JPH08290168A - 塩素イオンを含む流水の電気分解装置および電気分解方法 - Google Patents

塩素イオンを含む流水の電気分解装置および電気分解方法

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JPH08290168A
JPH08290168A JP7132552A JP13255295A JPH08290168A JP H08290168 A JPH08290168 A JP H08290168A JP 7132552 A JP7132552 A JP 7132552A JP 13255295 A JP13255295 A JP 13255295A JP H08290168 A JPH08290168 A JP H08290168A
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electrolyzer
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chlorine
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JP7132552A
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Nobuhiro Shono
信浩 庄野
Masakatsu Kiyohara
正勝 清原
Kenji Tabata
研二 田端
Shuhei Kono
秀平 河野
Makoto Hayakawa
信 早川
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】塩素イオンを含む流水から殺菌性を有する水を
長期にわたり安定して供給しうる電気分解装置およびそ
の電気分解方法を提供すること。 【構成】 塩素イオンを含む流水を、少なくとも1対の
電極と、電極間に形成された流路と、流路に連通する液
体流入口と液体流出口を有する電気分解槽と、電極に電
圧を印加する電源からなる電気分解装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水道水、中水、井戸水
等を水源とする微量に塩素イオンを含む流水の電気分解
装置および電気分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動販売機の衛生保持システ
ムにおいて、水道水を貯留して、塩素発生用電極を用い
て電気分解して塩素ガスを発生させ、次亜塩素酸を生成
させて、前記貯留水を消毒する方法(SANYO TE
CHNICAL REVIEWVOL.21 NO.1
FEB.1989)が知られている。この場合、水道
水は貯留されているため、塩素ガスの発生濃度が低くて
も、一定時間が経過すると充分な濃度の次亜塩素酸を生
成でき、貯留水の消毒が実現される。
【0003】また、水道局の上水処理場においては、水
源から採取した水を消毒するため次亜塩素酸ナトリウム
が添加されている。
【0004】さらに、特開平4−330986には、陽
極と陰極を有した電気分解槽に食塩水を供給し、両電極
に直流電源を印加して遊離塩素水を製造し、それを水道
水、処理水等の配管に流出させて、諸設備を殺菌する方
法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】水道水等の配管からの
流水に殺菌性があれば、前記自動販売機の衛生保持シス
テムの場合のような閉鎖系での殺菌処理だけでなく、例
えば、台所の排水口、まな板の殺菌、便器の殺菌、防
汚、浴室の殺菌、防汚等のような大量の流水を必要とす
る用途においても、好適な殺菌処理ができることにな
り、衛生上好ましい。
【0006】前記自動販売機の衛生保持システムは、水
道水を貯留して電気分解を行うシステムであり、水道水
等の流水を電気分解するシステムとしてそのまま利用で
きるものではない。配管からの流水は、例えば、水道水
の場合、水道局の上水処理場において、次亜塩素酸ナト
リウムが添加されているが、次亜塩素酸ナトリウムは不
安定で長期に保存することができないため、家庭やオフ
ィスに水道水が到達したときには、すでにほとんど塩素
イオンに分解され、次亜塩素酸ナトリウムの形では存在
しない。したがって、水道局の上水処理場から配管を通
過してきた水の殺菌力はそのままでは乏しい。
【0007】また陽極と陰極を有した電気分解槽に食塩
水を供給し、両電極に直流電源を印加して遊離塩素水を
製造し、それを水道水、処理水等の配管に流出させて、
諸設備を殺菌する方法では、食塩水タンクが必要とな
る。したがって、大量の流水を必要とする用途において
は、食塩水の準備・供給のメンテナンスが必要があり、
かつ装置が大掛かりになりすぎてしまう。また、現状で
は、水道水等の微量に塩素イオンを含む流水を電気分解
して塩素ガスを発生させ、ひいては殺菌処理に必要な濃
度の次亜塩素酸を発生させるシステムは存在せず、高い
発生遊離塩素濃度と高い塩素発生効率とを長期に亘って
維持するための電気分解条件も不明である。(以後述べ
る遊離塩素とは次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンのこ
とを言う。) 本発明では、以上の事情に鑑み、水道水等の微量に塩素
イオンを含む流水から殺菌性を有する水を長期にわたり
安定して供給しうる電気分解装置および電気分解方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、少なくとも1対の電極と、電極間に形成さ
れた流路と、流路に連通する液体流入口と液体流出口を
有する電気分解槽と、電極に電圧を印加する電源からな
ることを特徴とする塩素イオンを含む流水の電気分解装
置を提供する。
【0009】本発明の好ましい態様においては、1対の
電極間の距離は0.2mmをこえる、より好ましくは
0.4mm以上とする。
【0010】本発明の好ましい態様においては、電極の
うち少なくとも陽極は塩素発生用電極とする。
【0011】本発明の好ましい態様においては、電極は
全て塩素発生用電極とする。
【0012】本発明の好ましい態様においては、塩素発
生用電極は、塩素発生触媒からなるようにする。
【0013】本発明の好ましい態様においては、塩素発
生用電極は、導電性材料の表面に、導電性の塩素発生触
媒からなる層を固定した電極にする。
【0014】本発明の好ましい態様においては、塩素発
生触媒は、少なくともイリジウム元素を含むようにす
る。
【0015】本発明の好ましい態様においては、塩素発
生触媒は、少なくとも白金元素とイリジウム元素を含む
ようにする。
【0016】本発明の好ましい態様においては、塩素発
生触媒は、白金元素とイリジウム元素とタンタル元素の
重量和に対して、タンタル元素を30重量%未満しか含
まないようにする。
【0017】本発明の好ましい態様においては、塩素発
生触媒からなる層の厚さは、0.1μm以上、より好ま
しくは0.2μm以上にする。
【0018】本発明の好ましい態様においては、塩素発
生触媒からなる層の厚さは、0.5μm以上にする。
【0019】本発明の好ましい態様においては、導電性
材料は、酸化抵抗力の大きい素材からなるようにする。
【0020】本発明の好ましい態様においては、導電性
材料は、チタンからなるようにする。
【0021】本発明の好ましい態様においては、1対の
電極間の一部にはスペーサーが設けられているようにす
る。
【0022】本発明の好ましい態様においては、スペー
サーは、1対の電極の外側から流路の側端部に嵌合する
構造であるようにする。
【0023】本発明の好ましい態様においては、スペー
サーの少なくとも表面の材質は、表面エネルギーの小さ
い材料からなるようにする。
【0024】本発明の好ましい態様においては、液体流
入口と、電極間に形成された流路と、液体流出口は、一
直線方向に形成されているようにする。
【0025】本発明の好ましい態様においては、電極間
に形成された流路の液体流入口側は、電極間に形成され
た流路の液体流出口側より下方に配置するようにする。
【0026】本発明の好ましい態様においては、電極間
に形成された流路の液体流入口側および液体流出口側の
端部には絶縁材を塗布するようにする。
【0027】本発明の好ましい態様においては、電極間
に形成された流路の液体流出口連通部の断面積は、電極
間に形成された流路の液体流入口連通部の断面積の1.
