JPH08269118A - ビニル系化合物の重合体の製造方法 - Google Patents

ビニル系化合物の重合体の製造方法

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JPH08269118A
JPH08269118A JP3134796A JP3134796A JPH08269118A JP H08269118 A JPH08269118 A JP H08269118A JP 3134796 A JP3134796 A JP 3134796A JP 3134796 A JP3134796 A JP 3134796A JP H08269118 A JPH08269118 A JP H08269118A
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group
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polymer
compound
pyridine derivative
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JP3134796A
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Satoshi Kajiya
聰 加治屋
Kenji Shiyachi
賢治 社地
Kazunari Ishiura
一成 石浦
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニル系化合物の重合体をリビングカチオン
重合により製造するための、下記(イ)、(ロ)の特長
を有する工業的に有利な方法を提供する。 (イ)使用するビニル系化合物および/または重合溶媒
が微量の水分を含有している場合においても、重合体
を、所望の平均分子量で、狭い分子量分布で製造するこ
とが可能である。 (ロ)重合後、得られた重合体を簡便な方法で精製する
ことが可能である。 【解決手段】 一般式:−C(−R1)(−R2)−X
(R1、R2:アルキル、アリールまたはアラルキル;
X:アシロキシル、アルコキシル、ヒドロキシルまたは
ハロゲン)で示される基を含有する化合物とルイス酸と
からなる開始剤系を用いてビニル系化合物を重合させ
る。この重合反応系には、下記(1)および(2)の両
者を存在させる。 (1)2位および6位がそれぞれメチル基で置換された
ピリジン誘導体(A−1)および2位が炭素原子数2〜
6のアルキル基で置換され、かつ、6位が置換されてい
ないピリジン誘導体(A−2)からなる群から選ばれる
少なくとも一種のピリジン誘導体(A) (2)該ピリジン誘導体(A)以外の有機ルイス塩基
(B)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル系化合物の
重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、リビングカチオン重合法によるビニル系化合物の重
合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン重合法によりビニル系化合物の
重合を行うと、一般に、生長炭素カチオンが不安定であ
り、重合速度が速いため、所望の重合体を、平均分子量
を制御し、かつ、狭い分子量分布で製造することが困難
であり、また、ブロック共重合体の製造も困難である。
しかしながら、近年、カチオン重合における生長炭素カ
チオンを安定化させることにより、連鎖移動反応、停止
反応等の副反応を抑制した、いわゆるリビングカチオン
重合法が開発されている。
【0003】例えば、特開昭62-48704号公報および特開
昭64-62308号公報には、カルボン酸エステルまたはエー
テルとルイス酸とからなる開始剤系を用いることによっ
て、イソブチレン等のビニル系化合物のリビングカチオ
ン重合が可能であり、ビニル系化合物としてイソブチレ
ンと他の化合物とを順次使用することによって、ポリイ
ソブチレンを一成分とするブロック共重合体を製造する
ことも可能であることが記載されている。
【0004】米国特許第4,946,899号明細書、米国再発
行特許第34,640号明細書およびジャーナル・オブ・ポリ
マー・サイエンス:パートA:ポリマー・ケミストリー
(Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Che
mistry)第29巻、第427〜435頁(1991年)には、一般式
【0005】
【化3】−C(−R’)(−R'')−Y
【0006】(式中、R’およびR''はそれぞれアルキ
ル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Yはカル
ボキシル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基またはハ
ロゲン原子を表す)
【0007】で示される基を分子中に少なくとも1個含
有する化合物と、ルイス酸である金属ハロゲン化物とか
らなる開始剤系を用いたビニル系化合物のリビングカチ
オン重合法により、イソブチレンの重合体ブロックと他
のビニル系化合物の重合体ブロックとを有するブロック
共重合体を製造するに際し、反応系に、ジメチルスルホ
キシド、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン等の
電子対供与体を存在させ、かつ、1段階目のイソブチレ
ンの重合の後、2段階目の他のビニル系化合物の重合の
