JPH0827473A - 潤滑剤 - Google Patents

潤滑剤

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JPH0827473A
JPH0827473A JP18625394A JP18625394A JPH0827473A JP H0827473 A JPH0827473 A JP H0827473A JP 18625394 A JP18625394 A JP 18625394A JP 18625394 A JP18625394 A JP 18625394A JP H0827473 A JPH0827473 A JP H0827473A
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JP
Japan
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acid
fatty acid
ester
alcohol
group
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JP18625394A
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English (en)
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Tsutomu Kusakawa
勉 草川
Yoshiyuki Ito
芳幸 伊藤
Yoshihiro Yamada
義浩 山田
Yukari Taketsuji
由佳里 竹辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ITOH OIL Manufacturing
Itoh Seiyu KK
Original Assignee
ITOH OIL Manufacturing
Itoh Seiyu KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生分解性を有する潤滑剤であって、縮合度の
調節により粘度や不揮発性を自在に調節することがで
き、高温下にあっても熱酸化安定性が良好であり、従っ
て高荷重条件下や高温下にあってもすぐれた潤滑性能を
発揮し、水と共存条件下にあっても耐加水分解性が顕著
に良好で、粘度指数が大きいので温度変化に対する安定
性もあり、さらには完全に油溶性のものから分散性や水
和性を有するものまで任意に設計できる潤滑剤を提供す
ることを目的とする。 【構成】 OH基を有する脂肪酸同士またはOH基を有
する脂肪酸とOH基を有しない脂肪酸とが縮合した2量
体以上のオキシ脂肪酸オリゴマーであるエストリド(A)
とヒンダードアルコール(B) とのエステル(AB)を必須成
分とする潤滑剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エストリド(オキシ脂
肪酸オリゴマー)とヒンダードアルコールとのエステル
を必須成分とする潤滑剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナタネ油、ヒマシ油、大豆油、パーム
油、牛脂、鯨油などの動植物油は、古くから潤滑性素材
として使用されている。これらの動植物油は、天然物で
あるので生分解性を有するという特長がある反面、熱酸
化安定性が低くかつ耐加水分解性も劣るため、過酷な条
件下で用いる潤滑性素材としては必ずしも適していると
は言えない。
【0003】そこで、生分解性を有しかつ熱酸化安定性
の良好な潤滑性素材として、グリセリンと類似の構造を
有するヒンダードアルコールと脂肪酸とのエステルにつ
き検討がなされている。
【0004】たとえば、特公昭44−29556号公報
には、トリメチロールアルカンの脂肪酸ジエステルまた
はトリエステルを主要成分として含有し、これに乳化剤
として界面活性剤を配合した繊維処理用油剤が示されて
いる。ここでトリメチロールアルカンの例はトリメチロ
ールプロパンやトリメチロールエタンであり、脂肪酸の
例はn−オクタン酸、n−デカン酸、ヤシ油脂肪酸、ラ
ウリン酸、イソオクタン酸である。
【0005】特公昭48−27867号公報には、ネオ
ペンタン骨格を持つ多価アルコールと、脂肪族カルボン
酸、芳香族カルボン酸またはナフテン酸とより合成され
るエステルであって、少なくとも多価アルコール中のヒ
ドロキシル基を1個以上残した合成エステルからなるネ
オペンチルポリオール誘導体金属圧延油が示されてい
る。ここでネオペンタン骨格を持つ多価アルコールの例
は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトールである。脂肪族カルボン酸の例は
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、芳香族カルボン
酸の例は安息香酸である。
【0006】特開昭56−14591号公報には、ヒマ
シ油系化合物と多官能性化合物との反応によって得られ
