JPH08271713A - 光学素子及び光集積回路 - Google Patents

光学素子及び光集積回路

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JPH08271713A
JPH08271713A JP7100237A JP10023795A JPH08271713A JP H08271713 A JPH08271713 A JP H08271713A JP 7100237 A JP7100237 A JP 7100237A JP 10023795 A JP10023795 A JP 10023795A JP H08271713 A JPH08271713 A JP H08271713A
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Japan
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optical
light
semi
transparent
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JP7100237A
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English (en)
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Minoru Oyama
実 大山
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透過光が非回折光となる半透過・半反射形の
回折格子構造を有した光学素子を提供し、特に光ピック
アップで生じる不要回折光を少なくして迷光現象による
障害の発生を防止する。 【構成】 正弦波状(又は三角波状等)に形成された半透
過反射膜31で反射形回折格子構造を構成し、その各凹部
を埋める態様で同一屈折率n1の物質からなる透明層24,
25を形成し、各透明層24,25の両面S1,S2を平面(又は回
折格子構造を有しない曲面)とする。前記の半透過反射
膜31の曲面の接線が層方向となす最大角度(三角波状等
の場合は傾斜面が層方向となす角度)θは、この光学素
子の光学系への適用条件によって定まる透明層24内へ入
射した光線が層方向となす角度α以下の範囲で設定され
ている。透過光は位相変調も強度変調も受けない非回折
光となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学素子及び光集積回路
に係り、光ディスクや光カード等の情報読取り装置に組
込まれるデバイスに適し、入射光を反射回折光と透過非
回折光に分岐させる機能を有し、装置内部での不要回折
光の発生を少なくして迷光による緒現象を防止すると共
に、高効率な信号検出を可能にするものに関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置の光ピックアップ(PU)
は、レーザビームを光ディスクのトラック上に集光せし
め、その反射光を光検出器へ導くための光学系を搭載し
ているが、例えば、3ビーム法を採用したCD(Compact
Disc)プレーヤのPUでは、図16や図17に示すよう
な光学系になっている。
【0003】図16のPUでは、レーザ光源(半導体レ
ーザ)61から射出されたレーザビームが透過形回折格子6
2で回折せしめられ、その0次透過光と±1次回折光を
コリメートレンズ63で平行光化した後、ハーフミラー64
を透過させて対物レンズ65へ導き、対物レンズ65により
0次と±1次の回折光をそれぞれ主ビーム及び副ビーム
としてディスク66のトラックの中央部とその両側へズレ
た位置に集光させて照射する。一方、ディスク66の各集
光スポットから得られた反射光は、対物レンズ65からハ
ーフミラー64へ戻り、ハーフミラー64で反射されて焦点
検出レンズ67へ入射し、その焦点検出レンズ67が主ビー
ムと副ビームをそれぞれ3分割形光検出器68の中央の検
出部68aと両側の検出部68b,68cに集光させるが、主ビー
ムと副ビームの反射光はディスク66のピットで回折して
おり、それぞれトラックの記録情報とトラックからのズ
レに対応した光量変化を生じている。
【0004】従って、中央の検出部68aの光電変換出力
を再生RF信号として、また両側の検出部68b,68cの光
電変換出力の差をトラッキングエラー(TE)信号として
検出できる。また、フォーカス制御に関しては各種の方
式があるが、非点収差法を採用する場合には、中央の検
出部68aを4分割しておき、主ビームに係る反射光をシ
リンドリカル・レンズを介して検出部68aへ入射させ、4
分割された各部の出力を用いて一定の演算を行うことに
よりフォーカスエラー(FE)信号を得る。
【0005】図17のPUは、図16のPUがレーザビ
ームの往路にハーフミラー64の透過光を、復路に反射光
を用いているのに対し、逆に往路にハーフミラー64の反
射光を、復路に透過光を用いており、最近のPUではこ
の方式を採用していることが多い。この場合、ハーフミ
ラー64に関する入射系と透過系の光軸が逆になっている
だけであり、ハーフミラー64の光分岐・光路変換機能を
利用した基本的構成は図16の場合と同様である。
【0006】また、最近のPUの光学系として、ハーフ
ミラーの代わりにホログラム素子を用いてPUをより小
型で簡単な構成にするための各種提案がなされている
[小野:“光ディスクヘッド用ホログラフィック光学素
子",光メモリシンポジウム'90予稿集,pp1〜2 (1990)/
吉田 他:“CD用ホログラムピックアップの耐環境特
性",光メモリシンポジウム'90予稿集,pp3〜4 (1990)/
辰巳 他:“反射形回折格子レンズを用いたCD光ピック
アップ光学系",MICROOPTICS NEWS,Vol.7 No.3 pp17〜22
(1988)/中西 他:“樹脂ホログラム光学素子を用いた
光ピックアップユニットの開発",1994年春季応用物理学
関係連合講演会 講演予稿集,No.3 PP1018 (1994)等]。
このホログラム素子を用いた3ビーム法のPUでは、図
18や図19に示すような光学系となる。
【0007】図18は透過形のホログラム素子71を用い
