記の化学反応処理して特定の極性
基を発現する重合体成分(b)を含有する樹脂を用いる
場合には、樹脂自身の電気的絶縁性及び熱可塑性は充分
に保持され、電子写真特性及び転写性は良好である。し
かし、印刷版とするために、化学反応処理する際に、処
理液と被転写材上の転写層との濡れ性が悪く、転写層を
構成する樹脂の親水化に時間を必要とする。その結果、
トナー画像部は用いられる化学反応処理にレジスト性を
有してはいるが、細線・細文字等の高精細な画像部の一
部欠落を生じてしまう場合がある。
【0028】従って、本発明の樹脂〔A〕(熱可塑性樹
脂〔AH〕及び〔AL〕)は、重合体成分(a)と重合
体成分(b)とを各々少なくとも1種以上含有する共重
合体から構成されることが好ましい。このことにより、
樹脂〔A〕のガラス転移点及び電気的絶縁性が満足さ
れ、電子写真特性及び転写性が著しく向上し、且つ印刷
版としての非画像部の親水性もトナー画像を劣化させる
ことなく、迅速且つ完全に除去することができる。その
結果、被転写材に転写された複写画像の原画に対する再
現性は極めて良好であり、また転写の条件も低温・低圧
で容易に剥離転写されることから、転写装置の小型化が
可能となる。また、印刷版として用いても、転写層の残
存による非画像部が全く見られず、且つ細線・細文字、
網点、階調部分等の高精細なトナー画像部の欠落も殆ど
生じなくなり、好ましい。
【0029】更に、請求項5記載のように、該熱可塑性
樹脂〔AH〕及び〔AL〕のうちの少なくともいずれか
一方が、更に共重合成分として、ケイ素原子及びフッ素
原子のうちの少なくともいずれか一方を含有する(以下
ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有という)重合体成
分(c)をブロックとして含有する共重合体を用いる
と、熱転写プロセスでの被転写材への転写性が更に向上
することが判った。即ち、転写時の熱圧力の条件を更に
緩和な条件にしても、剥離性が充分に発現するという転
写層自身の剥離性改良効果を新たに持たせることが可能
となったものである。
【0030】他方、該転写層を容易に剥離させるため
に、本発明では、用いる電子写真感光体の転写層との隣
接表面を、JISZ0237−1980「粘着テープ・
粘着シート試験方法」における粘着力試験による値が、
200gram・force(gf)以下、好ましくは
150gf以下、更に好ましくは100gf以下とする
ことで、光導電層と転写層との剥離性を発現できるもの
である。
【0031】上記JISの粘着力試験方法においては、
「試験板」として本発明の電子写真感光体を用い、引き
はがし速度を120mm/分で巾6mmの粘着テープを
用いて粘着力を測定する。「粘着力」は、10mm巾に
比例換算した値を表すものである。上記粘着力が200
gf以下となる電子写真製版印刷版用感光体としては、
具体的には、請求項6記載の如く、転写層の隣接層又は
転写層に隣接することとなる電子写真感光体の最上層が
剥離性良好なケイ素原子及びフッ素原子のうちの少なく
ともいずれか一方を含有する(ケイ素原子及び/又はフ
ッ素原子含有)樹脂(重合体〔P〕と称する)を含有す
る感光体又はアモルファスシリコン電子写真感光体が挙
げられる。このことにより、転写層の転写が容易に且つ
完全に達成されるものである。
【0032】ここで、ケイ素原子及び/又はフッ素原子
含有樹脂を含有する層は、該転写層との隣接層であれば
よく、感光層であってもなくてもよい。該転写層との剥
離性を付与するために感光層の上に(従って感光層と転
写層との間に)該剥離性を有する非感光性層を設けても
よい。更に、本発明においては、該重合体〔P〕が、ケ
イ素原子及び/又はフッ素原子含有重合体成分を50重
量%以上含有する重合体セグメント(A)と、ケイ素原
子及び/又はフッ素原子含有重合体成分を0〜20重量
%含有する重合体セグメント(B)とを各々少なくとも
1種ブロックで結合してなる共重合体であることが、転
写層との剥離性を更に良好にする上で好ましい。
【0033】一方、本発明において、予め転写層を表面
に有する電子写真感光体を用いるのではなく、請求項2
記載のように、感光体表面に転写層を形成させる工程を
も行わせることにより、転写層を剥離した後の感光体を
繰り返し用いることができるため、感光体を使い捨てる
ことなく、該装置内で電子写真プロセスを連続して行う
ことができ、低ランニングコスト化に有利である。感光
体上への転写層の形成は、該同一転写装置内でその都度
形成させることが好ましい。
【0034】転写装置内で感光体表面に転写層を形成す
る方法としては、感光体の表面に上記熱可塑性樹脂〔A
H〕と熱可塑性樹脂〔AL〕とを含有する樹脂を熱溶融
塗布して形成する方法、別の支持材(剥離紙等)上に形
成された熱可塑性樹脂〔AH〕と熱可塑性樹脂〔AL〕
とを含有する転写層を、感光体の表面に転写することに
より転写層を形成する方法、電子写真感光体の表面に、
熱可塑性樹脂〔AH〕を主成分とする粒子及び熱可塑性
樹脂〔AL〕を主成分とする粒子を静電的に付着又は電
着して成膜することにより形成する方法が挙げられる。
【0035】更に、上記電着法において、該熱可塑性樹
脂を主として含有する粒子が、比誘電率が3.5以下の
電気絶縁性液体中に分散されて供給させることにより、
剥離層用転写層の膜厚を均一な厚みで薄膜まで容易に調
整することができる。また、該熱可塑性樹脂を主として
含有する粒子が、電子写真感光体と対向して設置された
対向電極の間に供給させ、外部電源より印加された電位
勾配に従って電気泳動して電子写真感光体に付着又は電
着させて成膜させることにより、より均一な薄層の調整
が容易になる。
【0036】以下、本発明の転写層について説明する。
本発明の転写層は、上記の如く、剥離性表面を有する電
子写真感光体から印刷用の支持体となる被転写材に剥離
転写して得られた製版原版を印刷版とするために、該転
写層を化学反応処理により溶出除去する機能を有する層
である。従って、本発明に供される転写層を構成する主
成分の樹脂〔A〕は、熱可塑性樹脂であり、且つ、化学
反応処理により溶出除去される樹脂である。
【0037】更に本発明の転写層は、前記の如く、ガラ
ス転移点又は軟化点の異なる2種の樹脂〔AH〕及び樹
脂〔AL〕を主として含有する。本発明では、ガラス転
移点及び軟化点が本発明の範囲に属する樹脂〔AH〕と
樹脂〔AL〕とを任意に選択して、本発明に供すること
ができる。該樹脂〔AH〕と樹脂〔AL〕とは、5〜9
0/95〜10(重量比)の存在割合で併用することに
より、更に転写性が良好で、転写層の耐久性もよく、且
つ優れた耐刷性の印刷版を得ることができる。より好ま
しい使用割合は、樹脂〔AH〕/樹脂〔AL〕が10〜
70/90〜30(重量比)である。
【0038】樹脂粒子〔AH〕の存在割合が5重量%以
下では転写層の転写性が劣化してしまい、樹脂粒子〔A
L〕の存在割合が10重量%以下ではトナー画像を形成
し、被転写材に転写した版とした場合に、転写層を化学
反応処理で除去する前の版を重ね合わせて放置した時
に、転写層と重ね合わされた上側の版の裏側と密着して
ハガレを生じてしまい、結果としてトナー画像の欠落を
生じてしまうため好ましくない。
【0039】樹脂〔AH〕の重量平均分子量は好ましく
は1×103 〜1×105 、より好ましくは3×103
〜5×104 の範囲である。樹脂〔AL〕の重量平均分
子量は好ましくは3×103 〜1×106 、より好まし
くは5×103 〜5×105の範囲である。
【0040】また、化学反応処理で除去可能な樹脂
〔A〕とは、化学反応処理により溶解及び/又は膨潤し
て除去される樹脂、並びに化学反応処理により親水化さ
れその結果溶解/又は膨潤して除去される樹脂を包含す
る。化学反応処理により除去される樹脂〔A〕の代表例
は、アルカリ性処理液で除去し得る樹脂であり、特に有
用な樹脂は重合体成分に極性基を含有する樹脂である。
【0041】また、他の代表例としては、親水性基を保
護基で保護した形で含有しており、化学反応により親水
性器を発現させ得る樹脂が挙げられる。官能基を親水性
基に変換し得る化学反応は、従来公知の加水分解反応、
加水素分解反応、加酸素分解反応、β−脱離反応、求核
置換反応等を利用した処理液による親水化反応、又は
「化学的活性光線」の照射を受けて分解反応することに
よる親水化反応のいずれでもよい。
【0042】特に、請求項4記載の如く、転写層用熱可
塑性樹脂〔AH〕及び〔AL〕の各樹脂が、−CO2
基、−CHO基、−SO3 H基、−SO2 H基、−P
(=O)(OH)R1 {R1 は−OH基、炭化水素基又は
−OR2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す}基、フ
ェノ−ル性OH基、環状酸無水物含有基、−CONHC
OR3 (R3 は炭化水素基を表す)基及び−CONHS
2 3 基から選ばれる少なくとも1つの基を含有する
重合体成分(a)、及び/又は化学反応処理で−CO2
H基、−CHO基、−SO3 H基、−SO2 H基、−P
(=O)(OH)R1 {R1 は−OH基、炭化水素基又は
−OR2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す}基及び
−OH基のうちの少なくとも1つの基を生成する官能基
を少なくとも1種含有する重合体成分(b)を含有する
共重合体であることが好ましい。
【0043】ここで、−P(=O)(OH)R1 は、下記
化1で表わされる基を示す。R1 は−OH基、炭化水素
基又は−OR2 基(R2 は炭化水素基を表す)を表し、
具体的にはR1 は置換されていてもよい炭素数1〜12
の脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシ
ル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−メト
キシエチル基、3−エトキシプロピル基、アリル基、ク
ロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、メチルベ
ンジル基、クロロベンジル基、フロロベンジル基、メト
キシベンジル基等)又は置換されていてもよいアリール
基(フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピ
ル−メチル−フェニル基、ジクロロフェニル基、メトキ
シフェニル基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニ
ル基、アセチルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等
である。R2 はR1 と同一の内容を表す。
【0044】
【化1】
【0045】−CONHCOR3 基及び−CONHSO
2 3 基におけるR3 は炭化水素基を表し、具体的に
は、R1 と同様の内容を表す。また、環状酸無水物含有
基とは、少なくとも1つの環状酸無水物を含有する基で
あり、含有される環状酸無水物としては、脂肪族ジカル
ボン酸無水物、芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられ
る。
【0046】脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、
コハク酸無水物、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無
水物環、シクロぺンタン−1,2−ジカルボン酸無水物
環、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、
シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,
3−ビシクロ〔2.2.2〕オクタジカルボン酸無水物
環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、臭素
原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル
基、ヘキシル基等のアルキル基等が置換されていてもよ
い。芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル酸
無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無水物環、ピリジ
ン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン−ジカルボン酸
無水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原
子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシル
基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(ア
ルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基
等)等が置換されていてもよい。
【0047】重合体成分(a)は、前記した様な特定の
極性基を含有する共重合成分であればよく、特に限定さ
れるものではない。極性基含有の共重合成分の具体例
は、該極性基を含有するビニル系化合物であればいずれ
でもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハン
ドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に記載
されている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ
置換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセト
キシメチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α−クロ
ロ体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシ
リル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、
α−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体
等)、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステ
ル類、イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケ
ニルカルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル
−2−ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−
ヘキセン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイ
ン酸、マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド
類、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボ
ン酸類のビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及び
これらのカルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、ア
ミド誘導体の置換基中に該極性基を含有する化合物等が
挙げられる。
【0048】以下に極性基含有の共重合成分(a)につ
いて例示する。ここで、R4 は−H又は−CH3 を示
し、R5 は−H、−CH3 又は−CH2 COOCH3
示し、R6 は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7
炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基
を示し、eは1又は2の整数を示し、fは1〜3の整数
を示し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜11の整
数を示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜10の整
数を示す。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
【化5】
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】
【化8】
【0056】次に、重合体成分(b)について説明す
る。重合体成分(b)は、化学反応により少なくとも1
個の親水性基〔−CO2 H基、−CHO基、−SO3
基、−SO2 H基、−P(=O)(OH)R1 {R1は−
OH基、炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化水素基を
表す)基を表す}基及び−OH基〕を生成する官能基を
少なくとも1種含有する重合体成分である。化学反応に
より1つの官能基から生成する親水性基は1個でも2個
以上でもよい。
【0057】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボキシル基を生成する官能基について説明する。本発
明の1つの好ましい態様によれば、カルボキシル基生成
官能基としては、例えば、下記一般式(I)で示される
官能基が挙げられる。 一般式(I) 〔−COO−L1 〕 〔一般式(I)において、L1 は化9を表わす。〕
【0058】
【化9】
【0059】但し、R11及びR12は互いに同じでも異な
っていてもよく、水素原子又は脂肪族基を表わし、Xは
芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン原子、トリ
ハロメチル基、アルキル基、−OH基、−NO2 基、−
SO2 −Z1 (但し、Z1 は炭化水素基を示す)基、−
COO−Z2 (但し、Z2 は炭化水素基を示す)基、−
O−Z3 (但し、Z3 は炭化水素基を示す)又は−CO
−Z4 (但し、Z4 は炭化水素基を示す)基を表わし、
n、mは0、1又は2を表わす。
【0060】A1 及びA2 は同じでも異なっていてもよ
く、Hammetの置換基定数σ値が正の値を示す電子
吸引性基を表わす。R13は水素原子又は炭化水素基を表
わす。R14、R15及びR16は、互いに同じでも異なって
いてもよく、炭化水素基又は−O−Z5 (但し、Z5
炭化水素基を示す)基を表わす。R20及びR21は、互い
に同じでも異なっていてもよく、R14と同一の内容を表
す。
【0061】Y1 は酸素原子又はイオウ原子を表わし、
17、R18及びR19は同じでも異なっていてもよく、各
々水素原子又は脂肪族基を表わし、pは3又は4の整数
を表わす。Y2 は環状イミド基を形成する有機残基を表
わす。
【0062】以下更に詳しく説明する。R11、R12は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原
子、又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は
分枝状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロ
メチル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよいフェニル基又はナフチル基(例えばフェニル
基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチルフ
ェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)を
表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例え
ばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、炭
素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状アル
キル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN基、−NO2 基、−
SO2 −Z1 〔Z1 は脂肪族基(例えば炭素数1〜12
の置換されてもよいアルキル基:具体的にはメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペ
ンチル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されて
もよいアラルキル基:具体的にはベンジル基、フェネチ
ル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロ
フェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基
(例えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチ
ル基:具体的には、フェニル基、クロロフェニル基、ジ
クロロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニ
ル基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、
メトキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す〕基、−COO−Z2 (Z2 は上記Z1 と同義であ
る)基、−O−Z3 (Z3 は上記Z1 と同義である)基
又は−CO−Z4 (Z4 は上記Z1 と同義である)基を
表わす。n、mは各々0、1又は2を表わす。
【0063】R14、R15、R16は互いに同じでも異なっ
ていてもよく、好ましくは炭素数1〜18の置換されて
もよい脂肪族基〔脂肪族基はアルキル基、アルケニル
基、アラルキル基又は脂環式基を示し、置換基としては
例えばハロゲン原子、−CN基、−OH基、−O−Z6
(Z6 はアルキル基、アラルキル基、脂環式基、アリー
ル基を示す)基等が挙げられる〕、炭素数6〜18の置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、トリル
基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、ナフチル基等)又は−O−Z5 (Z5
は置換されてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換
されてもよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換され
てもよい炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数5〜1
8の置換されてもよい脂環式基、炭素数6〜18の置換
されてもよいアリール基を示す)基を表わす。
【0064】A1 、A2 は互いに同じでも異なっていて
もよく、各々少なくとも一方が電子吸引基であり、−A
1 、−A2 のHammetのσp 値の和が0.45以上
であればよい。ここで言う電子吸引基の例としては、例
えばアシル基、アロイル基、ホルミル基、アルコキシカ
ルボニル基、フェノキシカルボニル基、アルキルスルホ
ニル基、アロイルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、
ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルバモイル基
等が挙げられる。
【0065】Hammetのσp 値は、通常置換基の電
子吸引・供与の度合いを見積もる指標として用いられて
おり、+側に大きいほど強い電子吸引基として扱われ
る。各置換基に対する具体的な数値については、稲本直
樹著「ハメット則―構造と反応性」丸善(1984年
刊)等に記載されている。また、この系におけるHam
metのσp 値は加成性が成り立つと考えられ、−
1 、−A2 の両方が電子吸引基である必要はない。従
って、一方、例えば−A1 が電子吸引基である場合、他
方の−A2 の置換基は、−A1 、−A2 のσp値の和が
0.45以上になるものであればいずれでもよく、特に
制限されるところはない。
【0066】R13は炭素数1〜8の置換されていてもよ
い炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル基、2−ヒド
ロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシ
エチル基、3−メトキシプロピル基、2−クロロエチル
基等が挙げられる。
【0067】Y1 は酸素原子又はイオウ原子を表わす。
17、R18及びR19は互いに同じでも異なっていてもよ
く、好ましくは水素原子、置換されてもよい炭素数1〜
18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、クロロ
エチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基
等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等)、置換されてもよい炭素数
7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、フエネチ
ル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基等)、置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル
基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフェニル
基、メトキシカルボニルフェニル基、ジクロロフェニル
基等)又は−O−Z7 (Z7 は炭化水素基を表わし、具
体的には上記R14、R15、R16の炭化水素基と同一の置
換基類を示す)を表わす。pは3又は4の整数を表わ
す。
【0068】Y2 は、環状イミド基を形成する有機残基
を表わす。好ましくは、一般式(A)又は一般式(B)
で示される有機残基を表わす。
【0069】
【化10】
【0070】
【化11】
【0071】式(A)中、R22及びR23は各々同じでも
異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基{例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等}、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニイル基、
12−オクタデセニル基等)、−S−Z8 基{Z8 は前
記R22又はR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニ
ル基と同一の内容を表わす置換基、又は置換されてもよ
いアリール基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフ
ェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)
を表す}又は−NH−Z9 基(Z9 は前記Z8 と同一の
内容を表わす)を表わす。又、R22とR23で環を形成す
る残基を表わしてもよい{例えば5又は6員環の単環
(例えばシクロベンチル環、シクロヘキシル環)、又は
5又は6員環のビシクロ環(例えばビシクロヘプタン
環、ビシクロヘプテン環、ビシクロオクタン環、ビシク
ロオクテン環等)、更にはこれらの環は置換されていて
もよく、置換基としてはR22、R23で前記した内容と同
一のものを含む}。qは2又は3の整数を表わす。
【0072】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
てもよく、前記R22、R23と同一の内容を表わす。更に
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表わしてもよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。また、前記一般式(I)において、R20及びR21
は前記R16と同一の内容を表す。
【0073】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(II)で示されるオキサゾロン環を挙
げることができる。
【0074】
【化12】
【0075】一般式(II)において、R26、R27は互い
に同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化水
素基を表わすか、又はR26とR27とが一緒に環を形成し
てもよい。好ましくは、R26、R27は互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、置換されていてもよい炭
素数1〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基等)、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基(例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4
−アセトアミドベンジル基、フェネチル基、4−メトキ
シベンジル基等)、置換されていてもよい炭素数2〜1
2のアルケニル基(例えばエチレン基、アリル基、イソ
プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換さ
れていてもよい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミド
フェニル基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、
ニトロフェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基等)を表わすか、又はR26とR27とが
一緒に環(例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等)を形成してもよい。
【0076】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば下記一般式
(III)又は(IV)で表される官能基が挙げられる。 一般式(III) −SO2 −O−L2 一般式(IV) −SO2 −S−L2 〔式(III)又は(IV)中、L2 は、化13を表わす。〕
【0077】
【化13】
【0078】ここで、R11、R12、X、Z、n、m、Y
2 、R20、R21、R22及びR23はそれぞれ前記と同一の
内容を表わす。更に、化学反応により少なくとも1つの
スルフィン酸基を生成する官能基としては、例えば下記
一般式(V)で表される官能基が挙げられる。
【0079】
【化14】
【0080】〔式(V)中,A1 、A2 及びR13は、そ
れぞれ前記と同一の内容を表わす。〕また、化学反応に
より−PO3 2 基を生成する官能基としては、例えば
下記一般式(VI)で表される官能基が挙げられる。
【0081】
【化15】
【0082】〔式(VI)中、L3 、L4 は同じでも異な
ってもよく、それぞれ前記L1 と同一の内容を表わ
す。〕更に、化学反応により−OH基を生成する官能基
(ヒドロシル基生成官能基)としては、例えば下記一般
式(VII)で表される官能基が挙げられる。 一般式(VII) −O−L5 〔式(VII)中、L5 は、化16を表わす。
【0083】
【化16】
【0084】ここで、R14〜R19、Y1 及びpはそれぞ
れ前記と同一の内容を表す。R28は炭化水素基を表わ
し、具体的にはR11と同一の内容を表わす。〕更に、化
学反応により−OH基を生成する官能基の他の好ましい
態様によれば、ヒドロキシル基生成官能基は、互いに立
体的に近い位置にある少なくとも2つのヒドロキシル基
を1つの保護基で同時に保護した形で有する官能基であ
る。互いに立体的に近い位置にある少なくとも2つのヒ
ドロキシル基を1つの保護した形で有する官能基の例と
しては例えば下記一般式(IX)、(X)及び(XI)で表
される官能基を挙げることができる。
【0085】
【化17】
【0086】〔式(IX)〜(XI)中、R29、R30は、互
いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化
水素基又は−O−Z10(Z10は炭化水素基を示す)基を
表わし、Uはヘテロ原子を介してもよい炭素―炭素結合
を表わす(但し、酸素原子間の原子数は5個以内であ
る)。〕 該官能基について更に詳しく説明すると、R29、R
30は、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは
水素原子、炭素数1〜12の置換されてもよいアルキル
基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、2−メトキシエチル基、オクチル基
等)、炭素数7〜9の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル
基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基等)、炭素
数5〜7の脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基等)又は置換されてもよいアリール基(例
えばフェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル
基、メチルフェニル基、シアノフェニル基等)又は−O
10(Z10はR29、R30における炭化水素基と同義であ
る)基を表わす。Uは、ヘテロ原子を介してもよい炭素
―炭素結合を表わし、且つ酸素原子間の原子数は5個以
内である。
【0087】以下に前記した一般式(I)〜(XI)で表