る化合物を用いた高圧下圧延用金属圧延油が示されてお
り、その実施例には、ヒマシ油とステアリン酸との反応
物にセバシン酸を反応させて得たポリエステル、ヒマシ
油とステアリン酸との反応物にアゼライン酸を反応させ
て得たエステル、ヒマシ油とステアリン酸およびダイマ
ー酸との反応物などがあげられている。
【0007】「油脂、Vol. 32, No. 8, 32-37 (1979)」
には、「脂肪酸エステル 新合成潤滑剤への関心高ま
る」と題する記事が掲載されており、合成潤滑油とし
て、ネオペンチルポリオール(ネオペンチルグリコー
ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)
と脂肪酸とのエステルが、熱分解温度が高く、酸化安定
性もすぐれており、高温・高圧下での過酷な条件下での
使用に耐えうることが記載されている。
【0008】なおオキシ脂肪酸オリゴマーであるエスト
リドとアルコールとのエステルについては、特開平6−
9913号公報(縮合ヒドロキシ脂肪酸と多価アルコー
ルとのエステルからなる分散剤を用いたインク組成
物)、特開平5−78673号公報(縮合12−ヒドロ
キシステアリン酸と多価アルコールとのエステルからな
る燃料油用流動性改良剤)、特開昭57−93932号
公報(オキシ脂肪酸の分子間オリゴエステルと脂肪族1
価アルコールとのエステルを含む化粧料)などに開示が
あり、また食品分野においては縮合ヒマシ油脂肪酸ポリ
グリセリンエステルにつき多数の出願がなされている
が、潤滑剤については全く意図されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、ヒンダ
ードアルコールと脂肪酸とのエステルは、従来の動植物
油に比し、潤滑性素材として好ましいものであるという
ことができる。
【0010】しかしながら、ヒンダードアルコールと脂
肪酸とのエステルにあっても、最近の過酷な条件を伴な
う工業的用途には対処しえなくなってきている。たとえ
ば、紡糸用潤滑剤の用途にあっては、高速紡糸に際して
発煙を生ずることがある。金属加工油にあっては、水と
共存条件で加水分解を起こす傾向がある。
【0011】これらのトラブルを回避するには、ヒンダ
ードアルコールと脂肪酸とのエステルをさらに高分子に
することが考えられるが、天然の脂肪酸で安価に大量に
供給できるものは精々炭素数22位までであり、問題点
を解決するには至らない。脂肪酸としてダイマー酸を用
いたり二塩基酸架橋を行ったりした場合も、耐加水分解
性の点で見劣りがする。
【0012】本発明は、このような背景下において、生
分解性を有する潤滑剤であって、縮合度の調節により粘
度や不揮発性を自在に調節することができ、高温下にあ
っても熱酸化安定性が良好であり、従って高荷重条件下
や高温下にあってもすぐれた潤滑性能を発揮し、水と共
存条件下にあっても耐加水分解性が顕著に良好で、粘度
指数が大きいので温度変化に対する安定性もあり、さら
には完全に油溶性のものから分散性や水和性を有するも
のまで任意に設計できる潤滑剤を提供することを目的と
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の潤滑剤は、OH
基を有する脂肪酸同士またはOH基を有する脂肪酸とO
H基を有しない脂肪酸とが縮合した2量体以上のオキシ
脂肪酸オリゴマーであるエストリド(A) とヒンダードア
ルコール(B) とのエステル(AB)を必須成分とするもので
ある。
【0014】以下本発明を詳細に説明する。
【0015】〈エストリド(A) 〉OH基を有する脂肪酸
としては、好適には、主成分がリシノール酸であるヒマ
シ油脂肪酸、主成分が12−ヒドロキシステアリン酸で
ある水添ヒマシ油脂肪酸が用いられ、これらの混合物で
あってもよい。
【0016】上記のOH基を有する脂肪酸同士またはO
H基を有する脂肪酸とOH基を有しない脂肪酸とを縮合
反応させれば、2量体以上のオキシ脂肪酸オリゴマーで
あるエストリドが得られる。
【0017】ここでOH基を有しない脂肪酸としては、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、
リノール酸、リノレン酸などがあげられ、これらの成分
を含むヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、オリーブ油脂肪
酸、牛脂脂肪酸、水添牛脂脂肪酸なども用いることがで
きる。なお、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、
カプリル酸、カプリン酸などの低級ないし中級の脂肪酸
も用いることができるが、その場合はエストリドとした
ときの脂肪酸残基の炭素数が合計で36以上となるよう
にすることが好ましい。
【0018】上述のエストリド(つまりオキシ脂肪酸オ
リゴマー)は2量体から7量体までが適当であり、さら
に多量体とすることもできる。なお用途によっては1量
体が混在していても差し支えないが、この場合でも全体
を平均した場合には 1.3量体以上、殊に 1.5量体以上、
さらには 1.8量体以上、特に好ましくは 2.0量体以上と
