JP5950339B2 - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関する。更に詳しくは、情報家電の筐体等の家電部品として好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物、該組成物を射出成形して得られる成形体及びその製造方法に関する。
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために二酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いこと等の特徴により、現在その利用が期待されている。
特許文献1には、ポリ乳酸樹脂、可塑剤、結晶核剤、及びフェニルホスホン酸金属塩を除くリン系難燃剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、可塑剤が分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物であり、結晶核剤が、特定の2種の結晶核剤の混合物であるポリ乳酸樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、耐熱性に優れた難燃かつ耐衝撃性ポリ乳酸樹脂組成物を提供するために、ポリ乳酸樹脂を主成分とし、リン酸トリフェニル類を3〜30質量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物を0.01〜5質量%、過酸化物を0.001質量%以上含有する混合物を溶融混練してなることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、難燃性とブリード性とのバランスに優れたポリ乳酸樹脂組成物を提供するために、ポリ乳酸樹脂と、金属水酸化物と、リン化合物と、前記リン化合物以外の揮発性化合物とを含み、前記リン化合物の含有量は、前記ポリ乳酸樹脂の合計値100質量部に対して10質量部以下であるポリ乳酸樹脂組成物が開示されている。
特開2009−270090号公報 特開2008−101084号公報 WO2011/155119号パンフレット
しかしながら、特許文献1及び2では、得られる成形体の難燃性に優れるものの、成形体からリン系難燃剤等がブリードするという課題がある。また、特許文献3ではリン化合物のブリードが抑制できることが記載されているものの、リン化合物の配合量は限定されており、耐衝撃性が十分ではないという課題がある。
本発明は、難燃性と耐衝撃性を満足しつつ、ブリードを抑制することができるポリ乳酸樹脂組成物、該組成物により得られる成形体及びその製造方法に関する。
本発明は、下記〔1〕〜〔2〕に関する。
〔1〕 ポリ乳酸樹脂(A)に、トリアリールホスフェート(B)及び分子中に2個のエステル基を有し、該エステルを構成するカルボン酸成分が炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸であり、アルコール成分が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0〜2モル付加した化合物である可塑剤(C)を配合してなり、前記トリアリールホスフェート(B)と前記可塑剤(C)の質量比(可塑剤/トリアリールホスフェート)が0.1〜0.9である、ポリ乳酸樹脂組成物。
〔2〕 前記〔1〕記載のポリ乳酸樹脂組成物を射出成形して得られる成形体。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、難燃性と耐衝撃性を満足しつつ、ブリード性に優れる成形体を提供することができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)に、トリアリールホスフェート(B)と特定の可塑剤(C)を特定量比で配合したものである。なお、本明細書において「配合」とは、「配合又は含有」のことを意味する。
トリアリールホスフェートは、難燃性と耐衝撃性に優れるが、ポリ乳酸樹脂と配合した場合、トリアリールホスフェートがブリードし易い。本発明では、トリアリールホスフェートに対して、特定割合となる特定の可塑剤を配合することで、ブリードの発生を抑制し、さらに難燃性と耐衝撃性が向上することを見出した。かかる理由は不明であるが、特定の可塑剤を含有することでポリ乳酸樹脂が疎水的になり、トリアリールホスフェートの相溶性が飛躍的に向上することで、優れた耐ブリード性と難燃性を示すと考えられる。更に、特定の可塑剤とトリアリールホスフェートとにより、ポリ乳酸樹脂の可撓性が相乗的に向上し、結晶性が高まり、高い耐衝撃性を発現しているものと考えられる。
以下、各成分について記載する。
[ポリ乳酸樹脂(A)]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物におけるポリ乳酸樹脂(A)としては、市販されているポリ乳酸樹脂(例えば、三井化学社製、商品名:レイシアH−100、H−280、H−400、H−440等や、Nature Works社製、商品名:Nature Works PLA/NW3001D、NW4032D等)の他、乳酸やラクチドから公知の方法に従って合成したポリ乳酸樹脂が挙げられる。強度や耐熱性の向上の観点から、光学純度が好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、例えば、比較的分子量が高く、また光学純度の高いNature Works社製ポリ乳酸樹脂(NW4032D等)が好ましい。光学純度とは、ポリ乳酸樹脂中、L体又はD体の占めるモル%の割合のことである。
