JPH08251080A - エコーキャンセラ - Google Patents

エコーキャンセラ

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Publication number
JPH08251080A
JPH08251080A JP4841495A JP4841495A JPH08251080A JP H08251080 A JPH08251080 A JP H08251080A JP 4841495 A JP4841495 A JP 4841495A JP 4841495 A JP4841495 A JP 4841495A JP H08251080 A JPH08251080 A JP H08251080A
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JP
Japan
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impulse response
signal
echo
value
register
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Pending
Application number
JP4841495A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeaki Suzuki
茂明 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
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Publication of JPH08251080A publication Critical patent/JPH08251080A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エコー経路のインパルス応答が急激に変化し
た場合でも、実際のエコー信号と異なる擬似エコー信号
を発生してエコーが増大することのないエコーキャンセ
ラを得る。 【構成】 受信信号レジスタ7の内容と推定インパルス
応答レジスタ8の内容とのたたみ込み演算がたたみ込み
演算部9で算出され、減算器10は、この算出結果を送
信側入力信号から減算する。減算器の出力は電力算出部
15に入力されて電力が算出される。推定インパルス応
答リセット部では、この電力が送信側入力信号電力算出
部16で算出される電力に比べて、しきい値設定部で設
定されるしきい値以上に大きい場合、推定インパルス応
答レジスタの内容をリセットする。これにより、エコー
経路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコ
ー信号と異なる擬似エコーを発生する要因となる推定イ
ンパルス応答値をリセットするため、エコーが増大する
ことのないエコーキャンセラを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は2線/4線変換部にお
けるインピーダンス不整合によって発生するエコーを消
去するエコーキャンセラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、電話回線は電話端末機への接続を
行う2線回線部分と、中継伝送を行う4線回線部分とか
ら構成されており、2線回線と4線回線の変換部にはハ
イブリッド回路が用いられている。しかし、ハイブリッ
ド回路におけるインピーダンスの完全な整合が困難なた
めに受信信号の一部が送信側に漏洩し、これが長距離回
線ではエコーとなって通話の障害となる。このようなエ
コー現象に対処するためエコーキャンセラが用いられて
いる。エコーキャンセラはエコー経路のインパルス応答
を推定し、推定されたインパルス応答に基づいてエコー
信号に近似した擬似エコー信号を合成し、送信側入力信
号から前記擬似エコー信号を減算することによりエコー
を消去するものである。
【0003】従来、このようなエコーキャンセラとして
図18に示すものがあった。この図は特開平2−305
231に示されたものであり、エコーキャンセラの構成
と、エコーキャンセラの近端側に接続されるハイブリッ
ド回路及び電話端末を併せて示したものである。図にお
いて1は伝送路からの受信信号x(i)が入力される受
信信号入力端子、2は受信信号x(i)が出力される受
信信号出力端子、3はこの受信信号出力端子から出力さ
れる受信信号x(i)を電話端末に伝達し、電話端末か
