JPH08268827A - 重合硬化性レジンの表面被覆剤 - Google Patents

重合硬化性レジンの表面被覆剤

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JPH08268827A
JPH08268827A JP7069658A JP6965895A JPH08268827A JP H08268827 A JPH08268827 A JP H08268827A JP 7069658 A JP7069658 A JP 7069658A JP 6965895 A JP6965895 A JP 6965895A JP H08268827 A JPH08268827 A JP H08268827A
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resin
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surface coating
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Koichi Okada
浩一 岡田
Kenichi Hino
憲一 日野
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 760mmHgにおける沸点が120℃以上
である親水性の液体100重量部に対し疎水性の表面を
有する微粉末が0.1〜10重量部分散されてなる、重
合硬化性レジンの表面被覆剤。 【効果】 賦形性や形態保持性に優れており、レジン表
面上に均一に塗布することが容易であり、しかもレジン
表面に塗布した後に該表面被覆剤が流動することがな
い。また、ペーストが糸引きを起こすことがなく、操作
性に優れている。本発明の表面被覆剤によれば、重合硬
化性レジンを硬化させる際に、レジン表面を空気中の酸
素から十分に遮断し、硬化物の表面を十分に硬化させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気中の酸素により重
合阻害を受けやすい重合硬化性レジンの表面被覆剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、歯科治療分野では歯牙欠損部修復
用に審美性と操作性に優れた重合硬化性レジンを使用す
ることが一般化しており、齲蝕部を削除した後の比較的
小さな欠損部への直接充填のみならず、大きな欠損部の
修復に使用するインレー、アンレーやクラウン等の歯冠
部補綴用修復物の作製にも重合硬化性レジンが使用され
ている。さらにレジン系接着剤(セメント)にも重合硬
化性レジンが使用されている。歯科用の重合硬化性レジ
ンは、通常、(メタ)アクリル系モノマーとラジカル重
合開始剤と充填剤からなる組成物であり、該組成物を所
望の形状に賦形したのち、モノマーを重合硬化させるこ
とにより歯牙欠損部の修復を行ったり、治療用修復物を
作製したりする。
【0003】(メタ)アクリル系モノマーを空気中でラ
ジカル重合させる場合、重合反応が空気中の酸素により
阻害され、硬化物の表面にモノマーが重合していない未
重合層ができることがある。また、硬化物の表層付近に
おける重合度が、酸素による重合阻害を受けずに十分に
硬化した硬化物内部の重合度に比較して低くなることも
ある。その結果、得られる硬化物表面の滑沢性が劣った
り、口腔内への装着後に硬化物に変色を生じたり、硬化
物の表層部分の機械的強度が低下したりするという問題
点があった。そこで、空気中の酸素による重合阻害を解
消するために多くの提案がなされてきた。中でも一般的
な方法は、モノマーの重合を開始させるに先立ち、レジ
ン表面に予めペースト状の組成物を塗布し、レジン表面
を空気中の酸素との接触から遮断するという方法であ
る。
【0004】かかる方法としては、例えば、特開昭60
-100505号公報には界面活性剤を含有する水溶性有機化
合物(ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール
等)と水との混合物を光重合性レジンの造形物の表面に
塗布し、該混合物の層を通して光を照射し、重合性レジ
ンを硬化させる方法が、特開昭58-201628号公報には
ポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコールと
水よりなるマスキング剤を硬化性樹脂の予備成形物に塗
布したのち該硬化性樹脂を重合硬化させる方法が、特