される各官能基の具体例(b−1)〜(b−67)を例
示する。但し、本発明の内容は、これらに限定されるも
のではない。なお、下記具体例において、各記号は化1
8に示す通りである。
【0088】
【化18】
【0089】
【化19】
【0090】
【化20】
【0091】
【化21】
【0092】
【化22】
【0093】
【化23】
【0094】本発明において用いることのできる、化学
反応により−CO2 H基、−CHO基、−SO3 H基、
−SO2 H基、−P(=O)(OH)R1 基及び−OH基
のうちの少なくとも1つの親水性基を生成する官能基を
含有する共重合体成分(b)は、特に限定されるもので
はない。好ましくは前記した重合体成分(a)の親水性
基が保護された重合体を例として挙げることができる。
【0095】本発明に用いることのできる前記した様な
−CO2 H基、−CHO基、−SO3 H基、−SO2
基、−P(=O)(OH)R1 基及び/又は−OH基を化
学反応で発現する官能基は、これらの親水性基を保護し
た官能基であり、これら保護基の該親水性基への化学結
合による導入の方法は、従来公知の方法によって、容易
に行うことができる。
【0096】例えば、J.F.W.McOmie 「Protect
ive groups in OrganicChemistry」(Plenum Pres
s.1973年刊)、T.W.Greene 「Protective g
roupsin Organic Synthesis」(Wiley−Interscie
nce 、1981年刊)、日本化学会編「新実験化学講
座、第14巻、有機化合物の合成と反応」(丸善(株)
1978年刊)、岩倉義男・栗田恵輔著「反応性高分
子」(講談社)等に記載された各単位反応が用いられ
る。
【0097】これらの本発明に供することのできる官能
基を樹脂〔A〕中に導入する方法としては、−COOH
基、−CHO基、−SO3 H基、−PO3 2 基、−S
2H基、−OH基等から選ばれた少なくとも1種の親
水性基を含有する重合体を、反応によって各々の親水性
基を保護した官能基に変換する、いわゆる高分子反応に
よる方法、又は前記した一般式(I)〜(XI)で示され
る官能基を1種又はそれ以上含有する1種又はそれ以上
の単量体を合成した後、これと共重合し得る他の任意の
単量体との重合反応により重合体とする方法により得ら
れる。
【0098】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得ること、あるいは、不純物(高分子反応の場
合、用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない事等の
理由から、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後
重合反応を行なう方法)により製造する事が好ましい。
例えばカルボキシル基を生成する官能基を導入する場
合、具体的には重合性の二重結合を含むカルボン酸類又
はその酸ハライド類を、例えば前記した公知文献等に記
載された方法に従って、そのカルボキシル基を一般式
(I)で示される官能基に変換した後、重合反応を行な
い製造するという方法で行なうことができる。
【0099】また、化学反応によりカルボキシル基を生
成する官能基として前記一般式(II)で示されるオキサ
ゾロン環を含有する樹脂は、該オキサゾロン環を含有す
る1種又はそれ以上の単量体の、又は該単量体及びこれ
と共重合し得る他の単量体の重合反応により重合体とす
る方法により得ることができる。このオキサゾロン環を
含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN−ア
シロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製造す
ることができる。具体的には、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文献
記載の方法によって製造することができる。
【0100】樹脂〔A〕における該重合成分(a)及び
重合成分(b)の含有量の態様は以下の通りが好まし
い。化学反応処理で除去可能とする該重合体成分(a)
のみを樹脂〔A〕に含有する場合には、該樹脂〔A〕の
全重合体成分中好ましくは3〜50重量%、より好まし
くは5〜40重量%である。また、該重合体成分(b)
のみを含有する場合には該樹脂〔A〕の全重合体成分中
好ましくは3〜100重量%、より好ましくは5〜70
重量%である。
【0101】更には、重合体成分(a)及び重合体成分
(b)を含有する場合には、該樹脂〔A〕の全重合体成
分中、重合体成分(a)は好ましくは0.5〜30重量
%、より好ましくは1〜25重量%であり、重合体成分
(b)は好ましくは3〜99.5重量%、より好ましく
は5〜50重量%である。上記各成分の存在量より少な
くなると、いずれの場合も、転写層の化学処理による除
去が難しくなり、印刷版として印刷すると非画像部の地
汚れとなってしまう。また、上限量を越えると、樹脂
〔A〕の他の共重合成分をいかに調整しても該樹脂
〔A〕のガラス転移点又は軟化点が高くなってしまい、
結果として転写層の被転写材への転写性の悪化を生じた
り、転写層の電気的絶縁性が低下し、電子写真感光体と
しての帯電性が劣化し、被写画像の再現性が悪化すると
いう問題を生じてしまう。
【0102】更に該樹脂〔A〕は、上記の重合成分
(a)及び/又は(b)とともに、樹脂〔A〕自身の剥
離性を向上させる作用を有する、ケイ素原子及び/又は
フッ素原子を含有する置換基を含む重合体成分(c)を
含有してもよい。本発明では、該置換基は、重合体の高
分子主鎖に組み込まれたもの及び高分子の側鎖の置換基
として含有されたものの両者を含めたものである。好ま
しくは、該樹脂〔A〕の共重合体中において、該重合体
成分(c)は、ブロックで含有される。
【0103】該ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有
する置換基を含む重合体成分(c)を含有する重合体セ
グメントは、樹脂〔A〕の全重合体成分中1〜20重量
%で含有するものが好ましいブロック共重合体であっ
た。該セグメントが1重量%以下であると樹脂〔A〕の
剥離性向上効果が薄れてしまい、また20重量%以上で
あると、樹脂〔A〕の処理液との濡れ性が低下し、転写
層の除去が不充分となってしまう。
【0104】フッ素原子を含有する置換基としては、例
えば、化24等の一価の有機残基、化25等の二価の有
機残基等が挙げられる。
【0105】
【化24】
【0106】
【化25】
【0107】ケイ素原子含有の置換基としては、例えば
化26等の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0108】
【化26】
【0109】但し、R31、R32、R33、R34及びR
35は、各々同じでも異なってもよく、置換されていても
よい炭化水素基又は−OR36基(R36は、R31の炭化水
素基と同一の内容を表わす)を表わす。R31、R32、R
33、R34及びR35は、それぞれ炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−クロロエチル
基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリフルオロエ
チル基、2−シアノエチル基、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロ
モプロピル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2,
2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピ
ル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニ
ル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル、2−ブテ
ニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニ
ル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキ
セニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数
7〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例え
ば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロ
ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換
されていてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル
基、2−シクロヘキシル基、2−シクロペンチルエチル
基等)又は炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香
族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キ
シリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オ
クチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェ
ニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デ
シルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフ
ェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセ
チルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エト
キシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニ
ル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニ
ル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)等が挙げられ
る。
【0110】又、該フッ素原子及びケイ素原子含有の有
機残基は、組み合わされて構成されてもよく、その場合
には、直接結合してもよいし更には他の連結基を介して
組み合わされてもよい。連結する基として具体的には二
価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N
(d1 )−、−SO−、−SO2 −、−COO−、−O
CO−、−CONHCO−、−NHCONH−、−CO
N(d1 )−、−SO2 (d 1 )−等から選ばれた結合
基を介在させてもよい、二価の脂肪族基もしくは二価の
芳香族基、又はこれらの二価の残基の組み合わせにより
構成された有機残基を表わす。ここで、d1 は前記R31
と同一の内容を表わす。
【0111】二価の脂肪族基として、例えば化27で示
される各基が挙げられる。
【0112】
【化27】
【0113】ここで、e1 及びe2 は、互いに同じでも
異なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアル
キル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロ
ロメチル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−
O−、−S−又は−N(d2 )−を表し、d2 は炭素数
1〜4のアルキル基、−CH2 Cl又は−CH2 Brを
表わす。
【0114】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
【0115】複素環基としては、例えばフラン環、チオ
フエン環、ピリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフ
ラン環、ピロール環、テトラヒドロピラン環、1,3−
オキサゾリン環等が挙げられる。次に、以上のようなフ
ッ素原子及び/又はケイ素原子を含有した置換基を有す
る繰り返し単位の具体例を以下に示す。しかし、本発明
の範囲がこれらに限定されるものではない。以下の(c
−1)〜(c−32)における各具体例においてR
f は、下記に示す(1)〜(11)のいずれかの基を示
し、bは水素原子又はメチル基を表わす。
【0116】
【化28】
【0117】但し、上記(1)〜(11)において、R
f ′は上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは1
〜18の整数を示し、mは1〜18の整数を示し、lは
1〜5の整数を示す。
【0118】
【化29】
【0119】
【化30】
【0120】
【化31】
【0121】
【化32】
【0122】
【化33】
【0123】本発明の樹脂〔A〕において好ましい態様
であるブロック型共重合体を以下に説明する。このブロ
ック型共重合体は、樹脂〔A〕において、フッ素原子及
び/又はケイ素原子含有の重合体成分がブロックで構成
されていればいずれでもよい。ここでブロックで構成す
るとは、フッ素原子及び/又はケイ素原子を70重量%
以上含有する重合体セグメントを重合体中に有している
ことをいい、例えば化34に示すようなA−B型ブロッ
ク、A−B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グ
ラフト型ブロックあるいはスター型ブロック等が挙げら
れる。
【0124】
【化34】
【0125】これらの各種ブロック共重合体〔A〕は、
従来公知の重合方法に従って合成することができる。例
えば、W.J.Burlant、A.S.Hoffman「Block an
d Graft polymers」(1986年、Reuhold)、R.
J.Cevesa 「Block and Graft Copolymers」(196
2年、Butterworths)、D.C.Allport、W.H.J
ames「Block Copolymers」(1972年、Applied Sc
i)、A.Noshay 、J.E.McGrath「Block Copolym
ers」(1977年、Academis Press.)、G.Huvter
g、D.J.Wilson 、G.Riess、NATO ASI
ser.SerE.1985,149、V.Perces 、
Applide. Polymer Sci. 285,95(1985)等
の成書、総説に記載されている。例えば、有機金属化合
物(例えばアルキルリチウム類、リチウムジイソプロピ
ルアミド、アルカリ金属アルコラート類、アルキルマグ
ネシウムハライド類、アルキルアルミニウムハライド類
等)等を重合開始剤とするイオン重合反応については、
T.E.Hogeu−Esch 、J.Smid「RecentAdvances
in Anion Polymerization」(1987年、Elsevier
New York)、岡本佳男、高分子、38、912(19
89)、澤本光男、高分子、38、1018(198
9)、成田正、高分子、37、252(1988)、
B.C.Anderson 、et al.、Macromolecules 14
1601(1981)、S.Aoshima、T.Higasimur
a 、Macromolecules 22、1009(1989)等に
具体的に記載されている。
【0126】また、ヨウ化水素/ヨウ素系等によるイオ
ン重合反応については、T.Higasimura at al.、Mak
romol.Chem.,Macromol.Symp.、1314、457
(1988)、東村敏延、沢本光男、高分子論文集
、189(1989)等に記載されている。グループ
移動重合反応については、D.Y.Sogah et al. 、Ma
cromolecules、20,1473(1987)、O.W.
Webster、D.Y.Sogah、高分子、36、808(1
987)、M.T.Reetg et al. 、Angew. Chem.I
nt. Ed.Eugl.25、9108(1986)、特開昭6
3−97609号等に記載されている。
【0127】金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重
合反応については、T.Yasuda 、T.Aida 、S.I
noue、Macromolecules 、17、2217(198
4)、M.Kuroki 、T.Aida 、S.Inoue、T.A
nn. Chem.Soc. 109、4737(1987)、M.
Kuroki et al.、Macromolecules 、21、3115
(1988)、M.Kuroki 、I.Inoue、有機合成化
学、47、1017(1989)等に記載されている。
【0128】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S.Kobayashi、T.Saegusa「Ring Opening
Polymerization 」(1984年、Applied Scenc
e Publishers Ltd.)、W.Seeliger et al.、Ange
w. Chem.Int. Ed. Engl.、875(196
6)、S.Kobayashi et al. 、Poly.Bull.13,4
47(1985)、Y.Chujo et al. 、Macromolecu
les 、22、1074(1989)等に記載されてい
る。
【0129】更には、ジチオカーバメイト化合物又はザ
ンテート化合物等を開始剤として用いる光リビング重合
反応については、大津隆行、高分子、37、248(1
988)、檜森俊一、大津隆一、Polym. Rep. Jap.
37、3508(1988)、特開昭64−111号、
特開昭64−26619号、M.Niwa 、Macromolecu
les 、189、2187(1988)等に記載されてい
る。
【0130】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集、
931(1976)、上田明、大阪市立工業研究所報
84(1989)、O.Nuyken et al.、Macromol.
Chem., Rapid. Commun.、671(1988)、森
屋泰夫等「強化プラスチック」29、907(19
)、小田良平「科学と工業」61、43(1987)
等に記載されている。
【0131】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に、井手文雄
「グラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行
会)、高分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981
年、東京化学同人)等に記載されている。例えば、高分
子鎖を、重合開始剤、化学的活線(放射線、電子線
等)、機械的応用化でのメカノケミカル反応等で、グラ
フト化する方法、高分子鎖と高分子鎖の官能基を利用し
て、化学結合(いわゆる高分子間反応)しグラフト化す
る方法、及びマクロモノマーを用いて重合反応し、グラ
フト化する方法等が知られている。
【0132】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T.Shota et al.、J.Appl.Poly
m. Sci. 13、2447(1969)、W.H.Buck
、Rubber Chemistry and Technology 、50、1
09(1976)、遠藤剛、植沢勉、日本接着協会誌、
24、323(1988)、遠藤剛、ibid. 25、40
9(1989)等に記載されている。
【0133】また、マクロモノマーを用いて重合反応し
グラフト化する方法として、具体的には、P.Dreyfus
s & R.P.Quirk、Encycl. Polym. Sci. En
g. 、、551(1987)、P.F.Rempp、E.
FraNTA 、Adv. Polym. Sci. 、58、1(198
4)、V.Percec 、Appl.Poly.Sci. 、285、9
5(1984)、R.Asami、M.Takari 、Macromo
l.Chem.Suppl. 、12、163(1985)、P.R
empp.et al. 、Macromol.Chem.Suppl. 、、3(1
985)、川上雄資、化学工業、38、56(198
7)、山下雄也、高分子、31、988(1982)、
小林四郎、高分子、30、625(1981)、東村敏
延、日本接着協会誌、18,536(1982)、伊藤
浩一、高分子加工、35、262(1986)、東貴四
郎、津田隆、機能材料、1987、No.10、5、山
下雄也編著「マクロモノマーの化学と工業」(1989
年、アイ・ピーシー(株))、遠藤剛編著「新しい機能
性高分子の分子設計」第4章(1991年、C.M.
C.(株))、Y.Yamashita et al. 、Polym. Bul
l.、361(1981)等に記載されている。
【0134】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えばM.T.Reetz、Angew. Chem.Int. Ed.Eng
l.、27、1373(1988)、M.Sgwarc 「Car
banions 、Living Polymers and Electron Transfe
r Processes」(1968年、Wiley. New York)、
B.Gordon et al.、Polym. Bull.11、349(1
984)、R.B.Bates et al. 、J.Org. Chem.
44、3800(1979)、Y.Sogah、A.C.
S.Polym. Rapr.1988、No. 2、3、J.W.M
ays. Polym. Bull.23、247(1990)、I.
M.Khan et al.、Macromolecules 、21、2684
(1988)、A.Morikawa 、Macromolecules 、
、3469(1991)、上田明、永井透、高分子、
39、202(1990)、T.Otsu 、Polym. Bul
l.11、135(1984)等に記載されている。しか
しながら、本発明のブロック共重合体〔A〕の合成法は
これらの方法に限定されるものではない。
【0135】更に、該樹脂〔A〕は、上記特定の重合成
分(a)及び/又は(b)とともに、電気絶縁性及び熱
可塑性を保持するために他の重合成分を含有することが
好ましい。他の重合成分としては、該重合体成分のホモ
重合体のガラス転移点が130℃以下のものが好まし
い。具体的には、例えば、下記一般式(U)で示される
繰り返し単位の成分が挙げられる。これらの繰り返し単
位は、単独もしくは2種以上を併用してもよい。
【0136】
【化35】
【0137】式(U)中、Vは−COO−、−OCO
−、−O−、−CO−、−C6 4 −、−(CH2 n
COO−又は−(CH2 n OCO−を表す。但し、n
は1〜4の整数を表す。b1 及びb2 は同じでも異なっ
ていてもよく、各々水素原子、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子、シアノ基、トリフロロメチル基、炭素数1〜
7の炭化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、
ベンジル基等)又は−COOZ11(Z11は炭化水素基を
表し、具体的には上記炭素数1〜7の炭化水素基の具体
的内容と同じものが挙げられる)を表す。
【0138】R60は炭素数1〜22の炭化水素基を表
す。R60は好ましくは、炭素数1〜18の置換されてい
てもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、、トリデシル基、テトラ
デシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、
2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メ
トキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヒドロキ
シプロピル基等)、炭素数2〜18の置換されてもよい
アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロ
ぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、
オクテニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよい
アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナ
フチルメチル基、2−ナフチルエチル基、メトキシベン
ジル基、エトキシベンジル基、メチルベンジル基等)、
炭素数5〜8の置換されてもよいシクロアルキル基(例
えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘ
プチル基等)又は炭素数6〜12の置換されてもよいア
リール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、フロロフェニル基、メチルクロロフ
ェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフェニル基、ク
ロロフェニル基、ジクロロフェニル基、メチルカルボニ
ルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキ
シカルボニルフェニル基、メタンスルホニルフェニル
基、シアノフェニル基等)等が挙げられる。
【0139】以上の式(U)で示される共重合成分の含
有量は、該樹脂〔A〕全重合体中50〜97重量%であ
ることが好ましい。
【0140】該樹脂〔A〕は、上記の重合体成分及び一
般式(U)で示される共重合成分とともに、これらと共
重合可能な他の共重合成分を更に含有していてもよい。
このような他の共重合成分としては、例えば一般式
(U)で説明した以外の置換基を含有するメタクリル酸
エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エステ
ル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル又は
アリル酸エステル類(例えばカルボン酸として、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレンカ
ルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類(例えば
ジメチルエステル、ジエチルエステル等)、アクリルア
ミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例えばスチ
レン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシス
チレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、メト
キシカルボニルスチレン、メタンスルホニルオキシスチ
レン、ビニルナフタレン等)、ビニルスルホン含有化合
物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニル類(例えば
ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾー
ル、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピ
ラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニル
テトラゾール、ビニルオキサジン等)等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。これら他の共重
合成分は、樹脂〔A〕の転写性を疎外しない範囲内で任
意に用いることができるが、具体的には該樹脂〔A〕中
の20重量%を越えないことが好ましい。
【0141】また、転写層には、本発明の樹脂〔A〕と
ともに、必要に応じて他の樹脂を併用してもよい。但
し、転写層の溶出除去の性能を低下させないことより、
転写層形成の全樹脂100重量部中の上記重合体成分
(a)及び(b)の存在割合が5重量%以上を満足する
ことが必要である。併用され得る他の樹脂の例として
は、例えば塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、オレ
フィン−スチレン共重合体、アルカン酸ビニル系樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル系樹
脂、メタクリル系樹脂、セルローズ系樹脂、脂肪酸変性
セルローズ系樹脂等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂
は、単独あるいは2種以上併用してもよい。
【0142】具体的には、例えば、日刊工業新聞社刊
「プラスチック材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1
961年)、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニ
ル」日刊工業新聞社刊(1988年)、大森英三「機能
性アクリル樹脂」(株)テクノシステム刊(1985
年)、滝山栄一郎「ポリエステル樹脂ハンドブック」日
刊工業社刊(1988年)、湯木和男編「飽和ポリエス
テル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(1989
年)、高分子学会編「高分子データハンドブック<応用
編>」第1章培風館(1986年)、原崎勇次編「最新
・バインダー技術便覧」第2章(株)総合技術センター
(1985年)等に例示されている。これらの熱可塑性
樹脂は、単独又は2種以上併用してもよい。
【0143】更に該転写層には、接着性、成膜性、膜強
度等種々の物理的特性を向上させるために、他の添加剤
を併用してもよい。例えば、接着性調整のためにロジ
ン、石油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ性
の改良や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤として
ボリブテン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、低
分子ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワッ
クス、パラフインワックス等、また酸化防止剤として高
分子ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を
加えることができる。詳しくは「ホットメルト接着の実
際」(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29
〜107ページに記載がある。
【0144】該転写層の膜厚は好ましくは0.1〜10
g/m2 、より好ましくは0.5〜7g/m2 の範囲で
ある。膜厚が薄すぎると転写不良が起きやすくなり、厚
すぎると電子写真プロセス上の障害を招きやすく充分な
画像濃度が得られなかったり、画質の低下が起きやす
い。また、該転写層を樹脂〔AH〕の層と樹脂〔AL〕
の層とに分けた積層構成の場合には、樹脂粒子〔AH〕
から成る第1の層は少なくとも0.5g/m2 以上、樹
脂〔AL〕から成る第2の層は、少なくとも0.5g/
2 以上であり、各々の膜厚を保持させつつ全体の膜厚
を1〜10g/m2 とすることが好ましい。第1層及び
第2層の膜厚が各々0.5g以下となると、転写層の剥
離性向上効果が低下してしまう。
【0145】次に、転写層を設けられるべき電子写真体
の電子写真感光体について説明する。感光体としては、
従来公知のいずれのものでも用いることができる。重要
なことは、これら供せられる感光体(又は感光体の最上
層)の表面が、感光体上に転写装置内で設られる転写層
を、後に剥離する場合に容易に剥離できるように、感光
体の表面に剥離性が付与されていることである。
【0146】感光体の表面が剥離性を有するものとして
は、まずアモルファスシリコンを光導電体として用いた
感光体が挙げられる。また、他の光導電体を用いる場合
には、光導電体層を構成する感光体の上層にオーバーコ
ート層を設け、該オーバーコート層に剥離性を付与する
方法、又は光導電層(光導電体単一層及び光導電体積層
のいずれでもよい)の最上層の表面を剥離性が発現する
状態に改質する方法が挙げられる。
【0147】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与する方法は、該層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有の重合体を用いるか、又
はケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重合体成分か
ら成る重合体セグメントを含むブロック共重合体(表面
偏在化型共重合体)を他の結着樹脂とともに少量用いる
方法が可能である。また、かかるケイ素及び/又はフッ
素原子含有の樹脂を粒子の形で併用することもできる。
【0148】なかでも、オ−バ−コ−ト層を設ける場合
には、光導電体層とオーバーコート層の密着性を充分に
保持できることから、本発明に供せられる表面偏在化型
ブロック共重合体を併用する方法が好ましい。上記表面
偏在化型共重合体は、通常オーバーコート層全組成物1
00重量部中0.1〜20重量部の割合で、他の結着樹
脂と併用することができる。
【0149】具体的には、乾式トナーを用いたPPC感
光体において、感光体の繰り返し使用に対する感光体表
