JPH08277333A - 熱可塑性樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品の製造方法

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JPH08277333A
JPH08277333A JP1747596A JP1747596A JPH08277333A JP H08277333 A JPH08277333 A JP H08277333A JP 1747596 A JP1747596 A JP 1747596A JP 1747596 A JP1747596 A JP 1747596A JP H08277333 A JPH08277333 A JP H08277333A
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resin
antioxidant
masterbatch
thermoplastic resin
molding
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Application number
JP1747596A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Kawasaki
博行 河崎
Kazuo Hirowatari
和生 廣渡
Kenichi Haga
健一 芳賀
Kazumasa Morita
和正 守田
Hirotoku Hayashida
廣徳 林田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性樹脂に、抗酸化剤と離型剤とを添加
して成形品を製造する際に、これら添加剤の添加効率を
向上させる熱可塑性樹脂成形品の製造方法を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂の成形品を製造するに当た
り、成形品を製造する直前に、それぞれ個別に調製し
た、抗酸化剤のマスターバッチと離型剤のマスターバッ
チとを、原料の熱可塑性樹脂に溶融混練して成形品とす
る熱可塑性樹脂成形品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂成形
品の製造方法に関する。さらに詳しくは、抗酸化剤と離
型剤とを添加した熱可塑性樹脂から成形品を製造する際
に、抗酸化剤と離型剤との添加効率を向上させた成形品
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を原料とし、射出成形法、
押出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法などによっ
て加熱溶融させて、目的の成形品を能率良く製造する際
には、一般に、高い温度が採用される。しかし、加熱溶
融温度を高くすると、樹脂は熱分解や熱酸化などによっ
て、黄色や褐色に着色することがあるので、このような
着色を防止する目的で、抗酸化剤などの各種の安定剤が
配合される。また、原料熱可塑性樹脂を加熱溶融させて
目的の成形品を製造する際、溶融時の樹脂の流動性を良
くし、成形時に金型やロールから離型し易くし、金型や
ロールの汚れや成形品外観不良をなくするために、ある
種の化合物が離型剤として配合される。
【0003】熱可塑性樹脂に、抗酸化剤や離型剤などの
樹脂添加剤を配合する際には、樹脂添加剤の量は、一般
に、原料樹脂に対して微量であることが多い。微量の添
加剤をブレンダー、タンブラーなどで樹脂に混合しよう
とすると、添加剤がブレンダー、タンブラーなどの内壁
面に付着し、秤量した量がそのまま樹脂に配合されず、
製品の品質にバラツキが生じるという欠点があった。こ
の様な欠点を排除するために、あらかじめ、原料の熱可
塑性樹脂、原料の熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性
樹脂、又は他の不活性な粉末状化合物を基体として、添
加剤含有量の高いマスターバッチを調製しておき、この
マスターバッチを、原料の熱可塑性樹脂に分散させ、溶
融混練する方法が採用されている。原料の熱可塑性樹脂
には、成形品の用途、採用される成形条件などに応じ
て、複数の樹脂添加剤が配合されるのが普通である。原
料樹脂に、複数種の樹脂添加剤を配合する場合は、作業
の簡素化の目的で、複数種の樹脂添加剤を同時に配合し
たマスターバッチとする手法が採用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者ら
の実験によると、抗酸化剤と離型剤とを共存させたマス
ターバッチ(以下共存マスターバッチと言うことがあ
