JPH08271706A - 面状発光装置用光制御シート及びそれを用いた面状発光装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 片面に以下の（１）（２）（３）の少なくと
もいずれか１つの構造面（拡散面）を有し、他の面が２
次元表面粗さ計測における中心線平均粗さ（Ｒａ）が
０．１μｍ〜０．４０μｍであって反射グロス値（７５
度入光、７５度反射）が７５〜１００％である平滑でな
い構造面を有する透明なプラスチックシートからなるこ
とを特徴とする面状発光装置用光制御シートである。 （１）横断面が凸状または凸弧状の多数の山部と横断面
が凹状または凹弧状の多数の谷部とが交互に且つ略平行
に配列された構造面。 （２）多数の不規則な凹凸形状からなる海島状の構造
面。 （３）光を拡散する粒子を含有してなる表面層を有する
構造面。 【効果】 本発明による面状発光装置用光制御シートを
用いることにより、密着によるニュートンリングのない
且つ正面方向からの画面の明るさに殆ど差異のない、均
一で明るい画面を提供する面状発光装置を得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パーソナルコンピュー
ター、ワークステーション、ワードプロセッサー、液晶
テレビ等の液晶ディスプレイに使用される面状発光装置
に用いる光制御シート及びそれを用いた面状発光装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶ディスプレイは、年々小型化、軽量
化および薄型化されており、また液晶表示装置は自家発
光性を持たないため、その背面にエッヂライト式の面状
発光装置を有している。

【０００３】しかし、面状発光装置から出射される光の
多くは、正面側から隔たった方向へと向かっているため
画面正面からの視認性に寄与しない。そこで表示装置の
全面から正面方向に光を出射させるため、光制御シート
を面状発光装置上に１枚〜数枚配する方法が特開平０４
−４３３１０公報に開示されており、またシートの裏面
をマット状にし導光板との密着を防ぐシートが特開平０
５−３１３００４公報に開示されてる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】特開平０４−４３３１
０公報に開示されているシートは裏面が平滑になってお
り、面状発光装置の導光板上にこのシートを配した場
合、導光板表面も平滑であるため、両者が密着し光線の
干渉によるニュートンリングを発生するという欠点を有
している。

【０００５】また、特開平０５−３１３００４公報に開
示されているシートは、裏面にマット処理が施されてい
るために前記のようなニュートンリングは発生しない
が、マット状のため光線の拡散が起こり正面方向への光
の出射を阻害してしまうという欠点を有している。

【０００６】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、
面状発光装置の導光板上にシートを配しても密着により
光線の干渉によるニュートンリングを発生せず、且つ光
の拡散による正面方向への光の出射阻害を低く抑えるこ
とのできる面状発光装置用光制御シート及びそれを用い
た面状発光装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、片面
に以下の（１）（２）（３）の少なくともいずれか１つ
の構造面（拡散面）を有し、他の面が２次元表面粗さ計
測における中心線平均粗さ（Ｒａ）が０．１μｍ〜０．
４０μｍであって反射グロス値（７５度入光、７５度反
射）が７５〜１００％である平滑でない構造面（極薄マ
ット状態面）を有する透明なプラスチックシートからな
ることを特徴とする面状発光装置用光制御シートを提供
するものである。 （１）横断面が凸状または凸弧状の多数の山部と横断面
が凹状または凹弧状の多数の谷部とが交互に且つ略平行
に配列された構造面。 （２）多数の不規則な凹凸形状からなる海島状の構造
面。 （３）光を拡散する粒子を含有してなる表面層を有する
構造面。

【０００８】また本発明は、上記の面状発光装置用光制
御シートを少なくとも１枚具備することを特徴とする面
状発光装置を提供するものである。

【０００９】以下、本発明を詳述する。本発明の面状発
光装置用光制御シートにおける「シート」とは、厚さに
よって限定される厳密な意味でのシートのみならず、通
常フィルムと呼ばれる薄手のものも含む。その平均厚さ
は５０μｍ以上が望ましく更に望ましくは１００μｍ〜
３５０μｍである。

【００１０】本発明の面状発光装置用光制御シートは、
透明なプラスチックシートである熱可塑性樹脂からな
り、透明な熱可塑性樹脂としては屈折率１．４以上のも
のが光を正面に集める機能上望ましく、例えば、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレートに代表され
るアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートに代表さ
れるポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビ
ニル樹脂等が挙げられる。