面の耐久性を保持する1つの手段として公知となってい
る、感光体上に表面層を設けて保護する方法における該
保護層の内容と類似の方法を利用することができる。例
えばシリコーン系ブロック共重合体を利用した保護層に
関する技術としては、特開昭61−95358号、特開
昭55−83049号、特開昭62−87971号、特
開昭61−189559号、特開昭62−75461
号、特開昭62−75461号、特開昭61−1395
56号、特開昭62−139557号、特開昭62−2
08055号等の各公報に記載のものが挙げられる。ま
た、フッ素系ブロック共重合体を利用した保護層として
は、特開昭61−116362号、特開昭61−117
563号、特開昭61−270768号、特開昭62−
14657号等の各公報に記載のものが挙げられる。更
に、フッ素原子含有重合体成分を含有する樹脂を粒子の
形で併用する保護層として、特開昭63−249152
号及び特開昭63−221355号の各公報に記載のも
のが挙げられる。
【0150】また、最上層の光導電層の表面を剥離性が
発現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂と
を少なくとも用いたいわゆる分散型の感光体を用いる場
合に、有効に適用される。即ち、光導電層の最上層を構
成する層に、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重
合体成分を含有する重合体セグメントをブロックで含有
するブロック共重合体の樹脂、並びにフッ素原子及び/
又はケイ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒子の
少なくともいずれか一方を共存させることにより、これ
らの材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥離性
表面に改質することができる。この共重合体及び樹脂粒
子については特願平3−249819号に記載されてい
るものと同様ものを挙げることができる。
【0151】更には、表面偏在化をより強固にするため
に、オーバーコート層や光導電層の結着樹脂として、フ
ッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント
と、熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体
セグメントとを少なくとも1種ずつブロックで結合して
成るブロック共重合体を用いることができる。かかる熱
及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグメ
ントについては、特願平3−259430号、同3−2
89649号、同3−289648号に記載されている
ものと同様ものを挙げることができる。あるいは、光及
び/又は熱硬化性樹脂を、本発明に従うフッ素原子及び
/又はケイ素原子含有樹脂とともに併用してもよい。
【0152】電子写真感光体において、アモルファスシ
リコンを主として含有する電子写真感光体の他に、前記
した方法により、感光体表面を改質するのに有効な本発
明のフッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する重合体
成分を含有する重合体は、樹脂〔P〕及び/又は樹脂粒
子〔L〕で構成される。該重合体が、ランダム共重合体
である場合には、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含
有する重合体成分は、全重合体成分中少なくとも60重
量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重
量%以上である。
【0153】より好ましくは、該重合体はフッ素原子及
び/又はケイ素原子を含有する重合体成分を50重量%
以上含有する重合体セグメント(A)と該フッ素及び/
又はケイ素原子含有重合体成分を0〜20重量%含有す
る重合体セグメント(B)がブロックで結合して成るブ
ロック共重合体である。更に好ましくは、ブロック共重
合体中のセグメント(B)中に光及び/又は熱硬化性官
能基を少なくとも1種含有する重合体成分を少なくとも
1種含有することを特徴とするブロック共重合体であ
る。
【0154】これらのブロック共重合体において、セグ
メント(B)中には、フッ素原子及び/又はケイ素原子
含有の重合体成分を全く含有しないものが好ましい。本
発明の重合体において、ランダム共重合体に比べ、重合
体セグメント(A)及び(B)を含有するブロック共重
合体(表面偏在化型共重合体)とすることで、表面の剥
離性自身の向上、更には、剥離性の維持が保持される。
【0155】即ち、本発明のフッ素原子及び/又はケイ
素原子含有の樹脂及び/又は樹脂粒子を少量共存させて
塗膜を形成すると、塗布後の乾燥工程終了までの間に、
容易に本発明の樹脂〔P〕及び樹脂粒子〔L〕は、膜の
表面部に移行・濃縮され膜表面が剥離性を発現できる状
態に改質されるものである。前述の様に、樹脂〔P〕
が、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグ
メントがブロック化されている場合には、他方の重合体
セグメント(フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重
合体成分を含んでいても少ない)が、膜形成の結着樹脂
との相溶性が良好なことから、充分な相互作用を行な
い、転写層の塗膜形成時においても、これらの樹脂は、
転写層への更なる移行が抑制もしくは解消されて、転写
層は光導電層の界面を明確に形成維持することができる
ものである(即ち、アンカー効果)。
【0156】更にブロック共重合体のセグメント(B)
中に硬化性基を含有する重合体を用いて、成膜時に重合
体間を架橋することで、更に、感光体と転写層との界面
の剥離性が強固に維持される効果が発揮される。該重合
体は、前記の如く、樹脂粒子として用いられてもよい。
好ましい樹脂粒子〔L〕は、非水溶媒中に分散される樹
脂粒子である。かかる該樹脂粒子としては、フッ素原子
及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含有する、該
非水溶媒に不溶な重合体セグメントと、フッ素原子及び
/又はケイ素原子含有の重合体成分を含有しても20%
以下である、該非水溶媒に可溶性の重合体セグメントと
を結合して成るものが挙げられる。
【0157】本発明に従う樹脂粒子の場合には、不溶化
している重合体部分の作用により、表面への移行・濃縮
が行われ、更に、粒子に結合した非水溶媒に可溶性の重
合体部分が、前記樹脂の場合と同様に、結着樹脂と相互
作用してアンカー効果の作用を行なう。更には硬化性基
を重合体中又は結着樹脂中に含有することで、転写層へ
の移行が解消されるものである。
【0158】次いで、本発明のフッ素原子及び/又はケ
イ素原子を含有する置換基を含む重合体成分について説
明する。該置換基としては、本発明は、重合体の高分子
主鎖に組み込まれたもの及び高分子の側鎖の置換基とし
て含有されたものの両者を含めたものである。これらの
フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基、こ
れらを含む重合体成分、ブロック共重合体の重合パター
ンの態様及び該重合体の合成方法の具体的態様について
は、前記した樹脂〔A〕中に含有し得る重合体成分
(c)において記載したと同様である。
【0159】本発明の樹脂〔P〕及び樹脂粒子〔L〕に
おいて、いわゆる表面偏在化型共重合体である場合を説
明する。該ケイ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合
体成分を含有するブロック(A)において、該重合体成
分は、ブロック(A)全体の総量の内、少なくとも50
重量%を含み、好ましくは70重量%以上、より好まし
くは80重量%以上である。
【0160】また、ブロック(A)と結合して成る他の
ブロック(B)においては、該フッ素原子及び/又はケ
イ素原子含有の重合体成分はブロック(B)全体総量の
内20重量%以下であり、好ましくは0重量%である。
ブロック(A)と他のブロック(B)の重量比は、1〜
95対5〜99(重量比)で、好ましくは、5〜90対
10〜95(重量比)である。この範囲を外れると、本
発明の樹脂〔P〕、樹脂粒子〔L〕ともに、光導電層最
上層部表面への濃縮効果及びアンカー効果が低下し、そ
れらの結果として、転写層の剥離性が低下してしまう。
【0161】また、樹脂〔P〕の重量平均分子量は、好
ましくは5×103 〜1×106 、より好ましくは1×
104 〜5×105 である。一方、樹脂〔P〕における
ブロック〔A〕部の重量平均分子量は、少なくとも1×
103 以上である事が好ましい。他方、樹脂粒子〔L〕
は、その平均粒子が好ましくは0.001〜1μm、よ
り好ましくは0.05〜0.5μmである。
【0162】本発明の樹脂〔P〕における、いわゆる表
面偏在化型共重合体として好ましい態様を以下に説明す
る。即ち、樹脂〔P〕において、フッ素原子及び/又は
ケイ素原子含有の重合体成分がブロックで構成されてい
ればいずれでもよい。ここでブロックで構成するとは、
フッ素原子及び/又はケイ素原子を50重量%以上含有
する重合体セグメントを重合体中に有していることをい
う。
【0163】次に本発明の樹脂粒子〔L〕についての好
ましい態様について説明する。前記の如く、樹脂粒子
〔L〕は、好ましくは、非水溶媒に不溶な、フッ素原子
及び/又はケイ素原子含有の重合体部分(A)と、該溶
媒に可溶性の、フッ素原子及び/又はケイ素原子を殆ど
含有しない重合体部分(B)とから成るものであり、且
つ、粒子の平均粒径が、1μm以下の微小なものであ
る。更には、該樹脂粒子の不溶性部分を構成する重合体
成分(A)部は、架橋構造を形成していてもよい。
【0164】以上の様な粒子〔L〕を、具体的に合成す
る好ましい方法としては、前記した非水系熱可塑性分散
粒子で説明した、非水系分散重合方法が挙げられ、具体
的にも、前記した内容と同様のものが挙げられる。非水
溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられる非水溶媒として
は、沸点200℃以下の有機溶媒であればいずれでもよ
く、単独で又は2種以上を混合して用いることができ
る。
【0165】この有機溶媒の具体例は、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、フッ化アルコー
ル、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケト
ン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エ
ステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ト
リデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の炭素数
6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレ
ンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ク
ロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロパン、
トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げら
れる。ただし、以上述べた化合物例に限定されるもので
はない。
【0166】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。更に、具体
的には、ブロック(A)を構成する重合体成分に相当す
る単量体(a)、ブロック(B)を構成する重合体成分
に相当する単量体(b)とを、単量体(a)は溶解する
が重合すると不溶となる非水溶媒を用いて、過酸化物
(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等)、ア
ゾビス化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスイソバレロニトリル等)、有機金属化合物(例え
ば、ブチルリチウム等)等の重合開始剤の存在下に加熱
重合させればよい。又は、上記単量体(a)、ブロック
(B)から成る重合体〔PB〕とを、上記と同様にして
重合させればよい。
【0167】更には、本発明の樹脂粒子〔L〕の不溶化
した重合体粒子の内部が架橋構造を有していてもよい。
これらの架橋構造を形成させるには、従来公知の方法の
いずれをも用いることができる。即ち、該重合体成分
(A)を含有する重合体を種々の架橋剤あるいは硬化剤
によって架橋する方法、該重合体成分(A)に相当す
る単量体(a)を少なくとも含有させて重合反応を行う
際に、重合性官能基を2個以上含有する多官能性単量体
又は多官能性オリゴマーを共存させることにより、分子
間に網目構造を形成する方法、及び該重合体成分
(A)と反応性基を含有する成分を含む重合体類とを重
合反応あるいは高分子反応によって架橋させる方法等と
の方法によって行うことができる。
【0168】上記の方法の架橋剤としては、通常架橋
剤として用いられる化合物を挙げることができる。具体
的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」
大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子データ
ハンドブック、基礎編」培風館(1986年)等に記載
されている化合物を用いることができる。例えば、有機
シラン系化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等
のシランカップリング剤等)、ポリイソシアナート系化
合物(例えば、トルイレンジイソシアナート、o−トル
イレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシア
ナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポリ
メチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキサメチレン
ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分
子ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例え
ば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシアルキレングリコール、1,1,
1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物
(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル
化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪
族ポリアミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭
晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」
日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著
「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)アクリレ
ート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延
編「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大森英三
「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年
刊)等に記載された化合物類が挙げられる。
【0169】又、上記の方法で共存させる重合性官能
基を2個以上含有する多官能性単量体〔以下多官能性単
量体(d)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの
重合性官能基としては、具体的には、CH2 =CH−C
2 −、CH2 =CH−CO−O−、CH2 =CH−、
CH2 =C(CH3 )−CO−O−、CH(CH3 )=
CH−CO−O−、CH2 =CH−CONH−、CH2
=C(CH3 )−CONH−、CH(CH3 )=CH−
CONH、CH2 =CH−O−CO−、CH2=C(C
3 )−O−CO−、CH2 =CH−CH2 −O−CO
−、CH2 =CH−NHCO−、CH2 =CH−CH2
−NHCO−、CH2 =CH−SO2 −、CH2 =CH
−CO−、CH2 =CH−O−、CH2 =CH−S−等
を挙げることができる。これらの重合性官能基の同一の
ものあるいは異なったものを2個以上有する単量体ある
いはオリゴマーであればよい。
【0170】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0171】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体(例えばアリ
ルオキシカルボニルプロピオン酸、アリルオキシカルボ
ニル酢酸、2−アリルオキシカルボニル安息香酸、アリ
ルアミノカルボニルプロピオン酸等)等のビニル基を含
有したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えばメタク
リル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビニル、
メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸ア
ルリ、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイルプロ
ピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸アリル、
メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエステル、
アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシカルボ
ニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミド、N
−アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン酸アミ
ド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド等)又は
アミノアルコール類(例えばアミノエタノール、1−ア
ミノプロパノール、1−アミノブタノール、1−アミノ
ヘキサノール、2−アミノブタノール等)とビニル基を
含有したカルボン酸との縮合体などが挙げられる。
【0172】本発明に用いられる2個以上の重合性官能
基を有する単量体あるいはオリゴマーは、単量体(a)
及び該単量体と共存する他の単量体との総量に対して1
0モル%以下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、
樹脂を形成する。更には、上記の方法の高分子間の反
応性基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋
架けを行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と
同様に行うことができる。
【0173】分散重合において、粒子の粒径が揃った単
分散性の粒子が得られること及び0.5μm以下の微小
粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法とし
ては多官能性単量体を用いるの方法が好ましい。即
ち、前記した単量体(a)、単量体(b)及び/又は重
合体〔PB〕に更に、多官能性単量体(d)を共存させ
て重合造粒反応を行なうことで合成することができる。
更に、上記したブロック(B)で構成される重合体〔P
B〕を用いる場合は、該重合体〔PB〕の高分子主鎖中
の側鎖あるいは主鎖の片末端に、単量体(a)と共重合
可能な重合性二重結合基を有して成る重合体〔PB′〕
が好ましい。
【0174】該重合性二重結合基としては、上記の様に
単量体(a)と共重合を有すればいずれでもよいが、具
体的な例としては、CH2 =C(q)−COO−、C
(CH3 )H=CH−COO−、CH2 =C(CH2
OOH)−COO−、CH2 =C(q)−CONH−、
CH2 =C(q)−CONHCOO−、CH2 =C
(q)−CONHCONH−、C(CH3 )H=CH−
CONH−、CH2 =CHCO−、CH2 =CH(CH
2 g −OCO−(gは0又は1〜3の整数)、CH2
=CHO−、CH2 =CH−C6 4 −等が挙げられる
(ここでqは−H又は−CH3 を表わす)。
【0175】これらの重合性基は、高分子鎖に直接結合
してもよいし、他の二価の有機残基を介して結合しても
よい。これら重合体の具体的態様については、例えば特
開昭61−43757号、特開平1−257969号、
同2−74956号、同1−282566号、同2−1
73667号、同3−15862号、特願平2−177
449号等の明細書に記載の方法と同様にして行なうこ
とができる。
【0176】重合性化合物の総量は非水溶媒100重量
部に対して5〜8重量部程度であり、好ましくは10〜
50重量部である。重合開始剤の量は、重合性化合物の
総量の0.1〜5重量%である。また、重合温度は30
〜180℃程度であり、好ましくは40〜120℃であ
る。反応時間は1〜15時間が好ましい。次に、光及び
/又は熱硬化性基を、本発明の結着樹脂〔P〕中に重合
体成分として、又は該硬化性基含有樹脂として樹脂
〔P〕と併用して、含有する場合を説明する。
【0177】結着樹脂〔P〕中に含有され得る、光及び
/又は熱硬化性基を少なくとも1種含有して成る重合体
成分としては、前記の如き公知文献に記載のものを挙げ
ることができる、より具体的には例えば前記重合性官能
基として記載したものと同様のものが挙げられる。これ
らの重合体において含有される、光及び/又は硬化性基
を少なくとも1種含有する重合体成分は、ブロック共重
合体〔P〕の重合体セグメント〔B〕100重量部中1
〜95重量部であり、好ましくは10〜70重量部であ
る。、更には、共重合体〔P〕全体の重合成分の全量1
00重量部において5〜40重量部含有していることが
好ましい。
【0178】上記含有量の下限以下になると、光導電層
の成膜後の硬化が充分に進行しなくなり、転写層塗膜時
に光導電層表面部分との膜界面の保持が不充分となり、
転写層の剥離性に悪影響を及ぼす。一方、上記含有量の
上限以上になると、光導電層の結着樹脂としての電子写
真特性が劣化し、複写画像の原稿再現性の低下、非画像
部の地カブリの発生等を生じてしまう場合が生じる。
【0179】これらの光及び/又は熱硬化性基含有のブ
ロック共重合体〔P〕は全結着樹脂100重量部中40
重量%以上使用する事が好ましい。該樹脂〔P〕が40
重量%未満の場合は、電子写真特性の劣化が生じてしま
う。また、本発明では、上記のフッ素原子及び/又はケ
イ素原子含有樹脂とともに光及び/熱硬化性樹脂〔D〕
を併用してもよい。かかる樹脂〔D〕に含有される光及
び/又は熱硬化性基は、いずれでもよいが具体的には前
記したブロック共重合体で含有される硬化性基と同様の
内容のものが挙げられる。
【0180】光及び/又は熱硬化性樹脂〔D〕として
は、従来公知の硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、
本発明のブロック共重合体〔P〕で説明した硬化性基と
同様の官能基含有の樹脂がその例として挙げられる。こ
れら従来公知の電子写真感光層用の結着樹脂類は、例え
ば、柴田隆治、石渡次郎,高分子、第17巻、第278
頁(1968年)、宮本晴視、武井秀彦、イメージン
グ、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料用バ
インダーの実際技術」第10章、C.M.C.出版(1
985年)、電子写真学会編「電子写真用有機感光体の
現状シンポジウム」予稿集(1985年)、小門宏編
「最近の光導電材料と感光体の開発・実用化」日本科学
情報(株)(1986年)、電子写真学会編「電子写真
技術の基礎と応用」第5章、コロナ社(株)(1988
年)、D.Tatt,S.C.Heidecker,Tappi,
(No.10),439(1966),E.S.Bal
tazzi 、R.G.Blanclotte et al、Phot .Sci.
Eng.16(No.5)、354(1972)、グエン
・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写真学会誌
(No.2)、22(1980)等の成書・総説に記
載の化合物等が挙げられる。
【0181】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0182】更に具体的には、遠藤剛「熱硬化性高分子
の精密化」(C.M.C.(株)、1986年刊)、原
崎勇次「最新バインダー技術便覧」第II−1章(総合技
術センター、1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂
の合成・設計と新用途開発」(中部経営開発センター出
版部1985年刊)、大森英三「機能性アクリル系樹
脂」(テクノシステム1985年刊)等の総説に引例さ
れた従来公知の樹脂が用いられる。
【0183】以上の如く、本発明では、オーバーコート
層又は光導電層は、結着樹脂〔B〕及び表面界質用のブ
ロック共重合体〔P〕を少なくとも各々1種以上含有す
るが、更には、膜の硬化を向上させるために光及び/又
は熱硬化性樹脂〔D〕及び/又は架橋剤を少量共存させ
るのが好ましい。その使用量は、結着樹脂〔B〕及びブ
ロック共重合体〔P〕の総量100重量部に対して0.
01〜20重量%で好ましくは0.1〜15重量%であ
る。その使用量が0.01重量%以下となると、膜の硬
膜化向上の効果が薄れてしまう。一方20重量%を越え
ると電子写真特性に悪影響を及ぼす。
【0184】また、架橋剤を併用することが好ましく、
架橋剤としては、通常架橋剤として用いられる化合物を
使用することができる。具体的には、山下普三、金子東
助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)、
光分枝学会編「高分子データハンドブック基礎編」培風
館(1986年)等に記載されてきいる化合物を用いる
ことができる。
【0185】例えば、有機シラン系化合物(例えば、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルエトキシシラン等のシランカップリング剤等)、ポ
リイソシアナート系化合物(例えば、トルイレンジイソ
シアナート、o−トルイレンジイソシアナート、ジフェ
ニルメタンジイソシアナート、トリフェニルメタントリ
イソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナ
ート、ヘキサメチレンジイソアアナート、イソホロンジ
イソシアナート、高分子ポリイソシアナート等)、ポリ
オール系化合物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポ
リオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン
グリコール、1,1,1−トリメチロールプロパン
等)、ポリアミン系化合物(例えば、エチレンジアミ
ン、γ−ヒドロキシプロピル化エチレンジアミン、フェ
ニレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−アミノ
エチルピペラジン、変性脂肪族ポリアミン類等)、チタ
ネートカップリング系化合物(例えばテトラブトキシチ
タネート、テトラクロロポキシチタネート、イソプロピ
ルトリステアロイルチタネート等、)アルミニウムカッ
プリング系化合物(例えばアルミニウム−ブチレート、
アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムオキシ
ドオクテート、アルミニウムトリス(アセチルアセテー
ト)等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂
(例えば垣内弘編著「エポキシ樹脂」昭晃堂(1985
年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社
(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミン
樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラ
ミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載さ
れた化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物
(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマ
ー」講談社(1976年)、大森英三「機能性アクリル
系樹脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載され
た化合物類が挙げられる。また、多官能重合性基含有の
単量体(例えばビニルメタクリレート、アクリルメタク
リレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエ
チレングリコールジアクリレート、ジビニルコハク酸エ
ステル、ジビニルアジピン酸エステル、ジアクリルコハ
ク酸エステル、2−メチルビニルメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベン
ゼン、ペンタエリスリトールポリアクリレート等)等が
挙げられる。
【0186】以上の如く、本発明の光導電層の最上層
(転写装置内で転写剥離層と隣接する層)は、成膜後に
硬化されることが好ましい。供せられる結着樹脂
〔B〕、ブロック共重合体〔P〕、硬化用樹脂〔D〕及
び架橋剤は、高分子間が化学結合しやすい官能基同志の
組合せで用いることが好ましい。例えば官能基の組合せ
による高分子反応として、通常よく知られた方法が挙げ
られ、例えば下表の様なA群の官能基とB群の官能基の
組合せが例示される。但しこれに限定されるものではな
い。
【0187】
【表1】
【0188】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、結着樹脂に必要に応じて反応促進剤を
添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成
する反応様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェ
ノール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモ
フェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有
機金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、
アセチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバ
ルト塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカル
バミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、
チノウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチノウラ
ムジスルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル
酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無
水物、3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフ
ェノンジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げら
れる。架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始
剤(過酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる。
【0189】本発明の感光体に用いることのできる結着
樹脂は、従来公知の電子写真感光体に用いられる樹脂の
いずれでもよく、重量平均分子量は好ましくは5×10
3 〜1×106 、より好ましくは2×104 〜5×10
5 のものである。また、結着樹脂のガラス転移点は好ま
しくは−40℃〜200℃、より好ましくは−10℃〜
140℃である。例えば、柴田隆治・石渡次郎、高分
子、第17巻、第278頁(1968年)宮本晴視、武
井秀彦、イメージング、1973(No.8)中村孝一
編「記録材料用バインダーの実際技術」第10章、C.
H.C.出版(1985年)電子写真学会編、「電子写
真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿集(1985
年)小門宏編、「最近の光導電材料と感光体の開発・実
用化」日本科学情報(株)(1986年)電子写真学会
編「電子写真技術の基礎と応用」第5章コロナ社(株)
(1988年)、D.Tatt 、S.C.Heidecker、T
appi、49(No.10)、439(1966)、E.
