JPH08283548A - 永久帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

永久帯電防止性樹脂組成物

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JPH08283548A
JPH08283548A JP17607795A JP17607795A JPH08283548A JP H08283548 A JPH08283548 A JP H08283548A JP 17607795 A JP17607795 A JP 17607795A JP 17607795 A JP17607795 A JP 17607795A JP H08283548 A JPH08283548 A JP H08283548A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱可塑性樹脂の本来有する物性を損なうこと
なく、水洗しても制電性能が低下しない永久的かつ優れ
た帯電防止効果を有する永久帯電防止性樹脂組成物を提
供する。 【構成】(A1)炭素数4〜20の芳香族ジカルボン酸
及び/又はそのエステル、(A2)数平均分子量200
〜50000のポリ(アルキレンオキシド)グリコー
ル、及び(A3)炭素数4〜10のグリコール、を重縮
合して得られるポリエーテルエステル(A)5〜40重
量部及び上記(A)以外の熱可塑性樹脂(B)95〜6
0重量部とからなる樹脂組成物において、(A1)がパ
ラ配向の芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル9
8〜70モル%及びスルホン酸塩基で置換された特定の
芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル2〜30モ
ル%とから実質的になり、かつ(A2)の含有量が、生
成するポリエーテルエステル(A)の5〜80重量%で
あることを特徴とする永久帯電防止性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制電性を有する樹脂組成
物に関し、さらに詳しくは優れた帯電防止効果をがあ
り、かつかかる効果が水洗によっても低下しない永久帯
電防止性能を有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来技術】プラスチック材料はその優れた諸特性を生
かし、電気電子用部材、自動車用部材、医療用部材、生
活用品、その他各種成形品として使用されている。とこ
ろで、一般にプラスチックには、電気絶縁性が高いとい
う特徴があるが、そのためにかえって帯電した静電気が
散逸しにくく、製品へのほこりの付着、作業者への電
撃、計器類やICチップ類の誤動作といった問題が生じ
ている。そのため、各種のプラスチック材料に対して帯
電防止方法の研究がなされてきた。
【0003】プラスチックの帯電防止方法としては、内
部添加型と塗布型がある。塗布型では、別行程が必要で
あり、製造プロセス上は、内部添加型の方が有利であ
る。
【0004】内部添加型による方法ではこれまで、アル
キルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩とい
ったイオン性界面活性剤をポリマー中に練り込む方法
が、効果や経済性に優れるために一般的に採用されてき
た。
【0005】中でもイオン性界面活性剤としてアルキル
(アリール)スルホン酸塩を利用した系はよく検討され
ており、制電効果の大きいものとして、例えば、アルカ
ンのセカンダリー位をスルホン酸金属塩に置換したもの
(特開平5−222241号公報)、ホスホニウム塩を
利用したもの(特開昭62−230835号公報)が開
示されている。しかし、こうした低分子量の界面活性剤
を利用する方法では、かかる界面活性剤が樹脂表面に染
み出すために、制電効果は高いものの、拭いたり、水洗
いしたりするとその効果が低下するという問題点があ
る。
【0006】そこで、水洗してもなくならない、永久的
な制電効果を付与するものとして、制電性ポリマーを樹
脂に混合する方法が記載されている。例えば、特開昭6
2−273252号公報において、ポリカーボネートと
ポリスチレン系ポリマーから成る樹脂に対して、ポリエ
ーテルエステルアミドを制電性ポリマーとして利用する
ことが記載されている。また、特開平5−97984号
公報においては高分子系帯電防止剤として、幹ポリマー
がポリアミド、枝ポリマーがポリアルキレンエーテルと
ポリエステルとのブロックポリマーからなるグラフトポ
リマーが記載されており、表面固有抵抗を減少させる効
果について述べられている。芳香族環をスルホン酸塩置
換された構造を分子中に有する制電ポリマーについて
は、米国特許第4006123号及び米国特許第403
5346号において、スルホン酸ホスホニウム塩を分子
中に有するガラス転移温度25℃以下のポリアミドにつ
いて記載されている。しかしこうしたポリマーは、制電
効果を高めるためには比較的多くの量を樹脂に混合する
必要があるため、かかる樹脂本来の有していた耐熱性や
機械物性を損なってしまうとか、ポリマーが特殊になる
ため製造コスト高いとか、かかるポリマーのガラス転移
温度が低いために取り扱いにくいなどの問題がある。
【0007】ところで、特開平6−57153号公報に
おいて、ポリアルキレングリコール、グリコール、及び
多価カルボン酸からなるポリエーテルエステルについて
の記載がある。これは制電性の経時変化は小さいもの
の、かかるポリマー単独では制電性の効果(大きさ)は
十分ではない。そこで更にその制電効果を上げるため
に、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のイオン性界面活
性剤を併用することについても述べられている。しかし
ながら、かかる剤を併用した場合には、水洗により制電
効果が低下してしまう。更にこのポリエーテルエステル
は、熱可塑性の各種ポリマーについての帯電防止剤とし
ての適用について述べられているものの、ポリカーボネ
ート等、ポリエーテル成分との親和性の良いポリマーに
ついては、効果があまりないという問題もある。
【0008】以上のように、良好な物性、及び耐熱性を
兼ね備えた永久的かつ大きな帯電防止効果を有する樹脂
組成物は得られていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大き
な帯電防止効果を、水洗や拭き取り等によっても低下す
ることのなく永久的に有し、かつ良好な物性、成形性及
び耐熱性を兼ね備えた樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、スルホン酸基で核置換
された芳香族ジカルボン酸成分、及びパラ配向の芳香族
ジカルボン酸成分を含有してなる特定のポリエーテルエ
ステルを、熱可塑性樹脂に特定量含有することにより、
かかる熱可塑性樹脂の諸特性を損なうことなく、大きな
帯電防止効果を永久的に付与できることを見いだし、本
発明に到達した。
【0011】すなわち本発明は、(A1)炭素数4〜2
0の芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル、(A
2)数平均分子量200〜50000のポリ(アルキレ
ンオキシド)グリコール、及び(A3)炭素数4〜10
のグリコール、を重縮合して得られるポリエーテルエス
テル(A)5〜40重量部及び上記ポリエーテルエステ
ル(A)以外の熱可塑性樹脂(B)95〜60重量部と
からなる樹脂組成物において、上記(A1)がパラ配向
の芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル(A
a)98〜70モル%及び下記式(1)
【0012】
【化2】
【0013】[式(1)中、Arは炭素数6〜12の3
価の芳香族基、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、
炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリー
ル基を表し、M+ は金属イオン、テトラアルキルホスホ
ニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを
表す。]で表されるスルホン酸塩基で置換された芳香族
ジカルボン酸及び/又はそのエステル(A1b)2〜3
0モル%とから実質的になり、かつ(A2)の含有量
が、生成するポリエーテルエステル(A)の5〜80重
量%であることを特徴とする永久帯電防止性樹脂組成物
である。
【0014】以下、本発明を詳述する。
【0015】本発明の永久帯電防止性樹脂組成物は、ポ
