JPH08286033A - 赤色蛍光変換膜及びそれを用いた赤色発光素子 - Google Patents

赤色蛍光変換膜及びそれを用いた赤色発光素子

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JPH08286033A
JPH08286033A JP8023609A JP2360996A JPH08286033A JP H08286033 A JPH08286033 A JP H08286033A JP 8023609 A JP8023609 A JP 8023609A JP 2360996 A JP2360996 A JP 2360996A JP H08286033 A JPH08286033 A JP H08286033A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 青色発光有機エレクトロルミネッセンス素子
の発光色を高い変換効率で赤色光に変換できる赤色蛍光
変換膜、及び安価で小型化,薄肉化が可能な赤色発光素
子を提供すること。 【解決手段】 (a)ローダミン系蛍光顔料と、(b)
青色領域に吸収を有し且つ該ローダミン系蛍光顔料への
エネルギー移動又は再吸収を誘起する蛍光顔料と、を光
透過性媒体に分散したものからなる赤色蛍光変換膜であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は赤色蛍光変換膜及び
それを用いた赤色発光素子に関し、さらに詳しくは、青
色発光有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略
記する)素子の発光色を33%以上の高い変換効率で赤
色光に変換できる赤色蛍光変換膜、及びこのものと発光
素子部とからなり、高い変換効率で赤色光を発生し、か
つ安価で小型化,薄肉化が可能な赤色発光素子に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】電界発光を利用したEL素子は、自己発
光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、
耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表
示装置における発光素子としての利用が注目されてい
る。このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いて
なる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素
子とがあり、このうち、有機EL素子は、印加電圧を大
幅に低くしうるために、次世代の表示素子としてその実
用化研究が積極的になされている。ディスプレイ素子と
して、上記有機EL素子の用途を広げるためには、ブラ
ウン管(CRT)や液晶表示装置(LCD)の例でみら
れるように、多色化が必要なことは明白である。
【0003】従来、EL素子を用いて多色表示装置を作
製する方法としては、例えば(1)赤(R),緑
(G),青(B)の三原色で発光するEL材料をマトリ
ックス状に配置する方法(特開昭57−157487号
公報,特開昭58−147989号公報,特開平3−2
14593号公報など)、(2)白色で発光するEL素
子とカラーフィルターを組み合わせRGBの三原色を取
り出す方法(特開平1−315988号公報,特開平2
−273496号公報,特開平3−194895号公報
など)、(3)青色で発光するEL素子と蛍光変換膜と
を組み合わせRGBの三原色に変換する方法(特開平3
−152897号公報)などが知られている。
【0004】しかしながら、上記(1)の方法は、三種
類の発光材料を高精細にマトリックス状に配置しなけれ
ばならないために、技術的に困難で、安価に製造するこ
とができない上、三種の発光材料の寿命が一般に異なる
ことが多いために、時間とともに色度がずれてしまうな
どの欠点を有している。また、(2)の方法は、白色で
発光するEL素子の出力光の一部分をカラーフィルター
で取り出して利用するものであるから、EL光の利用効
率、すなわち変換効率が低いという欠点がある。例え
ば、白色EL光が単純に強度の等しいRGB三原色から
なっていて、これから赤色をカラーフィルターを用いて
取り出すものとすると、最高で33%の変換効率しか得
られない。実際には、発光スペクトルや視感度などを考
