JPH08275787A - 機能性ポリペプチド遺伝子 - Google Patents

機能性ポリペプチド遺伝子

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JPH08275787A
JPH08275787A JP8122805A JP12280596A JPH08275787A JP H08275787 A JPH08275787 A JP H08275787A JP 8122805 A JP8122805 A JP 8122805A JP 12280596 A JP12280596 A JP 12280596A JP H08275787 A JPH08275787 A JP H08275787A
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靖聡 川瀬
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晶一 後藤
Fusao Kimizuka
房夫 君塚
Ikunoshin Katou
郁之進 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィブロネクチン(以下、FNと略記)のヘ
パリン結合活性を持つポリペプチドをコードする遺伝
子、それを用いた該ポリペプチドの遺伝子工学的な製法
を提供する。 【解決手段】 ヒトFNのヘパリン結合ドメインのAla
1690-Thr1960 に相当する機能性ポリペプチド(H271
をコードする遺伝子。該遺伝子を含有する組換体プラス
ミド。該プラスミドで形質転換された形質転換体。該形
質転換体を培養し、該培養物から上記機能性ポリペプチ
ドを採取する機能性ポリペプチドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規ポリペプチド
遺伝子に関し、更に詳しくヒトフィブロネクチンのヘパ
リン結合ドメインペプチドをコードする遺伝子、及びそ
の遺伝子を用いた遺伝子工学的な機能性ポリペプチドの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フィブロネクチン(以下FNと表示す
る)は、血漿や細胞外マトリックスに存在する糖タンパ
ク質で、多彩な機能を持つことが知られている〔アニュ
アル レビュー オブ バイオケミストリー( Annual
Review of Biochemistry) 、第57巻、第 375〜413 頁(1
988)〕。天然のFNを創傷治癒、点眼薬等の医薬品や化
粧品に利用する試みがなされているが、血液から採取す
るために、供給に制限があること、コスト高であるこ
と、また、病原性の細菌やウイルス等による汚染の可能
性があること等の理由により、実用化されていない。ま
た、FNの機能ドメインを取出して利用することも同様
の理由から実用化されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】FNにはヘパリンに結
合する領域(ヘパリン結合ドメイン)が2ヶ所存在し、
1ヶ所はN末端付近にあり、結合にCaイオンが必要であ
ることが知られている。もう一方の領域はC末端付近に
あり、この領域のヘパリンに対する結合活性は、前述の
領域よりも強く、しかもCaイオンに影響されない。最近
の研究からFNのヘパリン結合ドメインが、細胞接着ド
メインと同様に線維芽細胞、内皮細胞、ある種のガン細
胞等の接着、伸展、移動に重要な役割を果していること
が次第に明らかとなってきた。FNのヘパリン結合ドメ
インは細胞の表層にあるプロテオグリカンに結合して、
細胞と細胞外マトリックスとの相互作用を引起すことに
より、細胞の接着、伸展、移動等に寄与すると考えられ
る。したがって、細胞接着活性とペパリン結合活性の両
機能を持つポリペプチドは、細胞と細胞外マトリックス
の両方に結合して創傷部の組織の修復や、恒常性の維持
に寄与し、医薬品としての用途が期待できる。本発明の
目的は、FNのヘパリン結合活性を持つ、新規な機能性
ポリペプチドをコードする遺伝子、それを用いた該機能
性ポリペプチドの遺伝子工学的な製造方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は、下記式(化1)で示されるアミノ
酸配列で表される機能性ポリペプチドをコードする遺伝
子に関する。
【0005】
【化1】 Ala Ile Pro Ala Pro Thr Asp Leu Lys Phe Thr Gln Val Thr Pro Thr Ser Leu Ser Ala Gln Trp Thr Pro Pro Asn Val Gln Leu Thr Lys Phe Arg Val Arg Val Thr Pro Lys Glu Lys Thr Gly Pro Met Lys Glu Ile Asn Leu Ala Pro Asp Ser Ser Ser Val Val Val Ser Gly Leu Met Val Ala Thr Lys Tyr Glu Val Ser Val Tyr Ala Leu Lys Asp Thr Leu Thr Ser Arg Pro Ala Gln Gly Val Val Thr Thr Leu Glu Asn Val Ser Pro Pro Arg Arg Ala Arg Val Thr Asp Ala Thr Glu Thr Thr Ile Thr Ile Ser Trp Arg Thr Lys Thr Glu Thr Ile Thr Gly Phe Gln Val Asp Ala Val Pro Ala Asn Gly Gln