JPH08211661A - 電子写真式製版印刷版の作成方法 - Google Patents

電子写真式製版印刷版の作成方法

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JPH08211661A
JPH08211661A JP31456095A JP31456095A JPH08211661A JP H08211661 A JPH08211661 A JP H08211661A JP 31456095 A JP31456095 A JP 31456095A JP 31456095 A JP31456095 A JP 31456095A JP H08211661 A JPH08211661 A JP H08211661A
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JP
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Application number
JP31456095A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 最終被転写材の種類によらず、完全に転写層
及びトナー画像部を転写でき良好な画像が得られる。更
に転写層を薄層化しても優れた転写性を有し、転写ラチ
チュードを拡大でき、また不感脂化処理の条件を緩和で
きる。 【解決手段】 電子写真感光体11上に化学反応処理で除
去可能な樹脂を含有する剥離可能な転写層12を設け、こ
の層の上に電子写真プロセスによりトナー画像5を形成
した後、転写層12とトナー画像5を一次レセプター20上
に一括転写し、更に一次レセプター20上のトナー画像5
を転写層12ごと、印刷時に平版印刷可能な親水性表面と
なる被転写材30に転写し、転写された被転写材30上の非
画像部の転写層を化学反応処理により除去して印刷版を
作成する。更に、剥離性表面を有する感光体11を、剥離
性付与化合物(S)を感光体上に供給することで簡便に得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体と転
写層を利用した平版印刷版の作成方法に関し、更に詳細
には、転写層の転写性に優れた製版画質及び印刷画質が
良好な電子写真式製版印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版、特に、原稿入力、補正、編
集、割付から頁組まで一貫してコンピューター操作さ
れ、高速通信網や衛生通信により即時遠隔地の末端プロ
ッターに出力できる電子編集システムにおいて、末端プ
ロッターの出力から直接平版印刷版を作成する直接型印
刷版を提供し得る高い光感度を有する感光体として電子
写真感光体が用いられる。
【0003】電子写真感光体を用いて平版印刷版を作成
する方法として、電子写真プロセスでトナー画像形成
後、非画像部を不感脂化処理液で不感脂化(親水化)し
て印刷版として用いる方法、トナー画像形成後、非画像
部の光導電層を除去して印刷版とする方法が知られてい
る。
【0004】しかしながら、感光層を親水化処理し電子
写真感光体そのものの表面を改質して親水性非画像部を
形成する方法、あるいは感光層を溶出させて表面親水性
支持体を露出させる方法では、感光体、特に光導電層に
用いられる光導電性化合物や結着樹脂などに種々の制約
があり、得られる印刷版の画質や耐刷性の点で多くの問
題点があった。
【0005】従来のこのような問題を解決するものとし
て、電子写真感光体の表面に化学反応処理により除去さ
れ得る熱可塑性樹脂からなる転写層を設け、該転写層上
に通常の電子写真プロセスを用いてトナー画像を形成
し、該トナー画像を転写層と共に平版印刷版としての親
水性表面を形成する被転写材に転写した後、転写層を除
去してトナー画像を被転写材上に残すことにより平版印
刷版とする方法が国際公開WO93/16418号に記
載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この転写層を用いた印
刷版の作成方法は、感光体表面を改質して親水性非画像
部を形成するのではなく、感光体とは別個に転写層上に
トナー画像を形成し、親水性表面を有する他の支持体上
にトナー画像を転写層ごと転写させた後、転写層を化学
反応処理により除去するものであるため、従前の光導電
層に要求される種々の制約をうけることなく良好な画質
の印刷版を得ることができる。
【0007】しかしながら、この方法では、転写層を熱
圧転写した時の転写性が必ずしも十分でなく、細かな画
像部での欠落がみられたり、感光体表面上にトナー画像
部や転写層の残存が認められた。特に、転写層の転写性
を満足させるためには、被転写材となる親水性表面を有
する支持体に制約があり、例えば、普通紙等の平滑性の
比較的粗い被転写材の場合には、転写層の密着性が低下
し、結果として転写性が充分ではないことが判った。
また、この方法では、転写層を形成した感光体上に通常
の電子写真プロセスによりトナー画像を形成するため、
転写層は転写性や印刷版とするための溶出性の他に電子
写真特性(Ep特性)も満足する必要があった。
【0008】1つの転写層に、転写性、溶出性及びEp
特性の全てを満足させることは容易なことではなく、用
いられる樹脂の重合成分や分子量といった重合体の一次
構造に種々の制約が生じる。特に、Ep特性の良否は、
樹脂の帯電性、暗減衰(DQR)による影響が大きく、
転写層の膜厚が5μmを越えると更にその影響は顕著に
なる。その結果、複写画像の濃度低下、細線・文字の欠
落等の画像再現性に不都合を生じ易い。他方転写層を薄
層化すると、転写性が悪化する傾向にあるため、電子写
真特性と転写性の両方を満足させるのは非常に困難であ
った。
【0009】更に、従来の転写層を用いた平版印刷版の
作成方法では、一次レセプターを介在させずに直接に被
転写材に転写するため、用いる被転写材の種類によって
は転写条件を著しく過酷にする必要があり、場合によっ
ては完全転写が達成されない。例えば、転写層の膜厚を
厚くしたり、転写温度の高温化、転写圧力の高圧化、更
には転写スピードの低速化等により完全な転写を行う場
合、これにより電子写真感光体の寿命の繰り返し使用に
おける著しい低下、用いる装置の電源容量の増大、一版
当たりのコスト上昇等が更に問題となる。
【0010】本発明は、このような転写層を用いた平版
印刷版の作成方法において、優れた転写性が達成でき、
特に、被転写材の種類によらず、完全に転写層及びトナ
ー画像を転写することのできる方法を提供することを目
的とする。更に、転写層を薄層化してもなお良好な転写
性を有する転写層を用いた平版印刷版の作成方法を提供
することを目的とする。
【0011】更に、転写ラチチュードを拡大し、不感脂
化処理の条件を緩和することができる、転写層を用いた
平版印刷版の作成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、電
子写真感光体上に化学反応処理で除去可能な樹脂(A)
を主として含有する剥離可能な転写層を設け、この層の
上に電子写真プロセスによりトナー画像を形成した後、
該転写層と該トナー画像を一次レセプター上に一括して
転写し、更に一次レセプター上の該トナー画像を該転写
層ごと、印刷時に平版印刷可能な親水性表面となる被転
写材に転写し、次いで、該転写された被転写材上の非画
像部の転写層を化学反応処理により除去することを特徴
とする電子写真式製版印刷版の作成方法により達成され
ることが見出された。
【0013】本発明の電子写真式製版印刷版の作成方法
は、そのプロセスの概要を図1に示すように、少なくと
も支持体1及び感光層2からなる電子写真感光体11上
に転写層12を形成した後、通常の電子写真プロセスで
トナー画像5を形成する。次いで、本発明では、このト
ナー画像5と転写層12とを一括して一次レセプター2
0上に転写し、更に、オフセット印刷版に供される支持
体と同様の支持体である被転写材30に熱転写によりト
ナー画像5を転写層12ごと転写して印刷原版とし、こ
の被転写材に転写された非画像部の転写層のみを化学反
応処理で除去することによって平版印刷版とするもので
ある。
【0014】本発明は感光体表面上に設けた転写層上に
通常の電子写真プロセスによりトナー画像を形成した後
に、転写層ごとトナー画像を一次レセプターを経由して
最終被転写材に転写させることを特徴とする。即ち、転
写層上にトナー画像を形成した後、一旦一次レセプター
(中間媒体)上に転写し、そして最終被転写材に転写さ
せることから、中間媒体を経由するため、中間媒体の弾
性体としての働き(クッション効果)により、転写層及
びトナー画像の転写性が向上する。即ち、転写層の膜厚
によるクッション効果を一次レセプターが受けもつこと
で、転写性が向上する。これにより、最終被転写材が種
々異なっても、完全に転写する条件が見いだすことがで
き、また、転写層の薄層化が可能となる。
【0015】従って本発明によれば、感光体上に形成し
たトナー画像を、その画像劣化を軽減又は解消して最終
被転写材に転写することができ、高精細、高画質の複写
画像を得ることができる。また、転写条件を緩和するこ
ともできる。
【0016】また本発明は、上記の方法を行うために好
適な、電子写真感光体上に剥離可能な転写層を設ける手
段、転写層上に電子写真プロセスによりトナー画像を形
成する手段、一次レセプター上にトナー画像を転写層ご
と転写する手段及び一次レセプターから被転写材にトナ
ー画像を転写層ごと転写する手段を少なくとも有する電
子写真式製版印刷用原版作成装置を提供する。
【0017】本発明に供せられる電子写真感光体につい
て説明する。電子写真感光体としては、従来公知のいず
れのものでも用いることができる。重要なことは、感光
体上に形成された転写層を後にトナー画像とともに容易
に剥離できるように、感光体の表面が、転写層形成時に
剥離性を有することである。特に本発明では、転写層形
成時の感光体の表面のJIS Z0237-1980の「粘着テープ・
粘着シート試験方法」による粘着力が、100g・f以
下であることが好ましい。
【0018】上記JIS Z 0237-1980 「粘着テープ・粘着
シート試験方法」による粘着力の測定は、8.3.1 の18
0度引きはがし法に従い、以下の修正を加えて行う。 「試験板」として転写層が形成されるべき電子写真感
光体を用いる。 「試験片」として6mm巾のJIS C 2338-1984 に従って
製造された粘着テープを用いる。 定速緊張形引張試験機を用い、120mm/分の速さで
引きはがす。
【0019】即ち、上記試験板に、上記試験片の粘着面
を下側にして、試験片の上からローラを約300mm/分
の速さで一往復させて圧着する。圧着後20〜40分の
間に、定速緊張形引張試験機を用い、約25mmはがした
後、120mm/分の速さで引きはがす。20mmはがれる
ごとに力を読み取り、計4回読み取る。試験は3枚の試
験片について行い、3枚の試験片から測定した12個の
平均値を求め、これを10mm巾当たりに比例換算する。
【0020】一次レセプターや被転写材の粘着力も、こ
れらを試験板として用いることにより、同様にして測定
することができる。電子写真感光体表面の粘着力は、よ
り好ましくは50g・f以下、特に好ましくは30g・
f以下である。
【0021】本発明では、電子写真感光体として予め表
面剥離性を有するものを用いてもよいが、転写層を形成
する前に、感光体の表面にフッ素原子及び/又はケイ素
原子を少なくとも含有する化合物(S)を適用すること
により感光体表面に所望の剥離性を付与してもよい。こ
れにより電子写真感光体表面の剥離性を勘案することな
く、通常の電子写真感光体を用いることができる。
【0022】更には、予め表面剥離性の電子写真感光体
を本発明において繰り返し使用した場合に、感光体表面
の剥離性が低下した時に化合物(S)を適用してもよ
い。これにより、感光体の剥離性を簡便に保持すること
ができる。この電子写真感光体への剥離性付与は、上記
の装置内で行うことが好ましい。これは電子写真感光体
の表面に化合物(S)を適用する手段を上記電子写真式
製版印刷用原版作成装置に更に設置することにより行う
ことができる。
【0023】剥離性表面を有する感光体を得るには、具
体的には、予め剥離性表面を有する感光体を用いる方
法、通常汎用される電子写真感光体の表面に化合物
(S)を適用することで感光体表面に剥離性を付与する
方法、及び化合物(S)を含有する電着用分散液を用い
て転写層を電着法により感光体上に形成することで感光
体への剥離性の付与と転写層の形成とを同時に行う方法
が挙げられる。
【0024】第一の方法に用いることができる、剥離性
表面を有する感光体の例としては、アモルファスシリコ
ンの表面を離型性に改質した光導電体を用いたものが挙
げられる。アモルファスシリコンを主として含有する電
子写真感光体の表面を剥離性に改質する方法としては、
フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有するカップリン
グ剤(シランカップリング剤、チタンカップリング剤
等)等でアモルファスシリコン層表面を処理する方法が
あり、特開昭55−89844行、特開平4−2313
18号、、特開昭60−170860号、同59−10
2244号、同60−17750号等に記載されてい
る。また、他の方法としては、後述する化合物(S)、
特にフッ素原子及び/又はケイ素原子を置換基として含
有する成分をブロックで含有する化合物(例えばポリエ
ーテル、カルボン酸、アミノ基、カルビノール等変性の
ポリジアルキルシリコン類等)、を吸着固定する方法が
挙げられる。
【0025】また、剥離性表面を有する感光体の他の例
としては、電子写真感光体がその表面近傍ににケイ素原
子及びフッ素原子の少なくとも一方を含有する(ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有)重合体成分を含有する
重合体を含むものが挙げられる。ここで、電子写真感光
体の表面近傍とは、感光体の最上層を意味し、光導電層
の上に設けられるコーバーコート層、及び最上の光導電
層を包含する。即ち、光導電層を有する感光体の最上層
としてオーバーコート層を設け、このオーバーコート層
に上記重合体を含有させ剥離性を付与したもの、又は光
導電層(単一光導電層及び積層光導電層のいずれでもよ
い)の最上層に上記重合体を含有させ、その表面を剥離
性が発現する状態に改質させたもの等が挙げられる。
【0026】このような感光体は、その表面が良好な剥
離性を有するため、トナー画像と転写層とが一括して一
次レセプター上に容易且つ完全に転写されるものであ
る。
【0027】オーバーコート層又は最上の光導電層に剥
離性を付与する方法は、該層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体を用いれば
よい。あるいは、以下に詳細に述べる如きケイ素原子及
び/又はフッ素原子含有の重合体成分から成る重合体セ
グメントを含むブロック共重合体(表面偏在型共重合
体)を他の結着樹脂とともに少量用いることも好まし
い。また、かかるケイ素原子及び/又はフッ素原子含有
の樹脂は粒子の形で用いることもできる。
【0028】なかでも、オ−バ−コ−ト層を設ける場合
には、光導電層とオーバーコート層の密着性を充分に保
持できることから、表面偏在型共重合体を併用する方法
が好ましい。上記表面偏在型共重合体は、通常、最上の
光導電層全組成物100重量部中0.5〜30重量部、
オーバーコート層全組成物100重量部中0.1〜20
重量部の割合で使用できる。
【0029】そのようなオーバーコート層としては、具
体的には、乾式トナーを用いたPPC感光体において、
感光体の繰り返し使用に対する感光体表面の耐久性を保
持する1つの手段として公知となっている、感光体上に
表面層を設けて保護するために用いられる保護層が挙げ
られる。例えばシリコーン系ブロック共重合体を利用し
た保護層に関する技術として、特開昭61−95358
号、同55−83049号、同62−87971号、同
61−189559号、同62−75461号、同61
−139556号、同62−139557号、同62−
208055号等に記載のものが挙げられる。また、フ
ッ素系ブロック共重合体を利用した保護層として、特開
昭61−116362号、同61−117563号、同
62−270768号、同62−14657号等に記載
のものが挙げられる。更には、フッ素原子含有重合体成
分を含有する樹脂を粒子の形で併用する保護層として、
特開昭63−249152号及び同63−221355
号に記載のものが挙げられる。
【0030】また、最上層の光導電層の表面を剥離性が
発現した状態に改質する方法は、光導電体と結着樹脂と
を少なくとも用いた、いわゆる分散型の感光体を用いる
場合に有効に適用される。即ち、光導電層の最上層を構
成する層に、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の重
合体成分を含有する重合体セグメントをブロックで含有
するブロック共重合体の樹脂、及びケイ素原子及び/又
はフッ素原子含有の重合体成分を含有する樹脂粒子の少
なくともいずれか一方を共存させることにより、これら
の材料が表面に濃縮・移行して偏在するため、剥離性表
面に改質することができる。この共重合体及び樹脂粒子
については特開平5−197169号に記載されている
ものを挙げることができる。
【0031】更に表面偏在化をより強固にするために、
オーバーコート層や光導電層の結着樹脂として、ケイ素
原子及び/又はフッ素原子含有の重合体セグメントと、
熱及び/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグ
メントとを少なくとも1種ずつブロックで結合して成る
ブロック共重合体を用いることができる。かかる熱及び
/又は光硬化性基含有成分を含有する重合体セグメント
については、特開平5−197169号に記載されてい
るものを挙げることができる。あるいは、光及び/又は
熱硬化性樹脂を、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
樹脂とともに併用してもよい。
【0032】感光体表面を改質するのに有効な本発明の
ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体成分
を含有する重合体は、樹脂{以下樹脂(P)と称する}
又は樹脂粒子{以下樹脂粒子(PL)と称する}の形で
用いられる。
【0033】重合体がランダム共重合体である場合に
は、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する重合体
成分は、全重合体成分中60重量%以上であることが好
ましく、より好ましくは80重量%以上である。より好
ましくは、ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有する
重合体成分を50重量%以上含有する重合体セグメント
(α)とケイ素及び/又はフッ素原子含有重合体成分を
0〜20重量%含有する重合体セグメント(β)がブロ
ックで結合して成るブロック共重合体である。更に好ま
しくは、ブロック共重合体中の上記セグメント(β)中
に光及び/又は熱硬化性官能基を含有する重合体成分を
少なくとも1種含有するブロック共重合体である。これ
らのブロック共重合体において、セグメント(β)中に
は、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分
を全く含有しないものが好ましい。
【0034】重合体セグメント(α)及び(β)を含有
するブロック共重合体(表面偏在型共重合体)を用いる
と、ランダム共重合体に比べ表面の剥離性自身が向上
し、更には剥離性が良好に保持される。即ち、フッ素原
子及び/又はケイ素原子含有のブロック共重合体を少量
共存させて塗膜を形成すると、塗布後の乾燥工程終了ま
での間に、これらは容易に膜の表面部に移行・濃縮さ
れ、膜表面が剥離性を発現できる状態に改質される。
【0035】前述の様に、樹脂(P)において、フッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体セグメント
(α)がブロック化されている場合には、他方のフッ素
原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分を含んでい
ても少ない重合体セグメント(β)が膜形成の結着樹脂
との相溶性が良好なことから、これと充分な相互作用を
行ない、転写層が形成される場合においても、これらの
樹脂は転写層への移行が抑制もしくは解消されて、転写
層と電子写真感光体との界面を明確に形成維持すること
ができる(即ち、アンカー効果)。ブロック共重合体の
セグメント(β)中に硬化性基を含有する重合体を用い
て成膜時に重合体間を架橋することで、更に感光体との
界面を明確に維持する効果が発揮される。
【0036】重合体は、前記の如く、樹脂粒子(PL)
として用いられてもよい。好ましい樹脂粒子(PL)
は、非水溶媒中に分散される樹脂粒子である。かかる樹
脂粒子としては、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有する、非水溶媒に不溶な重合体セグ
メント(α)と、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分を含有しても20%以下である、非水溶媒
に可溶性の重合体セグメント(β)とを結合して成るも
のが好ましい。
【0037】樹脂粒子(PL)の場合には、不溶化して
いる重合体セグメント(α)の作用により、表面への移
行・濃縮が行われ、更に、粒子に結合した非水溶媒に可
溶性の重合体セグメント(β)が、前記樹脂の場合と同
様に、結着樹脂と相互作用してアンカー効果の作用を行
なう。更には硬化性基を重合体中又は結着樹脂中に含有
することで、転写層への移行が解消される。
【0038】上記フッ素原子及び/又はケイ素原子を含
有する置換基を含む重合体成分は、該置換基が重合体の
高分子主鎖に組み込まれていても高分子の側鎖の置換基
として含有されていてもよい。フッ素原子を含有する置
換基としては、例えば、下記の一価又は二価の有機残基
等が挙げられる。
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】ケイ素原子含有の置換基としては、例えば
下記の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0042】
【化3】
【0043】但し、R31、R32、R33、R34及びR
35は、各々同じでも異なってもよく、置換されていても
よい炭化水素基又は−OR36基(R36は置換されていて
いもよい炭化水素基を表わす)を表わす。R31〜R36
示す炭化水素基としては、具体的には炭素数1〜18の
置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、2−クロロエ
チル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリフルオ
ロエチル基、2−シアノエチル基、3,3,3−トリフ
ルオロプロピル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモ
プロピル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2,
2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピ
ル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニ
ル基(例えば2−メチル−1−プロペニル、2−ブテニ
ル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル
基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセ
ニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基等)、炭素数7
〜12の置換されていてもよいアラルキル基(例えばベ
ンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナ
フチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジ
ル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベ
ンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、
ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されて
いてもよい脂環式基(例えばシクロヘキシル基、2−シ
クロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基
等)又は炭素数6〜12の置換されていてもよい芳香族
基(例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリ
ル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチ
ルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル
基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシル
オキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチル
フェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシ
カルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル
基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0044】また、フッ素原子及び/又はケイ素原子含
有の有機残基は、組み合わされて構成されてもよく、そ
の場合には、直接結合してもよいし更には他の連結基を
介して組み合わされてもよい。連結する基として具体的
には二価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N
(d1)−、−CO−、−SO−、−SO2−、−COO
−、−OCO−、−CONHCO−、−NHCONH
−、−CON(d1)−、−SO2N(d1)−等から選ば
れた結合基を介在させても良い、二価の脂肪族基もしく
は二価の芳香族基、又はこれらの二価の残基の組み合わ
せにより構成された有機残基を表わす。ここで、d1
前記R31と同一の内容を表わす。
【0045】二価の脂肪族基として、例えば下記で示さ
れる基が挙げられる。
【0046】
【化4】
【0047】ここで、e1及びe2は、互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−O
−、−S−又は−N(d2)−を表し、d2は炭素数1〜
4のアルキル基、−CH2Cl又は−CH2Brを表わ
す。
【0048】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
複素環基としては、例えばフラン環、チオフェン環、ピ
リジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフラン環、ピロ
ール環、テトラヒドロピラン環、1,3−オキサゾリン
環等が挙げられる。
【0049】次に、以上のようなフッ素原子及び/又は
ケイ素原子を含有した置換基を有する繰り返し単位の具
体例を以下に示す。しかし、本発明の範囲がこれらに限
定されるものではない。以下の(F−1)〜(F−32)
における各例において、Rfは、下記に示す(1)〜(11)の
いずれかの基を示し、bは水素原子又はメチル基を表わ
す。
【0050】
【化5】
【0051】但し、上記(1)〜(11)において、Rf ′は
上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは1〜18の整数
を示し、mは1〜18の整数を示し、lは1〜5の整数
を示す。
【0052】
【化6】
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】
【0055】
【化9】
【0056】
【化10】
【0057】樹脂(P)及び樹脂粒子(PL)におい
て、いわゆる表面偏在型共重合体である場合、ケイ素原
子及び/又はフッ素原子含有の重合体成分を含有するセ
グメント(α)において、該重合体成分は、セグメント
(α)全体の総量の内、少なくとも50重量%を含み、
好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%
以上である。また、セグメント(β)においては、フッ
素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体成分はセグメ
ント(β)全体総量の内20重量%以下であり、好まし
くは0重量%である。
【0058】セグメント(α)とセグメント(β)の重
量比は、1〜95対5〜99(重量比)で、好ましく
は、5〜90対10〜95(重量比)である。樹脂
(P)及び樹脂粒子(PL)ともに、この範囲内におい
て、光導電層最上層部表面への良好な濃縮効果及びアン
カー効果が得られる。
【0059】樹脂(P)の重量平均分子量は、好ましく
は5×103〜1×106、より好ましくは1×104
5×105である。樹脂(P)におけるセグメント
(α)の重量平均分子量は、1×103以上である事が
好ましい。樹脂粒子(PL)は、その平均粒径が好まし
くは0.001〜1μm、より好ましくは0.05〜
0.5μmである。
【0060】樹脂(P)における、いわゆる表面偏在型
共重合体として好ましい態様を以下に説明する。樹脂
(P)では、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重
合体成分がブロックで構成されていればいずれの態様で
もよい。ここでブロックで構成するとは、フッ素原子及
び/又はケイ素原子を50重量%以上含有する重合体セ
グメント(α)を重合体中に有していることをいい、例
えば下記に示すようなA−B型ブロック、A−B−A型
ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型ブロッ
ク、スター型ブロック等が挙げられる。
【0061】
【化11】
【0062】これらの各種ブロック共重合体は、従来公
知の重合方法に従って合成することができる。例えば、
W. J. Burlant, A. S. Hoffman「Block and Graft poly
mers」(1986年、Reuhold)、R. J. Cevesa「Block and
Graft Copolymers」(1962年、Butterworths)、D. C.
Allport, W. H. James「Block Copolymers」(1972年、
Applied Sci)、A. Noshay, J. E. McGrath「Block Copo
lymers」(1977年、Academis Press.)、G. Huvterg, D.
