JPH08283049A - ガラス積層体 - Google Patents

ガラス積層体

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JPH08283049A
JPH08283049A JP7088206A JP8820695A JPH08283049A JP H08283049 A JPH08283049 A JP H08283049A JP 7088206 A JP7088206 A JP 7088206A JP 8820695 A JP8820695 A JP 8820695A JP H08283049 A JPH08283049 A JP H08283049A
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glass
porous structure
adhesive layer
resin
glass laminate
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JP7088206A
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English (en)
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Yasuhiro Morimura
泰大 森村
Hitoshi Toyoda
等 豊田
Itsuo Tanuma
逸夫 田沼
Masahito Yoshikawa
雅人 吉川
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Publication date
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  • Securing Of Glass Panes Or The Like (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Joining Of Glass To Other Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 断熱性、防音性、採光性に優れ、しかも、強
度が十分で、割れた場合にもガラス片が飛散することの
ない安全性の高いガラス積層体を提供する。 【構成】 ガラス積層体10は、ガラス板体12の間
に、25mm当たり20個のセルが形成された多孔質構
造体14を有しており、ガラス板体12と多孔質構造体
14との間に接着層16を有している。前記接着層16
はエチレン−ビニルアセテート共重合体で構成されてお
り、接着層16によって、ガラス板体12と多孔質構造
体14とが接着されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス積層体に関し、
詳しくは、建築物の窓ガラス等に用いられる断熱性、安
全性に優れたガラス積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の窓ガラス等に使用される
断熱ガラスとして、2枚のガラス板体が乾燥空気の層を
介して平行に固定されている複層ガラスが汎用されてい
た。この複層ガラスは、断熱性を有するものの、全体の
厚みが制限されるため強度が低く、割れやすいという欠
点があった。さらに、割れたガラスが飛散する虞がある
という問題があった。また、防音性についても、2枚の
ガラス板間の空気層による共鳴透過現象によって、50
0Hz前後の中周波数領域において著しく遮音性が低い
という性質を有している。ガラスの強度を向上させ、割
れた場合のガラス片の飛散を防止するため、乾燥空気に
変えて樹脂等によって2枚のガラス板間に存在する空間
を満たすことが考えられるが、強度は向上するものの、
断熱性が低下するため、実用的ではなかった。
【0003】また、前記の欠点を改良する目的で、近
年、2枚のガラス板間にポリスチレンやポリエチレン等
の発泡体を挟み込んだ積層構造体が提案されているが、
これは強度が高く且つ断熱性を有するものの、採光性や
視認性の点で問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、断熱性に優
れ、安全性が高く、しかも、採光性や視認性が良好なガ
ラス積層体が要求されていた。
【0005】即ち、本発明の目的は、採光性や視認性が
良好なであり、断熱性に優れ、しかも、強度が十分で、
割れた場合にもガラス片が飛散することのない安全性の
高いガラス積層体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を考慮
