JP3348579B2 - 車輌の挙動制御装置 - Google Patents

車輌の挙動制御装置

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JP3348579B2
JP3348579B2 JP30495595A JP30495595A JP3348579B2 JP 3348579 B2 JP3348579 B2 JP 3348579B2 JP 30495595 A JP30495595 A JP 30495595A JP 30495595 A JP30495595 A JP 30495595A JP 3348579 B2 JP3348579 B2 JP 3348579B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
旋回時に於けるスピンやドリフトアウトの如き好ましか
らざる挙動を抑制し低減する挙動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】後輪操舵装置と制駆動力制御装置とを有
する自動車等の車輌の挙動を制御する挙動制御装置の一
つとして、例えば特開平4−2557号公報に記載され
ている如く、車輌の前後加速度が大きいほど後輪操舵の
感度よりも制駆動力制御の感度を高く設定するよう構成
された挙動制御装置が従来より知られている。
【0003】かかる挙動制御装置によれば、車輌の前後
加速度が大きいときには後輪操舵に伴う輪荷重の変化に
より各輪のスリップ率の変化が小さく抑えられ、制御効
果の大きい制駆動力制御が十分に生かされるので、かか
る制御が行われない場合に比して後輪操舵と制駆動力制
御によるトータルな制御効果を高めて車輌の挙動を安定
化させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】後輪操舵装置を有する
車輌に於いて行われる制駆動力制御による挙動制御は、
後輪操舵装置が正常であるときの操舵性能(挙動特性)
を前提に車輌の挙動が推定され、その推定結果に基づい
て行われる。しかるに後輪操舵装置が異常になると操舵
性能も正常ではなくなるので、後輪操舵装置が異常な状
態にて挙動制御が実行されると車輌の挙動が却って悪化
する虞れがある。特に前輪及び後輪の操舵角を含むパラ
メータに基づき演算される車輌の横滑り状態を示す指標
値に基づいて車輌の挙動制御を実行すべきか否かが判定
される場合には、その判定も正常に行われなくなるの
で、この問題は顕著に現れる。
【0005】本発明は、輪を補助操舵する補助操舵装
置を備え、前輪の舵角及び後輪の舵角に基づき演算され
る車輌の横滑り状態を示す指標値に基づいて車輌の挙
を実行すべきか否かが判定される挙動制御装置に於
ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発
明の主要な課題は、補助操舵装置が異常であるときに
常な後輪の舵角に起因する不適切な判定結果に基づく
挙動制御が行われないようにすることにより、挙動制御
の実行によって車輌の挙動が却って悪化されることを防
止することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の主要な課題は、本
発明によれば、請求項1の構成、即ち輪を補助操舵す
る補助操舵手段と、操舵輪である前輪の舵角及び後輪の
舵角に基づき前輪のスリップ角と後輪のスリップ角との
偏差に対応する値を演算し、前記スリップ角の偏差に対
応する値に基づき車輌の横滑り状態を示すグリップ状態
指標値を演算する手段と、前記グリップ状態指標値に基
づき車輌の挙動制御を実行すべきであるか否かを判定す
る手段と、車輌の挙動を推定する手段と車輌の挙動制
御を実行すべきであると判定されたときには推定された
車輌の挙動に基づき各輪の制動力を制御することにより
車輌の挙動を安定化させる挙動制御手段とを有する車輌
の挙動制御装置に於て、前記補助操舵手段に異常が生じ
たときには推定された車輌の挙動に基づく前記挙動制御
手段による挙動制御を禁止する手段を有していることを
特徴とする車輌の挙動制御装置によって達成される。
【0007】この構成によれば、輪を補助操舵する補
助操舵手段に異常が生じ輪の補助操舵が正常に行われ
なくなり、車輌の横滑り状態を示すグリップ状態指標値
を適正に演算することができないことに起因して車輌の
挙動制御を実行すべきか否かを適正に判定することがで
きなくなったときには、推定された車輌挙動に基づ
動制御手段によ挙動制御が実行されることが禁止され
るので、異常な挙動制御の実行により車輌の挙動が却っ
て悪化することが確実に防止される。
【0008】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の課題解決手段
の一つの好ましい態様によれば、請求項1の構成に於
て、車輌の横滑り状態を推定する手段を有し、制動力制
御手段は車輌の横滑り状態が推定されたときには各輪の
制動力を制御することにより横滑り状態を抑制するよう
構成される。
【0009】本発明の課題解決手段の他の一つの好まし
い態様によれば、請求項1の構成に於て、補助操舵手段
は後輪の実舵角が目標舵角になるよう制御する後輪操舵
装置であり、後輪の目標舵角と実舵角との偏差の大きさ
が所定値を越えるときに後輪操舵装置が異常であると判
定されるよう構成される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を実施形態について詳細に説明する。
