JP2011506107A - 動力工具及び動力工具の使用方法 - Google Patents

Abstract

本発明は回転子（８）及び固定子（１０）を包含する電気モーター（６）、回転可能な固定要素緊締中トルク値を計測するトルク検知装置（１６）、動力工具と一体化或いは通信する動作制御装置（１８）を備える動力工具（２、３０，３２）に関わるものである。 動力工具（２、３０，３２）は、回転子（８）の回転を阻止する手段（２６、２８）を備えている。また本発明は動力工具の使用によって回転可能な固定要素を緊締する方法にも関わる。
【選択図】図１

Description

本発明は、動力工具及び動力工具の使用によって回転可能な固定要素を緊締するための方法に関わるものである。

制御された動力工具システムにおいて、動力工具を使用して回転固定要素を緊締する場合、予め選択された作業に合わせた目標トルク値を動力工具の動作制御装置に送る必要がある。これは通常、制御装置に接続状態にあるキーボードを用いて直接目標トルク値を数値で入力することにより達成される。通常のやり方としては、この他にフリップ設定装置がある。このフリップ設定装置は、動作制御装置に接続状態でボタンを押す或いはノブを回すことによって予め目標トルク値を決めておく。続いて、動力工具を予め選択された固定要素と係合状態に置いて、固定要素を緊締するために開始ボタンを押して電動モーターの動作を作動させる。通常の動力工具システムは、目標トルク値に近づくとモーターのスイッチを自動で切断して、目標トルク値まで固定要素の最終緊締を電動モーターのゆっくりとした動作によって実行させるような監視手段を設けている。最先端技術によれば、点検或いは手動による緊締に用いられるトルクレンチは従来公知である。

目標トルク値を予め決めておく公知の方法及び一連の装置は、回転固定要素を目標トルク値まで緊締するのと同様に時間を浪費する上に、比較的動きが遅く、しかも新しい作業を実行するために目標トルク値を変える度に、キーボード或いはフリップ設定装置でトルク値を再設定しなければならないことが認められる。従って、従来技術の問題点は、緊締動作にあって、ひとつひとつの作業動作が緊締されるべき固定要素のそれぞれに別途現在のトルク値を予め決めておくことにより事前に予定されなければならないということである。従って、目標トルク値が異なる複数の固定要素を緊締する場合、無作為に選択された予定されていない方法で作業することは許されない、しかしこのような固定要素は現場の作業員の眼前に存在するのである。

本発明の目的は、最先端の技術による一連の装置に関連するこれらの欠点を少なくとも部分的に取り除いて動力工具及び緊締手順を提供することにある。本発明のさらなる目的は、回転固定要素を緊締する電動モーター及び方法を有して、従来の公知技術よりも迅速で、複雑でなく、より可撓性のある動力工具を達成することにある。さらにもう一つの目的は、異なるトルク値で複数の固定要素を緊締する作業動作において、事前に詳細に予定される必要がない動力工具及び方法を提供することにある。

これらの目的は、請求項１に規定された本発明による動力工具で達成される。この動力工具は、回転子及び固定子を備える電子モーター、回転固定要素の緊締中トルク値を測定するトルク伝達部材、さらに動力工具と一体化された或いは動力工具と通信状態にある動作制御装置から構成されている。動力工具は、回転子の回転を阻止する手段を備えていることを特徴としている。

本発明によるこのような解決策による利点は、本発明による動力工具が、固定要素が緊締されると同時に目標トルク値までの作業動作中複雑でない監視及び制御を提供するので、回転固定要素を緊締する作業動作をより迅速に実行できるということである。もう一つの利点は、固定要素の最終緊締を動力工具によって手動で実行できるということである。さらにもう一つの利点は、回転子の回転を阻止する緊締動作及び予め決められた手動緊締中目標値を表示する前、目標トルク値を設定するために動力工具それ自体を使用することによって予め容易にトルク値を決めておくことができるので、好ましくは、トルク値を予め決めておくためのキーボード或いはフリップ設定装置を使用する必要はないということである。

本発明はまた、上述のように、本発明による動力工具の使用による回転固定要素の緊締方法に関わるものであり、以下のステップを特徴とする；少なくとも１つの回転可能な固定要素の緊締のために動作制御装置による目標トルク値を予め決めておくステップ；電気モーターの動作による動力工具の第一の動作によって固定要素を緊締するステップ；目標トルク値に到達する前に固定要素を緊締する第一の動作を停止するステップ；回転子の回転を阻止する手段の起動によって回転子の回転を抑えるステップ；さらに、電気モーターの非回転中動力工具の第二の動作によって 目標トルク値まで手動で固定要素を緊締するステップ。

