JPH08290355A - ホーニング加工用内歯型砥石 - Google Patents

ホーニング加工用内歯型砥石

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JPH08290355A
JPH08290355A JP9225595A JP9225595A JPH08290355A JP H08290355 A JPH08290355 A JP H08290355A JP 9225595 A JP9225595 A JP 9225595A JP 9225595 A JP9225595 A JP 9225595A JP H08290355 A JPH08290355 A JP H08290355A
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亜夫 日下部
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドレッシングによって内周歯の高い形状精度
が得られると共に高い効率でドレッシングをすることが
可能な内歯型砥石を提供する。 【構成】 本実施例の内歯型砥石10は、内周歯16が
形成されて 200Pa程度と比較的低い弾性率を有する砥石
部14と、2000Pa程度と比較的高い弾性率を有してその
砥石部14の外周側に固着される円環状部材12とを含
んで構成されているため、内周面に外周側に向かう大き
な応力が作用した際には、砥石部14は大きく変形しよ
うとするが、その変形は弾性率が比較的高くされている
円環状部材12から与えられる反力により抑制される。
したがって、ドレッシング時に与えられる応力による変
形が抑制されて、内周歯16の高い形状精度が得られる
と共に高い効率でドレッシングをすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯車等のホーニング加
工に用いられるホーニング加工用内歯型砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車のトランスミッション等
に用いられる歯車は、ギアノイズを低減するために、焼
き入れ処理した後にホーニング加工が施されて歯面の傷
やばりが除去されると共に歯面の精度が向上させられて
いる。このような加工には、例えば内周面に高精度の内
周歯を有した内歯型砥石が用いられている。従来、この
内歯型砥石は全体が砥粒層から構成されており、ホーニ
ング加工を施すに際しては、例えば、被削材である歯車
をホーニング加工装置の回転軸にその軸心が回転軸心と
一致した状態で取り付けると共に、内歯型砥石を軸心方
向がその回転軸に対して所定角度傾斜して設けられてい
る円環状の内周面を有するホルダに回転可能に取り付
け、その内歯型砥石の内周歯と噛み合わされた状態の歯
車をその軸心回りに回転させると同時にその軸心方向に
往復移動させる。これにより、歯車の歯面がホーニング
加工されて、内歯型砥石の内周歯の形状が転写される。
【0003】
【発明が解決すべき課題】ところで、上記のホーニング
加工において、内歯型砥石の内周歯が摩耗した際にはド
レッサで形状を修正した上で使用される。このドレッシ
ング作業は、例えば、内歯型砥石を歯車の加工時と同様
にホーニング加工装置に装着した状態で、歯車に代えて
同様な形状のドレッサを回転軸に装着してその軸心回り
に回転させると同時に軸心方向に往復移動させることで
行われる。このとき、ドレッサによって内歯型砥石の内
周面が切り込まれることから、その内周面には切込量に
応じた応力が外周方向に作用することとなる。ところ
が、従来の内歯型砥石は、その内周歯の歯欠けを防止す
ると共に歯車の歯面を可及的に滑らかにする目的で、比
較的弾性率(剛性)の低い結合剤、例えばフェノール樹
脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂やポリエステル樹脂
等が用いられて全体の弾性率が低くされていた。そのた
め、内歯型砥石の内周面は、ドレッシング時に作用する
応力によって比較的容易に変形し、内周歯の形状精度が
低下すると共に高いドレッシング効率が得られないとい
う問題があった。
【0004】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであり、その目的とするところは、ドレッシング
によって内周歯の高い形状精度が得られると共に高い効
