JPH08268929A - アルキル基置換芳香族炭化水素の製造方法 - Google Patents

アルキル基置換芳香族炭化水素の製造方法

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JPH08268929A
JPH08268929A JP10070895A JP10070895A JPH08268929A JP H08268929 A JPH08268929 A JP H08268929A JP 10070895 A JP10070895 A JP 10070895A JP 10070895 A JP10070895 A JP 10070895A JP H08268929 A JPH08268929 A JP H08268929A
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sodium
aromatic hydrocarbon
substituted aromatic
reaction
alkyl group
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JP10070895A
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Takashi Suzuki
貴 鈴木
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Eneos Corp
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C15/00Cyclic hydrocarbons containing only six-membered aromatic rings as cyclic parts
    • C07C15/02Monocyclic hydrocarbons

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属ナトリウムとハロゲン化芳香族化合物を
出発物質として、アルキル基置換芳香族炭化水素を安全
かつ高収率で製造する方法を提供する。 【構成】 次の工程(I)、(II)および(III)からな
るアルキル基置換芳香族炭化水素の製造方法、(I)金
属ナトリウムとハロゲン化芳香族化合物とを反応させて
芳香族ナトリウム化合物を製造する工程、(II)前記芳
香族ナトリウム化合物と、芳香族環に対してα−位に水
素原子を有するアルキル基またはアルキレン基により置
換された置換芳香族炭化水素とを加熱反応させ、ナトリ
ウム置換芳香族炭化水素を製造する工程、および(II
I)前記ナトリウム置換芳香族炭化水素と、ハロゲン化
アルキルとを反応させることにより、アルキル基置換芳
香族炭化水素を製造する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族炭化水素化合物
の側鎖のアルキル基またはアルキレン基に更にアルキル
基を導入する方法に関するものである。更に詳しくは、
金属ナトリウムとハロゲン化芳香族化合物を出発物質と
して、アルキル基置換芳香族炭化水素を良好な収率で製
造する方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】金属ナトリウムとハロゲン化アルキルを
出発物質として用い、トルエン溶媒中でベンジルナトリ
ウムを調製し、これとブチルクロライドとの反応により
アミルベンゼンを製造する方法(J. Am. Chem. Soc., 6
0, 1429 (1938))や、同様の反応系に種々の塩やアミン
等の添加剤を加えた検討例(J. Am. Chem. Soc., 73,43
63 (1951))、また金属ナトリウムとクロロベンゼンか
らフェニルナトリウムを製造し、これをトルエン中で加
熱反応させることにより生成するベンジルナトリウムか
