JPH08282460A - 車輌の挙動制御装置 - Google Patents

車輌の挙動制御装置

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JPH08282460A
JPH08282460A JP11374395A JP11374395A JPH08282460A JP H08282460 A JPH08282460 A JP H08282460A JP 11374395 A JP11374395 A JP 11374395A JP 11374395 A JP11374395 A JP 11374395A JP H08282460 A JPH08282460 A JP H08282460A
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yaw rate
deviation
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behavior
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Yoshiki Fukada
善樹 深田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 挙動制御を行うためのパラメータを検出する
センサの故障を確実に検出して不適切な挙動制御が行わ
れることを防止し、またセンサが故障した場合にも車輌
の挙動をできるだけ有効に且つ適切に制御する。 【構成】 車輌の実ヨーレートγを検出するヨーレート
センサ(60)を備えた挙動制御装置であって、左右輪
の車輪速度を検出し、左右輪の車輪速度より車輌の推定
ヨーレートγhat を演算し(ステップ2020)、実ヨ
ーレートγと推定ヨーレートγhat との偏差Δγh を演
算し(ステップ2030)、偏差Δγh より所定の周波
数帯域の成分γhdf を抽出し(ステップ2040、20
50)、成分γhdf の大きさが基準値以上である状態が
所定時間以上継続したときにはヨーレートセンサが故障
していると判定する(ステップ2060〜2110)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車輌の旋回
時に於けるドリフトアウトやスピンの如き好ましからざ
る挙動を抑制し低減する挙動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌の旋回時に於ける挙動を
制御する装置の一つとして、例えば特開平2−7056
1号公報に記載されている如く、車輌の実ヨーレートを
検出する手段と、車輌の目標ヨーレートを設定する手段
と、実ヨーレートと目標ヨーレートとの偏差を演算する
手段と、ヨーレートの偏差に応じて制動力を制御し車輌
の挙動を安定化させる挙動制御装置が従来より知られて
いる。
【0003】かかる挙動制御装置によれば、車輌の実ヨ
ーレートが目標ヨーレートと実質的に一致するよう制動
力が制御されるので、かかる挙動制御が行われない場合
に比して車輌の旋回時等に於ける挙動を安定化させるこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】挙動制御装置が正常に
作動し挙動制御が適正に行われるためには、ヨーレート
センサや目標ヨーレートを設定するためのパラメータを
検出する他のセンサが正常に作動している必要がある。
しかるに上記公開公報にはヨーレートセンサや他のセン
サが故障した場合の問題については記載されておらず、
特にヨーレートセンサや他のセンサの故障を判別する方
法やかかる故障が生じた場合の対処方法については記載
されていない。
【0005】本発明は、従来の挙動制御装置に於ける上
述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主
要な課題は、挙動制御を行うためのパラメータを検出す
るセンサの故障を確実に検出して不適切な挙動制御が行
われることを防止し、またセンサの故障が生じたときに
は必要な措置を講ずることにより、センサが故障した場
合にも車輌の挙動をできるだけ有効に且つ適切に制御す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、(1)車輌の実ヨーレートγを検
出するヨーレート検出手段を備えた車輌の挙動制御装置
に於て、左右輪の車輪速度を検出する手段と、前記左右
輪の車輪速度より前記車輌の推定ヨーレートγhat を演
算する手段と、前記実ヨーレートγと前記推定ヨーレー
トγhat との偏差γhdを演算する手段と、前記偏差γhd
より所定の周波数帯域の成分γhdf を抽出する手段と、
前記成分γhdf の大きさが基準値以上である状態が所定
時間以上継続したときには前記ヨーレート検出手段が故
障していると判定する故障判別手段とを有していること
を特徴とする車輌の挙動制御装置(請求項1の構成)、
(2)車輌の実ヨーレートγを検出するヨーレート検出
手段と、車輌の横加速度Gy を検出する横加速度検出手
段とを備えた車輌の挙動制御装置に於て、車速Vを検出
する手段と、前記車速V及び前記実ヨーレートγの積と
前記横加速度Gyとの偏差Gy −V*γを演算する手段
と、前記偏差Gy −V*γの低周波成分を路面のカント
推定値Cとする手段と、前記カント推定値Cが所定の範
囲外である状態が所定時間以上継続したときには前記ヨ
ーレート検出手段若しくは前記横加速度検出手段が故障
していると判定する故障判別手段とを有していることを
特徴とする車輌の挙動制御装置(請求項2の構成)、
(3)車輌の前後加速度Gx を検出する前後加速度検出
手段を備えた車輌の挙動制御装置に於て、車輪速度を検
出する手段と、前記車輪速度より前記車輌の推定前後加
速度Ghat を演算する手段と、前記前後加速度Gx と前
記推定前後加速度Ghat との偏差Ghdを演算する手段
と、前記偏差Ghdより所定の周波数帯域の成分Ghdf を
抽出する手段と、前記成分Ghdf の大きさが基準値以上
である状態が所定時間以上継続したときには前記前後加
速度検出手段が故障していると判定する故障判別手段と
を有していることを特徴とする車輌の挙動制御装置(請
求項5の構成)、(4)車体の横加速度Gy を検出する
横加速度検出手段と、車速Vを検出する手段と、前記車
体の実ヨーレートγを検出する手段と、操舵角θを検出
する手段と、前記横加速度Gy 、前記車速V及び前記実
ヨーレートγより前記車輌の横すべりを表す第一の評価
値を演算する手段と、前記操舵角θ及び前記車速Vによ
り求まる目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの偏差Δ
γを表す第二の評価値を演算する手段と、少なくとも各
々重みづけされた前記第一及び第二の評価値に基づきス
ピン状態量を演算し前記スピン状態量に基づき前記車輌
の挙動を推定する挙動推定手段と、前記車輌の安定な挙
動が推定されるときには前記第二の評価値の重みを高く
設定し前記車輌の不安定な挙動が推定されるときには前
記第一の評価値の重みを高く設定する重み変更手段と、
前記スピン状態量に基づき前記車輌の挙動を制御する挙
動制御手段とを有する車輌の挙動制御装置に於て、前記
横加速度検出手段の故障を判定する手段を有し、前記重
み変更手段は前記横加速度検出手段の故障が判定された
ときには前記第一の評価値の重みを0に設定することを
特徴とする車輌の挙動制御装置(請求項6の構成)、又
は(5)車体の横加速度Gy を検出する手段と、車速V
を検出する手段と、前記車体の実ヨーレートγを検出す
る手段と、操舵角θを検出する操舵角検出手段と、前記
横加速度Gy 、前記車速V及び前記実ヨーレートγより
前記車輌の横すべりを表す第一の評価値を演算する手段
と、前記操舵角θ及び前記車速Vにより求まる目標ヨー
レートと前記実ヨーレートとの偏差Δγを表す第二の評
価値を演算する手段と、少なくとも各々重みづけされた
前記第一及び第二の評価値に基づきスピン状態量を演算
し前記スピン状態量に基づき前記車輌の挙動を推定する
挙動推定手段と、前記車輌の安定な挙動が推定されると
きには前記第二の評価値の重みを高く設定し前記車輌の
不安定な挙動が推定されるときには前記第一の評価値の
重みを高く設定する重み変更手段と、前記スピン状態量
に基づき前記車輌の挙動を制御する挙動制御手段とを有
する車輌の挙動制御装置に於て、前記操舵角検出手段の
故障を判定する手段を有し、前記重み変更手段は前記操
舵角検出手段の故障が判定されたときには前記第二の評
価値の重みを0に設定することを特徴とする車輌の挙動
制御装置(請求項9の構成)、によって達成される。
【0007】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記(2)の構成、即ち請求項2
の構成に於て、操舵角θに基づき目標ヨーレートγt を
演算する手段と、前記目標ヨーレートγt と前記実ヨー
レートγとの偏差γtdを演算する手段とを有し、前記故
障判別手段は前記カント推定値Cが所定の範囲外である
状況下にて前記偏差γtdの大きさが基準値以上である状
態が所定時間以上継続したときには前記ヨーレート検出
手段が故障していると判定するよう構成される(請求項
3の構成)。
【0008】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記(2)の構成、即ち請求項2
の構成に於て、操舵角θに基づき目標ヨーレートγt を
演算する手段と、前記目標ヨーレートγt と前記実ヨー
レートγとの偏差γtdを演算する手段とを有し、前記故
障判別手段は前記カント推定値Cが所定の範囲外である
状況下にて前記偏差γtdの大きさが基準値以下である状
態が所定時間以上継続したときには前記横加速度検出手
段が故障していると判定するよう構成される(請求項4
の構成)。
【0009】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記(4)の構成、即ち請求項6
の構成に於て、前記挙動制御手段は前記スピン状態量が
所定値を越える場合に前記車輌の挙動を制御し、前記横
