JP3076541B2 - 操向車輪制御構造 - Google Patents

操向車輪制御構造

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JP3076541B2 JP30215397A JP30215397A JP3076541B2 JP 3076541 B2 JP3076541 B2 JP 3076541B2 JP 30215397 A JP30215397 A JP 30215397A JP 30215397 A JP30215397 A JP 30215397A JP 3076541 B2 JP3076541 B2 JP 3076541B2
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  • Power Steering Mechanism (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の挙動を判別
する車両挙動検出手段によって算出された反力を加える
電動操舵装置を備える車両の操向車輪に適する操向車輪
制御構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車などの車両に用いられる操向車輪
側の懸架装置(サスペンション)の基本形式としては、
マクファーソンストラットやダブルウィッシュボーン
(マルチリンク)がある。それらを用いて、可能な限り
シンプルかつ廉価なリンク構成やジオメトリーによる操
安性能と乗り心地性能との高次元での両立を目指すこと
ができる。
【0003】特に、操安性能に関するアライメントやジ
オメトリーにあっては、車両の運動性能を決定する上で
重要であり、各サスペンション共、車両の目的に合わ
せ、車種別に細部に至るセッティングを行っている。例
えばFF車の場合には、キャスタートレールやキングピ
ン角を比較的大きく設定している(例えばキャスタート
レールにあっては6〜18mm程度、キングピン角にあ
っては6〜12度程度)。
【0004】ジオメトリーに影響するものとしてキング
ピンオフセットがあり、キングピンオフセットにより制
動時のステアリング系入力が決定される。接地面のキン
グピンオフセットを決定する最大要因であるキングピン
角はサスペンションのレイアウトにおける制約との兼ね
合いで決められるが、キングピン角が大きいと大転舵時
のポジティブキャンバが増すことになる。
【0005】また、接地面におけるキャスタートレール
を確保する最大の役割がキャスター角であり、そのキャ
スター角の設定により、旋回中のセルフアライニングト
ルクによりキングピン回りの復元モーメントを発生させ
て直進安定性を確保することができる。さらにキャスタ
ー角を大きくして復元モーメントをより一層強めること
により、特に高速走行時の車両の直進安定性を高めるこ
とができるばかりでなく、大転舵時の対地ポジティブキ
ャンバを減らして旋回限界性能も向上することも可能で
ある。
【0006】なお、ホイールセンタキングピンオフセッ
トは、旋回時の急激な加減速時の操舵力変化に影響する
ため、小さく設定する必要がある。
【0007】このように、車両の運動性能と操舵フィー
リングはアライメントの設定によるところが大きく、レ
イアウトなどの制約条件が多い中でのサスペンションの
設計が重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のサスペ
ンションでは、車両の運動性能や操舵フィーリングをア
ライメントのセッティングにより達成しているため、犠
牲になっている機能がある。
【0009】上記したように従来のFF車では、通常、
キャスタートレールを6〜18mm程度にし、キングピ
ン角を6〜12度程度にしているが、それらによって、
転舵時にタイヤのキャンバー角が変化し、転舵に必要と
なるホイールハウス内のスペースが増大する。特に、最
大転舵状態まで転舵した場合にボディのサイドフレーム
やスタビライザーなどにタイヤが早めに干渉してしまう
ため、最大切れ角を大きくすることができず、したがっ
て最小回転半径が大きくなって、車両の小回り性能が悪
化するという問題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決し
て、小回り性能を悪化させることなく車両の運動性能や
操舵フィーリングを向上し得る操向車輪制御構造を実現
するために、本発明に於いては、操向車輪を転舵可能な
電動操舵装置と、車両の挙動を検出する車両挙動検出手
段とを有する車両において、前記操向車輪を支持するサ
スペンションのキャスタートレールを概ね0mmにした
り、キングピン角を概ね0度にすると共に、前記車両の
進行方向に対する外乱を前記車両挙動検出手段により検
出したら、前記操舵装置が、前記外乱を修正するように
前記検出値に応じた操舵トルクにて前記操向車輪を制御
するものとした。
【0011】このように、キャスタートレールを概ね0