慮すると、これよりもかなり低い変換効率しか得られな
い。これらに対し、(3)の方法においては、RGBの
三原色がそれぞれ33%以上の変換効率で得られれば、
上記(2)の方法よりも優れた方法となる。
【0005】ところで、EL素子に蛍光変換膜を積層方
向に配置して、EL発光色の色調を多様に変化させる方
法は公知である(特公昭63−18319号公報,特開
平3−152897号公報)。RGBのうち青は有機E
L素子自体が出しているのでそれを利用すればよい。こ
の場合、強いて変換効率を記述すれば100%となる。
また、緑に関しては、特開平3−152897号公報に
開示されているように、クマリン153を用いて80%
の変換効率で得られている。ところが、EL素子の青色
光を33%以上の変換効率で赤色に変換する方法はこれ
まで知られていない。例えば、特公平5−32879号
公報や特公平5−33514号公報に開示されているよ
うに、青緑発光無機EL素子の発光層中に赤色蛍光色素
であるローダミンを分散させたものでは発光色が白色に
なり、赤色発光は得られない。さらに、青緑発光無機E
L素子の外側にローダミンBからなる蛍光変換膜を取り
付けたもの(実開昭63−77299号公報),あるい
はピンク系蛍光顔料(シンロイヒ社製FA001)から
なる蛍光変換膜を取り付けたもの(特開平6−1631
59号公報)でも発光色は白色であり、赤色発光は得ら
れていない。また、青色発光有機EL素子にフェノキサ
ゾン9からなる蛍光変換膜と色度調整用カラーフィルタ
ーを取り付けた場合は(特開平3−152897号公
報)、色度x=0.62,y=0.33の赤色光が得られる
ものの、変換光は明所可視程度の弱いものであり、変換
効率は極めて低い。
【0006】また、特開平2−158091号公報にお
いては、主刺激波長が440nmから560nmであ
り、且つ、その主発光波長が510nmから650nm
である蛍光性物質が記載されているが、この蛍光性物質
は少なくとも青色光をカット(遮断)できるような吸収
を有しないので、結果的には、白色光しか得られていな
い。さらに、特開昭60−220597号公報において
も、ピーク波長460〜520nmの光を吸収して、ピ
ーク波長590〜610nmの範囲内で発光する波長変
換蛍光体が記載されているが、選択的に460〜520
nmの青色光をカットできるような蛍光体を使用してお
らず、選択的に赤色光を得ることはできない。このよう
に、一般にローダミン系蛍光顔料やフェノキサゾン系蛍
光顔料に代表される赤色蛍光顔料は、青色領域に吸収を
もたないので、これらのみを赤色蛍光変換膜に用いて
も、元の青色光が充分にカットできず、変換光である赤
色と混ざり、結局選択的に赤色光が得られない。また、
このような赤色蛍光変換膜に、青色光をカットするため
に、色度調整用カラーフィルターを重ねると赤色変換効
率が低下するのを免れない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術がもつ欠点を克服し、青色発光有機EL素子の
発光色を33%以上の高い変換効率で赤色光に変換でき
る赤色蛍光変換膜、及びこの赤色蛍光変換膜を用いた安
価で小型化,薄肉化が可能な赤色発光素子を提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ローダミン系
蛍光顔料に、青色光を充分にカットできるように青色領
域に吸収をもち、かつ該ローダミン系蛍光顔料への効果
的なエネルギー移動又は再吸収を起こさせるような蛍光
顔料を混合し、これを光透過性媒体に分散したものから
なる蛍光変換膜が、有機EL素子からの青色発光を33
%以上の高い変換効率で赤色光に変換しうること、そし
てこの赤色蛍光変換膜と発光素子部とからなる素子は、
高変換効率で赤色光を発生し、かつ安価で小型化,薄肉
化が可能であることを見出した。本発明は、かかる知見
に基づいて完成したものである。
【0009】すなわち、本発明は、(a)ローダミン系
蛍光顔料と、(b)青色領域に吸収を有し且つ該ローダ
ミン系蛍光顔料へのエネルギー移動又は再吸収を誘起す
る蛍光顔料と、を光透過性媒体に分散したものからなる
赤色蛍光変換膜、並びに、該赤色蛍光変換膜と発光素子
部とからなる赤色発光素子を提供するものである。この
ような本発明の赤色蛍光変換膜は、ローダミン系蛍光顔
料と、ナフタルイミド系又はクマリン系等の蛍光顔料と
を、光透過性媒体に分散したものからなることが好まし
く、ローダミン系蛍光顔料のみ、又はナフタルイミド系
