JP2015193767A - 炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2015193767A
JP2015193767A JP2014073324A JP2014073324A JP2015193767A JP 2015193767 A JP2015193767 A JP 2015193767A JP 2014073324 A JP2014073324 A JP 2014073324A JP 2014073324 A JP2014073324 A JP 2014073324A JP 2015193767 A JP2015193767 A JP 2015193767A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
phosphate
resin composition
flame
carbonized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014073324A
Other languages
English (en)
Inventor
健二 二ッ迫
Kenji Futatsusako
健二 二ッ迫
尚志 桑原
Hisashi Kuwabara
尚志 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KAWASAKI SANKO KASEI KK
Original Assignee
KAWASAKI SANKO KASEI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KAWASAKI SANKO KASEI KK filed Critical KAWASAKI SANKO KASEI KK
Priority to JP2014073324A priority Critical patent/JP2015193767A/ja
Publication of JP2015193767A publication Critical patent/JP2015193767A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】薄い又は細い成形体に成形可能で、安価で、炭化型の難燃性に優れた、ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂100重量部に対してアクリル樹脂を0.1〜1重量部を含有し、かつリン化合物をリン元素基準で1,000〜20,000ppm含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物に関し、より詳しくは炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリエステル樹脂は、耐熱性、耐薬品性、力学的性質などに優れているのでフィルムや繊維の成形材料として使用されている。一方、火災などに対する安全性の観点から、難燃性がフィルムや繊維に求められている。難燃性をポリエステル樹脂に付与する方法として、難燃性単量体と共重合して重合体自体を難燃性にする方法や、樹脂組成物に難燃剤を添加する方法などが行われている。前者の方法としては、例えば特許文献1には、特定のフォスフィンオキシド化合物を共重合成分として有する共重合ポリエチレンテレフタレートを含む難燃性ポリエステルフィルムが記載されている。また、後者の方法としては、例えば特許文献2には、難燃化された樹脂組成物として、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂と難燃剤とで構成された難燃性樹脂組成物であって、前記難燃剤がポリフェニレンオキシド系樹脂、リン酸エステル類、および窒素含有化合物の有機リン酸塩で構成されている難燃性樹脂組成物が記載されている。
特開2013−112778号公報 特開2001−342357号公報
しかしながら、難燃性単量体と共重合してポリマー自体を難燃性にする方法では、汎用のポリエステルを使用することができず、ポリマーのコストが増大する問題や、コストを下げるためには大スケールで重合する必要があり、難燃性などの物性を調整した少量多種の生産に不向きであるという問題がある。また、従来の、樹脂組成物に難燃剤を添加する方法では、難燃性の効果の高い難燃剤は、ポリエステル樹脂への分散性が悪く、均一に分散できず、薄い又は細い成形体に成形しようとすると、もろくて成形できないことがある。また、難燃化には、溶融(ドリップ)型と炭化型があるが、衣料などの繊維製品には、安全性の点で炭化型が求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題は、薄い又は細い成形体に成形可能で、安価で、炭化型の難燃性に優れた、ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討し、ポリエステル樹脂に難燃剤として特定量のリン化合物を加えるとともに微量のアクリル樹脂を加えると、ある程度燃焼が促進して炭化効果が得られ、溶融ドリップを抑えて炭化型の難燃性が向上することを見出した。本発明者らは、更に検討を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1)ポリエステル樹脂100重量部に対してアクリル樹脂を0.1〜1重量部含有し、かつリン化合物をリン元素基準で1,000〜20,000ppm含有する炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
(2)前記リン化合物として有機リン酸塩及びリン酸エステルを含有する、前記(1)に記載の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