らフェニル酢酸を製造する方法(Industrial and Engin
eering Chemistry,46, 539 (1954))等が提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属ナトリウムとハロ
ゲン化アルキルを出発物質として用い、トルエン溶媒中
でベンジルナトリウムを調製し、これとブチルクロライ
ドとの反応によりアミルベンゼンを製造する前者の方法
においては、生成する芳香族炭化水素の収率が最高70
%程度であり、工業的には必ずしも優れた方法とはいえ
ない。また、金属ナトリウムとクロロベンゼンからフェ
ニルナトリウムを製造し、これをトルエン中で加熱反応
させることにより生成するベンジルナトリウムからフェ
ニル酢酸を製造する後者の例においては、ベンジルナト
リウムが良好な収率で調製されるとの記載はあるが、フ
ェニル酢酸の製造のみを目的とするものであり、芳香族
炭化水素を製造する検討は行われていない。工業的な製
造方法の観点からは、蒸留により目的物を分離して取得
する方法が最も経済的であり好ましい。アルキル基置換
芳香族炭化水素の製造においても同様である。しかる
に、前記のような従来の方法においてはこの点が全く考
慮されていない。例えば、フェニル酢酸を製造する上記
の例においては、酸の製造を目的とすることもあるが、
蒸留分離の際の副生物の生成について考慮が払われてい
ない。
【0004】また、ナトリウムを取り扱う分野において
は、金属ナトリウムの危険性は衆知の事実である。従っ
て、可燃性物質を大量に取り扱うことの多い化学工業に
おいて金属ナトリウムを用いる反応を実施する際には、
安全な取扱方法の確立がその成否を決定するといっても
過言ではない。このように工業的実施の可能性という観
点からも、収率の低い方法、すなわち危険性の高い金属
ナトリウムが反応系中に残存する可能性のある製造方法
では、微量の水分はいうまでもなく、微量の酸素が存在
する場合においても、発火する危険性を回避するため
に、装置的対策を確立すると共に、取り扱いに細心の注
意を払うことが必要となる。すなわち、このような従来
の方法では、反応が効率的に進行しないため反応系中に
金属ナトリウムが残存する可能性があり、発火による危
険性が大きい。
【0005】本発明の目的は、上述の事情に鑑み、金属
ナトリウムとハロゲン化芳香族化合物とを出発原料とし
て用い、中間製品のナトリウム置換芳香族炭化水素とハ
ロゲン化アルキルとを反応させてアルキル基置換芳香族
炭化水素を得る方法を用いることにより、発火の危険性
が高い金属ナトリウムが反応終了時には反応系中にほと
んど残存しない安全な製造方法を提供することにある。
更に他の目的は、簡単な蒸留によりアルキル基置換芳香
族炭化水素を高収率で分離し取得することが可能な製造
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、次の工程(I)、(II)および(III)からなること
を特徴とするアルキル基置換芳香族炭化水素の製造方法
に関する。 (I)金属ナトリウムとハロゲン化芳香族化合物とを反
応させて芳香族ナトリウム化合物を製造する工程、(I
I)前記芳香族ナトリウム化合物と、芳香族環に対して
α−位に少なくとも一つの水素原子を有するアルキル基
またはアルキレン基の少なくとも一つにより置換された
置換芳香族炭化水素とを加熱反応させ、芳香族ナトリウ
ム化合物およびビフェニルまたはその誘導体を実質的に
含まない上記α−位の水素原子の一つがナトリウムで置
換された置換芳香族炭化水素からなるナトリウム置換芳
香族炭化水素を製造する工程、および(III)前記ナト
リウム置換芳香族炭化水素と、ハロゲン化アルキルとを
反応させることにより、側鎖にアルキル基が置換した芳
香族炭化水素を製造する工程。本発明の第2は、前記工
程(I)において、金属ナトリウムが不活性有機溶媒中
に乳化または懸濁した状態のナトリウム分散体であるこ