蛍光顔料若しくはクマリン系蛍光顔料のみを光透過性媒
体に分散したものからなる蛍光変換膜では、33%以上
の高い変換効率が得られないか、又は赤色の透過光が得
られない。
【0010】
【発明の実施の形態】具体的には、青色光をカットでき
るように青色領域に吸収を有し、且つローダミン系蛍光
顔料へのエネルギー移動又は再吸収を誘起する蛍光顔料
は、520nm以下の青色領域に吸収を有し、420〜
490nmにOD1.0以上の吸収を有することが好まし
く、このような蛍光顔料によって青色光を充分にカット
できる。また、(a)成分であるローダミン系蛍光顔料
は、450〜610nmに吸収を有し、上記(b)成分
である蛍光顔料と吸収領域が一部交わっているため、
(b)蛍光顔料からの効果的なエネルギー移動が可能と
なる。あるいは又、(a)ローダミン系蛍光顔料は、
(b)蛍光顔料からの蛍光を再吸収することも可能であ
る。そして、(a)ローダミン系蛍光顔料は、600n
m以上の赤色の蛍光を発するものである。上記のように
蛍光顔料を組み合わせて、光透過性媒体に分散したもの
からなる蛍光変換膜は、有機EL素子からの青色光を高
い変換効率(33%以上)で赤色光に変換するため、赤
色発光を得ることができる。
【0011】ところが、例えばローダミン系蛍光顔料の
みを光透過性媒体に分散したものからなる蛍光変換膜で
は、有機EL素子からの青色光を充分にカットできない
ため、赤色の変換光に青色光が混ざり、その結果選択的
に赤色光は得られない。そして、これに青色をカットす
るための色度調整用カラーフィルターを重ねると赤色変
換光は得られるものの、変換効率は33%未満と低い
(比較例1及び2参照)。一方、ナフタルイミド系蛍光
顔料のみ又はクマリン系蛍光顔料のみを光透過性媒体に
分散したものからなる蛍光変換膜は、赤色系の蛍光顔料
を含んでいないため、変換光は緑色になり、赤色光は得
られない。本発明でいう赤色光のCIE座標上での色度
を図1に示す。
【0012】本発明の赤色蛍光変換膜に用いられる
(a)ローダミン系蛍光顔料とは、ローダミン色素を少
なくとも一種含有する蛍光顔料のことであり、具体的に
はローダミン6G,ローダミンB,ローダミン3B,ロ
ーダミン101,ローダミン110,ベーシックバイオ
レット11,スルホローダミン101などを挙げること
ができる。なお、各顔料中の色素の割合は好ましくは
0.1〜10重量%、より好ましくは1.0〜7.0重量%の
範囲である。この色素の割合が0.1重量%未満では、発
色が充分でなく、10重量%を越えると色素同士の会合
による濃度消失によって、蛍光性が低下してしまう。ま
た、色素以外の顔料成分としては、ポリメタクリル酸エ
ステル,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニル酢酸ビニル共
重合体,アルキッド樹脂,芳香族スルホンアミド樹脂,
エリア樹脂,メラミン樹脂,ベンゾグアナミン樹脂等が
挙げられる。但し、光透過性媒体に対して、上記割合で
直接色素のみを分散させてもよい。ローダミン色素の構
造式の例を次に示す。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】これらのローダミン色素は、それぞれ単独
で用いてもよく、二種以上混合して用いてもよいが、ベ
ーシックバイオレット11とローダミン6Gとの混合物
が好適である。
【0016】一方、ナフタルイミド系蛍光顔料とは、ナ
フタルイミド色素を少なくとも一種含有する蛍光顔料の
ことであり、具体的にはソルベントイエロー44,ソル
ベントイエロー116などを挙げることができる。な
お、各顔料中の色素の割合は好ましくは0.1〜10重量
%、より好ましくは1.0〜7.0重量%の範囲である。こ
の色素の割合が0.1重量%未満では、発色が充分でな
く、10重量%を越えると色素同士の会合による濃度消
失によって、蛍光性が低下してしまう。また、色素以外
の顔料成分としては、ポリメタクリル酸エステル,ポリ
塩化ビニル,ポリ塩化ビニル酢酸ビニル共重合体,アル
キッド樹脂,芳香族スルホンアミド樹脂,エリア樹脂,
メラミン樹脂,ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。
但し、光透過性媒体に対して、上記割合で直接色素のみ
を分散させてもよい。ナフタルイミド色素の構造式の例
を次に示す。
【0017】
【化3】
【0018】これらのナフタルイミド色素は、それぞれ