Thr Pro Ile Gln Arg Thr Ile Lys Pro Asp Val Arg Ser Tyr Thr Ile Thr Gly Leu Gln Pro Gly Thr Asp Tyr Lys Ile Tyr Leu Tyr Thr Leu Asn Asp Asn Ala Arg Ser Ser Pro Val Val Ile Asp Ala Ser Thr Ala Ile Asp Ala Pro Ser Asn Leu Arg Phe Leu Ala Thr Thr Pro Asn Ser Leu Leu Val Ser Trp Gln Pro Pro Arg Ala Arg Ile Thr Gly Tyr IIe Ile Lys Tyr Glu Lys Pro Gly Ser Pro Pro Arg Glu Val Val Pro Arg Pro Arg Pro Gly Val Thr Glu Ala Thr Ile Thr Gly Leu Glu Pro Gly Thr Glu Tyr Thr Ile Tyr Val Ile Ala Leu Lys Asn Asn Gln Lys Ser Glu Pro Leu Ile Gly Arg Lys Lys Thr
【0006】第2の発明は、前記ポリペプチドをコード
する遺伝子を含有せしめた組換体プラスミドに関し、第
3の発明は、前記組換体プラスミドを導入せしめた形質
転換体に関し、第4の発明は、前記形質転換体を培養
し、該培養物より前記ポリペプチドを採取することを特
徴とする新規な機能性ポリペプチドの製造方法に関す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。ヒトFNの遺伝子構造についてはジ エンボ ジャ
ーナル( The EMBO Journal ) 、第4巻、第1755〜1759
頁(1985)に記載されている。また、その細胞接着ドメイ
ン及びヘパリン結合ドメインをコードするcDNAクローン
(pLF2、pLF3、pLF4及びpLF5)についてはバイオケミス
トリー( Biochemistry ) 、第25巻、第4936〜4941頁(1
986)に記載されている。本発明者らは、pLF5から、細胞
接着ドメインに対するcDNA断片を取出し、これを発現ベ
クターに接続して大腸菌に導入することにより、細胞接
着活性ポリペプチド及びその製造方法を開発し特許出願
した〔特願昭63−31820 号(特開平1−206998号)〕。
本発明で必要とされる細胞接着ドメインのcDNAは、特開
平1−206998号公報に記載されている組換体プラスミド
pTF7021 を用いることができる。pTF7021 はFNのPro
1239-Met1517 ( 279アミノ酸残基)を発現するプラス
ミドである。pTF7021 の翻訳領域のC末端の終止コドン
の直前にクローニングサイト、例えば NcoIサイトを導
入することにより、細胞接着ドメインのcDNAと他のドメ
インのcDNAを連結させることができる。
【0008】本発明による新規な機能性ポリペプチドの
具体例の1つとしては、一般式C277-(Met)n -H271-X
〔式中C277は、ヒト FNの細胞接着ドメインのPro
1239-Ser1515 に相当する277 アミノ酸ペプチド残基を
示し、下記式(化2):
【0009】
【化2】1239 Pro Thr Asp Leu Arg Phe Thr Asn Ile Gly Pro Asp Thr Met Arg Val Thr Trp Ala Pro Pro Pro Ser Ile Asp Leu Thr Asn Phe Leu Val Arg Tyr Ser Pro Val Lys Asn Glu Glu Asp Val Ala Glu Leu Ser Ile Ser Pro Ser Asp Asn Ala Val Val Leu Thr Asn Leu Leu Pro Gly Thr Glu Tyr Val Val Ser Val Ser Ser Val Tyr Glu Gln His Glu Ser Thr Pro Leu Arg Gly Arg Gln Lys Thr Gly Leu Asp Ser Pro Thr Gly Ile Asp Phe Ser Asp Ile Thr Ala Asn Ser Phe Thr Val His Trp Ile Ala Pro Arg Ala Thr Ile Thr Gly Tyr Arg Ile Arg His His Pro Glu His Phe Ser Gly Arg Pro Arg Glu Asp Arg Val Pro His Ser Arg Asn Ser Ile Thr Leu Thr Asn Leu Thr Pro Gly Thr Glu Tyr Val Val Ser Ile Val Ala Leu Asn Gly Arg Glu Glu Ser Pro Leu Leu Ile Gly Gln Gln Ser Thr Val Ser Asp Val Pro Arg Asp Leu Glu Val Val Ala Ala Thr Pro Thr Ser Leu Leu Ile Ser Trp Asp Ala Pro Ala Val Thr Val Arg Tyr Tyr Arg Ile Thr Tyr Gly Glu Thr Gly Gly Asn Ser Pro Val Gln Glu Phe Thr Val Pro Gly Ser Lys Ser Thr Ala Thr Ile Ser Gly Leu Lys Pro Gly Val Asp Tyr Thr Ile Thr Val Tyr Ala Val Thr Gly Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lys Pro Ile Ser Ile Asn Tyr Arg 1515 Thr Glu Ile Asp Lys Pro Ser
