JPH08269649A - 陽極酸化処理用アルミニウム合金材の製造方法 - Google Patents

陽極酸化処理用アルミニウム合金材の製造方法

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JPH08269649A
JPH08269649A JP7414195A JP7414195A JPH08269649A JP H08269649 A JPH08269649 A JP H08269649A JP 7414195 A JP7414195 A JP 7414195A JP 7414195 A JP7414195 A JP 7414195A JP H08269649 A JPH08269649 A JP H08269649A
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aluminum alloy
alloy material
casting
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dark gray
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JP7414195A
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Yutaka Nagakura
豊 永倉
Shojiro Oya
正二郎 大家
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 色調が濃灰色〜黒灰色を呈するアルミニウム
合金材を容易且つ安定的に製造することができ、またそ
の製造コストを低減することができる陽極酸化処理用ア
ルミニウム合金材及びその製造方法を提供する。 【構成】 Fe:0.3乃至2.0重量%、Mn:0.
01乃至0.6重量%及びTi:0.01乃至0.2重
量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物
からなるアルミニウム合金を、先ず鋳造ロールにより3
乃至10mmの板厚に鋳造する。そして、400℃以下
の温度で中間焼鈍又は粗焼鈍した後、冷間圧延して所定
の板厚とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビル等の外装用に使用さ
れる陽極酸化皮膜を有するアルミニウム合金材の製造方
法に関し、特に陽極酸化処理後における色調が濃灰色〜
黒灰色を呈する陽極酸化処理用アルミニウム合金材の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビル建材又は家庭用の容器等に使
用されるアルミニウム合金材は、その硬度を高くして傷
つき難くしたり、更にはその色調を美しくするために陽
極酸化処理が施されている。例えば、Fe等を添加した
アルミニウム合金に陽極酸化処理を施すことによりその
色調を黒灰色又は白灰色としたり、また浅田法等により
染色等することができる。なお、最近ではアルミニウム
の金属色を活かした灰色〜黒灰色の色調としたアルミニ
ウム合金材の需要が多い。
【0003】とろこで、アルミニウム合金が濃灰色〜黒
灰色の色調を有するものとして、Al−Fe系、Al−
Fe−Mg系又はAl−Fe−Mn系合金等がある。こ
れらの合金が濃灰色〜黒灰色の色調を呈するのは、陽極
酸化皮膜の色がアルミニウム合金中に含まれるAl−F
e系の金属間化合物の種類に極めて大きな影響を受ける
からである。即ち、アルミニウム合金中にはAlm
e、Al3Fe又はAl6Fe等の金属間化合物が存在し
ており、AlmFe又はAl3Feが存在する場合には白
灰色系の色調を呈し、Al6Feが存在する場合には濃
灰色〜黒灰色を呈する。これは、アルミニウム合金中に
AlmFe又はAl3Feが存在すると、これらの化合物
が陽極酸化処理中に前記合金から脱落するためであり、
一方Al6Feが存在すると、この化合物は陽極酸化処
理中に脱落することはなく、陽極酸化皮膜中に存在して
光りを吸収するためである。なお、AlmFeは、Al3
Fe及びAl6Fe以外のAlとFeとの化合物を表
す。
【0004】通常、陽極酸化処理用アルミニウム合金材
は次のように製造される。先ず、所定の成分組成を有す
る合金を溶解及び鋳造して、250〜700mmの厚さ
の鋳塊を製作する。その後、材料の均質化及び金属間化
合物の安定化を図るために、この鋳塊に対して500℃
以上の温度で熱処理を施す。そして、熱間圧延により2
〜10mm程度の厚さの板状とした後、冷間圧延及び必
要に応じて中間焼鈍等を施して所定の板厚とする。更