(3)前記ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレートであり、前記有機リン酸塩はトリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウムであり、前記リン酸エステルは1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェートであり、アクリル樹脂はポリメタクリル酸メチルである、前記(2)に記載の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記有機リン酸塩と前記リン酸エステルの割合の重量比が、有機リン酸塩/リン酸エステルで1〜10の範囲である前記(2)又は(3)に記載の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物は、薄い又は細い成形体に成形可能で、安価で、炭化型の難燃性に優れる。
以下に本発明を詳述する。本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂100重量部に対してアクリル樹脂を0.1〜1重量部含有し、かつリン化合物をリン元素基準で1,000〜20,000ppm含有する。
(ポリエステル樹脂)
本発明に用いるポリエステル樹脂は、主鎖にエステル結合を持つ重合体である。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂などの熱可塑性ポリアルキレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、グリコール変性PET(PETG)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンイソフタレート(PEI)樹脂などの熱可塑性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステルなどが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
(アクリル樹脂)
本発明に用いるアクリル樹脂は、アルキル基などの置換基を有してもよいアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの重合体である。アクリル樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチルが挙げられる。中でもポリメタクリル酸メチル(PMMA)が好ましい。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物中のアクリル樹脂の含有割合は、ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部である。中でも、ポリエステル樹脂100重量部に対して0.15〜0.7重量部であると好ましく、0.2〜0.3重量部であるとより好ましい。アクリル樹脂の含有割合がこの範囲にあると、ポリエステル樹脂の特性を損なわずに、炭化型難燃性を向上する。
(リン化合物)
本発明に用いるリン化合物としては、例えば、赤リン、有機リン酸塩、リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステルが挙げられる。中でも、本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物は、リン化合物として、有機リン酸塩及びリン酸エステルを含有すると好ましい。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物中のリン化合物の含有割合は、リン元素基準で1,000〜20,000ppmである。リン化合物の含有割合は、リン元素基準で好ましくは5,000〜18,000ppm、より好ましくは10,000〜16,000ppmである。リン化合物の含有割合がこの範囲にあると、薄い又は細い成形体の成形性、コスト、炭化型難燃性の点で好ましい。
有機リン酸塩は、有機リン酸と塩基との塩である。有機リン酸としては、アルキルホスフィン酸、芳香族ホスフィン酸などが挙げられる。ここで、アルキルは置換又は無置換のアルキル基とすることができ、芳香族は置換又は無置換のフェニル基とすることができる。有機リン酸の中でも、アルキルホスフィン酸が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などの直鎖又は分枝状アルキル基が挙げられ、これらのアルキル基は、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基としては、有機リン酸と塩を形成できるものであれば特に限定されないが、アルカリ金属やアルカリ土類金属、金属などの無機塩基又はアミン類やピリジンなどの有機塩基が挙げられる。具体的には、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどアルカリ土類金属、スカンジウムなどの第3A族金属、チタンなどの第4A族金属、バナジウムなどの第5A族金属、クロム、モリブデン、タングステンなどの第6A族金属、マンガンなどの第7A族金属、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの第8族金属、銅、銀などの第1B族金属などの遷移金属、亜鉛、カドミウム、水銀などの第2B族金属、アルミニウムなどの第3B族金属、スズ、鉛などの第4B族金属、アンチモン、ビスマスなどの第5B族金属などが挙げられる。これらの内、アルミニウム、亜鉛、及びチタンが好ましく、アルミニウムがより好ましい。これらの金属は一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
更に具体的には、有機リン酸塩として、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、ビスジフェニルホスフィン酸チタニルなどが挙げられる。これらの中でも、難燃性、混練性、無色性、染色性の点で、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウムが好ましく、トリスジエチルホスフィン酸アルミニウムがより好ましい。トリスジエチルホスフィン酸アルミニウムは、用いるポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合に特に好ましい。
