JPH08281077A - 有機酸の製造方法 - Google Patents

有機酸の製造方法

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JPH08281077A
JPH08281077A JP9254695A JP9254695A JPH08281077A JP H08281077 A JPH08281077 A JP H08281077A JP 9254695 A JP9254695 A JP 9254695A JP 9254695 A JP9254695 A JP 9254695A JP H08281077 A JPH08281077 A JP H08281077A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】バイポーラ膜を使用した電気透析で、有機酸の
弱塩基塩から有機酸を低電圧で且つ高電流効率で製造す
る。 【構成】電極間にバイポーラ膜と陰イオン交換膜とを交
互に配列して形成された酸室と塩基室とを有する電気透
析装置の該塩基室に、有機酸の弱塩基塩を含有する水溶
液を供給して、酸室には強酸、例えば塩酸または水中で
解離する塩、例えば塩化ナトリウムを含有する水溶液を
供給して電気透析を行い、酸室において有機酸を生成せ
しめ、有機酸を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バイポーラ膜を用いた
電気透析によって有機酸の塩から有機酸を製造する新規
な方法に関する。詳しくは、有機酸の塩として弱塩基塩
を使用し、且つ特定のイオン交換膜の組合せにより電気
透析することにより、高い電流効率で有機酸を製造する
ことを可能とした有機酸の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】従来、有機酸の塩から有機酸を得る方法
は、プロトン型の陽イオン交換樹脂に有機酸の塩の水溶
液を接触させる方法、有機酸の塩を一度エステルに変換
させてからエステルを分離後、加水分解により有機酸を
得る方法が知られている。
【0003】また、特公昭33−2023号には、バイ
ポーラ膜と陰イオン交換膜又は陽イオン交換膜を使用す
る二室式電気透析法により、弱酸あるいは弱塩基よりな
る塩類溶液から酸及びアルカリ溶液を回収する方法が提
案されている。上記文献において、有機酸の製造方法と
して具体的に示されている方法は、有機酸のナトリウム
塩のような、有機酸の強塩基塩の水溶液を使用するもの
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プロト
ン型の陽イオン交換樹脂を使用する方法、有機酸の塩を
エステルに変換する方法は、イオン交換樹脂の再生設
備、後の加水分解設備などの複雑な工程を必要とするば
かりでなく、高価な設備をも必要とする。
【0005】また、上記二室式電気透析法において、バ
イポーラ膜と陰イオン交換膜より構成される電気透析装
置を使用し、有機酸塩として示されている有機酸の強塩
基塩の水溶液を原料として電気透析を行った場合、有機
酸と同時に解離度の高い強塩基が生成し、解離したイオ
ンにより電流効率が著しく低下し、効率良く有機酸を得
ることが困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の有
機酸の製造方法の問題を解決し、有機酸の塩より効率よ
く、しかも簡易に有機酸を製造する方法を開発すべく鋭
意研究を重ねた。その結果、原料となる有機酸の塩とし
て、有機酸の弱塩基塩を選択し、該有機酸の弱塩基塩の
溶液を電極間にバイポーラ膜と陰イオン交換膜を交互に
配列して形成された酸室と塩基室のうちの塩基室に供給
して電気透析を行うことにより、酸室で生成する有機酸
と同時に塩基室で生成する塩基の解離度が小さく、該塩
基による電流効率の低下が効果的に抑制されることを見
い出した。
【0007】ところが、上記方法においては、塩基室よ
りリークするイオンが極めて少ないことにより、回収さ
れた有機酸が存在する酸室の電気抵抗が増大し、工業的
に実施することが困難であることが本発明者等によって
確認された。
【0008】そして、かかる問題に対して更に検討を重
ねた結果、酸室に強酸または水中で解離する塩を含有す
る溶液を供給して電気透析を行うことにより、低電圧で