【0011】図1は本発明による挙動制御装置の一つの
実施形態の油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成
図である。
【0012】図1に於て、制動装置10は運転者による
ブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキ
オイルを第一及び第二のポートより圧送するマスタシリ
ンダ14と、マスタシリンダ内のオイル圧力に対応する
圧力(レギュレータ圧)にブレーキオイルを増圧するハ
イドロブースタ16とを有している。マスタシリンダ1
4の第一のポートは前輪用のブレーキ油圧制御導管18
により左右前輪用のブレーキ油圧制御装置20及び22
に接続され、第二のポートは途中にプロポーショナルバ
ルブ24を有する後輪用のブレーキ油圧制御導管26に
より左右後輪用の3ポート2位置切換え型の電磁式の制
御弁28に接続されている。制御弁28は導管30によ
り左後輪用のブレーキ油圧制御装置32及び右後輪用の
ブレーキ油圧制御装置34に接続されている。
【0013】また制動装置10はリザーバ36に貯容さ
れたブレーキオイルを汲み上げ高圧のオイルとして高圧
導管38へ供給するオイルポンプ40を有している。高
圧導管38はハイドロブースタ16に接続されると共に
切換弁44に接続されており、高圧導管38の途中には
オイルポンプ40より吐出される高圧のオイルをアキュ
ムレータ圧として蓄圧するアキュムレータ46が接続さ
れている。図示の如く切換弁44も3ポート2位置切換
え型の電磁式の切換弁であり、四輪用のレギュレータ圧
供給導管47によりハイドロブースタ16に接続されて
いる。
【0014】左右前輪用のブレーキ油圧制御装置20及
び22はそれぞれ対応する車輪に対する制動力を制御す
るホイールシリンダ48FL及び48FRと、3ポート2位
置切換え型の電磁式の制御弁50FL及び50FRと、リザ
ーバ36に接続されたリターン通路としての低圧導管5
2と切換弁44との間に接続された左右前輪用のレギュ
レータ圧供給導管53の途中に設けられた常開型の電磁
式の開閉弁54FL及び54FR及び常閉型の電磁式の開閉
弁56FL及び56FRとを有している。それぞれ開閉弁5
4FL、54FRと開閉弁56FL、56FRとの間の左右前輪
用のレギュレータ圧供給導管53は接続導管58FL、5
8FRにより制御弁50FL、50FRに接続されている。
【0015】左右後輪用のブレーキ油圧制御装置32、
34は制御弁28と低圧導管52との間にて導管30の
途中に設けられた常開型の電磁式の開閉弁60RL、60
RR及び常閉型の電磁式の開閉弁62RL、62RRと、それ
ぞれ対応する車輪に対する制動力を制御するホイールシ
リンダ64RL、64RRとを有し、ホイールシリンダ64
RL、64RRはそれぞれ接続導管66RL、66RRにより開
閉弁60RL、60RRと開閉弁62RL、62RRとの間の導
管30に接続されている。
【0016】制御弁50FL及び50FRはそれぞれ前輪用
のブレーキ油圧制御導管18とホイールシリンダ48FL
及び48FRとを連通接続し且つホイールシリンダ48FL
及び48FRと接続導管58FL及び58FRとの連通を遮断
する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧制御導管18と
ホイールシリンダ48FL及び48FRとの連通を遮断し且
つホイールシリンダ48FL及び48FRと接続導管58FL
及び58FRとを連通接続する第二の位置とに切替わるよ
うになっている。
【0017】切換弁44と左右後輪用制御弁28との間
には左右後輪用のレギュレータ圧供給導管68が接続さ
れており、制御弁28はそれぞれ後輪用のブレーキ油圧
制御導管26と開閉弁60RL、60RRとを連通接続し且
つ開閉弁60RL、60RRとレギュレータ圧供給導管68
との連通を遮断する図示の第一の位置と、ブレーキ油圧
制御導管26と開閉弁60RL、60RRとの連通を遮断し
且つ開閉弁60RL、60RRとレギュレータ圧供給導管6
8とを連通接続する第二の位置とに切替わるようになっ
ている。
【0018】制御弁50FL、50FR、28はマスタシリ
ンダ圧遮断弁として機能し、これらの制御弁が図示の第
一の位置にあるときにはホイールシリンダ48FL、48
FR、64RL、64RRが導管18、26と連通接続され、
各ホイールシリンダへマスタシリンダ圧が供給されるこ
とにより、各輪の制動力が運転者によるブレーキペダル
12の踏み込み量に応じて制御され、制御弁50FL、5
0FR、28が第二の位置にあるときには各ホイールシリ
ンダはマスタシリンダ圧より遮断される。
【0019】また切換弁44はホイールシリンダ48F
L、48FR、64RL、64RRへ供給される油圧をアキュ
ムレータ圧とレギュレータ圧との間にて切換える機能を
果し、制御弁50FL、50FR、28が第二の位置に切換
えられ且つ開閉弁54FL、54FR、60RL、60RR及び
開閉弁56FL、56FR、62RL、62RRが図示の位置に
ある状態にて切換弁44が図示の第一の位置に維持され
るときには、ホイールシリンダ48FL、48FR、64R
L、64RRへレギュレータ圧が供給されることにより各
ホイールシリンダ内の圧力がレギュレータ圧にて制御さ
れ、これにより他の車輪の制動圧に拘わりなくその車輪
