JPH1087979A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物

Info

Publication number
JPH1087979A
JPH1087979A JP24304596A JP24304596A JPH1087979A JP H1087979 A JPH1087979 A JP H1087979A JP 24304596 A JP24304596 A JP 24304596A JP 24304596 A JP24304596 A JP 24304596A JP H1087979 A JPH1087979 A JP H1087979A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
resin composition
composition according
component
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24304596A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumitaka Kondou
史崇 近藤
Nobuaki Kido
伸明 城戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP24304596A priority Critical patent/JPH1087979A/ja
Publication of JPH1087979A publication Critical patent/JPH1087979A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性、耐溶剤性及び帯電防止性に優れたポリ
カーボネート樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂100重量
部、(B)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステ
ル樹脂5〜100重量部、(C)例えば2,6―ナフタ
レンジカルボン酸ジメチル、4―ナトリウムスルホ―
2,6―ナフタレンジカルボン酸ジメチル、1,6―ヘ
キサメチレングリコール、とから得られるポリエーテル
エステル5〜30重量部、および(D)イオン性界面活
性剤とからなるポリカーボネート樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性に優れ
たポリカーボネート樹脂組成物に関する。更に詳しく
は、光線透過率に優れ、ポリカーボネート樹脂よりも優
れた耐薬品性を持ち、しかも帯電防止効果が持続するポ
リカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来技術】プラスチック材料はその優れた諸特性を生
かし、電気電子用部材、自動車用部材、医療用部材、生
活用品、その他各種成形品として利用されている。とこ
ろで、一般にプラスチックには、電気絶縁性が高いとい
う特徴があるが、そのためにかえって帯電した静電気が
散逸しにくく、製品への埃の付着、作業者への電撃、計
器類やICチップ類の誤動作といった問題が生じてい
る。そのため、各種のプラスチック材料に対して帯電防
止方法の研究がなされてきた。
【0003】プラスチックの帯電防止方法としては、内
部添加型と塗布型とがある。塗布型では、別行程が必要
であり、製造プロセス上は内部添加型の方が有利であ
る。
【0004】内部添加型による方法ではこれまで、アル
キルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩とい
ったイオン性界面活性剤をポリマー中に練り込む方法
が、効果や経済性に優れるために一般的に採用されてき
た。
【0005】中でもイオン性界面活性剤としてアルキル
(アリール)スルホン酸塩を利用した系はよく検討され
ており、制電効果の大きいものとして、例えば、アルカ
ンのセカンダリー位をスルホン酸金属塩に置換したもの
(特開平5-222241号公報)、ホスホニウム塩を利用した
もの(特開昭62-230835号公報)が開示されている。し
かし、こうした低分子量の界面活性剤を利用する方法で
は、かかる界面活性剤が樹脂表面に染み出すために、制
電効果は高いものの、拭いたり、水洗いしたりするとそ
の効果が低下するという問題点がある。
【0006】そこで、透明性を保持したまま永久的な制
電効果を付与するものとして、ポリマーの末端にフェノ
ールスルホン酸のホスホニウム塩を化学的に結合させ、
永久的な帯電防止効果を発現させる方法(特開昭-26462
7号公報、特開昭64-14268号公報)が開示されている。
しかし、この方法では、確かに永久的な制電効果がある
ものの、分子末端を利用するためにポリマーを高重合度
化すると制電効果が薄れ、制電性の末端を増加させて制
電効果を高めると物性が低下するという問題がある。
【0007】他方、永久的な制電効果を有するものとし
て、制電性のポリマーを混合する方法が多数報告されて
いる。こうした制電制のポリマーとしては、ポリエーテ
ルエステルアミド(特開昭62-273252号公報)、幹ポリ
マーがポリアミド、枝ポリマーがポリアルキレンエーテ
ルとポリエステルとのブロックポリマーから成るグラフ
トポリマー(特開平5-97984号公報)、カプロラクタ
ム、イミド環を形成しうる多価カルボン酸成分、有機ジ
イソシアネート及びポリエチレングリコールの共重合体
(特開平3-255161号公報)、ポリエチレンエーテル、イ
ソシアネート及びグリコールから成るポリマー(特開平
5-222289号公報)等が報告されている。しかし、このよ
うに2種類以上のポリマーから成る組成物では、通常は
ポリマー同士はミクロには混合していないので、光の散
乱のために、ほとんど光が透過せず不透明な成形品しか
得られない。
【0008】ところで特開平6-57153号公報において、
ポリアルキレングリコール、グリコール、及び多価カル
ボン酸から成るポリエーテルエステルが記載されてい
る。かかるポリマーは他の熱可塑性樹脂に混合すること
により永久的な制電性を示すものの、かかるポリマー単
独ではその効果が不足する。そこで更に制電効果を上げ
るために、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のイオン性
界面活性剤を併用することについても述べられている。
しかしながら、そうした場合には水洗により制電効果が
低下し、効果の永久性が不十分であるという問題があ
る。更にこのポリエーテルエステルは、熱可塑性の各種
ポリマーに適用されているものの、ポリカーボネート
等、ポリエーテル成分と親和性の良いポリマーについて
は、効果があまりないという問題もある。
【0009】また、ポリカーボネート樹脂は有機溶剤に
対する耐性に乏しく、低分子量の炭化水素、アルコー
ル、ケトン等の有機溶剤と接触すると成形品の表面にク