01倍以上になるようにする。
【0028】本発明の好ましい態様においては、電源
は、電極の極性の切り換えが可能な直流電源とする。
【0029】本発明の好ましい態様においては、電気分
解槽は、無隔膜型の電気分解槽であるようにする。
【0030】本発明の好ましい態様においては、液体流
入口から電気分解装置に入る液体は、水道水であるよう
にする。
【0031】本発明の好ましい態様においては、塩素イ
オンを含む流水の電気分解装置の電極間に、1100A
/m未満の電流密度で直流電流を流すようにする。
【0032】本発明の好ましい態様においては、塩素イ
オンを含む流水の電気分解装置の電極間に、300A/
以上の電流密度で直流電流を流すようにする。
【0033】本発明の好ましい態様においては、塩素イ
オンを含む流水の電気分解装置の電極間に、400乃至
600A/mの電流密度で直流電流を流すようにす
る。
【0034】本発明の好ましい態様においては、塩素イ
オンを含む流水の電気分解装置において、電気分解の停
止後、所定時間が経過するまでは流水を維持する。
【0035】本発明の好ましい態様においては、塩素イ
オンを含む流水の電気分解装置において、電極の極性を
適当に切り換えながら電気分解する。
【0036】本発明の好ましい態様においては、電極の
極性の切り換え回数は電気分解の延べ作動時間1時間当
たり12回未満とする。
【0037】本発明の好ましい態様においては、電極の
極性の切り換えは、電気分解の作動回数が10回以上と
なる毎に行うようにする。
【0038】本発明の好ましい態様においては、液体流
入口から入った流水を室温より高く50℃未満の温度に
加熱した後に電気分解するようにする。
【0039】
【作用】水道水、中水、井戸水等を水源とする微量の塩
素イオンを含む流水を、少なくとも1対の電極と、電極
間に形成された流路と、流路に連通する液体流入口と液
体流出口を有する電気分解槽と、電極に電圧を印加する
電源からなる電気分解装置で、電気分解することによ
り、台所の排水口、まな板の殺菌、便器の殺菌、防汚、
浴室の殺菌、防汚等のような大量の流水を必要とする用
途においても、好適な殺菌処理ができるようになる。し
かも、食塩水タンク等の塩素供給手段が不要なため、食
塩水の準備・供給のメンテナンスが不要となり、装置を
コンパクト化できる。
【0040】かかる構成により、上記開放系での用途に
おいて、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水が生成し
うる理由を以下に示す。水道水、中水、井戸水等を水源
とする塩素イオンを含む流水中には、例えば、水道水の
場合、水中には3〜40mg/lの塩素イオンが含まれ
ている。一方、台所の排水口、まな板の殺菌、便器の殺
菌、防汚、浴室の殺菌、防汚等のような大量の流水を必
要とする用途において、いずれも1mg/l以上の遊離
塩素が流水中に存在すれば殺菌、防汚に実用上充分であ
る。ここで、遊離塩素とは次亜塩素酸および次亜塩素酸
イオンのことをいう。遊離塩素は、塩素イオンが電気分
解装置中の陽極で塩素ガスに変化し、次いで塩素ガスが
流水中に溶解することにより生成し、この遊離塩素を含
む流水が殺菌水となる。したがって、上記の殺菌、防汚
処理に実用上充分な濃度の遊離塩素を得るには、電気分
解装置中の陽極での塩素ガスの発生効率を向上させる
か、塩素ガスの流水中での溶解度を向上させれば良い。
以後、実際に電極間に流した電気量のうち遊離塩素の発
生に使われた有効な電気量の割合を塩素発生効率、塩素
ガスが流水に溶解し生成した遊離塩素の濃度を発生遊離
塩素濃度ということにする。
【0041】塩素イオンを含む流水を、少なくとも1対
の電極と、電極間に形成された流路と、流路に連通する
液体流入口と液体流出口を有する電気分解槽と、電極に
電圧を印加する電源からなる電気分解装置により、充分
な殺菌能力を有する殺菌性の流水が生成しうることにな
る。
【0042】1対の電極間の距離が0.2mmをこえる
ことにより、塩素発生効率が向上し、それにより充分な
発生遊離塩素濃度が得られ、充分な殺菌能力を有する殺
菌性の流水を生成できるようになる。さらに0.4mm
以上とすると、より安定して充分な発生遊離塩素濃度が
得られるようになる。
【0043】陽極では塩素ガスと酸素ガスが生成しうる
が、電極のうち少なくとも陽極は塩素発生用電極とする
ことにより、塩素発生効率が向上し、それにより充分な
発生遊離塩素濃度が得られ、充分な殺菌能力を有する殺
菌性の流水を生成できるようになる。また、塩素発生効
率の向上により、電極ひいては電気分解槽の小型化も可
能となる。
【0044】電極は全て塩素発生用電極とすることによ
り、電極の極性を切り換えても塩素発生効率が変化しな
くなる。すなわち、流水に含まれるカルシウムイオンや
マグネシウムイオンが炭酸イオン等と反応して電極上に
スケールを形成するのを電極の極性の切り換えにより抑
制しつつ、充分な発生遊離塩素濃度を維持しうることに
なるので、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を長期
にわたり生成できるようになる。また、塩素発生効率の
向上により、電極ひいては電気分解槽の小型化も可能と
なる。
【0045】塩素発生用電極は、塩素発生触媒からなる
ようにすることにより、塩素発生効率がより向上し、そ
れにより充分な発生遊離塩素濃度が得られ、充分な殺菌
能力を有する殺菌性の流水を生成できるようになる。ま
た、塩素発生効率の向上により、電極ひいては電気分解
槽の小型化も可能となる。
【0046】塩素発生用電極は、導電性材料の表面に、
導電性の塩素発生触媒からなる層を固定した電極にする
ことにより、導電性材料をより自由に選択しうるように
なるので、例えば、導電性材料に塩素発生触媒より安価
な材料を選ぶことにより装置の製造コストを低減でき
る。また、塩素発生効率の向上により、電極ひいては電
気分解槽の小型化も可能となる。
【0047】塩素発生触媒は、少なくともイリジウム元
素を含むようにすることにより、流水中での塩素発生効
率がより向上し、それにより充分な発生遊離塩素濃度が
得られ、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成で
きるようになる。また、塩素発生効率の向上により、電
極ひいては電気分解槽の小型化も可能となる。
【0048】塩素発生触媒は、少なくとも白金元素とイ
リジウム元素を含むようにすることにより、白金の混入
が電極間への電圧印加時に起こる酸化イリジウム等の塩
素発生触媒の脱離を抑制するので、充分な殺菌能力を有
する殺菌性の流水を長期にわたり生成できるようにな
る。特に、白金元素がモル比で白金元素とイリジウム元
素の和に対して70%を越える、より好ましくは80%
以上にすると電極の寿命の向上に著しい効果がある。
【0049】塩素発生触媒は、白金元素とイリジウム元
素に対してタンタル元素を添加すると、初期における塩
素発生効率は向上するが、塩素発生触媒の脱離が促進さ
れる。白金元素とイリジウム元素とタンタル元素の重量
和に対して、タンタル元素を30重量%未満しか含まな
いようにすることにより、塩素発生触媒の脱離が抑制さ
れるので、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を長期
にわたり生成できるようになる。
【0050】塩素発生触媒からなる層の厚さは、0.1
μm以上、より好ましくは0.2μm以上にすることに
より、塩素発生触媒の脱離に起因する導電性材料と塩素
発生触媒との間の不導体層が形成しにくくなり、台所の
排水口、まな板の殺菌、便器の殺菌、防汚、浴室の殺
菌、防汚等に実用上必要な発生遊離塩素濃度の1mg/
l以上となるので、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流
水を生成できるようになる。
【0051】塩素発生触媒からなる層の厚さは、0.5
μm以上にすることにより、より不導体層が形成しにく
くなるため、台所の排水口、まな板の殺菌、便器の殺
菌、防汚、浴室の殺菌、防汚等のような大量の流水を必
要とする用途において実用上充分な殺菌能力を有する殺
菌性の流水を長期にわたり生成できるようになる。
【0052】導電性材料は、酸化抵抗力の大きい素材か
らなるようにすることにより、導電性材料と塩素発生触
媒との間に不導体層を形成しにくくなるので、充分な殺
菌能力を有する殺菌性の流水を長期にわたり生成できる
ようになる。
【0053】導電性材料は、チタンからなるようにする
ことにより、チタンは酸化抵抗力が大きいので導電性材
料と塩素発生触媒との間に不導体層を形成しにくくな
り、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を長期にわた
り生成できるようになる。なおかつ軽量で、機械的強度
も充分であるという利点もある。
【0054】1対の電極間の一部にはスペーサーが設け
られているようにすることにより、1対の電極間の距離
を一定に維持することができるようになるので、以下に
示す利点がある。第一に、電極上の電圧分布を均一にで
きるので、塩素発生触媒の不均一な脱離や不均一なスケ
ールの付着が生じにくくなり、長期にわたり充分な殺菌
能力を有する殺菌性の流水を生成できるようになる。第
二に、電極間距離が短過ぎる部分が生じることが防止さ
れるので、それに基づく塩素発生効率の低下を防止でき
る。第三に、電極間の短絡による装置の故障が防止され
る。
【0055】スペーサーを1対の電極の外側から電極間
に形成された流路の側端部に嵌合する構造にすることに
より、微小な電極間距離を有する電気分解槽の製造も容
易となる。また、電極間流路内のスペーサーの体積を減
少できるので、スペーサーに起因する水流の乱れを防止
できる。それによりうず滞留が防止され、流水中に澱み
部分が形成されにくくなる。したがって、流水中に澱み
部分が形成されることにより、その部分の受ける電気量
が増加して、水に含まれるカルシウムイオンやマグネシ
ウムイオンが、炭酸イオン等と反応して電極上にスケー
ルを形成しやすくなるのを有効に防止できるので、長期
にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成で
きるようになる。
【0056】スペーサーの少なくとも表面の材質は、表
面エネルギーの小さな材料からなるようにすることによ
り、スペーサーにスケールが付着することによる流路の
狭小化を防止することができる。そのため電極間距離が
短すぎる部分が局部的に生じず、流水の流速が低下する
部分が生じないことにより、特定部分の受ける電気量が
増加して、水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウ
ムイオンが、炭酸イオン等と反応して電極上にスケール
を形成しやすくなるのを有効に防止できる。したがって
長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生
成できるようになる。水の表面エネルギーは70erg