開昭59-36604号公報にはポリビニルアルコール、水およ
び有機過酸化物を主成分とする、硬化性樹脂成形用マス
キング剤を使用する方法が、特公昭63-37082号公報に
は平均分子量150〜420のポリエチレングリコール
と平均分子量1800〜20000のポリエチレングリ
コールをペースト状に混合してなる表面被覆剤を使用す
る方法が、特開平4-169510号公報にはグリセリンまた
はそのオリゴマーと界面活性剤からなる酸素遮断剤を使
用する方法が記載されており、また特開昭62−5号
公報には、高分散性の親水性シリカ(二酸化ケイ素)を
10〜50重量%含有するペースト状の表面被覆剤組成
物を使用する方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記〜の方法にお
いて、レジン表面に塗布される組成物(以下これらを酸
素遮断剤と略称する)は賦形性が悪く、酸素遮断剤をレ
ジン表面に均一に塗布することが困難であり、また、組
成物の形態保持性も不十分であり、レジン表面に塗布し
た後に酸素遮断剤が流動してしまい、レジン表面に形成
される酸素遮断剤層の厚みが部分的に薄くなるという問
題があった。一方、上記に記載された組成物は、表面
被覆剤組成物に適度の粘稠性を持たせ賦形性を改善する
ことを意図したものであるが、組成物の形態保持性は依
然として良好ではなく、またペーストがベタつきレジン
表面への塗布時に糸を引く(曳糸性)等、操作性に問題
を有している。
【0006】従って、本発明は重合硬化性レジンを硬化
させる際に、レジン表面に予め塗布してレジン表面を空
気中の酸素との接触から遮断するために用いられる表面
被覆剤であって、賦形性および形態保持性がよく、しか
も操作性に優れた重合硬化性レジンの表面被覆剤を提供
することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
課題は、760mmHgにおける沸点が120℃以上で
ある親水性の液体100重量部に対し疎水性の表面を有
する微粉末が0.1〜10重量部分散されてなる、重合
硬化性レジンの表面被覆剤を提供することによって達成
される。
【0008】本発明でいう重合硬化性レジンとは、(メ
タ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類
等のアクリル系モノマー、ビニルエーテル類、スチレン
誘導体、クロトン酸や桂皮酸等とアルコールとのエステ
ル類などのラジカル重合性モノマーと熱重合開始剤、光
重合開始剤等の重合開始剤を主成分として含有する組成
物のことをいい、シリカ、アルミナ等の充填剤を含有し
たものであってもよい。
【0009】本発明にあっては、疎水性の表面を有する
微粉末を親水性の液体中に分散させることが、賦形性や
形態保持性が良好で、かつ操作性に優れた表面被覆剤を
得る上で重要である。本発明でいう、疎水性の表面を有
する微粉末とは、水との接触角が30〜180度の範囲
にある微粉末のことをいう。
【0010】本発明においては、以下の方法で測定した
値を微粉末と水との接触角と定義する。すなわち、微粉
末1gを直径1cmの穴のあいた金型中に填入し、該粉
末をプレス装置により50kg/cm2の圧力で10分
間圧接し、得られた成形体の水平面上に蒸留水を滴下
し、該水平面と、該水平面上に形成された水滴との接触
角を測定する。なお、接触角の値が大きい程疎水性の度
合いは大きい。
【0011】本発明における微粉末は、有機物または無
機物のいずれによって形成されていてもよい。有機物の
場合、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレートのよう
な各種の(メタ)アクリレート系モノマーからなるポリ
マー、ポリ塩化ビニル等の有機樹脂の粉末などが好適に
用いられる。また、無機物の場合、例えばシリカ、アル
ミナ、ジルコニア、酸化チタン、炭酸カルシウム、各種
のガラス、セラミックスなどが好適に用いられる。さら
に、例えば、アルキル基で置換されたアルコキシシラン
の加水分解生成物を縮合して得られる粉末や、上記有機
樹脂マトリックス中に無機微粒子が分散して海島構造を
なしている有機−無機複合材料の粉末であってもかまわ
ない。
【0012】微粉末の表面が疎水性である場合、すなわ
ち微粉末と水との接触角が30〜180度の範囲にある
場合には、該微粉末をそのまま本発明に使用することが
できる。しかしながら、水との接触角が上記の範囲内に
ない、表面が親水性の微粉末の場合には、該微粉末の表