る。)は、抗酸化剤と離型剤の形態(液体か、固体か)
などにより異なるが、液体同士の組合わせ、液体と固体
との組合わせよりなる共存マスターバッチを調製し、そ
の直後に直ちに使用する際には、予測した通りの添加剤
添加効果が達成されるが、調製してから長期間放置した
マスターバッチを使用する際には、予測したよりも低い
添加効果しか達成されないことが分かった。換言すれ
ば、原料の熱可塑性樹脂に、マスターバッチを添加した
ことによる効果は、共存マスターバッチの放置期間に対
応して大幅に低下することが分かった。これら樹脂添加
剤の添加効率が経時的に大幅に低下する原因の詳細は不
明であるが、共存マスターバッチ中に存在する抗酸化剤
と離型剤とが、それぞれ他方の存在下で、抗酸化性と離
型性を発揮しない他の物質に変化することにあること、
又は離型剤中の不純物等が影響していること等が推定さ
れる。
【0005】本発明の目的は、原料熱可塑性樹脂に、抗
酸化剤と離型剤とを添加して溶融混練して成形品を製造
する際に、これら添加剤の添加効率を向上させて成形品
を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項第1項の発明は、熱可塑性樹脂成形品を製造す
るに当り、成形品を製造する直前に、それぞれ個別に調
製した、抗酸化剤のマスターバッチと離型剤のマスター
バッチとを、原料の熱可塑性樹脂に溶融混練して成形品
を製造する方法を特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において熱可塑性樹脂とは、射出成形法、押出成
形法、圧縮成形法、カレンダー成形法などによって、目
的の成形品を製造することができる樹脂を言う。具体的
には、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポ
リフェニレンオキサイド、ポリエステル樹脂、一般用ポ
リスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、AS樹脂、ABS
樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル
樹脂、ポリアセタール、アクリル樹脂、フッ素樹脂など
が挙げられる。これら樹脂は、単独でも2種以上の混合
物であってもよい。上記熱可塑性樹脂の中では、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂に
おいて、効果が特に顕著に発揮される。
【0008】ポリカーボネート樹脂は、(1) 種々のジヒ
ドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホ
スゲン法、(2) ジヒドロキシジアリール化合物とジフェ
ニルカーボネートを反応させるエステル交換法、等によ
って製造される重合体又は共重合体が挙げられる。ジヒ
ドロキシジアリール化合物の代表的な例として、ビスフ
ェノールAが挙げられる。
【0009】ポリエステル樹脂としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサ
ジメチレンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレ
ート/エチレンイソフタレート)共重合体などが挙げら
れる。ポリエステル樹脂の中で代表的なポリエチレンテ
レフタレートとポリブチレンテレフタレートは、テレフ
タル酸と、エチレングリコール又はブチレングリコール
を原料として、縮合反応によって製造することができ
る。
【0010】ポリアミド樹脂としては、3員環以上のラ
クタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン
などの重縮合反応によって得られるポリアミドが挙げら
れる。具体的には、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイ
ロン−7、ナイロン−8、ナイロン−11、ナイロン−
12、ナイロン−6・6、ナイロン−6・9、ナイロン
−6・10、ナイロン−6・12、ナイロン−6・6T
などの脂肪族ポリアミドが挙げられる。
【0011】本発明においては抗酸化剤とは、溶融樹脂
が熱酸化などによって、黄色や褐色に着色するのを防止
する機能を発揮する化合物を言い、次の一般式(I) によ
って表される亜リン酸エステル化合物が挙げられる。
【0012】
【化2】
【0013】{式(I) において、R1 及びR2 は、アル
キル基又はアリール基を表し、R3は水素原子、アルキ
ル基又はアリール基を表す。}
【0014】式(I) によって表される亜リン酸エステル