率でドレッシングをすることが可能な内歯型砥石を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、内周歯を備えてリン
グ状を成し、該内周歯に噛み合わされた歯車のホーニン
グ加工を行うホーニング加工用内歯型砥石であって、
(a) 前記内周歯が形成された比較的低い弾性率を有す
る内周側砥粒層と、(b) 円環状の外周面を備えて比較的
高い弾性率を有し、前記内周側砥粒層の外周側に固着さ
れる外周側保持部材とを、含むことにある。
【0006】
【作用および発明の効果】このようにすれば、内歯型砥
石は、内周歯が形成された比較的低い弾性率を有する内
周側砥粒層と、比較的高い弾性率を有してその内周側砥
粒層の外周側に固着される外周側保持部材とを含んで構
成される。そのため、内周面に外周側に向かう大きな応
力が作用した際には、内周側砥粒層は大きく変形しよう
とするが、その変形は弾性率が比較的高くされている外
周側保持部材から与えられる反力により抑制される。し
たがって、ドレッシング時に与えられる応力による変形
が抑制されて、内周歯の高い形状精度が得られると共に
高い効率でドレッシングをすることが可能となる。な
お、全体の弾性率は比較的高くされているが、歯車のホ
ーニング加工時には切込量が微小とされるため、内周側
砥粒層の有する比較的低い弾性率が作用して、歯車の歯
面は従来と同様に滑らかに仕上げられる。
【0007】ここで、好適には、前記外周側保持部材
は、軸心方向の全長に亘ってその径方向の厚みが均一に
される。このようにすれば、内周面に外周側に向かう応
力が作用した場合にも、その外周側保持部材から内周側
砥粒層に与えられる反力はその軸心方向の全長に亘って
均一とされる。そのため、例えばドレッシング時にドレ
ッサから与えられる応力による内周側砥粒層の変形が軸
心方向に均等に抑制されて、内周歯の一層高い形状精度
を得ることができる。
【0008】また、好適には、前記外周側保持部材の前
記径方向の厚みは、 5〜10mm程度とされる。 5mm未満で
はドレッシングの際の内周側砥粒層の変形を抑制する作
用が殆ど得られず、一方、10mmを越えるとそれ以上厚み
を増してもドレッシングの際に内周側砥粒層に与えられ
る反力が殆ど増加しないためである。なお、内周側砥粒
層の変形を抑制する作用を十分に得るためには、前記厚
みは 8mm以上とされることが一層好ましい。
【0009】また、好適には、前記外周側保持部材の熱
膨張係数は前記内周側砥粒層よりも小さくされる。この
ようにすれば、ホーニング加工或いはドレッシングによ
って内歯型砥石の温度が上昇した場合にも、内周側砥粒
層の熱膨張よりも外周側保持部材の熱膨張が小さいた
め、その内周側砥粒層の熱膨張が抑制されて内歯型砥石
全体の熱膨張すなわち外径寸法の変化が抑制される。し
たがって、温度が上昇している状態で取り外され、更に
取り付けられる場合にも比較的容易に作業を行うことが
可能となる。因みに、全体が砥粒層から構成されていた
従来の内歯型砥石の場合には、低弾性率の結合剤は同時
に高熱膨張率(例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂等
の熱硬化性樹脂では25×10-6/℃程度)であるため、温
度上昇した状態では取り外し及び再度の取付が困難であ
るという問題があった。
【0010】また、好適には、前記外周側保持部材は鋼
材から構成される。このようにすれば、鋼材は加工が比
較的容易であることから、内歯型砥石の外径寸法の高い
精度を比較的容易に得ることができる。すなわち、一般
に、内歯型砥石はホーニング加工装置の円筒状の内周面
を有するホルダに取り付けられて用いられるが、その際
の位置決めは内歯型砥石の外周面とホルダの内周面とで
行われるため、それらの間に隙間があると、ホルダの内
周面の回転軸心と内歯型砥石の外周面の軸心とにずれが
生じ得て、被削材である歯車の加工精度が低下し得るこ
ととなり、特に、そのずれが大きい場合には、内歯型砥
石の内周面の歯欠けが生じ得る。そのため、内歯型砥石
の外径公差は厳しく規定されているが、全体が砥粒層で
構成されている従来の内歯型砥石の場合には、高い加工
精度を得るためには加工に時間を要すると共に製造コス
トが増大するという問題があったのである。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0012】図1は、本発明の一実施例の歯車のホーニ