【0010】で表される配列を有し、H271はヒト FN
のヘパリン結合ドメインのAla1690-Thr1960 に相当する
271アミノ酸ペプチド残基を示し、前記式(化1)で表
される。Xは下記式(化3):
【0011】
【化3】Asp-Glu-Leu-Pro-Gln-Leu-Val-Thr-Leu-Pro-Hi
s-Pro-Asn-Leu-His-Gly-Pro-Glu-Ile-Leu-Asp-Val-Pro-
Ser-Thr
【0012】で表されるペプチド残基、あるいはその一
部又は全部が欠失した基を示し、 Metはメチオニン残基
を示し、nは1又は零の数を示す〕で表されることを特
徴とする機能性ポリペプチドが挙げられる。
【0013】ヘパリン結合ドメインについてはトリプシ
ン、サーモライシン、カテプシンD等によって分解され
て得られた断片が報告されており、その大きさは、29kD
から38kDに及んでいる。ドメインの詳しい特定はなされ
ていないが、一般的には約90アミノ酸から成る III型類
似配列を3個と、それに続く IIIcs型配列の一部を含む
断片が知られている。本発明の前記一般式に記載されて
いるXはIIIcs 型配列の一部に相当する。ヘパリン結合
活性にはIIIcs を必要としないが、ある種のリンパ系の
細胞の接着には、IIIcs 配列が必要とする考え方もあ
る。本発明者らはヘパリン結合ドメインのIII 型類似配
列を3個含む断片(本発明の前記一般式に記載されてい
るH271に相当)と、更にIIIcs の一部を含む断片(一般
式のH271-X)を大腸菌で発現させ、ヘパリン結合活性及
び細胞接着活性を測定した結果、両者共、ヘパリン結合
活性を有すると共に、BHK細胞に対する接着活性を有
しており、更にH271-Xでは、接着と伸展活性が増強され
ていることを見出した。
【0014】ヘパリン結合ドメインをコードするcDNA
は、pLF2435 から取出すことができる。pLF2435 は、前
記pLF2、pLF3、pLF4及びpLF5から再構築されたプラスミ
ドで、FNのヘパリン結合ドメインをコードするcDNAを
含んでいる。但し、IIIcs 部分に相当するcDNAは含んで
いないので、Xに対応するDNA配列は化学合成によっ
て構築する必要がある。pLF2435 から必要なcDNA断片を
制限酵素で切出し、5′側に開始コドンを含む合成DN
Aを、また、3′側には、終止コドンを含む合成DNA
をDNAリガーゼで連結した後、適当な発現ベクターに
接続することにより、 III型類似配列が3個つらなった
配列を有するペプチドを発現するプラスミドを得ること
ができる(図1参照)。すなわち図1は、H271を発現す
るプラスミドpHD101を構築するための工程図である。こ
のプラスミドと、IIIcs の一部(X)に対応する化学合
成DNAを組合せることにより、更にIIIcs を含むペプ
チドを発現するプラスミドが得られる(図2参照)。す
なわち図2は、H296を発現するプラスミドpHD102を構築
するための工程図である。
【0015】発現ベクターとしては、既存のものはすべ
て利用することができるが、例えばpUC118N/pUC 119N
〔フェブス レターズ( FEBS Letters ) 、第223 巻、
第 174〜180 頁(1987)、及びその誘導体を用いることに
より好結果を得ることができる。これらのプラスミドを
大腸菌に導入することにより、ヘパリン結合ドメインポ
リペプチドを発現させ、その性質を調べることができ
る。次いで、これらのプラスミドからcDNA断片を取出
し、前記pTF7021 から誘導されたプラスミド( pTF7520
)の翻訳領域の3′末端 NcoIサイトに接続することに
より、FNの細胞接着ドメインとヘパリン結合ドメイン
とが連結したポリペプチドを発現する組換体プラスミド
が得られる(図3及び図4参照)。すなわち図3は、C
277-Met-H271 を発現するプラスミドpCH101を構築する
ための工程図であり、図4は、C277-Met-H296 を発現す
るプラスミドpCH 102 を構築するための工程図である。
前記プラスミドにおける連結部には、 NcoIサイトに由
来するメチオニン残基がリンカーとして含まれる。リン
カーの有無は、本発明の効果を左右するものではない
が、必要とあれば部位特異的変異の手法により、容易に
除去することができる。
【0016】得られたプラスミドを大腸菌に導入し、適
当な条件下に培養することにより、目的ペプチドが大腸
菌内に蓄積される。発現の確認にはイムノブロッティン
グが用いられる。組換え大腸菌の全菌体タンパク質を S
DS−ポリアクリルアミド電気泳動で分離した後、泳動パ
ターンをニトロセルロース膜に移し取る。FNの細胞接
着ドメインを認識するモノクローナル抗体(FN-10 、宝
酒造)、及びFNのヘパリンドメインを認識するモノク
ローナル抗体〔 IST-1又は IST-2、セラ−ラブ(Sera-L
ab)社販売〕の両方で検出されるバンドが目的のポリペ
プチドである。目的ポリペプチドの精製は、例えば次の
ように行う。組換え大腸菌をL−ブロス等の培地に培養
し、集菌した後、超音波処理により、菌体破砕液を得、
これを遠心分離して上清を得る。上清を透析後、DEAEイ
オン交換体のカラムを通過させ、次いでCMイオン交換
体及び/又はヘパリン−アガロース等のアフィニティク
ロマトを行う。以上の操作により、目的のポリペプチド