の制動圧がブレーキペダル12の踏み込み量に対応する
レギュレータ圧による増圧モードにて制御される。
【0020】尚各弁がレギュレータ圧による増圧モード
に切換え設定されても、ホイールシリンダ内の圧力がレ
ギュレータ圧よりも高いときには、ホイールシリンダ内
のオイルが逆流し、制御モードが増圧モードであるにも
拘らず実際の制動圧は低下する。
【0021】また制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられ且つ開閉弁54FL、54FR、60RL、
60RR及び開閉弁56FL、56FR、62RL、62RRが図
示の位置にある状態にて切換弁44が第二の位置に切換
えられると、ホイールシリンダ48FL、48FR、64R
L、64RRへアキュムレータ圧が供給されることにより
各ホイールシリンダ内の圧力がレギュレータ圧よりも高
いアキュムレータ圧にて制御され、これによりブレーキ
ペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制動圧に拘わり
なくその車輪の制動圧がアキュームレータ圧による増圧
モードにて制御される。
【0022】更に制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられた状態にて開閉弁54FL、54FR、6
0RL、60RRが第二の位置に切換えられ、開閉弁56F
L、56FR、62RL、62RRが図示の状態に制御される
と、切換弁44の位置に拘らず各ホイールシリンダ内の
圧力が保持され、制御弁50FL、50FR、28が第二の
位置に切換えられた状態にて開閉弁54FL、54FR、6
0RL、60RR及び開閉弁56FL、56FR、62RL、62
RRが第二の位置に切換えられると、切換弁44の位置に
拘らず各ホイールシリンダ内の圧力が減圧され、これに
よりブレーキペダル12の踏み込み量及び他の車輪の制
動圧に拘わりなくその車輪の制動圧が減圧モードにて制
御される。
【0023】切換弁44、制御弁50FL、50FR、2
8、開閉弁54FL、54FR、60RL、60RR及び開閉弁
56FL、56FR、62RL、62RR、は後に詳細に説明す
る如く電気式制御装置70により制御される。電気式制
御装置70はマイクロコンピュータ72と駆動回路74
とよりなっており、マイクロコンピュータ72は図1に
は詳細に示されていないが例えば中央処理ユニット(C
PU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダム
アクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有
し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続さ
れた一般的な構成のものであってよい。
【0024】マイクロコンピュータ72の入出力ポート
装置には車速センサ76より車速Vを示す信号、実質的
に車体の重心に設けられた横加速度センサ78より車体
の横加速度Gy を示す信号、ヨーレートセンサ80より
車体のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ82より
前輪の操舵角θf を示す信号、実質的に車体の重心に設
けられた前後加速度センサ84より車体の前後加速度G
x を示す信号、車輪速センサ86FL〜86RRよりそれぞ
れ左右前輪及び左右後輪の車輪速(周速)Vwfl 、Vwf
r 、Vwrl 、Vwrr を示す信号、後輪操舵装置88を制
御する操舵制御装置90より後輪の実舵角δr 示す信号
が入力されるようになっている。尚横加速度センサ78
及びヨーレートセンサ80等は車輌の左旋回方向を正と
して横加速度等を検出し、前後加速度センサ84は車輌
の加速方向を正として前後加速度を検出するようになっ
ている。
【0025】図6に概略的に示されている如く、後輪操
舵装置88は操舵制御装置90よりの制御信号に基づき
それぞれタイロッド92RL及び92RRを介して左後輪9
4RL及び右後輪94RRを操舵するアクチュエータ96を
含んでいる。操舵制御装置90は車速V、ヨーレート
γ、操舵輪である前輪(左前輪94FL及び右前輪94F
R)の操舵角θf 等に基づき後輪の目標舵角δrtを演算
し、舵角センサ98により検出される後輪の実舵角δr
が目標舵角δrtになるようアクチュエータ96を制御す
るようになっている。操舵制御装置90は後述の如く後
輪操舵装置88が正常であるか否かの判別を行い、その
判別結果を示す信号(後述のフラグFf )を電気式制御
装置70へ出力するようになっている。
【0026】またマイクロコンピュータ72のROMは
後述の如く図2〜図5の制御フロー及び図8〜図12の
マップを記憶しており、CPUは後輪の実舵角δr及び
上述の種々のセンサにより検出されたパラメータに基づ
き後述の如く種々の演算を行い、車輌の旋回挙動を判定
するためのスピン状態量SSを求めると共に、車輌の横
滑り状態を示すグリップ状態指標値Gγ及びGgyを求
、グリップ状態指標値に基づき車輌の挙動制御を実行
すべきか否かを判定し、その判定結果に基づきスピン状
態量に応じて各輪の制動力を制御して旋回挙動を制御す
るようになっている。
【0027】次に図2に示されたフローチャートを参照
して車輌の旋回挙動制御ルーチンについて説明する。尚
図2に示されたフローチャートによる制御は図には示さ
れていないイグニッションスイッチの閉成により開始さ