/cmであり、ポリテトラフルオロエチレンの表面エ
ネルギーは30erg/cm未満と小さく、この表面
エネルギーの差によりスケールがつきにくい。したがっ
て、水の表面エネルギーと40erg/cm以上の差
がある表面エネルギーの小さい材質であればスケールの
防止に有効である。表面エネルギーが30erg/cm
未満の好ましい材質としては、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリ六フッ化プロピレン、トリフルオロエチレ
ン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロシラ
ン、シロキサンフッ化物等が挙げられる。
【0057】電気分解槽において液体流入口と、電極間
に形成された流路と、液体流出口は、一直線方向に形成
されているようにすることにより、水のうず滞留が防止
され、流水中に澱み部分が形成されにくくなる。その結
果、流水中の澱み部分で受ける電気量が増加することに
より、水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイ
オンが炭酸イオン等と反応して電極上にスケールを形成
しやすくなるのを、有効に防止できる。したがって、よ
り長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を
生成できるようになる。さらに、電極で生成される水素
ガス及び酸素ガスの気泡が、電極間に形成された流路か
ら液体流出口に流水により直進し容易に電極表面から離
脱するようになるので、気泡の滞留に伴う塩素発生効率
の低下が有効に防止される。
【0058】電気分解槽において電極間に形成された流
路の液体流入口側は、電極間に形成された流路の液体流
出口側より下方に配置することにより、電極で生成され
る水素ガス及び酸素ガスの気泡がその浮力と流水により
電極間流路から外に速やかに離脱するようになる。した
がって、気泡の滞留に伴う塩素発生効率の低下が有効に
防止される。
【0059】電気分解槽において電極間に形成された流
路の液体流入口側および液体流出口側の端部には絶縁材
を塗布することにより、電極間に形成された流路の液体
流入口側および液体流出口側の端部における電流集中を
防止することができ、それに伴い水に含まれるカルシウ
ムイオンやマグネシウムイオンが炭酸イオン等と反応し
て電極上にスケールを形成しやすくなるのを、有効に防
止できる。したがって長期にわたり充分な殺菌能力を有
する殺菌性の流水を生成できるようになる。
【0060】電気分解槽において電極間に形成された流
路の流出口連通部の断面積は、電極間に形成された流路
の流入口連通部の断面積の1.01倍以上になるように
することにより、電極で生成される水素ガス及び酸素ガ
スの気泡に伴い流水の体積が増加し、流水の流速が低下
するのを防止することができる。その結果、流体の流速
低下に伴い、その部分の受ける電気量が増加して、水に
含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンが、炭
酸イオン等と反応して電極上にスケールを形成しやすく
なるのを有効に防止できる。したがって、長期にわたり
充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成できるよう
になる。
【0061】電極に電圧を印加する電源として、電極の
極性の切り換えが可能な直流電源とすることにより、極
性を切り換えた電圧の印加による電極の洗浄が可能とな
りスケールの付着を有効に防止できる。したがって長期
にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成で
きるようになる。
【0062】電気分解槽は、無隔膜型の電気分解槽であ
るようにすることにより、電気分解槽が簡易な構造とな
り、電極間隔を狭めることができるとともに、電気分解
電圧を低減することができる。
【0063】液体流入口から電気分解装置に入る液体
は、水道水とすることにより、水道水中には塩素イオン
と吸着または反応する有機成分が少ないので、液体流入
口から供給される塩素イオンをより効率良く塩素ガスに
変換できる。したがって、充分な殺菌能力を有する殺菌
性の流水を生成できるようになる。
【0064】塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電
極間に、1100A/m未満の電流密度で直流電流を
流すようにすることにより、塩素発生触媒の電極からの
脱離を抑制でき、長期にわたり充分な殺菌能力を有する
殺菌性の流水を生成できるようになる。
【0065】塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電
極間に、300A/m以上の電流密度で直流電流を流
すようにすることにより、1mg/l以上の濃度の次亜
塩素酸を生成できるので、台所の排水口、まな板の殺
菌、便器の殺菌、防汚、浴槽の殺菌、防汚等のような大
量の流水を必要とする用途においても、充分な殺菌能力
を有する殺菌性の流水を生成できるようになる。
【0066】塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電
極間に、400乃至600A/mの電流密度で直流電
流を流すようにすることにより、塩素発生効率を著しく
向上させることができる。
【0067】塩素イオンを含む流水の電気分解装置によ
る電気分解の停止後、所定時間が経過するまでは流水を
維持することにより、滞留水が電気分解される事態が確
実に回避されるので、陰極へのスケールの付着が抑制さ
れ、長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水
を生成できるようになる。
【0068】塩素イオンを含む流水の電気分解装置にお
いて、電極の極性を適当に切り換えながら電気分解する
ことにより、陰極へのスケールの付着が抑制される。し
たがって、長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性
の流水を生成できるようになる。
【0069】電極の極性の切り換えは電気分解の延べ作
動時間1時間当たり12回未満とすることにより、塩素
発生触媒の電極からの脱離を抑制できるので、長期にわ
たり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成できる
ようになる。
【0070】電極の極性の切り換えは、電気分解の作動
回数10回以上となる毎に行うようにすることにより、
塩素発生触媒の電極からの脱離を抑制できるので、長期
にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成で
きるようになる。
【0071】塩素イオンを含む流水の電気分解におい
て、液体流入口から入った流水を室温より高く50℃未
満に加熱した後に電気分解することにより、室温から5
0℃未満までは電気分解装置中の陽極で塩素ガスの発生
効率には変化がないが、塩素ガスの流水中での溶解度が
向上するので、遊離塩素の発生効率が向上する。したが
って、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成でき
るようになる。
【0072】
【実施例】本発明の具体的な実施例について図に基づい
て説明する。図1は、本発明に係る電気分解装置の構成
図を示している。図1において、水源から供給される塩
素イオンを含む流水は、液体流入口1から電気分解槽3
に入り、電極板間通過時に、塩素イオン、水酸イオンお
よび水素イオンが電気分解されることにより生成した次
亜塩素酸および次亜塩素酸イオンの遊離塩素等を含む殺
菌性の強い液体となり、液体流出口2から電気分解槽3
の外へと放出される。
【0073】ここで流水が電極板間を通過する時に電気
分解槽の陰極では化学式1に示す水素生成反応が生じ、
陽極では化学式2、化学式3に示す塩素生成反応と酸素
生成反応が競合して生じる。そして、陽極で塩素生成反
応が酸素生成反応より生じやすい条件ほど次亜塩素酸お
よび次亜塩素酸イオンの遊離塩素等の発生効率は高くな
る。
【0074】
【化1】
【化2】
【化3】
【0075】また上記電気分解装置により、次亜塩素酸
および次亜塩素酸イオンが生成しなくなるメカニズムと
しては3つの現象が確認されている。第1の現象は電極
中の塩素生成反応を促進する成分の流水中への脱離であ
り、第2の現象は電極の酸化等による不導体化であり、
第3の現象は電極表面への絶縁性スケールの付着による
不導体層の生成であり、いずれも塩素ガスを生成しなく
なるためである。
【0076】スケールの付着は、流水中に含まれるカル
シウムイオン、マグネシウムイオン等の陽イオンが電極
板間に到達したときに陰極側に引き寄せられ、炭酸イオ
ンと反応して炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の生
成物として電極表面へ付着していくことにより生じると
解される。実際にスケールの付託のひどい試料では結晶
性の炭酸カルシウムが粉末X線回折法により確認されて
いる。
【0077】次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンの生成
効率を向上するには、少なくとも陽極に塩素発生用電極
を使用するとよい。ここで、塩素発生用電極とは、塩素
生成反応を生じ得る電極であり、フェライト等の鉄系電
極、パラジウム系電極、ルテニウム系電極、イリジウム
系電極、白金系電極、ルテニウム−スズ系電極、パラジ
ウム−白金系電極、イリジウム−白金系電極、ルテニウ
ム−白金系電極、イリジウム−白金−夕ンタル系電極等
がある。
【0078】塩素発生用電極は、塩素発生触媒からなる
ようにしてもよいし、図2に示すように、導電性材料1
0の表面に、導電性の塩素発生触媒11からなる層を露
出固定した電極にしてもよい。
【0079】ここで塩素発生触媒とは、塩素生成反応を
起こしやすくする触媒のことであり、例えば、イリジウ
ム、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミ
ウム、鉄、コバルト、ニッケル等の元素を含む、金属ま
たは酸化物等の化合物が挙げられる。
【0080】導電性材料とは、良導体であれば基本的に
何でもよい。例えば、チタン、フェライト、銀、白金、
金、銅等が挙げられる。
【0081】導電性材料は、酸化抵抗力の大きい素材か
らなるようにするのが好ましい。導電性材料の酸化抵抗
力が小さいと、図3に示すように、酸化により導電性材
料10と塩素発生触媒11との間に絶縁性の酸化物等が
生じ、それが層を形成し、成長して一定以上の厚みに達
すると不導体層12となり電極板間に電流が流れなくな
ってしまうからである。ここでいう酸化抵抗力とは、流
水またはその中に含まれる酸化作用成分により酸化がさ
れにくいか、または酸化されても絶縁体を形成しにくい
程度をいう。特にチタンは高度湿度高圧下においても、
400℃まで酸化されないほど酸化抵抗力の大きい本発