S.Baltazzi 、R.G.Blanclotte et al、Phot
.Sci.Eng.16(No.5)、354(197
2)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子
写真学会誌18(No.2)、22(1980)等の成
書・総説に記載の化合物等が挙げられる。
【0190】具体的には、オレフィン重合体及び非重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0191】特に、光導電体の結着樹脂として、カルボ
キシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含有する
比較的低分子量(103 〜104 程度)の樹脂を併用す
ることで、静電特性を良化することができる。例えば、
特開昭63−217354号に記載の酸性基含有重合成
分が重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、同64−7
0761号に記載の重合体主鎖の片末端に酸性基を結合
してなる樹脂、特開平2−67563号、同2−236
561号、同2−238458号、同2−236562
号及び同2−247656号等に記載の、酸性基をグラ
フト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂又は酸性
基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、
同3−181948号に記載の酸性基をブロックで含有
するAB型ブロック共重合体が挙げられる。更に、これ
らの低分子量の樹脂のみでは不充分な光導電層の機械的
強度を充分ならしめるために、中〜高分子量の他の樹脂
を併用することが好ましい。例えば、特開平2−685
61号に記載のポリマー間に架橋構造を形成する熱硬化
性樹脂、特開平2−68562号に記載の一部が架橋構
造を有する樹脂、特開平2−69759号に記載の酸性
基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂
等が挙げられる。また、特定の中〜高分子量の樹脂を用
いることで、環境が著しく変動した場合でも安定した性
能を維持することができ、例えば、特開平3−2995
4号、同3−77954号、同3−92861号及び同
3−53257号に記載の酸性基をグラフト型共重合体
のグラフト部の末端に結合する樹脂又は酸性基をグラフ
ト型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、同3−20
6464号及び同3−223762号記載の酸性基含有
のAブロックと酸性基非含有のBブロックとからなるA
Bブロック型共重合体をグラフト部に含有するグラフト
型共重合体を挙げることができる。これらの特定の樹脂
を用いることで、光導電体を均一に分散させ、平滑性良
好な光導電層を形成することができ、また環境の変化や
半導体レーザー光を用いたスキャニング露光方式を用い
た場合においても、優れた静電特性を維持することがで
きる。
【0192】本発明の結着樹脂は、特に光及び/又は熱
硬化性基を含有する場合には、感光層形成物を塗布した
後、光及び/又は熱硬化されることが好ましい。熱硬化
を行なうためには、例えば、乾燥条件を従来の感光体作
製時の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥条件を高
温度及び/又は長時間とする。あるいは塗布溶剤の乾燥
後、更に加熱処理することが好ましい。例えば60℃〜
150℃で5〜120分間処理する。上述の反応促進剤
を併用すると、より穏やかな条件で処理することができ
る。
【0193】本発明の樹脂中の特定の官能基を光照射で
硬化する方法としては、「化学的活性光線」で光照射す
る工程を入れる様にすればよい。本発明に用いられる
「化学的活性光線」としては、可視光線、紫外線、遠紫
外線、電子線、X線、γ線、α線などいずれでもよい
が、好ましくは紫外線が挙げられる。より好ましくは波
長310nmから波長500nmの範囲での光線を発し
うるものが好ましく、一般には低圧、高圧あるいは超高
圧の水銀ランプ、ハロゲンランプ等が用いられる。光照
射の処理は通常5cm〜50cmの距離から10秒〜1
0分間の照射で充分に行うことができる。
【0194】本発明に供せられる電子写真感光体の構成
及び材料は、従来公知のいずれでもよく、限定されるも
のではない。感光体としては例えば電子写真学会編「電
子写真技術の基礎と応用」(コロナ社刊(1988年
刊))、小門宏編「最近の光導電材料と感光体の開発・
実用化」(日本科学情報(株)刊、1985年刊)等に
記載の各種感光体が挙げられる。
【0195】即ち、光導電性化合物自身から成る単独層
あるいは、光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導
電層が挙げられ、分散された光導電層は、単一層型でも
よいし、積層型でもいずれでもよい。又、本発明におい
て用いられる光導電性化合物は無機化合物あるいは有機
化合物のいずれでもよい。本発明の光導電性化合物とし
て用いられる無機化合物としては、例えば酸化亜鉛、酸
化チタン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン、セレン
−テルル、シリコン硫化鉛等従来公知の無機光導電性化
合物が挙げられる。
【0196】光導電性化合物として、酸化亜鉛、酸化チ
タン等の無機光導電性化合物を用いる場合は、無機光導
電性化合物100重量部に対して、結着樹脂を10〜1
00重量部なる割合、好ましくは15〜40重量部なる
割合で使用する。一方、有機化合物としては、従来公知
の化合物のいずれでもよく、具体的には、特公昭37−
17162号、同62−51462号、特開昭52−2
437号、54−19803号、同56−107246
号、同57−161863号各公報などに記載のよう
な、有機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体と
する光導電層を有するものであり、第二は、特開昭56
−146145号、同60−17751号、同60−1
7752号、同60−17760号、同60−2541
42号、同62−54266号各公報などに記載のよう
な電荷発生剤、電荷輸送剤、結合樹脂を主体とする光導
電層を有するもの、及び特開昭60−230147号、
同60−230148号、同60−238853号各公
報などに記載のような電荷発生剤と電荷輸送剤とをそれ
ぞれ別の層に含有した二層構成の光導電層も知られてい
る。
【0197】本発明の電子写真感光体は上記の二種の光
導電層のいずれの形態をとっていてもよい。第二の例の
場合には、本発明でいう有機光導電性化合物が電荷輸送
剤としての機能をはたす。本発明における有機光導電性
化合物としては、(a)米国特許第3112197号明
細書等に記載のトリアゾール誘導体、(b)米国特許第
3189447号明細書等に記載のオキサジアゾール誘
導体、(c)特公昭37−16096号公報に記載のイ
ミダゾール誘導体、(d)米国特許第3615402
号、同3820989号、同3542544号各明細
書、特公昭45−555号、同51−10983号各公
報、特開昭51−93224号、同55−108667
号、同55−156953号、同56−36656号各
公報等に記載のポリアリールアルカン誘導体、(e)米
国特許第3180729号、同4278746号各明細
書、特開昭55−88064号、同55−88065
号、同49−105537号、同55−51086号、
同56−80051号、同56−88141号、同57
−45545号、同54−112637号、同55−7
4546号各公報等に記載のピラゾリン誘導体及びピラ
ゾロン誘導体、(f)米国特許第3615404号明細
書、特公昭51−10105号、同46−3712号、
同47−28336号各公報、特開昭54−83435
号、同54−110836号、同54−119925号
各公報等に記載のフェニレンジアミン誘導体、(g)米
国特許第3567450号、同3180703号、同3
240597号、同3658520号、同423210
3号、同4175961号、同4012376号各明細
書、特公昭49−35702号公報、西独国特許(DA
S)第1110518号明細書、特公昭39−2757
7号、特開昭55−144250号、同56−1191
32号、同56−22437号各公報などに記載されて
いるアリールアミン誘導体、(h)米国特許第3526
501号明細書等に記載のアミノ置換カルコン誘導体、
(i)米国特許第3542546号明細書などに記載の
N,N−ビカルバジル誘導体、(i)米国特許第325
7203号明細書などに記載のオキサゾール誘導体、
(k)特開昭56−46234号公報等に記載のスチリ
ルアントラセン誘導体、(l)特開昭54−11083
7公報等に記載のフルオレノン誘導体、(m)米国特許
第3717462号明細書、特開昭54−59143号
公報(米国特許第4150987号明細書に対応)、特
開昭55−52063号、同55−52064号、同5
5−46760号、同55−85495号、同57−1
1350号、同57−148749号、同57−104
144号各公報等に記載されているヒドラゾン誘導体、
(n)米国特許第4047948号、同4047949
号、同4265990号、同4273846号、同42
99897号、同4306008号各明細書などに記載
のベンジジン誘導体、(o)特開昭58−190953
号、同59−95540号、同59−97148号、同
59−195658号、同62−36674号各公報な
どに記載されているスチルベン誘導体、(p)特公昭3
4−10966号公報記載のポリビニルカルバゾール及
びその誘導体、(q)特公昭43−18674号、同4
3−19192号各公報記載のポリビニルピレン、ポリ
ビニルアントラセン、ポリ−2−ビニル−4−(4′−
ジメチルアミノフェニル)−5−フェニル−オキサゾー
ル、ポリ−3−ビニル−Nエチルカルバゾール等のビニ
ル重合体、(r)特公昭43−19193号公報記載の
ポリアセナフチレン、ポリインデン、アセナフチレンと
スチレンの共重合体等の重合体、(s)特公昭56−1
3940号公報などに記載のピレン−ホルムアルデヒド
樹脂、ブロムピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカ
ルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の縮合樹脂、
(t)特開昭56−90833号、同56−16155
0号各公報に記載の各種のトリフェニルメタンポリマ
ー、などがある。
【0198】なお本発明において、有機光導電性化合物
は、(a)〜(t)に挙げられた化合物に限定されず、
これまで公知の全ての有機光導電性化合物を用いること
ができる。これらの有機光導電性化合物は場合により2
種類以上併用することが可能である。第一の例の光導電
層に含有される増感色素としては、電子写真感光体に使
用される従来公知の増感色素が使用可能である。これら
は、「電子写真」12 9(1973)、「有機合成化
学」24(11)、1010(1966)等に記載され
ている。例えば、米国特許第3141770号、同42
83475号各明細書、特開昭48−25658号公
報、特開昭62−71965号公報等に記載のピリリウ
ム系染料、Applied Optics Supplement 50(1
969)、特開昭50−39548号公報等に記載のト
リアリールメタン系染料、米国特許第3597196号
明細書等に記載のシアニン系染料、特開昭60−163
047号、同59−164588号、同60−2525
17号各公報等に記載のスチリル系染料などが有利に使
用される。
【0199】第二の例の光導電層に含有される電荷発生
剤としては、電子写真感光体において従来公知の有機及
び無機の各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレ
ン、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び
以下(1)〜(9)に示す有機顔料を使用することがで
きる。 (1)米国特許第4436800号、同4439506
号各明細書、特開昭47−37543号、同58−12
3541号、同58−192042号、同58−219
263号、同59−78356号、同60−17974
6号、同61−148453号、同61−238063
号各公報、特公昭60−5941号、同60−4566
4号各公報等に記載されたモノアゾ、ビスアゾ、トリス
アゾ顔料などのアゾ顔料、(2)米国特許第33970
86号、同4666802号各明細書、特開昭51−9
0827号、同52−55643号各公報に記載の無金
属あるいは金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔
料、(3)米国特許第3371884号明細書、特開昭
47−30330号公報等に記載のペリレン系顔料、
(4)英国特許第2237680号明細書、特開昭47
−30331号公報等に記載のインジゴ、チオインジゴ
誘導体、(5)英国特許第2237679号明細書、特
開昭47−30332号公報等に記載のキナクリンドン
系顔料(6)英国特許第2237678号明細書、特開
昭59−184348号、同62−28738号、同4
7−18544号各公報等に記載の多環キノン系顔料、
(7)特開昭47−30331号、同47−18543
号各公報等に記載のビスベンズイミダゾール系顔料、
(8)米国特許第4396610号、同4644082
号各明細書等に記載のスクアリウム塩系顔料、(9)特
開昭59−53850号、同61−212542号各公
報等に記載のアズレニウム塩系顔料、などである。これ
らは単独もしくは2種以上を併用して用いることもでき
る。
【0200】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は、有機光導電性化合物10〜100重量部である。ま
た、有機光導電性化合物は、単独であるいは2種以上混
合して使用することができる。
【0201】光導電層の厚さは1〜100μ、特には1
0〜50μが好適である。また、電荷発生層と電荷輸送
層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用す
る場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μ、特には、
0.05〜2μが好適である。本発明では、可視光の露
光又は半導体レーザー光の露光等光源の種類によって必
要に応じて各種の色素を分光増感剤として併用すること
ができる。例えば、宮本晴視、武井秀彦;イメージング
1973(No.8)第12頁、C.J.Young等:R
CA Review 15,469頁(1954年)、清田航
平等:電気通信学会論文誌、J63−C(No.2)、
97頁(1980年)、原崎勇次等、工業化学雑誌、
、78及び188頁(1963年)、谷忠昭、日本写
真学会誌35、208頁(1972年)等の総説引例の
カーボニウム系色素、ジフェニルメタン色素、トリフェ
ニルメタン色素、キサンテン系色素、フタレイン系色
素、ポリメチン色素(例えば、オキソノール色素、メロ
シアニン色素、シアニン色素、ロダシアニン色素、スチ
リル色素等)、フタロシアニン色素(金属を含有しても
よい)等が挙げられる。
【0202】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号各
公報、米国特許第3052540号、同4054450
号各明細書、特開昭57−16456号公報等に記載の
ものが挙げられる。
【0203】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F.M.Harmmer「The Cyanine Dyes and
Related Compounds」等に記載の色素類が使用可能で
あり、更に具体的には、米国特許第3047384号、
同3110591号、同3121008号、同3125
447号、同3128179号、同3132942号、
同3622317号各明細書、英国特許第122689
2号、同1309274号、同1405898号各明細
書、特公昭48−7814号、同55−18892号各
公報等に記載の色素が挙げられる。
【0204】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜
赤外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭
47−840号、同47−44180号、特公昭51−
41061号、同49−5034号、同49−4512
2号、同57−46245号、同56−35141号、
同57−157254号、同61−26044号、同6
1−27551号各公報、米国特許第3619154
号、同4175956号各明細書、「Research Discl
osure 」1982年、216、第117〜118頁等に
記載のものが挙げられる。
【0205】本発明の感光体は、種々の増感色素を併用
させてもその性能が増感色素により変動しにくい点にお
いても優れている。更には、必要に応じて、従来知られ
ている種々の電子写真感光体用添加剤を併用することが
できる。これらの添加剤としては、電子写真感度を改良
するための化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の
可塑剤、界面活性剤などが含まれる。
【0206】化学増感剤としては、例えばハロゲン、ベ
ンゾキノン、クロラニル、フルオラニル、プロマニル、
ジニトロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロロ
ベンゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロロフ
タル酸、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキ
ノン、ジニトロフルオレノン、トリニトロフルオレノ
ン、テトラシアノエチレン等の電子吸引性化合物、小門
宏等「最近の光導電材料と感光体の開発・実用化」第4
章〜第6章:日本科学情報(株)出版部(1986年)
の総説引例のポリアリールアルカン化合物、ヒンダート
フェノール化合物、p−フェニレンジアミン化合物等が
挙げられる。また、特開昭58−65439号、同58
−102239号、同58−129439号、同62−
71965号各公報等に記載の化合物等も挙げることが
できる。
【0207】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリ
フェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジ
イソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチル
セバケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリ
コレート、ジメチルグリコールフタレートなどを光導電
層の可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑
剤は光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させ
ることができる。
【0208】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
01〜2.0重量部である。本発明による光導電層は、
従来公知の支持体上に設けることができる。一般に云っ
て電子写真感光層の支持体は、導電性であることが好ま
しく、導電性支持体としては、従来と全く同様、例えば
金属、紙、プラスチックシート等の基体に低抵抗性物質
を含浸させるなどして導電処理したもの、基体の裏面
(感光層を設ける面と反対面)に導電性を付与し、更に
はカール防止を図る等の目的で少なくとも1層以上をコ
ートしたもの、前記支持体の表面に耐水性接着層を設け
たもの、前記支持体の表面層に必要に応じて少なくとも
1層以上のプレコート層を設けたもの、Al等を蒸着し
た基体導電化プラスチックを紙にラミネートしたもの等
が使用できる。
【0209】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例として、坂本幸男、電子写真、14(No.1),
2〜11頁(1975年刊)、森賀弘之「入門特殊紙の
化学」高分子刊行会(1975年刊)、M.F.Hoove
r 、J.Madromol .Sci.Chem .A−4(6)、1
327〜1417頁(1970年刊)等に記載されてい
るもの等を用いる。
【0210】本発明に供される現像剤は、従来公知の静
電写真用現像剤を使用することができ、静電写真用乾式
現像剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例えば、前述
の「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁、中
村孝一監修「トナー材料の開発・実用化」第3章(日本
科学情報社刊、1985年)、町田元「記録用材料と感
光性樹脂」107〜127頁(1983年刊)、(株)
学会出版センター、電子写真学会「イメージングNo.
2〜5 電子写真の現像・定着・帯電・転写」等に具体
的な態様が示されている。
【0211】乾式現像剤としては、一成分磁性トナー、
二成分トナー、一成分非磁性トナーあるいはカプセルト
ナー等が実用されており、これらのいずれも利用するこ
とができる。より好ましくは、デジタル情報に基づいて
露光するレーザー光によるスキャニング露光方式及び液
体現像剤を用いる現像方式の組合せが、高精細な画像を
形成できることから有効なプロセスである。
【0212】また、具体的な湿式現像剤の材料の基本構
成としては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィ
ン系脂肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG(エ
ッソ社製)シェルゾール70、シェルゾール71(シェ
ル社製)、IP−ソルベント1620(出光石油化学
製)等}を分散媒として、着色剤である無機又は有機の
顔料あるいは染料とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポ
リエステル樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の
分散安定性・定着性、荷電性を付与するための樹脂とを
分散し、且つ、荷電特性の強化あるいは画像特性の改良
等のために所望により種々の添加剤を加えて成るもので
ある。
【0213】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等の染料
あるいは顔料等である。又、他の添加剤としては、例え
ば原崎勇次「電子写真」第16巻、第2号、44頁に具
体的に記載されているものが用いられる。例えば、ジ−
2−エチルヘキシルスルホコハク酸金属塩、ナフテン酸
金属塩、高級脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン
酸金属塩、アルキルリン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビ
ニルピロリドン)、半マレイン酸アミド成分を含む共重
合体、クマロンインデン樹脂、高級アルコール類、ポリ
エーテル類、ポリシロキサン、ワックス類等が挙げられ
る。しかし、これらに限定されるものではない。
【0214】これら湿式現像剤の主要な各組成分の量に
ついては通常下記の通りである。樹脂(及び所望により
用いられる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、
担体液体1000重量部に対して0.5重量部〜50重
量部が好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が
不足し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生
じ易い。さらに、前記の分散安定用の担体液体可溶性樹
脂も必要に応じて使用され、担体液体1000重量部に
対して0.5重量部〜100重量部程度加えることがで
きる。上述の様な荷電調節剤は、担体液体1000重量
部に対して0.001重量部〜1.0重量部が好まし
い。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら
添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が
規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現
像剤の電気抵抗が109 Ωcmより低くなると良質の連
続階調像が得られ難くなるので、各添加物の各添加量
は、この限度内でコントロールされている。
【0215】又、湿式現像剤の製造方法の具体例として
は、着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェッ
トミル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分散
して着色粒子を製造する方法が、例えば特公昭35−5
511号、特公昭35−13424号、特公昭50−4
0017号、特公昭49−98634号、特公昭58−
129438号、特開昭61−180248号等に記載
されている。
【0216】他の着色粒子の製造方法としては、例えば
分散樹脂粒子を微小粒径で単分散性の良好なものとして
得る非水系分散重合方法を用いて製造し、該樹脂粒子を
着色する方法が挙げられる。着色の方法の1つとして
は、特開昭57−48738号などに記載されている如
く、分散樹脂を好ましい染料で染色する方法がある。ま
た、他の方法として、特開昭53−54029号に開示
されている如く、分散樹脂と染料を化学的に結合させる
方法、又は、特公昭44−22955号等に記載されて
いる如く、重合造粒法で製造する際に、予め色素を含有
した単量体を用い、色素含有の共重合体とする方法等が
ある。
【0217】本発明に用いる被転写材は、従来オフセッ
ト印刷版に供される支持体をそのまま用いることができ
る。具体的には、プラスチックシート又は特に耐刷性を
施した紙、アルミニウム、板、亜鉛板、銅−アルミニウ
ム板、銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメタル
板、クロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄板、
クロム−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の親水
性表面を有する基板が用いられ、その厚さは0.1〜3
mmが好ましく、特に0.1〜1mmが好ましい。
【0218】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許第2,714,066号明細書に
記載されている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリ
ウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭4
7−5125号公報に記載されているように、アルミニ
ウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属ケイ酸
塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。
【0219】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許第3,658,662号明細書に
記載されているようなシリケート電着も有効である。西
独特許公開第1,621,478号に記載のポリビニル
スルホン酸による処理も適当である。
【0220】これらの親水化処理は、支持体の表面を親
水性とするために施される以外は、その上に設けられる
トナ−画像との密着性の向上のために施されるものであ
る。また、該支持体とトナー画像を形成した転写層との
間との接着性を調節するために、該支持体表面に表面層
を設けて特性を改良することもできる。プラスチックシ
ート又は紙を支持体とする場合には、当然のことなが
ら、トナー画像部層以外が親水性でなければならないこ
とから、親水性を有する表面層を設けたものが供され
る。具体的には、公知の直描型平版印刷用原版又は該原
版の画像受理層と同様の内容を有する被転写材を用いる
ことができる。
【0221】本発明の印刷版を作成する方法としては、
まず、通常の電子写真プロセスを経て、該転写層を有す
る感光材料上に複写画像を形成する。即ち、帯電−露光
−現像−定着の各プロセスを従来公知の方法によって行
う。現像プロセスに供される現像剤としては、従来公知
のいずれの現像剤でもよく、乾式現像剤又は液体現像剤
が挙げられる。
【0222】より好ましくは、デジタル情報に基づいて
露光するレーザー光によるスキャニング露光方式及び液
体現像剤を用いる現像方式の組合せが、高精細な画像を
形成できることから有効なプロセスである。その一例を
以下に示す。まず、感光材料をフラットベット上にレジ
スターピン方式による位置決めを行った後背面よりエア
ーサクションにより吸引して固定する。次いで、例えば
「電子写真技術の基礎と応用」(電子写真学会編、コロ
ナ社、昭和63年6月15日発行)212頁以降に記載
の帯電デバイスにより、感光材料を帯電する。コロトロ
ン又はスコトロン方式が一般的である。この時感光材料
の帯電電位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範
囲の表面電位となるよう、フィードバックをかけ、帯電
条件をコントロールすることも好ましい。
【0223】その後例えば同じく上記引用資料の254
頁以降に記載の方式を用いてレーザー光源による走査露
光を行う。次いで液体現像剤を用いてトナー画像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料は、そ
こからはずして同上引用資料の275頁以降に示された
直接法の湿式現像法を用いることができる。この時の露
光モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、
例えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザ
ー光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ
電荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加
して、露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳
細は同上引用資料の157頁以降に説明がある。
【0224】現像後に余剰の現像液を除くために、同資
料283頁に示されるようなスクイーズを行った後乾燥
する。スクイーズ前に現像剤の担体液体のみでリンスを
することも好ましい。次に、感光材料上のトナー画像を
転写層ごと被転写材に熱転写する。転写層を被転写材に
熱転写するための装置例を図2に示す。
【0225】これは加熱手段5内蔵の一対のゴム被覆金
属ローラー4間に所定のニップ圧力を印加しながら駆動
するものである。この時のローラー4の表面温度は好ま
しくは50〜150℃、より好ましくは80〜120
℃、ローラー間のニップ圧力は好ましくは0.2〜20
kgf/cm2 、より好ましくは0.5〜10kgf/
cm2 、搬送スピードは好ましくは0.1〜100mm
/秒、より好ましくは1〜30mm/秒の範囲である。
これらの条件設定は使用している感光材料、即ち剥離
層、感光層、支持体の材料の物性により最適化すること
は当然である。
【0226】ローラー4の表面温度は公知の表面温度検
出手段6及び温度コントローラー7によって所定の範囲
内に保つことが好ましい。更に加熱ローラー部前に感光
材料の予熱手段、後に冷却手段を設けることもできる。
図2には示していないが、ローラー間加圧手段としては
少なくとも一方のローラーの、軸の両端にスプリング又
は圧縮空気を用いるエアーシリンダーを使うことができ
る。本発明においては、請求項2記載の如く、電子写真
プロセスを行う装置内において、本発明の樹脂〔AH〕
及び〔AL〕を主成分とする熱可塑性樹脂を、粘着力2
00gf以下の表面を有する電子写真感光体上に、転写
層として形成することが好ましい。これにより、電子写
真感光体を該装置内で繰り返し使用することが可能とな
り、感光体を使い捨てることなく、電子写真プロセスを
連続して行い得る。その結果、作成される印刷版のコス
トを著しく低減できるというメリットを生じる。
【0227】電子写真プロセスを行う装置内において転
写層を感光体表面に形成するには、「ホットメルト」方
式、「離型紙転写」方式又は「電着」方式が有効であ
る。「ホットメルト」方式とは、転写層組成物を公知の