れ、所定の時間毎に繰返し実行される。また図2に示さ
れたフローチャートに於いて、フラグFf は後輪操舵装
置88が異常であるか否かに関するものであり、1は後
輪操舵装置が異常であることを示し、フラグFは車輌が
非グリップ状態であるか否かに関するものであり、1は
車輌が非グリップ状態であることを示している。
【0028】まずステップ10に於いては車速センサ7
6により検出された車速Vを示す信号等の読込みが行わ
れ、ステップ20に於いては横加速度Gy と車速V及び
ヨーレートγの積V*γとの偏差Gy −V*γとして横
加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vydが演算さ
れ、ステップ30に於いては横すべり加速度Vydが積分
されることにより車体の横すべり速度Vy が演算され、
車体の前後速度Vx (=車速V)に対する車体の横すべ
り速度Vy の比Vy /Vx として車体のスリップ角βが
演算される。
【0029】ステップ40に於いてはK1 及びK2 をそ
れぞれ正の定数として車体のスリップ角β及び横すべり
加速度Vydの線形和K1 *β+K2 *Vydとしてスピン
量SVが演算され、ステップ50に於いてはヨーレート
γの符号に基づき車輌の旋回方向が判定され、スピン状
態量SSが車輌が左旋回のときにはSVとして、車輌が
右旋回のときには−SVとして演算され、演算結果が負
の値のときにはスピン状態量は0とされる。尚スピン量
SVは車体のスリップ角β及びその微分値βdの線形和
として演算されてもよい。
【0030】ステップ55に於いてはフラグFf が1で
あるか否かの判別、即ち後輪操舵装置88が異常である
か否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはス
テップ80へ進み、肯定判別が行われたときにはステッ
プ60へ進む。ステップ60に於いてはフラグFが1で
あるか否かの判別、即ち車輌が非グリップ状態であるか
否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステ
ップ70に於いてスピン状態量SSに基づき図8に示さ
れたグラフに対応するマップより車輌全体の目標スリッ
プ率であるスピン制御量Rsspin が演算され、否定判別
が行われたときにはステップ80に於いてスピン制御量
Rsspin が0にセットされる。
【0031】ステップ90に於いてはスピン制御量Rss
pin が0であるか否かの判別、即ち車輌の挙動が安定で
あり挙動制御が不要であるか又は挙動制御を実行すべき
ではないか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたと
きにはステップ100に於いて各弁が図1に示された通
常位置に制御された後ステップ10へ戻り、否定判別が
行われたときにはステップ110に於いて下記の数1に
従って旋回外側前輪、旋回内側前輪、旋回外側後輪、旋
回内側後輪の目標スリップ率Rsfo 、Rsfi 、Rsro 、
Rsri が演算される。
【数1】 Rsfo =Rsspin Rsfi =0 Rsro =−Rsspin /2 Rsri =−Rsspin /2
【0032】ステップ120に於いてはヨーレートγの
符号に基づき車輌の旋回方向が判定されることにより旋
回内外輪が特定され、その特定結果に基づき各輪の最終
目標スリップ率Rsi(i=fr、fl、rr、rl)が演算され
る。即ち最終目標スリップ率Rsiが車輌の左旋回の場合
及び右旋回の場合についてそれぞれ下記の数2及び数3
に従って求められる。
【0033】
【数2】 Rsfr =Rsfo Rsfl =Rsfi Rsrr =Rsro Rsrl =Rsri
【数3】 Rsfr =Rsfi Rsfl =Rsfo Rsrr =Rsri Rsrl =Rsro
【0034】ステップ130に於いてはVb を基準車輪
速度(例えば旋回内側前輪の車輪速度)として下記の数
4に従って各輪の目標車輪速度Vwti が演算される。
【数4】Vwti =Vb *(100−Rsi)/100
【0035】ステップ140に於いてはVwid を各輪の
車輪加速度(Vwiの微分値)とし、Ks を正の一定の係
数として下記の数5に従って各輪の目標スリップ量SP
i が演算され、ステップ150に於いては図9に示され
たグラフに対応するマップより各輪のデューティ比Dri
が演算される。
【数5】 SPi =Vwi−Vwti +Ks *(Vwid −Gx )
【0036】更にステップ160に於いては切換弁44
が第二の位置に切換え設定されてアキュムレータ圧が導
入されると共に、最終目標スリップRsiが0でない車輪
に対応する各輪の制御弁28、50FR〜50RLに対し制
御信号が出力されることによってその制御弁が第二の位
置に切換え設定される。また各輪の開閉弁に対しデュー
ティ比Driに対応する制御信号が出力されることによ
り、ホイールシリンダ48FR〜48RLに対するアキュー
ムレータ圧の給排が制御され、これにより各輪の制動圧
が制御される。
【0037】この場合デューティ比Driが負の基準値と
正の基準値との間の値であるときには上流側の開閉弁が
第二の位置に切換え設定され且つ下流側の開閉弁が第一
の位置に保持されることにより、対応するホイールシリ
ンダ内の圧力が保持され、デューティ比が正の基準値以
上のときには上流側及び下流側の開閉弁が図1に示され
た位置に制御されることにより、対応するホイールシリ