とを特徴とする上記第1の発明に関する。本発明の第3
は、前記工程(I)において、ナトリウム分散体のナト
リウム粒子の平均粒径が30μm以下であることを特徴
とする上記第2の発明に関する。本発明の第4は、前記
工程(I)において、金属ナトリウムとハロゲン化芳香
族化合物とを反応させて芳香族ナトリウム化合物を製造
する際に、反応温度を0〜30℃、反応時間を0.1〜
3時間とすることにより、副生成物であるビフェニルま
たはその誘導体の生成量を3%以下にすることを特徴と
する第1の発明に関する。本発明の第5は、前記工程
(II)において、芳香族ナトリウム化合物を用いてナト
リウム置換芳香族炭化水素を製造する際に、反応温度を
50〜150℃、反応時間を0.5〜5時間とすること
を特徴とする第1の発明に関する。本発明の第6は、前
記工程(III)において、ハロゲン化アルキルのアルキ
ル基が、炭素数1〜10の一級もしくは二級の直鎖もし
くは分枝状、または脂環式の構造であり、ハロゲン原子
が塩素、臭素またはヨウ素のいずれかであることを特徴
とする第1の発明に関する。本発明の第7は、前記工程
(III)において、ナトリウム置換芳香族炭化水素とハ
ロゲン化アルキルとを反応させる際に、反応温度を20
〜150℃、反応時間を0.1〜5時間とすることを特
徴とする第1の発明に関する。
【0007】以下、本発明について更に説明する。 工程(I):本発明における金属ナトリウムは、それと
反応しない不活性有機溶媒中に乳化または懸濁した状態
のナトリウム分散体であることが好ましい。分散状態が
塊状や繊維状等では、反応の活性が著しく低く、高収率
で反応が進行しないばかりでなく、ナトリウムが反応系
中に残存して反応の後処理等の操作において発火の危険
性があるため好ましくない。ナトリウム分散体は、反応
装置内で調製してもよく、またあらかじめ調製しておい
たものを用いることもできる。
【0008】金属ナトリウム分散体の溶媒としては、例
えばペンタン、ヘキサン、オクタン等のパラフィン、デ
カリン等のシクロパラフィン、ベンゼン等を代表とする
ナトリウム金属と反応しない不活性な有機溶媒を適宜に
使用することができる。好ましくは次の工程(II)の反
応基質として用いる置換芳香族炭化水素である。すなわ
ち、芳香族ナトリウム化合物と加熱反応することによ
り、ナトリウム置換芳香族炭化水素に変換される置換芳
香族炭化水素が好適である。例えば、工程(III)にお
いて、ナトリウム置換芳香族炭化水素としてのベンジル
ナトリウムやα−ソジオエチルベンゼンとハロゲン化炭
化水素との反応を行う場合は、それぞれトルエンおよび
エチルベンゼンを工程(II)における反応基質とするこ
とができるが、このような場合に工程(I)では、それ
ぞれトルエンおよびエチルベンゼンを金属ナトリウムの
溶媒として用いることが好ましい。
【0009】また、ナトリウム分散体のナトリウム粒子
の平均粒径は30μm以下であることが好ましい。平均
粒径が30μm以下である場合には、ハロゲン化芳香族
化合物との反応は定量的に進行する。しかし平均粒径が
30μmを越えると反応活性が低下し、未反応の金属ナ
トリウムが残存する可能性がある。残存した金属ナトリ
ウムは発火の危険を招くため好ましくない。なお、金属
ナトリウムの微粒子を安定に分散させておくために、オ
レイン酸などの高級脂肪族カルボン酸や高級脂肪族アル
コールなどを分散安定剤として少量用いることもでき
る。
【0010】金属ナトリウムと反応させるべきハロゲン
化芳香族化合物は、ブロモベンゼン、クロロベンゼンな
どである。好ましくはクロロベンゼンである。
【0011】本工程の反応においては、反応基質自体を
反応溶媒として用いてもよい。しかし、例えばペンタ
ン、ヘキサン、オクタン等のパラフィン、デカリン等の
シクロパラフィン、ベンゼン等の反応に不活性な溶媒を
適宜に用いることも可能である。
【0012】金属ナトリウムは、ハロゲン化芳香族化合
物の1モルに対して1.5〜2.5モルを使用する。1.