J. Wilson, G. Riess, NATO ASIser. SerE. 1985, 14
9、V. Perces, Applied. Polymer Sci. 285, 95 (1985)
等の成書、総説に記載されている。
【0063】例えば、有機金属化合物(例えばアルキル
リチウム類、リチウムジイソプロピルアミド、アルカリ
金属アルコラート類、アルキルマグネシウムハライド
類、アルキルアルミニウムハライド類等)等を重合開始
剤とするイオン重合反応については、T. E. Hogeu-Esc
h、J. Smid「Recent Advances in Anion Polymerizatio
n」(1987年、Elsevier New York)、岡本佳男、高分
子、38、912 (1989)、澤本光男、高分子、38、1018(198
9)、成田正、高分子、37、252(1988)、B. C. Anderson
et al., Macromolecules 14, 1601(1981)、S. Aoshim
a、T. Higashimura、Macromolecules 22, 1009(1989)等
に具体的に記載されている。
【0064】また、ヨウ化水素/ヨウ素系等によるイオ
ン重合反応については、T. Higashimura at al., Macro
mol. Chem., Macromol. Symp.,1314, 457(1988)、東
村敏延、沢本光男、高分子論文集46、189 (1989)等に記
載されている。
【0065】グループ移動重合反応については、D. Y.
Sogah et al., Macromolecules, 20, 1473(1987)、O.
W. Webster, D. Y. Sogah、高分子、36、808(1987)、M.
T. Reetg et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eugl. 25,
9108(1986)、特開昭63−97609号等に記載されて
いる。金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重合反応
については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Macromole
cules, 17, 2217(1984)、M. Kuroki, T. Aida, S. Inou
e, T. Ann. Chem. Soc.109, 4737(1987)、M. Kuroki et
al., Macromolecules, 21, 3115(1988)、M. Kuroki,
I. Inoue、有機合成化学、47、1017(1989)等に記載され
ている。
【0066】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayashi, T. Saegusa「Ring Opening Polym
erization」(1984年、Applied Scence Publishers Lt
d.)、W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eng
l. 5, 875(1966)、S. Kobayashi et al., Poly. Bull.1
3, 447(1985)、Y. Chujo et al., Macromolecules,22,1
074(1989)等に記載されている。
【0067】更には、ジチオカーバメイト化合物又はザ
ンテート化合物等を開始剤として用いる光リビング重合
反応については、大津隆行、高分子、37、248(1988)、
檜森俊一、大津隆一、Polym. Rep. Jap.37、3508(198
8)、特開昭64−111号、特開昭64−26619
号、M. Niwa, Macromolecules,189, 2187(1988)等に記
載されている。
【0068】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集33
931(1976)、上田明、大阪市立工業研究所報告、84(198
9)、O. Nuyken et al., Macromol. Chem., Rapid. Comm
un. 9, 671(1988)、森屋泰夫等「強化プラスチック」2
9、907(19 )、小田良平「科学と工業」61、43(1987)等
に記載されている。
【0069】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に井手文雄「グ
ラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行会)、高
分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981年、東京化学同
人)等に記載されている。例えば、高分子鎖を、重合開
始剤、化学的活線(放射線、電子線等)、機械的応用化
でのメカノケミカル反応等で、グラフト化する方法、高
分子鎖と高分子鎖の官能基を利用して、化学結合(いわ
ゆる高分子間反応)しグラフト化する方法、及びマクロ
モノマーを用いて重合反応し、グラフト化する方法等が
知られている。
【0070】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T. Shota et al., J. Appl. Polym. S
ci. 13, 2447(1969)、W. H. Buck, Rubber Chemistry a
nd Technology,50, 109(1976)、遠藤剛、植沢勉、日本
接着協会誌24、323(1988)、遠藤剛、ibid. 25, 409(198
9) 等に記載されている。また、マクロモノマーを用い
て重合反応しグラフト化する方法として、具体的には、
P. Dreyfuss & R. P. Quirk, Encycl. Polym. Sci. En
g., 7, 551(1987)、P. F. Rempp, E. Franta, Adv. Pol
ym. Sci., 58, 1(1984)、V. Percec, Appl. Poly. Sc
i.,285, 95(1984)、R. Asami, M. Takari, Macromol. C
hem. Suppl.,12, 163(1985)、P. Rempp et al., Macrom
ol. Chem. Suppl.,8, 3(1985)、川上雄資、化学工業、3
8、56(1987)、山下雄也、高分子、31、988(1982)、小林
四郎、高分子、30、625(1981)、東村敏延、日本接着協
会誌、18、536(1982)、伊藤浩一、高分子加工、35、262
(1986)、東貴四郎、津田隆、機能材料、1987、No.10,
5、山下雄也編著「マクロモノマーの化学と工業」(1989
年、アイ・ピーシー(株))、遠藤剛編著「新しい機能性
高分子の分子設計」第4章(1991年、C.M.C.(株))、Y.
Yamashita et al., Polym. Bull. 5, 361(1981)等に記
載されている。
【0071】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えば M. T. Reetz, Angew. Chem.Int. Ed. Engl., 2
7, 1373(1988)、M. Sgwarc「Carbanions, Living Polym
ers and Electron Transfer Prodesses」(1968年、Wile
y. New York)、B. Gordon etal., Polym. Bull.11, 349
(1984)、R. B. Bates et al., J. Org. Chem. 44, 3800
(1979)、Y. Sogah, A. C. S. Polym. Rapr. 1988, No.
2, 3、J. W. Mays, Polym. Bull.23, 247(1990)、I. M.
Khan et al., Macromolecules,21, 2684(1988)、A. Mo
rikawa, Macromolecules,24, 3469(1991)、上田明、永
井透、高分子39、202(1990)、T. Otsu, Polym. Bull. 1
1, 135(1984) 等に記載されている。しかしながら、上
記ブロック共重合体の合成法はこれらの方法に限定され
るものではない。
【0072】次に樹脂粒子(PL)についての好ましい
態様について説明する。前記の如く、樹脂粒子(PL)
は、好ましくは、非水溶媒に不溶な、フッ素原子及び/
又はケイ素原子含有の重合体セグメント(α)と、該溶
媒に可溶性の、フッ素原子及び/又はケイ素原子を殆ど
含有しない重合体セグメント(β)とから成る。更に
は、樹脂粒子(PL)の不溶性部分を構成する重合体セ
グメント(α)部は、架橋構造を形成していてもよい。
【0073】樹脂粒子(PL)を製造する好ましい方法
としては、後に非水分散樹脂粒子の製造に関して述べる
非水系分散重合方法が挙げられる。
【0074】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独で又は2種以上を混合して用
いることができる。この有機溶媒の具体例は、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、フッ化ア
ルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチ
ルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボ
ン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の
炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、
メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロ
パン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が
挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に限定される
ものではない。
【0075】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。具体的に
は、セグメント(α)を構成する重合体成分に相当する
単量体(a)、セグメント(β)を構成する重合体成分
に相当する単量体(b)とを、単量体(a)は溶解する
が重合すると不溶となる非水溶媒を用いて、過酸化物
(例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等)、ア
ゾビス化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビスイソバレロニトリル等)、有機金属化合物(例え
ば、ブチルリチウム等)等の重合開始剤の存在下に加熱
重合させればよい。又は、上記単量体(a)、セグメン
ト(β)から成る重合体(Pβ)とを、上記と同様にし
て重合させればよい。
【0076】更には、樹脂粒子(PL)の不溶化した重
合体粒子の内部が架橋構造を有していてもよい。これら
の架橋構造を形成させるには、従来公知の方法のいずれ
をも用いることができる。即ち、重合体セグメント
(α)を含有する重合体を種々の架橋剤又は硬化剤によ
って架橋する方法、重合体セグメント(α)に相当す
る単量体(a)を少なくとも含有させて重合反応を行う
際に、重合性官能基を2個以上含有する多官能性単量体
又は多官能性オリゴマーを共存させることにより、分子
間に網目構造を形成する方法、及び重合体セグメント
(α)と反応性基を含有する成分を含む重合体類とを重
合反応あるいは高分子反応によって架橋させる方法等に
よって行うことができる。
【0077】上記の方法の架橋剤としては、通常架橋
剤として用いられる化合物を挙げることができる。具体
的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」
大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子データハン
ドブック、基礎編」培風館(1986年)等に記載されてい
る化合物を用いることができる。例えば、有機シラン系
化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシラン
カップリング剤等)、ポリイソシアナート系化合物(例
えば、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタン
ジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナ
ート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキ
サメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナ
ート、高分子ポリイソシアナート等)、ポリオール系化
合物(例えば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプ
ロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、
1,1,1−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン
系化合物(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシ
プロピル化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、
変性脂肪族ポリアミン類等)、チタネートカップリング
系化合物(例えばテトラブトキシチタネート、テトラプ
ロポキシチタネート、イソプロピルトリステアロイルチ
タネート等)、アルミニウムカップリング系化合物(例
えばアルミニウムブチレート、アルミニウムアセチルア
セテート、アルミニウムオキシドオクテート、アルミニ
ウムトリス(アセチルアセテート)等)、ポリエポキシ
基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著
「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著
「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載
された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、
松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社
(1969年刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)
クリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東
村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大森英三
「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0078】また、上記の方法で共存させる重合性官
能基を2個以上含有する多官能性単量体〔多官能性単量
体(d)とも称する〕あるいは多官能性オリゴマーの重
合性官能基としては、具体的には、CH2=CHCH
2−、CH2=CHCOO−、CH2=CH−、CH2=C
(CH3)−COO−、CH(CH3)=CHCOO−、C
2=CHCONH−、CH2=C(CH3)−CONH
−、CH(CH3)=CHCONH−、CH2=CHOC
O−、CH2=C(CH3)−OCO−、CH2=CHCH
2OCO−、CH2=CHNHCO−、CH2=CHCH2
NHCO−、CH2=CHSO2−、CH2=CHCO
−、CH2=CHO−、CH2=CHS−等を挙げること
ができる。これらの重合性官能基の同一のものあるいは
異なったものを2個以上有する単量体あるいはオリゴマ
ーであればよい。
【0079】重合性官能基を2個以上有する単量体の具
体例は、例えば同一の重合性官能基を有する単量体ある
いはオリゴマーとして、ジビニルベンゼン、トリビニル
ベンゼン等のスチレン誘導体:多価アルコール(例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール#20
0、#400、#600、1,3−ブチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールな
ど)、又はポリヒドロキシフェノール(例えばヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコールおよびそれらの誘導体)
のメタクリル酸、アクリル酸又はクロトン酸のエステル
類、ビニルエーテル類又はアリルエーテル類:二塩基酸
(例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸
等)のビニルエステル類、アリルエステル類、ビニルア
ミド類又はアリルアミド類:ポリアミン(例えばエチレ
ンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブ
チレンジアミン等)とビニル基を含有するカルボン酸
(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ア
リル酢酸等)との縮合体などが挙げられる。
【0080】また、異なる重合性官能基を有する単量体
あるいはオリゴマーとしては、例えば、ビニル基を含有
するカルボン酸(例えばメタクリル酸、アクリル酸、メ
タクリロイル酢酸、アクリロイル酢酸、メタクリロイル
プロピオン酸、アルリロイルプロピオン酸、イタコニロ
イル酢酸、イタコニロイルプロピオン酸、カルボン酸無
水物等)とアルコール又はアミンの反応体、等のビニル
基を含有したエステル誘導体又はアミド誘導体(例えば
メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、イタコン酸ビ
ニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコ
ン酸アリル、メタクリロイル酢酸ビニル、メタクリロイ
ルプロピオン酸ビニル、メタクリロイルプロピオン酸ア
リル、メタクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルエス
テル、アクリル酸ビニルオキシカルボニルメチルオキシ
カルボニルエチレンエステル、N−アリルアクリルアミ
ド、N−アリルメタクリルアミド、N−アリルイタコン
酸アミド、メタクリロイルプロピオン酸アリルアミド
等)又はアミノアルコール類(例えばアミノエタノー
ル、1−アミノプロパノール、1−アミノブタノール、
1−アミノヘキサノール、2−アミノブタノール等)と
ビニル基を含有するカルボン酸との縮合体などが挙げら
れる。本発明に用いられる2個以上の重合性官能基を有
する単量体あるいはオリゴマーは、単量体(a)及び単
量体(a)と共存する他の単量体との総量に対して10
モル%以下、好ましくは5モル%以下用いて重合し、樹
脂を形成する。
【0081】更には、上記の方法の高分子間の反応性
基同志の反応により化学結合を形成し高分子間の橋架け
を行う場合には、通常の有機低分子化合物の反応と同様
に行うことができる。
【0082】分散重合において、粒子の粒径が揃った単
分散性の粒子が得られること及び0.5μm以下の微小
粒子が得られ易いこと等から、網目構造形成の方法とし
ては多官能性単量体を用いるの方法が好ましい。即
ち、前記した単量体(a)、単量体(b)及び/又は重
合体(Pβ)に、更に多官能性単量体(d)を共存させ
て重合造粒反応を行なうことで合成することができる。
更に、上記したセグメント(β)で構成される重合体
(Pβ)を用いる場合は、重合体(Pβ)の高分子主鎖
中の側鎖あるいは主鎖の片末端に、単量体(a)と共重
合可能な重合性二重結合基を有して成る重合体(P
β′)であることが好ましい。
【0083】重合性二重結合基としては、上記の様に単
量体(a)と共重合性を有すればいずれでもよいが、具
体的な例としては、CH2=C(p)COO−、C(C
3)H=CHCOO−、CH2=C(CH2COOH)C
OO−、CH2=C(p)CONH−、CH2=C(p)
CONHCOO−、CH2=C(p)CONHCONH
−、C(CH3)H=CHCONH−、CH2=CHCO
−、CH2=CH(CH 2)nOCO−(nは0又は1〜3
の整数)、CH2=CHO−、CH2=CHC6 4−等が
挙げられる(ここでpは−H又は−CH3を表わす)。
【0084】これらの重合性基二重結合基は、高分子鎖
に直接結合してもよいし、他の二価の有機残基を介して
結合してもよい。これら重合体の具体的態様について
は、例えば特開昭61−43757号、特開平1−25
7969号、同2−74956号、同1−282566
号、同2−173667号、同3−15862号、同4
−70669号等に記載されている。
【0085】重合性化合物の総量は非水溶媒100重量
部に対して5〜80重量部程度であり、好ましくは10
〜50重量部である。重合開始剤の量は、重合性化合物
の総量の0.1〜5重量%である。また、重合温度は3
0〜180℃程度であり、好ましくは40〜120℃で
ある。反応時間は1〜15時間が好ましい。
【0086】次に、光及び/又は熱硬化性基を、上記結
着樹脂(P)中に重合体成分として含有する場合、又は
該硬化性基含有樹脂を樹脂(P)と併用する場合を説明
する。結着樹脂(P)中に含有され得る、光及び/又は
熱硬化性基を少なくとも1種含有して成る重合体成分と
しては、前記の如き公知文献に記載のものを挙げること
ができ、より具体的には、例えば前記重合性官能基とし
て記載したものと同様のものが挙げられる。
【0087】これらの重合体において含有される、光及
び/又は硬化性基を少なくとも1種含有する重合体成分
は、ブロック共重合体(P)の重合体セグメント(β)
100重量部中1〜95重量部であり、好ましくは10
〜70重量部である。更には、共重合体(P)全体の重
合体成分の全量100重量部において5〜40重量部含
有していることが好ましい。
【0088】光及び/又は硬化性基含有重合体成分は1
重量部以上含有されれば、光導電層の成膜後の硬化が充
分に進行し、トナー画像の剥離性に有効に作用する。ま
た、95重量部以下において、複写画像の原稿再現性の
低下や非画像部の地カブリの発生等を生じることなく、
光導電層の結着樹脂として良好な電子写真特性が得られ
る。
【0089】これらの光及び/又は熱硬化性基含有のブ
ロック共重合体(P)は全結着樹脂100重量部中40
重量%以下で使用する事が好ましい。この範囲内で良好
な電子写真特性が得られる。
【0090】また、上記のフッ素原子及び/又はケイ素
原子含有樹脂とともに光及び/熱硬化性樹脂(D)を併
用してもよい。光及び/又は熱硬化性樹脂(D)として
は、従来公知の硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、
ブロック共重合体(P)で説明した如き硬化性基を含有
する樹脂がその例として挙げられる。
【0091】従来公知の電子写真感光層用の結着樹脂類
は、例えば、柴田隆治、石渡次郎,高分子、第17巻、第
278頁(1968年)、宮本晴視、武井秀彦、イメージン
グ、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料用バインダーの
実際技術」第10章、C.M.C.出版(1985年)、電子写真学
会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿
集(1985年)、小門宏編「最近の光導電材料と感光体の
開発・実用化」日本科学情報(株)(1986年)、電子写真
学会編「電子写真技術の基礎と応用」第5章、コロナ社
(株)(1988年)、D. Tatt, S. C. Heidecker,Tappi,49
(No.10), 439(1966)、E. S. Baltazzi,R. G. Blanclot
te et al,Phot.Sci. Eng. 16(No.5), 354(1972)、グ
エン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写真学会
18(No.2),22(1980)等の成書・総説に記載の化合物等
が挙げられる。
【0092】また、オレフィン重合体及び共重合体、塩
化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、アルカン
酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル重合体
及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体及び共
重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソブレン−
スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン酸エス
テル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタクリロ
ニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重合体、
アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタクリル酸
エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重
合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水
マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタク
リルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリ
コン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性
ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタ
ール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、
環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒素原子を含
有しない複素環を含有する共重合体(複素環として例え
ば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェン環、
ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン環、ベンゾ
フラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジオキセタン
環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0093】更に具体的には、遠藤剛「熱硬化性高分子
の精密化」(C.M.C.(株)、1986年刊)、原崎勇次「最新
バインダー技術便覧」第II−1章(総合技術センター、
1985年刊)、大津隆行「アクリル樹脂の合成・設計と新
用途開発」(中部経営開発センター出版部、1985年
刊)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」(テクノシス
テム、1985年刊)等の総説に引例された従来公知の樹脂
が用いられる。
【0094】以上の如く、予め剥離性を有する感光体と
するためには、最上層、例えばオーバーコート層又は光
導電層は、結着樹脂及び表面改質用の結着樹脂(P)を
少なくとも各々1種以上含有し、好ましくは、膜の硬化
を向上させるために光及び/又は熱硬化性樹脂(D)及
び/又は架橋剤を少量共存させる。その使用量は、結着
樹脂及び結着樹脂(P)の総量に対して0.01〜20
重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15重量%
である。この範囲内において、電子写真特性に悪影響を
及ぼすことなく、膜の硬膜化向上の効果が発揮される。
【0095】また、架橋剤を併用することが好ましく、
通常架橋剤として用いられる化合物を使用することがで
きる。具体的には、山下普三、金子東助編「架橋剤ハン
ドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子
データハンドブック基礎編」培風館(1986年)等に記載
されている化合物を用いることができる。具体的には前
記架橋剤と同様のものが挙げられ、更に、多官能重合性
基含有の単量体(例えばビニルメタクリレート、アクリ
ルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジビニル
コハク酸エステル、ジビニルアジピン酸エステル、ジア
クリルコハク酸エステル、2−メチルビニルメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ
ビニルベンゼン、ペンタエリスリトールポリアクリレー
ト等)等が挙げられる。
【0096】上記感光体の最上層(転写層と隣接する
層)は、成膜後に硬化されることが好ましい。供せられ
る結着樹脂、樹脂(P)、硬化性樹脂(D)及び架橋剤
は、高分子間が化学結合しやすい官能基同志の組合せで
用いることが好ましい。例えば官能基の組合せによる高
分子反応として、通常よく知られた方法が挙げられ、例
えば下表−1に示す様なA群の官能基とB群の官能基の
組合せが例示される。但しこれに限定されるものではな
い。
【0097】
【表1】
【0098】本発明では、感光層膜中での架橋反応を促
進させるために、結着樹脂に必要に応じて反応促進剤を
添加してもよい。架橋反応が官能基間の化学結合を形成
する反応様式の場合には、例えば有機酸類(酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸等)、フェノール類(フェノール、クロロフェ
ノール、ニトロフェノール、シアノフェノール、ブロモ
フェノール、ナフトール、ジクロロフェノール等)、有
機金属化合物(アセチルアセトナートジルコニウム塩、
アセチルアセトンジルコニウム塩、アセチルアセトコバ
ルト塩、ジラウリン酸ジブトキシスズ等)、ジチオカル
バミン酸化合物(ジエチルジチオカルバミン酸塩等)、
チウラムジスルフィド化合物(テトラメチルチウラムジ
スルフィド等)、カルボン酸無水物(無水フタル酸、無
水マレイン酸、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物、
3,3′,4,4′−テトラカルボン酸ベンゾフェノン
ジ無水物、トリメリット酸無水物等)等が挙げられる。
架橋反応が重合性反応様式の場合には、重合開始剤(過
酸化物、アゾビス系化合物等が挙げられる。
【0099】結着樹脂は、感光層形成物を塗布した後、
光及び/又は熱硬化されることが好ましい。熱硬化を行
なうためには、例えば、乾燥条件を従来の感光体作製時
の乾燥条件より厳しくする。例えば、乾燥条件を高温度
及び/又は長時間とするか、あるいは塗布溶剤の乾燥
後、更に加熱処理することが好ましい。例えば60℃〜
150℃で5〜120分間処理する。上述の反応促進剤
を併用すると、より穏やかな条件で処理することができ
る。
【0100】樹脂中の特定の官能基を光照射で硬化する
方法としては、化学的活性光線で光照射する工程を入れ
る様にすればよい。化学的活性光線としては、可視光
線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線など
いずれでもよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは
波長310nmから波長500nmの範囲の光線である。一
般には低圧、高圧あるいは超高圧の水銀ランプ、ハロゲ
ンランプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜5
0cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分に行うこ
とができる。
【0101】次に、剥離性表面を有する感光体を得る第
二の方法である、転写層形成の前に、通常の電子写真感
光体の表面上に化合物(S)を適用して、感光体表面を
剥離性にする方法について説明する。
【0102】化合物(S)としては、フッ素原子及び/
又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物が挙げら
れ、電子写真感光体表面の剥離性を改善するものであれ
ば、その構造は特に限定されるものではなく、低分子化
合物、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。。オリ
ゴマー又はポリマーの場合、フッ素原子及び/又はケイ
素原子を含有する置換基は、重合体の主鎖に組み込まれ
ていてもよく、あるいは重合体の側鎖の置換基として存
在していてもよい。好ましくは、オリゴマー又はポリマ
ーにおいて、該置換基を含有する繰り返し単位をブロッ
クで含有されたものが挙げられ、これらは電子写真感光
体表面への吸着性及び剥離性を特に有効に発現する。
【0103】これらのフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基は、具体的には、前記の樹脂(P)に
関連して述べたものと同様である。本発明で用いられる
フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の化合物(S)と
しては、具体的には、吉田時行等編「新版・界面活性剤
ハンドブック」工学図書(株)刊(1987年)、刈米孝夫
監修「最新・界面活性剤応用技術」(株)シーエムシー
(1990年)、伊藤邦雄編「シリコーン・ハンドブック」
日刊工業新聞社刊(1990年)、刈米孝夫監修「特殊機能
界面活性剤」(株)C.M.C.(1986年)、A. M.Schwartz e
t al「Surface Active Agents and Detergents vol.II
」等に記載のフッ素系及び/又はケイ素系有機化合物
が挙げられる。
【0104】更には、石川延男「フッ素化合物の合成と
機能」(株)C.M.C.(1987年)、平野二郎等編「含フッ
素有機化合物−その合成と応用−」(株)技術情報協会
(1991年)、石川満夫監修「有機ケイ素戦略資料」第3
章(株)サイエンスフォーラム(1991年)等の文献に記
載の合成方法を利用して、本発明の化合物(S)を合成
することができる。
【0105】また、オリゴマー又はポリマーとしてフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む重
合体成分の具体例としては、前記樹脂(P)に関して記
載された重合体成分を例として挙げることができる。
【0106】化合物(S)がいわゆるブロック共重合体
である場合には、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有
の重合体成分がブロックで構成されていればよい。ここ
でブロックで構成するとは、フッ素原子及び/又はケイ
素原子を有する成分を70重量%以上含有する重合体セ
グメントを重合体中に有していることをいい、例えば前
記樹脂(P)で述べたと同様なA−B型ブロック、A−
B−A型ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型
ブロックあるいはスター型ブロック等が挙げられる。こ
れらは、前記と同様の方法で合成することができる。
【0107】電子写真感光体表面に化合物(S)を適用
することにより、その表面は所望の剥離性を有するよう
に改質される。電子写真感光体の表面に化合物(S)を
適用するとは、化合物(S)を電子写真感光体表面に供
給して、感光体表面に化合物(S)が吸着または付着し
た状態を形成することをいう。
【0108】化合物(S)を電子写真感光体表面に適用
するには、従来公知のいずれの方法を適用してもよい。
例えば、原崎勇次「コーティング工学」(株)朝倉書店
(1971年刊)、原崎勇次「コーティング方式」槇書店
(1979年刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」
(株)高分子刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクタ
ーコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、スク
イズコーター、含浸コーター、リバースロールコータ
ー、トランファーロールコーター、グラビアコーター、
キスロールコーター、スプレイコーター、カーテンコー
ター、カレンダーコーター等の各方式が挙げられる。
【0109】また、化合物(S)を含浸させた布、紙、
フェルト等を感光体に密接させる方法、化合物(S)を
含浸させた硬化性樹脂を感光体に圧接させる方法、化合
物(S)を溶解した非水溶媒で感光体を濡らした後、溶
媒を乾燥させる方法、化合物(S)を分散させた非水溶
媒を後述の電着塗布法と同様にして電気泳動させて感光
体に付着させる方法等も挙げられる。
【0110】更には、インキジェット方式により化合物
(S)の非水溶液を感光体表面に一様に濡らした後、乾
燥させることにより吸着又は付着させることができる。
インキジェット方式による方法は、例えば大野信編集
「ノンインパクトプリンティング」(株)C.M.C.(1986
年刊)記載の原理及び手段によって達成される。例えば
連続噴射型のSweet方式、Hertz方式、間欠噴射型のWins
ton方式、インクオンデマンド型のパルスジェット方
式、バブルジェット方式、インキミスト型のミスト方式
などが挙げられる。
【0111】いずれもインキの代わりに化合物(S)を
直接あるいは溶媒に希釈して、インキタンク及び/又は
インキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常液
の粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/cm
で、必要により界面活性剤等を加えても良く、また液を
加熱しても良い。従来のインキジェットプリンターは、
文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を30〜
100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同程度
となっているが、本発明においてはこれよりも大きくと
も良い。この場合にはインキの吐出量が多くなるので、
塗布にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル化す
ることも塗布時間短縮のために極めて有効である。
【0112】化合物(S)としてシリコーンゴムを用い
ることもできる。好ましくは金属芯ローラーに巻いてシ
リコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表面に押
し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/cm2、接
触時間は1秒〜30分間で良い。この時感光体及び/又
はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加熱されて
いても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低分子量成
分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転移するも
のと思われる。シリコーンゴムはシリコーンオイルで膨
潤されたものでも良い。シリコーンゴムは更にスポンジ
状であっても、そのスポンジローラーに更にシリコーン
オイル、シリコーン界面活性剤溶液等を含浸させてあっ
ても良い。
【0113】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物(S)の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物(S)の流動性
を調整することもできる。化合物(S)の感光体表面へ
の適用量は特に規定されるものではなく、感光体の電子
写真特性への悪影響が実用上問題とならなければよい。
通常塗膜膜厚で1μm以下で充分であり、本発明の剥離
性の発現は「Weakboundary Layer」(Bikerman "The Sci
ence of Adhesive Joints" Academic Press(1961年刊)
により定義)の状態で充分である。本発明においては、
化合物(S)が電子写真感光体上に吸着又は付着して表
面に剥離性を付与し、好ましくは表面の粘着力が100
g・f以下となればよい。
【0114】本発明の製版印刷版作成工程において、常
にこの工程を繰り返す必要はなく、用いる感光体及び化
合物(S)適用による剥離性を保持できる能力及びその
手段の組合に従って、適宜行えばよい。
【0115】更に、本発明においては、剥離性表面を有
する感光体を得る第三の方法として、転写層を電着塗布
法により感光体上に形成する場合に電着用分散液の中に
化合物(S)を含有させることで、感光体への剥離性の
付与と転写層の形成とを同時に行う方法が挙げられる。
【0116】即ち、比誘電率が3.5以下の電気絶縁性
有機溶媒中に、樹脂(A)の粒子が分散し、且つ化合物
(S)を少なくとも1種含有した電着用分散液を用い
て、樹脂粒子を電気泳動により電子写真感光体表面に電
着又は付着させて成膜することにより、剥離可能な転写
層を形成する。
【0117】上記転写層形成用の電着用分散液中に含有
され化合物(S)は、分散樹脂粒子が電気泳動して感光
体表面に電着される前に、感光体に吸着もしくは付着す
るため、結果的に転写層の形成前に剥離性を有する感光
体とすることができるものである。ここで用いられる化
合物(S)は前記第二の方法において述べた化合物
(S)と本質的に同じである。化合物(S)のうち、比
誘電率が3.5以下の電気絶縁性有機溶媒1リットルに
対して0.01g以上溶解する(温度25℃)ものが好
ましい。化合物(S)の溶解量が0.01g未満の場
合、化合物(S)が感光体への吸着ムラを起こすことが
ある。
【0118】化合物(S)の電気絶縁性有機溶媒中の添
加量は、使用される化合物(S)及び電気絶縁性有機溶
媒などにより異なる。得られる効果や樹脂粒子の電気泳
動に悪影響(液抵抗の低下、粘度の上昇等)を及ぼさな
いこと等を考慮して適量がきめられる。好ましい範囲は
0.01g/リットル〜20g/リットル程度である。
【0119】本発明に供せられる電子写真感光体の構成
及び材料は従来公知のいずれでも用いることができ、限
定されるものではない。例えば、R. M. Schaffert, "El
ectrophotography" Focal Press London(1980)、S. W.