リエーテルエステル(A)及び(A)以外の熱可塑性樹
脂(B)とからなる。
【0016】本発明のポリエーテルエステル(A)は、
(A1)炭素数4〜20の芳香族ジカルボン酸及び/又
はそのエステル、(A2)数平均分子量200〜500
00のポリ(アルキレンオキシド)グリコール、及び
(A3)炭素数4〜10のグリコール、を重縮合するこ
とにより得ることができる。ここで、ポリエーテルエス
テルを構成する成分である炭素数4〜20の芳香族ジカ
ルボン酸は、パラ配向の芳香族ジカルボン酸及び/又は
そのエステル(A1a)98〜70モル%及び下記式
(1)
【0017】
【化3】
【0018】[式(1)中、Arは炭素数6〜12の3
価の芳香族基、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、
炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリー
ル基を表し、M+ は金属イオン、テトラアルキルホスホ
ニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを
表す。]で表されるスルホン酸塩基で置換された芳香族
ジカルボン酸及び/又はそのエステル(A1b)2〜3
0モル%とから主としてなる。
【0019】ここで、パラ配向の芳香族ジカルボン酸及
び/又はそのエステル(A1a)としては、テレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカル
ボン酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチ
ル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6
−ナフタレンジカルボン酸ジエチル等の芳香族ジカルボ
ン酸エステルを挙げることができる。これらは芳香環に
アルキル基、ハロゲン等の置換基を有していてもよい。
これらのジカルボン酸及び/又はジカルボン酸エステル
は単独で使用しても2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。これらのうちで、得られるポリエーテルエステルと
他の熱可塑性樹脂との混合時の取り扱い性の点から、テ
レフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフ
タル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメ
チルを用いることが好ましい。
【0020】かかるパラ配向の芳香族ジカルボン酸及び
/又はそのエステル(A1a)は、ポリエーテルエステ
ル(A)のガラス転移温度及び結晶性を大きく低下させ
ない範囲内(例えば(A1a)全体の30モル%以下、
好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%
以下)で他の炭素数4〜20のジカルボン酸及び/又は
そのエステルを用いてもよい。かかる他の炭素数4〜2
0のジカルボン酸及び/又はそのエステルとしては、こ
はく酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン
酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸、こはく酸ジメチル、こはく酸ジ
エチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、セ
バシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル等の脂肪族ジカ
ルボン酸エステル、また、イソフタル酸ジメチル、イソ
フタル酸ジエチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジ
メチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジエチル等の
芳香族ジカルボン酸エステル等を挙げることができる。
【0021】本発明に用いるポリエーテルエステル
(A)は、上記パラ配向の芳香族ジカルボン酸及び/又
はそのエステル(A1a)を用いることにより、(A)
の結晶性が高まるため、(i)(A)の融点が高くな
り、(A)が融着せず十分に乾燥することができ、(ii)
(A)を他の熱可塑性樹脂と溶融混合して本発明の永久
帯電防止性樹脂組成物を製造する際の取り扱い性が良好
であり、したがって帯電防止性に優れた該樹脂組成物を
得ることができる。
【0022】本発明における、スルホン酸塩基で置換さ
れた芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル(A1
b)は、下記式(1)
【0023】
【化4】
【0024】で示される。
【0025】上記式(1)において、R1及びR2はそれ
ぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は
炭素数6〜12のアリール基を示し、好ましくは水素原
子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜3のアルキル基
である。
【0026】上記式(1)において、M+ は金属イオ
ン、テトラアルキルホスホニウムイオン、テトラアルキ
ルアンモニウムイオンの内から選ばれるイオンを表す。
+ としてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチ
ウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオ
ン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、
亜鉛イオン、テトラブチルホスホニウムイオン、テトラ
メチルホスホニウムイオン、テトラブチルアンモニウム
イオン、テトラメチルアンモニウムイオン等である。こ
れらのイオンの内金属イオンが好ましく、アルカリ金属
イオン、アルカリ土類金属イオン、亜鉛イオンがより好
ましい。ただし2価の金属イオンの場合にはスルホン酸
基2モルに対し、金属イオン1モルが対応するものとす
る。
【0027】上記式(1)中のArは、ベンゼン環、ナ
フタレン環等の炭素数6〜12の3価の芳香族基であ
り、これらはまた、アルキル基、フェニル基、ハロゲ
ン、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
【0028】かかる芳香族ジカルボン酸としては、4−
ナトリウムスルホ−イソフタル酸、5−ナトリウムスル
ホ−イソフタル酸、4−カリウムスルホ−イソフタル
酸、5−カリウムスルホ−イソフタル酸、2−ナトリウ
ムスルホ−テレフタル酸、2−カリウムスルホ−テレフ
タル酸、4−スルホ−イソフタル酸亜鉛、5−スルホ−
イソフタル酸亜鉛、2−スルホ−テレフタル酸亜鉛、4
−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルホスホニウム
塩、5−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルホスホニ
ウム塩、4−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルアン
モニウム塩、5−スルホ−イソフタル酸テトラアルキル
アンモニウム塩、2−スルホ−テレフタル酸テトラアル
キルホスホニウム塩、2−スルホ−テレフタル酸テトラ
アルキルアンモニウム塩、4−ナトリウムスルホ−2、
6−ナフタレンジカルボン酸、4−ナトリウムスルホ−
2、7−ナフタレンジカルボン酸、4−カリウムスルホ
−2、6−ナフタレンジカルボン酸、4−スルホ−2、
6−ナフタレンジカルボン酸亜鉛塩、4−スルホ−2、
6−ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルホスホニウ
ム塩、4−スルホ−2、7−ナフタレンジカルボン酸テ
トラアルキルホスホニウム塩等を挙げることができる。
また芳香族ジカルボン酸エステルとしては、上記に具体
的に列記した芳香族ジカルボン酸のジメチルエステル、
ジエチルエステル等を挙げることができる。
【0029】これらの中で、R1、R2がともにメチル
基、エチル基であり、Arがベンゼン環であり、M+
ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンであるこ
とが、重合性、機械特性、色調等の面でより好ましい。
【0030】具体的には、例えば、4−ナトリウムスル
ホ−イソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホ−イ