たPUを示し、往路では、レーザ光源61から射出された
レーザビームは透過形回折格子62で回折せしめられてホ
ログラム素子71に入射し、ホログラム素子71はその入射
した回折光を透過させ、対物レンズ65が0次と±1次の
回折光をそれぞれ主ビーム及び副ビームとしてディスク
66のトラックの中央部とその両側へズレた位置に集光さ
せる。逆に、復路では、ディスク66からの主ビームと副
ビームに係る反射光は対物レンズ65からホログラム素子
71に入射し、ホログラム素子71のレンズ機能によって各
ビームが分離配置されている主ビーム用の光検出器72a
と副ビーム用の光検出器72a,72bへ集光せしめられる。
尚、ホログラム素子71はその回折格子パターンにより入
射光の光軸に対する反射光の光軸方向を変換することが
でき、各ビームをレーザ光源61からズレた位置に集光さ
せることができる。
【0008】一方、図19は反射形のホログラム素子73
を用いたPUを示し、往路では、ホログラム素子73が透
過形回折格子62による回折光を立上げて対物レンズ65へ
導き、復路では、ホログラム素子73が対物レンズ65から
入射される主ビーム及び副ビームの反射光の光路を変換
しながらそのレンズ機能によって各ビームを光検出器72
a,72b,72cへ集光させている。従って、図から明らかな
ように、このPUの光学系によれば、ディスク66に垂直
な方向に関してPU全体を薄く構成することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図16や図
17で示したPUの光学系は、回折格子62やコリメート
レンズ63や焦点検出レンズ67が独立した要素として組込
まれるため、部品点数が多くなって、PUの小型化や製
造コストの低減化を図る上で限界がある。一方、ホログ
ラム素子71,73を用いた図18や図19のPU光学系
は、図16や図17で示したPUの光学系と比較して、
コリメートレンズ63や焦点検出レンズ67を不要化でき、
部品点数の削減やPUの小型化を図る上で有利である。
しかし、ホログラム素子71,73は、ハーフミラー64やコ
リメートレンズ63や焦点検出レンズ67に比較すると、設
計や製造が難しく、非常に高価であり、PUの製造コス
トの面でみれば問題が残る。
【0010】そこで、図16と図17のPUの光学系に
対して、図20と図21のように半透過反射形回折格子
69,70を用いた光学系を考えることができる。それらの
PUの光学系は、レーザビームの光束の拡がりも利用
し、図16と図17におけるPUの光学系で用いられて
いるハーフミラー64と回折格子62やコリメートレンズ63
や焦点検出レンズ67の機能の全てを前記の半透過反射形
回折格子69,70だけを用いて実現させるものである。そ
して、それらの光学系によれば、レーザ光源61から射出
されたレーザビームを回折させるための回折格子62も不
要になることから、図18や図19のホログラム素子7
1,73を用いたPUよりも部品点数が削減され、PUの小
型化を実現できると共に、半透過反射形回折格子69,70
は製造が容易で安価であることから、製造コストの面で
極めて有利になる。
【0011】しかしながら、半透過反射形回折格子69,7
0は反射光と透過光を共に回折させるため、図20の場
合には往路の反射光と復路の透過光が不要な回折光とし
て現れ、また図21の場合には往路と復路の透過光が不
要な回折光として現れる。そして、そのように不可避的
に発生する各不要回折光は、必要光の光量を低下させて
光検出器68での検出効率を低下せしめ、また単一のレー
ザ光源61から射出された可干渉性の強い光であるため
に、実装密度の高いPU内で種々の迷光現象を発生させ
る。例えば、光検出器68の検出信号にオフセットを発生
させたり、レーザ光源61と各反射面等の間で共振を生じ
させてレーザビームの光量変動によるノイズ発生の原因
となり、再生RF信号やTE信号等の検出精度に悪影響
を及ぼす。従って、一般のPUにおいても不要回折光を
如何に少なくするかが重要な課題になっているが、特
に、図20と図21のPUの光学系では、前記の不要回
折光の発生さえなくすことができれば光学系全体での不
要回折光をなくすことができるため、そのような半透過
反射形回折格子が求められる。
【0012】そこで、本発明は、前記の課題に鑑みて、
PU等に適用することにより不要回折光を少なくするこ
とが可能な光学素子と、更にその光学素子の基本構成を
組込んだ光集積回路を提供することを目的として創作さ
れた。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、凹凸状面
の反射形回折格子構造をなすように、前記凹凸ピッチに
対して十分に小さい膜厚の半透過反射膜が凹部と凸部の
連続部分を傾斜面として波状形成されており、前記半透
過反射膜の両面の凹部を同一屈折率の透明物質で構成し
た層構造を具備した光学素子であって、前記傾斜面が前
記層構造の層方向となす角度を、前記光学素子の光学系
への適用条件によって定まる前記層構造に入射した光線
が前記層構造の層方向となす最小角度以下の範囲で設定
したことを特徴とする光学素子に係る。
【0014】第2の発明は、凹凸状面の反射形回折格子
構造をなすように、前記凹凸ピッチに対して十分に小さ
い膜厚の半透過反射膜が凹部と凸部の連続部分を滑らか
な曲面として波状形成されており、前記半透過反射膜の
両面の凹部を同一屈折率の透明物質で構成した層構造を
具備した光学素子であって、前記曲面の接線が前記層構
造の層方向となす最大角度を、前記光学素子の光学系へ
の適用条件によって定まる前記層構造に入射した光線が
前記層構造の層方向となす最小角度以下の範囲で設定し
たことを特徴とする光学素子に係る。
【0015】第3の発明は、基板上に、光導波路と、前
記光導波路に対する接合面と反対側の面を凹凸状に形成
した透明なバッファ層と、前記バッファ層の凹凸のピッ
チに対して十分に小さい膜厚の半透過反射膜を前記バッ
ファ層の凹凸面に成膜して反射形回折格子構造を構成し
た回折・透過層と、前記バッファ層の透明物質と同一屈
折率の透明物質で前記回折・透過層の各凹部を埋めると
共に各凸部を露出させない厚みの層を形成し、且つその
表面側を略平面又は回折格子構造を有しない曲面とした
透明層を順に積層させた光集積回路であって、前記バッ
ファ層の凹凸部における凹部と凸部の連続部分が傾斜面