ンダへアキュームレータ圧が供給されることによって該
ホイールシリンダ内の圧力が増圧され、デューティ比が
負の基準値以下であるときには上流側及び下流側の開閉
弁が第二の位置に切換え設定されることにより、対応す
るホイールシリンダ内のブレーキオイルが低圧導管52
へ排出され、これにより該ホイールシリンダ内の圧力が
減圧される。
【0038】次に図3に示されたフローチャートを参照
して路面の摩擦係数の推定値μg の演算ルーチンについ
て説明する。尚図3に示されたフローチャートによる制
御は所定時間毎の割り込みにより実行される。
【0039】まずステップ210に於いては横加速度セ
ンサ78により検出された車輌の横加速度Gy を示す信
号等の読込みが行われ、ステップ220に於いては路面
の摩擦係数の推定値μg を演算するための車輌の水平加
速度Gxyが下記の数6に従って演算される。
【数6】Gxy=(Gx 2 +Gy 2 1/2
【0040】ステップ230に於いては水平加速度Gxy
が1サイクル前の路面の摩擦係数の推定値μg(n-1) を
越えているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われた
ときにはステップ240に於いて係数Kが1に設定さ
れ、否定判別が行われたときにはステップ250に於い
て係数Kが0.01に設定される。ステップ260に於
いては路面の摩擦係数の推定値μg が下記の数7に従っ
て演算される。
【数7】μg =(1−K)*μg(n-1)+K*Gxy
【0041】尚図示の実施形態に於いては、路面の摩擦
係数はGx 及びGy の二乗和平方根として演算されるよ
うになっているが、車輌の横加速度Gy の絶対値により
推定されてもよく、また車輌のヨーイングにより発生す
る前輪位置及び後輪位置に於ける横加速度成分Gyfy 、
Gyry が演算され、これらの成分及び車輌の横加速度G
y の和として前輪位置及び後輪位置に於ける横加速度成
分Gyf、Gyrが演算され、Gyf及びGyrの大きい方の値
が横加速度Gysとして演算され、Gx 及びGysの二乗和
平方根として演算されてもよい。
【0042】次に図4及び図5に示されたフローチャー
トを参照してフラグF設定ルーチン、即ち車輌のグリッ
プ状態判定ルーチンについて説明する。尚図4及び図5
に示されたフローチャートによる制御も所定時間毎の割
り込みにより実行される。
【0043】このルーチンのステップ310に於いては
操舵角θf を示す信号等の読込みが行われ、ステップ3
20及び330に於いては車輌の前後速度Vx (=V)
に基づきそれぞれ図10及び図11に示されたグラフに
対応するマップより低速処理用係数Ka 及びKb が演算
される。
【0044】ステップ340に於いてはNをステアリン
グギヤ比としLをホイールベースとして下記の数8に従
って前輪のスリップ角と後輪のスリップ角との偏差に対
応する第一のパラメータ、即ちヨーレートγに基づく操
舵角偏差ΔSγが演算される。
【数8】ΔSγ={θf −δr *N−(N*L/Vx )
*γ}*Ka
【0045】ステップ350に於いては下記の数9に従
って前輪のスリップ角と後輪のスリップ角との偏差に対
応する第二のパラメータ、即ち横加速度Gy に基づく操
舵角偏差ΔSgyが演算される。
【数9】ΔSgy={θf −δr *N−(N*L/Vx
2 )*Gy }*Kb
【0046】ステップ360に於いては図3に示された
フローチャートに従って演算された路面の摩擦係数μg
に基づき図12に示されたグラフに対応するマップより
不感帯設定値μgmが演算され、ステップ370に於いて
はKc を正の定数として下記の数10に従って第一のパ
ラメータに基づくグリップ状態指標値Gγが演算され
る。ステップ380に於いてはグリップ状態指標値Gγ
が負であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われた
ときにはそのままステップ400へ進み、肯定判別が行
われたときにはステップ390に於いてグリップ状態指
標値Gγが0にセットされる。
【数10】Gγ=(|ΔSγ|−μgm)*Kc
【0047】ステップ400に於いてはKd を正の定数
として下記の数11に従って第二のパラメータに基づく
グリップ状態指標値Ggyが演算され、ステップ400に
於いては指標値Ggyが負であるか否かの判別が行われ、
否定判別が行われたときにはそのままステップ430へ
進み、肯定判別が行われたときにはステップ420に於
いて指標値Ggyが0にセットされる。尚不感帯設定値μ
gmは路面の摩擦係数μg が高いほど大きい値になるの
で、グリップ状態指標値Gγ及びGgyは路面の摩擦係数
が高いほど小さい値になる。
【数11】Ggy=(|ΔSgy|−μgm)*Kd
【0048】ステップ430に於いてはグリップ状態指
標値Gγが基準値Gγ1 (正の定数)を越えているか否
かの判別、即ち第一のパラメータに基づく判定が非グリ
ップ状態であり挙動制御を実行すべきであるか否かの判
別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ44
0に於いてフラグF1 が1にセットされ、否定判別が行
われたときにはステップ450に於いてフラグF1 が0
にリセットされる。
【0049】ステップ460に於いてはグリップ状態指
標値Ggyが基準値Ggy1 (正の定数)を越えているか否
かの判別、即ち第二のパラメータに基づく判定が非グリ