ソフタル酸ジメチル、4−カリウムスルホ−イソフタル
酸ジメチル、5−カリウムスルホ−イソフタル酸ジメチ
ル、2−ナトリウムスルホ−テレフタル酸ジメチル、2
−カリウムスルホ−テレフタル酸ジメチル等がさらに好
ましい。
【0031】本発明によれば、上記パラ配向の芳香族ジ
カルボン酸及び/又はそのエステル(A1a)及びスル
ホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又は
そのエステル(A1b)は、ポリエーテルエステル
(A)を構成する全酸性分のそれぞれ98〜70モル%
及び2〜30モル%である。言い換えると、スルホン酸
塩基で置換された芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエ
ステル(A1b)は、芳香族ジカルボン酸及び/又はそ
のエステル成分全体の2〜30モル%を占めるように共
重合させる。かかる化合物(A1b)の割合が2モル%
未満では、(i)本発明における帯電防止効果が十分で
なかったり、(ii)本発明の永久帯電防止性樹脂組成物の
帯電防止効果をより高めるために、さらにイオン性界面
活性剤を併用した場合には、水洗に対する帯電防止効果
の耐久性、樹脂組成物表面の拭き取り時の帯電防止効果
の耐久性が不足する。かかるイオン性界面活性剤を併用
した場合、ポリエーテルエステル(A)中のイオン性の
基である、上記式(1)で表される化合物に由来するス
ルホン酸塩基とイオン性界面活性剤との相互作用が生じ
る結果、帯電防止効果が相乗的に向上し、しかも、従来
からの問題点であった、イオン性の界面活性剤の流出に
よる、帯電防止効果の減少が大きく抑制され、かかる効
果が永久的に保持されるためであると推定される。ま
た、かかる化合物(A1b)の割合が50モル%を越え
ると、重合反応が困難になり、十分な重合度のポリエー
テルエステル(A)を得にくくなる。さらにまた、ポリ
エーテルエステル(A)の結晶性を低下させてしまい、
乾燥が不十分になったり、取り扱い性が悪化する。本発
明における炭素数4〜20の芳香族ジカルボン酸及び/
又はそのエステル(A1)は、好ましくは、パラ配向の
芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル(A1a
97〜71モル%及びスルホン酸塩基で置換された芳香
族ジカルボン酸及び/又はそのエステル(A1b)3〜
29モル%からなり、より好ましくは(A1a)95〜
73モル%及び(A1b)5〜27モル%からなり、特
に好ましくは(A1a)91〜75モル%及び(A1b
9〜25モル%からなる。
【0032】本発明におけるポリエーテルエステル
(A)の構成成分の一つであるポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコール(A2)としては、ポリエチレングリコ
ールから主としてなるポリアルキレングリコールが好ま
しく、その場合、ポリプロピレングリコール等を共重合
成分として含んでいてもよい。
【0033】かかるポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ールの数平均分子量は200〜50000のものを用い
る。かかる分子量が200に満たない場合には、十分な
制電効果が得られない。また、実用性の点からは、かか
る分子量の上限は50000程度である。ポリ(アルキ
レンオキシド)グリコールの好ましい分子量は500〜
30000であり、更に好ましくは1000〜2000
0である。
【0034】さらに、上記分子量の範囲内において、か
かるポリ(アルキレンオキシド)グリコールは芳香族環
を分子内に有していてもよい。かかるポリ(アルキレン
オキシド)グリコールとしては、例えば下記式(2)、
(3)の構造を有するものが挙げられる。
【0035】
【化5】 H(O−CH2CH2pO−Ar1−O(CH2CH2−O)qH ・・・(2) H(O−CH2CH2rO−Ph−X−Ph−O(CH2CH2−O)sH ・・・(3) 上記式(2)、(3)中、Ar1は、ベンゼン環、ナフ
タレン環等の炭素数6〜12の2価の芳香族基であり、
Phはベンゼン環である。これらはまた、アルキル基、
フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換基を有し
ていてもよい。また、p、q、r及びsは2〜60まで
の整数を表し、−X−は、イソプロピリデン基等の炭素
数1〜5のアルキレン基、炭素数5〜10のシクロアル
キレン基、−O−、−S−、−SO2−である。これら
は、ポリエーテルエステル(A)の構成成分の一つであ
るポリ(アルキレンオキシド)グリコール(A2)その
ものとして利用してもよいし、また、他のポリ(アルキ
レンオキシド)グリコールの一部として用いてもよい。
【0036】ポリ(アルキレンオキシド)グリコール
(A2)の使用量は、ポリエーテルエステルを構成する
それ(A2)の含有量が(A1)、(A2)及び(A
3)を重縮合して得られるポリエーテルエステル(A)
に対して10〜80重量%、言い換えると、実質的に
(A1)、(A2)、及び(A3)の仕込みの合計量に
対して10〜80重量%となるようにする。10重量%
より少ないと帯電防止効果が十分でなく、80重量%よ
り多い場合には、取り扱い性や耐熱性が良くない傾向に
なることがある。好ましい使用量は、得られるポリエー
テルエステル(A)全体の10〜75重量%であり、よ
り好ましくは12〜70重量%である。
【0037】本発明におけるポリエーテルエステル
(A)を構成する炭素数4〜10のグリコール(A3)
は、具体的には1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキ
サンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール
等の脂肪族グリコールを例示できる。これらはエーテル
結合、チオエーテル結合を含んでいてもよく、また、ポ
リエーテルエステル(A)の物性、性能、取り扱い性等
が変わらない範囲内でエチレングリコール及び/又はプ
ロピレングリコールを少量含んでいてもよい。さらに炭
素数4〜10のグリコール(A3)は単独で、もしくは
2種以上組み合わせて用いることができるが、2種以上
用いる場合はポリエーテルエステルの結晶性の点から、
一方を70モル%以上用いることが好ましい。上記グリ
コールのうち1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオールが帯電防止効果、結晶性、取り扱い性の点で
好ましい。なお、炭素数が4より小さいと、ガラス転移
温度が高まるため、帯電防止効果が小さく、得られるポ
リエーテルエステルの取り扱い性も不十分である。
【0038】上記ポリエーテルエステル(A)は、フェ
ノール/テトラクロロエタン(重量比60/40)の混
合溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃度1.2g/d
l)が0.2以上であることが好ましい。還元粘度が
0.2より低いと帯電防止効果が十分ではなく、耐熱性
や、機械物性低下の原因ともなる。還元粘度に対する上
限は、ポリエーテルエステル(A)が実質的に線状の重
合体であるので、機械物性の点で、高い方が好ましい。
還元粘度は好ましくは0.25以上であり、更に好まし
くは0.3以上である。
【0039】本発明におけるポリエーテルエステル
(A)は、上記成分(A1)〜(A3)をエステル交換
触媒の存在下、150〜300℃で加熱溶融し重縮合反
応せしめることによって得ることができる。
【0040】ここで、エステル交換触媒としては通常の
エステル交換反応に使用できるものなら特に制限はな
い。こうしたエステル交換触媒としては、三酸化アンチ
モンといったアンチモン化合物、酢酸第一錫、ジブチル
錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテートといった錫化合
物、テトラブチルチタネートといったチタン化合物、酢
酸亜鉛のような亜鉛化合物、酢酸カルシウムといったカ
ルシウム化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのよう
なアルカリ金属塩等を例示することができる。これらの
うちテトラブチルチタネートが好ましく用いられる。
【0041】また、上記触媒の使用量としては、通常の
エステル交換反応における使用量でよく、概ね、使用す
るジカルボン酸1モルに対し、0.01〜0.5モル%
が好ましく、0.03〜0.3モル%がさらに好まし
い。
【0042】また、反応時には酸化防止剤等の各種安定
剤を併用することも好ましい。