化合物は、亜リン酸とアルコール類又はフェノール類と
のジエステル類、又はトリエステル類である。式(I) に
おけるR1 及びR2 としてのアルキル基としては、ヘプ
チル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル
基、ペンタエリスリチル基、シクロヘキシル基などが挙
げられ、アリール基としては、フェニル基、トルイル
基、ノニルフェニル基などが挙げられる。また、R 3
アルキル基、アリール基の具体例は、上と同じである。
【0015】式(I) によって表される亜リン酸エステル
化合物の具体例としては、トリブチルホスファイト、ト
リス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシル
ホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェ
ニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト、2−エチルヘキシル
ジフェニルホスファイト、デシルジフェニルホスファイ
ト、フェニルジ−2−エチルヘキシルホスファイト、フ
ェニルジドデシルホスファイト、トリシクロヘキシルホ
スファイト、ジステアリルペンタエリスリチルジホスフ
ァイト、ジフェニルペンタエリスリチルジホスファイト
などが挙げられる。中でも、少なくとも1つのアルキル
基を有する亜リン酸エステルが好適である。このような
亜リン酸エステルは、単独でも2種以上の混合物であっ
てもよい。
【0016】本発明方法によるときは、抗酸化剤のマス
ターバッチと離型剤のマスターバッチとを、それぞれ個
別に調製することを必須とする。これら抗酸化剤のマス
ターバッチは、次のような手順で製造することができ
る。抗酸化剤の所定量を、(1) 原料の熱可塑性樹脂、原
料の熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹脂、又は、
(2) 他の不活性な粉末状化合物を基体とし、これに配合
すればよい。
【0017】上記(1) の場合には、抗酸化剤と熱可塑性
樹脂の割合は、樹脂添加剤と樹脂の種類、液体か、固体
かの差、固体の場合は粉末状か、粒状(ペレットも含
む)かなどの形態の差によって異なるが、マスターバッ
チの重量比で、1/99〜40/60の範囲で選ぶこと
ができる。
【0018】抗酸化剤が固体の場合には、抗酸化剤と熱
可塑性樹脂とは、(a) 抗酸化剤を粒状の熱可塑性樹脂の
表面に付着させる方法、(b) 抗酸化剤と熱可塑性樹脂を
混練する方法、などによってマスターバッチ化すること
ができる。この際、樹脂添加剤が液体の場合は、(a) 又
は(b) の方法によってマスターバッチ化することができ
る。抗酸化剤が固体であって、上記(a) の方法による場
合には、可塑剤などの液体を補助剤として使用するのが
好ましい。
【0019】抗酸化剤が液体の場合にも、上記(a) 又は
(b) の方法によることができる。この場合は、抗酸化剤
を可塑剤などの液体を補助剤によって増量して、混合す
ることができる。混合は、ヘンシェルミキサー、スーパ
ーミキサー等の通常の混合機によって行うのがよい。
(b) の方法によるときは、剪断混練機などによって両者
を強制的に混合するのが好ましく、マスターバッチはコ
ンパウンド又はペレット状を呈する。
【0020】抗酸化剤が液体である場合には、上記(2)
の方法によってマスターバッチ化するのが好ましい。こ
の際使用できる、他の不活性な粉末状化合物としては、
炭酸カルシウム、酸化ケイ素などの粉末が挙げられる。
中でも、平均粒子径が50nm以下の酸化ケイ素の粉末が
好ましい。上記(2) の場合には、抗酸化剤と粉末状化合
物の割合は、マスターバッチの重量比で、10/90〜
80/20の範囲で選ぶことができる。
【0021】液状の抗酸化剤と不活性な粉末状化合物と
から、抗酸化剤のマスターバッチを調製するには、両者
を所定量秤量し、両者を一時に加えるて混合するか、一
方を攪拌しながら他方を加えて混合するのがよい。混合
は、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の通常の
混合機によって行うのがよい。この抗酸化剤のマスター
バッチは、長期間保存しても抗酸化剤が変質することは
ないが、調製した後可及的速やかに使用するのが好まし
い。
【0022】本発明においては離型剤とは、溶融時の樹
脂の流動性を良くし、成形時に金型やロールから離型し
易くし、金型やロールの汚れや成形品外観不良をなくす
る機能を発揮する化合物を言う。離型剤としては、脂肪
族アルコール類、高級脂肪酸類、金属石鹸、ワックス類
等が挙げられる。中でも、多価脂肪族アルコールと炭素
