JPH08268312A - 後輪操舵装置 - Google Patents
後輪操舵装置Info
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- JPH08268312A JPH08268312A JP7639095A JP7639095A JPH08268312A JP H08268312 A JPH08268312 A JP H08268312A JP 7639095 A JP7639095 A JP 7639095A JP 7639095 A JP7639095 A JP 7639095A JP H08268312 A JPH08268312 A JP H08268312A
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- Japan
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- steering
- wheel
- vehicle
- wheel steering
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Abstract
(57)【要約】
【目的】構造が簡潔で、コストを低廉化でき、しかも位
相反転制御(操舵)可能な後輪操舵装置を提供する。 【構成】ロアリンク系6の弾性中心Xと、リンク節点と
して一定軌跡上に保持されるハブキャリア2の連結点I
とを結ぶキングピン軸K1 がタイヤ接地点Yより後方で
ネガティブトレールβ1 が設定されるように後輪懸架装
置を構成し、前記キングピン軸K1 より後方のロアリン
ク4を後輪用シリンダ9等により車幅方向に移動させて
後輪1を前輪と同位相転舵させる後輪転舵装置を併設
し、操舵入力である操舵角に応じて前輪と同位相に後輪
を転舵させると、後旋回外輪は、その転舵速度と前記ネ
ガティブトレールとの積値からなる横移動速度でタイヤ
接地点が車幅方向内側に横移動し、そのスリップ角には
一次進みの逆位相成分が発生して操舵入力直後から初期
にかけて逆位相操舵されたことと等価になる。
相反転制御(操舵)可能な後輪操舵装置を提供する。 【構成】ロアリンク系6の弾性中心Xと、リンク節点と
して一定軌跡上に保持されるハブキャリア2の連結点I
とを結ぶキングピン軸K1 がタイヤ接地点Yより後方で
ネガティブトレールβ1 が設定されるように後輪懸架装
置を構成し、前記キングピン軸K1 より後方のロアリン
ク4を後輪用シリンダ9等により車幅方向に移動させて
後輪1を前輪と同位相転舵させる後輪転舵装置を併設
し、操舵入力である操舵角に応じて前輪と同位相に後輪
を転舵させると、後旋回外輪は、その転舵速度と前記ネ
ガティブトレールとの積値からなる横移動速度でタイヤ
接地点が車幅方向内側に横移動し、そのスリップ角には
一次進みの逆位相成分が発生して操舵入力直後から初期
にかけて逆位相操舵されたことと等価になる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、四輪の操舵量を制御す
る四輪操舵制御装置などに適用される後輪操舵装置に関
するものである。
る四輪操舵制御装置などに適用される後輪操舵装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】通常の車両では操舵されない後輪を積極
的に操舵して、車両の操縦性や走行安定性を向上する後
輪操舵装置が種々に開発されている。その一つに、特開
昭56−167563号公報に記載される後輪操舵装置
(以下,単に第1従来例とも記す)がある。この後輪操
舵装置は、例えば操舵角等のステアリングホイールの操
舵量を,クランク機構を介して後輪用転舵軸に伝達し、
クランク機構が操舵量の大きさに応じて転舵軸の移動方
向を逆転することを利用して、操舵角等の操舵量が小さ
いときには後輪を前輪と同方向(同位相とも言う)に転
舵させて中・高速旋回走行時の走行安定性を向上し、操
舵角等の操舵量が大きいときには後輪を前輪と逆方向
(逆位相とも言う)に転舵させて低速走行時の小回り性
を向上しようとするものである。
的に操舵して、車両の操縦性や走行安定性を向上する後
輪操舵装置が種々に開発されている。その一つに、特開
昭56−167563号公報に記載される後輪操舵装置
(以下,単に第1従来例とも記す)がある。この後輪操
舵装置は、例えば操舵角等のステアリングホイールの操
舵量を,クランク機構を介して後輪用転舵軸に伝達し、
クランク機構が操舵量の大きさに応じて転舵軸の移動方
向を逆転することを利用して、操舵角等の操舵量が小さ
いときには後輪を前輪と同方向(同位相とも言う)に転
舵させて中・高速旋回走行時の走行安定性を向上し、操
舵角等の操舵量が大きいときには後輪を前輪と逆方向
(逆位相とも言う)に転舵させて低速走行時の小回り性
を向上しようとするものである。
【0003】また、本出願人が先に提案した特開昭57
−11173号公報に記載される後輪操舵装置(以下,
単に第2従来例とも記す)は、電磁弁によって制御され
る流体圧シリンダで後輪を転舵可能とし、主として車両
諸元と車速とに応じて車両に発生する横すべり角を小さ
くするような後輪転舵角を達成する。より具体的には、
低速走行時には逆位相,中・高速走行時には同位相とな
る,前輪転舵角に対する後輪転舵角の転舵比率を設定
し、この転舵比率を前輪転舵角に乗じて達成すべき後輪
転舵角を設定し、この後輪転舵角が流体圧シリンダによ
って達成されるように電磁弁への指令信号を制御する。
−11173号公報に記載される後輪操舵装置(以下,
単に第2従来例とも記す)は、電磁弁によって制御され
る流体圧シリンダで後輪を転舵可能とし、主として車両
諸元と車速とに応じて車両に発生する横すべり角を小さ
くするような後輪転舵角を達成する。より具体的には、
低速走行時には逆位相,中・高速走行時には同位相とな
る,前輪転舵角に対する後輪転舵角の転舵比率を設定
し、この転舵比率を前輪転舵角に乗じて達成すべき後輪
転舵角を設定し、この後輪転舵角が流体圧シリンダによ
って達成されるように電磁弁への指令信号を制御する。
【0004】また、本出願人が先に提案した特開平2−
270679号公報に記載される後輪操舵装置(以下,
単に第3従来例とも記す)もある。この公報に記載され
る発明自体は、後輪操舵装置のフェールセーフ(作動補
償)装置に関するものであるが、その後輪操舵装置は、
所謂PWM(Pulse Width Modulation)等によりチョッ
ピング制御される電動モータの回転力で後輪の転舵を行
う。
270679号公報に記載される後輪操舵装置(以下,
単に第3従来例とも記す)もある。この公報に記載され
る発明自体は、後輪操舵装置のフェールセーフ(作動補
償)装置に関するものであるが、その後輪操舵装置は、
所謂PWM(Pulse Width Modulation)等によりチョッ
ピング制御される電動モータの回転力で後輪の転舵を行
う。
【0005】なお、前記第2従来例の電磁弁や第3従来
例の電動モータは、マイクロコンピュータを始めとする
複雑な演算処理回路からの制御信号によって制御されて
いる。
例の電動モータは、マイクロコンピュータを始めとする
複雑な演算処理回路からの制御信号によって制御されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特に中・高
速走行時の車両の旋回運動について考察すると、旋回運
動の初期,特に操舵直後にはヨーモーメントを速やかに
立ち上げて回頭させ、その後、横加速度が大きくなると
きには車両に発生する横すべり角が小さくなるように各
車輪のコーナリングフォースを高めることが望ましい。
これを後輪操舵によって達成するためには、操舵入力直