面を表面処理剤にて処理し、その表面を疎水性とする必
要がある。かかる表面処理剤としては、シランカップリ
ング剤が好適に用いられ、例えば、トリメチルクロロシ
ラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラ
ン、フェニルトリクロロシラン、オクタデシルジメチル
クロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ドデ
シルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラ
ン、オクタデシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジ
シラザン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、パーフルオロアルキ
ルシランなどを挙げることができる。また、イソプロピ
ルトリイソステアロイルチタネート等のチタン系カップ
リング剤、ラウリルアルコールとリン酸のモノあるいは
ジエステル等の有機リン化合物、ステアリン酸等の脂肪
酸も表面処理剤として使用できる。かかる表面処理剤は
2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。また、
ポリジメチルシロキサンのようなシリコーンポリマーを
微粉末の表面にコーティングすることにより、該微粉末
の表面を疎水化することもできる。なお、疎水性の表面
を有する微粉末に対しても、表面処理を施して疎水性の
度合いを調整しておけば、より好適なペースト性状を有
する表面被覆剤を得ることができるので好ましい。
【0013】上記の表面処理は、例えば表面処理剤の溶
液中に微粉末を浸漬する等、公知の方法により実施され
る。かかる表面処理は、通常、微粉末を親水性の液体中
に分散されるに先立って行われるが、表面処理を施して
いない微粉末を親水性の液体中に分散させ、その後に表
面処理剤を添加してもよく、また親水性の液体と表面処
理剤の混合液中に微粉末を添加することもできる。使用
する表面処理剤の量は、微粉末の比表面積が大きくなる
ほど増加するが、通常、微粉末100重量部に対して
0.1〜100重量部の範囲である。
【0014】本発明で使用する微粉末は、比表面積が3
0m2/g以上であり、また平均粒子径が0.1μm以
下であることが望ましい。比表面積、平均粒子径がこの
範囲内にあれば、賦形性や形態保持性が特に良好であ
り、かつ糸引き性の小さな操作性に優れた表面被覆剤を
得ることができる。微粉末の比表面積が50〜500m
2/g、平均粒子径が0.05〜0.001μmの範囲
内にあればより好ましい。
【0015】本発明にあっては、親水性の液体として7
60mmHgにおける沸点が120℃以上である液体を
使用する必要がある。760mmHgにおける沸点が1
20℃未満である液体を使用すると、表面被覆剤をレジ
ン表面に塗布した後、該液体が速やかに乾燥して消失し
てしまうため、レジンの重合時にレジン表面が空気中の
酸素と接触するようになり、酸素遮断効果が失われてし
まう。
【0016】また、本発明でいう親水性の液体とは、2
5℃における水に対する溶解度が10重量%(10g/
水100ml)以上の液体のことを意味している。
【0017】沸点および水に対する溶解度が上記の範囲
にある、親水性の液体としては、例えば、エチレングリ
コール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、
ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキ
ルエーテル、2−メチル−1,2,4−ブタントリオー
ル等が挙げられる。また、親水性の液体としては2種以
上のものを混合して使用してもよい。これらのなかで
も、グリセリンやエチレングリコール等の1分子中に水
酸基を2個以上有する化合物を使用すると、賦形性や形
態保持性が良好で、かつ糸引き性が小さい表面被覆剤を
得ることができるので好ましい。
【0018】本発明で用いる親水性の液体としては、分
子中にラジカル重合性二重結合を有する化合物は好まし
くない。ラジカル重合性二重結合を有する化合物を親水
性の液体として使用すると、重合硬化性レジンの硬化を
行う際に、該レジンを構成するモノマー成分と表面被覆
剤を構成する液体成分とが共重合をおこし、被覆剤を硬
化物表面から除去しにくくなるからである。また、重合