明に好適な金属である。
【0082】1対の電極板間の距離は0.2mmをこえ
るようにするとよいが、電極板間の距離をかかる一定間
隔に維持するには、1対の電極板間の一部にはスペーサ
ーが設けられているようにする。
【0083】ここでスペーサーを設ける態様としては、
例えば、電極板4,4間に電極の流路方向に平行にスペ
ーサー9を挟みこむ構造(図4)や、外側から電極板
4,4間の側端部にスペーサー9を嵌合する構造(図
5)や、それを併用する方法等がある。電極面積が大き
い場合には図4、図5いずれの場合も、スペーサーを3
か所以上設けるようにすると、電極板間の距離の安定、
構造の安定が得やすい。
【0084】スペーサーの材質は短絡防止のため絶縁体
から形成するようにする。またスケールの付着防止のた
め、スペーサーの少なくとも表面の材質は、表面エネル
ギーの小さな材料からなるようにするほうがよい。ここ
で表面エネルギーの小さな材料とは、30erg/cm
未満の表面エネルギーを有する材料をいい、例えば、
テトラフルオロ基を含む樹脂成分等が挙げられ、中でも
ポリテトラフルオロエチレンが好適な材料である。
【0085】本発明に係る電気分解装置の具体的な構成
は、図1に示す構成を有する装置であれば基本的にどの
ようなものでもよい。例えば、図6、図7に示す態様も
考えられる。
【0086】図6は本発明に係る電気分解装置の実施態
様を示す図である。1対の電極板4,4と、電極間に形
成された流路5と、流路に連通する液体流入口1と液体
流出口2を有する電気分解槽3と、極性の切り換え可能
な直流電源6とからなり、液体流入口1と電極間に形成
された流路5、さらに電極間に形成された流路5と液体
流出口2は、電気分解槽3内の液体の流れる方向が夫々
直角になるように形成されている。
【0087】図7は本発明に係る電気分解装置の他の実
施態様を示す図であり、1対の電極板4,4と、電極間
に形成された流路5と、流路に連通する液体流入口1と
液体流出口2を有する電気分解槽3と、極性の切り換え
可能な直流電源6からなり、液体流入口1と、電極間に
形成された流路5と、液体流出口2は、電気分解槽3内
の液体の流れる方向が直線になるように形成されてい
る。
【0088】かかる電気分解装置により生成した次亜塩
素酸及び次亜塩素酸イオン等を含む殺菌性の強い液体
は、例えば、水回り機器の殺菌、防汚、洗浄に好適に利
用できる。
【0089】ここで、供給される水が水道水の場合に
は、電気分解装置により生成した塩素ガスが水に溶解し
てほとんど次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンとなる。こ
こで生成する次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンは高い殺
菌性を有する。一方、供給される水が中水または井戸水
の場合には、アミン系化合物が水中に存在するために、
電気分解装置により生成した塩素ガスの全てが水に溶解
して次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンとはならずに、ア
ミン系化合物と反応してクロロアミン、ジクロロアミ
ン、トリクロロアミン等の塩化アミンとなる場合もあ
る。これらの塩化アミンも殺菌性を有する。したがっ
て、ここで示す殺菌性の強い液体は、次亜塩素酸及び次
亜塩素酸イオンを含有する液体に限定されるものではな
く、塩化アミン等の他の殺菌成分を含有する液体を含
む。
【0090】また水回り機器とは、例えば、流し台、シ
ステムキッチンあるいはその一部であるシンク、トラッ
プ、調理台等やまな板、食器などの台所用部材、洗面
台、洗面器あるいはその一部であるシンク、トラップ、
水栓金具、ハブラシボックス、小物置き用棚等の洗面所
用部材、大便器、便座、局部洗浄器、便蓋、小便器等の
トイレ用部材、浴室、ユニットバス、サウナあるいはそ
の内部で使用する浴槽、洗い場、給湯機、水栓器具、シ
ャワー、石鹸置き、風呂蓋、鏡等の浴室用部材、洗濯
機、洗濯機パン、洗濯流し等の洗濯用部材のことであ
る。
【0091】以下具体的な評価実験に基づき説明する。 (評価実験1) (1)実験条件 電極板間距離及び電流密度を各々変えて水道水の電気分
解実験を行い、発生遊離塩素濃度と塩素発生効率とを調
べた。
【0092】図8に水道水の流水の電気分解方法を実施
するための実験装置の機器構成を示した。水道水を流量
調整バルブ21と流量計22とを介して電気分解装置へ
導いた。流量調整バルブ21により流量を調整し、流量
計22により流量を計測した。電気分解装置内に複数の
電極板4を所定の間隔で配設し、電極板間の流路を流れ
た水道水を電気分解槽3から排出してビーカー25に貯
水した。整流回路を有する直流電源装置26をAC10
0ボルトの家庭用電源に接続し、電気分解装置内に配設
した電極板を直流電源装置26に接続した。電極板間に
印加される電圧を電圧計27で計測し、電極板間を流れ
る電流を電流計28で計測した。
【0093】電気分解装置は図6に示した。1対の電極
板4,4と、電極間に形成された流路5と、流路に連通
する液体流入口1と液体流出口2を有する電気分解槽3
と、直流電源6からなり、液体流入口1と電極間に形成
された流路5は直角に形成されており、さらに電極間に
形成された流路5と液体流出口2も直角に形成されてい
るタイプの装置を使用し、図9に示すように、電気分解
槽3を、対角位置に液体流入口1及び液体流出口2を設
け一端が閉鎖された長方形断面の筒状部材3aと、筒状
部材3aの開放端を液密に閉鎖する蓋部材3bとにより
構成した。電極板4は、縦×横×板厚が70mm×50
mm×0.5mmの長方形板とした。 電極板間距離
は、0.19mm、0.43mm、0.86mmの3種
類とした。
【0094】電極板間距離が0.19mmと0.43m
mの場合には、図9に示すように、3枚の電極板4を電
気分解槽3内に配設した。各電極板4の接続端子4aを
電気分解槽3の外部へ導出し、両端の電極板4を陽極と
して、イリジウム被覆チタン電極を使用し、中央の電極
板4を陰極として、白金電極を使用した。電極板4間に
電極板間距離と等しい板厚のスペーサー9をかませて所
望の電極板間距離を確保した。スペーサー9に当接する
部分の面積を除いた実質の電極面積は、0.60dm
/極とした。
【0095】電極板間距離が0.86mmの場合には、
2枚の電極板4を電気分解槽3内に配設した。一方の電
極板4を陽極として、イリジウム被覆チタン電極を使用
し、他方の電極板4を陰極として、白金電極を使用し
た。電極板4間に電極板間距離と等しい板厚のスペーサ
ーをかませて所望の電極板間距離を確保した。スペーサ
ーに当接する部分の面積を除いた実質の電極面積は、
0.60dm/極とした。
【0096】水道水を、電気分解槽3の下部から電気分
解槽3内へ導き、電極板間距離が0.19mmと0.4
3mmの場合には、3枚の電極板4により形成される2
つの電極板間流路を、電極板間流路当たり0.24dm
/分の流量で経由させ、電極板間距離が0.86mm
の場合には、2枚の電極板4により形成される1つの電
極板間流路を、電極板間流路当たり0.26dm/分
の流量で経由させ、電気分解槽3の上部から電気分解槽
3外へ排出した。
【0097】電極板間に印加する電圧を変えて、電極板
間の電流密度を167A/m〜1000A/mの範
囲で数段階に亘って変化させ、電極板間距離と電流密度
との組み合わせ毎に、流水状態での2分の電気分解、流
水停止状態での1分の電気分解停止を10回繰り返し、
各回毎に、電気分解開始1分後に電気分解槽3外へ排出
される水道水を0.01dmサンプリングし、DPD
法により、排出水中の遊離塩素濃度を測定し、10回の
平均値を求めた。電気分解をする前の水道水の遊離塩素
濃度もDPD法により測定し、電気分解実験により得ら
れた排出水中の遊離塩素濃度から電気分解をする前の水
道水の遊離塩素濃度を差し引き、電気分解によって発生
した遊離塩素濃度を求め発生遊離塩素濃度とした。塩素
発生効率ηは数式1に従い求めた。
【0098】
【数1】
【0099】(2) 実験結果 電流密度が500A/mである場合の、発生した発生
遊離塩素濃度と電極板間距離との関係、および塩素発生
効率と電極板間距離との関係とを図10に示す。図10
から、台所の排水口、まな板の殺菌、便器の殺菌、防
汚、浴槽の殺菌、防汚等のような大量の流水を必要とす
る用途において充分な1mg/l以上の濃度の遊離塩素
を発生させるには、0.2mmをこえる電極板間距離が
必要であることが判明した。また電極板間距離が0.4
mm以上になると、発生遊離塩素濃度も、塩素発生効率
も一定して高い値が得られることが判明した。
【0100】電極板間距離が0.43mm、0.86m
mの場合の、発生遊離塩素濃度と電流密度との関係を図
11に示す。図11から、台所の排水口、まな板の殺
菌、便器の殺菌、防汚、浴槽の殺菌、防汚等のような大
量の流水を必要とする用途において充分な1mg/l以
上の濃度の遊離塩素を発生させるには、300A/m
以上の電流密度が必要であることが判明した。
【0101】電極板間距離が0.43mm、0.86m
mの場合の、塩素発生効率と電流密度との関係を図12
に示す。図12から、塩素発生効率は、電流密度が40
0乃至600A/mの電流密度範囲で極大となること
が判明した。
【0102】(評価実験2) (1) 実験条件 原則的に電極の極性を切り換えない場合と、電極の極性
を切り換える場合とにつき、水道水の流水の電気分解実
験を行い、発生遊離塩素濃度及び塩素発生効率の経時変
化を調べた。評価実験1と同一の図8、図9に示す実験
装置を用いた。但し直流電源装置26は12Vのスイッ
チング電源装置とした。電極板4は、縦×横×板厚が7
0mm×50mm×0.5mmの長方形板とした。3枚
の電極板4を電気分解槽3内に配設した。電極板間距離
は0.43mmとし、電極板間に電極板間距離と等しい
板厚のスペーサーをかませて所望の電極板間距離を確保
した。スペーサーに当接する部分の面積を除いた実質の
電極面積は、0.60dm/極とした。水道水を、電
気分解槽3の下部から電気分解槽3内へ導き、3枚の電
極板4により形成される2つの電極板間流路を、電極板
間流路当たり0.25dm/分の流量で経由させ、電
気分解槽3の上部から電気分解槽3外へ排出した。流水
状態での2分の電気分解、流水停止状態での1分の電気
分解休止を繰り返した。
【0103】原則的に電極の極性を切り換えない場合に
は、両端の電極板4にイリジウム被覆チタン電極を使用
し、中央の電極板4に白金電極を使用した。両端の電極
板4を陽極とし、中央の電極板4を陰極とした。延べ電
気分解作動時間が25.3時間の時点において両端の電
極板4を陰極とし、中央の電極板4を陽極とする電極の
極性切り換えを行い、延べ電気分解作動時間が37.3
時間の時点において、両端の電極板4を陽極とし、中央
の電極板4を陰極とする電極の極性切り換えを行った。
流水開始と同時に直流電源装置26をONにして電極板
4間に12Vの電圧を印加し、流水停止と同時に直流電
源装置26をOFFにして電極板4間の印加電圧を解除