後には後輪を前輪と逆方向(逆位相)に転舵し、その
後、前輪の転舵量に応じて後輪を同方向(同位相)に転
舵させればよい。特に、操舵入力直後に後輪を前輪と逆
位相に転舵する際には、当該前輪の転舵速度(即ち操舵
速度と等価であると考えられる)に応じて後輪を転舵す
るのが望ましい。
速走行時の車両の旋回運動について考察すると、旋回運
動の初期,特に操舵直後にはヨーモーメントを速やかに
立ち上げて回頭させ、その後、横加速度が大きくなると
きには車両に発生する横すべり角が小さくなるように各
車輪のコーナリングフォースを高めることが望ましい。
これを後輪操舵によって達成するためには、操舵入力直
後には後輪を前輪と逆方向(逆位相)に転舵し、その
後、前輪の転舵量に応じて後輪を同方向(同位相)に転
舵させればよい。特に、操舵入力直後に後輪を前輪と逆
位相に転舵する際には、当該前輪の転舵速度(即ち操舵
速度と等価であると考えられる)に応じて後輪を転舵す
るのが望ましい。
【0007】このような後輪の操舵制御を位相反転制御
とも称するが、前記第1従来例のような機械的後輪操舵
装置では操舵入力とは個別に後輪を転舵させるような動
特性を持たせることが困難であり、そのままでは位相反
転制御は実行できない。またこのような制御を行うため
には、大舵角用の後輪転舵アクチュエータと高速走行時
等のための小舵角用の後輪転舵アクチュエータとを個別
に設ける必要があり、その分だけ構造が複雑化し、また
コストもかかる。
とも称するが、前記第1従来例のような機械的後輪操舵
装置では操舵入力とは個別に後輪を転舵させるような動
特性を持たせることが困難であり、そのままでは位相反
転制御は実行できない。またこのような制御を行うため
には、大舵角用の後輪転舵アクチュエータと高速走行時
等のための小舵角用の後輪転舵アクチュエータとを個別
に設ける必要があり、その分だけ構造が複雑化し、また
コストもかかる。
【0008】また、前記第2従来例や第3従来例の後輪
操舵装置では、前記演算処理装置からの制御信号の切換
えによって位相反転制御を実行することができる。しか
しながら、例えば操舵入力直後に操舵角速度に応じて後
輪を逆位相に転舵する必要があるから、制御装置全体に
高い応答性が要求され、このため前記第2従来例のよう
に流体圧シリンダで後輪を転舵させる場合には、十分な
流量を確保するために容量の大きなポンプやタンクが必
要となり、電磁弁にも高い応答性が要求される。また、
前記第3従来例のように電動モータで後輪を転舵させる
場合には、当該電動モータそのものに高いトルクと高い
応答性とが要求される。従って、それだけ構造が大掛か
りとなったりコストが嵩むという問題がある。また、演
算処理装置にも高い或いは速い演算処理機能が要求され
るため、ここでもコストの高揚は免れ得なかった。
操舵装置では、前記演算処理装置からの制御信号の切換
えによって位相反転制御を実行することができる。しか
しながら、例えば操舵入力直後に操舵角速度に応じて後
輪を逆位相に転舵する必要があるから、制御装置全体に
高い応答性が要求され、このため前記第2従来例のよう
に流体圧シリンダで後輪を転舵させる場合には、十分な
流量を確保するために容量の大きなポンプやタンクが必
要となり、電磁弁にも高い応答性が要求される。また、
前記第3従来例のように電動モータで後輪を転舵させる
場合には、当該電動モータそのものに高いトルクと高い
応答性とが要求される。従って、それだけ構造が大掛か
りとなったりコストが嵩むという問題がある。また、演
算処理装置にも高い或いは速い演算処理機能が要求され
るため、ここでもコストの高揚は免れ得なかった。
【0009】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、構造が簡潔で、コストを低廉化でき、し
かも位相反転制御(操舵)可能な後輪操舵装置を提供す
ることを目的とするものである。
たものであり、構造が簡潔で、コストを低廉化でき、し
かも位相反転制御(操舵)可能な後輪操舵装置を提供す
ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するた
め、本発明のうち請求項1に係る後輪操舵装置は、車両
の後輪を操舵角に応じて前輪と同方向に転舵する後輪転
舵手段と、当該後輪の転舵過渡時に後旋回外輪のタイヤ
接地点を車両幅方向内側に移動させる接地点移動手段と
を備えたことを特徴とするものである。
め、本発明のうち請求項1に係る後輪操舵装置は、車両
の後輪を操舵角に応じて前輪と同方向に転舵する後輪転
舵手段と、当該後輪の転舵過渡時に後旋回外輪のタイヤ
接地点を車両幅方向内側に移動させる接地点移動手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のうち請求項2に係る後輪操
舵装置は、前記接地点移動手段が、後輪の転舵中心軸に
より設定される後輪のキャスタトレールが当該後輪のタ
イヤ接地点より車両前後方向後方に設定されて構成され
ることを特徴とするものである。また、本発明のうち請
求項3に係る後輪操舵装置は、前記接地点移動手段が、
後輪側の懸架装置を構成するロアリンク系の弾性中心と
アッパリンクの車輪側取付点とを結ぶキングピン軸が、
当該後輪のタイヤ接地点に対して車両後方にオフセット
されていることを特徴とするものである。
舵装置は、前記接地点移動手段が、後輪の転舵中心軸に
より設定される後輪のキャスタトレールが当該後輪のタ
イヤ接地点より車両前後方向後方に設定されて構成され
ることを特徴とするものである。また、本発明のうち請
求項3に係る後輪操舵装置は、前記接地点移動手段が、
後輪側の懸架装置を構成するロアリンク系の弾性中心と
アッパリンクの車輪側取付点とを結ぶキングピン軸が、
当該後輪のタイヤ接地点に対して車両後方にオフセット
されていることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】而して、本発明のうち請求項1に係る後輪操舵
装置では、例えば前記後輪転舵手段が、車両の後輪を前
輪の操舵角に応じて単純に同方向(同位相)に転舵する
ものであったとしても、例えば本発明のうち請求項3に
係る後輪操舵装置のように構成することにより、本発明
のうち請求項2に係る後輪操舵装置のように、前記接地
点移動手段のキャスタトレールがタイヤ接地点より後方
に設定されることにより、操舵入力直後から当該後輪が
前記後輪転舵手段によって同方向に転舵されたとき、後
旋回外輪のタイヤ接地点が車両幅方向内側に移動される
ため、その横移動速度,即ち操舵速度に比例して当該後
旋回外輪の横すべり角が減少し(前輪転舵角に対しては
後旋回外輪の相対転舵角が小さくなることになる)、全
体的には後旋回外輪を前輪と逆方向(逆位相)に転舵し
たことと同じ成分が発生して回頭性を含む操縦性が向上
する。そして、この横すべり角の減少量は操舵入力,特
に操舵速度の収束と共に小さくなり、操舵入力が安定す
る,即ち定常旋回状態となると零なるから、後旋回外輪
は前輪と同位相に転舵されたままとなり、車両の旋回定
常時には走行安定性が確保される。
装置では、例えば前記後輪転舵手段が、車両の後輪を前
輪の操舵角に応じて単純に同方向(同位相)に転舵する
ものであったとしても、例えば本発明のうち請求項3に
係る後輪操舵装置のように構成することにより、本発明
のうち請求項2に係る後輪操舵装置のように、前記接地
点移動手段のキャスタトレールがタイヤ接地点より後方
に設定されることにより、操舵入力直後から当該後輪が
前記後輪転舵手段によって同方向に転舵されたとき、後
旋回外輪のタイヤ接地点が車両幅方向内側に移動される
ため、その横移動速度,即ち操舵速度に比例して当該後
旋回外輪の横すべり角が減少し(前輪転舵角に対しては
後旋回外輪の相対転舵角が小さくなることになる)、全
