JPH08267368A - トルク制御式パルスツール - Google Patents

トルク制御式パルスツール

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Publication number
JPH08267368A
JPH08267368A JP7217995A JP7217995A JPH08267368A JP H08267368 A JPH08267368 A JP H08267368A JP 7217995 A JP7217995 A JP 7217995A JP 7217995 A JP7217995 A JP 7217995A JP H08267368 A JPH08267368 A JP H08267368A
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JP
Japan
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torque
tool
electric motor
casing
pulse
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JP7217995A
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English (en)
Inventor
Yasushiro Ishino
連信郎 石野
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トルク制御式パルスツールにおいて、簡単な
構成で所要の締め付けトルクの制御を行えるようにす
る。 【構成】 ケーシング12に、回転駆動源としての電動
モータ15と、この電動モータ15によって駆動される
パルス力発生装置16と、このパルス力発生装置16に
より発生されてツール出力軸19に伝達されるトルクを
検知するトルクセンサ21と、このトルクセンサ21の
出力にもとづいて電動モータ15を制御するための電子
部品を装着した回路基板26、27とを収容した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ねじ締めツールなどの
トルク制御式パルスツールに関する。
【0002】
【従来の技術】パルス力を発生させる従来のねじ締めツ
ールとして、回転駆動源にエアモータを使用したエアツ
ールや、回転駆動源に電動モータを使用した電動ツール
などが知られている。この種のねじ締め用のツールで
は、締め付け対象物としてのねじが所定のトルクで締め
付けられるように、対象物へ付与するトルクを一定値に
設定しかつ制御するようにしたものが知られている。そ
の場合にはトルク制御のためのコントローラが必要にな
るが、このコントローラは、電源ユニットと、各対象物
に付与するトルクをそれぞれ制御するためのトルク制御
ユニットと、複数の対象物についてのトルクデータを保
管しかつ統計的に解析する計測管理ユニットとを併せ持
つのが通例である。したがって、一般に大形になること
が多く、外置き式とするのが通例である。
【0003】たとえば実開昭61−81878 号公報には、従
来のトルクコントロールツールとして、このツールによ
るねじ締めトルクをこのツールの内部に設けた歪ゲージ
で検出し、その検出結果にもとづいて別置きのコントロ
ーラでツールのモータを制御するようにしたものが開示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような別
置のコントローラを用いたものでは、下記のような問題
点があった。 1.歪ゲージによる微弱なトルク出力信号を別置のコン
トローラまで伝送する必要があるため、ノイズに弱い。 2.トルク検出手段が含まれているツール本体と、トル
ク検出信号の増幅および制御を担当するコントローラと
が別置きであることから、ツールを連続運転した場合に
はツールだけが目立って発熱するということがよくあ
り、その場合には、ツールの周囲温度とコントローラの
周囲温度とが異なってトルクの制御精度が悪くなる。 3.一般にコントローラはスペースの関係もあって据置
き式とされることが多いが、その場合は、ねじ締め目標
トルクを設定する場所と実際にツールでねじ締め作業を
行う場所とが異なる。このため、コントローラで行うね
じ締め目標トルクの設定作業と、ツールで行うねじ締め