また、本発明では、ポリ乳酸樹脂が、ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドとを予め180〜230℃で混練(溶融混練とも言う)して得られた架橋ポリ乳酸樹脂を含むことが、耐ブリード性の観点から好ましい。即ち、ポリ乳酸樹脂(A)の一部又は全部が、耐ブリード性の観点から、ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドとを予め180〜230℃で混練(溶融混練とも言う)して得られた架橋ポリ乳酸樹脂であることが好ましい。架橋ポリ乳酸樹脂を含むポリ乳酸樹脂における、架橋ポリ乳酸樹脂の含有量は、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%である。
ポリカルボジイミドとしては、具体的には、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニルカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド;ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂環族ポリカルボジイミド;脂肪族ポリカルボジイミドが挙げられ、ポリ乳酸樹脂(a)との反応度を高める観点から、芳香族ポリカルボジイミド及び脂環族ポリカルボジイミドが好ましく、ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)及びポリ(ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。これらのポリカルボジイミドは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドを混練する際、ポリカルボジイミドの使用量は、耐ブリード性の観点から、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.25〜2質量部がより好ましく、0.25〜1.5質量部がさらに好ましい。
ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドとの混練は、公知の溶融混練機により行なうことができる。溶融混練機としては、1軸又は2軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機、オープンロール型混練機等を用いることができ、1軸又は2軸型連続混練機が好ましい。このような混練機としては、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コニーダー、池貝鉄工所社製PCM型2軸押出機等が好適に用いられる。
ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドとの混練温度(溶融混練温度)は、180〜230℃が好ましく、190〜220℃がより好ましく、195〜220℃がさらに好ましい。溶融混練機を使用する場合には、溶融混練する際の混練機の設定温度を意味する。また、溶融混練する前に、ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドを機械的に均一に混合することもできる。ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドを機械的に均一に混合する方法は、通常の攪拌翼を有する混合機等を用いて通常の条件で行うことができ、その手段に特に制限はない。
混練は、溶融混練機のスケールにもよるが、10秒〜5分間程度が好ましく、20秒〜3分間程度がより好ましい。
混練の終了は、カルボキシル基末端濃度の測定により確認することができる。得られたポリ乳酸樹脂(A)のカルボキシル基末端濃度は、耐衝撃性及び耐ブリード性の観点から、好ましくは20mmol/kg以下、より好ましくは15mmol/kg以下、さらに好ましくは12mmol/kg以下、よりさらに好ましくは10mmol/kg以下である。下限は特にないが、生産性の観点から、3mmol/kg以上であることが好ましく、これらの観点から好ましくは3〜20mmol/kg、より好ましくは3〜15mmol/kg、更に好ましくは3〜12mmol/kg、より更に好ましくは3〜10mmol/kgである。尚、カルボキシル基末端濃度は後述する方法で測定することができる。
本発明においては、前記ポリ乳酸樹脂(A)以外に、他の生分解性樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の生分解性樹脂としては、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸等が挙げられる。また、前記ポリ乳酸樹脂(A)の一部又は全部が、前記他の生分解性樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。なお、本明細書において「生分解性」とは、自然界において微生物によって低分子化合物に分解され得る性質のことであり、具体的には、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性のことを意味する。
ポリ乳酸樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂(A)の配合量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、耐衝撃性の観点から、30〜80質量%が好ましく、35〜75質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。本明細書において、単にポリ乳酸樹脂(A)と示す場合、例えば、ポリ乳酸樹脂(A)が架橋ポリ乳酸樹脂を含む場合は、架橋ポリ乳酸樹脂を含めたポリ乳酸樹脂全体を意味し、その場合、ポリ乳酸樹脂(A)の配合量は、架橋ポリ乳酸樹脂と他のポリ乳酸樹脂との合計量を意味する。なお、本明細書において「配合量」とは、「配合量又は含有量」のことを意味する。