且つ高い電流効率で有機酸を製造し得る方法を確立し、
本発明を提案するに至った。
【0009】即ち、本発明は、電極間にバイポーラ膜と
陰イオン交換膜とを交互に配列して形成された酸室と塩
基室とを有する電気透析装置の該塩基室に有機酸の弱塩
基塩を含有する溶液を供給して、酸室には強酸または水
中で解離する塩を含有する溶液を供給して電気透析を行
い、酸室において有機酸を生成せしめることを特徴とす
る有機酸の製造方法である。
【0010】本発明において、電気透析装置の電極は、
公知のものが何ら制限なく使用できる。即ち、陽極とし
ては、白金、チタン/白金、カーボン、ニッケル、ルテ
ニウム/チタン、イリジウム/チタンなどがよく使用さ
れている。また、陰極としては、鉄、ニッケル、白金、
チタン/白金、カーボン、ステンレス鋼などがよく使用
される。更に、電極の構造も公知の構造が特に制限なく
採用される。一般的な構造としては、メッシュ状、格子
状等が挙げられる。
【0011】また、本発明において、電気透析装置のバ
イポーラ膜も特に限定されず、従来より公知のバイポー
ラ膜、即ち、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜が貼合わ
さった構造をした公知のバイポーラ膜を使用できる。
【0012】このようなバイポーラ膜は、各種の公知の
方法で製造することができる。例えば、陽イオン交換膜
と陰イオン交換膜をポリエチレンイミン−エピクロルヒ
ドリンの混合物で張り合わせ硬化接着する方法(特公昭
32−3962号)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜
をイオン交換性接着剤で接着させる方法(特公昭34−
3961号)、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを微
粉のイオン交換樹脂、陰または陽イオン交換樹脂と熱可
塑性物質とのペースト状混合物を塗布し圧着させる方法
(特公昭35−14531号)、陽イオン交換膜の表面
にビニルピリジンとエポキシ化合物からなる糊状物質を
塗布し、これに放射線照射することによって製造する方
法(特公昭38−16633号)、陰イオン交換膜の表
面にスルホン酸型高分子電解質とアリルアミン類を付着
させた後、電離性放射線を照射架橋させる方法(特公昭
51−4113号)、イオン交換膜の表面に反対電荷を
有するイオン交換樹脂の分散系と母体重合体との混合物
を沈着させる方法(特開昭53−37190号)、ポリ
エチレンフィルムにスチレン、ジビニルベンゼンを含浸
重合したシート状物をステンレス製の枠にはさみつけ、
一方の側をスルホン化させた後、シートを取り外して残
りの部分にクロルメチル化次いでアミノ化処理する方法
(米国特許3562139号明細書)、また特定の金属
イオンを、陰陽イオン交換膜の表面に塗り両イオン交換
膜を重ね合わせてプレスする方法(エレクトロケミカ
アクタ31巻1175−1176頁(1986年))。
【0013】本発明におけるバイポーラ膜の基材は、接
合する陽イオン交換膜および陰イオン交換膜に依存する
が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のフィルム、ネッ
ト、編物、織布、不織布等が用いられる。
【0014】バイポーラ膜を構成する陽イオン交換膜の
陽イオン交換基は特に限定されず、公知の陽イオン交換
基、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基等を使用でき
る。特に、バイポーラ膜の用途上から酸性下にても交換
基が解離しているスルホン酸基が望ましい。また、バイ
ポーラ膜を構成する陰イオン交換膜の陰イオン交換基は
特に限定されず、公知の陰イオン交換基、例えば、アン
モニウム塩基、ピリジニウム塩基、1級アミノ基、2級
アミノ基、3級アミノ基等のイオン交換基が使用でき
る。なかでも、塩基性下にても交換基が解離しているア
ンモニウム塩基が望ましい。
【0015】更に、本発明において、電気透析装置の陰
イオン交換膜も特に限定されず、公知の陰イオン交換膜
を用いることができる。例えば、4級アンモニウム基、
1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、さらにこ