体的には後旋回外輪を前輪と逆方向(逆位相)に転舵し
たことと同じ成分が発生して回頭性を含む操縦性が向上
する。そして、この横すべり角の減少量は操舵入力,特
に操舵速度の収束と共に小さくなり、操舵入力が安定す
る,即ち定常旋回状態となると零なるから、後旋回外輪
は前輪と同位相に転舵されたままとなり、車両の旋回定
常時には走行安定性が確保される。
【0013】
【実施例】次に、本発明の後輪操舵装置を,四輪操舵制
御装置に展開した一実施例について説明する。まず、本
実施例の接地点移動手段を構成する後輪懸架装置そのも
のについて図1〜図4を用いながら説明する。ここでは
後左右輪の懸架装置は車両前後軸で対称であるとして、
後左輪に代表して説明する。
御装置に展開した一実施例について説明する。まず、本
実施例の接地点移動手段を構成する後輪懸架装置そのも
のについて図1〜図4を用いながら説明する。ここでは
後左右輪の懸架装置は車両前後軸で対称であるとして、
後左輪に代表して説明する。
【0014】左右の後輪1はハブキャリア2を介して回
転自在に支持されており、このハブキャリア2の上端A
をボールジョイントでアッパリンク3に連結し、アッパ
リンク3の基端Bをボールジョイントで車体に連結す
る。これによりハブキャリア2の上端はA点においてア
ッパリンク3により全方向に揺動可能に車体へ連節され
る。
転自在に支持されており、このハブキャリア2の上端A
をボールジョイントでアッパリンク3に連結し、アッパ
リンク3の基端Bをボールジョイントで車体に連結す
る。これによりハブキャリア2の上端はA点においてア
ッパリンク3により全方向に揺動可能に車体へ連節され
る。
【0015】一方、前記ハブキャリア2の下端の2点
C,Dにおいてボールジョイントを介して車両の幅方向
に配設された二本の平行なロアリンク4,5を連結し、
このうち車両前方のロアリンク5の基端Fを弾性ブッシ
ュで車体上下方向に揺動可能に車体に枢支する。また、
車両後方のロアリンク4の基端Eは、後述する後輪用流
体圧シリンダ9のピストンロッド22の端部にボールジ
ョイントを介して、車体に対して全方向に揺動可能に連
結してある。なお、流体圧シリンダ9内にはスプリング
28が内装されており、前記ロアリンク4に対してブッ
シュと同様の高架を発揮する。
C,Dにおいてボールジョイントを介して車両の幅方向
に配設された二本の平行なロアリンク4,5を連結し、
このうち車両前方のロアリンク5の基端Fを弾性ブッシ
ュで車体上下方向に揺動可能に車体に枢支する。また、
車両後方のロアリンク4の基端Eは、後述する後輪用流
体圧シリンダ9のピストンロッド22の端部にボールジ
ョイントを介して、車体に対して全方向に揺動可能に連
結してある。なお、流体圧シリンダ9内にはスプリング
28が内装されており、前記ロアリンク4に対してブッ
シュと同様の高架を発揮する。
【0016】また、前記二本のロアリンク4,5と共に
ロアリンク系6を構成し且つ車両の前後方向に配設され
たラジアスロッド7を、前記車両前方のロアリンク5の
両端間の点Gにボールジョイントで連結し、このラジア
スロッド7の車両前方端Hを弾性ブッシュにより車体に
対して上下方向に揺動可能に連結する。従って、このラ
ジアスロッド7は二本のロアリンク4,5を車体前後方
向に支えるが、点Hの弾性ブッシュは車体前後方向に柔
らかくしてライドハーシュネス特性を良好にし、車体上
下方向には硬いものとする。
ロアリンク系6を構成し且つ車両の前後方向に配設され
たラジアスロッド7を、前記車両前方のロアリンク5の
両端間の点Gにボールジョイントで連結し、このラジア
スロッド7の車両前方端Hを弾性ブッシュにより車体に
対して上下方向に揺動可能に連結する。従って、このラ
ジアスロッド7は二本のロアリンク4,5を車体前後方
向に支えるが、点Hの弾性ブッシュは車体前後方向に柔
らかくしてライドハーシュネス特性を良好にし、車体上
下方向には硬いものとする。
【0017】また、前記アッパーリンク3を車両前後方
向に支えてワインドアップ剛性を確保するために、前記
ハブキャリア2の両端間の点Iと、ラジアスロッド7の
両端間の点Jとの間で、車体前後方向斜めに配設された
ワインドアップリンク8を設け、当該リンク8の両端を
夫々前記点I,Jにおいてボールジョイントによりハブ
キャリア2及びラジアスロッド7に連結する。なお、前
記ハブキャリア2及びワインドアップリンク8間の連節
部Iはボールジョイントの使用により、またアッパリン
ク3が全方向に揺動可能であることも相まって、ハブキ
ャリア2を点Iの周りでトー方向にも回動させ得る連節
構造となる。
向に支えてワインドアップ剛性を確保するために、前記
ハブキャリア2の両端間の点Iと、ラジアスロッド7の
両端間の点Jとの間で、車体前後方向斜めに配設された
ワインドアップリンク8を設け、当該リンク8の両端を
夫々前記点I,Jにおいてボールジョイントによりハブ
キャリア2及びラジアスロッド7に連結する。なお、前
記ハブキャリア2及びワインドアップリンク8間の連節
部Iはボールジョイントの使用により、またアッパリン
ク3が全方向に揺動可能であることも相まって、ハブキ
ャリア2を点Iの周りでトー方向にも回動させ得る連節
構造となる。
【0018】これにより、点Iはキングピン軸を設定す
る点を提供し、この点Iと、ロアリンク系6の点E,
F,Hにおける弾性ブッシュ及び流体圧シリンダ9のス
プリング28の弾性係数で決まる当該ロアリンク系弾性
中心Xとを結ぶ線がキングピン軸K1 となる。ところ
で、ハブキャリア2は形状の自由度が比較的高く、前記
点Iの位置の選択範囲も広い。従って、本実施例の後輪
懸架装置において、キングピン軸K1 を図2にα1 で示
すようにキングピンネガティブオフセットが得られるよ
うに、つまりキングピン軸K1 と後輪1の外周との交点
が、後輪のタイヤ接地(中心)点Yより車両幅方向外側
に位置するようなものにすることができる。この場合に
は、図2の前記タイヤ接地点Yにおいて、紙面直交方向
向う側に作用する後輪制動力が、後輪1をキングピン軸
K1 の周りでトーイン方向へトー角変化させることとな
り、制動時の挙動を安定させることができる。
る点を提供し、この点Iと、ロアリンク系6の点E,
F,Hにおける弾性ブッシュ及び流体圧シリンダ9のス
プリング28の弾性係数で決まる当該ロアリンク系弾性
中心Xとを結ぶ線がキングピン軸K1 となる。ところ
で、ハブキャリア2は形状の自由度が比較的高く、前記
点Iの位置の選択範囲も広い。従って、本実施例の後輪
懸架装置において、キングピン軸K1 を図2にα1 で示
すようにキングピンネガティブオフセットが得られるよ
うに、つまりキングピン軸K1 と後輪1の外周との交点
が、後輪のタイヤ接地(中心)点Yより車両幅方向外側
に位置するようなものにすることができる。この場合に
は、図2の前記タイヤ接地点Yにおいて、紙面直交方向
向う側に作用する後輪制動力が、後輪1をキングピン軸
K1 の周りでトーイン方向へトー角変化させることとな
り、制動時の挙動を安定させることができる。
【0019】また、本実施例の後輪懸架装置では図3に
示すように、キングピン軸K1 を同図中β1 で示すよう
に、ネガティブトレールが得られるように、つまりキン
グピン軸K1 が後輪1のタイヤ接地点Yより車両後方に
おいて路面と交差するようにする。この場合、図3のタ
イヤ接地点Yにおいて、紙面直交方向向う側に作用する
旋回時の横力,或いは前記流体圧シリンダによる車両幅
方向内側への引張力によって、後輪1をキングピン軸K
1 の周りでトーイン方向へトー角変化させることとな
り、車両の旋回特性をアンダステア傾向とすることによ
って旋回安定性を向上させることができる。なお、この
傾向は、後述する流体圧シリンダ9のスプリング28の
車両幅方向弾性係数を、前記点Fにおけるブッシュのそ