[トリアリールホスフェート(B)]
本発明で用いられるトリアリールホスフェート(B)は、難燃性、耐衝撃性、及び耐ブリード性の観点から、炭素数1又は2のアルキル基を有するアルキルアリール基を1つ以上含むトリアリールホスフェートが好ましく、なかでも、以下の一般式:
(RArO)(ArO)3−xPO
(式中、Arはベンゼン環を示し、R、Rは、同一又は異なって、水素原子あるいは炭素数1又は2のアルキル基を示すが、共に水素原子である場合は除き、xは1〜3の整数を示す)
で表される化合物が好ましい。
前記式におけるR、Rとしては、いずれもがメチル基である場合、Rがエチル基、Rが水素原子である場合、Rがメチル基、Rが水素原子である場合が好ましい。
前記式におけるxは1〜3の整数を示すが、1〜2の整数が好ましく、1がより好ましい。即ち、前記式で表される化合物は、炭素数1又は2のアルキル基を有するアルキルアリール基を1つ以上、好ましくは1〜2、より好ましくは1つ含む化合物である。
前記式で表されるトリアリールホスフェートの具体例としては、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、及びクレジルジフェニルホスフェートが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができ、即ち、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、及びクレジルジフェニルホスフェートからなる群から選ばれる一種以上であればよく、トリアリールホスフェートを含有するポリ乳酸樹脂組成物の難燃性、耐衝撃性、耐ブリード性を考慮すると、クレジルジフェニルホスフェートが好ましい。
ポリ乳酸樹脂組成物におけるトリアリールホスフェート(B)の配合量は、耐衝撃性と耐ブリード性の観点から、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは22質量部以上であり、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは28質量部以下である。また、同様の観点から、好ましくは10〜35質量部、より好ましくは10〜30質量部、さらに好ましくは15〜30質量部、さらに好ましくは20〜30質量部、よりさらに好ましくは22〜28質量部である。12質量部以上では難燃性、耐衝撃性が良好であり、また、35質量部以下では耐ブリード性が良好である。なお、トリアリールホスフェート(B)の配合量とは、本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含有されるトリアリールホスフェート(B)の配合量のことであり、トリアリールホスフェート(B)が複数ある場合には合計配合量を意味する。
[可塑剤(C)]
本発明で用いられている可塑剤(C)は、難燃性、耐衝撃性、及び耐ブリード性の観点から、分子中に2個のエステル基を有し、該エステルを構成するカルボン酸成分が炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸であり、アルコール成分が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0〜2モル付加した化合物である。アルコール成分が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均2モル以下で付加した化合物である場合には、耐ブリード性が良好である。
前記カルボン酸成分としては、炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸であればよく、耐ブリード性、成形性の観点から、コハク酸、アジピン酸、及びスベリン酸からなる群から選ばれる一種以上の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。
前記アルコール成分としては、水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0〜2モル付加した化合物であればよく、耐ブリード性の観点から、炭素数が好ましくは2〜10、より好ましくは4〜8である化合物が好ましい。なお、ここでいう炭素数とは、アルコール化合物1分子中の総炭素数のことである。
具体的には、耐ブリード性、成形性の観点から、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(好ましくはアルキレンオキサイドの平均付加モル数1〜2)及び/又は芳香族アルコール(好ましくはアルキレンオキサイドの平均付加モル数0)が好ましく、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル及び芳香族アルコールを両方含むことがより好ましい。
ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのモノアルキルエーテルの炭素数は、耐ブリード性、成形性の観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。また、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのポリエチレングリコールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールが好ましい。
芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール、クレゾールが好ましい。
これらのアルコール成分は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができるが、耐ブリード性の観点から、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルと芳香族アルコールとを併用することが好ましい。これは、ポリエチレグリコールモノアルキルエーテルは、ポリ乳酸樹脂に対する相溶性に優れると考えられ、芳香族アルコールがトリアリールホスフェートに対する相溶性に優れると考えられる。
かかるカルボン酸成分とアルコール成分とのエステル化合物としては、具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコールアジピン酸ジエステル(アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとベンジルアルコールとを含むアルコール成分とのジエステル)、ベンジルアルコールアジピン酸ジエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアジピン酸ジエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/クレゾールアジピン酸ジエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコールコハク酸ジエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコールスベリン酸ジエステル等が挙げられるが、難燃性、耐衝撃性、及び耐ブリード性の観点から、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコールアジピン酸ジエステルが好ましい。
ポリ乳酸樹脂組成物における可塑剤(C)の配合量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは4質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。また、好ましくは2〜10質量部、より好ましくは2〜9質量部、さらに好ましくは3〜8質量部、より更に好ましくは4〜8質量部である。2質量部以上では難燃性、耐衝撃性が良好であり、10質量部以下では耐ブリード性が良好である。また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記可塑剤(C)以外に、他の公知の可塑剤を用いることができる。なお、可塑剤(C)の配合量とは、本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含有される可塑剤(C)の配合量のことであり、可塑剤(C)が複数ある場合には合計配合量を意味する。
また、ポリ乳酸樹脂組成物におけるトリアリールホスフェート(B)と可塑剤(C)の質量比(可塑剤/トリアリールホスフェート)は、耐衝撃性、難燃性、耐ブリード性の観点から、0.1以上、好ましくは0.14以上であり、上限は0.9以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.38以下である。また、0.1〜0.9であり、好ましくは0.1〜0.4、さらに好ましくは0.14〜0.38である。前記割合が0.1以上では耐ブリード性に優れ、0.9以下では難燃性、耐衝撃性に優れる。
[カルボジイミド化合物(D)]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、耐衝撃性、耐ブリード性、難燃性の観点から、前記成分に加えて、カルボジイミド化合物をさらに配合することが好ましい。カルボジイミド化合物としては、モノカルボジイミド化合物や前記ポリ乳酸樹脂(A)の調製に用いたのと同様のポリカルボジイミド化合物が挙げられ、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
モノカルボジイミド化合物としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、ジ−2,6−ジtert−ブチルフェニルカルボジイミド、ジ−o−トリルカルボジイミド、ジ−p−トリルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド等の芳香族モノカルボジイミド化合物;ジ−シクロヘキシルカルボジイミド等の脂環族モノカルボジイミド化合物;ジ−イソプロピルカルボジイミド、ジ−オクタデシルカルボジイミド等の脂肪族モノカルボジイミド化合物等が挙げられる。
カルボジイミド化合物(D)の配合量は、耐衝撃性、耐ブリード性、難燃性の観点から、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.3〜3質量部がさらに好ましい。なお、カルボジイミド化合物(D)の配合量とは、本発明のポリ乳酸樹脂組成物に配合されるカルボジイミド化合物(D)の配合量のことであり、架橋ポリ乳酸樹脂の調製に用いたポリカルボジイミドを含まず、カルボジイミド化合物(D)が複数ある場合には合計配合量を意味する。下記の配合質量比においても同じである。
ポリ乳酸樹脂組成物に配合されるカルボジイミド化合物(D)とトリアリールホスフェート(B)の配合質量比(カルボジイミド化合物/トリアリールホスフェート)は、耐衝撃性、耐ブリード性、難燃性の観点から、好ましくは0.01〜0.1であり、より好ましくは0.02〜0.1であり、さらに好ましくは0.025〜0.067である。