に、このアルミニウム合金材に対して必要に応じて苛性
ソーダ又は硝酸等を使用して前処理を行う。
【0005】そして、このように製造された陽極酸化処
理用アルミニウム合金材に対して陽極酸化処理を施す
が、この場合にその色調を安定した濃灰色〜黒灰色とす
ることが困難である。これは、アルミニウム合金材にお
けるAl6Feが準安定相の化合物であり、鋳造時に安
定して生成させることが工業的に困難であり、またAl
6Feが熱処理等により安定相の化合物であるAl3Fe
に容易に変化してしまうからである。従って、陽極酸化
処理後におけるアルミニウム合金材の色彩は、鋳造条件
及び熱処理条件の影響が極めて大きいといえる。
【0006】このため、従来より様々な観点から鋳造条
件が検討されており、例えばAl−Fe系の金属間化合
物の生成は鋳造時の冷却速度に大きく依存し、その冷却
速度が比較的遅い場合にはAl6Feが晶出し、逆に冷
却速度が早い場合にはAlmFeが生成し易くなること
が公知である。また、鋳造時の冷却速度を2〜10℃/
秒に制御することにより、Al6Feを晶出させてアル
ミニウム合金材の色調を黒灰色とする技術が公知である
(特公昭60−56772号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳塊を
製作する場合には、その厚さが250〜700mmと極
めて厚いため、鋳造時の冷却速度を厚さ方向に一定とす
ることが困難であり、鋳塊の組織がその厚さ方向に所謂
樅の木状となってしまう。つまり、鋳塊の表面側ではそ
の冷却速度が比較的速いためAlmFe及びAl3Feが
生成し、これらの化合物より内側の部分では冷却速度が
遅くなるためAl6Feが生成し、鋳塊の厚さ方向、即
ち鋳塊の内部に向かって組織が樅の木状となる。また、
鋳塊の内部ではAl3Feが支配的となる。このため、
陽極酸化処理後の鋳塊では表面から内部に向かってその
色調が白灰色−黒灰色−白灰色となり、鋳塊の表面側に
おける白灰色−黒灰色の境界部はギザギザの樅の木状と
なってしまう。このため、鋳塊の表面を黒灰色のAl6
Feとするためには、鋳塊の表面を十分に面削して、鋳
塊の表面に生成したAlmFe及びAl3Feを除去する
必要がある。なお、この場合十分に表面が面削されない
と、鋳塊の表面上がAlmFe等の白灰色とAl6Feの
黒灰色とによる斑状となり、所謂色ムラが生じてしま
う。
【0008】そこで、Al6Feを安定且つ均一に生成
させるための成分組成が検討されたり、Al6FeがA
3Feに変化しないための均熱処理条件等が検討され
ている(特開平1−268837号)が、鋳塊の表面を
相当量面削する必要があり、また鋳塊の表面側に形成さ
れる樅の木状の組織の制御、又は後工程におけるAl6
FeからAl3Feへの変化の抑制等の問題のため、完
全に色ムラを防止することは困難である。更に、色ムラ
防止の完全を期すためには、その処理コストが高くなっ
てしまう。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、色調が濃灰色〜黒灰色を呈するアルミニウ
ム合金材を容易且つ安定的に製造することができ、また
その製造コストを低減することができる陽極酸化処理用
アルミニウム合金材及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る陽極酸化処
理用アルミニウム合金材の製造方法は、Fe:0.3乃
至2.0重量%、Mn:0.01乃至0.6重量%及び
Ti:0.01乃至0.2重量%を含有し、残部がアル
ミニウム及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金
を鋳造ロールにより3乃至10mmの板厚に鋳造する工
程と、400℃以下の温度で中間焼鈍又は粗焼鈍する工
程と、その後冷間圧延する工程とを有することを特徴と
する。
【0011】
【作用】本願発明者等は、色調が濃灰色〜黒灰色を呈す
るアルミニウム合金材を開発すべく種々の実験研究を行
った。その過程において、鋳造の板厚と陽極酸化処理後
の色調との関係について次のようなことを知見した。
【0012】鋳造の板厚が厚いほどAl6Feは生成し
易いが、樅の木状の組織等も生じ易くなる。即ち、鋳造
の板厚が厚くなると、陽極酸化処理後におけるアルミニ
ウム合金材の色調は灰色〜黒灰色となるが、色ムラの防
止が極めて困難となる。逆に、鋳造の板厚を薄くする
と、冷却速度が速くなるため、AlmFe及びAl3Fe
が生成し易くなり、樅の木状の組織は小さくなる。この
ため、色ムラが生じ難くなるが、陽極酸化処理後におけ
るアルミニウム合金材の色調が白灰色となってしまう。
【0013】このようなことから、本願発明者等が更に