ップ状態であり挙動制御を実行すべきであるか否かの判
別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ47
0に於いてフラグF2 が1にセットされ、否定判別が行
われたときにはステップ480に於いてフラグF2 が0
にリセットされる。
【0050】ステップ490に於いてはフラグF1 が1
であり且つフラグF2 が1であるか否かの判別、即ち第
一のパラメータに基づく判定及び第二のパラメータに基
づく両方の判定が非グリップ状態であるか否かの判別が
行われ、否定判別が行われたときにはステップ530へ
進み、肯定判別が行われたときにはステップ500に於
いてカウンタのカウント値C1 が1インクリメントされ
る。
【0051】ステップ510に於いてはカウント値C1
が基準値t1 (正の定数)を越えているか否かの判別、
即ち第一のパラメータに基づく判定及び第二のパラメー
タに基づく判定の両者により非グリップ状態である旨の
判定が行われる状態が所定時間以上継続したか否かの判
別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままこの
ルーチンを終了し、肯定判別が行われたときにはステッ
プ520に於いてフラグFが1にセットされる。
【0052】ステップ530に於いてはカウント値C1
が0にリセットされ、ステップ540に於いてはフラグ
Fが1であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われ
たときにはそのままステップ570へ進み、肯定判別が
行われたときにはステップ550へ進む。
【0053】ステップ550に於いてはフラグF1 が0
であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたとき
にはステップ560に於いてカウンタのカウント値C2
が1インクリメントされ、否定判別が行われたときには
ステップ570に於いてカウント値C2 が0にリセット
される。
【0054】ステップ580に於いてはカウント値C2
が基準値t2 (正の定数)を越えているか否かの判別、
即ち第一及び第二のパラメータに基づく判定により非グ
リップ状態である旨の判別が行われた後第一のパラメー
タに基づく判定によりグリップ状態である旨の判定が行
われる状態が所定時間以上継続したか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはそのままこのルーチン
を終了し、肯定判別が行われたときにはステップ590
に於いてフラグFが0にリセットされる。
【0055】次に図7に示されたフローチャートを参照
して操舵制御装置90による後輪操舵装置88の異常判
別ルーチンについて説明する。尚図7に示されたフロー
チャートによる判別も所定時間毎の割り込みにより実行
される。
【0056】このルーチンのステップ710に於いては
操舵角θf を示す信号等の読込みが行われ、ステップ7
20に於いては後輪の目標舵角δrtと実舵角δr との偏
差の絶対値が基準値δo (正の定数)を越えているか否
かの判別、即ち後輪操舵装置88が異常であるか否かの
判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのままこ
のルーチンを終了し、肯定判別が行われたときにはステ
ップ730に於いてカウンタのカウント値C3 が1イン
クリメントされる。
【0057】ステップ740に於いてはカウント値C3
が基準値(正の一定の整数)を越えているか否かの判
別、即ち後輪操舵装置88が異常である旨の判別回数が
所定値以上であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行
われたときにはステップ750に於いてフラグFf が1
にセットされ、否定判別が行われたときにはステップ7
60に於いてフラグFf が0にリセットされる。
【0058】かくして図示の実施形態に於いては、ステ
ップ20に於いて車体の横すべり加速度Vydが演算さ
れ、ステップ30に於いて車体のスリップ角βが演算さ
れ、ステップ40に於いてこれらの線形和としてスピン
量SVが演算され、ステップ50に於いてスピン量SV
が絶対値化された値としてスピン状態量SSが演算され
る。
【0059】そしてステップ60に於いて車輌が非グリ
ップ状態であり挙動制御を実行すべきであるか否かの判
別が行われ、非グリップ状態であるときにはステップ7
0に於いてスピン状態量SSに基づき図8に示されたグ
ラフに対応するマップよりスピン制御量Rsspin が演算
され、否定判別が行われたときにはステップ80に於い
てスピン制御量Rsspin が0にセットされる。更にステ
ップ90に於いてスピン制御量Rsspin に基づき車輌の
旋回挙動が安定であるか否かの判別が行われる。
【0060】車輌の旋回挙動が安定な状態にあるときに
は、ステップ90に於いて肯定判別が行われることによ
りステップ100に於いて各弁が図1に示された通常位
置に制御された後ステップ10へ戻り、従ってこの場合
にはステップ110〜160による挙動制御は実行され
ず、これにより各車輪の制動力は運転者によるブレーキ
ペダル12の踏込み量に応じて制御される。
【0061】また車輌の旋回挙動がスピン状態にあると
きには、ステップ90に於いて否定判別が行われ、ステ
ップ110及び120に於いて各輪の最終目標スリップ