れよりも大きくすることにより助長させ得る。
示すように、キングピン軸K1 を同図中β1 で示すよう
に、ネガティブトレールが得られるように、つまりキン
グピン軸K1 が後輪1のタイヤ接地点Yより車両後方に
おいて路面と交差するようにする。この場合、図3のタ
イヤ接地点Yにおいて、紙面直交方向向う側に作用する
旋回時の横力,或いは前記流体圧シリンダによる車両幅
方向内側への引張力によって、後輪1をキングピン軸K
1 の周りでトーイン方向へトー角変化させることとな
り、車両の旋回特性をアンダステア傾向とすることによ
って旋回安定性を向上させることができる。なお、この
傾向は、後述する流体圧シリンダ9のスプリング28の
車両幅方向弾性係数を、前記点Fにおけるブッシュのそ
れよりも大きくすることにより助長させ得る。
【0020】更に、本実施例の後輪懸架装置によれば、
後輪のバウンド時、前記アッパーリンク3が前記点Bの
周りで上方だけでなく車両前方にも揺動し、前記A点を
車両幅方向内側に引き込むため、後旋回外輪のネガティ
ブキャンバが大きくなり、車両の旋回性能を向上させる
ことができる。次に、図5に後輪転舵装置を搭載した四
輪操舵車両の全体的な構成を簡潔に示す。同図におい
て、前輪10FL,10FRに対しては両ハブキャリア
間を,夫々タイロッド13を介して既知のラックアンド
ピニオン式ステアリングギヤ装置14のラック軸に連結
して、ステアリングシャフト16に連結されたステアリ
ングホイール15を回転させることにより両前輪10F
L,10FRが同方向に機械式に主操舵されるように構
成されている。
後輪のバウンド時、前記アッパーリンク3が前記点Bの
周りで上方だけでなく車両前方にも揺動し、前記A点を
車両幅方向内側に引き込むため、後旋回外輪のネガティ
ブキャンバが大きくなり、車両の旋回性能を向上させる
ことができる。次に、図5に後輪転舵装置を搭載した四
輪操舵車両の全体的な構成を簡潔に示す。同図におい
て、前輪10FL,10FRに対しては両ハブキャリア
間を,夫々タイロッド13を介して既知のラックアンド
ピニオン式ステアリングギヤ装置14のラック軸に連結
して、ステアリングシャフト16に連結されたステアリ
ングホイール15を回転させることにより両前輪10F
L,10FRが同方向に機械式に主操舵されるように構
成されている。
【0021】また、同図の14は車両に搭載された後輪
転舵装置を示す。この後輪転舵装置14では、前記後輪
1L,1R(以下,理解を容易化するために左側には
L,右側にはRを添付する)の両ハブキャリア2L,2
R間を,前記車両後方のロアアーム4を介して後輪操舵
用の操舵軸となる流体圧シリンダ9のピストンロッド2
2で連結している。そして、この後輪操舵用流体圧シリ
ンダ9内はピストンロッド22と一体のピストン24に
よって左右のシリンダ室26L,26Rに分割され、こ
れらシリンダ室26L,26Rへの作動流体の供給量に
応じて操舵軸であるピストンロッド22がストロークさ
れる。なお、各シリンダ室26L,26R内には前述の
ように同等の弾性係数並びに自由長を有するスプリング
28が内装されており、各シリンダ室26L,26Rへ
の供給流体圧が解除されるとピストン24がシリンダ9
の中央部に移動されてセンタリングされ、後輪1L,1
Rが中庸位置に復帰される。また、後述のように各後輪
1L,1Rが転舵されたときに、後旋回外輪のタイヤ接
地点を車両幅方向内側に移動させるに足る前記キングピ
ン軸K1 ,特にキャスタトレールβ1 が設定可能なよう
に、前記流体圧シリンダ9に内装されているスプリング
28の弾性係数が設定されている。
転舵装置を示す。この後輪転舵装置14では、前記後輪
1L,1R(以下,理解を容易化するために左側には
L,右側にはRを添付する)の両ハブキャリア2L,2
R間を,前記車両後方のロアアーム4を介して後輪操舵
用の操舵軸となる流体圧シリンダ9のピストンロッド2
2で連結している。そして、この後輪操舵用流体圧シリ
ンダ9内はピストンロッド22と一体のピストン24に
よって左右のシリンダ室26L,26Rに分割され、こ
れらシリンダ室26L,26Rへの作動流体の供給量に
応じて操舵軸であるピストンロッド22がストロークさ
れる。なお、各シリンダ室26L,26R内には前述の
ように同等の弾性係数並びに自由長を有するスプリング
28が内装されており、各シリンダ室26L,26Rへ
の供給流体圧が解除されるとピストン24がシリンダ9
の中央部に移動されてセンタリングされ、後輪1L,1
Rが中庸位置に復帰される。また、後述のように各後輪
1L,1Rが転舵されたときに、後旋回外輪のタイヤ接
地点を車両幅方向内側に移動させるに足る前記キングピ
ン軸K1 ,特にキャスタトレールβ1 が設定可能なよう
に、前記流体圧シリンダ9に内装されているスプリング
28の弾性係数が設定されている。
【0022】更に、前記後輪操舵用シリンダ9の各シリ
ンダ室26L,26Rには、リザーバ34から吸引した
ポンプ30からの所定圧の作動流体が制御弁32を介し
て供給される。具体的に,ポンプ30は制御弁32のポ
ンプポートPに接続され、当該制御弁32のリターンポ
ートRがリザーバ34に接続され、その二つの出力ポー
トA,Bが夫々,シリンダ9のシリンダ室26L,26
Rの何れかに接続されている。なお、このうちポンプ3
2やリザーバ34は前記ラックアンドピニオン式ステア
リングギヤ装置に並設された図示されないパワステアリ
ング機構のものと兼用してもよい。
ンダ室26L,26Rには、リザーバ34から吸引した
ポンプ30からの所定圧の作動流体が制御弁32を介し
て供給される。具体的に,ポンプ30は制御弁32のポ
ンプポートPに接続され、当該制御弁32のリターンポ
ートRがリザーバ34に接続され、その二つの出力ポー
トA,Bが夫々,シリンダ9のシリンダ室26L,26
Rの何れかに接続されている。なお、このうちポンプ3
2やリザーバ34は前記ラックアンドピニオン式ステア
リングギヤ装置に並設された図示されないパワステアリ
ング機構のものと兼用してもよい。
【0023】前記制御弁32は、各二つずつの入出力ポ
ートを有する4ポート3位置スプリングセンタ形の比例
電磁方向切換弁で構成されており、図5の上方のソレノ
イド60aは後述するコントロールユニットからの駆動
電流値信号iRRで励磁され,同図下方のソレノイド60
bはコントロールユニットからの駆動電流値信号iRLで
励磁される。ここで、当該制御弁32の両ソレノイド6
0a,60bが励磁されていない状態では,図5の両側
のリターンスプリング61a,61bの弾性力が均衡し
て制御弁32は中央切換え位置となり、この状態で当該
制御弁32のポンプポートPとリターンポートRとが連
通状態となり、各出力ポートA,Bは夫々遮断状態とな
る。従って、この状態ではポンプ32の吐出流体圧はそ
のままリザーバ34に帰還されると共に,前記流体圧シ
リンダ9の左右のシリンダ室26L,26Rは夫々内部
の油圧が封じ込められて保持モードとなる。
ートを有する4ポート3位置スプリングセンタ形の比例
電磁方向切換弁で構成されており、図5の上方のソレノ
イド60aは後述するコントロールユニットからの駆動
電流値信号iRRで励磁され,同図下方のソレノイド60
bはコントロールユニットからの駆動電流値信号iRLで
励磁される。ここで、当該制御弁32の両ソレノイド6
0a,60bが励磁されていない状態では,図5の両側
のリターンスプリング61a,61bの弾性力が均衡し
て制御弁32は中央切換え位置となり、この状態で当該
制御弁32のポンプポートPとリターンポートRとが連
通状態となり、各出力ポートA,Bは夫々遮断状態とな
る。従って、この状態ではポンプ32の吐出流体圧はそ
のままリザーバ34に帰還されると共に,前記流体圧シ