鋭意研究を重ねた結果、冷却速度を更に速くし、鋳造の
板厚が10mm以下となる薄板連続鋳造法を使用する場
合には、濃灰色〜黒灰色の色調を呈するアルミニウム合
金材を得ることができることを見出した。
【0014】この場合のアルミニウム合金材の表面に生
成する数種の金属間化合物は、Al−Fe−Mn系の化
合物であり、また陽極酸化処理後にはこれらの金属間化
合物は脱落していた。そこで、本願発明者等がこのよう
な前記合金材が濃灰色を呈する原因について更なる調査
を進めたところ、以下のようなことが判明した。
【0015】即ち、生成するAl−Fe−Mn系の金属
間化合物はアルミニウムより電位が卑であり、また陽極
酸化処理において脱落する。通常、DC鋳造材では、生
成する金属間化合物が丸いため、この脱落により生じる
ピットも丸くなる。このため、鋳造材の表面に形成され
るアルマイト皮膜中に入射した光は、殆どトラップされ
ることがない。しかし、薄板鋳造材では、冷却速度が極
めて速いため、金属間化合物の形状が微細で、且つ不規
則なフィルム状となり、また極めて多数の化合物が均一
に分布する。
【0016】このように、晶出物によるピットの形態が
フィルム状となるために光がトラップされ、且つ均一に
多数分布するため、色調が濃灰色を呈すると考えられ
る。
【0017】なお、薄板連続鋳造材であっても、金属間
化合物としてAlmFe及びAl3Feが生成する場合に
は、陽極酸化処理後のアルミニウム合金材は濃灰色の色
調を呈さない。これは、Al−Fe系の金属間化合物が
電位的にアルミニウムより貴であるため、金属間化合物
ではなくその周囲のアルミニウムが溶解する。このた
め、生じるピットが丸くなったり、金属間化合物が残留
することにより、アルミニウム合金材は濃灰色の色調を
呈することができない。
【0018】以下、本発明に係る陽極酸化処理用アルミ
ニウム合金材の製造方法において使用するアルミニウム
合金の成分添加理由及び組成限定理由について説明す
る。
【0019】Fe(鉄):0.3乃至2.0重量% Feは鋳造時において、Al−Fe系の金属間化合物を
生成させるために必要な元素である。Feの添加量が
0.3重量%より少ないと、何等色調を呈さず、また結
晶粒が若干大きくなり、更にアルマイトの生成後に模様
が生じてしまう。一方、Feを2.0重量%を超えて添
加しても、アルミニウム合金材の表面部における金属間
化合物の量にはあまり影響を与えることがなく、Feを
添加することの効果が飽和状態となると共に、多量の中
央偏析を生じてしまう。
【0020】従って、Feの含有量は0.3乃至2.0
重量%とし、この組成範囲内であれば、金属間化合物を
微細なフィルム状で均一に多数分布することができ、ま
たアルミニウム合金材の色調を濃灰色〜黒灰色とするた
めのFe量として十分なものである。
【0021】なお、中央偏析とは、鋳塊の中心部におい
て厚さが50μm程度の幅で粗大な金属間化合物の固ま
りが、骨状に生じる現象をいう。また、この金属間化合
物が多量に存在する場合には、450℃近傍の温度で熱
処理を施し、圧延時においてこれらの金属間化合物をバ
ラバラにする必要がある。
【0022】Mn(マンガン):0.01乃至0.6重
量% MnはAl−Fe系の金属間化合物と反応して、Al−
Fe−Mn系の金属間化合物を生成する。このAl−F
e−Mn系の金属間化合物は、アルミニウムより電位が
卑であり、陽極酸化処理において脱落する。また、薄板
連続鋳造法を適用する場合には、この金属間化合物の形
状が薄いフィルム状となり、光を極めてトラップし易く
なる。このため、陽極酸化処理により形成される皮膜の
色調が濃灰色〜黒灰色を呈する。
【0023】Mnの添加量が0.01重量%以下である
と、金属間化合物の殆どがAl−Fe系の化合物となっ
てしまい、このAl−Fe系の金属間化合物がアルミニ
ウムより電位が貴であるため、陽極酸化処理において金
属間化合物の周囲のアルミニウムが溶解してしまう。こ
のため、脱落ピットの形態が丸くなり、陽極酸化処理に
おいて、色調が無色透明となってしまう。一方、Mnを
0.6重量%を超えて添加すると、鋳造時に溶湯の流れ
が乱流となる部分において、極めて粗大な結晶粒が生成
し、鋳造欠陥を生じてしまう。従って、Mnの含有量は
0.01乃至0.6重量%とする。
【0024】Ti(チタン):0.01乃至0.2重量
Tiは結晶粒の微細化剤として添加される。Tiを全く
添加しないと、結晶粒径が10〜50mm程度の大きさ
となり、この結晶が陽極酸化処理時においてアルミニウ
ム合金材の表面に模様となって現れてしまう。また、鋳
造時における溶湯の流れ不良部によっては、粒径が20
0mm以上の極めて粗大な結晶粒組織が形成される場合
