JPH08257604A - 着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法 - Google Patents
着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法Info
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- JPH08257604A JPH08257604A JP8739195A JP8739195A JPH08257604A JP H08257604 A JPH08257604 A JP H08257604A JP 8739195 A JP8739195 A JP 8739195A JP 8739195 A JP8739195 A JP 8739195A JP H08257604 A JPH08257604 A JP H08257604A
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- Japan
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- stainless steel
- rolling
- glossiness
- steel sheet
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 電解処理や鏡面研磨の必要なく、着色ムラの
ない均質な着色皮膜が形成される着色用光輝焼鈍ステン
レス鋼板を得る。 【構成】 この着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板は、鏡面
光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキ
が50以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢度
GS (20°)の変化が20以下に規制されている。こ
の光沢度をもつステンレス鋼板は、アルコール類を含む
水溶液である圧延潤滑剤を使用して調質圧延することに
より製造される。 【効果】 調質圧延で表面光沢度が制御されるため、工
程数を少なくして高品質の着色用ステンレス鋼板が得ら
れる。
ない均質な着色皮膜が形成される着色用光輝焼鈍ステン
レス鋼板を得る。 【構成】 この着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板は、鏡面
光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキ
が50以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢度
GS (20°)の変化が20以下に規制されている。こ
の光沢度をもつステンレス鋼板は、アルコール類を含む
水溶液である圧延潤滑剤を使用して調質圧延することに
より製造される。 【効果】 調質圧延で表面光沢度が制御されるため、工
程数を少なくして高品質の着色用ステンレス鋼板が得ら
れる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、着色ムラの発生がない
着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及びその製造方法に関す
る。
着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光輝焼鈍ステンレス鋼は、一般に水素−
窒素混合ガス等の還元性雰囲気中で焼鈍され、光沢に優
れた美麗な外観を持っている。そのため、化学発色法に
よる着色処理を施し、装飾性を高めた内装材,外装材等
として広く使用されている。化学発色法によるステンレ
ス鋼の着色では、クロム酸−硫酸混合液への浸漬等の方
法によって、ステンレス鋼表面に厚みが数百〜数千Åの
酸化皮膜を形成させている。酸化皮膜は、光の干渉作用
によって特定の波長を反射させる着色皮膜として働く。
着色後の材料の色調は、皮膜の厚みや組成,着色前の表
面における皮膜厚さ,光沢度等の性状によって決定され
る。着色皮膜の厚み,組成,成長速度等は、着色前のス
テンレス鋼表面にある皮膜の組成や膜厚等に依存する。
そのため、着色前の表面皮膜が不均一であると、その表
面状態を反映して着色皮膜も不均一になり、着色ムラが
発生する。したがって、着色後に均一な色調を得るため
には、着色前において皮膜,粗さ,光沢度等の表面性状
が均一であることが要求される。着色前の表面性状を均
一にするため、従来では電解処理や鏡面研磨等が必要で
あった。たとえば、特開昭59−28574号公報で
は、着色前にステンレス鋼を陽極として硝酸水溶液中で