これらの有機リン酸塩は単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。有機リン酸塩は、通常固体である。有機リン酸塩は、粉末状であると好ましく、粒径が1〜5μmであるとより好ましく、2〜4μmであると更に好ましい。ここで、例えば粒径3μmの有機リン酸塩とは、粉砕した有機リン酸塩を目開き3μmのメッシュでふるい分けた有機リン酸塩をいう。また、リン酸エステルは、無色又は透明であると好ましく、透明であるとより好ましい。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物において有機リン酸塩の含有割合は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜6重量部、さらに好ましくは2〜4重量部、特に好ましくは2.5〜3.5重量部である。有機リン酸塩の含有割合がこの範囲の下限より多いと、難燃性に優れる。また、有機リン酸塩の含有割合がこの範囲の上限より少ないと、コストが低く、ポリエステル樹脂自体の機能を維持できる。有機リン酸塩の含有割合がこの範囲の上限より多いと、樹脂組成物の白化や表層剥離等の表面状態が悪化する恐れがある。
リン酸エステルは、リン酸とアルコールが脱水縮合したエステルである。リン酸エステルとしては、例えば、芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステルが挙げられる。
芳香族リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、ブチル化フェニルホスフェート(2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、t-ブチルフェニルジフェニルホスフェート(t−BDP)、ビス-(t-ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)、及びトリス-(t-ブチルフェニル)ホスフェート(TBDP)など)、及びプロピル化フェニルホスフェート(イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート(IPP)、ビス-(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート(BIPP)、及びトリス-(イソプロピルフェニル)ホスフェート(TIPP)など)が挙げられる。
芳香族縮合リン酸エステルは、芳香族基を含むリン酸エステルの遊離水酸基がエステル化縮合したものである。芳香族縮合リン酸エステルは、例えば、一般式(I):
Figure 2015193767
(式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して芳香族炭化水素基であり、Rは2価の有機基であり、nは1以上の整数である)
で表わされる化合物である。
一般式(I)においてR〜Rで表される芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜15のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル、クレジル、キシリル、ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、エチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニルなどが挙げられる。
一般式(I)においてRの2価の有機基としては、アルキレン基、アリーレン基などが挙げられる。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレンなどのアルキレン基、(o−、m−又はp−)フェニレン、次の式(1)〜(4)で表される基などのアリーレン基が挙げられる。
Figure 2015193767
これらの中でも、アリーレン基や式(1)〜(3)で表される基が好ましく、(o−、m−又はp−)フェニレン基や式(1)で表される基がさらに好ましい。一般式(I)の芳香族縮合リン酸エステルは、n=1で示される二量体のみならず、n=2以上の多量体を含む。
具体的には、アルキレンビス[リン酸ジフェニル]、アルキレンビス[リン酸ジ{o−、m−又はp−}メチルフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ジフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ジ(o−、m−又はp−)メチルフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ジ(o−、m−又はp−)エチルフェニル]、レゾルシンビス[リン酸ビス(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−)ジメチルフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ジフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ジ(o−、m−又はp−)メチルフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ジ(o−、m−又はp−)エチルフェニル]、ヒドロキノンビス[リン酸ビス(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−)ジメチルフェニル]、ビスフェノールAビス[リン酸ジフェニル]、ビスフェノールAビス[リン酸ジ(o−、m−又はp−)メチルフェニル]、ビスフェノールA[リン酸ジ〔o−、m−又はp−〕エチルフェニル]、ビスフェノールAビス[リン酸ビス(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−)ジメチルフェニル]などが挙げられる。中でも、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(RDP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート(RDX)(別名;1,3−フェニレンビス(ジ2,6−キシレニルホスフェート)、及びビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BDP)が好ましく、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート(RDX)がより好ましい。