なるように留意する。2量体以上のエストリドの割合が
余りに少ないときは、潤滑性能が不足するようになる。
【0019】このエストリドは、OH基を有する脂肪
酸、またはこれとOH基を有しない脂肪酸とを、不活性
ガス雰囲気下において180〜240℃程度の温度条件
下(特に還流条件下)に加熱することにより得られる。
この場合、系にキシレン等を共存させ、副生する水を共
沸により系外に除去することが好ましい。触媒は通常は
必要ではないが、パラトルエンスルホン酸、硫酸などの
触媒を存在させても差し支えない。
【0020】〈ヒンダードアルコール(B) 〉ヒンダード
アルコールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール、ネオペンチ
ルグリコール、トリメチロールエタンが好適に用いられ
る。また、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコー
ル、ゲルベ反応によるアルコールなども用いられる。こ
れらのヒンダードアルコールは、2種以上を併用するこ
ともできる。
【0021】〈エステル(AB)〉上に述べたエストリド
(A) とヒンダードアルコール(B) とのエステル化反応
は、パラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、リン酸、ナ
トリウムメチラート、塩化亜鉛などの触媒の存在下に、
不活性ガス雰囲気中で温度170〜220℃程度の温度
条件下に加熱反応させればよい。
【0022】エストリド(A) とヒンダードアルコール
(B) との使用割合は、ヒンダードアルコール(B) のOH
基の50%以上がエステル化されるようにすることが望
ましい。全てのOH基がエステル化された方が潤滑性能
の点では望ましいことが多いが、分散性や水和性などの
副機能が要求される場合は、いくらかのOH基が未反応
で残っている方が有効なこともある。エストリド(A) の
縮合度が3以上、さらには4以上、殊に5以上の場合に
は、ヒンダードアルコール(B) のOH基の半分が未反応
で残っていても潤滑性能のマイナスが問題とならないこ
とが多い。
【0023】〈用途〉上述のエステル(AB)からなる本発
明の潤滑剤は、それ単独であるいは他の潤滑剤と併用し
て、自動車エンジンオイル、作動油、チェーンソー用潤
滑油、2サイクル機関用潤滑油、グリース、紡糸用潤滑
剤、圧延油、冷凍機油、空気圧縮機油、食品製造機械用
潤滑油をはじめ、潤滑性能が要求される種々様々の用途
に用いることができる。冷凍機の冷媒は最近では代替フ
ロンに移行しているが、本発明の潤滑剤はこのような冷
媒の変更にも対処しうる。
【0024】
【作用】本発明においては、OH基を有する脂肪酸が分
子内にOH基とCOOH基との双方を有していることを
利用して、OH基を有する脂肪酸同士またはOH基を有
する脂肪酸とOH基を有しない脂肪酸とを縮合させて2
量体以上のエストリド(A) を得、このエストリド(A) を
ヒンダードアルコール(B) とエステル化反応させてエス
テル(AB)を得るようにしている。
【0025】このようにして得られたエステル(AB)は、
原料として脂肪酸を用いているため生分解性を有する
上、通常の脂肪酸とヒンダードアルコールとのエステル
と比較すると、分子量を縮合度の調節により自在に高く
することができる点(従って、粘度や不揮発性を自在に
調節することができる点)、高温下にあっても熱酸化安
定性が良好である点、従って高荷重条件下や高温下にあ
ってもすぐれた潤滑性能を発揮する点、耐加水分解性が
顕著にすぐれている点で格段にすぐれている。このよう
な性質を全て兼ね備えていることは、ヒマシ油を含む天
然油はもとより、従来の脂肪酸とヒンダードアルコール
とのエステルによっては到底期待しえないところであ
る。
【0026】また低温流動性を有する上、粘度指数が大
きいので温度変化に対する粘度安定性もあり、パラフィ
ン系炭化水素等の無極性素材との相溶性、低刺激性・低
毒性などの性質も良好である。
【0027】加えて、縮合度の調節、エステル化度の調
節により、用途に応じた潤滑性能を得ることができるこ
とはもとより、完全に油溶性のものから分散性や水和性
を有するものまで任意の性質のものを得ることができ、
多種の要求に自在に対処しうるという設計上の利点もあ
る。
【0028】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。
【0029】〈エステルの製造〉 実施例1 撹拌機、温度計、窒素導入管、検水管付き還流コンデン
サを備えた反応器に、酸価178の水添ヒマシ油脂肪酸
906gと還流補助のためのキシレン60mlを仕込み、
窒素気流下200〜220℃で10時間反応させた。こ
の間、縮合反応により生成する水は共沸により系外に留
去させた。これにより、酸価58のエストリド(A) が得
られた。このエストリド(A) は、水添ヒマシ油脂肪酸の
3量体に相当するものである。
【0030】続いて反応器に、ヒンダードアルコール
(B) の一例としてのトリメチロールプロパン70g(0.
52モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸
1.0gを加えて180〜200℃で7時間反応させ、さ
らにカプリル酸40g(0.28モル)を加えて同温度にて
5時間反応させた。反応終了後、減圧にて未反応のカプ
リル酸を回収した。
【0031】これにより、目的とするエステル(AB)が得
られた。このエステル(AB)は淡黄褐色の液体であった。
【0032】実施例2 水添ヒマシ油脂肪酸の仕込み量を1208g、キシレン
の仕込み量を80mlとしたほかは実施例1を繰り返し、
水添ヒマシ油脂肪酸の2量体に相当する酸価89のエス
トリド(A) を得た。
【0033】ついで反応器に、ヒンダードアルコール
(B) の一例としてのペンタエリスリトール63g(0.46
モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸 1.3
gを加えて180〜200℃で7時間反応させた。これ
により、油状のエステル(AB)が得られた。
【0034】実施例3 実施例1と同様にして水添ヒマシ油脂肪酸906gから
3量体に相当するエストリド(A) を得た後、ヒンダード
アルコール(B) の一例としての2−エチルヘキサノール
150g( 1.1モル)および触媒としてのパラトルエン
スルホン酸 1.1gを加えて180〜200℃で7時間反
応させ、さらに同温度で真空下に過剰のアルコールを回
収した。これにより、油状のエステル(AB)が得られた。
【0035】実施例4 水添ヒマシ油脂肪酸600g、ステアリン酸280gお
よびキシレン80mlを反応器に仕込み、窒素気流下20
0〜220℃で5時間反応させ、酸価79のエストリド
(A) を得た。さらに、ヒンダードアルコール(B) の一例
としての炭素数24〜26の側鎖飽和1級アルコール
(伊藤製油株式会社製「ハイソコール246」)780
g(2モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン
酸 1.7gを加えて180〜200℃で10時間反応させ
た。次に減圧下に200〜240℃で未反応のアルコー
ルを回収した。これにより、油状のエステル(AB)が得ら
れた。
【0036】実施例5 水添ヒマシ油脂肪酸1206g、ラウリン酸400gお
よびキシレン120mlを反応器に仕込み、窒素気流下2
00〜220℃で7時間反応させ、酸価75のエストリ
ド(A) を得た。
【0037】続いて反応器に、ヒンダードアルコール
(B) の一例としてのネオペンチルグリコール104g
(1モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸
1.8gを加えて180〜200℃で10時間反応させ
た。これにより、油状のエステル(AB)が得られた。
【0038】実施例6 水添ヒマシ油脂肪酸1506g、ラウリン酸600gお
よびキシレン130mlを反応器に仕込み、窒素気流下2
00〜220℃で7時間反応させた。これにより、酸価
72のエストリド(A) が得られた。
【0039】続いて反応器に、ヒンダードアルコール
(B) の一例としてのトリメチロールプロパン134g
(1モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸
2.3gを加えて180〜200℃で10時間反応させ
た。これにより、油状のエステル(AB)が得られた。
【0040】実施例7 水添ヒマシ油脂肪酸1506g、カプリン酸516gお
よびキシレン130mlを反応器に仕込み、窒素気流下2
00〜220℃で7時間反応させた。これにより、酸価
75のキャップ型のエストリド(A) が得られた。
【0041】続いて反応器に、ヒンダードアルコール
(B) の一例としてのトリメチロールプロパン134g
(1モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸
2.2gを加えて180〜200℃で10時間反応させ
た。これにより、油状のエステル(AB)が得られた。