ら出力される信号を送信信号入力端子に伝達するハイブ
リッド回路、4はハイブリッド回路3に接続された電話
端末、5はハイブリッド回路3から出力された送信側入
力信号y(i)が入力される送信信号入力端子である。
【0004】6は残差信号e(i)が出力される送信信
号出力端子、7は受信信号入力端子1から入力された受
信信号x(i)が入力され所定サンプルを保持する受信
信号レジスタ、8は受信信号出力端子2からハイブリッ
ド回路3を経由して送信信号入力端子5へと至るエコー
経路のインパルス応答の推定値が所定サンプル分格納さ
れた推定インパルス応答レジスタ、9は受信信号レジス
タ7の出力値と推定インパルス応答レジスタ8の出力値
がたたみ込み演算されるたたみ込み演算部、10は送信
信号入力端子5より入力された送信側入力信号y(i)
からたたみ込み演算部9より出力された信号r(i)を
減算処理する減算器、11は減算器10受信信号レジス
タ7及び推定インパルス応答レジスタ8と接続され、残
差信号e(i)が小さくなるように推定インパルス応答
レジスタ8の格納値を逐次更新するインパルス応答推定
部である。
【0005】次に動作について説明する。まず最初に全
体的な動作について説明する。受信信号入力端子1より
入力された受信信号x(i)は受信信号出力端子2より
ハイブリッド回路3に出力されると共に受信信号レジス
タ7に入力される。ハイブリッド回路3に入力された受
信信号は電話端末4に出力される。また、電話端末4よ
り出力された信号はハイブリッド回路3を経由して送信
信号入力端子5に至る。一方ハイブリッド回路3では受
信信号出力端子2より入力した受信信号が送信側に漏洩
し、これがエコー信号となって、送信信号出力端子5へ
と回り込んでしまう。送信信号入力端子5に入力される
送信側入力信号y(i)はこのようなエコー信号と電話
端末からの出力信号が重なりあった信号となる。送信側
入力信号y(i)は送信信号入力端子5に入力された後
減算器10によりエコー消去が行われ、送信信号出力端
子6より出力される。
【0006】さらにエコー消去処理に関して、詳細に説
明する。サンプリング時刻iにおいて、受信信号入力端
子1より入力された受信信号をx(i)とすると、x
(i)は受信信号レジスタ7に入力される。受信信号レ
ジスタ7は常に過去Mサンプル分の受信信号x(i),
x(i−1),…,x(i−M+1)を保持するように
動作する。すなわち、新たな受信信号x(i)を入力す
ると、最も古いサンプル時刻において入力した受信信号
x(i−M)を切り捨て、代わりにx(i)を格納す
る。
【0007】推定インパルス応答レジスタ8には、受信
信号出力端子2からハイブリッド回路3を経由して送信
信号入力端子5へと至るエコー経路のインパルス応答の
推定値が、受信信号レジスタ7と同じサンプル数分、す
なわちMサンプル分格納されている。ここで、サンプリ
ング時刻iにおいて推定インパルス応答レジスタ8に格
納されているインパルス応答推定値をa1(i),a2
(i),…,aM−1(i)とする。ここで、インパル
ス応答とは、電話端末からの信号が出力されない状況下
で、所定パルスを受信信号としてハイブリッド回路に入
力した場合に送信側入力信号として得られる応答をい
う。すると、たたみ込み演算部9では、下式に示すよう
に受信信号レジスタの格納値と推定インパルス応答レジ
スタの格納値とのたたみ込み演算によって、擬似エコー
信号r(i)を算出する。
【0008】
【数1】
【0009】このように算出された擬似エコー信号r
(i)は減算器10に入力され、減算器10では送信入
力端子5より入力した送信側入力信号から、前記擬似エ
コー信号r(i)を減算してエコーを消去する。すなわ
ち、サンプリング時刻iにおける送信側入力信号をy
(i)、擬似エコー消去後の残差信号をe(i)とする
と、下に示す式によりエコー消去が行われる。
【0010】
【数2】
【0011】この残差信号e(i)には実際のエコーと
擬似エコーとの差を示す信号及び電話端末4からの出力
信号が含まれる。
【0012】インパルス応答推定部11では、上記残差
信号e(i)が小さくなるように推定インパルス応答レ
ジスタ8の格納値を逐次更新する。更新の方法には一般
に学習同定法が用いられる。学習同定法によると、イン
パルス応答推定値a1(i),a2(i),…,aM−
1(i)は以下に示す式によって更新される。
【0013】
【数3】
【0014】この式においてαは0〜1までの正の値を
とる係数であり、状況に応じて適宜選択される。この式
からわかるように、送信側入力信号に含まれるエコー信