市販の芳香族縮合リン酸エステルとしては、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(RDP)(分子量574)として、ICL JAPAN株式会社製のファイロールフレックスRDP、株式会社ADEKA製のアデカスタブPFR、大八化学株式会社製のCR−733S、及び味の素ファインテクノ株式会社製のレオフォスRDPが、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート(RDX)(分子量686)として、大八化学株式会社製のPX−200(白色粉体〜粒状)及び株式会社ADEKA製のアデカスタブFP−500が、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BDP)(分子量692)として、ICL JAPAN株式会社製のファイロールフレックスBDP、株式会社ADEKA製のアデカスタブFP−600/700、味の素ファインテクノ株式会社製のレオフォスBAPP、及び大八化学株式会社製のCR−741が挙げられる。これらのうち、得られる繊維やフィルムの難燃性、無色性、染色性の点で、1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェートが好ましく、大八化学株式会社製のPX−200がより好ましい。
ハロゲン化リン酸エステルとしては、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート(TDCP)、テトラキス(2クロロエチル)ジクロロイソペンチルジホスフェート(V6)、ポリオキシアルキレンビス(ジクロロアルキル)ホスフェートが挙げられる。
リン酸エステルは、単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。リン酸エステルは、液体であっても固体であってもよいが、混練性などの点で、室温で固体であると好ましい。また、リン酸エステルは、ポリエステル樹脂との混練温度より高い分解温度を有し、ポリエステル樹脂との混練温度より低い融点を有すると好ましい。例えば、分解温度が、200℃〜700℃であると好ましく、300℃〜500℃であるとより好ましい。また、融点が50℃〜280℃であると好ましく、70℃〜200℃であるとより好ましく、90℃〜120℃であると特に好ましい。
リン酸エステルの分子量は、特に限定されないが、分子量が500以上であると低揮発性、耐熱性の点で好ましい。また、リン酸エステルは、無色又は透明であると好ましく、透明であるとより好ましい。なお本発明においてリン酸エステルは、主に有機リン酸塩の分散に寄与するので、難燃剤として使用される場合に比べて樹脂組成物への混合割合が非常に少ない。そのため、リン酸エステルが有色であっても、成形体の着色性に与える影響が少ない。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物においてリン酸エステルの含有割合は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.03〜10重量部、より好ましくは、0.3〜2重量部、さらに好ましくは0.6〜1.4重量部、特に好ましくは0.8〜1.2重量部である。リン酸エステルがこの範囲の上限より多いと、樹脂組成物の可塑性が強くなりすぎる恐れがある。本発明においてリン酸エステルは、極性の高い有機リン酸塩を、その有機リン酸塩の難燃性を低下させずにポリエステル樹脂中に相溶化させ、均一に分散させる助剤としての効果を生じると考えられる。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物において、リン化合物として有機リン酸塩及びリン酸エステルを併用する場合、有機リン酸塩と前記リン酸エステルの割合の重量比は、有機リン酸塩/リン酸エステルで1〜10の範囲であると好ましく、3〜9の範囲であるとより好ましく、5〜7の範囲であると更に好ましい。有機リン酸塩と前記リン酸エステルの割合の重量比がこの範囲にあると、有機リン酸塩の分散度が優れ、難燃性に優れる。また、有機リン酸塩とリン酸エステルの割合の重量比がこの範囲の上限より小さいと、有機リン酸塩の分散度を維持して均一な難燃性を維持しつつ、コストが低く、染色性やポリエステル樹脂自体の性能を生かすことができる。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物において、リン化合物として有機リン酸塩及びリン酸エステルを併用する場合、難燃性は微分散した有機リン酸塩が主に寄与しているため、例えば本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物を成型した繊維やフィルムなどの製品を高圧洗浄して成型品中のリン酸エステルの含有量が減少した場合やブリードした場合にも、難燃性を維持できる。
前記のアクリル樹脂及びリン化合物の含有割合は、難燃性を求められる、繊維やフィルム、シートなどの製品として使用される際の含有割合である。従って、マスターバッチを使用する場合には、マスターバッチを希釈する倍率に対応してアクリル樹脂及びリン化合物の含有割合を増やすことができる。例えばマスターバッチの濃縮倍率を2倍とするときは、マスターバッチ中のアクリル樹脂及びリン化合物の含有割合を前記含有割合の2倍にすることができる。マスターバッチ中のアクリル樹脂及びリン化合物の濃縮率は、特に限定されないが、マスターバッチの調製の容易さや希釈して得られる本発明のポリエステル樹脂組成物の難燃性の点で、5倍以下であると好ましく、3倍以下であるとより好ましい。マスターバッチは、リサイクルポリエステル樹脂と混合できる。例えば、マスターバッチのペレットとリサイクルポリエステル樹脂のペレットを混合して、二軸押出機のホッパーから投入して混練しても有機リン酸塩が均一に分散したポリエステル樹脂組成物が得られる。