加速度検出手段の故障が判定されたときには挙動制御の
開始を早めるよう構成される(請求項7の構成)。
【0010】更に本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記(4)の構成、即ち請求項6
の構成に於て、前記挙動制御手段は前記横加速度検出手
段の故障が判定されたときには挙動制御量を増大するよ
う構成される(請求項8の構成)。
【0011】
【作用】車輌の実ヨーレートγを検出するヨーレート検
出手段及び左右輪の車輪速度を検出する手段の何れも正
常であるときには、左右輪の車輪速度より推定される車
輌の推定ヨーレートγhat と実ヨーレートγとの偏差γ
hdは実質的に0であるのに対し、ヨーレート検出手段若
しくは車輪速度検出手段が故障すると、偏差γhdの大き
さが大きい状態が継続する事態が生じる。
【0012】上述の(1)の構成(請求項1の構成)に
よれば、左右輪の車輪速度より車輌の推定ヨーレートγ
hat が演算され、実ヨーレートγと推定ヨーレートγha
t との偏差γhdが演算され、前記偏差γhdより所定の周
波数帯域の成分γhdf 、即ちノイズやオフセット等が除
去された偏差成分が抽出され、該成分γhdf の大きさが
基準値以上である状態が所定時間以上継続したときには
故障判別手段によりヨーレート検出手段が故障している
と判定されるので、ヨーレート検出手段が故障した場合
にはそのことが確実に検出され、また車輪のばらつき等
に起因して車輌の挙動のゲインが異なっている場合にも
ヨーレート検出手段の故障が精度よく検出される。
【0013】また周知の如く、車輌が旋回する場合には
車輌には求心加速度としての横加速度Gy が作用し、こ
の横加速度は車速V及び車体のヨーレートγの積V*γ
により推定することが可能である。路面が水平であり車
輌に横すべりが生じていなければ横加速度Gy の大きさ
と推定横加速度V*γの大きさとは同一であり、偏差G
y −V*γは0である。これに対し路面にカント、即ち
左右方向の傾斜があると、偏差Gy −V*γは0以外の
値になり、この偏差の低周波成分は路面のカントに対応
する値になる。また路面のカントは必要以上に大きく設
定されることはないので、偏差の低周波成分の大きさが
所定の範囲外である場合にはヨーレート検出手段、横加
速度検出手段、車速検出手段の何れかが異常である。
【0014】上述の(2)の構成(請求項2の構成)に
よれば、車速V及び実ヨーレートγの積と横加速度Gy
との偏差Gy −V*γが演算され、偏差Gy −V*γの
低周波成分が路面のカント推定値Cとされ、カント推定
値Cが所定の範囲外である状態が所定時間以上継続した
ときにはヨーレート検出手段若しくは横加速度検出手段
が故障していると判定されるので、ヨーレート検出手段
若しくは横加速度検出手段が故障した場合にはそのこと
が確実に検出される。
【0015】特に請求項3の構成によれば、操舵角θに
基づき目標ヨーレートγt が演算され、カント推定値C
が所定の範囲外である状況、即ちヨーレート検出手段若
しくは横加速度検出手段が故障していると思われる状況
に於て、目標ヨーレートγtと実ヨーレートγとの偏差
γtdの大きさが基準値以上である状態が所定時間以上継
続したときには故障判別手段によりヨーレート検出手段
が故障していると判定されるので、ヨーレート検出手段
の故障が確実に検出される。
【0016】同様に請求項4の構成によれば、操舵角θ
に基づき目標ヨーレートγt が演算され、カント推定値
Cが所定の範囲外である状況、即ちヨーレート検出手段
若しくは横加速度検出手段が故障していると思われる状
況に於て、目標ヨーレートγt と実ヨーレートγとの偏
差γtdの大きさが基準値以下である状態が所定時間以上
継続したときには故障判別手段により横加速度検出手段
が故障していると判定されるので、横加速度検出手段の
故障が確実に検出される。
【0017】また車輌の前後加速度Gx を検出する前後
加速度検出手段及び左右輪の車輪速度を検出する手段の
何れも正常であるときには、左右輪の車輪速度より推定
される車輌の推定前後加速度Ghat と前後加速度Gx と
の偏差Ghdは実質的に0であり、偏差Ghdの大きさが大
きい状態が継続する場合には、前後加速度検出手段若し
くは車輪速度検出手段が異常である。
【0018】上述の(3)の構成(請求項5の構成)に
よれば、車輪速度より車輌の推定前後加速度Ghat が演
算され、前後加速度Gx と推定前後加速度Ghat との偏
差Ghdが演算され、偏差Ghdより所定の周波数帯域の成
分Ghdf 、即ちノイズやオフセット等が除去された偏差
成分が抽出され、該成分Ghdf の大きさが基準値以上で
ある状態が所定時間以上継続したときには故障判別手段
により前後加速度検出手段が故障していると判定される
ので、前後加速度検出手段が故障した場合にはそのこと
が確実に検出され、また車輪のばらつき等に起因して車
輌の挙動のゲインが異なっている場合にも前後加速度検
出手段の故障が精度よく検出される。
【0019】また車輌の旋回挙動が安定な状況に於て
は、横加速度Gy をパラメータとする横すべり評価値に
基づく車輌の旋回挙動推定の精度は路面のカント等の誤
差の影響を受け易く、他方スピン発生状態の如く車輌の
旋回挙動が不安定になると、車速及び操舵角に基づく目
標ヨーレートの信頼性が低くなりヨーレートの偏差Δγ
の信頼性も低くなり、ヨーレートの偏差に基づく車輌の
旋回挙動の推定精度が悪化するので、横加速度Gy 、車
速V及び実ヨーレートγより車輌の横すべりを表す第一
の評価値が演算され、操舵角θ及び車速Vにより求まる
目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差Δγを表す第二
の評価値が演算され、少なくとも各々重みづけされた第
一及び第二の評価値に基づきスピン状態量が演算されス
ピン状態量に基づき車輌の挙動が推定される場合には、
車輌の安定な挙動が推定されるときには第二の評価値の
重みが高く設定され、車輌の不安定な挙動が推定される
ときには第一の評価値の重みが高く設定されることが好
ましい。
【0020】またかかる構成の挙動制御装置に於ては、
第一及び第二の評価値を演算するための横加速度Gy の
如きパラメータを検出する手段に異常が生じると対応す
る評価値が適正に演算されなくなり、適正な挙動制御が
行われなくなるので、パラメータを検出する何れかの手
段が故障した場合には、対応する評価値は無視されるこ
とが好ましい。
【0021】上述の(4)の構成(請求項6の構成)に
よれば、横加速度検出手段の故障を判定する手段を有
し、重み変更手段は横加速度検出手段の故障が判定され
たときには第一の評価値の重みを0に設定するよう構成
されているので、横加速度検出手段が故障したときには
横加速度Gy に基づき演算される第一の評価値が無視さ
れ、これにより車輌の挙動が不適切に推定されることに
起因して不適切な挙動制御が行われることが防止され
る。
【0022】同様に上述の(5)の構成(請求項9の構
成)によれば、操舵角検出手段の故障を判定する手段を
有し、重み変更手段は操舵角検出手段の故障が判定され
たときには第二の評価値の重みを0に設定するよう構成
されているので、操舵角検出手段が故障したときには操
舵角θに基づき演算される第二の評価値が無視され、こ
れにより車輌の挙動が不適切に推定されることに起因し
て不適切な挙動制御が行われることが防止される。
【0023】特に請求項7の構成によれば、請求項6の
構成に於て、挙動制御手段はスピン状態量が所定値を越
える場合に車輌の挙動を制御し、横加速度検出手段の故
障が判定されたときには挙動制御の開始を早めるよう構
成されているので、横加速度検出手段が故障し、第二の
評価値のみに基づきスピン状態量が演算される場合に
は、挙動制御が早めに開始され、これにより車輌の挙動
の発散が防止される。
【0024】また請求項8の構成によれば、請求項6の
構成に於て、挙動制御手段は横加速度検出手段の故障が
判定されたときには挙動制御量を増大するよう構成され
ているので、横加速度検出手段が故障し、第二の評価値
のみに基づきスピン状態量が演算される場合には、挙動
制御量が増大されることによって挙動制御効果が増大さ
れ、これにより車輌の挙動の発散が防止される。
【0025】
【実施例】以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施
例について詳細に説明する。
【0026】図1は本発明による挙動制御装置が適用さ
れる車輌の制動装置及びその電気制御装置を示す概略構
成図である。
【0027】図1に於て、制動装置10は運転者による
ブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキ
オイルを第一及び第二のポートより圧送するマスタシリ
ンダ14を有し、第一のポートは前輪用のブレーキ油圧
制御導管16により左右前輪用のブレーキ油圧制御装置
18及び20に接続され、第二のポートは途中にプロポ
ーショナルバルブ22を有する後輪用のブレーキ油圧制
御導管24により左右後輪用のブレーキ油圧制御装置2
6及び28に接続されている。また制動装置10はリザ
ーバ30に貯容されたブレーキオイルを汲み上げ高圧の
オイルとして高圧導管32へ供給するオイルポンプ34
を有している。高圧導管32は各ブレーキ油圧制御装置
18、20、26、28に接続され、またその途中には
アキュムレータ36が接続されている。
【0028】各ブレーキ油圧制御装置18、20、2
6、28はそれぞれ対応する車輪に対する制動力を制御
するホイールシリンダ38FL、38FR、38RL、38RR
と、3ポート2位置切換え型の電磁式の制御弁40FL、
40FR、40RL、40RRと、リザーバ30に接続された
低圧導管42と高圧導管32との間に設けられた常開型
の電磁式の開閉弁44FL、44FR、44RL、44RR及び
常閉型の電磁式の開閉弁46FL、46FR、46RL、46
RRとを有している。それぞれ開閉弁44FL、44FR、4
4RL、44RRと開閉弁46FL、46FR、46RL、46RR