Ing, M. D. Tabak, W. E. Haas, "Electrophotography
Fourth Internaional Conference" SPSE(1983)、篠原
功、土田英俊、草川英昭編「記録材料と感光性樹脂」
(株)学会出版センター刊(1979年)、小門宏、化学と
工業、39(3),161 (1986年)、総合技術資料集「最近の
光導電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報
(株)出版部(1986年)、電子写真学会編「電子写真技
術の基礎と応用」コロナ社(株)(1986年)、電子写真学
会編「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿
集(1985年)等の成書、総説に記載の各種感光体が挙げ
られる。即ち、光導電性化合物自身から成る単独層、又
は、光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導電層が
挙げられ、分散された光導電層は単一層型でもよいし積
層型でもよい。
【0120】また本発明において用いられる光導電性化
合物は無機化合物あるいは有機化合物のいずれでもよ
い。本発明の光導電性化合物として用いられる無機化合
物としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、
硫化カドミウム、セレン、セレン−テルル、無定形シリ
コン、硫化鉛等従来公知の無機光導電性化合物が挙げら
れ、これらは、結着樹脂とともに光導電層を形成しても
よいし、また、蒸着又はスパッタリング等により単独で
光導電層を形成してもよい。
【0121】酸化亜鉛、酸化チタン等の無機光導電性化
合物を用いる場合は、無機光導電性化合物100重量部
に対して結着樹脂を通常10〜100重量部、好ましく
は15〜40重量部の割合で使用する。
【0122】一方、有機化合物を用いた光導電層として
は、従来公知のいずれでもよく、具体的には、特公昭3
7−17162号、同62−51462号、特開昭52
−2437号、同54−19803号、同56−107
246号、同57−161863号等に記載のような有
機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体とする光
導電層、特開昭56−146145号、同60−177
51号、同60−17752号、同60−17760
号、同60−254142号、同62−54266号等
に記載のような電荷発生剤、電荷輸送剤、結合樹脂を主
体とする光導電層、及び特開昭60−230147号、
同60−230148号、同60−238853号等に
記載のような電荷発生剤と電荷輸送剤とをそれぞれ別の
層に含有した二層構成の光導電層が挙げられる。
【0123】本発明の電子写真感光体は上記の光導電層
のいずれの形態をとっていてもよい。本発明に用いられ
る有機光導電性化合物としては、(a) 米国特許3,11
2,197号等に記載のトリアゾール誘導体、(b) 米国
特許3,189,447号等に記載のオキサジアゾール
誘導体、(c) 特公昭37−16096号に記載のイミダ
ゾール誘導体、(d) 米国特許3,615,402号、同
3,820,989号、同3,542,544号、特公
昭45−555号、同51−10983号、特開昭51
−93224号、同55−108667号、同55−1
56953号、同56−36656号等に記載のポリア
リールアルカン誘導体、(e) 米国特許3,180,72
9号、同4,278,746号、特開昭55−8806
4号、同55−88065号、同49−105537
号、同55−51086号、同56−80051号、同
56−88141号、同57−45545号、同54−
112637号、同55−74546号等に記載のピラ
ゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、(f) 米国特許3,
615,404号、特公昭51−10105号、同46
−3712号、同47−28336号、特開昭54−8
3435号、同54−110836号、同54−119
925号等に記載のフェニレンジアミン誘導体、
【0124】(g) 米国特許3,567,450号、同
3,180,703号、同3,240,597号、同
3,658,520号、同4,232,103号、同
4,175,961号、同4,012,376号、特公
昭49−35702号、西独国特許(DAS)1,11
0,518号、特公昭39−27577号、特開昭55
−144250号、同56−119132号、同56−
22437号等に記載のアリールアミン誘導体、(h) 米
国特許3,526,501号等に記載のアミノ置換カル
コン誘導体、(i) 米国特許3,542,546号等に記
載のN,N−ビカルバジル誘導体、(j) 米国特許3,2
57,203号等に記載のオキサゾール誘導体、(k) 特
開昭56−46234号等に記載のスチリルアントラセ
ン誘導体、(l) 特開昭54−110837等に記載のフ
ルオレノン誘導体、(m) 米国特許3,717,462
号、特開昭54−59143号(米国特許4,150,
987号に対応)、特開昭55−52063号、同55
−52064号、同55−46760号、同55−85
495号、同57−11350号、同57−14874
9号、同57−104144号等に記載されているヒド
ラゾン誘導体、
【0125】(n) 米国特許4,047,948号、同
4,047,949号、同4,265,990号、同
4,273,846号、同4,299,897号、同
4,306,008号各等に記載のベンジジン誘導体、
(o) 特開昭58−190953号、同59−95540
号、同59−97148号、同59−195658号、
同62−36674号等に記載のスチルベン誘導体、
(p) 特公昭34−10966号に記載のポリビニルカル
バゾール及びその誘導体、(q) 特公昭43−18674
号、同43−19192号に記載のポリビニルピレン、
ポリビニルアントラセン、ポリ−2−ビニル−4−
(4′−ジメチルアミノフェニル)−5−フェニル−オ
キサゾール、ポリ−3−ビニル−Nエチルカルバゾール
等のビニル重合体、(r) 特公昭43−19193号に記
載のポリアセナフチレン、ポリインデン、アセナフチレ
ンとスチレンの共重合体等の重合体、(s) 特公昭56−
13940号等に記載のピレン−ホルムアルデヒド樹
脂、ブロムピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカル
バゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の縮合樹脂、(t) 特
開昭56−90833号、同56−161550号に記
載の各種のトリフェニルメタンポリマー、等がある。
【0126】なお本発明において、有機光導電性化合物
は、(a)〜(t)に挙げられた化合物に限定されず、これま
で公知の全ての有機光導電性化合物を用いることができ
る。これらの有機光導電性化合物は場合により2種類以
上併用することが可能である。
【0127】光導電層に含有される増感色素としては、
電子写真感光体に使用される従来公知の増感色素が使用
可能である。これらは、「電子写真」12、9(1973)、
「有機合成化学」24(11)、1010(1966)等に記載されてい
る。例えば、米国特許3,141,770号、同4,2
83,475号、特開昭48−25658号、特開昭6
2−71965号等に記載のピリリウム系染料、Applie
d Optics Supplement 50 (1969)、特開昭50−39
548号等に記載のトリアリールメタン系染料、米国特
許3,597,196号等に記載のシアニン系染料、特
開昭60−163047号、同59−164588号、
同60−252517号等に記載のスチリル系染料等が
有利に使用される。
【0128】光導電層に含有される電荷発生剤として
は、電子写真感光体において従来公知の有機及び無機の
各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレン、セレ
ン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び以下(1)
〜(9)に示す有機顔料を使用することができる。
【0129】(1) 米国特許4,436,800号、同
4,439,506号、特開昭47−37543号、同
58−123541号、同58−192042号、同5
8−219263号、同59−78356号、同60−
179746号、同61−148453号、同61−2
38063号、特公昭60−5941号、同60−45
664号等に記載されたモノアゾ、ビスアゾ、トリスア
ゾ顔料等のアゾ顔料、(2) 米国特許3,397,086
号、同4,666,802号、特開昭51−90827
号、同52−55643号に記載の無金属あるいは金属
フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、(3) 米国特許
3,371,884号、特開昭47−30330号等に
記載のペリレン系顔料、(4) 英国特許2,237,68
0号、特開昭47−30331号等に記載のインジゴ、
チオインジゴ誘導体、(5) 英国特許2,237,679
号、特開昭47−30332号等に記載のキナクリンド
ン系顔料、
【0130】(6) 英国特許2,237,678号、特開
昭59−184348号、同62−28738号、同4
7−18544号等に記載の多環キノン系顔料、(7) 特
開昭47−30331号、同47−18543号等に記
載のビスベンズイミダゾール系顔料、(8) 米国特許4,
396,610号、同4,644,082号等に記載の
スクアリウム塩系顔料、(9) 特開昭59−53850
号、同61−212542号等に記載のアズレニウム塩
系顔料、等である。これらは単独もしくは2種以上を併
用して用いることもできる。
【0131】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は10〜100重量部である。
【0132】本発明の感光体に用いることのできる結着
樹脂(以下結着樹脂(B)と称することもある)は、従
来公知の電子写真感光体に用いられる樹脂のいずれでも
よく、重量平均分子量は好ましくは5×103〜1×1
6、より好ましくは2×10 4〜5×105のものであ
る。また、結着樹脂のガラス転移点は好ましくは−40
℃〜200℃、より好ましくは−10℃〜140℃であ
る。例えば、柴田隆治・石渡次郎、高分子、第17巻、第
278頁(1968年)宮本晴視、武井秀彦、イメージング、1
973(No.8)、中村孝一編「記録材料用バインダーの実際
技術」第10章、C.H.C.出版(1985年)電子写真学会編、
「電子写真用有機感光体の現状シンポジウム」予稿集
(1985年)小門宏編、「最近の光導電材料と感光体の開
発・実用化」日本科学情報(株)(1986年)電子写真学会
編「電子写真技術の基礎と応用」第5章コロナ社(株)
(1988年)、D. Tatt, S. C. Heidecker, Tappi,49(No.1
0), 439(1966)、E. S. Baltazzi, R. G. Blanclotte et
al,Phot. Sci. Eng. 16(No.5), 354(1972)、グエン・
チャン・ケー、清水勇、井上英一、電子写真学会誌18(N
o.2), 22(1980)等の成書・総説に記載の化合物等が挙げ
られる。
【0133】具体的には、オレフィン重合体及び共重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体の重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0134】特に、光導電体の結着樹脂(B)として、
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含
有する比較的低分子量(103〜104程度)の樹脂を併
用することで、静電特性を良化することができる。例え
ば、特開昭63−217354号に記載の酸性基含有重
合成分が重合体主鎖にランダムに存在する樹脂、特開昭
64−70761号に記載の重合体主鎖の片末端に酸性
基を結合してなる樹脂、特開平2−67563号、同2
−236561号、同2−238458号、同2−23
6562号及び同2−247656号等に記載の酸性基
をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してなる樹脂又
は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有する
樹脂、特開平3−181948号に記載の酸性基をブロ
ックで含有するAB型ブロック共重合体が挙げられる。
更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不充分な光導電
層の機械的強度を向上させるために、中〜高分子量の他
の樹脂を併用することが好ましい。例えば、特開平2−
68561号に記載のポリマー間に架橋構造を形成する
熱硬化性樹脂、特開平2−68562号に記載の一部が
架橋構造を有する樹脂、特開平2−69759号に記載
の酸性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合してな
る樹脂等が挙げられる。
【0135】また、特定の中〜高分子量の樹脂を用いる
ことで、環境が著しく変動した場合でも安定した性能を
維持することができる。例えば、特開平3−29954
号、同3−77954号、同3−92861号及び同3
−53257号に記載の酸性基をグラフト型共重合体の
グラフト部の末端に結合する樹脂又は酸性基をグラフト
型共重合体のグラフト部に含有する樹脂、特開平3−2
06464号及び同3−223762号記載の酸性基含
有のAブロックと酸性基非含有のBブロックとからなる
ABブロック型共重合体をグラフト部に含有するグラフ
ト型共重合体を挙げることができる。これらの樹脂を用
いることで、光導電体を均一に分散させ、平滑性良好な
光導電層を形成することができ、また環境の変化や半導
体レーザー光を用いたスキャニング露光方式を用いた場
合においても、優れた静電特性を維持することができ
る。
【0136】光導電層の厚さは1〜100μm、特に1
0〜50μmが好適である。また、電荷発生層と電荷輸
送層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使用
する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μm、特に
0.05〜2μmが好適である。
【0137】本発明では、可視光の露光又は半導体レー
ザー光の露光等光源の種類によって必要に応じて各種の
色素を分光増感剤として併用することができる。例え
ば、宮本晴視、武井秀彦;イメージング1973(No.8)第12
頁、C. J. Young等:RCA Review 15, 469頁(1954
年)、清田航平等:電気通信学会論文誌、J63-C(No.
2)、97頁(1980年)、原崎勇次等、工業化学雑誌、66
78及び188頁(1963年)、谷忠昭、日本写真学会誌35, 2
08頁(1972年)等の総説引例のカーボニウム系色素、ジ
フェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサン
テン系色素、フタレイン系色素、ポリメチン色素(例え
ば、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色
素、ロダシアニン色素、スチリル色素等)、フタロシア
ニン色素(金属を含有してもよい)等が挙げられる。
【0138】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号、
米国特許3,052,540号、同4,054,450
号、特開昭57−16456号等に記載のものが挙げら
れる。
【0139】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F. M. Hamer「The Cyanine Dyes and Related Co
mpounds」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具
体的には、米国特許3,047,384号、同3,11
0,591号、同3,121,008号、同3,12
5,447号、同3,128,179号、同3,13
2,942号、同3,622,317号、英国特許1,
226,892号、同1,309,274号、同1,4
05,898号、特公昭48−7814号、同55−1
8892号等に記載の色素が挙げられる。
【0140】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、特開昭49−5034号、同49−451
22号、同57−46245号、同56−35141
号、同57−157254号、同61−26044号、
同61−27551号、米国特許3,619,154
号、同4,175,956号、「Research Discloseur
e」1982年、216、第117〜118頁等に記載のものが挙げら
れる。
【0141】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体用添加剤を用いることができる。
これらの添加剤としては、電子写真感度を改良するため
の化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑剤、
界面活性剤等が含まれる。
【0142】化学増感剤としては、例えばハロゲン、ベ
ンゾキノン、クロラニル、フルオラニル、ブロマニル、
ジニトロベンゼン、アントラキノン、2,5−ジクロロ
ベンゾキノン、ニトロフェノール、無水テトラクロロフ
タル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、N−ヒドロキ
シマレインイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、2,
3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、ジニト
ロフルオレノン、トリニトロフルオレノン、テトラシア
ノエチレン、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸等の電
子吸引性化合物、小門宏等「最近の光導電材料と感光体
の開発・実用化」第4章〜第6章:日本科学情報(株)
出版部(1986年)の総説引例のポリアリールアルカン化
合物、ヒンダートフェノール化合物、p−フェニレンジ
アミン化合物等が挙げられる。また、特開昭58−65
439号、同58−102239号、同58−1294
39号、同62−71965号等に記載の化合物等も挙
げることができる。
【0143】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフ
ェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイ
ソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセ
バケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリコ
レート、ジメチルグリコールフタレート等を光導電層の
可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑剤は
光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させるこ
とが好ましい。
【0144】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
01〜2.0重量部である。
【0145】電子写真感光層は、従来公知の支持体上に
設けることができる。一般的にいって電子写真感光層の
支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支持体
としては、従来と全く同様、例えば金属、紙、プラスチ
ックシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるなどし
て導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける面と
反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図る等
の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前記支
持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持体の
表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコート
層を設けたもの、アルミニウム等を蒸着した基体導電化
プラスチックを紙にラミネートしたもの等が使用でき
る。具体的には、導電性基体あるいは導電化材料の例と
して、坂本幸男、電子写真、14(No.1),2〜11頁(1975
年刊)、森賀弘之「入門特殊紙の化学」高分子刊行会
(1975年刊)、M. F. Hoover,J. Macromol. Sci. Che
m. A-4(6)、1327〜1417頁(1970年刊)等に記載されて
いるものが用いられる。次に、本発明に用いられる転写
層について詳しく説明する。
【0146】本発明の転写層は電子写真感光体から一次
レセプターを経て印刷版の支持体となる被転写材へトナ
ー画像を転写するとともに、印刷版とするために、非画
像部が化学反応処理により除去される機能を有する層で
ある。従って、本発明の転写層は、トナー画像を効率よ
く且つ画像劣化を生じることなく、一次レセプター上に
転写し、次の転写プロセスでは被転写材の種類によらず
容易に被転写材に転写する熱可塑性を有していること、
及び印刷版とするために化学反応処理により溶解又は膨
潤して脱離することで容易に除去されることが望まし
い。 本発明の転写層は電子写真感光体上に設けられる
から、光透過性のものであり、且つ電子写真感光体の分
光感度領域の波長光の少なくとも一部に対して透過性を
有するものであれば、特に限定されるものではなく、着
色されていてもよい。通常無色で透明な転写層を用い
る。
【0147】また、本発明の転写層は、180℃以下の
温度及び/又は30kgf/cm2以下の圧力、より好ましく
は160℃以下の温度及び/又は20kgf/cm2以下の圧
力という条件で転写されることが好ましい。上記値以下
であれば、転写層を感光体表面から剥離・転写するため
に転写装置の熱容量及び圧力を維持するために装置を大
型化する必要も殆どなく、適度な転写スピードで充分に
転写を行うことができ、実用上問題がない。下限値は特
に限定されないが、通常室温以上の温度又は100gf/c
m2以上の圧力の転写条件で剥離可能となることが好まし
い。
【0148】従って、本発明の転写層を形成する樹脂
(A)は熱可塑性で化学反応処理により除去され得る樹
脂である。熱特性からいえば、樹脂(A)は好ましくは
ガラス転移点140℃以下又は軟化点180℃以下、よ
り好ましくはガラス転移点100℃以下又は軟化点16
0℃以下である。
【0149】化学反応処理で除去可能な樹脂(A)は、
化学反応処理により溶解及び/又は膨潤して除去される
樹脂、並びに化学反応処理により親水化されその結果溶
解及び/又は膨潤して除去される樹脂を包含する。
【0150】化学反応処理により除去される樹脂(A)
の1つの代表例は、アルカリ性処理液で除去し得る樹脂
であり、特に有用な樹脂は重合体成分に親水性基を含有
する樹脂である。また、他の代表例としては、親水性基
を保護基で保護した形で含有しており、化学反応により
親水性基を発現させ得る樹脂が挙げられる。官能基を親
水性基に変換し得る化学反応は、従来公知の加水分解反
応、加水素分解反応、加酸素分解反応、β−脱離反応、
求核置換反応等を利用した処理液による親水化反応、又
は化学的活性光線の照射を受けて分解反応することによ
る親水化反応のいずれでもよい。
【0151】特に、転写層用熱可塑性樹脂(A)が、下
記の特定の親水性基を含有する重合体成分(a)及び化
学反応で特定の親水性基を生成する官能基を含有する重
合体成分(b)のうちの少なくともいずれか一方の重合
体成分を含有する重合体であることが好ましい。
【0152】重合体成分(a):−CO2H基、−CH
O基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)
1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭
化水素基を表わす)基を表わす}基、フェノール性OH
基、環状酸無水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭
化水素基を表わす)基及び−CONHSO23基のうち
の少なくとも1つの基を含有する重合体成分。
【0153】重合体成分(b):化学反応で−CO2
基、−CHO基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=
O)(OH)R1{R1は−OH基、炭化水素基又は−OR
2(R2は炭化水素基を表わす)基を表わす}基及び−O
H基のうちの少なくとも1つの基を生成する官能基を少
なくとも1種含有する重合体成分。
【0154】ここで、−P(=O)(OH)R1は、下記
で表わされる基を示す。
【0155】
【化12】
【0156】上記のR1、R2及びR3で示される炭化水
素基は、具体的には置換されていてもよい炭素数1〜1
8の脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−
メトキシエチル基、3−エトキシプロピル基、アリル
基、クロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル基、ベ
ンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、、
メチルベンジル基、クロロベンジル基、フロロベンジル
基、メトキシベンジル基等)又は置換されていてもよい
アリール基(フェニル基、トリル基、エチルフェニル
基、プロピル−メチル−フェニル基、ジクロロフェニル
基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、アセチルフェニル基、ブトキシフェニ
ル基等)等である。
【0157】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボ
ン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、グルタコン
酸無水物環、マレイン酸無水物環、シクロぺンタン−
1,2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキサン−1,
2−ジカルボン酸無水物環、シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸無水物環、2,3−ビシクロ〔2.2.