mmにしたり、キングピン角を概ね0度にすることによ
り、転舵時のタイヤのキャンバー角の変化が小さく、ホ
イールハウス内のスペースを最小限の大きさにして大き
な最大転舵角を確保することができ、軽い操舵力での転
舵が可能でありかつタイヤの摩耗も少なくすることがで
きると共に、車両の進行方向に対する例えばわだち等に
車輪が取られた場合にハンドルが取られるような外乱
(特にキャスタートレールを概ね0mmにしたりキング
ピン角を概ね0度にすると顕著に現れる)を検出したら
電動操舵装置により操向車輪を制御して修正することか
ら、小さなキャスタートレールによるセルフアライニン
グトルクの減少により生じる直進安定性への悪影響を回
避し得る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体
例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明す
る。
【0013】図1に、本発明が適用された車両の操向車
輪用操舵装置の概略構成を示す。この装置は、ステアリ
ングホイール1に一体結合されたステアリングシャフト
2に自在継手を有する連結軸3を介して連結されたピニ
オン4、及びピニオン4に噛合して車幅方向に往復動し
得ると共に、タイロッド5を介して操向車輪としての左
右の前輪6のナックルアーム7にその両端が連結された
ラック軸8で構成されたラック・アンド・ピニオン機構
からなる。また、そのラック・アンド・ピニオンを介し
ての手動操舵力を軽減するための補助操舵力を発生する
べく、ラック軸8の中間部に同軸的に電動機9が配設さ
れている。
【0014】さらに、ステアリングホイール1の回転角
をラック・アンド・ピニオン機構部で検出するための操
舵角センサ11と、ピニオン4に作用する手動操舵トル
クを検出するためのトルクセンサ12と、車体の適所に
設けられた車両の前後方向加速度に対応した信号を出力
するための加速度センサ13と、同じく車両の左右方向
加速度に対応した信号を出力するための横加速度センサ
14と、車両のヨーレイト(ヨーイング角速度)に対応
した信号を出力するためのヨーレイトセンサ15と、車
両の走行速度に対応した信号を出力するための車速セン
サ16と、これらの検出値に基づいて電動機9の出力を
制御するための制御ユニット17とが設けられている。
これらにより、車両挙動検出手段が構成されており、各
検出値を適宜用い、規範値と比較することにより車両の
挙動が正常か否かを判別し得る。
【0015】図2及び図3は、前輪6に適用された本発
明に基づくサスペンションの例を示す模式的スケルトン
図であり、図2はマルチリンク式を示し、図3はダブル
ウィッシュボーン式を示している。図2のマルチリンク
式サスペンションにあっては、上側に配設された2本の
アッパアーム21と、下側に配設された2本のロアアー
ム22とを有し、各アーム21・22のタイヤ側結合部
がそれぞれダブルジョイント構造になっている。そし
て、それら各アーム21・22の延長線上の各交点を通
る線が、図2のサスペンション構造における仮想のキン
グピン及びキャスターの共通の軸Kになり、各アーム2
1・22の配置を設計変更することにより、所望のアラ
イメントの設定を行うことができる。
【0016】また、図3のダブルウィッシュボーン式サ
スペンションにあっては、インボードにブレーキディス
ク及びキャリパー(図示せず)を配し、前輪6のインホ
イールに各2本のアッパアーム23とロアアーム24と
を配したインホイールダブルウィッシュボーン構造にな
っている。このサスペンションでは各アーム23・24
の各交点により各タイヤ側結合部が構成されており、そ
れら各結合部を通る線が、図3のサスペンション構造に
おける仮想のキングピン及びキャスターの共通の軸Kに
なり、上記と同様に所望のアライメントの設定を行うこ
とができる。
【0017】このようにして、マルチリンク式やダブル
ウィッシュボーン式サスペンションにおけるキングピン
及びキャスター軸Kを任意に設定できることから、本発
明に基づいて、キャスタートレールを概ね0mm(5m
m以下)にしたり、キングピン角を0度(5度以下)に
設定することは容易である。なお図4に、マルチリンク
式サスペンションにおいて、キャスタートレール(図の
c)を0mmとし、キングピン角(図のθ)を0度とし
た場合の模式図を示す。
【0018】本発明によれば、上記したように、キャス
タートレールを概ね0mmにしたり、キングピン角を概
ね0度に設定することから、転舵時のキャンバー角の変
化が小さく、ホイールハウス内のスペースを大きくする
ことなく、最大転舵角を大きくすることができる。さら
に、軽い操舵力での転舵が可能であり、かつタイヤの摩
耗も少なくなる。例えばキャスタートレールを0mmに
すると共にキングピン角を0度にした場合の前輪6の最
大切れ角を、従来構造車における外側切れ角を約33度
から34度にすると共に、外側切れ角を約40度から4
3度にすることができる。また、最小回転半径を約5.