数10〜22の脂肪酸の部分エステル化合物が好まし
い。
【0023】多価脂肪族アルコールとしては、3〜6価
の脂肪族アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール、メソエリスリト
ール、ペンチトース、ヘキシトール、ソルビトールなど
が挙げられる。炭素数10〜22の脂肪酸としては、例
えば、ウンデシル酸、ラウリン酸、ドデシル酸、ミリス
チン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル
酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン
酸などが挙げられる。これら脂肪酸の炭素骨格には、水
酸基などの置換基があってもよい。
【0024】上記多価脂肪族アルコールと上記脂肪酸と
のエステル化合物は、実質的に部分エステル化合物が好
ましい。中でも好ましいのは、多価アルコール中の水酸
基全体の30%以上が、エステル化されず残っているも
のが用いられる。具体的には、グリセリンモノステアレ
ート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノベヘ
ネート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペン
タエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトー
ルモノベヘネートなどが挙げられる。このような部分エ
ステル化合物は、単独でも2種以上の混合物であっても
よい。
【0025】離型剤のマスターバッチは、離型剤が固体
又は液体の場合も、上記の抗酸化剤におけると同様の手
順で製造することができる。この際の離型剤と基体樹脂
との割合は、マスターバッチを上記(1) の方法で製造す
る場合は、重量比を、1/99〜40/60の範囲で選
ぶことができる。
【0026】他の不活性な粉末状化合物とでマスターバ
ッチを製造する、上記(2) の方法で製造する場合は、両
者の重量比を、10/90〜80/20の範囲で選ぶこ
とができる。この離型材のマスターバッチも、長期間保
存しても離型剤が変質することはないが、調製した後可
及的速やかに使用するのが好ましい。
【0027】本発明方法によるときは、熱可塑性樹脂か
ら成形品を製造する直前に、それぞれ個別に調製した、
抗酸化剤のマスターバッチと離型剤のマスターバッチと
を、原料の熱可塑性樹脂に混合することを必須とする。
原料(成形用)樹脂に上記2種類のマスターバッチを混
合する方法は、原料樹脂の外観形態(粉末、ペレットな
ど)、2種類のマスターバッチの外観形態、目的の成形
品の製造方法などにより、ドライブレンド法、ドライブ
レンドしたものを溶融混練する方法、などのいずれかに
よることができる。
【0028】例えば、原料(成形用)樹脂が粉末で、成
形品を製造する成形方法が溶融混練型(押出成形、射出
成形、カレンダー成形など)の場合には、ドライブレン
ド法による混合が好適であるが溶融混練法によって混合
することもできる。溶融混練法によって混合する場合
は、一軸押出機、二軸押出機、ローター式混練機、バン
バリーミキサーなどの混練機を使用するのがよい。一軸
押出機の場合はダルメージ型スクリューのものが好まし
く、二軸押出機の場合は同方向二軸型、異方向二軸型が
好ましい。
【0029】本発明方法において、成形品を製造する直
前とは、7時間以内のことを意味する。本発明者らの実
験によると、マスターバッチを原料樹脂に混合してから
の混合物の放置時間が7時間を超えると、原料(成形
用)樹脂の粒度、2種類のマスターバッチの有効成分の
種類、含有率、外観形態(粉末、ペレットなど)などに
もよるが、添加効率が大幅に低下して好ましくないこと
が分かった。直前で特に好ましいのは、マスターバッチ
を成形用樹脂に混合してからの放置時間を3時間以内と
することである。成形品を連続的に製造する場合には、
別途調製した2種類のマスターバッチを、成形品を製造
する直前に原料(成形用)樹脂に混合して、成形に供す
るものとする。
【0030】原料(成形用)樹脂に対する抗酸化剤の配
合量は、樹脂の種類、成形方法、成形条件、成形品の種
類、用途などにより異なるが、原料樹脂に対して0.0
05〜0.5重量%の範囲で選ぶのがよい。この抗酸化
剤の量が0.005重量%未満であると、樹脂の分解に
よる着色や、透明性の劣化を抑制することができず、逆
に0.5重量%より多いと抗酸化剤自体の分解が目立つ
ようになり、成形品表面にシルバーストリークが発生す
るなどで、好ましくない。抗酸化剤は、上記範囲の中で
は、0.01〜0.2重量%が好ましい。