硬化性レジンを構成するモノマー成分に対して溶媒とな
り得る化合物も本発明における親水性の液体としては好
ましくない。例えば、歯科用レジンを構成する(メタ)
アクリレート系モノマーに対しては、ジメチルホルムア
ミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジ
メチルスルホキシド(DMSO)、ブチルセロソルブな
どがかかる化合物に相当する。このような、重合硬化性
レジンを構成するモノマー成分に対する溶媒となる化合
物を親水性の液体として使用すると、重合硬化性レジン
のモノマー成分が溶解され、得られる硬化物の表面がざ
らついたり、白濁したりしてしまう。
【0019】また、本発明の表面被覆剤においては、被
覆剤全体に対して20重量%を越えない範囲の量で、賦
形性や形態保持性を調整するために、水やエタノール
等、760mmHgにおける沸点が120℃以下の溶剤
を添加することもできる。
【0020】本発明の表面被覆剤における微粉末の配合
量は、該微粉末の表面の疎水性の度合いや親水性の液体
の種類、微粉末の粒子径などによって異なるが、通常親
水性の液体100重量部に対して0.1〜10重量部の
範囲であり、1〜8重量部の範囲であることが好まし
い。微粉末の配合量が親水性の液体に対して0.1重量
部未満になると、得られる表面被覆剤の賦形性や形態保
持性が十分ではなく、また微粉末の配合量が親水性の液
体に対して10重量部を超えると得られる表面被覆剤が
固くなり、塗布しづらいものとなるので好ましくない。
【0021】本発明の表面被覆剤にあっては、該表面被
覆剤をレジン表面に塗布する際に該レジン表面とのなじ
みをよくする目的で、種々の界面活性剤を配合すること
が好ましい。界面活性剤としては、例えば、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ア
ルカンスルホン酸塩、長鎖アルキル基を含む4級アンモ
ニウム塩、脂肪酸モノあるいはジエタノールアミド、脂
肪酸(ポリ)エチレングリコールエステルまたはエーテ
ル、モノ脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ソルビタン
エステル、脂肪酸ソルビタンエステルポリオキシエチレ
ン、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、N
−アルキルベタイン誘導体、スルホベタイン誘導体等
の、アニオン型、カチオン型、非イオン型、両性型等の
界面活性剤が使用できる。こられの界面活性剤は、親水
性の液体に対して通常0.01〜20重量%の範囲で使
用される。
【0022】また、本発明の表面被覆剤においては、該
表面被覆剤中の溶存酸素濃度の低減を図る目的で還元剤
を添加しておくこともできる。かかる還元剤としては、
芳香族スルフィン酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩等を挙げ
ることができるが、中でもベンゼンスルフィン酸ナトリ
ウム、トルエンスルフィン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリ
ウム等が好ましい。なお、フェノールのような重合禁止
作用を有する化合物は、重合硬化性レジンの重合硬化を
阻害するので、上記還元剤としては好ましくない。還元
剤の配合量は、親水性の液体に対して通常0.1〜10
重量%の範囲である。また、還元剤は親水性の液体に溶
解せずに、分散した状態で使用することも可能である。
さらに、本発明の表面被覆剤においては、必要に応じて
着色料、香料、防腐剤、安定剤等を添加することもでき
る。
【0023】本発明の表面被覆剤は、親水性の液体(分
散媒)と微粉末を混合し、ロール混練機やツインミック
ス等の通常一般に用いられている混練機により十分に混
練して微粉末を分散媒中に均一に分散させ、ペースト状
の組成物とすることによって調製される。得られた表面
被覆剤は、通常、減圧下で脱泡処理が施される。かくし
て得られた表面被覆剤は、酸素を透過しにくい材質の容
器に入れて保存しておくことが望ましい。
【0024】本発明の表面被覆剤は、通常以下のような
手順で使用される。例えば、光重合型硬質レジン前装冠
を作成する場合、予め作成しておいた前装冠用メタルフ
レーム上に重合硬化性レジンを築盛した後、本発明の表
面被覆剤を該レジン表面にうすく筆で塗布し、その後光
を照射して該レジンを重合硬化させる。また、重合硬化
性レジンを築盛後、光を照射して重合硬化させて得られ