作業と、コントローラで行うねじ締めされたトルクの確
認作業とで、作業場所を異ならせる必要があり、作業効
率が悪い。 4.ねじ締めシステムが故障したときに、ツールが故障
したのか、コントローラが故障したのか、区別がつかな
いことがある。この場合に、修理のためにはツールとコ
ントローラとを別々に調査しなければならず、サービス
が非効率的になる。
【0005】一方、コントローラは多くの型式のツール
を制御できるように汎用性を持っていることが多く、た
とえば1台のコントローラが5台のツールをセットで備
えているというようなことが推奨される。しかし、実際
の流れ生産ラインでは、段取代えを敬遠するために、実
際には非常に高価な1台のコントローラに1台のツール
しか付属しない状態で固定されて使用されるのが現状で
ある。
【0006】そこで本発明はこのような問題点を解決
し、簡単な構成で所要の締め付けトルクの制御を行える
ようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、ケーシングに、回転駆動源としての電動モー
タと、この電動モータによって駆動されるパルス力発生
手段と、このパルス力発生手段により発生されてツール
出力軸に伝達されるトルクを検知するトルク検知手段
と、このトルク検知手段の出力にもとづいて前記電動モ
ータを制御する制御手段とを収容したものである。
【0008】
【作用】このような構成によれば、パルスツールを構成
するケーシングに、ツールの出力軸に伝達されるトルク
を検知するトルク検知手段と、このトルク検知手段の出
力にもとづいて電動モータを制御する制御手段とを収容
したため、目標トルクの設定や制御をケーシングの内部
で行うことができて、外置きの制御装置を必要とせずに
対象物に設定トルクを付与させることができ、自己完結
型のトルク制御式パルスツールが得られる。
【0009】データの統計的解析は通常はオフラインで
行うことが多いため、そのような解析が必要なら、その
ための装置のみを外置き式とすればよい。そして、その
ためには、ケーシングの内部には、複数のトルク付与対
象物に付与された最終トルク値を記憶する手段と、この
記憶した最終トルク値のデータを上記外置きの解析装置
へ伝送させる手段とのみを設置すれば足り、これら記憶
手段や伝送手段自体は公知の簡単な構成のものを利用で
きる。
【0010】トルク検出手段としてたとえば磁歪式のト
ルクセンサを用いれば、目標トルクの設定値などを含ん
だすべての信号を電気的に処理できる利点がある。
【0011】
【実施例】図1〜図3は、パルスツールの一例としての
ねじ締めツール11を示す。このねじ締めツール11は手持
ち式のツールとして構成され、そのケーシング12は本体
部13とハンドル部14とを備えている。本体部13の内部に
は、回転駆動源としての電動モータ15と、この電動モー
タ15によって駆動される油圧式のパルス力発生装置16と
が設けられている。
【0012】パルス力発生装置16は、電動モータ15から
供給される連続的なトルクをインパルス状のトルクに変
換するもので、電動モータ15からのトルクをピーク値で
50〜100 倍に増幅可能である。このような油圧式のパル
ス力発生装置16の詳細は、たとえば実開昭59−140173号
公報や特開昭62−246481号公報に示されている。あるい
は、パルス力発生装置16として、上述の油圧式のものに
代えて、機械的な衝撃力を発生させるものを利用するこ
ともできる。
【0013】電動モータ15には発生トルクの大きいDC
モータを使用することが多いが、高速のACサーボモー
タまたはDCサーボモータを使用することができる。ま
た、小容量のモータを使用可能とするとともに、それに
よってツールを小形化可能とするために、トルクを増幅
するための減速機構を設置することもできる。電動モー
タ15には、角度センサ17が機械的に接続されている。
【0014】パルス力発生装置16の出力側には非接触の
磁歪式のトルクセンサ軸18が同軸に接続され、このトル
クセンサ軸18の先端にさらにツール出力軸19が同軸に接
続されている。このツール出力軸19は、その先端がケー
シング12から突出することで、所要のねじ締め操作に供
することが可能である。
【0015】トルクセンサ軸18によって、非接触の磁歪
式のトルクセンサ21が構成されている。すなわち、この
トルクセンサ軸18の外周には、軸心方向に間隔をおい
て、ナーリング溝にて構成された一対の磁気異方性部2