【0031】原料樹脂に対する離型剤の配合量もまた、
樹脂の種類、成形方法、成形条件、成形品の種類、用途
などにより異なるが、原料樹脂に対して0.005〜1
重量%の範囲で選ぶのがよい。この離型剤の量が0.0
05重量%未満であると、成形品の離型性や、外観改良
効果が認められず、逆に1重量%より多いと成形時のガ
ス発生が多くなり、成形安定性が低下して好ましくな
い。離型剤は、上記範囲の中では、0.01〜0.5重
量%が好ましい。
【0032】原料樹脂には、上記2成分のほか、成形品
の用途により、各種の樹脂添加剤を1種又は2種以上組
合わせて配合することができる。樹脂添加剤としては、
可塑剤、滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、耐候性改良
剤、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、炭素
繊維、チタン酸カリウムホイスカーなどの繊維状補強
材、炭酸カルシウム、石膏、粘土鉱物類などの充填剤が
挙げられる。
【0033】なお、本発明において成形品とは、射出成
形機、押出成形機、カレンダー成形機などの熱可塑性樹
脂の成形機によって得られる成形品全般をいう。具体的
には、ペレット、フィルム、シート、パイプ、日用雑貨
類、家庭電化製品類、事務用品類、事務機器部品類、電
気機器部品類、自動車部品類、工業用部品類、日用雑貨
類、などが挙げられるが、これら例示したものに限定さ
れるものではない。
【0034】
【発明の効果】本発明は、次の通り特別に有利な効果を
奏し、その産業上の利用価値は、極めて大である。 1.本発明方法によるときは、抗酸化剤と離型剤とを個
別にマスターバッチとし、成形直前に原料樹脂の混合す
るので、成形品を製造する前に、抗酸化剤と離型剤とが
接触して抗酸化性と離型性を発揮しない他の物質に変化
することがなく、抗酸化剤、離型剤としての本来の効果
を発揮する。 2.抗酸化剤が前記(I) 式で表される亜リン酸エステル
化合物で、離型剤が炭素数10〜22の脂肪酸の部分エ
ステル化合物とを共存させたマスターバッチである場合
は、特に、抗酸化性と離型性を発揮しなくなり、添加効
率が大幅に低下する傾向が大であった。これに対して、
本発明方法に従って両添加物を個別にマスターバッチと
し、成形直前に原料樹脂に混合するときは、これら添加
物の添加効果が低下しない。
【0035】
【実施例】以下、本発明を参考例、実施例及び比較例に
基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を越えな
い限り、以下の記載例に限定されるものではない。な
お、以下に記載の例において、成形用ペレット中の亜リ
ン酸エステル化合物、脂肪酸の部分エステル化合物の分
析、成形品の色調(YI値)などは、以下に記載の方法
によって測定した。
【0036】(1) 亜リン酸エステル化合物の分析 亜リン酸エステル化合物を含む組成物を、塩化メチレン
に溶解して10%濃度の溶液とし、この溶液につき直接
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、#GC−14A
型、FPD検出器付)によって測定する方法によった。
分析値の単位は、ppmである。
【0037】(2) 脂肪酸の部分エステル化合物の分析 脂肪酸の部分エステル化合物を含む組成物を、塩化メチ
レンに溶解して10%濃度の溶液とした。この溶液に、
ピリジン、クロロフォルム及びシリル化剤を加え、攪拌
下、50℃の温度で、30分間トリメチルシリル化し
て、常温に冷却し、得られた溶液について、ガスクロマ
トグラフ質量分析計(日本電子社製、#GC−MS、D
S−300型)によって測定した。単位は、ppmであ
る。
【0038】(3) 成形品の色調(YI値)の測定 ポリカーボネート樹脂組成物から、射出成形機(日本製
鋼所社製、#J75EII、又は、名機製作所社製、#M
−60/100−ST)によって、60mm×60mm×3
mmt(厚さ)の大きさのキャビティを持つ金型を用いて、
シリンダー温度300℃、金型温度80℃、射出圧力6
00 kg/cm2 の条件で平板を成形した。得られた平板に
つき、デジタル測色色差計(スガ試験機社製、#SM−
5−CH型)によって、XYZ三刺激値を測定し、次の
計算式によってYI(YellownessIndex)値を算出した。
すなわち、YI={(1.28X−1.06Z)/Y}
×100、によった。
【0039】[参考例1] (マスターバッチの調製)ポリカーボネート(三菱化学
社製、TMノバレックス#7022PJ)20kgと、トリ
ス(ノニルフェニル)ホスファイト(旭電化工業社製、
TMアデカアーガス#329K)875gと、グリセリン
脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、リケマール#S−
100A)700gとを秤量し、両者をブレンダーによ
ってドライブレンドし、抗酸化剤と離型剤の共存マスタ
ーバッチを得た。
【0040】(マスターバッチの経時変化)得られた共
存マスターバッチを、室温に所定時間(7時間、24時
間又は30日間)放置し、前記の方法により、亜リン酸
エステル化合物(#AS329Kと略称する。添加量は
350ppm)と、脂肪酸の部分エステル化合物(#S−1
00Aと略称する。添加量は280ppm)の含有量を分析
した。これらの測定結果を、表−1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】[注] *1 添加剤の添加量に対する残存率
を意味する。以下の表においでも同じ意味を有する。 表−1より、抗酸化剤のマスターバッチ、離型剤のマス
ターバッチとを共存させた共存マスターバッチは、調製
した後7時間以内であれば、抗酸化剤と離型剤の添加量
に対する残存率は90%以上を維持するが、特に抗酸化
剤である亜リン酸エステルは、7時間を経過すると、残
存率が大幅に低下することが明らかである。
【0043】[参考例2] (マスターバッチの調製)ポリカーボネート(TMノバレ
ックス#7022PJ)20kgと、トリス(ノニルフェ
ニル)ホスファイト(参考例1と同種の#329K)8
25gとをドライブレンドし、抗酸化剤のマスターバッ
チを得た。同様にポリカーボネート(TMノバレックス#
7022PJ)20kgと、グリセリン脂肪酸エステル
(リケマール#S−100A)1.5kgとをドライブレ
ンドし、離型剤のマスターバッチを得た。
【0044】(成形用樹脂との混合)成形用のポリカー
ボネート(同上)2.5tに、上記の方法によって調製
した抗酸化剤のマスターバッチと離型剤のマスターバッ
チとを、ブレンダーによってドライブレンドした。得ら
れたブレンド物を、表−2に示す時間(3、7、24、
48時間)室温に放置した後、一軸押出機(三菱重工業
社製、#HME−115)によって、樹脂温度を285
℃、押出量を450kg/hrの速度で連続的に溶融押出
し、樹脂ペレットを得た。実験例Aは2種類のマスター
バッチを溶融混合したものであり、実験例Bは抗酸化剤
のマスターバッチのみを溶融混合したものである。
【0045】(成形品の評価)上記の方法によって製造
した樹脂ペレット中の亜リン酸エステル化合物(#AS
329Kと略称する。添加量は330ppm)と、脂肪酸の
部分エステル化合物(#S−100Aと略称する。添加
量は600ppm)の含有量を、前記の方法により、溶融押
出し直後の樹脂ペレットにつき分析した。これらの測定
結果を、表−2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表−2より、次のことが明らかである。 (1) 成形用原料樹脂に、抗酸化剤と離型剤の2種類のマ
スターバッチを、ドライブレンドした後、長時間放置し
ておくと、抗酸化剤の残存量が大幅に低下する(実験例
A参照)。
【0048】(2) 成形用原料樹脂に、抗酸化剤のマスタ
ーバッチのみを配合した実験例Bの場合は、混合したペ
レットを室温で放置しても、抗酸化剤の量が経時的に低
下することがない(実験例B参照)。
【0049】[実施例1] (マスターバッチの調製)ポリカーボネート(同上)2
0kgと、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(同
上)875gとをドライブレンドし、抗酸化剤のマスタ
ーバッチを得た。同様にポリカーボネート(同上)20
kgと、グリセリン脂肪酸エステル(同上)700gとを
ドライブレンドし、離型剤のマスターバッチを得た。上
記2種類のマスターバッチを、調整後2日間室温に放置
した。
【0050】(成形用樹脂との混合)成形用のポリカー
ボネート(同上)2.5tに、上記の方法によって調製
した抗酸化剤のマスターバッチと離型剤のマスターバッ
チとを、ブレンダーによってドライブレンドした。得ら
れたブレンド物を、ただちに一軸押出機(同上)によっ
て、樹脂温度を285℃、押出量を450kg/hrの速度
で連続的に溶融押出し、2種類の添加剤を含む樹脂ペレ
ットを製造した。この際、ペレット製造開始後1時間経
過した時と、5時間経時した時に、評価用ペレットを採
取し、添加物の残存率と、YI値の評価用に供した。
【0051】(分析、YI値の評価)上記の方法によっ
て製造した樹脂ペレットにつき、前記の方法により、亜
リン酸エステル化合物(AS329Kと略称する。添加
量は350ppm)と、脂肪酸の部分エステル化合物(S−