号が擬似エコー信号により完全に除去された場合には、
残差信号e(i)が0となり、インパルス推定値ak
(i+1)は1サンプル前のインパルスak(i)と同
じ値をとる。
【0015】上記のような動作を行うエコーキャンセラ
では、Mサンプル分のインパルス応答推定値を保持して
いるため、サンプリング時間間隔をT秒とすると、M×
T秒までの遅延を持つエコー経路で発生するエコーを消
去することが可能である。
【0016】以上のように学習同定法は、残差信号e
(i)が電話端末からの信号がなく、受信信号によるエ
コーのみであることを前提として、インパルス応答推定
値を更新しており、残差信号e(i)が小さくなるよう
にインパルス応答推定値を更新するため、エコー経路の
SN比が低い、すなわちエコーに対する電話端末4から
出力される信号の割合が高いとインパルス応答推定精度
が劣化する。そのため、受信信号の電力が低い場合や、
受信信号の電力は高いが電話端末からの出力信号の電力
も高い場合すなわち双方向同時通話状態の場合には、エ
コー経路のインパルス応答推定動作を停止して、推定精
度の劣化を防止することが必要となる。
【0017】このような送信信号、受信信号電力の監視
によってインパルス応答推定動作の制御を行うエコーキ
ャンセラの構成を図19に示す。この図は、図18に示
すエコーキャンセラの構成要素にインパルス応答推定動
作制御部を加えたものであり、同一符号を示した構成
は、図18のものと同一又は相当部を示す。図において
12は受信入力信号端子1より入力された受信信号x
(i)と残差信号e(i)が入力され、エコー経路のイ
ンパルス応答推定動作を行うべきか判定するインパルス
応答推定動作制御部である。
【0018】次に図19に示すエコーキャンセラの動作
について説明する。受信信号レジスタ7、推定インパル
ス応答レジスタ8、たたみ込み演算部9、減算器11に
ついては図18に示したエコーキャンセラと同様の動作
を行うため、説明を省略する。インパルス応答推定動作
制御部12は受信信号x(i)および残差信号e(i)
を入力して、両者の電力を監視することによりエコー経
路のインパルス応答推定動作を行うべきか否かを判定す
る。具体的には、受信信号の電力が残差信号の電力より
も十分大きい場合にインパルス応答推定動作が可能と判
定し、インパルス応答推定動作制御部12はインパルス
応答推定部11に対して“1”を、そうでない場合には
インパルス応答推定動作が不可能と判定して“0”を出
力する。インパルス応推定部11はインパルス応答推定
動作制御部12より入力する信号が“1”の場合には、
図18に示したエコーキャンセラのインパルス応答推定
部11と同様の動作を行う。また、インパルス応答推定
動作制御部12より入力する信号が“0”の場合にはイ
ンパルス応答推定動作を停止するため、推定インパルス
応答レジスタ8の格納値は更新されない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにエコーキ
ャンセラはエコー経路のインパルス応答を逐次推定する
ことにより擬似エコー信号を発生してエコーを消去する
ものである。しかしながら、エコー経路の特性すなわち
インパルス応答が急激に変化した場合、推定インパルス
応答レジスタの内容が、変化したエコー経路のインパル
ス応答に追従するまでにある程度の時間がかかる。一般
に、ある加入者から別の加入者に対して発呼が行われ、
通話が始まった直後にはエコー経路の特性が急激に変化
する。従ってこのようにインパルス応答が変化した直後
には、上記学習同定法では、過去のサンプルのインパル
ス応答の値を修正する方法で現在のインパルス応答を決
定するため、実際のエコー信号と異なる擬似エコー信号
を発生してしまい、逆にエコーが増大してしまうという
課題があった。
【0020】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、エコー経路のインパルス応答が急
激に変化した直後においても、実際のエコー信号と異な
る擬似エコー信号を発生してエコーが増大してしまうこ
とを防止するエコーキャンセラを得ることを目的とす
る。
【0021】また、この発明の第2の目的は、上記のよ
うなエコーの増大を防止する手段が、微小なインパルス
応答の変化に対して誤って作用することが起こりにくい
エコーキャンセラを得ることである。
【0022】また、この発明の第3の目的は、上記のよ
うな手段による演算量の増大が、なるべく少なくなるよ
うなエコーキャンセラを得ることである。