5モル未満では反応が進行し難く、また2.5モルを越
えると未反応ナトリウムが残存し易いのでいずれも好ま
しくない。
【0013】反応温度は0〜30℃とすることが好まし
い。0℃未満の温度では、冷却費用が嵩むのみで特に有
利な点はない。また、30℃を越える温度では副反応を
起こし易く、副生成物であるビフェニルまたはその誘導
体が生成し易いために好ましくない。ビフェニルまたは
その誘導体が反応混合物中に存在すると、目的生成物で
ある芳香族炭化水素とビフェニルまたはその誘導体の沸
点が近接するような場合、蒸留による単離精製が容易で
ない。そのため、ビフェニルまたはその誘導体の生成を
極力低減することが好ましく、それらの生成量を3重量
%以下にすれば、共存による悪影響を実質的に防止する
ことができる。従って、反応温度を0〜30℃の範囲と
することが必要である。
【0014】反応時間は好ましくは0.1〜3時間の範
囲であり、より好ましくは0.5〜2時間である。
【0015】反応圧力は、反応相が液状である限り特に
限定されない。この点については、以下いずれの工程に
おいても同様である。通常は常圧で反応を行う。
【0016】このようにして、クロロベンゼンなどのハ
ロゲン化芳香族炭化水素のハロゲン原子がナトリウム原
子に置換された芳香族ナトリウム化合物、たとえばフェ
ニルナトリウムが製造される。得られた芳香族ナトリウ
ム化合物は、通常は特に分離精製することなく次の工程
(II)に供される。
【0017】工程(II):次に、芳香族ナトリウム化合
物と、芳香族環に対してα−位に少なくとも一つの水素
原子を有するアルキル基またはアルキレン基の少なくと
も一つにより置換された置換芳香族炭化水素とを反応さ
せることにより、芳香族環に対してα−位の水素原子の
一つがナトリウムで置換されたナトリウム置換芳香族炭
化水素を製造する。置換芳香族炭化水素としては、単環
芳香族化合物のほか、縮合多環芳香族炭化水素も含まれ
る。これらの芳香族炭化水素に置換される炭化水素残基
の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−
プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、n
−アミル、iso−アミル、sec−アミルなどのC1〜C8
アルキル基が挙げられ、いずれも芳香族環に対してα−
位に水素原子を有するものである。複数のアルキル基が
置換したものでもよい。また、アルキレン基は、C2
8の飽和脂肪族炭化素から2個の水素原子が引き抜か
れた2価の炭化水素残基であって、かつ芳香族環に対し
てα−位に水素原子を有するものである。このアルキレ
ン基は、テトラリンやインダンにおける環状ポリメチレ
ン側鎖であってもよい。
【0018】芳香族環に対してα−位に少なくとも一つ
の水素原子を有するアルキル基またはアルキレン基の少
なくとも一つにより置換された置換芳香族炭化水素の具
体例として、例えば、少なくとも1個のアルキル基を有
する単環芳香族炭化水素としては、トルエン、エチルベ
ンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼ
ン、n−ブチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、sec−
ブチルベンゼン、n−アミルベンゼン、iso−アミルベ
ンゼン、sec−アミルベンゼン、α,α−ジエチルトルエ
ン、o−、m−またはp−キシレン、o−、m−または
p−ジエチルベンゼン、o−、m−またはp−ジ−iso
−プロピルトルエン、シメン等が挙げられる。
【0019】また、ベンゼン環にアルキレン基としての
環状ポリメチレン側鎖を有する置換芳香族化合物の例と
しては、インダン、1−メチルインダン、1,1−ジメ
チルインダン、1,1,3−トリメチルインダン、1−エ
チルインダン、1,1−ジエチルインダン、1,1,3−
トリエチルインダン、テトラリン、1−メチルテトラリ
ン、1,1−ジメチルテトラリン、1,1,4−トリメチ
ルテトラリン等のアルキルインダンおよびアルキルテト
ラリン等が例示される。
【0020】芳香族環に対してα−位に少なくとも一つ
の水素原子を有するアルキル基またはアルキレン基の少
なくとも一つにより置換された置換芳香族炭化水素は、
芳香族ナトリウム化合物に対して過剰に用いる。例え
ば、芳香族ナトリウム化合物の1モルに対して、1モル
以上、好ましくは2〜5モルの置換芳香族炭化水素を使
用する。
【0021】工程(II)においては、反応に不活性な溶
媒を適宜に用いることもできるが、通常は、反応基質で