2、23が形成されており、これら磁気異方性部22、23の
周囲には、励磁コイルと検出コイルとからなるコイル部
24が非接触状態で配置されている。このため、電動モー
タ15およびパルス力発生装置16によって発生されたパル
ス状のトルクが、出力軸19を介して締め付け対象のねじ
などに伝達されると、そのトルクの大きさに応じて磁気
異方性部22、23の磁気特性が変化し、それに対応した電
気信号がコイル部24から出力されることで、そのトルク
の大きさが求められる。コイル部24は、モータ15からの
漏洩磁気の影響を避けるために磁気シールドケース25の
内部に配置されている。なお、このような磁気の影響を
確実に防止するために、モータ15やパルス力発生装置16
に非磁性材料からなる部品が使用されている。またトル
クセンサは、このような磁歪式のものに代えて、ロータ
リトランスを利用した歪ゲージ方式のものなどを利用す
ることもできる。かつ、その場合にも漏洩磁気に対し同
様の対策が施される。
【0016】このように一対の磁気異方性部22、23を設
けておき、図示のようにその磁気異方性の方向を互いに
逆方向としておくことで、トルクセンサの周囲温度など
の環境の変化があっても、その影響が相殺されて誤差の
発生が防止される。なお、センサ性能が若干悪くなるこ
とが許容される場合には、磁気異方性を一か所のみとす
ることができ、その場合にはトルクセンサ軸18を短尺に
構成できてツール11の小形化を図ることができる。
【0017】なお、トルク検知手段として、このような
非接触式のものに代えて、たとえば実開昭61−87878 号
公報に示されるような接触方式すなわち歪ゲージ反力方
式のものを使用しても何ら差し支えない。
【0018】トルクセンサ軸18の近傍におけるケーシン
グ12の本体部13の内部には、トルクセンサ21の制御のた
めの電子部品を装着したセンサ基板26が設けられてい
る。またケーシング12のハンドル部14の内部には、電動
モータ15の制御やセンサ基板26から送られる信号の処理
のための電子部品を装着したメイン基板27が設けられて
いる。これらの基板26、27は、パルス力発生装置16など
からの振動を受けないように、適宜の衝撃吸収構造を備
えたものとされている。
【0019】ケーシング12の本体部13の背面部分の内部
には、トルク表示/設定基板30が設けられている。そし
て、この本体部13の背面には、この基板30を利用して、
トルク設定部31と、トルク表示部32と、トルク異常/正
常表示部33とが設けられている。トルク表示部32は、後
述する異常内容表示部を兼ねることができる。また、ハ
ンドル部14には、電動モータ15を起動/停止させるため
のオンオフスイッチ34と、モータ15すなわち出力軸19の
回転方向を切り換えるための切換えスイッチ35とが設け
られている。
【0020】メイン基板27にはケーシング12の外部から
のケーブル36が接続され、このケーブル36は、ツール11
への電源の供給と、ツール11から外部へのデータの伝送
とのために用いられる。すなわち、図2に示すようにこ
のケーブル36は電源供給用のAC/DCアダプタ37に導
かれ、このアダプタ37からの通信ライン38がさらにコン
ピュータを利用したデータ処理装置39に導かれるように
構成されている。このデータ処理装置39は、別置式のも
のであって、市販の汎用コンピュータを利用することが
できる。通信ライン38には着脱式のものが使用される。
40はプリンタである。なお、AC/DCアダプタ37によ
って電源を供給する代わりに、バッテリ内蔵方式を採用
することもできる。
【0021】図4は、本装置のブロック図を示す。トル
クセンサ21において、コイル部24は上述のように励磁コ
イル42と検出コイル43、44とで構成されており、励磁コ
イル42は交流電源部45に接続されている。各磁気異方性
部22、23に対応してそれぞれ設けられた検出コイル43、
44の出力側は、ローパスフィルタ46、47を介して差動増
幅器48に接続されている。また、この差動増幅器48の出
力側は、温度補償回路49に接続されている。センサ基板
26にはトルクセンサ21を制御するための第1のCPU50
が設けられており、この第1のCPU50にはトルクセン
サ21の温度を検出するための温度センサ51からの信号ラ
インが接続されている。
【0022】このため、ツール出力軸19によるねじ締め
が行われて、それにもとづくトルクがトルクセンサ軸18