[水酸化アルミニウム(E)]
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、難燃性の観点から、前記成分に加えて、水酸化アルミニウム(E)をさらに配合することが好ましい。
水酸化アルミニウムとしては、特に限定はなく、公知物質が用いられる。なお、水酸化アルミニウムは、物性の観点から、公知の方法に従って、シランカップリング剤、なかでもイソシアネートシランで表面処理されていることが好ましい。
水酸化アルミニウム(E)の配合量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、難燃性の観点から、好ましくは30質量部以上、より好ましくは70質量部以上であり、耐衝撃性の観点から、好ましくは120質量部以下、より好ましくは110質量部以下であり、これらの観点から30〜120質量部が好ましく、70〜110質量部がより好ましい。
[有機結晶核剤(F)]
また、本発明においては、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を向上させ、耐衝撃性を向上する観点から、以下の(a)〜(d)からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機結晶核剤(F)を用いることができる。
(a)イソインドリノン骨格を有する化合物、ジケトピロロピロール骨格を有する化合物、ベンズイミダゾロン骨格を有する化合物、インジゴ骨格を有する化合物、フタロシアニン骨格を有する化合物、及びポルフィリン骨格を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物〔有機結晶核剤(a)という〕
(b)カルボヒドラジド類、ウラシル類、及びN−置換尿素類からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物〔有機結晶核剤(b)という〕
(c)芳香族スルホン酸ジアルキルの金属塩、リン酸エステルの金属塩、フェニルホスホン酸の金属塩、ロジン酸類の金属塩、芳香族カルボン酸アミド、及びロジン酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物〔有機結晶核剤(c)という〕
(d)分子中に水酸基とアミド基を有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機化合物〔有機結晶核剤(d)という〕
これらの中では、金型内での冷却保持時間を短くする観点から、有機結晶核剤(c)、有機結晶核剤(d)が好ましい。
有機結晶核剤(F)の配合量は、ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜3質量部がより好ましく、0.7〜3質量部がさらに好ましく、0.7〜2質量部がよりさらに好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、無機結晶核剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、加水分解抑制剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。また同様に、本発明の効果を阻害しない範囲内で高分子材料や他の樹脂組成物を添加することも可能である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物の溶融混練物は、前記ポリ乳酸樹脂(A)、トリアリールホスフェート(B)、及び可塑剤(C)を、トリアリールホスフェート(B)と可塑剤(C)が前記特定量比となるよう配合してなるものであれば特に限定なく調製することができる。例えば、ポリ乳酸樹脂(A)、トリアリールホスフェート(B)、及び可塑剤(C)、さらに必要によりカルボジイミド化合物(D)等の各種添加剤を、トリアリールホスフェート(B)と可塑剤(C)が前記特定量比となるよう配合してなる原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することも可能である。なお、ポリ乳酸樹脂組成物の溶融物を調製する際にポリ乳酸樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。
溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させる観点から、好ましくは170〜240℃であり、より好ましくは170〜220℃である。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、30〜120秒間が好ましい。
なお、溶融混練後は、公知の方法に従って、溶融混練物を乾燥させてもよい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、加工性が良好であり、公知の方法に従って各種成形体とすることができる。成形方法としては、公知の方法を用いることができるが、例えば、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を射出成形することにより、耐衝撃性、耐ブリード性、難燃性に優れる成形体を提供することができる。よって、本発明はまた、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を射出成形して得られる成形体を提供する。
射出成形体は、例えば、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を射出成形機を用いて、所望の形状の金型内に充填し、成形することができる。