した。
【0104】電極の極性を切り換える場合には、電極板
4は3枚全てイリジウム被覆チタン電極を使用した。両
端の電極板4を陽極とし、中央の電極板4を陰極とする
極性の組合せと、両端の電極板4を陰極とし、中央の電
極板4を陽極とする極性の組合せとの間で、各電気分解
毎に極性切り換えを行った。流水開始と同時に直流電源
装置26をONにして電極板4間に12Vの電圧を印加
し、延べ電気分解作動時間が4時間に達するまでは流水
停止と同時に直流電源装置26をOFFにして電極板4
間の印加電圧を解除し、延べ電気分解作動時間が4時間
に達した後は、流水停止10秒前に直流電源装置26を
OFFにして電極板4間の印加電圧を解除した。
【0105】適当な時間間隔で、電気分解開始1分後
に、電気分解槽3外へ排出される水道水を0.01dm
サンプリングし、DPD法により、排出水中の遊離塩
素濃度を測定し、10回の平均値を求めた。電気分解を
する前の水道水の遊離塩素濃度もDPD法により測定
し、電気分解実験により得られた排出水中の遊離塩素濃
度から電気分解をする前の水道水の遊離塩素濃度を差し
引き、電気分解によって発生した遊離塩素濃度を求め
た。塩素発生効率は評価実験1と同様に計算し求めた。
【0106】(2) 実験結果 原則的に電極の極性を切り換えない場合の発生した発生
遊離塩素濃度の経時変化を図13に、塩素発生効率の経
時変化を図14に示す。図13、図14から以下のこと
が判明した。発生遊離塩素濃度、塩素発生効率共に、延
べ電気分解作動時間が約7時間を越えると急激に低下
し、延べ電気分解作動時間が約21時間の時点では、電
気分解開始直後の約1/5にまで低下する。延べ電気分
解作動時間が約25.3時間の時点での電極の極性切り
換えと、延べ電気分解作動時間が37.3時間の時点で
の電極の極性切り換えとにより、発生した遊離塩素濃度
がそれぞれ約20%増加するが、切り換え後の電極の極
性を維持して電気分解を継続することにより、切り換え
前と同様の傾斜で、経時的に発生した遊離塩素濃度が低
下する。
【0107】電極の極性切り換えにより発生遊離塩素濃
度が増加したのは、陰極に付着したスケールが電極の極
性切り換えにより剥離したためと考えられる。従って、
電極の極性切り換えは、発生遊離塩素濃度の経時的な低
下、ひいては塩素発生効率の経時的な低下の抑制に有効
であると考えられる。
【0108】電極の極性切り換えた場合の発生遊離塩素
濃度の経時変化を図15に、塩素発生効率の経時変化を
図16に示す。図15、16から以下のことが判明し
た。発生遊離塩素濃度、塩素発生効率共に、延べ電気分
解作動時間が約4時間に達するまでは急速に低下する。
電極の極性切り換えを行っていたにも関わらず、発生遊
離塩素濃度、塩素発生効率が経時的に急速に低下したの
は、流水停止と同時に直流電源装置をOFFにしたこと
により、直流電源装置が備えるコンデンサの放電によ
り、流水停止後の滞留水の電気分解が行われ、陰極にス
ケールが付着したためと考えられる。発生した遊離塩素
濃度、塩素発生効率共に、延べ電気分解作動時間が約4
時間に達した後は、延べ電気分解作動時間205時間ま
で、電気分解開始直後の値とほぼ同程度の値が維持され
る。
【0109】低下した発生遊離塩素濃度、塩素発生効率
が、電気分解開始直後の値とほぼ同程度の値まで回復
し、その後回復した値が維持されたのは、流水停止10
秒前に直流電源装置をOFFにしたことにより、滞留水
が電気分解される事態が回避されて陰極への更なるスケ
ールの付着が阻止され、電極の極性切り換えにより、陰
極に付着したスケールが剥離したためと考えられる。
【0110】水道水の流水を電気分解して遊離塩素を生
成させ、遊離塩素を含有する水道水をキッチンに流し
て、キッチンの排水口、まな板等を消毒するシステムの
運転条件を12時間毎に2分間の継続運転とし、システ
ムの耐用年数を10年とすると、延べ運転時間は約24
0時間となる。したがって、本評価実験で用いた電気分
解装置及び使用条件においても、電気分解毎に電極の極
性を切り換え、かつ電気分解停止後に流水を停止するこ
とにより、前記システムの耐久性は実用上充分なものに
なることが分かる。
【0111】(評価実験3) (1) 実験条件 チタン基材表面に白金元素とイリジウム元素を含み、タ
ンタル元素を含まない塩素発生触媒層を約1μm形成し
た電極Aと、チタン基判表面に白金元素、イリジウム元
素、タンタル元素を元素の重量比13:55:32で含
む塩素発生触媒層を約1μm形成した電極Bを用い、電
極の寿命に対する塩素発生触媒層の組成の影響を調べ
た。
【0112】評価実験1と同一の図8、図9に示す実験
装置を用いた。直流電源装置26は12Vのスイッチン
グ電源装置とした。電極板4は、縦×横×板厚が70m
m×50mm×0.5mmの長方形板とした。3枚の電
極板4を電気分解槽3内に配設した。電極板間距離は
0.43mmとし、電極板4間に電極板間距離と等しい
板厚のスペーサー9をかませて所望の電極間距離を確保
した。スペーサーに当接する部分の面積を除いた実質の
電極面積は、0.60dm/極とした。水道水を、電
気分解槽3の下部から電気分解槽3内へ導き、3枚の電
極板4により形成される2つの電極板間流路を、電極板
間流路当たり0.25dm/分の流量で経由させ、電
気分解槽3の上部から電気分解槽3外へ排出した。電流
密度は500A/mとした。
【0113】流水状態での5分の電気分解、流水停止状
態での1分の電気分解休止を10回繰り返し、各回毎
に、電気分解開始1分後に電気分解槽外へ排出される水
道水を0.01dmサンプリングし、DPD法によ
り、排出水中の遊離塩素濃度を測定し、10回の平均値
を求めた。電気分解をする前の水道水の遊離塩素濃度を
DPD法により測定し、電気分解実験により得られた排
出水中の遊離塩素濃度から電気分解をする前の水道水の
遊離塩素濃度を差し引き、電気分解によって発生した遊
離塩素濃度を求めた。
【0114】(2) 実験結果 図17に電極A、Bを用いたときの延べ電気分解作動時
間に対する発生塩素濃度の変化を示す。その結果、電極
Bでは約72時間において発生塩素濃度の急激な低下が
観察されたのに対し、電極Aでは1000時間をこえて
も発生塩素濃度の低下は認められず、良好な耐久性を示
すことが判明した。
【0115】(評価実験4) (1) 実験条件 チタン基材表面に白金元素とイリジウム元素を含み、タ
ンタル元素を含まない塩素発生触媒層を形成した電極を
用い、発生塩素濃度に対する塩素発生触媒層の厚さの影
響を調べた。
【0116】評価実験1と同一の図8、図9に示す実験
装置を用いた。直流電源装置26は12Vのスイッチン
グ電源装置とした。電極板4は、縦×横×板厚が70m
m×50mm×0.5mmの長方形板とした。3枚の電
極板4を電気分解槽3内に配設した。電極板間距離は
0.43mmとし、電極板4間に電極板間距離と等しい
板厚のスペーサー9をかませて所望の電極間距離を確保
した。スペーサー9に当接する部分の面積を除いた実質
の電極面積は、0.60dm/極とした。水道水を、
電気分解槽3の下部から電気分解槽3内へ導き、3枚の
電極板4により形成される2つの電極板間流路を、電極
板間流路当たり0.25dm/分の流量で経由させ、
電気分解槽3の上部から電気分解槽3外へ排出した。電
流密度は500A/mとした。
【0117】流水状態での5分の電気分解、流水停止状
態での1分の電気分解休止を10回繰り返し、各回毎
に、電気分解開始1分後に電気分解槽外へ排出される水
道水を0.01dmサンプリングし、DPD法によ
り、排出水中の遊離塩素濃度を測定し、10回の平均値
を求めた。電気分解をする前の水道水の遊離塩素濃度を
DPD法により測定し、電気分解実験により得られた排
出水中の遊離塩素濃度から電気分解をする前の水道水の
遊離塩素濃度を差し引き、電気分解によって発生した遊
離塩素濃度を求めた。
【0118】(2) 実験結果 図18に、発生遊離塩素濃度と塩素発生触媒層の厚さと
の関係を示す。図より塩素発生触媒層の厚さが0.1μ
mで発生遊離塩素濃度がほぼ1mg/lに達し、0.2
μmになると安定して1mg/l以上の発生塩素濃度が
得られることが判明した。
【0119】(評価実験5) (1)実験条件 チタン基判表面に白金元素とイリジウム元素を含み、タ
ンタル元素を含まない塩素発生触媒層を約1μm形成し
た電極を用い、電極の寿命に対する電流密度の影響を調
べた。電極の寿命は塩素発生触媒層の減少厚さで評価し
た。
【0120】評価実験1と同一の図8、図9に示す実験
装置を用いた。直流電源装置26は12Vのスイッチン
グ電源装置とした。電極板4は、縦×横×板厚が70m
m×50mm×0.5mmの長方形板とした。3枚の電
極板4を電気分解槽3内に配設した。電極板間距離は
0.43mmとし、電極板4間に電極板間距離と等しい
板厚のスペーサー9をかませて所望の電極間距離を確保
した。スペーサー9に当接する部分の面積を除いた実質
の電極面積は、0.60dm/極とした。水道水を、
電気分解槽3の下部から電気分解槽3内へ導き、3枚の
電極板4により形成される2つの電極板間流路を、電極
板間流路当たり0.25dm/分の流量で経由させ、
電気分解槽3の上部から電気分解槽3外へ排出した。流
水状態での5分の電気分解、流水停止状態での1分の電
気分解休止を繰り返し、電気分解毎に極性を切り換え
た。電流密度は550A/m、及び1100A/m
で試験した。
【0121】(2) 実験結果 図19に電流密度を550A/mと1100A/m
とした時の延べ電気分解作動時間と塩素発生触媒層の厚
さの減少値の関係を示す。その結果、1100A/m
では延べ電気分解作動時間1000時間程度で塩素発生
触媒の厚さの減少値が1μmとなるのに対し、550A
/mでは延べ時間1600時間でも減少値は、0.8
9μmであった。これより1100A/m未満であれ
ば良好な耐久性を示すことが判明した。
【0122】(評価実験6) (1) 実験条件 チタン基材表面に白金元素とイリジウム元素を含み、タ
ンタル元素を含まない塩素発生触媒層を約1μm形成し
た電極を用い、電極の寿命に対する極性の切り換え頻度
の影響を調べた。電極の寿命は塩素発生触媒層の減少厚
さで評価した。
【0123】評価実験1と同一の図8、図9に示す実験
装置を用いた。直流電源装置26は12Vのスイッチン
グ電源装置とした。電極板4は、縦×横×板厚が70m
m×50mm×0.5mmの長方形板とした。3枚の電
極板4を電気分解槽3内に配設した。電極板間距離は
0.43mmとし、電極板4間に電極板間距離と等しい
板厚のスペーサーをかませて所望の電極間距離を確保し
た。スペーサーに当接する部分の面積を除いた実質の電
極面積は、0.60dm/極とした。水道水を、電気
分解槽3の下部から電気分解槽3内へ導き、3枚の電極
板4により形成される2つの電極板間流路を、電極板間
流路当たり0.25dm/分の流量で経由させ、電気
分解槽3の上部から電気分解槽3外ヘ排出した。流水状
態での5分の電気分解、流水停止状態での1分の電気分
解休止を繰り返し、電気分解1回毎及び10回毎に極性
を切り換え、試験した。