に印加されると、そのトルクの大きさに対応して検出コ
イル43、44に信号が現れる。そして、これらの信号がロ
ーパスフィルタ46、47をとおって差動増幅器48に送られ
ることで、この差動増幅器48の出力側には、そのトルク
の大きさに応じたトルク信号が現れることになる。また
温度センサ51による温度の検出結果に応じて、補償回路
49によって温度補償の行われたトルク信号が最終的に出
力されることになる。第1のCPU50は、検出信号に対
しこのような温度補償のほかに零リセットや零トラッキ
ングを行うとともに、後述するセンサの自己診断をも行
うように構成されている。
【0023】メイン基板27には第2のCPU53が設けら
れており、この第2のCPU53には、温度補償回路49か
らの信号ラインがA/D変換器54を介して接続されてい
る。また第2のCPU53には、トルク設定部31からの信
号ラインが設定トルク記憶装置55を介して接続されてい
る。さらに第2のCPU53は、モータ制御回路56を介し
て電動モータ15を制御可能であるとともに、表示制御回
路57を介して各表示部32、33へ表示内容を出力可能であ
る。さらに通信制御回路58を介して、ケーブル36および
通信ライン38により、データ処理装置39との間でデータ
の授受が可能である。
【0024】さらにメイン基板27には、電気的に書き換
え可能なROM(EEPROM)にて構成された締め付
けトルク記憶装置60が設けられており、この記憶装置60
は、温度補償回路49からのデータを受け取って記憶可能
であるとともに、第2のCPU53との間でデータを授受
可能に構成されている。前述のオンオフスイッチ34は第
1および第2のCPU50、53に接続され、また切換えス
イッチ35は第2のCPU53に接続されている。角度セン
サ17からの信号は第2のCPU53に入力される。
【0025】このような構成において、オンオフスイッ
チ34を操作して電動モータ15を作動させると、それに対
応してパルス力発生装置16にてインパルス力が発生さ
れ、このインパルス力によって出力軸19が回転されるの
で、所定のねじ締め作業を行うことが可能になる。その
ときの付与トルクは、トルクセンサ21によって検知され
る。
【0026】具体的なねじ締め作業の際には、まず、ト
ルク設定部31によって、対象物に付与すべきトルクをマ
ニュアル設定する。その設定値は、記憶装置55によって
記憶されるとともに、第2のCPU53の作用により表示
制御回路57を介してトルク表示部32に表示される。
【0027】この状態でオンオフスイッチ34の操作によ
りねじ締めが行われると、そのときの締め付けトルクが
トルクセンサ21によって検知され、それにもとづく締め
付け作業中のトルク信号は、温度補償回路49による温度
補償を受けた後に、A/D変換器54を介して第2のCP
U53へ送られる。この第2のCPU53は、温度補償回路
49により温度補償されたトルクデータと、設定トルク記
憶装置55からのデータとを比較して、対象物に付与され
るトルクが設定目標トルク値に到達したときに電動モー
タ15を停止させる。
【0028】これにより一つの対象物についてのねじ締
め作業が完了し、そのときの締め付けトルク値は、締め
付けトルク記憶装置60に記憶されるとともにトルク表示
部32によって表示される。記憶装置60は多数の対象物に
ついての締め付けトルク値を記憶可能とされており、こ
の記憶されたデータは、適当な時期にケーブル36および
通信ライン38を介してデータ処理装置39へ伝送される。
そしてデータ処理装置39は、対象物の最終締付トルクな
どについて品質管理データ処理などを行う。
【0029】このように、トルクの設定とその設定トル
クに到達したときのねじ締め動作の停止とを、外部機器
に頼ることなしに、ツール11のケーシング12内に設置し
た手段のみによって自己完結的に達成できる。また、ト
ルク設定部31によって目標設定トルク値を直接設定する
ので、フレキシブルでかつ精度の良いトルク値でねじ締
めを行うことができる。しかも、最終的な締め付けトル
ク値を記憶してデータ処理できるようにしたため、ねじ
締めトルク品質管理を容易に行うことができる。さら
に、モータ15、パルス発生装置16、トルクセンサ21、ツ
ール出力軸19を、軸継手方式を工夫してビルドブロック
方式とすれば、そのメンテナンス時の交換が容易であ
る。また、複数本のねじ締めを行う場合は、メイン基板