単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい
が、ソルベントイエロー116とソルベントイエロー4
4との混合物が好適である。
【0019】また、クマリン系蛍光顔料とは、クマリン
色素を少なくとも一種含有する蛍光顔料のことであり、
具体的にはクマリン153,クマリン6,クマリン7,
クマリン30,ベーシックイエロー51等が挙げられ
る。なお、各顔料中の色素の割合は好ましくは0.1〜1
0重量%、より好ましくは1.0〜7.0重量%の範囲であ
る。この色素の割合が0.1重量%未満では、発色が充分
でなく、10重量%を越えると色素同士の会合による濃
度消失によって、蛍光性が低下してしまう。色素以外の
顔料成分としては、ポリメタクリル酸エステル,ポリ塩
化ビニル,ポリ塩化ビニル酢酸ビニル共重合体,アルキ
ッド樹脂,芳香族スルホンアミド樹脂,エリア樹脂,メ
ラミン樹脂,ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。但
し、光透過性媒体に対して、上記割合で直接色素のみを
分散させてもよい。クマリン色素の構造式の例を次に示
す。
【0020】
【化4】
【0021】これらのクマリン色素は、それぞれ単独で
用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよいが、モ
ル吸光係数の大きいクマリン6,クマリン7が好適であ
る。
【0022】本発明の赤色蛍光変換膜に用いられる光透
過性媒体については、光透過性を有し、かつ製膜性を有
するものであればよく、特に制限されず、例えば高分子
化合物や無機ガラス、さらには印刷用メジウムなどが用
いられる。ここで、高分子化合物としては、例えばポリ
ビニルピロリジノン,ポリメチルメタクリレート,ポリ
メチルアクリレート,ポリスチレン,ポリカーボネー
ト,ポリビニルアセテート,ポリ塩化ビニル,ポリブテ
ン,ポリエチレングリコール及びこれらの共重合体など
が挙げられる。また、フォトレジスト等の感光性樹脂,
エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂も挙げられる。また、無
機ガラスとしては、例えばホウ酸ガラスやシリカガラス
などが挙げられる。本発明においては、これらの光透過
性媒体は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用
いてもよいが、上記光透過性媒体の中で、印刷用メジウ
ムが好適である。例えばポリ塩化ビニル樹脂,ポリエス
テル樹脂を溶剤に溶解した光透過性の印刷用メジウムが
好ましい。
【0023】本発明の赤色蛍光変換膜は、主に(a)及
び(b)成分の蛍光顔料と光透過性媒体とから構成され
るが、蛍光顔料は変換膜中に、5〜80重量%の割合で
分散させるのが好ましい。この量が、5重量%未満で
は、所望の赤色光が得られるのに必要な色素濃度が不足
するので、交換膜の膜厚を極端に厚く(100μm以
上)しなければならず、均一な膜を得ることが困難とな
る。一方、80重量%を越えると、製膜性が悪く、機械
的に脆い膜となってしまう。従って、赤色純度と製膜性
の面からは、上記蛍光顔料の光透過性媒体に対するより
好ましい分散量は、10〜60重量%の範囲である。
【0024】本発明で用いられる(a)ローダミン系蛍
光顔料と(b)ナフタルイミド系又はクマリン系等の蛍
光顔料との重量比は、蛍光顔料の種類にもよるが、2
0:1〜1:20の範囲にあることが好ましい。ここ
で、(a)ローダミン系蛍光顔料の重量比が大きくな
り、上記範囲を越えると、青色光をカットする(b)蛍
光顔料の量が少なくなり、有機EL素子からの青色光を
充分にカットできなくなるため、所望の赤色光が得られ
なくなる。即ち、青色光の領域である420〜490n
mにおける吸光度(OD)が1.0未満になると、青色光
の漏れが大きくなるため、所望の赤色光を得るのが困難
となる。一方、(a)ローダミン系蛍光顔料の重量比が
小さくなり、上記範囲を逸脱すると、青色光をカットす
る(b)蛍光顔料からのエネルギー移動又は蛍光の再吸
収が不充分となり、所望の赤色光を効率よく得ることが
困難となる。従って、赤色純度と変換効率の面からは、
(a)ローダミン系蛍光顔料と、青色光をカットする
(b)青色領域に吸収を有する蛍光顔料とのより好まし
い重量比は、10:1〜1:10の範囲である。
【0025】本発明の赤色蛍光変換膜を製造する方法に