ラックを生じる。従来から耐溶剤性向上の目的で、ポリ
カーボネート樹脂にポリエステル樹脂をブレンドするこ
とが行われている。しかし、このような方法では確かに
耐溶剤性は向上するものの、ポリカーボネート樹脂の帯
電防止性能の向上は達成できない。
【0010】以上のように、ポリカーボネート樹脂の透
明性を損なうことなく、且つ永久的な帯電防止効果を備
え、しかもポリカーボネート樹脂よりも優れた耐溶剤性
を有した熱可塑性樹脂組成物を得ることは困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、大き
な帯電防止効果を、水洗や拭き取り等によっても低下す
ることなく永久的に有し、且つ高い光線透過率と、優れ
た耐溶剤性、物性及び成形性を兼ね備えたポリカーボネ
ート樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、芳香族ジカルボン
酸成分及びスルホン酸塩基で核置換された特定の芳香族
ジカルボン酸成分を含有して成る1.55以上の屈折率を有
するポリエーテルエステルと、イオン性界面活性剤と
を、(ポリカーボネート/ポリエステル)ブレンドマト
リクス樹脂に混合することによって、永続的な帯電防止
効果を発揮した上で、なお且つ高い光線透過率と、優れ
た耐溶剤性、物性及び成形性を有するポリカーボネート
樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明に到達し
た。
【0013】すなわち本発明は、(A)ポリカーボネー
ト樹脂100重量部、 (B)ポリエステル樹脂5〜100重量部、 (C)(C1)芳香族ジカルボン酸成分95〜50モル%、(C
2)下記式(1)
【0014】
【化2】
【0015】[式(1)中、Ar1は炭素数6〜12の
3価の芳香族基を表し、M+は金属イオン、テトラアル
キルホスホニウムイオン又はテトラアルキルアンモニウ
ムイオンを表す。]で示されるスルホン酸塩基で置換さ
れた芳香族ジカルボン酸成分5〜50モル%、(C3)炭素
数2〜10の脂肪族グリコール成分、(C4)数平均分子量2
00〜50000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成
分、から成るポリエーテルエステルであり、且つ(C
1)、(C2)、(C3)及び(C4)の4成分の合計量に基
づく(C4)の含有量が10〜50重量%の範囲内であるポリ
エーテルエステル5〜30重量部、及び (D)イオン性界面活性剤0.5〜10重量部、から実質的に
なることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物であ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。
【0017】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
(A)ポリカーボネート樹脂、(B)ポリエステル樹脂、
(C)ポリエーテルエステル、及び(D)イオン性界面
活性剤から実質的になる。
【0018】本発明に用いられるポリカーボネート樹脂
(A)としては、ジフェノール類と炭酸あるいはそれら
の誘導体とから得られるものである。ジフェノール類と
炭酸あるいはそれらの誘導体とは、それらのエステル、
塩、ハロゲン化物を指す。
【0019】ここで、炭酸あるいはそれらの誘導体は、
芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸あるいはそれ
らの誘導体を少量成分として用いても良い。
【0020】本発明に用いられるポリカーボネート樹脂
(A)としては、下記式(2)
【0021】
【化3】
【0022】で表される繰り返し単位から主として成る
ものが好ましい。式(2)中、R1及びR2はそれぞれ独
立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜6の
シクロアルキル基であり、例えばメチル、エチル、プロ
ピル、ノルマルブチル、イソブチル、ペンチル、シクロ
ヘキシル等を例示できる。また、R1とR2とは互いに結
合していても良く、その場合にはシクロアルカン環を構
成する。次にR3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数1〜5
のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基を表し、例え
ばメチル、エチル、プロピル、ノルマルブチル、イソブ
チル、ペンチル、フェニル、クロロ、ブロモ等を例示で
きる。またm、nはそれぞれ独立に0、1又は2である。
【0023】上記式(2)で表される繰り返し単位から
主として成るポリカーボネート樹脂は、上記式(2)の
繰り返し単位を2種類以上含有する共重合ポリマーでも
良いし、ブレンドポリマーでも良い。また、該ポリカー
ボネート樹脂の特性が大きく変わらない範囲内で、上記
式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を
(好ましくは20モル%以下で)含有していてもよい。
【0024】上記式(2)で表される繰り返し単位から
主として成るポリカーボネート樹脂としては、R1、R2
が共にメチル基であり、m、nが共に0であるビスフェノ
ールA型ポリカーボネートが特に好ましく例示できる。
【0025】本発明に用いられるポリカーボネート樹脂
は、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の任意の方
法で合成される。
【0026】好ましい物性を有する本発明のポリカーボ
ネート樹脂組成物を得るためには、粘度平均分子量1500
0〜40000のポリカーボネート樹脂を用いるのが好まし
い。
【0027】本発明において用いられる(B)ポリエス
テル樹脂は、例えばポリアルキレンテレフタレート又は
ポリアルキレンナフタレートである。ここで、ポリアル
キレンテレフタレートとしては、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチ
レンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート等が例示できる。またポリアルキレンナフ
タレートとしては、ポリ(エチレン-2,6-ナフタレンジ
カルボキシレート)、ポリ(エチレン-2,7-ナフタレン
ジカルボキシレート)、ポリ(ブチレン-2,6-ナフタレ
ンジカルボキシレート)、ポリ(ブチレン-2,7-ナフタ
レンジカルボキシレート)、ポリ(ヘキサメチレン-2,6
-ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(ヘキサメチ
レン-2,7-ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ(シ
クロヘキサンジメチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシ
レート)、ポリ(シクロヘキサンジメチレン-2,7-ナフ
タレンジカルボキシレート)等が例示できる。
【0028】本発明における(B)ポリエステル樹脂の
還元粘度(ηsp/C)は、フェノール/テトラクロロエ
タン(重量比60/40)の混合溶媒中において濃度
1.2(g/dl)、35℃にて測定した値が0.3〜
3.0の範囲であることが好ましい。
【0029】上記ポリエステル樹脂は、単独で、又は二
種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】本発明によれば上記のポリエステル樹脂の
添加量は、前記のポリカーボネート樹脂(A)100重量部
に対して、5〜100重量部である。かかる添加量が5重量
部以下では十分な耐溶剤性が得られない。また100重量
部以上の添加は、耐熱性や物性が低下する原因となる。
7〜70重量部の添加量がより好ましい。
【0031】本発明におけるポリエーテルエステルを構
成する成分の一つである(C1)芳香族ジカルボン酸成分
としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレ
ンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェ
ニルジカルボン酸又はそのエステル形成性の誘導体を挙
げることができ、各芳香環はアルキル基、ハロゲン原子
等で置換されていても良い。エステル形成性誘導体とし
ては、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、
テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、2,6-ナ
フタレンジカルボン酸ジメチル、2,6-ナフタレンジカル
ボン酸ジエチル、2,7-ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ル、2,7-ナフタレンジカルボン酸ジエチル、ジフェニル
ジカルボン酸ジメチル、ジフェニルジカルボン酸ジエチ
ル等の芳香族ジカルボン酸アルキルエステルを挙げるこ
とができる。これらの芳香族ジカルボン酸及びこれらの
エステル形成性誘導体は単独で使用しても二種以上を組
み合わせて用いても良い。
【0032】本発明において用いられる(C2)スルホン
酸塩基(−SO3+)で置換された芳香族ジカルボン酸
成分は、下記式(1)
【0033】
【化4】
【0034】で表される。
【0035】上記式(1)において、M+は金属イオ
ン、テトラアルキルホスホニウムイオン、テトラアルキ
ルアンモニウムイオンの内から選ばれるイオンを表す。
+としてはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチ
ウムイオン等のアルカリ金属イオン、カルシウムイオ
ン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、
亜鉛イオン等の金属イオン、テトラブチルホスホニウム
イオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラブチ
ルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオ
ン等である。これらのイオンの中では金属イオンが好ま
しく、アルカリ金属イオン、亜鉛イオンがより好まし
い。但し2価の金属イオンの場合にはスルホン酸塩基2
モルに対して金属イオン1モルが対応するものとする。
【0036】上記式(1)中のAr1は、ベンゼン環、
ナフタレン環、ビフェニル環等の炭素数6〜12の3価
の芳香族基であり、これらはまたアルキル基、フェニル
基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換基を有していても
良い。
【0037】かかるスルホン酸塩基(−SO3 -+)で
置換された芳香族ジカルボン酸成分としては、4-ナトリ
ウムスルホ-イソフタル酸、5-ナトリウムスルホ-イソ
フタル酸、4-カリウムスルホ-イソフタル酸、5-カリウ
ムスルホ-イソフタル酸、2-ナトリウムスルホ-テレフタ
ル酸、2-カリウムスルホ-テレフタル酸、4-スルホ-イソ
フタル酸亜鉛、5-スルホ-イソフタル酸亜鉛、2-スルホ-
テレフタル酸亜鉛、4-スルホ-イソフタル酸テトラアル
キルホスホニウム塩、5-スルホ-イソフタル酸テトラア
ルキルホスホニウム塩、4-スルホ- イソフタル酸テトラ
アルキルアンモニウム塩、5-スルホ-イソフタル酸テト
ラアルキルアンモニウム塩、2-スルホ-テレフタル酸テ
トラアルキルホスホニウム塩、2-スルホ-テレフタル酸
テトラアルキルアンモニウム塩、4-ナトリウムスルホ-
2,6-ナフタレンジカルボン酸、4-ナトリウムスルホ-2,7
-ナフタレンジカルボン酸、4-カリウムスルホ-2,6-ナフ
タレンジカルボン酸、4-カリウムスルホ-2,7-ナフタレ
ンジカルボン酸、4-スルホ−2,6−ナフタレンジカル
ボン酸亜鉛塩、4−スルホ-2,7-ナフタレンジカルボン
酸亜鉛塩、又はこれらのジメチルエステル、ジエチルエ
ステル等の芳香族ジカルボン酸エステル等を挙げること
ができる。
【0038】これらの中で、Ar1は置換基を有さず、
+がナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンで
あることが、制電性、重合性、機械物性、色調等の面で
より好ましい。
【0039】上記化合物はさらに、4-ナトリウムスルホ
-イソフタル酸ジメチル、5-ナトリウムスルホ-イソフタ
ル酸ジメチル、4-カリウムスルホ-イソフタル酸ジメチ
ル、5-カリウムスルホ-イソフタル酸ジメチル、2-ナト
リウムスルホ-テレフタル酸ジメチル、2-カリウムスル
ホ-テレフタル酸ジメチル、4-ナトリウムスルホ-2,7-ナ
フタレンジカルボン酸ジメチル、4-カリウムスルホ-2,6
-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、4-カリウムスルホ-
2,7-ナフタレンジカルボン酸ジメチル等を用いること
が、透明性が向上するので好ましく、4-ナトリウムスル
ホ-2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、4-ナトリウ
ムスルホ-2,7-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、4-カ
リウムスルホ-2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル、4
-カリウムスルホ-2,7-ナフタレンジカルボン酸ジメチル
を主として用いることがさらに好ましい。
【0040】本発明によれば、(C)ポリエーテルエス
テルを構成する二種の酸成分は、全酸成分のうち、主と
して(C1)芳香族ジカルボン酸成分95〜50モル%、及び
(C2)上記式(1)で示されるスルホン酸塩基で置換さ