[射出成形機]
射出成形としては、公知の射出成形機を用いることができる。例えば、シリンダーとその内部に挿通されたスクリューを主な構成要素として有するもの〔J110AD−180H(日本製鋼所社製)等〕が挙げられる。なお、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の原料をシリンダーに供給してそのまま溶融混練してもよく、予め溶融混練したものを射出成形機に充填してもよい。
シリンダーの設定温度は、170〜240℃が好ましく、170〜220℃がより好ましい。シリンダーにて原料を溶融混練する場合には、溶融混練機の設定温度はシリンダーの設定温度を意味する。なお、シリンダーはヒーターを具備しており、それにより温度調整が行なわれる。ヒーターの個数は機種によって異なり一概には決定されないが、前記設定温度に調整されるヒーターは、溶融混練物排出口側(ノズル先端側)に存在する温度である。
金型温度は、結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、110℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。また30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は30〜110℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。
金型内での保持時間は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂組成物からなる射出成形体の生産性の観点から、例えば80℃の金型において、3〜90秒が好ましく、10〜80秒がより好ましい。
本発明の一態様として、下記の射出成形体の製造方法を提供する。
製造方法としては、前記ポリ乳酸樹脂(A)、トリアリールホスフェート(B)、及び可塑剤(C)を含有する原料を溶融混練して射出成形する工程を含む方法であればよく、例えば、以下の方法が好適に用いられる。
具体的には、下記工程(1)〜(3)を有する製造方法が挙げられる。
工程(1):ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドを180〜230℃で混練し、ポリ乳酸樹脂(A)を得る工程
工程(2):工程(1)で得られたポリ乳酸樹脂(A)とトリアリールホスフェート(B)及び可塑剤(C)とを含有し、前記トリアリールホスフェート(B)と前記可塑剤(C)の質量比(可塑剤/トリアリールホスフェート)が0.1〜0.9である原料を溶融混練してポリ乳酸樹脂組成物を調製する工程
工程(3):工程(2)で得られたポリ乳酸樹脂組成物を射出成形する工程
工程(1)は、前述のとおりである。即ち、ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドとの混練を好ましくは180〜230℃、より好ましくは190〜220℃、さらに好ましくは195〜220℃で行なって架橋反応を行い、ポリ乳酸樹脂(A)を調製する。
工程(2)は、工程(1)で得られたポリ乳酸樹脂(A)、トリアリールホスフェート(B)、及び可塑剤(C)、さらに必要により、カルボジイミド化合物(D)等の各種添加剤を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて、好ましくは170〜240℃、より好ましくは170〜220℃で溶融混練して、ポリ乳酸樹脂組成物を調製する。溶融混練の方法は、前記と同様にして行なうことができる。
工程(3)では、工程(2)で得られたポリ乳酸樹脂組成物を射出成形する。射出成形としては、公知の射出成形機、例えば、前記と同様の射出成形機を用いて、同様にして、金型内に射出することにより成形することができる。
かくして得られた本発明のポリ乳酸樹脂組成物の成形体は、耐衝撃性、耐ブリード性、難燃性に優れ、情報家電の筐体等の家電部品として好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔ポリ乳酸樹脂のカルボキシル基末端濃度〕
試料のポリ乳酸樹脂3gをクロロホルム100mLに溶解させ、そこにベンジルアルコール50mLと少量のフェノールフタレインエタノール溶液を加え、0.05Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定することにより求める。
ポリ乳酸樹脂(A)の製造例1
ポリ乳酸樹脂(a−1)(NatureWorks製、4032D、カルボキシル基末端濃度22mmol/kg)50部と、ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡ケミカル社製、カルボジライトLA−1)0.5部を、2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて、シリンダーの設定温度200℃、回転数100rpm、30kg/hの供給量で溶融混練し、溶融混練物のストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドが反応(架橋)したポリ乳酸樹脂(A)のペレット(径:3〜4mm)を得た。得られたポリ乳酸樹脂(A)(架橋ポリ乳酸樹脂)のカルボキシル基末端濃度7mmol/kgであった。
実施例1〜15及び比較例1〜7
表1〜2に示す組成物原料を、同方向噛み合型二軸押出機(東芝機械社製 TEM−41SS)を用いて190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。なお、得られたペレットは、110℃で2時間除湿乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