たレジン硬化物の表面に、本発明の表面被覆剤を塗布
し、さらに今一度光を照射して、レジン硬化物の表面の
重合を行うこともできる。さらにレジン硬化物の重合度
を高めるため、光照射による重合硬化を行った後、引き
続き加熱処理を施すこともできる。本発明の表面被覆剤
は形態保持性に優れているため、かかる加熱処理を行っ
てもレジン表面に塗布された表面被覆剤が流動すること
はなく、塗布時の形態がそのまま保持される。レジンを
重合硬化させた後、本発明の表面被覆剤は、例えば、
布、紙等による拭き取り、水洗などの手段によってレジ
ン硬化物表面から除去される。さらに必要に応じて、レ
ジン硬化物は研削による形態修正が施され、目的とする
硬質レジン前装冠が完成する。また、本発明の表面被覆
剤は、熱によって、あるいは化学重合によって重合硬化
性レジンの重合硬化を行う際にも上記と同様の手順で使
用される。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0026】実施例1 親水性の液体としてエチレングリコール(760mmH
gにおける沸点197℃、25℃において水に対して任
意の割合で溶解する)を使用した。エチレングリコール
100重量部に、界面活性剤としてポリオキシエチレン
ソルビタンモノラウレート〔ICI社製、Tween2
0(登録商標)〕を0.5重量部添加し、分散媒とし
た。一方、シリカ微粉末(比表面積130m2/g、平
均粒径0.016μm、日本アエロジル社製、アエロジ
ル130)100重量部、ヘキサメチルジシラザン5重
量部およびトルエン1000重量部の混合物をトルエン
還流下に2時間加熱し、得られた反応混合物からトルエ
ンを減圧下に留去し、次いで真空下、130℃にて24
時間乾燥して、疎水性の表面を有するシリカ微粉末を得
た。このシリカ微粉末の水との接触角は120度であっ
た。かかるシリカ微粉末5重量部と上記の分散媒10
0.5重量部を混練し、シリカ微粉末を十分に分散させ
た後、真空下で脱泡して、ペースト状の表面被覆剤を調
製した。得られた表面被覆剤について、以下の方法によ
り、ペーストの曳糸性、ペーストの形態保持性およびペ
ーストの賦形性(稠度)の評価を行った。また、表面被
覆剤を使用した際の重合硬化性レジンの表面硬化性につ
いての評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0027】(1)ペーストの曳糸性 25℃の雰囲気下、ペースト状の表面被覆剤を、内径2
0mm、深さ10mmの円筒状容器に取り、ペーストの
表面を平滑に整える。直径10mm、長さ20mmのポ
リカーボネート製の丸棒を、ペースト中に真上方向から
深さ5mmまで差し込む。この状態で30秒間静置した
後、1cm/秒の速度で真上に棒を引き上げると、ペー
ストは糸引きを起こす。糸引きが切れるまで、丸棒を引
き上げ、その時の引き上げた長さを測定し、ペーストの
曳糸性の指標とした。丸棒を引き上げた長さが長い程、
ペーストの曳糸性は強く、ペーストがベタついており、
操作性が悪い。
【0028】(2)ペーストの形態保持性 25℃の雰囲気下、表面被覆剤の0.5ccをシリンジ
ではかり取り、ガラス平板上に該組成物を押し出して静
置した。ガラス板を垂直に立て、1分経過後、表面被覆
剤が下方へと流下した長さを測定し、形態保持性の指標
とした。組成物が流下した長さが小さいほどペーストの
形態保持性が優れている。
【0029】(3)ペーストの賦形性(稠度) 25℃の雰囲気下、表面被覆剤の0.5ccをシリンジ
ではかり取り、ガラス平板上に該組成物を略円形となる
ように押し出して静置した。かかる表面被覆剤の上に、
40gのガラス平板をおくと該組成物は円形に展延され
る。展延された組成物の直径を測定し、ペーストの賦形
性の指標とした。展延された組成物の直径の値が小さい
ほどペーストは硬い。良好な塗布性を有するためにはペ
ーストは硬すぎても軟らかすぎても不適切である。展延
された組成物の直径の値が10〜30mmの範囲にある
と塗布時の操作性が優れている。
【0030】(4)重合硬化性レジン表面の硬化性(表
面未重合層の厚み) 光重合型歯冠用硬質レジン「セシード」(登録商標、株
式会社クラレ製)のエナメル部用レジンペーストを、ア
ルミ板上にはかり取り〔W1(g)〕、直径1cmの円
盤の形に薄く平たく展延した〔表面積S(cm2)〕。
該レジン表面に表面被覆剤を筆で塗布し、歯科技工用光
照射器(モリタ製作所製、α−ライト)にて1分間可視
光線を照射して該レジンを硬化させた。得られた硬化物