率Rsiが演算され、ステップ130に於いて各輪の目標
車輪速度Vwti が演算され、ステップ140〜160に
於いて各輪の車輪速が目標車輪速度Vwti になるようそ
の制動力が制御される。
【0062】また図示の実施形態によれば、ステップ3
20及び340に於いて操舵角θf及びヨーレートγに
基づき前輪のスリップ角と後輪のスリップ角との偏差に
対応する第一のパラメータとして操舵角偏差ΔSγが演
算され、ステップ360〜390に於いて操舵角偏差Δ
Sγ及び路面の摩擦係数μg に基づくグリップ状態指標
値Gγが演算され、ステップ430〜450に於いてグ
リップ状態指標値Gγに基づき非グリップ状態であるか
否かの判別が行われ、非グリップ状態であるときにはフ
ラグF1 が1にセットされる。
【0063】同様にステップ330及び350に於いて
操舵角θf 及び横加速度Gy に基づき前輪のスリップ角
と後輪のスリップ角との偏差に対応する第二のパラメー
タとして操舵角偏差ΔSgyが演算され、ステップ360
及びステップ400〜420に於いて操舵角偏差ΔSgy
及び路面の摩擦係数μg に基づくグリップ状態指標値G
gyが演算され、ステップ460〜480に於いてグリッ
プ指標値Ggyに基づき非グリップ状態であるか否かの判
別が行われ、非グリップ状態であるときにはフラグF2
が1にセットされる。
【0064】そしてステップ490に於いてグリップ状
態指標値Gγに基づく判定及びグリップ状態指標値Ggy
に基づく判定の何れも非グリップ状態であるか否かの判
別が行われ、これら二つの非グリップ状態の判別が所定
時間以上継続するとステップ510に於いて肯定判別が
行われ、フラグFが1にセットされる。換言すれば操舵
角及びヨーレートに基づく操舵角偏差ΔSγ、操舵角及
び横加速度に基づく操舵角偏差ΔSgyの両方が路面の摩
擦係数に見合った偏差よりも大きい状態が所定時間以上
継続した場合に非グリップ状態であり挙動制御を実行す
べきであると判定される。
【0065】従ってこの場合にはステップ60に於いて
肯定判別が行われ、ステップ70に於いてスピン状態量
SSに基づき図8に示されたグラフに対応するマップよ
りスピン制御量Rsspin が演算され、スピン制御量Rss
pin が0でなければステップ90に於いて肯定判別が行
われ、これによりステップ110〜160のスピン抑制
制御が行われる。
【0066】また一旦フラグFが1にセットされた後フ
ラグF1 又はF2 が0になると、即ちグリップ状態指標
値Gγに基づく判定又はグリップ状態指標値Ggyに基づ
く判定の何れかがグリップ状態になると、ステップ49
0に於いて否定判別が行われると共にステップ540に
於いて肯定判別が行われ、ステップ550に於いてフラ
グF1 が0であるか否かの判別が行われ、フラグF1 が
0である状態が所定時間以上継続するとステップ590
に於いてフラグFが0にリセットされる。
【0067】従って第一及び第二のパラメータに基づく
両方の判定により一旦非グリップ状態である旨の判別が
行われると、操舵角及びヨーレートに基づく操舵角偏差
ΔSγが路面の摩擦係数に見合った偏差よりも小さい状
態が所定時間以上継続した場合にグリップ状態と判定さ
れる。またこの場合にはステップ60に於いて否定判別
が行われ、ステップ80に於いてスピン制御量Rsspin
が0にセットされることにより、ステップ90に於いて
肯定判別が行われ、これによりステップ110〜160
のスピン抑制制御が禁止される。
【0068】特に図示の実施形態によれば、操舵制御装
置90により図7に示されたルーチンに従って後輪操舵
装置88が異常であるか否かの判別が行われ、後輪操舵
装置が異常であるときにはフラグFf が1にセットされ
る。そして挙動制御ルーチンのステップ55に於いてフ
ラグFf が1であるか否かの判別、即ち後輪操舵装置8
8が異常であるか否かの判別が行われ、後輪操舵装置が
異常であるときにはステップ80に於いてスピン制御量
Rsspin が0にセットされ、ステップ90に於いて肯定
判別が行われ、ステップ100に於いて各弁が通常位置
に制御されるので、ステップ110〜160のスピン抑
制制御が禁止され、これにより後輪操舵装置が異常であ
り挙動制御を実行すべきか否かを適正に判定することが
できない状況に於いてスピン抑制制御が実行されること
に起因して車輌の挙度が却って悪化されることが確実に
防止される。
【0069】例えば図13は後輪操舵装置に異常が生じ
た後にグリップ状態指標値Gγが基準値Gγ1 を越えた
場合に於けるスピン制御量Rsspin の変化を従来の場合
及び実施形態の場合について示すタイムチャートであ
る。
【0070】図13に於いて、時点t1 に於いて後輪操
舵装置88に異常が生じ、時点t2に於いてグリップ状
態指標値Gγが基準値Gγ1 を越えたとすると、時点t
1 に於いてフラグFf が1になり、時点t2 に於いてフ
ラグF1 が1になる。ステップ55に対応する判別が行
われない従来の挙動制御装置に於いては、時点t2 以降
に於いてスピン制御量Rsspin がスピン状態量SSに応
じて演算され、ステップ90に於いて否定判別が行わ
れ、これにより後輪操舵装置が異常である状態にてステ
ップ110〜160が実行されることによりスピン抑制
制御が実行され、そのため車輌の挙動が却って悪化され
易い。
【0071】これに対し図示の実施形態によれば、時点
t1 に於いてフラグFf が1にセットされ、時点t2 に
於いてフラグF1 も1にセットされるが、時点t1 以降