方法で熱溶融塗布するものであり、無溶剤型塗布機、例
えば前記資料「ホットメルト接着の実際」の197〜2
15頁に記載のホットメルト接着剤用加熱溶融塗布装置
(ホットメルトコーター)の機構を、感光体ドラム塗布
仕様にして転用できる。例としては、ダイレクトロール
コーター、オフセットグラビアロールコーター、ロット
コーター、エクストルージョンコーター、スロットオリ
フィスコーター、カ−テンコーター等が挙げられる。
【0228】剥離転写層の膜厚は、0.1〜20μmが
適当であり、更に好ましくは0.5〜10μmが適当で
ある。膜厚が薄すぎると転写不良が起きやすくなり、厚
すぎると電子写真プロセス上の障害を招きやすく、充分
な画像濃度が得られなかったり、画質の低下が起きやす
い。塗布時の熱可塑性樹脂の溶融温度は、用いる熱可塑
性樹脂の成分組成により最適化するが、通常は50〜1
80℃の範囲である。密閉された自動温度制御手段を有
する予備加熱装置を用いて予め溶融した後、感光体に塗
布する位置で短時間に適温に上昇させることが望まし
い。このようにすることで、熱可塑性樹脂の熱酸化によ
る変質や塗布ムラを防止することができる。
【0229】塗布スピードは、熱可塑性樹脂の熱溶融時
の流動性、コーター方式、塗布量等によるが、1〜10
mm/秒が適当であり、より好ましくは5〜40mm/
秒の範囲である。図3は、該装置内において溶融塗布
(ホットメルト)方式により転写層を感光体上に形成す
る方法を用いた、電子写真式製版印刷原版作成装置の概
略図である。
【0230】熱可塑性樹脂12aはホットメルトコータ
ー13により、例えばドラム周面の感光体11の表面へ
塗布され、吸排気ユニット15下を通過することにより
所定の温度まで冷却される。ホットメルトコーター13
が待機位置13aまで移動したあと、その場所には液体
現像ユニット14が移動される。このユニット14は液
体現像剤を含む現像装置よりなる。各々には必要に応じ
て非画像部の汚れを防止する意味でもプレバス、リン
ス、スクイズ手段を備えておいても良い。プレバス及び
リンス液には通常湿式現像剤のキャリヤー液体を用い
る。
【0231】熱可塑性樹脂からなる転写層12が形成さ
れた感光体11は、次いで電子写真プロセスに入る。感
光体11はコロナ帯電装置18で、例えばプラスに一様
帯電された後、露光装置(例えば半導体レーザー等)1
9で画像情報に基づき画像露光されると、露光部の電位
が低減され、未露光部との間に電位コントラストが得ら
れる。プラスの静電荷を有する電気絶縁性分散媒中に分
散している湿式現像剤を含む現像ユニットセット14か
ら感光体表面11に接近させギャップを1mmにして固
定する。
【0232】まず感光体11は現像部に具備されたプレ
バス手段によりプレバスされ、次いで図には示されてい
ないバイアス電源及び電気結線により感光体と現像電極
の間に現像バイアス電圧を印加しながら湿式現像剤を感
光体表面に供給する。この時のバイアス電圧は現像電極
側を正に、感光体側を負になるように接続し、印加電圧
は未露光部の表面電位よりもやや低くする。印加電圧が
低すぎると充分なトナー画像濃度が得られない。
【0233】その後現像ユニット14に内蔵してあるリ
ンス手段により感光体表面に付着した現像液を洗い落と
し、続いてスクイズ手段により感光体表面に付着したリ
ンス液を除いてから、吸排気ユニット15下を通過させ
ることにより乾燥させる。この間熱転写手段17は感光
体表面より離して置く。画像を感光体の転写層上に形成
した後、熱転写のための加熱手段17aにより所定の予
熱をし、ついで被転写材16を介して温度制御手段を有
した発熱体を内蔵するゴムローラー17bを圧接しさら
に冷却ローラー17c下を通過させて冷却して、感光体
表面のトナーを転写層12ごと被転写材16へ熱転写し
一連の工程を終了する。次いで、後述するように、不感
脂化処理液で転写層を除去して印刷版を得ることができ
る。
【0234】剥離層(転写層)12を転写紙16へ熱転
写するための転写手段17は加熱手段17a、発熱体内
蔵のゴムで被覆した金属の加熱ローラー17b及び冷却
ローラー17cよりなる。加熱手段17aは非接触の例
えば赤外線ラインヒーター又はフラッシュヒーター等を
用い、加熱ローラー17bによって得られる感光層表面
温度以上にならない範囲で予備加熱する。加熱ローラー
17bによる感光層の加熱表面温度は好ましくは50〜
150℃、より好ましくは80〜120℃である。
【0235】冷却ローラー17cの材質は例えばアルミ
ニウム、銅等の熱良導体金属にシリコーンゴム被覆を施
し、ローラー内部もしくは転写紙に接しない外周部に冷
却手段を用いて放熱する事が望ましい。冷却手段はクー
リングファン、冷媒循環又は電子冷却素子などを用い、
温度コントローラーと組合せて所定の温度範囲に保つこ
とが好ましい。
【0236】これらのローラーのニップ圧力は0.2〜
20kgf/cm2 、より好ましくは0.5〜15kg
f/cm2 であり、図には示していないがローラー加圧
手段としてはローラー軸の両端にスプリングもしくは圧
縮空気を用いるエアーシリンダーを使うことができる。
搬送スピードは0.1〜100mm/秒、より好ましく
は1〜30mm/秒の範囲であり、電子写真工程と熱転
写工程で異なっていてもよい。
【0237】また転写層を形成した状態で装置を停止す
ることにより、次の装置稼働時にはすぐ電子写真プロセ
スからスタートでき、更に感光層表面を保護し外的環境
からの影響による特性劣化を防止することができる。以
上の条件設定は、使用している感光体、即ち転写層、感
光層及び支持体、さらに転写紙の材料の物性により最適
化することは当然である。特に熱転写工程における予
熱、ローラー加熱、冷却条件は転写層のガラス転移点、
軟化温度、流動性、粘着性、皮膜性、膜厚などの要因を
加味して決定することが必要である。即ち予熱手段であ
る程度軟化した転写層が加熱ローラー下を通過すること
により粘着性が増し転写紙に密着する。次いで冷却ロー
ラー下を通過した後では、温度が下がり、流動性や粘着
性が低減して皮膜のまま、トナーごと転写層に接着され
た状態で感光層表面から剥離するように条件を設定すべ
きである。
【0238】次に、本発明に用いることができる電子写
真式製版印刷原版作成装置の他の態様である「離型紙転
写」方式について説明する。「離型紙転写」方式によれ
ば、剥離紙上に転写層をホットメルトコート、溶剤塗
布、ラテックス電着等により予め形成した後、感光材料
表面に転写層を熱転写し、その上に電子写真トナー画像
を設けてから、転写層ごと剥離性表面の被転写材に熱転
写した後、転写層を不感脂化処理液で除去して印刷版と
するものである。
【0239】剥離層が形成された剥離紙は、ロール状、
シート状で、電子写真式製版印刷原版作成装置に簡便に
供給できる。この方式に供される剥離紙は、従来公知の
いずれもものも使用でき、例えば、粘着(粘接着)の新
技術とその用途・各種応用製品の開発資料(発行;経営
開発センター出版部、昭和53年5月20日)、オール
ペーパーガイド紙の商品事典、上巻・文化産業編)発
行;(株)紙業タイムス社、昭和58年12月1日)等
の成書に記載のものが挙げられる。具体的には、剥離紙
は、シリコーンを主とする離型剤を、ポリエチレン樹脂
をラミネートした未晒クルパック紙や耐溶剤性の樹脂を
プリコートした上級紙、クラフト紙に、またアンダーコ
ートを施したPETベース、又は直接グラシン紙に塗布
したものである。
【0240】シリコーンは一般に溶剤タイプのものが用
いられ、3〜7%の濃度でグラビアロール、ワイヤーバ
ー方式で塗布・乾燥後、150℃以上で熱処理され、硬
化される。塗布量は1g/m2 程度である。製紙メーカ
ーから一般に市販されている、テープ用、ラベル用、形
成工業用及びキャストコート工業用のものが使用でき
る。例えば、セパレート紙(王子製紙)、キングリーズ
(四国製紙)、サンリリース(山陽国策パルプ)、NK
ハイレリーズ(日本加工製紙)などが挙げられる。
【0241】剥離紙を利用した転写層を感光体上に簡便
に作成する装置としては、例えば図4に示す概略図のも
のが挙げられる。即ち、樹脂〔AH〕及び〔AL〕を含
有する転写層12を設けた剥離紙10を、加熱ローラー
17bで加熱圧着させて、転写層12を感光体11の表
面へ転写させる。剥離紙10は、冷却ローラー17cで
冷却されて回収される。更に必要に応じて、感光体11
自身を予熱手段17aで加熱して、転写層12の加熱圧
着による転写性を向上させてもよい。
【0242】図4の装置は、前記したホットメルト方式
の装置(図3)と比べ、転写層12を感光体11上に形
成する部分117以外は、基本的に同一の構成である。
図4の117部においては、剥離紙10により転写層1
2を感光体11上へ転写し、次いで電子写真プロセスで
トナー画像を形成した後、該部分117を被転写材16
を有する部分17に置き換えて、ホットメルト方式の場
合と同様に転写させる方法を用いてもよいし、剥離紙1
0により転写層12を感光体11上に転写する部分と、
トナー画像の形成された転写層12を被転写材16へ転
写する部分の両方を装置内に組み入れてもよい。
【0243】剥離紙10により転写層12を感光体11
表面へ転写する場合における転写条件は、以下の通りが
好ましい。ローラーのニップ圧力は0.1〜10kgf
/cm2 、より好ましくは0.2〜8kgf/cm2
あり、転写時の温度は25〜100℃、より好ましくは
40〜80℃である。搬送スピードは0.5〜100m
m/秒、より好ましくは3〜50mm/秒であり、転写
層形成工程、電子写真工程及び被転写材への熱転写工程
の各々で異なっていてもよい。
【0244】次に、本発明に用いることができる「電
着」方式について説明する。本発明に従う熱可塑性樹脂
を、樹脂粒子の状態で感光体の表面上に電着付着させ、
例えば加熱等により均一な薄膜を形成して、転写層とす
る。従って、該熱可塑性樹脂粒子は、正電荷あるいは負
電荷のいずれかの荷電を有している事が必要であり、そ
の検電性は組み合せる電子写真感光体の帯電性によって
任意に決定される。
【0245】該樹脂粒子は、前記した物性を満たす範囲
のものであって、通常その平均粒径は、0.01μm〜
15μmの範囲であり、好ましくは0.05μm〜5μ
m、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲であ
る。。該粒子は粒子粉体(乾式)あるいは、非水系に分
散された樹脂粒子(湿式)のいずれの状態でもよい。好
ましくは、該剥離用転写層の膜厚を均一厚みで薄膜まで
調整することが容易な、非水系分散樹脂粒子が挙げられ
る。
【0246】本発明の微小径樹脂粒子は、従来公知の機
械的粉砕方法又は重合造粒方法によって製造することが
できる。これらの製造方法は、乾式電着あるいは湿式電
着のいずれの粒子でも用いることができる。乾式電着方
法で用いられる微小粒子を製造する場合において、機械
的粉砕方法としては、従来公知の粉砕機で直接粉砕し、
微粒子とする方法(例えば、ボールミル、ペイントシェ
ーカー、ジェットミルを使用する方法等)が挙げられ、
必要に応じて、樹脂粒子とする材料を混合し、溶融、混
練を経て粉砕したり、粉砕後粒径をそろえるための分級
又は粒子の表面を処理する後処理等を適宜組合わせて行
なうことができる。また、スプレードライ法も知られて
いる。
【0247】具体的には、(社)日本粉体工業技術協会
編「造粒ハンドブック」第II編(オーム社刊、1991
年)、神奈川経営開発センター「最新造粒技術の実際」
(神奈川経営開発センター出版部、1984年)、荒川
正文等編「最新粉体の設計技術」(株)テクノシステム
社、1988年)等の成書に詳細に記載された方法を適
宜用いて容易に製造することができる。
【0248】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行なう乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反
応、非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等
が知られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテッ
クスの化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲
垣寛「合成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978
年)、室井宗一「高分子ラテックス入門」工文社(19
83年)、I.Piirma ,P.C.Wang 「Emulsion
Polymerization 」I.Piirma &J.L.Gavdon ,
ACS symp.Sev.24,p.34(1974年)、北
原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書(1979
年)、室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端技術」
C.M.C.(1991年)等のの成書に記載されてい
る方法で粒子化した後、上記機械的方法に関する成書に
記載の様な各種の方式で補集し粉末化することで製造す
ることができる。
【0249】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は、乾式静
電写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的
には、J.F.Hughes 著(長坂秀雄・緑川真知子訳)
「静電粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯
電、インダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現
象利用等の方法で帯電した微粒子を電着する方法、中村
孝一編「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開
発・実用化」第1章(日本科学情報(株)、1985
年)等の成書に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ
法、ファーブラシ法、エレクトロスタチック法、インダ
クション法、タッチダウン法、パウダークラウド法等の
現像方法等を用いて適宜行なうことができる。
【0250】湿式電着方法で用いられる、非水系ラテッ
クスを製造する場合も、前記の如く機械的方法と重合造
粒方法のいずれでも製造することができる。例えば、分
散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば、ボー
ルミル、ペイントシェーカー、ケデイミル、タイノミル
等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、分散
補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混練して混練
物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させて分散
する方法等が挙げられる。具体的には、塗料又は静電写
真用現像剤の製造方法を利用することができ、例えば植
木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(197
1年)、「ソロモン、塗料の科学」、「Paint and S
urface Coating Theory and Practice 」、原崎勇
次「コーティング工学」朝倉書店(1971年)、原崎
勇次「コーティングの基礎科学」 書店(1977年)
等の成書に記載されている。
【0251】また、重合造粒法としては、従来公知の非
水系分散重合方法で製造することができ、具体的には、
前記した「超微子ポリマーの最新技術」第2章、「最近
の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」
第3章、K.E.J.Barvett「Dispersion Polymer
ization in Organic Media」John Wiley(197
5年)等の成書に記載されている。
【0252】該重合造粒法において、該樹脂〔A〕に剥
離性向上のための重合体成分(c)を導入するには、重
合成分(a)及び/又は重合成分(b)に相当する単量
体とともに、重合体成分(c)に相当する単量体を共存
させて重合反応を行うことで樹脂〔A〕中に共重合さ
れ、ランダム共重合体の樹脂粒子〔AR〕が容易に得ら
れる。
【0253】更に、該重合体成分(c)を重合体のブロ
ックで導入するには、用いる分散安定用樹脂に、該重合
体成分(c)をブロックで含有するブロック共重合体を
少なくとも用いる方法、又は該重合体成分(c)を主た
る繰り返し単位として構造する重量平均分子量1×10
3 〜2×104 (好ましくは3×103 〜1.5×10
4 )の一官能性マクロモノマーを共存させて、該重合体
成分(a)及び/又は(b)に相当する単量体類と共重
合させることで容易に樹脂〔A〕はブロック共重合体と
することができる。また、他の方法としては、重合体成
分(c)を主たる繰り返し単位として含有する高分子開
始剤(アゾビス高分子開始剤又は過酸化物高分子開始
剤)を用いることでも、同様にブロック共重合体の樹脂
粒子〔AR〕を得ることができる。
【0254】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。かかる有機溶媒の具体例は、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フ
ッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオ
クタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジ
クロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に
限定されるものではない。
【0255】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。これらの非
水系分散樹脂粒子は、湿式静電写真現像方法又は電界の
印圧場で電気泳動させて電着される方法を行なう事か
ら、電着時に用いられる分散媒としては、電気抵抗10
8 Ωcm以上、且つ誘電率3.5以下の非水溶媒系に調
節される。
【0256】具体的には、直鎖状もしくは分枝状の脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、及び
これらのハロゲン置換体を用いることができる。例えば
オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリ
ン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサ
ン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレン、アイソパーE、アイソパー
G、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソ
ン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71
(シェルゾール;シェルオイル社の商品名)、アムスコ
OMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社
の商品名)等を単独あるいは混合して用いることができ
る。
【0257】従って、重合造粒時に用いる溶媒として、
初めから上記絶縁性有機溶媒を用いることが好ましい
が、これら溶媒以外の溶媒で造粒した後、分散媒の置換
をして調節することもできる。また、非水系ラテックス
の他の合成方法としては、上記した電気抵抗108 Ωc
m以上且つ誘電率3.5以下の非水溶媒に可溶性となる
重合体成分と、該溶媒に不溶性となる重合体成分とで構
成されるブロック共重合体を、該溶媒に湿式分散するこ
とで微小樹脂粒子として供することもできる。即ち、可
溶性の重合体成分と不溶性の重合体成分とからなるブロ
ック共重合体を、予め該ブロック共重合体を溶解する有
機溶媒中で、前記したブロックポリマーの合成法を用い
て重合体とした後、電着用非水溶媒に分散させる方法で
ある。
【0258】以上の如く、分散媒中の分散粒子を電気泳
動で電着させるためには、該粒子は正荷電又は負荷電の
検電性粒子であり、該粒子に検電性を付与する技術は、
湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利用することで達成
可能である。具体的には、前記の「最近の電子写真現像
システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148
頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」49
7〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次
「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)
等に記載の検電材料及び他の添加剤を用いることで行な
われる。
【0259】例えば、英国特許第893429号、同9
34038号、米国特許第1122397号、同390
0412号、同4606989号、特開昭60−179
751号、同60−185963号、特開平2−139
65号等に記載されている。電着に供せられる非水系ラ
テックスの構成としては、通常少なくとも電気絶縁性分
散媒1リットル中に、熱可塑性樹脂を主として含有する
粒子が0.1〜20g、分散安定用樹脂は0.01〜5
0g、必要に応じて加える荷電制御剤は、0.0001
〜10gの範囲である。
【0260】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持等のために、他の天下剤を添加してもよく、例えば、
ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル
類、シリコーンオイル類、パラフィンワックス類、トリ
アジン誘導体等が挙げられる。しかし、これらに限定さ
れるものではない。これらの添加剤の総量は、該電着用
ラテックスの電気抵抗によってその上限が規制される。
即ち、電気抵抗が108 Ωcmより低くなると熱可塑性
樹脂粒子の付着量が充分な量得られ難くなるので、各添
加剤の各添加量はこの限度内でコントロールされる。
【0261】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した熱可塑性樹脂粒子は電子写
真湿式現像剤と同様の挙動を示す。よって例えば前掲の
「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に示さ
れる現像デバイス、例えばスリット現像電極装置を用い
て感光体表面に電気泳動させることができる。即ち、熱
可塑性樹脂を主として含有する粒子が、電子写真感光体
と対向して設置された対向電極の間に供給され、外部電
源より印加された電位勾配に従って電気泳動して電子写
真感光体に付着又は電着されて成膜される。
【0262】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前提の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体
を均一帯電させた後露光を行なわず、又は不要領域のみ
に露光を行なういわゆる焼き落としをし、次いで通常の
湿式トナー現像をする。
【0263】感光体状の熱可塑性樹脂粒子の付着量は外
部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び現像時間
などにより任意に調節できる。電着後公知のゴムローラ
ー、ギャップローラ、リバースローラなどによるスクイ
ズで現像液を拭い去る。またコロナクイズやエアースク
イズなどの方法も公知である。更に冷風もしくは温風、
あるいは赤外線ランプなどにより乾燥し、好ましくは熱
可塑性樹脂粒子を皮膜化させて転写層とする。
【0264】以下に電着方式による転写層の形成方法を
添付図面をもって詳細に説明する。図5は電着方式によ
り転写層を形成する装置を組み込んだ電子写真転写装置
の概略図である。図5の装置は前記したホットメルト方
式の装置(図3)と比べ、転写層12を感光体11上に
形成する部分以外は、基本的に同一の構成である。熱可
塑性樹脂粒子の分散液12aは可動式の湿式現像ユニッ
トセット14内にある電着ユニット14T内に供給され
ている。まず電着ユニット14Tを感光体表面11に接
近させ、電着ユニット14Tの現像電極との距離が1m
mとなるように固定する。このギャップ間に粒子分散液
12aを供給し図示していない外部電源から電圧を印加
しながら回転させ、感光体表面11の画像形成領域全面
に粒子が電着するようにする。
【0265】電着ユニット14Tに内蔵してあるスクイ
ズ装置で感光体表面11に付着している粒子分散液12
aを除き、次いで吸排気ユニット15下を通過させ乾燥
し、加熱手段17aにより熱可塑性樹脂粒子を熱溶融さ
せて皮膜化した熱可塑性樹脂転写層12を得る。その後
必要に応じて図示していない吸排気ユニット15に類似
の冷却装置にて感光体外側からか、もしくは感光体ドラ
ム内部から、所定の温度まで冷却する。
【0266】電着ユニット14Tを降下させたのち湿式
現像ユニットセット14が移動する。このユニットセッ
ト14は湿式現像剤を含む現像装置14aを含む。以
下、前記と同様にして、電子写真プロセス、転写プロセ
スを行うことができる。
【0267】本発明においては、以上のようにして得ら
れた被転写材16上の転写層12を化学反応処理して、
転写層12を溶解又は膨潤そして脱離すること等によ
り、完全に除去することで、オフセット用印刷版を作成
することができる。転写層12を除去するための処理に
は、処理液による反応の他に化学的光学活線による脱保
護反応を用いてもよく、また併用してもよい。
【0268】処理液は、所定のpHに調整された水溶性
溶液を用いる。pHの調整は、公知のpH調整剤を用い
ることができる。適用されるpH域は酸性〜中性〜アル
カリ性のいずれでもよいが、処理液の防錆性又は転写層
の溶出除去性を勘案すると、pH8以上のアルカリ性領
域で用いることが好ましい。アルカリ性処理液とする化
合物としては、従来公知の無機化合物又は行き化合物の
いずれでもよく、例えば、炭酸塩、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、
有機アミン化合物等いずれでもよく、また、単独又は混
合して用いることができる。
【0269】更には、親水性反応を迅速化するために併
用できる化合物として、パーソン(Pearson)等の求核
定数n〔R.G.Pearson,H.Sobel,J.Amer.C
hem.Soc.,90,319(1968)〕が5.5以上
の値を有する置換基を含有し、且つ蒸留水100重量部
中に1重量部以上湯解する親水性化合物が挙げられる。
【0270】具体的な化合物としては、例えばヒドラジ
ン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸塩(アンモニウム塩、
ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩等)、チオ硫酸塩等
が挙げられ、また、分子内にヒドロキシル基、カルボキ
シル基、スルホ基、ホスホノ基、アミノ基から選ばれた
少なくとも1つの極性基を含有するメルカプト化合物、
ヒドラジド化合物、スルフィン酸化合物、第1級アミン
化合物、第2級アミン化合物等が挙げられる。
【0271】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシロピルメルカ
プタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢酸
等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエチ
ルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンス
ルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンカ
ルボン酸等を、第1級又は第2級アミン化合物として、
例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ(2−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオン酸、
アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼンジカ
ルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2−カル
ボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラジン等
を挙げることができる。
【0272】これら処理液中の求核性化合物の存在量は
0.05〜10モル/l、好ましくは0.1〜5モル/
lである。また、処理液のpHは8以上が好ましい。処
理の条件は、温度15〜60℃で浸漬時間は10秒〜5
分間が好ましい。該処理液は、上記した求核性化合物及
びpH調整剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例
えば、水に可溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1
〜50重量部含有してもよい。このような水に可溶性の
有機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノー
ル、エタノール、プロパノール、プロパギルアルコー
ル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、
ケトン類(アセトン、メチルエチルテトン、シクロヘキ
サノン、アセトフェノン等)、エーテル類(ジオキサ
ン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリ
コール、ジメチルエ−テル、プロピレングリコール、ジ
エチルエ−テル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラ
ヒドロピラン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、
ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトア
ミド等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸
エチル、スルホラン、テトラメチル尿素等)等が挙げら
れ、これらは単独又は2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0273】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性又はノニオン性
の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界面
活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、
寺村一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年
刊)槇書店等に記載される化合物を用いることができ
る。更に、該処理液の保存時の防腐性、防黴性向上の為
に、従来公知の防腐性化合物、防黴性化合物を併用して
もよい。
【0274】更に処理時に、超音波下に行う又は機械的
な摺動(ブラシ等でこする等)等の物理的操作を併用し
てもよい。他方、「化学的活性光線」の照射により脱保
護反応する場合に用いられる光線としては、可視光線、
紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線などいず
れでもよいが、好ましくは紫外線が挙げられる。より好
ましくは波長310nm〜波長500nmの範囲での光
線を発しうるものが好ましく、一般には高圧又は超高圧
の水銀ランプ等が用いられる。光照射の処理は通常5c
m〜50cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分
に行うことができる。この様にして光照射した後、上記
の様な水溶性溶液中に浸漬することで容易に転写層が除
去されるものである。
【0275】
【実施例】以下に実施例を示し、更に詳しく本発明の内
容を説明するが、これによって本発明が限定を受けるも
のではない。 〔樹脂〔P〕の合成例〕 樹脂〔P〕の合成例1:〔P−1〕 メチルメタクリレート80g、ジメチルシロキサンのマ
クロモノマー(FM−0725)(チッソ(株)製、Mw
1×104 )20g及びトルエン200gの混合溶液
を、窒素気流下温度75℃に加温した。これにアゾビス
イソブチロニトリル(略称:A.I.B.N.)1.0
gを加え4時間反応し、更にA.I.B.N.0.7g
を加えて4時間反応した。得られた共重合体の重量平均
分子量(略称:Mw)は5.8×104 であった(G.