してなされたものであり、本発明のガラス積層体は、2
枚のガラス板体間に、25mm当たり1〜50個のセル
を有する多孔質構造体を有し、ガラス板体と多孔質構造
体との間に接着層を有していることを特徴とする。さら
に、本発明の請求項2記載のガラス積層体は、前記ガラ
ス積層体であって、前記多孔質構造体が、表面に金属又
は金属化合物層を設けた複数のセルを有することを特徴
とする。さらに、本発明の請求項3記載のガラス積層体
は、前記ガラス積層体であって、前記接着層が、有機過
酸化物及びシランカップリング剤を含有するエチレン−
ビニルアセテート共重合体からなることを特徴とする。
【0007】本発明において多孔質構造体とは、最大径
0.1〜50mm程度の広さを有するセル(気泡)が多
数連続して存在する構造体であり、各々のセルはその周
囲全面が壁面で区画された独立のものでもよく、連続し
たものでもよく、一部が壁面で区画され、一部が連続し
て形成されていてもよい。
【0008】
【作用】本発明のガラス積層体は、2枚のガラス板体間
に多孔質構造体を有し、ガラス板体と多孔質構造体との
間に接着層を有しており、ガラス板体と多孔質構造体と
が接着されているため、2枚のガラス板体の間に空気の
層が確保され、一般の複層ガラスで問題となる熱対流現
象が起きにくく断熱性が優れている。また、多孔質構造
体を間挿することにより、ガラス板体間の空間が補強さ
れ、強度が向上し、しかも、多孔質構造体の両面がそれ
ぞれガラス板体と接着層により接着されているため、ガ
ラスが割れてもガラス片が飛び散ることがなく、安全性
が高い。
【0009】さらに、この多孔質構造体は、25mm当
たり1〜50個のセルを有するため空隙率が高く、視認
性、採光性を損なうことなく断熱性を確保することがで
きる。
【0010】
【実施例】以下、本発明のガラス積層体を実施例をあげ
て詳細に説明する。 (実施例1)図1は、実施例1のガラス積層体の一部分
を示す断面図である。ガラス積層体10は、ガラス板体
12の間にポリウレタン製で、壁部13で区画された最
大径1〜1.5mmのセルが25mm当たり20個形成
された多孔質構造体14を間挿して構成されている。ガ
ラス板体12の内表面には、エチレン−ビニルアセテー
ト共重合体で構成されたシート体である接着層16が形
成され、前記接着層16によって、ガラス板体12と多
孔質構造体14の端面が接着されている。
【0011】本発明のガラス積層体の製造方法には、特
に制限はないが、例えば、本実施例1のガラス積層体1
0は、次のように製造される。
【0012】表1に示される割合で各成分を配合し、8
0℃に加熱したロールミルで混合して接着層を形成する
エチレン−ビニルアセテート共重合体を含む熱硬化性樹
脂を調製した。この樹脂組成物をプレスを使用して厚さ
0.4mmのシート体に成形して接着層16とした。
【0013】
【表1】
【0014】次に、予め洗浄乾燥しておいた2枚の3m
m厚さのフロートガラス製のガラス板体12間に厚さ6
mmのシート状の多孔質構造体14を接着層16を介し
て挟んだ。こうして、図1に示すような、ガラス板体1
2の内面に接着層16が形成され、一組の接着層16を
内面に形成したガラス板体12の間に多孔質構造体14
が間挿されたガラス積層体が構成された。その後、これ
を真空ラミネーター注で温度135℃の条件下で40分
間処理して加熱一体化し、ガラス板体12の間に多孔質
構造体14が間挿され、接着層16によってそれらが固
着されたガラス積層体10を得た。
【0015】本実施例の多孔質構造体14は、ポリウレ
タン製の発泡体であり、図1に示す如き多孔質型のセル
(小孔)が25mm当たり20個の割合で連続して形成
されてなるものであるが、壁部13で区画される構成単
位即ちセルの形状に特に制限はなく、セルの最大径が
0.5〜25mmの範囲であれば、各々のセルが全ての
面をポリウレタン製の壁体でかこまれた連通気性を有し
ない独立したセルであっても、所謂スケルトンスポンジ
の如く小孔の柱状部のみが存在し、壁体を有さず連通し
て形成されたセルであっても、小孔の一部の面が壁体で
区画され、他の面は連通して形成されたセルであっても
よい。
【0016】セルの最大径は、0.5〜25mmの範囲
であることが好ましく、さらに1.0〜20mmの範囲
であることが、強度、安全性及び採光性の観点から好ま
しい。また、セルは25mm当たり1〜50個形成され
ていることが必要であり、25mm当たり50個を超え
ると各々のセルの体積が小さくなり、断熱性、視認性に
劣り、1個未満であると強度及び断熱性が低下するため
好ましくない。好ましくは、25mm当たり2〜40
