JPH08253668A - ポリカーボネートおよびポリエステルアミドの混合物 - Google Patents

ポリカーボネートおよびポリエステルアミドの混合物

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JPH08253668A
JPH08253668A JP4472696A JP4472696A JPH08253668A JP H08253668 A JPH08253668 A JP H08253668A JP 4472696 A JP4472696 A JP 4472696A JP 4472696 A JP4472696 A JP 4472696A JP H08253668 A JPH08253668 A JP H08253668A
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acid
polycarbonate
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JP4472696A
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Christian Maria Emile Bailly
マリア エミル ベイリー クリスティアン
Jan Bussink
ビユシンク ヤン
Reinoud Jaap Gaymans
ヤープ ハイマンス レイナウト
Johannes Hubertus G Lohmeijer
ヒューベルトス ヘー. ローメイヤ ヨハネス
Llias Nicholas Mamalis
ニホラス ママリス イリアス
Gary Francis Smith
フランシス スミス ゲイリー
Bennekom Antoinette C Van
セー. ファン ベネコム アントワネット
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General Electric Co
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L69/00Compositions of polycarbonates; Compositions of derivatives of polycarbonates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L77/00Compositions of polyamides obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L77/12Polyester-amides

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyamides (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた各種機械的特性および優れた各種物性
を有する熱可塑性樹脂混合物を提供する。 【解決手段】 ポリエステルアミドおよびポリカーボネ
ートの混合物ならびにそのの製造方法が開示される。好
ましいポリエステルアミドは、下記式(I)のアミド単
位と下記式(II)のエステル単位とを有する。(I)
と(II)の比は少なくとも1:1であって、より好ま
しくは式(I)の単位の80%以上が式(II)の単位
1以上によって隔てられている。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルアミ
ド共重合体とポリカーボネート樹脂の混合物に関する。
本発明はさらに、ポリエステルアミド共重合体とポリカ
ーボネート樹脂の混合物であって、ポリエステルアミド
共重合体が特定の均一構造を有するものを含む。本発明
はさらに、ポリエステルアミド共重合体とポリカーボネ
ート樹脂の混合物の製造方法ならびにそれから成形され
る有用な製造物を含む。
【0002】
【従来の技術】欧州特許公開明細書0315027号に
は、下記一般式の共重合体が記載されている。
【0003】
【化7】 上記式中、x、yおよびzはそれぞれ1〜100000
の整数である。Gはテトラメチレンジアミン残基である
ことができ、Eはテレフタル酸残基であることができ、
Rは1, 4−ブタンジオール残基であることができ、A
rは2価の芳香族カルボキシル基である。単位Aは重量
基準でその共重合体の約1〜約99%を占め、単位Bは
重量基準でその共重合体の約99〜約1%を占める。そ
の共重合体は、ブロック共重合体、「交互」共重合体ま
たはランダム共重合体であることができる。欧州特許公
開明細書0315027号にはさらに、そのブロック共
重合体が、独立の樹脂として、ポリエステル、ポリアリ
ーレートおよびポリアミドなどの他の樹脂との混合物
で、ならびに2つの異なった樹脂層を結合させる連結
(tie)樹脂として、自動車分野での応用、電気機器お
よび食品包装において有用であることが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た各種機械的特性および優れた各種物性を有する熱可塑
性樹脂混合物およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上述した目的
は、A.下記式の構造単位を有するポリカーボネート樹
脂と、
【0006】
【化8】 (式中、R3 は2価の有機基である) B.下記式(I)のアミドおよび下記式(II)のエス
テルによって表される単位から誘導される実質的に脂肪
族のポリエステルアミド樹脂と
【0007】
【化9】 を含んで成るポリカーボネートおよびポリエステルアミ
ドの熱可塑性樹脂混合物およびその製造方法により達成
できる。
【0008】
【発明の実施の形態】ポリエステルアミド樹脂(以下、
PEAと称する)自体は、当業界では公知である。PE
Aは、前記式(I)のアミドおよび前記式(II)のエ
ステルによって表される単位を有してなる重合体を指
す。
【0009】本発明のPEAは、実質的に脂肪族のPE
Aである。実質的に脂肪族のPEAとは、PEA中に少
なくとも約10モル%、好ましくは少なくとも約20%
の脂肪族残基を有するPEAを指す。広義には、式
(I)と式(II)の比がいかなる値の重合体も可能で
あり、重合体中の式(II)の基の量がゼロであるとい
う極端な場合にはその重合体はポリアミド樹脂となり、
その逆に重合体中の式(I)の基の量がゼロの場合には
ポリエステル樹脂として知られるものとなる。本発明に
おいては、式(I)の単位の式(II)の単位に対する
比は約1対1以下、好ましくは約1対3以下であること
が好ましい。
【0010】式(I)のアミドは通常、(i)一般式
(III)によって表されるアミン基を1以上有する化
合物と、(ii)カルボニル基を有する部分またはカル
ボニル基を形成することができる部分であって、式(I
II)のアミンと反応することができ、下記一般式(I
V)で表される部分を1以上有する化合物との間の反応
から誘導される。
【0011】
【化10】 式(III)において、R1 、R2 およびR3 はそれぞ
れ独立に水素、C1ー20アルキレン基またはC6-20のアリ
ーレン基である。ただし、R1 、R2 またはR 3 のうち
の1以上は、水素または良好な脱離基のいずれかであ
り、さらにR1 、R2 またはR3 のうちの1以上がさら
に、アミン基、水酸基、カルボン酸、イミド、酸無水
物、エステル、エポキシ、カルボン酸塩またはそれらの
混在したものからなる群から選ばれる1以上の反応性部
分を有する。式(III)の例としては以下のものが挙
げられる。
【0012】アンモニア、ジメチレンジアミン、トリメ
チレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘ
キサメチレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−
フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプ
ロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(一般に
4,4’−メチレンジアニリンと称される)、4,4’
−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ
ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエ
ーテル(一般に4,4’−オキシジアニリンと称され
る)、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル
ベンジジン、3,3−ジメトキシベンジジン、2,4−
ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−
β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p
−β−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、1,3
−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、1,2−ビス
(3−アミノプロポキシ)エタン、ベンジジン、m−キ
シリレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6
−ジアミノトルエン、ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)メタン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,
4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ドデ
カンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、
オクタメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレン
ジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、
2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチル
ヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジア
ミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,12−オ
クタデカンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(3−
アミノプロピル)スルフィド、N−メチル−ビス(3−
アミノプロピル)アミン、ヘプタメチレンジアミン、ノ
ナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、アミノフ
ェニルスルホン、アミノフェニル酢酸、4−(4−アミ
ノフェニル)酪酸、4−アミノ−1,8−ナフタール酸
無水物、3−アミノ−2−ナフトエ酸、5−アミノイソ
フタル酸、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、4
−(アミノメチル)安息香酸、4−(アミノメチル)シ
クロヘキサンカルボン酸、アミノサリチル酸、アミノベ