27の記憶装置60を利用して、締め忘れ防止機能を付与す
ることもできる。
【0030】電動モータ15を回転駆動源として利用して
いるため、エアモータを用いたもののようなエア排気音
による騒音がなく、しかも比較的静粛な油圧式のパルス
力発生装置16を用いているため、きわめて騒音の少ない
パルスツールを得ることができる。また、油圧式のパル
ス力発生装置16によるトルク増幅機能にもとづき、小形
のパルスツールを得ることができる。なお、角度センサ
17を利用してモータ15の速度制御を行うこともできる。
またモータ15やパルス力発生装置16やトルクセンサ21の
発熱は、このモータ15の回転にもとづき発生する空気流
によって冷却することができる。
【0031】詳細には、図5に示すようなパルス状のト
ルクが対象物に付与される。この図5において、横軸は
時間、縦軸はトルク信号VT をそれぞれ表す。すなわ
ち、オンオフスイッチ34をオンすると、電動モータ15の
回転により対象物にパルス状のトルクが付与されるが、
このパルス状のトルクは、図示のようにピーク値が徐々
に増大するように付与される。なお、このパルスの周波
数は1kHz 以下であるので、パルストルクの波形を正確
に再現するためには、ローパスフィルタ46、47のカット
オフ周波数を3kHz 程度以上とする必要がある。また、
そのためには、励磁コイル42への励磁周波数を20kHz 程
度以上とする必要がある。そして第2のCPU53は、こ
れら各パルストルクのピークトルク値をそれぞれ測定す
る。
【0032】上述の設定目標トルク値をVTOとすると、
測定されたピークトルク値がこの目標トルク値VTOを超
えた値VTFとなったときに、上述のようにねじ締め作業
が完了したと判断して、モータ15が停止される。
【0033】またここでは、トルク測定のためのスター
トレベルVTSが設定される。そして、トルクピーク値が
スタートレベルVTSを超えた時点から、第2のCPU53
によりねじ締め時間の監視が行われる。ねじ締め作業が
完了してモータ15が停止されると、それ以上のパルスト
ルクは発生しないが、パルス確認時間t1以内に次のパル
ストルクがスタートレベルVTSに達しないことでそのこ
とが確認されたなら、ねじ締め時間t3が確定され、必要
な場合にはそれが記憶装置60に記憶される。ここで、パ
ルス確認時間t1には、通常のパルス周期の1.5 倍程度の
時間が選ばれる。ねじ締めの完了後に、第1のCPU50
によりトルクセンサ21の零点補正などが行われる。
【0034】締め付けトルク記憶装置60には、ねじ締め
作業が完了した時点のピークトルク値VTFが記憶され
る。そして、そのトルク値すなわち対象物への最終締付
トルク値が、モータ15を停止した後に再度スイッチ34が
オンされるまでの時間t2の間、トルク表示部32に表示さ
れる。すなわちトルク表示部32は、通常は上述の設定目
標トルク値を表示するが、ねじ締めが完了した後は最終
締付トルク値を表示する。なお、念のために、最終締付
トルク値や回転角度値が設定値に対して合格範囲内にあ
るか否かのみを表示する手段を設けることもできる。ま
た、電動モータ15の回転方向の切換えスイッチ35の出力
にもとづいてツール出力軸19の回転方向を表示する手段
を設けることもできる。
【0035】締め付けトルク記憶装置60には、多数のね
じ締め作業についてのねじ締め完了時のピークトルク値
TFがそれぞれ記憶される。この記憶されたデータを処
理するときには、ツール11をケーブル36および通信ライ
ン38によってデータ処理装置39に接続したうえで、その
データの伝送を行う。処理装置39は、対象物への最終締
付トルクについての品質管理データ処理などを行う。デ
ータの伝送後は、再び通信ライン38を取り外すことによ
って、ツール11を元通りの自己完結型のものとして使用
できる。また、一台の処理装置39によって複数のツール
についてのデータ処理を行うことができ、しかもこの処
理装置39には市販のコンピュータを利用できる。このた
め、各ツールごとに特殊なデータ処理装置を装備するよ
うな場合に比べ、システム全体を安価に構成できる。
【0036】ツール11には、自己診断機能が付与されて
いる。図6に示すように、AC/DCアダプタ37によっ
て電源が投入されると、まずオンオフスイッチ34の動作
状態が判定される。
【0037】このスイッチ34がオフ状態にあって電動モ
ータ15が駆動されず、したがってトルクの付与が行われ
ていないときには、第1のCPU50によってトルクセン