2〕オクタンジカルボン酸無水物環等が挙げられ、これ
らの環は、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原
子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基等のア
ルキル基等が置換されていてもよい。
【0158】芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、
フタル酸無水物環、ナフタレンジカルボン酸無水物環、
ピリジンジカルボン酸無水物環、チオフェンジカルボン
酸無水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原
子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシル
基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(例
えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)
等が置換されていてもよい。
【0159】重合体成分(a)及び(b)の存在量が少
なすぎると、転写層の化学反応処理による除去が難しく
なり、印刷版として印刷すると非画像部の地汚れとなっ
てしまう。他方、多すぎる場合には、樹脂(A)の他の
共重合成分をいかに調整しても樹脂(A)のガラス転移
点又は軟化点が高くなってしまい、結果として転写層の
転写性の悪化を生じる。
【0160】従って、樹脂(A)における重合成分
(a)及び重合成分(b)の含有量は以下の通りが好ま
しい。特定の親水性基を含有する重合体成分(a)のみ
を樹脂(A)に含有する場合には、樹脂(A)の全重合
体成分中好ましくは3〜50重量%、より好ましくは5
〜40重量%である。また、化学反応処理で親水性基を
生成する官能基を含有する重合体成分(b)のみを含有
する場合には、樹脂(A)の全重合体成分中好ましくは
3〜100重量%、より好ましくは5〜70重量%であ
る。更には、重合体成分(a)及び重合体成分(b)を
含有する場合には、樹脂(A)の全重合体成分中、重合
体成分(a)は好ましくは0.5〜30重量%、より好
ましくは1〜25重量%であり、重合体成分(b)は好
ましくは3〜99.5重量%、より好ましくは5〜50
重量%である。
【0161】次に、樹脂(A)中に含有され得る各重合
体成分について詳述する。重合体成分(a)は、前記し
た様な特定の親水性基を含有する共重合成分であればよ
く、特に限定されるものではない。親水性基は塩の形を
とってもよい。親水性基含有の共重合成分の具体例は、
かかる親水性基を含有するビニル系化合物であればいず
れでもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハ
ンドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に記載さ
れている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置
換アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキ
シメチル体、α−(2−アミノ)エチル体、α−クロロ
体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリ
ル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α
−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、
メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、
イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカ
ルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−
ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセ
ン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、
マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニ
ルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビ
ニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボン酸類の
ビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及びこれらの
カルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導
体の置換基中に親水性基を含有する化合物等が挙げられ
る。
【0162】以下に上記親水性基含有の共重合成分
(a)を例示する。ここで、R4は−H又は−CH3を示
し、R5は−H、−CH3又は−CH2COOCH3を示
し、R6は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素
数1〜6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示
し、eは1又は2の整数を示し、fは1〜3の整数を示
し、gは2〜11の整数を示し、hは1〜11の整数を
示し、iは2〜4の整数を示し、jは2〜10の整数を
示す。
【0163】
【化13】
【0164】
【化14】
【0165】
【化15】
【0166】
【化16】
【0167】
【化17】
【0168】
【化18】
【0169】
【化19】
【0170】次に、重合体成分(b)について説明す
る。重合体成分(b)は、化学反応により少なくとも1
個の親水性基を生成する官能基を少なくとも1種含有す
る重合体成分である。化学反応により1つの官能基から
生成する上記親水性基は1個でも2個以上でもよい。
【0171】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボキシル基を生成する官能基について説明する。本発
明の1つの好ましい態様によれば、カルボキシル基生成
官能基としては、例えば、下記一般式(I)で示される
官能基が挙げられる。 一般式(I) −COO−L1 一般式(I)において、L1は下記の基を表わす。
【0172】
【化20】
【0173】ここで、R11及びR12は互いに同じでも異
なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基を表わし、
Xは芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン原子、
トリハロメチル基、アルキル基、−CN基、−NO
2基、−SO21(Z1は炭化水素基を示す)基、−CO
OZ2(Z2は炭化水素基を示す)基、−OZ3(Z3は炭化
水素基を示す)又は−COZ4(Z4は炭化水素基を示
す)基を表わし、n、mはそれぞれ0、1又は2を表わ
す。但し、n及びmが共に0の場合、Zは水素原子を表
わさない。
【0174】A1及びA2は同じでも異なっていてもよ
く、Hammetの置換基定数σ値が正の値を示す電子吸引性
基を表わす。R13は水素原子又は炭化水素基を表わす。
14、R15及びR16並びにR20及びR21は、互いに同じ
でも異なっていてもよく、各々炭化水素基又は−OZ
5(Z5は炭化水素基を示す)基を表わす。
【0175】Y1は酸素原子又はイオウ原子を表わし、
17、R18及びR19は同じでも異なっていてもよく、各
々水素原子、炭化水素基又は−OZ7(Z7は炭化水素基
を示す)基を表わし、pは3又は4の整数を表わす。Y
2 は環状イミド基を形成する有機残基を表わす。
【0176】以下更に詳しく説明する。R11、R12は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子
又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は分枝
状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメ
チル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよい、フェニル基又はナフチル基(例えばフェニ
ル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチル
フェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)
を表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例
えばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、
炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状ア
ルキル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロ
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN基、−NO2基、−
SO21{Z1は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の置
換されてもよいアルキル基、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペンチ
ル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されてもよ
いアラルキル基、具体的にはベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフ
ェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基(例
えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチル
基、具体的にはフェニル基、クロロフェニル基、ジクロ
ロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル
基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メ
トキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す}基、−COOZ2(Z2は上記Z1と同義である)基、
−OZ3(Z3は上記Z1と同義である)基又は−COZ
4(Z4は上記Z1と同義である)基を表わす。n、mは各
々0、1又は2を表わす。但し、n及びmが共に0の場
合、Zは水素原子を表わさない。
【0177】R14、R15、R16及びR20、R21は互いに
同じでも異なっていてもよく、好ましくは、炭素数1〜
18の置換されてもよい脂肪族基{脂肪族基はアルキル
基、アルケニル基、アラルキル基又は脂環式基を示し、
置換基としては例えばハロゲン原子、−CN基、−OZ
6(Z6はアルキル基、アラルキル基、脂環式基、アリー
ル基を示す)基等が挙げられる}、炭素数6〜18の置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、トリル
基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、ナフチル基等)又は−OZ5(Z5は置
換されてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換され
てもよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換されても
よい炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数5〜18の
置換されてもよい脂環式基、炭素数6〜18の置換され
てもよいアリール基を示す)基を表わす。
【0178】A1、A2は互いに同じでも異なっていても
よく、各々少なくとも一方が電子吸引基であり、A1
2のHammetのσp 値の和が0.45以上であればよ
い。ここで言う電子吸引基の例としては、例えばアシル
基、アロイル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、フェノキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、
アロイルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン
原子、ハロゲン化アルキル基、カルバモイル基等が挙げ
られる。
【0179】Hammetのσp 値は、通常置換基の電子吸引
・供与の度合いを見積もる指標として用いられており、
+側に大きいほど強い電子吸引基として扱われる。各置
換基に対する具体的な数値については、稲本直樹著「ハ
メット則―構造と反応性」丸善(1984年刊)等に記載さ
れている。また、この系におけるHammetのσp 値は加成
性が成り立つと考えられ、A1、A2の両方が電子吸引基
である必要はない。従って、一方、例えばA1が電子吸
引基である場合、他方のA2の置換基は、A1、A2のσp
値の和が0.45以上になるものであればいずれでもよ
く、特に制限されるところはない。
【0180】R13は好ましくは炭素数1〜8の置換され
ていてもよい炭化水素基を表わし、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル
基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、
2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−
クロロエチル基等が挙げられる。
【0181】Y1は酸素原子又はイオウ原子を表わす。
【0182】R17、R18及びR19は互いに同じでも異な
っていてもよく、好ましくは水素原子、置換されてもよ
い炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシ
ル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシ
ル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、メトキシプ
ロピル基等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等)、置換されてもよ
い炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、
フエネチル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
ナフチル基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフ
ェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジクロロフ
ェニル基等)又は−OZ7(Z7は炭化水素基を表わし、
具体的には上記R17、R18、R19の炭化水素基と同一の
置換基類を示す)を表わす。pは3又は4の整数を表わ
す。
【0183】Y2は、環状イミド基を形成する有機残基
を表わす。好ましくは、一般式(A)又は一般式(B)
で示される有機残基を表わす。
【0184】
【化21】
【0185】式(A)中、R22及びR23は各々同じでも
異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニル基、1
2−オクタデセニル基等)、−SZ8{Z8は前記R22
はR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基と同
一の内容を表わす置換基、又は置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェニル
基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシ
フェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)を表わ
す}基又は−NHZ9(Z9は前記Z8と同一の内容を表わ
す)基を表わす。また、R22とR23で環を形成する残基
を表わしてもよい{例えば5又は6員環の単環(例えば
シクロベンチル環、シクロヘキシル環)、又は5もしく
は6員環を含むビシクロ環(例えばビシクロヘプタン
環、ビシクロヘプタン環、ビシクロオクタン環、ビシク
ロオクテン環等)、更にはこれらの環は置換されていて
もよく、置換基としてはR22、R23で前記した内容と同
一のものを含む}。qは2又は3の整数を表わす。
【0186】
【化22】
【0187】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
てもよく、前記R22、R23と同一の内容を表わす。更に
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表わしてもよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。
【0188】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(II)で示されるオキサゾロン環を挙
げることができる。
【0189】
【化23】
【0190】一般式(II)において、R26、R27は互い
に同じでも異なっていてもよく、各々水素原子若しくは
炭化水素基を表わすか、又はR26とR27とが一緒に環を
形成する。好ましくは、R26、R27は互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、置換されていてもよい炭
素数1〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基等)、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基(例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4
−アセトアミドベンジル基、フェネチル基、4−メトキ
シベンジル基等)、置換されていてもよい炭素数2〜1
2のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基、イソプ
ロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換され
ていてもよい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペン
チル基、シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミド
フェニル基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、
ニトロフェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基等)を表わすか、又はR26とR27とが
一緒に環(例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等)を形成してもよい。
【0191】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば下記一般式
(III)又は(IV)で表される官能基が挙げられる。 一般式(III) −SO2−O−L2 一般式(IV) −SO2−S−L2 式(III)又は(IV)中、L2は、下記の基を表わす。
【0192】
【化24】
【0193】ここで、R11、R12、X、Z、n、m、Y
2、R20及びR21はそれぞれ前記と同一の内容を表わ
す。R26′、R27′はそれぞれ水素原子又は炭化水素基
(R26の炭化水素基と同一内容)を表わす。
【0194】更に、化学反応により少なくとも1つのス
ルフィン酸基を生成する官能基としては、例えば下記一
般式(V)で表される官能基が挙げられる。
【0195】
【化25】
【0196】式(V)中、A1、A2及びR13は、それぞ
れ前記と同一の内容を表わす。
【0197】また、化学反応により−P(=O)(OH)
1基を生成する官能基としては、例えば下記一般式(V
Ia)又は(VIb)で表される官能基が挙げられる。
【0198】
【化26】
【0199】式(VIa)又は(VIb)中、L3、L4は同
じでも異なってもよく、それぞれ前記L1と同一の内容
を表わす。R1は前記と同一の内容を表わす。
【0200】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基としては、例えば下記一般式(VII)で表される官
能基が挙げられる。 一般式(VII) −O−L5 式(VII)中、L5は、下記の基を表わす。
【0201】
【化27】
【0202】ここで、R28は炭化水素基を表わし、具体
的にはR11と同一の内容を表わす。R14〜R19、Y1
びpはそれぞれ前記と同一の内容を表わす。
【0203】更に、化学反応により−OH基を生成する
官能基の他の好ましい態様によれば、ヒドロキシル基生
成官能基は、互いに立体的に近い位置にある少なくとも
2つのヒドロキシル基を1つの保護基で同時に保護した
形で有する官能基である。互いに立体的に近い位置にあ
る少なくとも2つのヒドロキシル基を1つの保護した形
で有する官能基の例としては例えば下記一般式(VIII)、
(IX)及び(X)で表される官能基を挙げることができ
る。
【0204】
【化28】
【0205】式(VIII)〜(X)中、R29及びR30は、互
いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化
水素基又は−OZ10(Z10は炭化水素基を示す)基を表
わし、Uはヘテロ原子を介してもよい炭素―炭素結合を
表わす(但し、酸素原子間の原子数は5個以内であ
る)。
【0206】上記官能基について更に詳しく説明する
と、R29、R30は、互いに同じでも異なっていてもよ
く、好ましくは水素原子、炭素数1〜12の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基、2−メトキシエチル
基、オクチル基等)、炭素数7〜9の置換されてもよい
アラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、メチ
ルベンジル基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基
等)、炭素数5〜7の脂環式基(例えば、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等)又は置換されてもよいアリ
ール基(例えばフェニル基、クロロフェニル基、メトキ
シフェニル基、メチルフェニル基、シアノフェニル基
等)又は−OZ10(Z10はR29、R30における炭化水素
基と同義である)基を表わす。Uは、ヘテロ原子を介し
てもよい炭素―炭素結合を表わし、且つ酸素原子間の原
子数は5個以内である。
【0207】以下に前記した一般式(I)〜(X)で表
される各官能基の具体例(b−1)〜(b−67)を例
示する。但し、本発明の内容は、これらに限定されるも
のではない。なお、下記具体例において、各記号は下記
に示す通りである。
【0208】
【化29】
【0209】
【化30】
【0210】
【化31】
【0211】
【化32】
【0212】
【化33】
【0213】
【化34】
【0214】本発明において用いることのできる、化学
反応により−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−
SO2H基、−P(=O)(OH)R1基及び−OH基のう
ちの少なくとも1つの親水性基を生成する官能基を含有
する重合体成分(b)は、特に限定されるものではな
い。好ましくは前記した重合体成分(a)の親水性基が
保護された重合体成分を例として挙げることができる。
【0215】本発明に用いることのできる前記した様な
−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−SO2
基、−P(=O)(OH)R1基及び/又は−OH基を化
学反応で発現する官能基は、これらの親水性基を保護し
た官能基であり、これら保護基の該親水性基への化学結
合による導入の方法は、従来公知の方法によって、容易
に行うことができる。
【0216】例えば、J. F. W. McOmie「Protective gr
oups in Organic Chemistry」(Plenum Press.1973年
刊)、T. W. Greene「Protective groups in Organic S
ynthesis」(Wiley-Interscience 1981年刊)、日本化学
会編「新実験化学講座、第14巻、有機化合物の合成と反
応」(丸善(株)1978年刊)、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」(講談社)等に記載された各単位反応
が用いられる。
【0217】これらの官能基を樹脂(A)中に導入する
方法としては、−CO2H基、−CHO基、−SO3
基、−PO32基、−SO2H基、−OH基等から選ば
れた少なくとも1種の親水性基を含有する重合体を、反
応によって各々の親水性基を保護した官能基に変換す
る、いわゆる高分子反応による方法、又は前記した一般
式(I)〜(X)で示される官能基を1種又はそれ以上
含有する1種又はそれ以上の単量体を合成した後、これ
と共重合し得る他の任意の単量体との重合反応により重
合体とする方法により得られる。
【0218】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得る、あるいは、不純物(高分子反応の場合、
用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない等の理由か
ら、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後重合反
応を行なう方法)により製造することが好ましい。例え
ばカルボキシル基を生成する官能基を導入する場合、具
体的には重合性二重結合を含むカルボン酸類又はその酸
ハライド類を、例えば前記した公知文献等に記載された
方法に従って、そのカルボキシル基を一般式(I)で示
される官能基に変換した後、重合反応を行ない製造する
方法で行なうことができる。
【0219】また、化学反応によりカルボキシル基を生
成する官能基として前記一般式(II)で示されるオキサ
ゾロン環を含有する樹脂は、該オキサゾロン環を含有す
る1種又はそれ以上の単量体の、又は該単量体及びこれ
と共重合し得る他の単量体の重合反応により重合体とす
る方法により得ることができる。このオキサゾロン環を
含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN−ア
シロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製造す
ることができる。具体的には、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文献
記載の方法によって製造することができる。
【0220】樹脂(A)は、上記特定の重合体成分
(a)及び/又は重合体成分(b)とともに、熱可塑性
を保持し、トナー画像部が不感脂化処理時に除去されな
いよう調整するために、他の重合体成分を含有すること
が好ましい。他の重合体成分としては、その重合体成分
からなるホモ重合体のガラス転移点が130℃以下であ
るものが好ましい。具体的には、例えば下記一般式
(U)で示される繰り返し単位の成分が挙げられる。
【0221】
【化35】
【0222】式(U)において、Vは−COO−、−O
CO−、−O−、−CO−、−C64−、−(CH2)n
COO−又は−(CH2)nOCO−を表わす。但し、n
は1〜4の整数を表わす。R60は炭素数1〜22の炭化
水素基を表わす。b1及びb2は同じでも異なっていても
よく、各々水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、シアノ基、トリフロロメチル基、炭素数1〜7の炭
化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジ
ル基等)又は−COOZ11(Z11は炭化水素基を表わ
し、具体的には上記炭素数1〜7の炭化水素基の具体的
内容と同じものが挙げられる)を表わす。
【0223】R60は好ましくは、炭素数1〜18の置換
されていてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基、、トリデシル基、テトラデシル基、2−クロロエチ
ル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−
ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エト
キシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等)、炭素数
2〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、ビ
ニル基、アリル基、イソプロぺニル基、ブテニル基、ヘ
キセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等)、炭素数
7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベ
ンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、2−ナフ
チルエチル基、メトキシベンジル基、エトキシベンジル
基、メチルベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されて
もよいシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)又は炭素数6
〜12の置換されてもよいアリール基(例えば、フェニ
ル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル
基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フロロ
フェニル基、メチルクロロフェニル基、ジフロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロ
フェニル基、メチルカルボニルフェニル基、メトキシカ
ルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、
メタンスルホニルフェニル基、シアノフェニル基等)等
が挙げられる。
【0224】上記の式(U)で示される重合体成分は1
種又は2種以上用いられるが、その含有量は樹脂(A)
中30〜97重量%であることが好ましい。
【0225】更に、樹脂(A)は、上記の重合体成分
(a)、重合体成分(b)及び/又は一般式(U)で示
される重合体成分とともに、樹脂(A)自体の剥離性を
向上する効果を有するフッ素原子及び/又はケイ素原子
を含有する置換基を含む重合体成分(f)を含有しても
よい。このことにより、転写層の剥離性が向上し、結果
として転写性がより良好になる。このフッ素原子/ケイ
素原子含有置換基は、重合体の高分子主鎖に組み込まれ
ていても高分子の側鎖の置換基として含有されていても
よい。好ましくは、フッ素/ケイ素含有重合体成分
(f)は熱可塑性樹脂(A)においてブロックとして含
有される。
【0226】重合体成分(f)は、全重合体成分中1〜
20重量%程度含有するのが好ましい。成分(f)は1
重量%以上含有させることによりその剥離性向上効果が
発揮され、また20重量%以下であれば、樹脂(A)の
不感脂化処理液との濡れ性を低下させることなく、転写
層の除去が充分に行われる。重合体成分(f)は、具体
的には、前述の感光層に用いられる樹脂(P)に含有さ
れ得るフッ素/ケイ素含有重合体成分と同様の内容のも
のが挙げられる。
【0227】更に、重合体成分(f)をブロックで含有
する場合のブロック共重合体の重合パターンの態様及び
共重合体の合成方法も、前述のフッ素/ケイ素含有重合
体成分を含有するブロック共重合体の場合と全く同様で
ある。
【0228】樹脂(A)は、上記特定の重合体成分及び
/又は一般式(U)で示される重合体成分とともに、こ
れらと共重合可能な他の重合体成分を更に含有していて
もよい。このような他の重合体成分としては、例えば一
般式(U)で説明した以外の置換基を含有するメタクリ
ル酸エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エ
ステル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル
又はアリル酸エステル類(例えばカルボン酸として、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレ
ンカルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類(例え
ばジメチルエステル、ジエチルエステル等)、アクリル
アミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例えばス
チレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、N,N−ジ
メチルアミノメチルスチレン、メトキシカルボニルスチ
レン、メタンスルホニルオキシスチレン、ビニルナフタ
レン等)、ビニルスルホン含有化合物、ビニルケトン含
有化合物、複素環ビニル類(例えばビニルピロリドン、
ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルチオフェ
ン、ビニルイミダゾリン、ビニルピラゾール、ビニルジ
オキサン、ビニルキノリン、ビニルテトラゾール、ビニ
ルオキサジン等)等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0229】これら他の共重合成分は、樹脂(A)の転
写性を疎外しない範囲内で任意に用いることができる
が、具体的には樹脂(A)中の30重量%を越えないこ
とが好ましい。
【0230】樹脂(A)は単独でも2種以上併用しても
よい。特にガラス転移点又は軟化点の異なる少なくとも
2種の樹脂を併用することが好ましい。これにより、転
写層の転写性が更に改良される。即ち、ガラス転移点1
0℃〜140℃又は軟化点35℃〜180℃の樹脂(以
下樹脂(AH)と称することもある)及びガラス転移点
45℃以下又は軟化点60℃以下の樹脂(以下樹脂(A
L)と称することもある)から主としてなり、且つ樹脂
(AH)と樹脂(AL)とのガラス転移点又は軟化点の
差が2℃以上であることが好ましい。
【0231】更に、樹脂(AH)は、好ましくはガラス
転移点30℃〜120℃又は軟化点38℃〜160℃で