次に、得られたペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機(J110AD−180H(日本製鋼所社製)を用いて射出成形し、金型温度80℃、成形時間60秒でテストピース〔角柱状試験片(125mm×12mm×1.6mm)、(63mm×13mm×6mm)〕を得た。
なお、表1〜2における原料は以下の通りである。
〔ポリ乳酸樹脂(A)〕
架橋ポリ乳酸樹脂:製造例1で得られたポリ乳酸樹脂
NW4032D:Nature Works4032D(ネイチャーワークス社製)
〔有機結晶核剤〕
エコプロモート:無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩(日産化学工業社製)
〔トリアリールホスフェート〕
CDP:クレジルジフェニルホスフェート(大八化学工業社製)
レオフォス65:トリアリールホスフェートイソプロピル化物(味の素ファインテクノ社製)
〔難燃剤〕
CR−741:芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業社製)
B703:水酸化アルミニウム(日本軽金属社製)
〔可塑剤〕
成分A:Hexanedioic acid,1−[2−(2−methoxyethoxy)ethyl]6−(phenylmethyl)ester(合成:アジピン酸1.0モル、ベンジルアルコール1.1モル、メチルジグリコール1.1モルを加えた系にさらにパラトルエンスルホン酸、トルエンを仕込み、減圧下でエステル反応させることにより得られる。)
成分B:Hexanedioic acid,1,6−bis(phenylmethyl)ester
成分C:Hexanedioic acid,1,6−bis[2−(2−methoxyethoxy)ethyl]ester
成分D:メチルトリグリコールコハク酸ジエステル(特開2011−153296号公報の可塑剤製造例1)
PL−019:グリセリンジアセトモノカプレート、リケマールPL−019(理研ビタミン社製)
〔カルボジイミド化合物〕
スタバクゾールI LF:モノカルボジイミド(Rhein Chemie社製)
スタバクゾールP:ポリカルボジイミド(Rhein Chemie社製)
得られた成形体の特性を、下記の試験例1〜3の方法に従って評価した。結果を表1〜2に示す。
試験例1<難燃性の評価>
テストピース〔角柱状試験片(125mm×12mm×1.6mm)〕を用いて、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94 垂直燃焼試験の手順に基づき、垂直に保持した試料の下端に10秒間ガスバーナーの炎を接炎させて、その後燃焼が30秒以内に止まったならば、さらに10秒間接炎させるという燃焼試験を5個の試料について実施した。UL94垂直燃焼試験(UL94V)の判定基準に基づき、V−2、V−1、V−0の判定を行った。判定基準を以下に示した。なお、これらの判定基準に当てはまらないものについては難燃性をNotとした。
・V−0
いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試料がない。
5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が50秒を超えない。
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる、燃焼する粒子を落下させる試料がない。
2回目の接炎の後、30秒以上赤熱を続ける試料がない。
・V−1
いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない。
5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない。
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる、燃焼する粒子を落下させる試料がない。
2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない。
・V−2
いずれの接炎の後も、30秒以上燃焼を続ける試料がない。
5個の試料に対する10回の接炎に対する総燃焼時間が250秒を超えない。
固定用クランプの位置まで燃焼する試料がない。
試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる、燃焼する粒子の落下が許容される。
2回目の接炎の後、60秒以上赤熱を続ける試料がない。
試験例2<耐衝撃性の評価>
テストピース(63mm×13mm×6mm)を用いて、ASTM D256に基づき、Izod衝撃試験機(安田精機製作所社製)を使用して、n=10にて衝撃試験を実施してIzod衝撃強度(J/m)を測定し、それらの(数)平均値を示した。Izod衝撃強度(J/m)が高いほど耐衝撃性に優れることを示す。
試験例3<耐ブリード性の評価>
テストピース(125mm×12mm×1.6mm)を温度60℃/湿度85%の条件で恒温室に1週間静置後、その表面外観における添加剤のブリードの有無を目視で観察し、かつ、テストピース表面を指でなぞることで確認し、下記の判定基準で耐ブリード性の評価を行った。ブリードが少ないほど、耐ブリード性に優れることを示す。
1:目視でも確認できず、指でなぞっても液体が付着しない。
2:目視では確認できないが、指でなぞると指にわずかに液体の付着感がある。
3:目視で成形体表面に小さな液滴が確認され、指でなぞると指に液体が付着し、成形体表面に液体の筋が生じる。