れた芳香族ジカルボン酸成分5〜50モル%の割合であ
る。かかる(C2)成分の割合が5モル%未満では、帯電
防止効果が十分でなかったり、水洗に対する帯電防止効
果の耐久性、本発明のポリカーボネート樹脂組成物表面
の拭き取り時の帯電防止効果の耐久性が十分でない。特
に、(C)ポリエーテルエステル中に共重合された(C
2)成分中のイオン性の基であるスルホン酸塩基と、後
述する(D)イオン性界面活性剤との相互作用が生じる
結果、帯電防止効果が相乗的に向上し、しかも従来から
の問題点であった界面活性剤の流出が抑制され、帯電防
止効果が維持されると推測される。また逆に、(C2)成
分が50モル%を越えると重合反応が困難になり、十分な
重合度のポリエーテルエステル(C)を得にくくなった
り、また取り扱い性が悪化する。上記(C1)及び(C2)
成分の好ましい割合は、(C1)94〜60モル%、(C2)6
〜40モル%であり、さらに好ましくは(C1)93〜70モル
%、(C2)7〜30モル%である。
【0041】本発明に用いる(C3)炭素数2〜10の脂肪
族グリコール成分としては、具体的にはエチレングリコ
ール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、1,
6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール
等を例示することができる。かかる(C3)成分は、ジエ
チレングリコールのようにエーテル結合、チオジエタノ
ールのようにチオエーテル結合を含んでいても良い。
【0042】また下記式(3)、(4)で示されるよう
な炭素数10〜30のジオール成分を上記脂肪族グリコール
(C3)成分の一部として使用すると、ポリエーテルエス
テル(C)全体の屈折率が向上し、光線透過率を向上さ
せる上で好ましい。
【0043】
【化5】 HOCH2CH2O−Ar2−OCH2CH2OH (3) HOCH2CH2O−Ph−X−Ph−OCH2CH2OH (4) 上記式(3)、(4)中、Ar2はベンゼン環、ナフタ
レン環、ビフェニル環等の炭素数6〜12の2価の芳香族
基であり、Phはベンゼン環である。これらはまたアル
キル基、フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換
基を有していても良い。また、−X−は、
【0044】
【化6】
【0045】から選ばれる。ここで、R5及びR6はそれ
ぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
5〜6のシクロアルキル基であり、例えばメチル、エチ
ル、プロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ペンチ
ル、シクロヘキシル等を例示できる。またR5とR6とは
互いに結合していてもよく、その場合にはシクロアルカ
ン環を構成する。
【0046】かかる脂肪族グリコール成分は単独で用い
ても良いし、二種以上を併用しても良い。この中で1,6-
ヘキサンジオール、エチレングリコールが帯電防止効果
の点で好ましい。
【0047】本発明における(C)ポリエーテルエステ
ルの構成成分の一つである(C4)ポリ(アルキレンオキ
シド)グリコール成分としては、ポリエチレングリコー
ルから主として成るポリアルキレングリコールが好まし
く、ポリプロピレングリコール等を共重合成分として含
んでいても良い。
【0048】かかるポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ールの数平均分子量は200〜50000のものを用いる。かか
る分子量が200に満たない場合には、十分な制電効果が
得られない。また実用性の点からは、かかる分子量の上
限は50000程度である。ポリ(アルキレンオキシド)グ
リコールの好ましい分子量は500〜30000であり、さらに
好ましくは1000〜20000である。
【0049】さらにこうした分子量の範囲内において、
かかるポリ(アルキレンオキシド)グリコールは芳香族
環を分子内に有していても良い。こうしたポリ(アルキ
レンオキシド)グリコールとしては下記式(5)、
(6)の構造を有するものが例示できる。
【0050】
【化7】 H(OCH2CH2pO−Ar3−O(CH2CH2O)qH (5) H(OCH2CH2rO−Ph−X−Ph−O(CH2CH2O)sH (6) 上記式(5)、(6)中、Ar3はベンゼン環、ナフタ
レン環、ビフェニル環等の炭素数6〜12の2価の芳香族
基であり、Phはベンゼン環である。これらはまたアル
キル基、フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換
基を有していても良い。またp、q、r、sは2〜60ま
での整数を表す。−X−は、
【0051】
【化8】
【0052】から選ばれる。ここで、R7及びR8はそれ
ぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
5〜6のシクロアルキル基であり、例えばメチル、エチ
ル、プロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ペンチ
ル、シクロヘキシル等を例示できる。またR7とR8とは
互いに結合していてもよく、その場合にはシクロアルカ
ン環を構成する。上記式(5)、(6)で表される化合
物は、ポリエーテルエステル(C)の構成成分の一つで
ある(C4)ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分
そのものとしても利用可能であるし、またその一部とし
ても利用可能である。
【0053】上記(C4)ポリ(アルキレンオキシド)グ
リコール成分は、最終的に得られるポリカーボネート樹
脂組成物の光線透過率、帯電防止効果の点から、ポリエ
ーテルエステル(C)全体の10〜50重量%の範囲内であ
ることが必要である。すなわち、かかるポリ(アルキレ
ンオキシド)グリコールの使用量は、ポリエーテルエス
テル(C)を構成する(C4)成分の含有量が(C1)、(C
2)、(C3)及び(C4)の仕込みの合計量に対して10〜5
0重量%となるようにする。10重量%より少ないと帯電
防止効果が十分でなく、50重量%より多い場合には、ポ
リエーテルエステル(C)の屈折率が低くなりすぎるた
め、光線透過率の高い成形品を得ることが困難となるか
らである。好ましい(C4)の含有量は、(C1)、(C
2)、(C3)及び(C4)の4成分の合計量に基づいて12
〜45重量%の範囲であり、より好ましくは15〜40重量%
の範囲である。
【0054】本発明におけるポリエーテルエステル
(C)は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比60
/ 40)の混合溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃度1.2g
/ dl)が0.3以上であることが好ましい。還元粘度が0.