あり、より好ましくはガラス転移点35℃〜90℃又は
軟化点40℃〜120℃であり、樹脂(AL)は、好ま
しくはガラス転移点−50℃〜40℃又は軟化点−30
℃〜45℃であり、より好ましくはガラス転移点−20
℃〜33℃又は軟化点0℃〜40℃である。また、樹脂
(AL)のガラス転移点又は軟化点は、樹脂(AH)よ
り5℃以上、特に10℃以上低いことが好ましい。ここ
で、樹脂(AH)又は樹脂(AL)が2種以上含有され
る場合におけるガラス転移点又は軟化点の差は、樹脂
(AH)中の最もガラス転移点又は軟化点の低いもの
と、樹脂(AL)中の最もガラス転移点又は軟化点の高
いものとの差をいうものである。
【0232】転写層における樹脂(AH)と樹脂(A
L)との存在割合は、5〜90/95〜10(重量
比)、特に、10〜70/90〜30(重量比)である
ことが好ましい。樹脂(AH)/(AL)の存在比が上
記範囲をはずれると、併用による効果が低下する。
【0233】また、転写層には樹脂(A)とともに、必
要に応じて他の樹脂を1種以上併用してもよい。但し、
転写層の溶出除去の性能を低下させないために、転写層
形成の全樹脂100重量部中上記重合体成分(a)及び
/又は(b)の存在割合が3重量部以上であることが好
ましい。
【0234】併用され得る他の樹脂の例としては、例え
ば塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル酸エ
ステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル重合
体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合
体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、イタコ
ン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マレイン酸共
重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド共
重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ア
ミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステル
樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、環
化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−ア
クリル酸エステル共重合体、複素環を含有する共重合体
(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン
環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、
ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、
1,3−ジオキセタン環等)、セルローズ系樹脂、脂肪
酸変性セルローズ系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ
る。
【0235】具体的には、例えば、日刊工業新聞社刊
「プラスチック材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1981
年)、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日
刊工業新聞社刊(1988年)、大森英三「機能性アクリル
樹脂」(株)テクノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎
「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988
年)、湯木和男編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブッ
ク」日刊工業新聞社刊(1989年)、高分子学会編「高分
子データハンドブック〈応用編〉」第1章焙風館(1986
年)、原崎勇次編「最新・バインダー技術便覧」第2章
(株)総合技術センター(1985年)、奥田平編「高分子
加工 別冊・8第20巻増刊号“粘着”」高分子刊行会
(1976年刊)、福沢敬司「粘着技術」高分子刊行会(19
87年刊)、西口守「接着便覧第14版」(株)高分子刊行
会(1985年)、日本接着協会編「接着ハンドブック第2
版」日刊工業新聞社(1980年)等に記載の各種樹脂類が
挙げられる。
【0236】更に転写層には、接着性、成膜性、膜強度
等種々の物理的特性を向上させるために、他の添加剤を
用いてもよい。例えば、接着性調整のためにロジン、石
油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ性の改良
や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤としてポリブ
テン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、低分子ポ
リエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
パラフインワックス等、また酸化防止剤として高分子ヒ
ンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を加える
ことができる。詳しくは「ホットメルト接着の実際」
(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29〜107頁に
記載がある。
【0237】本発明においては、転写層は2層以上の積
層構造をとっていてもよい。例えば、本発明の転写層
は、感光体上に相対的に高ガラス転移点(軟化点)の樹
脂(例えば樹脂(AH))からなる第1の層と、その上
に相対的に低ガラス転移点(軟化点)の樹脂(例えば樹
脂(AL))からなる第2の層との重層で形成され、両
樹脂のガラス転移点(軟化点)の差は2℃以上であるこ
とが好ましい。このことにより、転写性が一層向上し、
転写時の条件(加熱温度、圧力、搬送スピード等)のラ
チチュードがより拡大するとともに、最終被転写材の種
類を選ばずに容易に転写させることが可能となる。
【0238】転写層の膜厚は好ましくは0.1〜10μ
m、より好ましくは0.5〜5μmの範囲である。膜厚
が0.1μm以上であれば転写が充分良好に行われ、ま
た厚すぎても本発明の効果には特に悪影響を与えない
が、樹脂の消費量の節約の観点から、10μm以下が好
ましい。
【0239】本発明においては、感光体上に転写層が設
けられる。転写層は、電子写真プロセスを行う装置内で
その都度感光体上に形成されることが好ましい。このよ
うに、転写層形成装置を電子写真装置内に組み込むこと
により、トナー画像を転写層ごと剥離した後の感光体を
同一装置内で繰り返し使用することが可能となり、製版
工程を連続して行うことができ、印刷版のコストを著し
く低減できるというメリットを生じる。
【0240】転写層を感光体上に設けるには、公知の層
形成法が利用できる。例えば、転写層用組成物の溶液あ
るいは分散液を公知の方法で塗布すればよい。特に、熱
溶融塗布法、電着塗布法及び転写法のうちの少なくとも
1つの方法により感光体上に転写層を形成させることが
好ましい。これらの方法は、電子写真装置内で感光体表
面に転写層を容易に形成できる点で好ましい。
【0241】以下各々の好ましい転写層形成方法につい
て説明する。熱溶融塗布法とは、転写層組成物を公知の
方法で熱溶融塗布するものであり、無溶剤型塗布機、例
えば前記資料「ホットメルト接着の実際」の197〜215頁
に記載のホットメルト接着剤用加熱溶融塗布装置(ホッ
トメルトコーター)の機構を、感光体のドラム塗布仕様
にして転用できる。例としては、ダイレクトロールコー
ター、オフセットグラビアロールコーター、ロットコー
ター、エクストルージョンコーター、スロットオリフィ
スコーター、カ−テンコーター等が挙げられる。
【0242】塗布時の熱可塑性樹脂(A)を含む転写層
組成物の溶融温度は、用いる熱可塑性樹脂の組成により
最適化するが、通常は50〜180℃の範囲である。密
閉された自動温度制御手段を有する予備加熱装置を用い
て予め溶融した後、感光体に塗布する位置で短時間に適
温に上昇させることが望ましい。このようにすること
で、熱可塑性樹脂の熱酸化による変質や塗布ムラを防止
することができる。
【0243】塗布スピードは、熱可塑性樹脂の熱溶融時
の流動性、コーター方式、塗布量等によるが、1〜10
0mm/秒が適当であり、より好ましくは5〜40mm/秒
の範囲である。
【0244】次に電着塗布法について説明する。電着塗
布法は、熱可塑性樹脂(A)を樹脂粒子の状態で感光体
の表面上に電着又は静電的に付着(以下単に電着という
こともある)させ、例えば加熱等により均一な薄膜を形
成して、転写層とするものである。従って、熱可塑性樹
脂(A)の粒子(以下樹脂粒子(AR)と称することも
ある)は、正電荷あるいは負電荷のいずれかの荷電を有
していることが必要であり、その検電性は組み合せる感
光体の帯電性によって任意に決定される。
【0245】ガラス転移点又は軟化点が2℃以上異なる
少なくとも2種の樹脂(好ましくは前記のガラス転移点
の高い樹脂(AH)と前記のガラス転移点の低い樹脂
(AL)の少なくとも二種)を同一粒子内に含有する樹
脂粒子(以下特に樹脂粒子(ARW)と称する)を用い
ることにより、転写層の転写性が更に向上し、転写条件
のラチチュードが更に拡大する。この場合、樹脂は粒子
中において単なる混合状態で存在してもよいし、コア/
シェル構造の如く積層を形成していてもよい。コア部が
樹脂(AL)及び樹脂(AH)のうちのいずれか1つか
ら成り、シェル部が他方の樹脂からなるコア/シェル構
造を有する樹脂粒子が好ましく、これにより転写層の穏
和な条件下での迅速な転写を実施することができる。
【0246】樹脂粒子(AR)は、前記した物性を満た
す範囲のものであって、その平均粒径は、通常0.01
μm〜15μmの範囲であり、好ましくは0.05μm
〜5μm、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲で
ある。粒子は粒子粉体(乾式)又は非水系に分散された
樹脂粒子(湿式)、あるいは常温で固体であり加熱によ
り液体となる電気絶縁性有機物中に分散された樹脂粒子
(疑似湿式)のいずれの状態でもよい。好ましくは、転
写層の膜厚を均一に且つ薄く調整することが容易な非水
系分散樹脂粒子が挙げられる。
【0247】樹脂粒子は、従来公知の機械的粉砕方法又
は重合造粒方法によって製造することができる。これら
の製造方法は、乾式電着あるいは湿式電着のいずれの粒
子でも用いることができる。
【0248】乾式電着方法で用いられる微小粒子を製造
する場合において、機械的粉砕方法としては、従来公知
の粉砕機で直接粉砕し、微粒子とする方法(例えば、ボ
ールミル、ペイントシェーカー、ジェットミルを使用す
る方法等)が挙げられ、必要に応じて、樹脂粒子とする
材料を混合し、溶融、混練を経て粉砕したり、粉砕後粒
径をそろえるための分級又は粒子の表面を処理する後処
理等を適宜組合わせて行なうことができる。また、スプ
レードライ法も知られている。
【0249】例えば、(社)日本粉体工業技術協会編
「造粒ハンドブック」第II編(オーム社刊、1991年)、
神奈川経営開発センター「最新造粒技術の実際」(神奈
川経営開発センター出版部、1984年)、荒川正文等編
「最新粉体の設計技術」(株)テクノシステム社、1988
年)等の成書に詳細に記載された方法を適宜用いて容易
に製造することができる。
【0250】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行う乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反応、
非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等が知
られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテックス
の化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲垣寛「合
成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978年)、室井宗
一「高分子ラテックス入門」工文社(1983年)、I. Pue
rma, P. C. Wang「EmulsionPolymerization」、I. Puer
ma & J. L. Gardon, ACS Symp. Sev. 24, p.34(1974
年)、北原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書(1979
年)、室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端技術」
C.M.C.(1991年)等の成書に記載されている方法で粒子
化した後、上記機械的方法に関する成書に記載の様な各
種の方式で補集し粉末化することで製造することができ
る。
【0251】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は、乾式静
電写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的
には、J. F. Hughes著(長坂秀雄・緑川真知子訳)「静
電粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯電、
インダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現象利
用等の方法で帯電した微粒子を電着する方法、中村孝一
編「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・
実用化」第1章(日本科学情報(株)、1985年)等の成
書に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ法、ファー
ブラシ法、エレクトロスタチック法、インダクション
法、タッチダウン法、パウダークラウド法等の現像方法
等を用いて適宜行なうことができる。
【0252】湿式電着方法で用いられる、非水系ラテッ
クスを製造する場合も、前記の如く機械的方法と重合造
粒方法のいずれでも製造することができる。例えば、分
散ポリマーを併用して、更に湿式分散機(例えば、ボー
ルミル、ペイントシェーカー、ケデイミル、ダイノミル
等)で分散する方法、樹脂粒子成分となる材料と、分散
補助ポリマー(又は被覆ポリマー)を予め混練して混練
物とした後粉砕し、次に分散ポリマーを共存させて分散
する方法等が挙げられる。具体的には、塗料又は静電写
真用現像剤の製造方法を利用することができ、例えば植
木憲二監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、D.H.Solomon 「The Chemistry of Organic Film
Formers 」John Wiley(1967)、「Paint and Surface Co
ating Theory and Practice」、原崎勇次「コーティン
グ工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次「コーティング
の基礎科学」(1977年)等の成書に記載されている。
【0253】また、重合造粒法としては非水溶媒系分散
重合法を用いて容易に製造することができる。具体的に
は、前記した「超微粒子ポリマーの最先端技術」第2
章、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発
・実用化」第3章、K. E. J. Barvett「Dispersion Pol
ymerization in Organic Media」John Wiley(1975年)
等の成書に記載されている。
【0254】前述のガラス転移点の異なる少なくとも2
種の樹脂を同一粒子内に含有する樹脂粒子(ARW)を
得る場合には、例えばシード重合法を用いて容易に製造
することができる。具体的には上記した従来公知の非水
系分散重合方法でまず微粒子を合成し、次にこの微粒子
をシードとして更に上記と同様にしてシード粒子とガラ
ス転移点の異なる樹脂(A)に相当する単量体類をフィ
ードして重合させる方法により製造することができる。
【0255】上記重合造粒法において、樹脂(A)に剥
離性向上のための重合体成分(f)を導入するには、熱
可塑性樹脂となる有機溶媒には可溶で、重合することで
不溶化する単量体とともに、重合体成分(f)に相当す
る単量体を共存させて重合反応を行うことで樹脂(A)
中に共重合され、ランダム共重合体の樹脂粒子(AR)
が容易に得られる。
【0256】更に、重合体成分(f)を重合体にブロッ
クで導入するには、用いる分散安定用樹脂に、重合体成
分(f)をブロックで含有するブロック共重合体を用い
る方法、又は重合体成分(f)を主たる繰り返し単位と
して含有する重量平均分子量1×103〜2×104(好
ましくは3×103〜1.5×104)の一官能性マクロ
モノマーを共存させて単量体類と共重合させることで容
易にブロック共重合体の樹脂粒子とすることができる。
また、他の方法としては、重合体成分(f)を主たる繰
り返し単位として含有する高分子開始剤(アゾビス高分
子開始剤又は過酸化物高分子開始剤)を用いることで
も、同様にブロック共重合体の樹脂粒子を得ることがで
きる。
【0257】非水溶媒系分散樹脂粒子の製造に用いられ
る非水溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であ
ればいずれでもよく、単独であるいは2種以上を混合し
て用いることができる。かかる有機溶媒の具体例は、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、フ
ッ化アルコール、ベンジルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、ジエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等のカルボン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオ
クタン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラ
クロロエタン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジ
クロロプロパン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素類等が挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に
限定されるものではない。
【0258】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。
【0259】これらの非水系分散樹脂粒子は、湿式静電
写真現像方法又は電界の印圧場で電気泳動させて電着さ
れる方法を行なうことから、電着時に用いられる分散媒
としては、電気抵抗108Ω・cm以上、且つ誘電率3.
5以下の非水溶媒系に調節されることが好ましい。具体
的には、直鎖状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環
式炭化水素又は芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン
置換体を用いることができる。例えばオクタン、イソオ
クタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデ
カン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタ
ン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メ
シチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパー
H、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品
名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾ
ール;シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、ア
ムスコ460溶剤(アムスコ;アメリカン・ミネラル・
スピリッツ社の商品名)等を単独あるいは混合して用い
ることができる。
【0260】従って、重合造粒時に用いる溶媒として、
初めから上記絶縁性有機溶媒を用いることが好ましい
が、これら溶媒以外の溶媒で造粒した後、分散媒の置換
をして調節することもできる。
【0261】また、非水系ラテックスの他の合成方法と
しては、上記した電気抵抗108Ωcm以上且つ誘電率
3.5以下の非水溶媒に可溶性となる重合体成分と、こ
の溶媒に不溶性となる重合体成分とで構成されるブロッ
ク共重合体を、この溶媒に湿式分散することで微小樹脂
粒子として供することもできる。即ち、可溶性の重合体
成分と不溶性の重合体成分とからなるブロック共重合体
を、予めこのブロック共重合体を溶解する有機溶媒中
で、前記したブロックポリマーの合成法を用いて重合体
とした後、電着用非水溶媒に分散させる方法である。
【0262】分散媒中の分散粒子を電気泳動で電着させ
るためには、樹脂粒子は正荷電又は負荷電の検電性粒子
である。樹脂粒子に検電性を付与することは湿式静電写
真用現像剤の技術を適宜利用することで達成できる。具
体的には、前記の「最近の電子写真現像システムとトナ
ー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編
「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、
1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(19
77年)等に記載の検電材料及び他の添加剤を用いること
で行なわれる。例えば、英国特許893,429号、同
934,038号、米国特許1,122,397号、同
3,900,412号、同4,606,989号、特開
昭60−179751号、同60−185963号、特
開平2−13965号等に記載されている。
【0263】電着に供せられる非水系ラテックスの構成
としては、通常少なくとも電気絶縁性分散媒1リットル
中に、熱可塑性樹脂を主として含有する粒子が0.1〜
20g、分散安定用樹脂は0.01〜50g、必要に応
じて加える荷電制御剤は、0.0001〜10gの範囲
である。
【0264】更に、粒子の分散安定性、荷電安定性の保
持等のために、他の添加剤を添加してもよく、例えば、
ロジン、石油樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル
類、シリコーンオイル類、パラフィンワックス類、トリ
アジン誘導体等が挙げられる。しかし、これらに限定さ
れるものではない。これらの添加剤の総量は、電着用ラ
テックスの電気抵抗によってその上限が規制される。即
ち、電気抵抗が108Ωcmより低くなると熱可塑性樹脂
粒子の付着量が充分に得られ難くなるので、各添加剤の
添加量はこの限度内でコントロールされる。
【0265】このようにして微粒子化し荷電を付与して
電気絶縁性液体中に分散した熱可塑性樹脂粒子は電子写
真湿式現像剤と同様の挙動を示す。よって例えば前掲の
「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に示される現
像デバイス、例えばスリット現像電極装置を用いて感光
体表面に電気泳動させることができる。即ち、熱可塑性
樹脂(A)を主として含有する粒子が、感光体と対向し
て設置された対向電極の間に供給され、外部電源より印
加された電位勾配に従って電気泳動して感光体に付着又
は電着されて成膜される。
【0266】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前提の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体を均
一帯電させた後通常の湿式トナー現像をする。
【0267】他方、加熱により液化する媒体中に分散し
た樹脂粒子を用いる場合に供される好ましい媒体は、常
温で固体であり、加熱温度30〜80℃、好ましくは4
0〜70℃で液体となる電気絶縁性の有機化合物であ
り、これに好適な化合物としては、凝固点30〜80℃
のパラフィン類、ロウ類、凝固点20〜80℃の低分子
量のポリプロピレン、凝固点20〜50℃の牛脂、凝固
点30〜80℃の硬化油等が挙げられ、これらを単独又
は組み合わせて用いることができる。
【0268】その他必要な特性は、上記湿式現像法に供
される電着樹脂粒子分散物の場合と同様である。
【0269】更に、この疑似湿式法に供される樹脂粒子
は、供される媒体の液化する温度では軟化しない高ガラ
ス転移点又は高軟化点の樹脂成分が粒子の外殻を構成す
る、いわゆるコア−シェル型粒子(コア部が低Tgの樹
脂、シェル部が高Tgの樹脂)とすることで、分散され
た樹脂粒子が加熱で融着することなく、安定に分散され
た状態を維持することが可能となる。
【0270】感光体上の熱可塑性樹脂粒子の付着量は外
部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び処理時間
などにより任意に調節できる。電着後公知のゴムローラ
ー、ギャップローラ、リバースローラなどによるスクイ
ズで現像液を拭い去る。またコロナクイズやエアースク
イズなどの方法も公知である。更に冷風もしくは温風、
あるいは赤外線ランプなどにより乾燥し、好ましくは熱
可塑性樹脂粒子を皮膜化させて転写層とする。
【0271】電着塗布法は、簡便な装置で実施できるこ
と、均一な薄層を安定且つ容易に形成できること等の利
点があり好ましい。
【0272】次に、転写法による転写層の形成について
説明する。転写法とは、離型紙で代表される剥離性支持
体上に設けられた転写層を感光体表面に転写するもので
ある。
【0273】転写層が設けられる離型紙は、通常ロール
状又はシート状で、電子写真式製版印刷原版作成装置に
簡便に供給できる。供される離型紙は、従来公知のいず
れもものも使用でき、例えば、粘着(粘接着)の新技術
とその用途・各種応用製品の開発資料(発行;経営開発
センター出版部、昭和53年5月20日)、オールペーパー
ガイド紙の商品事典、上巻・文化産業編)発行;(株)
紙業タイムス社、昭和58年12月1日)等の成書に記載の
ものが挙げられる。具体的には、剥離紙は、シリコーン
を主とする離型剤を、ポリエチレン樹脂をラミネートし
た未晒クルパック紙、耐溶剤性の樹脂をプリコートした
上級紙、クラフト紙、アンダーコートを施したPETベ
ース、又は直接グラシン紙に塗布したもの等である。
【0274】シリコーンは一般に溶剤タイプのものが用
いられ、3〜7%の濃度でグラビアロール、ワイヤーバ
ー方式で塗布・乾燥後、150℃以上で熱処理され、硬
化される。塗布量は1g/m2程度である。
【0275】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えば、セ
パレート紙(王子製紙)、キングリーズ(四国製紙)、
サンリリース(山陽国策パルプ)、NKハイレリーズ
(日本加工製紙)などが挙げられる。離型紙上に転写層
を形成するには、熱可塑性樹脂(A)を主成分とする転
写層組成物を、常法に従って、バー塗布、スピン塗布、
スプレー塗布等により塗布成膜することにより容易に行
われる。また、前記熱溶融塗布法や電着塗布法によって
も行われる。
【0276】離型紙上の転写層を感光体上に熱転写する
には、通常の熱転写方法が利用できる。即ち、転写層を
保持した離型紙を感光体に圧着し、転写層を熱転写すれ
ばよい。このためには、例えば後述の図4に示す如き装
置が用いられる。離型紙から転写層を感光体表面へ転写
する場合の条件は以下の通りが好ましい。ローラーのニ
ップ圧力は好ましくは0.1〜10kgf/cm2、より好ま
しくは0.2〜8kgf/cm2であり、転写時の温度は好ま
しくは25℃〜100℃、より好ましくは40℃〜80
℃である。搬送スピードは好ましくは0.5〜300mm
/秒、より好ましくは3〜200mm/秒であり、これ
は、電子写真工程及び一次レセプターへの熱転写工程の
各々と異なっていてもよい。
【0277】次に、電子写真感光体上に設けられた転写
層の上にトナー画像を形成する方法について説明する。
前述のようにして電子写真感光体上に転写層を形成した
後、通常の電子写真プロセスによりトナー画像を形成す
る。即ち、帯電−露光−現像−定着の各プロセスを従来
公知の方法によって行う。
【0278】現像プロセスに供される現像剤は、従来公
知の静電写真用現像剤を使用することができ、乾式現像
剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例えば、前述の
「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁、中村孝一監
修「トナー材料の開発・実用化」第3章(日本科学情報
社刊、1985年)、町田元「記録用材料と感光性樹脂」10
7〜127頁(1983年刊)、(株)学会出版センター、電子
写真学会「イメージングNo.2〜5 電子写真の現像・定着
・帯電・転写」等に具体的な態様が示されている。
【0279】乾式現像剤としては、一成分磁性トナー、
二成分トナー、一成分非磁性トナーあるいはカプセルト
ナー等が実用されており、これらのいずれも利用するこ
とができる。
【0280】また、具体的な液体現像剤の基本構成とし
ては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィン系脂
肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG(エッソ社
製)シェルゾール70、シェルゾール71(シェル社製)、
IP−ソルベント1620(出光石油化学製)等}を分散媒
として、着色剤である無機又は有機の顔料あるいは染料
とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、
スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の分散安定性、定着
性、荷電性を付与するための樹脂とを分散し、且つ、荷
電特性の強化あるいは画像特性の改良等のために所望に
より種々の添加剤を加えてなる。
【0281】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等であ
る。また、他の添加剤として、例えば原崎勇次「電子写
真」第16巻、第2号、44頁に具体的に記載されているも
のが用いられる。例えば、ジ−2−エチルヘキシルスル
ホコハク酸金属塩、ナフテン酸金属塩、高級脂肪酸金属
塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルリン
酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニルピロリドン)、半マ
レイン酸アミド成分を含む共重合体、クマロンインデン
樹脂、高級アルコール類、ポリエーテル類、ポリシロキ
サン、ワックス類等が挙げられる。
【0282】液体現像剤の主要な各組成分の量について
は通常下記の通りである。樹脂(及び所望により用いら
れる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、担体液
体1000重量部に対して0.5重量部〜50重量部が
好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が不足
し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生じ易
い。前記の分散安定用の担体液体可溶性樹脂も必要に応
じて使用され、担体液体1000重量部に対して0.5
重量部〜100重量部程度加えることができる。荷電調
節剤は担体液体1000重量部に対して0.001重量
部〜1.0重量部が好ましい。更に所望により各種添加
剤を加えても良く、それら添加物の総量は、液体剤の電
気抵抗によってその上限が規制される。即ち、トナー粒
子を除去した状態の液体現像剤の電気抵抗が109Ωcm
より低くなると良質の連続調像が得られ難くなるので、
各添加物の各添加量はこの限度内でコントロールされ
る。
【0283】液体現像剤の製造方法の具体例としては、
着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェットミ
ル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分散して
着色粒子を製造する方法が、例えば、特公昭35−55
11号、同35−13424号、同50−40017
号、同49−98634号、同58−129438号、
特開昭61−180248号等に記載されている。
【0284】他の着色粒子の製造方法としては、例えば
分散樹脂粒子を微小粒径で単分散性の良好なものとして
得る非水系分散重合方法を用いて製造し、これを着色す
る方法が挙げられる。
【0285】着色の方法の1つとして、特開昭57−4
8738号等に記載されている如く、分散樹脂を好まし
い染料で染色する方法がある。また、特開昭53−54
029号に開示されている如く、分散樹脂と染料を化学
的に結合させる方法、特公昭44−22955号等に記
載されている如く、重合造粒法で製造する際に、予め色
素を含有した単量体を用い、色素含有の共重合体とする
方法等がある。
【0286】デジタル情報に基づいて露光するレーザー
光によるスキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる
現像方式の組合せが、高精細な画像を形成できることか
ら有効なプロセスである。その一例を以下に示す。ま
ず、電子写真感光体上に転写層を設けた電子写真感光材
料をフラットベット上にレジスターピン方式による位置
決めを行った後背面よりエアーサクションにより吸引し
て固定する。次いで、例えば「電子写真技術の基礎と応
用」(電子写真学会編、コロナ社、昭和63年6月15日発
行)212頁以降に記載の帯電デバイスにより感光材料を帯
電する。コロトロン又はスコトロン方式が一般的であ
る。この時感光材料の帯電電位検出手段からの情報に基
づき、常に所定の範囲の表面電位となるようフィードバ
ックをかけ、帯電条件をコントロールすることも好まし
い。その後例えば同じく上記引用資料の254頁以降に記
載の方式を用いてレーザー光源による走査露光を行う。
【0287】次いで液体現像剤を用いてトナー画像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料は、そ
こからはずして同上引用資料の275頁以降に示された湿
式現像法を用いることができる。この時の露光モード
は、トナー画像現像モードに対応して行われ、例えば反
転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー光を照