との間の高圧導管32は接続導管48FL、48FR、48
RL、48RRにより制御弁40FL、40FR、40RL、40
RRに接続されている。
【0029】制御弁40FL及び40FRはそれぞれ前輪用
のブレーキ油圧制御導管16とホイールシリンダ38FL
及び38FRとを連通接続し且つホイールシリンダ38FL
及び38FRと接続導管48FL及び48FRとの連通を遮断
する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管16と
ホイールシリンダ38FL及び38FRとの連通を遮断し且
つホイールシリンダ38FL及び38FRと接続導管48FL
及び48FRとを連通接続する第二の位置とに切替わるよ
うになっている。同様に40RL及び40RRはそれぞれ後
輪用のブレーキ油圧制御導管24とホイールシリンダ3
8RL及び38RRとを連通接続し且つホイールシリンダ3
8RL及び38RRと接続導管48RL及び48RRとの連通を
遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管2
4とホイールシリンダ38RL及び38RRとの連通を遮断
し且つホイールシリンダ38RL及び38RRと接続導管4
8RL及び48RRとを連通接続する第二の位置とに切替わ
るようになっている。
【0030】制御弁40FL、40FR、40RL、40RRが
第二の位置にある状況に於て開閉弁44FL、44FR、4
4RL、44RR及び開閉弁46FL、46FR、46RL、46
RRが図示の状態に制御されると、ホイールシリンダ38
FL、38FR、38RL、38RRは制御弁40FL、40FR、
40RL、40RR及び接続導管48FL、48FR、48RL、
48RRを介して高圧導管32と連通接続され、これによ
りホイールシリンダ内の圧力が増圧される。逆に制御弁
が第二の位置にある状況に於て開閉弁44FL、44FR、
44RL、44RRが閉弁され開閉弁46FL、46FR、46
RL、46RRが開弁されると、ホイールシリンダは制御弁
及び接続導管を介して低圧導管42と連通接続され、こ
れによりホイールシリンダ内の圧力が減圧される。更に
制御弁が第二の位置にある状況に於て開閉弁44FL、4
4FR、44RL、44RR及び開閉弁46FL、46FR、46
RL、46RRが閉弁されると、ホイールシリンダは高圧導
管32及び低圧導管42の何れとも遮断され、これによ
りホイールシリンダ内の圧力がそのまま保持される。
【0031】かくして制動装置10は、制御弁40FL、
40FR、40RL、40RRが第一の位置にあるときにはホ
イールシリンダ38FL、38FR、38RL、38RRにより
運転者によるブレーキペダル12の踏み込み量に応じた
制動力を発生し、制御弁40FL、40FR、40RL、40
RRの何れかが第二の位置にあるときには当該車輪の開閉
弁44FL、44FR、44RL、44RR及び開閉弁46FL、
46FR、46RL、46RRを開閉制御することにより、ブ
レーキペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制動力に
拘わりなくその車輪の制動力を制御し得るようになって
いる。
【0032】制御弁40FL、40FR、40RL、40RR、
開閉弁44FL、44FR、44RL、44RR及び開閉弁46
FL、46FR、46RL、46RRは後に詳細に説明する如く
電気式制御装置50により制御される。電気式制御装置
50はマイクロコンピュータ52と駆動回路54とより
なっており、マイクロコンピュータ52は図1には詳細
に示されていないが例えば中央処理ユニット(CPU)
と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセ
スメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、こ
れらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一
般的な構成のものであってよい。
【0033】マイクロコンピュータ52の入出力ポート
装置には車速センサ56より車速Vを示す信号、実質的
に車体の重心に設けられた横加速度センサ58より車体
の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ60より
車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ62より
操舵角θを示す信号、それぞれ車輪速センサ64FL及び
64FRより従動操舵輪である左右前輪の車輪速VFL及び
VFRを示す信号、実質的に車体の重心に設けられた前後
加速度センサ66より車体の前後加速度Gx を示す信号
が入力されるようになっている。尚横加速度センサ58
等は車輌の左旋回方向を正として横加速度等を検出する
ようになっている。
【0034】またマイクロコンピュータ52のROMは
後述の如く種々の制御フロー及びマップを記憶してお
り、CPUは上述の種々のセンサにより検出されたパラ
メータに基づき後述の如く種々の演算を行って車輌の旋
回挙動を示すスピンバリューSVを求め、スピンバリュ
ーに基づき車輌の旋回挙動を安定化させるための制御量
を演算し、その演算結果に基づき左前輪又は右前輪の制
動力を制御し車輌の旋回挙動を安定化させるようになっ
ている。
【0035】次に図2に示されたゼネラルフローチャー
トを参照して第一の実施例による車輌の旋回挙動制御の
概要について説明する。尚図2に示されたフローチャー
トによる制御は図には示されていないイグニッションス
イッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実
行される。
【0036】まずステップ100に於ては車速センサ5
6により検出された車速Vを示す信号等の読込みが行わ
れ、ステップ200に於ては図10に示されたフローチ
ャートのヨーレートセンサ故障判別ルーチンにより後述
の如く設定されるフラグFywが1であるか否かの判別、
即ちヨーレートセンサ60が異常であるか否かの判別が
行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100へ
戻り、否定判別が行われたときにはステップ300へ進
む。
【0037】ステップ300に於ては横加速度Gy と車
速V及びヨーレートγの積V*γとの偏差Gy −V*γ
として横加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vyd
が演算される。ステップ400に於ては横加速度の偏差
Vydが積分されることにより車体の横すべり速度Vy が
演算され、ステップ500に於ては車体の前後速度Vx
(=車速V)に対する車体の横すべり速度Vy の比Vy
/Vx として車体のスリップ角βが演算される。
【0038】ステップ600に於ては図3に示されたフ
ローチャートに従って後述の如くヨーレート偏差Δγが
演算され、ステップ700に於ては図4に示されたフロ
ーチャートに従ってカウンタステア、即ち車輌の旋回方
向とは反対方向の操舵が行われているか否かの判定が行
われ、ステップ800に於ては図5に示されたフローチ
ャートに従って車輌がドリフトアウトの状態にあるか否
かの判定が行われる。ステップ900に於てはステップ
600に於て演算されたヨーレート偏差Δγに対する重
みWが図6に示されたフローチャートに従って演算さ
れ、ステップ1000に於ては図7に示されたフローチ
ャートに従ってスピンバリューSVが演算される。
【0039】ステップ1100に於てはスピンバリュー
SVの絶対値が基準値SVc (定数)を越えているか否
かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステッ
プ100へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ
1200に於てスピンバリューSVの絶対値に基づき前
輪側の旋回外輪の目標スリップ率Rs が図8のグラフに
対応するマップより演算される。
【0040】ステップ1300に於てはVinを前輪側の
旋回内輪の車輪速として下記の数1に従って目標車輪速
Vwtが演算され、ステップ1400に於てはデューティ
比Dr が下記の数2に従って演算される。尚下記の数1
に於て、Vout は前輪側の旋回外輪の車輪速であり、K
p 及びKd は車輪速フィードバック制御に於ける比例項
及び微分項の比例定数である。
【0041】
【数1】Vwt=(1−Rs )*Vin
【数2】Dr =Kp *(Vout −Vwt)+Kd *d(V
out −Vwt)/dt
【0042】ステップ1500に於ては前輪側の旋回外
輪の制御弁40FL又は40FRに対し制御信号が出力され
ることによってその制御弁が第二の位置に切換え設定さ
れると共に、同じく前輪側の旋回外輪の開閉弁に対しス
テップ1400に於て演算されたデューティ比Dr に対
応する制御信号が出力されることにより旋回外輪のホイ
ールシリンダ38FL又は38FRに対するアキュームレー
タ圧の給排が制御され、これにより旋回外輪の制動圧が
制御される。
【0043】この場合ステップ1400に於て演算され
るデューティ比Dr が負の基準値と正の基準値との間の
値であるときには旋回外輪の上流側の開閉弁が第二の位
置に切換え設定され且つ下流側の開閉弁が第一の位置に
保持されることにより、対応するホイールシリンダ内の
圧力が保持され、デューティ比が正の基準値以上のとき
には旋回外輪の上流側及び下流側の開閉弁が図1に示さ
れた位置に制御されることにより、対応するホイールシ
リンダへアキュームレータ圧が供給されることによって
該ホイールシリンダ内の圧力が増圧され、デューティ比
が負の基準値以下であるときには旋回外輪の上流側及び
下流側の開閉弁が第二の位置に切換え設定されることに
より、対応するホイールシリンダ内のブレーキオイルが
低圧導管42へ排出され、これにより該ホイールシリン
ダ内の圧力が減圧される。
【0044】ステップ600のヨーレート偏差Δγ演算
ルーチン(図3) このルーチンのステップ610に於ては数3に従って路