100Aと略称する。添加量は280ppm)の残存量を分
析し、YI値を評価した。これらの評価結果を、表−3
の1に示す。
【0052】
【表3】
【0053】また上記と同様の実験を再度行った場合の
ペレット製造開始後3時間経過した時の結果を表−3の
2に示す。
【0054】
【表4】
【0055】[比較例1] (マスターバッチの調製)実施例1記載の例において、
ポリカーボネート(同上)20kgに、トリス(ノニルフ
ェニル)ホスファイト(同上)875gとグリセリン脂
肪酸エステル(同上)700gとを秤量し、両者をブレ
ンダーによってドライブレンドし、抗酸化剤と離型剤の
が共存する共存マスターバッチを得た。
【0056】(成形用樹脂との混合)上記方法で得た共
存マスターバッチを、10時間、30時間又は30日間
室温で放置した後、実施例1におけると同様の手順でポ
リカーボネート(同上)とドライブレンドし、押出機で
ペレット化した。
【0057】(分析、YI値の評価)上記の方法によっ
て得た樹脂ペレットにつき、押出し直後に、上記の方法
により、亜リン酸エステル化合物(添加量は350ppm)
と、脂肪酸の部分エステル化合物(添加量は280ppm)
の含有量を分析した。また、得られた樹脂ペレットか
ら、上記の射出成形法により平板を成形し、この成形品
につき、色調(YI値)を測定した。これらの測定結果
を、表−4に示す。
【0058】
【表5】
【0059】表−3の1、表−3の2及び表−4より、
次のことが明らかである。 (1) 本発明方法により、それぞれ個別に調製した抗酸化
剤と離型剤のマスターバッチを成形用樹脂に混合し、7
時間以内に成形に供するときは、成形品に含まれる抗酸
化剤、離型剤の添加量に対する残存率が高く、かつ、成
形品の着色もすくない(表−3の1及び表−3の2参
照)。
【0060】(2) これに対して、本発明方法によらない
で共存マスターバッチを調製し、この調製後長時間放置
した後に成形用樹脂に混合使用したときは、成形品に含
まれる抗酸化剤の添加量に対する残存率が低く、成形品
の着色が著しくなることが分かる(表−4参照)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 守田 和正 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内 (72)発明者 林田 廣徳 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社黒崎事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂成形品を製造するに当り、
    成形品を製造する直前に、それぞれ個別に調製した、抗
    酸化剤のマスターバッチと離型剤のマスターバッチと
    を、原料の熱可塑性樹脂に溶融混練して成形品とするこ
    とを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 抗酸化剤が、次の一般式(I) によって表
    される亜リン酸エステル化合物である請求項1に記載の
    方法。 【化1】 {式(I) において、R1 及びR2 は、アルキル基又はア
    リール基を表し、R3 は水素原子、アルキル基又はアリ
    ール基を表す。}
  3. 【請求項3】 離型剤が、多価脂肪族アルコールと炭素
    数10〜22の脂肪酸の部分エステル化合物である請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹
    脂、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂から選ばれる
    少くとも一種である請求項1に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20100131418A (ko) * 2007-12-13 2010-12-15 에실러에떼르나쇼날(꽁빠니제네랄돕띠끄) 열가소성 폴리카르보네이트 및 미네랄 나노입자를 포함하는 투명 중합체 물질의 제조방법

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JP2011506667A (ja) * 2007-12-13 2011-03-03 エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク) 熱可塑性ポリカーボネート及び無機ナノ粒子を含む透明ポリマー材料の製造方法

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