ある芳香族環に対してα−位に少なくとも一つの水素原
子を有するアルキル基またはアルキレン基の少なくとも
一つにより置換された置換芳香族炭化水素自体を反応溶
媒とすることが好ましい。
【0022】本工程(II)では、反応後に芳香族ナトリ
ウム化合物が実質的に残存しないように反応させること
が肝要である。残存した芳香族ナトリウム化合物は、選
択的に分離することが困難である。しかも、例えばフェ
ニルナトリウムとトルエンとの反応によりベンジルナト
リウムを製造した場合には、次の工程(III)において
残存するフェニルナトリウムがハロゲン化アルキルと反
応して生成する副生成物は、目的物と炭素数が1個しか
差のない炭化水素化合物である。そのため、この副生成
物の混在により、目的物の蒸留による単離精製が困難に
なる可能性が考えられる。従って、工程(II)の反応後
には芳香族ナトリウム化合物が実質的に残存しないよう
に反応させることが肝要である。
【0023】工程(II)における反応温度は50〜15
0℃とすることが好ましく、70〜140℃がより好ま
しい。50℃未満の温度では、反応の速度が低いため、
芳香族ナトリウム化合物が残存する懸念があるので好ま
しくない。150℃を越えても格別有利な点はないた
め、特に高温にする必要はない。反応時間は0.5〜5
時間、より好ましくは1〜3時間の範囲とする。
【0024】このようにして、芳香族環に対してα−位
にあるアルキル基またはアルキレン基の水素原子の一つ
がナトリウムで置換されたナトリウム置換芳香族炭化水
素が製造される。例えば、トルエンとフェニルナトリウ
ムとの反応からは、ベンジルナトリウムが得られる。得
られたナトリウム置換芳香族炭化水素化合物、例えばベ
ンジルナトリウムは、通常、分離精製することなく次の
工程(III)へ供される。
【0025】工程(III):この工程においては、ナト
リウム置換芳香族炭化水素とハロゲン化アルキルとをカ
ップリング反応させることにより、アルキル基またはア
ルキレン基の側鎖に更にアルキル化が行われ、芳香族炭
化水素が得られる。本工程(III)のカップリング反応
に用いるハロゲン化アルキルは、炭素数1〜10の、一
級もしくは二級の直鎖もしくは分枝状、または脂環式の
構造を有し、かつハロゲン原子は塩素、臭素またはヨウ
素のいずれかである。好ましいハロゲン原子は臭素であ
る。
【0026】具体的なハロゲン化アルキルとしては、メ
チルハライド、エチルハライド、1−ハロゲン化プロパ
ン、2−ハロゲン化プロパン、1−ハロゲン化ブタン、
2−ハロゲン化ブタン、iso−ブチルハライド、1−ハ
ロゲン化−2−メチルブタン、1−ハロゲン化−2,2
−ジメチルプロパン、1−ハロゲン化−3−メチルブタ
ン、1−ハロゲン化ペンタン、2−ハロゲン化ペンタ
ン、1−ハロゲン化ヘキサン、1−ハロゲン化ヘプタ
ン、1−ハロゲン化オクタン、1−ハロゲン化ノナン、
1−ハロゲン化デカン等の直鎖または分枝状のもの、お
よびハロゲン化シクロプロパン、ハロゲン化シクロヘキ
サン、1−ハロゲン化メチルシクロヘキサン、1−ハロ
ゲン化エチルシクロヘキサン、ハロゲン化シクロヘプタ
ン、2−ハロゲン化ノルボルナン等の脂環式の構造を有
するものを用いることができる。例えば、ベンジルナト
リウムにイソブチルブロマイドをカップリング反応させ
れば、トルエンのメチル基の水素とイソブチル基が置換
した形態のイソアミルベンゼンが製造される。
【0027】上記ハロゲン化アルキルの使用量をナトリ
ウム置換芳香族炭化水素に対し1.0〜1.5当量の範囲
とすることにより、カップリング反応が効率良く進行す
る。 1.0当量未満の量では収率が低くなり好ましく
ない。また、1.5当量を越える量を用いても特に有利
な点はなく、不経済である。
【0028】また、ハロゲン化アルキルは、直接反応に
供することもできるが、他の適宜の溶媒と共に用いるこ
ともできる。このような溶媒としては、例えばペンタ
ン、ヘキサン、オクタン等のパラフィン、デカリン等の
シクロパラフィン、ベンゼン等を代表とするナトリウム
金属と反応しない不活性な有機溶媒が挙げられる。その
ほか、工程(II)の反応基質として用いたアルキル基置
換芳香族炭化水素も用いることができる。
【0029】工程(III)の反応温度は、20〜150
℃の範囲から選択することができる。20℃未満では反
応が遅くなるため好ましくなく、150℃を越える反応
温度では、1,2−ジフェニルエタン等の高沸点炭化水
素生成物が副生するため好ましくない。これら高沸点炭
化水素生成物は、目的物中に混入し、蒸留による分離精
製を困難にするので好ましくない。
【0030】反応時間は0.1〜5時間、好ましくは0.