電解処理することにより、表面性状を均一化させてい
る。
窒素混合ガス等の還元性雰囲気中で焼鈍され、光沢に優
れた美麗な外観を持っている。そのため、化学発色法に
よる着色処理を施し、装飾性を高めた内装材,外装材等
として広く使用されている。化学発色法によるステンレ
ス鋼の着色では、クロム酸−硫酸混合液への浸漬等の方
法によって、ステンレス鋼表面に厚みが数百〜数千Åの
酸化皮膜を形成させている。酸化皮膜は、光の干渉作用
によって特定の波長を反射させる着色皮膜として働く。
着色後の材料の色調は、皮膜の厚みや組成,着色前の表
面における皮膜厚さ,光沢度等の性状によって決定され
る。着色皮膜の厚み,組成,成長速度等は、着色前のス
テンレス鋼表面にある皮膜の組成や膜厚等に依存する。
そのため、着色前の表面皮膜が不均一であると、その表
面状態を反映して着色皮膜も不均一になり、着色ムラが
発生する。したがって、着色後に均一な色調を得るため
には、着色前において皮膜,粗さ,光沢度等の表面性状
が均一であることが要求される。着色前の表面性状を均
一にするため、従来では電解処理や鏡面研磨等が必要で
あった。たとえば、特開昭59−28574号公報で
は、着色前にステンレス鋼を陽極として硝酸水溶液中で
電解処理することにより、表面性状を均一化させてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電解処理,鏡面研磨等
によるとき、ステンレス鋼が均一な表面性状に調整され
る。しかし、そのために余分な工程が増え、生産性を低
下させると共に、製品コストを上昇させる原因となる。
電解処理では、鋼板表面全体にわたり均一な電流密度で
電解することは難しく、結果として新たに着色ムラを発
生させる原因になる場合がある。また、連続ラインで電
解処理を行う際には、鋼板表面にロール等から異物が付
着し、表面疵を発生させるため、歩留りが低下する。更
には、使用された廃液,廃水等の処理も必要になり、設
備的な負担も増大する。鏡面処理は、円状のバフを鋼板
表面に接触させて回転させる方法によって通常行われて
いる。しかし、研磨ムラが生じると、これが着色ムラの
原因となる。本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、調質圧延でステンレス鋼表面の光
沢度のバラツキを制御することにより、電解処理や鏡面
研磨等の前処理を行わなくても、着色ムラのない着色用
光輝焼鈍ステンレス鋼板を得ることを目的とする。
によるとき、ステンレス鋼が均一な表面性状に調整され
る。しかし、そのために余分な工程が増え、生産性を低
下させると共に、製品コストを上昇させる原因となる。
電解処理では、鋼板表面全体にわたり均一な電流密度で
電解することは難しく、結果として新たに着色ムラを発
生させる原因になる場合がある。また、連続ラインで電
解処理を行う際には、鋼板表面にロール等から異物が付
着し、表面疵を発生させるため、歩留りが低下する。更
には、使用された廃液,廃水等の処理も必要になり、設
備的な負担も増大する。鏡面処理は、円状のバフを鋼板
表面に接触させて回転させる方法によって通常行われて
いる。しかし、研磨ムラが生じると、これが着色ムラの
原因となる。本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、調質圧延でステンレス鋼表面の光
沢度のバラツキを制御することにより、電解処理や鏡面
研磨等の前処理を行わなくても、着色ムラのない着色用
光輝焼鈍ステンレス鋼板を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の着色用光輝焼鈍
ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、鏡面光沢
度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキが5
0以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢度GS
(20°)の変化が20以下であることを特徴とする。
この表面状態は、光輝焼鈍ステンレス鋼板を調質圧延す
る際、圧延潤滑剤を使用することにより得られる。
ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、鏡面光沢
度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキが5
0以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢度GS
(20°)の変化が20以下であることを特徴とする。
この表面状態は、光輝焼鈍ステンレス鋼板を調質圧延す
る際、圧延潤滑剤を使用することにより得られる。
