JPH08290257A - 耐摩耗性アルミニウム合金鋳物及びその製造法 - Google Patents

耐摩耗性アルミニウム合金鋳物及びその製造法

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JPH08290257A
JPH08290257A JP7117694A JP11769495A JPH08290257A JP H08290257 A JPH08290257 A JP H08290257A JP 7117694 A JP7117694 A JP 7117694A JP 11769495 A JP11769495 A JP 11769495A JP H08290257 A JPH08290257 A JP H08290257A
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JP
Japan
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molten
intermetallic compound
molten metal
aluminum alloy
casting
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JP7117694A
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English (en)
Inventor
Satoru Matsuo
松尾  識
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性及び耐凝着性に優れた摺動特性を有
するアルミニウム合金鋳物及びその製法に関するもの
で、該アルミニウム合金部材の他部材と摺動する摺動部
分に金属間化合物を複合化することにより該合金の摩耗
量を母材Al合金の1/10程度とし、かつ機械加工性
を向上させ低コストでの製造を可能とすることを目的と
している。 【構成】 アルミニウム合金鋳物を鋳造するダイカスト
鋳造機の金型1に溶湯を射出注湯するプランジャ2の給
湯部3にAl溶湯4をプロペラ等で攪拌する攪拌装置5
を設け、この給湯部にNi,Ti,Feより選択された
一種の金属粉末6を必要量だけ挿入し、攪拌装置5によ
りAl溶湯4中へ混合分散させる。Al溶湯中に混合し
た金属粉末6は、Al溶湯との固液反応により粒子界面
でAlとの金属間化合物を生成し、一部は溶湯中へ溶解
する。この混合溶湯7をプランジャ2によりゲート部8
を通って金型1内に射出し、ゲート部の乱流によって更
に均一分散化された溶湯で金型内を充填し冷却凝固させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性及び耐凝着性
に優れた摺動特性を有するアルミニウム合金鋳物及びそ
の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりアルミニウム合金の摩擦、摩耗
特性を向上させるために、材料中にセラミック粒子等の
高硬度の粒子を分散複合化させることが有効であること
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、摩擦摩耗特
性を向上させるためには、他部材と摺動するアルミニウ
ム合金鋳物の摺動部に硬質のセラミック粒子や金属間化
合物粒子を必要量だけ分散複合化する必要がある。
【0004】しかしながら、セラミック粒子を複合化さ
せた場合、粒子の硬さがHv1000〜2000と高す
ぎるため加工性が悪い不具合のほか、粒子の密着性が悪
いと脱落して相手方部材にダメージを与える等の不具合
を生ずる。
【0005】このため硬さがHv300〜1000程度
の金属間化合物を複合化する手法がある。その手法とし
ては、金属間化合物自体の粉末をAl合金に複合化させ
る手法があるが、Al基地と金属間化合物の界面の結合
や粉末自体が高コストである等の不具合がある。
【0006】また、Al合金溶湯中に金属間化合物を形
成させるための添加元素を加え溶解して鋳造する手法も
あるが、多量に添加すると融点が上昇し、鋳造が難しく
なるほか、偏析を生じて均質な材料を得るのが難しくな
る等の不具合がある。
【0007】更に金属間化合物を形成するための金属粉
末や金網を金型内にセットし、Al溶湯を注湯して反応
により金属間化合物を形成すると同時に鋳ぐるんで複合
化する方法があるが、ダイカスト等の凝固速度が早い鋳
造法では、反応時間が短かく、十分な量の金属間化合物
を形成することが難しい。
【0008】本発明は上記各従来技術の不具合点を解消