2mから4.9mにまですることが可能である。
【0019】しかしながら、キャスタートレールを小さ
くすると、セルフアライニングトルク(直進安定性)が
小さくなるため、本発明では、そのセルフアライニング
トルクの減少を電動操舵装置による操舵トルクの発生に
より補うものである。また、キングピン角を小さくする
と、転舵時のキャンバー変化が小さくなり、レイアウト
などに有利である。
【0020】本発明に適用される電動操舵装置にあって
は特別な構造のものを用いる必要はなく、例えば同一出
願人による特開平8−268309号公報に開示されて
いるものや、特開平6−92252号公報に開示されて
いるものであって良い。
【0021】上記特開平8−268309号のもので
は、外乱操舵判定手段を備え、外乱状態を検出した場合
に出力する判定信号に基づいて、電動操舵装置の電動機
制御信号を操舵トルク信号と同じ方向に補正する補正手
段を備えるものであり、ドライバーの意志とは逆方向に
発生するハンドル逆回転現象の外乱操舵(外乱ステア)
状態を減衰させ、安定した操舵特性を得られるように構
成されている。この手段により、外乱入力時におけるサ
スペンションの復元モーメント不足による外乱に対する
減衰能力(直進安定性)の悪化を補うことができる。
【0022】さらに、上記電動操舵装置では、外乱入力
に対する修正制御をより一層好適に行うことができる。
その制御の一例を図5乃至図7を参照して以下に示す。
上記したハンドル逆回転現象の外乱操舵状態を減衰させ
る制御においては、操舵トルク信号に対する電動機駆動
信号の基準となる出力特性を図5に示されるように設定
している。なお、操舵方向が右の場合を+で表し、左の
場合を−で表している。
【0023】本制御では、上記図5の制御に図6で示さ
れる制御を付加するものであり、その図6は、操舵角セ
ンサ11により検出された操舵角の増減に応じて付加ト
ルク信号の出力を増減するように設定した特性を示す図
である。そして、例えばθ1の大きさの操舵角が検出さ
れたら、図6から付加トルク信号をT1として、その付
加トルク信号T1を図5における操舵トルクに付加す
る。この付加する方向としては、外乱による操向輪6の
向きを修正するためであることから、小さな操舵トルク
信号でより大きな電動機駆動信号を発生させるように、
図5における操舵トルク信号に付加トルク信号T1を付
加する。
【0024】ステアリングホイールに直進位置での遊び
を設けて、その範囲内での外乱操舵に対しては、従来の
キャスタートレールが比較的大きい場合には大きなセル
フアライニングトルクの発生により直進安定性を確保し
ている。それに対して、本発明によれば、操舵角の検出
値に応じた付加トルク信号を電動機駆動信号制御に付加
して、外乱操舵により操舵角が少しでも検出されれば、
図7に基づいて求められる電動機駆動信号を発生させ
て、外乱操舵時の操舵反力を発生させて、直進安定性及
びステアリングホイールの復元モーメントを高めてい
る。
【0025】また、特開平6−92252号のもので
は、車両の挙動(ヨーレイト及び横加速度)を検出し、
その変化を抑えるように、見かけ上のセルフアライニン
グトルクを操舵反力として与え、ステアリングホイール
の復元モーメントを確保するものである。この手法によ
っても、外乱入力時の車両の直進安定性を確保すること
ができる。すなわち、上記図示例では外乱操舵を操舵角
センサ11による操舵角検出値により判断して制御する
ようにしたが、それに代えて、ヨーレイトセンサ15と
横加速度センサ14とによる各検出値から車両の挙動を
判断して、外乱操舵による車両の挙動(例えば直進走行
時の車両の挙動)に対して電動駆動信号を出力して自動
修正することができる。
【0026】
【発明の効果】このように本発明によれば、電動操舵装