サ21の自己診断が行われる。すなわち、ローパスフィル
タ46、47の出力が一定の範囲内にあるかどうか、またト
ルクセンサの出力つまり零点が一定の範囲内にあるかど
うかが診断される。両者ともに一定の範囲内にあれば、
センサ21は正常であると判断され、その旨が表示部32に
表示される。いずれか一方でも一定範囲を超えると、セ
ンサ異常と判断して、具体的な異常の項目が表示され
る。
【0038】スイッチ34がオン状態にあって電動モータ
15が駆動されているときには、モータ回転数が設定範囲
に入っているかどうか、またねじ締めの時間が設定目標
時間T3を超えていないかどうかが診断される。そして、
モータ回転数が設定範囲を外れた場合はモータ異常とし
て、ねじ締め時間t3が設定目標時間T3を超えた場合はパ
ルス力発生装置16あるいは対象物の異常として、それぞ
れその旨が表示部32に表示される。異常がない場合は、
正常である旨が表示部32に表示される。このときのねじ
締め時間t3は、図5に示すように、トルクピーク値がス
タートレベルV TSを超えた時点からカウントされ、パル
スピークトルク値が目標トルク値VTOを超えた値VTF
なったことを確認するまでの時間として規定される。
【0039】自己診断結果にもとづき、トルク異常/正
常表示部33には、異常あるいは正常の区別のみが表示さ
れる。このような自己診断機能が付与されていること
で、機器の異常をただちに発見でき、また対象物に誤っ
たトルクを付与したり、記憶装置60に誤ったデータを記
憶したりすることが防止される。
【0040】ケーシング12内に角度センサ17を内蔵して
いることにより、第1および第2のCPUによって、付
与トルクと角度との両方にもとづくねじ締め制御を行う
ことができる。たとえば設定目標トルク値よりもある程
度小さなトルク値を設定して、この小さな設定値に到達
するまではトルクセンサ21の出力にもとづいて電動モー
タ15を制御し、この小さな設定値に到達した後は、角度
センサ17の出力にもとづいて電動モータ15すなわち対象
物の回転角度を制御することができる。このようにすれ
ば、より正確な一定トルクでねじ締めを行うことができ
る。
【0041】あるいは、設定目標トルク値よりも大きな
トルクでいったん過大なねじ締めを行い、その後に所定
角度だけ逆方向にねじ戻してこの過大なトルクを解除
し、そしてその後に再び正方向の設定目標トルク値での
ねじ締めを行うこともできる。このようにすると、たと
えばナットに引っ掛かりが生じた状態で設定目標トルク
が付与されて、このナットが完全に着座していないにも
かかわらずツール11がねじ締めを停止してしまうような
事態の発生が防止される。
【0042】また、角度センサ17のみを利用して、ねじ
の回転角度を検出しかつ制御することによっても、ねじ
締めを行うことができる。なお、ねじ締めの完了後に一
定の短時間だけツール出力軸19を逆回転させれば、ねじ
のかじりを防止することができる。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように本発明によると、パル
スツールを構成するケーシングに、ツールの出力軸に伝
達されるトルクを検知するトルク検知手段と、このトル
ク検知手段の出力にもとづいて電動モータを制御する制
御手段とを収容したため、目標トルクの設定や制御をケ
ーシングの内部で行うことができて、外置きの制御装置
を必要とせずに対象物に設定トルクを付与させることが
でき、このため自己完結型のトルク制御式パルスツール
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のトルク制御式パルスツール
の断面図である。
【図2】同パルスツールの一部切欠き斜視図である。
【図3】同パルスツールの背面図である。
【図4】同パルスツールのブロック図である。
【図5】同パルスツールによるねじ締めパルスの例を示
す図である。
【図6】同パルスツールの自己診断機能を説明するフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
12 ケーシング 15 電動モータ 16 パルス力発生装置 19 ツール出力軸 21 トルクセンサ 26 センサ基板 27 メイン基板 31 トルク設定部 34 オンオフスイッチ 38 通信ライン 39 データ処理装置 60 締め付けトルク記憶装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシングに、回転駆動源としての電動