面のカントに応じた補正量Ks *Gy *Vにて補正され
た後の目標ヨーレートγt が演算される。ステップ62
0に於ては目標ヨーレートγt と実ヨーレートγとの偏
差γt −γと実ヨーレートγとが同符号であるか否か、
即ち車輌がアンダステア状態にあるか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはステップ670へ進
み、肯定判別が行われた時にはステップ630に於て路
面の摩擦係数μが横加速度Gy の絶対値(単位はG(重
力加速度)である)として演算される。
【数3】γt =K*V*θ−Ks *Gy *V
【0045】ステップ640に於てはμe を0.2G程
度の定数とし、Ke を定数(=(180/3.14)×
3.6×9.8)として下記の数4に従って限界ヨーレ
ートγe が演算される。
【数4】γe =Ke *(μe +μ)/V
【0046】ステップ650に於ては目標ヨーレートγ
t の絶対値が限界ヨーレートγe を越えているか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ6
70へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ66
0に於てαを0.2/G程度の定数として下記の数5に
従って目標ヨーレートが低減補正される。ステップ67
0に於てはヨーレート偏差Δγが目標ヨーレートγt と
ヨーレートγとの偏差として演算される。尚定数αは、
路面の摩擦係数μが低目に推定される場合には車輌が実
際に発生し得るヨーレートに比して目標ヨーレートが小
さくなり過ぎてしまい、運転者の意志を反映できなくな
ることを防止するためのものである。
【数5】γt =γe +α*μ*(γt −γe )
【0047】ステップ700のカウンタステア判定ルー
チン(図4) このルーチンのステップ710に於てはフラグFs が1
であるか否かの判別、即ち車輌がスピン状態にあるか否
かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステッ
プ720に於て操舵角θの符号が実ヨーレートγの符号
とは逆であるか否か、即ちステアリングホイールが車輌
の実際の旋回方向とは逆方向に操舵操作されるカウンタ
ステア状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別が行
われたときにはステップ730に於てカウンタステアの
フラグFc が0にリセットされ、肯定判別が行われたと
きにはステップ740に於てフラグFc が1にセットさ
れる。
【0048】ステップ800のドリフトアウト判定ルー
チン(図5) このルーチンのステップ810に於てはフラグFs が1
であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたとき
にはステップ820に於て係数kを例えば1/2の如き
1よりも小さい正の定数として実ヨーレートγの絶対値
が係数kと目標ヨーレートγt の絶対値との積よりも小
さいか否かの判別、即ち目標ヨーレートの大きさに対す
る実ヨーレートの大きさの比が所定の値(k)よりも小
さいドリフトアウト状態にあるか否かの判別が行われ、
否定判別が行われたときにはステップ830に於てドリ
フトアウトのフラグFd が0にリセットされ、肯定判別
が行われたときにはフラグFd が1にセットされる。
【0049】ステップ900のヨーレート偏差Δγの重
みW決定ルーチン(図6) このルーチンのステップ910に於てはステップ600
に於て演算されたヨーレート偏差Δγに対する重みWが
例えば0.8の如く1に近い第一の重みW1 に設定さ
れ、ステップ920に於てはフラグFs が1であるか否
かの判別、即ち車輌がスピン状態にあるか否かの判別が
行われ、肯定判別が行われたときにはステップ930に
於て重みWが例えば0.6の如く第一の重みW1 よりも
小さい第二の重みW2 に設定される。
【0050】ステップ940に於てはフラグFd が1で
あるか否かの判別、即ち車輌がドリフトアウト状態にあ
るか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときには
ステップ950に於て重みWが例えば0.3の如く第二
の重みW2 よりも小さい第三の重みW3 に設定される。
ステップ960に於てはフラグFc が1であるか否かの
判別、即ちステアリングホイールがカウンタステア状態
にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ970に於て重みWが0に設定され、ステ
ップ980に於ては重みWの変化が滑らかになるようフ
ィルタ処理される。
【0051】かくしてステップ900のヨーレート偏差
の重み決定ルーチンに於ては、車輌の旋回挙動が安定で
ありヨーレートの信頼性が高いときには、第二の評価値
としてのヨーレート偏差Δγの重みが高く設定され、逆
に車輌の旋回挙動が不安定になりヨーレートの信頼性が
低下すると、第一の評価値としての車輌の横すべりの重
みが高く設定されるので、スピンバリューSVが旋回挙
動の状況に応じて適正に演算され、これにより車輌の旋
回挙動が適切に推定され制御される。
【0052】ステップ1000のスピンバリューSV演
算ルーチン(図7) このルーチンのステップ1005に於てはA及びBを正
の定数として、ステップ100に於て読込まれた車速
V、ステップ500に於て演算された車体のスリップ角
β、スリップ角βを微分することにより得られる車体の
スリップ角速度βd 、ステップ600に於て演算された
ヨーレート偏差Δγ、ステップ900に於て演算された
ヨーレート偏差の重みWに基づき、車輌の挙動を判定し
挙動を制御するためのスピンバリューSVが下記の数6
に従って演算される。
【数6】SV=A*V*Δγ*W+(A*V*βd +B
*β)*(1−W)
【0053】ステップ1010に於ては左右前輪の車輪
速VFL、VFR及びトレッドLt に基づき下記の数7に従
って推定ヨーレートγhat が演算され、ステップ102
0に於ては左右前輪の車輪速VFL及びVFRが微分される
ことによりそれぞれ左右前輪の前後加速度GFL及びGFR
が演算され、下記の数8に従ってこれらの前後加速度の
平均値として推定前後加速度Gxhatが演算される。
【0054】
【数7】γhat =(VFR−VFL)/Lt
【数8】Gxhat=(GFR+GFL)/2
【0055】ステップ1030に於ては下記の数9に従
って推定ヨーレートの偏差の大きさΔγhat が演算さ
れ、ステップ1040に於ては推定ヨーレートの偏差の
大きさΔγhat がハイパスフィルタ処理されると共に、
処理後の推定ヨーレート偏差の大きさが基準値Δγho
(正の定数)を越えるときにはΔγhat がΔγhoにクリ
ップされる。ステップ1050に於ては下記の数10に
従って推定前後加速度の偏差ΔGxhatの大きさが演算さ
れ、ステップ1060に於ては推定前後加速度の偏差の
大きさΔGxhatがハイパスフィルタ処理されると共に、
処理後の偏差の大きさΔGxhatが基準値ΔGxho (正の
定数)を越えるときにはΔGxhatが基準値ΔGxho にク
リップされる。
【0056】
【数9】Δγhat =|γhat −γ|
【数10】ΔGxhat=|Gxhat−Gx |
【0057】ステップ1070に於ては車速V、ステッ
プ1030及び1040に於て演算された推定ヨーレー
ト偏差の大きさΔγhat 及びステップ1050及び10
60に於て演算された推定前後加速度偏差の大きさΔG
xhatに基づき下記の数11に従って路面の外乱Dが演算
され、ステップ1080に於てはステップ1005に於
て演算されたスピンバリューSVが正であるか否かの判
別が行われ、否定判別が行われたときにはスピンバリュ
ーSVに外乱補正値Kd D(Kd は正の係数)が加算さ
れることによってスピンバリューが補正され、肯定判別
が行われたときにはステップ1095に於てスピンバリ
ューSVが外乱補正値Kd Dにて減算されることによっ
て補正される。
【数11】D=V*Δγhat +ΔGxhat
【0058】かくしてステップ1000のスピンバリュ
ー演算ルーチンに於ては、ステップ1010〜1070
に於て左右前輪の車輪速VFL及びVFRに基づき路面の外
乱の程度が演算され、ステップ1080〜1095に於
て外乱の程度に応じてスピンバリューSVが補正される
ので、路面に凹凸等があり横加速度Gy 等が路面外乱の
影響を受ける場合にも車輌の旋回挙動が正確に推定され
る。
【0059】次に図10に示されたフローチャートを参
照してヨーレートセンサ60の故障判別ルーチンについ
て詳細に説明する。尚この判定ルーチンは所定時間毎の
割り込みにより実行される。
【0060】このルーチンのステップ2000に於ては
左右前輪の車輪速VFL、VFR及びヨーレートγを示す信
号の読込みが行われ、ステップ2010に於ては、挙動
制御による前輪側の旋回外輪の制動力が制御されている
か否か、即ち図2に示されたフローチャートのステップ
1100に於て肯定判別が行われているか否かの判別が
行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステップ
2000へ戻り、否定判別が行われたときにはステップ
2020へ進む。
【0061】ステップ2020に於ては上述の数7と同
一の下記の数12に従って推定ヨーレートγhat が演算
され、ステップ2030に於ては推定ヨーレートγhat
と実ヨーレートγとの偏差としてヨーレート偏差Δγh
が演算される。
【数12】γhat =(VFR−VFL)/Lt
【0062】ステップ2040に於てはRy をフィルタ
係数(定数)として下記の数13に従ってヨーレート偏
差Δγh に対しローパスフィルタ処理が行われることに
よりローパスフィルタ処理後のヨーレート偏差γhdlpが
演算され、ステップ2050に於ては下記の数14に従
ってヨーレート偏差Δγh に対しハイパスフィルタ処理
が行われることによりヨーレート偏差Δγh の所定周波
数の成分γhdf が演算される。
【0063】