【0124】(2) 実験結果 図20に、延べ電気分解作動時間の640時間までの電
気分解の作動1回毎及び10回毎に極性を切り換えた場
合のそれぞれの塩素発生触媒層の厚さの減少値を示す。
電気分解の作動10回毎に極性を切り換えた場合のほう
が、塩素発生触媒層の厚さの減少値は小さく、良好な耐
久性を示すと解される。また、電気分解作動時間から考
察すると、1回の電気分解作動時間は5分であるから1
回毎に極性切り換えをおこなうと延べ電気分解作動時間
1時間あたり12回の極性切り換えを行うことになる。
したがって、電気分解作動時間1時間当たり12回未満
のほうが、塩素発生触媒層の厚さの減少値は小さく、良
好な耐久性を示すと解される。
【0125】(評価実験7) (1) 実験条件 図6に示す液体流入口1と、電極間に形成された流路5
は直角に形成されており、かつ電極間に形成された流路
5と、液体流出口2は直角に形成されている構造の電気
分解装置Aとし、図7に示す液体流入口1と、電極間に
形成された流路5と、液体流出口2が一直線方向に形成
されている構造の電気分解装置Bを作製し、流水量を固
定して発生遊離塩素濃度及び塩素発生効率に対する電気
分解装置の構造の影響を調べた。
【0126】評価実験1と同一の図8、図9に示す実験
装置を用いた。直流電源装置26は12Vのスイッチン
グ電源装置とした。電極板4は、縦×横×板厚が70m
m×50mm×0.5mmの長方形板とした。2枚の電
極板4を電気分解槽3内に配設した。電極板間距離は
0.43mmとし、電極板4間に電極板間距離と等しい
板厚のスペーサー9をかませて所望の電極間距離を確保
した。スペーサー9に当接する部分の面積を除いた実質
の電極面積は、0.60dm/極とした。水道水を、
電気分解槽3の下部から電気分解槽3内ヘ導き、2枚の
電極板4により形成される電極板間流路を、電極板間流
路当たり0.25dm/分の流量で経由させ、電気分
解槽3の上部から電気分解槽3外へ排出した。電流密度
は500A/mとした。
【0127】流水状態での5分の電気分解、流水停止状
態での1分の電気分解休止を10回繰り返し、各回毎
に、電気分解開始1分後に電気分解槽外へ排出される水
道水を0.01dmサンプリングし、DPD法によ
り、排出水中の遊離塩素濃度を測定し、10回の平均値
を求めた。電気分解をする前の水道水の遊離塩素濃度を
DPD法により測定し、電気分解実験により得られた排
出水中の遊離塩素濃度から電気分解をする前の水道水の
遊離塩素濃度を差し引き、電気分解によって発生した遊
離塩素濃度を求めた。塩素発生効率は評価実験1と同様
に計算し求めた。
【0128】(2)実験結果 表1に発生遊離塩素濃度と電気分解装置の構造の関係お
よび、塩素発生効率と電気分解装置の構造の関係を示
す。
【0129】
【表1】
【0130】表1より電気分解装置Bのほうが、電気分
解装置Aよりも、発生遊離塩素濃度、塩素発生効率とも
優れていることが判明した。
【0131】(評価実験8) (1)実験条件 チタン基判表面に白金元素とイリジウム元素を70:3
0(モル比)含む塩素発生触媒層を約1μm形成した電
極Cと、チタン基材表面に白金元素とイリジウム元素を
80:20(モル比)含む塩素発生触媒層を約1μm形
成した電極Dを作製し、電極の寿命に対する塩素発生触
媒層の組成の影響を調べた。
【0132】評価実験1と同一の図8、図9に示す実験
装置を用いた。電極板4は、40mm角の正方形板と
し、2枚の電極板4を電気分解槽3内に配設した。電極
板間距離は0.5mmとし、電極板4間に電極板間距離
と等しい板厚のテフロン製のスペーサー9をかませて所
望の電極間距離を確保した。スペーサー9に当接する部
分の面積を除いた実質の電極面積は、0.14dm
極とした。水道水を、電気分解槽3の下部から電気分解
槽3内へ導き、2枚の電極板4により形成される電極板
間流路を、電極板間流路当たり0.5dm/分の流量
で経由させ、電気分解槽3の上部から電気分解槽3外へ
排出した。流水状態での5分の電気分解、流路停止状態
での1分の電気分解休止を繰り返し、電気分解毎に極性
を切り換えた。電流密度は550A/mとした。
【0133】電極の寿命は、延べ電気分解作動時間に対
する補正電圧の変化で評価した。ここで補正電圧とは、
水道水の比伝導度の変化により電圧が受ける影響を検量
線を用いて補正した電圧であり、原水比伝導度ρT=1
50μS/cmとして補正した。補正電圧は一般に延べ
電気分解作動時間が長時間経過すると急激に上昇する
が、これは電極が不導体化するためである。すなわち電
極の不導体化する時間を調べることにより、電極の寿命
が判断できる。
【0134】(2)実験結果 図21に電極Cおよび電極Dを用いた場合の延べ電気分
解作動時間に対する補正電圧の変化を示す。図より電極
Cを用いた場合は、延べ電気分解作動時間が1000時
間程度で補正電圧の急激な上昇が生じるのに対し、電極
Dを用いた場合は、1400時間程度まで補正電圧の急
激な上昇は認められなかった。したがって、白金元素と
イリジウム元素の和に対し、モル比で白金が80%以上
あると、電極の寿命が向上することが判明した。
【0135】図22に電極Cおよび電極Dを用いた場合
の延べ電気分解作動時間に対する塩素発生触媒層の膜厚
の変化を示す。
【0136】図から、白金の比率を増加させると電極寿
命が向上する2つの理由が考えられる。1つの理由は電
極が不導体化する塩素発生触媒層の膜厚が白金の比率の
増加により薄くなることである。すなわちモル比で白金
が80%以上ある電極Dでは延べ電気分解作動時間が1
400時間で補正電圧の上昇が認められ、この時点での
塩素発生触媒層の膜厚は0.2μm以下であったが、電
極Cでは延べ電気分解作動時間が1000時間で補正電
圧の上昇が認められ、この時点での塩素発生触媒層の膜
厚は0.4μmであったことから理解できる。もう1つ
の理由は塩素発生触媒の厚みが薄くなるに従い、塩素発
生触媒の脱離が起こりにくくなる傾向が生じることであ
る。すなわち、図22から電極Cは塩素発生触媒の膜厚
が直線的に減少するのに対して、モル比で白金が80%
以上ある電極Dは0.3μmの塩素発生触媒の膜厚付近
で膜厚の減少割合が緩やかになることから理解できる。
【0137】
【発明の効果】本発明では、水道水、中水、井戸水等を
水源とする微量に塩素イオンを含む流水を、少なくとも
1対の電極と、電極間に形成された流路と、流路に連通
する液体流入口と液体流出口を有する電気分解槽と、電
極に電圧を印加する電源からなる電気分解装置により、
電気分解することにより、台所の排水口、まな板の殺
菌、便器の殺菌、防汚、浴槽の殺菌、防汚等のような大
量の流水を必要とする用途においても、好適な殺菌処理
ができるようになる。しかも、食塩水タンク等の塩素供
給手段が不要なため、食塩水の準備・供給のメンテナン
スが不要となり、装置をコンパクト化できる。
【0138】1対の電極間の距離が0.2mmをこえる
ことにより、塩素発生効率が向上し、それにより充分な
発生遊離塩素濃度が得られ、充分な殺菌能力を有する殺
菌性の流水を生成できるようになる。さらに0.4mm
以上とすると、より安定して充分な発生遊離塩素濃度が
得られるようになる。
【0139】陽極では塩素ガスと酸素ガスが生成しうる
が、電極のうち少なくとも陽極は塩素発生用電極とする
ことにより、塩素発生効率が向上し、それにより充分な
発生遊離塩素濃度が得られ、充分な殺菌能力を有する殺
菌性の流水を生成できるようになる。また、塩素発生効
率の向上により、電極ひいては電気分解槽の小型化も可
能となる。
【0140】電極は全て塩素発生用電極とすることによ
り、電極の極性を切り換えても塩素発生効率が変化しな
くなる。すなわち、流水に含まれるカルシウムイオンや
マグネシウムイオンが炭酸イオン等と反応して電極上に
スケールを形成するのを電極の極性切り換えにより抑制
しつつ、充分な発生遊離塩素濃度を維持しうることにな
るので、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を長期に
わたり生成できるようになる。また、塩素発生効率の向
上により、電極ひいては電気分解槽の小型化も可能とな
る。
【0141】塩素発生用電極は、塩素発生触媒からなる
ようにすることにより、塩素発生効率がより向上し、そ
れにより充分な発生遊離塩素濃度が得られ、充分な殺菌
能力を有する殺菌性の流水を生成できるようになる。ま
た、塩素発生効率の向上により、電極ひいては電気分解
槽の小型化も可能となる。
【0142】塩素発生用電極は、導電性材料の表面に、
導電性の塩素発生触媒からなる層を固定した電極にする
ことにより、導電性材料をより自由に選択しうるように
なるので、例えば、導電性材料に塩素発生触媒より安価
な材料を選ぶことにより装置の製造コストを低減でき
る。また、塩素発生効率の向上により、電極ひいては電
気分解槽の小型化も可能となる。
【0143】塩素発生触媒は、少なくともイリジウム元
素を含むようにすることにより、流水中での塩素発生効
率がより向上し、それにより充分な発生遊離塩素濃度が
得られ、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成で
きるようになる。また、塩素発生効率の向上により、電
極ひいては電気分解槽の小型化も可能となる。
【0144】塩素発生触媒は、少なくとも白金元素とイ
リジウム元素を含むようにすることにより、白金の混入
が電極間への電流印加時に起こる酸化イリジウム等の塩
素発生触媒の脱離を抑制するので、充分な殺菌能力を有
する殺菌性の流水を長期にわたり生成できるようにな
る。特に、白金元素がモル比で白金元素とイリジウム元
素の和に対して70%を越える、より好ましくは80%
以上にすると電極の寿命の向上に著しい効果がある。
【0145】塩素発生触媒は、白金元素とイリジウム元
素に対してタンタル元素を添加すると、初期における塩
素発生効率は向上するが、塩素発生触媒の脱離が促進さ
れる。白金元素とイリジウム元素とタンタル元素の重量
和に対して、タンタル元素を30重量%未満しか含まな
いようにすることにより、塩素発生触媒の脱離が抑制さ
れるので、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を長期
にわたり生成できるようになる。
【0146】塩素発生触媒からなる層の厚さは、0.1
μm以上、より好ましくは0.2μm以上にすることに
より、塩素発生触媒の脱離に起因する導電性材料と塩素
発生触媒との間の不導体層が形成しにくくなり、台所の
排水口、まな板の殺菌、便器の殺菌、防汚、浴室の殺
菌、防汚等に実用上必要な発生遊離塩素濃度の1mg/
l以上となるので、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流
水を生成できるようになる。
【0147】塩素発生触媒からなる層の厚さは、0.5
μm以上にすることにより、より不導体層が形成しにく
くなるため、台所の排水口、まな板の殺菌、便器の殺
菌、防汚、浴室の殺菌、防汚等のような大量の流水を必
要とする用途において実用上充分な殺菌能力を有する殺
菌性の流水を長期にわたり生成できるようになる。