前に、反応系に、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、4
−メチル−2,6−ジ−t−ブチルピリジン等のプロト
ン捕捉剤を添加することが記載されている。これらの文
献によれば、電子対供与体は重合速度を制御し、連鎖移
動等の副反応を抑制する作用を奏し、またプロトン捕捉
剤は水分等のプロトン性の不純物に起因する副反応を抑
制するのに有効であるとされている。
【0008】米国特許第5,219,948号明細書には、上記
米国特許第4,946,899号明細書に記載されたリビングカ
チオン重合法に準じたイソブチレン等のビニル系化合物
の重合体の製造方法に関し、反応系に、ルイス酸として
四塩化チタンを存在させ、電子対供与体(ルイス塩基)
として、2位および6位のどちらにも置換基を有さない
ピリジン類(無置換のピリジンまたは3位および/また
は4位のみにアルキル基等の置換基を有しているピリジ
ン誘導体)を存在させ、かつ、プロトン捕捉剤としてヒ
ンダードピリジン(具体例は2,6−ジ−t−ブチルピ
リジンのみ)を存在させることが記載されている。該米
国特許第5,219,948号明細書によれば、上記電子対供与
体は分子量分布を狭くするのに有効であるとされてい
る。
【0009】また、特開平3-174403号公報には、一般式
【0010】
【化4】−C(−R''')(−R'''')−Z
【0011】(式中、R'''は水素原子、アルキル基ま
たはアリール基を表し、R''''はアルキル基またはアリ
ール基を表し、Zはアシロキシル基、アルコキシル基ま
たはハロゲン原子を表す)
【0012】で示される基を分子中に少なくとも1個含
有する化合物とルイス酸とからなる開始剤系を用いて、
リビングカチオン重合法により、少なくとも一種のビニ
ル系化合物を重合させるに際し、重合反応系に、ジエチ
ルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン類;
または、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、
t−ブチルピリジン、ジメチルピリジン、ジ−t−ブチ
ルピリジン等のピリジン類を存在させることによって、
重合速度の制御が容易となり、分子量分布が狭く、制御
された分子量を有する重合体が得られることが記載され
ている。ただし、該公報では、ピリジン類とアミン類ま
たは他のピリジン類との併用に関しては言及されておら
ず、また、モノアルキル置換、ジアルキル置換等のアル
キル置換ピリジンについては、2,6−ジ−t−ブチル
ピリジン以外のものではアルキル基の置換位置が明示さ
れていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
各種公知のリビングカチオン重合法によるビニル系化合
物の重合体の製造方法を実験的に検討した。その結果、
使用するビニル系化合物または重合溶媒に水分が混入し
ていると反応系中のルイス酸と反応してプロトンが生成
し、これが重合開始剤として作用するために、得られる
重合体の平均分子量を所定の値に制御することが困難と
なったり、得られる重合体の分子量分布が広くなってし
まう弊害があることが判明した。そして、重合速度を制
御し、所望の平均分子量および所望の狭い分子量分布を
有する重合体を高い再現性で製造するうえで、ビニル系
化合物および重合溶媒に伴う反応系中への水分の混入を
防止することが重要であることが判明した。使用するビ
ニル系化合物および重合溶媒を厳密に脱水することは、
水素化カルシウム等の反応性の高い脱水剤を使用した
り、低効率の条件下で蒸留操作を行うことなどが必要と
なるため、工業的に不向きである。このため、リビング
カチオン重合法によるビニル系化合物の重合体の製造方
法を工業的に採用可能とするためには、使用するビニル
系化合物および/または重合溶媒が、モレキュラーシー
ブス、酸化アルミニウム等の物理吸着型脱水剤による脱
水処理などの、簡便な脱水処理により取得されるよう
な、微量の水分が混入している場合においても、重合速
度を制御でき、重合体を所望の平均分子量で、かつ所望
の狭い分子量分布で製造できるようにすることが必要で
ある。
【0014】本発明者らは、使用するビニル系化合物お
よび/または重合溶媒に微量の水分が残存している場合
について検討した。その結果、上記の公知の製造方法の
うち、特開平3-174403号公報に記載されているような、
アミン類およびピリジン類から選ばれる単一種の化合物
を反応系に存在させておく方法では、アミン類またはピ
リジン類を全く存在させない場合に比べて、得られる重
合体において平均分子量を制御したり、分子量分布を狭
くするうえで幾分かは有効な傾向が認められる場合もあ
るが、その程度は不十分であることが判明した。また、
上記の米国特許第4,946,899号明細書、米国再発行特許
第34,640号明細書、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイ
エンス:パートA:ポリマー・ケミストリー(Journal
of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry)第
29巻、第427〜435頁(1991年)および米国特許第5,219,
948号明細書に記載されているような、反応系に、2,
6−ジ−t−ブチルピリジンのごときヒンダードピリジ
ンを存在させ、かつ、2位および6位のどちらにも置換
基を有さないピリジン類、ジメチルスルホキシド、N,
N−ジメチルアセトアミド等の電子対供与体を存在させ
ておく方法では、平均分子量を制御したり、分子量分布