【0043】上記(A1)〜(A3)の化合物を加熱溶
融し重縮合する温度としては、初期反応として、150
〜250℃で数十分〜十数時間エステル化反応及び/又
はエステル交換反応を留出物を留去しながら行った後、
反応物を高分子量化する重合反応を180〜300℃で
行う。180℃より温度が低いと反応が進まず、300
℃より温度が高いと、分解などの副反応が起こり易くな
るためである。重合反応温度は200〜80℃がさらに
好ましく、220〜260℃が更に好ましい。この重合
反応の反応時間は反応温度や触媒量にもよるが、通常は
数十分〜数十時間程度である。
【0044】本発明の永久帯電防止性樹脂組成物はポリ
エーテルエステル(A)5〜40重量部、及び(A)以
外の熱可塑性樹脂(B)95〜60重量部とから主とし
てなる。かかるポリエーテルエステル(A)が5重量部
より少ないと、該樹脂組成物の帯電防止効果が不十分に
なる。また40重量部を超えると、熱可塑性樹脂(B)
自体の物性が大きく低下する。好ましい割合は、ポリエ
ーテルエステル(A)7〜30重量部、熱可塑性樹脂
(B)93〜70重量部である。
【0045】ポリエーテルエステル(A)以外の熱可塑
性樹脂(B)としてはポリカーボネート樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートあるい
はポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、
ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオキシメチ
レン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリ(スチ
レン−アクリロニトリル−ブタジエン)系共重合体(A
BS樹脂)、ポリ(アクリロニトリル−スチレン)系共
重合体(AS樹脂)あるいはハイインパクトポリスチレ
ン(HIPS)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタク
リレート等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げ
ることができる。これらは単独でもしくは2種以上組み
合わせて用いることができる。この中で、本発明におけ
るポリエーテルエステルと混合したときの相溶性の点
で、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレ
ン系樹脂を用いることが、より優れた帯電防止効果を示
すので好ましい。
【0046】本発明の永久帯電防止性樹脂組成物はそれ
単独でも帯電防止効果を有しているが、これにイオン性
界面活性剤(C)を添加することにより、さらに帯電防
止効果を向上させることができる。
【0047】通常、樹脂に対して帯電防止効果を発現さ
せるために、界面活性剤を添加するのは従来公知の方法
であるが、かかる方法では、水洗や拭き取りにより帯電
防止効果が低下してしまう。それに対し、本発明の、ス
ルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸成分が共
重合されたポリエーテルエステル(A)を含有する樹脂
組成物の場合には、驚くべきことに、イオン性界面活性
剤を添加することによって向上した帯電防止効果は、水
洗や拭き取りによっても損なわれることはない。
【0048】本発明の永久帯電防止性樹脂組成物におい
て使用されるイオン性界面活性剤としては、アルキルス
ルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホ
ン酸塩が好ましい。ここで、アルキルスルホン酸塩とし
ては、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホ
ン酸カリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、デシルス
ルホン酸カリウム、セチルスルホン酸ナトリウム、セチ
ルスルホン酸カリウムを例示することができる。また、
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン
酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デ
シルベンゼンスルホン酸カリウム、セチルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸カリウム
を例示することができる。かかるイオン性界面活性剤は
単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることがで
きる。
【0049】上記のイオン性界面活性剤は、本発明の永
久帯電防止性樹脂組成物100重量部に対して、0.5
〜12重量部の割合で含有することが好ましい。かかる
含有量が0.5重量部より少ないと添加による帯電防止
効果が十分発揮されないことがあり、12重量部を超え
ると樹脂組成物の物性低下する原因になったり、取り扱
い性の低下を招くことがあるためである。かかるイオン
性界面活性剤の混合量としては1〜6重量部がさらに好
ましい。
【0050】本発明の永久帯電防止性樹脂組成物を製造
するには、特に限定される方法はないが、ポリエーテル
エステル(A)、(A)以外の熱可塑性樹脂(B)、さ
らに必要に応じてイオン性界面活性剤(C)及び後述す
る各種の添加剤を、通常用いられている方法で、溶融混
練することにより容易に混合して製造することができ
る。中でも2軸押し出し機を利用した溶融混練が好まし
い。混合の温度は用いる熱可塑性樹脂(B)にもよるが
おおむね180〜320℃程度であり、好ましくは18
0〜300℃であり、より好ましくは220〜280℃
である。
【0051】イオン性界面活性剤(C)を用いる場合、
上記(A)、(B)、(C)の各成分の混合の順序に対
しては、3種を同時に混合する方法、2種をあらかじめ
混合しておいた後、他の1成分と混合する方法等が挙げ
られる。こうした方法の中では、(a)3種を同時に混
合する方法、(b)(A)及び(C)成分をあらかじめ
混合しておいた後、(B)成分及び必要に応じて、後述
する各種の添加剤を混合する方法、が好ましいが、帯電
防止効果及びそれの永久性の面から、(b)、すなわち
(A)及び(C)成分をあらかじめ混合しておいた後、
(B)成分及び必要に応じて、後述する各種の添加剤を
混合する方法が特に好ましい。
【0052】(a)の(A)、(B)及び(C)の3成
分すべてを同時に混合する方法としては、一軸あるいは
二軸の溶融押し出し機を用い、必要に応じて後述する各
種の添加剤を添加して溶融混合する。これらを混合する
温度としては、概ね250〜320℃である。250℃
より温度が低いと混合が十分ではないことがあり、32
0℃より温度が高いと、分解などの劣化を起こすことが
ある。この場合の溶融混合温度は好ましくは260〜3
00℃である。
【0053】さらに好ましい混合方法である上記(b)
の方法は、(A)及び(C)成分をあらかじめ混合して
おいた後、(B)成分及び後述する各種の添加剤を混合
する。ここでまず、ポリエーテルエステル(A)とイオ
ン性界面活性剤(C)を溶融混合する方法としては、例
えば、ポリエーテルエステルが重合反応した後、そのま
ま重合槽に、かかるイオン性界面活性剤(C)を添加し
て混合する方法、また、一軸あるいは二軸の溶融押し出
し機を用いて(A)及び(C)の両者を混合する方法が
挙げられる。(A)と(C)とを溶融混合する温度とし
ては、概ね140〜300℃である。140℃より温度
が低いと混合が十分ではないことがあり、300℃より
温度が高いと、分解などの劣化を起こすことがあり好ま
しくない。溶融混合温度は好ましくは160〜270℃
であり、より好ましくは200〜250℃である。
【0054】こうして製造された(A)及び(C)成分
の混合物にさらに(B)成分、及び必要に応じて後述す
る各種の添加剤を溶融混合する方法としては、一軸ある
いは二軸の溶融押し出し機を用いて両者を混合する方法
が挙げられる。これらを混合する温度としては、概ね2
50〜320℃である。250℃より温度が低いと混合
が十分ではないことがあり、320℃より温度が高い
と、分解などの劣化を起こすことがあり好ましくない。
溶融混合温度は好ましくは260〜300℃である。
【0055】さらに本発明の永久帯電防止性樹脂組成物
は、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気での表面固有
抵抗率が1013(Ω/□)以下であることが好ましい。
表面固有抵抗率が1013(Ω/□)以上では、実質的な
帯電防止効果が不十分なためである。下限は帯電防止効