で形成されており、その傾斜面が層方向となす角度を、
前記光集積回路の光学系への適用条件によって定まる前
記透明層へ入射した光線が層方向となす最小角度以下の
範囲で設定したことを特徴とする光集積回路に係る。
【0016】第4の発明は、基板上に、光導波路と、前
記光導波路に対する接合面と反対側の面を凹凸状に形成
した透明なバッファ層と、前記バッファ層の凹凸のピッ
チに対して十分に小さい膜厚の半透過反射膜を前記バッ
ファ層の凹凸面に成膜して反射形回折格子構造を構成し
た回折・透過層と、前記バッファ層の透明物質と同一屈
折率の透明物質で前記回折・透過層の各凹部を埋めると
共に各凸部を露出させない厚みの層を形成し、且つその
表面側を略平面又は回折格子構造を有しない曲面とした
透明層を順に積層させた光集積回路であって、前記バッ
ファ層の凹凸部における凹部と凸部の連続部分が滑らか
な曲面として形成されており、その曲面の接線が層方向
となす最大角度を、前記光集積回路の光学系への適用条
件によって定まる前記透明層へ入射した光線が層方向と
なす最小角度以下の範囲で設定したことを特徴とする光
集積回路に係る。
【0017】
【作用】第1から第4の発明の前提として、図5及び図
6に示される光学素子について説明する。尚、透明部分
の断面に係るハッチングは省略されており、以下の各図
においても同様である。この光学素子は、反射形回折格
子構造をなすように半透過反射膜101が矩形波状に凹凸
形成されており、その半透過反射膜101の両面の各凹部
が同一屈折率n1の透明物質102で構成された層構造103
を有するものである。尚、半透過反射膜101はその厚み
tが半透過反射膜101の凹凸のピッチPと比較して十分
に小さくなっている。
【0018】今、図5に示すように、層構造103の面に
斜め方向から入射光(実線)がある場合を仮定すると、半
透過反射膜101の凹部と凸部でそれぞれ入射光の一部が
反射し、一部が透過する。その場合、図5で反射光(点
線)に係る層構造103内での光路長をみると、凸部では
0、凹部では層構造103の厚みをhとすれば略2・(h/c
osθ)・n1となり、凸部と凹部での反射光には光路差Δ
L≒2・(h/cosθ)・n1が生じ、各反射光には光路長の
差ΔLに対応する位相差(=2π・ΔL/λ:λは光の波
長)が発生し、その結果、半透過反射膜101が反射形回折
格子として回折光を反射させる。しかし、透過光(一点
鎖線)に係る層構造103内での光路長は、凸部と凹部で共
に(h/cosθ)・n1となり、透過光に対する周期的位相
変調が打ち消され、透過光に対する回折光の発生は極め
て小さく抑制される。
【0019】一方、図6(A)に示されているE1,E2,・・
・の範囲にあるような光路では、図5の場合(入射光が半
透過反射膜101を1回だけ透過して透過光になる場合)と
異なり、入射光は半透過反射膜101を3回透過して透過
光になる。また、層構造103内で多重反射して透過光や
反射光となる光路も存在する。従って、この光学素子に
よれば、入射光が層構造103に対して垂直に入射する場
合には、t≪Pの条件下に透過率が層方向に関してほぼ
一律になるが、前記のように斜め方向から入射光がある
場合には、図6(B)に示されるように、E1,E2,・・・の
範囲で透過率が小さくなり、その結果、透過光について
みると半透過反射膜101が強度変調形回折格子として機
能し、透過光は回折することになる。そのため、強度変
調形回折格子として機能しないようにするには、半透過
反射膜1の凹凸の高さhをその凹凸のピッチPに対して
十分に小さく設定しておく必要があり、その場合には必
然的に1次以上の反射回折光を十分な強度で得られなく
なる。
【0020】第1の発明について;この発明の基本的構
成と原理は、一例として半透過反射膜を三角波状及び台
形波状に凹凸形成した場合の層構造部分の断面図である
図1及び図2を用いて説明される。各図において、1は
半透過反射膜を、2は透明物質を、3は層構造を示し、半
透過膜1の両面の凹部は同一屈折率n1の透明物質2で構
成されている。そして、層構造3内へ入射した光線の層
方向となす最小角度αはこの発明の光学素子の光学系へ
の適用条件によって定まるが、この発明の特徴は、半透
過反射膜1における凹部と凸部の連続部分である傾斜面
が層方向となす角度θの大きさが前記の角度α以下に設
定されている点にある。
【0021】今、半透過反射膜1に対する代表的入射光
線として、図1における〜の入射光線、及び図2に
おける〜の入射光線についてみると、層構造3内へ
入射し、半透過反射膜1で反射されて層構造3外へ出る光
線の光路長はそれぞれ異なっており、この層構造3は反
射形回折格子としての機能を有する。一方、半透過反射
膜1を透過する透過光線についてみると、前記のα≧θ
の条件により、各入射光線は半透過反射膜1を1回だけ
透過して透過光となり、層構造3内で同一の光路長を経
ていることから、位相変調を受けない非回折光として層
構造3から出射する。但し、α>θの場合、図1におけ
るの入射光線、及び図2のの入射光線に関しては半
透過反射膜1で複数回反射され、2回目以降の反射の度
にも光線の一部を透過させるために、その経路を経て層
構造3から出る透過光は前記の透過非回折光と異なる光
路長を経ることになる。即ち、そのような透過光は強度
変調と位相変調を受けて回折することになる。しかし、
その回折光は前記の非回折光の方向とは異なる方向へ出
射するため、前記の非回折光を利用する上ではあまり問
題とならない。尚、α=θの場合には、入射光線が半透
過反射膜1で複数回反射されることはなく、半透過反射
膜1の厚みtが半透過反射膜1の凹凸のピッチPと比較し
て十分に小さいという条件では、実質的に入射光線の全
てが同一方向の非回折光として層構造3から出射する。
従って、この発明の光学素子は、図4に示すように、層
構造3に対して一定の傾きをもった入射光があった場合
に、その入射側には回折光を反射させ、逆側に非回折状
態の透過光を透過させることになり、反射形回折格子と
ハーフミラーの機能を一体的に具有した光学素子を実現
する。
【0022】第2の発明について;この発明は回折格子
構造をなす凹凸状面を滑らかな曲面として構成したもの
であり、原理的には第1の発明と共通する。ここでは、
一例として半透過反射膜を正弦波状に凹凸形成した場合