を狭くするうえで良好な結果が得られることが判明し
た。
【0015】しかしながら、2,6−ジ−t−ブチルピ
リジンは水への溶解度が非常に低く[例えば、ジャーナ
ル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソシエティ(Jo
urnal of the American Chemical Society)第101巻、
第7141頁(1979年)によれば9.4×10-3M]、水へ
の溶解性の低さは、4−メチル−2,6−ジ−t−ブチ
ルピリジン等の他のヒンダードピリジンにおいても同様
である。このため、生成した重合体を、工業的に有利な
精製法である水性液体を用いた洗浄処理により精製する
場合、ヒンダードピリジンの除去効率が極めて悪く、こ
の点において上記のヒンダードピリジンを使用する方法
は工業的に不適当である。ヒンダードピリジンの代わり
に水への溶解性が高い化合物を使用することができれ
ば、使用するビニル系化合物および/または重合溶媒の
脱水処理のみならず、得られた重合体の精製においても
工業的に有利な方法が適用可能となるので、極めて好ま
しいことである。
【0016】しかして、本発明の目的は、ビニル系化合
物をリビングカチオン重合するに際し、使用するビニル
系化合物および/または重合溶媒が微量の水分を含有し
ている場合においても、重合体を、所望の平均分子量
で、かつ、狭い分子量分布で製造することが可能であ
り、しかも、得られた重合体を簡便な方法で精製するこ
とが可能な、工業的に有利なビニル系化合物の重合体の
製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、上記公知のビニ
ル系化合物のリビングカチオン重合において、上記のヒ
ンダードピリジンの代わりに、立体障害が少ない化学構
造を有する特定のピリジン誘導体を使用した場合には、
立体障害の程度の点でヒンダードピリジンとは化学構造
上全く相違するにもかかわらず、ヒンダードピリジンを
使用した場合と同様に、得られる重合体の平均分子量を
制御したり、分子量分布を狭くすることが可能であり、
しかも、重合後、得られた重合体を水性液体を用いて洗
浄すれば、ヒンダードピリジンと比べて、はるかに容易
に除去されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0018】本発明によれば、上記の目的は、一般式
【0019】
【化5】 −C(−R1)(−R2)−X (I)
【0020】(式中、R1およびR2はそれぞれアルキル
基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xはアシロ
キシル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基またはハロ
ゲン原子を表す)
【0021】で示される基を分子中に少なくとも1個含
有する化合物とルイス酸とからなる開始剤系を用いて、
少なくとも一種のビニル系化合物を重合させるに際し、
重合反応系に、
【0022】(1)2位および6位がそれぞれメチル基
で置換されたピリジン誘導体(A−1)および2位が炭
素原子数2〜6のアルキル基で置換され、かつ、6位が
置換されていないピリジン誘導体(A−2)からなる群
から選ばれる少なくとも一種のピリジン誘導体(A)、
ならびに、
【0023】(2)該ピリジン誘導体(A)以外の有機
ルイス塩基(B)
【0024】を共存させることを特徴とするビニル系化
合物の重合体の製造方法を提供することによって達成さ
れる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0026】本発明において用いる上記一般式(I)で
示される化合物は、アシロキシル基、アルコキシル基、
ヒドロキシル基またはハロゲン原子が結合した第3級炭
素原子を分子中に少なくとも1個有する化合物である。
一般式(I)中、R1およびR2がそれぞれ表すアルキル
基としてはメチル基、エチル基等が例示され、アリール
基としてはフェニル基、メチルフェニル基等が例示さ
れ、またアラルキル基としてはベンジル基等が例示され
る。一般式(I)中、Xが表すアシロキシル基としては
アセトキシル基、プロピオニルオキシル基等が例示さ
れ、アルコキシル基としてはメトキシル基、エトキシル
基等が例示され、またハロゲン原子としては塩素原子、
臭素原子等が例示される。上記一般式(I)で示される
基を分子中に少なくとも1個含有する化合物の代表例と
しては、酢酸(1−メチル−1−フェニルエチル)、プ
ロピオン酸(1−メチル−1−フェニルエチル)等の第
3級アルコールとカルボン酸とのエステル;1,4−ビ
ス(1−メトキシ−1−メチルエチル)ベンゼン等のア
ルコキシル基が結合した第3級炭素原子を含有するエー
テル化合物;2−クロロ−2−フェニルプロパン、1,
4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン、
1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)
ベンゼン、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタ
ン、2,6−ジクロロ−2,4,4,6−テトラメチル
ヘプタン等の塩素原子が結合した第3級炭素原子を含有
するハロゲン化炭化水素化合物;1,4−ビス(1−ヒ
ドロキシ−1−メチルエチル)ベンゼン、2,4,4,
6−テトラメチル−2,6−ヘプタンジオール等の第3
級アルコールなどが挙げられる。
【0027】本発明で使用するルイス酸としては、金属