果を十分発現する抵抗率であれば低いほどよいが、通常
108(Ω/□)程度である。
【0056】本発明における永久帯電防止性樹脂組成物
には、必要に応じて各種の添加剤を加えてもよい。かか
る各種の添加剤としては、ガラス繊維、金属繊維、アラ
ミド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィスカー、
炭素繊維、アスベストのような繊維状強化剤、タルク、
炭酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属
フレーク、金属粉末のような各種充填剤、リン酸エステ
ル、亜リン酸エステルに代表されるような熱安定剤ある
いは触媒失活剤、酸化安定剤、光安定剤、滑剤、顔料、
難燃化剤、難燃助剤、可塑剤などの各種添加剤を適宜配
合しても差し支えない。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂の本来有
する物性を損なうことなく、水洗しても制電性能が低下
しない永久的な帯電防止効果を有する永久帯電防止性樹
脂組成物を得ることができる。かかる樹脂組成物は、さ
らにイオン性界面活性剤を含有することにより、かかる
帯電防止効果とその永久性が顕著に増大する。したがっ
て、かかる組成物はOA機器、電子部材、自動車のハウ
ジング、医療用部材、各種容器、カバー、フィルム、シ
ート等に有用である。
【0058】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明の好ましい態様に
ついて記載するが、本発明は実施例のみに限定されるも
のではない。なお、実施例中「部」は「重量部」を意味
する。
【0059】還元粘度は、特に指定のない限りフェノー
ル/テトラクロロエタン(重量比60/40)の混合溶
媒中において濃度1.2(g/dl)、35℃にて測定
した値である。
【0060】ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)
は、DSCにより、昇温速度10℃/分で測定した。
【0061】衝撃強度はASTM D256に従い1/
8インチで、熱変形温度(HDT)はASTM D64
8に従い、1/8インチ、荷重18.6kg/cm2
測定した。
【0062】表面固有抵抗率は、成型品(試験サンプ
ル)を、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下で24
時間放置した後、超絶縁計(東亜電波工業株式会社製S
M−8210)を用いて印加電圧1000Vにて測定し
た。また、かかる成型品は、ついで30℃の流水で2時
間水洗洗浄し、清浄な紙で水分をふき取った。その後、
同様の条件で乾燥し、表面固有抵抗率の測定を行った。
【0063】[参考例1]74.0部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、145.5部のジメチル
テレフタレート、180.0部の1,4−ブタンジオー
ル、50部のポリエチレングリコール(数平均分子量2
0000)、及び0.1部のテトラブチルチタネートを
精留塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒
素置換した後、常圧下、200℃に昇温した。200℃
でメタノールを留去しながら180分間反応を行った
後、反応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応
器に入れ、常圧下、反応留出物を留去しながら120分
かけて240℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系
内を減圧し、70分後30mmHgとし、高粘度の重合
体を得た。得られたポリエーテルエステルの還元粘度は
0.20、Tmは195℃であり、Tgは検出できなか
った。
【0064】[参考例2]44.4部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、164.9部のジメチル
テレフタレート、160部の1,4−ブタンジオール、
90部のポリエチレングリコール(数平均分子量200
00)、及び0.1部のテトラブチルチタネートを精留
塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置
換した後、常圧下、200℃に昇温した。200℃でメ
タノールを留去しながら180分間反応を行った後、反
応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入
れ、常圧下、反応留出物を留去しながら120分かけて
240℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減
圧し、70分後1.0mmHgとし、重合体を得た。得
られたポリエーテルエステルの還元粘度は0.32、T
mは45℃と197℃であり、Tgは検出できなかっ
た。
【0065】[参考例3]74.0部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、145.5部のジメチル
テレフタレート、150部の1,4−ブタンジオール、
90部のポリエチレングリコール(数平均分子量200
00)、及び0.1部のテトラブチルチタネートを精留
塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置
換した後、常圧下、200℃に昇温した。200℃でメ
タノールを留去しながら180分間反応を行った後、反
応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入
れ、常圧下、反応留出物を留去しながら120分かけて
240℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減
圧し、70分後1.2mmHgとし、重合体を得た。得
られたポリエーテルエステルの還元粘度は0.25、T
mは195℃であり、Tgは検出できなかった。
【0066】[参考例4]数平均分子量4000のポリ
エチレングリコール90部を用いた以外は参考例3と同
様にして重合体を得た。得られたポリエーテルエステル
の還元粘度は0.23、Tmは180℃であり、Tgは
検出できなかった。
【0067】[参考例5]14.8部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、184.3部のジメチル
テレフタレート、160部の1,4−ブタンジオール、
90部のポリエチレングリコール(数平均分子量200
00)、及び0.1部のテトラブチルチタネートを精留
塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置
換した後、常圧下、200℃に昇温した。200℃でメ
タノールを留去しながら180分間反応を行った後、反
応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入
れ、常圧下、反応留出物を留去しながら120分かけて
240℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減
圧し、70分後0.9mmHgとし、重合体を得た。得
られたポリエーテルエステルの還元粘度は1.65、T
mは58℃と221℃であり、Tgは検出できなかっ
た。
【0068】[参考例6]194.0部のジメチルテレ
フタレート、160部の1,4−ブタンジオール、90
部のポリエチレングリコール(数平均分子量2000
0)、及び0.1部のテトラブチルチタネートを精留塔
及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置換
した後、常圧下、200℃に昇温した。200℃でメタ
ノールを留去しながら180分間反応を行った後、反応
物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入
れ、常圧下、反応留出物を留去しながら120分かけて
240℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減
圧し、70分後0.9mmHgとし、重合体を得た。得
られたポリエーテルエステルの還元粘度は1.10、T
mは62℃と224℃であり、Tgは検出できなかっ
た。
【0069】[参考例7]44.4部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、164.9部のジメチル
テレフタレート、160部の1,4−ブタンジオール、
及び0.1部のテトラブチルチタネートを精留塔及び撹
拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒素置換した
後、常圧下、200℃に昇温した。200℃でメタノー
ルを留去しながら180分間反応を行った後反応物を、
撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入れ、常
圧下、反応留出物を留去しながら120分かけて240
℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減圧し、
70分後2.0mmHgとし、重合体を得た。得られた
ポリエーテルエステルの還元粘度は0.21、Tmは2
06℃であり、Tgは検出できなかった。
【0070】[実施例1〜4]ABS樹脂(三井東圧化
学(株)社製 UT−61)に参考例1〜3、及び5で
製造した各ポリエーテルエステルの表記の量を30mm
φ同方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)
製、PCM30)を用いて、ポリマー温度240℃、平
均滞留時間約10分の条件下で溶融混練し、これをペレ
ット化した。次に射出成型機(名機製作所(株)製M−
50B)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度
50℃にて射出成形を行い、2mm厚の成型品4種類
得、表面固有抵抗の測定を行った。機械物性と共に、結
果を表1に示す。
【0071】[比較例1、2]参考例6、7で製造した
各ポリエーテルエステルを、実施例1〜4と同様にAB
S樹脂(三井東圧化学(株)社製 UT−61)に溶融
混合し、成型品の評価を行った。結果を表1に併記す
る。
【0072】
【表1】
【0073】[実施例5、6]ポリカーボネート樹脂
(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)に参考
例2、3で製造した各ポリエーテルエステルの表記の量
を30mmφ同方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄
工(株)製、PCM30)を用いて、ポリマー温度28
0℃、平均滞留時間約10分の条件下で溶融混練し、こ
れをペレット化した。次に射出成型機(名機製作所
(株)製M−50B)を用いて、シリンダー温度260
℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、2mm厚の成
型品を得、表面固有抵抗の測定を行った。機械物性と共
に、結果を表2に示す。
【0074】[比較例3、4]参考例6、7で製造した
各ポリエーテルエステル及びポリカーボネート樹脂(帝
人化成(株)製「パンライト」L1250)を、実施例
5、6と同様に溶融混合し、成型品の評価を行った。結
果を表2に併記する。
【0075】
【表2】
【0076】以上実施例1〜6及び比較例1〜4より明
らかなように、本発明の永久帯電防止性樹脂組成物は、
その表面固有抵抗率が水洗の前後で変わらず、永久的な
制電効果を示した。また、上記式(1)で表される芳香
族ジカルボン酸及び/又はそのエステル(A1b )成分
を含まないポリマーに比べて、また数平均分子量200
〜50000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール
(A2)成分を有しないポリマーに比べて、帯電防止効
果も大きいことがわかる。
【0077】[実施例7〜10]ABS樹脂(三井東圧
化学(株)社製 UT−61)、ポリカーボネート樹脂
(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)、参考
例1〜4で製造した各ポリエーテルエステル及びドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムを表記の量、30mm
φ同方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)
製、PCM30)を用いて、ポリマー温度260℃、平
均滞留時間約10分の条件下で溶融混練し、これをペレ
ット化した。次に射出成型機(名機製作所(株)製M−
50B)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度
50℃にて射出成形を行い、2mm厚の成型品を得、表
面固有抵抗の測定を行った。機械物性と共に、結果を表
3に示す。
【0078】[比較例5、6]参考例6、7で製造した
ポリエーテルエステルを、ABS樹脂(三井東圧化学
(株)社製 UT−61)、ポリカーボネート樹脂(帝
人化成(株)製「パンライト」L1250)及びドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムを表記の量、実施例7
〜10と同様に溶融混合し、成型品の評価を行った。結
果を表3に併記する。
【0079】
【表3】
【0080】この結果より、上記式(1)で表される芳
香族ジカルボン酸及び/又はそのエステルを含まないも
のに比べて、本発明の永久帯電防止性樹脂組成物は帯電
防止効果も大きい。しかも驚くべきことに、従来の界面
活性剤のみを熱可塑性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂組成
物に含有した場合と異なり、イオン性界面活性剤を含有
した場合も水洗によってその効果が損なわれないことが
わかる。
【0081】[参考例8]133部の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸ジメチル、883部のジメチルテレフ
タレート、885部の1、6−ヘキサメチレングリコー
ル、857部のポリエチレングリコール(数平均分子量
2000)、及び1.4部のテトラブチルチタネートを
精留塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を窒
素置換した後、常圧下、220℃に昇温した。220℃
でメタノールを留去しながら5時間反応を行った後、反
応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入
れ、45分間で240℃まで昇温した。その時点で徐々
に反応系内を減圧し、60分後0.3mmHgとし、6
時間後に高粘度の重合体を得た。得られたポリエーテル
エステルの還元粘度は1.81、Tmは120℃であっ
た。さらにそこへ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム430部を加え、容器内を窒素置換した後、240
℃で減圧下1時間撹拌した。得られた組成物のTmは1
15℃であった。この組成物をE1とする。
【0082】[参考例9]178部の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸ジメチル、854部のジメチルテレフ
タレート、885部の1、6−ヘキサメチレングリコー
ル、1065部のポリエチレングリコール(数平均分子
量2000)、及び1.3部のテトラブチルチタネート
を精留塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を
窒素置換した後、常圧下、220℃に昇温した。220
℃でメタノールを留去しながら5時間反応を行った後、
反応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に
入れ、45分間で240℃まで昇温した。その時点で徐
々に反応系内を減圧し、60分後0.3mmHgとし、
6時間後に高粘度の重合体を得た。得られたポリエーテ
ルエステルの還元粘度は1.21、Tmは89℃であっ
た。得られたポリマーを反応器から取り出し、ポリマー
100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム20部を30mmφ同方向回転2軸エクストルーダ
ー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用いて、ポリマ
ー温度220℃、平均滞留時間約7分の条件下で溶融混
練し、これをペレット化した。この組成物をE2とす
る。
【0083】[参考例10]178部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、854部のジメチルテレ
フタレート、900部の1、6−ヘキサメチレングリコ
ール、770部のポリエチレングリコール(数平均分子
量20000)、及び1.0部のテトラブチルチタネー
トを精留塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内