3より小さいと耐熱性や、機械物性低下の原因となる。
還元粘度に対する上限は、かかるポリマーが実質的に線
状の重合体であるので、帯電防止効果の点でも、機械物
性の点でも高い方が好ましいが、実際的な重合の上限は
4.0程度である。還元粘度はより好ましくは0.4以上であ
り、さらに好ましくは0.5以上である。
【0055】本発明におけるポリエーテルエステル
(C)は、屈折率が1.55以上のものであることが好まし
い。屈折率が1.55より小さいと、ポリカーボネート樹脂
との屈折率差が大きくなり過ぎるために成形品に濁りが
生じ、光線透過率が低下してしまう。光線透過率の高い
成形品を得るには、ポリエーテルエステル(C)の屈折
率をポリカーボネート樹脂の屈折率1.59に近づけ、両者
の屈折率差をより小さくすることが好ましい。そのため
にはポリエーテルエステル(C)の屈折率は1.56以上で
あることがより好ましく、1.57以上であることが更に好
ましい。
【0056】本発明におけるポリエーテルエステル
(C)は、上記(C1)、(C2)、(C3)及び(C4)の各
成分を化合物を誘導するエステル形成性誘導体をエステ
ル交換触媒の存在下、常圧または減圧下150〜300℃で加
熱溶融し、重縮合反応せしめることによって得ることが
できる。エステル交換触媒としては通常のエステル交換
反応に使用できるものならば特に制限はない。かかるエ
ステル交換触媒としては、三酸化アンチモン等のアンチ
モン化合物、酢酸第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブ
チル錫ジアセテート等の錫化合物、テトラブチルチタネ
ート等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、酢酸
カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム等のアルカリ金属塩等を例示することができ
る。これらのうちテトラブチルチタネートが好ましく用
いられる。
【0057】また上記触媒の使用量としては、通常のエ
ステル交換反応における使用量で良く、概ね使用する酸
成分1モルに対し、0.01〜0.5モル%が好ましく、0.03
〜0.3モル%がより好ましい。
【0058】また、反応時には酸化防止剤等の各種安定
剤を併用することも好ましい。
【0059】上記成分(C1)〜(C4)を誘導する各化合
物を加熱溶融して重縮合する温度としては、初期反応と
して150〜200℃で数十分から十数時間エステル化反応及
び/又はエステル交換反応を留出物を留去しながら行っ
た後、反応物を高分子量化する重合反応を80〜300℃で
行う。180℃より温度が低いと反応が進まず、300℃より
温度が高いと分解などの副反応が起こりやすくなるため
である。重合反応温度は200〜280℃がさらに好ましく、
220〜250℃がさらに好ましい。この重合反応の反応時間
は反応温度や重合触媒にもよるが、通常数十分から数十
時間程度である。
【0060】上記(C)のポリエーテルエステルは、本
発明における(A)ポリカーボネート樹脂100重量部に対
して、5〜30重量部とする。かかるポリエーテルエステ
ルが5重量部より少ないと帯電防止効果が不十分にな
る。また30重量部を超えると、ポリカーボネート樹脂自
体の物性が大きく低下する。好ましい割合は、ポリエー
テルエステル7〜25重量部であり、より好ましくは10〜2
0重量部である。
【0061】本発明において用いられる(D)イオン性
界面活性剤は、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼ
ンスルホン酸塩、下記式(7)
【0062】
【化9】
【0063】[ここでR9及びR10はそれぞれ独立に、
炭素数1〜20のアルキル基であり、tは0〜4の整数であ
り、uは0〜3の整数である。M+は前記式(1)中のM+
と同義である。]で表されるアルキルナフタレンスルホ
ン酸塩等のイオン性界面活性剤を好ましく用いることが
できる。
【0064】アルキルスルホン酸塩としては、ドデシル
スルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、
デシルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸カリウ
ム、セチルスルホン酸ナトリウム、セチルスルホン酸カ
リウム等の炭素数6〜20の長鎖アルキルスルホン酸アル
カリ金属塩を例示することができる。
【0065】また、アルキルベンゼンスルホン酸塩とし
ては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、
セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼン
スルホン酸カリウム等の炭素数6〜20の長鎖アルキルベ
ンゼンスルホン酸アルカリ金属塩を例示することができ
る。
【0066】かかるアルキルスルホン酸塩及びアルキル
ベンゼンスルホン酸塩のアルキル鎖は、短すぎると上記
の(A)ポリカーボネート樹脂、(B)ポリエステル樹脂
又は(C)ポリエーテルエステルに溶解しにくくなる傾
向があり、濁りの原因になる。
【0067】また、アルキルナフタレンスルホン酸塩と
しては、例えばジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナ
トリウム、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナト
リウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸カリウ
ム、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸カリウム、
ジオクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、トリオク
チルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルナフ
タレンスルホン酸カリウム、トリオクチルナフタレンス
ルホン酸カリウム、ジドデシルナフタレンスルホン酸ナ
トリウム、トリドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム、ジドデシルナフタレンスルホン酸カリウム、トリド
デシルナフタレンスルホン酸カリウム等のアルキルナフ
タレンスルホン酸アルカリ金属塩を挙げることができ
る。
【0068】上記イオン性界面活性剤は、単独で、また
は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】上記のイオン性界面活性剤(D)の添加量
は、(A)ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.5
〜10重量部であり、(C)成分に対しては10〜30重量%
が好適である。かかる添加量が0.5重量部より少ないと
イオン性界面活性剤の添加による帯電防止効果が十分発
揮されないことがあり、10重量部を超えるとポリカーボ
ネート樹脂組成物の物性が低下する原因になったり、光
線透過率の低下を招くためである。イオン性界面活性剤
の添加量としては1〜6重量部が更に好ましい。
【0070】一般に樹脂に対して帯電防止効果を発現さ
せるために界面活性剤を添加するのは従来公知の方法で
あるが、そうした方法では水洗や拭き取りによって帯電
防止効果が低下してしまう。それに対し、酸成分が主と
して芳香族ジカルボン酸であり、これにスルホン酸塩基
で置換された芳香族ジカルボン酸成分を共重合したポリ
エーテルエステル(C)を含有する本発明のポリカーボ
ネート樹脂組成物の場合には、イオン性界面活性剤をさ
らに添加することによって帯電防止効果がより向上し、
このより向上した帯電防止効果は驚くべきことに水洗や
拭き取りによっても効果が損なわれることはない。
【0071】本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製
造方法は特に限定されるものではないが、前記の(A)
ポリカーボネート樹脂、(B)ポリエステル樹脂、(C)
ポリエーテルエステル、(D)イオン性界面活性剤、及
び、必要に応じて、後述する各種の添加剤を通常用いら
れている方法で溶融混練することにより、容易に混合し