ンジルアルコール、4−アミノブタノール、4−アミノ
酪酸、N−(4−アミノベンゾイル)安息香酸、2−
(2−アミノベンゾイル)安息香酸、1−アミノ−1−
シクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサノ
ール塩酸塩、およびこれらのアミンの混合物。
【0013】式(IV)中、R4 はアミン基、水酸基、
カルボン酸、イミド、酸無水物、エステル、エポキシ、
カルボン酸塩またはそれらの混在したものからなる群か
ら選ばれる1以上の反応性部分を有するC1ー20アルキレ
ン基またはC6-20のアリーレン基である。さらに式(I
V)において、Xは例えば水酸基またはアミノ基などの
求核性化学種によって置換され得る脱離基である。好ま
しくは、Xは、塩素原子を代表とするハロゲン原子また
は水酸基、あるいはフェノキシ基,メトキシ基またはエ
トキシ基などのアルコキシ基またはアリールオキシ基で
ある。式(III)と式(IV)の基が互いに結合して
アミノ酸およびアミノ酸誘導体となっていることも可能
である。式(III)および式(IV)の基が同一化合
物内に存在する例をいくつか、前記のアミン化合物例中
に示してある。カルボニル基含有化合物で好適なものに
は、下記式(V)で表されるジエステル、二塩基酸、二
塩基酸塩化物、一塩基酸一エステル、および、一エステ
ル一塩基酸塩化物などがある。
【0014】
【化11】 上記式中、Yは少なくとも2個の炭素原子を有する2価
の脂肪族基または少なきとも6個の炭素原子を有する芳
香族基であり、Xは式(IV)についてすでに説明した
ものである。式(V)のカルボニル含有化合物の例とし
ては、セバシン酸、オクタデカン二酸、スベリン酸、グ
ルタール酸、ピメリン酸およびアジピン酸などの脂肪族
二塩基酸;各種テレフタル酸およびイソフタル酸の二酸
およびナフタレン二酸;さらには一塩基酸または二塩基
酸の酸ハロゲン化物ならびに上記の脂肪族および芳香族
の二塩基酸の全てについての低級モノまたはジアルキル
およびジアリールエステルなどがある。三官能基または
多官能基のカルボン酸を組み込んで、分岐構造を形成す
ることもできる。
【0015】好ましい実施態様においては、式(II
I)は低級アルキレンジアミンであり、式(IV)は芳
香族フタル酸誘導体またはナフタレンジカルボン酸誘導
体である。好適なジアミンは、ジメチレンジアミン、ト
リメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタ
メチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ヘキサメ
チレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンで
ある。好適な芳香族フタル酸類およびナフタレンジカル
ボン酸類には、テレフタル酸、イソフタル酸および2,
6−ナフタレンジカルボン酸、さらには低級アルキルエ
ステル、アリールエステル、酸無水物および異種酸の酸
無水物などがある。
【0016】式(II)のエステルは通常、(i)下記
一般式(VI)で表される、水酸基を1以上有する化合
物と、(ii)カルボニル基を1以上有する部分または
カルボニル基を形成することができる部分であって式
(VI)の水酸基を有する化合物と反応してエステルま
たはエステル前駆体を形成することができる部分を1以
上有する式(IV)で表される化合物との反応から誘導
される。
【0017】(VI) HO−R5 式(VI)において、R5 はアミン基、水酸基、カルボ
ン酸、イミド、酸無水物、エステル、エポキシ、カルボ
ン酸のアンモニウム塩または金属塩、あるいはそれらの
混在したものからなる群から選ばれる部分を1以上有す
るC1ー20アルキレン基またはC6-20のアリーレン基であ
る。式(III)および(IV)の基の場合同様、式
(IV)および(VI)の基が同一化合物内に含まれて
いることもできる。例としては、ヒドロキシ安息香酸、
3−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシピコリン酸、
ヒドロキシニコチン酸、4−ヒドロキシプロリンなどが
あり、他の各種ラクトンの中ではカプロラクトンなども
ある。好適なヒドロキシ化合物としては、1,4−ブタ
ンジオール、1,2−エタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、
1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオ
ールなどの脂肪族ジオールなどがある。
【0018】式(III)のアミンがジアミンの場合、
式(I)のアミドは下記一般式(VII)によって表さ
れる単位を有するジアミドとなり得る。
【0019】
【化12】 上記式中、R6 はC1ー20アルキレン基またはC6-20のア
リーレン基であり、R 7 は式(IV)におけるR4につ
いて既に定義したものと同様である。
【0020】適宜、そのジアミドまたはジアミド混合物
は下記式(VIII)の構造を有することができる。
【0021】
【化13】 上記式中、R6 、R7 、R8 およびR9 は独立にそれぞ
れ12個以下の炭素原子を有するアリール基またはアル
キル基であり;R6 およびR7 のそれぞれとR 9 および
10のそれぞれが結合して、5員環または6員環を形成
してもよく;X 1 、X2 、X3 およびX4 は独立に水酸
基、カルボン酸、カルボン酸の低級アルキルまたはアリ
ールエステル、エポキシ、カルボン酸アンモニウム塩ま
たは酸無水物基、あるいはX1 またはX2 とX3 または
4 のうちの少なくとも一つが水素原子ではない場合に
は水素原子から選択される部分である。
【0022】好ましい実施態様においては、式(IV)
のカルボニル種はビスカルボニル種であり、得られる式
(I)のアミドは下記一般式(IX)によって表される
単位を有するものである。
【0023】
【化14】 上記式中、Zはどちらも水酸基またはアミノ基その他の
求核種によって置換され得る脱離基である。好ましく
は、Zは塩素に代表されるハロゲン原子または水酸基、
あるいはフェノキシ基、メトキシ基またはエトキシ基な
どのアルコキシ基またはアリールオキシ基である。式
(IX)において、R6 は式(VIII)について既に
定義したものであり、各R8 は独立にC1ー20アルキレン
基またはC6- 20のアリーレン基あるいはそれらの混在し
たものである。好ましくはR6 が1,2−エチレン基ま
たは1,4−ブチレン基であり、各R8 がp−フェニレ
ン基である。
【0024】式(IX)においてZがアルコキシ基また
はアリーロキシ基の場合、得られる式は「ビスエステル
ジアミド」(以下、BEDAと称する)と称することが
できる。その例としては、テレフタル酸またはその誘導
体とジアミンまたはその誘導体に基づいたビスエステル
ジアミドなどがある。
【0025】簡潔な説明と、後の実施例での参照のため
に言えば、式(IX)においてZがメトキシ基であり、
8 がp−フェニレン基であり、そしてR6 がテトラメ
チレン基である場合に得られる化合物をT4T−ジメチ
ルという略称で呼ぶ。同様に、式(IX)において、Z
がメトキシ基であり、R8 がp−フェニレン基であり、
そしてR6 がヘキサメチレン基またはエチレン基である
場合に得られる化合物を、それぞれT6T−ジメチルお
よびT2T−ジメチルという略称で呼ぶ。
【0026】実質的に均一な構造を有するPEAが好ま
しく、それは二塩基酸誘導体、ジオールおよびジアミン
から誘導される。好ましいPEAは、下記一般式(X)
の骨格を有するものである。
【0027】
【化15】 上記式中、R6 、R7 、R8 およびR9 は独立にC1ー20
アルキレン基またはC 6-20アリーレン基であり、eおよ
びfはそれぞれ1以上の整数である。好ましくはR7
9 は同一であってアリーレン基、好ましくはパラフェ
ニレン基であり、好ましくはR6 およびR8 は同一であ
ってC2-6 アルキレンである。eが1であるかあるいは
1とそれより大きい数字の混在したものであることが好
ましく、それが1より高い数字である部分は約15%未
満であり、より好ましくは約10%未満である。eおよ
びfがそれぞれ1であることも可能であり、その場合に
は得られる重合体は純粋に交互ポリエステルアミドであ
ると考えられる。さらに、e/fの比が約0.05〜約
1、さらに好ましくは約0.05〜0.5であり、0.
5%(w/v)溶液を用い25℃にてフェノール/テト
ラクロロエタン(体積比50:50)中で測定した場合
に、PEAが0.4dl/gを超える固有粘度 [ηinh]
を有することが好ましい。
【0028】式(X)において、R7 およびR9 が同一
で、好ましくはp−フェニレンである場合、式(X)の
単位を有する重合体はPstと称することができる。その
場合のsはR8 の炭素数を指し、tはR6 の炭素数を指
す。例えば、ジオールおよびジアミンとしてそれぞれ
1,4−ブタンジオールおよびテトラメチレンジアミン
から誘導されたPEAはP44と称され、1,2−エタン
ジオールおよびテトラメチレンジアミンから誘導された
PEAはP24と称されることになる。ジオールとジアミ
ンの総量に基づいたジアミンのモルパーセントを表記す
るには、ジアミンのモルパーセントを通常Pst-%として
表す。その命名法によれば、テトラメチレンジアミンお
よび1,2−エタンジオールから誘導されたPEAであ
って、テトラエチレンジアミンが20モルパーセントの
レベルのものはP24-20 と称されることになる。
【0029】「均一性」または「均一度」という用語
は、PEAの構造を指す場合には、eが1、2、3、4
・・・である単位の総数に対するe=1の単位のモル数
の割合を示す。e=1およびe=2などの単位は、NM
Rによって識別できる。従って、下記式のようになる。
【0030】
【数1】 ブロック構造またはランダム構造のいずれかを有するP
EAを用いることは可能であるが、PEAが実質的に均
一な構造を有することが特に好ましい。実質的に均一な
構造という表現は、均一度が高く、例えば約0.70よ
り大きく、好ましくは0.85より大きく、最も好まし
くは0.90より大きいことを意味する。実質的に均一
な構造を有することにより、PEAとポリカーボネート
の混合物は驚くほど高いヴィカー軟化点(すなわちPC
相のガラス転移温度が高い)を持ち、結晶化の速度が高
い。実質的に均一な構造を有するPEAが最も好ましい
ことから、以下の説明はそれらの材料を中心としたもの
であるが、ランダム構造およびブロック構造を有する通
常のPEAについても考慮することは理解しておくべき
点である。
【0031】好ましくはテレフタル酸、1,4−ブタン
ジオールおよび1,4−ブタンジアミンを原料とする単
位から形成されたPEA(すなわち、P44樹脂)の混合
物が特に良好な性質を有することが認められている。例
えば、ポリカーボネート(「PC」)/PEA混合物の
ヴィカー温度は、相当するPC/ポリブチレンテレフタ
レート(「PBT」)混合物よりかなり良好である。本
発明の混合物によって得られるべき他の利点には、結晶
化速度の上昇、水吸収の低下、その混合物への塗料の密
着性の増加、耐化学薬品性の向上、その混合物の所定の
ガラス転移温度における流動性の上昇およびエステル交
換度の低下などがある。それらの性質の向上を、相当す
るPC/PBT混合物、すなわちPBTに対するPCの
重量比がPEAに対するPCの比と同様であるPC/P
BT混合物と比較する。