置の制御により、ステアリング中立付近の操舵反力を高
めて車両の直進安定性を確保することができると共に、
操舵角に応じて復元力を発生させてステアリングの戻り
を得ることができるため、サスペンションアライメント
のキャスタートレールやキングピン角を小さく設定する
ことができる。また、従来車にあっては、通常キャスタ
ートレールを5mm以上に、キングピン角を5度以上に
設定しているため、転舵時にタイヤの接地面の変化が大
きく、より大きな操舵力(電動操舵装置の負荷)が必要
になると共にタイヤの摩耗に悪影響を及ぼしているばか
りでなく、各アライメントのオフセットによってタイヤ
や駆動軸からの入力によるモーメントが発生し、それら
を受ける部材の強度確保による重量増を招いているが、
本発明によりキャスタートレールやキングピン角を小さ
くすることにより、それらの問題を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両の操向車輪用操舵装置
の構成を示す図。
【図2】本発明に基づくマルチリンク式サスペンション
の例を示す模式的スケルトン図。
【図3】本発明に基づくダブルウィッシュボーン式サス
ペンションの例を示す模式的スケルトン図。
【図4】(a)は、本発明に基づくマルチリンク式サス
ペンションの模式的正面図であり、(b)は、その側面
図。
【図5】本発明が適用された電動操舵装置の電動機駆動
信号出力特性線図。
【図6】本発明に基づく付加トルク信号特性線図。
【図7】本発明に基づく電動操舵装置の制御を示す特性
線図。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール 2 ステアリングシャフト 3 連結軸 4 ピニオン 5 タイロッド 6 前輪 7 ナックルアーム 8 ラック軸 9 電動機 11 操舵角センサ 12 トルクセンサ 13 加速度センサ 14 横加速度センサ 15 ヨーレイトセンサ 16 車速センサ 21 アッパアーム 22 ロアアーム 23 アッパアーム 24 ロアアーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 111:00 137:00 (56)参考文献 特開 平6−344935(JP,A) 特開 平5−105100(JP,A) 特開 平1−175572(JP,A) 特開 昭62−225470(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 B62D 5/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操向車輪を転舵可能な電動操舵装置と、
    車両の挙動を検出する車両挙動検出手段とを有する車両
    において、前記操向車輪を支持するサスペンションのキ
    ャスタートレールを概ね0mmにすると共に、前記車両
    の進行方向に対する外乱を前記車両挙動検出手段により
    検出したら、前記操舵装置が、前記外乱を修正するよう
    に前記検出値に応じた操舵トルクにて前記操向車輪を制
    御することを特徴とする操向車輪制御構造。
  2. 【請求項2】 操向車輪を転舵可能な電動操舵装置と、
    車両の挙動を検出する車両挙動検出手段とを有する車両
    において、前記操向車輪を支持するサスペンションのキ
    ングピン角を概ね0度にすると共に、前記車両の進行方
    向に対する外乱を前記車両挙動検出手段により検出した
    ら、前記操舵装置が、前記外乱を修正するように前記検
    出値に応じた操舵トルクにて前記操向車輪を制御するこ
    とを特徴とする操向車輪制御構造。
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