JPH08257604A - 着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法 - Google Patents

着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法

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JPH08257604A
JPH08257604A JP8739195A JP8739195A JPH08257604A JP H08257604 A JPH08257604 A JP H08257604A JP 8739195 A JP8739195 A JP 8739195A JP 8739195 A JP8739195 A JP 8739195A JP H08257604 A JPH08257604 A JP H08257604A
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JP
Japan
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coloring
stainless steel
rolling
glossiness
steel sheet
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JP8739195A
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Yoshihiro Uematsu
美博 植松
Takeshi Utsunomiya
武志 宇都宮
Kazu Shiroyama
和 白山
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解処理や鏡面研磨の必要なく、着色ムラの
ない均質な着色皮膜が形成される着色用光輝焼鈍ステン
レス鋼板を得る。 【構成】 この着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板は、鏡面
光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキ
が50以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢度
S (20°)の変化が20以下に規制されている。こ
の光沢度をもつステンレス鋼板は、アルコール類を含む
水溶液である圧延潤滑剤を使用して調質圧延することに
より製造される。 【効果】 調質圧延で表面光沢度が制御されるため、工
程数を少なくして高品質の着色用ステンレス鋼板が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、着色ムラの発生がない
着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光輝焼鈍ステンレス鋼は、一般に水素−
窒素混合ガス等の還元性雰囲気中で焼鈍され、光沢に優
れた美麗な外観を持っている。そのため、化学発色法に
よる着色処理を施し、装飾性を高めた内装材,外装材等
として広く使用されている。化学発色法によるステンレ
ス鋼の着色では、クロム酸−硫酸混合液への浸漬等の方
法によって、ステンレス鋼表面に厚みが数百〜数千Åの
酸化皮膜を形成させている。酸化皮膜は、光の干渉作用
によって特定の波長を反射させる着色皮膜として働く。
着色後の材料の色調は、皮膜の厚みや組成,着色前の表
面における皮膜厚さ,光沢度等の性状によって決定され
る。着色皮膜の厚み,組成,成長速度等は、着色前のス
テンレス鋼表面にある皮膜の組成や膜厚等に依存する。
そのため、着色前の表面皮膜が不均一であると、その表
面状態を反映して着色皮膜も不均一になり、着色ムラが
発生する。したがって、着色後に均一な色調を得るため
には、着色前において皮膜,粗さ,光沢度等の表面性状
が均一であることが要求される。着色前の表面性状を均
一にするため、従来では電解処理や鏡面研磨等が必要で
あった。たとえば、特開昭59−28574号公報で
は、着色前にステンレス鋼を陽極として硝酸水溶液中で
電解処理することにより、表面性状を均一化させてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電解処理,鏡面研磨等
によるとき、ステンレス鋼が均一な表面性状に調整され
る。しかし、そのために余分な工程が増え、生産性を低
下させると共に、製品コストを上昇させる原因となる。
電解処理では、鋼板表面全体にわたり均一な電流密度で
電解することは難しく、結果として新たに着色ムラを発
生させる原因になる場合がある。また、連続ラインで電
解処理を行う際には、鋼板表面にロール等から異物が付
着し、表面疵を発生させるため、歩留りが低下する。更
には、使用された廃液,廃水等の処理も必要になり、設
備的な負担も増大する。鏡面処理は、円状のバフを鋼板
表面に接触させて回転させる方法によって通常行われて
いる。しかし、研磨ムラが生じると、これが着色ムラの
原因となる。本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、調質圧延でステンレス鋼表面の光
沢度のバラツキを制御することにより、電解処理や鏡面
研磨等の前処理を行わなくても、着色ムラのない着色用
光輝焼鈍ステンレス鋼板を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の着色用光輝焼鈍
ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、鏡面光沢
度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキが5
0以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢度GS
(20°)の変化が20以下であることを特徴とする。
この表面状態は、光輝焼鈍ステンレス鋼板を調質圧延す
る際、圧延潤滑剤を使用することにより得られる。
【0005】
【作用】本発明者等は、着色ムラを発生させる素材要因
を種々調査した結果、着色後の色調変化が光沢度の変化
に対応していることを見い出した。すなわち、着色前表
面の光沢度が不均一であると、着色後も光沢度の不均一
性が残存し、着色ムラが発生することを解明した。そし
て、安息香酸及びアルコール類を含む水溶液からなる圧
延潤滑剤を使用した調質圧延によって、光沢度のバラツ
キが小さくなることを見い出した。着色ムラには、種々
のタイプがあるが、圧延方向に平行に発生する帯状タイ
プのムラが最も顕著である。この着色ムラは、周辺部分
に比較して白みが強くなり、明瞭に視認される。本発明
者等は、着色ムラが発生した材料について着色前及び着
色後の表面性状を系統的に調査し、着色後における色調
のバラツキと対応する着色前の表面の因子を調査した。
その結果、着色ムラが発生したものでは、着色前の光沢
度が非常にばらついており、これが着色ムラを発生させ
る原因であること見い出した。
【0006】すなわち、着色前に光沢度のバラツキがあ
ると、そのバラツキが着色後も残存し、着色後に色調の
バラツキになるものと推察される。これに対し、後述す
る実施例に示されているように、鏡面光沢度GS (20
°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以下で、1
0cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変化が2
0以下に着色前の光沢度を調整するとき、着色後にムラ
が発生せず、均質な色調が得られる。このように規制さ
れた着色前の光沢度は、たとえば安息香酸及びアルコー
ル類を含む水溶液からなる圧延潤滑剤を使用する調質圧
延で得られる。光輝焼鈍ステンレス鋼は、光輝焼鈍後に
光沢の上昇及び形状修正するため調質圧延が施されてい
る。調質圧延には圧延潤滑剤の使用有無に応じてドライ
圧延及びウエット圧延があるが、高い光沢が要求される
光輝焼鈍ステンレス鋼板では、ドライ圧延が通常採用さ
れている。ドライ圧延では、ロールと材料が直接接触す
ることにより、光沢度が上昇する。他方、ウエット圧延
は、光沢度を低下させることから、着色用ステンレス鋼
板の製造には敬遠されていた。
【0007】しかし、本発明者等の調査・研究によると
き、ドライ圧延された材料には着色ムラが発生する傾向
が大きいことが判った。そこで、ウエット圧延で調質圧
延を施したところ、光沢度の低下がみられるものの、光
沢度のバラツキが小さくなることを知見した。これによ
り、鏡面光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大
バラツキが50以下で、10cm長さ当りの鏡面光沢度
S (20°)の変化が20以下に、着色前の光沢度を
調整することが可能になった。光沢度のバラツキは、鋼
板の表面粗さや皮膜の厚さ,組成のバラツキ等に起因す
る。ウエット圧延では、圧延潤滑剤が材料とロールの間
に噛み込まれ、材料表面に微細なピットが生じ、表面肌
が荒れる。その際、材料とロールの間に均一な液膜が形
成されるため、ピットが均一に形成される。また、圧延
時に潤滑剤と皮膜が反応し、圧延前とは異なった皮膜が
形成されることが考えられる。ウエット圧延では、この
ように圧延前に存在していた粗さや皮膜のバラツキを打
ち消す作用が発揮され、結果としてドライ圧延に比較し
て光沢度のバラツキを小さくする効果が大きくなるもの
と推察される。このようにして、着色前の光沢度が調整
された光輝焼鈍ステンレス鋼は、化学発色処理により、
着色ムラの発生が抑制され、均質な色調の着色皮膜をも
った材料となる。
【0008】
【実施例】
実施例1:(光沢度のバラツキが着色ムラの発生に及ぼ
す影響の調査) ステンレス鋼SUS304の光輝焼鈍材を、クロム酸7
0g/l及び硫酸700g/lを含む温度105℃の混
合溶液中で黒色に着色した。そして、着色ムラが発生し
た着色材について、着色後の色調及び着色前後の鏡面光
沢度の板幅方向に関するバラツキを測定した。測定結果
を図1示す。なお、着色後の色調を示す指標としては、
クロマチネックス指数a* ,b* のバラツキが非常に小
さかったことから、明度指数L* を採用した。板幅方向
に関する着色前の光沢度の変化は、図1にみられるよう
に、着色後の明度及び光沢度の変化と強い相関関係をも
っていた。すなわち、着色前に光沢度が高い部分は、着
色後も光沢度が高く、白みが強くなっていた。また、着
色後の色調差が視認される箇所は、着色後の明度が板幅
方向10cm当りで1.5以上と大きく変化している部
分であった。この部分の着色前の光沢度は、板幅方向1
0cm当りで20以上と大きく変化していた。このよう
に、着色ムラの原因が着色前の光沢度のバラツキにある
ことが判る。
【0009】同様な着色処理条件で着色ムラが発生しな
かった着色材について、着色後の色調及び着色前後の鏡
面光沢度の板幅方向に関する変動を図2に示す。この着
色材でも、図2にみられるように、着色後の色調及び着
色前後の鏡面光沢度の間に強い相関関係があった。しか
し、着色前の光沢度,着色後の明度及び着色後の光沢度