ハロゲン化物などが好ましい。該金属ハロゲン化物の具
体例としては、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、三フッ
化ホウ素のジエチルエーテル錯体等のハロゲン化ホウ素
化合物;四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン
等のハロゲン化チタン化合物;四塩化スズ、四臭化ス
ズ、四ヨウ化スズ等のハロゲン化スズ化合物;三塩化ア
ルミニウム、アルキルジクロロアルミニウム、ジアルキ
ルクロロアルミニウム等のハロゲン化アルミニウム化合
物;五塩化アンチモン、五フッ化アンチモン等のハロゲ
ン化アンチモン化合物;五塩化タングステン等のハロゲ
ン化タングステン化合物;五塩化モリブデン等のハロゲ
ン化モリブデン化合物;五塩化タンタル等のハロゲン化
タンタル化合物などが挙げられる。また、ルイス酸とし
て、テトラアルコキシチタン等の金属アルコキシドを使
用することも可能である。
【0028】本発明で使用するビニル系化合物として
は、イソブチレン、プロピレン、イソプレン等のオレフ
ィン;スチレン、メチルスチレン、t−ブチルスチレ
ン、クロロスチレン、ブロモスチレン、インデン等のビ
ニル系芳香族化合物などのカチオン重合性のビニル系化
合物が例示される。
【0029】本発明では、ピリジン誘導体(A)とし
て、2位および6位がそれぞれメチル基で置換されたピ
リジン誘導体(A−1)および2位が炭素原子数2〜6
のアルキル基で置換され、かつ、6位が置換されていな
いピリジン誘導体(A−2)からなる群から選ばれる少
なくとも一種の化合物を使用する。
【0030】上記のピリジン誘導体(A−1)として
は、重合反応後の反応混合物から水性液体を用いた洗浄
により除去し易い点から、2,6−ジメチルピリジン、
2,4,6−トリメチルピリジン、2,3,6−トリメ
チルピリジン、2,3,4,6−テトラメチルピリジ
ン、2,3,5,6−テトラメチルピリジン、2,3,
4,5,6−ペンタメチルピリジン、2,6−ジメチル
−3−エチルピリジン、2,6−ジメチル−4−エチル
ピリジン等の一般式
【0031】
【化6】
【0032】[式中、R3、R4およびR5はそれぞれ水
素原子またはアルキル基を表す(ただし、R3、R4およ
びR5に含まれる炭素原子数の和は0〜3の範囲内の整
数である)]
【0033】で示される化合物が好ましく、その中でも
2,6−ジメチルピリジンが特に好ましい。
【0034】上記のピリジン誘導体(A−2)として
は、重合反応後の反応混合物から水性液体を用いた洗浄
により除去し易い点から、2−エチルピリジン、2,3
−ジエチルピリジン、2,4−ジエチルピリジン、2,
5−ジエチルピリジン、2,3,4−トリエチルピリジ
ン、2,3,5−トリエチルピリジン、2,4,5−ト
リエチルピリジン、2−エチル−3−メチルピリジン、
2−エチル−4−メチルピリジン、2−エチル−5−メ
チルピリジン等の2−エチルピリジン類;2−プロピル
ピリジン;2−イソプロピルピリジン;2−ブチルピリ
ジン;2−s−ブチルピリジン;2−イソブチルピリジ
ン;2−t−ブチルピリジン;2−ペンチルピリジン;
2−イソペンチルピリジン;2−(1−メチルブチル)
ピリジン;2−(2−メチルブチル)ピリジン;2−
(1−エチルプロピル)ピリジン;2−(1,1−ジメ
チルプロピル)ピリジン;2−(1,2−ジメチルプロ
ピル)ピリジン;2−ネオペンチルピリジン;2−ヘキ
シルピリジン等の、一般式
【0035】
【化7】
【0036】[式中、R6は炭素原子数2〜6のアルキ
ル基を表し、R7、R8およびR9はそれぞれ水素原子ま
たはアルキル基を表す(ただし、R6、R7、R8および
9に含まれる炭素原子数の和は2〜6の範囲内の整数
である)]
【0037】で示される化合物が好ましい。
【0038】本発明においては、ピリジン誘導体(A)
として、一種の化合物を使用しても、複数種の化合物を
併用してもよい。ただし、厳密な脱水処理を行っていな
いビニル系化合物および重合溶媒を使用した場合であっ
ても、所望の重合体を、理論値に近い平均分子量で、か
つ、狭い分子量分布で生成させるという効果が特に顕著
に発揮される点においては、ピリジン誘導体(A)とし
てピリジン誘導体(A−1)を使用することが特に望ま
しい。
【0039】本発明では、ピリジン誘導体(A)ととも
に他の有機ルイス塩基(B)を使用する。該有機ルイス
塩基(B)としては、必ずしも限定されるものではない
が、2位および6位のどちらにも置換基を有しないピリ
ジン類、アミン類、カルボン酸エステル類、エーテル
類、カルボン酸アミド類、ケトン類、スルフィニル化合
物またはリン酸アミド類を、単独でまたは二種以上を組
み合わせて使用するのが、所望の重合体を、理論値に近
い平均分子量で、かつ、狭い分子量分布で生成させると
いう効果が特に顕著に発揮される点で好ましい。2位お
よび6位のどちらにも置換基を有しないピリジン類の具
体例としては、ピリジン;3−メチルピリジン、4−メ
チルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジ
ン、3,4−ジメチルピリジン、3−エチル−4−メチ
ルピリジン、4−エチル−3−メチルピリジン、3, 4
−ジエチルピリジン等の、3位および4位のうちの一方
のみまたは両方のみに置換基を有しているピリジン誘導
体などが挙げられる。アミン類の具体例としては、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミンなどの脂
肪族アミン;アニリンなどの芳香族アミンなどが挙げら