個、さらには、25mm当たり3〜30個である。単位
面積当たりのセルの数は、例えば、多孔質構造体の写真
撮影を行い、25mmに該当する直線を引き、その直線
上に存在するセルの数を目視にて数えることによって測
定することができる。測定は1試料あたり10箇所行な
い、その数平均をセルの数とする。多孔質構造体のセル
の数は、その製造条件、例えば、触媒、整泡剤等の配合
材料をを変化させることによって制御することができ
る。
【0017】また、多孔質構造体の厚み、即ち、多孔質
構造体で形成されたシートの厚みは、断熱性の観点から
3mm以上であることが好ましく、一方、ガラス積層体
をサッシに嵌め込んで用いる場合が一般的であることか
ら、ガラス積層体全体の厚み及び採光性、視認性を考え
ると50mm以下であることが好ましい。断熱性、採光
性の観点からさらに好ましくは5〜20mmである。し
かしながら、ガラス積層体を使用する部分によっては、
厚みの制限なく十分な空気層を形成するために50mm
を超える厚みを有していてもよいが、この場合、セル1
個の最大径は大きく、25mm2 当たりに形成されるセ
ルの数は少ないことが採光性の観点から好ましい。
【0018】多孔質構造体を形成する材質は、通常の発
泡体を形成しうる材料、すなわち、構造体中に気体を包
含しうるものであれば任意に用いることができ、例え
ば、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリエチレン、
ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンー
ビニルアセテート、ポリ塩化ビニル等のビニル系、ポリ
エステル系、ポリアミド系、EPDM系、塩化ビニリデ
ン系、フェノール系、ユリア系、シリコーン系等の樹脂
等を用いることができる。
【0019】さらに、これら多孔質構造体の表面に断熱
性向上の目的で、金属又は金属化合物層を設けることが
できる。これらの層を形成する金属又は金属化合物は任
意に選択することができるが、その全放射率が0.6以
下、好ましくは0.5以下のものが好適に用いられる。
例えば、バナジウム、タングステン、鉄、金、銀、白
金、イットリウム、イリジウム、コバルト、マンガン、
銅、モリブデン、ニッケル、ロジウム、タンタル、ウラ
ニウム、クロム、ジルコニウム等の金属、ニクロム等の
合金、水酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛
等の金属化合物が好適に用いられる。
【0020】金属又は金属化合物薄膜の形成方法に特に
制限はないが、金属類の粉体を樹脂等のマトリックス中
に分散てスプレー等で塗布する方法や、金属類の薄膜を
多孔質構造体表面上に直接形成する等が挙げられ、例え
ば、金属薄膜の形成方法としては、電気メッキ法、無電
解メッキ法等のメッキ液を使用する湿式メッキ法、及
び、真空蒸着法、イオンプーティング法、スパッタリン
グ法、イオンビームスパッタリング法、ECR(電子サ
イクロトロン共鳴)プラズマ法等のドライメッキ法が挙
げられる。本発明においては、金属薄膜を形成すること
ができればよく、上記いずれの方法をも好適に採用しう
る。これらのうち、ドライメッキ法は、例えばλ/4制
御法等の光学的膜厚制御方法等により薄膜形成中に容易
に膜厚が制御、管理しうるという利点があり、好まし
い。また、金属化合物薄膜の形成方法としては、プラズ
マ溶射、高周波スパッタリング、真空蒸着法等で必要な
化合物を成膜する方法と、金属薄膜作製時に反応性ガス
を混入することで成膜する反応性スパッタリング法、イ
オンプレーティング法、基材上で化学反応を起こす化学
蒸着法(CVD)、プラズマCVD法等の反応型成膜法
がある。前者のような方法では成膜するために電子銃や
高周波放電を用いる。後者、特に反応性スパッタリング
法を行う場合には、得たい金属化合物の原料となる金属
をターゲットに設置し、例えば、酸化皮膜の場合には、
成膜時に酸化性を有するガスとスパッタリングのための
ガスとを混合し反応させる。この場合、酸化するための
ガスとして、酸素、オゾン、空気、水等の酸素原子を有
するものを使用できるが、特に限定するものではない。
炭化の場合も、メタン、エタン等の炭化水素ガスを始め
とする炭素原子を有するものを使用できるが、特に限定
するものではない。同様に、スパッタリング用の不活性
ガスとしてはヘリウム、アルゴン等が用いられるが、工
業的に用いることから最も安価なアルゴンが一般的には
用いられている。これらのガスの混合比を変えることで
膜の酸化度、窒化度を制御することができる。
【0021】形成された金属又は金属化合物層の厚みは
0.01〜10μm程度が効果の点から好ましい。0.