射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電荷極性
を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加して露光
部にトナーが電着するようにする。原理の詳細は同上引
用資料の157頁以降に説明がある。
【0288】現像後に余剰の現像液を除くために、同資
料283頁に示されるようなスクイーズを行った後乾燥す
る。スクイーズ前に現像剤の担体液体のみでリンスをす
ることも好ましい。
【0289】本発明においては、上記のようにして転写
層を設けた感光体上にトナー画像を形成した後、転写層
をトナー画像ごと一次レセプターへ転写する。この熱転
写には公知の方法及び装置を用いることができる。例え
ば、トナー画像と転写層を有する感光体を一次レセプタ
ーと密着させ、加熱下にローラー間を通すことによりト
ナー画像は転写層ごと一次レセプター上に転写される。
【0290】熱転写時の転写層の加熱表面温度は好まし
くは30〜150℃、より好ましくは35〜90℃であ
る。転写層を所望の温度に加熱するためには、非接触の
加熱手段、例えば赤外線ラインヒーター又はフラッシュ
ヒーター等を用いることが好ましい。ローラーのニップ
圧力は好ましくは0.2〜20kgf/cm2、より好ましく
は0.5〜15kgf/cm2である。ローラー加圧手段とし
てはローラー軸の両端にスプリングもしくは圧縮空気を
用いるエアーシリンダーを使うことができる。搬送スピ
ードは好ましくは0.1〜300mm/秒、より好ましく
は10〜250mm/秒である。搬送スピードは電子写真
プロセスや被転写材への熱転写工程のそれと異なってい
てもよい。
【0291】次に、本発明に用いられる一次レセプター
について述べる。一次レセプターの表面の剥離性は、感
光体表面のそれよりも低いこと及び最終被転写材に剥離
転写する剥離性を保つことが重要である。即ち、一次レ
セプター表面の粘着力は感光体表面の粘着力より大きい
こと、好ましくは10g・f以上、より好ましくは50
g・f以上大きいことが必要である。一方、一次レセプ
ター表面の粘着力は最大で250g・fであることが好
ましく、より好ましくは200g・f以下である。
【0292】以上の条件を満たす一次レセプターであれ
ばいずれでもよい。本発明において、感光体から一次レ
セプターへのトナー画像の転写に用いられる方式として
は、例えばドラム方式や、繰り返し使用可能な無端ベル
ト方式を挙げることができる。ドラム方式において、ド
ラム上に設けられるべき一次レセプターの材料としては
上記条件を満たす材料であればいずれでもよいが、好ま
しくは弾性体層又は弾性体層と補強層支持体を含む積層
構造体であり、且つ積層構造体の表面が上記物性を満足
していればよい。これら積層体はドラムに直接設けるか
あるいは交換できるように取り外し式にしておいてもよ
い。
【0293】弾性体としては、従来公知の天然樹脂類・
合成樹脂類が挙げられる。これらは単独もしくは2種以
上併用して単一層又は複数層として用いることができ
る。例えば、A. D. Roberts「Natural Rubber Science
and Technology」Oxford Science Publications(1988年
刊)、W. Hofmann「Rubber Technology Handbook」、Ha
nser Publishers(1989年刊)、プラスチック材料構座、
全18巻、日刊工業新聞社等に記載の種々の樹脂が用いら
れる。
【0294】具体的には、スチレン−ブタジエンゴム、
ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、
環化ゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴ
ム、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、
シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、
イソプレンゴム、ウレタンゴム等が挙げられるが、これ
らに限定されるものでなく、転写層との剥離性、耐久性
等を勘案して任意に選択することができる。弾性体層の
厚さは0.01〜10mmが好ましい。
【0295】上記弾性体層の補強層としては、布、ガラ
ス繊維、樹脂含浸特殊紙、アルミニウム、ステンレスな
どが用いられる。弾性体層と補強層の間にはスポンジ状
ゴム層があってもよい。無端ベルト方式においても一次
レセプターの部材は公知のものを用いることができ、例
えば、米国特許3,893,761号、同4,684,
238号、同4,690,539号等に記載されたもの
が挙げられる。ベルト式一次レセプターのベルト担体の
層中に、例えば特表平4−503265号等に記載の如
く加熱媒体となる一層を設ける方法も用いられる。
【0296】一次レセプター表面の粘着力は、前記剥離
性感光体に関して述べた方法、例えば化合物(S)を適
用する方法によって容易に調整することができる。一次
レセプターの表面の平均粗さは0.01mm以下が好まし
い。
【0297】次いで、本発明では、一次レセプター上の
トナー画像を転写層ごと最終被転写材に熱転写する。
【0298】本発明に用いる被転写材は平版印刷に適し
た親水性表面を提供するものであればよく、従来オフセ
ット印刷版に供される支持体をそのまま用いることがで
きる。具体的には、プラスチックシート、耐刷性を施し
た紙、アルミニウム板、亜鉛板、銅−アルミニウム板、
銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメタル板、ク
ロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄板、クロム
−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の親水性表面
を有する基板が用いられる。その厚さは0.1〜3mm、
特に0.1〜1mmが好ましい。
【0299】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許2,714,066号に記載され
ている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリウム水溶
液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭47−51
25号に記載されているように、アルミニウム板を陽極
酸化処理したのち、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸
漬処理したものも好適に使用される。
【0300】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許3,658,662号に記載され
ているようなシリケート電着も有効である。西独特許公
開1,621,478号に記載のポリビニルスルホン酸
による処理も適当である。
【0301】これらの親水化処理は、支持体の表面を親
水性とするために主として施されるる。また、支持体と
トナー画像を坦持した転写層との間の接着性を調節する
ために、支持体表面に表面層を設けてもよい。プラスチ
ックシート又は紙を支持体とする場合には、当然のこと
ながら、トナー画像部以外が親水性でなければならない
ことから、親水性を有する表面層を設けたものが供され
る。具体的には、公知の直描型平版印刷用原版又はかか
る原版の画像受理層と同様の層を有する被転写材を用い
ることができる。
【0302】一次レセプターから被転写材への熱転写工
程においても、公知の方法及び装置を用いることができ
る。転写時の好ましい加熱温度の範囲、一次レセプター
と被転写材間のニップ圧力の範囲及び搬送スピードの範
囲は上記の感光体と一次レセプターの熱転写条件の範囲
と同様である。また、電子写真感光体から一次レセプタ
ーへの転写と一次レセプターから最終被転写材への転写
とは同一条件でも異なる条件でもよい。
【0303】被転写材への熱転写挙動は、次のように推
定される。即ち、例えば予熱手段によりある程度軟化し
た転写層が例えば加熱ローラーにより更に加熱されるこ
とにより粘着性が増し被転写材に密着する。次いで、例
えば剥離用の冷却ローラー下を通過した後では温度が下
がり、流動性や粘着性が低減して被膜のままトナーごと
一次レセプター表面から剥離する。従って、このような
状態が具現するように条件を設定すべきである。
【0304】冷却ローラーの材質は、例えばアルミニウ
ム、銅等の熱良伝導体金属にシリコーンゴム被覆を施
し、ローラー内部又は被転写材に接しない外周部に冷却
手段を付与して放熱することが望ましい。冷却手段はク
ーリングファン、冷媒循環又は電子冷却素子などを用
い、温度コントローラーと組み合わせて所定の温度範囲
に保つことが好ましい。
【0305】感光体から一次レセプターへのトナー画像
及び転写層の転写と、一次レセプターから被転写材への
トナー画像の転写層ごとの転写は、一画面内同時であっ
てもよいし、あるいは一次レセプターに一画面全ての転
写が終わった後、被転写材に転写してもよい。
【0306】本発明の印刷版の作成方法において、トナ
ー画像及び転写層を転写する条件設定は、使用している
感光体(感光層及び支持体)、転写層、一次レセプター
表面の物性、更に被転写材の物性により最適化すること
は当然である。特に熱転写工程における温度条件は転写
層のガラス転移点、軟化温度、流動性、粘着性、皮膜
性、膜厚などの要因を加味して決定することが重要であ
る。
【0307】本発明では、以上のようにして得られたト
ナー画像及び転写層を有する被転写材(印刷原版)を化
学反応処理して、非画像部の転写層を溶解又は膨潤そし
て脱離する等により完全に除去することでオフセット用
印刷版を作成することができる。非画像部の転写層を除
去するためには、処理液による反応の他に化学的光学活
線による脱保護反応を用いてもよく、また併用してもよ
い。トナー画像部はトナー画像がレジストとして作用す
るから、その下の転写層は除去されない。
【0308】処理液は、所定のpHに調整された水溶性
溶液を用いる。pHの調整は、公知のpH調整剤を用い
ることができる。適用されるpH域は酸性〜中性〜アル
カリ性のいずれでもよいが、処理液の防錆性又は転写層
の溶出除去性を勘案すると、pH8以上のアルカリ性領
域で用いることが好ましい。アルカリ性処理液とする化
合物としては、従来公知の無機化合物又は有機化合物の
いずれでもよく、例えば、炭酸塩、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、
有機アミン化合物等を単独又は混合して用いることがで
きる。
【0309】更には、親水性反応を迅速化するために併
用できる化合物として、パーソン(Pearson)の求核定数
n〔R. G. Pearson & H. Sobel, J. Amer. Chem. Soc.,
90,319(1968) 〕が5.5以上の値を有する置換基を含
有し、且つ蒸留水100重量部中に1重量部以上溶解す
る求核性化合物が挙げられる。具体的な化合物として
は、例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸塩
(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩
等)、チオ硫酸塩等が挙げられ、また、分子内にヒドロ
キシル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ア
ミノ基から選ばれた少なくとも1つの極性基を含有する
メルカプト化合物、ヒドラジド化合物、スルフィン酸化
合物、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物等が挙
げられる。
【0310】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシロピルメルカ
プタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢酸
等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエチ
ルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンス
ルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンカ
ルボン酸等を、第1級又は第2級アミン化合物として、
例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ(2−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオン酸、
アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼンジカ
ルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2−カル
ボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラジン等
を挙げることができる。
【0311】これら処理液中の求核性化合物の存在量は
好ましくは0.05〜10モル/リットル、より好まし
くは0.1〜5モル/リットルである。また、処理液の
pHは8以上が好ましい。
【0312】処理液は、上記した求核性化合物及びpH
調整剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例えば、
水に可溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1〜50
重量部含有してもよい。このような水に可溶性の有機溶
媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタ
ノール、プロパノール、プロパギルアルコール、ベンジ
ルアルコール、フェネチルアルコール等)、ケトン類
(アセトン、メチルエチルテトン、シクロヘキサノン、
アセトフェノン等)、エーテル類(ジオキサン、トリオ
キサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメ
チルエ−テル、プロピレングリコールジエチルエ−テ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロピラン
等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ピロリドン、
N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等)、エ
ステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、スル
ホラン、テトラメチル尿素等)等が挙げられる。これら
は単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0313】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性又はノニオン性
の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界面
活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、寺村
一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年刊)槇書
店等に記載される化合物を用いることができる。更に、
処理液の保存時の防腐性、防黴性向上の為に、従来公知
の防腐性化合物、防黴性化合物を併用してもよい。処理
の条件としては、温度は15〜60℃、浸漬時間は10
秒〜5分間が好ましい。更に処理時に、超音波下に行う
又は機械的な摺動(ブラシ等でこする等)等の物理的操
作を併用してもよい。
【0314】他方、化学的活性光線の照射により脱保護
反応する場合に用いられる光線としては、可視光線、紫
外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線等いずれで
もよいが、好ましくは紫外線、より好ましくは波長31
0nm〜波長500nmの範囲の光線である。一般には高圧
又は超高圧の水銀ランプ等が用いられる。光照射処理は
通常5cm〜50cmの距離から10秒〜10分間の照射で
充分に行うことができる。この様にして光照射した後、
上記の様な水溶性溶液中に浸漬することで容易に転写層
が除去される。
【0315】以下に本発明の電子写真式製版印刷版の作
成方法を添付図面をもって詳細に説明する。図2は、一
次レセプターとしてドラム方式を用いた本発明の方法を
実施するのに適した電子写真式製版印刷原版作成装置の
概略図である。前述のように、表面が剥離性に改質され
た電子写真感光体を用いる場合には、そのまま感光体上
に転写層を形成する。また、感光体表面の剥離性が不十
分な場合には、転写層を形成前に化合物(S)を適用す
る装置を設けることにより、感光体表面に剥離性を付与
することができる。即ち、前記した具体的態様のいずれ
かの方式を用いた化合物(S)適用装置10により、感
光体11表面に化合物(S)を供給する。化合物(S)
適用装置10は、固定又は可動式のいずれでもよい。
【0316】まず、感光体11上に転写層が転写層形成
装置13により設けられる。ここでは、電着塗布法を用
いた場合を例にして、転写層の形成を説明する。
【0317】樹脂粒子の分散液を入れた電着ユニットを
感光体に接近させ、電着ユニットの現像電極との距離が
1mmとなるように固定する。このギャップ間に樹脂粒子
分散液を供給し、外部から電圧を印加しながら回転さ
せ、感光体表面の全面に樹脂粒子が吸着するようにす
る。電着ユニットに内蔵してあるスクイズ装置で感光体
表面に付着している分散溶媒を除き、次いで加熱手段に
より樹脂粒子を熱溶融させて皮膜化し樹脂転写層を得
る。
【0318】この際、分散液の分散溶媒の排気は、電子
写真感光体の電子写真プロセス用に設けた吸排気ユニッ
ト15を利用することができる。プレバス及びリンス液
には通常の液体現像剤のキャリヤーが好ましく用いられ
る。電着ユニットは、図2に示すように転写層形成装置
13として別に設置してもよいが、図3に示すように液
体現像ユニットセット14内に併設されていてもよい
(14T)。
【0319】感光体上に転写層を形成した後、電子写真
プロセスに入る。前述の如く、本発明における現像は乾
式現像剤及び湿式現像剤のいずれも用いることができる
が、湿式現像剤を用いた方が高解像力の画像が得られ
る。従って、以下トナー現像に湿式現像剤を用いる場合
を例として、具体的に説明する。
【0320】転写層を設けた、感光体11をコロナ帯電
装置18で、例えばプラスに一様帯電した後、露光装置
(例えば半導体レーザー)19で画像情報に基づき画像
露光すると、露光部の電位が低減され、未露光部との間
に電位コントラストが得られる。プラスの静電荷を有す
る樹脂粒子が電気絶縁性分散媒中に分散している液体現
像剤を含む液体現像ユニット14Lを液体現像ユニット
セット14から転写層を設けた感光体に接近させギャッ
プを1mmにして固定する。
【0321】まず感光体は現像ユニットに具備されたプ
レバス手段によりプレバスされ、次いで図には示されて
いないバイアス電源及び電気結線により感光体と現像電
極の間に現像バイアス電圧を印加しながら液体現像剤を
感光体に供給する。この時のバイアス電圧は現像電極側
を正に、感光体側を負になるように接続し、印加電圧は
未露光部の表面電位よりもやや低くする。印加電圧が低
すぎると充分なトナー画像濃度が得られない。
【0322】その後液体現像ユニットセット14に内蔵
してあるリンス手段14Rにより感光体表面に付着した
現像液を洗い落とし、続いてスクイズ手段により感光体
表面に付着したリンス液を除いてから、吸排気ユニット
15下を通過させることにより乾燥させる。この間一次
レセプター20は感光体11より離しておく。
【0323】次いで、感光体11上の転写層とトナー画
像を一次レセプター20へ転写する。感光体ドラムの熱
転写のための予熱手段16により所定の予熱をし、必要
に応じて、更に一次レセプター20も加熱手段16を用
いて所定の予熱を行い、両者を圧接させトナー画像を転
写層ごと感光体から一次レセプター20に熱転写する。
【0324】次いで、一次レセプター20上に転写層ご
と転写されたトナー画像を、更に被転写材30に圧接し
熱転写を行う。一次レセプター20の加熱手段16によ
り所定の予熱をし、且つ被転写材30を転写用バックア
ップローラー31により所定の予熱をし、一次レセプタ
ー20上のトナー画像を被転写材30に圧接した後、剥
離用バックローラー32で冷却して被転写材30上に転
写層ごとトナー画像を剥離転写し、一連の工程を終了す
る。 また、感光体11の表面に剥離性を付与する必要
のある場合は、化合物(S)を適用装置10で適用した
状態で装置を停止することにより、次の装置稼働時に転
写層形成工程からスタートすることができる。
【0325】図3は、一次レセプターとして無端ベルト
方式を用いた本発明の方法を実施するのに適した電子写
真式製版印刷原版作成装置の概略図である。一次レセプ
ター以外は図2に示した装置と本質的に変わりはない。
【0326】また、感光体上への転写層形成装置13と
しては、上記電着塗布法の代わりに、熱溶融塗布法又は
転写法の装置を用いることができる。熱溶融塗布法で
は、例えば、熱可塑性樹脂(A)をホットメルトコータ
ーにより例えばドラム周面の感光体表面に塗布し、吸排
気ユニット下を通過させることにより所定の温度まで冷
却して転写層を形成することができる。その後、ホット
メルトコーターは待機位置まで移動させることが好まし
い。
【0327】転写法における離型紙を利用して転写層を
感光体上に簡便に形成する装置の一例を図4に概略図示
する。図4において、転写層12を設けた離型紙24
を、加熱ローラー25bで加熱圧着させて、転写層12
を感光体11の表面へ転写させる。離型紙24は冷却ロ
ーラー25cで冷却されて回収される。必要に応じて、
感光体自身を加熱手段25aで加熱して、転写層の加熱
圧着による転写性を向上させてもよい。
【0328】図4の転写層形成部120は、離型紙24
により転写層12を感光体11上へ転写した後、図2又
は図3に示す被転写材30への転写部分130として被
転写材への転写に用いてもよい。あるいは、離型紙24
により転写層12を感光体11上に転写する転写層形成
部分120と、トナー画像とともに転写層12を被転写
材30へ転写する部分130の両方を装置内に組み入れ
てもよい。
【0329】転写層が積層型である場合には、転写層形
成装置は同じでも異なっていてもよい。
【0330】
【実施例】以下に実施例を示し更に詳しく本発明の内容
を説明するが、これによって本発明が限定を受けるもの
ではない。
【0331】〔樹脂粒子(AR)の合成例〕 樹脂粒子(AR)の合成例1:(AR−1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)16g及びアイソパ
ーH 550gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度50
℃に加温した。これに、ベンジルメタクリレート85.0
g、アクリル酸15.0g、3−メルカプトプロピオン酸メ
チル 2.0g及び2,2′−アゾビス(2−シクロプロピル
プロピオニトリル)(略称A.C.P.P.)1.2gの混合溶液を1
時間で滴下した。そのまま1時間攪拌後、A.C.P.P. 0.8
gを加え2時間反応した。更に、2, 2′−アゾビス(イ
ソブチロニトリル)(略称A.I.B.N.)0.5 gを加え、温度
を80℃に設定し、3時間反応した。冷却後、200メッシ
ュのナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率97%
で平均粒径0.17μmの単分散性のラテックスであった
〔粒径はCAPA−500{堀場製作所(株)製}で測
定した。以下同様〕。
【0332】上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転
数1×104r.p.m.、回転時間1時間)にかけ、沈降した
樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重量平均分
子量(Mw)とガラス転移点(Tg)を測定したとこ
ろ、Mwは9×103(G.P.C.によるポリスチレン換算値。
以下同様)、Tgは60℃であった。
【0333】
【化36】
【0334】樹脂粒子(AR)の合成例2:(AR−
2) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−2)14g、下記構造の
マクロモノマー(M−1)10g及びアイソパーH 553g
の混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃に加温し
た。これに、メチルメタクリレート51.2g、メチルアク
リレート30g、アクリル酸12.5g、3−メルカプトプロ
ピオン酸メチル 1.3g及びA.C.P.P. 1.2gの混合溶液を
滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応し
た。次に2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称
A.I.V.N.)0.8gを加えた後、直ちに温度設定を75℃とし
て2時間、更にA.I.V.N. 0.5gを加えて2時間反応し
た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し、得られ
た白色分散物は重合率98%で平均粒径0.18μmの単分散
性のラテックスであった。樹脂粒子分のMwは、2×10
4でTgは50℃であった。
【0335】
【化37】
【0336】樹脂粒子(AR)の合成例3〜11:(AR
−3)〜(AR−11) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−3)20g及びアイソパ
ーG 480gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。これに、下記表−Aに記載の各単量体の
所定量、3−メルカプトプロピオン酸メチル 2.6g、A.
I.V.N. 1.5g及びテトラヒドロフラン60gの混合溶液
を、滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応
した。次いで、A.I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃
としてそのまま2時間反応後、更にA.I.V.N. 0.8gを加
えて3時間反応した。
【0337】
【化38】
【0338】上記反応物にアイソパーH60gを加え、温
度50℃で水流ポンプの減圧下にてテトラヒドロ溶媒を留
去した後、冷却し、200メッシュのナイロン布を通して
白色分散物を得た。得られた各ラテックスは、平均粒径
0.15〜0.30μmの範囲で各々単分散性は良好であった。
また、各ラテックスの樹脂粒子分のMwは9×103〜1.5
×104の範囲であり、Tgは35〜80℃の範囲であった。
【0339】
【表2】
【0340】
【表3】
【0341】
【表4】
【0342】樹脂粒子(AR)の合成例12〜17:(AR
−12)〜(AR−17) 樹脂粒子(AR)の合成例2において、マクロモノマー
(M−1)10gの代わりに下記表−Bの各マクロモノマ
ー(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用いた他は合成
例2と同様にして各樹脂粒子を合成した。各粒子の重合
率は98〜99%で、それらの粒子の平均粒径は0.15〜0.25
μmの範囲で、粒子の粒度分布も狭く、単分散性が良好
であった。樹脂粒子のMwは9×103〜2×104、ガラス
転移点は40〜70℃の範囲であった。
【0343】
【表5】
【0344】
【表6】
【0345】樹脂粒子(AR)の合成例18:(AR−1
8) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−4)18g及びアイソパ
ーH 560gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度55
℃に加温した。これに、メチルメタクリレート40g、2
−プロポキシエチルメタクリレート45g、アクリル酸15
g、3−メルカプトプロピオン酸メチル 1.3g及びA.I.
V.N. 0.8gの混合溶液を1時間で滴下した。そのまま1
時間撹拌後、A.I.V.N. 0.8gを加え2時間反応した。更
に、A.I.B.N. 0.5gを加え、温度を80℃に設定し、3時
間反応した。冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
得られた白色分散物は重合率97%で、平均粒径0.17μm
の単分散性ラテックスであった。また、樹脂粒子分のM
wは6×103、Tgは25℃であった。
【0346】
【化39】
【0347】樹脂粒子(AR)の合成例19:(AR−1
9) 前記分散安定用樹脂(Q−1)15g、酢酸ビニル62g、
吉草酸ビニル30g、クロトン酸8g及びアイソパーH 2
75gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度80℃に
加温した。A.I.V.N. 1.6gを加え、1.5時間反応し、A.
I.V.N. 0.8gを加え2時間、更にA.I.B.N. 0.5gを加え
4時間反応した。次いで、温度を100℃に上げ2時間撹
拌し、未反応のモノマーを留去した後、冷却して200メ
ッシュのナイロン布を通し、白色分散物を重合率93%で
得た。平均粒径0.25μmの単分散ラテックスであった。
また、樹脂粒子分のMwは8×104、Tgは26℃であっ
た。
【0348】樹脂粒子(AR)の合成例20:(AR−2
0) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−5)20g、ベンジルメ
タクリレート44.1g、2−ブトキシエチルメタクリレー
ト40g、アクリル酸12g、3−メルカプトプロピオン酸
3.9g及びアイソパーH 546gの混合溶液を、窒素気流
下撹拌しながら温度60℃に加温した。A.I.V.N. 1.0gを
加え2時間反応した後、A.I.V.N. 0.8gを加えて2時間
反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えた後、温度設定を80
℃にして3時間反応した。冷却後200メッシュナイロン
布を通して白色分散物を重合率99%で得た。平均粒径は
0.22μmの単分散ラテックスであった。また、樹脂粒子
分のMwは9×103で、Tgは23℃であった。
【0349】
【化40】
【0350】樹脂粒子(AR)の合成例21:(AR−2
1) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−6)18g及びアイソパ
ーH 500gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。これに、メチルメタクリレート35g、
2,3−ジプロポキシカルボニルプロピルメタクリレー
ト40g、2−スルホエチルメタクリレート25g、3−メ
ルカプトプロピオン酸メチル 5.2g、A.I.V.N. 1.5g及
びテトラヒドロフラン 120gの混合溶液を滴下時間1時
間で滴下し、そのまま更に1時間反応した。次いで、A.
I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃としてそのまま2
時間反応後、更にA.I.V.N. 1.0gを加えて3時間反応し
た。
【0351】この反応物にアイソパーH 120gを加え、
温度50℃で水流ポンプの減圧下にテトラヒドロ溶媒を留
去し、冷却後200メッシュのナイロン布を通して白色分
散物を得た。平均粒径0.18μmの単分散性良好な分散物
であった。また、重合率は98%であった。樹脂粒子のM
wは6×103、Tgは28℃であった。
【0352】
【化41】
【0353】樹脂粒子(AR)の合成例22:(AR−2
2) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−7)20g、繰り返し単
位がジメチルシロキサンからなる一官能性マクロモノマ
ー(FM0721,Mw6×103、(株)チッソ製)15
g、メチルメタクリレート50g、2−ペンチルオキシエ
チルメタクリレート35g、アクリル酸15g、3−メルカ
プトプロピオン酸メチル 6g及びアイソパーG 547gの
混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度60℃に加温し
た。A.I.V.N. 2.0gを加え2時間反応した後、A.I.V.N.
1.0gを加えて更に2時間反応した。次いで、A.I.V.N.
1.0gを加えた後、直ちに温度設定を75℃として2時
間、更にA.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反応した。冷却
後200メッシュのナイロン布を通して白色分散物で、重
合率98%、平均粒径0.20μmの単分散ラテックスを得
た。樹脂粒子のMwは6.5×103、Tgは20℃であった。
【0354】
【化42】
【0355】樹脂粒子(AR)の合成例23〜32:(AR
−23)〜(AR−32) 下記構造の分散安定用樹脂(Q−8)25g及びアイソパ
ーH 392gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら、温度
50℃に加温した。
【0356】
【化43】
【0357】これに、下記表−Cの各単量体、3−メル
カプトプロピオン酸メチル 3.1g、開始剤A.C.P.P. 3g
及びメチルエチルケトン150gの混合溶液を滴下時間1
時間で滴下し、そのまま1時間反応し、更にA.C.P.P.
1.0gを加え2時間反応した。次いで、A.I.V.N. 1.0g
を加えた後直ちに温度設定を75℃とし2時間反応し、更
にA.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反応した。冷却後、20
0メッシュのナイロン布を通して、白色分散物を得た。
各樹脂粒子の重合率は93〜99%で、その平均粒径は0.15
〜0.25μmの範囲の粒度分布の狭いラテックスであっ
た。また、各粒子の樹脂分のMwは8×103〜1×104
Tgは10〜35℃の範囲であった。
【0358】
【表7】
【0359】
【表8】
【0360】
【表9】
【0361】樹脂粒子(ARW)の合成例:(ARW−
1) 樹脂粒子(AR)の合成例18に従って、樹脂粒子(AR
−18)を合成した。この樹脂粒子分散物(即ち、シード
粒子)及び前記分散安定用樹脂(Q−1)10gの混合溶
液を、窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。こ
れに、ベンジルメタクリレート85g、アクリル酸15g、
3−メルカプトプロピオン酸メチル2.0g,A.I.V.N. 0.
8g及びアイソパーH 200gの混合物を、2時間で滴下
し、そのまま更に2時間反応した。次に開始剤を0.8g
加え温度70℃にして、2時間反応し、更に、開始剤を0.