れる。カルボン酸エステル類の具体例としては、酢酸エ
チル、安息香酸エチルなどが挙げられる。エーテル類の
具体例としては、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサ
ン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。カルボン酸
アミド類の具体例としては、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2
−ピロリドンなどが挙げられる。ケトン類の具体例とし
ては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられ
る。スルフィニル化合物の具体例としては、ジメチルス
ルホキシドなどが挙げられる。また、リン酸アミド類の
具体例としては、ヘキサメチルホスホロアミド(HMP
A)などが挙げられる。
【0040】上記の有機ルイス塩基(B)としては、重
合反応後の反応混合物から水性液体を用いた洗浄により
除去し易い点から、分子中に含有される炭素原子数が1
0以下のものが好ましい。
【0041】本発明において使用する上記一般式(I)
で示される基を含有する化合物における該基の含有個数
は、目的とする重合体の骨格に応じて適宜選択すればよ
い。例えば、一般式(I)で示される基を含有する化合
物における該基の含有個数が1または2の場合には、直
鎖の骨格を有する重合体を得ることができる。また、一
般式(I)で示される基を含有する化合物における該基
の含有個数が3以上の場合には、分岐状または星状の骨
格を有する重合体を得ることができる。
【0042】一般式(I)で示される基を含有する化合
物の使用量は、使用するビニル系化合物のモル数、目的
とする重合体の平均分子量等を考慮して、適宜設定する
ことができる。
【0043】本発明においては、上記ルイス酸の反応系
への添加量は必ずしも限定されるものではないが、上記
一般式(I)で示される基のモル数、ピリジン誘導体
(A)のモル数および有機ルイス塩基(B)のモル数の
和に対して等モル以上であることが好ましく、その条件
と同時に、一般式(I)で示される基のモル数に対して
1〜100倍の範囲内のモル数となる条件を満足するこ
とがより好ましい。さらに、ピリジン誘導体(A)のモ
ル数は必ずしも限定されるものではないが、一般式
(I)で示される基のモル数に対して0.1〜100倍
の範囲内であることが好ましい。また、有機ルイス塩基
(B)のモル数は必ずしも限定されるものではないが、
一般式(I)で示される基のモル数に対して0.1〜1
00倍の範囲内であることが好ましく、0.5〜2倍の
範囲内であることがより好ましい。
【0044】本発明において、ビニル系化合物、一般式
(I)で示される基を含有する化合物、ルイス酸、ピリ
ジン誘導体(A)および有機ルイス塩基(B)の重合反
応系へ添加順序は特に限定されるものではないが、ビニ
ル系化合物とルイス酸との間の接触が最後になるような
順序で添加することが好ましい。なお、複数種のビニル
系化合物を使用する場合、一種のビニル系化合物の重合
が実質的に完了した後、引き続いて別種のビニル系化合
物を重合反応系に添加して重合するような逐次的な添加
方法を採用することによって、ブロック共重合体を製造
することも可能である。
【0045】本発明に従う重合反応においては、通常の
カチオン重合に使用されるような有機溶媒を使用するこ
とができる。具体的には、ヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩
化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、二塩化エチレ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化
水素などを、単独でまたは混合して使用することができ
る。
【0046】重合温度としては、通常のビニル系化合物
のリビングカチオン重合におけると同様の条件を採用す
ることができ、必ずしも限定されるものではないが、一
般には−150℃〜+50℃の範囲内から適宜選ぶこと
ができる。重合反応時間は特に限定されることなく、例
えば、重合反応系におけるビニル系化合物の重合率(転
化率)を経時的に定量しながら、適当な時間継続すれば
よいが、一般的には、0.5〜12時間の範囲内であ
る。
【0047】本発明に従う重合反応は、副反応が防止さ
れる点から水分の混入が少ない条件下で行うことが好ま
しい。したがって、ビニル系化合物、有機溶媒等の重合
反応系への仕込み量が多い化学物質については、必要に
応じ、事前に脱水処理に付しておくことが好ましい。た
だし、本発明においては、厳密な脱水は必ずしも必要な
く、通常は、モレキュラーシーブス、酸化アルミニウム
等の物理吸着型脱水剤を使用した簡便な脱水方法で十分
である。
【0048】本発明に従う重合反応は、通常のビニル系
化合物のリビングカチオン重合において採用される方法
に準じて、重合反応系にメタノール、エタノール、水等
のプロトン性化合物を添加する方法、重合反応系の温度
を上昇させる方法などによって停止させることができ
る。
【0049】上記の重合反応の後、得られた反応混合物
からの目的の重合体の分離、精製は、通常のビニル系化
合物のリビングカチオン重合において採用される方法に
準じて行うことができる。例えば、得られた反応混合物
を水、アルカリ水溶液等の水性液体を用いて洗浄するこ
とによって、ルイス酸、ピリジン誘導体(A)等の重合
用添加剤を除去することができる。該重合用添加剤が除