ング加工に用いられる内歯型砥石10の全体を示す図で
ある。内歯型砥石10は、全体がリング状を成すもので
あり、例えば外径がφ300mm 程度、内径がφ250mm 程
度、幅(軸心方向の長さ)が40mm程度の寸法に形成され
ている。この内歯型砥石10は、例えば外径がφ300mm
程度、内径がφ280mm 程度、幅が40mm程度の寸法の円環
状部材12と、幅が同様の寸法で内径がφ250mm 程度と
されてその内周面に例えばエポキシ樹脂等の接着剤で固
着されている砥石部14とから構成されている。すなわ
ち、円環状部材12および砥石部14の径方向の厚み
は、それぞれ10mm程度、15mm程度とされ、何れも軸心方
向の全長に亘って均一な厚みとされている。本実施例に
おいては、円環状部材12が外周側保持部材に、砥石部
14が内周側砥粒層にそれぞれ相当する。なお、上記全
体の寸法は、全体が砥粒層から構成された従来の内歯型
砥石と同様とされている。
【0013】上記円環状部材12は、例えば、S45C
調質鋼等の炭素鋼から成るものであり、例えば弾性率
(ヤング率をいう。以下の説明においても同じ)が2000
Pa程度、熱膨張係数が10×10-6/℃程度の特性を有する
ものであり、その外周面は、例えば寸法公差が±0.01mm
程度で平滑な表面に仕上げられている。
【0014】一方、上記砥石部14は、例えば、#180程
度の溶融アルミナ系砥粒がエポキシ樹脂等の熱硬化性樹
脂により結合されて成るものであり、例えば、弾性率が
200Pa程度、熱膨張係数が25×10-6/℃程度の特性を有
するものである。この弾性率すなわち結合剤の種類は、
歯車をホーニング加工した際にその歯車の歯面が形状を
損なわれず且つ可及的に滑らかになるように定められて
いる。この砥石部14の内周面には、図に部分的に示す
ように、例えば軸心方向に対して所定角度傾斜したハス
歯状の内周歯16が全周に亘って形成されている。な
お、前記砥石部14の内径は、内周歯16の歯先を通る
円筒面の直径である。
【0015】上記の内歯型砥石10は、例えば、図2
(a) ,(b) に示されるように、ハスバ歯車18の所定の
形状精度を得るために行われるホーニング加工に用いら
れるものである。図2(a) において、被削材であるハス
バ歯車18は、図示しない両端部において支持されてい
る回転軸20に、軸心方向および周方向の相対回転不能
に取り付けられている。そして、この回転軸20が、図
示しない駆動機構により駆動されることにより、ハスバ
歯車18は、その軸心回りに回転させられると共にその
軸心方向に往復移動させられる。一方、内歯型砥石10
は、その内周歯16がハスバ歯車18の外周歯と噛み合
うように、図2(a) に示されるようにその軸心が回転軸
20の軸心方向に対して所定角度傾斜し、且つ図2(b)
に示されるようにその軸心がハスバ歯車18の軸心から
所定距離離隔して配置されている。そして、外周面にお
いて図示しないホルダ等にその軸心回りの回転可能に取
り付けられることにより、ハスバ歯車18の回転に伴っ
て噛合状態を維持したまま連れ回りさせられる。これに
より、ハスバ歯車18には内歯型砥石10の内周歯16
の形状が転写されて形状精度が高められる。
【0016】ところで、上記のような内歯型砥石10に
おいても、砥石部14の内周歯16が摩耗した際にはド
レッサを用いて目立ておよび形状修正をする必要がある
が、そのドレッシング作業は、例えば、図2(a) ,(b)
においてハスバ歯車18に代えて同様な形状のドレッサ
を回転軸20に取り付けて行われるのが一般的である。
このとき、ドレッサは適当な切込量を与えるために内歯
型砥石10の内周面を押圧するように作用させられ、そ
の内周面および内周歯16には外周側へ向かう比較的大
きな応力が作用する。
【0017】この場合において、本実施例の内歯型砥石
10は、内周歯16が形成されて 200Pa程度と比較的低
い弾性率を有する砥石部14と、2000Pa程度と比較的高
い弾性率を有してその砥石部14の外周側に固着される
円環状部材12とを含んで構成されているため、内周面
に外周側に向かう大きな応力が作用した際には、砥石部
14は大きく変形しようとするが、その変形は弾性率が
比較的高くされている円環状部材12から与えられる反
力により抑制される。したがって、ドレッシング時に与
えられる応力による変形が抑制されて、内周歯16の高
い形状精度が得られると共に高い効率でドレッシングを