(その他の添加物)
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物は、必要により他の添加剤を含有することができる。他の添加剤としては、難燃助剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐候安定剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、核剤、衝撃改良剤、摺動剤などが挙げられる。これらの他の添加剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択できる。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物は、各種成形体の成形材料として用いることができるが、炭化型難燃性を備えた薄い又は細い成形体に成形できるので、繊維やフィルム、シートなどの成形材料として好適である。
また、本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物を原綿にすると、混率20重量%以下、好ましくは15重量%以下でも炭化型難燃性に優れる。
本発明の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、具体例を以下に詳述する。
ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びリン化合物の混合手段は、ポリエステル樹脂中、アクリル樹脂及びリン化合物を均一に分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、二軸押出機が挙げられる。また、二軸押出機としては、噛み合い型同方向回転型二軸押出機、噛み合い型異方向回転型二軸押出機、非噛み合い型同方向回転型二軸押出機、及び非噛み合い型異方向回転型二軸押出機などが挙げられるが、中でも、リン化合物の均一分散性の点で噛み合い型同方向回転型二軸押出機が好ましい。
ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びリン化合物の二軸押出機への投入方法は、ポリエステル樹脂中にアクリル樹脂及びリン化合物を均一に分散できるものであれば特に限定されないが、サイドフィードバレルを備える二軸押出機のホッパーへポリエステル樹脂及びアクリル樹脂を投入してポリエステル樹脂及びアクリル樹脂を溶融させ、リン化合物を二軸押出機のサイドフィードバレルから投入して、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びリン化合物を混練すると好ましい。リン化合物として、有機リン酸塩及びリン酸エステルを併用する場合には、これらの有機リン酸塩及びリン酸エステルを予め公知のブレンダーなどで混合しておくことが、有機リン酸塩のポリエステル樹脂への分散性、操作容易性などの点で好ましい。得られたポリエステル樹脂組成物は、ペレットに成形することもでき、そのまま単繊維やフィルム、シートに成形することもできる。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。実施例および比較例における物性値は以下のようにして測定した。
(1)難燃性(FMVSS−302)
難燃性(FMVSS−302)は、実施例又は比較例で得られたポリエステル樹脂組成物のペレットを二軸押出機または単軸押出機で糸状成型品にした。木綿に、ポリエステル樹脂組成物の糸状成型品からなる原綿を10%又は25%の混率になるように混ぜた不織布にて自動車内装用布を調製し、米連邦自動車安全規格(Federal Motor Vehicle Safety Standard)のFMVSS−302に基づいて測定した。規格値は燃焼速度100mm/分とした。
(2)難燃性(UL94)
実施例又は比較例で得られたポリエステル樹脂組成物のペレットを射出成形機にてダンベルを作成して、試験サンプルを調整し、UL(アメリカ保険業者安全試験所、Underwriters Laboratories Inc.)規格のUL94 V−0、V−1、V−2に制定される燃焼試験に基づき、難燃性を評価した。
(3)極限粘度
組成物の極限粘度(IV値)は、JIS K7367−5に基づいて測定した。
(実施例1)
ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(東レ株式会社製、商品名:T200E、融点255℃、極限粘度0.64)100部、アクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチル0.54部、リン化合物として、有機リン酸塩であるトリスジエチルホスフィン酸アルミニウム(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:PEKOFLAM STC PDR)と、リン酸エステルであるリン酸トリス(ジメチルフェニル)レゾルシノール(別名:ビス−ジキシレニルホスフェート、大八化学株式会社製、商品名:PX−200、粉体〜粒状固体、白色、分解温度455〜495℃、リン酸トリス(2,6−ジメチルフェニル)を約3%含有する。)の6:1混合物(重量比)7.45部(リン元素基準で15,000ppm)を用いた。
二軸押出機BT−40(株式会社プラスチック工学研究所製。約中央部にサイドフィードバレルを備える。バレル長さ1225mm。)を用いて、L/D:30、入り口(ホッパー)部分の温度200℃、添加剤投入り口(サイドフィードバレル)部分280℃、出口(ノズル)温度260℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量40kg/h、トルク33〜40A、吐出圧0.086MPaG、カッター40Hz、エアギャップ150cm、吐出樹脂温度269℃の条件で、予めブレンドしたポリエステル樹脂のペレットとアクリル樹脂のペレットの混合物をホッパーから投入し、予めブレンダーで混合した有機リン酸塩及びリン酸エステルの混合物をサイドフィードバレルから投入して混練し、ノズルからストランド状に押出し、冷却水を用いて冷却、固化させ、ストランドをカットして、ペレット状のポリエステル樹脂組成物E1を得た。