01μm未満では効果が不十分であり、10μmを超え
ると光透過性が低下するためいずれも好ましくない。
【0022】次に、本実施例1の接着層16について説
明する。実施例1では、樹脂によって形成したシート体
である接着層16を用いて接着を行っている。シート体
の接着層の素材としては、例えば、熱硬化型エチレン−
ビニルアセテート樹脂系接着層、ポリビニルブチラール
系接着層、鹸化エチレン−ビニルアセテート樹脂系接着
層、ポリ塩化ビニル系接着層が好適に用いられ、特に、
エチレン−ビニルアセテート樹脂系接着層が接着強度の
観点から好ましい。ここで、好ましい接着層シート体を
形成しうる熱硬化型エチレン−ビニルアセテート樹脂に
ついて詳細に説明する。前記熱硬化型樹脂は、エチレン
−ビニルアセテート共重合体に有機過酸化物を配合して
なるものである。
【0023】本発明のガラス積層体の接着層に用いうる
エチレン−ビニルアセテート共重合体としては、そのビ
ニルアセテート含有率が10〜50重量%であり、好ま
しくは15〜40重量%である。ビニルアセテート含有
率が10重量%未満であると、高温で架橋硬化させる場
合に得られる樹脂の透明度が充分でなく、逆に50重量
%を越えるとガラス積層体にした場合のガラス板体と多
孔質構造体との接着強度が不十分となり、耐衝撃性等の
強度が不足する傾向がある。
【0024】本発明のガラス積層体の製造に際してエチ
レン−ビニルアセテート共重合体の硬化剤として使用さ
れる有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解
してラジカルを生ずるものであればいずれも使用可能で
ある。配合時の安定性を考慮した場合、半減期10時間
の分解温度が70℃以上であるものが好ましく、例え
ば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン−3、ジ−t−ブチルパーオ
キサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブ
チルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンズエー
ト、ベンゾイルパーオキサイド等を挙げることができ
る。有機過酸化物としては、これらの内の少なくとも1
種が選択され、その配合量は、エチレン−ビニルアセテ
ート共重合体100重量部に対して0.1〜5重量部で
あることが好ましい。
【0025】また、エチレン−ビニルアセテート樹脂の
初期モジュラスを向上させて強度を向上させるために、
硬化助剤として、アクリロキシ基含有化合物、メタクリ
ロキシ基含有化合物及びアリル基含有化合物よりなる群
から選ばれた少なくとも1種の化合物を添加することが
できる。
【0026】これら化合物のうち、アクリロキシ基含有
化合物、メタクリロキシ基含有化合物としては、アクリ
ル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体、例えば、そのエス
テルを用いることができる。この場合、エステルのアル
コール残基としては、メチル基、エチル基、ドデシル
基、ステアリル基、ラウリル基のようなアルキル基の他
に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、ア
ミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキ
シプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基
等を挙げることができる。更に、エチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の
多官能アルコールとのエステルも同様に用いることがで
きる。
【0027】また、アリル基含有化合物としては、ジア
リルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエ
ート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌ
レートが好ましく用いられる。
【0028】なお、これら化合物の配合量はエチレン−
ビニルアセテート共重合体100重量部に対して50重
量部以下とするのが好ましい。
【0029】さらに、エチレン−ビニルアセテート樹脂
とガラス板体及び多孔質構造体との接着力を更に向上せ
しめる目的で、前記熱硬化型樹脂にシランカップリング
剤を接着力向上剤として添加することができる。この目
的に供されるシランカップリング剤としては公知のも
の、例えばγ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニル
トリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−
エトキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン等を挙げることができる。これらシ
ランカップリング剤の配合量は、エチレン−ビニルアセ