【数13】 γhdlp=(1−Ry )*γhdlp+Ry *Δγh
【数14】γhdf =|Δγh −γhdlp|
【0064】ステップ2060に於てはヨーレート偏差
の所定周波数の成分γhdf が基準値γhdfc(定数)を越
えているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたと
きにはステップ2070に於てカウンタのカウント値N
y が0にリセットされた後ステップ2100へ進み、肯
定判別が行われたときにはステップ2080に於てカウ
ント値Ny が1インクリメントされた後ステップ209
0へ進む。
【0065】ステップ2090に於てはカウント値Ny
が基準値Nyc(正の一定の整数)を越えているか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ2
100に於てフラグFywが0にリセットされることによ
りヨーレートセンサ60が正常であると判定され、肯定
判別が行われたときにはステップ2110に於てフラグ
Fywが1にセットされることによりヨーレートセンサが
異常である旨の判定が行われる。
【0066】かくして第一の実施例に於ては、ステップ
300〜1000に於てスピンバリューSVが演算さ
れ、ステップ1100に於てスピンバリューSVに基づ
き車輌の旋回挙動が不安定であるか否かの判別、即ち挙
動制御が必要であるか否かの判別が行われ、否定判別が
行われたときにはステップ1200〜1500が実行さ
れることなくステップ100へ戻り、これにより各車輪
の制動圧がマスタシリンダ圧、従ってブレーキペダル1
2の踏込み量に応じて制御される。
【0067】これに対しステップ1100に於て肯定判
別、即ち挙動制御が必要である旨の判別が行われると、
ステップ1200〜1500が実行されることによって
挙動制御が実行され、前輪側の旋回外輪に制動力が与え
られ又はその制動力が増大されることにより車輌の旋回
挙動が安定化され、スピンやドリフトアウトの発生が防
止される。
【0068】特に第一の実施例によれば、ステップ20
20に於て左右前輪の車輪速VFR及びVFLに基づき推定
ヨーレートγhat が演算され、ステップ2030に於て
推定ヨーレートとヨーレートセンサ60により検出され
た実ヨーレートγとの偏差Δγh が演算され、ステップ
2040及び2050に於てヨーレート偏差より所定の
周波数帯域の成分γhdf が演算され、しかる後ステップ
2060〜2110が実行されることにより、成分γhd
f が基準値γhdfc以上である状態が所定時間以上継続し
たときにはヨーレートセンサ60が故障していると判定
される。またヨーレートセンサ60が故障すると、フラ
グFywが1にセットされ、ステップ200に於て肯定判
別が行われることによりステップ300〜1500は実
行されない。
【0069】従ってこの実施例によれば、ヨーレートセ
ンサ60が故障したときにはその故障を確実に検出する
ことができ、また故障したヨーレートセンサよりの出力
に基づきスピンバリューSVが演算されそのスピンバリ
ューに基づいて挙動制御が行われることがないので、不
適切な挙動制御が行われることを確実に防止することが
できる。
【0070】またこの実施例によれば、挙動制御が実行
されることにより前輪側の旋回外輪に制動力が与えられ
又はその制動力が増大される状況にあるときには、ステ
ップ2010に於て肯定判別が行われることによりヨー
レートセンサの故障判別は行われないので、挙動制御の
実行によりがヨーレート偏差Δγh 等が不適切に演算さ
れることに起因してヨーレートセンサが故障してないに
も拘らず誤って故障していると判定されることを確実に
防止することができる。
【0071】尚図示の実施例によれば、図3に示された
ヨーレート偏差演算ルーチンのステップ610に於て、
目標ヨーレートγt はK*V*θとして演算されるので
はなく、数3に従って路面のカントに応じた補正量Ks
*Gy *Vにて補正された後の目標ヨーレートとして演
算されるので、目標ヨーレートは路面のカントに起因し
てヨーレートが増減されることに対応して正確に演算さ
れ、従って車輌がカントを有する道路を旋回するような
場合にもヨーレート偏差Δγを正確に演算し、これによ
りスピンバリューSVを路面のカントの状況に応じて正
確に演算し、旋回時等に於ける車輌の挙動を正確に制御
することができる。
【0072】また図示の実施例によれば、図3に示され
たヨーレート偏差演算ルーチンのステップ620に於て
車輌がアンダステア状態にあるか否かの判別が行われ、
車輌がアンダステア状態にあるときにはステップ630
に於て路面の摩擦係数μが演算され、ステップ640に
於て路面の摩擦係数μ及び車速Vに基づいて限界ヨーレ
ートγe が演算される。そしてステップ650に於て目
標ヨーレートγt の大きさが限界ヨーレートγe を越え
ている旨の判別が行われたときには、ステップ660に
於て目標ヨーレートが限界ヨーレート及び路面の摩擦係
数に基づいて低減補正される。尚図9に於て、横軸は補
正前の目標ヨーレートを示し、縦軸は補正後の目標ヨー
レートを示している。
【0073】従って路面の摩擦係数に応じてヨーレート
偏差Δγを正確に演算し、これにより路面の摩擦係数に
拘らずスピンバリューSVを正確に演算することがで
き、これにより車輌が摩擦係数の低い道路を旋回した
り、かかる旋回が行われている途中に於てステアリング
ホイールが切り増しされるような場合にも、車輌の挙動
を適正に制御することができる。
【0074】図11は本発明による挙動制御装置の第二
の実施例に於けるヨーレート偏差の重み決定ルーチンを
示すフローチャートであり、図12は第二の実施例に於
けるヨーレートセンサ及び横加速度センサの故障判別ル
ーチンを示すフローチャートである。尚図11に於て図
6に示されたステップに対応するステップには図6に於
て付されたステップ番号と同一のステップ番号が付され
ている。またこの実施例の故障判別ルーチンも所定時間
毎の割込みにより実行される。
【0075】この第二の実施例のヨーレート偏差の重み
決定ルーチンに於ては、ステップ910の次に行われる
ステップ912に於てフラグFgyが1であるか否かの判
別、即ち図12に示された故障判別ルーチンに於て横加
速度センサ58が異常である旨の判別が行われたか否か
の判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ
914に於て重みWが1に設定される。
【0076】またこの実施例の故障判別ルーチンのステ
ップ3000に於ては横加速度Gyを示す信号等の読込
みが行われ、ステップ3010に於てはβobsdをタイヤ
−車輌モデルに基づく車輌のスリップ角の推定値βobs
の微分値として車輌の横力Fy が下記の数15に従って
演算される。
【数15】Fy =Gy −V*γ+V*βobsd
【0077】ステップ3020に於てはRc をフィルタ
係数(定数)として下記の数16に従って横力Fy に対
しローパスフィルタ処理が行われることにより横力Fy
の低周波成分、即ちカント推定値Cが演算される。
【数16】C=(1−Rc )*C+Rc *Fy
【0078】ステップ3040に於てはカント推定値C
が基準値Cc を越えているか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはステップ3040に於てカウン
タのカウント値Nc が0にリセットされた後ステップ3
070へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ3
050に於てカウント値Nc が1インクリメントされた
後ステップ3060へ進む。
【0079】ステップ3060に於てはカウント値Nc
が基準値Ncc(正の一定の整数)を越えているか否かの
判別が行われ否定判別が行われたときにはステップ30
70へ進み、フラグFyw 及びFgyが0にリセットされ
ることによりヨーレートセンサ60及び横加速度センサ
58が正常であると判定され、肯定判別が行われたとき
にはステップ3080に於て下記の数17に従って目標
ヨーレートγt が演算される。
【数17】γt =K*V*θ/(1+Ks *V2
【0080】ステップ3090に於ては実ヨーレートγ
と目標ヨーレートγt との偏差の絶対値が基準値γc を
越えているか否かの判別が行われ、否定判別が行われた
ときにはステップ3100に於てフラグFywが0にリセ
ットされると共にフラグFgyが1にセットされることに
より、ヨーレートセンサ60は正常であるが横加速度セ
ンサ58が異常であると判定され、肯定判別が行われた
ときにはステップ3110に於てフラグFywが1にセッ
トされると共にフラグFgyが0にリセットされることに
より、横加速度センサ58は正常であるがヨーレートセ
ンサ60が異常であると判定される。
【0081】かくしてこの第二の実施例によれば、ステ
ップ3010に於て車輌の横力Fyが演算され、ステッ
プ3020に於て横力Fy の低周波成分がカント推定値
Cとして演算され、ステップ3030〜3060に於て
カント推定値が基準値Cc 以上である状態が所定時間以
上継続したか否かの判別が行われ、否定判別が行われた
ときにはステップ3070に於てヨーレートセンサ60
及び横加速度センサ58が正常である旨の判定が行われ
る。またステップ3060に於て肯定判別が行われる
と、ステップ3080に於て車輌の横加速度Gy に基づ
くことなく目標ヨーレートγt が演算され、ステップ3
090〜3120に於てヨーレート偏差が基準値γc 以
上である状態が所定時間以上継続したか否かの判別が行
われ、否定判別が行われたときにはステップ3130に
於て横加速度センサ58が故障している旨の判定が行わ
れ、肯定判別が行われたときにはステップ3140に於
てヨーレートセンサ620が故障している旨の判定が行
われる。
【0082】またヨーレートセンサ60が故障すると、
フラグFywが1にセットされ、第一の実施例と同様ステ
ップ200に於て肯定判別が行われることによりステッ
プ300〜1500は実行されないが、横加速度センサ
58が故障した場合にはフラグFgyが1にセットされ、