5〜3時間の範囲から選択することができる。
【0031】工程(III)の反応終了後、必要に応じて
メタノール、エタノールなどのアルコールまたは水によ
り残存するナトリウム置換芳香族炭化水素を失活させ、
水洗して乾燥した後、蒸留することにより目的とする芳
香族炭化水素を得ることができる。目的とする芳香族炭
化水素は、沸点が近接する炭化水素を含むことが少ない
ので、蒸留により容易に分離精製することが可能であ
り、高純度の製品を得ることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。な
お、ナトリウム分散体製造装置は、川研ファインケミカ
ル(株)製の攪拌分散装置(K−1000型)を用いた。
また、ナトリウム分散体の平均粒径は、調製した分散体
をスライドグラスにとりスケールグラスと共に顕微鏡で
拡大し写真撮影して数平均粒径を算出した。金属ナトリ
ウム濃度は、フェノールフタレインを指示薬とし、1/
10規定硫酸水溶液で中和滴定を行って求めた。また、
芳香族ナトリウム化合物およびナトリウム置換芳香族炭
化水素は、クロロトリメチルシランを加えてナトリウム
をトリメチルシリル基に置換した後、ガスクロマトグラ
フ(GC)分析に供した。
【0033】<実験例1> 〔工程(I)〕攪拌装置、側管付き滴下ロートおよび還
流管を備えた100mlの丸底フラスコの内部をあらか
じめ窒素ガスで置換した後、あらかじめ調製したトルエ
ン溶媒を用いたナトリウム分散体(金属ナトリウム:8
1mmol、平均粒径:12.1μm、濃度:20wt%、ト
ルエン:7.45g)を注ぎ、氷水浴で5℃に冷却した
後、攪拌しながら、クロロベンゼン(39.5mmol)を
トルエン10mlに溶解した溶液を滴下ロートから0.
5時間かけて滴下し、更に室温で0.5時間攪拌を続け
てフェニルナトリウムを調製した。この際、ビフェニル
がほとんど副生していないことがGC分析により確認さ
れた。 〔工程(II)〕上記で得られた反応液を油浴内に移し、
2時間還流してベンジルナトリウムを得た。この時、フ
ェニルナトリウムは全く残存せず、全量ベンジルナトリ
ウムに変換されたことがGC分析より確認された。 〔工程(III)〕続いて上記の反応液を90℃で攪拌し
ながら、イソブチルブロマイド(47.4mmol、クロロ
ベンゼンに対して1.2当量)をトルエン10mlに溶
解させた溶液を滴下ロートから0.5時間かけて滴下
し、更に2時間攪拌を続けてイソアミルベンゼンを製造
した。反応終了後、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥した後、プロピルゼンゼンを内部標準として加
え、GC分析により生成物を定量した。結果を表1に示
す。
【0034】<実験例2>別途に調製したトルエン溶媒
のナトリウム分散体(金属ナトリウム:79mmol、平均
粒径:38.4μm、濃度:17wt%、トルエン:8.8
7g)を用いた以外は実験例1と同じ条件で行った。結
果を表1に示す。
【0035】<実験例3>実験例1において、イソブチ
ルブロマイドの代わりにイソブチルクロライド(47.