テート共重合体100重量部に対して5重量部又はそれ
以下で充分である。
【0030】また、更に、必要に応じて、接着層の安定
性を向上させる目的で、ハイドロキノン、ハイドロキノ
ンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、メチルハイ
ドロキノン等の重合抑制剤を、エチレン−ビニルアセテ
ート共重合体100重量部に対して5重量部以下の量で
添加することができる。また、これらの添加剤以外にも
着色剤、紫外線吸収剤、変色防止剤等を必要に応じて添
加することができ、また、光安定性、熱安定性を一層向
上させる目的で酸化防止剤を用いることができる。この
酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン
系、アミン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードア
ミン系、ヒドラジン系等を挙げることができるが特に好
ましいのはヒンダードアミン系である。 (実施例2〜5)ガラス板体12に間挿する多孔質構造
体14を下記のシートに換えた以外は実施例1と同様に
して実施例2〜5のガラス積層体を製造した。
【0031】実施例2:ポリエステル発泡体、厚さ6m
m、セル数13個/25mm 実施例3:ポリスチレン発泡体、厚さ6mm、セル数
8個/25mm 実施例4:ポリウレタン発泡体(表面酸化マグネシウム
塗布:付着膜厚5μm)、厚さ6mm、セル数 8個/
25mm 実施例5:ポリウレタン発泡体(表面金蒸着:付着膜厚
0.5μm)、厚さ6mm、セル数 8個/25mm (比較例1)予め洗浄乾燥しておいた2枚の3mm厚さ
のフロートガラス製のガラス板体間に幅6mmの空気層
を形成するように固着してガラス積層体を得た。 (比較例2)予め洗浄乾燥しておいた2枚の3mm厚さ
のフロートガラス製のガラス板体間に実施例1において
接着層16として用いた厚さ0.4mmの樹脂シートを
間挿し、実施例1と同様にして2枚のガラス板間に樹脂
シートを間挿固着してなるガラス積層体を形成した。 (比較例3)ガラス板体12に間挿する多孔質構造体1
4を下記のシートに換えた以外は実施例1と同様にして
比較例3のガラス積層体を製造した。
【0032】比較例3:シリコーン発泡体、厚さ6m
m、セル数 60個/25mm 前記実施例1〜5及び比較例1〜3について、安全性、
防音性、採光性、熱貫流率を評価した。安全性はJIS
R3205(1983)に準拠したショットバッグ試
験(高さ30cm)を行ないバッグの貫通したものを不
合格とした。防音性はJIS A1419による遮音等
級Ts=30を合格するか否かで評価した。採光性はカ
ラーコンピュータ(スガ試験機社製)を用い、全光線透
過率が30%を超えるものを採光性有りと判定した。断
熱性はJIS Z9211に準拠した熱貫流率3.0以
下のものを合格と判定した。結果を表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】表2に明らかなように、本発明のガラス積
層体は、安全性、防音性が十分であり、且つ、採光性、
断熱性にも優れていた。一方、空気層を介したガラス積
層体である比較例1は断熱性には優れるものの、安全
性、防音性に劣り、樹脂中間膜を間挿した比較例2は安
全性は十分であるが、断熱性に欠けることがわかった。
また、本発明の範囲外の細かいセルが高密度に形成され
た多孔質構造体を間挿した比較例3は断熱性が不十分で
あり、しかも、採光性が殆どないことがわかった。
【0035】前記各実施例のガラス積層体は、多くの場
合、サッシに嵌め込まれて使用されるものであるが、ガ
ラス板体12が多孔質構造体14に接着されているた
め、通常の中空ガラス積層体に比較して、ガラス積層体
全体の強度が高く、さらに、ガラス板体12が損傷した
場合にも、ガラス片は接着層16の樹脂シートに接着さ
れているため飛散することがない。また、ガラス板体1
2に開口部が形成されても、中間層である多孔質構造体
14が存在することから、ガラス積層体自体に貫通口を
形成することが困難であり、且つ、視認性の制御も行な
いうるため、窓ガラスとして使用する際の防犯上も好ま
しい。
【0036】本発明のガラス構造体においては、ガラス
板体と多孔質構造体とが必ずしも同じ大きさであること
は要さない。例えば、ガラス板体よりも小さい多孔質構
造体をガラス板体間に間挿し、ガラス板体間における端
部の多孔質構造体が存在しない空間に親水性樹脂からな
るシール部分を設けることもできる。これによってガラ
ス板体間の空間の気密性が確保できるため、断熱性向上
及び耐湿性の観点から好ましい。また、間挿された多孔
質構造体の耐久性の面からも好ましい。このような場合
に、合わせガラスの端部に設けられたシール部分に使用
する樹脂は、吸水率0.1%以上の樹脂であることが好
ましい。吸水率0.1%以上の樹脂とは、JIS K7
209 プラスチックの吸水率及び沸騰水吸水率試験方
法(1984)によって吸水率を測定したときの吸水率
が0.1%以上の樹脂を指し、好ましくは、吸水率0.