を精製することができる。
【0017】得られたポリペプチドは、BHKやNRK
細胞に対する細胞伸展活性の測定及びヘパリン結合活性
の測定に用いられる。細胞伸展活性の測定は、例えばル
オスラティ( Ruoslahti )らの方法〔メソッズ イン
エンザイモロジー( Methodsin Enzymology ) 、第82
巻、第 803〜831 頁(1981) 〕に準じて行う。すなわ
ち、試料をコートした後、BSAでブロッキングしたマ
イクロタイタープレートに、BHK又はNRK細胞の懸
濁液を添加し、37℃で約1時間インキュベートした後、
未吸着の細胞を洗浄した後、ホルマリン固定して、伸展
した細胞の割合を顕微鏡下に測定することにより、細胞
伸展の強さを測定することができる。一方、ヘパリン結
合活性は、ヘパリンを結合した担体、例えばAF−ヘパ
リントヨパール(東ソー)のカラムに試料を吸着させ、
NaClの塩濃度を上昇させて溶出させ、溶出された塩濃度
により、ヘパリンへの結合能力を示すことができる。以
上の測定により、得られたポリペプチドが、BHKやN
RK細胞に対して強い細胞伸展活性を示すと共に、ヘパ
リンに対しても強い親和性を示すことが証明される。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0019】実施例1 FNのヘパリン結合ドメインAla1690-Thr1960 ( 271ア
ミノ酸残基、以下H-271 と略称する)をコードするcDNA
断片のクローニング(図1参照) (1-1) 合成 DNAアダプターの調製 ヘパリン結合ドメインのcDNA断片をベクターに接続する
ための5′側(鎖長63及び55、図1参照)及び3′側
(鎖長25及び33、図1参照)のアダプターをアプライド
バイオシステムズ社の DNA合成機を用いて合成した。各
々2μg の5′末端をリン酸化した後、アニーリング操
作により、2重鎖とした。 (1-2) NcoI-SacI断片の調製 FNのH-271 をコードするcDNA断片を含む 5.9kbのプラ
スミドpLF2435 〔バイオケミストリー第25巻、第4936〜
4941頁(1986)〕100 μg をBamHI及び SacIで分解し、
アガロースゲル電気泳動にかけ、1.2 kbの断片を回収し
た。この断片を更に Hae II で分解し、アガロースゲル
電気泳動にかけ、0.46kbの Hae II-SacI断片を回収し
た。この断片700 ngと(1-1) で得た5′側アダプター 1
20ngをT4DNAリガーゼ用バッファー、0.5mM ATP 、10mMD
TT 及び 2.8ユニットのT4 DNAリガーゼを含む20μl の
反応液中、16℃、一夜インキュベートした。反応液を65
℃、10分処理した後、Nco I及び SacIで分解し、アガ
ロースゲル電気泳動にかけ、0.52 kb の NcoI-SacI断
片約 120ngを回収した。 (1-3) SacI- BamHI断片の調製 上記プラスミドpLF2435 の100 μg をEcoO 109I及び S
acIで分解し、アガロースゲル電気泳動にかけ、0.52kb
の断片を回収した。この断片を、更に Ban II で分解
し、アガロースゲル電気泳動にかけ、0.27kbの SacI-B
an II 断片を回収した。この断片 400ngと(1-1) で得た
3′側アダプター80ngをT4 DNAリガーゼ用バッファー、
0.5 mM ATP、10 mM DTT 及び2.8 ユニットのT4 DNAリガ
ーゼを含む20μl の反応液中、16℃、一夜インキュベー
トした。反応液を65℃、10分処理した後、BamHI及び S
acIで分解し、アガロースゲル電気泳動にかけ、0.30kb
の SacI- BamHI断片約65ngを回収した。 (1-4) NcoI- BamHI断片の調製 (1-2) で得た NcoI-SacI断片 120ngと(1-3) で得た S
acI- BamHI断片65ngをT4 DNA リガーゼ用バッファ
ー、0.5mM ATP 、10mM DTT及び 2.8ユニットのT4DNAリ
ガーゼを含む20μl の反応液中、16℃、一夜インキュベ
ートした。反応液を65℃、10分処理した後、BamHI及び
NcoIで分解し、アガロースゲル電気泳動にかけ、0.82
kbの NcoI- BamHI断片約28ngを回収した。
【0020】(1-5) pUC118NTの構築 分泌型発現ベクター pIN III-ompA1〔ジ エンボ ジャ
ーナル、第3巻、第2437〜2442頁(1984)〕1μg をBamH
I及び SalIで分解し、アガロースゲル電気泳動にか
け、lpp ターミネーター配列を含む0.95kbのBamHI-Sal
I断片を回収した。この断片30ngをあらかじめBamHI及
び SalIで分解して脱リン酸したプラスミドpUC118N 30
ngと共にT4 DNAリガーゼ用バッファー、0.5 mM ATP、10
mM DTT 及び 2.8ユニットのT4 DNAリガーゼを含む20μ
l の反応液中、16℃、一夜インキュベートした。反応液
10μl を用いて大腸菌 HB101を形質転換し、lpp ターミ
ネーター配列をもつプラスミドを得、pUC118NTと命名し
た。なお、pUC118N は、市販のpUC118ベクター〔宝酒造
(株)販売〕の翻訳開始コドン部位に NcoIサイトを導
入し、更にリボソーム結合部位と開始コドンの距離を8
塩基にしたものである。
【0021】(1-6) NcoI- BamHI断片のpUC118NTへの
クローニング (1-5) で得たプラスミドpUC118NT 0.1μg を NcoI及び