て製造することができる。
【0072】上記(A)〜(D)の各成分の混合の順序に
対しては、例えば全てを同時に混合する方法、4成分の
内の2成分をあらかじめ混合しておいた後、残りの2成
分と混合する方法、4成分の内の2成分づつをあらかじ
め混合しておいた後、それらを溶融混練する方法等が挙
げられる。こうした混合は、従来公知の方法で実施可能
である。こうした方法の中では、全てを同時に混合する
方法、(C)と(D)とをあらかじめ混合しておいた後、
(A)、(B)と混合する方法が好ましい。また帯電防止
性や光線透過率の点では後者の方法の方がさらに好まし
い。
【0073】全てを同時に混合する方法としては、一軸
あるいは二軸の溶融押し出し機を用いて、(A)ポリカ
ーボネート樹脂、(B)ポリエステル樹脂、(C)ポリエ
ーテルエステル、(D)イオン性界面活性剤、及び必要
に応じて後述する各種の添加剤を添加して溶融混合す
る。これらを混合する温度としては、概ね250〜320℃で
ある。250℃より温度が低いと混合が十分ではないこと
があり、320℃より温度が高いと分解などの劣化を起こ
すことがあり好ましくない。溶融混合温度は好ましくは
260〜300℃である。
【0074】4成分の内の2成分をあらかじめ混合して
おいた後、残りの2成分と混合する方法としては、
(C)及び(D)成分をあらかじめ混合しておいた後、
(A)成分、(B)成分を、必要に応じて後述する各種の
添加剤と共に混合する方法が、帯電防止効果や光線透過
率の点で好ましい。
【0075】ここでポリエーテルエステル(C)とイオ
ン性界面活性剤(D)とを溶融混合する方法としては、
例えば、ポリエーテルエステルの重合反応終了後、その
まま重合釜にかかるイオン性界面活性剤を添加して混合
する方法、また一軸あるいは二軸の溶融押し出し機を用
いて両者を混合する方法が挙げられる。溶融混合する温
度としては、概ね140〜300℃である。140℃より温度が
低いと混合が十分ではないことがあり、300℃より温度
が高いと分解などの劣化を起こすことがあり好ましくな
い。溶融混合温度は好ましくは160〜270℃であり、より
好ましくは200〜250℃である。
【0076】こうして製造された(C)及び(D)の混合
物を、更にポリカーボネート樹脂(A)、ポリエステル
樹脂(B)、及び必要に応じて後述する各種添加剤と溶
融混合するが、その方法としては、一軸あるいは二軸の
溶融押し出し機を用いて混合する方法が好ましい。これ
らを混合する温度としては、概ね250〜320℃である。25
0℃より温度が低いと混合が十分ではないことがあり、3
20℃より温度が高いと分解などの劣化を起こすことがあ
り好ましくない。溶融混合温度は好ましくは260〜300℃
である。
【0077】本発明におけるポリカーボネート樹脂組成
物には、必要に応じて各種の添加剤を添加しても良い。
かかる各種の添加剤としては、ガラス繊維、金属繊維、
アラミド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィスカ
ー、炭素繊維、アスベストのような繊維状強化材、タル
ク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸
化アルミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、
金属フレーク、金属粉末のような各種充填剤、リン酸エ
ステル、亜リン酸エステルに代表されるような熱安定剤
あるいは触媒失活剤、ヒンダードフェノール等の酸化安
定剤、光安定剤、滑剤、顔料、ハロゲン又はリンを含む
難燃化剤、難燃助剤、可塑剤等の添加剤を適宜配合して
も差し支えない。
【0078】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
これを2mm厚の成形品にしたときの可視光線の透過率が5
0%以上であることが透明性が良好であり好ましい。透
過率が50%より少ないと、ポリカーボネート樹脂の特性
の一つである透明性が損なわれるので好ましくない。光
線透過率は高いほど好ましく、55%以上であることが更
に好ましい。
【0079】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
温度20℃、相対湿度60%の雰囲気における成形品の表面
固有抵抗率が1014(Ω/□)以下であることが帯電防
止効果の点で好ましい。1014(Ω/□)を越えると帯
電防止効果が不足し、実用性に欠ける場合がある。表面
固有抵抗率は帯電防止効果を十分発揮する抵抗率であれ
ば小さい程良いが、通常は108(Ω/□)程度が下限
である。
【0080】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
ポリカーボネート樹脂に比較して耐溶剤性が改善されて
おり、成形品に応力をかけて歪ませた状態で低級炭化水
素、アルコール等の有機溶剤に浸漬した場合に、ポリカ
ーボネートに比べて破断に要する時間が長くなり、且つ
表面にクラックを生じない。
【0081】本発明において用いられる上記ポリエーテ
ルエステル(C)は、イオン性界面活性剤(D)及びポ
リエステル樹脂(B)とともにポリカーボネート樹脂と
混練して、透明性を損わず且つ優れた耐溶剤性及び帯電
防止性を備えた組成物を与えることで極めて特異的であ
る。
【0082】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂組成物
は、通常の方法で、熱成形例えば射出成形あるいは押出
成形することにより、透明性、耐溶剤性と帯電防止性に
優れた種々の成型品やシート、フイルム等とすることが
できる。
【0083】かかる組成物は、例えば電気・電子(精
密)機器関連、食品、医薬品、繊維製品の包装材(例え
ば粉末、粒状物質の包装)、建材等に広く用いることが
できる。
【0084】電気・電子(精密)機器関連としては以下
のものが挙げられる。
【0085】(1)複写機、プリンター等のハウジン
グ、部品など(例えば原稿台天板、用紙トレー類、カバ
ー類) (2)コンピューター及びその周辺機器等のOA機器
(例えばフロッピーディスクケース、CRTフィルタ
ー、液晶パネル前面板等の部品、例えば本体、CRT、
プリンター、スキャナー、フロッピーディスク等の各種
記憶メディア等のハウジングおよび部品) (3)AV機器(例えばTV、ビデオ、CD、LD、M
D等のハウジングおよび部品、ビデオテープ、CD、L
D等各種記憶メディアのハウジングおよび部品、 (4)通信機器(例えばFax、(携帯)電話等)のハ
ウジングおよび部品、 (5)精密電子機器(例えばIC等の電子部品のコンテ
ナ、キャリアー、トレー、包装材(フィルム)) 建材としては以下のものが挙げられる。
【0086】(1)クリーンルーム、工場、バイオ・メ
ディカル関連の施設の内装材(例えば間仕切り板、機器
部材、カバー・ケース類、窓材) (2)一般建築物(例えば屋外防音板、屋根・壁・窓
材、照明カバー) (3)輸送(例えば車、電車、飛行機等の部材、窓材、
ランプ類(カバー、インナーレンズ等)) また、一般のシート材としては、例えばデスクマットを
挙げることができる。
【0087】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
上記のような、透明性と帯電防止性とを要求される用途
に特に有効に用いることができる。
【0088】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の好ましい態様
について記載するが、本発明は実施例のみに限定される
ものではない。
【0089】実施例中「部」は「重量部」を意味する。
【0090】屈折率はアッベ屈折計(株式会社アタゴ
製)により測定した。
【0091】衝撃強度はASTM D256に従い1/8インチ
で、熱変形温度(HDT)はASTM D648に従い1/8イン
チ、荷重18.6kg/cm2で測定した。
【0092】表面固有抵抗率(R)の測定は、20℃、湿
度60%の雰囲気下で24時間放置した後、超絶縁計(東亜
電波工業株式会社製SM-8210)を用いて、印加電圧1000V
にて測定した。成形品の水洗は、30℃の流水で2時間洗
浄を行い、清浄な紙で水分を拭き取った。その後、同様
の条件で乾燥し、表面固有抵抗率の測定を行った。
【0093】成形品の光の透過については、ASTM D100