去された後の反応混合物を、例えば、目的とするビニル
系化合物の重合体に対する貧溶媒(例えば、メタノー
ル)に再沈することにより、ビニル系化合物の重合体が
分離取得される。
【0050】本発明の方法で製造されるビニル系化合物
の重合体の代表例としては、ポリイソブチレン、ポリス
チレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン型トリブロッ
ク共重合体等が挙げられ、これらはエラストマー等とし
て有用である。
【0051】
【実施例】以下に、実施例を示して本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定
されるものではない。なお、実施例において市販の化学
品を使用した場合には、特に断りのない限り、特級グレ
ード品をそのまま使用している。
【0052】実施例においては、得られた重合体の数平
均分子量(Mn)および分子量分布[Mw/Mn(ただ
し、Mwは重量平均分子量)]は、GPC(島津製作所
製)より求めた。開始剤効率が100%であると仮定し
た場合における数平均分子量の計算値[Mn(Calcd)]
は、数式:Mn(Calcd)=[ビニル系化合物の量(mo
l)/一般式(I)で示される基を含有する化合物の量
(mol)]×[重合率(%)/100]×[ビニル系
化合物の分子量]+[一般式(I)で示される基を含有
する化合物の分子量]に基づき求めた。また、得られた
重合体の窒素原子含有量は、微量分析装置で測定した。
【0053】(実施例1)乾燥させた攪拌機付き反応器
中に、モレキュラーシーブス4Aで脱水処理した塩化メ
チレン(水分率:3ppm)800mlおよびモレキュ
ラーシーブス4Aで脱水処理したメチルシクロヘキサン
(水分率:1ppm)1200mlを仕込み、次いで、
1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼ
ン1.0g(4.3mmol)、2,6−ジメチルピリ
ジン1.96g(18.2mmol)、ピリジン0.6
8g(8.6mmol)およびイソブチレン210gを
それぞれ加えた。反応系の温度を−78℃に維持しなが
ら、四塩化チタン12.3g(65mmol)を加えて
重合を開始し、6時間後、メタノール200mlを添加
して重合を停止した。重合率は100%であった。
【0054】得られた反応混合物を、pHが7になるま
で水洗し、次いで大量のメタノール中に再沈させること
によって、Mnが50000(Mn(Calcd):4900
0)であり、Mw/Mnが1.10であるイソブチレン
重合体を得た。得られたイソブチレン重合体の窒素原子
含有量は、検出限界値(10ppm)以下であった。
【0055】(比較例1)2,6−ジメチルピリジンの
添加を省略した以外は実施例1におけると同様の条件
で、イソブチレンの重合および重合後の分離・精製処理
を行った。重合率は100%であった。Mnが3500
0(Mn(Calcd):49000)であり、Mw/Mnが
1.50であるイソブチレン重合体を得た。得られたイ
ソブチレン重合体の窒素原子含有量は、検出限界値(1
0ppm)以下であった。
【0056】(比較例2)2,6−ジメチルピリジン
1.96g(18.2mmol)の代わりに3,4−ジ
メチルピリジン1.96g(18.2mmol)を使用
した以外は実施例1におけると同様の条件で、イソブチ
レンの重合および重合後の分離・精製処理を行った。重
合率はわずか8%であった。Mnが5000(Mn(Cal
cd):49000)であり、Mw/Mnが2.74であ
るイソブチレン重合体を得た。得られたイソブチレン重
合体の窒素原子含有量は、検出限界値(10ppm)以
下であった。
【0057】(実施例2)乾燥させた攪拌機付き反応器
中に、モレキュラーシーブス4Aで脱水処理した塩化メ
チレン800ml(水分率:3ppm)およびモレキュ
ラーシーブス4Aで脱水処理したメチルシクロヘキサン
(水分率:1ppm)1200mlを仕込み、次いで、
1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼ
ン1.0g(4.3mmol)、2,6−ジメチルピリ
ジン1.96g(18.2mmol)、ピリジン0.6
8g(8.6mmol)およびイソブチレン210gを
それぞれ加えた。反応系の温度を−78℃に維持しなが
ら、四塩化チタン12.3g(65mmol)を加えて
イソブチレンの重合を開始させた。6時間重合させた
後、モレキュラーシーブス4Aおよび酸化アルミニウム
で脱水処理したスチレン(水分率:1ppm)90gお
よび2,6−ジメチルピリジン1.0g(9.4mmo
l)を添加し、−78℃でスチレンの重合を開始させ
た。スチレンの重合を6時間行った後、メタノール20
0mlを添加して反応を停止させた。
【0058】得られた反応混合物を、pHが7になるま
で水洗し、次いで大量のメタノール中に再沈させること
によって、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチ
レン型トリブロック共重合体を得た。得られた共重合体
のMnは73000であり、Mw/Mnは1.20であ
った。得られた共重合体のポリスチレンブロックのMn
は11000であり、ポリイソブチレンブロックのMn
は50000(Mn(Calcd):49000)であった。
また、得られた共重合体の窒素原子含有量は、検出限界
値(10ppm)以下であった。
【0059】(比較例3)イソブチレン重合前に添加し
た2,6−ジメチルピリジン1.96g(18.2mm
ol)の代わりに2,6−ジ−t−ブチルピリジン3.