ステップ912に於て肯定判別が行われることによりス
ピンバリューSVの演算に於けるヨーレート偏差の重み
Wが1にセットされ、これによりスピンバリューは信頼
性の高いヨーレート偏差のみに基づいて演算される。
【0083】従ってこの実施例によれば、横加速度セン
サ58又はヨーレートセンサ60が故障したときにはそ
の故障を確実に検出することができ、ヨーレートセンサ
の故障の場合には不適切に演算されるスピンバリューに
基づいて不適切な挙動制御が行われることを確実に防止
することができ、また横加速度センサの故障の場合には
ヨーレート偏差に基づいて車輌の挙動を推定し、その推
定結果に基づき車輌の挙動をできるだけ効果的に制御す
ることができる。
【0084】図13は本発明による挙動制御装置の第三
の実施例に於けるヨーレート偏差演算ルーチンを示すフ
ローチャートである。尚図13に於て図3に示されたス
テップに対応するステップには図3に於て付されたステ
ップ番号と同一のステップ番号が付されている。またこ
の第三の実施例に於けるヨーレートセンサ及び横加速度
センサの故障判別ルーチン自体は図12に示された第二
の実施例に於ける故障判別ルーチンと同一であってよ
い。
【0085】この第三の実施例のヨーレート偏差演算ル
ーチンのステップ605に於ては、フラグFgyが1であ
るか否かの判別、即ち図12に示された故障判別ルーチ
ンに於て横加速度センサ58が異常である旨の判別が行
われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われたとき
にはステップ610に於て上記数3に従って目標ヨーレ
ートγt が演算され、肯定判別が行われたときにはステ
ップ615に於て上記数17と同一の下記の数18に従
って目標ヨーレートγt が演算され、更にステップ63
5に於て路面の摩擦係数μが例えば0.8に設定され
る。
【数18】γt =K*V*θ/(1+Ks *V2
【0086】かくしてこの第三の実施例によれば、横加
速度センサ58が正常であるときには目標ヨーレートγ
t が数3に従って演算されるが、横加速度センサが故障
するとステップ605に於て肯定判別が行われることに
より、目標ヨーレートγt は横加速度Gy に基づくこと
なく数18に従って演算され、またステップ635に於
て路面の摩擦係数μが0.8に設定される。
【0087】従って横加速度センサの故障により目標ヨ
ーレートγt が不適切に演算されること及び限界ヨーレ
ートγe が不適切に演算されることに起因してヨーレー
ト偏差Δγが不適切な値に演算されることを防止し、こ
れにより横加速度センサが故障した場合にも車輌の旋回
挙動をできるだけ適切に且つ効果的に制御することがで
きる。
【0088】図14は本発明による挙動制御装置の第四
の実施例に於けるスピンバリュー演算ルーチンを示すフ
ローチャートであり、図15は第四の実施例に於ける前
後加速度センサの故障判別ルーチンを示すフローチャー
トである。尚図14に於て図7に示されたステップに対
応するステップには図7に於て付されたステップ番号と
同一のステップ番号が付されている。またこの実施例の
故障判別ルーチンも所定時間毎の割込みにより実行され
る。
【0089】この第四の実施例のスピンバリュー演算ル
ーチンのステップ1040の次に行われるステップ10
42に於てはフラグFgxが1であるか否かの判別、即ち
図15に示された故障判別ルーチンに於て前後加速度セ
ンサ66が異常である旨の判別が行われたか否かの判別
が行われ、否定判別が行われたときにはそのままステッ
プ1050へ進み、肯定判別が行われたときにはステッ
プ1044に於て前後加速度Gx が0に設定された後ス
テップ1050へ進む。
【0090】またこの実施例の故障判別ルーチンのステ
ップ4000に於ては左右前輪の車輪速VFL、VFR及び
前後加速度Gx を示す信号の読込みが行われ、ステップ
4010に於ては、挙動制御による前輪側の旋回外輪の
制動力が制御されているか否か、即ち図2に示されたフ
ローチャートのステップ1100に於て肯定判別が行わ
れているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたと
きにはそのままステップ2000へ戻り、否定判別が行
われたときにはステップ4020へ進む。
【0091】ステップ4020に於ては左右前輪の車輪
速VFL及びVFRが微分されることによりそれぞれ左右前
輪の前後加速度GFL及びGFRが演算されると共に、下記
の数19に従って基準前後加速度Gref が演算され、ス
テップ4030に於ては基準前後加速度Gref と実前後
加速度Gx との偏差として前後加速度偏差ΔGrdが演算
される。
【数19】Gref =(GFR+GFL)/2+Ga
【0092】尚上記数19に於て、Ga はブレーキ油圧
やエンジン状態より推定される路面の前後方向の傾斜に
関する勾配補正値であり、この補正値は例えばPをブレ
ーキ油圧とし、ne をエンジン回転数とし、ni をトル
クコンバータの入力軸回転数とし、Nをトランスミッシ
ョンのギヤ比とし、a及びbを定数として下記の数20
に従って駆動及び制動による前後力補正値Fx を求め、
更にRx をフィルタ係数(定数)とする下記の数21に
従って前後力補正値Fx をローパスフィルタ処理するこ
とにより得られる。
【0093】
【数20】Fx =a*N*(ne −ni )−b*P−
(GFR+GFL)/2
【数21】Ga =(1−Rx )*Ga +Rx *Fx
【0094】ステップ4040に於てはRg をフィルタ
係数(定数)として下記の数22に従って前後加速度偏
差ΔGrdに対しローパスフィルタ処理が行われることに
よりローパスフィルタ処理後の前後加速度偏差ΔGrdlp
が演算され、ステップ4050に於ては下記の数23に
従って前後加速度偏差ΔGrdlp対しハイパスフィルタ処
理が行われることにより前後加速度偏差ΔGrdの所定周
波数の成分Grdf が演算される。
【0095】
【数22】 Grdlp=(1−Rg )*Grdlp+Rg *ΔGrd
【数23】Grdf =|ΔGrd−Grdlp|
【0096】ステップ4060に於ては前後加速度偏差
の所定周波数の成分Grdf が基準値γhdfc越えているか
否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステ
ップ4070に於てカウンタのカウント値Ng が0にリ
セットされた後ステップ4100へ進み、肯定判別が行
われたときにはステップ4080に於てカウント値Ng
が1インクリメントされた後ステップ4090へ進む。
【0097】ステップ4090に於てはカウント値Ng
が基準値Ngc(正の一定の整数)を越えているか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ4
100に於てフラグFgxが0にリセットされることによ
り前後加速度センサ66が正常であると判定され、肯定
判別が行われたときにはステップ4110に於てフラグ
Fgxが1にセットされることにより前後加速度センサが
異常である旨の判定が行われる。
【0098】かくしてこの第四の実施例によれば、ステ
ップ4020に於て左右前輪の車輪速VFR及びVFLに基
づき基準前後加速度Gref が演算され、ステップ403
0に前後加速度の偏差ΔGrdが演算され、ステップ40
40及び4050に於て前後加速度の偏差の所定周波数
帯域の成分Grdf が演算され、ステップ4060〜41
10に於て前後加速度の偏差の所定周波数帯域の成分の
大きさが基準値Grdfc以上である状態が所定時間以上継
続したときには前後加速度センサ66が故障していると
判定される。
【0099】また前後加速度センサ66が故障すると、
スピンバリューの演算ルーチンに於けるステップ104
2に於て肯定判別が行われ、ステップ1044に於て前
後加速度Gx が0に設定され、その状態にステップ10
50〜1090が実行されるので、前後加速度センサが
故障した場合に路面外乱DによるスピンバリューSVの
補正が不適切に行われることを防止し、これにより前後
加速度センサが故障した場合にも車輌の旋回挙動を適切
に制御することができる。
【0100】またこの実施例によれば、左右前輪の車輪
速VFR及びVFLに基づき演算される基準前後加速度Gre
f はブレーキ油圧やエンジン状態より推定される路面の
前後方向の傾斜に関する勾配補正値Ga にて補正される
ので、車輌が坂道走行する場合にも基準前後加速度を正
確に演算し、これにより車輌が坂道走行することに起因
して前後加速度センサが故障してないにも拘らず誤って
故障していると判定されることを確実に防止することが
できる。
【0101】またこの実施例に於ても、挙動制御が実行
されることにより前輪側の旋回外輪に制動力が与えられ
又はその制動力が増大される状況にあるときには、ステ
ップ4010に於て肯定判別が行われることにより前後
加速度センサの故障判別は行われないので、挙動制御の
実行により基準前後加速度Gref が不適切に演算される
ことに起因して前後加速度センサが故障してないにも拘
らず誤って故障していると判定されることを確実に防止
することができる。
【0102】図16は本発明による挙動制御装置の第五
の実施例に於けるヨーレート偏差の重み決定ルーチンを
示すフローチャートであり、図17は第五の実施例に於
ける操舵角センサの故障判別ルーチンを示すフローチャ
ートである。尚図16に於て図11に示されたステップ
に対応するステップには図11に於て付されたステップ
番号と同一のステップ番号が付されている。またこの実
施例の故障判別ルーチンも所定時間毎の割込みにより実
行される。
【0103】この第五の実施例のヨーレート偏差の重み
決定ルーチンに於ては、ステップ960に於て否定判別
が行われたときにはステップ965に於てフラグFsaが
1であるか否かの判別、即ち図17に示された故障判別
ルーチンに於て操舵角センサ62が異常である旨の判別
が行われたか否かの判別が行われ、否定判別が行われた
ときにはそのままステップ980へ進むが、肯定判別が
行われたときにはステップ970に於て重みWが0に設
定される。
【0104】またこの実施例の故障判別ルーチンのステ