ポリエステル樹脂組成物E1について物性を測定した。UL94試験を行ったところ、(1回/2回接火)で(0.00/0.00)、(0.00/0.00)、(0.00/0.00)、(0.00/0.83)、(0.00/0.00)であり試験片の滴下があったが綿への着火は無く、判定はV−0であった。ポリエステル樹脂組成物E1の極限粘度は0.546であった。ポリエステル樹脂組成物E2の原綿について難燃性(FMVSS−302)を測定したところ、混率25%で標線前に消火し(自己消炎性あり)、混率10%で1回目の燃焼速度が67.2mm/分であり、合格であった。
(実施例2)
アクリル樹脂0.54部を0.22部に、リン化合物7.45部を7.43部に変えた以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物E2を得た。ポリエステル樹脂組成物E2について物性を測定した。ポリエステル樹脂組成物E2の極限粘度は0.551であった。UL94試験を行ったところ、(1回/2回接火)で(0.00/0.00)、(0.00/0.00)、(0.00/0.00)であり試験片の滴下があったが綿への着火は無く、判定はV−0であった。ポリエステル樹脂組成物E2の原綿について難燃性(FMVSS−302)を測定したところ、混率25%及び混率10%で標線前に消火し(自己消炎性あり)、合格であった。また、実施例1に比べて燃焼時の溶融ドリップが少なかった。
(比較例1)
アクリル樹脂を用いず、リン化合物をリン元素基準で15,000ppmから8,000ppmに変えた以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物R1を得た。ポリエステル樹脂組成物R1について物性を測定した。ポリエステル樹脂組成物R1の原綿について難燃性(FMVSS−302)を測定したところ、混率25%では標線前に消火し(自己消炎性あり)、合格であったが、混率10%では1回目の燃焼速度が95.3mm/分、2回目の燃焼速度が121.2mm/分で不合格であった。

Claims (4)

  1. ポリエステル樹脂100重量部に対してアクリル樹脂を0.1〜1重量部含有し、かつリン化合物をリン元素基準で1,000〜20,000ppm含有する炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記リン化合物として有機リン酸塩及びリン酸エステルを含有する、請求項1に記載の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレートであり、前記有機リン酸塩はトリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウムであり、前記リン酸エステルは1,3−フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェートであり、アクリル樹脂はポリメタクリル酸メチルである、請求項2に記載の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記有機リン酸塩と前記リン酸エステルの割合の重量比が、有機リン酸塩/リン酸エステルで1〜10の範囲である、請求項2又は3に記載の炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物。
JP2014073324A 2014-03-31 2014-03-31 炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物 Pending JP2015193767A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014073324A JP2015193767A (ja) 2014-03-31 2014-03-31 炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014073324A JP2015193767A (ja) 2014-03-31 2014-03-31 炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015193767A true JP2015193767A (ja) 2015-11-05

Family

ID=54433104

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014073324A Pending JP2015193767A (ja) 2014-03-31 2014-03-31 炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015193767A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112016004471T5 (de) 2015-09-30 2018-06-14 Denso Corporation Fahrunterstützungsvorrichtung

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1013996A (ja) * 1996-06-25 1998-01-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd スピーカおよびその製造方法
JPH10168291A (ja) * 1996-12-16 1998-06-23 Nippon G Ii Plast Kk 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物
JP2001302833A (ja) * 2000-04-25 2001-10-31 Okamoto Ind Inc 軟質ポリエステル樹脂組成物及び該組成物からの壁紙