BamHIで分解後、脱リン酸した。このプラスミド20ngを
(1-4) で得た NcoI- BamHI断片 20ng と共にT4 DNAリ
ガーゼ用バッファー、0.5mM ATP 、10 mM DTT 及び2.8
ユニットのT4 DNAリガーゼを含む20μl の反応液中、16
℃、一夜インキュベートした。この反応液10μlを大腸
菌 HB101の形質転換に使用した。
【0022】(1-7) 大腸菌の形質転換とプラスミドの確
認 (1-6) で得た反応液10μl を用いて、大腸菌 HB101を形
質転換した。得られた形質転換体中18クローンについて
プラスミドの分析を行った。すなわち、ラピッド法で調
製したプラスミドをBamHI及び NcoIで分解し、アガロ
ースゲル電気泳動にかけ、予想される NcoI- BamHI断
片(0.82kb) のバンドの生成を調べた。その結果、1ク
ローンに目的のバンドが認められた。また、ダイデオキ
シ法により塩基配列を決定し、目的の配列を含むことを
確認した。この組換体プラスミドをpHD 101 と命名し
た。また、このプラスミドを保持する大腸菌HB101 をEs
cherichia coli HB101/pHD101と表示し、通商産業省工
業技術院微生物工業技術研究所に寄託した〔微工研条寄
第2264号( FERM BP-2264)〕。
【0023】(1-8) 組換体からのペプチドの精製 (1-7) で得たEscherichia coli HB101/ pHD101を50μ
g/mlのアンピシリンを添加した5mlのL−ブロスを含む
試験管で37℃、一夜振とう培養した。これを 500mlの同
培地を含む2リットルの三角フラスコに接種し、100rpm
で培養を続けた。660nm の吸光度が 0.3の時点で2mMの
IPTG(イソプロピル−β−チオガラクシド)を添加し、
20時間後に集菌した。菌体の一部を用いてイムノブロッ
ティングを行った。すなわち、全菌体タンパク質をSDS-
PAGEで分離し、泳動パターンをニトロセルロースメンブ
ランに転写した後、FNのヘパリン結合ドメインを特異
的に認識するモノクローナル抗体( IST-1、セラーラブ
社販売)を作用させ、次いでパーオキシダーゼ標識第2
抗体を作用させた。結合した第2抗体のパーオキシダー
ゼ活性を4−クロロ−1−ナフトールと過酸化水素の存
在下で発色させ、29kD付近に目的のペプチドが生産され
ていることを確認した。次に、全菌体ペレットを20mM K
2HPO4 (pH 7.0)、1mM EDTA 、5mMメルトカプトエタノ
ール、3μMパラアミジノフェニルメタンスルホニルフ
ルオライド(p-APMSF)を含む溶液に懸濁して、超音波処
理を行った。12000 rpm で20分遠心して、上清25mlを得
た。これを、20mM K2HPO4 (pH 7.0)バッファーで平衡化
したCM−トヨパール 650Mのカラム(15ml)に通し
た。同一バッファーで非吸着画分を除いた後、0.15M N
aCl を含む20mM K2HPO4 (pH 7.0)バッファーで溶出し、
分画した。溶出液のイムノブロッティングを行い、目的
画分を集めた。次にこの画分を0.15M NaCl を含む20mM
K2HPO4 ( pH 7.0)バッファーで平衡化したヘパリン−
トヨパール 650Mのカラム(80ml)に通した。カラムを
0.2M NaCl を含む20 mM K2HPO4 (pH 7.0)バッファー
で洗浄後、20 mM K2HPO4 (pH 7.0) バッファー中、0.2
M NaCl から0.45M NaCl の直線濃度勾配による溶出を
行い、分画した。イムノブロッティングにより目的画分
を集め、脱塩、凍結乾燥して、電気泳動的にほぼ単一な
ペプチド約20mgを得た。ABI社のペプチドシーケンサ
ー477A/120Aを用いて、本ペプチドのN末端からのアミ
ノ酸配列を調べたところ、Ala -Ile-Pro-Ala-Pro-Thr-A
sp-Leuの配列が認められ、目的のペプチドのN末端配列
と一致した。また、カルボキシペプチダーゼP(宝酒
造)消化法により、C末端はThr であることが確認され
た。
【0024】実施例2 FNのIIIcs 領域の一部(Asp1961-Thr1985、25アミノ酸
残基)を含むヘパリン結合ドメイン(Ala1690-Th
r1985 、296 アミノ残基、以下H-296 と略称する)をコ
ードするcDNA断片のクローニング(図2参照) (2-1) Ban II −BamHI断片の調製 FNのIIIcs の CS1領域〔ジャーナル オブセル バイ
オロジー( J. Cell Bio.)第103 巻、第2637〜2647頁(1
986)〕をコードするDNA 断片を含む合成 DNA(鎖長77及
び78、図2参照)をアプライドバイオシステムズ社のDN
A 合成機を用いて合成した。各々2μg の5′末端をリ
ン酸化した後、アニーリング操作により、相補的な配列
部分を2重鎖とした。このDNA を7mMトリス(Tris)-HCl
( pH 7.5 )、0.1mM EDTA、20mM NaCl 、7mM MgCl
2 、0.1mM dATP、dGTP、dCTP、dTTP及び2 ユニットのク
レノウ酵素を含む 100μl の反応液中、37℃、30分イン
キュベートした。70℃、5分で反応を停止した後、BamH
I及び Ban II で分解し、アガロースゲル電気泳動にか
け、0.11kbの Ban II −BamHI断片約 400ngを回収し
た。 (2-2) SacI- BamHI断片の調製 (2-1) で得た Ban II- BamH I断片 200ngと、(1-3) で
得た0.27kbの SacI-Ban II断片490 ngをT4 DNA リガ