P.C.法測定値)。
【0276】
【化36】
【0277】樹脂〔P〕の合成例2〜9:〔P−2〕〜
〔P−9〕 樹脂〔P〕の合成例1において、メチルメタクリレート
及びマクロモノマー(FM−0725)の代わりに、下
記表−Bに記載の重合体成分に相当する各単量体を用い
た他は、該合成例1と同様にして、各重合体を合成し
た。得られた各重合体のMwは、4.5×104 〜6×
104 の範囲であった。
【0278】
【表2】
【0279】
【表3】
【0280】樹脂〔P〕の合成例10:〔P−10〕 2,2,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレ
ート60g、メチルメタクリレートのマクロモノマー
(AA−6)(東亜合成化学(株)製、Mw1×1
4 )40g及びベンゾトリフルオリド200gの混合
溶液を窒素気流下に温度75℃に加温した。これにA.
I.B.N.1.0gを加え4時間反応し、更にA.
I.B.N.0.5gを加えて、4時間反応した。得ら
れた共重合体のMwは6.5×104 であった。
【0281】
【化37】
【0282】樹脂〔P〕の合成例11〜15:〔P−1
1〕〜〔P−15〕 樹脂〔P〕の合成例10において用いた単量体及びマク
ロモノマーの代わりに、下記表一Cに記載の重合体成分
に相当する各単量体及び各マクロモノマーを用いた他
は、該合成例10と同様にして、各共重合体を合成し
た。得られた共重合体のMwは4.5×104 〜6.5
×104 の範囲であった。
【0283】
【表4】
【0284】
【表5】
【0285】
【表6】
【0286】樹脂〔P〕の合成例16:〔P−16〕 メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート22
g、メタクリル酸1g及びトルエン200gの混合溶液
を、窒素気流下に温度80℃に加温した。これに下記構
造の高分子アゾビス開始剤〔PI−1〕10gを加えて
8時間反応した。反応終了後、メタノール1.5リット
ル中に再沈し、得られた沈澱物を補集・乾燥して、収量
75gでMw3×104 の共重合体を得た。
【0287】
【化38】
【0288】樹脂〔P〕の合成例17:〔P−17〕 メチルメタクリレート70g及びテトラヒドロフラン2
00gの混合溶液を窒素気流下に充分に脱気し、−20
℃に冷却した。1,1−ジフェニルブチルリチウム0.
8gを加え12時間反応した。更に、この混合溶液に、
下記単量体(M−1)30g及びテトラヒドロフラン6
0gの混合溶液を、窒素気流下に充分に脱気した後添加
し、更に8時間反応した。
【0289】この混合物を0℃にした後、メタノール1
0mlを加え30分間反応し、重合を停止させた。得ら
れた重合体溶液を攪拌下にて温度30℃とし、これに3
0%塩化水素エタノール溶液3mlを加え1時間攪拌し
た。次に、減圧下に反応混合物を全体量が半分になるま
で溶媒を留去した後、石油エーテル1リットル中に再沈
した。沈澱物を補集し、減圧乾燥して得られた重合体の
Mw6.8×104 で収量76gであった。
【0290】
【化39】
【0291】樹脂〔P〕の合成例18:〔P−18〕 メチルメタクリレート52.5g、メチルアクリレート
22.5g、(テトラフェニルポルフィナート)アルミ
ニウムメチル0.5g及び塩化メチレン200gの混合
溶液を窒素気流下にて温度30℃とした。これに300
W−キセノンランプ光をガラスフィルターを通して25
cmの距離から光照射し、20時間反応した。この混合
物に更に下記単量体(M−2)25gを加え、同様に1
2時間光照射した後、この反応混合物にメタノール3g
を加えて30分間攪拌し反応を停止させた。次にこの反
応混合物をメタノール1.5リットル中に再沈し、沈澱
物を捕集し乾燥した。得られた重合体は収量78gでM
w9×104 であった。
【0292】
【化40】
【0293】樹脂〔P〕の合成例19:〔P−19〕 エチルメタクリレート50g、グリシジルメタクリレー
ト10g及びベンジルN,N−ジエチルジチオカーバメ
ート4.8gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、
温度50gに加温した。これに、400Wの高圧水銀灯
で10cmの距離からガラスフィルターを通して、6時
間光照射し光重合した。これをテトラヒドロフラン10
0gに溶解し、更に、下記単量体(M−3)40gを加
えた後、窒素置換し再び10時間光照射した。得られた
反応物をメタノール1リットルに再沈、捕集し乾燥し
た。得られた重合体は、収量73gでMw4.8×10
4 であった。
【0294】
【化41】
【0295】樹脂〔P〕の合成例20:〔P−20〕 メチルメタクリレート50g、エチルメタクリレート2
5g及びベンジルイソプルザンテート1.0gの混合物
を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃に加温し
た。これに400Wの高圧水銀灯で10cmの距離から
ガラスフィルターを通して6時間光照射し光重合した。
これに前記単量体(M−1)25gを加えて窒素置換し
再び10時間光照射した。得られた反応物を、メタノー
ル2リットル中に再沈し捕集、乾燥し得られた重合体は
収量63gでMw6×104 であった。
【0296】
【化42】
【0297】樹脂〔P〕の合成例21〜27:〔P−2
1〕〜〔P−27〕 樹脂〔P〕の合成例19と同様にして、下記表−Dの各
共重合体を合成した。得られた重合体のMwは3.5×
104 〜6×104 の範囲であった。
【0298】
【表7】
【0299】
【表8】
【0300】樹脂〔P〕の合成例28:〔P−28〕 樹脂〔P〕の合成例19において、ベンジル N,N−
ジエチルジチオカーバメイトの代わりに、下記構造の化
合物〔I−1〕18gを用いた他は該合成例19と同様
に反応させて、Mw4.5×104 の共重合体を得た。
【0301】
【化43】
【0302】樹脂〔P〕の合成例29:〔P−29〕 樹脂〔P〕の合成例20において、ベンジルイソプルザ
ンテートの代わりに下記構造の開始剤〔I−2〕0.8
gを用いた他は、該合成例20と同様に反応し、Mw
2.5×104 の共重合体を得た。
【0303】
【化44】
【0304】樹脂〔P〕の合成例30:〔P−30〕 メチルメタクリレート68g、メチルアクリレート22
g、グリシジルメタクリレート10g及び下記構造の開
始剤〔I−3〕17.5g及びテトラヒドロフラン15
0gの混合溶液を窒素気流下に温度50℃に加温した。
この溶液に400Wの高圧水銀灯で10cmの距離から
ガラスフィルターを通して10時間光照射し光重合し
た。得られた反応物をメタノール1リットル中に再沈
し、沈澱物を捕集し乾燥して、収量72gでMw4.0
×104 の重合体を得た。
【0305】この重合体70g、単量体(M−2)30
g及びテトラヒドロフラン100gの混合溶液を、窒素
気流下に温度50℃とし、上記と同条件で13時間光照
射した。次にこの反応物をメタノール1.5リットル中
に再沈し、沈澱物を捕集・乾燥して収量78gでMw6
×104 の共重合体を得た。
【0306】
【化45】
【0307】樹脂〔P〕の合成例31〜38:〔P−3
1〕〜〔P−38〕 樹脂〔P〕の合成例30において、開始剤〔I−3〕1
7.5gの代わりに、下記表−Eの開始剤〔I〕0.0
31モルを用いた他は、該合成例30と同様の条件で操
作した。得られた各重合体の収量は70〜80gでMw
4×104 〜6×104 であった。
【0308】
【表9】
【0309】
【表10】
【0310】
【表11】
【0311】(樹脂粒子〔L〕の合成例) 樹脂粒子〔L〕の合成例1:〔L−1〕 下記構造の単量体(LM−1)40g、エチレングリコ
ールジメタクリレート2g、下記構造の分散安定用樹脂
〔LP−1〕4.0g及びメチルエチルケトン180g
の混合溶液を窒素気流下、攪拌しながら温度60℃に加
温した。2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)
(略称A.I.V.N.)0.3gを加え3時間反応し
た。更に、A.I.V.N.0.1gを加えて4時間反
応した。冷却後、20メッシュのナイロン布を通して白
色分散物を得た平均粒子径0.25μmのラテックスで
あった(粒径は、CAPA−500(堀場製作所(株)
製)で測定)。
【0312】
【化46】
【0313】樹脂粒子〔L〕の合成例2:〔L−2〕 分散安定用樹脂として樹脂〔AB−6〕(東亜合成
(株)製:ブチルアクリレート単位から成る一官能性マ
クロモノマー)5g及びメチルエチルケトン140gの
混合溶液を、窒素気流下、攪拌しながら温度60℃に加
温した。これに、下記構造の単量体(LM−2)40
g、エチレングリコールジアクリレート1.5g、A.
I.V.N.0.2g及びメチルエチルケトン40gの
混合溶液を1時間で滴下した。そのまま2時間反応後、
更にA.I.V.N.0.1gを加え3時間反応して、
白色分散物を得た。冷却後、200メッシュのナイロン
布を通して得られた分散物の平均粒径は0.35μmで
あった。
【0314】
【化47】
【0315】樹脂粒子〔L〕の合成例3〜11:〔L−
3〕〜〔L−11〕 樹脂粒子〔L〕の合成例1において、単量体(LM−
1)、エチレングリコールジメタクリレート及びメチル
エチルケトンの代わりに下記表−Fの各化合物に代えた
他は、該合成例1と同様にして樹脂粒子を製造した。得
られた各樹脂粒子の平均粒径は0.15〜0.30μm
の範囲であった。
【0316】
【表12】
【0317】
【表13】
【0318】樹脂粒子〔L〕の合成例12〜17:〔L
−12〕〜〔L−17〕 樹脂粒子〔L〕の合成例2において、分散安定用樹脂
〔AB−6〕5gの代わりに下記表−Gの樹脂〔LP〕
に代えた他は、該合成例2と同様にて各樹脂粒子を合成
した。得られた各粒子の平均粒径は0.10〜0.25
μmの範囲であった。
【0319】
【表14】
【0320】
【表15】
【0321】樹脂粒子〔L〕の合成例18〜23:〔L
−18〕〜〔L−23〕 樹脂粒子〔L〕の合成例2において、単量体(LM−
2)40gの代わりに下記表−Hの各単量体、分散安定
用樹脂〔AB−6〕5gの代わりに下記構造の樹脂〔L
P−8〕6gを用いた他は、該合成例2と同様にして、
各樹脂粒子を合成した。得られた各粒子の平均粒径は
0.05〜0.20μmの範囲であった。
【0322】
【化48】
【0323】
【表16】
【0324】
【表17】
【0325】〔樹脂〔AH〕の合成例〕 樹脂〔AH〕の合成例1:〔AH−1〕 ベンジルメタクリレート85g、アクリル酸15g、β
−メルカプトプロピオン酸1.8g及びトルエン200
gの混合溶液を窒素気流下にて温度75℃に加温した。
これに、アゾビスイゾブチロニトリル(略称A.I.
B.N.)1.5gを加え4時間反応し、更にA.I.
B.N.1.0gを加えて4時間反応した。得られた共
重合体の重量平均分子量(略称Mw)は3×104 (ポ
リスチレン換算によるG.P.C.法測定値)であっ
た。また、上記反応物50gをメタトール400ml中
に再沈して得られた沈降物を補集、乾燥して得られた樹
脂のガラス転移点(略称Tg)を測定したところ、58
℃であった。
【0326】樹脂〔AH〕の合成例2:〔AH−2〕 フェネチルメタクリレート67g、ジメチルシロキサン
のマクロモノマー(FM−0721)(チッソ(株)
製;Mw5×103 )10g、3−スルホプロピルメタ
クリレート3g、下記構造の単量体(b−1)20g、
テトラヒドロフラン150g及びエタノール50gの混
合溶液を窒素気流下にて温度65℃に加温した。これ
に、2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称
A.I.V.N.)5gを加え4時間反応し、更にA.
I.V.N.1gを加えて4時間反応した。得られた共
重合体のMwは、2×104 であった。また、再沈して
得られた樹脂のTgは53℃であった。
【0327】
【化49】
【0328】樹脂〔AH〕の合成例3〜22:〔AH−
3〕〜〔AH−22〕 樹脂〔AH〕の合成例1と同様にして、下記表−Iの各
樹脂を合成した。得られた共重合体のMwは1×104
〜3×104 の範囲であり、再沈して得られた樹脂のT
gは35〜60℃の範囲であった。
【0329】
【表18】
【0330】
【表19】
【0331】
【表20】
【0332】
【表21】
【0333】
【表22】
【0334】
【表23】
【0335】樹脂〔AH〕の合成例23〜32:〔AH
−23〕〜〔AH−32〕 樹脂〔AH〕の合成例2と同様にして、下記表−Jの各
樹脂を合成した。得られた共重合体のMwは1×104
〜3×104 の範囲であった。但し、用いたマクロモノ
マーのMwは5×103 〜7×103 の範囲であった。
また、各樹脂のTgは30℃〜70℃の範囲であった。
【0336】
【表24】
【0337】
【表25】
【0338】
【表26】
【0339】
【表27】
【0340】樹脂〔AH〕の合成例33:〔AH−3
3〕 フェネチルメタクリレート45g、アクリル酸10g、
下記構造の単量体(b−2)30g、ベンジル N,N
−ジエチルジチオカーバメイト(IA−1)12g及び
テトラヒドロフラン85gの混合溶液を窒素気流下にて
容器に密閉し、温度50℃に加温した。これに、400
Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルター
を通して8時間光照射し光重合した。
【0341】これに下記構造の単量体(c−1)15g
及びテトラヒドロフラン15gの混合溶液を加えた後、
窒素置換し再び10時間光照射した。得られた反応物を
メタノール1リットルに再沈、補集し乾燥した。得られ
た共重合体は収量73gで、Mw3×104 、樹脂のT
gは45℃であった。
【0342】
【化50】
【0343】樹脂〔AH〕の合成例34:〔AH−3
4〕 樹脂〔AH〕の合成例33において、光重合開始剤であ
るベンジル N,N−ジエチルジチオカーバメイト12
gの代わりに下記構造の開始剤(IA−2)を用いた他
は樹脂〔AH〕の合成例33と同様にして共重合体を合
成した。得られた共重合体のMwは3.5×104 、T
gは50℃であった。
【0344】
【化51】
【0345】樹脂〔AH〕の合成例35〜41:〔AH
−35〕〜〔AH−41〕 樹脂〔AH〕の合成例33において、単量体(c−1)
の代わりに下記表−Kの重合成分に相当する各単量体を
用いた他は樹脂〔AH〕の合成例33と同様にして各共
重合体を合成した。得られた共重合体のMwは2×10
4 〜3.5×104 の範囲であり、樹脂分のTgは35
〜60℃の範囲であった。
【0346】
【表28】
【0347】〔樹脂〔AL〕の合成例〕 樹脂〔AL〕の合成例1:〔AL−1〕 ベンジルメタクリレート57g、メチルアクリレート3
0g、アクリル酸13g、β−メルカプトプロピオン酸
メチル2.6g及びトルエン200gの混合溶液を窒素
気流下にて温度80℃に加温した。これに、A.I.
B.N.2gを加え3時間反応し、更にA.I.B.
N.1.0gを加えて4時間反応した。得られた共重合
体のMwは9.5×103 でTgは22℃であった。
【0348】
【化52】
【0349】樹脂〔AL〕の合成例2:〔AL−2〕 メチルメタクリレート25g、エチルアクリレート50
g、メタクリル酸15g、下記構造の光重合開始剤(I
A−3)4.5g及びテトラヒドロフラン90gの混合
溶液を窒素気流下にて容器に密閉し、温度50℃に加温
した。これに、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離
からガラスフィルターを通して1時間光照射し光重合し
た。
【0350】これに下記構造の単量体(c−2)10g
及びテトラヒドロフラン10gの混合溶液を加えた後、
窒素置換し再び10時間光照射した。得られた反応物を
メタノール1リットルに再沈、補集し乾燥した。得られ
た共重合体は収量68gで、Mw1×104 、樹脂のT
gは18℃であった。
【0351】
【化53】
【0352】樹脂〔AL〕の合成例3〜20:〔AL−
3〕〜〔AL−20〕 樹脂〔AL〕の合成例1と同様にして、下記表−Lの各
樹脂を合成した。得られた共重合体のMwは6×103
〜1×104 の範囲であり、Tgは10〜25℃の範囲
であった。
【0353】
【表29】
【0354】
【表30】
【0355】
【表31】
【0356】
【表32】
【0357】
【表33】
【0358】〔熱可塑性樹脂粒子〔AR〕の合成例〕 熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例1:〔ARH−
1〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−1〕16g及びアイソ
パーH550gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温
度50℃に加温した。
【0359】
【化54】
【0360】これに、ベンジルメタクリレート85.5
g、アクリル酸12.5g、3−メルカプトプロピオン
酸メチル2.0g及び2,2′−アゾビス(2−シクロ
プロピルプロピオニトリル)(略称A.C.P.P.)
1.2gの混合溶液を1時間で滴下した。そのまま1時
間攪拌後、A.C.P.P.0.8gを加え2時間反応
した。更に、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)(略称A.I.B.N.)0.5gを加え、温度を
80℃に設定し、3時間反応した。冷却後、200メッ
シュのナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率9
7%で平均粒径0.17μmの単分散性のラテックスで
あった(粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)
製)で測定した)。
【0361】上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転
数1×104 r.p.m.、回転時間1時間)にかけ、
沈降した樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重
量平均分子量(Mw)とガラス転移点(Tg)を測定し
たところ、Mwは1.5×104 (G.P.C.による
ポリスチレン換算値)、Tgは63℃であった。
【0362】熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例2:
〔ARH−2〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−2〕14g、下記構造
のマクロモノマー(m−1)10g及びアイソパーH5
53gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃
に加温した。
【0363】
【化55】
【0364】これに、メチルメタクリレート51.2
g、メチルアクリレート30g、アクリル酸12.5
g、3−メルカプトプロピオン酸メチル1.3g及び
A.C.P.P.1.2gの混合溶液を滴下時間1時間
で滴下し、そのまま更に1時間反応した。次に2,2′
−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.
N.)0.8gを加えた後、200メッシュにナイロン
布を通し得られた白色分散物は重合率98%で、直ちに
温度設定を75℃として2時間、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応した。冷却後、200メッ
シュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率
98%で平均粒径0.8μmの単分散性のラテックスで
あった。樹脂粒子分のMwは、2×104 でTgは50
℃であった。
【0365】熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例3〜
11:〔ARH−3〕〜〔ARH−11〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−3〕20g及びアイソ
パーG480gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温
度50℃に加温した。
【0366】
【化56】
【0367】これに、下記表−Mに記載の各単量体の所
定量、3−メルカプトプロピオン酸メチル2.6g、
A.I.V.N.1.5g及びテトラヒドロフラン60
gの混合溶液を、滴下時間1時間で滴下し、そのまま更
に1時間反応した。次いで、A.I.V.N.1.0g
を加え、温度設定を70℃としてそのまま2時間反応
後、更にA.I.V.N.0.8gを加えて3時間反応
した。
【0368】上記反応物にアイソパーH60gを加え、
温度50℃で水流ポンプの減圧下にてテトラヒドロ溶媒
を留去した後、冷却し、200メッシュのナイロン布を
通して白色分散物を得た。得られた各ラテックスは、平
均粒径0.15〜0.30μmの範囲で各々単分散性は
良好であった。また、各ラテックスの樹脂粒子分のMw
は1×104 〜2×104 の範囲であり、Tgは35〜
80℃の範囲であった。
【0369】
【表34】
【0370】
【表35】
【0371】
【表36】
【0372】熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例12
〜22:〔ARH−12〕〜〔ARH−22〕 樹脂粒子〔ARH〕の合成例2において、マクロモノマ
ー(M−1)10gの代わりに下記表−Nの各マクロモ
ノマー(Mwは8×103 〜1×104 の範囲)を用い
た他は該合成例2と同様にして各樹脂粒子を合成した。
各粒子の重合率は98〜99%で、それらの粒子の平均
粒径は0.15〜0.25μmの範囲で、粒子の粒度分
布も狭く、単分散性が良好であった。該樹脂粒子のMw
は9×103 〜2×104 、ガラス転移点は40〜70
℃の範囲であった。
【0373】
【表37】
【0374】
【表38】
【0375】
【表39】
【0376】
【表40】
【0377】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例1:
〔ARL−1〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−4〕18g及びアイソ
パーH560gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温
度55℃に加温した。
【0378】
【化57】
【0379】これに、フェネチルメタクリレート84.