6g加え3時間反応した。冷却後、200メッシュナイロン
布を通し、得られた白色分散物の重合率98%で平均粒径
0.24μmの単分散性良好なラテックスであった。
【0362】次に、得られた樹脂粒子が、単独の粒子と
して形成されたか否かを走査型電子顕微鏡(SEM)を
用いて、粒子の状態を観察することで調べた。PETフ
ィルム上に、樹脂粒子が分散した状態になる様に調製し
て作成したフィルムを、温度50℃及び80℃に5分間加熱
処理した後、各サンプルをJEOL社、JSL−T33
0型 Scanning Hicroscopeを用いて、2万倍で観察した
所、温度50℃のサンプルは粒子状態が観察されたが、温
度80℃のサンプルでは粒子が観察されなかった。即ち、
粒子が加熱により融解していた。
【0363】同様にして、本発明の粒子を構成する二種
の樹脂(共重合体)の各々から成る樹脂粒子(AR−
1)、樹脂粒子(AR−18)及びこの二種の粒子を1/
1重量比で混合した分散樹脂粒子について調べた。樹脂
粒子(AR−18)の場合は、加熱しないサンプルは粒子
状態であったが、温度50℃のサンプルでは粒子状態が観
察されず、他方、樹脂粒子(AR−1)の場合、温度80
℃のサンプルで粒子が見えなくなった。更に、混合粒子
の場合、加熱しないサンプルと温度50℃のサンプルを調
べた所、未加熱サンプルに比べると温度50℃のものは、
粒子が見えなくなっている所が確認された。
【0364】以上の様に、粒子の熱挙動を目視観察した
結果、本発明の実施例により合成された樹脂粒子(AR
W−1)は、二種類の樹脂粒子が混合されたものでな
く、1つの粒子中に2種の樹脂が含有されており、この
場合には、高Tgの樹脂が外層に低Tgの樹脂が内層に
各々分配したコア/シェル粒子であることが確認され
た。
【0365】樹脂粒子(ARW)の製造例2〜14:(A
RW−2)〜(ARW−14) 上記樹脂粒子(ARW)の製造例1において、下記表−
Dに記載の各単量体を用いた他は、上記製造例1と全く
同様に操作して樹脂粒子(ARW−2)〜(ARW−1
4)を製造した。得られた各ラテックス粒子の重合率は9
5〜99%で、平均粒径は0.20〜0.30μmの範囲内で且つ
単分散性が良好であった。
【0366】
【表10】
【0367】
【表11】
【0368】
【表12】
【0369】〔樹脂(P)の合成例〕 樹脂(P)の合成例1:(P−1) メチルメタクリレート80g、ジメチルシロキサンのマク
ロモノマー( FM−0725,チッソ(株)製、Mw1
×104)20g及びトルエン200gの混合溶液を、窒素気流
下温度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4
時間反応し、更にA.I.B.N. 0.7gを加えて4時間反応し
た。得られた共重合体のMwは5.8×104であった。
【0370】
【化44】
【0371】樹脂(P)の合成例2〜9:(P−2)〜
(P−9) 樹脂(P)の合成例1において、メチルメタクリレート
及びマクロモノマー(FM−0725)の代わりに、下
記表−Eに記載の重合体成分に相当する各単量体を用い
た他は、合成例1と同様にして、各重合体を合成した。
得られた各重合体のMwは、4.5×104〜6×104の範囲
であった。
【0372】
【表13】
【0373】
【表14】
【0374】樹脂(P)の合成例10:(P−10) 2, 2, 3, 4, 4, 4−ヘキサフルオロブチルメタクリレー
ト60g、メチルメタクリレートのマクロモノマー(AA
−6){東亜合成化学(株)製、Mw1×104}40g、
ベンゾトリフルオリド200gの混合溶液を窒素気流下に
温度75℃に加温した。これにA.I.B.N. 1.0gを加え4時
間反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて4時間反応し
た。得られた共重合体のMwは6.5×104であった。
【0375】
【化45】
【0376】樹脂(P)の合成例11〜12:(P−11)〜
(P−12) 樹脂(P)の合成例10において用いた単量体及びマクロ
モノマーの代わりに、下記表−Fに記載の重合体成分に
相当する各単量体及び各マクロモノマーを用いた他は、
合成例10と同様にして、各共重合体を合成した。得られ
た共重合体のMwは4.5×104〜6.5×104の範囲であっ
た。
【0377】
【表15】
【0378】樹脂(P)の合成例13:(P−13) メチルメタクリレート67g、メチルアクリレート22g、
メタクリル酸1g及びトルエン200gの混合溶液を、窒
素気流下に温度80℃に加温した。これに下記構造の高分
子アゾビス開始剤(PI−1)10gを加えて8時間反応
した。反応終了後、メタノール1.5リットル中に再沈
し、得られた沈澱物を補集・乾燥して、収量75gでMw
3×104の共重合体を得た。
【0379】
【化46】
【0380】樹脂(P)の合成例14:(P−14) エチルメタクリレート50g、グリシジルメタクリレート
10g及びベンジル N,N−ジエチルジチオカーバメート4.
8gの混合物を、窒素気流下に容器に密閉し、温度50℃
に加温した。これに、400Wの高圧水銀灯で10cmの距離
からガラスフィルターを通して、6時間光照射し光重合
した。これをテトラヒドロフラン100gに溶解し、更
に、下記単量体(m−1)40gを加えた後、窒素置換し
再び10時間光照射した。得られた反応物をメタノール1
リットルに再沈し、補集し乾燥した。得られた重合体
は、収量73gでMw4.8×104であった。
【0381】
【化47】
【0382】樹脂(P)の合成例15〜18:(P−15)〜
(P−18) 樹脂(P)の合成例14と同様にして、下記表−Gの各共
重合体を合成した。得られた重合体のMwは3.5×104
6×104の範囲であった。
【0383】
【表16】
【0384】樹脂(P)の合成例19:(P−19) 樹脂(P)の合成例14において、ベンジル N,N−ジエチ
ルジチオカーバメートの代わりに、下記構造の開始剤
(I−1)18gを用いた他は合成例14と同様に合成し、
Mw4.5×104の共重合体を得た。
【0385】
【化48】
【0386】樹脂(P)の合成例20:(P−20) メチルメタクリレート68g、メチルアクリレート22g、
グリシジルメタクリレート10g及び下記構造の開始剤
(I−2)17.5g及びテトラヒドロフラン150gの混合
溶液を窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に40
0Wの高圧水銀灯で10cmの距離からガラスフィルターを
通して10時間光照射し光重合した。得られた反物をメタ
ノール1リットル中に再沈し、沈殿物を補集し乾燥し
て、収量72gでMw4.0×104の重合体を得た。
【0387】この重合体70g、下記単量体(m−2)30
g及びテトラヒドロフラン100gの混合溶液を、窒素気
流下に温度50℃とし、上記と同条件で13時間光照射し
た。次にこの反応物をメタノール1.5リットル中に再沈
し、沈殿物を捕集・乾燥して収量78gでMw6×104
共重合体を得た。
【0388】
【化49】
【0389】樹脂(P)の合成例21〜25:(P−21)〜
(P−25) 樹脂(P)の合成例20において、開始剤(I−2)17.5
gの代わりに、下記表−Hの開始剤(I)0.031モルを
用いた他は、合成例20と同様の条件で操作した。得られ
た各重合体の収量は70〜80gでMw4×104〜6×104
であった。
【0390】
【表17】
【0391】
【表18】
【0392】〔樹脂粒子(PL)の合成例〕 樹脂粒子(PL)の合成例1:(PL−1) 下記構造の単量体(LM−1)40g、エチレングリコー
ルジメタクリレート2g、下記構造の分散安定用樹脂
(LP−1)4.0g及びメチルエチルケトン180gの混合
溶液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃に加温した。A.
I.V.N. 0.3gを加え3時間反応した。更に、A.I.V.N.
0.1gを加えて4時間反応した。冷却後、200メッシュの
ナイロン布を通して白色分散物を得た平均粒子径0.25μ
mのラテックスであった。
【0393】
【化50】
【0394】樹脂粒子(PL)の合成例2:(PL−
2) 下記構造の分散安定用樹脂(LP−2)5g及びメチル
エチルケトン140gの混合溶液を、窒素気流下攪拌しな
がら温度60℃に加温した。これに、下記構造の単量体
(LM−2)40g、エチレングリコールジアクリレート
1.5g、A.I.V.N.0.2g及びメチルエチルケトン40gの混
合溶液を1時間で滴下した。そのまま2時間反応後、更
にA.I.V.N. 0.1gを加え3時間反応して、白色分散物を
得た。冷却後、200メッシュのナイロン布を通して得ら
れた分散物の平均粒径0.35μmであった。
【0395】
【化51】
【0396】樹脂粒子(PL)の合成例3〜6:(PL
−3)〜(PL−6) 樹脂粒子(PL)の合成例1において、単量体(LM−
1)、エチレングリコールジメタクリレート及びメチル
エチルケトンの代わりに下記表−Iの各化合物に代えた
他は、合成例1と同様にして樹脂粒子を製造した。得ら
れた各樹脂粒子の平均粒径は0.15〜0.30μmの範囲であ
った。
【0397】
【表19】
【0398】実施例1 X型無金属フタロシアニン{大日本インキ(株)製}2
g、下記構造の結着樹脂(B−1)14.4g、下記樹脂
(B−2)3.6 g、下記構造の化合物(A)0.15g及び
テトラヒドロフラン80gの混合物を、500mlのガラス容
器にガラスビーズと共に入れ、ペイントシェーカー(東
洋精機製作所製)で60分間分散した後、ガラスビーズを
濾別して感光層分散液とした。
【0399】
【化52】
【0400】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.2m
m厚のアルミニウム版の上にワイヤーバーで塗布し、指
触乾燥した後110℃循環式オーブンで、20秒間加熱し
た。得られた感光層の膜厚は8μmであった。上記感光
体上に膜厚1.5μmの下記内容の剥離性表面層を設け
た。
【0401】〈剥離性表面層の形成〉下記構造のシリコ
ン樹脂10g、下記構造の架橋剤1g、下記構造の架橋制
御剤0.2g及び架橋用触媒として白金0.1g及びn−ヘキ
サン100gからなる混合物をワイヤーラウンドロッドを
用いて塗布し、指触乾燥後、120℃で10分間加熱し、膜
厚1.5μmの表面層を形成した。JIS Z 0237-1980 の
「粘着テープ・シート試験方法」による表面の粘着力は
1g・f以下であった。
【0402】
【化53】
【0403】上記の剥離性表面を有する感光体を、図2
に示す装置の電子写真感光体11として装着し、一次レ
セプター20としてオフセット印刷用ブランケット9600
−A(粘着力80g・f、厚み1.6mm、明治ゴム化成製)
を装着した。但し、転写層形成装置13を別に設けず、
代わりに図3に示す様に液体現像ユニットセット14内
に電着ユニット14Tを併設した。
【0404】感光体ドラム上に、下記の樹脂(A)分散
液〔L−1〕を電着ユニット14Tに供給し、感光体ド
ラム上に、電着塗布法で転写層を形成した。
【0405】 ・樹脂(A)分散液〔L−1〕 樹脂粒子(AR−1) 5 g(固形分量として) 樹脂粒子(AR−21) 5 g(固形分量として) 荷電調節剤(D−1) 0.03g オクタデシルビニルエーテル/t−オクチル マレイン酸半アミド(1/1モル比)共重合体 シリコンオイル(KF−96, 5 g 信越シリコーン(株)製) を全量で1リットルになる様にアイソパーHで調整し
た。
【0406】即ち、感光体ドラムを周速度10mm/秒で回
転させ、感光体表面にスリット電着装置を用いて樹脂
(A)分散液〔L−1〕を供給しながら感光体側を接地
し、スリット電着装置の電極側に+280Vの電圧を印加
して樹脂粒子を電着した。次いで吸排気ユニットを用い
エアースクイズで分散液を除き加熱手段の赤外線ライン
ヒーターにて80℃に加熱し、溶融・皮膜化し熱可塑性
樹脂からなる転写層を形成した。このときの膜厚は4.0
μmであった。
【0407】次いで、電子写真プロセスにより感光体上
にトナー画像の形成を行なった。感光体11を暗所にて
コロナ帯電装置18の下を通過させ、+450Vにコロナ
帯電をしたのち、あらかじめ原稿からカラースキャナー
により読み取り、色分解し、システム特有の幾つかの色
再現に関わる補正を加えた後、デジタル画像データとし
てシステム内のハードディスクに記憶させてあった情報
をもとに、半導体レーザー描画装置19を用いて788nm
の光で感光体上露光量が30erg/cm2になるように露光し
た。
【0408】下記の方法で液体現像剤〔LD−1〕を調
製した。 ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート65g、メチルアクリレート35g、
下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH 680gの
混合溶液を窒素気流下に、攪拌しながら温度65℃に加温
した。これに、A.I.V.N. 1.2gを加え2時間反応し、更
にA.I.V.N. 0.5gを加えて2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応した。次に、反応温度を90℃
に上げて、30mmHgの減圧下に1時間攪拌し未反応単量
体を除去した。
【0409】
【化54】
【0410】室温に冷却後、200メッシュのナイロン布
を通して濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の
単量体の反応率は95%で樹脂粒子の平均粒径は0.25μm
で且つ単分散性良好なものであった。
【0411】・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸(95/5重
量比)共重合体10g、ニグロシン10g及びアイソパーG
30gをガラスビーズと共にペイントシェーカー{東京精
機(株)製}に入れ、4時間分散しニグロシンの微小な
分散物を得た。
【0412】・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分散
物25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシルアミ
ド(1/1モル比)共重合体0.2g及び文枝オクタデシ
ルアルコール(FOC−1800,日産化学(株)製)15g
をアイソパーG1リットルに希釈することにより静電写
真用液体現像剤〔LD−1〕を作製した。
【0413】液体現像剤〔LD−1〕を用い、現像電極
に+400Vのバイアス電圧を印加し、露光部にトナーが
電着するようにした反転現像を行ない、ついでアイソパ
ーH単独浴中でリンスをして非画像部の汚れを除いた。
その後、感光体をヒートロールの定着方法でトナー画像
を定着した。
【0414】次に、表面温度を65℃に設定された感光体
11ドラムと表面温度を90℃に設定された一次レセプタ
ー20ドラムを接触させ、ニップ圧が4kgf/cm2、ドラ
ム周速が5mm/秒の条件で、加熱と加圧を行った。トナ
ー画像は転写層ごと一次レセプター20上にすべて転写
した。次に、表面温度を90℃に設定された一次レセプタ
ー20ドラムと、130℃に設定された転写用バックアッ
プローラー31及び10℃に設定された剥離用バックアッ
プローラー32の間に、被転写材30であるFuji PS
プレートFPD{富士写真フイルム(株)製}に用いら
れるアルミ支持体を導き、ニップ圧を4kgf/cm 2、ドラ
ム周速を50mm/秒として、加熱と加圧を行った。トナー
画像はアルミ支持体上にすべて転写し、高画質の鮮明な
トナー画像が得られた。
【0415】次に、トナー画像及び転写層を転写したア
ルミ支持体(平版印刷原版)を不感脂化処理(即ち転写
層除去)して印刷版とし、その印刷性能を調べた。即
ち、上記の原版を、温度35℃の下記の不感脂化処理液
〔E−1〕中に1分間浸漬して版面をゆるく毛ブラシで
こすりながら非画像部の転写層を除去し、充分水洗した
後、ガム引きしオフセット用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−1〕 PS版処理剤(DP−4,富士写真フィルム(株)製)
を蒸留水で50倍に希釈した溶液(pH12.5)
【0416】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて目視観察したところ、非画像部には転写層
の残存は認められず、且つ画像部の細線・細文字等の高
解像度域の欠落は認められなかった。この版を浸し水と
してPS版用浸し水(SG−23、東京インキ(株)製)
を蒸留水で130倍に希釈した水溶液(pH7.0)を用い、
印刷機としてオリバー94型((株)桜井製作所製)を用
い、印刷紙として中性紙を使用して、各種オフセット印
刷用色インキで印刷した。その結果、色インキの種類に
かかわらず、いずれの場合も地汚れの発生しない鮮明な
画像の印刷物が6万枚以上得られた。
【0417】更に、本発明の印刷版による印刷を行った
後、通常の操作のまま、次にPS版を印刷したところ、
何の問題も生じなかった。即ち、印刷機を同一にして、
PS版等の他のオフセット印刷版と容易に共用できるこ
とが確認された。以上の様に、本発明によって供される
オフセット印刷版は、半導体レーザー光スキャニング露
光方式によって得られる画像再現性が極めて良好で且つ
それが印刷物に良好に再現されること、色インキ適性が
充分で、インキ選択性がほとんどみられず、フルカラー
印刷が高耐刷性で得られること、印刷機を他のオフセッ
ト印刷版と容易に共用できること等、極めて優れた性能
を示すことが確認された。
【0418】これに対し、以下の比較を行った。 比較例1 実施例1において、転写層を設けない他は同様にして、
FPD用アルミ支持体にトナー画像の形成を行なった。
アルミ支持体へのトナー画像の完全な転写は行われず、
感光体上及び一次レセプター上に転写残りを生じた。従
って得られた複写画像には、トナー画像の欠落が見られ
た。
【0419】比較例2 実施例1において、一次レセプターを用いないで、直接
感光体表面からFPDへ転写層及びトナー画像を転写し
た他は同様にして、FPD用アルミ支持体にトナー画像
の形成を行なった。得られた結果は、比較例1と同様、
転写は不完全なものでった。そこで、転写条件を感光体
表面温度110℃、圧力5kgf/cm2及び転写スピード5mm
/秒に代えて転写を行なった所、実施例1と同等の複写
画像が得られた。
【0420】以上の事は、本発明の方法により、転写条
件が緩和され且つ転写スピードの向上が可能となる事を
示している。
【0421】実施例2 図3に示される装置に電子写真感光体としてアモルファ
スシリコン感光体{京セラ(株)製}を装着した。この
感光体表面の粘着力は220g・fであった。この感光体
への表面剥離性付与は、同一装置内で本発明の化合物
(S)を溶解した溶液に浸漬させること(浸漬法)で行
なった。
【0422】即ち、下記化合物(S−1)1.0gをアイ
ソパーG{エッソ(株)製}1リットル中に溶解した溶
液からなる浴に上記感光体を周速10mm/秒の回転速度で
回転させ7秒間触れる様にして処理し、エアースクイズ
で乾燥した。この様にして得られた感光体表面の粘着力
を測定した所3g・fと低下し、良好な剥離性を示し
た。
【0423】
【化55】
【0424】次に、感光体表面温度を50℃に設定し、感
光体ドラムの周速度を10mm/秒で回転させ感光体表面に
スリット電着装置を用いて下記の正荷電樹脂粒子を含む
樹脂(A)分散液〔L−2〕を供給しながら、感光体側
を接地しスリット電着装置の電極側に+130Vの電圧を印
加して樹脂粒子を電着・定着した。この時の膜厚は2.5
μmであった。
【0425】 ・樹脂(A)分散液〔L−2〕 樹脂粒子(ARW−1) 10g(固形分量として) 荷電調節剤(D−2) 0.020g 1−ヘキサデセン/N−デシルマレイン酸 半アミド(1/1モル比)共重合体 分枝テトラデシルアルコール(FOC−1400, 5g 日産化学(株)製) をアイソパーGで全量1.0リットルになる様に調整し
た。
【0426】次に上記の感光体を感光体の表面温度を50
℃としたまま続けて+700Vにコロナ帯電した後、あら
かじめ原稿からカラースキャナーにより読み取り、色分
解しシステム特有の幾つかの色再現に関わる補正を加え
た後、デジタル画像データとしてシステム内のハードデ
ィスクに記憶させてあった情報をもとに半導体レーザー
を用いて780nmの光で露光した。露光部の電位は+220V
で未露光部は+600Vであった。
【0427】続いて現像ユニットに組み込まれているプ
レバス装置によりアイソパーG(エッソスタンダード石
油製)にてプレバスをしたのち、下記内容の液体現像剤
〔LD−2〕を現像ユニットから感光体表面へ供給し
た。この時現像ユニット側へ+500Vの現像バイアス電
圧を印加して現像を行なった。次いでアイソパーG単独
浴中でリンスをして非画像部の汚れを除き、吸排気ユニ
ットにて乾燥した。
【0428】・液体現像剤〔LD−2〕 被覆用樹脂:オクタデシルメタクリレート/メチルメタ
クリレート(9/1モル比)共重合体及びカーボンブラ
ック#40{三菱化学(株)製}を重量比にして2:1
にて充分に混合した後、140℃に加熱した三本ロールミ
ルにて溶融混練した。この混練物12g、スチレン−ブタ
ジエン共重合体{ソルプレン1205旭化成(株)製}
4g、アイソパーG76gよりなる混合物をダイノミルに
て分散した。これによって得たトナー濃厚液を固形分濃
度が6g/リットルとなるようにアイソパーGにて希釈
し、更にジオクチルスルホコハク酸ソーダを1×10-4
ル/リットルとるように添加して現像剤とした。
【0429】一方、一次レセプターとして、実施例1で
用いたブランケット9600−Aのロール表面上にイソプレ
ンゴム100gに対して樹脂(P−2)7g及び無水フタ
ル酸0.001gからなる混合物を膜厚10μmに塗膜し、140
℃で2時間加熱して硬化膜を形成したものを用いた(表
面の粘着力は80g・fであった)。
【0430】一次レセプター20を、温度100℃に加熱
し、転写層上にトナー画像を形成した光体11ドラムと
一次レセプター20を接触させ、ニップ圧が4kgf/c
m2、ドラム周速が80mm/秒の条件下でトナー画像を転写
層ごと一次レセプター20上にすべて転写した。つぎに
表面温度を温度調節手段で60℃に設定された一次レセプ
タードラム20と、130℃に設定された転写用バックア
ップローラー及び10℃に設定された剥離用バックアップ
ローラーの間に、最終被転写材30であるFPD用アル
ミ支持体を導き、ニップ圧を5kgf/cm2、ドラム周速を5
0mm/秒として、加熱と加圧を行ったところ、トナー画
像は転写層と共にアルミ支持体上にすべて転写し、高画
質の鮮明なトナー画像が得られた。
【0431】他方、転写層を設けることなく、トナー画
像を直接一次レセプターに転写する方法でトナー画像を
アルミ支持体上に形成し、本発明と比較した。得られた
プレート上の画像には、トナー画像の欠落、あるいは画
像濃度にムラのある所が見られた。更に細線、細文字等
の部分を20倍のルーペで目視観察した所、細かな画像の
欠落が認められた。また、感光体の表面を観察した所、
トナー画像部の残存が認められた。
【0432】このことは、感光体を繰り返し使用する方
法においては、残存トナーの除去のために、感光体表面
のクリーニング、そのための装置の設定あるいはクリー
ニングによる感光体表面の損傷等が問題となってくる。
【0433】このようにして得られた印刷原版を、RICO
H FUSER モデル592{リコー(株)製}を用いて更に加
熱し、トナー部を充分に定着した後、200倍の光学顕微
鏡を用いて目視観察したところ、非画像部には汚染は認
められず、且つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の
欠落は認められなかった。即ち、トナー画像は転写層と
共に容易に熱転写され、またその後の熱処理によっても
何ら不都合を生じることはなかった。
【0434】この印刷原版を、温度30℃の下記処方の不
感脂化処理液〔E−2〕中に20秒間浸漬し、表面をゆ
るくこすりながら、非画像部の転写層を除去し、充分水
洗した後、ガム引きし、オフセット用印刷版を作成し
た。 ・不感脂化処理液〔E−2〕 亜硫酸ナトリウム 85g N,N−ジメチルエタノールアミン 15g を蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH12.0に調整
して全量を1リットルにしたもの
【0435】この様にして得た印刷版を、200倍の光学
顕微鏡を用いて非画像部の転写層の有無及びトナー画像
部の欠落の有無を目視観察した。不感脂化処理性は良好
で、非画像部の転写層は完全に除去され、地汚れは見ら
れなかった。且つ画像部の細文字、細線及び網点連続階
調の中間部等の高精細な画像部においても、トナー画像
の欠落は認められず、画像部レジスト性は良好であっ
た。
【0436】この版を浸し水としてPS版用浸し水{S
G−23、東京インキ(株)製}を蒸留水で130倍に希釈
した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてオリバー94
型{(株)桜井製作所製}を用い、印刷紙として中性紙
を使用して、各種オフセット印刷用色インキで印刷し
た。その結果、色インキの種類にかかわらず、いずれの
場合も地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が6万枚
以上得られた。
【0437】以上のように、トナー画像形成に用いる液
体現像剤の種類によっては、トナー画像部と被転写材と
の充分な密着を保持させ、印刷時のトナー画像強度を維
持するために、転写層ごと転写した後に、密着性向上手
段を組み合わせてもよい。本実施例における定着の他の
手段として、フラッシュ定着による方法、ヒートロール
定着による方法によっても同様の効果が得られた。
【0438】実施例3 実施例2において、電子写真プロセスを行なうのと同じ
装置内で感光体表面に化合物(S)を付着もしくは吸着
させて感光体表面に剥離性を付与する方法として、浸漬
法に代えて以下の方法を行なった。
【0439】(1) 実施例2における化合物(S)付与部
分110において、感光体11に剥離性付与のため下記
構造の化合物(S−2):カルボキシ変性シリコンオイ
ル(TSF4770、東芝シリコン(株)製)のオイル
を入れた浴に接したシリゴム層を表面に有するメタリン
グロールを感光体ドラムに接触させ、周速15mm/秒の回
転スピードで、両者を20秒間回転させた。この処理によ
り感光体表面の粘着力は5g・fとなった。
【0440】
【化56】
【0441】また、シリコンオイル浴に浸されたメタリ
ングロールと感光体の間にスチレン−ブタジエンゴム層
を表面に有するトランスファーロールを介して処理して