リンダ9の左右のシリンダ室26L,26Rは夫々内部
の油圧が封じ込められて保持モードとなる。
【0024】この状態から、前記コントロールユニット
の駆動電流値信号iRLにより図5の下方の電磁ソレノイ
ド60aが励磁されると,図の下方のリターンスプリン
グ61aの弾性力に抗して制御弁32は同図の右切換え
位置となり、この状態で当該制御弁32のポンプポート
Pと他方の出力ポートBとが連通状態となり、リターン
ポートRと一方の出力ポートAとが連通状態となる。従
って、この状態でポンプ30からの吐出流体圧が,作動
流体を流体圧シリンダ9の右シリンダ室26Rに供給し
て前記ピストン及び操舵軸であるピストンロッド22及
び両後輪1L,1Rの車両後方ロアリンク4が図5の下
方に移動され、前記ピストン24の移動により左シリン
ダ室26L内の作動流体はリザーバ34に帰還されるか
ら、後輪1L,1Rは右切りモードとなる。
の駆動電流値信号iRLにより図5の下方の電磁ソレノイ
ド60aが励磁されると,図の下方のリターンスプリン
グ61aの弾性力に抗して制御弁32は同図の右切換え
位置となり、この状態で当該制御弁32のポンプポート
Pと他方の出力ポートBとが連通状態となり、リターン
ポートRと一方の出力ポートAとが連通状態となる。従
って、この状態でポンプ30からの吐出流体圧が,作動
流体を流体圧シリンダ9の右シリンダ室26Rに供給し
て前記ピストン及び操舵軸であるピストンロッド22及
び両後輪1L,1Rの車両後方ロアリンク4が図5の下
方に移動され、前記ピストン24の移動により左シリン
ダ室26L内の作動流体はリザーバ34に帰還されるか
ら、後輪1L,1Rは右切りモードとなる。
【0025】一方、前記コントロールユニットの駆動電
流値信号iRRにより図5の上方の電磁ソレノイド60b
が励磁されると,図の上方のリターンスプリング61b
の弾性力に抗して制御弁32は同図の左切換え位置とな
り、この状態で当該制御弁32のポンプポートPと前記
一方の出力ポートAとが連通状態となり、リターンポー
トRと他方の出力ポートBとが連通状態となる。従っ
て、この状態でポンプ30からの吐出流体圧が,作動流
体をシリンダ9の左シリンダ室26Lに供給して前記ピ
ストン24及び操舵軸であるピストンロッド22及び両
後輪1L,1Rの車両後方ロアリンク4が図5の上方に
移動され、前記ピストン24の移動により右シリンダ室
26R内の作動流体はリザーバ34に帰還されるから、
後輪1L,1Rは左切りモードとなる。
流値信号iRRにより図5の上方の電磁ソレノイド60b
が励磁されると,図の上方のリターンスプリング61b
の弾性力に抗して制御弁32は同図の左切換え位置とな
り、この状態で当該制御弁32のポンプポートPと前記
一方の出力ポートAとが連通状態となり、リターンポー
トRと他方の出力ポートBとが連通状態となる。従っ
て、この状態でポンプ30からの吐出流体圧が,作動流
体をシリンダ9の左シリンダ室26Lに供給して前記ピ
ストン24及び操舵軸であるピストンロッド22及び両
後輪1L,1Rの車両後方ロアリンク4が図5の上方に
移動され、前記ピストン24の移動により右シリンダ室
26R内の作動流体はリザーバ34に帰還されるから、
後輪1L,1Rは左切りモードとなる。
【0026】また、車両には、ステアリングホイールの
操舵角θを検出する操舵角センサ11と、実際の後輪の
実後輪転舵角δr を検出する後輪転舵角センサ12と、
これらのセンサからの検出信号に基づいて前記駆動電流
値信号iRL,iRRを前記制御弁32の各ソレノイド60
a,60bに出力して当該制御弁332の切換位置を比
例電磁制御するコントロールユニット17とを備えてな
る。
操舵角θを検出する操舵角センサ11と、実際の後輪の
実後輪転舵角δr を検出する後輪転舵角センサ12と、
これらのセンサからの検出信号に基づいて前記駆動電流
値信号iRL,iRRを前記制御弁32の各ソレノイド60
a,60bに出力して当該制御弁332の切換位置を比
例電磁制御するコントロールユニット17とを備えてな
る。
【0027】前記操舵角センサ11は、ステアリングホ
イール15の中庸位置からの操舵角の大きさに応じ且つ
ステアリングホイール15が右切りされているときに
正,左切りされているときに負となる電圧信号からなる
操舵角θを検出出力する。また、前記後輪転舵角センサ
12は、後左右輪1L,1Rの中庸位置からの実後輪転
舵角の大きさに応じ且つ両後輪1L,1Rが右切りされ
ているときに正,左切りされているときに負となる電圧
信号からなる実後輪転舵角δr を検出出力する。
イール15の中庸位置からの操舵角の大きさに応じ且つ
ステアリングホイール15が右切りされているときに
正,左切りされているときに負となる電圧信号からなる
操舵角θを検出出力する。また、前記後輪転舵角センサ
12は、後左右輪1L,1Rの中庸位置からの実後輪転
舵角の大きさに応じ且つ両後輪1L,1Rが右切りされ
ているときに正,左切りされているときに負となる電圧
信号からなる実後輪転舵角δr を検出出力する。
【0028】前記コントロールユニット17は、図6に
明示するように、前記操舵角センサ11からの操舵角θ
に所定係数Kを乗算して目標後輪転舵角δ* r を算出出
力する乗算器62と、その出力値である目標後輪転舵角
δ* r から前記後輪転舵角センサ12の実後輪転舵角δ
r を減算して後輪転舵角誤差Δδr を算出し出力する加
減算器63と、その出力値である後輪転舵角誤差Δδr
を入力して、前記流体圧シリンダ9の左シリンダ室26
Lに作動流体を供給するためのソレノイド60aに駆動
電流値信号iRLを出力する駆動回路64aと、同じく流
体圧シリンダ9の右シリンダ室26Rに作動流体を供給
するためのソレノイド60bに駆動電流値信号iRRを出
力する駆動回路64bとを備えている。なお、前記所定
係数Kは、ステアリングギヤ比と前輪転舵角−後輪転舵
角の同位相転舵比との積値からなる正の所定値とする。
明示するように、前記操舵角センサ11からの操舵角θ
に所定係数Kを乗算して目標後輪転舵角δ* r を算出出
力する乗算器62と、その出力値である目標後輪転舵角
δ* r から前記後輪転舵角センサ12の実後輪転舵角δ
r を減算して後輪転舵角誤差Δδr を算出し出力する加
減算器63と、その出力値である後輪転舵角誤差Δδr
を入力して、前記流体圧シリンダ9の左シリンダ室26
Lに作動流体を供給するためのソレノイド60aに駆動
電流値信号iRLを出力する駆動回路64aと、同じく流
体圧シリンダ9の右シリンダ室26Rに作動流体を供給
するためのソレノイド60bに駆動電流値信号iRRを出
力する駆動回路64bとを備えている。なお、前記所定
係数Kは、ステアリングギヤ比と前輪転舵角−後輪転舵
角の同位相転舵比との積値からなる正の所定値とする。
【0029】このうち、図示されない乗算器,反転器,
比較器等から構成される駆動回路64a,64bからは
図7に示すように、後輪転舵角誤差Δδr に応じた駆動
電流値信号iRL,iRRが出力される。即ち、目標後輪転
舵角δ* r から実後輪転舵角δr を減算して算出された
後輪転舵角誤差Δδr が負であるときには、その後輪転
舵角誤差Δδr の絶対値の大きさに応じて前記左切り用
ソレノイド60bへの駆動電流値信号iRRが増加し且つ
右切り用ソレノイド60aへの駆動電流値信号iRLは
“0”に保持される。また、この後輪転舵角誤差Δδr
が正であるときには、当該後輪転舵角誤差Δδr の絶対
値の大きさに応じて前記右切り用ソレノイド60aへの
駆動電流値信号iRLが増加し且つ左切り用ソレノイド6
0bへの駆動電流値信号iRRは“0”に保持される。な
お、各ソレノイド60a,60bへの駆動電流値信号i
RL,iRRには、夫々上限値iRL0 ,iRR0 が設定されて
いる。