8g、アクリル酸10.0g、3−メルカプトプロピオ
ン酸5.2g及び2,2′−アゾビス(イソバレロニト
リル)(略称A.I.V.N.)0.8gの混合溶液を
1時間で滴下した。そのまま1時間撹拌後、A.I.
V.N.0.8gを加え2時間反応した。更に、2,
2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.
B.N.)0.5gを加え、温度を80℃に設定し、3
時間反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を
通し得られた白色分散物は重合率97%で、平均粒径
0.18μmの単分散性ラテックスであった。又、樹脂
粒子分のMwは6×103 、Tgは25℃であった。
【0380】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例2:
〔ARL−2〕 分散安定用樹脂〔Q−5〕の合成 ドデシルメタクリレート99.5g、ジビニルベンゼン
0.5g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流
下撹拌しながら温度80℃に加温した。A.I.B.
N.2gを加え3時間反応し、更にA.I.B.N.
0.5gを加えて4時間反応した。得られた重合体〔Q
−5〕の固形分は33.3%(重量)で、Mwは4×1
4 であった。
【0381】粒子の合成 上記樹脂〔Q−5〕25g(固形分量として)、酢酸ビ
ニル54g、酪酸ビニル40g、クロトン酸6g及びア
イソパーH275gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しな
がら温度80℃に加温した。A.I.V.N.1.6g
を加え,1.5時間反応し、A.I.V.N.0.8g
を加え2時間、更にA.I.B.N.0.5gを加え4
時間反応した。次いで、温度を100℃に上げ2時間撹
拌し、未反応の酢酸ビニルを留去した後、冷却して20
0メッシュのナイロン布を通し、白色分散物を重合率9
3%で得た。平均粒径0.25μmの単分散ラテックス
であった。また、樹脂粒子分のMwは8×104 、Tg
は30℃であった。
【0382】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例3:
〔ARL−3〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−6〕20g、メチルメ
タクリレート60g、アクリル酸10g、チオグリコー
ル酸3g及びアイソパーH546gの混合溶液を、窒素
気流下撹拌しながら温度60℃に加温した。A.I.
V.N.1.0gを加え2時間反応した後、A.I.
V.N.0.8gを加えて2時間反応し、更にA.I.
B.N.0.5gを加えた後温度設定を80℃にして3
時間反応した。冷却後200メッシュナイロン布を通し
て白色分散物を重合率99%で得た。平均粒径は0.2
2μmの単分散ラテックスであった。また、樹脂粒子分
のMwは9×103 で、Tgは23℃であった。
【0383】
【化58】
【0384】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例4:
〔ARL−4〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−7〕18g及びアイソ
パーH;500gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら
温度50℃に加温した。
【0385】
【化59】
【0386】これに、メチルメタクリレート39.1
g、エチルアクリレート30g、2−スルホエチルメタ
クリレート25g、3−メルカプトプロピオン酸メチル
7.9g、A.I.V.N.1.5g及びテトラヒドロ
フラン120gの混合溶液を滴下時間1時間で滴下し、
そのまま更に1時間反応した。次いで、A.I.V.
N.1.0gを加え、温度設定を70℃としてそのまま
2時間反応後、更にA.I.V.N.1.0gを加えて
3時間反応した。
【0387】得られた分散物の一部を採取し、粒子の粒
径を測ったところ、平均粒径0.18μmの単分散性良
好な分散物であった。また、重合率は98%であった。
上記反応物にアイソパーH120gを加え、温度50℃
で水流ポンプの減圧下にテトラヒドロ溶媒を留去し、冷
却後200メッシュのナイロン布を通して白色分散物を
得た。該樹脂粒子のMwは4×103 、Tgは28℃で
あった。
【0388】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例5:
〔ARL−5〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−8〕20g、繰り返し
単位がジメチルシロキサンからなる一官能性マクロモノ
マー:プラクセルFM0721(Mw6×104
(株)チッソ製)15g、メチルメタクリレート30.
8g、エチルアクリレート30g、アクリル酸15g、
3−メルカプトプロピオン酸エチル9.2g及びアイソ
パーG;547gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しなが
ら温度60℃に加温した。A.I.V.N.2.0gを
加え2時間反応した後、A.I.V.N.1.0gを加
えて更に2時間反応した。次いで、A.I.V.N.
1.0gを加えた後直ちに温度設定を75℃として2時
間、更にA.I.V.N.0.8gを加えて2時間反応
した。冷却後200メッシュのナイロン布を通して白色
分散物で、重合率98%、平均粒径0.20μmの単分
散ラテックスを得た。該樹脂粒子のMwは4×103
Tgは18℃であった。
【0389】
【化60】
【0390】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例6:
〔ARL−6〕 前記分散安定用樹脂〔Q−4〕12g及びアイソパーG
455gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら、温度5
0℃に加温した。これに、フェネチルメタクリレート6
2.5g、(2−ペンチルカルボニル−1−メチル)エ
チルメタクリレート20g、アクリル酸7.5g、4−
メルカプトブタンカルボン酸メチル10g、A.C.
P.P.3g及びアイソパーG100gの混合溶液を滴
下時間1時間で滴下した後、そのまま更に1時間反応
後、A.C.P.P.1.0gを加え2時間反応した。
次いで、A.I.V.N.0.8gを加えた後、直ちに
温度設定を75℃とし、2時間反応し、更にA.I.
V.N.0.5gを加えて2時間反応した。冷却後、2
00メッシュのナイロン布を通して白色分散物で重合率
98%、平均粒径0.17μmの単分散ラテックスを得
た。該樹脂粒子のMwは6×103 、Tgは15℃であ
った。
【0391】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例7〜
16:〔ARL−7〕〜〔ARL−16〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−9〕25g及びアイソ
パーH;392gの混合溶液を窒素気流下撹拌しなが
ら、温度50℃に加温した。
【0392】
【化61】
【0393】これに、下記表−Oの各単量体、3−メル
カプトプロピオン酸メチル3.1g、開始剤A.C.
P.P.3g及びメチルエチルケトン150gの混合溶
液を滴下時間1時間で滴下し、そのまま1時間反応し、
更にA.C.P.P.1.0gを加え2時間反応した。
次いで、A.I.V.N.1.0gを加えた後直ちに温
度設定を75℃とし2時間反応し、更にA.I.V.
N.0.8gを加えて2時間反応した。
【0394】冷却後、200メッシュのナイロン布を通
して、白色分散物を得た。各樹脂粒子の重合率は93〜
99%で、その平均粒径は0.15〜0.25μmの範
囲の粒度分布の狭いラテックスであった。また、各粒子
の樹脂分のMwは8×103〜1×104 、Tgは10
〜35℃の範囲であった。
【0395】
【表41】
【0396】
【表42】
【0397】
【表43】
【0398】実施例1 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂〔B−
1〕20g、樹脂〔P−1〕3g、ウラニン0.01
g、ローズベンガル0.02g、ブロムフェノールブル
ー0.01g、無水マレイン酸0.15g及びトルエン
150gの混合物をホモジナイザー(日本精機(株)
製)に入れ、回転数9×103 r.p.m.で10分間
分散した。この分散物に無水フタル酸0.02g及びo
−クロロフェノール0.001gを加えて更に回転数1
×103 r.p.m.で1分間分散した。ついで、この
分散液を導電性処理及び耐溶剤処理を施した0.2mm
厚の紙版マスター用原紙の上に塗布量25g/m2 とな
るようにワイヤーバーで塗布し、指触乾燥した後、循環
式オーブンで120℃にて1時間加熱した。
【0399】
【化62】
【0400】以上のようにして得られた感光体をJIS
Z0237−1980の「粘着テープ・粘着シート試
験方法」により表面の粘着力を測定したところ、10g
fであった。他方、比較として上記感光体において本発
明の樹脂〔P−1〕3gを用いない他は全く同じにして
作成した電子写真感光体表面の粘着力は380gfとな
り、剥離性を示さなかった。
【0401】更にこの感光層の上に転写剥離層を形成す
るために、上記樹脂〔AH−1〕24g、樹脂〔AL−
1〕6g、シリコンオイル(KF−69)(信越シリコ
ン(株)製)0.08g及びトルエン100gの熱可塑
性樹脂溶液を調製し、この溶液をワイヤーバーにて3.
0μmの厚さとなるように塗布し、100℃で20秒間
オーブン乾燥した。得られた転写層付電子写真感光体を
(25℃60%RH)の条件下に一晩放置した。
【0402】ELP−404V製版機(富士写真フィル
ム(株)製)で現像部のバイアス電圧を100Vに設定
し、また、液体トナーとしてELP−TX(富士写真フ
ィルム(株)製)を用いて、実際に複写画像を形成し
た。得られた転写層上に形成された複写画像は文字・細
線・網点からなる連続階調部等の高精細な画像部も鮮明
で良好なものであり、非画像部の地汚れも認められなか
った。
【0403】次に、以上の様に製版された感光体をシリ
コーンゴムで被覆した中空金属ローラーの内部に赤外線
ランプヒーターを組み込んだ一対の加熱ローラーの間
に、ストレートマスター(三菱製紙(株)製)と重ねて
通過させた。この時のローラーの表面温度は上下とも9
0℃、ローラー間のニップ圧力は4kgf/cm2 、搬
送スピードは8mm/秒に設定した。通過後コート紙と
重ねたまま室温まで冷却してから感光体とストレートマ
スターを分離した。
【0404】この時ストレートマスター側に転写した転
写層の状態を目視評価したが、転写前の感光体上の複写
画像とほとんど変わりなく、画像の劣化は認められなか
った。また、転写後の感光体の表面上には、転写層の残
存は全く認められず、転写性は極めて良好であった。次
に、ストレートマスター支持体に転写層を転写した版
を、温度25℃にてPS版処理剤(DP−4)(富士写
真フィルム(株)製)を蒸留水で7倍に希釈した不感脂
化処理液(pH13.1)中に1分間浸漬し、ゆるくこ
すりながら転写層を除去し、充分水洗することにより不
感脂化処理を行い、印刷版としての印刷性能を調べた。
【0405】この様にして得た印刷版を200倍の光学
顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察し
たところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且
つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認めら
れなかった。この版を浸し水としてPS版用浸し水(S
G−23)(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍
に希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機として
リョービ3200MCD型(リョービ(株)製)を用
い、印刷紙として中性紙を使用して、各種オフセット印
刷用色インキで印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像
の得られる印刷枚数を調べた。その結果、色インキの種
類にかかわらず、いずれの場合も3千枚以上の耐刷枚数
が得られた。
【0406】これに対し、上記剥離用転写層を形成した
電子写真感光体において、転写層用の樹脂として樹脂
〔AH−1〕のみを用いた場合には、転写性が不充分で
ストレートマスター上に形成された複写画像は欠落が多
数生じ、実用に供しえるものではなかった。これは、樹
脂〔AH−1〕単独では、転写層膜の熱可塑性が上記熱
圧条件では不足し、易剥離性感光体表面との剥離性及び
ストレートマスターとの密着性が充分に発現しないこと
によるものと考えられる。
【0407】また、樹脂〔AL−1〕のみを用いた場合
にも、転写性が完全でなく、ストレートマスター上の複
写画像の再現性は不満足なものであった。この事は、樹
脂〔AL−1〕単独の転写層膜では、該樹脂〔AL−
1〕の凝集力と、ストレートマスターとの密着力との差
がなくなり、転写膜間で無秩序に剥がれを生じてしまっ
たものと思われる。
【0408】以上の様に、本発明の転写層は予想外に、
各々単独で用いた場合の転写性不足を改良することがで
きた。更には、ストレートマスターに転写した版を、作
業の都合上重ね版をして放置しても、転写層が重ねられ
た版の裏面に付着剥がれを生じる様なこともなく良好で
あった(いわゆる置き版性良好)。他方、酸化亜鉛を用
いた電子写真感光体を酸性条件下でキレート化剤を主剤
とする不感脂化処理液で不感脂化処理して、平版印刷版
とするシステムでは、中性紙を印刷用紙として使用する
と、耐刷枚数が数百枚で非画像部に地汚れの発生が生
じ、また、墨以外のオフセット印刷用色インキを用いる
と、やはり耐刷枚数は数百枚程度で地汚れの発生を生じ
た。このように、本発明のオフセット印刷版用原版の作
成方法では、同じ酸化亜鉛感光体を利用しながらも、従
来の方式とは異なり、極めて良好な印刷性能を有するこ
とが判った。
【0409】実施例2 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)2
g、下記構造の結着樹脂〔B−2〕10g、下記構造の
化合物〔A〕0.15g及びテトラヒドロフラン80g
の混合物を、500mlのガラス容器にガラスビーズと
共に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で
60分間分散し、更にこれに樹脂〔P−2〕0.2g、
無水フタル酸0.03g及びo−クロロフェノ−ル0.
001gを加えて2分間分散した後、ガラスビーズをろ
別して感光層分散液とした。
【0410】
【化63】
【0411】ついでこの分散液を導電性処理および耐溶
剤処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上
にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥した後、110℃循
環式オーブンで、20秒間加熱した。更に140℃で1
時間加熱した。得られた感光層の膜厚は8μmであっ
た。該感光体表面の粘着力は5gfであった。上記感光
体を図3に示す装置において、感光体として用いた。転
写層には、樹脂〔AH−2〕と樹脂〔AL−5〕とを
(3/1)重量比で用いて、120℃設定のホットメル
トコーターにより感光層表面へ20mm/秒のスピード
で塗布をし、冷却空気を吸排気ユニットから吹き付けて
冷却した後、感光体表面温度を30℃に保った。この時
の転写層の厚みは4μmであった。
【0412】まず、この感光材料の撮像性及び転写性を
調べた。感光材料を+450Vにコロナ帯電したのち、
あらかじめ原稿からカラースキャナーにより読み取り、
デジタル画像データとしてシステム内のハードディスク
に記憶させてあった情報をもとにネガ鏡像モードで、5
mW出力のガリウム−アルミニウム−ヒ素半導体レーザ
ー(発振波長780nm)を用いて、感光材料表面上で
30erg/cm2 の照射量下で、ピッチ25μm及び
スキャン速度300cm/秒のスピードで露光した。
【0413】次に、下記の方法で液体現像剤〔LD−
1〕を調製した。 ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート60g、メチルアクリレート40
g、下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH6
80gの混合溶液を窒素気流下に、攪拌しながら温度6
5℃に加温した。これに、2,2′−アゾビス(イソバ
レロニトリル)(A.I.V.N.)1.2gを加え2
時間反応し、更にA.I.V.N.を0.5g加えて2
時間反応し、更にA.I.V.N.を0.5g加えて2
時間反応した。次に、反応温度を90℃に上げて、30
mmHgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去
した。
【0414】
【化64】
【0415】室温に冷却後、200メッシュのナイロン
布を通して濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物
の単量体の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は
0.25μmで且つ単分散性良好なものであった(粒径
はCAPA−500:堀場製作所製を使用)。
【0416】・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)を10g、ニグロシン1
0g及びアイソパーG30gをガラスビーズと共にペイ
ントシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間分
散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。
【0417】・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分
散物25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシル
アミド共重合体0.6g及びFOC1800;15gを
アイソパーG1リットルに希釈することにより静電写真
用液体現像剤〔LD−1〕を作製した。
【0418】上記の方法で製造した液体現像剤〔LD−
1〕を用い、一対の平板現像電極を有する現像装置で感
光材料面側電極に+400Vのバイアス電圧を印加し、
露光部にトナーが電着するようにした反転現像を行な
い、ついでアイソパーH単独浴中でリンスをして非画像
部の汚れを除いた。この様にして得られた製版後の感光
材料をヒートロールの定着方法で画像を定着した。
【0419】次に、Fuji PS−プレート:FPD
(富士写真フィルム(株)製)に用いられるアルミ支持
体と上記現像後の感光材料とを重ね合わせ、10kgf
/cm2 の圧力で接している表面温度が100℃に常に
コントロールされた一対のゴムローラーの間を、10m
m/秒のスピードで通過させた。その後重ねたままで室
温まで冷やしてから該アルミ支持体と感光材料を引き剥
がし、得られたアルミ支持体上に形成された画像(カブ
リ、画像の画質)を目視評価した。
【0420】本発明の感光材料の場合は、感光材料上の
トナーは剥離層ごと全てアルミ支持体側に熱転写され、
地カブリのない鮮明な画像が得られ、原稿と比較し、画
像品質の劣化は殆んど見られなかった。以上のことは、
光導電層中に共存させたフッ素原子含有の共重合体が光
導電層形成時に、表面部に濃縮移行し、更に結着樹脂
〔B〕と樹脂〔P〕とが架橋剤により相互に充分高分子
間で化学結合し、硬化膜が形成されたことにより、剥離
性良好な界面が明確に形成したか否かによるものと考え
られる。
【0421】次に、アルミ支持体に転写層を転写した版
を不感脂化処理(即ち転写層除去)して、印刷版として
の印刷性能を調べた。上記の版を、温度25℃の下記処
方の不感脂化処理液(E−1)中に30秒間浸漬し版面
をゆるくこすりながら転写層を除去し、充分水洗した
後、ガム引きし、オフセット用印刷版を作成した。
【0422】 不感脂化処理液(E−1) メルカプトエタンスルホン酸 10g ネオソープ(松本油脂(株)製) 8g N,N−ジメチルアセトアミド 20g を蒸留水で希釈し、全量を1.0リットルにした後、水
酸化ナトリウムでpH13.0に調整したもの。
【0423】この様にして得た印刷版を200倍の光学
顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察し
たところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且
つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認めら
れなかった。この版を浸し水としてPS版用浸し水(S
G−23)(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍
に希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機として
オリバー94型((株)桜井製作所製)を用い、印刷紙
として中性紙を使用して、各種オフセット印刷用色イン
キで印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる
印刷枚数を調べた。その結果、色インキの種類にかかわ
らず、いずれの場合も6万枚以上の耐刷枚数が得られ
た。また、アルミ支持体に転写した版を、転写層を上側
にして重ね合わせ、5kgf/cm2 の圧力をかけて1
週間放置した後、転写層の剥がれの有無を調べた所、転
写層の剥がれはなく、トナー画像の欠損は認められなか
った。
【0424】更に、本発明の印刷版による印刷を行った
後、通常の操作のまま、次にPS版を印刷したところ、
何の問題も生じなかった。即ち、印刷機を同一にして、
PS版等の他のオフセット印刷版と容易に共用できるこ
とが確認された。以上の様に、本発明によって供される
オフセット印刷版は、半導体レーザー光スキャニング露
光方式によって得られる画像再現性が極めて良好で且つ
それが印刷物に良好に再現されること、色インキ適性が
充分で、インキ選択性がほとんどみられず、フルカラー
印刷が高耐刷性で得られること、他のオフセット印刷版
と容易に共用できること等、極めて優れた性能を示すこ
とが確認された。
【0425】実施例3 図4に示す装置において、電子写真感光体としてアモル
ファスシリコン(粘着力160gf)を用いて、以下の
操作を行った。まず、離型紙としてセパレート紙(王子
製紙(株)製)を用い、この上に前記樹脂〔AL−3〕
を1.5μmの膜厚で塗膜形成し、更にその上に樹脂
〔AH−5〕を3μmの膜厚で塗膜形成した紙を、アモ
ルファスシリコン感光体に圧接して、樹脂〔AL−3〕
/樹脂〔AH−5〕の2層からなる転写層を該感光体表
面に転写した。
【0426】次いで、図4に示す装置を用い、電子写真
プロセスによりトナー画像を形成、定着した後、PSプ
レート(FPD)へ転写層を転写し、不感脂化処理し、
画像再現性、転写性及び印刷性を実施例2と同様にして
評価した。但し、感光体表面からアルミ支持体への転写
層の転写性については、10kgf/cm2 の圧力で接
している、表面温度100℃に常にコントロールされた
一対のゴムローラーの間を5mm/秒のスピードで通過
させ(以下転写条件Iという)、その後、重ねたまま室
温で冷却してから該アルミ支持体を感光材料を引き剥が
し、得られたアルミ支持体上に形成された画像を目視評
価した。
【0427】また、不感脂化処理は、アルミ支持体に転
写層を転写した版を、温度30℃の下記処方の不感脂化
処理液(E−2)中に30秒間浸漬し、且つその間ゆる
くこすりながら、転写層を除去し、充分水洗した後、ガ
ム引きし、オフセット用印刷版を作成した。 不感脂化処理液(E−2); PS版処理剤:DP−4 100g N,N−ジメチルエタノールアミン 10g を蒸留水で希釈し、全量を1リットルにしたもの(pH
12.5) この様にして得た印刷版を、200倍の光学顕微鏡を用
いて非画像部の転写層の有無及びトナー画像部の欠落の
有無を目視観察した。
【0428】本発明の転写層を設けた感光材料を用いた
場合の撮像性は良好であった。転写層の転写性も、良好
で完全に転写層ごと転写した。また、印刷版としての性
能を調べてみたところ、不感脂化処理性は良好で、転写
層は完全に除去され、地汚れは見られなかった。且つ画
像部の細文字、細線及び網点連続階調の中間部等の高精
細な画像部においても、トナー画像の欠落は認められ
ず、画像部レジスト性は良好であった。実際に印刷して
も、各種色インキを用いても、6万枚以上の印刷が可能
であった。
【0429】他方、上記において、離型紙上の塗膜とし
て、樹脂〔AL−3〕/樹脂〔AH−5〕の2層の代わ
りに、各々樹脂〔AL−3〕又は樹脂〔AH−5〕の膜
厚3.5μmからなる単独膜を用いて、アモルファスシ
リコン感光体上に転写層を設けた場合は、いずれの場合
も転写層の転写が完全に行われず、PSプレート上のト
ナー画像は欠落を生じてしまった。
【0430】以上のことより、本発明の転写層は転写性
に優れた効果を発現することが判った。
【0431】実施例4 実施例3において、転写層において樹脂〔AH−5〕の
代わりに樹脂〔AH−2〕を用いた他は実施例3と全く
同様に操作し、印刷版を作成したところ、実施例3と同