があり、この結晶が陽極酸化処理時において色彩ムラ又
は模様となって現れてしまう。このような結晶粒の粗大
化を防止するためにTiを添加するが、その添加量が
0.01重量%より少ないと、結晶粒の粗大化を防止す
ることができず、一方0.2重量%を超えて添加する
と、Tiが筋状に固まり陽極酸化処理により形成される
皮膜に穴を空け、耐食性を低下させてしまう。従って、
Tiの含有量は0.01乃至0.2重量%とする。
【0025】なお、本発明に係る陽極酸化処理用アルミ
ニウム合金材の製造方法において使用するアルミニウム
合金には、上述の元素以外にCr、Si又はCu等が
0.1重量%以下であれば含有されていてもよい。これ
は、これらの元素が本発明の目的とする特性に特に影響
を及ぼすことがないからである。
【0026】次に、鋳造条件について説明する。
【0027】鋳造板厚:3乃至10mm アルミニウム合金の鋳造において、鋳造ロールを使用
し、板厚の薄い合金材を製作する。これは、鋳塊内部の
金属間化合物を同一のものとするためであり、また、鋳
造ロールを使用することにより、板厚の薄い効果とも併
せて冷却速度を350℃/秒以上として、薄いフィルム
状の金属間化合物を均一に分布させることができる。こ
のように、フィルム状の金属間化合物を均一で多数分布
させることにより、AlmFeであっても色調が濃灰色
〜黒灰色を呈するアルミニウム合金材を得ることができ
る。
【0028】鋳造板厚が10mmより大きいと、合金材
の中心部に極めて粗大なAl−Fe系の金属間化合物、
いわゆる中央偏析を生じる。この中央偏析が生じると、
合金材の強度が低下するのみならず、金属間化合物の存
在が合金材の硬度に大きな影響を与える。即ち、硬度の
ばらつきが非常に大きくなるため、圧延が不可能とな
る。一方、 鋳造板厚が3mmより小さいと、最終製品
の板厚が1mmとなる場合には、その圧延率が70%以
下となり十分な強度を得ることができない。従って、鋳
造板厚は3乃至10mmとする。
【0029】なお、鋳造時において鋳造ロールを使用す
ると、熱伝達率を向上させることができるため、冷却速
度を速くすることができる。つまり、通常の金型が使用
される所謂半連続鋳造装置では、溶湯と金型との間に凝
固収縮による隙間が生じるため、この隙間が極めて熱伝
導を阻害する。このため、凝固収縮が少ない鋳塊の表面
では、冷却速度が速いが内部では極めて遅くなってしま
う。これに対して、鋳造ロールを使用した場合には、鋳
造と同時に圧延されるために、常に鋳造ロールが鋳塊の
表面に強く押し付けられ、鋳塊の厚さ方向にも均一で速
い冷却速度を得ることができる。
【0030】次に、鋳造後の熱処理について説明する。
【0031】中間焼鈍又は粗焼鈍温度:400℃以下 中間焼鈍とは、例えば3〜0.5mmの厚さまで鋳造板
を冷間圧延した後に施す熱処理をいい、粗焼鈍とは鋳造
板を冷間圧延しないで施す熱処理をいう。これらの熱処
理を施した後、最終板厚まで圧延する。
【0032】このような中間焼鈍又は粗焼鈍ではその熱
処理温度を400℃より高くすると、鋳造時に生成した
フィルム状の金属間化合物が丸くなってしまう。従っ
て、中間焼鈍又は粗焼鈍温度は400℃以下とする。
【0033】なお、熱処理の時間は特に制限はしない
が、例えば400℃の温度で熱処理を施す場合に、8時
間の熱処理と、30分の熱処理とでは生成する金属間化
合物の形態が異なる。即ち、30分の熱処理では金属間
化合物の形態はフィルム状となるが、8時間の熱処理で
はその形態は丸くなってしまう。つまり、熱処理時間が
長くなるほど金属間化合物の形態は丸くなり、これはF
eが晶出物にくっ付いて析出し易いからである。従っ
て、できるだけ短時間で熱処理することが好ましい。
【0034】次に、陽極酸化処理用アルミニウム合金材
の製造方法について説明する。
【0035】先ず、アルミニウムの地金を溶解して、こ
れにFe、Mn及びTiを添加して所定の成分とする。
その後、鋳造ロールを使用した薄板鋳造装置によって、
3〜10mmの板厚となるように鋳造する。このように
鋳造することにより、晶出物が微細なフィルム状とな
り、且つ均一で多数分布するため、鋳塊の中心部であっ
ても冷却速度を350℃/秒とすることができる。
【0036】この後、鋳造歪みを除去して鋳造板を圧延
可能な状態とするために、必要に応じて粗焼鈍する。な
お、Mgの添加量が0.5重量%程度で極めて少ない場
合には、鋳造板が軟らかいため粗焼鈍を省略することが
できる。
【0037】その後、冷間圧延し、材料の圧延性を改善
するために、必要に応じて約300℃の温度で中間焼鈍
を施し、更に冷間圧延して所定の板厚とする。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【0039】第1実施例 下記表1に示すアルミニウム合金を鋳造ロールを使用し