【0042】実施例8 実施例1と同様にして水添ヒマシ油脂肪酸906gから
3量体に相当するエストリド(A) を得た後、温度200
〜220℃でカプリン酸172g( 1.0モル)を縮合反
応させ、ついでヒンダードアルコール(B) の一例として
のトリメチロールプロパン134g( 1.0モル)および
触媒としてのパラトルエンスルホン酸 1.6gを加えて1
80〜200℃で7時間反応させた。これにより、油状
のエステル(AB)が得られた。
【0043】実施例9 実施例7で得た油状のエステル(AB)に、さらにヒンダー
ドアルコール(B) の一例としての2−エチルヘキサノー
ル195g( 1.5モル)および触媒としてのパラトルエ
ンスルホン酸 2.4gを加えて180〜200℃で7時間
反応させ、さらに同温度で真空下に過剰のアルコールを
回収した。これにより、油状のエステル(AB)が得られ
た。
【0044】実施例10 水添ヒマシ油脂肪酸の仕込み量を1506g、キシレン
の仕込み量を130mlとしたほかは実施例1と同様にし
て12時間反応させ、水添ヒマシ油脂肪酸の5量体に相
当する酸価40のエストリド(A) を得た。
【0045】ついで反応器に、ヒンダードアルコール
(B) の一例としてのベンジルアルコール172g( 1.6
モル)および触媒としてのパラトルエンスルホン酸 2.0
gを加えて180〜200℃で10時間反応させ、さら
に同温度で真空下に過剰のアルコールを回収した。これ
により、油状のエステル(AB)が得られた。
【0046】実施例11 実施例1と同様にして水添ヒマシ油脂肪酸906gから
3量体に相当するエストリド(A) を得た後、ヒンダード
アルコール(B) の一例としてのジペンタエリスリトール
59g(0.23モル)および触媒としてのパラトルエンス
ルホン酸 1.0gを加えて180〜200℃で6時間反応
させた。これにより、油状のエステル(AB)が得られた。
【0047】比較例1 トリメチロールプロパン134g(1モル)、カプリン
酸516g(3モル)およびパラトルエンスルホン酸
0.6gを反応器に仕込み、180〜200℃で6時間反
応させた。これにより、トリメチロールプロパンのトリ
カプリン酸が得られた。
【0048】比較例2 ペンタエリスリトール136g(1モル)、カプリン酸
344g(2モル)およびパラトルエンスルホン酸 0.5
gを反応器に仕込み、180〜200℃で6時間反応さ
せた。これにより、ペンタエリスリトールのジカプリン
酸が得られた。
【0049】比較例3 ペンタエリスリトール136g(1モル)、オレイン酸
1120g(4モル)およびパラトルエンスルホン酸
1.3gを反応器に仕込み、180〜200℃で10時間
反応させた。これにより、ペンタエリスリトールのテト
ラオレイン酸エステルが得られた。
【0050】比較例4 トリメチロールプロパン134g(1モル)、ペラルゴ
ン酸475g(3モル)およびパラトルエンスルホン酸
0.6gを反応器に仕込み、180〜200℃で6時間反
応させた。これにより、トリメチロールプロパンのトリ
ペラルゴン酸エステルが得られた。
【0051】比較例5 ヒマシ油935g(1モル)、ステアリン酸568g
(2モル)、ダイマー酸282g( 0.5モル)およびパ
ラトルエンスルホン酸8gを反応器に仕込み、窒素気流
下に220〜240℃で8時間反応させ、縮合物を得
た。
【0052】比較例6 ナタネ油2200g( 2.5モル)および無水マレイン酸
245g( 2.5モル)を反応器に仕込み、窒素気流下に
200〜230℃で2時間反応させ、そこへヒマシ油9
30g(1モル)を加えて、さらに200℃で2時間反
応させ、縮合物を得た。
【0053】〈耐加水分解性の評価〉実施例1〜11で
得たエステル(AB)および比較例1〜6で得たエステルに
つき、酸価、ケン化価を測定すると共に、下記の方法に
より、60℃×1時間および80℃×1時間の条件下に
おける耐加水分解性を測定した。結果を表1に示す。
【0054】〈耐加水分解性〉100cc三角フラスコに
試料 0.5gを採取し、1/10N−NaOHエタノール溶液
25mlを加えて、60℃×1時間または80℃×1時間
の条件で加熱し、ケン化価に対する分解率を測定した。
【0055】
【表1】 酸価 ケン化 ケン化価(分解率) 価 60℃×1hr 80℃×1hr 実施例1 3.1 158.4 32.5 (18.9%) 64.3 (39.4%) 実施例2 8.3 167.9 49.5 (25.8%) 124.3 (72.4%) 実施例3 3.2 164.5 49.4 (28.6%) 78.8 (46.9%) 実施例4 2.2 139.5 30.6 (20.7%) 88.7 (63.0%) 実施例5 21.7 206.2 81.4 (32.3%) 149.1 (69.1%) 実施例6 11.4 207.1 31.9 (10.5%) 80.9 (35.5%) 実施例7 6.8 213.6 33.0 (12.7%) 81.2 (36.0%) 実施例8 4.2 182.6 29.7 (14.3%) 69.5 (36.6%) 実施例9 1.6 202.1 46.0 (22.1%) 135.4 (66.7%) 実施例10 2.6 155.0 28.8 (17.2%) 64.5 (40.6%) 実施例11 9.0 177.0 44.1 (20.9%) 103.5 (56.3%) 比較例1 0.1 281.3 231.2 (82.2%) 257.4 (91.5%) 比較例2 0.1 249.2 216.2 (86.8%) 234.4 (94.1%) 比較例3 1.8 187.8 151.2 (80.3%) 162.0 (86.1%) 比較例4 0.4 306.7 241.8 (78.8%) 261.4 (85.2%) 比較例5 25.6 179.7 132.6 (69.4%) 152.4 (82.3%) 比較例6 42.2 232.7 163.7 (63.8%) 193.7 (79.5%)
【0056】表1の結果から、実施例のエステル(AB)
は、比較例のエステルに比し耐加水分解性が顕著にすぐ
れていることがわかる。
【0057】〈熱酸化安定性、動摩擦係数、粘度指数の
評価〉潤滑剤として、上述の実施例1,2,3,4,
5,7,9で得たエステル(AB)、比較例1で得たエステ
ル、参考例としてのジオクチルセバケート(参考例
1)、動粘度200の流動パラフィン(参考例2)、ナ
タネ油(参考例3)、ヒマシ油(参考例4)からなる潤
滑剤を用い、下記の方法により、熱酸化安定性(蒸発減
量と加熱前後の粘度変化)、動摩擦係数、粘度指数を調
べた。結果を表2に示す。なお流動点は表にはあげてな
いが、いずれも低温流動性を有する。
【0058】蒸発減量 潤滑剤10gを170℃で24時間加熱したときの減量
(%) を求めた。粘度変化 潤滑剤10gを170℃で24時間加熱したときの加熱
前後の粘度(cp/25℃)を測定し、両者の比(加熱後の粘
度/加熱前の粘度)を求めた。動摩擦係数 曽田式振子摩擦試験器を用い、25℃、100℃、15
0℃、200℃の温度にて測定した。粘度指数 JIS K 2283に基く。粘度指数(VI)が大きいほど粘度
の温度変化が小さいことを意味する。
【0059】
【表2】 蒸発減量 加熱前後の 動摩擦係数 粘度指数 (%) 粘度変化 25℃ 100℃ 150℃ 200℃ VI 実施例1 0.5 1.2 0.08 0.07 0.05 0.05 128 実施例2 0.3 1.2 0.09 0.08 0.05 0.04 132 実施例3 0.4 1.3 0.10 0.07 0.06 0.07 126 実施例4 0.5 1.1 0.09 0.07 0.06 0.07 140 実施例5 0.7 1.5 0.12 0.08 0.12 0.10 136 実施例7 0.3 1.0 0.10 0.07 0.06 0.10 134 実施例9 0.6 1.1 0.12 0.09 0.08 0.08 139 比較例1 0.6 1.1 0.12 0.10 0.11 0.09 136 参考例1 6.5 1.2 0.15 0.18 0.19 0.19 154 参考例2 4.3 1.4 0.18 0.16 0.17 0.20 80 参考例3 0.0 3.6 0.11 0.11 0.10 0.08 180 参考例4 0.0 1.7 0.11 0.10 0.11 0.11 84