することが可能となる。なお、ドレッシング時の比較的
大きな応力に対する大きな変形は円環状部材12によっ
て抑制されているが、ハスバ歯車18のホーニング加工
時には切込量が微小とされるため、砥石部14の有する
比較的低い弾性率が作用して、従来と同様にハスバ歯車
18の歯面は滑らかに仕上げられる。
【0018】また、本実施例によれば、円環状部材12
は、前述のように軸心方向の全長に亘ってその径方向の
厚みが10mm程度と均一にされているため、内周面に外周
側に向かう応力が作用した場合に、その円環状部材12
から砥石部14に与えられる反力はその軸心方向の全長
に亘って均一となる。そのため、例えばドレッシング時
にドレッサから与えられる応力による砥石部14の変形
が軸心方向に均等に抑制されて、内周歯16の一層高い
形状精度を得ることができる。
【0019】また、円環状部材12の径方向の厚みは、
10mm程度と比較的厚くされているため、ドレッシングの
際の砥石部14の変形を十分に抑制することができる。
因みに、本発明者等の実験結果によれば、ドレッサの切
込量に対する砥石部14の内周面の実際の取れ量は、円
環状部材12の厚みが 0mm(すなわち、従来の全体が砥
粒層の内歯型砥石)の場合と比較すると、厚みが 5mmの
場合で 3〜4 %、 8mmの場合で10%、10mmの場合で13%
程度それぞれ増加する。
【0020】また、円環状部材12の熱膨張係数は10×
10-6/℃程度と砥石部14の熱膨張係数(25×10-6/℃
程度)よりも小さくされている。そのため、ホーニング
加工或いはドレッシングによって内歯型砥石10の温度
が上昇した場合にも、砥石部14の熱膨張よりも円環状
部材12の熱膨張が小さくなり、その砥石部14の熱膨
張が抑制されて内歯型砥石10全体の熱膨張すなわち外
径寸法の変化が抑制される。したがって、温度が上昇し
ている状態で取り外され、更に取り付けられる場合にも
比較的容易に作業を行うことが可能となる。
【0021】また、円環状部材12はS45C調質鋼等
の炭素鋼から構成されているため、加工が比較的容易で
あることから、前述のように±0.01mm程度と高い外径寸
法精度を比較的容易に得ることができる。一般に、ホー
ニング加工をするに際しては、内歯型砥石10が図示し
ないホルダの内周側に取り付けられるが、その際の位置
決めは内歯型砥石10の外周面とホルダの内周面との間
で行われるため、それらの間に隙間があると、ホルダの
内周面の回転軸心と内歯型砥石10の外周面の軸心とに
ずれが生じ得て、ハスバ歯車18の加工精度が低下し得
ることとなり、特に、そのずれが大きい場合には、内歯
型砥石10の内周歯16の歯欠けが生じ得る。そのた
め、内歯型砥石10の外径公差は厳しく規定されている
が、全体が砥粒層で構成されている従来の内歯型砥石の
場合には、高い加工精度を得るためには加工に時間を要
すると共に製造コストが増大するという問題があったの
である。
【0022】また、本実施例においては、ホーニング加
工をするに際して砥石として作用する径方向の厚み15mm
程度の内周側部分のみが砥粒層(すなわち砥石部14)
から構成されており、外周側は比較的安価な炭素鋼(す
なわち円環状部材12)から構成されている。そのた
め、内歯型砥石10の製造コストが低減される。
【0023】すなわち、内歯型砥石10は、ドレッシン
グが施されることにより内径が次第に大きくなるが、こ
のとき、内周歯16はピッチが変化せず圧力角が大きく
なる方向に変化する。そのため、被削材であるハスバ歯
車18の歯面の精度は徐々に悪化することとなることか
ら、内径の拡大量すなわち砥石部14の使用代は、例え
ば初期の内径が 250mmの場合に半径で 5〜8mm 程度が上
限である。従来の内歯型砥石はホーニング加工に供され
ない外周側部分を含む全体が砥粒層から構成されていた
たが、本実施例においては、砥石部14の径方向の厚み
が15mm程度と小さくされて加工に供される部分のみが砥
粒層から構成され、それよりも外周側の円環状部材12
は炭素鋼から構成されているため、製造コストが低減さ
れるのである。なお、内歯型砥石10は、前述のよう
に、全体の寸法は従来と同様とされているため、従来か
ら用いられてきたホルダに何ら加工を施すことなく用い
ることが可能である。
【0024】なお、上記の説明から明らかなように、本
実施例においては、全体の寸法が従来の内歯型砥石と同
様とされている一方、円環状部材12の径方向の厚みが