の層構造部分の断面図である図3を用いて説明する。同
図において、層構造3内へ入射した光線の層方向となす
最小角度αは、第1の発明と同様に、この発明の光学素
子の光学系への適用条件によって定まるが、この発明の
特徴は、正弦波状に形成されている半透過反射膜1の接
線が層方向となす最大角度θが前記の角度α以下に設定
されている点にある。
【0023】この発明の場合、半透過反射膜1で反射し
て層構造3から出射する光線は、半透過反射膜1が正弦波
状の凹凸になっているために入射位置が異なれば異なる
光路長を経ることになり、位相変調を受けた回折光とな
る。一方、半透過反射膜1を1回だけ透過した透過光
は、前記のα≧θの条件により、層構造3内で同一の光
路長を経て層構造3から出射するため、位相変調を受け
ない同一方向の非回折光として出射する。尚、α>θの
条件下においては、入射側の凹部の一定範囲で半透過反
射膜1で反射された光線が複数回反射して回折光とな
り、またその2回目以降の反射の度に半透過反射膜1を
透過する光線も生じるが、それら透過光線は第1の発明
と同様に前記の非回折光と異なる方向へ出射する。
【0024】第3及び第4の発明について;これらの発
明の光集積回路は、基板上に光導波路を形成し、その光
導波路の上に第1又は第2の発明に係る光学素子の基本
構造を結合させた集積構造を有している。前記のよう
に、第1及び第2の発明の光学素子は反射形回折格子と
ハーフミラーの機能を具有するため、これらの光集積回
路によれば、入射光を回折させて光ディスク等の光情報
媒体に照射させ、その媒体からの反射光を入射光として
回折させることなく直下の光導波路に直接的に導くこと
ができる。従って、光導波路に光検出手段を結合させる
ことで、反射形回折格子とハーフミラーと光検出器の機
能を一部品に集積化できると共に、効率の良い信号検出
を実現する。
【0025】
【実施例】以下、本発明の光学素子及び光集積回路の実
施例を図7から図16を用いて詳細に説明する。 《実施例1》この実施例に係る光学素子の拡大断面図は
図7に示される。同図において、11は三角波状に凹凸形
成された半透過反射膜、12a,12bは半透過反射膜11の両
面の凹部に埋設されている透明物質(屈折率がn1)、13
は半透過反射膜11と透明物質12a,12bで構成された層構
造部を示し、この実施例では、その層構造部13の表裏面
に前記の透明物質12a,12bと異なる透明物質(屈折率がn
2,n3)で表面S1,S2を略平面とした透明層14,15が形成
されている。ここに、半透過反射膜11の膜厚tは半透過
反射膜11の凹凸のピッチPに対して十分に小さく設定さ
れており、透明層14,15の厚みw2,w3は一定の曲げ強度
と保護層を兼ねるために層構造部13の厚みhより厚く形
成されている。そして、外部からの入射光が透明層14を
介して2回屈折しながら層構造部13内へ入射することに
なるが、半透過反射膜11の層方向となす角度θは、前記
の入射光が層構造部13内で層方向となす最小角度αとの
関係で、α≧θの条件を満たすように設定されている。
その場合、空気の屈折率n0と透明層14の屈折率n2と透
明物質12bの屈折率n1が既知であるため、外部からの入
射光の層方向に対する角度βが設定されれば、スネルの
法則に基づいてαを求めることができ、この光学素子に
係る前記の角度θを決定することは容易である。
【0026】この光学素子は、例えば、ガラス基板(透
明層15)の上にSiO2膜を厚みhで成膜し、パターンエ
ッチングによってSiO2膜を傾斜面の角度が前記のθと
なった三角波状の回折格子構造に凹凸形成し(透明物質1
2bのみを残す)、その面上にアルミニウムの真空蒸着等
によって厚みtの半透過反射膜11を形成し、半透過反射
膜11の上にSiO2膜を半透過反射膜11の凸部が露出しな
い厚みで成膜し、エッチバックによって半透過反射膜11
の凸部の表面より上のSiO2膜を除去し(透明物質12bの
みを残して層構造部13を形成)、その上に紫外線硬化樹
脂(透明層14)をスピンコートして紫外線の照射によって
硬化させる手順で製造することができる。尚、パターン
エッチングで傾斜面の角度がθとなる三角波状の回折格
子構造を形成する工程に関しては、ICの製造プロセス
等で断面形状の制御手法が多数開発されており、それら
の公知技術を利用することができる。
【0027】そして、この光学素子では、表面S1への
入射光は透明層14で屈折して層構造部13へ入射される
が、層構造部13が半透過反射膜11の両面の凹部に同一屈
折率n1の透明物質を埋設した上記の第1の発明の構成
であるために反射形回折格子とハーフミラーの両機能を
有し、層構造部13による反射回折光は透明層14を透過し
て表面S1で屈折しながら外部へ射出され、層構造部13
を透過した非回折光は透明層15を透過して表面S2で屈
折しながら外部へ射出されることになる。
【0028】《実施例2》この実施例に係る光学素子の
拡大断面図は図8に示される。同図において、21は三角
波状に凹凸形成された半透過反射膜、24,25は透明物質
で半透過反射膜21の両面の各凹部を埋めると共に各凸部
を覆った透明層、23は半透過反射膜21とその各凹部に埋
め込まれた前記の透明物質で構成された層構造部を示
し、透明層24,25は同一屈折率n1の透明物質で構成され
ており、且つその各表面S1,S2は略平面になってい
る。尚、半透過反射膜21の膜厚tが半透過反射膜21の凹
凸のピッチPに対して十分に小さく設定されているこ
と、また層構造部23の両側に構成される透明層24,25の
厚みw2,w3が層構造部13の厚みhより厚く形成されて
いることは実施例1の場合と同様である。また、外部か
らの入射光は透明層24で1回屈折して層構造部23内へ入
射するが、半透過反射膜21の層方向となす角度θは、そ
の入射光が透明層24内で層方向となす最小角度αとの関
係で、α≧θの条件を満たすように設定されている。そ
の場合、空気の屈折率n0と透明層24の屈折率n1が既知
であるため、層方向に対する外部からの入射光の角度γ
が設定されれば、実施例1の場合と同様にαを求めてθ
を決定することができる。
【0029】この光学素子は、例えば、2P(photo-pol
ymerization)法で表面に三角波状の回折格子構造が凹凸
形成されたポリカーボネイト等の透明基板(透明層25)を