比較器等から構成される駆動回路64a,64bからは
図7に示すように、後輪転舵角誤差Δδr に応じた駆動
電流値信号iRL,iRRが出力される。即ち、目標後輪転
舵角δ* r から実後輪転舵角δr を減算して算出された
後輪転舵角誤差Δδr が負であるときには、その後輪転
舵角誤差Δδr の絶対値の大きさに応じて前記左切り用
ソレノイド60bへの駆動電流値信号iRRが増加し且つ
右切り用ソレノイド60aへの駆動電流値信号iRLは
“0”に保持される。また、この後輪転舵角誤差Δδr
が正であるときには、当該後輪転舵角誤差Δδr の絶対
値の大きさに応じて前記右切り用ソレノイド60aへの
駆動電流値信号iRLが増加し且つ左切り用ソレノイド6
0bへの駆動電流値信号iRRは“0”に保持される。な
お、各ソレノイド60a,60bへの駆動電流値信号i
RL,iRRには、夫々上限値iRL0 ,iRR0 が設定されて
いる。
【0030】従って、ステアリングホイール15を右切
りすると前記操舵角センサ11で検出される操舵角θは
正方向に増加し、従ってコントロールユニット17の乗
算器62からは正値の目標後輪転舵角δ* r が算出設定
され、この目標後輪転舵角δ * r と前記後輪転舵角セン
サ12で検出された実後輪転舵角δr との後輪転舵角誤
差Δδr が“0”となるまで、当該後輪転舵角誤差Δδ
r は正値となるから、前記一方の駆動回路64aからの
み前記右切り用ソレノイド60aに向けて駆動電流値信
号iRLが出力されて、後輪1L,1Rは左切りされ、結
果的に両後輪1L,1Rは前輪10L,10Rに対して
同方向(同位相)に前記後輪−前輪転舵比で転舵され
る。
りすると前記操舵角センサ11で検出される操舵角θは
正方向に増加し、従ってコントロールユニット17の乗
算器62からは正値の目標後輪転舵角δ* r が算出設定
され、この目標後輪転舵角δ * r と前記後輪転舵角セン
サ12で検出された実後輪転舵角δr との後輪転舵角誤
差Δδr が“0”となるまで、当該後輪転舵角誤差Δδ
r は正値となるから、前記一方の駆動回路64aからの
み前記右切り用ソレノイド60aに向けて駆動電流値信
号iRLが出力されて、後輪1L,1Rは左切りされ、結
果的に両後輪1L,1Rは前輪10L,10Rに対して
同方向(同位相)に前記後輪−前輪転舵比で転舵され
る。
【0031】一方、ステアリングホイール15を左切り
すると前記操舵角センサ11で検出される操舵角θは負
方向に減少し、従ってコントロールユニット17の乗算
器62からは負値の目標後輪転舵角δ* r が算出設定さ
れ、この目標後輪転舵角δ* r と前記後輪転舵角センサ
12で検出された実後輪転舵角δr との後輪転舵角誤差
Δδr が“0”となるまで、当該後輪転舵角誤差Δδr
は負値となるから、前記他方の駆動回路64bからのみ
前記左切り用ソレノイド60bに向けて駆動電流値信号
iRRが出力されて、後輪1L,1Rは右切りされ、結果
的に両後輪1L,1Rは前輪10L,10Rに対して同
方向(同位相)に前記後輪−前輪転舵比で転舵される。
すると前記操舵角センサ11で検出される操舵角θは負
方向に減少し、従ってコントロールユニット17の乗算
器62からは負値の目標後輪転舵角δ* r が算出設定さ
れ、この目標後輪転舵角δ* r と前記後輪転舵角センサ
12で検出された実後輪転舵角δr との後輪転舵角誤差
Δδr が“0”となるまで、当該後輪転舵角誤差Δδr
は負値となるから、前記他方の駆動回路64bからのみ
前記左切り用ソレノイド60bに向けて駆動電流値信号
iRRが出力されて、後輪1L,1Rは右切りされ、結果
的に両後輪1L,1Rは前輪10L,10Rに対して同
方向(同位相)に前記後輪−前輪転舵比で転舵される。
【0032】以上のようにして、前記本実施例の後輪転
舵装置では、目標後輪転舵角δ* rに実後輪転舵角δr
が一致するまでフィードバック制御が実行される。次
に、前記接地点移動手段を構成する後輪懸架装置と後輪
転舵装置とを備えた本実施例の後輪操舵装置の作用につ
いて説明する。まず、図8は、前記図3のように後輪1
のキングピン軸K1 と路面との交点がタイヤ接地点より
後方にある後輪懸架装置でない,即ちネガティブトレー
ルβ1を有する後輪懸架装置でない後輪懸架装置を備え
た車両において、左切りされた前輪に対して前記後輪転
舵装置が後輪を同位相に左切りした旋回走行状態を二輪
モデルで表したものである。同図において、aを車両重
心−前車軸間距離、bを車両重心−後車軸間距離、δf
を実前輪転舵角、δr を実後輪転舵角、ψ' を車両重心
点垂直軸周りのヨーレート、y' を車両重心点に作用す
る横移動速度、Vを車速とすると、前輪のスリップ角β
f は下記1式で、後輪のスリップ角βr は下記2式で表
される。
舵装置では、目標後輪転舵角δ* rに実後輪転舵角δr
が一致するまでフィードバック制御が実行される。次
に、前記接地点移動手段を構成する後輪懸架装置と後輪
転舵装置とを備えた本実施例の後輪操舵装置の作用につ
いて説明する。まず、図8は、前記図3のように後輪1
のキングピン軸K1 と路面との交点がタイヤ接地点より
後方にある後輪懸架装置でない,即ちネガティブトレー
ルβ1を有する後輪懸架装置でない後輪懸架装置を備え
た車両において、左切りされた前輪に対して前記後輪転
舵装置が後輪を同位相に左切りした旋回走行状態を二輪
モデルで表したものである。同図において、aを車両重
心−前車軸間距離、bを車両重心−後車軸間距離、δf
を実前輪転舵角、δr を実後輪転舵角、ψ' を車両重心
点垂直軸周りのヨーレート、y' を車両重心点に作用す
る横移動速度、Vを車速とすると、前輪のスリップ角β
f は下記1式で、後輪のスリップ角βr は下記2式で表
される。
【0033】 以下は、後輪のスリップ角βr についてのみ詳述する。
この後輪スリップ角β r は、タイヤ接地点の対地横移動
速度Uを用いて図9に従い、下記3式のようにも表され
る。
この後輪スリップ角β r は、タイヤ接地点の対地横移動
速度Uを用いて図9に従い、下記3式のようにも表され
る。
【0034】 βr =δr +U/V ……… (3) ここで、タイヤ接地点が車体に対して横移動しないとき
には、例えば前記図8に示す幾何学的関係のモデルから
下記4式のようにも表される。 U=bψ' −y' ……… (4) この4式を3式に代入することで、前記2式を得ること
もできる。
には、例えば前記図8に示す幾何学的関係のモデルから
下記4式のようにも表される。 U=bψ' −y' ……… (4) この4式を3式に代入することで、前記2式を得ること
もできる。
【0035】ところが、前述のように本実施例の後輪懸
架装置では、前記後輪が転舵されると同時に後旋回外輪
のタイヤ接地点は車両幅方向内側に、後旋回内輪のタイ
ヤ接地点は車両幅方向外側に移動される。この後旋回外
輪の同位相転舵時に発生するタイヤ接地点の横移動速度
をVL とし、図8でその移動方向を前記横移動速度に一
致させると、前記タイヤ接地点の対地移動速度Uは下記
5式のように表される。
架装置では、前記後輪が転舵されると同時に後旋回外輪
のタイヤ接地点は車両幅方向内側に、後旋回内輪のタイ
ヤ接地点は車両幅方向外側に移動される。この後旋回外
輪の同位相転舵時に発生するタイヤ接地点の横移動速度
をVL とし、図8でその移動方向を前記横移動速度に一
致させると、前記タイヤ接地点の対地移動速度Uは下記
5式のように表される。
【0036】 U=bψ' −y' −VL ……… (5) ここで、前記後旋回外輪の同位相転舵時に発生するタイ
ヤ接地点の横移動速度VL に着目すると、この横移動速
度VL は、後輪転舵角速度と前記キャスタトレールβ1
との積値として下記6式であらわされる。なお、式中δ
r ' は前記後輪転舵角δr の時間微分値から得られた後