【0005】
【作用】本発明者等は、着色ムラを発生させる素材要因
を種々調査した結果、着色後の色調変化が光沢度の変化
に対応していることを見い出した。すなわち、着色前表
面の光沢度が不均一であると、着色後も光沢度の不均一
性が残存し、着色ムラが発生することを解明した。そし
て、安息香酸及びアルコール類を含む水溶液からなる圧
延潤滑剤を使用した調質圧延によって、光沢度のバラツ
キが小さくなることを見い出した。着色ムラには、種々
のタイプがあるが、圧延方向に平行に発生する帯状タイ
プのムラが最も顕著である。この着色ムラは、周辺部分
に比較して白みが強くなり、明瞭に視認される。本発明
者等は、着色ムラが発生した材料について着色前及び着
色後の表面性状を系統的に調査し、着色後における色調
のバラツキと対応する着色前の表面の因子を調査した。
その結果、着色ムラが発生したものでは、着色前の光沢
度が非常にばらついており、これが着色ムラを発生させ
る原因であること見い出した。
を種々調査した結果、着色後の色調変化が光沢度の変化
に対応していることを見い出した。すなわち、着色前表
面の光沢度が不均一であると、着色後も光沢度の不均一
性が残存し、着色ムラが発生することを解明した。そし
て、安息香酸及びアルコール類を含む水溶液からなる圧
延潤滑剤を使用した調質圧延によって、光沢度のバラツ
キが小さくなることを見い出した。着色ムラには、種々
のタイプがあるが、圧延方向に平行に発生する帯状タイ
プのムラが最も顕著である。この着色ムラは、周辺部分
に比較して白みが強くなり、明瞭に視認される。本発明
者等は、着色ムラが発生した材料について着色前及び着
色後の表面性状を系統的に調査し、着色後における色調
のバラツキと対応する着色前の表面の因子を調査した。
その結果、着色ムラが発生したものでは、着色前の光沢
度が非常にばらついており、これが着色ムラを発生させ
る原因であること見い出した。
【0006】すなわち、着色前に光沢度のバラツキがあ
ると、そのバラツキが着色後も残存し、着色後に色調の
バラツキになるものと推察される。これに対し、後述す
る実施例に示されているように、鏡面光沢度GS (20
°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以下で、1
0cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変化が2
0以下に着色前の光沢度を調整するとき、着色後にムラ
が発生せず、均質な色調が得られる。このように規制さ
れた着色前の光沢度は、たとえば安息香酸及びアルコー
ル類を含む水溶液からなる圧延潤滑剤を使用する調質圧
延で得られる。光輝焼鈍ステンレス鋼は、光輝焼鈍後に
光沢の上昇及び形状修正するため調質圧延が施されてい
る。調質圧延には圧延潤滑剤の使用有無に応じてドライ
圧延及びウエット圧延があるが、高い光沢が要求される
光輝焼鈍ステンレス鋼板では、ドライ圧延が通常採用さ
れている。ドライ圧延では、ロールと材料が直接接触す
ることにより、光沢度が上昇する。他方、ウエット圧延
は、光沢度を低下させることから、着色用ステンレス鋼
板の製造には敬遠されていた。
ると、そのバラツキが着色後も残存し、着色後に色調の
バラツキになるものと推察される。これに対し、後述す
る実施例に示されているように、鏡面光沢度GS (20
°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以下で、1
0cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変化が2
0以下に着色前の光沢度を調整するとき、着色後にムラ
が発生せず、均質な色調が得られる。このように規制さ
れた着色前の光沢度は、たとえば安息香酸及びアルコー
ル類を含む水溶液からなる圧延潤滑剤を使用する調質圧
延で得られる。光輝焼鈍ステンレス鋼は、光輝焼鈍後に
光沢の上昇及び形状修正するため調質圧延が施されてい
る。調質圧延には圧延潤滑剤の使用有無に応じてドライ
圧延及びウエット圧延があるが、高い光沢が要求される
光輝焼鈍ステンレス鋼板では、ドライ圧延が通常採用さ
れている。ドライ圧延では、ロールと材料が直接接触す
ることにより、光沢度が上昇する。他方、ウエット圧延
は、光沢度を低下させることから、着色用ステンレス鋼
板の製造には敬遠されていた。
【0007】しかし、本発明者等の調査・研究によると
き、ドライ圧延された材料には着色ムラが発生する傾向
が大きいことが判った。そこで、ウエット圧延で調質圧
延を施したところ、光沢度の低下がみられるものの、光
沢度のバラツキが小さくなることを知見した。これによ
り、鏡面光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大