48g(18.2mmol)を使用し、かつ、スチレン
と同時に添加した2,6−ジメチルピリジン1.0g
(9.4mmol)の代わりに2,6−ジ−t−ブチル
ピリジン1.79g(9.4mmol)を使用した以外
は実施例2におけると同様の条件で、イソブチレンの重
合、スチレンの重合および重合後の分離・精製処理を行
うことにより、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリ
スチレン型トリブロック共重合体を得た。得られた共重
合体のMnは71000であり、Mw/Mnは1.18
であった。得られた共重合体のポリスチレンブロックの
Mnは11000であり、ポリイソブチレンブロックの
Mnは49000(Mn(Calcd):49000)であっ
た。また、得られた共重合体の窒素原子含有量は、45
ppmであった。
【0060】(実施例3)ピリジン0.68g(8.6
mmol)の代わりにジエチルエーテル0.40g
(8.6mmol)を使用した以外は実施例2における
と同様の条件で、イソブチレンの重合、スチレンの重合
および重合後の分離・精製処理を行うことにより、ポリ
スチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン型トリブロ
ック共重合体を得た。得られた共重合体のMnは710
00であり、Mw/Mnは1.26であった。得られた
共重合体のポリスチレンブロックのMnは11000で
あり、ポリイソブチレンブロックのMnは49000
(Mn(Calcd):49000)であった。また、得られ
た共重合体の窒素原子含有量は、検出限界値(10pp
m)以下であった。
【0061】(実施例4)乾燥させた攪拌機付き反応器
中に、モレキュラーシーブス4Aで脱水処理した塩化メ
チレン(水分率:3ppm)1000mlおよびモレキ
ュラーシーブス4Aで脱水処理したヘキサン(水分率:
1ppm)1000mlを仕込み、次いで、1,4−ビ
ス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン2.0g
(8.6mmol)、2,6−ジメチルピリジン3.9
g(36mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド
1.5g(17.2mmol)およびイソブチレン21
0gをそれぞれ加えた。反応系の温度を−78℃に維持
しながら、四塩化チタン12.3g(65mmol)を
加えてイソブチレンの重合を開始させた。3時間重合さ
せた後、モレキュラーシーブス4Aおよび酸化アルミニ
ウムで脱水処理したスチレン(水分率:1ppm)90
gおよび2,6−ジメチルピリジン1.0g(9.4m
mol)を添加し、−78℃でスチレンの重合を開始さ
せた。スチレンの重合を4時間行った後、メタノール2
00mlを添加して反応を停止させた。
【0062】得られた反応混合物を、pHが7になるま
で水洗し、次いで大量のメタノール中に再沈させること
によって、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチ
レン型トリブロック共重合体を得た。得られた共重合体
のMnは38000であり、Mw/Mnは1.25であ
った。得られた共重合体のポリスチレンブロックのMn
は5000であり、ポリイソブチレンブロックのMnは
27000(Mn(Calcd):25000)であった。ま
た、得られた共重合体の窒素原子含有量は、検出限界値
(10ppm)以下であった。
【0063】(実施例5)N,N−ジメチルアセトアミ
ド1.5g(17.2mmol)の代わりに酢酸エチル
1.17g(17.2mmol)を使用した以外は実施
例4におけると同様の条件で、イソブチレンの重合、ス
チレンの重合および重合後の分離・精製処理を行うこと
により、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレ
ン型トリブロック共重合体を得た。得られた共重合体の
Mnは36000であり、Mw/Mnは1.22であっ
た。得られた共重合体のポリスチレンブロックのMnは
5000であり、ポリイソブチレンブロックのMnは2
6000(Mn(Calcd)は25000)であった。ま
た、得られた共重合体の窒素原子含有量は、検出限界値
(10ppm)以下であった。
【0064】(実施例6)乾燥させた攪拌機付き反応器
中に、モレキュラーシーブス4Aで脱水処理した塩化メ
チレン(水分率:3ppm)500mlおよびモレキュ
ラーシーブス4Aで脱水処理したヘキサン(水分率:1
ppm)500mlを仕込み、次いで、1,4−ビス
(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン0.35g
(1.5mmol)、2,6−ジメチルピリジン0.9
8g(9.1mmol)、ジメチルスルホキシド0.2
3g(2.9mmol)およびイソブチレン60gをそ
れぞれ加えた。反応系の温度を−78℃に維持しなが
ら、四塩化チタン4.3g(23mmol)を加えてイ
ソブチレンの重合を開始させた。5時間重合させた後、
モレキュラーシーブス4Aおよび酸化アルミニウムで脱
水処理したスチレン(水分率:1ppm)40gおよび
2,6−ジメチルピリジン0.22g(2.1mmo
l)を添加し、−78℃でスチレンの重合を開始させ
た。スチレンの重合を6時間行った後、メタノール10
0mlを添加して反応を停止させた。
【0065】得られた反応混合物を、pHが7になるま
で水洗し、次いで大量のメタノール中に再沈させること
によって、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチ
レン型トリブロック共重合体を得た。得られた共重合体
のMnは69000であり、Mw/Mnは1.22であ
った。得られた共重合体のポリスチレンブロックのMn
は14000であり、ポリイソブチレンブロックのMn
は41000(Mn(Calcd):40000)であった。
また、得られた共重合体の窒素原子含有量は、検出限界
値(10ppm)以下であった。
【0066】(実施例7)乾燥させた攪拌機付き反応器
中に、モレキュラーシーブス4Aで脱水処理した塩化メ
チレン800ml(水分率:3ppm)およびモレキュ
ラーシーブス4Aで脱水処理したメチルシクロヘキサン
(水分率:1ppm)1200mlを仕込み、次いで、
1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼ
ン1.4g(6.1mmol)、2,6−ジメチルピリ
ジン1.96g(18.2mmol)、トリエチルアミ
ン0.72g(12.2mmol)およびイソブチレン