輪転舵角速度である。
ヤ接地点の横移動速度VL に着目すると、この横移動速
度VL は、後輪転舵角速度と前記キャスタトレールβ1
との積値として下記6式であらわされる。なお、式中δ
r ' は前記後輪転舵角δr の時間微分値から得られた後
輪転舵角速度である。
【0037】 VL =β1 ・δr ' ……… (6) 前記3式に前記5式を代入して下記7式を得、更に前記
6式を代入して8式を得、これをまとめて下記9式を得
る。 今、前記コントロールユニット17の乗算器62から出
力された目標後輪転舵角δ* r が実後輪転舵角δr とし
て実現されているものとすると、当該実後輪転舵角δr
は前述のようにK・θ(θは操舵角)と表されるから、
これを前記9式に代入して下記10式を得る。
6式を代入して8式を得、これをまとめて下記9式を得
る。 今、前記コントロールユニット17の乗算器62から出
力された目標後輪転舵角δ* r が実後輪転舵角δr とし
て実現されているものとすると、当該実後輪転舵角δr
は前述のようにK・θ(θは操舵角)と表されるから、
これを前記9式に代入して下記10式を得る。
【0038】 ここで、10式の右辺第2項は車両の旋回走行運動によ
る後輪スリップ角の増減量であり、右辺第1項が対車体
後輪スリップ角変化となり、これを対車体実後輪転舵角
δr と考えれば、後輪を下記11式で表されるように操
舵角θに対して操舵したことと等価になる。
る後輪スリップ角の増減量であり、右辺第1項が対車体
後輪スリップ角変化となり、これを対車体実後輪転舵角
δr と考えれば、後輪を下記11式で表されるように操
舵角θに対して操舵したことと等価になる。
【0039】 そこで、ステアリングホイールへの操舵入力として操舵
角θをステップ状に操舵したとき、前記11式で表され
る後輪操舵角の経時変化を図11に示す。同図から明ら
かなように、前記11式の比例係数K及びネガティブト
レールβ1 の大きさに応じて、操舵入力と逆向きの位相
進み成分により実後輪転舵角δr は操舵入力直後又はそ
の初期に逆位相に操舵され、その後、同位相に操舵され
る位相反転操舵がなされる。この逆位相方向への操舵
は、変数である車速Vと操舵速度θ’(=dθ/dt)
とに応じて変化するから、例えば低速走行中の速い操舵
入力時には後輪の逆位相成分が大きくなり、高速走行中
の遅い操舵入力時にはその逆位相成分は小さくなって、
本来の位相反転操舵の目的に合致する。
角θをステップ状に操舵したとき、前記11式で表され
る後輪操舵角の経時変化を図11に示す。同図から明ら
かなように、前記11式の比例係数K及びネガティブト
レールβ1 の大きさに応じて、操舵入力と逆向きの位相
進み成分により実後輪転舵角δr は操舵入力直後又はそ
の初期に逆位相に操舵され、その後、同位相に操舵され
る位相反転操舵がなされる。この逆位相方向への操舵
は、変数である車速Vと操舵速度θ’(=dθ/dt)
とに応じて変化するから、例えば低速走行中の速い操舵
入力時には後輪の逆位相成分が大きくなり、高速走行中
の遅い操舵入力時にはその逆位相成分は小さくなって、
本来の位相反転操舵の目的に合致する。
【0040】このように本実施例の後輪操舵装置によれ
ば、簡単な構成で位相反転操舵を実現することができ、
従来のような複雑な位相反転制御のための演算処理を必
要としないのでコントロールユニットにマイクロコンピ
ュータ等の複雑な演算処理装置も必要とせず、構造を簡
潔化してコストを低廉化することができる。また、前記
電磁弁に高応答,高精度を要求せず、ポンプ等にも大容
量を要求しないので、その分だけ構成を小型化・簡潔化
したりコストを低廉化したりすることができる。
ば、簡単な構成で位相反転操舵を実現することができ、
従来のような複雑な位相反転制御のための演算処理を必
要としないのでコントロールユニットにマイクロコンピ
ュータ等の複雑な演算処理装置も必要とせず、構造を簡
潔化してコストを低廉化することができる。また、前記
電磁弁に高応答,高精度を要求せず、ポンプ等にも大容
量を要求しないので、その分だけ構成を小型化・簡潔化
したりコストを低廉化したりすることができる。
【0041】なお、前記実施例では流体圧シリンダによ
る後輪転舵装置(本発明の後輪転舵手段に相当する)を
用いた後輪操舵装置についてのみ詳述したが、本発明の
後輪操舵装置における後輪転舵手段はこれに限定される
ものではなく、例えば前述のような電動モータを用いる
場合には、前記流体圧シリンダによるアクチュエータ部
分及び流体圧供給源を置換するだけでそのまま転用する
ことが可能である。また、このような流体式或いは電動
式アクチュエータによる後輪転舵手段のコントロールユ
ニットの構成についても前記に限定されるものではな
く、後輪の同位相転舵を可能とするものであれば如何様
なものでも採用可能である。また、これらの他に、例え
ばステアリングホイールの動きを機械的に検出し、操舵
角が大きい場合には後輪を逆位相に操舵できるような機
械式後輪転舵手段と組み合わせることも可能であり、そ
の場合には前述のように大舵角転舵用の小回りアクチュ
エータと高速用のアクチュエータを共用化できたり、所
謂機械式四輪操舵車両で位相反転操舵(制御)を可能な
らしめたりすることができる。
る後輪転舵装置(本発明の後輪転舵手段に相当する)を
用いた後輪操舵装置についてのみ詳述したが、本発明の
後輪操舵装置における後輪転舵手段はこれに限定される
ものではなく、例えば前述のような電動モータを用いる
場合には、前記流体圧シリンダによるアクチュエータ部
分及び流体圧供給源を置換するだけでそのまま転用する
ことが可能である。また、このような流体式或いは電動
式アクチュエータによる後輪転舵手段のコントロールユ
ニットの構成についても前記に限定されるものではな
く、後輪の同位相転舵を可能とするものであれば如何様
なものでも採用可能である。また、これらの他に、例え
ばステアリングホイールの動きを機械的に検出し、操舵
角が大きい場合には後輪を逆位相に操舵できるような機
械式後輪転舵手段と組み合わせることも可能であり、そ
の場合には前述のように大舵角転舵用の小回りアクチュ
エータと高速用のアクチュエータを共用化できたり、所
謂機械式四輪操舵車両で位相反転操舵(制御)を可能な
らしめたりすることができる。
【0042】また、前記実施例の接地点移動手段を構成
する後輪懸架装置では、キングピン軸をネガティブ方向
に設定し且つキャスタトレールをネガティブに設定し、
これにより後輪の同位相転舵時に後旋回外輪のタイヤ接
地点が車両幅方向内側に移動されるものについてのみ詳
述したが、本発明の後輪操舵装置の接地点移動手段はこ
れに限定されるものではなく、例えばサスペンションリ
ンク構造の連節点に用いられるブッシュのコンプライア
ンス(可撓性)を適宜設定するとか、個別なアクチュエ
ータによって後輪転舵の初期だけ,単純に逆位相操舵す
るなどして、同様の作用を発揮するものであれば如何様
な接地点移動手段を採用することも可能である。
する後輪懸架装置では、キングピン軸をネガティブ方向
に設定し且つキャスタトレールをネガティブに設定し、
これにより後輪の同位相転舵時に後旋回外輪のタイヤ接
地点が車両幅方向内側に移動されるものについてのみ詳
述したが、本発明の後輪操舵装置の接地点移動手段はこ
れに限定されるものではなく、例えばサスペンションリ
ンク構造の連節点に用いられるブッシュのコンプライア
ンス(可撓性)を適宜設定するとか、個別なアクチュエ
ータによって後輪転舵の初期だけ,単純に逆位相操舵す
るなどして、同様の作用を発揮するものであれば如何様
な接地点移動手段を採用することも可能である。
【0043】また、本発明の後輪操舵装置は,後輪駆動
車,前輪駆動車,四輪駆動車等のあらゆる車両に適用可
能である。