【0148】導電性材料は、酸化抵抗力の大きい素材か
らなるようにすることにより、導電性材料と塩素発生触
媒との間に不導体層を形成しにくくなるので、充分な殺
菌能力を有する殺菌性の流水を長期にわたり生成できる
ようになる。
【0149】導電性材料は、チタンからなるようにする
ことにより、チタンは酸化抵抗力が大きいので導電性材
料と塩素発生触媒との間に不導体層を形成しにくくな
り、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を長期にわた
り生成できるようになる。なおかつ軽量で、機械的強度
も充分であるという利点もある。
【0150】1対の電極間の一部にはスペーサーが設け
られているようにすることにより、1対の電極間の距離
を一定に維持することができるようになるので、第一
に、電極上の電圧分布を均一にできるので、塩素発生触
媒の不均一な脱離や不均一なスケールの付着が生じにく
くなり、長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の
流水を生成できるようになる。第二に、電極間距離が短
すぎる部分が生じることが防止されるので、それに基づ
く塩素発生効率の低下を防止できる。第三に、電極間の
短絡による装置の故障が防止される。
【0151】スペーサーを1対の電極の外側から電極間
に形成された流路の側端部に嵌合する構造にすることに
より、微小な電極間距離を有する電気分解槽の製造も容
易となる。また、電極間流路内のスペーサーの体積を減
少できるので、スペーサーに起因する水流の乱れを防止
できる。それによりうず滞留が防止され、流水中に澱み
部分が形成されにくくなる。したがって、流水中に澱み
部分が形成されることにより、その部分の受ける電気量
が増加して、水に含まれるカルシウムイオンやマグネシ
ウムイオンが、炭酸イオン等と反応して電極上にスケー
ルを形成しやすくなるのを有効に防止できるので、長期
にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成で
きるようになる。
【0152】スペーサーの少なくとも表面の材質は、表
面エネルキーの小さな材料からなるようにすることによ
り、スペーサーにスケールが付着することによる流路の
狭小化を防止することができる。そのため電極間距離が
短すぎる部分が局部的に生じず、流水の流速が低下する
部分が生じないことにより、特定部分の受ける電気量が
増加して、水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウ
ムイオンが、炭酸イオン等と反応して電極上にスケール
を形成しやすくなるのを有効に防止できる。したがって
長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生
成できるようになる。水の表面エネルギーは70erg
/cmであり、ポリテトラフルオロエチレンの表面エ
ネルギーは30erg/cm未満と小さく、この表面
エネルギーの差によりスケールがつきにくい。したがっ
て、水の表面エネルギーと40erg/cm以上の差
がある表面エネルギーの小さい材質であればスケールの
防止に有効である。表面エネルギーが30erg/cm
未満の好ましい材質としては、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリ六フッ化プロピレン、トリフルオロエチレ
ン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロシラ
ン、シロキサンフッ化物等が挙げられる。
【0153】電気分解槽において液体流入口と、電極間
に形成された流路と、液体流出口は、一直線方向に形成
されているようにすることにより、水のうず滞留が防止
され、流水中に澱み部分が形成されにくくなる。その結
果、流水中に澱み部分で受ける電気量が増加することに
より、水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイ
オンが炭酸イオン等と反応して電極上にスケールを形成
しやすくなるのを、有効に防止できる。したがって、よ
り長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を
生成できるようになる。さらに、電極で生成される水素
ガス及び酸素ガスの気泡が、電極間に形成された流路か
ら液体流出口に流水により直進し容易に電極表面から離
脱するようになるので、気泡の滞留に伴う塩素発生効率
の低下が有効に防止される。
【0154】電気分解槽において電極間に形成された流
路の液体流入口側は、電極間に形成された流路の液体流
出口側より下方に配置することにより、電極で生成され
る水素ガス及び酸素ガスの気泡がその浮力と流水により
電極間流路から外に速やかに離脱するようになる。した
がって、気泡の滞留に伴う塩素発生効率の低下が有効に
防止される。
【0155】電気分解槽において電極間に形成された流
路の液体流入口側および液体流出口側の端部には絶縁材
を塗布することにより、電極間に形成された流路の液体
流入口側および液体流出口側の端部における電流集中を
防止することができ、それに伴い水に含まれるカルシウ
ムイオンやマグネシウムイオンが炭酸イオン等と反応し
て電極上にスケールを形成しやすくなるのを、有効に防
止できる。したがって長期にわたり充分な殺菌能力を有
する殺菌性の流水を生成できるようになる。
【0156】電気分解槽において電極間に形成された流
路の流出口連通部の断面積は、電極間に形成された流路
の流入口連通部の断面積の1.01倍以上になるように
することにより、電極で生成される水素ガス及び酸素ガ
スの気泡に伴い流体の体積が増加しても、流体の流速が
低下するのを防止することができる。その結果、流体の
流速低下に伴い、その部分の受ける電気量が増加して、
水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン
が、炭酸イオン等と反応して電極上にスケールを形成し
やすくなるのを有効に防止できる。したがって長期にわ
たり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成できる
ようになる。
【0157】電極に電圧を印加する電源として、電極の
極性の切り換えが可能な直流電源とすることにより、極
性を切り換えた電圧の印加による電極の洗浄が可能とな
りスケールの付着を有効に防止できる。したがって長期
にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成で
きるようになる。
【0158】電気分解槽は、無隔膜型の電気分解槽であ
るようにすることにより、電気分解槽が簡易な構造とな
り、電極間隔を狭めることができるとともに、電気分解
電圧を低減することができる。
【0159】液体流入口から電気分解装置に入る液体
は、水道水とすることにより、水道水中には塩素イオン
と吸着または反応する有機成分が少ないので、液体流入
口から供給される塩素イオンをより効率良く塩素ガスに
変換できる。したがって、充分な殺菌能力を有する殺菌
性の流水を生成できるようになる。
【0160】塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電
極間に、1100A/m未満の電流密度で直流電流を
流すようにすることにより、塩素発生触媒の電極からの
脱離を抑制でき、長期にわたり充分な殺菌能力を有する
殺菌性の流水を生成できるようになる。
【0161】塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電
極間に、300A/m以上の電流密度で直流電流を流
すようにすることにより、1mg/l以上の濃度の次亜
塩素酸を生成できるので、台所の排水口、まな板の殺
菌、便器の殺菌、防汚、浴槽の殺菌、防汚等のような大
量の流水を必要とする用途においても、充分な殺菌能力
を有する殺菌性の流水を生成できるようになる。
【0162】塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電
極間に、400乃至600A/mの電流密度で直流電
流を流すようにすることにより、塩素発生効率を著しく
向上させることができる。
【0163】塩素イオンを含む流水の電気分解装置によ
る電気分解の停止後、所定時間が経過するまでは流水を
維持することにより、滞留水が電気分解される事態が確
実に回避されるので、陰極へのスケールの付着が抑制さ
れ、長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水
を生成できるようになる。
【0164】塩素イオンを含む流水の電気分解装置にお
いて、電極の極性を適当に切り換えながら電気分解する
ことにより、陰極へのスケールの付着が抑制される。し
たがって、長期にわたり充分な殺菌能力を有する殺菌性
の流水を生成できるようになる。
【0165】電極の極性の切り換えは電気分解の延べ作
動時間1時間当たり12回未満とすることにより、塩素
発生触媒の電極からの脱離を抑制できるので、長期にわ
たり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成できる
ようになる。
【0166】電極の極性の切り換えは電気分解の作動回
数10回以上となる毎に行うようにすることにより、塩
素発生触媒の電極からの脱離を抑制できるので、長期に
わたり充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成でき
るようになる。
【0167】塩素イオンを含む流水の電気分解におい
て、液体流入口から入った流水を室温より高く50℃未
満に加熱した後に電気分解することにより、室温から5
0℃未満までは電気分解装置中の陽極で塩素ガスの発生
効率には変化がないが、塩素ガスの流水中での溶解度が
向上するので、遊離塩素の発生効率が向上する。したが
って、充分な殺菌能力を有する殺菌性の流水を生成でき
るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気分解装置の構成図。
【図2】本発明に係る塩素発生用電極を示す図。
【図3】本発明に係る塩素発生用電極の劣化機構の1つ
を示す図。
【図4】本発明に係る電気分解装置の電極間にスペーサ
ーを設ける態様を示す図。
【図5】本発明に係る電気分解装置の電極間にスペーサ
ーを設ける他の態様を示す図。
【図6】本発明に係る電気分解装置Aの実施態様を示す
図。
【図7】本発明に係る電気分解装置Bの実施態様を示す
図。
【図8】本発明の実施例に係る水道水の流水の電気分解
を実施するための実験装置の機器構成図。
【図9】図8の電気分解槽の分解斜視図。
【図10】発生遊離塩素濃度、塩素発生効率と電極板間
距離との関係を示す図。
【図11】発生遊離塩素濃度と電流密度との関係を示す
図。
【図12】塩素発生効率と電流密度との関係を示す図。
【図13】原則的に電極の極性の切り換えを行わない場