作成し、その回折格子構造側の面にアルミニウムの真空
蒸着等によって厚みtの半透過反射膜21を形成し、その
上に前記透明基板と同一屈折率の透明な紫外線硬化樹脂
をスピンコートし、紫外線照射によって硬化させて透明
層24を形成するという手順で製造することができる。
【0030】そして、この光学素子は、実施例1の場合
と比較して、半透過反射膜21の両面の凹部と凸部及び両
表面に形成される層が同一の透明物質で構成されている
点が異なるだけで、層構造部23が反射形回折格子とハー
フミラーの機能を有することは同様であり、入射光の一
部は表面S1から反射回折光として射出され、一部が表
面S2から透過非回折光として射出される。
【0031】《実施例3》この実施例に係る光学素子の
断面図は図9に示され、24,25が透明層、31が半透過反
射膜、33が層構造に相当する。この光学素子は半透過反
射膜31が正弦波状の凹凸となった回折格子構造をなす点
に特徴があり、上記の第2の発明に係る層構造を具備し
たものであるが、その基本的な構成と製造方法及び機能
に関しては、実施例2の場合とほぼ同様である。 但
し、半透過反射膜31の凹凸形状が正弦波状になっている
ため、その曲面の接線が層方向となす最大傾斜角度θ
(曲面の振幅の中心線とその曲面が交差する位置での傾
斜角度)が、入射光が透明層24内で層方向となす最小角
度αとの関係で、α≧θの条件を満たすように設定され
ている。
【0032】この実施例の光学素子は、半透過反射膜31
の曲面形状に基づいて、理論上、反射回折光に±2次以
上の高次回折光が発生しないという利点があり、0次回
折光と±1次回折光のみを利用するような場合には、不
要な反射回折光を抑制する上で有効である。
【0033】《実施例4》この実施例に係る光学素子の
断面図は図10及び図11に示される。上記の各実施例
に係る光学素子は両表面S1,S2を平面で構成してい
る。しかし、機能面から見ると、要するに光線の入射側
に回折した反射光が、透過側に回折しない透過光が得ら
れれば足り、必ずしも両表面S1,S2を平面にしておく
必要はなく、回折格子構造を有しない曲面であってもよ
い。
【0034】ところで、入射光が平行光線の光束である
場合に、両表面S1,S2を平面にしている前記の各実施
例では層構造部13,23,33と透明層15,25を透過した非回
折透過光は平行光束となるが、光学系への適用に際して
はその透過非回折光を集光させて光検出器等へ導くよう
な場合が多い。そこで、この実施例では、図10に示す
ように、前記の各実施例における透明層15,25の表面を
凸レンズ状の曲面35に形成し、非回折透過光の集光機能
をもたせる。また、図11のように、透明層15,25の表
面に透過形回折格子レンズ(例えば、フレネルレンズ)36
を形成することで、同様に集光機能を持たせることがで
きる。従って、この実施例によれば、単一の光学素子に
反射形回折格子とハーフミラーの機能に併せてレンズ機
能も具有させることが可能になる。
【0035】《実施例1〜4の光学素子の応用例》上記
の実施例1〜3の光学素子は、3ビーム法のPUの光学
系において、図12に示されるような態様で利用され
る。同図において、41が実施例1〜3に係る光学素子で
あり、レーザ光源61のビーム出射方向とディスク66の面
の法線方向に対して45°の傾斜角をもって設置されて
いる。従って、実施例1の光学素子の場合には図7にお
ける角度βが45°となり、実施例2又は3の光学素子
の場合にはそれぞれ図8と図9における角度γが45°
になることから、各図において半透過反射膜11,21,31の
θは、βやγを45°として求められたα以下の角度に
設定されている。
【0036】レーザ光源61から出射されたレーザビーム
は拡がりながら光学素子41に入射し、往路では、その一
部が反射回折光となって対物レンズ65へ導かれ、対物レ
ンズ65がその0次回折光と±1次回折光をそれぞれ主ビ
ームと副ビームとしてディスク66のトラックの中央部と
両側へズレた位置に集光させる。また、復路では、ディ
スク66からの主ビームと副ビームに係る反射光が対物レ
ンズ65を介して光学素子41に入射するが、光学素子41は
前記の反射光の一部を回折させることなく透過させ、光
線逆進の法則に基づいて光検出器68に集光させる。即
ち、ディスク66で反射された主ビームを中央の検出部68
aへ集光させて再生RF信号を検出し、副ビームを両側
の検出部68b,68cへ集光させてTE信号を検出する。
【0037】ところで、以上は必要光の往路と復路につ
いて説明したが、この応用例の光学系では、往路におい
てレーザ光源61から出射されて光学素子41を透過する非
回折光と、復路において対物レンズ65から光学素子41へ
導かれて反射する回折光とが不要光となる。しかし、図
20と図21のPUの光学系と比較してみた場合、この
応用例の光学系では光学素子41が反射形回折格子とハー
フミラーの機能を一体的に具有していることにより、図
20と図21の光学系のようにレーザ光源61の出射ビー
ムを回折させる透過形回折格子62を必要とせず、不要回
折光の発生要素を減らすことができる。また、往路で発
生する不要光は非回折光であるためにPU外へ放出させ
る等の対策が容易である。従って、この応用例の光学系
によれば、PUの部品点数の削減によって実装密度を高
めて小型化を実現すると共に、不要回折光を少なくして
迷光現象の発生を抑制することができる。
【0038】次に、上記の実施例4の光学素子は、PU
の光学系において図13に示されるような態様で利用さ
れる。但し、この光学系は1ビームプッシュプル法でT
E信号を検出するようになっている。同図の光学系にお
いて、42が実施例4に係る光学素子(図10の光学素子)
であって、その入射面がレーザ光源61のビーム出射方向
に対して約20°の傾斜角を有するように設定されてい
る。従って、この光学系に対する適用条件の場合には、
光学素子42の入射側の透明層と層構造部13,23,33が実施
例1に係るもの(13)であるときには図7における角度β
が約20°に相当し、実施例2又は3に係るもの(23,3
3)であるときには図8と図9における角度γが約20°
に相当することから、半透過反射膜11,21,31のθは、β
やγを約20°として求められたα以下の角度に設定さ
れている。
【0039】レーザ光源61から射出される楕円断面の光