240gをそれぞれ加えた。反応系の温度を−78℃に
維持しながら、四塩化チタン17.2g(91mmo
l)を加えてイソブチレンの重合を開始させた。4時間
重合させた後、モレキュラーシーブス4Aおよび酸化ア
ルミニウムで脱水処理したスチレン(水分率:1pp
m)60gおよび2,6−ジメチルピリジン0.67g
(6.25mmol)を添加し、−78℃でスチレンの
重合を開始させた。スチレンの重合を4時間行った後、
メタノール200mlを添加して反応を停止させた。
【0067】得られた反応混合物を、pHが7になるま
で水洗し、次いで大量のメタノール中に再沈させること
によって、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチ
レン型トリブロック共重合体を得た。得られた共重合体
のMnは31000であり、Mw/Mnは1.25であ
った。得られた共重合体のポリスチレンブロックのMn
は4000であり、ポリイソブチレンブロックのMnは
24000(Mn(Calcd):25000)であった。ま
た、得られた共重合体の窒素原子含有量は、検出限界値
(10ppm)以下であった。
【0068】上記の実施例1〜7から、本発明によれ
ば、厳密な脱水処理を行っておらず、微量の水分を含有
しているビニル系化合物および/または重合溶媒を使用
した場合であっても、所望の重合体を理論値に近い数平
均分子量で、かつ狭い分子量分布で生成させることがで
き、しかも、簡便な水洗法により、該重合体から効率的
に重合用添加剤が除去されることが判る。これに対し、
比較例1からは、厳密な脱水処理を行っていない重合溶
媒を使用する場合、重合反応系に、ピリジン誘導体
(A)を存在させないと、得られる重合体の平均分子量
を制御したり、分子量分布を狭くすることが困難となる
ことが判る。さらに、比較例2から、厳密な脱水処理を
行っていない重合溶媒を使用する場合、ピリジン誘導体
(A)の代わりに2位および6位のどちらにも置換基を
有しないピリジン誘導体を添加すると、重合速度が著し
く低下し、また、得られる重合体における分子量分布も
幅広くなることが判る。また、比較例3から、ピリジン
誘導体(A)の代わりに、プロトン捕捉剤として公知の
2,6−ジ−t−ブチルピリジンを用いると、得られた
重合体からの分離除去が容易ではないことが判る。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、厳密な脱水処理を行っ
ておらず、微量の水分を含有しているビニル系化合物お
よび/または重合溶媒を使用した場合であっても、ビニ
ル系化合物の重合体を、理論値に近い平均分子量で、か
つ、狭い分子量分布で生成させることができる。しか
も、本発明によれば、水性液体を用いた洗浄のような簡
便な方法で、該重合体から重合用添加剤を効率的に除去
することができる。したがって、本発明によってビニル
系化合物の重合体の工業的に有利な製造方法が提供され
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 −C(−R1)(−R2)−X (I) (式中、R1およびR2はそれぞれアルキル基、アリール
    基またはアラルキル基を表し、Xはアシロキシル基、ア
    ルコキシル基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を表
    す)で示される基を分子中に少なくとも1個含有する化
    合物とルイス酸とからなる開始剤系を用いて、少なくと
    も一種のビニル系化合物を重合させるに際し、重合反応
    系に、(1)2位および6位がそれぞれメチル基で置換
    されたピリジン誘導体(A−1)および2位が炭素原子
    数2〜6のアルキル基で置換され、かつ、6位が置換さ
    れていないピリジン誘導体(A−2)からなる群から選
    ばれる少なくとも一種のピリジン誘導体(A)、ならび
    に、(2)該ピリジン誘導体(A)以外の有機ルイス塩
    基(B)を共存させることを特徴とするビニル系化合物
    の重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ピリジン誘導体(A)が2位および6位
    がそれぞれメチル基で置換されたピリジン誘導体(A−
    1)である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ピリジン誘導体(A−1)が一般式 【化2】 [式中、R3、R4およびR5はそれぞれ水素原子または
    アルキル基を表す(ただし、R3、R4およびR5に含ま
    れる炭素原子数の和は0〜3の範囲内の整数である)]
    で示される化合物である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機ルイス塩基(B)が、分子中に含有
    される炭素原子数が10以下の有機ルイス塩基である請
    求項1、2または3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機ルイス塩基(B)が、2位および6
    位のどちらにも置換基を有しないピリジン類、アミン
    類、カルボン酸エステル類、エーテル類、カルボン酸ア
    ミド類、ケトン類、スルフィニル化合物およびリン酸ア
    ミド類からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物
    である請求項1〜4のうちのいずれか1つの項に記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 重合反応終了後、得られた反応混合物を
    水性液体で洗浄する請求項1〜5のうちのいずれか1つ
    の項に記載の製造方法。
JP3134796A 1995-02-01 1996-01-25 ビニル系化合物の重合体の製造方法 Pending JPH08269118A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002505346A (ja) * 1997-12-04 2002-02-19 ザ ユニバーシティ オブ ウエスタン オンタリオ オレフィンのカルボカチオン重合用開始剤

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JP2002505346A (ja) * 1997-12-04 2002-02-19 ザ ユニバーシティ オブ ウエスタン オンタリオ オレフィンのカルボカチオン重合用開始剤

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