し、耐摩耗性、耐凝着性を向上すると共に、機械加工性
を向上させ、かつ低コストで製造可能なアルミニウム合
金鋳物を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の耐摩耗性アルミニウム合金鋳物は、他部材と摺
動する摺動部を有するアルミニウム合金鋳物であり、A
l(アルミニウム)と、Ni(ニッケル)、Ti(チタ
ニウム)、Fe(鉄)よりなる群から選ばれた少なくと
も一種の金属元素との金属間化合物が分散複合化されて
なることを特徴としている。
【0010】また上記アルミニウム合金鋳物を製造する
方法としては、ダイカストや溶湯鍛造等の金型加圧鋳造
において、アルミニウム(Al)溶湯にNi,Ti,F
eよりなる群から選ばれた金属粉末を混合した後、ただ
ちにプランジャにより金型に射出注湯し、その混合及び
凝固途中で金属粉末とAl溶湯の反応により金属間化合
物を生成すると同時にその金属間化合物を分散複合化さ
せることが好ましい。
【0011】
【作用】本発明においては上記手段を備えているため、
金属間化合物を複合化したアルミニウム合金はHv30
0〜1000の中程度の硬さの金属間化合物を形成する
ことにより、耐摩耗性及び耐凝着性を向上させる。
【0012】また、金属間化合物は、セラミック粒子よ
りは低硬度なため機械加工性が向上する。
【0013】更に比較的安価な金属粉末を用い、従来の
ダイカスト等の鋳造機を使用して鋳造時に金属間化合物
を形成させるため、低コストで製造することが可能であ
る。
【0014】
【実施例】以下本発明の1実施例として本発明を小型エ
ンジンシリンダに適用した例を図1によって説明する。
【0015】図1において、耐摩耗性アルミニウム合金
鋳物を鋳造するダイカスト鋳造機の金型1に溶湯を射出
注湯するプランジャ2の給湯部3に、Al溶湯4をプロ
ペラ等で攪拌する攪拌装置5を設ける。
【0016】そして、この給湯部3でNi,Ti,Fe
より選択された一種の金属粉末6を複合化率(5〜30
vol%)に対応する必要量だけ挿入し、攪拌装置5に
よりAl溶湯4中へ混合分散させる。
【0017】Al溶湯中に混合した金属粉末6はAl溶
湯4との固液反応により粒子界面で、Alとの金属間化
合物を生成し、一部は溶湯中へ溶解する。
【0018】この固液反応が進行中の混合溶湯7をプラ
ンジャ2によりゲート部8を通って金型1内へ射出し、
ゲート部8の乱流によって更に均一分散化された溶湯が
金型1内に充填される。
【0019】この混合攪拌及びプランジャ射出中に、金
属粉末とアルミニウムが反応し、Ni−Al,Fe−A
l,Ti−Al等の金属間化合物を形成する。
【0020】金型1内に充填された混合溶湯7は冷却に
よって凝固し、金属粉末6とAl溶湯4の固液反応によ
って形成された金属間化合物と、Al溶湯中へ溶解した
金属粉末元素が凝固時にAl母材中に晶出物として金属
間化合物を生成し、この結果該金属間化合物を分散複合
化した、エンジンシリンダ9が得られる。
【0021】更に金属粉末とAlとの反応が不十分な場
合には、後に熱処理を施して固相拡散反応させても良
い。
【0022】このような製法により、耐摩耗性の高いア
ルミニウム合金鋳物が得られる。
【0023】図2にNi粉末を用いた場合の金属粉末と
Al溶湯の反応の進行及び金属組織の模式図を示す。
【0024】同図中(a)はAl溶湯との混合時の状態
図、(b)は凝固時の状態図、(c)は金属組織を示
す。
【0025】図2(a)に示すように、混合攪拌から金
型射出までの間に、Al溶湯と反応したNi粉末は、N
i−Alの金属間化合物へ変化するとともに、最外周で
はAl溶湯中へ溶解していく。
【0026】つぎにこの混合溶湯を金型内に射出し、金
属間化合物を分散複合化するが、この溶湯の凝固時に、
図2(b)に示すように金属粉末から溶出したNiがA
lとの晶出化合物を形成し、Al母地中に微細に分散晶
出する。
【0027】そして、その金属組織は、Niの粒径、反
応時間、凝固速度等によって、図2(c)に示す状態図
にしたがって外殻よりNiAl3 、Ni2 Al3 、Ni
Alを形成し、中心にNiが残存する場合がある。ま
た、母地へ微細分散した晶出化合物はNiAl3 であ
る。
【0028】中心に残存したNiは、約500℃の熱処
理によって全部をNiAlに変換させることも可能であ
るが、Hv300以上の硬さが得られていれば多層構造
のものでも良い。
【0029】また、多層構造中のNi2 Al3 相は固体
潤滑能があり、他の硬質相との量比をコントロールする
ことにより、更に良好な摺動特性が得られる。
【0030】その摺動試験結果を摩耗量と金属間化合物