て厚さが4mmの合金材を製作した。これらの合金材を
350℃の温度で粗焼鈍を施し、厚さが1mmとなるま
で冷間圧延した。その後、50℃の温度の苛性ソーダを
使用して3分間の前処理を施した後、20℃の温度であ
る15%濃度の硫酸を使用して、3A/dm2の電流密
度で40分間の陽極酸化処理を施した。
【0040】このような処理を施した後のアルミニウム
合金材の色調について目視により観察し、その結果につ
いても下記表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】上記表1に示すように、実施例No1〜5
については、いずれもその色調が濃灰色〜黒灰色とな
り、良好な色調を呈した。
【0043】一方、比較例No1については、アルミニ
ウム合金材にMnが添加されなかったために、その色調
は無色透明となってしまった。また、アルミニウム合金
材にTiが添加されなかった比較例No2については、
その色調が濃灰色となったものの、結晶粒の微細化効果
を得ることができなかったために、粗大結晶粒が生成し
てしまった。
【0044】比較例No3及び4については、Feの添
加量が所定範囲外であり、添加量の多い比較例No3は
圧延ができず、また添加量の少ない比較例No4はその
色調が無色透明となり、更に結晶粒が若干大きくなって
しまった。
【0045】比較例No5及び6については、夫々Mn
及びTiの添加量が所定範囲より多く、Mnの添加量が
多い比較例No5は色調が濃灰色となったものの、粗大
な結晶粒が生成し鋳造欠陥が生じてしまった。また、T
iの添加量が多い比較例No6は、圧延ができなかっ
た。
【0046】第2実施例 次に、Fe:1.0重量%、Mn:0.4重量%及びT
i:0.04重量%を含有し、残部がAlからなるアル
ミニウム合金を、薄板連続鋳造装置を使用して、厚さが
7mmの合金材を製作した。この合金材を厚さが1mm
となるまで冷間圧延したが、冷間圧延開始時又はその途
中において、下記表2に示す条件で合金材に熱処理を施
した。その後、50℃の温度の苛性ソーダを使用して3
分間の前処理を施した後、20℃の温度である15%濃
度の硫酸を使用して、3A/dm2の電流密度で40分
間の陽極酸化処理を施した。
【0047】このような処理を施した後のアルミニウム
合金材の色調について目視により観察し、その結果につ
いても下記表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】上記表2に示すように、実施例No1〜6
については、熱処理の温度が400℃以下であったた
め、いずれもその色調が濃灰色となり、良好な色調を呈
した。
【0050】一方、熱処理の温度が400℃以上の比較
例No1及び2については、アルミニウム合金材の色調
は白灰色となってしまった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
所定の成分組成を有するアルミニウム合金を鋳造して圧
延及び熱処理することにより、色調が濃灰色〜黒灰色を
呈するアルミニウム合金材を容易且つ安定的に製造する
ことができ、またその製造コストを低減することができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.3乃至2.0重量%、Mn:
    0.01乃至0.6重量%及びTi:0.01乃至0.
    2重量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不
    純物からなるアルミニウム合金を鋳造ロールにより3乃
    至10mmの板厚に鋳造する工程と、400℃以下の温
    度で中間焼鈍又は粗焼鈍する工程と、その後冷間圧延す
    る工程とを有することを特徴とする陽極酸化処理用アル
    ミニウム合金材の製造方法。
JP7414195A 1995-03-30 1995-03-30 陽極酸化処理用アルミニウム合金材の製造方法 Pending JPH08269649A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010256636A (ja) * 2009-04-24 2010-11-11 Kanagawa Acad Of Sci & Technol スタンパ製造用アルミニウム基材、およびスタンパの製造方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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