【００１１】本発明の面状発光装置用光制御シートの片
面の構造面（拡散面）の一態様としては、片面に横断面
が凸状または凸弧状の多数の山部と横断面が凹状または
凹弧状の多数の谷部とが交互に且つ略平行に配列された
構造面が挙げられる。この場合、片面（拡散面）に交互
に略平行に形成された横断面の凸状または凸弧状の山部
および凹状または凹弧状の谷部の斜面、山頂部および谷
底部は、平面により構成されていてもよく、曲面から形
成されていてもよく、また平面と曲面の双方から形成さ
れていてもよい。平面および曲面の斜面の傾斜は光を正
面に集める性能上非常に重要であるが、所望する性能に
応じて設計すればよい。また、略平行に形成された山部
と山部、谷部と谷部の間隔は、狭ければ狭い程、面状発
光装置としての面均一さにおいて優れており、好ましく
は３５０μｍ以下、より好ましくは１５０μｍ以下がよ
い。

【００１２】また、本発明の面状発光装置用光制御シー
トの片面の構造面（拡散面）の他の一態様としては、片
面に多数の不規則な凹凸形状からなる海島状の構造面が
挙げられる。この場合、片面（拡散面）に付与する多数
の不規則な海島状凹凸形状において、個々の凹凸の形状
は特に限定されるものではないが、面の均一さより長径
５００μｍ程度以下が望ましく、斜面の角度は３０°〜
６０°が望ましく、４０°〜５０°の範囲がより好まし
い。

【００１３】さらに、本発明の面状発光装置用光制御シ
ートの片面の構造面（拡散面）の他の一態様としては、
片面に光を拡散する粒子を含有してなる表面層を有する
構造面が挙げられる。この場合、光を拡散する粒子を含
む表面層は、バインダーとなる樹脂ならびに光を拡散す
る粒子としていずれもその材料を限定されるものではな
く、例えば、前者としては一般的にはアクリル系樹脂
が、後者としては粒径５μｍ〜１０μｍ程度のガラスビ
ーズやシリカ微粒子、ポリスチレンビーズ等を使用する
ことが出来る。

【００１４】本発明の面状発光装置用光制御シートの拡
散面と逆側のもう一方の片面は、光学的に平滑でない構
造であり、ごく微細な凹凸形状を有しており、極薄マッ
ト状態である。これにより、平滑面である導光板表面に
この光制御シートを配しても平滑面同士ではない故、密
着は起こらず、光線の干渉によるニュートンリングは発
生せず、面状発光装置として全面において均一な光量、
すなわち正面輝度を提供することができるようになる。
また、光制御シート裏面を極薄マット状態とすることに
より、作業性も向上する。すなわち、従来のような裏面
が平滑面のシートを用いて面状発光装置の組立て作業を
行う際、裏面が平滑であるが故滑り性がなく積層された
シートのピックアップが困難であったが、シート裏面の
極薄マット化により滑り性が向上し、積層されたシート
のピックアップも容易となる。

【００１５】ここでいう「極薄マット状態」とは、２次
元表面粗さ計測における中心線平均粗さ（Ｒａ）及び反
射グロス値（７５°入光、７５°反射）でその好ましい
範囲を規定できる。本発明においては、この平滑でない
構造を有する「極薄マット状態」の片面は、Ｒａで０．
１μｍ〜０．４０μｍでなければならず、より好ましく
は０．１５μｍ〜０．２５μｍである。 また同時に、
反射グロス値は７５〜１００％でなければならず、より
好ましくは８５〜９８％である。

【００１６】中心線平均粗さ（Ｒａ）が０．１μｍ以下
もしくは反射グロス値が１００％以上の場合、面状態は
平滑となり上述のような弊害が現れる。また、中心線平
均粗さ（Ｒａ）が０．４０μｍ以上もしくは反射グロス
７５％以下の場合、面状態はマット化が濃くなり、この
面での光の拡散による正面方向への光の出射阻害が発生
し、平滑面である場合と比較し、正面輝度が約５％以上
低下する。極薄マット化による光の拡散による正面方向
への光の出射阻害は約１％程度であり、実用に際し問題
のない状態に抑えられる。

【００１７】

【実施例】本発明を下記実施例により具体的に説明する
が、これに限定されるものではない。実施例１〜５、比
較例１〜２の面状発光装置用光制御シート１は、いずれ
も図１に示すエッヂライト方式の面状発光装置を作成
し、ＪＩＳ−Ｃ−７６１４に準じて輝度測定を行った。
面状発光装置に用いられている陰極管４は直径３ｍｍ、
長さ２６０ｍｍ、導光板２は厚さ３ｍｍ、縦１３０ｍ
ｍ、横２６０ｍｍ、材質ポリメチルメタクリレートで裏
面に乱反射用ドット印刷がなされているもの、反射シー
ト３は白顔料が練り込まれた厚み１５０μｍのポリエチ
レンテレフタレート製シートを用いた。

【００１８】［実施例１］面状発光装置用光制御シート
として、表面に横断面形状が頂角が９０°である直角２
等辺三角形は交互に且つ平行に山部と山部、谷部と谷部
が５０μｍ間隔で規則的に連続して形成され、裏面には
中心線平均粗さで０．２０μｍ、反射グロス値９７％の
極薄マットが形成された厚さ１５０μｍのポリカーボネ
ート製シートを用いた。