面積率との関係を図3に、金属間化合物の硬さと摩耗量
との関係を図4に示す。
【0031】図3では複合化した金属間化合物量の増加
に伴なって摩耗量は急激に減少し約10%の複合化率で
基地Al合金の1/5に減少し、それ以上の複合化では
その減少量は少なくなるが、約30%で1/10まで低
下したことがわかる。
【0032】次に図4に金属間化合物硬さと摩耗量との
関係を示すが、同図でわかるように化合物硬さの増加に
伴って摩耗量は低下してHv300で約1/5に減少す
る。更に硬さを上げると摩耗量も更に減少するがその減
少割合は小さくなりほぼ飽和してくる。
【0033】以上より耐摩耗性向上には複合化した金属
間化合物の硬さがHv300以上で複合化率が10%以
上あれば十分な効果が得られることを確認した。
【0034】以上本発明の1実施例について縷々説明し
たが、本発明は上記実施例に限定されるものでなく本発
明技術思想の範囲内において種々変更が可能であり、そ
れらは何れも本発明の技術的範囲に属する。
【0035】
【発明の効果】本発明によればアルミニウム合金部材の
他部材と摺動する摺動部分に金属間化合物を複合化する
ことにより、該複合化したアルミニウム合金の摩耗量は
母材Al合金の約1/10となり耐摩耗性が向上する。
【0036】また、金属間化合物はセラミック粒子(H
v1000〜2000)より低硬度なため、セラミック
粒子分散複合材に比べて機械加工性が向上する。
【0037】更に、比較的安価な金属粉末を用い、従来
のダイカスト等の鋳造機を使用して鋳造時に金属間化合
物を形成させることにより、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を小型エンジンシリンダに適用した実施
例の説明図である。
【図2】図1の方法で得られた金属間化合物複合材の金
属組織の模式図で、(a)はAl溶湯との混合時の状
態、(b)は凝固時の状態、(c)は金属組織を示す。
【図3】本発明における金属間化合物面積率と摩耗量の
相関図表である。
【図4】本発明における金属間化合物硬さと摩耗量の相
関図表である。
【符号の説明】
1 金型 2 プランジャ 3 給湯部 4 Al溶湯 5 攪拌装置 6 金属粉末 7 混合溶湯 8 ゲート部 9 エンジンシリンダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16J 10/00 F16J 10/00 A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 他部材と摺動する摺動部を有するアルミ
    ニウム合金鋳物であり、Al(アルミニウム)と、Ni
    (ニッケル)、Ti(チタニウム)、Fe(鉄)よりな
    る群から選ばれた少なくとも一種の金属元素との金属間
    化合物が分散複合化されてなることを特徴とする耐摩耗
    性アルミニウム合金鋳物。
  2. 【請求項2】 ダイカストや溶湯鍛造等の金型加圧鋳造
    において、アルミニウム(Al)溶湯にNi,Ti,F
    eよりなる群から選ばれた金属粉末を混合した後、ただ
    ちにプランジャにより金型に射出注湯し、その混合及び
    凝固途中で金属粉末とAl溶湯の反応により金属間化合
    物を生成すると同時にその金属間化合物を分散複合化さ
    せることを特徴とした耐摩耗性アルミニウム合金鋳物の
    製造法。
JP7117694A 1995-04-20 1995-04-20 耐摩耗性アルミニウム合金鋳物及びその製造法 Withdrawn JPH08290257A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1120471A1 (de) * 2000-01-24 2001-08-01 Ritter Aluminium Giesserei Gmbh Druckgiessverfahren und Vorrichtung zu seiner Durchführung
JP2002178130A (ja) * 2000-09-12 2002-06-25 Jason Sin Hin Lo ハイブリッド金属マトリクス組成物及びその製造方法
EP1344589A2 (de) * 2002-03-13 2003-09-17 Evgenij Dr. Sterling Verfahren und Vorrichtung zum Aufbereiten einer Schmelze einer Legierung für einen Giessvorgang

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