束をコリメートレンズ63で平行光化して光学素子42に入
射させ、光学素子42で反射する略円形断面の+1次回折
光を対物レンズ65でディスク66のトラックに集光させる
ようになっている。この光学系によれば、コリメートレ
ンズ63で平行光化されたビームが光学素子42で反射・回
折せしめられて、その回折光がディスク66で反射して復
路をたどるため、復路で光学素子42へ入射してその層構
造部13,23,33を透過した非回折光は平行光束となり、そ
のままでは光検出部68へ集光させることができない。し
かし、この光学素子42は透明層15,25の表面を凸レンズ
状の曲面35に形成してあるため、そのレンズ機能によっ
て前記の透過非回折光を一定の焦点距離bで光検出部68
に集光させることができる。従って、この光学素子42は
単一の光学素子として反射形回折格子とハーフミラーと
焦点検出レンズを兼ねており、焦点検出レンズを別途に
設ける必要がなくなる。そして、不要回折光の発生条件
に関しては、図12の場合と同様であり、PUの小型化
の実現が可能になると共に、不要回折光による迷光現象
の発生を抑制することができる。尚、この応用例では図
10の光学素子42を用いたもので説明したが、図11の
光学素子のように透明層15,25の表面に透過形回折格子
レンズ36を形成したものであっても、当然に同様の機能
が得られる。また、図13のようにコリメートレンズ63
で平行光化される光学系だけでなく、図12の光学系に
適用すれば、光学素子と光検出部68の間隔を小さくで
き、PUの小型化を実現できる。
【0040】《実施例5》この実施例は、前記の実施例
に係る光学素子の基本構成を組込んだ光集積回路に係
る。先ず、前提として、本件出願人は図22に示される
光集積回路の提案を行っている(特願平6-79793号)。同
図において、81はSi基板、82a,82bはSi基板81の表面
にpn接合構成で形成された2個の光検出部(各光検出
部82a,82bは紙面に垂直な方向に分離配置されている)、
83はSi基板81の表面を熱酸化させたSiO2で構成され
るバッファ層、84はバッファ層83の上にコーニング#7
059ガラスをスパッタリングして成膜した光導波層、
85は光導波層84の上にSi-NをP-CVDによって成膜
し、所定パターンにドライエッチングして形成されたグ
レーティングカップラ、86はグレーティングカップラ85
を含む光導波層84の上に成膜されたSiO2のバッファ
層、87はバッファ層86の表面にグレーティングカップラ
85と同様の工程で形成された半透過反射形グレーティン
グ(又は半透過反射形ホログラム)であり、バッファ層83
におけるSi基板81の光検出部82に対応する領域はエッ
チングによって除去されており、光導波層84が光検出部
82に結合せしめられている。
【0041】この光集積回路80は図22に示されるよう
な態様でPUの光学系に適用される。尚、このPUは、
プリグルーブが施されている光磁気ディスク66aを対象
として再生RF信号とTE信号とFE信号を検出する。
先ず、光集積回路80はレーザ光源61のビーム出射方向に
対して入射面が約20°の傾斜角を有するように設定さ
れており、往路では、レーザ光源61から射出された楕円
断面の光束はコリメートレンズ63で平行光化されて光集
積回路80の表面の半透過反射形グレーティング87へ入射
し、半透過反射形グレーティング87で反射・回折され、
その内の1次回折光が対物レンズ65でディスク66aのト
ラックに集光せしめられる。そして、ディスク66aのト
ラックに集光した光は、プリグルーブによって回折せし
められた0次回折光と±1次回折光となって反射する。
一方、復路では、ディスク66aでの反射・回折光が半透過
反射形グレーティング87を透過してグレーティングカッ
プラ85へ入射するが、グレーティングカップラ85はその
入射領域が分割されており、入射光を光導波路84へ導く
と共に各分割領域の回折格子パターンによってその導波
光を2個の光検出部82a,82bへ集光させる。また、グレ
ーティングカップラ85の各分割領域は中心光軸と45°
の角度をなす互いに直交する偏光方向を有するように形
成されているため、ディスク66aの記録情報によって反
射光に与えられたカー効果による偏光面の回転が各導波
光に逆相の強度変化を与える。従って、各光検出部82a,
82bの出力の差をとれば再生RF信号が得られ、また各
光検出部82a,82bを2分割型にしておき、それらの分割
部の出力を用いて演算を行うことによりTE信号やFE
信号を得ることができる。即ち、この光集積回路80はビ
ーム整形機能を有した反射形回折格子とハーフミラーと
検光子と焦点検出レンズと光検出器を一体に集積化させ
たものである。
【0042】ところで、前記の光集積回路80において、
往路及び復路での半透過反射形グレーティング87への入
射光は、一部が反射・回折光となり、一部がバッファ層8
6へ回折光として入射する。その場合、往路及び復路で
半透過反射形グレーティング87で回折されてバッファ層
86に入射する回折光は不要光であり、迷光として悪影響
を及ぼす可能性があると共に、復路で回折されることは
光検出部82a,82bでの検出効率の低下を招く。
【0043】そこで、この実施例は、前記の各実施例の
光学素子が透過光を非回折光として出射する機能を有し
ていることに着目し、光導波路84の上にその光学素子の
基本構造を適用し、前記の不具合を解消させた光集積回
路を実現する。この実施例に係る光集積回路の拡大断面
図は図14に示される。同図において、51はSiの基
板、52は基板51の表面を熱酸化させたSiO2膜の上にス
パッタリングでコーニング#7059ガラスを成膜して
構成された光導波路、56は光導波路52の上にパターンエ
ッチングで形成したグレーティングカップラ、53は前記
のグレーティングカップラ56の上に形成したSiO2
(屈折率:n1)の表面をパターンエッチングで凹凸状の回
折格子構造(実施例1〜3の凹凸形状)に形成したバッフ
ァ層、54はバッファ層53の上にアルミニウムの真空蒸着
等によって形成された半透過反射膜、55は半透過反射膜
54の上にバッファ層53と同一屈折率(n1)の紫外線硬化
樹脂をスピンコートして紫外線の照射によって硬化させ
た透明層であり、透明層55の表面は平面になっている。
尚、パターンエッチング形成される凹凸状の回折格子構