ーゼ用バッファー、0.5mM ATP 、10mM DTT及び2.8ユニ
ットのT4 DNA リガーゼを含む20μl の反応液中、16
℃、一夜インキュベートした。反応液を65℃、10分処理
した後、BamHI及び SacIで分解し、アガロースゲル電
気泳動にかけ、0.38kbのSac I-BamH I断片約 100ngを
回収した。 (2-3) pHD101の SacI-BamH I断片(ベクター断片)の
調製 H-271 をコードするプラスミドpHD101の1μg を SacI
及びBamHIで分解し、脱リン酸した後、アガロースゲル
電気泳動にかけ、4.6kb の SacI- BamHIベクター断片
約280 ngを回収した。
【0025】(2-4) SacI- BamHI断片とベクターの結
合 (2-2)で得た0.38kbの SacI- BamHI断片50ngと、(2-3)
で得た4.6 kbの SacI- BamHIベクター断片20ngをT4
DNAリガーゼ用バッファー、0.5mM ATP 、10mM DTT及び
2.8ユニットのT4 DNAリガーゼを含む20μl の反応液
中、16℃、一夜インキュベートした。この反応液10μl
を大腸菌HB101 の形質転換に使用した。 (2-5) 大腸菌の形質転換とプラスミドの確認 (2-4) で得た反応液10μl を用いて大腸菌HB101 を形質
転換した。得られた形質転換体中12クローンについてプ
ラスミドの分析を行った。すなわち、ラピット法で調製
したプラスミドをBamHI及び NcoIで分解し、アガロー
スゲル電気泳動にかけ、予想される NcoI−BamHI断片
(0.9kb)のバンドの生成を調べた。その結果、1クロー
ンに目的のバンドが認められた。また、ダイデオキシ法
により塩基配列を決定し、目的の配列を含むことを確認
した。この組換体プラスミドをpHD102と命名した。ま
た、このプラスミドを保持する大腸菌HB101 をEscheric
hia coli HB101 /pHD102と表示し、工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託した〔微工研菌寄第 10721号(FER
M P-10721)〕。
【0026】(2-6) 組換体からのペプチドの精製 (2-5)で得たEscherichia coli HB101/pHD 102 を、(1-
8) と同様の方法で培養、精製し、500 mlの培養液から
電気泳動的にほぼ単一なペプチド約5mgを得た。ABI
社のペプチドシーケンサー477A/120Aを用いて、本ペプ
チドのN末端からのアミノ酸配列を調べたところ、目的
のペプチドのN末端配列と一致した。また、カルボキシ
ペプチダーゼP消化法により、C末端はThr であること
が確認された。
【0027】実施例3 FNの細胞接着ドメインPro1239-Ser1515 ( 277アミノ
酸残基)とH-271 との融合タンパク質をコードするcDNA
断片のクローニング(図3参照) (3-1) 細胞接着ドメインPro1239-Ser1515 (277アミノ酸
残基)をコードするプラスミドの構築 特開平1−206998号公報に記載されている組換体プラス
ミドpTF7021 の翻訳領域の終止コドンの直前に部位特異
的変異の手法により、 NcoIサイトを導入したプラスミ
ドを構築した。pTF7021 への NcoIサイトの導入は、オ
リゴヌクレオチドd〔pCTATTACACCATGGATGGTTTG 〕を合
成し、サイト−ダイレクテッド ミュータジェネシス
システム ミュータン−K( Site-directed mutagenes
issystemMutan−K)〔宝酒造(株)販売〕を用いて行
った。この NcoIサイトの導入に伴い細胞接着ドメイン
のC末端のGln1516-Met1517 は Met1516-Val1517に置き
換わっている(図3参照)。得られたプラスミドをpTF7
520 と命名した。 (3-2) pHD101の NcoI-Hinc II断片の調製 (1-7) で得た組換体プラスミド pHD101 の1μg を Nco
I及びHinc II で分解し、アガロースゲル電気泳動にか
け、1.77kbの NcoI- Hinc II 断片約100ng を回収し
た。
【0028】(3-3) pHD101の NcoI- Hinc II 断片のpT
F7520 へのクローニング (3-1) で得たプラスミドpTF7520 を NcoI及びHinc II
で分解後、脱リン酸した。このプラスミド50ngを(1-2)
で得た NcoI- Hinc II 断片50ngと共にT4 DNAリガーゼ
用バッファー、0.5mM ATP 、10mM DTT及び 2.8ユニット
のT4DNA リガーゼを含む20μl の反応液中、16℃、一夜
インキュベートした。この反応液10μlを用いて大腸菌
HB101を形質転換し、FNの細胞接着ドメインPro1239-S
er1515(277アミノ酸残基)とH-271 が Metを介して結合
した融合タンパク質( C277-Met-H271)を発現するプラス
ミドを得、pCH101と命名した。また、このプラスミドを
保持する大腸菌HB101 を Escherichia coli HB101/pCH
101と表示し、通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所に寄託した〔微工研条寄第2799号(FERM BP-279
9)〕。
【0029】(3-4) pCH101からの介在配列(ATG) の除去 (3−3)で得たプラスミドpCH101によって発現される融合