【0060】表2から、実施例で得たエステル(AB)は、
熱酸化安定性が良好であり(加熱時の蒸発減量が小さく
かつ加熱前後の粘度変化が小さい)、必要な潤滑性能を
有し(動摩擦係数が小さい)、温度変化に対する粘度安
定性が良好である(粘度指数が大きい)ことがわかる。
すなわち、エステル(AB)からなる本発明の潤滑剤は、先
に述べたように耐加水分解性が顕著にすぐれているだけ
でなく、潤滑剤としての要求性能を兼ね備えていること
がわかる。
【0061】これに対し比較例1のエステルからなる潤
滑剤は、熱酸化安定性、動摩擦係数、粘度指数の点では
実施例の潤滑剤と同等であるが、先の表1のように耐加
水分解性が劣るという難点がある。
【0062】参考例1として示したジオクチルセバケー
トは、加熱時の蒸発減量が大きいため潤滑剤としての使
用時のロスが大きく、また潤滑性能も不足している。
【0063】参考例2として示した流動パラフィンは、
加熱時の蒸発減量が大きいため潤滑剤としての使用時の
ロスが大きく、潤滑性能も不足しており、さらには粘度
指数が小さいため温度変化に対する粘度安定性の点でも
難がある。
【0064】参考例3として示したナタネ油は、加熱前
後の粘度変化が大きく、熱酸化安定性が劣る。
【0065】参考例4として示したヒマシ油は、加熱前
後の粘度変化が大きく熱酸化安定性が不足し、また粘度
指数が小さいため温度変化に対する粘度安定性の点でも
難がある。
【0066】
【発明の効果】本発明の潤滑剤は、下記のようなすぐれ
た効果を奏する。 (1) 生分解性を有する。 (2) 縮合度の調節により粘度や不揮発性を自在に調節す
ることができる。 (3) 高温下にあっても熱酸化安定性が良好である。 (4) 高荷重条件下や高温下にあってもすぐれた潤滑性能
を発揮する。 (5) 水と共存条件下にあっても耐加水分解性が顕著に良
好である。 (6) 粘度指数が大きく、温度変化に対する粘度安定性が
ある。 (7)低温流動性がある。 (8) 油溶性のものから分散性や水和性を有するものまで
任意に設計できる。 (9) パラフィン系炭化水素等の無極性素材との相溶性も
ある。 (10)低刺激性・低毒性である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 105:12 105:14 105:24 101:04) C10N 30:00 C 30:02 30:08 30:10 30:16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】OH基を有する脂肪酸同士またはOH基を
    有する脂肪酸とOH基を有しない脂肪酸とが縮合した2
    量体以上のオキシ脂肪酸オリゴマーであるエストリド
    (A) とヒンダードアルコール(B) とのエステル(AB)を必
    須成分とする潤滑剤。
  2. 【請求項2】エストリド(A) の構成成分であるOH基を
    有する脂肪酸が、ヒマシ油脂肪酸または/および水添ヒ
    マシ油脂肪酸である請求項1記載の潤滑剤。
  3. 【請求項3】ヒンダードアルコール(B) が、トリメチロ
    ールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
    リトール、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロー
    ルエタンよりなる群から選ばれた少なくとも一種のアル
    コールである請求項1記載の潤滑剤。
  4. 【請求項4】ヒンダードアルコール(B) が、2−エチル
    ヘキサノール、ベンジルアルコールおよびゲルベ反応に
    よるアルコールよりなる群から選ばれた少なくとも一種
    のアルコールである請求項1記載の潤滑剤。
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