5%以上さらに好ましくは1.0%以上の樹脂である。
好適に用いられる前記樹脂は、分子内に親水基をもつ、
いわゆる親水性樹脂であるが、それ以外ものでも前記試
験方法において吸水率0.1%以上を示すものであれば
いずれも用いることができる。親水基としては、水酸
基、アクリルアミド基、カルボキシル基、アミノ基、カ
ルボニル基、エーテル基、スルホ基等が挙げられる。
【0037】好適に用いられる親水性樹脂としては、ポ
リアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアミ
ン、ポリビニルピロリドン、ポリ−L−グルタミン酸ソ
ーダ、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ビ
スコース、ヘモグロビン、ポリピロリドン、ポリグリシ
ン、ポリメタクリル酸、ポリウレタン、セルロースジア
セテート、ポリメチルアリルアルコール、セルロースト
リアセテート、ナイロン6、ナイロン66、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリメチルビニルケトン、硝酸セルロース、エチ
ルセルロース、ナイロン610、ポリアクリロニトリ
ル、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリビニルイソブチルエーテ
ル、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ア
リル樹脂、不飽和ポリエチレンテレフタレート、アルキ
ド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、
アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリ塩
化ビニリデン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリカ
ーボネート、ポリアセタール等が挙げられるが、これら
の樹脂は単独で用いても、2種以上を混合して用いても
よく、また、これらの樹脂を変性したものでも、2種以
上を共重合したものでも、最終的に得られた樹脂が吸水
率0.1%以上の樹脂(以下、親水性樹脂と称する)で
あれば、好適に用いることができる。シール部分の幅に
は、特に制限はないが、合わせガラスが、サッシと組み
合わせて用いられること及び外観の点から30mm以下で
あることが好ましい。また、0.1mm以上であることが
このましく、0.1mm未満であるとシール性能が不充分
である。
【0038】このように、シール部分によって、周囲か
らの湿度、水分の侵入を防止したガラス積層体は、前記
各実施例が有する効果に加えて、高湿度の環境において
好適に使用することができ、さらに、多孔質構造体の材
質に耐湿性、耐酸化性の低い素材を使用しても耐久性が
低下することがないという利点を有する。
【0039】前記各実施例のガラス積層体は、いずれも
2枚のガラス板体間に多孔質構造体1層を間挿して接着
してなるものが使用されるが、ガラス積層体の使用目的
によっては、複数の多孔質構造体を使用して構成したも
のを使用してもよい。即ち、2枚のガラス板体と1層の
多孔質構造体からなる前記実施例の如きガラス積層体を
複数層、接着層を介して接着して、多層多孔質構造体ガ
ラス積層体を構成してもよく、ガラス板体と多孔質構造
体とを接着層を介して交互に積層し接着して、多層多孔
質構造体ガラス積層体を構成してもよい。
【0040】
【発明の効果】本発明のガラス積層体は、前記構成とし
たため、断熱性に優れ、採光性、視認性を有し、しか
も、強度が十分で、割れた場合にもガラス片が飛散する
ことがなく安全性が高いという優れた効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のガラス積層体の一部分を示す断面図
である。
【符号の説明】
10 ガラス積層体 12 ガラス板体 14 多孔質構造体 16 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E06B 3/66 E06B 3/66

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2枚のガラス板体間に、25mm当たり
    1〜50個のセルを有する多孔質構造体を有し、ガラス
    板体と多孔質構造体との間に接着層を有していることを
    特徴とするガラス積層体。
  2. 【請求項2】 前記多孔質構造体が、表面に金属又は金
    属化合物層を設けた複数のセルを有することを特徴とす
    る請求項1記載のガラス積層体。
  3. 【請求項3】 前記接着層が、有機過酸化物及びシラン
    カップリング剤を含有するエチレン−ビニルアセテート
    共重合体からなることを特徴とする請求項1又は2記載
    のガラス積層体。
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