も、上記と同様の結果が得られた。
【0442】更には、上記メタリングロール/トランス
ファーロールを用いる方法において、図5に示す様にメ
タリングロール112とトランスファーロール111の
間に化合物(S−2)113を供給する方法を化合物
(S)付与部分110に適用しても同様に良好な結果が
得られた。
【0443】(2) 化合物(S−3):ジメチルシリコン
オイル(KF−96L−2.0、信越シリコーン(株)製)
2gを均一に含浸させたAW処理フェルト(厚み15mm×
巾20mmのウール材質)を感光体に押圧200g・f/cm2
で圧接し、感光体を周速20mm/秒の回転速度で30秒間回
転した。処理後の感光体表面の粘着力は5g・fとなっ
た。
【0444】(3) 加熱手段を内蔵したゴムローラーに、
化合物(S−4):フッ素系界面活性剤(サーフロンS
−141、旭硝子(株)製)を含浸させた布を巻きつけ
たローラーを、表面温度60℃に加熱した後、感光体ドラ
ムと接触させ、両者を周速度20mm/秒の回転速度で30秒
間回転した。感光体表面の粘着力は12g・fになった。
【0445】(4) 金属芯ローラーにシリコンゴムを巻い
たシリゴムローラー{(株)金陽社製}を、感光体表面
にニップ圧500g・f/cm2で当接し、周速15mm/秒の回転
速度で10秒間回転した。これにより感光体表面の粘着力
は10g・fに低下した。
【0446】これらの方法(1)〜(4)によって得られた感
光体を用い、実施例2と同様にして、転写層の形成、ト
ナー画像の形成,一次レセプターを介して被転写材への
転写、印刷版の作成及び印刷を行なった。いずれも、実
施例2と同様に良好な結果が得られた。
【0447】実施例4 実施例2で用いたのと同様のアモルファスシリコン感光
体を図3に示すような装置に装着し、感光体への剥離性
と転写層の形成を同時に電着法により行なった。即ち、
下記の樹脂(A)分散液〔L−3〕を用いて、実施例2
と同様の方法で、感光体上に膜厚2.0μmの第1転写層
を形成した。 ・樹脂(A)分散液〔L−3〕 樹脂粒子(ARW−6) 20g(固形分量として) 下記の荷電調節剤(D−3) 0.04g 下記の化合物(S−5) 0.8g を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調整し
た。
【0448】
【化57】
【0449】続けて、この第1転写層上に更に下記の樹
脂(A)分散液〔L−4〕を用いて膜厚2.0μmの第2
転写層を設けて積層構成の転写層を形成した。 ・樹脂(A)分散液〔L−4〕 樹脂粒子(ARW−9) 10g(固形分量として) 上記の荷電調節剤(D−3) 0.022g を全量で1リットルになる様にアイソパーGで調整し
た。
【0450】以下電子写真プロセスによるトナー画像の
形成を実施例2と同様に行い、続けて最終被転写材とし
て紙版マスターのストレートマスター{三菱製紙(株)
製}を用いて実施例2と同様の方法で印刷原版の作成を
行った。ストレートマスター上に転写されたトナー画像
は、地汚れもなく高画質の鮮明なものであり、また感光
体上に転写層及びトナー画像の残存は、全く認められな
かった。
【0451】更に、転写条件を下記の様に低温度に設定
し、転写速度を向上させて転写を行った。 ・一次レセプターへの転写工程 感光体表面温度 50℃、 一次レセプター表面温度 80
℃、 転写スピード 150mm/秒 ・ストレートマスターへの転写工程 一次レセプター表面温度 80℃、 転写スピード 100
mm/秒
【0452】得られた印刷原版は、同様に非画像部のカ
ブリもなく、画像部の劣化が認められない良好なもので
あった。また、感光体及び一次レセプターの各表面上で
の転写残りも全く認められなかった。即ち、本発明の転
写層をより適切な構成とすることで、転写のし易さをよ
り向上することができた。
【0453】他方、上記の樹脂(A)分散液〔L−3〕
中に化合物(S−5)を含有しない電着液を用いて上記
と同様の操作を行ったが、得られたプレート上の画像は
著しい転写不良によるムラを生じ、且つ感光体表面を観
察した所、トナー画像及び転写層の残存が著しかった。
【0454】次に、上記本発明の印刷原版を、温度35℃
の下記の不感脂化処理液〔E−3〕中に15秒間浸漬して
版面をゆるく毛ブラシでこすりながら非画像部の転写層
を除去し、充分水洗した後、ガム引きし、平版用印刷版
を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−3〕 2−メルカプトプロピオン酸 80g N,N−ジメチルエタノールアミン 20g グリセリン 10g を蒸留水で希釈し、水酸化ナトリウムでpH12.4に調整
した全量1リットルの水溶液
【0455】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて目視観察したところ、非画像部には転写層
の残存は認められず、且つ画像部の細線、細文字等の高
解像度域の欠落は認められなかった。この版を実施例1
と同様にして平版印刷した所、色インキの種類にかかわ
らず、いずれの場合も千枚以上の地汚れの発生しない鮮
明な画像の印刷物が得られた。
【0456】実施例5 X型無金属フタロシアニン{大日本インキ(株)製}1
g、下記構造の結着樹脂(B−3)8g、下記構造の化
合物(B)0.15g及びテトラヒドロフラン80gの混合物
を、500mlのガラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペ
イントシェーカー(東洋精機製作所製)で60分間分散
し、更にこれに樹脂(P−2)2g、無水フタル酸0.03
g及びo−クロロフェノール0.002gを加えて2分間分
散した後、ガラスビーズを濾別して感光層分散液とし
た。
【0457】
【化58】
【0458】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.2m
m厚のアルミニウム板の上にワイヤーバーで塗布し、指
触乾燥した後、110℃循環式オーブンで20秒間加熱し
た。更に140℃で1時間加熱した。得られた感光層の膜
厚は8μmであった。感光体表面の粘着力は3g・fで
あった。
【0459】他方、比較として、上記感光体において、
樹脂(P−2)2 gを除き、樹脂(B−3)10gを用い
た他は全く同様にして電子写真感光体を作成したとこ
ろ、表面の粘着力は420g・fで全く剥離性を示さなか
った。
【0460】次に、この感光体を図2に示す装置に装填
し、まず、転写層を形成した。即ち、感光体表面温度を
60℃とし且つ、感光体ドラムの周速度を10mm/秒で回転
させ感光体表面にスリット電着装置を用いて下記の樹脂
(A)分散液〔L−5〕を供給しながら、感光体側を接
地しスリット電着装置の電極側に+ 250Vの電圧を印加
して樹脂粒子を電着・定着した。この時の膜厚は4.5μ
mであった。
【0461】 ・樹脂(A)分散液〔L−5〕 樹脂粒子(AR−2) 12g(固形分量として) 樹脂粒子(AR−24) 8g(固形分量として) 荷電調節剤(D−4) 0.35g オクタデシルビニルエーテル/N−ヘキサデシルマレイン酸 半アミド(1/1モル比)共重合体 荷電調整補助剤 0.1g ドデシルメタクリレート/メタクリル酸(94/6重量比)共重合体 をアイソパーGで全量1リットルになる様に調整した。
【0462】次に、この感光体を用いて、実施例1と同
様にして、トナー画像の形成、一次レセプターへの転
写、被転写材への転写、印刷版の作成及び印刷を行なっ
た。得られた印刷物は、実施例1と同様に、地汚れのな
い鮮明な画質のものが6万枚以上得られた。
【0463】実施例6 実施例2において、感光体上への転写層の形成法として
用いた湿式電着法の代わりに、図4に示す離型紙からの
転写法を行なった。即ち、離型紙24として、セパレー
ト紙{王子製紙(株)製}を用い、この上に、下記樹脂
(A−1)及び樹脂(A−2)の4/6重量比から成る
混合物を3.5μmの膜厚で塗膜形成した紙を、実施例2
と同様の感光体に圧接し、感光体とローラーとのニップ
圧力3kgf/cm2、ローラー表面温度60℃及び通過スピー
ド80mm/秒の条件下で感光体表面上に、膜厚3.5μmの
転写層を形成した。他は実施例2と同様に操作して、印
刷版を作成した。
【0464】得られた印刷物の画像及び耐刷力は実施例
2と同様に良好であった。
【0465】
【化59】
【0466】実施例7〜28 実施例1において、転写層用樹脂粒子(AR−1)及び
(AR−21)(1/1重量比)10gの代わりに、下記表−
Jの各樹脂粒子を用いた他は、実施例1と同様に操作し
て印刷版作成及びオフセット印刷を行なった。各印刷版
から得られた印刷物の画質及び耐刷性は、実施例1と同
様に良好であった。
【0467】
【表20】
【0468】実施例29 アモルファスシリコン感光体{京セラ(株)製}に予め
下記化合物(S−6)を付与して、感光体表面の粘着力
を2g・fとし良好な剥離性をもつ様に表面処理した。
【0469】
【化60】
【0470】上記感光体を装置に装着し、感光体上に膜
厚3.0μmの転写層を下記の如き溶融塗布法によって形
成した。即ち、赤外線ラインヒーターを点灯してその下
を通過させて、感光体の表面温度を放射温度計で測定し
てほぼ60℃にしたのち、転写層用樹脂として下記構造の
樹脂(A−3)及び樹脂(A−4)の5/1重量比から
成る混合物を用い100℃設定のホットメルトコーターに
より、20mm/秒のスピードで塗布をし、冷却空気を吸排
気ユニットから吹き付けて冷却し、転写層を形成した。
【0471】
【化61】
【0472】次に、実施例2と同様にして、電子写真プ
ロセスを行ない、トナー画像を形成した。
【0473】また、一次レセプターとして次のものを用
いた。中空ローラー上に、まず、ゴム硬度75度、厚さ4
mmの天然ゴムシート{コクゴ社(株)製}を固定し、こ
の上に、メトキシメチル変性ナイロン樹脂{ダイアミド
MX−100、ダイセル化学工業(株)製}からなる2
μmの樹脂層を設け、更にこの上に下記の樹脂(a)10
g、下記の樹脂(b)0.1g、無水フタル酸0.2gg、o
−クロロフェノール0.02g及びテトラヒドロフラン70g
からなる溶液を塗布し、120℃で2時間加熱して膜硬化
を行って1μmの樹脂層を形成した。得られた一次レセ
プター表面の粘着力は120g・fであった。
【0474】
【化62】
【0475】上記トナー画像を形成した感光体を表面温
度60℃とし、表面温度80℃に調節した一次レセプターに
ニップ圧が3.5kgf/cm2 となるように接触させ、転写ス
ピード80mm/秒で一次レセプター上にトナー画像及び転
写層の転写を行った。
【0476】続けて、表面温度80℃とした一次レセプタ
ーと、100℃に設定された転写用バックアップローラー
及び20℃に設定された剥離用バックアップローラーの間
に、最終被転写材であるFPD用アルミ支持体をニップ
圧4.5kgf/cm2、ドラム周速度100mm/秒で通過させ、ア
ルミ支持体上にトナー画像を転写層とともに完全に転写
させた。
【0477】この様にして得られた印刷原版を、RICOH
FUSER モデル592 {リコー(株)製}を用いて更に加熱
しトナー部を定着した後、200倍の光学顕微鏡を用いて
目視観察したところ、非画像部に汚染は認められず、且
つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認めら
れなかった。
【0478】この印刷原版を、下記内容の不感脂化処理
液〔E−4〕中に30℃で浸漬してかるくこすりながら30
秒間処理して転写層を除去し、充分水洗した後、ガム引
きし、オフセット用印刷版を作成した。 ・不感脂化処理液〔E−4〕 PS版処理剤( DP−4, 富士写真フイルム(株)製) 100g N,N−ジメチルエタノールアミン 60g を蒸留水で希釈し、全量を1リットルにしたもの(pH
12.4)
【0479】この版を浸し水としてPS版用浸し水{S
G−23、東京インキ(株)製}を蒸留水で130倍に希釈
した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてオリバー94
型{(株)桜井製作所製}を用い、印刷紙として中性紙
を使用して、各種オフセット印刷用色インキで印刷し
た。その結果、色インキの種類にかかわらず、いずれの
場合も地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が6万枚
以上得られた。
【0480】実施例30〜33 実施例29において、転写層用樹脂(A−3)及び(A
−4)の代わりに下記表−Kの各樹脂(A)を用いた他
は実施例29と同様にして印刷版を作成し、平版印刷を
行った。得られた結果は、いずれも実施例29の場合と
同等に良好であった。
【0481】
【表21】
【0482】実施例34〜37 実施例6において、セパレート紙上に転写層を設けた紙
の代わりに、離型紙であるサンリリース{山陽国策パル
プ(株)製}上に膜厚4μmの下記表−Lの各樹脂
(A)からなる転写層を設けた紙を用いた他は実施例6
と同様にして印刷版を作成し、平版印刷を行った。
【0483】その結果、色インキの種類にかかわらず、
地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が6万枚以上得
られた。
【0484】
【表22】
【0485】実施例38〜45 実施例5において、樹脂(P−2)2gの代わりに、下
記表−Mの樹脂(P)及び/又は樹脂粒子(PL)を各
々用いた他は、実施例5と同様に操作して印刷版を作成
し、印刷を行なった。各印刷版から得られた印刷物の画
質及び耐刷性は実施例5と同様に良好であった。
【0486】
【表23】
【0487】実施例46〜55 実施例5において、樹脂(P−2)、無水フタル酸及び
o−クロロフェノールの代わりに、下記表−Nの各化合
物を用いた他は、実施例5と同様に操作して印刷版を作
成し、印刷を行なった。各印刷版から得られた印刷物の
画質及び耐刷性は実施例5と同様に良好であった。
【0488】
【表24】
【0489】実施例56 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂(B−
4)19g、下記構造の結着樹脂(B−5)3g、前記樹
脂(P−1)3g、ウラニン0.01g、ローズベンガル−
0.02g、ブロムフェノールブルー0.01g、無水マレイン
酸0.15g及びトルエン150gの混合物をホモジナイザー
{日本精機(株)製}に入れ、回転数1×104r.p.m.で1
0分間分散した。この分散物に無水フタル酸0.02g及び
o−クロロフェノール0.001gを加えて、更に回転数1
×103r.p.m.で1分間分散した。
【0490】
【化63】
【0491】次いでこの分散液を導電性処理及び耐溶剤
処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上に塗布
量20g/m2となる様にワイヤーバーで塗布し、指触乾燥
した後、120℃で循環式オーブンで1時間加熱した。こ
の様にして得られた感光体表面の粘着力を測定したとこ
ろ、4g・fであった。
【0492】本発明の感光体表面上に以下の様にして転
写層の形成を行った。下記の樹脂(A)分散液〔L−
6〕を用い、感光体を−150Vに帯電して樹脂粒子を電
着し、膜厚2 μmの転写層を形成した。 ・樹脂(A)分散液〔L−6〕 樹脂粒子(ARW−4) 20g(固形分量として) 荷電調節剤(D−2) 0.038g 分枝テトラデシルアルコール(FOC-1400, 8g 日産化学(株)製) を全量1リットルになるようにアイソパーGで調整し
た。
【0493】この感光体を表面電位−600Vになるよう
に帯電後、400W出力のハロゲンランプを用いて7秒間
面露光方式で露光した後、現像部のバイアス電圧を100
Vに設定して液体現像剤〔LD−1〕を用いて現像し、
次にアイソパーGのリンス浴を通してリンスを行い、ヒ
ートロールで画像を定着した。
【0494】次に、以上の様に画像形成した感光体を用
い、実施例1と同様にして一次レセプターを介して最終
被転写材上に転写を行った。最終被転写材としては、O
Kマスター(日本製箔製)を用いた。OKマスターに転
写したトナー画像の状態を目視評価した所、転写前の感
光体上の画像と殆ど変わりなく、画像の劣化は認められ
なかった。また、転写後の感光体の表面上には、転写層
の残存は全く認められず、転写性は極めて良好であっ
た。
【0495】他方、比較として、上記感光体において、
樹脂(P−1)3gを用いない他は全く同様にして電子
写真感光体を作成したところ、表面の粘着力は400g・
f以上であった。上記と同様に転写層を付与して転写さ
せたところ、感光体表面と転写層との界面での剥離性を
全く示さなかった。
【0496】次に、OKマスター支持体に転写した印刷
原版を、下記の不感脂化処理液〔E−5〕で処理して印
刷版とした。 ・不感脂化処理液〔E−5〕 メルカプトエタンスルホン酸 10g ネオソープ{松本油脂(株)製} 5g N,N−ジメチルアセトアミド 10g を蒸留水で希釈し、全量を1リットルにした後、水酸化
ナトリウムでpH12.0に調整したもの。
【0497】上記の印刷原版を温度25℃にて30秒間ゆる
くブラッシングしながら浸漬し、転写層を除去し、充分
水洗した。この様にして得られた印刷版を200倍の光学
顕微鏡を用いて目視観察したところ、非画像部には転写
層の残存は認められず、且つ画像部の細線・細文字等の
高解像度域の欠落は認められなかった。
【0498】この版を浸し水としてPS版用浸し水{S
G−23、東京インキ(株)製}を蒸留水で130倍に希釈
した水溶液(pH 7.0)を用い、印刷機としてリョービ32
00 MCD型{リョービ(株)製}を用い、印刷紙として中
性紙を使用して、各種オフセット印刷用色インキで印刷
した。その結果、色インキの種類にかかわらず、いずれ
の場合も地汚れの発生しない鮮明な画像の印刷物が1万
枚以上得られた。
【0499】他方、酸化亜鉛を用いた電子写真感光体
を、酸性条件下でキレート化剤を主剤とする不感脂化液
で不感脂化して平版印刷版とする公知のシステムでは、
中性紙を印刷用紙として使用すると、数百枚の印刷で、
非画像部に地汚れが発生し、また墨以外のオフセット印
刷用色インキを用いるとやはり数百枚程度で地汚れが発
生した。
【0500】以上のように、本発明のオフセット印刷用
原版の作成方法によれば、同じ酸化亜鉛感光体を利用し
ながらも、従来の方式とは異なり、極めて良好な印刷性
能を有することが判った。
【0501】実施例57 有機光導電性物質として、4, 4′−ビス(ジエチルアミ
ノ)−2, 2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、下記
構造の結着樹脂(B−6)4g、樹脂(P−12)0.4
g、下記構造式の色素(D−1)40mg、化学増感剤とし
て下記構造式のアニリド化合物(C)0.2gをメチレン
クロライド30mlとエチレンクロライド30mlとの混合物に
溶解して感光層分散液とした。
【0502】
【化64】
【0503】この感光層分散液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて導電性透明支持体(厚さ100μmのポリエ
チレンテレフタレート支持体上に、酸化インジウムの蒸
着膜を有する。表面抵抗103Ω)上に塗布して約4μm
で感光層を有する有機薄膜を得た。感光体表面の粘着力
は8g・fであった。この感光体を、実施例1で用いた
感光体の代わりに用いた他は実施例1と同様に操作して
印刷版を形成した。得られた印刷物上の印刷画像は地カ
ブリのない鮮明なもので、且つ、耐刷性も実施例1と同
様に良好であった。
【0504】実施例58 下記構造のビスアゾ顔料5g、テトラヒドロフラン95g
及びポリエステル樹脂(バイロン200,東洋紡績(株)
製)5gの混合物をボールミル中で充分に粉砕した。次
いで、この混合物を取り出し、攪拌下テトラヒドロフラ
ン520gを加えた。この分散物をワイヤーラウンドロッ
ドを用いて実施例57で用いた導電性透明支持体上に塗
布して約0.7μmの電荷発生層を形成した。
【0505】
【化65】
【0506】次に、下記構造式のヒドラゾン化合物20
g、ポリカーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン
121)20g及びテトラヒドロフラン160gの混合溶液
をワイヤラウンドロッドを用いて上記電荷発生層の上に
塗布し、60℃で30秒間乾燥し更に温度100℃で20秒間加
熱して約18μmの電荷輸送層を形成し、二層から成る感
光層を有する電子写真感光体を得た。
【0507】
【化66】
【0508】更に、この感光層の上に剥離性を付与する
ための表面層を形成するために、樹脂(P−22)13g、
無水フタル酸0.2g、o−クロロフェノール0.002g及び
トルエン100 gの混合溶液を、ワイヤーラウンドロッド
を用いて、膜厚1μmになる様に塗布し、指触乾燥後、
更に120℃で1時間加熱した。得られた感光体の表面の
粘着力は5g・fであった。
【0509】この感光材料を、暗所で表面電位−500V
に帯電させた後、He−Neレーザーを用いて633nmの
光で、版面での露光量が30erg/cm2になるように露光し
た他は、実施例1と同様に操作して印刷版を作成し、平
版印刷を行った。実施例1と同等の良好な性能を示し
た。
【0510】実施例59〜64 実施例2において、化合物(S−1)1.0g/リットル
の代わりに下記表−Oの各化合物(S)を用いた他は実
施例2と全く同様にして印刷物を得た。実施例2と全く
同様の良好な性能であった。即ち、これらの化合物
(S)を用いることで感光体表面の剥離性が有効に発現
した。
【0511】
【表25】
【0512】
【表26】
【0513】実施例65〜76 実施例1〜64で作成したトナー画像を転写層ごと被転
写材に転写した印刷原版を用いて、不感脂化処理を下記
の様に操作して平版印刷版を作成した。 下記表−Pの
求核性化合物0.2モル、有機化合物30g及びニューコー
ルB4SN{日本乳化剤(株)製}2gに蒸留水を加え
1リットルとした後pHを12.5に調整した。印刷原版を
処理液中に温度35℃で20秒間浸漬し、ゆるくこすりなが
ら不感脂化処理を行った。得られたプレートを実施例1
と同様の印刷条件で印刷した。各印刷版とも実施例1の
場合と同等の良好な性能を示した。
【0514】
【表27】
【0515】
【発明の効果】本発明によれば、転写層の膜厚が薄く、
転写時の条件が低温あるいは低転写圧に緩和されたり、
転写スピードが高速化されても依然転写層及びトナー画
像が良好に被転写材に転写させることができ、良好な製
版画質を得ることができる。更に、本発明によれば、特
に、温和な転写条件下で高速転写しても製版画質及び印
刷画質が良好で、長期間連続して処理しても、安定した
性能の印刷版を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】一次レセプターとしてドラム方式を採用した、
本発明の方法を実施するための電子写真式印刷原版作成
装置例を示す図である。
【図3】一次レセプターとして無端ベルト方式及び転写
層形成法として電着塗布法を採用した、本発明の方法を
実施するための電子写真式印刷原版作成装置例を示す図
である。
【図4】転写層形成法として剥離紙を利用して転写層を
感光体上に形成する部分装置例を示す図である。
【図5】化合物(S)を感光体表面に適用する例を示す
図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 感光層 5 トナー画像 10 化合物(S)適用装置 11 感光体 12 転写層 13 転写層形成装置 14 液体現像ユニットセット 14L 液体現像ユニット 14R リンス手段 14T 電着ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 加熱手段 17 温度調節手段 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 20 一次レセプター 24 離型紙 25a 加熱手段 25b 加熱ローラー 25c 冷却ローラー 30 被転写材 31 転写用バックアップローラー 32 剥離用バックアップローラー 110 化合物(S)付与部分 111 トランスファーロール 112 メタリングロール 113 化合物(S) 120 転写層形成部分 130 被転写材への転写部分

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真感光体上に化学反応処理で除去
    可能な樹脂(A)を主として含有する剥離可能な転写層
    を設け、この層の上に電子写真プロセスによりトナー画
    像を形成した後、該転写層と該トナー画像を一次レセプ
    ター上に一括して転写し、更に一次レセプター上の該ト
    ナー画像を該転写層ごと、印刷時に平版印刷可能な親水
    性表面となる被転写材に転写し、次いで、該転写された
    被転写材上の非画像部の転写層を化学反応処理により除
    去することを特徴とする電子写真式製版印刷版の作成方
    法。
  2. 【請求項2】 剥離可能な転写層が、熱溶融塗布法、電
    着塗布法及び転写法のうちのいずれかの方法により形成
    されることを特徴とする請求項1記載の電子写真式製版
    印刷版の作成方法。
  3. 【請求項3】 樹脂(A)が、ガラス転移点30℃〜1
    40℃又は軟化点35℃〜180℃の樹脂(AH)及び
    ガラス転移点40℃以下又は軟化点45℃以下の樹脂
    (AL)から少なくとも構成され、且つ該樹脂(AH)
    と樹脂(AL)のガラス転移点又は軟化点の差が2℃以
    上であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写
    真式製版印刷版の作成方法。
  4. 【請求項4】 電子写真感光体の表面が、転写層形成時
    に、JIS Z0237-1980の「粘着テープ・粘着シート試験方
    法」による粘着力が、100gram・force(g・f)以下
    であり、且つ一次レセプターの表面粘着力が電子写真感
    光体表面の粘着力より大きいことを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の電子写真式製版印刷版の作成方
    法。
  5. 【請求項5】 電子写真感光体上に剥離可能な転写層を
    設ける手段、電子写真プロセスによりトナー画像を形成
    する手段、一次レセプター上に該トナー画像を転写層ご
    と転写する手段、及び被転写材に一次レセプターから該
    トナー画像を転写層ごと転写する手段を少なくとも有す
    ることを特徴とする電子写真式製版印刷用原版作成装
    置。
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