10mm程度に止められることにより、砥石部14の径方向
の厚み(歯先から円環状部材12の内周面までの厚み。
15mm程度)が使用代の上限(例えば 8mm程度)よりも十
分に大きくされているため、外周側に円環状部材12が
設けられていても砥粒層の使用代(厚み)が十分に確保
されている。したがって、内歯型砥石10の砥石寿命は
従来と同様に確保されており、砥石の取り替え頻度が高
くなるような弊害は生じない。
【0025】更に、従来の内歯型砥石においては、全容
積の80〜90%を占める外周側の砥粒層が廃棄されること
となって資源のムダが多かったが、本実施例の内歯型砥
石10においては、外周側が炭素鋼から成る円環状部材
12で構成されており、その円環状部材12の内周面に
砥石部14を繰り返し固着して用いることが可能である
ため、廃棄部分が少なくなって資源のムダも低減され
る。すなわち、砥石部14の摩耗が進んで使用不能とな
った状態においても、円環状部材12は何ら形状変化さ
せられていないため再度使用可能であり、結局廃棄され
るのは使用不能となったときに残存している僅かな砥粒
層のみとなるのである。しかも、繰り返し使用される円
環状部材12は、内歯型砥石10の外径寸法精度を得る
ための外周面の加工が不要であることから、内歯型砥石
10の製造コストが一層低減されることとなる。
【0026】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0027】例えば、前述の実施例においては、円環状
部材12としてS45C調質鋼等の炭素鋼が用いられて
いたが、円環状部材12は砥石部14よりも高い弾性率
を有するものであれば種々の材料が用いられ得る。例え
ば、ステンレス、工具鋼、軸受鋼等の特殊鋼や、アルミ
ニウム合金等の他の金属材料、或いは、FRP等も用い
られ得る。但し、使用時の外径の変化を防止するために
は、熱膨張係数が砥石部14よりも小さい材料であるこ
とが好ましく、実施例で用いた炭素鋼や特殊鋼等が好ま
しい。
【0028】また、実施例においては、砥石部14に溶
融アルミナ系砥粒が用いられた場合について説明した
が、砥粒の種類は特に限定されない。例えば、共溶融ア
ルミナ・ジルコニア砥粒や、微結晶性焼結アルミナ砥
粒、焼結アルミナ砥粒、炭化ケイ素砥粒、CBN砥粒、
ダイヤモンド砥粒等の種々の砥粒が用いられ得る。
【0029】また、砥石部14に用いられる結合剤は、
その砥石部14の弾性率が比較的低い、従来から内歯型
砥石に用いられている種々のものが用いられ得る。例え
ば、実施例で示したエポキシ樹脂の他に、フェノール樹
脂や、ポリエステル樹脂等が用いられても良い。
【0030】また、実施例においては、ハスバ歯車18
を加工するためのハスバ状の内周歯16を有する内歯型
砥石10に本発明が適用された場合について説明した
が、本発明は内周歯16を備えてリング状を成す内歯型
砥石であれば、ハスバ状の内周歯16を有するものに限
られず、平歯車等の加工に用いられる内歯型砥石にも同
様に適用される。また、内歯型砥石10の寸法は加工す
る歯車の寸法等に応じて適宜変更される。
【0031】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の内歯型砥石の全体を示す斜
視図である。
【図2】図1の内歯型砥石を用いて歯車のホーニング加
工をする状態を説明する図であり、(a) は軸心方向に平
行な(b) におけるa−a視断面を、(b) は軸心方向に垂
直な断面をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
10:内歯型砥石 12:円環状部材(外周側保持部材) 14:砥石部(内周側砥粒層) 16:内周歯

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周歯を有してリング状を成し、該内周
    歯に噛み合わされた歯車のホーニング加工を行うホーニ
    ング加工用内歯型砥石であって、 前記内周歯が形成された比較的低い弾性率を有する内周
    側砥粒層と、 円環状の外周面を備えて比較的高い弾性率を有し、前記
    内周側砥粒層の外周側に固着される外周側保持部材と
    を、含むことを特徴とするホーニング加工用内歯型砥
    石。
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