ついては特に制限はなく、様々な方法を用いることがで
きる。例えば光透過性媒体に、(a)ローダミン系蛍光
顔料及び(b)ナフタルイミド系又はクマリン系の蛍光
顔料を混合及び分散したのち、これをキャスティング
法,スピンコート法,印刷法,バーコート法,押出し成
形法,ロール成形法,プレス法,スプレー法,ロールコ
ート法などの方法を用いて製膜することにより、所望の
赤色蛍光変換膜が得られる。これらの製膜方法において
有機溶媒を用いる場合には、該有機溶媒としては、例え
ばジクロロメタン;1,2−ジクロロエタン;クロロホ
ルム;アセトン;シクロヘキサノン;トルエン;ベンゼ
ン;キシレン;N,N−ジメチルホルムアミド;ジメチ
ルスルホキシド;1,2−ジメトキシエタン;ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル;N−メチルピリドン;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソ
ルブ);エチレングリコールモノエチルエーテル(エチ
ルセロソルブ);エチレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテート(エチルセロソルブアセテート)などを用
いることができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で用
いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。例え
ば、キャスティング法で製膜する場合には、上記溶媒の
中から適当なものを選び、これに蛍光顔料と光透過性媒
体を溶かして得られた溶液を、ガラス基板などの基板上
に静かにたらし、溶媒を徐々に蒸発させることにより、
薄膜状の赤色蛍光変換膜を得ることができる。
【0026】次に、本発明の赤色発光素子は、上記赤色
蛍光変換膜と発光素子部とからなるものであって、該発
光素子部としては、青色発光有機EL素子が好ましく用
いられる。この青色発光有機EL素子は、例えば特開平
3−47890号公報,特開平3−231970号公
報,特開平5−17765号公報,特開平5−1358
78号公報,特開平5−140145号公報,特開平5
−247458号公報,特開平5−247459号公
報,特開平6−100857号公報,特開平6−132
080号公報などに開示されている方法に従って作製す
ることができる。一例を挙げると、インジウムチンオキ
シド(以下、ITOと略記する)電極を製膜したガラス
基板からなる透明支持基板に、4,4’−ビス〔N−フ
ェニル−N−(3−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニ
ル(TPD),4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビ
ニル)ビフェニル(DPVBi),トリス(8−キノリ
ノール)アルミニウム(Alq)及びマグネシウム−銀
電極を順次真空蒸着し、積層させることによって青色発
光有機EL素子を得ることができる(製造例1参照)。
本発明の赤色発光素子の作製において、発光素子部と赤
色蛍光変換膜とを密着させる場合には、光の散乱を防ぎ
変換効率を高めるために、それぞれの膜の間には上記光
透過性媒体のような空気に比べて屈折率の大きいものが
好ましく用いられる。簡易的には、フロリナートなどの
不活性液体を挟み込むこともできる(実施例1及び2参
照)。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 製造例1 青色発光有機EL素子の作製 25mm×75mm×1.1mmのガラス基板上にITO
電極を100nmの厚さで製膜したものを透明支持基板
とした。この透明支持基板をイソプロピルアルコールで
5分間超音波洗浄したのち、純水で5分間洗浄し、再び
イソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した。次い
でこの透明支持基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固
定し、モリブデン製抵抗加熱用ボートに4,4’−ビス
(N−フェニル−N−(3−メチルフェニル)アミノ〕
ビフェニル(TPD)を200mg入れ、他のモリブデ
ン製抵抗加熱用ボートに4,4’−ビス(2,2−ジフ
ェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)及びトリス