ップ5000に於てはヨーレートγ及び操舵角θを示す
信号の読込みが行われ、ステップ5010に於ては、挙
動制御による前輪側の旋回外輪の制動力が制御されてい
るか否か、即ち図2に示されたフローチャートのステッ
プ1100に於て肯定判別が行われているか否かの判別
が行われ、肯定判別が行われたときにはそのままステッ
プ5000へ戻り、否定判別が行われたときにはステッ
プ5020へ進む。
【0105】ステップ5020に於てはヨーレートγの
微分値γd が演算される。ステップ5030に於てはヨ
ーレートの微分値γd の絶対値が基準値γdcを越えてい
るか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときには
ステップ5000へ戻り、肯定判別が行われたときには
ステップ5040に於て操舵角センサ62よりパルス信
号が入力されたか否かの判別が行われる。ステップ50
40に於て否定判別が行われたときにはステップ505
0に於てカウンタのカウント値Ns が0にリセットされ
た後ステップ5080へ進み、肯定判別が行われたとき
にはステップ5060に於てカウント値Ns が1インク
リメントされた後ステップ5070へ進む。
【0106】ステップ5070に於てはカウント値Ns
が基準値Nscを越えているか否かの判別が行われ、否定
判別が行われたときにはステップ5080に於てフラグ
Fsaが0にリセットされることにより操舵角センサ62
が正常であると判定され、肯定判別が行われたときには
ステップ5090に於てフラグFsaが1にセットされる
ことにより操舵角センサが異常である旨の判定が行われ
る。
【0107】かくしてこの第五の実施例によれば、ステ
ップ5020に於てヨーレートの微分値γd が演算さ
れ、ステップ5030に於てヨーレートの微分値の大き
さに基づき操舵が行われているか否かの判別が行われ、
ステップ5040に於て操舵角センサ62よりパルスが
入力されたか否かの判別が行われることにより操舵角セ
ンサが正常であるか否かの判定が行われる。
【0108】そして操舵角センサが故障している場合に
はフラグFsaが1にセットされ、ステップ965に於て
肯定判別が行われることによりスピンバリューSVの演
算に於けるヨーレート偏差の重みWが0にセットされ、
これによりスピンバリューは数6の第2項のみにより演
算される。
【0109】従ってこの実施例によれば、操舵角センサ
の故障により目標ヨーレートが不適切に演算されヨーレ
ート偏差Δγが不適切に演算されることに起因して挙動
制御が不適切に行われることを確実に防止することがで
きる。
【0110】尚上述の各実施例に於ては、車輌の旋回挙
動が不安定になったときには前輪側の旋回外輪の制動力
がスピンバリューSVに応じて制御され、前輪側の旋回
外輪の制動力と旋回内輪の制動力との差によるアンチス
ピンモーメントによりスピンが低減されるようになって
いるが、旋回挙動の制御は車輌の挙動を安定化させ得る
限り任意の態様にて行われてよく、例えば前輪側及び後
輪側の両方の旋回外輪の制動力が制御されてもよい。
【0111】また上述の第一、第四及び第五の実施例に
於ては、挙動制御の実行中であるときには、対応する故
障判別が行われないようになっているが、例えばABS
(アンチロックブレーキシステム)やTRC(トラクシ
ョンコントロール装置)が搭載された車輌の場合には、
ABSやTRCの作動に起因して誤ってセンサが故障し
ている旨の判定が行われないよう、ABSやTRCの作
動中の場合にも対応する故障判別が行われないよう構成
されることが好ましい。
【0112】更に第二の実施例に於て、車輌に後輪操舵
装置が搭載されている場合には、後輪操舵によりステア
特性が変化するので、ステア特性の変化に対応して推定
ヨーレートγhat が適正に演算されるよう、後輪操舵角
に基づき推定ヨーレートが補正されることが好ましい。
【0113】以上に於ては本発明を特定の実施例につい
て詳細に説明したが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施
例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0114】例えば第三の実施例に於ては、第二の実施
例に於ける故障判別と同一のルーチンにより横加速度セ
ンサ58の故障が判別されるようになっているが、この
実施例に於ける横加速度センサの故障判別は当技術分野
に於て公知の任意の方法により行われてよく、例えば実
ヨーレートγ若しくは操舵角θが変化しても横加速度G
y が変化しない状態が所定時間以上継続する場合に横加
速度センサが故障であると判定されてもよい。
【0115】同様に第五の実施例に於ては、図17に示
されたルーチンにより操舵角センサ62の故障が判別さ
れるようになっているが、この実施例に於ける操舵角セ
ンサの故障判別も当技術分野に於て公知の任意の方法に
より行われてよく、例えば二つの操舵角センサが組み込
まれた車輌の場合には、所定時間内に於ける二つの操舵
角センサよりの出力パルスの数の差が基準値以上である
場合に操舵角センサが故障であると判定されてもよい。
【0116】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、左右輪の車輪速度より車
輌の推定ヨーレートγhat が演算され、実ヨーレートγ
と推定ヨーレートγhat との偏差γhdが演算され、前記
偏差γhdより所定の周波数帯域の成分γhdf 、即ちノイ
ズやオフセット等が除去された偏差成分が抽出され、該
成分γhdf の大きさが基準値以上である状態が所定時間
以上継続したときには故障判別手段によりヨーレート検
出手段が故障していると判定されるので、ヨーレート検
出手段が故障した場合にはそのことを確実に検出するこ
とができ、また車輪のばらつき等に起因して車輌の挙動
のゲインが異なっている場合にもヨーレート検出手段の
故障を精度よく検出することができる。
【0117】尚一般に挙動制御装置には車輪速度検出手
段が設けられているので、請求項1の構成によれば、新
たな手段として車輪速度検出手段が設けられる必要はな
く、従ってコスト上昇を招くこともない。
【0118】また請求項2の構成によれば、車速V及び
実ヨーレートγの積と横加速度Gyとの偏差Gy −V*
γが演算され、偏差Gy −V*γの低周波成分が路面の
カント推定値Cとされ、カント推定値Cが所定の範囲外
である状態が所定時間以上継続したときにはヨーレート
検出手段若しくは横加速度検出手段が故障していると判
定されるので、ヨーレート検出手段若しくは横加速度検
出手段が故障した場合にはそのことを確実に検出するこ
とができる。
【0119】また請求項3の構成によれば、操舵角θに
基づき目標ヨーレートγt が演算され、カント推定値C
が所定の範囲外である状況、即ちヨーレート検出手段若
しくは横加速度検出手段が故障していると思われる状況
に於て、目標ヨーレートγtと実ヨーレートγとの偏差
γtdの大きさが基準値以上である状態が所定時間以上継
続したときには故障判別手段によりヨーレート検出手段
が故障していると判定されるので、ヨーレート検出手段
の故障が確実に検出することができる。
【0120】また請求項4の構成によれば、操舵角θに
基づき目標ヨーレートγt が演算され、カント推定値C
が所定の範囲外である状況、即ちヨーレート検出手段若
しくは横加速度検出手段が故障していると思われる状況
に於て、目標ヨーレートγtと実ヨーレートγとの偏差
γtdの大きさが基準値以下である状態が所定時間以上継
続したときには故障判別手段により横加速度検出手段が
故障していると判定されるので、横加速度検出手段の故
障を確実に検出することができる。
【0121】また請求項5の構成によれば、車輪速度よ
り車輌の推定前後加速度Ghat が演算され、前後加速度
Gx と推定前後加速度Ghat との偏差Ghdが演算され、
偏差Ghdより所定の周波数帯域の成分Ghdf 、即ちノイ
ズやオフセット等が除去された偏差成分が抽出され、該
成分Ghdf の大きさが基準値以上である状態が所定時間
以上継続したときには故障判別手段により前後加速度検
出手段が故障していると判定されるので、前後加速度検
出手段が故障した場合にはそのことを確実に検出するこ
とができ、また車輪のばらつき等に起因して車輌の挙動
のゲインが異なっている場合にも前後加速度検出手段の
故障を精度よく検出することができる。
【0122】また請求項6の構成によれば、横加速度検
出手段の故障を判定する手段を有し、重み変更手段は横
加速度検出手段の故障が判定されたときには第一の評価
値の重みを0に設定するよう構成されており、従って横
加速度検出手段が故障したときには横加速度Gy に基づ
き演算される第一の評価値が無視され、第二の評価値の
みに基づいてスピン状態量が演算されるので、車輌の挙
動が不適切に推定されることに起因して不適切な挙動制
御が行われることを防止することができる。
【0123】また請求項7の構成によれば、挙動制御手
段はスピン状態量が所定値を越える場合に車輌の挙動を
制御し、横加速度検出手段の故障が判定されたときには
挙動制御の開始を早めるよう構成されているので、横加
速度検出手段が故障し、第二の評価値のみに基づきスピ
ン状態量が演算される場合には、挙動制御を早めに開始
し、これにより車輌の挙動が発散することを防止するこ
とができる。
【0124】また請求項8の構成によれば、挙動制御手
段は横加速度検出手段の故障が判定されたときには挙動
制御量を増大するよう構成されているので、横加速度検
出手段が故障し、第二の評価値のみに基づきスピン状態
量が演算される場合には、挙動制御量を自動的に増大し
て挙動制御効果を増大し、これにより車輌の挙動が発散
することを防止することができる。
【0125】また請求項9の構成によれば、操舵角検出
手段の故障を判定する手段を有し、重み変更手段は操舵
角検出手段の故障が判定されたときには第二の評価値の
重みを0に設定するよう構成されており、従って操舵角
検出手段が故障したときには操舵角θに基づき演算され
る第二の評価値が無視され、第一の評価値のみに基づい