従って、本発明による動力工具は、好ましくは、ディスプレイで瞬間トルク値の観測中、動力工具の補助を受けて手動で緊締することにより目標トルク値を予め設定するような方法で使用される。次に、目標トルク値に近づくまで通常動作すなわち電気モーターの補助による回転子の回転によって引き続き１つ或いは幾つかの固定要素の緊締を実行する。好ましくは、モーターは、目標トルク値に近づくと緊締の電源を切断するよう制御装置を介して設定される。最後に、回転子の回転を阻止する手段が係合され、前記ディスプレイで瞬間トルク値の観測中目標トルク値に到達するまで最終緊締は手動で実行される。

本発明によるさらに望ましい利点、特徴及び好ましい実施形態は、添付の特許請求の範囲及び以下実施形態の説明で明らかになる。

本発明は、本発明の解釈を制限しない添付図面を参照して詳細に実施形態を説明する。

本発明の第一の実施形態による動力工具システム及び工具内部の主要部品を示す概略図。 本発明の第二の実施形態による動力工具及び工具内部の主要部品を示す概略側面図。 本発明の第三の実施形態による動力工具及び工具内部の主要部品を示す概略側面図。

図１を参照し、動力工具及び動力工具システムの実施形態を以下に示し説明する。この実施形態における動力工具は、携帯型電動式角度付ナットランナーである。

図２及び図３を参照し、携帯式電動ナットランナーの別の実施形態を以下に示し説明する。本発明による動力工具は、電動式動力工具であることが好ましいが、電動式或いは空気圧式であってもよい。また動力工具は携帯可能であり電池式の工具であってもよい。動力工具は、ナットランナー、ネジ回し、動力レンチ、或いは類似のものであることができる。動力工具は、ナット、ボルト、ネジ、或いは類似のネジ山を切られた回転可能な固定要素の緊締に使用される。

しかし好ましい実施形態での本発明による動力工具は、電動ナットランナーであり、以下に図１、図２及び図３を参照してそれぞれ説明する。

図１から明らかなように、駆動軸４を有する携帯型角度付き電動ナットランナー２が示されている。このナットランナー２は、回転子８及び固定子１０を包含する電気モーター６を備えており、この回転子８は、固定要素（非表示）を緊締するためにナットランナー２の一方の端部で１つの部片工具１２を回転させる駆動軸４に配置されている。好ましくは、電気モーター６は、永久磁石同期モーターなどの永久磁石モーターである。駆動軸４に接続されているのは、変速機１４及び固定要素緊締中トルク値を計測するトルク検知器１６である。図１で示された実施形態によるナットランナー２の動力工具システムは、ケーブル２０を介してナットランナー２と通信する据置型の動作制御装置１８を備えている。ディスプレイ２４、２４’は、制御装置１８のケーシングに及び／又は動力工具に適切に配置できる。制御装置１８は、さらに電源補給点２２を介して電圧器に接続される。

図２に示されまた以下に説明される本発明の第二の実施形態によれば、ナットランナー３０は、概ね図１で示されたのと同様にナットランナー２の実施形態と共通する構成要素及び特徴を有している。従って、共通の構成要素及び特徴に使用された同一の符号番号は以下の説明では省略する。上述の図１によるナットランナー２とは対称的に、図２及び３における第二第三の実施形態によれば、ナットランナー３０及び３２は、動力工具内に一体型の動作制御装置１８を有している。

以下に、図１、図２及び図３による実施形態を参照する。

制御装置１８は、例えばモーター駆動セクション、データ処理セクション、検知手段及び内蔵型記憶装置を備えてもよい。トルク値などの動作データを示すディスプレイは、動作制御装置と一体型であることもできるし、別個に設けることもできる。しかしディスプレイ２４は、好ましくは、図１、２及び３から明らかなように動力工具と一体型である。

図３に示され以下に説明される本発明の第二の実施形態によれば、ナットランナー３２は、概ね図１及び図２で示されたのと同様にナットランナー２及び３０の実施形態と共通する構成要素及び特徴を有している。従って、共通の構成要素及び特徴に使用された同一の符号番号は以下の説明では省略する。本発明の第三の望ましい実施形態では、動力工具は携帯型電池式動力工具であり、電池４４、動作制御装置１８、及びディスプレイ２４などすべての部品が動力工具と一体型である。

本発明による動力工具によれば、回転子８の回転を阻止する手段を備えている。この回転子の回転を阻止する手段は、電気的に制御される構成であってもよい。また、回転子の回転を解放する手段も当然ながら設けている。