(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)を200
mg入れて真空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧
した。TPD入りのボートを215〜220℃まで加熱
し、TPDを0.1〜0.3nm/秒の蒸着速度で基板上に
堆積させ、膜厚60nmの正孔注入層を製膜した。この
ときの基板温度は室温であった。得られた正孔注入層を
真空チャンバーから取り出すことなく、この上にDPV
Biをボート温度250℃,蒸着速度0.1〜0.2nm/
秒で基板上に堆積させ、膜厚40nmの発光層を製膜し
た。次いで、Alqをボート温度250℃,蒸着速度
0.1〜0.3nm/秒でさらに堆積させ、膜厚20nmの
電子輸送層を製膜した。これを真空チャンバーから取り
出し、電子輸送層側にステンレススチール製のマスクを
設置し、再び基板ホルダーに固定した。次いで、タング
ステンバスケットに銀ワイヤー0.5gを入れ、モリブデ
ン製ボートにマグネシウムリボン1gを入れ、真空チャ
ンバー内を1×10-4Paまで減圧し、銀(蒸着速度,
0.1nm/秒)とマグネシウム(蒸着速度,0.8nm/
秒)を同時に蒸着し、陰電極を製膜して青色発光有機E
L素子を作製した。この有機EL素子の発光スペクトル
を図2に示す。
【0028】製造例2 色度調製用カラーフィルターの
作製 色度調製用カラーフィルターとして、赤色カラーレジス
ト(富士ハントエレクトロニクステクノロジー社製:C
R−2000)をガラス基板上にスピンコートし、80
℃オーブンで乾燥後、さらに200℃オーブンで硬化さ
せたものを作製した。この膜の厚さは、表面粗さ計によ
り2.3μmであり、その透過スペクトルを図3に示す。
【0029】実施例1 ベンゾグアナミン樹脂に対し、ソルベントイエロー11
6を2重量%,ソルベントイエロー44を6重量%含む
ナフタルイミド系蛍光顔料0.12グラム、及びベンゾグ
アナミン樹脂に対し、ベーシックバイオレット11を2
重量%,ローダミン6Gを2重量%含むローダミン系蛍
光顔料0.2グラムを、印刷用メジウムとしてポリ塩化ビ
ニル樹脂(分子量20,000)をシクロヘキサノンに溶
かしたインキ2グラム(固形分40重量%)に溶解し、
バーコート膜を作製して赤色蛍光変換膜とした。この厚
さはマイクロメータにより測定したところ、36μmで
あった。次に、製造例1で得られた青色発光有機EL素
子(色度x=0.16,y=0.15,青色)を電圧7V,
電流密度4.2mA/cm2 の条件で発光させ、これに上
記赤色蛍光変換膜をフロリナート液を挟んで密着させ
て、赤色発光素子とした。輝度計(ミノルタ社製,CS
−100)により出力光を測定したところ、赤色蛍光変
換膜を重ねる前の青色光の輝度が100cd/m2 であ
ったのに対し、色度x=0.59,y=0.34の赤色光が
34cd/m2 の輝度で得られた。変換効率は34%で
あった。ここで得られた赤色光の発光スペクトルを図4
に示す。
【0030】なお、ここで用いた赤色蛍光変換膜の吸収
スペクトルを、図5に示す。これより、ナフタルイミド
系蛍光顔料に対応する吸収スペクトルにおいて、青色領
域に吸収、即ち、520nm以下に吸収を有し、且つ4
20〜490nmにOD1.0以上の吸光度を有している
ことから、有機EL素子の青色光を充分カットしている
ことがわかる。さらに、ローダミン系蛍光顔料に対する
吸収スペクトルと交わって効果的なエネルギー移動、又
は、ローダミン系蛍光顔料にナフタルイミド系蛍光顔料
の発光を再吸収させていることがわかる。
【0031】実施例2 ベンゾグアナミン樹脂に対し、ベーシックバイオレット
11を1重量%,ベーシックレッド1を1重量%含むロ
ーダミン系蛍光顔料1.3グラム、及びソルベントイエロ
ー116を20ミリグラム,ソルベントイエロー44を
20ミリグラムを、印刷用メジウムとしてポリ塩化ビニ
ル樹脂(分子量20,000)をシクロヘキサノンに溶か
したインキ2.3グラム(固形分40重量%)に溶解し、
バーコート膜を作製して赤色蛍光変換膜とした。この膜
の厚さはマイクロメータにより測定したところ、60μ
mであった。次に、製造例1で得られた青色発光有機E
L素子(色度x=0.16,y=0.15,青色)を電圧7
V,電流密度4.2mA/cm2 の条件で発光させ、これ
に上記赤色蛍光変換膜をフロリナート液を挟んで密着さ