【0032】出願人らはさらに、均一構造を有するPE
Aを用いた場合に上記の性質のほとんどがさらに良好と
なることも見いだした。例えば、出願人らは、PEAに
おける均一度を上昇させると、PEA樹脂のTm および
結晶化速度に対して、さらにはポリカーボネートとの混
合物中でのPEAの性質に対して好ましい効果があるこ
とを認めている。非常に均一なPEAの別の驚くべき利
点は、BEDA中のアミドブロック不純物によって生じ
るアミノ末端基含有量がPEAにおいて低いことであ
る。そのため、式(VII)の繰り返し単位、すなわち
コポリエステルアミド中で互いに隣接して存在するジア
ミンから生じる単位(e>1)の数が、式(IX)のe
単位総数の15%以下であることが好ましい。
【0033】PC/PBT混合物においては普通に見ら
れるものとは対照的に、融点および結晶化温度の低下
は、本発明のポリカーボネートとPEAの混合物では起
こらないかもしくは実質的に起こらない。本発明のPC
とPEAの混合物では、PEAの融点および結晶化温度
は安定しており、かなりの粘度を有するPCとポリエス
テル(すなわちPBT)の相当する混合物とは明瞭な対
照を示している。そのポリエステル(すなわちPBT)
は、PC/PBT混合物では融点および結晶化温度の降
下を示す。
【0034】上記のように、PEAの粘度すなわち分子
量についての測定値(ηinh )は0.4dl/gを超え
るのが好ましく、0.6dl/gを超えるのがさらに好
ましい。その粘度は0.5%(w/v)溶液を用い、2
5℃でフェノール/テトラクロロエタン(体積比50/
50)中で測定した。それらの粘度を測定して、最終混
合物中に特に望ましい一連の良好な機械的特性を得た。
例えば、破壊時の伸びと衝撃強さのいずれも、粘度が約
0.4dl/gを超えると良好である。しかしながら、
約5.0dl/gから上の粘度になっても、特に有利な
点はなく、むしろ粘度が約5.0dl/gを超えると材
料の加工に非常に特殊な条件を用いなければならない。
従って、約5.0dl/gを超える粘度は好ましくな
い。
【0035】本発明によるPEAは、ポリカーボネート
と混合した場合、多くの予期せぬ特殊な特性を有するこ
とから、ポリカーボネートとの混合に特に適している。
アミン型の不純物および/または末端基に対するPCの
感受性とPC加工温度でのエステル基の弱さを考慮する
と、良好なPC/PEA混合物を作ることができるか否
かは疑問であったことから、そのような特性は意外であ
った。第1に、その混合物の融点は、ポリエステルすな
わちPBTとの相当する混合物の融点より高かった。先
行技術におけるデータに基づけばその融点はそれより低
くなると考えられることから、そのことは特に驚くべき
ことである。ガラス転移温度より上の温度での引張応力
の変動も驚くほど好ましいものである。実際、引張応力
は通常よりかなり小さい低下しか示さないことから、本
発明の製品が有用な温度範囲はかなり広いものである。
【0036】結果的に、かなり多くの新たな応用への新
たな可能性が開ける。本発明によるPC/PEAの混合
物は、急速な結晶化および固体状態でのオーダリング
(ordering)の程度により、広範囲の応用場面を有する
重合体群を構成するものである。溶媒に対する耐性は特
に良好であり、水の吸収は非常に低い。本発明によるP
EAは、さらに、ポリカーボネートとの混合において、
とりわけ「エンジニアリングプラスチック」として使用
することができる。そのようなものとして、単位eおよ
びfの「ランダムな」分布を持ったPEAを製造するこ
とも可能である。しかしながら、均一度が高い場合に
は、かなり良好な特性の組み合わせが得られる。
【0037】本発明によるPEAの主要成分は、1,4
−ブタンジアミン、1,4−ブタンジオールおよびテレ
フタル酸から得られるものである。しかしながら、それ
らの成分のうちの少量を他の相当する成分に置き換える
ことも可能である。しかしながら、そのような他の成分
はPEAの特性に悪影響を与えないものであることが好
ましい。そのため通常は、別の成分で置き換える各成分
の量は10モル%以下としなければならない。その量は
好ましくは約5モル%とし、最も好ましくは約0%とす
る。
【0038】本発明によるPEAの製造は、各種方法で
行うことができる。第1の実施態様によれば、その製造
は多くの工程で行われる。第1の工程では、少なくとも
2倍モル量のテレフタル酸ジエステル(例えばテレフタ
ル酸ジメチル)とジアミンとの反応によってビスエステ
ルジアミドが得られる。その反応は通常、Li(OCH
3 )などの触媒の存在下に行われる。触媒の使用は必要
ではないが、反応の経過に良好な影響を与えるものであ
る。反応容器に入れる成分を全て混合してから反応を開
始させてその反応を行うと、至適な生成物を得るには、
かなり大過剰のジエステル(約400%)を使用しなけ
ればならない。驚くべきことに、小過剰のジエステル
(約150%)を用いて高収率でその生成物を得ること
が可能であることが認められている。さらに、ジアミン
とp−カルボアルコキシベンゾイルクロリドから出発す
ることもできる。
【0039】次に、ビエステルアミド、ジオールおよび
適宜テレフタル酸またはテレフタル酸誘導体の混合物を
縮合させて、プレポリマーを形成する。そのプレポリマ
ーを最終的に後縮合して所望の特性を有するPEAを形
成することができる。
【0040】文献で公知のPEA製造の条件をプレポリ
マー形成に使用することができるが、約260℃より低
い温度で好ましくは約1mmHgより低い低圧下に、少
なくとも約20分間、好ましくは少なくとも約40分
間、プレポリマー形成を行うことが好ましい。その第2
段階は、約230℃〜約300℃の温度で、好ましくは
約1mmHgより低い低圧下で、少なくとも約30分間
行ってから、約230℃より低い温度で、好ましくは約
5バールより低い圧力下で、約45〜約120分間行
う。
【0041】そのようにして得られるプレポリマーは適
宜、約175℃〜重合体の融点より数度低い温度にて、
不活性気体存在下または減圧下あるいは不活性気体気流
を導入しながらの減圧下に、固体状態で、従来の方法で
後縮合することができる。
【0042】本発明によるPEAの別の製造方法は、ジ
オール、ジアミンならびにテレフタル酸ジアルキル、テ
レフタル酸またはテレフタル酸誘導体を一緒に入れ、次
にその混合物を昇温させて約150℃〜約200℃とす
る工程を含むものである。ジアミンの沸点が約150℃
〜200℃より低い場合、反応容器を閉鎖して、予備加
圧を行うかあるいはジアミンを循環させる。そのように
して、妥当なオーダー(order)度を有するプレポリマ
ーが得られ、そのプレポリマーを後縮合して、所望の分
子量とすることができる。この方法の利点は、中間体の
単離および/または精製の段階を行うことなく一つの反
応容器中で行うことができる点であり、それは実用上重
要な利点であると考えられる。
【0043】使用できるさらに別の方法は、ジオールと
ジエステルの混合物を所定の温度とし、次に徐々にジア
ミンを加えるという工程の関与するものである。そのよ
うにして、1反応容器法の利点がやはりあり、しかも優
れた生成物が得られる。ジエステル、ジオールおよびテ
レフタル酸誘導体の比を変えることによって、エステル
基とアミド基との間の比率を各種得ることができる。
【0044】以上の記述において、テレフタル酸または
それの誘導体をコポリエステルアミド製造の原料として
用いている。原則的に、それにはその目的に使用可能な
いかなるテレフタル酸誘導体も含まれ、特には低級アル
キル基(C1 〜C4 )などの開裂可能なエステル基を有
するテレフタル酸ジエステルがある。それに関して、ジ
カルボン酸が本発明によるPEAにおいてテレフタル酸
と同等もしくは同様の構造的特性を有するのであれば、
例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸などのテレフタ
ル酸以外のジカルボン酸を原料とすることも可能である
ことは注意すべき点である。
【0045】ポリエステルアミドに関しては均一構造や
オーダー構造が望ましくないか必要ない限りにおいて、
米国特許2856385号に記載の方法に従ってポリエ
ステルアミドを製造することも可能である。
【0046】本発明のPEAと混合できるポリカーボネ
ートならびにそれの製造方法は当業界では公知である。
最も好ましいポリカーボネートは、かなりの割合で芳香
族ポリカーボネート単位を有する重合体である。かなり
の割合とは、一般に、その重合体中のポリカーボネート
単位が約20重量%を超えることを意味している。その
種の重合体で好適なものに、ポリカーボネート樹脂があ
る。ポリカーボネート材料は下記式(XI)の構造単位
を有する。
【0047】
【化16】 式中、R3は2価の有機基である。
【0048】式(XI)において好適なR3 には、エチ
レン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレ
ン基、ヘキサメチレン基、ドデカメチレン基、1,4−
(2−ブチレン)基、1,10−(2−エチルデシレ
ン)基、1,3−シクロペンチレン基、1,3−シクロ
ヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、m−フェ
ニレン基、ベンゼン−1,4−ジメチレン基(エチレン
基のビニログ(vinylog)であり、同様の特性を有す
る)および米国特許4217438号に名称または式
(一般式または具体的な式)によって開示されたジヒド
ロキシ化合物に相当するような同様の基などがある。さ
らに、炭化水素以外の部分を有する基も含まれる。それ
には、塩素、ニトロ基、アルコキシ基などの置換基や、
さらにはチオ基、スルホキシ基、スルホン基、エステル
基、アミド基、エーテル基およびカルボニル基などの連
結基などがあり得る。しかしながら、非常に多くの場
合、R3 基はいずれも炭化水素基である。ただし、各種
基の混在したものも有用なものであり得る。
【0049】R3 はいかなるアルキレン基/アリーレン
基の比も取り得るが、環状オリゴマー混合物中のR3
総数の好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは
少なくとも約80%、さらには最も好ましくはそのR3
全てが芳香族である。その芳香族R3 基は好ましくは下
記式(XII)の構造を有する。
【0050】(XII) −A1 −Y−A2 − 上記式中、A1 およびA2 はそれぞれ2価の単環式芳香
族基であり、Yは連結基であって、それによってA1
2 とは1または2個の原子によって隔てられている。
式(XII)中に未結合の結合手はYに関してA1 およ
びA2 での位置がメタ位またはパラ位となるのが普通で
ある。式(XII)において、A1 およびA2 は、未置
換フェニレン基またはそれの置換誘導体であることがで
き、その置換基(1個以上)の例としてはアルキル基、
アルケニル基、ハロゲン(特に塩素および/または臭
素)、ニトロ基、アルコキシ基などがあるが、未置換フ
ェニレン基が好ましい。A1 およびA2 はいずれもp−
フェニレン基であることが好ましい。ただし、両方がo
−フェニレン基あるいは一方がo−フェニレン基または
m−フェニレン基で他方がp−フェニレン基であっても
よい。
【0051】連結基であるYは、1個または2個の原
子、好ましくは1個の原子がA1 とA 2 を隔てているも
のである。それは非常に多くの場合炭化水素基であり、
特にメチレン基、シクロヘキシルメチレン基、2[2.
2.1]−ビシクロヘプチルメチレン基、エチレン基、
イソプロピリデン基、ネオペンチリデン基、シクロヘキ
シリデン基、シクロペンタデシリデン基、シクロドデシ
リデン基またはアダマンチリデン基などの飽和基であ
り、特にジェムアルキレン基(アルキリデン)基であ
る。しかしながらさらに、不飽和基や炭素および水素以
外の原子を有する基、例えば2,2−ジクロロエチリデ
ン基、カルボニル基、フタリジリデン基、オキシ基、チ
オ基、スルホキシ基およびスルホン基などもある。入手
しやすさと本発明に対して特に好適であることから、式
(XII)の好ましい基は、2,2−ビス(4−フェニ
レン)プロパン基である。その基は、ビスフェノールA
から誘導され、Yはイソプロピリデン基であり、A1
よびA2 はそれぞれp−フェニレン基である。
【0052】芳香族ポリカーボネートの一般的製造法
は、界面重合法によるものである。それの詳細について
は例えば米国特許3028365号、同3334154
号、同3275601号、同3915926号、同30
30331号、同3169121号、3027814
号、同4188314号に記載されている。
【0053】通常、界面重合法では、2価フェノールと
カルボニルハライド(カーボネート前駆体)との反応を
行う。製造方法の反応条件は各種あり得るが、いくつか
の好ましい方法には、ジフェノール反応剤を苛性アルカ
リ水溶液に溶解または分散させ、得られた混合物を水と
混和しない好適な溶媒に加えて、好適な触媒存在下にp
H条件を管理しながらその反応剤をホスゲンなどのカー
ボネート前駆体と反応させる過程が関与するのが普通で
ある。最も普通に使用される水と混和しない溶媒は、塩
化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼ
ン、トルエンなどがある。
【0054】使用される触媒は、2価フェノール反応剤
のカーボネート前駆体との重合の速度を高めるものであ
る。代表的な触媒には、トリエチルアミンなどの3級ア
ミン、4級ホスホニウム化合物、4級アンモニウム化合
物などがあるが、これらに限定されるものではない。本
発明の混合物の成分として使用されるポリカーボネート
樹脂の好適な製造方法はホスゲン化反応を含むものであ
る。そのホスゲン化反応を進行させる温度は約0℃以下
から約100℃以上まで変更可能である。
【0055】カーボネート前駆体としては、カルボニル
ハライド、ジアリールカーボネートまたはビスハロホル
メートがあり得る。カルボニルハライドには、カルボニ
ルブロミド、カルボニルクロリドおよびそれらの混合物
などがある。ビスハロホルメートには、例えば2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロ
パン、ヒドロキノンなどのビスハロホルメートのような
2価フェノールのビスハロホルメート、あるいはエチレ
ングリコールなどのビスハロホルメートのようなグリコ
ールのビスハロホルメートなどがある。上記のカーボネ
ート前駆体はいずれも有用であるが、ホスゲンとしても
知られるカルボニルクロリドが好ましい。
【0056】ポリカーボネート材の重量平均分子量は少
なくとも約40000(ポリスチレンと比較するゲル浸
透クロマトグラフィーによって測定されるもの)でなけ
ればならない。約40000〜80000の範囲である
場合が最も多い。しかしながら、ポリカーボネートが比
較的高分子量のものである組成物は流動性の低下を犠牲
として好ましい延性を持つ場合が多い。正確にどの分子
量のものを使用するかは、部分的に所望の利用分野の末
端用途要件およびその部分を形成する際に遭遇する成形
の困難さによって決まる。
【0057】本明細書で使用される「芳香族ポリカーボ
ネート」という用語は、ポリ(エステル−カーボネー
ト)(一般的には、コポリエステル−ポリカーボネート
樹脂と称される場合もある)を含むものである。本発明
の混合物で使用されるポリ(エステル−カーボネート)
樹脂(以下、「PEC」と称する)は、溶融重合または
界面重合のいずれかによって製造することができる。溶
融重合は、例えばジフェニルカーボネートと2価フェノ
ールならびにイソフタル酸誘導体、テレフタル酸誘導体
およびそれらの混合物などのジフェニル誘導体などのエ
ステル前駆体の各種混合物との共反応(coreacting)が
関与するものである。例えば水酸化リチウムおよびステ
アリン酸リチウムなどの各種触媒または触媒混合物を用
いて、重合反応を促進させることもできる。通常、界面
重合法は、エステル前駆体存在下における2価フェノー
ルとカーボネート前駆体との反応を行うものである。界
面重合法の例は、米国特許3169121号および同4
487896号に記載されている。
【0058】製造方法の反応条件は各種あり得るが、い
くつかの好ましい方法は2価フェノール反応剤を苛性ア
ルカリ水溶液に溶解または分散させ、得られた混合物を
水と混和しない好適な溶媒に加えて、好適な触媒存在下
にpH条件を管理しながらその反応剤をホスゲンなどの
カーボネート前駆体と反応させる過程が関与するのが普
通である。最も普通に使用される水と混和しない溶媒
は、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベ
ンゼン、トルエンなどである。
【0059】その反応混合物に触媒を加えて反応を促進
することができ、それが有利である。通常、触媒は2価
フェノール反応剤とカーボネート前駆体との重合速度を
高めるものである。代表的な触媒には、トリエチルアミ
ンなどの3級アミン、4級ホスホニウム化合物、4級ア
ンモニウム化合物などがあるが、これらに限定されるも
のではない。
【0060】好適なPEC製造法はホスゲン化反応を含
むものである。そのホスゲン化反応を進行させる温度は
約0℃〜約100℃の範囲を取り得る。ホスゲン化反応
は好ましくはほぼ室温(約23℃)〜約50℃の温度で
進行させる。反応は発熱的であることから、ホスゲン投
入の速度によって反応温度を制御することができる。必
要なホスゲンの量は加える2価フェノール反応剤の量に
よって決まる。
【0061】使用される2価フェノールは公知であり、
その反応性基はフェノール性水酸基であると考えられ
る。2価フェノールの中には、下記一般式(XIII)
によって表されるものがある。
【0062】
【化17】 上記式中、Aは1〜約15個の炭素原子を有する2価の
炭化水素基あるいは1〜約15個の炭素原子ならびにハ
ロゲン、−S−、−SS−、−S(O)−、−S(O)
2 −、−O−または−S(O)−などの置換基を有する
2価の置換炭化水素基であり;各Xは独立に水素、ハロ
ゲンならびに炭素数1〜約8のアルキル基、炭素数6〜
約18のアリール基、炭素数7〜約14のアラールキル
基などの1価の炭化水素基、さらには炭素数1〜約8の
アルコキシ基からなる群から選ばれ;mは0または1で
あり、nは0〜約5の整数である。
【0063】使用される2価フェノールの代表的なもの
は、(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール
Aとしても知られている)、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどのビス
フェノール;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテルなどの2価フェノールエーテル;p,p’
−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,
4’−ジヒドロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフ
ェニル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スル
ホンなどのジヒドロキシアリールスルホン;レゾルシ
ン、ヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン;1,4−
ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジ
ヒドロキシ−3−メチルベンゼンなどのハロゲン置換ま
たはアルキル置換ジヒドロキシベンゼン;ならびにビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホキサイドおよびビス(3,5
−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホキサイド
などのジヒドロキシジフェニルスルフィドおよびスルホ
キサイドなどである。それ以外の多様な2価フェノール
も入手可能であり、米国特許2999835号、同30
28365号および同3153008号に開示されてい
る。当然のことながら、2以上の異なる2価フェノール
または2価フェノールとグリコールとの組み合わせを用
いることも可能である。
【0064】カーボネート前駆体の代表的なものは、カ
ルボニルハライド、ジアリールカーボネートまたはビス
ハロホルメートである。カルボニルハライドには、例え
ばカルボニルブロミド、カルボニルクロリドおよびそれ
らの混合物などがある。ビスハロホルメートには、2,
2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニ
ル)−プロパン、ヒドロキノン等のビスクロロホルメー
トなどの2価フェノールのビスハロホルメートあるいは
グリコール等のビスハロホルメートなどがある。上記の
カーボネート前駆体はいずれも有用であるが、ホスゲン
としても知られるカルボニルクロリドが好ましい。
【0065】通常、ポリエステルの製造に従来から使用
されているジカルボン酸であれば、ポリ(エステルカー
ボネート)樹脂の製造に利用できる。しかしながら、本
発明に使用されるPECは、芳香族ジカルボン酸、特に
テレフタル酸、ならびにテレフタル酸とイソフタル酸と
の混合物を用いて製造される。ただしその混合物の場
合、テレフタル酸とイソフタル酸との重量比は約5:9
5〜約95:5の範囲であり、特にテレフタル酸とイソ
フタル酸との重量比が約40:60〜約60:40の範
囲にあることが好ましい。ジカルボン酸自体を用いるよ
りむしろ、その酸部分の各種誘導体を使用することがで
き、それより好ましい場合もある。それらの反応誘導体
の例としては酸ハロゲン化物がある。好ましい酸ハロゲ
ン化物は、酸ジクロリドおよび酸ジブロミドである。従
って、例えば、テレフタル酸やそれとイソフタル酸の混
合物に代えて、テレフタロイルクロリドやそれのイソフ
タロイルクロリドとの混合物を使用することができる。
【0066】従来の界面重合法によるPECすなわちポ
リカーボネートおよびポリアリーレート製造において
は、カーボネートおよび/またはエステル前駆体との重
合反応前または反応中に分子量調節剤(連鎖停止剤)を
反応混合物に加えるのが普通である。有用な分子量調節
剤には、例えばフェノール、クロマン−I、p−t−ブ
チルフェノール、p−クミルフェノールなどの1価フェ
ノールなどがある。
【0067】PECの製造に使用される反応剤の割合
は、その生成物の樹脂を含有する本発明の混合物の所期
の用途に応じて変わる。通常、組み合わせるエステルの
単位の量は、カーボネートの単位に対して重量基準で約
20%〜約85%、好ましくはカーボネートの単位に対
して重量基準で約40%〜約80%とすることができ
る。
【0068】本発明の混合物に使用される好適なPEC
は、ビスフェノール−Aおよびホスゲンのイソフタロイ
ルクロリドおよびテレフタロイルクロリドとの反応から
誘導され、約0.5〜約0.65dl/gの固有粘度
(25℃で塩化メチレン中にて測定されるもの)を有す
るものである。
【0069】本発明の混合物には、ランダムに分岐した
ポリカーボネート、ランダムに分岐したPEC、ランダ
ムに分岐したポリ(アリールエーテル)および/または
ランダムに分岐したポリアリーレートが存在しているも
のも含まれる。それらのランダムに分岐した材料は、加
圧成形または吹き込み成形などの加工用の直鎖重合体を
含有する混合物の流動学的特性を変える上で有用な場合
がある。ランダムに分岐した重合体は、多官能性有機化
合物を前述の2価フェノール、カーボネートおよび/ま
たはエステル前駆体と反応させることによって製造され
る。分岐ポリカーボネートの製造に有用な多官能性有機
化合物は、米国特許3544514号、同363589
5号および同4001184号に記載されている。その
多官能性化合物は通常芳香族であり、少なくとも3つの
官能基を有し、それらはカルボニル基、カルボン酸無水
物、フェノール、ハロホルミル、またはそれらの混在し
たものである。それらの多官能性芳香族化合物の例とし
ていくつか挙げると、1,1,1−トリ(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,3,5−トリヒドロキシベン
ゼン、トリメリト酸無水物、トリメリト酸、トリメリチ
ルトリクロリド、4−クロロホルミルフタル酸無水物、
ピロメリト酸、ピロメリト酸二無水物、メリト酸、メリ
ト酸無水物、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などで
あるが、これらに限定されるものではない。好ましい多
官能性芳香族化合物は、1,1,1−トリ(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン、トリメリト酸無水物またはトリ
メリト酸あるいはそれらのハロホルミル誘導体である。
【0070】さらに、米国特許5153276号に記載
の線状ポリカーボネートオリゴマーなどの線状ポリカー
ボネートの使用も本発明の範囲に含まれる。その線状ポ
リカーボネートは各種の公知の方法によって製造するこ
とができ、その方法には、界面重合(F.Millich and C.
Carraher, Jr., eds, Interfacial synthesis, Vol.II,
Marcel Dekker, Inc., New York(1977), Chpt 13 に記
載のものなど)および溶融エステル交換(H.Schnell, C
hemistry and Physics of Polycarbonates, Wiley-Inte
rscience, New York(1964),(sectionIII,3,A,4) に記載
のものなど)がある。
【0071】本発明はさらに、PCおよびEPAのいず
れかまたはその両方に適合する弾性衝撃緩和剤を含有す
る組成物を含むものである。PCおよびPEA用の衝撃
緩和剤は、オレフィン、ビニル芳香族モノマー、アクリ
ル酸およびアルキルアクリル酸ならびにそれらのエステ
ル誘導体、さらには共役ジエンからなる群から選択され
る1以上の単量体から誘導されるのが普通である。特に
好ましい衝撃緩和剤は、室温で弾性を示す天然および合
成の重合体を含む弾性を有する高分子量材料である。そ
れには、ホモポリマーと共重合体の両方があり、その共
重合体にはランダム重合体、ブロック重合体、ラジアル
ブロック重合体、グラフト重合体およびコアシェル重合
体ならびにそれらの組み合わせなどがある。衝撃緩和剤
は官能基を有するものであっても、官能基を有するもの
でなくてもよい。
【0072】本発明に使用可能なオレフィンの重合体お
よび共重合体には低密度ポリエチレン(LDPE)、高
密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレ
ン(LLDPE)、アイソタクチックポリプロピレン、
ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテ
ン)などがある。それ以外のオレフィン共重合体には、
特にエチレンなどの1以上のα−オレフィンと例えば酢
酸ビニル、アクリル酸およびアルキルアクリル酸ならび
に例えば酢酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチ
ルなどのそれらのエステル誘導体等の共重合可能なモノ
マーとの共重合体などがある。金属イオンによって全体
的または部分的に中和されたイオノマー樹脂も好適であ
る。
【0073】本発明に有用なオレフィンエラストマーを
1種類挙げると、α−オレフィンとα,β−不飽和カル
ボン酸のグリシジルエステルとの共重合体がある。その
場合に使用されるα−オレフィンとは、エチレン、プロ
ピレン、ブテン−1などを意味する。それらの中では、
エチレンが好ましい。α,β−不飽和酸のグリシジルエ
ステルは下記一般式(XIV)の化合物である。
【0074】
【化18】 式中、R35は水素原子または低級アルキル基を表す。
α,β−不飽和酸グリシジルエステルの例としては、ア
クリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルなど
がある。エポキシ官能性オレフィンエラストマーは、好
ましくは、エラストマーの組成物の重量を基準として、
α−オレフィンを約60重量%〜約99.5重量%、
α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルを約0.
5重量%〜約40重量%、好ましくは約3重量%〜約3
0重量%含有するオレフィン共重合体である。その量が
約0.5重量%未満の場合、所期の効果を得ることがで
きず、それが約40重量%を超えると、溶融混合時にゲ
ル化が生じて、押出安定性、成形性および製品の機械的
特性に悪影響が生じる。好適なエポキシ官能性α−オレ
フィンエラストマーには、エチレン−アクリル酸グリシ
ジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重
合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル
ターポリマー、エチレン−メタクリル酸グリシジル−ア
クリル酸メチルターポリマー、エチレン−アクリル酸エ
チル−メタクリル酸グリシジルターポリマーなどがあ
る。好ましいエポキシ官能性エラストマーは、イゲタボ
ンド(IGETABOND )およびボンドファスト(BONDFAST)
の商品名で住友化学(株)からと、ロタデール(LOTADE
R )という商品名でエルフ・アトケム(Elf Atochem )
社から市販されている。
【0075】特に有用なクラスの衝撃緩和剤は、ビニル
芳香族モノマーから誘導されるものである。それには、
ABおよびABA型ブロック共重合体、テーパ(tapere
d )共重合体ならびにラジアルブロック共重合体、さら
にはビニル芳香族−共役ジエンコアシェルグラフト共重
合体などがある。
【0076】特に好ましい下位クラスのビニル芳香族モ
ノマー誘導樹脂は、モノアルケニルアレン(通常スチレ
ン)ブロックと共役ジエン(例えば、ブタジエンまたは
イソプレン)またはオレフィン(例えば、エチレン−プ
ロピレン、エチレン−ブチレン)ブロックを有するブロ
ック共重合体であり、ABおよびABAブロック共重合
体と表わされる。その共役ジエンブロックは部分的また
は全体的に水素化されることで、性質がオレフィンブロ
ック共重合体と類似したものとすることができる。
【0077】好適なAB型ブロック共重合体は、例えば
米国特許3078254号、同3402159号、同3
297793号、同3265765号および同3594
452号、ならびに英国特許1264741号に開示さ
れている。代表的な種類のABブロック共重合体の例と
しては、ポリスチレン−ポリブタジエン(SBR)、ポ
リスチレン−ポリ(エチレンプロピレン)(S−E
P)、ポリスチレン−ポリイソプレンおよびポリ(α−
メチルスチレン)−ポリブタジエンなどがある。そのよ
うなABブロック共重合体は、フィリップス・ペトロレ
ウム社からソルプレン(SOLPRENE)の商品名で、シェル
・ケミカル社からクラトン(KRATON)の商品名で、そし
て(株)クラレからセプトン(SEPTON)の商品名でな
ど、多くの供給元から市販されている。
【0078】さらに、所望であれば、ABAトリブロッ
ク共重合体ならびにそれの製造および水素化の方法が、
米国特許3149182号、同3231635号、同3
462162号、同3287333号、同359594
2号、同3694523号および同3842029号に
開示されている。
【0079】トリブロック共重合体の例としては、ポリ
スチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、
ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SI
S)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−
ポリ(α−メチルスチレン)ならびにポリ(α−メチル
スチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレ
ン)などがある。特に好ましいトリブロック共重合体
は、シェル・ケミカル社からカリフレックス(CARIFLE
X)およびクラトン(KRATON)の商品名で市販されてい
るものである。
【0080】別の種類の有用な衝撃緩和剤は、共役ジエ
ンから誘導される。共役ジエンを有する多くの共重合体
について上記で議論してきたが、別の共役ジエン緩和剤
樹脂には、例えばポリブタジエン、ブタジエン−スチレ
ン共重合体、イソプレン−イソブチレン共重合体、クロ
ロブタジエン重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共
重合体、ポリイソプレン等の1以上の共役ジエンのホモ
ポリマーおよび共重合体などがある。エチレン−プロピ
レン−ジエンモノマーゴム(EPDM)も使用できる。
それらは、最も多いエチレン単位、中程度の量のプロピ
レン単位および約20モル%以下の非共役ジエンモノマ
ー単位を有してなるものと分類される。それらの重合体
も、酸、オキサゾリン、オルトエステル、エポキシ、ア
ミンまたは酸無水物などの反応性基を有することができ
る。多くのEPDMおよびそれらの製造方法について
は、米国特許2933480号、同3000866号、
同3407158号、同3093621号および同33
79701号に開示されている。
【0081】他の好適な衝撃緩和剤は、コアシェル型の
グラフト共重合体である。通常、最も多いものとしての
共役ジエン弾性コアまたは架橋アクリレート弾性コア
と、その上に重合しモノアルキルアレンおよび/または
アクリル酸モノマー単独あるいは好ましくは他のビニル
モノマーとの組み合わせたものから誘導される1以上の
シェルを有する。それらの衝撃緩和剤のシェルはさら
に、例えば酸、エポキシ、オキサゾリン、オルトエステ
ル、エポキシ、アミンまたは酸無水物などの反応性基を
有することができる。コアシェル共重合体は、ペレット
および粉末の形態で広く市販されていて例えばローム・
アンド・ハース社のEXL−3330、EXL−369
1、EXL−2600、EXL−2607、EXL−2
647、EXL−3386およびEXL−3607など
の等級のものがあり、米国特許3808180号、同4
034013号、同4096202号、同418049
4号および同4292233号に記載されている。
【0082】使用される樹脂のインターペネトレーティ
ングネットワークがコアとシェルとの間の界面を特徴と
するコアシェル共重合体も有用である。それに関して特
に好ましいものは、GEプラスチックス社からゲロイ
(GELOY )の商品名で販売されているASA型共重合体
であり、それは米国特許3944631号に記載されて
いる。さらに、上記の重合体と、官能基および/または
極性基もしくは活性基を有するモノマーと共重合したあ
るいはそのモノマーがグラフトされた共重合体を使用す
ることができる。最後に、他の好適な衝撃緩和剤には、
チオコールゴム、ポリスルフィドゴム、ポリウレタンゴ
ム、ポリエーテルゴム(例えば、ポリプロピレンオキサ
イド)、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、熱
可塑性ポリエステルエラストマーおよび熱可塑性ポリ
(エーテル−エステル)およびポリ(エステル−アミ
ド)エラストマーなどがある。
【0083】衝撃緩和剤その他の樹脂材料の割合は、広
範囲で変わるものである。衝撃緩和剤の量はその組成物
の延性を向上させることができる量である。衝撃緩和剤
を使用する場合、それは組成物の総重量を基準として、
約20重量%以下で存在させるのが普通である。
【0084】補強充填剤を加えることも、本発明の組成
物については考えられる。好適な補強充填剤は、混合物
組成物の剛性を向上させるものである。その中でも、繊
維状材料が好ましく、特に低アルカリEガラスから得ら
れる繊維径約8μm〜約20μmのガラス繊維が好まし
い。最終成形部分におけるそのガラス繊維の長さは、例
えば約0.01mm〜約5mmであるのが普通である。
ガラス繊維はロービングとしてあるいはチョップドまた
はミルドガラス繊維として使用することができ、好適な
仕上げ材およびシランに基づく接着プロモータ(promot
er)もしくはプロモータ系を有することができる。補強
充填剤の量は、組成物の総重量基準で、約5重量%〜約
60重量%であることが有利であり、特に約10重量%
〜約40重量%とする。
【0085】炭素繊維、チタン酸カリウム単結晶繊維、
珪灰石、石膏繊維、酸化アルミ繊維、またはアスベスト
などの他の繊維状強化材料も使用できる。ガラスビー
ズ、中空ガラスビーズ、タルク、雲母、チョーク、石英
および天然もしくはか焼カオリンなどの非繊維状充填剤
も、ガラス繊維と組み合わせた場合に、好ましい充填剤
である。それらの後者の充填剤にはガラス繊維同様、仕
上げ材および/または接着プロモータもしくは接着プロ
モータ系を加えることができる。利用場面によっては、
タルク、雲母および板状カオリンなどの板状構造を有す
る非繊維状充填剤とガラス繊維との組み合わせが、加工
時の型充填の方向にガラス繊維が配列することから、最
終組成物の異方性を低下させる上で特に好ましい場合が
ある。非繊維状充填剤の量は、組成物全体の総重量を基
準として、0%〜約50重量%の範囲とすることができ
る。
【0086】本発明の組成物にはさらに、少なくとも一
つのアルケニル芳香族化合物重合体が含有されていても
よい。その種の好適な重合体は、塊重合、懸濁重合およ
び乳化重合などの当業界では公知の方法によって製造す
ることができる。それには通常、式(XV)のアルケニ
ル芳香族モノマーから誘導される構造単位を少なくとも
25重量%含有される。
【0087】
【化19】 上記式中、R45は水素、低級アルキル基またはハロゲン
であり;Yは水素、ビニル基、ハロゲンまたは低級アル
キル基であり;fは0〜5である。その樹脂には、スチ
レン、クロロスチレンおよびビニルトルエンのホモポリ
マー;スチレンとアクリロニトリル、ブタジエン、α−
メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベン
ゼンおよび無水マレイン酸などの1以上のモノマーとの
ランダム共重合体;ならびに混合物およびグラフトを有
してなるゴム変性ポリスチレン(その場合、ゴムはポリ
ブタジエンあるいは約98〜65%のスチレンと約2〜
35%のジエンモノマーとの弾性共重合体である)など
がある。そのゴム変性ポリスチレンには、ハイインパク
トポリスチレン(一般には、HIPSと称される)など
がある。リニアブロック、ラジアルブロックおよびテー
パブロックの共重合体構造を有するスチレンとブタジエ
ンの非エラストマーブロック共重合体組成物も使用でき
る。それらは、フィナクリア(FINACLEAR )樹脂の商品
名でフィナ・オイル(Fina Oil)社から、さらにはKレ
ジンズ(K-RESINS)の商品名でフィリップス・エンジニ
アリング・レジンズ(Phillips Engineering Resins )
社から市販されているものなどがある。
【0088】アルケニル芳香族化合物を含有させる場合
には、組成物全体の重量を基準として、約1〜約25重
量%、好ましくは約5〜約15重量%の範囲で用いる。
【0089】本発明はさらに、難燃剤、液滴抑制剤(dr
ip retardant)、染料、顔料、着色剤、安定化剤、静電
気防止剤、凝集剤、可塑剤および潤滑剤からなる群から
選択される1以上の添加剤を有効量で使用することをも
含むものである。その有効濃度および添加方法も含め
て、それらの添加剤は当業界で知られているものであ
る。その添加剤の有効量は広範囲の値を取り得るが、通
常は組成物全体の重量を基準として、約0.1〜50重
量%で存在させる。
【0090】本発明のポリカーボネート/ポリエステル
アミド混合物は、原料と製剤中に所望される追加の添加
剤との直接の混合が関与する各種の方法で得ることがで
きる。好適な方法には、溶液混合および溶融混合があ
る。商業規模での重合体処理施設では溶融混合装置が使
用できることから、溶融処理法が好ましい。溶融混合法
で使用される装置の例としては、共回転押出成形機、逆
回転押出成形機、ディスクパック加工装置その他の各種
押出成形装置などがある。場合によっては、混合された
材料をダイスの小さい排出孔を通して押出成形機から出
し、得られた溶融樹脂の糸を水浴を通すことによって冷
却することもある。その冷却された糸を細切して、小さ
いペレットとし、包装やその後の処理を行うことができ
る。
【0091】成分を全て最初に処理システムに加えるこ
とができるか、あるいはある種の添加剤を互いに予備混
合するか、または主要な重合体成分であるポリカーボネ
ート共重合体およびポリエステルアミド共重合体のうち
の一方を予備混合することもできる。ポリカーボネート
および/またはポリエステルアミドを前述の代表的な添
加剤のうちの少なくとも一つと最初に予備混合すること
で、衝撃強度および伸びなどのある種の性質が向上する
場合もあるように思われる。その処理には別個の押出成
形機を使用することができるが、長尺方向に複数の供給
口を有する1個の押出成形機を用いて各種成分を添加で
きるようにすることで、それらの組成物を得ることもで
きる。さらに、供給口間の各部分に少なくとも1個の通
気孔を設けて溶融物の通気(大気圧または減圧)を行う
ことが有利な場合もある。当業者であれば、余分な追加
実験を行わなくとも、混合時間および温度、さらには成
分添加の箇所および順序を調整することができる。
【0092】さらに、本発明の組成物から製造される改
良された成形品も本発明のさらに別の実施態様を提供す
ることは明らかである。
【0093】本発明による混合物は、ポリカーボネート
(PC)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)
の相当する混合物より有利な性質を多く提供するもので
ある。第1に、ポリカーボネート/ポリエステルアミド
混合物中の両方の重合体のヴィカー温度またはガラス転
移温度は、PC/PBT混合物の場合より高い。それ
は、PBT−PC間よりPEA−PC間の不適合度が高
いためであると考えられる。しかしながら、エステル交
換は相間の適合性を高めることで混合物のPC相のガラ
ス転移温度を低下させることから、注意を払ってPCと
PEAのエステル交換があまり起こらないようにしなけ
ればならない。
【0094】
【実施例】
<実施例1> 1.ポリブチレンテレフタレート(PBT) N2 導入管、撹拌機および減圧装置を取り付けた1.3
リットルのステンレス製反応容器中でPBTの重合を行
った。DMT200g(1.03モル)、BDO186
g(2.06モル)およびTi(OC374 3.7
5ml(0.175モル)を加熱して160℃としてか
ら、1.5℃/分の速度で昇温して255℃とした。約
255℃で徐々に減圧して15〜20ミリバールとし
(15分間)、さらに0.1〜0.4ミリバールとした
(60分間)。冷却および減圧解除後に、重合体を取り
出した。その融点は222℃であり、結晶化温度は18
6℃であって、25℃で0.5g/dlのフェノール/
テトラクロロエタン(体積比50:50)溶液として測
定したηinh は1.39dl/gで分子量93000に
相当した。
【0095】2.T4T−ジメチル テレフタル酸ジメチル88g、DMF210mlおよび
トルエン210mlを、ディーン・スタークトラップ、
冷却管、撹拌機および窒素導入管が装着されて油浴加熱
された1リットルガラス反応容器に入れ、窒素雰囲気下
に加熱して約140℃とした。1,4−ジアミノブタン
8gおよびLiOCH3 0.65gを加えた。その溶液
を約140℃で約4時間撹拌したところ、その間に沈殿
が生成した。その沈殿を熱濾過し、熱トルエンおよび熱
メタノールで洗浄して、約175℃で1時間乾燥した。
収率は82%であった。
【0096】3.T2T−ジメチル 1,4−ジアミノブタンに代えて1,2−ジアミノエタ
ンを使用し、LiOCH3 0.95gを使用した以外
は、T4T−ジメチルの場合と同じ手順を行った。収率
は72%で、融点は295℃であった。
【0097】4.T6T−ジメチル 1,2−ジアミノエタンに代えて1,6−ジアミノヘキ
サンを使用した以外は、T2T−ジメチルの場合と同じ
手順を行った。収率は79%で、融点は234℃であっ
た。
【0098】5.T4T−ジメチルの純度 T4T−ジメチルは、1.5繰り返し単位のポリアミド
4,Tを有すると考えることができる。T4T−ジメチ
ルについて用いた手順により、不可避的に、2.5(=
T4T4T−ジメチル)および3.5繰り返し単位を有
するものが製造される可能性があり、それによってP44
共重合体においては、e=2、3等を持った部分が生じ
る。反応時に生成した沈殿のため、T4T4T−ジメチ
ルより高いオリゴマーの部分は大きくない。13C−NM
Rにより、4T4のシークエンスを定量することが可能
であり、それによって生成物のT4T−ジメチル含有量
に関して生成物の純度を求めることができる。従って、
T4T−ジメチルで用いた手順を繰り返したが、トルエ
ン/DMFの比を変えた。その比を上昇させると、T4
T4Tの量は低下した。ただし、反応収率も同様に低下
した。収率およびT4T−ジメチルに対するトルエン/
DMFの効果を示すデータを表1に示す。
【0099】
【表1】 6.T4T−ジメチル合成用のリチウムアルコラート リチウムアルコラート触媒は、アルコールのトルエン溶
液とLiHまたは金属リチウムとの反応によって合成し
た。その方法により、いくつかの触媒を得て、その活性
をビスエステルジアミド反応で調べた。この例により、
例えばジメチルアミノプロパノールおよび他の類縁アル
コールなどの、好ましくは高沸点であるかまたは電子供
与基を有する線状脂肪族アルコールまたはジオールがT
4T−ジメチルの合成において活性な触媒を生成するこ
とができることが確認された。下記の表2は、最小触媒
含有量で得られた収率を示す。
【0100】
【表2】 7.T4T−ジメチルの合成品からのP44-5 ディーン・スタークトラップ、冷却管、撹拌機、窒素導
入管および減圧口を有する1リットルのガラス反応容器
に、テレフタル酸ジメチル337g(1.735モ
ル)、T4T−ジメチル37g(0.089モル)およ
び1,4−ブタンジオール(BDO)263gを入れ
た。油浴を用いてその内容物を加熱して165℃とし、
撹拌しながら溶解させた。Ti(OC494 0.4
6ccを加え、メタノールの留去を開始した。30分以
内に温度を235℃まで上昇させた。蒸留物160ml
を回収した後、ディーン・スタークトラップと冷却管
を、冷却トラップの付いた真空ラインに代えた。徐々に
減圧して圧力を約5mmHgとした。粘度が上昇し始め
たところで温度を250℃まで上げ、圧力を約0.1m
mHgまで低下させた。溶融が始まって撹拌機周囲に巻
き付くようになったところで重合を停止した。DSC
(20℃/分)中での2回目の加熱走査の最大ピークと
して測定したその重合体の融点は226℃であった。連
続冷却走査(20℃/分)から得られた結晶化温度は1
90℃であった。m−クレゾール/クロロホルム(10
/90)中40℃でGPCによって測定した分子量は、
PS較正標準線を基準として93000であった。
【0101】8.T4T−ジメチル合成品からのP44-1
0 DMT300g、T4T−ジメチル74gおよびBDO
263gから始めて、P44-5の場合と同様の手順を行っ
た。得られた重合体の融点は231℃であり、結晶化温
度は190℃で、分子量(GPC)は81000であっ
た。
【0102】9.T4T−ジメチル合成品からのP44-1
5 P44-5の場合と同様の手順を行って、P44-15を得た。
その融点は239℃であり、結晶化温度は219℃で、
分子量は71000であった。
【0103】10.T4T−ジメチル合成品からのP44
-20 DMT226g、T4T−ジメチル148gおよびBD
O263gから始めて、P44-5の場合と同様の手順を行
った。最終的な共重合体の融点が252℃と高かったた
めに、最終重合温度を約260℃まで上昇させなければ
ならなかった。その結晶化温度は222℃であり、分子
量は34000であった。窒素雰囲気下で240℃での
24時間の後縮合により、分子量70000となった。
【0104】P44ー10 、P44ー20 およびP44ー25 は、P
BTの場合と同様にして重合させた。例えば、P44ー20
の場合、T4T−ジメチル100g(0.242モ
ル)、DMT142g(0.729モル)およびBDO
217g(2.43モル)を180℃で溶かした。Ti
(OC374 3.75ml(0.175モル)と加
えた後、その混合物を180℃で30分間エステル交換
させ、次に10分毎に15℃ずつ加熱昇温させて255
℃とした(P44ー25 の場合265℃)。255℃におい
て徐々に減圧した(15〜20ミリバールで15分間、
0.1〜0.4ミリバールで15分間のみ)。得られた
プレポリマーはまだ脆く、粉砕して固体状態での後縮合
に供するのは容易であった。P44ー10 、P44ー20 および
P44-25 は、減圧下にその融点(表3のTm−2)より
15℃低い温度で固体状態で後縮合させた。固有粘度
は、ηinh からηinh-Aに上昇した。それらの実験の結
果を以下の表3にまとめた。
【0105】
【表3】 固有粘度ηinh は、0.5g/dlのフェノール/テト
ラクロロエタン(モル比50:50)溶液で25℃にて
測定した。融点Tm −2および結晶化温度Tcは、DS
C(20℃/分)でそれぞれ2回目の加熱走査および冷
却走査時のピーク最大値から求めた。アミド単位の均一
度は、トリフルオロ酢酸(TFA−d)中での13C−N
MRによって測定した。アミノ(NH2 )末端基および
カルボン酸(COOH)末端基の含有量は滴定によって
測定した。
【0106】11.T6T−ジメチル合成品からのP46
-10 DMT300g、手順4に従って得たT6T−ジメチル
74gおよびBDO263gから始めて、P44-5の場合
と同様の手順を行った。得られた重合体の融点は213
℃であり、結晶化温度は178℃で、分子量は8400
0であった。
【0107】12.in situ で製造したT4T−ジメチ
ルからのP44ー5 撹拌子(anchor stirrer)、トルク計、ディーン・スタ
ークトラップ、冷却管および窒素導入管を装着した2リ
ットルのステンレス製反応容器に、DMT790gおよ
び乾燥1,4−ジアミノブタン17.9gを加え、加熱
して約175℃とした。その混合物が溶融して透明にな
ったら(ガラス挿入物によって見ることができる)直ち
に非常に微小な沈殿が生成し、メタノールを留去した。
反応を約1時間継続した後、BDO557gおよびTi
(OC494 1.1gを加えた。温度を再度調整し
て約165℃とし、その温度で約20分間維持した。温
度を1℃/分で昇温して250℃としながら、メタノー
ルと続いてブタンジオールを留去した。その温度で徐々
に減圧して約15分以内に<1ミリバールとした。トル
ク読み取り値が最大となるまで重合を続けた後、減圧を
解除し、底のバルブを開けて重合体糸を水浴を通して引
き出した。その重合体は融点が226℃であり、結晶化
温度が188℃であり、分子量が59000であった。
60℃でHClO4 のm−クレゾール溶液を用いた電位
差滴定によって測定した残留アミンの量は、22μeq
/gであった。
【0108】13.アミド塩を介してのP44-10 1,4−ジアミノブタン106g(1.2モル)および
テレフタル酸200g(1.2モル)を、60℃で脱無
機物水1リットルに溶かした。室温まで冷却し、エタノ
ール2リットルを加えたら塩が析出した。濾過、エタノ
ール洗浄および乾燥後、「4T」塩287gが得られ
た。その塩についてNMRで特性決定を行い、その窒素
含有量を求めた。ジアミノブタン:テレフタル酸の比は
1:1(モル比)であった。2リットルのステンレス製
反応容器に、DMT790g、「T4」塩140g、B
DO557gおよびTi(OC494 1.1gを入
れ、加熱して約175℃とした。メタノールの留去を開
始し、温度を約1.5時間で約250℃まで上昇させ
た。約210℃で塩が消失した。減圧下(<1ミリバー
ル)に重合を1.5時間継続した後、トルクの読み取り
値は最大となり、重合を停止して、重合体を反応容器か
ら回収した。その融点は233℃であり、結晶化温度は
192℃であり、分子量は55000であって、HCl
4 滴定値は49μeq/gであった。
【0109】<実施例2>PBTまたは上記のP44類の
いずれかを39.43部、PC145を50.19部、
MBSゴムを7.5部、熱、光、およびエステル交換安
定化剤0.878部、ならびにTiO2 0.5部を含有
する混合物をツインスクリュー押出成形機で265℃に
て混ぜ、射出成形を行って試験サンプルを得て、以下の
ような物性を得た。
【0110】
【表4】 *窒素雰囲気下で230℃にて24時間の後縮合後 表4から、PC/P44混合物の方が、相当するPC/P
BT混合物よりヴィカー軟化点がかなり高かったと言う
ことができる。その軟化点はPC相のガラス転移に関係
することから、PBTよりP44の方がPC相の可塑化の
程度が低いことが明らかである。それは、PCとPBT
の場合と比較して、PCとP44の場合の方が混和性が低
いためであると考えられる。上記の表の機械的特性か
ら、驚くべきことに、適合化が必要になるほど混和性は
低下しないことが明らかになった。ヴィカー温度が高く
なることで、それらの混合物は特にペイント・オーブン
(paint oven)の耐熱性が向上することから、自動車関
係の用途での有用性が高いものとなる。
【0111】<実施例3>PBT(ηinh1.39dl
/g)およびP44-20 (ηinh 0.58dl/g)を各
種比率で、DSM−オランダ社(DSM-Holland )作製の
4ccツインスクリュー押出成形機を用い、約30RP
Mのスクリュー回転速度にて、270℃で滞留時間を約
2分間として、溶融混合した。エステル交換防止のた
め、亜リン酸トリフェニル(TPP)を0.74重量%
で加えた。それらの混合物において、260℃〜270
℃までの第1回走査と25℃への急冷後に行ったDSC
での2回目加熱走査(20℃/分)から、PC相のガラ
ス転移温度を測定した。その温度データを表5に示し
た。
【0112】
【表5】 この表から、P44がPBTほどPC相のガラス転移を低
下させず、その効果はPC含有量を低下させるとより顕
著になると言うことができる。そのこともやはり、PC
とPBTの場合と比較して、PCとP44の混和性が低い
ことを示すものである。しかしながら、混和性は重合体
が不適合となるほどには低下しない。
【0113】<実施例4>PC(商品名レキサン(Lexa
n )145、ジェネラル・エレクトリック社製)の混合
物におけるPBT相またはP44相の結晶化温度(Tc )
を、各種冷却速度でのDSCで測定した。実施例3に記
載のPC(レキサン145)90%または70%とPB
TまたはP44-20 との混合物を実施例3の条件下で生成
し、DSCで加熱して260〜270℃とし、その温度
で1分間維持してから、25℃まで急冷し、20℃/分
で昇温して再度260〜270℃とし、各種速度で冷却
した。PC混合物中のPBTまたはP44-20のその最後
の結晶化温度(℃)でのピーク最大値から結晶化温度を
得た。結晶化データを表6に示す。
【0114】
【表6】 このデータが示す通り、PBTはP44とは対照的に、P
Cリッチな混合物では結晶性が悪い。それはさらに、P
CとPBTの場合と比較して、PCとP44の溶融状態の
ものは混和性が低いことを示している。PC/P44混合
物の場合、PC/PBT混合物と比較して射出成形時の
サイクル時間が短くなると予想できる。溶融状態での混
和性が低いことから、エステル交換を起こす傾向が低い
ことが予想され、従ってエステル交換防止剤の必要性が
低減される。
【0115】<実施例5> P44とPCEまたはPPCの混合物 使用されるポリエステルカーボネートは、下記の比率で
BPA、「炭酸」、イソフタル酸およびテレフタル酸か
らなるランダム共重合体である。
【0116】
【表7】 PBTまたはP44-15 40部と、PC145 またはPCE
またはPPC60部を含有する混合物を、押出成形およ
び射出成形した。いずれの混合物も、エステル交換を抑
制するためにリン酸0.078部を含有している。以下
の表に示した特性を得た。Tm およびTc は押出成形し
た粒状物を用いたDSCによって測定し、他の特性は射
出成形サンプルについて測定した。
【0117】
【表8】 表8のデータは、相当するPBT含有混合物と比較した
場合のPEA含有混合物の熱的特性が向上しているが、
重要な機械的特性にはさほど影響がないことを示してい
る。透過型電子顕微鏡による検査は、PBT含有混合物
と比較してP44の方が形態的に粗いことを示している。
それは混合の相手化合物が不適合とならない程度の混和
性の低下に関係するものであることは明らかである。P
CEと比較してPPCの効果が大きいことは、そのエス
テル含有量の差を考慮すれば驚くべきことである。
【0118】熱垂下は、水平に取り付けられたテンシル
・バー(tensile bar )(ISO)の一端をクランプ留
めし、120℃で1時間にわたりそれ自体の重量によっ
て下方に曲げさせることで測定した。自由端の鉛直方向
の移動を「熱垂下」と呼び、それはペイント・オーブン
中での材料の挙動の指標となる。
【0119】P44中のアミド含有量の効果 PBT、P44-10 、P44-20 およびP44-25 をPC(レ
キサン145)と混合した: ・2重量%の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
−2−プロパノール溶液を用いて混合物成分の溶液鋳造
(solution casting)を行った。得られたフィルムを約
25℃で終夜乾燥し、次に減圧下に約150℃で約5時
間乾燥した。
【0120】・13g/dlの熱フェノール/テトラク
ロロエタン(モル比50:50)溶液を用いて混合物成
分の溶液沈殿を実施した。その溶液をエタノール中で沈
殿させ、洗浄し、減圧下に約60℃で終夜乾燥した。
【0121】・30rpm、270℃および約2分間の
滞留時間という条件で、4ccのDSE小型押出成形機
を用いて、溶融混合(直接または沈殿後)を行った。溶
融物中でのエステル交換反応を防止するために、亜リン
酸トリフェニル(TPPi)を加えた場合もあった。
【0122】混合後、PC相のガラス転移温度(PC相
のTg)を、示差走査熱量法(DSC)によって測定し
た。PC相のTg は、最初の加熱走査(20℃/分)か
ら得た。
【0123】<実施例6> PC混合物のガラス転移上の混合比の効果 PBTおよびP44-20をそれぞれ、30rpm、270℃
および約2分間の滞留時間という条件で、4ccのDS
E小型押出成形機中でPCおよびTPPiと直接に溶融
混合した。混合後、PC相のガラス転移温度(PC相の
Tg )をDSCによって測定した。PC相のTg は26
0℃(PC/PBT)または270℃(PC/P44-20
)から25℃への急冷後における2回目の加熱走査
(20℃/分)から得た。
【0124】<実施例7> PCリッチ混合物中でのPBTおよびP44-20 の結晶化
速度 混合比90/10および70/30重量%のPC/PB
TおよびPC/P44-20 の結晶化挙動を、各種冷却速度
でのDSCによって測定した。混合物を先ず260℃
(PC/PBT)および270℃(PC/P44-20 )ま
で加熱し、1分間その温度に維持した後に、25℃まで
冷却した。PBTおよびP44-20 の結晶化温度(Tc )
は、その冷却走査時のピーク最大値から得た。さらに、
PC(レキサン145)樹脂のガラス転移温度(Tgc)
は、260℃からの冷却時に測定した。
【0125】
【表9】 PBTおよびP44-20 の融点(Tm )は、#で示したサ
ンプル(20℃/分での2回目の加熱走査)を除き、D
SCでの最初の加熱走査時(20℃/分)に測定した。
PBTおよびP44-20 の結晶化温度(Tc )は、DSC
での冷却走査時(20℃/分)に測定した。PC相のガ
ラス転移温度(PCのTg )は、DSCの最初の加熱走
査(20℃/分)時に測定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 レイナウト ヤープ ハイマンス オランダ国 7548 ペーイクス エンシエ ーデ ケイゼルフェーホ 25 (72)発明者 ヨハネス ヒューベルトス ヘー. ロー メイヤ オランダ国 4631 ハーセー ホーヘルヘ イデ ローレンツシュトラート 3 (72)発明者 イリアス ニホラス ママリス ベルギー国 2930 ブラスシャート ザン ト 12 (72)発明者 ゲイリー フランシス スミス アメリカ合衆国 47711 インディアナ州 エヴァンスヴィル サレー ウエイ 4571 (72)発明者 アントワネット セー. ファン ベネコ ム オランダ国 7545 ゼットフェー エンセ デ レンブラントラーン 362

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A.下記式の構造単位を有するポリカー
    ボネート樹脂と、 【化1】 (式中、R3 は2価の有機基である) B.下記式(I)のアミドおよび下記式(II)のエス
    テルによって表される単位から誘導される実質的に脂肪
    族のポリエステルアミド樹脂と 【化2】 を含んで成るポリカーボネートおよびポリエステルアミ
    ドの熱可塑性樹脂混合物。
  2. 【請求項2】 R3 が下記式(V)の構造を有する請求
    項1記載の熱可塑性樹脂混合物。 (V) −A1 −Y−A2 − (式中、A1 およびA2 はそれぞれ独立に単環式2価芳
    香族基であり、Yは1または2個の原子がA1 とA2
    隔てる連結基である。)
  3. 【請求項3】 (I)の(II)に対する比が1:1未
    満である請求項1記載の熱可塑性樹脂混合物。
  4. 【請求項4】 (I)が、下記一般式(III)のアミ
    ン基1以上と、カルボキシル基を形成できる部分を1以
    上有しかつ下記式(IV)の構造を有し該アミンと反応
    できる化合物との間の反応から誘導される請求項1記載
    の熱可塑性樹脂混合物。 【化3】 (上記式中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立
    に、水素、C1ー20アルキレン基またはC6-20のアリーレ
    ン基であることができる。ただしR1 、R2 またはR3
    のうちの1以上がさらに、水酸基、アミン、カルボン
    酸、イミド、酸無水物、エステル、エポキシ、カルボン
    酸塩およびそれらの混在したものからなる群から選ばれ
    る1以上の反応性部分を有し、R4 はアミン、水酸基、
    カルボン酸、イミド、酸無水物、エステル、エポキシ、
    カルボン酸塩またはそれらの混在したものからなる群か
    ら選ばれる1以上の反応性部分を有するC1ー20アルキレ
    ン基またはC6-20のアリーレン基であり、Xは求核剤に
    よって置換され得る脱離基である。)
  5. 【請求項5】 式(I)の単位の80%以上が式(I
    I)の単位の1以上によって隔てられている請求項4記
    載の熱可塑性樹脂混合物。
  6. 【請求項6】 (II)が下記式(IV)の単位および
    下記式(VI)の単位から誘導される請求項1記載の熱
    可塑性樹脂混合物。 【化4】 (上記式中、Xは(VI)によって置換され得る脱離基
    であり;R4 およびR5はそれぞれ独立にアルキル基ま
    たはアリール基であり、それぞれ水酸基、カルボン酸、
    カルボン酸の低級アルキルまたはアリールエステル、エ
    ポキシ、カルボン酸アンモニウム塩または酸無水物から
    選択される部分を有する。)
  7. 【請求項7】 混合物のヴィカー軟化点が、相当するポ
    リカーボネートおよびポリエステルの混合物より高い請
    求項1記載の熱可塑性樹脂混合物。
  8. 【請求項8】 前記混合物中のポリカーボネート相のガ
    ラス転移温度が、相当するポリカーボネートおよびポリ
    エステルの混合物のガラス転移温度より高い請求項1記
    載の熱可塑性樹脂混合物。
  9. 【請求項9】 (IV)が脱離基Xを有するカルボン酸
    またはカルボン酸誘導体であり;R4 がそれぞれ炭素数
    1ないし12のアルキル基またはアリール基であり;各
    4 がさらに、水酸基、カルボン酸ならびにカルボン酸
    の低級アルキルまたはアリールエステルからなる群から
    選択される部分を一つ有する請求項6記載の熱可塑性樹
    脂混合物。
  10. 【請求項10】 1.下記式(I)の単位と、式(I
    I)の単位およびジオールとを反応させて、実質的に脂
    肪族のポリエステルアミド樹脂を製造する工程と、 【化5】 2.該ポリエステルアミド樹脂を下記式の構造単位を有
    するポリカーボネート樹脂と混合する工程と 【化6】 (式中、R3 は2価の有機基である)を有するポリカー
    ボネートおよびポリエステルアミドの混合物の製造方
    法。
JP4472696A 1995-03-01 1996-03-01 ポリカーボネートおよびポリエステルアミドの混合物 Withdrawn JPH08253668A (ja)

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