様に、優れた画像再現性、転写性、不感脂化処理性及び
耐刷性を示した。即ち、地汚れのない鮮明な印刷物を少
なくとも6万枚印刷することができた。
【0432】更に、転写条件を、実施例3の方法におい
て、圧力8kgf/cm2 、表面温度80℃及びスピー
ド12mm/秒に変えて転写を行い(以下転写条件IIと
いう)、転写性を評価したところ、かかる転写条件でも
依然良好な転写性を示すことが判った。このことより、
更にケイ素原子含有の重合体成分をブロックで含有する
熱可塑性樹脂を用いることにより、転写性がより良好で
あることが判る。特に、転写層と接する電子写真感光体
表面の剥離性がそれほど充分でない、アルモファスシリ
コン感光体の様な感光体上に剥離性のよい転写層を設け
る場合に有効である。
【0433】実施例5 〔表面易剥離性電子写真感光体の作成〕 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)2
g、下記構造の結着樹脂〔B−3〕10g、下記構造の
化合物〔B〕0.15g及びテトラヒドロフラン80g
の混合物を、500mlのガラス容器にガラスビーズと
共に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で
60分間分散し、更にこれに樹脂〔P−12〕0.3
g、無水フタル酸0.03g及びフタル酸0.001g
を加えて2分間分散した後、ガラスビーズをろ別して感
光層分散液とした。
【0434】
【化65】
【0435】次いで、この分散液を円筒状の砂目立てし
た厚み0.25mmのアルミニウム支持体上に浸漬塗布
し、指触乾燥した後、110℃循環式オーブンで20秒
間加熱した。更に140℃で1時間加熱した。得られた
感光層の膜厚は8μmであった。この様にして得られた
感光体表面の粘着力は7gfであった。図5に示す装置
において、電子写真感光体として上記感光体を用いた。
前記製造した熱可塑性樹脂粒子〔ARH−1〕3g(固
形分量として)、熱可塑性樹脂粒子〔ARL−1〕3g
(固形分量として)及び荷電調節剤として〔オクタデシ
ルビニルエーテル/半マレイン酸ドデシルアミド〕共重
合体(CD−1)0.02gをアイソパーH(エッソ
(株)製)1リットル中に加えて調液し、正荷電樹脂粒
子分散液とした。
【0436】感光体ドラムの周速度を10mm/秒で回
転させ感光体表面にスリット電着装置を用いて分散液を
供給しながら、感光体側を接地しスリット電着装置の電
極側に−150Vの電圧を印加して樹脂粒子を電着し
た。次いでエアースクイズで分散液を除き赤外線ライン
ヒーターにて溶融、皮膜化し熱可塑性樹脂転写層を形成
した。このときの膜厚は4μmであった。
【0437】この感光体上に実施例2と同様にして、ト
ナー画像を形成した。FPDプレート支持体と上記現像
後の感光材料とを重ね合わせ、8kgf/cm2 の圧力
で接している表面温度が100℃に常にコントロールさ
れた一対のゴムローラーの間を、10mm/秒のスピー
ドで通過させた。その後重ねたままで室温まで冷やして
からアルミ支持体と感光材料を引き剥がし、得られたア
ルミ支持体上に形成された画像(カブリ、画像の画質)
及び感光体表面上の転写層残存の有無を200倍の光学
顕微鏡で観察した。トナー画像部は、細線・細文字の欠
落、太り等のない良好な状態で且つ感光体表面上の転写
層残りも全く認められなかった。
【0438】次に、実施例2と同様に処理して、オフセ
ット印刷版とし、印刷した所、非画像部に汚れの発生が
なく、画像部の欠損のない鮮明な印刷物が6万枚得られ
た。この事は、転写層の除去処理において、転写層は速
やかに完全に除去し、且つトナー画像の欠落が全く生じ
なかったことを示す。また、実施例1と同様の強制条件
による重ね置き版適性の評価も調べた所、全く変化なく
良好であった。
【0439】実施例6 図5に示す装置において、電子写真感光体としてアモル
ファスシリコン感光体を用いた。該感光体表面の粘着力
は、180gfであった。熱可塑性樹脂粒子〔ARH−
2〕7g、前記荷電調節剤(CD−1)0.02g及び
シリコンオイルKF96(信越シリコーン(株)製)
0.2gをアイソパーH1リットル中に加えて、調液し
た正荷電粒子分散液を実施例1と同様にして膜厚3μm
の転写層膜を形成した。次いで、熱可塑性樹脂粒子〔A
RL−6〕6g、分枝テトラデシルアルコールFOC−
1400(日産化学(株)製)5g及び荷電調節剤(C
D−1)0.03gをアイソパーH1リットル中に加え
て調液した正荷電粒子の分散液を更に上記と同様にして
第1転写層形成感光体の表面上に、膜厚1.5μmで形
成した。
【0440】即ち、本発明の感光体は、アモルファスシ
リコン表面上に、樹脂粒子〔ARH−2〕の第1の層、
更にその上に樹脂粒子〔ARL−6〕の第2の層が転写
層として形成されたものである。これらの転写層を形成
した感光体を用いて、実施例2と同様にして、製版、転
写、印刷を行い、その性能を調べた。但し、不感脂化処
理液は実施例1の処理液(E−1)の代わりに下記処方
の不感脂化処理液(E−3)を用いた。
【0441】 不感脂化処理液(E−3); ジエタノールアミン 30g ネオソープ(松本油脂(株)製) 5g N−メチルアセトアミド 50g を蒸留水で希釈し、全量を1.0リットルとした後、水
酸化ナトリウムでpH12.8に調整したもの
【0442】FPDプレート支持体上の画像は良好で、
細線・細文字等微細なトナー画像部での再現性は何ら問
題なかった。即ち、感光体上に湿式電着方式で表面層を
設けても実際の複写画像の再現性に影響がなかった。次
にオフセット印刷版として印刷した所、6万枚印刷して
も画像部の欠落のない鮮明な印刷物を得ることができ
た。また、重ね版適性についても何ら問題がなく、印刷
版として実際に印刷して性能を調べた所、強制条件を行
わないものと全く差異は認められなかった。
【0443】本実施例の転写層形成型感光体は、感光体
に接する側にシリコン原子含有の重合成分をブロックで
含有する高Tgの樹脂、且つ被転写材の面に接する側に
低Tgの樹脂となるように2層構成で転写層を形成して
いる。このことにより、粘着力180gfと剥離性に不
利な表面を持つ感光体の場合でも、該転写層は加圧・加
圧転写時に感光体と接する側は剥離性を向上し、且つ被
転写材と接する側は未着性を向上させる作用を有するこ
とで、容易に転写されるようになったと考えられる。
【0444】実施例7 実施例6において、アモルファスシリコン電子写真感光
体の代わりに、下記の様に該アモルファスシリコン上に
膜厚1.5μmの剥離性表面層を設けた感光体を用い、
あとは実施例5と同様に操作して印刷版を作成した。 〔転写層の形成〕樹脂〔P−12〕1.0g、下記構造
の結着樹脂15g及びトルエン100gの混合溶液を用
いて、アモルファスシリコン感光体上に膜厚1.5μm
となるように塗膜を形成した後、指触乾燥し、更に60
℃80%RHにて24時間で膜を硬化させた。該転写層
を設けたアモルファスシリコン感光体の表面の粘着力は
2gfであった。
【0445】
【化66】
【0446】実施例6と同様にして画像再現性、転写性
及び印刷性を調べた。画像再現性は良好で、転写層はア
ルミ支持体に完全に転写し、転写性も良好であった。印
刷性も、実施例6と同様に非画像部に全く地汚れのない
鮮明な画像の印刷物が6万枚以上得られた。
【0447】実施例8 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂〔B−
4〕20g、樹脂〔P−1〕3g、ウラニン0.01
g、ローズベンガル0.02g、ブロムフェノールブル
ー0.01g、無水マレイン酸0.15g及びトルエン
150gの混合物をホモジナイザー(日本精機(株)
製)に入れ、回転数9×103 r.p.m.で10分間
分散した。この分散物に無水フタル酸0.02g及びo
−クロロフェノール0.001gを加えて更に回転数1
×103 r.p.m.で1分間分散した。ついで、この
分散液を導電性処理及び耐溶剤処理を施した0.2mm
厚の紙版マスター用原紙の上に塗布量25g/m2 とな
るようにワイヤーバーで塗布し、指触乾燥した後、循環
式オーブンで120℃にて1時間加熱した。
【0448】
【化67】
【0449】以上のようにして得られた感光体の表面の
粘着力を測定したところ、10gfであった。他方、比
較として上記感光体において本発明の樹脂〔P−1〕3
gを用いない他は全く同じにして作成した電子写真感光
体表面の粘着力は380gfとなり、剥離性を示さなか
った。更にこの感光層の上に下記の方法で2層構成の転
写層を形成させた。
【0450】樹脂粒子〔ARH−15〕7g及び荷電調
節剤としてナフテン酸ジルコニウム0.03gをアイソ
パーH1リットル中に加えて調液した正荷電粒子分散液
を、実施例1と同様にして膜厚2.5μmの転写層をま
ず形成した。次に、熱可塑性樹脂粒子〔ARL−11〕
6g及び荷電調節剤(CD−1)0.02gをアイソパ
ーH1リットル中に加えて調液した正荷電粒子分散液
を、更に上記と同様にして第1転写層形成感光体の表面
上に膜厚2.5μmの膜厚で形成した。
【0451】感光材料を−550Vにコロナ帯電し、出
力1.6kwのハロゲンランプでフラッシュ露光して画
像露光した後、現像部のバイアス電圧を100Vに設定
し、また、液体トナーとして〔LD−1〕を用いて、実
際に複写画像を形成した。得られた転写層上に形成され
た複写画像は文字・細線・網点からなる連続階調部等の
高精細な画像部も鮮明で良好なものであり、非画像部の
地汚れも認められなかった。
【0452】次に、以上の様に製版された感光体をシリ
コーンゴムで被覆した中空金属ローラーの内部に赤外線
ランプヒーターを組み込んだ一対の加熱ローラーの間
に、OKマスターPS型(王子化工(株)製)と重ねて
通過させた。この時のローラーの表面温度は上下とも8
0℃、ローラー間のニップ圧力は8kgf/cm2 、搬
送スピードは12mm/秒に設定した。通過後コート紙
と重ねたまま室温まで冷却してから感光体とOKマスタ
ーを分離した。
【0453】この時OKマスター側に転写した転写層の
状態を目視評価したが、転写前の感光体上の複写画像と
ほとんど変わりなく、画像の劣化は認められなかった。
また、転写後の感光体の表面上には、転写層の残存は全
く認められず、転写性は極めて良好であった。次に、O
Kマスター支持体に転写層を転写した版を下記処方の不
感脂化処理液(E−4)の中に1分間浸漬し、ゆるくこ
すりながら転写層を除去し充分水洗することにより不感
脂化処理を行い、印刷版としての印刷性能を調べた。
【0454】 不感脂化処理液(E−4) PS版処理剤(DP−4) 143g N,N−ジメチルエタノールアミン 100g を蒸留水で希釈し全量を1リットルにしたもの(pH1
3.1)この様にして得た印刷版を200倍の光学顕微
鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察したと
ころ、非画像部には転写層の残存は認められず、且つ画
像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認められな
かった。
【0455】この版を浸し水としてPS版用浸し水(S
G−23)(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍
に希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機として
リョービ3200MCD型(リョービ(株)製)を用
い、印刷紙として中性紙を使用して、各種オフセット印
刷用色インキで印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像
の得られる印刷枚数を調べた。その結果、色インキの種
類にかかわらず、いずれの場合も3千枚以上の耐刷枚数
が得られた。他方、酸化亜鉛を用いた電子写真感光体を
酸性条件下でキレート化剤を主剤とする不感脂化処理液
で不感脂化処理して、平版印刷版とするシステムでは、
中性紙を印刷用紙として使用すると、耐刷枚数が数百枚
で非画像部に地汚れの発生が生じ、また、墨以外のオフ
セット印刷用色インキを用いると、やはり耐刷枚数は数
百枚程度で地汚れの発生を生じた。
【0456】以上のように、本発明のオフセット印刷版
用原版の作成方法では、同じ酸化亜鉛感光体を利用しな
がらも、従来の方式とは異なり、極めて良好な印刷性能
を有することが判った。
【0457】実施例9 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂〔B−
5〕17g、結着樹脂〔B−6〕2g、前記樹脂〔P−
32〕1g、下記構造の色素〔D−2〕0.02g、チ
オサリチル酸0.1g及びトルエン300gの混合物
を、ホモジナイザー中、回転数9×103 r.p.mで
15分間分散した。次いでこの分散液を導電性処理及び
耐溶剤処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙
の上にワイヤーバーで塗布量2.5gとなる様に塗布
し、110℃で20秒間乾燥した。得られた感光体表面
の粘着力は10gfであった。
【0458】
【化68】
【0459】次に、実施例8と同様にして、2層構成の
転写層を形成させた。この感光材料を−6kVで帯電し
た後、予め原稿からカラーキャスナーにより読み取り、
デジタル画像としてシステム内のハードディスクに記憶
させてあった情報をもとにポジ鏡像モードで、5mW出
力のガリウム−アルミニウム−ヒ素半導体レーザー(発
振波長780nm)を用いて、感光材料表面上で30e
rg/cm2 の照射量下で、ピッチ25μm及びスキャ
ン速度300cm/秒のスピードで露光した。
【0460】次に液体現像剤〔LD−1〕を用い、バイ
アス電圧150Vを印加して現像を行い、次いでアイソ
パーH単独浴中でリンスして非画像部の汚れを除いた
後、トナー画像を加熱定着した。被転写材として、アル
ミニウム金属箔をラミネートした導電性処理及び耐溶剤
性処理をした紙支持体上に、ストレートマスターの画像
受理層と同組成からなる画像受理層を設けてなる平版印
刷用原版を用いて、転写条件(ロール間圧力8kgf/
cm2 、表面温度90℃、通過スピード8mm/秒)下
で転写層をストレートマスター上に転写した。得られた
マスター上の画像は、文字・細線等の欠損もなく、鮮明
なものであり、且つ感光体表面上には、転写層の残存は
全く認められなかった。
【0461】実施例8と同様にして不感脂化処理し、印
刷版とし、印刷を行った。文字、線画の複写画像は実用
上問題のないレベルで再現された。転写性及び不感脂化
処理性は良好であり、非画像部の残存なく、トナー画像
部の欠落もなかった。また、耐刷性も1万枚以上であっ
た。
【0462】実施例10〜13 実施例9において、結着樹脂〔B−6〕2g及び色素
〔D−2〕0.02gの代わりに下記表−Pの各樹脂
〔B〕2g及び色素〔D〕を用いた他は実施例9と同様
にして各感光材料を作成した。次いで、各感光体を用い
て実施例9と同様に操作して印刷版とした。画像再現
性、転写性及び印刷性はいずれも実施例9と同等の良好
な性能を示した。
【0463】
【表44】
【0464】
【表45】
【0465】実施例14 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95
g、ポリエステル樹脂バイロン200(東洋紡績(株)
製)5g及びテトラヒドロフラン30gの混合物をボー
ルミル中で充分に粉砕した。次いで、この混合物をとり
だし、攪拌下、テトラヒドロフラン520gを加えた。
この分散物をワイヤーラウンドロッドを用いて実施例1
で用いた導電性透明支持体上に塗布して約0.7μmの
電荷発生層を形成した。
【0466】
【化69】
【0467】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合
溶液をワイヤーラウンドロッドを用いて上記電荷発生層
の上に塗布し、60℃で30秒間乾燥し更に温度100
℃で20秒間加熱して約18μmの電荷輸送層を形成
し、2層から成る感光層を有する電子写真感光体を得
た。
【0468】
【化70】
【0469】更に、この感光層の上に、剥離性を付与す
るための表面層を形成するために、下記構造の樹脂〔P
−39〕13g、無水フタル酸0.2g、o−クロロフ
ェノール0.002g及びトルエン100gからなる混
合溶液をワイヤーラウンドロッドを用いて膜厚1μmに
なる様に塗布し、指触乾燥後更に120℃で1時間加熱
した。得られた感光体の表面の粘着力は3gfであっ
た。
【0470】
【化71】
【0471】上記感光体を用いて、実施例3と同様に、
離型紙を用いた転写層の形成方法で操作して、印刷版と
しての性能を調べたところ、実施例3と同等の良好な結
果が得られた。但し、実施例3において用いた、780
nm発振波長の半導体レーザー光の代わりに630nm
発振波長のヘリウム−ネオンレーザー光を用いて行っ
た。
【0472】実施例15〜26 実施例2において、樹脂〔P−2〕及び樹脂〔AL−
5〕/樹脂〔AH−2〕の代わりに、下記表−Qの樹脂
〔P〕及び樹脂〔A〕を各々用いた他は、実施例2と同
様にして、印刷版を作成した。各材料について、実施例
2と同様にして諸性能を評価したところ、いずれの場合
も実施例2と同様の結果を得た。即ち、地汚れのない鮮
明な印刷物を少なくとも6万枚印刷することができた。
【0473】
【表46】
【0474】実施例27〜39 実施例2において、樹脂〔B−2〕10g及び樹脂〔P
−2〕0.2gの代わりに、結着樹脂〔B−6〕1g並
びに下記表−Rの樹脂〔B〕及び〔P〕(樹脂〔B〕は
9g、樹脂〔P〕は0.2g)を用い、更に架橋用化合
物として下記表−Rの化合物を各々用いた他は、実施例
2と同様に操作して、電子写真感光体及び印刷版を作成
し、実施例2と同様にして画像再現性及び印刷性を調べ
た。画像再現性は良好で、転写性は前記転写条件I及び
IIのいずれでも完全に転写層はアルミ支持体に転写し、
良好であった。更に、印刷性を調べた所、実施例3と同
様に、非画像部に全く地汚れのない鮮明な画像の印刷物
が6万枚以上得られた。
【0475】
【表47】
【0476】
【表48】
【0477】
【表49】
【0478】
【表50】
【0479】実施例40〜55 実施例5において、樹脂〔P−12〕、樹脂粒子〔AR
H−1〕及び樹脂粒子〔ARL−1〕の代わりに、下記
表−Sの樹脂〔P〕及び樹脂粒子〔AR〕を用いた他
は、実施例5と同様にして印刷版を作成した。各材料に
ついて実施例5と同様にして諸性能を評価したところ、
いずれの場合の実施例5と同様の結果を得た。即ち、地
汚れのない鮮明な印刷物を少なくとも6万枚印刷するこ
とができた。
【0480】
【表51】
【0481】実施例56〜67 実施例1〜55で作成した被転写材に転写後の版(製版
原版)を用いて、不感脂化処理を下記の様に操作してオ
フセット印刷版を作成した。下記表−Tの求核性化合物
0.2モル、有機溶媒50g及びニューコールB4SN
(日本乳化剤(株)製)2gに蒸留水を加え1リットル
とした後、各混合物のpHを13.0に調製した。各感
光材料を該処理液中に温度35℃で1分間浸漬してゆる
くこすりながら、不感脂化処理を行った。得られたプレ
ートを実施例1と同様の印刷条件で印刷した。各材料と
も実施例1の場合と同等の良好な性能を示した。
【0482】
【表52】
【0483】
【発明の効果】本発明の電子写真式製版印刷版の作成方
法によれば、製版画質及び印刷画質が良好で、長期間且
つ連続して処理しても、安定した性能の印刷版を得るこ
とができ、またレーザー等の走査露光による画像形成に
適している。更に、感光体を繰り返し用いることがで
き、低ランニングコスト化に有効な電子写真式製版印刷
版の作成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】転写層を被転写材に熱転写するための装置例を
示す図である。
【図3】溶融塗布による転写層形成法を適用した電子写
真式製版印刷原版作成装置例を示す図である。
【図4】剥離紙を利用した転写層形成法を適用した電子
写真式製版印刷原版作成装置例を示す図である。
【図5】電着法を利用した転写層形成法を適用した電子
写真式製版印刷原版作成装置例を示す図である。
【符号の説明】
1 感光体の支持体 2 感光層 3 トナー画像 4 ゴム被覆ローラー 5 内蔵加熱用ヒーター 6 表面温度検出手段 7 温度コントローラー 10 剥離紙 11 感光体 12 転写層 12a 熱可塑性樹脂 12b 熱可塑性樹脂粒子の分散液 13 ホットメルトコーター 13a ホットメルトコーター待機位置 14 液体現像ユニットセット 14a 液体現像ユニット 14T 電着ユニット 14b リンス浴ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 被転写材 17 熱転写手段 17a 予熱手段 17b 加熱ローラー 17c 冷却ローラー 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 117 熱転写手段 117b 加熱ローラー 117c 冷却ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/26 - 13/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学反応処理で除去可能であって、ガラ
    ス転移点30℃〜140℃又は軟化点35℃〜180℃
    の熱可塑性樹脂〔AH〕と、該樹脂〔AH〕よりもガラ
    ス転移点又は軟化点が2℃以上低く且つガラス転移点−
    20℃〜40℃又は軟化点0℃〜45℃の熱可塑性樹脂
    〔AL〕とを主として含有する、剥離可能な転写層を最
    上層に有し、且つ該転写層に隣接する光導電層表面のJ
    ISZ0237−1980の「粘着テープ・粘着シート
    試験方法」による粘着力が200gram・force
    (gf)以下である電子写真感光体を用いて、電子写真
    プロセスにより該転写層上にトナー画像を形成し、該ト
    ナー画像を転写層ごと、印刷時に平版印刷可能な親水性
    表面となる被転写材に熱転写し、次いで、該転写された
    被転写材の転写層を化学反応処理により除去することを
    特徴とする電子写真式製版印刷版の作成方法。
  2. 【請求項2】 JIS Z0237−1980の「粘着
    テープ・粘着シート試験方法」による粘着力が200g
    f以下である電子写真感光体の表面に、化学反応処理で
    除去可能であって、ガラス転移点30℃〜140℃又は
    軟化点35℃〜180℃の熱可塑性樹脂〔AH〕と、該
    樹脂〔AH〕よりもガラス転移点又は軟化点が2℃以上
    低く且つガラス転移点−20℃〜40℃又は軟化点0℃
    〜45℃の熱可塑性樹脂〔AL〕とを主として含有す
    る、剥離可能な転写層を形成し、電子写真プロセスによ
    り該転写層上にトナー画像を形成し、該トナー画像を転
    写層ごと印刷時に平版印刷可能な親水性表面となる被転
    写材に熱転写し、次いで、該転写された被転写材の転写
    層を化学反応処理により除去することを特徴とする電子
    写真式製版印刷版の作成方法。
  3. 【請求項3】 剥離可能な転写層が、200gf以下の
    粘着力を有する感光体上に熱可塑性樹脂〔AH〕を主と
    して含有する層を有し、更にその上に熱可塑性樹脂〔A
    L〕を主として含有する層を有して成る積層構成である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真式製版
    印刷版の作成方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂〔AH〕及び〔AL〕の各
    樹脂が、下記の重合成分(a)及び重合成分(b)のう
    ちの少なくともいずれか一方を含有することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真式製版印刷
    版の作成方法。 重合体成分(a):−CO2 H基、−CHO基、−SO
    3 H基、−SO2 H基、−P(=O)(OH)R1 {R1
    は−OH基、炭化水素基又は−OR2 (R2 は炭化水素
    基を表す)基を表す}基、フェノール性OH基、酸環状
    無水物含有基、−CONHCOR3 (R3 は炭化水素基
    を表す)基及び−CONHSO2 3 基のうちの少なく
    とも1つの基を含有する重合体成分 重合体成分(b):化学反応処理で−CO2 H基、−C
    HO基、−SO3 H基、−SO2 H基、−P(=O)(O
    H)R1 {R1 は−OH基、炭化水素基又は−OR
    2 (R2 は炭化水素基を表す)基を表す}基及び−OH
    基のうちの少なくとも1つの基を生成する官能基を少な
    くとも1種含有する重合体成分
  5. 【請求項5】 該熱可塑性樹脂〔AH〕及び〔AL〕の
    少なくともいずれか一方が、フッ素原子及びケイ素原子
    の少なくともいずれか一方を含有する重合体成分(c)
    を共重合体成分として含有することを特徴とする請求項
    4記載の電子写真式製版印刷版の作成方法。
  6. 【請求項6】 該電子写真感光体が、アモルファスシリ
    コンを主成分とする感光体であるか又は該転写層の隣接
    層にフッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれか一
    方を含有する重合成分を含有する重合体を含有する感光
    体である請求項1又は2記載の電子写真式製版印刷版の
    作成方法。
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