てスピン状態量が演算されるので、車輌の挙動が不適切
に推定されることに起因して不適切な挙動制御が行われ
ることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による挙動制御装置が適用される車輌の
制動装置及びその電気式制御装置を示す概略構成図であ
る。
【図2】本発明による挙動制御装置の第一の実施例に於
ける旋回挙動制御を示すゼネラルフローチャートであ
る。
【図3】図2に示されたゼネラルフローチャートのステ
ップ600に於けるヨーレート偏差演算ルーチンを示す
フローチャートである。
【図4】図2に示されたゼネラルフローチャートのステ
ップ700に於けるカウンタステア判定ルーチンを示す
フローチャートである。
【図5】図2に示されたゼネラルフローチャートのステ
ップ800に於けるドリフトアウト判定ルーチンを示す
フローチャートである。
【図6】図2に示されたゼネラルフローチャートのステ
ップ900に於けるヨーレートの偏差の重み決定ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図7】図2に示されたゼネラルフローチャートのステ
ップ1000に於けるスピンバリュー演算ルーチンを示
すフローチャートである。
【図8】スピンバリューSVの絶対値と目標スリップ率
Rs との間の関係を示すグラフである。
【図9】目標ヨーレートγt (横軸)と路面の摩擦係数
μに基づく補正後の目標ヨーレートγt (縦軸)との間
の関係を示すグラフである。
【図10】第一の実施例に於けるヨーレートセンサの故
障判別ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】本発明による挙動制御装置の第二の実施例に
於けるヨーレート偏差の重み決定ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図12】第二の実施例に於けるヨーレートセンサ及び
横加速度センサの故障判別ルーチンを示すフローチャー
トである。
【図13】本発明による挙動制御装置の第三の実施例に
於けるヨーレート偏差演算ルーチンを示すフローチャー
トである。
【図14】本発明による挙動制御装置の第四の実施例に
於けるスピンバリュー演算ルーチンを示すフローチャー
トである。
【図15】第四の実施例に於ける前後加速度センサの故
障判別ルーチンを示すフローチャートである。
【図16】本発明による挙動制御装置の第五の実施例に
於けるヨーレート偏差の重み決定ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図17】第五の実施例に於ける操舵角センサの故障判
別ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…制動装置 14…マスタシリンダ 18、20、26、28…ブレーキ油圧制御装置 34…オイルポンプ 38FL、38FR、38RL、38RR…ホイールシリンダ 40FL、40FR、40RL、40RR…制御弁 44FL、44FR、44RL、44RR…開閉弁 46FL、46FR、46RL、46RR…開閉弁 50…電気式制御装置 56…車速センサ 58…横加速度センサ 60…ヨーレートセンサ 62…操舵角センサ 64FL、64FR…車輪速センサ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輌の実ヨーレートγを検出するヨーレー
    ト検出手段を備えた車輌の挙動制御装置に於て、左右輪
    の車輪速度を検出する手段と、前記左右輪の車輪速度よ
    り前記車輌の推定ヨーレートγhat を演算する手段と、
    前記実ヨーレートγと前記推定ヨーレートγhat との偏
    差γhdを演算する手段と、前記偏差γhdより所定の周波
    数帯域の成分γhdf を抽出する手段と、前記成分γhdf
    の大きさが基準値以上である状態が所定時間以上継続し
    たときには前記ヨーレート検出手段が故障していると判
    定する故障判別手段とを有していることを特徴とする車
    輌の挙動制御装置。
  2. 【請求項2】車輌の実ヨーレートγを検出するヨーレー
    ト検出手段と、車輌の横加速度Gyを検出する横加速度
    検出手段とを備えた車輌の挙動制御装置に於て、車速V
    を検出する手段と、前記車速V及び前記実ヨーレートγ
    の積と前記横加速度Gy との偏差Gy −V*γを演算す
    る手段と、前記偏差Gy −V*γの低周波成分を路面の
    カント推定値Cとする手段と、前記カント推定値Cが所
    定の範囲外である状態が所定時間以上継続したときには
    前記ヨーレート検出手段若しくは前記横加速度検出手段
    が故障していると判定する故障判別手段とを有している
    ことを特徴とする車輌の挙動制御装置。
  3. 【請求項3】請求項2の車輌の挙動制御装置に於て、操
    舵角θに基づき目標ヨーレートγtを演算する手段と、
    前記目標ヨーレートγt と前記実ヨーレートγとの偏差
    γtdを演算する手段とを有し、前記故障判別手段は前記
    カント推定値Cが所定の範囲外である状況下にて前記偏
    差γtdの大きさが基準値以上である状態が所定時間以上
    継続したときには前記ヨーレート検出手段が故障してい
    ると判定することを特徴とする車輌の挙動制御装置。
  4. 【請求項4】請求項2の車輌の挙動制御装置に於て、操
    舵角θに基づき目標ヨーレートγtを演算する手段と、
    前記目標ヨーレートγt と前記実ヨーレートγとの偏差
    γtdを演算する手段とを有し、前記故障判別手段は前記
    カント推定値Cが所定の範囲外である状況下にて前記偏
    差γtdの大きさが基準値以下である状態が所定時間以上
    継続したときには前記横加速度検出手段が故障している
    と判定することを特徴とする車輌の挙動制御装置。
  5. 【請求項5】車輌の前後加速度Gx を検出する前後加速
    度検出手段を備えた車輌の挙動制御装置に於て、車輪速
    度を検出する手段と、前記車輪速度より前記車輌の推定
    前後加速度Ghat を演算する手段と、前記前後加速度G
    x と前記推定前後加速度Ghat との偏差Ghdを演算する
    手段と、前記偏差Ghdより所定の周波数帯域の成分Ghd
    f を抽出する手段と、前記成分Ghdf の大きさが基準値
    以上である状態が所定時間以上継続したときには前記前
    後加速度検出手段が故障していると判定する故障判別手
    段とを有していることを特徴とする車輌の挙動制御装
    置。
  6. 【請求項6】車体の横加速度Gy を検出する横加速度検
    出手段と、車速Vを検出する手段と、前記車体の実ヨー
    レートγを検出する手段と、操舵角θを検出する手段
    と、前記横加速度Gy 、前記車速V及び前記実ヨーレー
    トγより前記車輌の横すべりを表す第一の評価値を演算
    する手段と、前記操舵角θ及び前記車速Vにより求まる
    目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの偏差Δγを表す
    第二の評価値を演算する手段と、少なくとも各々重みづ
    けされた前記第一及び第二の評価値に基づきスピン状態
    量を演算し前記スピン状態量に基づき前記車輌の挙動を
    推定する挙動推定手段と、前記車輌の安定な挙動が推定
    されるときには前記第二の評価値の重みを高く設定し前
    記車輌の不安定な挙動が推定されるときには前記第一の
    評価値の重みを高く設定する重み変更手段と、前記スピ
    ン状態量に基づき前記車輌の挙動を制御する挙動制御手
    段とを有する車輌の挙動制御装置に於て、前記横加速度
    検出手段の故障を判定する手段を有し、前記重み変更手
    段は前記横加速度検出手段の故障が判定されたときには
    前記第一の評価値の重みを0に設定することを特徴とす
    る車輌の挙動制御装置。
  7. 【請求項7】請求項6の車輌の挙動制御装置に於て、前
    記挙動制御手段は前記スピン状態量が所定値を越える場
    合に前記車輌の挙動を制御し、前記横加速度検出手段の
    故障が判定されたときには挙動制御の開始を早めるよう
    構成されていることを特徴とする車輌の挙動制御装置。
  8. 【請求項8】請求項6の車輌の挙動制御装置に於て、前
    記挙動制御手段は前記横加速度検出手段の故障が判定さ
    れたときには挙動制御量を増大するよう構成されている
    ことを特徴とする車輌の挙動制御装置。
  9. 【請求項9】車体の横加速度Gy を検出する手段と、車
    速Vを検出する手段と、前記車体の実ヨーレートγを検
    出する手段と、操舵角θを検出する操舵角検出手段と、
    前記横加速度Gy 、前記車速V及び前記実ヨーレートγ
    より前記車輌の横すべりを表す第一の評価値を演算する
    手段と、前記操舵角θ及び前記車速Vにより求まる目標
    ヨーレートと前記実ヨーレートとの偏差Δγを表す第二
    の評価値を演算する手段と、少なくとも各々重みづけさ
    れた前記第一及び第二の評価値に基づきスピン状態量を
    演算し前記スピン状態量に基づき前記車輌の挙動を推定
    する挙動推定手段と、前記車輌の安定な挙動が推定され
    るときには前記第二の評価値の重みを高く設定し前記車
    輌の不安定な挙動が推定されるときには前記第一の評価
    値の重みを高く設定する重み変更手段と、前記スピン状
    態量に基づき前記車輌の挙動を制御する挙動制御手段と
    を有する車輌の挙動制御装置に於て、前記操舵角検出手
    段の故障を判定する手段を有し、前記重み変更手段は前
    記操舵角検出手段の故障が判定されたときには前記第二
    の評価値の重みを0に設定することを特徴とする車輌の
    挙動制御装置。
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