造の条件は、実施例1〜3で説明したように、入射光の
層方向となす角度(図21のような適用条件であれば同
図のδに相当)に基づいて、凹凸の傾斜面が層方向とな
す角度や曲面が層方向となす最大傾斜角度の角度が設定
される。即ち、光導波路52の上にバッファ層53と半透過
反射膜54と透明層55からなる前記実施例1〜3の光学素
子の基本構造が積層された構成になっている。
【0044】そして、この光集積回路は、図14に示す
ように、透明層55への入射光の一部を回折格子構造の半
透過反射膜54で反射・回折させて透明層55の表面から射
出し、また半透過反射膜54を透過した入射光の一部は非
回折光としてバッファ層53からグレーティングカップラ
56を介して光導波路52へ導かれる。
【0045】このグレーティングカップラ56は、光集積
回路全体について図14のX-X矢視断面でみると、図1
5に示されるように異なる回折格子パターンが施された
領域56a,56bに分割されており、各領域56a,56bは入射光
を光導波路52に沿って90°異なる方向へ集光させるよ
うになっていると共に、光集積回路80の場合と同様に各
分割領域は中心光軸と45°の角度をなす互いに直交す
る偏光方向を有するように形成されている。従って、図
15に示すように、グレーティングカップラ56による各
集光位置に相当する光導波路52の端面にそれぞれ2分割
の光検出器57a,57bを配設したものを図22の光学系に
適用すれば、光集積回路80の場合と同様に再生RF信号
とTE信号を得ることができる。そして、この実施例の
光集積回路によれば、入射光が半透過反射膜54を透過す
る際に回折を受けないため、前記の光集積回路80と比較
して、光検出器57a,57bでの検出効率が向上し、また迷
光による種々の問題が生じない。
【0046】
【発明の効果】本発明の光学素子及び光集積回路は、以
上の構成を有していることにより、次のような効果を奏
する。請求項1及び請求項2の発明は、従来の透過型回
折格子が反射光と透過光が共に回折光になるのに対し、
斜め方向からの入射光であっても、その入射光の一部を
非回折光として透過させる層構造を具備し、光ディスク
装置や光カードの情報読取り装置等の広範な用途に適用
できる光学素子を実現する。請求項3及び請求項4の発
明は、請求項1又は請求項2の発明に係る層構造を内蔵
し、反射型回折格子とハーフミラーの両機能を具備した
簡単な構造の光学素子を提供する。特に、光ディスク装
置のPU等に適用されることにより、不要回折光の発生
を少なくして迷光現象による各種の障害を防止する。ま
た、請求項3から請求項5の発明では透明層の表面に凸
状レンズ状の曲面や透過型回折格子レンズを構成するこ
とにより、前記の機能に併せて透過非回折光を集光させ
るレンズ機能も具備した光学素子を提供する。請求項6
及び請求項7の発明は、反射型回折格子とハーフミラー
の両機能を具備し、入射光を光導波路へ導く光集積回路
において、光導波路の上に前記の光学素子の基本構成を
適用し、斜め方向からの入射光であっても光導波路へ非
回折光のみを導くことを可能にして、光導波路への入射
光の減衰を少なくして高効率な信号検出を可能にすると
共に、また迷光による悪影響の発生を防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子(半透過反射膜が三角波状の
反射形回折格子構造)の拡大断面及びその層構造部に斜
め方向の入射光があった場合の反射光と透過光の光路を
示す図である。
【図2】本発明の光学素子(半透過反射膜が台形波状の
反射形回折格子構造)の拡大断面及びその層構造部に斜
め方向の入射光があった場合の反射光と透過光の光路を
示す図である。
【図3】本発明の光学素子(半透過反射膜が正弦波状の
反射形回折格子構造)の拡大断面及びその層構造部に斜
め方向の入射光があった場合の反射光と透過光の光路を
示す図である。
【図4】本発明の光学素子の層構造部に斜め方向の入射
光があり、反射回折光と透過非回折光が生じている状態
をマクロ的に示す図である。
【図5】半透過反射膜を矩形波状の反射形回折格子構造
とした層構造部に斜め方向の入射光があった場合の反射
光と透過光の光路を示す図である。
【図6】半透過反射膜を矩形波状の反射形回折格子構造
とした層構造部に斜め方向の入射光があった場合におい
て、反射光と半透過反射膜を複数回透過する透過光の光
路を示す図(A)、及び層方向について層構造部の透過率
の変化を示すグラフである。
【図7】実施例1に係る光学素子の拡大断面及び斜め方
向の入射光があった場合の反射光と透過光の光路を示す
図である。
【図8】実施例2に係る光学素子の拡大断面及び斜め方
向の入射光があった場合の反射光と透過光の光路を示す
図である。
【図9】実施例3に係る光学素子の拡大断面及び斜め方
向の入射光があった場合の反射光と透過光の光路を示す
図である。
【図10】透明層の表面を凸レンズ状の曲面とした実施
例4に係る光学素子の断面図である。
【図11】透明層の表面に透過形回折格子レンズを形成
した実施例4に係る光学素子の断面図である。
【図12】実施例1〜3の光学素子の応用例に係るPU
の光学系を示す図である。
【図13】実施例4の光学素子の応用例に係るPUの光
学系を示す図である。
【図14】実施例5の光集積回路の拡大断面及び斜め方
向の入射光があった場合の反射光と透過光の光路を示す
図である。
【図15】光集積回路全体を図14のX-X矢視断面でみ
た場合の断面図である。
【図16】従来のPUの光学系を示す図である。
【図17】従来のPUの光学系を示す図である。
【図18】ホログラム素子を用いたPUの光学系を示す
図である。
【図19】ホログラム素子を用いたPUの光学系を示す
図である。
【図20】通常の半透過反射形回折格子を用いて、図1
6の光学系の構成を簡素化した場合の光学系を示す図で
ある。
【図21】通常の半透過反射形回折格子を用いて、図1
7の光学系の構成を簡素化した場合の光学系を示す図で
ある。
【図22】先の提案に係る光集積回路の断面図及びその
PUへの適用態様を示す図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,101…半透過反射膜、2,12a,12b,102…透明
物質、3,13,23,33,103…層構造、14,15,24,25…透明