は、何れも板幅方向に関する変化が小さいものであっ
た。着色後の明度変化についてみると、最も大きな明度
変化でも板幅方向10cm当り1.5以下であった。ま
た、この部分の着色前における鏡面光沢度の板幅方向に
関する変化は15以下であった。更に、着色ムラが視認
されない着色前の光沢度の板幅方向に関する変化の限界
を調査したところ、板幅方向10cm当りで鏡面光沢度
S (20°)の変化が20以下であれば良いことが判
明した。また、板幅方向10cm当りの鏡面光沢度GS
(20°)の変化が20以下であっても、鏡面光沢度が
板幅全体にわたり50以上にばらついているものでは、
局所的な帯状ムラがないものの、材料内での色調に均一
性がなく、帯状ムラとは異なった着色ムラが発生した。
以上の実験結果から、着色ムラのない均一な色調をもつ
着色皮膜を形成させるためには、鏡面光沢度GS (20
°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以下で、1
0cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変化が2
0以下に着色前の光沢度を調整することが必要であるこ
とが確認された。
【0010】実施例2:(調質圧延が着色ムラの発生に
及ぼす影響の調査) 板厚4.5mmのステンレス鋼板SUS304を研磨し
た後、リバース式のゼンジミア圧延機で冷間圧延した。
冷延板に、水素75%−窒素25%の雰囲気中で110
0℃に加熱する光輝焼鈍を施した。次いで、ドライ及び
ウエットの2種類の圧延法で、圧延率0.5%の調質圧
延を行った。ウエット圧延では、パラニトロ安息香酸,
アミノアルコール,アミン酢酸塩,環状窒素化合物,エ
チレングリコールエーテルを含有する水溶性の潤滑剤を
使用した。それぞれの条件で製造された調質圧延材の光
沢度を、JIS Z8741に準拠して測定した。各調
質圧延材をクロム酸70g/l及び硫酸700g/lの
混合溶液に浸漬し、温度105℃及び着色電位5.5m
Vで黒色に着色した。着色後の色調を、ミノルタ株式会
社製CR−200を使用しJIS Z8722に準拠し
て測定した。材料内での明度指数L* の最大バラツキが
4.0以上の場合、或いは板幅方向10cm当りの明度
指数L* のバラツキが1.5以上の場合、肉眼による観
察でも着色ムラが認識されるため、この値を着色ムラ発
生有無の基準値とした。着色前の光沢度と着色後の色調
のバラツキ及び着色ムラの発生有無との関係に及ぼす調
質圧延の影響を表1に示す。表1に示されているよう
に、圧延潤滑剤をして使用して調質圧延されたもので
は、光沢度のバラツキが小さく、着色ムラも発生しなか
った。これに対し、圧延潤滑剤を使用しないドライ圧延
では、着色後の明度指数L* が大きくばらついており、
着色ムラが発生していた。
【0011】
【表1】
【0012】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の着色用
光輝焼鈍ステンレス鋼板は、着色前の光沢度が規制され
ていることにより、化学発色によって着色ムラのない均
質な色調をもった着色皮膜を形成する。そのため、着色
ムラ防止のために従来行われていた電解処理や鏡面研磨
等の前処理を省略することができ、低い製造コストで良
質の着色ステンレス鋼板を提供することが可能になっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 着色ムラが発生した材料について、着色前後
の光沢度及び着色後の色調の板幅方向に関する変化を対
比させたグラフ
【図2】 着色ムラが発生しない材料について、着色前
後の光沢度及び着色後の色調の板幅方向に関する変化を
対比させたグラフ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JIS Z8741に規定されている鏡
    面光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツ
    キが50以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢
    度GS (20°)の変化が20以下であることを特徴と
    する着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】 光輝焼鈍ステンレス鋼板を調質圧延する
    際、JIS Z8741に規定されている鏡面光沢度G
    S (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以
    下、10cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変
    化が20以下になるように圧延潤滑剤を使用して調質圧
    延することを特徴とする着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板
    の製造方法。
JP8739195A 1995-03-20 1995-03-20 着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法 Pending JPH08257604A (ja)

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A02 Decision of refusal

Effective date: 20040120

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