を窒素置換した後、常圧下、220℃に昇温した。22
0℃でメタノールを留去しながら5時間反応を行った
後、反応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応
器に入れ、45分間で240℃まで昇温した。その時点
で徐々に反応系内を減圧し、60分後0.3mmHgと
し、3時間後に高粘度の重合体を得た。得られたポリエ
ーテルエステルの還元粘度は3.84、Tmは130℃
であった。得られたポリマーを反応器から取り出し、ポ
リマー100部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム10部を30mmφ同方向回転2軸エクスト
ルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用いて、
ポリマー温度220℃、平均滞留時間約7分の条件下で
溶融混練し、これをペレット化した。この組成物をE3
とする。
【0084】[参考例11]970部のジメチルテレフ
タレート、885部の1、6−ヘキサメチレングリコー
ル、1014部のポリエチレングリコール(数平均分子
量2000)、及び1.3部のテトラブチルチタネート
を精留塔及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、容器内を
窒素置換した後、常圧下、220℃に昇温した。220
℃でメタノールを留去しながら5時間反応を行った後、
反応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に
入れ、45分間で240℃まで昇温した。その時点で徐
々に反応系内を減圧し、60分後0.3mmHgとし、
6時間後に高粘度の重合体を得た。得られたポリエーテ
ルエステルの還元粘度は1.53、Tmは135℃であ
った。さらにそこへ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム451部を加え、容器内を窒素置換した後、24
0℃で減圧下1時間撹拌した。得られた組成物のTmは
133℃であった。この組成物をE4とする。
【0085】[実施例11、12]ガラス強化PBT樹
脂(帝人株式会社製C7030N)100部に対して、
参考例8及び9の組成物(E1)及び(E2)各12部
を、30mmφ同方向回転2軸エクストルーダー(池貝
鉄工(株)製、PCM30)を用いて、ポリマー温度2
50℃、平均滞留時間約5分の条件下でそれぞれ該PB
T樹脂と溶融混練し、これをペレット化した。次に射出
成型機(名機製作所(株)製M−50B)を用いて、シ
リンダー温度250℃、金型温度70℃にて射出成形を
行い、2mm厚の成型品を得、表面固有抵抗の測定を行
った。機械物性と共に、結果を表4に示す。
【0086】[実施例13、14]PBT樹脂(還元粘
度1.5)100部に対して、参考例9及び10の組成
物(E2)及び(E3)各12部を、30mmφ同方向
回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM
30)を用いて、ポリマー温度250℃、平均滞留時間
約5分の条件下でそれぞれ該PBT樹脂と溶融混練し、
これをペレット化した。次に射出成型機(名機製作所
(株)製M−50B)を用いて、シリンダー温度250
℃、金型温度70℃にて射出成形を行い、2mm厚の成
型品を得、表面固有抵抗の測定を行った。機械物性と共
に、結果を表4に示す。
【0087】[比較例7]実施例13、14と同様にし
て、参考例11の組成物(E4)を用い、同様の評価を
行った。機械物性と共に、結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】[参考例12]237部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、781部の2、6−ナフ
タレンジカルボン酸ジメチルエステル、708部の1、
6−ヘキサメチレングリコール、1234部のポリエチ
レングリコール(数平均分子量2000)、及び1.5
部のテトラブチルチタネートを精留塔及び撹拌装置を備
えた反応器に入れ、容器内を窒素置換した後、常圧下、
220℃に昇温した。220℃でメタノールを留去しな
がら5時間反応を行った後、反応物を撹拌装置を備えた
真空留出系を有する反応器に入れ、45分間で240℃
まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減圧し、6
0分後0.3mmHgとし、6時間後に高粘度の重合体
を得た。得られたポリエーテルエステルの還元粘度は
1.56、Tmは157℃であった。さらにそこへ、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム495部を加え、
容器内を窒素置換した後、240℃で減圧下1時間撹拌
した。得られた組成物のTmは151℃であった。この
組成物をE5とする。
【0090】[実施例15、16]ポリカーボネート樹
脂(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)10
0部に対して、参考例9及び12の組成物(E2)及び
(E5)各12部を、30mmφ同方向回転2軸エクス
トルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用い
て、ポリマー温度270℃、平均滞留時間約5分の条件
下でそれぞれ該ポリカーボネート樹脂と溶融混練し、こ
れをペレット化した。次に射出成型機(名機製作所
(株)製M−50B)を用いて、シリンダー温度260
℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、2mm厚の成
型品を得、表面固有抵抗の測定を行った。機械物性と共
に、結果を表5に示す。
【0091】[実施例17、18]ABS樹脂(三井東
圧化学(株)社製 UT−61)40部及びポリカーボ
ネート樹脂(帝人化成(株)製「パンライト」L125
0)60部からなる混合物に対して、参考例8及び10
の組成物(E1)及び(E3)各12部を、30mmφ
同方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、
PCM30)を用いて、ポリマー温度260℃、平均滞
留時間約5分の条件下でそれぞれ該ABS樹脂と溶融混
練し、これをペレット化した。次に射出成型機(名機製
作所(株)製M−50B)を用いて、シリンダー温度2
60℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、2mm厚
の成型品を得、表面固有抵抗の測定を行った。機械物性
と共に、結果を表5に示す。
【0092】[実施例19]ポリメチルメタクリレート
(PMMA)樹脂(旭化成株式会社製 デルペット80
N)100部に対して、参考例9の組成物(E2)12
部を、30mmφ同方向回転2軸エクストルーダー(池
貝鉄工(株)製、PCM30)を用いて、ポリマー温度
250℃、平均滞留時間約5分の条件下で該PMMAと
溶融混練し、これをペレット化した。次に射出成型機
(名機製作所(株)製M−50B)を用いて、シリンダ
ー温度250℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、
2mm厚の成型品を得、表面固有抵抗の測定を行った。
機械物性と共に、結果を表5に示す。
【0093】[実施例20]AS樹脂(ダイセル化学工
業株式会社製 セビアンN050)100部に対して、
参考例8の組成物(E1)12部を、30mmφ同方向
回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM
30)を用いて、ポリマー温度210℃、平均滞留時間
約5分の条件下で該AS樹脂と溶融混練し、これをペレ
ット化した。次に射出成型機(名機製作所(株)製M−
50B)を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度
30℃にて射出成形を行い、2mm厚の成型品を得、表
面固有抵抗の測定を行った。機械物性と共に、結果を表
5に示す。
【0094】
【表5】
【0095】以上実施例11〜20及び比較例7から明
らかなように、上記式(1)で表される芳香族ジカルボ
ン酸及び/又はそのエステルを含まないものに比べて、
本発明の永久帯電防止性樹脂組成物は帯電防止効果も大
きい。しかも驚くべきことに、芳香族ジカルボン酸及び
/又はそのエステルを含まないものは水洗により帯電防
止効果が低下しているのに対して、本発明の芳香族ジカ
ルボン酸及び/又はそのエステルを含むポリエーテルエ