7mmol)を用い、ベンジルナトリウムとイソブチルクロ
ライドとの反応の際の反応温度を50℃とした以外は、
同じ条件で反応を行った。結果を表1に示す。
【0036】<実験例4>調製したベンジルナトリウム
とイソブチルクロライドの反応の際、反応温度を10℃
とした以外は実験例3と同じ条件で行った。結果を表1
に示す。
【0037】
【表1】
【0038】<実験例5>表2に示す置換芳香族炭化水
素を反応基質兼溶媒とし、ハロゲン化アルキル47.4m
molを使用し、実験例1と同様にして反応を行った。結
果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明の第1の方法の効果としては、未
反応の金属ナトリウムがほとんど残存することがなく、
発火の危険性の低い安全な方法により、従来公知の方法
よりも高収率で芳香族炭化水素を製造することができ
る。また反応液は目的物と沸点が近接する副生炭化水素
を含むことが少ないので、蒸留により容易に分離精製す
ることが可能であり、高純度の芳香族炭化水素を得るこ
とができる。そのため、各工程ごとに反応生成物の分離
精製を行う必要がない。本発明の第2の方法により、工
程(I)の反応の活性を高く保ち、収率良く反応を進行
させることができる。本発明の第3の方法により、工程
(I)の反応活性を高く保ち、金属ナトリウムの残存す
る可能性を低下させることができる。本発明の第4の方
法により、工程(I)においてビフェニルまたはその誘
導体の生成を実質的に防止することができる。本発明の
第5の方法によれば、工程(II)の反応後には芳香族ナ
トリウム化合物が実質的に残存しない。本発明の第6の
方法により、工程(III)において有用な各種の目的化
合物を製造することができる。本発明の第7の方法によ
り、工程(III)において1,2−ジフェニルエタン等の
高沸点炭化水素生成物の副生を防止することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程(I)、(II)および(III)か
    らなることを特徴とするアルキル基置換芳香族炭化水素
    の製造方法、 (I)金属ナトリウムとハロゲン化芳香族化合物とを反
    応させて芳香族ナトリウム化合物を製造する工程、 (II)前記芳香族ナトリウム化合物と、芳香族環に対し
    てα−位に少なくとも一つの水素原子を有するアルキル
    基またはアルキレン基の少なくとも一つにより置換され
    た置換芳香族炭化水素とを加熱反応させ、芳香族ナトリ
    ウム化合物およびビフェニルまたはその誘導体を実質的
    に含まない該α−位の水素原子の一つがナトリウムで置
    換された置換芳香族炭化水素からなるナトリウム置換芳
    香族炭化水素を製造する工程、および (III)前記ナトリウム置換芳香族炭化水素とハロゲン
    化アルキルとを反応させることにより、側鎖にアルキル
    基が置換した芳香族炭化水素を製造する工程。
  2. 【請求項2】 前記金属ナトリウムが、不活性有機溶媒
    中に乳化または懸濁した状態のナトリウム分散体である
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ナトリウム分散体のナトリウム粒子
    の平均粒径が30μm以下である請求項2に記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記工程(I)において、反応温度を0
    〜30℃、反応時間を0.1〜3時間とすることによ
    り、副生成物であるビフェニルまたはその誘導体の生成
    量を3%以下にすることを特徴とする請求項1に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(II)において、反応温度を5
    0〜150℃、反応時間を0.5〜5時間とすることを
    特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ハロゲン化アルキルのアルキル基
    が、炭素数1〜10の一級もしくは二級の直鎖もしくは
    分枝状、または脂環式の構造であり、ハロゲン原子が塩
    素、臭素またはヨウ素のいずれかである請求項1に記載
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記工程(III)において、反応温度を
    20〜150℃、反応時間を0.1〜5時間とすること
    を特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017214316A (ja) * 2016-05-31 2017-12-07 株式会社神鋼環境ソリューション 二環式含窒素複素環化合物の製造方法
EP3466927A4 (en) * 2016-05-30 2019-11-27 Kobelco Eco-Solutions Co., Ltd METHOD OF COUPLING A HALOGENATED PYRIDINE COMPOUND TO A HALOGENATED AROMATIC COMPOUND

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