3に従い、光線透過率を測定した。測定には分光光度計
(島津製作所(株)製UV-2400PC)を用い、サンプル厚2mm
で、CIE Source Cにより測定した。
【0094】成形品の耐溶剤性の評価は、寸法が125mm
×13mm×3mmの棒状の成形品を、図1に示したような
「コ」の字型の治具に固定することで歪みを一定とした
状態で各種溶媒に浸漬した際に、サンプルが破断するま
でに要した時間を測定すると共に、成形品表面のクラッ
クの有無を目視により観察した。評価はn=3で行っ
た。
【0095】[参考例1]3881部の2,6-ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチル(全酸成分の88モル%)、642部の5-
ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル(全酸成分の12
モル%)、1233部のエチレングリコール(脂肪族グリコ
ール成分全体の10モル%)、1920部のヘキサメチレング
リコール(脂肪族グリコール成分全体の90モル%)、23
13部のポリエチレングリコール(数平均分子量2000、生
成ポリマー全体の30重量%)及び3.1部のテトラブチル
チタネートを精留塔と撹拌装置を備えた反応器にいれ、
容器内を窒素置換した後、常圧下、220℃に昇温した。2
20℃でメタノールを留去しながら5時間反応を行った
後、反応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応
器にいれ、45分間で240℃まで昇温した。その時点で徐
々に反応系内を減圧し、60分後に0.2mmHgとし、150分後
にポリエーテルエステル重合体を得た。
【0096】[参考例2]参考例1で製造したポリエー
テルエステル100部と、ジイソプロピルナフタレンスル
ホン酸ナトリウム(以下、INS-Na)16部とを、30mmφ同
方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM3
0)を用いて、ポリマー温度190℃、平均滞留時間約5分
の条件下で溶融混練・ペレット化した。
【0097】[参考例3]参考例1で製造したポリエー
テルエステル100部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム(以下、DBS-Na)と27部とを、30mmφ同方向回
転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を
用いて、ポリマー温度190℃、平均滞留時間約5分の条
件下で溶融混練・ペレット化した。
【0098】[実施例1〜6]参考例1及び2で製造し
た混合物と、ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、
パンライトL-1225)、ゲルマニウム系触媒を用いて製造
したポリエチレンテレフタレート樹脂(ηsp/C=0.89)
又はポリブチレンテレフタレート樹脂(ηsp/C=1.9
4)とを下表1に示す組成にて、30mmφ同方向回転2軸
エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用い
て、ポリマー温度280℃、平均滞留時間約5分の条件下
で溶融混練・ペレット化した。次に射出成形機(名機製
作所(株)製、M-50B)を用いて、シリンダー温度280℃、
金型温度30℃にて射出成形を行い、2mm厚の成形品を
得、表面固有抵抗率の測定を行った。機械物性、耐薬品
性と共に、結果を表1に併記する。なお、表面固有抵抗
率(R)の測定結果は、常用対数(log R)で表示した。
また、その耐溶剤性を表2に示した。表2中、上段の数
字はサンプルが破断するに要した時間を秒で表し、下段
にはサンプル表面のクラックの有無を目視で観察した結
果を示した。
【0099】[比較例1]ポリカーボネート樹脂(帝人
化成(株)製、パンライトL-1225)を射出成形機(名機製
作所(株)製、M-50B)を用いて、シリンダー温度270℃、
金型温度70℃にて射出成形を行い、2mm厚の成形品を
得、表面固有抵抗率の測定を行った。機械物性、耐薬品
性と共に、結果を表1に併記する。なお、表面固有抵抗
率(R)の測定結果は、常用対数(log R)で表示した。
また、その耐溶剤性を表2に示した。表2中、上段の数
字はサンプルが破断するに要した時間を秒で表し、下段
にはサンプル表面のクラックの有無を目視で観察した結
果を示した。
【0100】[比較例2、3]参考例1及び2で製造し
た混合物と、ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、
パンライトL-1225)とを下表1に示す組成にて、30mmφ
同方向回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PC
M30)を用いて、ポリマー温度280℃、平均滞留時間約5
分の条件下で溶融混練・ペレット化した。次に射出成形
機(名機製作所(株)製、M-50B)を用いて、シリンダー
温度270℃、金型温度70℃にて射出成形を行い、2mm厚の
成形品を得、表面固有抵抗率の測定を行った。機械物
性、耐薬品性と共に、結果を表1に併記する。なお、表
面固有抵抗率(R)の測定結果は、常用対数(log R)で
表示した。また、その耐溶剤性を表2に示した。表2
中、上段の数字はサンプルが破断するに要した時間を秒
で表し、下段にはサンプル表面のクラックの有無を目視
で観察した結果を示した。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜6及び比較例1〜3において、成形
品の耐溶剤性の評価方法を示す図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂100重量部 (B)ポリエステル樹脂5〜100重量部、 (C)(C1)芳香族ジカルボン酸成分95〜50モル%、(C
    2)下記式(1) 【化1】 [式(1)中、Ar1は炭素数6〜12の3価の芳香族基を
    表し、M+は金属イオン、テトラアルキルホスホニウム
    イオン又はテトラアルキルアンモニウムイオンを表
    す。]で示されるスルホン酸塩基で置換された芳香族ジ
    カルボン酸成分5〜50モル%、(C3)炭素数2〜10の脂肪
    族グリコール成分、(C4)数平均分子量200〜50000のポ
    リ(アルキレンオキシド)グリコール成分、から成るポ
    リエーテルエステルであり、且つ(C1)、(C2)、(C
    3)及び(C4)の4成分の合計量に基づく(C4)の含有
    量が10〜50重量%の範囲内であるポリエーテルエステル
    5〜30重量部、及び (D)イオン性界面活性剤0.5〜10重量部、から実質的に
    なる、帯電防止性及び耐溶剤性に優れ、且つ高い光線透
    過率を有するポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂(B)がポリアルキレ
    ンテレフタレート及びポリアルキレンナフタレートから
    なる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載
    のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族ジカルボン酸成分(C1)が、イソ
    フタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及び
    ビフェニルジカルボン酸からなる群から選ばれる少なく
    とも1種である、請求項1又は2記載のポリカーボネー
    ト樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 スルホン酸塩基で置換された芳香族ジカ
    ルボン酸成分(C2)が、上記式(1)においてAr1
    ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、もしくはア
    ルキル、フェニル、アルコキシ又はハロゲンで置換され
    たこれらの環である請求項1〜3記載のいずれかに記載
    のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 炭素数2〜10の脂肪族グリコール成分(C