タンパク質( C277-Met-H271) の細胞接着ドメインPro
1239-Ser1515( 277アミノ酸残基)とH-271 の間には Me
tが付加されている。この Metに対応する配列(ATG) を
部位特異的変異の手法により除去した。pCH 101 からの
介在配列(ATG) の除去は、オリゴヌクレオチドd〔pAGGA
ATAGCGGATGGTTT 〕を合成し、サイト−ダイレクテッド
ミュータジェネシスシステム ミュータン−K〔宝酒
造(株)販売〕を用いて行った。その結果、細胞接着ド
メインPro1239-Ser1515( 277アミノ酸残基)とH-271 が
直接結合した融合タンパク質( C277-H271) を発現する
プラスミドを得、pCH201と命名した。 (3-5) 組換体からのペプチドの精製 (3-3) で得た Escherichia coli HB101/pCH 101 を(1-
8) と同様の方法で培養し、500 mlの培養菌体から抽出
液を得た。FNの細胞接着ドメインを認識するモノクロ
ーナル抗体(FN-10 、宝酒造) 及び前記モノクローナル
抗体IST-1 の両方に反応する画分を(1-8) と同様の方法
で精製して15mgの精製品を得た。本ペプチドのN末端配
列は目的ペプチドの配列と一致した。また、カルボキシ
ペプチダーゼP消化法により、C末端はThr であること
を確認した。
【0030】実施例4 FNの細胞接着ドメインPro1239-Ser1515 (277アミノ酸
残基)とH-296 との融合タンパク質をコードするcDNA断
片のクローニング(図4参照) (4-1) pHD102の NcoI- Hinc II 断片の調製 (2-5) で得られた組換体プラスミドpHD 102 の1μg を
NcoI及びHinc II で分解し、アガロースゲル電気泳動
にかけ、1.84kbの NcoI- Hinc II 断片約100ng を回収
した。 (4-2) pHD102の NcoI- Hinc II 断片のpTF7520 へのク
ローニング (3-1) で得たプラスミドpTF7520 を NcoI及びHinc II
で分解後、脱リン酸した。このプラスミド50ngを(4-1)
で得た NcoI- Hinc II 断片50ngと共にT4 DNAリガーゼ
用バッファー、0.5mM ATP 、10mM DTT及び28ユニットの
T4 DNA リガーゼを含む20μl の反応液中、16℃、一夜
インキュベートした。この反応液10μlを用いて大腸菌H
B101 を形質転換し、FNの細胞接着ドメインPro1239-S
er1515(277アミノ酸残基)とH-296 が Metを介して結合
した融合タンパク質( C277-Met-H296) を発現するプラ
スミドを得、pCH102と命名した。また、このプラスミド
を保持する大腸菌HB101 をEscherichia coli HB101/pCH
102 と表示し、通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所に寄託した〔微工研条寄第2800号(FERM BP-2800
)〕。
【0031】(4-3) pCH102からの介在配列(ATG) の除去 (4-2) で得たプラスミドpCH102によって発現される融合
タンパク質( C277-Met-H296) の細胞接着ドメインPro
1239-Ser1515 (277アミノ酸残基)とH-296 の間には Me
tが付加されている。この Metに対応する配列(ATG) の
除去を(3-4) と同様の方法で行った。その結果、細胞接
着ドメインPro1239-Ser1515 (277アミノ酸残基)とH-29
6 が直接結合した融合タンパク質( C277-H296) を発現
するプラスミドを得、pCH202と命名した。 (4-4) 組換体からのペプチドの精製 (4-2) で得たEscherichia coli HB101/pCH102 を(3-5)
と同様の方法で培養、精製し、500 mlの培養液から、電
気泳動的にほぼ単一なペプチド約6mgを得た。N末端配
列分析及びC末端分析の結果は目的ペプチドのものと一
致した。
【0032】実施例5 生物活性の測定 前記実施例1〜4で得られた各ポリペプチドを用いて細
胞接着活性及びヘパリン結合活性を測定した。細胞接着
活性は、ルオスラティらの方法〔メソッズ イン エン
ザイモロジー、第82巻、第803 〜831 頁(1981)〕に準じ
て測定した。試料を蒸留水、PBS(リン酸緩衝化生理
食塩水)等に溶かし、96穴マイクロプレート上で階段的
に希釈した。4 ℃、2 時間インキュベートして、試料を
プレート上に吸着させた(50μl /ウエル)。3%BS
A(牛血清アルブミン)を含むPBS溶液を 100μl /
ウエル加え、37℃、1時間インキュベートしてプレート
をブロックした。PBSでプレートを洗浄後、あらかじ
めダルベッコ(Dulbecoo's) イーグル最小栄養培地(DME
M)に5×105 細胞/mlとなるように懸濁させたベビーハ
ムスター腎細胞(BHK-21) を100 μl /ウエル分注し、
37℃、1 時間インキュベートした。なお使用したBHK-21
細胞は、凍結保存した株を継代培養後、トリプシン処理
(37℃、5分) したものを用いた。PBSでプレートを
洗浄後、3%ホルマリン溶液で細胞をプレート上に固定
した。顕微鏡下でBHK-21細胞の伸展を観察し、伸展細胞
数が、n-FNの高濃度における伸展細胞数の50%となる試
料の濃度( ED50)を求め細胞接着活性の指標とした。ヘ
パリン結合活性の測定は以下のようにした。20 mM リン
酸バッファー(pH 7.0) で平衡化したAFヘパリン−ト