    モータと、この電動モータによって駆動されるパルス力
    発生手段と、このパルス力発生手段により発生されてツ
    ール出力軸に伝達されるトルクを検知するトルク検知手
    段と、このトルク検知手段の出力にもとづいて前記電動
    モータを制御する制御手段とを収容したことを特徴とす
    るトルク制御式パルスツール。
  2. 【請求項2】 ツール出力軸に発生させる目標トルクを
    設定する手段がケーシングに設けられ、制御手段は、ト
    ルク検知手段からの出力にもとづくツール出力軸での発
    生トルクが前記設定目標トルクに達したときに電動モー
    タを停止させるように構成されていることを特徴とする
    請求項1記載のトルク制御式パルスツール。
  3. 【請求項3】 設定目標トルク値を表示する手段がケー
    シングに設けられていることを特徴とする請求項2記載
    のトルク制御式パルスツール。
  4. 【請求項4】 ツール出力軸からトルク付与対象物に付
    与された最終トルク値を表示する手段がケーシングに設
    けられていることを特徴とする請求項1から3までのい
    ずれか1項記載のトルク制御式パルスツール。
  5. 【請求項5】 同一の表示手段が目標設定トルク値と最
    終付与トルク値とを選択的に表示可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項4記載のトルク制御式パルスツ
    ール。
  6. 【請求項6】 ツール出力軸からトルク付与対象物に付
    与された最終トルク値を記憶する手段がケーシングに収
    容されていることを特徴とする請求項1から5までのい
    ずれか1項記載のトルク制御式パルスツール。
  7. 【請求項7】 記憶手段は複数のトルク付与対象物に付
    与された最終トルク値を記憶可能に構成され、かつこの
    記憶した最終トルク値のデータを外部のデータ処理装置
    へ伝送させる手段がケーシングに設けられていることを
    特徴とする請求項1から6までのいずれか1項記載のト
    ルク制御式パルスツール。
  8. 【請求項8】 ツールにおける異常の有無を自己診断す
    る手段と、この診断手段が異常有りと診断したときにそ
    の異常内容を表示する手段とがケーシングに設けられて
    いることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1
    項記載のトルク制御式パルスツール。
  9. 【請求項9】 トルク検知手段が非接触磁歪式トルクセ
    ンサまたは歪ゲージを用いたロータリトランス方式の非
    接触トルクセンサであり、電動モータおよびパルス力発
    生手段が、この電動モータによる検知手段への磁気の影
    響をさけるための非磁性材料からなる部品にて構成され
    ていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか
    1項記載のトルク制御式パルスツール。
  10. 【請求項10】 電動モータの回転角度を検出する手段
    を有し、制御手段は、設定目標トルク値よりも小さな所
    定トルク値に達するまではトルク検知手段の出力にもと
    づいて電動モータを制御するように構成されるととも
    に、この所定トルク値に達した後には角度検出手段の出
    力にもとづいて電動モータの回転角度を制御するように
    構成されていることを特徴とする請求項1から9までの
    いずれか1項記載のトルク制御式パルスツール。
  11. 【請求項11】 電動モータの回転角度を検出する手段
    を有し、制御手段は、設定目標トルク値よりも大きな一
    定のトルクをトルク付与対象物に付与した後にこの対象
    物を所定角度だけ逆方向に回転させ、そして再び対象物
    に正方向の設定目標トルク値のトルクを付与するように
    制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1か
    ら9までのいずれか1項記載のトルク制御式パルスツー
    ル。
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