電気的に制御された構成は、回転子８の回転を阻止する固定子１０に形成される磁場を増加させる通電手段を包含している。これによって、回転子８の回転を停止するのに充分な強度の固定磁場が、固定子のポール２６、２８の間で形成されるような方法で実行される（図２参照）。増加電流がより強度な磁場をもたらし回転子の抑制を増大させる。従って、モーター６に電流を流すことによって、しかも電気モーターの非回転中にナットランナー２、３０、３２を使用して目標トルク値に到達するまで手動で固定要素の緊締を実行することができる。

本発明によれば、通常開始ボタン３４は、電気モーターによる回転子の回転の始動のためにナットランナー２、３０、３２上に配置できる。動力工具は、開始ボタン３４と接続状態で或いは開始ボタン３４を介して、電気的な構成２６、２８によって電気的に回転の阻止或いは回転子８の解放を制御するスイッチ手段３６を備えてもよい。図２に示された制御装置１８からの破線は、開始ボタン３４を介して制御装置と往復する電気的な接続３８を表している。

さらに、電気的に制御される構成２６、２８は、開始ボタン３４及び／又はスイッチ手段３６を押すことで起動するラチェット効果を提供している。ラチェット効果モードで、時計回り或いは反時計回りの何れの方向でも回転子の回転は阻止される。制御装置１８は、選ばれたラチェット方向を記録し前記回転子の回転を阻止するために制御構成２６、２８に指示を送信する。無段階ラチェット角度を得ながら、伝統的で機械的なラチェット機構に代わり電気的な手段で回転子の回転を阻止するので、システムはさらに静音で且つ機械的な摩耗を最小限に抑えている。起動ボタン３４、３６は、種々の構成要素でラチェット効果を起動するようプログラミングされてもよい。一実施形態では、ダブルクリックによる起動で時計回りの選択肢を起動できる一方で、ボタン３４、３６の同時起動で時計回りのラチェット効果を起動させる。

本発明の好ましい実施形態によれば、動作制御装置１８は、目標トルク値を予め決めておく手段を備えてもよい。この点に関して、この手段は、動力工具の動作中瞬間トルク値を連続して監視し、制御し、そしてディスプレイ２４で表示するよう構成することができる。さらに目標トルク値を予め決めておく手段は、回転子８の回転を抑制するために回転子８の回転を阻止する手段２６、２８と、電動モーター６の非回転中目標トルク値まで回転可能な固定要素を手動緊締する間瞬間トルク値をディスプレイ２４で表示する手段と、動作制御装置１８にトルク値を記録する手段との接続を包含している。

本発明のさらなる実施形態によれば、回転子の回転を阻止する手段２６、２８は、目標トルク値に到達するとトルクの蓄積を抑えるために回転子８を解放するよう構成することができる。

さらに、本発明の実施形態によれば、目標トルク値に到達する際に音響、振動或いは視覚信号を提供する手段を備えてもよい。そのような音響手段は、動力工具２、３０、３２に配置されたスピーカー４０を包含している。ランプ４２は、光信号を発する視覚手段として動力工具に配置できる。振動手段は、目標トルク値に到達する際に振動効果をもたらす振動発生手段（非表示）によって起動できる。

動作中、本発明の方法によれば、特許請求の範囲の請求項１或いは上述の実施形態の何れかに規定されている通り本発明による動力工具２、３０、３２の使用による回転可能な固定要素の緊締には、以下のステップが実行される：少なくとも１つの回転可能な固定要素を緊締するために動作制御装置１８によって予め目標トルク値を決めておくステップ；動力工具２、３０、３２の第一の動作で電気モーター６の動作によって固定要素を緊締するステップ：目標トルク値に到達する前に固定要素を緊締する第一の動作を停止するステップ；回転子８の回転を阻止する手段２６、２８の起動によって回転子８の回転を抑制するステップ；さらに、動力工具２、３０、３２の第二の動作で電気モーター６の非回転中目標トルク値まで固定要素を手動で緊締するステップ。

さらに、この方法の好ましい実施形態によれば、予め目標トルク値を決めておくには、回転子８の回転を阻止する手段２６、２８の起動によって回転子８の回転を抑制し；瞬間トルク値をディスプレイ２４に表示することで電気モーター６の非回転中回転可能な固定要素を手動で緊締することによって目標トルク値を設定し；さらに、動作制御装置１８にトルク値を記録する；ことによって実行される。さらに、固定要素を緊締するには、目標トルク値に近づくと自動的にモーター６を緩和し；回転子８の回転を阻止する手段２６、２８を自動的に起動させることによって回転子８の回転を抑制し；さらに、固定要素の手動緊締が直ちに作業者によって動力工具２、３０、３２を開始できるよう自動的に動力工具２、３０、３２の前記第一の動作を停止する；ことによって実行できる。