れらのイオン交換基が複数混在した陰イオン交換膜を使
用できる。また該陰イオン交換膜は重合型、縮合型、均
一型、不均一型の別なく、また、補強心材の有無や、炭
化水素系のもの、ふっ素系のもの、材料・製造方法に由
来する陰イオン交換膜の種類、型式などの別なく如何な
るものであってもよい。
【0016】本発明において、電気透析装置は、電極間
にバイポーラ膜と陰イオン交換膜とを交互に配列して酸
室と塩基室とを形成することによって構成される。
【0017】図1は、本発明において使用される電気透
析装置の代表的な態様の概略図を示すものである。
【0018】即ち、図1において、電気透析装置は、膜
としてバイポーラ膜(B)1、陰イオン交換膜(A)2
の2種類が交互に配列され、酸室、および塩基室の二室
が形成されている。ここで、バイポーラ膜(B)の陰イ
オン交換体側と陰イオン交換膜(A)の間の室が塩基室
12、バイポーラ膜(B)の陽イオン交換体側と陰イオ
ン交換膜(A)の間の室が酸室11となる。代表的な電
極(陽極15、陰極16)と膜との構成は、陽極−(B
−A)n−陰極(但し、nはバイポーラ膜、陰イオン交
換膜の配列の繰り返し数である。)であり、nは一般
に、1〜100が適当である。
【0019】上記電気透析装置の構造は、公知の構造が
特に制限なく採用される。最も好適な構造は、各室を形
成するための切欠部を中央に有する室枠を介してバイポ
ーラ膜と陰イオン交換膜とを交互に配列し、両端より締
め付ける、いわゆるフィルタープレス型の構造である。
各室枠には液供給口および液排出口が設けられ、各液供
給口、液排出口は必要に応じて枝管を経由して主管に接
続される。また、室枠内には、室枠の厚みを均一に維持
すると共に、供給された液の流れを均一にするための配
流作用を有するスペーサーを設けるのが一般的である。
【0020】本発明において、上記電気透析装置を使用
した電気透析方法は、酸室、塩基室のそれぞれの室に供
給する液の外部タンクを設けて、それぞれの室と外部タ
ンクとの間で液を循環させながら電気透析を行う方法が
好適に採用される。
【0021】本発明の対象となる有機酸としては、ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、トリメ
チル酢酸、フルオロ酢酸、クロル酢酸、グリコール酸、
乳酸、メトキシ酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リ
ンゴ酸、グリオキシル酸、マロン酸、フマール酸、アク
リル酸、メタクリル酸、安息香酸;ポアクリル酸等の高
分子酸等を挙げることができる。
【0022】そのうち、本発明は、ギ酸、酢酸、乳酸、
コハク酸、クエン酸、リンゴ酸の製造に特に好ましく適
用することができる。
【0023】本発明において、有機酸の弱塩基塩は、上
記の有機酸と弱塩基性化合物である、アンモニア、1
級、2級、3級のアミン、具体的にはアンモニア、メチ
ルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチル
アミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピル
アミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、1,6−ヘ
キサンジアミン、ジエチレントリアミン、ベンジルアミ
ン、ピリジン、ピコリン、ピペリジン、アニリン、ヒド
ラジン等との中和生成塩である。
【0024】具体的には、乳酸アンモニウム、クエン酸
アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウ
ム、酢酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、アクリ
ル酸アンモニウム、酢酸メチルアンモニウム、酪酸エチ
ルアンモニウムなどが挙げられる。そのうち、塩の場合
と遊離酸となった場合において、それぞれ水に対して1
0重量%以上溶解するものが好適に使用される。
【0025】また、上記溶液は、基本的には水溶液が好
ましいが、上記有機酸の弱塩基塩が溶解したとき、電流
を流せる液体であれば、有機溶媒を含有する溶液であっ
てもよい。具体的には、メタノール、エタノール、ジメ
チルホルムアミド等の極性溶媒を含有する溶液が挙げら
れる。
【0026】上記有機酸の弱塩基塩の溶液を塩基室に供
給して電気透析を行うと、酸室より有機酸が生成する。
【0027】通常、有機酸は酸性下での解離度が非常に
低いため、酸室で生成する有機酸は電気電導度が低く、
高電流密度で電気透析することが困難となる。
【0028】本発明においては、かかる酸室に電離度の
高い、強酸または水中で解離する塩のような希薄な電解
質を存在させておくことにより、低電圧で高電流を流す
ことができ、これにより有機酸の工業的な製造を可能と
なった。
【0029】強酸または水中で解離する塩として、好適
に使用できるものを具体的に例示すれば、塩酸、硫酸、
硝酸、燐酸などの強酸、塩化アンモニウム、塩化リチウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化アンモニウ
ム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、弗
化アンモニウム、弗化リチウム、弗化ナトリウム、弗化
カリウム、硝酸アンモニウム、硝酸リチウム、硝酸ナト
リウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸リチウ
ム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、燐酸アンモニウ
ム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、ギ酸アンモニウ
ム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸アンモニウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酪酸アンモニウ
ム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、乳酸アンモニウ
ム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、琥珀酸アンモニウ
ム、琥珀酸ナトリウム、琥珀酸カリウム、クエン酸アン
モニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒
石酸アンモニウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウ
ム、リンゴ酸アンモニウム、リンゴ酸ナトリウム、リン
ゴ酸カリウム、マロン酸アンモニウム、マロン酸ナトリ
ウム、マロン酸カリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等の塩を例示するこ
とができる。
【0030】上記した化合物の中で特に鉱酸を使用する
ことが、生成した有機酸との分離には好都合である。特
に、塩酸は、曝気、蒸留等の手段により除去が容易であ
り、好適に使用される。
【0031】また、本発明において、これら強酸や塩の
濃度は、電気電導度が1mS/cm以上、好ましくは5
mS/cm以上となるように調整することが望ましい。
しかし、かかる強酸や塩の高濃度の使用は精製に要する
労力の増大を招く虞があり、100mS/cm以下の濃
度に調整することが好ましい。
【0032】本発明において、電気透析装置の酸室に
は、強酸または水中で解離する塩の溶液を予め給液し、
塩基室には有機酸の弱塩基塩の溶液を供給して電気透析
が行われる。電気透析を続けると酸室には有機酸が生成
し、塩基室では有機酸の弱塩基塩が減少し弱塩基が生成
して来る。酸室で生成する有機酸の濃度がある程度上昇
すると、該溶液を回収し、必要に応じて有機酸と鉱酸又
は塩との分離を行えばよい。かかる分離は、有機酸と鉱
酸の場合、沸点の差を利用する蒸留法や、弱塩基性のイ
オン交換樹脂と接触させて鉱酸のみを除去する方法が好
適である。
【0033】また、弱塩基がアンモニアのときは、アン
モニア濃度が高くなるとバイポーラ膜内に浸透してゆき
膜内でガス化してバイポーラ膜にブリスターが発生す
る。そのため塩基室での生成アンモニア濃度は1モル/
l以下、好ましくは、0.5モル/l以下に調節して透
析を行うことが好ましい。また、このアンモニアは揮発
性であるので塩基タンクに空気などを吹き込むことによ
ってアンモニアをストリッピング除去・精製回収するの
が好ましい。
【0034】有機酸のアンモニウム塩が有機酸発酵で得
られたもののときは、本発明の方法で回収されたアンモ
ニアを再び有機酸発酵のpH制御や栄養剤として使用す
ることが出来るため、本発明の方法が好適に採用され
る。
【0035】本発明において、電気透析時の各種液の温
度は、通常、5〜70℃、好ましくは20〜50℃の範
囲であることが好適である。また、電流密度は、特に制
限を受けないが、一般には1〜30A/dm2、好まし
くは、2〜20A/dm2であることが好適である。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、電気透析法を使用し
て、有機酸の弱塩基塩より有機酸を、低電圧、高電流密
度で且つ高い電流効率で製造することが可能であり、工
業的な有機酸の製造を可能とするものである。
【0037】更に、有機酸の弱塩基塩は、製造方法によ
ってその中にカルシウムやマグネシウムなどの多価金属
イオンが含まれることがあるが、理由は未だ明らかでは
ないが、該多価金属イオンが含まれていても、これらの
多価金属イオンは塩基室のpHが高くなるにもかかわら
ず多価金属の水酸化物の沈澱を発生しない。従来、電気
透析技術において、被処理水中に多価金属イオンが含ま
れている場合、キレート樹脂などによって除去していた
が、本発明の方法によれば多価金属イオンの除去という
操作が不要となったことは経済上大きな効果がある。
【0038】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために下記に
実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない. 実施例1 種菌として、L−乳酸生産菌であるラクトコッカス・ラ
クティスを用いた。グルコース20g/l、ポリペプト
ン50g/l,酵母エキス5g/l、からなる液体培地
(pH6.8)10mlを中型試験管に分注し、121
℃、15分間高圧蒸気滅菌を行った。これに種菌を1白
金耳接種し、37℃で24時間静置培養を行った。この
培養液10mlを100mlの同様に滅菌したグルコー
ス20g/l、ポリペプトン10g/l、酵母エキス5
g/l、リン酸アンモニウム10g/lからなる液体培
地(pH6.8)に接種し、37℃で15時間静置培養
することで種母を調整した。
【0039】本培養の培地としては、グルコース100
g/l、酵母エキス20g/l、ポリペプトン8g/
l、リン酸二水素カリウム0.3g/l、硫酸マグネシ
ウム0.05g/l、塩化カルシウム0.01g/lを
用いた。20リットル容ガラス製発酵槽に上記の培地1
0リットルを分注し、滅菌後、室温まで冷却したところ
で前記種母1リットルを接種し、pHを10%アンモニ
ア水溶液で6.8に調製しながら37℃で静かに攪はん
し培養を36時間行った。
【0040】この発酵液を遠心分離して清澄な溶液を得
た、この液の懸濁質濃度1ppmであった。この液の成
分を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】電気透析装置は、図1に示すように、1対
の陰陽極間に、陰イオン交換膜(株式会社トクヤマ製、
商品名:ネオセプタAMH)とバイポーラ膜(同 ネオ
セプタBP−1)とが順番にそれぞれ5枚、5枚、(陰
イオン交換膜、バイポーラ膜の有効膜面積はいずれも1
dm2/枚、総膜面積はそれぞれ5、5dm2)配置さ
れ、塩基室、酸室が形成されたフィルタープレス型電気
透析装置を用いた。塩基室と陰極室には上記5リットル
の乳酸アンモニウム溶液を、酸室には0.1N−HCl
水溶液(電気電導度は39mS/cmであった。)2リ
ットルをそれぞれ対応するタンクを設け6cm/sec
の線速度で供給、循環した。
【0043】陽極室には5%硫酸水溶液5リットルを循
環し、25℃、電流密度10A/dm2で3時間電気透
析を行った。このときの平均電圧は3.3ボルト/ユニ
ットセルであった。
【0044】その結果、酸室からは塩酸と乳酸の混合水
溶液2.2リットル(乳酸353gを含む)が、また塩
基室からは、4.8リットル(乳酸アンモニウム116
g、アンモニア67gを含む)の溶液が得られた。
【0045】また、電流効率は70%であった。
【0046】上記電気透析において、塩基室より排出さ
れる乳酸アンモニウムとアンモニアを含有する液を、前
記乳酸培養のpH調節と栄養源として与えたが、何ら障
害なく乳酸アンモニウムが生成できた。
【0047】また、上記電気透析の操作を10回繰り返
したが電圧の上昇は認められなかった。又塩基室では、
カルシウム、マグネシウムの水酸化物による白色浮遊物
は見られず、さらにバイポーラ膜、陰イオン交換膜に変
化はみられなかった。
【0048】比較例1 実施例1の電気透析で、酸室に0.1モル/lの塩酸水
溶液の代わりに1モル/lの乳酸水溶液を用いた以外は
同一の操作を行い電気透析装置に電流を流そうとした
が、電圧が高くなりすぎて、電流密度3A/dm2の電
流が流せなかった。
【0049】実施例2 クエン酸アンモニウム81g/l、マグネシウム12p
pm、カルシウムイオン6ppmを含む水溶液を調製し
た。電気透析装置は、実施例1のものを使用した。
【0050】塩基室と陰極室には上記の5リットルのク
エン酸アンモニウム溶液を、酸室には0.1モル/lの
硫酸水溶液(電気電導度は25mS/cmであった。)
2リットルをそれぞれ対応するタンクを設け6cm/s
ecの線速度で供給、循環した。陽極室には5%硫酸水
溶液5リットルを循環した。25℃、電流密度5A/d
2で6時間電気透析を行った。このときの平均電圧は
3.7ボルト/ユニットセルであった。
【0051】その結果、酸室からは硫酸とクエン酸の混
合水溶液2.2リットル(クエン酸233gを含む)
が、また塩基室からは、4.8リットル(クエン酸アン
モニア233g、アンモニア62gを含む)の溶液が得
られた。
【0052】また、電流効率は65%であった。
【0053】更に、上記電気透析の操作を5回繰り返し
たが電圧の上昇は認めらず、又塩基室では、カルシウ
ム、マグネシウムの水酸化物による白色浮遊物は見られ
ず、さらにバイポーラ膜、陰イオン交換膜に変化はみら
れなかった。
【0054】比較例2 実施例2の電気透析で、酸室に0.1モル/lの塩酸水
溶液の代わりに1モル/lのクエン酸水溶液を用いた以
外は同一の操作を行い電気透析装置に電流を流そうとし
たが、電圧が高くなりすぎて、電流密度3A/dm2
電流が流せなかった。
【0055】実施例3、4 比較例3 実施例1の電気透析装置に酸溶液として0.1Nの塩酸
2Lを、塩基溶液には0.4、0.8、1.6Nのリン
ゴ酸アンモニウム溶液をそれぞれ16、8、4L供給し
て5A/dm2の電流密度で9時間電気透析した。結果
は表2のようであった。
【0056】
【表2】
【0057】電気透析装置を解体したところ実施例3、
4ではバイポーラ膜に異常は認められなかったが、比較
例3ではブリスターが認められた。
【0058】実施例5 実施例2において、塩基室にクエン酸アンモニウムの代
わりに酢酸ブチルアンモニウム133gが溶解した水溶
液5リットルを使用した以外は同一の操作を行った。こ
の時の電圧は2.7ボルト/ユニットセルであった。
【0059】その結果、塩基室からはブチルアミンと酢
酸ブチルアンモニウム混合水溶液4.8リットル(ブチ
ルアミン4.5モルを含む)が、また酸室からは、2.
2リットル(酢酸4.5モルを含む)の溶液が得られ
た。
【0060】また、電流効率は80%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する電気透析装置の代表的な態様
を示すが概略図である。
【符号の説明】
1 バイポーラ膜(B) 2 陰イオン交換膜(A) 11 酸室 12 塩基室 13 陽極室 14 陰極室 15 陽極 16 陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 63/00 7419−4H C07B 63/00 B

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極間にバイポーラ膜と陰イオン交換膜と
    を交互に配列して形成された酸室と塩基室とを有する電
    気透析装置の該塩基室に有機酸の弱塩基塩を含有する溶
    液を供給し、酸室には強酸または水中で解離する塩を含
    有する溶液を供給して電気透析を行い、酸室において有
    機酸を生成せしめることを特徴とする有機酸の製造方
    法。
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