    3)が、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プ
    ロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール及び3-メチ
    ル-1,5-ペンタンジオールよりなる群から選ばれる少な
    くとも1種である請求項1〜4記載のいずれかに記載の
    ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリ(アルキレンオキシド)グリコール
    成分(C4)のアルキレンオキサイド部分が、エチレンオ
    キサイドである請求項1〜5記載のいずれかに記載のポ
    リカーボネート樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 ポリエーテルエステル(C)の屈折率が
    1.55以上である請求項1〜6記載のいずれかに記載のポ
    リカーボネート樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 イオン性界面活性剤(D)が、アルキル
    スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩及びアル
    キルナフタレンスルホン酸塩からなる群から選ばれる少
    なくとも1種である、請求項1〜7記載のいずれかに記
    載のポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 2mm厚の成形品における全光線透過率が5
    0%以上であることを特徴とする、請求項1〜8記載のい
    ずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 20℃、湿度60%の雰囲気における表面
    固有抵抗率が1014(Ω/□)以下であることを特徴と
    する、請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネー
    ト樹脂組成物。
JP24304596A 1996-09-13 1996-09-13 ポリカーボネート樹脂組成物 Pending JPH1087979A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24304596A JPH1087979A (ja) 1996-09-13 1996-09-13 ポリカーボネート樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24304596A JPH1087979A (ja) 1996-09-13 1996-09-13 ポリカーボネート樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1087979A true JPH1087979A (ja) 1998-04-07

Family

ID=17098009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24304596A Pending JPH1087979A (ja) 1996-09-13 1996-09-13 ポリカーボネート樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1087979A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006511668A (ja) * 2002-12-18 2006-04-06 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 静電気消散性樹脂組成物及びその製造方法
JP2013053270A (ja) * 2011-09-06 2013-03-21 Teijin Ltd 芳香族ポリエステルの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006511668A (ja) * 2002-12-18 2006-04-06 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 静電気消散性樹脂組成物及びその製造方法
JP4861622B2 (ja) * 2002-12-18 2012-01-25 サビック イノベーティブ プラスチックス イーペー ベスローテン フェンノートシャップ 静電気消散性樹脂組成物及びその製造方法
JP2013053270A (ja) * 2011-09-06 2013-03-21 Teijin Ltd 芳香族ポリエステルの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5849822A (en) Thermoplastic resin composition superior in transparency and antistatic property
JP3251507B2 (ja) 透明性と帯電防止性に優れたポリカーボネート樹脂組成物
EP0759459B1 (en) Thermoplastic resin composition superior in transparency and antistatic property
JP3634510B2 (ja) 透明性と帯電防止性に優れたポリスチレン系樹脂組成物
JP3399767B2 (ja) 永久帯電防止性ポリカーボネートフィルム又はシート、及びそれらの製造方法
JPH1087979A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JPH0995607A (ja) 透明性ガラス強化樹脂組成物
JPH11343401A (ja) 透明性と帯電防止性の良好なポリカーボネート樹脂組成物
JP3621757B2 (ja) 永久帯電防止性樹脂組成物
CN112442260B (zh) 热塑性树脂组合物和由其产生的制品
JP3592834B2 (ja) 永久帯電防止性を付与する樹脂組成物及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物
JP3357741B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP3574705B2 (ja) 永久帯電防止性樹脂組成物及びその製造方法
JPH08245869A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP3547855B2 (ja) 帯電防止アクリル系樹脂組成物及びその製造方法
JPH0925335A (ja) ポリエーテルエステル及びそれを含有してなるポリカーボネート樹脂組成物
JP3499660B2 (ja) 帯電防止性ポリオレフィン系樹脂組成物
JPH1135777A (ja) 帯電防止アクリル系樹脂組成物及びその製造方法
JP2003096287A (ja) ポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法
JPH03500468A (ja) ポリカーボネート、ポリアリーレート及びポリ(アルキレンテレフタレート)から形成された装置
JP2009001618A (ja) 制電性ポリエステル系樹脂組成物
JP2000309677A (ja) 帯電防止abs系樹脂組成物及びその製造方法
JP2001089750A (ja) 帯電防止剤および透明性帯電防止性樹脂組成物
JP2000309691A (ja) 帯電防止pbt系樹脂組成物及びその製造方法
JP2000159998A (ja) 帯電防止性ポリカーボネート系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040622

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040629

A02 Decision of refusal

Effective date: 20041026

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02