２ ナットランナー
４ 駆動軸
６ 電気モーター
８ 回転子
１０ 固定子
１２ 工具端部
１４ 変速機
１６ トルク検知装置
１８ 動作制御装置
２０ ケーブル
２２ 補給点
２４ ディスプレイ
２４’ディスプレイ
２６ ポール
２８ ポール
３０ ナットランナー
３２ ナットランナー
３４ 開始ボタン
３６ スイッチ
３８ 接続部
４０ スピーカー
４２ ランプ
４４ 電池

Claims (14)

1. 回転子（８）及び固定子（１０）を備える電気モーター（６）と、回転可能な固定要素の緊締中トルク値を計測するトルク検知装置（１６）と、動作制御装置（１８）と、電気的に制御される装置（２６、２８）を備えて回転子（８）の回転を阻止する手段（２６、２８）とで構成される動力工具（２、３０、３２）において、
   電気的に制御される装置（２６、２８）が、開始ボタン（３４）を押すことによって或いは開始ボタン（３４）と接続状態のスイッチ手段（３６）を介して起動されるラチェット効果よって、何れの回転方向においても回転子（８）の回転を阻止することを特徴とする動力工具。
2. 電気的に制御される装置（２６、２８）が、回転子（８）の回転を阻止する固定子（１０）に形成される磁場を増加させる通電手段を備えることを特徴とする請求項１に記載の動力工具。
3. 動力工具が電池作動型であること、さらに電池（４４）が動力工具と一体化されていることを特徴とする請求項１または２に記載の動力工具。
4. ディスプレイ（２４’）が、動力工具（２、３０、３２）に接続されていることを特徴とする請求項１から３の何れか一項に記載の動力工具。
5. ディスプレイ（２４）が、動力工具（２、３０、３２）に配置されていることを特徴とする請求項４に記載の動力工具。
6. 動作制御装置（１８）が、動力工具（２、３０、３２）と一体化されていることを特徴とする請求項１から５の何れか一項に記載の動力工具。
7. 動力制御装置（１８）が、予め目標トルク値を決めておく手段を備えることを特徴とする請求項１から６の何れか一項に記載の動力工具。
8. 瞬間トルク値が、動力工具（２、３０、３２）の動作中連続して監視、制御、及びディスプレイ（２４）表示されるよう構成されていることを特徴とする請求項７に記載の動力工具。
9. 予め目標トルク値を決めておく手段が、回転子（８）の回転を抑制するために回転子（８）の回転を阻止する手段と、電子モーター（６）の非回転中目標トルク値まで回転可能な固定要素を手動緊締中に瞬間トルク値をディスプレイ（２４）表示する手段と、動作制御装置（１８）にトルク値を記録する手段との接続を包含することを特徴とする請求項８に記載の動力工具。
10. 回転子（８）の回転を阻止する手段（２６、２８）が、目標トルク値に到達するとトルクの蓄積を抑えるために回転子（８）を解放するよう構成されていることを特徴とする請求項１から９の何れか一項に記載の動力工具。
11. 目標トルク値に到達する際に音響（４０）、振動或いは視覚（４２）信号を提供する手段を備えることを特徴とする請求項１から１０の何れか一項に記載の動力工具。
12. 請求項１から１１の何れかに記載の動力工具（２、３０、３２）の使用によって回転可能な固定装置を緊締する方法において、
    − 少なくとも１つの回転可能な固定要素を緊締するために動作制御装置（１８）によって予め目標トルク値を決めておくステップ、
    − 動力工具（２、３０、３２）の第一の動作で電気モーター（６）の動作によって固定要素を緊締するステップ、
    − 目標トルク値に到達する前に固定要素を緊締する第一の動作を停止するステップ、
    − 回転子（８）の回転を阻止する手段（２６、２８）の起動によって回転子（８）の回転を抑制するステップ、
    − さらに、 動力工具（２、３０、３２）の第二の動作で電気モーター（６）の非回転中目標トルク値まで固定要素を手動で緊締するステップ、
    を含むことを特徴とする方法。
13. 予め目標トルク値を決めておくのに、
    − 回転子（８）の回転を阻止する手段（２６、２８）の起動によって回転子（８）の回転を抑制し、
    − 瞬間トルク値をディスプレイ表示し電気モーター（６）の非回転中回転可能な固定要素を手動で緊締することによって目標トルク値を設定し、
    − さらに、動作制御装置（１８）にトルク値を記録する、
    ことを実行することを特徴とする請求項１２に記載の方法。
14. 固定要素を緊締するのに、
    − 目標トルク値に近づくと自動的にモーター（６）を緩和し、
    − 回転子（８）の回転を阻止する手段（２６、２８）を自動的に起動させることによって回転子（８）の回転を抑制し、
    − さらに、自動的に動力工具（２、３０、３２）の第一の動作を停止する、
    ことを実行することを特徴とする請求項１２または１３に記載の方法。

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