バラツキが50以下で、10cm長さ当りの鏡面光沢度
GS (20°)の変化が20以下に、着色前の光沢度を
調整することが可能になった。光沢度のバラツキは、鋼
板の表面粗さや皮膜の厚さ,組成のバラツキ等に起因す
る。ウエット圧延では、圧延潤滑剤が材料とロールの間
に噛み込まれ、材料表面に微細なピットが生じ、表面肌
が荒れる。その際、材料とロールの間に均一な液膜が形
成されるため、ピットが均一に形成される。また、圧延
時に潤滑剤と皮膜が反応し、圧延前とは異なった皮膜が
形成されることが考えられる。ウエット圧延では、この
ように圧延前に存在していた粗さや皮膜のバラツキを打
ち消す作用が発揮され、結果としてドライ圧延に比較し
て光沢度のバラツキを小さくする効果が大きくなるもの
と推察される。このようにして、着色前の光沢度が調整
された光輝焼鈍ステンレス鋼は、化学発色処理により、
着色ムラの発生が抑制され、均質な色調の着色皮膜をも
った材料となる。
き、ドライ圧延された材料には着色ムラが発生する傾向
が大きいことが判った。そこで、ウエット圧延で調質圧
延を施したところ、光沢度の低下がみられるものの、光
沢度のバラツキが小さくなることを知見した。これによ
り、鏡面光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大
バラツキが50以下で、10cm長さ当りの鏡面光沢度
GS (20°)の変化が20以下に、着色前の光沢度を
調整することが可能になった。光沢度のバラツキは、鋼
板の表面粗さや皮膜の厚さ,組成のバラツキ等に起因す
る。ウエット圧延では、圧延潤滑剤が材料とロールの間
に噛み込まれ、材料表面に微細なピットが生じ、表面肌
が荒れる。その際、材料とロールの間に均一な液膜が形
成されるため、ピットが均一に形成される。また、圧延
時に潤滑剤と皮膜が反応し、圧延前とは異なった皮膜が
形成されることが考えられる。ウエット圧延では、この
ように圧延前に存在していた粗さや皮膜のバラツキを打
ち消す作用が発揮され、結果としてドライ圧延に比較し
て光沢度のバラツキを小さくする効果が大きくなるもの
と推察される。このようにして、着色前の光沢度が調整
された光輝焼鈍ステンレス鋼は、化学発色処理により、
着色ムラの発生が抑制され、均質な色調の着色皮膜をも
った材料となる。
【0008】
実施例1:(光沢度のバラツキが着色ムラの発生に及ぼ
す影響の調査) ステンレス鋼SUS304の光輝焼鈍材を、クロム酸7
0g/l及び硫酸700g/lを含む温度105℃の混
合溶液中で黒色に着色した。そして、着色ムラが発生し
た着色材について、着色後の色調及び着色前後の鏡面光
沢度の板幅方向に関するバラツキを測定した。測定結果
を図1示す。なお、着色後の色調を示す指標としては、
クロマチネックス指数a* ,b* のバラツキが非常に小
さかったことから、明度指数L* を採用した。板幅方向
に関する着色前の光沢度の変化は、図1にみられるよう
に、着色後の明度及び光沢度の変化と強い相関関係をも
っていた。すなわち、着色前に光沢度が高い部分は、着
色後も光沢度が高く、白みが強くなっていた。また、着
色後の色調差が視認される箇所は、着色後の明度が板幅
方向10cm当りで1.5以上と大きく変化している部
分であった。この部分の着色前の光沢度は、板幅方向1
0cm当りで20以上と大きく変化していた。このよう
に、着色ムラの原因が着色前の光沢度のバラツキにある
ことが判る。
す影響の調査) ステンレス鋼SUS304の光輝焼鈍材を、クロム酸7
0g/l及び硫酸700g/lを含む温度105℃の混
合溶液中で黒色に着色した。そして、着色ムラが発生し
た着色材について、着色後の色調及び着色前後の鏡面光
沢度の板幅方向に関するバラツキを測定した。測定結果
を図1示す。なお、着色後の色調を示す指標としては、
クロマチネックス指数a* ,b* のバラツキが非常に小
さかったことから、明度指数L* を採用した。板幅方向
に関する着色前の光沢度の変化は、図1にみられるよう
に、着色後の明度及び光沢度の変化と強い相関関係をも
っていた。すなわち、着色前に光沢度が高い部分は、着
色後も光沢度が高く、白みが強くなっていた。また、着
色後の色調差が視認される箇所は、着色後の明度が板幅
方向10cm当りで1.5以上と大きく変化している部
分であった。この部分の着色前の光沢度は、板幅方向1
0cm当りで20以上と大きく変化していた。このよう
に、着色ムラの原因が着色前の光沢度のバラツキにある
ことが判る。
【0009】同様な着色処理条件で着色ムラが発生しな
かった着色材について、着色後の色調及び着色前後の鏡
面光沢度の板幅方向に関する変動を図2に示す。この着
色材でも、図2にみられるように、着色後の色調及び着
色前後の鏡面光沢度の間に強い相関関係があった。しか