【００１９】［実施例２］面状発光装置用光制御シート
として、表面に横断面形状が振幅１００μｍ、ピッチ１
００μｍの弧状凹凸が規則的に連続して形成され、裏面
には中心線平均粗さで０．１５μｍ、反射グロス値９９
％の極薄マットが形成された厚さ１８０μｍのポリカー
ボネート製シートを２枚、互いの山谷の稜線が直行する
よう重ねて用いた。

【００２０】［実施例３］面状発光装置用光制御シート
として、表面に横断面形状が頂角が９０°である直角２
等辺三角形が交互に且つ平行に山部と山部、谷部と谷部
が１００μｍ間隔で規則的に連続して形成された厚さ１
００μｍのアクリル樹脂層が厚さ１００μｍの２軸延伸
ポリエチレンテレフタレート製フィルム上に形成され、
裏面には中心線平均粗さで０．２０μｍ、反射グロス値
９８％の極薄マットが形成された厚さ１５０μｍのシー
トを用いた。

【００２１】［実施例４］面状発光装置用光制御シート
として、表面に片面に多数の不規則な凹凸形状からなる
海島状の構造が形成され、裏面には中心線平均粗さで
０．１５μｍ、反射グロス値９９％の極薄マットが形成
された厚さ１８０μｍのポリカーボネート製シートを用
いた。

【００２２】［実施例５］面状発光装置用光制御シート
として、表面に光を拡散するガラス製微粒子（粒径１０
〜１５μ）を含有した厚さ１００μｍのアクリル樹脂層
が厚さ１００μｍの２軸延伸ポリエチレンテレフタレー
ト製フィルム上に形成され、裏面には中心線平均粗さで
０．２０μｍ、反射グロス値９７％の極薄マットが形成
された厚さ１５０μｍのポリカーボネート製シートを用
いた。

【００２３】［比較例１］面状発光装置用光制御シート
として、表面に横断面形状が頂角が９０°である直角２
等辺三角形が交互に且つ平行に山部と山部、谷部と谷部
が５０μｍ間隔で規則的に連続して形成され、裏面には
中心線平均粗さで０．０５μｍ、反射グロス値１０２％
の平滑面である厚さ１５０μｍのポリカーボネート製シ
ートを用いた。

【００２４】［比較例２］面状発光装置用光制御シート
として、表面に横断面形状が頂角が９０°である直角２
等辺三角形が交互に且つ平行に山部と山部、谷部と谷部
が５０μｍ間隔で規則的に連続して形成され、裏面には
中心線平均粗さで０．４５μｍ、反射グロス値６５％の
濃マットが形成された厚さ１５０μｍのポリカーボネー
ト製シートを用いた。

【００２５】以上の実施例及び比較例の結果を表１に示
す。

【表１】 裏面が光学的に平滑な比較例１に比べて、実施例１では
出射障害が約１％程度であるのに対し、比較例２では５
％以上の出射障害が見られた。実施例１〜５の本発明の
面状発光装置用光制御シートは、正面方向からの画面の
明るさに殆ど差異のない、均一で明るい画面を提供し、
かつニュートリングがなく面状発光装置用光制御シート
としての総合評価に優れたものであった。

【００２６】

【発明の効果】本発明による面状発光装置用光制御シー
トを用いることにより、現在一般的に用いられている光
制御シートに較べ、密着によるニュートンリングのない
且つ正面方向からの画面の明るさに殆ど差異のない、均
一で明るい画面を提供する面状発光装置を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】エッジライト方式の面状発光装置である。

【符号の説明】

１：面状発光装置用光制御シート ２：導光板 ３：反射シート ４：陰極管

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 片面に以下の（１）（２）（３）の少な
   くともいずれか１つの構造面（拡散面）を有し、他の面
   が２次元表面粗さ計測における中心線平均粗さ（Ｒａ）
   が０．１μｍ〜０．４０μｍであって反射グロス値（７
   ５度入光、７５度反射）が７５〜１００％である平滑で
   ない構造面（極薄マット状態面）を有する透明なプラス
   チックシートからなることを特徴とする面状発光装置用
   光制御シート。 （１）横断面が凸状または凸弧状の多数の山部と横断面
   が凹状または凹弧状の多数の谷部とが交互に且つ略平行
   に配列された構造面。 （２）多数の不規則な凹凸形状からなる海島状の構造
   面。 （３）光を拡散する粒子を含有してなる表面層を有する
   構造面。
2. 【請求項２】 請求項１記載の面状発光装置用光制御シ
   ートを少なくとも１枚具備することを特徴とする面状発
   光装置。