4:目視で成形体全体が濡れた状態を確認でき、指でなぞると指に液体が付着し、成形体表面は常に濡れた状態のままとなる。
Figure 0005950339
Figure 0005950339
表1〜2の結果から、本願のポリ乳酸樹脂組成物(実施例1〜15)は、56(J/m)以上の耐衝撃性を示した。さらにどれもブリードがほとんど見られず、優れた耐ブリード性を示し、V−2以上の難燃性を達成することが可能であった。
一方、比較例1は可塑剤が少なく、該可塑剤/トリアリールホスフェートの質量比が外れており、ブリード抑制が低下し、耐衝撃性も低下した。比較例2は可塑剤が多く、該可塑剤/トリアリールホスフェートの質量比が外れており、ブリード抑制が低下した。比較例3はトリアリールホスフェートが多く、該可塑剤/トリアリールホスフェートの質量比が外れており、ブリード抑制が低下した。比較例4は難燃剤がトリアリールホスフェートではなく縮合リン酸系であり、耐衝撃性も低く、ブリード性が低下した。比較例5、6は可塑剤が異なり、ブリード性、耐衝撃性が低下した。
以上の結果より、ポリ乳酸樹脂に、特定の難燃剤と特定の可塑剤を配合した本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、優れた耐ブリード性、耐衝撃性、難燃性を示すものであることが分かる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、情報家電の筐体等の家電部品として好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)に、トリアリールホスフェート(B)、ならびに分子中に2個のエステル基を有し、該エステルを構成するカルボン酸成分が炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸であり、アルコール成分が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0〜2モル付加した化合物であり、前記アルコール成分がポリエチレングリコールモノアルキルエーテル及び芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種である化合物である可塑剤(C)を配合してなり、前記トリアリールホスフェート(B)と前記可塑剤(C)の質量比(可塑剤/トリアリールホスフェート)が0.1〜0.9である、ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. トリアリールホスフェート(B)が炭素数1又は2のアルキル基を有するアルキルアリール基を1つ以上含む請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、トリアリールホスフェート(B)が10〜35質量部である、請求項1又は2記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. ポリ乳酸樹脂(A)100質量部に対して、可塑剤(C)が2〜10質量部である、請求項1〜3いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  5. トリアリールホスフェート(B)が、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、及びクレジルジフェニルホスフェートからなる群から選ばれる一種以上である、請求項1〜4いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  6. ポリ乳酸樹脂(A)が、ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドとを予め180〜230℃で混練して得られた架橋ポリ乳酸樹脂を含む、請求項1〜5いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  7. カルボン酸成分が、コハク酸、アジピン酸、及びスベリン酸からなる群から選ばれる一種以上の脂肪族ジカルボン酸である、請求項1〜6いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物を射出成形して得られる成形体。
  9. ポリ乳酸樹脂(A)に、トリアリールホスフェート(B)、ならびに分子中に2個のエステル基を有し、該エステルを構成するカルボン酸成分が炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸であり、アルコール成分が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0〜2モル付加した化合物であり、前記アルコール成分がポリエチレングリコールモノアルキルエーテル及び芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種である化合物である可塑剤(C)を配合し、その際に、前記トリアリールホスフェート(B)と前記可塑剤(C)の質量比(可塑剤/トリアリールホスフェート)が0.1〜0.9となる量で配合することを特徴とする、ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリ乳酸樹脂(A)が、ポリ乳酸樹脂とポリカルボジイミドとを予め180〜230℃で混練して得られた架橋ポリ乳酸樹脂である、ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
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