し、着色前の光沢度,着色後の明度及び着色後の光沢度
は、何れも板幅方向に関する変化が小さいものであっ
た。着色後の明度変化についてみると、最も大きな明度
変化でも板幅方向10cm当り1.5以下であった。ま
た、この部分の着色前における鏡面光沢度の板幅方向に
関する変化は15以下であった。更に、着色ムラが視認
されない着色前の光沢度の板幅方向に関する変化の限界
を調査したところ、板幅方向10cm当りで鏡面光沢度
GS (20°)の変化が20以下であれば良いことが判
明した。また、板幅方向10cm当りの鏡面光沢度GS
(20°)の変化が20以下であっても、鏡面光沢度が
板幅全体にわたり50以上にばらついているものでは、
局所的な帯状ムラがないものの、材料内での色調に均一
性がなく、帯状ムラとは異なった着色ムラが発生した。
以上の実験結果から、着色ムラのない均一な色調をもつ
着色皮膜を形成させるためには、鏡面光沢度GS (20
°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以下で、1
0cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変化が2
0以下に着色前の光沢度を調整することが必要であるこ
とが確認された。
かった着色材について、着色後の色調及び着色前後の鏡
面光沢度の板幅方向に関する変動を図2に示す。この着
色材でも、図2にみられるように、着色後の色調及び着
色前後の鏡面光沢度の間に強い相関関係があった。しか
し、着色前の光沢度,着色後の明度及び着色後の光沢度
は、何れも板幅方向に関する変化が小さいものであっ
た。着色後の明度変化についてみると、最も大きな明度
変化でも板幅方向10cm当り1.5以下であった。ま
た、この部分の着色前における鏡面光沢度の板幅方向に
関する変化は15以下であった。更に、着色ムラが視認
されない着色前の光沢度の板幅方向に関する変化の限界
を調査したところ、板幅方向10cm当りで鏡面光沢度
GS (20°)の変化が20以下であれば良いことが判
明した。また、板幅方向10cm当りの鏡面光沢度GS
(20°)の変化が20以下であっても、鏡面光沢度が
板幅全体にわたり50以上にばらついているものでは、
局所的な帯状ムラがないものの、材料内での色調に均一
性がなく、帯状ムラとは異なった着色ムラが発生した。
以上の実験結果から、着色ムラのない均一な色調をもつ
着色皮膜を形成させるためには、鏡面光沢度GS (20
°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以下で、1
0cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変化が2
0以下に着色前の光沢度を調整することが必要であるこ
とが確認された。
【0010】実施例2:(調質圧延が着色ムラの発生に
及ぼす影響の調査) 板厚4.5mmのステンレス鋼板SUS304を研磨し
た後、リバース式のゼンジミア圧延機で冷間圧延した。
冷延板に、水素75%−窒素25%の雰囲気中で110
0℃に加熱する光輝焼鈍を施した。次いで、ドライ及び
ウエットの2種類の圧延法で、圧延率0.5%の調質圧
延を行った。ウエット圧延では、パラニトロ安息香酸,
アミノアルコール,アミン酢酸塩,環状窒素化合物,エ
チレングリコールエーテルを含有する水溶性の潤滑剤を
使用した。それぞれの条件で製造された調質圧延材の光
沢度を、JIS Z8741に準拠して測定した。各調
質圧延材をクロム酸70g/l及び硫酸700g/lの
混合溶液に浸漬し、温度105℃及び着色電位5.5m
Vで黒色に着色した。着色後の色調を、ミノルタ株式会
社製CR−200を使用しJIS Z8722に準拠し
て測定した。材料内での明度指数L* の最大バラツキが
4.0以上の場合、或いは板幅方向10cm当りの明度
指数L* のバラツキが1.5以上の場合、肉眼による観
察でも着色ムラが認識されるため、この値を着色ムラ発
生有無の基準値とした。着色前の光沢度と着色後の色調
のバラツキ及び着色ムラの発生有無との関係に及ぼす調
質圧延の影響を表1に示す。表1に示されているよう
に、圧延潤滑剤をして使用して調質圧延されたもので
は、光沢度のバラツキが小さく、着色ムラも発生しなか
った。これに対し、圧延潤滑剤を使用しないドライ圧延
では、着色後の明度指数L* が大きくばらついており、
着色ムラが発生していた。
及ぼす影響の調査) 板厚4.5mmのステンレス鋼板SUS304を研磨し
た後、リバース式のゼンジミア圧延機で冷間圧延した。
冷延板に、水素75%−窒素25%の雰囲気中で110
0℃に加熱する光輝焼鈍を施した。次いで、ドライ及び
ウエットの2種類の圧延法で、圧延率0.5%の調質圧
延を行った。ウエット圧延では、パラニトロ安息香酸,