せて、赤色発光素子とした。輝度計(ミノルタ社製,C
S−100)により出力光を測定したところ、赤色蛍光
変換膜を重ねる前の青色光の輝度が100cd/m2
あったのに対し、色度x=0.60,y=0.33の赤色光
が33cd/m2 の輝度で得られた。変換効率は33%
であった。なお、ここで用いた赤色蛍光変換膜の吸収ス
ペクトルは、図5と同様であった。
【0032】実施例3 ベンゾグアナミン樹脂に対し、クマリン6を5重量%含
むクマリン系蛍光顔料0.12グラム、及び実施例1と同
一のローダミン系蛍光顔料0.2グラムを、印刷用メジウ
ムとしてポリエステル樹脂(分子量40,000)をエチ
ルセロソルブアセテートに溶かしたインキ2グラム(固
形分40重量%)に溶解し、バーコート膜を作製して赤
色蛍光変換膜とした。この膜の厚さはマイクロメータに
より測定したところ、35μmであった。次に、製造例
1で得られた青色発光有機EL素子(色度x=0.16,
y=0.15,青色)を電圧7V,電流密度4.2mA/c
2 の条件で発光させ、これに上記赤色蛍光変換膜をフ
ロリナート液を挟んで密着させて、赤色発光素子とし
た。輝度計(ミノルタ社製,CS−100)により出力
光を測定したところ、赤色蛍光変換膜を重ねる前の青色
光の輝度が100cd/m2 であったのに対し、色度x
=0.60,y=0.32の赤色光が33cd/m2 の輝度
で得られた。変換効率は33%であった。なお、ここで
用いた赤色蛍光変換膜の吸収スペクトルは、図6に示
す。これより、クマリン系蛍光顔料に対応する吸収スペ
クトルが、青色領域に吸収、即ち、520nm以下に吸
収を有し、且つ420〜490nmにOD1.0以上の吸
光度を有していることから、有機EL素子の青色光を充
分カットしていることがわかる。さらに、ローダミン系
蛍光顔料に対する吸収スペクトルと交わって効果的なエ
ネルギー移動、又は、ローダミン系蛍光顔料にクマリン
系蛍光顔料の発光を再吸収させていることがわかる。
【0033】実施例4 実施例2で用いたローダミン系蛍光顔料が1.3グラム及
びクマリン7が30ミリグラムを、印刷用メジウムとし
てポリエステル樹脂(分子量40,000)をエチルセロ
ソルブアセテートに溶かしたインキ2.3グラム(固形分
40重量%)に溶解し、バーコート膜を作製して赤色蛍
光変換膜とした。この膜の厚さはマイクロメータにより
測定したところ、45μmであった。次に、製造例1で
得られた青色発光有機EL素子(色度x=0.16,y=
0.15,青色)を電圧7V,電流密度4.2mA/cm2
の条件で発光させ、これに上記赤色蛍光変換膜をフロリ
ナート液を挟んで密着させて、赤色発光素子とした。輝
度計(ミノルタ社製,CS−100)により出力光を測
定したところ、赤色蛍光変換膜を重ねる前の青色光の輝
度が100cd/m2 であったのに対し、色度x=0.5
9,y=0.33の赤色光が33cd/m2 の輝度で得ら
れた。変換効率は33%であった。なお、ここで用いた
赤色蛍光変換膜の吸収スペクトルは、図6と同様であっ
た。
【0034】比較例1 実施例1で用いたローダミン系蛍光顔料0.2グラムを、
印刷用メジウムとしてポリ塩化ビニル樹脂(分子量2
0,000)をシクロヘキサノンに溶かしたインキ2グラ
ム(固形分40重量%)に溶解し、バーコート膜を作製
して蛍光変換膜とした。この膜の厚さはマイクロメータ
により測定したところ、40μmであった。次に製造例
1で得られた青色発光有機EL素子(色度x=0.16,
y=0.15,青色)を電圧7V,電流密度4.2mA/c
2 の条件で発光させ、これに上記蛍光変換膜をフロリ
ナート液を挟んで密着させて、発光素子とした。輝度計
(ミノルタ社製,CS−100)により出力光を測定し
たところ、蛍光変換膜を重ねる前の青色光の輝度が10
0cd/m2 であったのに対し、色度x=0.56,y=
0.23の赤色光ではない光が、10cd/m2 の低輝度
で得られるのみであった。変換効率は10%であった。
なお、ここで用いた蛍光変換膜の吸収スペクトルは、図
7に示す。これより明らかに、青色領域に吸収、即ち、
420〜490nmにOD1.0以上の吸光度を有せず、
有機EL素子の青色光を充分カットしていないことがわ
かる。また、有機EL素子の青色光から効果的にローダ
ミン系蛍光顔料にエネルギー移動し得ず、再吸収させ得
ないので、赤色光も得られず、変換効率も低いことがわ
かった。
【0035】比較例2 ローダミンBの4.2mgとポリビニルピロリジノン〔P