合の、発生遊離塩素濃度の経時変化を示す図。
【図14】原則的に電極の極性の切り換えを行わない場
合の、塩素発生効率の経時変化を示す図。
【図15】電極の極性の切り換えを行う場合の、発生遊
離塩素濃度の経時変化を示す図。
【図16】電極の極性の切り換えを行う場合の、塩素発
生効率の経時変化を示す図。
【図17】電極中の塩素発生触媒の組成が異なる場合
の、延べ電気分解作動時間に対する発生遊離塩素濃度の
変化を示す図。
【図18】発生遊離塩素濃度と塩素発生触媒層の膜厚と
の関係を示す図。
【図19】電流密度が異なる場合の、延べ電気分解作動
時間に対する塩素発生触媒層の膜厚の減少値を示す図。
【図20】電気分解1回毎及び10回毎に極性を切り換
えた場合の延べ電気分解作動時間に対する塩素発生触媒
層の膜厚の減少値を示す図。
【図21】電極Cおよび電極Dを用いた場合の延べ電気
分解時間に対する補正電圧の変化を示す図。
【図22】電極Cおよび電極Dを用いた場合の延べ電気
分解時間に対する塩素発生触媒層の膜厚の変化を示す
図。
【符号の説明】
1 液体流入口 2 液体流出口 3 電気分解槽 4 電極 5 電極間に形成された流路 6 電源 7 バルブ 9 スペーサー 10 導電性材料 11 塩素発生触媒 12 不導体層 21 流量調整バルブ 22 流量計 25 ビーカー 26 直流電源 27 電圧計 28 電流計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/76 C25B 9/00 C25B 9/00 11/10 C 11/10 B01J 23/64 102M (72)発明者 河野 秀平 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 早川 信 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1対の電極と、電極間に形成
    された流路と、流路に連通する液体流入口と液体流出口
    を有する電気分解槽と、電極に電圧を印加する電源から
    なることを特徴とする塩素イオンを含む流水の電気分解
    装置。
  2. 【請求項2】 前記1対の電極間の距離は0.2mmを
    こえることを特徴とする請求項1に記載の塩素イオンを
    含む流水の電気分解装置。
  3. 【請求項3】 前記電極のうち少なくとも陽極は塩素発
    生用電極であることを特徴とする請求項1乃至2の何れ
    か1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  4. 【請求項4】 前記電極は全て塩素発生用電極であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至2の何れか1項に記載の塩
    素イオンを含む流水の電気分解装置。
  5. 【請求項5】 前記塩素発生用電極は、塩素発生触媒か
    らなることを特徴とする請求項3乃至4の何れか1項に
    記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  6. 【請求項6】 前記塩素発生用電極は、導電性材料の表
    面に、導電性の塩素発生触媒からなる層を固定した電極
    であることを特徴とする請求項3乃至4の何れか1項に
    記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  7. 【請求項7】 前記塩素発生触媒は、少なくともイリジ
    ウム元素を含むことを特徴とする請求項5乃至6の何れ
    か1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  8. 【請求項8】 前記塩素発生触媒は、少なくとも白金元
    素とイリジウム元素を含むことを特徴とする請求項5乃
    至6の何れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気
    分解装置。
  9. 【請求項9】 前記塩素発生触媒は、白金元素とイリジ
    ウム元素とタンタル元素の重量和に対して、タンタル元
    素を30重量%未満しか含まないことを特徴とする請求
    項8に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  10. 【請求項10】 前記塩素発生触媒からなる層の厚さ
    は、0.1μm以上であることを特徴とする請求項6乃
    至9の何れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気
    分解装置。
  11. 【請求項11】 前記塩素発生触媒からなる層の厚さ
    は、0.5μm以上であることを特徴とする請求項6乃
    至9の何れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気
    分解装置。
  12. 【請求項12】 前記導電性材料は、酸化抵抗力の大き
    い素材からなることを特徴とする請求項6乃至11の何
    れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装
    置。
  13. 【請求項13】 前記導電性材料は、チタンからなるこ
    とを特徴とする請求項6乃至11の何れか1項に記載の
    塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  14. 【請求項14】 前記1対の電極間の一部にはスペーサ
    ーが設けられていることを特徴とする請求項1乃至13
    の何れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解
    装置。
  15. 【請求項15】 前記スペーサーは、1対の電極の外側
    から流路の側端部に嵌合する構造であることを特徴とす
    る請求項14に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解
    装置。
  16. 【請求項16】 前記スペーサーの少なくとも表面の材
    質は、表面エネルギーの小さい材料からなることを特徴
    とする請求項14乃至15の何れか1項に記載の塩素イ
    オンを含む流水の電気分解装置。
  17. 【請求項17】 前記電気分解槽において液体流入口
    と、電極間に形成された流路と、液体流出口は、一直線
    方向に形成されていることを特徴とする請求項1乃至1
    6の何れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分
    解装置。
  18. 【請求項18】 前記電気分解槽において電極間に形成
    された流路の液体流入口側は、電極間に形成された流路
    の液体流出口側より下方に配置することを特徴とする請
    求項1乃至17の何れか1項に記載の塩素イオンを含む
    流水の電気分解装置。
  19. 【請求項19】 前記電気分解槽において電極の液体流
    入口側および液体流出口側の端部に絶縁材を塗布するこ
    とを特徴とする請求項1乃至18の何れか1項に記載の
    塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  20. 【請求項20】 前記電気分解槽において電極間に形成
    された流路の液体流出口連通部の断面積は、電極間に形
    成された流路の液体流入口連通部の断面積の1.01倍
    以上にすることを特徴とする請求項1乃至19の何れか
    1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  21. 【請求項21】 前記電源は、電極の極性の切り換えが
    可能な直流電源であることを特徴とする請求項1乃至2
    0の何れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分
    解装置。
  22. 【請求項22】 前記電気分解槽は、無隔膜型の電気分
    解槽であることを特徴とする請求項1乃至21の何れか
    1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解装置。
  23. 【請求項23】 前記液体流入口から電気分解装置に入
    る液体は、水道水であることを特徴とする請求項1乃至
    22の何れか1項に記載の塩素イオンを含む流水の電気
    分解装置。
  24. 【請求項24】 請求項1乃至23の何れか1項に記載
    の塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電極間に、1
    100A/m未満の電流密度で直流電流を流すことを
    特徴とする塩素イオンを含む流水の電気分解方法。
  25. 【請求項25】 請求項1乃至23の何れか1項に記載
    の塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電極間に、3
    00A/m以上の電流密度で直流電流を流すことを特
    徴とする塩素イオンを含む流水の電気分解方法。
  26. 【請求項26】 請求項1乃至23の何れか1項に記載
    の塩素イオンを含む流水の電気分解装置の電極間に、4
    00乃至600A/mの電流密度で直流電流を流すこ
    とを特徴とする塩素イオンを含む流水の電気分解方法。
  27. 【請求項27】 請求項1乃至23の何れか1項に記載
    の塩素イオンを含む流水の電気分解装置において、電気
    分解の停止後、所定時間が経過するまでは流水を維持す
    ることを特徴とする塩素イオンを含む流水の電気分解方
    法。
  28. 【請求項28】 請求項1乃至23の何れか1項に記載
    の塩素イオンを含む流水の電気分解装置において、電極
    の極性を切り換えながら電気分解することを特徴とする
    塩素イオンを含む流水の電気分解方法。
  29. 【請求項29】 前記電極の極性の切り換え回数は電気
    分解の延べ作動時間1時間当たり12回未満とすること
    を特徴とする請求項28記載の塩素イオンを含む流水の
    電気分解方法。
  30. 【請求項30】 前記電極の極性の切り換えは、電気分
    解の作動回数10回以上となる毎に行うことを特徴とす
    る請求項28に記載の塩素イオンを含む流水の電気分解
    方法。
  31. 【請求項31】 請求項1乃至23の何れか1項に記載
    の塩素イオンを含む流水の電気分解装置において、液体
    流入口から入った流水を室温より高く50℃未満の温度
    に加熱した後に電気分解することを特徴とする塩素イオ
    ンを含む流水の電気分解方法。
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