に於いてはステップ55に於いて肯定判別が行われるこ
とにより、時点t1 以降に於けるスピン制御量Rsspin
は0になり、これにより時点t2 以降に於いてもステッ
プ110〜160のスピン抑制制御が実行されることが
確実に防止される。
【0072】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0073】例えば上述の実施形態に於いては、車輌の
横加速度及びヨーレートに基づきスピン状態量SSが演
算され、スピン状態量が基準値以上である状況に於いて
操舵角偏差ΔSγ及び操舵角偏差ΔSgyの両方に基づき
非グリップ状態である旨の判別が行われた場合にスピン
抑制制御が実行されるようになっているが、前輪の舵角
及び補助操舵手段により補助操舵される輪の舵角に基
づき車輌の挙動制御を実行すべきか否かが判定される限
り、本発明に於ける挙動制御は任意の態様にて行われて
よく、例えば車輌の挙動がドリフトアウト状態である場
合に車輌に旋回補助ヨーモーメントを与えると共に車輌
を減速するドリフトアウト抑制制御であってもよく、ま
たスピン抑制制御及びドリフトアウト抑制制御の両方で
あってもよい。
【0074】また上述の実施形態に於いては、後輪操舵
装置が異常であるか否かの判別はステップ60の前に実
行されるようになっているが、ステップ60の次に実行
されてもよく、また後輪操舵装置が異常である時には挙
動制御のための演算が無為に行われることがないよう、
ステップ10の次に実行されてもよい。
【0075】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明によれば、輪を補助操舵する補助操舵手段に異常が
生じ輪の補助操舵が正常に行われなくなり、車輌の横
滑り状態を示すグリップ状態指標値を適正に演算するこ
とができないことに起因して車輌の挙動制御を実行すべ
きか否かを適正に判定することができなくなったときに
、推定された車輌挙に基づく挙動制御手段によ
動制御が実行されることが禁止されるので、挙動制御の
実行により車輌の挙動が却って悪化することを確実に防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による挙動制御装置の一つの実施形態の
油圧回路及び電気式制御装置を示す概略構成図である。
【図2】実施形態に於ける挙動制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図3】実施形態に於ける路面の摩擦係数の推定値μg
の演算ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】実施形態に於ける車輌のグリップ状態判定ルー
チンの前半を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に於ける車輌のグリップ状態判定ルー
チンの後半を示すフローチャートである。
【図6】後輪操舵装置を示す概略構成図である。
【図7】実施形態に於ける後輪操舵装置の異常範囲ルー
チンを示すフローチャートである。
【図8】スピン状態量SSとスピン制御量Rsspin との
間の関係を示すグラフである。
【図9】各輪の目標スリップ量SPi とデューティ比D
riとの間の関係を示すグラフである。
【図10】前後速度Vx と低速処理用係数Ka との間の
関係を示すグラフである。
【図11】前後速度Vx と低速処理用係数Kb との間の
関係を示すグラフである。
【図12】路面の摩擦係数μg と不感帯設定値μgmとの
間の関係を示すグラフである。
【図13】後輪操舵装置に異常が生じた場合に於けるス
ピン制御量Rsspin の変化を従来の場合及び実施形態の
場合について示すタイムチャートである。
【符号の説明】
10…制動装置 14…マスタシリンダ 16…ハイドロブースタ 20、22、32、34…ブレーキ油圧制御装置 28、50FL、50FR…制御弁 44…切換弁 48FL、48FR、64RL、64RR…ホイールシリンダ 70…電気式制御装置 76…車速センサ 78…横加速度センサ 80…ヨーレートセンサ 82…操舵角センサ 84…前後加速度センサ 86FL〜86RR…車輪速センサ 88…後輪操舵装置 90…操舵制御装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】輪を補助操舵する補助操舵手段と、操舵
    輪である前輪の舵角及び後輪の舵角に基づき前輪のスリ
    ップ角と後輪のスリップ角との偏差に対応する値を演算
    し、前記スリップ角の偏差に対応する値に基づき車輌の
    横滑り状態を示すグリップ状態指標値を演算する手段
    と、前記グリップ状態指標値に基づき車輌の挙動制御を
    実行すべきであるか否かを判定する手段と、車輌の挙動
    を推定する手段と車輌の挙動制御を実行すべきである
    と判定されたときには推定された車輌の挙動に基づき各
    輪の制動力を制御することにより車輌の挙動を安定化さ
    せる挙動制御手段とを有する車輌の挙動制御装置に於
    て、前記補助操舵手段に異常が生じたときには推定され
    た車輌の挙動に基づく前記挙動制御手段による挙動制御
    を禁止する手段を有していることを特徴とする車輌の挙
    動制御装置。
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