ステルは大きい帯電防止効果が損なわれていないことが
わかる。
【0096】[参考例13]133.2部の5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸ジメチル(9モル%)、776
部のジメチルテレフタレート(80モル%)、95.7
部のアジピン酸ジメチル(11モル%)、885部の
1,6−ヘキサメチレングリコール、850部のポリエ
チレングリコール(数平均分子量2000、40重量
%)、及び1.4部のテトラブチルチタネートを精留塔
及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、参考例8に準じて
高粘度の重合体を製造した。得られたポリエーテルエス
テルの還元粘度は1.49、Tmは110℃であり、T
gは検出できなかった。さらにそこへ、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム430部を加え、容器内を窒素
置換した後、240℃で減圧下1時間撹拌した。得られ
た組成物のTmは105℃であった。この組成物をE6
とする。
【0097】[実施例21]ABS樹脂(三井東圧化学
(株)社製 UT−61)40部及びポリカーボネート
樹脂(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)6
0部からなる混合物に対して、参考例13の組成物(E
6)12部を用いて、実施例17、18に準じて成形
し、評価した。その結果、表面固有抵抗の値は、水洗
前、水洗後ともlogRで11.5(Ω)であった。また、衝
撃強度は56(kg・cm/cm、アイゾット,ノッチ付)であっ
た。
【0098】[参考例14]178部の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル、854部のジメチルテレ
フタレート、620部のエチレングリコール、836部
のポリエチレングリコール(数平均分子量2000)、
及び1.3部のテトラブチルチタネートを精留塔及び撹
拌装置を備えた反応器に入れ、参考例9に準じて高粘度
の重合体を得た。得られたポリエーテルエステルの還元
粘度は1.31、Tmは197℃であった。
【0099】[実施例22〜23、比較例8〜11]ポ
リカーボネート樹脂(帝人化成(株)製「パンライト」
L1250)、参考例9、11及び14の各ポリエーテ
ルエステル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
の表記の量、参考例9及び11の組成物(E2)及び
(E4)の表記の量を、30mmφ同方向回転2軸エク
ストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用い
て、ポリマー温度270℃、平均滞留時間約5分の条件
下でそれぞれ該ポリカーボネート樹脂と溶融混練し、こ
れをペレット化した。次に射出成型機(名機製作所
(株)製M−50B)を用いて、シリンダー温度260
℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、2mm厚の成
型品を得、表面固有抵抗の測定を行った。結果を表6に
示す。なお、前記した実施例15についても併記する。
【0100】
【表6】
【0101】以上実施例15、22〜23及び比較例8
〜11から明らかなように、上記式(1)で表される芳
香族ジカルボン酸及び/又はそのエステルを含まないポ
リエーテルエステルに比べて、本発明の永久帯電防止性
樹脂組成物は帯電防止効果も大きく、水洗前後での効果
の減少も小さい。さらに驚くべきことに、イオン性界面
活性剤を、上記式(1)で表される芳香族ジカルボン酸
及び/又はそのエステルを含むポリエーテルエステルに
混合しておくと、その効果はさらに大きいこと等がわか
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 63/688 NNK C08G 63/688 NNK (C08L 101/00 67:02)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A1)炭素数4〜20の芳香族ジカル
    ボン酸及び/又はそのエステル、(A2)数平均分子量
    200〜50000のポリ(アルキレンオキシド)グリ
    コール、及び(A3)炭素数4〜10のグリコール、を
    重縮合して得られるポリエーテルエステル(A)5〜4
    0重量部及び上記ポリエーテルエステル(A)以外の熱
    可塑性樹脂(B)95〜60重量部とからなる樹脂組成
    物において、上記(A1)がパラ配向の芳香族ジカルボ
    ン酸及び/又はそのエステル(A1a)98〜70モル
    %及び下記式(1) 【化1】 [式(1)中、Arは炭素数6〜12の3価の芳香族
    基、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜
    6のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表
    し、M+ は金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイ
    オン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。]
    で表されるスルホン酸塩基で置換された芳香族ジカルボ
    ン酸及び/又はそのエステル(A1b)2〜30モル%
    とから実質的になり、かつ(A2)の含有量が、生成す
    るポリエーテルエステル(A)の5〜80重量%である
    ことを特徴とする永久帯電防止性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の永久帯電防止性樹脂組成
    物100重量部に対して、更にイオン性界面活性剤
    (C)を0.5〜12重量部の割合で含有する永久帯電
    防止性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 イオン性界面活性剤(C)が、アルキル
    スルホン酸塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩
    である請求項2記載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエーテルエステル(A)が、フェノ
    ール/テトラクロロエタン(重量比60/40)の混合
    溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃度1.2g/d
    l)で、0.2以上である請求項1〜3のいずれかに記
    載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 温度20℃、湿度65%の雰囲気におけ
    る表面固有抵抗率が1013(Ω/□)以下である請求項
    1〜4記載のいずれかに記載の永久帯電防止性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項2または3記載の永久帯電防止性
    樹脂組成物を製造するにあたり、ポリエーテルエステル
    (A)及びイオン性界面活性剤(C)を混合後、熱可塑
    性樹脂(B)を混合することを特徴とする永久帯電防止
    性樹脂組成物の製造方法。
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JP2006305848A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Denki Kagaku Kogyo Kk 積層シート及びその成形体
JP2009001618A (ja) * 2007-06-19 2009-01-08 Riken Technos Corp 制電性ポリエステル系樹脂組成物
CN103382286A (zh) * 2013-06-26 2013-11-06 安徽祈艾特电子科技有限公司 一种增强汽车分电器盖
JP2015030830A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 三菱瓦斯化学株式会社 耐熱透明帯電防止性ポリエステル樹脂組成物
KR20180037214A (ko) 2015-08-05 2018-04-11 리켄 테크노스 가부시키가이샤 제전성 수지 조성물

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