層、35…凸レンズ状の曲面、36…透過形回折格子レン
ズ、41…実施例1〜3に係る光学素子、42…実施例4に
係る光学素子、51,81…Si基板、52,84…光導波路、53,
83,86…バッファ層、56,85…グレーティングカップラ、
56a,56b…グレーティングカップラの分割領域、57a,57
b,68,72a,72b,72c,…光検出器、61…レーザ光源、62…
透過形回折格子、63…コリメートレンズ、64…ハーフミ
ラー、65…対物レンズ、66,66a…ディスク(66aは光磁気
ディスク)、67…焦点検出レンズ、68a〜68c…光検出器
の検出部、69,70…半透過反射形回折格子、71…透過形
ホログラム素子、73…反射形ホログラム素子、80…光集
積回路、82a,82b…光検出部、87…半透過反射形グレー
ティング又は半透過反射形ホログラム、b…焦点距離、
E1,E2…半透過反射膜を3回透過して透過光となる光
路の範囲、h…層構造部の厚み、n1,n2,n3,nx1,nx
2…屈折率、P…半透過反射膜の凹凸のピッチ、S1,S2
…透明層の表面、t…半透過反射膜の厚み、W1,W2…
透明層の厚み、α…層構造内へ入射した光線が層方向と
なす最小角度、β,γ…透明層への入射光線が層方向と
なす角度、δ…往路の入射ビームが光集積回路の層方向
となす角度、θ…傾斜面の層方向となす角度又は正弦波
状曲面の接線が層方向となす最大角度。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸状面の反射形回折格子構造をなすよ
    うに、前記凹凸ピッチに対して十分に小さい膜厚の半透
    過反射膜が凹部と凸部の連続部分を傾斜面として波状形
    成されており、前記半透過反射膜の両面の凹部を同一屈
    折率の透明物質で構成した層構造を具備した光学素子で
    あって、前記傾斜面が前記層構造の層方向となす角度
    を、前記光学素子の光学系への適用条件によって定まる
    前記層構造に入射した光線が前記層構造の層方向となす
    最小角度以下の範囲で設定したことを特徴とする光学素
    子。
  2. 【請求項2】 凹凸状面の反射形回折格子構造をなすよ
    うに、前記凹凸ピッチに対して十分に小さい膜厚の半透
    過反射膜が凹部と凸部の連続部分を滑らかな曲面として
    波状形成されており、前記半透過反射膜の両面の凹部を
    同一屈折率の透明物質で構成した層構造を具備した光学
    素子であって、前記曲面の接線が前記層構造の層方向と
    なす最大角度を、前記光学素子の光学系への適用条件に
    よって定まる前記層構造に入射した光線が前記層構造の
    層方向となす最小角度以下の範囲で設定したことを特徴
    とする光学素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の光学素子において、層
    構造の両面に透明層を形成し、且つその各透明層の表面
    側を略平面又は回折格子構造を有しない曲面とした光学
    素子。
  4. 【請求項4】 請求項3の光学素子において、層構造
    の両面の透明層を、半透過反射膜の各凹部を構成する透
    明物質と同一物質で形成した光学素子。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4の光学素子において、そ
    の一方の透明層の表面側のみを略平面又は回折格子構造
    を有しない曲面とし、他方の透明層の表面側に凹凸状の
    透過形回折格子レンズを形成した光学素子。
  6. 【請求項6】 基板上に、光導波路と、前記光導波路に
    対する接合面と反対側の面を凹凸状に形成した透明なバ
    ッファ層と、前記バッファ層の凹凸のピッチに対して十
    分に小さい膜厚の半透過反射膜を前記バッファ層の凹凸
    面に成膜して反射形回折格子構造を構成した回折・透過
    層と、前記バッファ層の透明物質と同一屈折率の透明物
    質で前記回折・透過層の各凹部を埋めると共に各凸部を
    露出させない厚みの層を形成し、且つその表面側を略平
    面又は回折格子構造を有しない曲面とした透明層を順に
    積層させた光集積回路であって、前記バッファ層の凹凸
    部における凹部と凸部の連続部分が傾斜面で形成されて
    おり、その傾斜面が層方向となす角度を、前記光集積回
    路の光学系への適用条件によって定まる前記透明層へ入
    射した光線が層方向となす最小角度以下の範囲で設定し
    たことを特徴とする光集積回路。
  7. 【請求項7】 基板上に、光導波路と、前記光導波路に
    対する接合面と反対側の面を凹凸状に形成した透明なバ
    ッファ層と、前記バッファ層の凹凸のピッチに対して十
    分に小さい膜厚の半透過反射膜を前記バッファ層の凹凸
    面に成膜して反射形回折格子構造を構成した回折・透過
    層と、前記バッファ層の透明物質と同一屈折率の透明物
    質で前記回折・透過層の各凹部を埋めると共に各凸部を
    露出させない厚みの層を形成し、且つその表面側を略平
    面又は回折格子構造を有しない曲面とした透明層を順に
    積層させた光集積回路であって、前記バッファ層の凹凸
    部における凹部と凸部の連続部分が滑らかな曲面として
    形成されており、その曲面の接線が層方向となす最大角
    度を、前記光集積回路の光学系への適用条件によって定
    まる前記透明層へ入射した光線が層方向となす最小角度
    以下の範囲で設定したことを特徴とする光集積回路。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009276749A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Northrop Grumman Space & Mission Systems Corp 回折光学部材およびその製造方法
JP2015090423A (ja) * 2013-11-06 2015-05-11 セイコーエプソン株式会社 光分岐装置および磁気測定装置

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