JP2007519802A (ja) * 2004-12-29 2007-07-19 エルジー・ケム・リミテッド 難燃性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレートフィルム
JP2010024312A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Toray Ind Inc 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
WO2011152371A1 (ja) * 2010-06-04 2011-12-08 ユニチカ株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1013996A (ja) * 1996-06-25 1998-01-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd スピーカおよびその製造方法
JPH10168291A (ja) * 1996-12-16 1998-06-23 Nippon G Ii Plast Kk 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物
JP2001302833A (ja) * 2000-04-25 2001-10-31 Okamoto Ind Inc 軟質ポリエステル樹脂組成物及び該組成物からの壁紙
JP2007519802A (ja) * 2004-12-29 2007-07-19 エルジー・ケム・リミテッド 難燃性のグリコール変性ポリエチレンテレフタレートフィルム
JP2010024312A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Toray Ind Inc 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
WO2011152371A1 (ja) * 2010-06-04 2011-12-08 ユニチカ株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112016004471T5 (de) 2015-09-30 2018-06-14 Denso Corporation Fahrunterstützungsvorrichtung

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8026303B2 (en) Halogen-free flame retardant compositions, thermoplastic compositions comprising the same and methods of producing the compositions
CN102834458B (zh) 阻燃的聚乳酸基树脂、其模塑制品以及模塑制品的生产方法
CN104955896B (zh) 激光直接成型用树脂组合物、树脂成型品、以及具有镀层的树脂成型品的制造方法
KR102596639B1 (ko) 할로겐 프리 난연성을 갖는 폴리에스테르 블렌드
CN110121525B (zh) 阻燃聚酯组合物
CN104140559A (zh) 环状磷腈化合物作为阻燃剂在制备树脂中的应用
JP5427703B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
CN103649224B (zh) 非卤化阻燃聚碳酸酯复合物
WO2019093066A1 (ja) 難燃剤組成物および該難燃剤組成物を含む難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP2016026254A (ja) ポリシロキサン変性ポリ乳酸樹脂組成物およびその製造方法
WO2017094900A1 (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法および成形体
TW201406941A (zh) 非鹵化之阻燃聚碳酸酯化合物
CN104140558A (zh) 环状磷腈化合物作为抗滴落剂在制备树脂中的应用
EP3140346A1 (en) Environmental friendly flame retardant moulding compositions based on thermoplastic impact modified styrenic polymers
EP2262854A1 (de) Flammgeschützte thermoplastische formmassen
JP2015193767A (ja) 炭化型難燃性ポリエステル樹脂組成物
DE112017003897T5 (de) Flammhemmende Polyesterzusammensetzung
CN104861622A (zh) 阻燃抗静电聚碳酸酯/聚对苯二甲酸丁二醇酯组合物
JP2015174978A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法
JP2015054863A (ja) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP5950339B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP6924823B2 (ja) 難燃性透明ポリカーボネート組成物
CN106317804A (zh) 一种高透明度无卤阻燃材料
CN104861430A (zh) 低烟无卤阻燃ptt聚酯及其制备方法
KR20150054036A (ko) 유동성과 표면 광택이 우수한 비할로겐 난연성 폴리에스테르 수지 조성물 및 이의 성형품

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161108

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170627

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180206