VP,分子量約360,000〕1.8 gをジクロロメタン
10ミリリットルに溶解してキャスト膜を作製し、赤色
蛍光変換膜とした。この膜の厚さは、マイクロメータに
より測定したところ、50μmであった。次に製造例1
で得られた青色発光有機EL素子(色度x=0.16,y
=0.15青色)を電圧7V,電流密度4.2mA/cm2
の条件で発光させ、これに上記赤色蛍光変換膜,製造例
2で得られた色度調整カラーフィルター膜の順にフロリ
ナート液を挟んで密着させて、赤色発光素子とした。輝
度計(ミノルタ社製,CS−100)により出力光を測
定したところ、赤色蛍光変換膜及び色度調整膜を重ねる
前の青色光の輝度が100cd/m2 であったのに対
し、色度x=0.56,y=0.28の赤色光が5cd/m
2 の輝度で得られた。変換効率は5%であった。これよ
り、青色光をカットする赤色カラーフィルターを配置し
たため、赤色光は得られはしたが、有機EL素子の青色
光から効果的にローダミン系蛍光顔料にエネルギー移動
し得ず、再吸収させ得ないので、変換効率は極めて低い
ことがわかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の赤色蛍光変換膜は、青色発光有
機EL素子の発光色を、33%以上の高い変換効率で赤
色光に変換することができ、また、この赤色蛍光変換膜
と発光素子部とからなる本発明の赤色発光素子は、高い
変換効率で赤色光を発生し、かつ安価で小型化,薄肉化
が可能である。本発明の赤色発光素子は、例えばOA機
器用バックライト,時計用バックライト,各種ディスプ
レイ用バックライト,自己発光型マルチカラーディスプ
レイなどに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各色の領域及び変換効率を示した色度座標図
である。
【図2】 有機EL素子の発光スペクトル図である。
【図3】 色度調製用カラーフィルターの透過スペクト
ル図である。
【図4】 実施例1の赤色発光スペクトル図である。
【図5】 実施例1の赤色蛍光変換膜の吸収スペクトル
図である。
【図6】 実施例3の赤色蛍光変換膜の吸収スペクトル
図である。
【図7】 比較例1の蛍光変換膜の吸収スペクトル図で
ある。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ローダミン系蛍光顔料と、(b)
    青色領域に吸収を有し且つ該ローダミン系蛍光顔料への
    エネルギー移動又は再吸収を誘起する蛍光顔料と、を光
    透過性媒体に分散したものからなる赤色蛍光変換膜。
  2. 【請求項2】 (b)蛍光顔料が、520nm以下の青
    色領域に吸収を有し、且つ、420〜490nmにOD
    1.0以上の吸収を有することを特徴とする請求項1記載
    の赤色蛍光変換膜。
  3. 【請求項3】 ローダミン系蛍光顔料とナフタルイミド
    系蛍光顔料とを光透過性媒体に分散したものからなる請
    求項1又は2記載の赤色蛍光変換膜。
  4. 【請求項4】 ローダミン系蛍光顔料とクマリン系蛍光
    顔料とを光透過性媒体に分散したものからなる請求項1
    又は2記載の赤色蛍光変換膜。
  5. 【請求項5】 (a)ローダミン系蛍光顔料が、ベーシ
    ックバイオレット11とローダミン6Gとの混合物を含
    有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の赤色
    蛍光変換膜。
  6. 【請求項6】 ナフタルイミド系蛍光顔料が、ソルベン
    トイエロー116とソルベントイエロー44との混合物
    を含有するものである請求項3記載の赤色蛍光変換膜。
  7. 【請求項7】 クマリン系蛍光顔料が、クマリン6又は
    クマリン7を含有するものである請求項4記載の赤色蛍
    光変換膜。
  8. 【請求項8】 光透過性媒体が印刷用メジウムである請
    求項1〜4のいずれかに記載の赤色蛍光変換膜。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の赤色蛍
    光変換膜と発光素子部とからなる赤色発光素子。
  10. 【請求項10】 発光素子部が青色発光有機エレクトロ
    ルミネッセンス素子である請求項9記載の赤色発光素
    子。
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