アミノアルコール,アミン酢酸塩,環状窒素化合物,エ
チレングリコールエーテルを含有する水溶性の潤滑剤を
使用した。それぞれの条件で製造された調質圧延材の光
沢度を、JIS Z8741に準拠して測定した。各調
質圧延材をクロム酸70g/l及び硫酸700g/lの
混合溶液に浸漬し、温度105℃及び着色電位5.5m
Vで黒色に着色した。着色後の色調を、ミノルタ株式会
社製CR−200を使用しJIS Z8722に準拠し
て測定した。材料内での明度指数L* の最大バラツキが
4.0以上の場合、或いは板幅方向10cm当りの明度
指数L* のバラツキが1.5以上の場合、肉眼による観
察でも着色ムラが認識されるため、この値を着色ムラ発
生有無の基準値とした。着色前の光沢度と着色後の色調
のバラツキ及び着色ムラの発生有無との関係に及ぼす調
質圧延の影響を表1に示す。表1に示されているよう
に、圧延潤滑剤をして使用して調質圧延されたもので
は、光沢度のバラツキが小さく、着色ムラも発生しなか
った。これに対し、圧延潤滑剤を使用しないドライ圧延
では、着色後の明度指数L* が大きくばらついており、
着色ムラが発生していた。
【0011】
【表1】
【0012】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の着色用
光輝焼鈍ステンレス鋼板は、着色前の光沢度が規制され
ていることにより、化学発色によって着色ムラのない均
質な色調をもった着色皮膜を形成する。そのため、着色
ムラ防止のために従来行われていた電解処理や鏡面研磨
等の前処理を省略することができ、低い製造コストで良
質の着色ステンレス鋼板を提供することが可能になっ
た。
光輝焼鈍ステンレス鋼板は、着色前の光沢度が規制され
ていることにより、化学発色によって着色ムラのない均
質な色調をもった着色皮膜を形成する。そのため、着色
ムラ防止のために従来行われていた電解処理や鏡面研磨
等の前処理を省略することができ、低い製造コストで良
質の着色ステンレス鋼板を提供することが可能になっ
た。
【図1】 着色ムラが発生した材料について、着色前後
の光沢度及び着色後の色調の板幅方向に関する変化を対
比させたグラフ
の光沢度及び着色後の色調の板幅方向に関する変化を対
比させたグラフ
【図2】 着色ムラが発生しない材料について、着色前
後の光沢度及び着色後の色調の板幅方向に関する変化を
対比させたグラフ
後の光沢度及び着色後の色調の板幅方向に関する変化を
対比させたグラフ
Claims (2)
- 【請求項1】 JIS Z8741に規定されている鏡
面光沢度GS (20°)の板幅全体にわたる最大バラツ
キが50以下であり、且つ10cm長さ当りの鏡面光沢
度GS (20°)の変化が20以下であることを特徴と
する着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板。 - 【請求項2】 光輝焼鈍ステンレス鋼板を調質圧延する
際、JIS Z8741に規定されている鏡面光沢度G
S (20°)の板幅全体にわたる最大バラツキが50以
下、10cm長さ当りの鏡面光沢度GS (20°)の変
化が20以下になるように圧延潤滑剤を使用して調質圧
延することを特徴とする着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8739195A JPH08257604A (ja) | 1995-03-20 | 1995-03-20 | 着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8739195A JPH08257604A (ja) | 1995-03-20 | 1995-03-20 | 着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08257604A true JPH08257604A (ja) | 1996-10-08 |
Family
ID=13913593
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8739195A Pending JPH08257604A (ja) | 1995-03-20 | 1995-03-20 | 着色用光輝焼鈍ステンレス鋼板及び製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08257604A (ja) |
-
1995
- 1995-03-20 JP JP8739195A patent/JPH08257604A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20040120 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |