JPH0825292A - カム駆動式シート材穿孔装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 駆動力の伝達方法にカムホルダを使用したシ
ート材穿孔装置の欠点を解消して、信頼性の高いカム駆
動式シート材穿孔装置を提供する。 【構成】 駆動軸に固定され、パンチを往復駆動する偏
心カムと、該偏心カムの外周に装着されたカムホルダ
と、パンチが嵌入されるガイド部を有するパンチガイド
と、カムホルダの変形と水平方向の回転を防止する固定
手段とからなることを特徴とするカム駆動式シート材穿
孔装置である。そして、カムホルダの変形と回転を防止
する手段が、パンチガイドの外周形状を円形以外とし、
押え板をダボを有する平板部と、パンチガイドの外周に
位置する垂下部とからなるＬ字形状とするシート材穿孔
装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として用紙や合成樹
脂製のシート材に綴じ孔を穿孔するのに用いられるカム
駆動式シート材穿孔装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】コピーした用紙等のシート材をファイル
する時には、綴じ孔を穿孔する必要がある。従来、この
綴じ孔を穿孔する方法としては、コピーした複数枚の用
紙の端部を人手でそろえ、孔明機（通称パンチまたは手
動パンチと呼ばれる）によって穿孔する方法が多用され
ているが、孔明機を用いて手動で穿孔するには、用紙の
端部を人手で揃えたり、穿孔する位置を確認したり等の
煩わしさがある。近年事務用機器が発達するのに伴っ
て、事務用機器に孔明機を内蔵してシート材を処理する
のとほぼ同時に綴じ孔を穿孔して、人手で作業をすると
いう煩わしさを排除したいという要望が生じてきた。

【０００３】このような要望に応じるため、種々の穿孔
装置が多数開発されたが、このシート材に綴じ孔を穿孔
するための従来の穿孔装置の一例として、実開昭６３−
７４９８号で開示されているような穿孔装置も知られて
いる。そして、このような従来の穿孔装置の一般的な構
造は図５に示すように、先端に穿孔刃を有するパンチ
が、パンチの駆動手段としての駆動軸に固定された偏心
カムに押圧されてパンチガイドの内径面を往運動して穿
孔し、穿孔後はパンチガイドとパンチの頭部との間に装
着された復帰ばねの付勢力によって待機位置まで復運動
をするものである。

【０００４】したがって、このような構造のシート材穿
孔装置では、パンチはシート材に穿孔した後、待機位置
に復帰する際復帰ばねの付勢力によって押し上げられ
る。したがって、復帰ばねはパンチの復運動時のみに作
用するものであり、穿孔するための往運動時には復帰ば
ねの付勢力に逆らって圧縮してやらなければならないた
め、駆動源に余分の負荷が生じるので、それに応じて、
駆動源も大きな駆動力が出せる大型のものが必要にな
る。このようなカム駆動式の穿孔装置の不具合を解消し
て、比較的小さい駆動力で穿孔できる装置として、偏心
カムによって生ずる往復運動をパンチに伝達すると共
に、カムホルダを利用してパンチの頭頂を偏心カムの外
周で押圧し、パンチを往復運動させる穿孔装置が開示さ
れた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】図４に通常のカムホル
ダ式の穿孔装置の概要を示す。偏心カムの外周に設置す
るカムホルダには、その下側の面にパンチを挟持する隙
間と孔部が設けてあり、この孔部にパンチの首部をはめ
込む構造となっているものが多いが、単にはめ込むだけ
でカムホルダとパンチとは特に固定されておらず、フリ
ーな状態に組み立てられている。したがって、カムホル
ダの内径面には、偏心カムが装着され、その外径が接触
して摺動しながら回転するので、カムホルダは６０°以
上も回転するほどではないにしても、水平方向に回転揺
動が可能であるカムホルダが大幅に揺動回転した場合に
は、駆動軸と偏心カムを締結するためのネジ等と衝突し
て偏心カムが回転しなくなるという問題が生じることが
わかった。

【０００６】さらに、偏心カムがカムホルダの内径面で
回転することによって、カムホルダが図面上の上方に移
動してパンチを待機位置に復帰させる時にカムホルダが
変形し、カムホルダ下面に設けられた隙間が拡がってい
くという不具合もあることが判明した。カムホルダが変
形するとパンチを保持する孔部は、拡がる方向に変形す
るので、当然のことながらパンチが外れてしまい穿孔が
できなくなる。本発明は、上述したような駆動力の伝達
方法にカムホルダを使用したシート材穿孔装置の欠点を
解消して信頼性の高いカム駆動式シート材穿孔装置を提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで本願発明は、上述
したようなカムホルダ式の穿孔装置の不具合を解消する
ため、種々検討してなされたものである。その結果、カ
ムホルダが回転しないようにするためには、回転できな
いように取り付けた部材上に、このカムホルダを装着す
ればよいこと、さらにカムホルダが変形しないようにす
るためには、カムホルダの下側面である平坦部を拘束し
てしまえばよいことに着目してなされたものである。す
なわち、本願の第１発明は、駆動軸に固定され、パンチ
を往復駆動する偏心カムと、該偏心カムの外周に装着さ
れたカムホルダと、前記パンチが嵌入されるガイド部を
有するパンチガイドと、前記カムホルダの変形と水平方
向の回転を防止する固定手段とからなることを特徴とす
るカム駆動式シート材穿孔装置である。

【０００８】さらに第２発明は、カムホルダの変形と回
転を防止する固定手段が、円形以外の外周形状を有する
パンチガイドと、概ねＬ字形状を有し、偏心カムとカム
ホルダとの間に介在し、ダボが形成された平板部および
前記パンチガイドの外周に僅かに間隙をもって装着され
る垂下部とを有する押え板とからなることを特徴とする
第１発明に記載のカム駆動式シート材穿孔装置である。

【０００９】

【作用】本発明において、Ｌ字形状の押え板の一方の面
である平板部のＬ字の内側の面に凸状のダボを設ける。
一方、カムホルダのパンチ側の平坦な面（下側）には、
平板部に設けるダボに対応した位置にダボ孔を設け、ダ
ボ孔にダボを嵌入することによってカムホルダのパンチ
側の面、すなわち平坦部が拡がるような変形を防止する
ことができる。さらにＬ字形状の押え板の他方の面であ
る垂下部は、パンチガイドの外周との間に僅かに隙間を
形成するように装着する。また、パンチガイドの外周
は、円形以外の形状に成形しておくが、この形状は、楕
円形、Ｄカット形および多角形等となる。

【００１０】そして、垂下部が楕円の短径部、Ｄカット
のカット面、または多角形の面部分に位置するように配
置する。そして、上述した平板部に設けたダボとカムホ
ルダに設けられたダボ孔が相互に嵌入されているので、
カムホルダと押え板とは、一体的に固定される。そうす
ると、カムホルダが回転しようとした時、押え板も一緒
に回転するが、押え板の垂下部がパンチガイドの外周に
接触するので、カムホルダが回転しなくなるのである。
したがって、ダボが形成された押え板は、カムホルダの
変形と回転を防止する両方の働きをするのである。

【００１１】パンチガイドの外周が円形であれば、垂下
部は円の回りを回転してしまうので、カムホルダの回転
を防止することができない。垂下部が回転できないよう
にするには、上述した楕円形の短径部、Ｄカット形状の
カット面、多角形の面の位置に配置すれば、楕円形の長
径側や多角形の稜などに垂下部が接触してそれ以上はカ
ムホルダが回転できないのである。となれば、外周が円
形のパンチガイドであっても、垂下部が接触してカムホ
ルダが回転しなくなればよいから、ストッパ的な働きが
できるように凸部を設けたり、ビスを固定する等でも同
じ効果が得られる。本発明でいう円形以外の形状は、こ
のように垂下部が衝突して押え板が回転できなくなる形
状をすべて総称するものである。

【００１２】

【実施例】次に実施例と図面に基づいて本発明を詳細に
説明する。図１，図２，図３は、本発明のカム駆動式シ
ート材穿孔装置の一実施例を示す斜視図、断面図、およ
び組立概念の一部を示す図である。図１，図２，図３に
おいて、先端に穿孔刃先を有する円形のパンチ１には頭
頂の直下の外周にパンチ１とカムホルダ５を連結するた
めの溝部１１を外周を周回するように設けて首部を形成
させる。このパンチ１を図面上の上下方向に駆動させる
ための偏心カム３は駆動軸２に固定して図示しない駆動
源によって回転駆動する。

【００１３】上述した偏心カムの外周に配置されるカム
ホルダ５には、図面上の下側の平坦部に、パンチの保持
孔５２とダボ孔５１、およびパンチの保持孔を貫通する
スリット状の隙間５３を設けた。そして、本発明におい
て最も重要な役割を持つ押え板６は、Ｌ字形状に製作し
た。パンチガイドの外周に位置する垂下部６４は単純な
板状とし、偏心カムと接触する平板部には板厚の下側の
面にパンチの嵌入孔６３とカムホルダのダボ孔５１と対
応させてダボ６２を形成した。そして、まず、パンチ
１、カムホルダ５、および押え板６の３部品を組み立て
る。カムホルダ５を図３に示す矢印方向に押拡げ、バン
チ１の溝部１１をパンチの保持孔５２に一致するように
嵌入した後、カムホルダ５をそのばね効果により、元の
形状復帰させてカムホルダとパンチとを互いに装着す
る。

【００１４】押え板６は、カムホルダ５の平坦部側に挿
入し、パンチの嵌入孔６３にパンチ１の頭頂部を嵌入す
るとともに、ダボ孔５１にダボ６２を嵌入して、この３
部品が組み立てられる。次に駆動軸２に固定された偏心
カム３をカムホルダ５内に挿入するとともに、パンチ１
を、パンチガイド４のガイド部４１に挿入する。偏心カ
ム３の外径寸法は、平板部６１とカムホルダ５の上側の
内径とでなす距離と同一寸法になるように形成してお
く。パンチガイド４は、その外周が正方形となるように
した。

【００１５】このようにして、組み立てた穿孔装置は、
偏心カム３が回転駆動をすることによって、押え板６が
押圧され、パンチ１が駆動してシート材を穿孔する。さ
らに、偏心カム３が回転すると、次には偏心カム３は、
カムホルダ５を上方へ押し上げるように作用し、パンチ
１が再度待機位置に復帰する。穿孔動作の途中で、カム
ホルダ５が水平方向に回転するような力が働いても垂下
部６４がパンチガイド４の外周の稜部に接触すること、
およびダボ孔５１によって、カムホルダ５と押え板が固
定されているのでカムホルダ５は回転しない。また、穿
孔応力等により、カムホルダ５にその内径を押し拡げよ
うとする力が働いてもダボ６２とダボ孔５１が互いに嵌
入されているから、カムホルダ５は変形は生じない。

【００１６】本実施例では、パンチガイド４は、その外
周を正方形に成形したが、このパンチガイド４は、垂下
部６４が接触した時、カムホルダ５が回転しなければよ
いから、楕円形、多角形、Ｄカット形状、その外、スト
ッパとなるものをパンチガイド４の外周に設けても同じ
効果が得られる。さらに、カムホルダ５に直接垂下部６
４に類似する部材を設けたり、ダボ６２を長く伸ばして
ストッパ状にしたり、カムホルダ５の下方に別の板材を
設けてストッパ状にしても同じ効果が得られる。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のカム駆動
式シート材穿孔装置は、カムホルダ式の駆動力伝達機構
に特有の欠点であるカムホルダの回転と変形を防止する
ための手段を設けることにより、駆動力伝達機構を確実
に作動させ、シート材穿孔装置の信頼性を大幅に向上さ
せることができた。さらに、カムホルダの回転と変形を
防止する手段に単純なＬ字形状の押え板の一部をパンチ
ガイドの外周に接触させ、押え板とカムホルダをダボと
ダボ孔によって固定するという極めて簡単な構造によっ
て、コスト的にも負担を増加させないで目的を達成する
ことができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のカム駆動式シート材穿孔装置に係る一
実施例を示す斜視図である。

【図２】本発明のカム駆動式シート材穿孔装置に係る一
実施例を示す断面図である。

【図３】本発明のカム駆動式シート材穿孔装置に係る一
実施例を示す組立概念図である。

【図４】従来のカム駆動式シート材穿孔装置に係り、カ
ムホルダを用いた一例を示す斜視図である。

【図５】従来のカム駆動式シート材穿孔装置に係り、復
帰ばねを用いた一例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ パンチ、１１ 溝部、２ 駆動軸、３ 偏心カム、
４ パンチガイド、４１ ガイド部、５ カムホルダ、
５１ ダボ孔、５２ パンチの保持孔、５３隙間、６
押え板、６１ 平板部、６２ ダボ、６３ パンチの嵌
入孔、６４垂下部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動軸に固定され、パンチを往復駆動す
   る偏心カムと、該偏心カムの外周に装着されたカムホル
   ダと、前記パンチが嵌入されるガイド部を有するパンチ
   ガイドと、前記カムホルダの変形と水平方向の回転を防
   止する固定手段とからなることを特徴とするカム駆動式
   シート材穿孔装置。
2. 【請求項２】 カムホルダの変形と回転を防止する固定
   手段が、円形以外の外周形状を有するパンチガイドと、
   概ねＬ字形状を有し、偏心カムとカムホルダとの間に介
   在し、ダボが形成された平板部および前記パンチガイド
   の外周に僅かに間隙をもって装着される垂下部とを有す
   る押え板とからなることを特徴とする請求項１に記載の
   カム駆動式シート材穿孔装置。