車,前輪駆動車,四輪駆動車等のあらゆる車両に適用可
能である。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明の後輪操舵装
置によれば、操舵入力直後から当該後輪が同方向(同位
相)に転舵されると、その操舵角入力に対する逆方向へ
の位相進み成分が後旋回外輪を前輪と逆方向(逆位相)
に転舵したことと等価に作用して回頭性を含む操縦性が
向上し、操舵角入力が安定する,即ち定常旋回状態とな
ると、後旋回外輪は前輪と同位相に転舵されたままとな
り、車両の旋回定常時には走行安定性が確保される。従
って、前記後輪転舵手段は主として後輪の同位相転舵の
みを実行するものであっても、接地点移動手段によって
操舵入力の初期に後輪の逆位相転舵が発生し、両者の組
合せによって後輪の位相反転操舵が実現されることにな
り、両者の構成を共に簡潔化してコストを低廉化するこ
とができる。また、特に後輪転舵手段に用いられるアク
チュエータ類が高応答や高精度,高容量のものである必
要はないから、その分だけコストを低廉化することがで
きる。また、特に後輪転舵手段に用いられる制御手段は
複雑な演算処理を必要としないから、高応答や高精度,
高演算処理能力のものである必要はなく、その分だけ演
算処理を含む構成を簡潔化することができ、コストも低
廉化される。
置によれば、操舵入力直後から当該後輪が同方向(同位
相)に転舵されると、その操舵角入力に対する逆方向へ
の位相進み成分が後旋回外輪を前輪と逆方向(逆位相)
に転舵したことと等価に作用して回頭性を含む操縦性が
向上し、操舵角入力が安定する,即ち定常旋回状態とな
ると、後旋回外輪は前輪と同位相に転舵されたままとな
り、車両の旋回定常時には走行安定性が確保される。従
って、前記後輪転舵手段は主として後輪の同位相転舵の
みを実行するものであっても、接地点移動手段によって
操舵入力の初期に後輪の逆位相転舵が発生し、両者の組
合せによって後輪の位相反転操舵が実現されることにな
り、両者の構成を共に簡潔化してコストを低廉化するこ
とができる。また、特に後輪転舵手段に用いられるアク
チュエータ類が高応答や高精度,高容量のものである必
要はないから、その分だけコストを低廉化することがで
きる。また、特に後輪転舵手段に用いられる制御手段は
複雑な演算処理を必要としないから、高応答や高精度,
高演算処理能力のものである必要はなく、その分だけ演
算処理を含む構成を簡潔化することができ、コストも低
廉化される。
【図1】本発明の後輪操舵装置の接地点移動手段を構成
する後輪懸架装置及び後輪転舵手段の一実施例を示す部
分的構成図である。
する後輪懸架装置及び後輪転舵手段の一実施例を示す部
分的構成図である。
【図2】図1の後輪懸架装置の正面図である。
【図3】図1の後輪懸架装置の側面図である。
【図4】図1の後輪懸架装置の平面図である。
【図5】図1の後輪転舵手段の概略構成図である。
【図6】図5のコントロールユニットの一例を示す概略
構成図である。
構成図である。
【図7】図6の駆動回路から出力される後輪転舵角誤差
−ソレノイド駆動電流値信号特性の説明図である。
−ソレノイド駆動電流値信号特性の説明図である。
【図8】後輪同位相転舵時の二輪運動モデルの説明図で
ある。
ある。
【図9】図8の後輪のスリップ角の説明図である。
【図10】図9で後輪のタイヤ接地点の横移動速度の説
明図である。
明図である。
【図11】図1の後輪操舵装置で発生する操舵角入力に
対する実後輪転舵角の説明図である。
対する実後輪転舵角の説明図である。
1,1L,1Rは後輪 2,2L,2Rはハブキャリア 3はアッパリンク 4はロアリンク 5はロアリンク 6はロアリンク系 7はラジアスロッド 8はワインドアップリンク 9は後輪用流体圧シリンダ 11は操舵角センサ 12は後輪転舵角センサ 14は後輪転舵装置 15はステアリングホイール 17はコントロールユニット 22はピストンロッド 24はピストン 28はスプリング 30はポンプ 32は制御弁 Xはロアリンク系弾性中心 K1 はキングピン軸 Yはタイヤ接地点 Zはキングピン路面交点 α1 はネガティブスクラブ β1 はネガティブトレール
Claims (3)
- 【請求項1】 車両の後輪を操舵角に応じて前輪と同方
向に転舵する後輪転舵手段と、当該後輪の転舵過渡時に
後旋回外輪のタイヤ接地点を車両幅方向内側に移動させ
る接地点移動手段とを備えたことを特徴とする後輪操舵
装置。 - 【請求項2】 前記接地点移動手段は、後輪の転舵中心
軸により設定される後輪のキャスタトレールが当該後輪
のタイヤ接地点より車両前後方向後方に設定されて構成
されることを特徴とする請求項1に記載の後輪操舵装
置。 - 【請求項3】 前記接地点移動手段は、後輪側の懸架装
置を構成するロアリンク系の弾性中心とアッパリンクの
車輪側取付点とを結ぶキングピン軸が、当該後輪のタイ
ヤ接地点に対して車両後方にオフセットされていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の後輪操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7639095A JPH08268312A (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | 後輪操舵装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7639095A JPH08268312A (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | 後輪操舵装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08268312A true JPH08268312A (ja) | 1996-10-15 |
Family
ID=13604005
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7639095A Pending JPH08268312A (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | 後輪操舵装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08268312A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007296974A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Bridgestone Corp | タイヤスリップ角の推定方法とその装置、及び、車体スリップ角の推定方法とその装置 |
CN109131541A (zh) * | 2018-09-05 | 2019-01-04 | 天津同捷汽车设计有限公司 | 一种后轮主动转向装置及车辆 |
-
1995
- 1995-03-31 JP JP7639095A patent/JPH08268312A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007296974A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Bridgestone Corp | タイヤスリップ角の推定方法とその装置、及び、車体スリップ角の推定方法とその装置 |
CN109131541A (zh) * | 2018-09-05 | 2019-01-04 | 天津同捷汽车设计有限公司 | 一种后轮主动转向装置及车辆 |
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