の表面をアセトンで洗浄して表面被覆剤およびレジン中
の未重合モノマーを除去し、室温下で乾燥し、重量を測
定した〔W2(g)〕。この値を、最初にはかり取った
レジンペーストの重量と比較して、重量の減少分を算出
した〔W1−W2(g)〕。重量の減少分がレジン中の未
重合モノマーの重量に相当する。この重量減少分と、展
延したレジンの表面積〔S(cm2)〕およびレジンの
密度〔d(g/cm3)〕の値から、表面未重合層の厚
さ〔h(μm)を算出し、重合硬化性レジン表面の硬化
性の指標とした。表面未重合層の厚さの値が小さい程、
重合硬化性レジン表面が十分に硬化しており、レジン表
面が空気中の酸素から遮断されている。
【0031】比較例1 表面被覆剤を使用せずに、実施例1と同様の方法により
重合硬化性レジン表面の硬化性の評価を行った。結果を
表1に併せて示す。
【0032】実施例2〜4および比較例2、3 実施例1において、疎水性の表面を有する微粉末の配合
量を表1に記載のとおりとしたこと以外は、実施例1と
同様にして表面被覆剤を調製し、実施例1と同様の評価
を行った。結果を表1に併せて示す。
【0033】比較例4および5 実施例1において、微粉末として表面が親水性のシリカ
微粉末(日本アエロジル社製、アエロジル130)を使
用し、かつその配合量を表1に記載のとおりとしたこと
以外は、実施例1と同様にして表面被覆剤を調製し、実
施例1と同様の評価を行った。結果を表1に併せて示
す。なお、本比較例で使用したシリカ微粉末の水との接
触角は0度(水滴を形成せず)であった。
【0034】
【表1】
【0035】実施例5、6および比較例6、7 実施例1において、親水性の液体として表2に記載した
ものを使用したこと以外は、実施例1と同様にして表面
被覆剤を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果
を表2にまとめて示す。
【0036】
【表2】
【0037】実施例7〜13 実施例1において、微粉末として表3に記載の微粉末を
使用したこと以外は、実施例1と同様にして表面被覆剤
を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3
にまとめて示す。
【0038】
【表3】
【0039】実施例14 口腔内から採取した印象を元に作成された、大臼歯部の
MODインレー窩洞が形成された石膏模型におけるイン
レー窩洞中に光重合型歯冠部修復用コンポジットレジン
「CRインレー」(登録商標、株式会社クラレ製)のレ
ジンペーストを填入した。該レジン表面に実施例1で調
製した被覆剤組成物を筆で塗布し、歯科技工用光照射器
(モリタ製作所製、α−ライト)にて1分間可視光線を
照射して該レジンを硬化させた。その後、さらに歯科用
加熱重合装置(クラレ製、KL100)を用いて100
℃で15分間加熱した。上記の光による重合および熱に
よる重合の過程で、塗布した表面被覆剤が流動してレジ
ン表面が露出することはなかった。硬化物を石膏模型か
らはずし、水洗後、形態修正、研磨を施すことにより、
良好なインレー修復物を得た。
【0040】
【発明の効果】本発明の表面被覆剤は、賦形性や形態保
持性に優れており、レジン表面上に均一に塗布すること
が容易であり、しかもレジン表面に塗布した後に該表面
被覆剤が流動することがない。また、ペーストが糸引き
を起こすことがなく操作性に優れている。本発明の表面
被覆剤は、例えば、充填用コンポジットレジン、歯冠部
補綴用レジン、レジン系接着剤(セメント)、小窩裂溝
封鎖剤、義歯床用材料、表面滑沢材、歯牙表面コート材
等に使用される重合硬化性レジンを硬化させる際に、レ
ジン表面を空気中の酸素から十分に遮断し、硬化物の表
面を十分に硬化させることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 760mmHgにおける沸点が120℃
    以上である親水性の液体100重量部に対し疎水性の表
    面を有する微粉末が0.1〜10重量部分散されてな
    る、重合硬化性レジンの表面被覆剤。
  2. 【請求項2】 微粉末の比表面積が30m2/g以上で
    あり、かつ平均粒子径が0.1μm以下である請求項1
    記載の重合硬化性レジンの表面被覆剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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