ヨパール 650Mのカラム(1.5ml) に試料を乗せ、バッフ
ァー中のNaCl濃度を段階的に上昇させ、溶出される塩濃
度によりヘパリンへの結合力を表した。以上の方法で各
試料の生物活性を測定した結果を表1に示す。
【0033】
【表1】 表 1 ─────────────────────────── 試 料 細胞伸展活性 ヘパリン結合活性 ED50(nmol/ml) (溶出塩濃度、mM) ─────────────────────────── H-271 なし 300 H-296 41 300 C277-Met-H271 0.176 300 C277-Met-H296 0.084 300 ───────────────────────────
【0034】
【発明の効果】以上述べてきたごとく、本発明により、
ヘパリン結合活性を持つ新規ポリペプチドをコードする
遺伝子、及び該ポリペプチドの製造法が提供される。こ
のポリペプチドは細胞とヘパラン硫酸などの細胞外マト
リックスとの結合の仲立ちをし、創傷治癒等に役立つ有
用なタンパク質である。
【図面の簡単な説明】
【図1】H-271 を発現するプラスミドpHD101を構築する
ための工程図である。
【図2】H-296 を発現するプラスミドpHD102を構築する
ための工程図である。
【図3】C277-Met-H271 を発現するプラスミドpCH101を
構築するための工程図である。
【図4】C277-Met-H296 を発現するプラスミドpCH102を
構築するための工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 38/00 ADT A61K 37/02 ADT (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 後藤 晶一 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 君塚 房夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(化1)で示されるアミノ酸配列
    で表されることを特徴とする機能性ポリペプチドをコー
    ドする遺伝子。 【化1】 Ala Ile Pro Ala Pro Thr Asp Leu Lys Phe Thr Gln Val Thr Pro Thr Ser Leu Ser Ala Gln Trp Thr Pro Pro Asn Val Gln Leu Thr Lys Phe Arg Val Arg Val Thr Pro Lys Glu Lys Thr Gly Pro Met Lys Glu Ile Asn Leu Ala Pro Asp Ser Ser Ser Val Val Val Ser Gly Leu Met Val Ala Thr Lys Tyr Glu Val Ser Val Tyr Ala Leu Lys Asp Thr Leu Thr Ser Arg Pro Ala Gln Gly Val Val Thr Thr Leu Glu Asn Val Ser Pro Pro Arg Arg Ala Arg Val Thr Asp Ala Thr Glu Thr Thr Ile Thr Ile Ser Trp Arg Thr Lys Thr Glu Thr Ile Thr Gly Phe Gln Val Asp Ala Val Pro Ala Asn Gly Gln Thr Pro Ile Gln Arg Thr Ile Lys Pro Asp Val Arg Ser Tyr Thr Ile Thr Gly Leu Gln Pro Gly Thr Asp Tyr Lys Ile Tyr Leu Tyr Thr Leu Asn Asp Asn Ala Arg Ser Ser Pro Val Val Ile Asp Ala Ser Thr Ala Ile Asp Ala Pro Ser Asn Leu Arg Phe Leu Ala Thr Thr Pro Asn Ser Leu Leu Val Ser Trp Gln Pro Pro Arg Ala Arg Ile Thr Gly Tyr IIe Ile Lys Tyr Glu Lys Pro Gly Ser Pro Pro Arg Glu Val Val Pro Arg Pro Arg Pro Gly Val Thr Glu Ala Thr Ile Thr Gly Leu Glu Pro Gly Thr Glu Tyr Thr Ile Tyr Val Ile Ala Leu Lys Asn Asn Gln Lys Ser Glu Pro Leu Ile Gly Arg Lys Lys Thr
  2. 【請求項2】 請求項1記載の遺伝子を含有する組換体
    プラスミド。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のプラスミドで形質転換さ
    れた形質転換体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の形質転換体を培養し、該
    培養物から請求項1記載の機能性ポリペプチドを採取す
    ることを特徴とする機能性ポリペプチドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6289699A (ja) * 1985-06-28 1987-04-24 デルタ バイオテクノロジ− リミテツド フイブロネクチン

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