【0023】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係るエコー
キャンセラは、受信信号が入力され、当該受信信号を格
納する受信信号レジスタと、送信側入力信号よりエコー
が消去された後の残差信号より、インパルス応答を推定
するインパルス応答推定部と、前記インパルス応答推定
部により推定されたインパルス応答を示す推定インパル
ス応答信号を格納する推定インパルス応答レジスタと、
前記受信信号レジスタに格納された前記受信信号と前記
推定インパルス応答レジスタに格納された前記推定イン
パルス応答信号とをたたみ込み演算し、擬似エコー信号
を出力するたたみ込み演算部と、前記送信側入力信号よ
り前記擬似エコー信号に応じて演算することにより前記
残差信号を求める残差信号演算部と、前記送信側入力信
号及び前記残差信号に応じて前記推定インパルス応答レ
ジスタの値を制御する推定インパルス応答値制御部とを
備えたものである。
【0024】第2の発明に係るエコーキャンセラは、受
信信号が入力され、当該受信信号を格納する受信信号レ
ジスタと、送信側入力信号よりエコーが消去された後の
残差信号より、インパルス応答を推定するインパルス応
答推定部と、前記インパルス応答推定部により推定され
たインパルス応答を示す推定インパルス応答信号を格納
する推定インパルス応答レジスタと、前記受信信号レジ
スタに格納された前記受信信号と前記推定インパルス応
答レジスタに格納された前記推定インパルス応答信号と
をたたみ込み演算し、受信信号の第1の部分及び第2の
部分にそれぞれ対応した第1、第2の擬似エコー信号を
出力するたたみ込み演算部と、前記送信側入力信号より
前記擬似エコー信号に応じて演算することにより前記残
差信号を求める第1の残差信号演算部と、前記送信側入
力信号より前記擬似エコー信号に応じて演算することに
より受信信号の第1の部分及び第2の部分にそれぞれ対
応した第1、第2の残差信号を求める第2の残差信号演
算部と、前記送信側入力信号及び前記第1、第2の残差
信号に応じて前記推定インパルス応答レジスタの値を制
御する推定インパルス応答値制御部とを備えたものであ
る。
【0025】第3の発明に係るエコーキャンセラは、第
1又は第2の発明に係るエコーキャンセラにおいてさら
に残差信号の電力を算出する電力算出部と、送信側入力
信号の電力を算出する送信側入力信号電力算出部を備
え、さらに前記推定インパルス応答値制御部は、当該電
力算出部において算出された残差信号の電力値と当該送
信側入力信号電力算出部において算出された送信側入力
信号の電力値に応じて前記推定インパルス応答レジスタ
の値を制御するものである。
【0026】第4の発明に係るエコーキャンセラは、第
1、第2又は第3の発明に係るエコーキャンセラにおい
て、さらに前記推定インパルス応答レジスタに格納され
た推定インパルス応答の値に基づいてしきい値を設定す
るしきい値設定部を備えるとともに、前記推定インパル
ス応答値制御部はさらに当該しきい値設定部において設
定されたしきい値に基づくものである。
【0027】第5の発明に係るエコーキャンセラは、第
4の発明に係るエコーキャンセラにおいて、前記しきい
値設定部は、推定インパルス応答レジスタに格納された
推定インパルス応答の2乗和、絶対値和又は最大値を算
出するとともに算出された値に基づいてしきい値を設定
するものである。
【0028】第6の発明に係るエコーキャンセラは、第
5の発明に係るエコーキャンセラにおいて、さらに前記
受信信号と前記残差信号に基づいて前記インパルス応答
推定部の動作を制限するインパルス応答推定動作制御部
を備え、前記インパルス応答推定動作制御部から出力さ
れた前記インパルス応答推定部の動作の制限情報を示す
信号に基づいて前記2乗和、絶対値和又は最大値の算出
を制限するものである。
【0029】第7の発明に係るエコーキャンセラは、第
1、2、3、4又は5の発明に係るエコーキャンセラに
おいて、さらに前記受信信号と前記残差信号に基づいて
前記インパルス応答推定部の動作を制限するインパルス
応答推定動作制御部を備え、前記インパルス応答推定動
作制御部から出力された前記インパルス応答推定部の動
作の制限情報を示す信号及び前記推定インパルス応答値
制御部から出力された前記インパルス応答レジスタの値
の制御情報を示す信号に基づいて前記インパルス応答推
定部の動作を制限するものである。
【0030】
【作用】第1の発明に係るエコーキャンセラでは、受信
信号レジスタに受信信号が入力されると共に当該受信信
号が格納され、インパルス応答推定部において送信側入
力信号よりエコーが消去された後の残差信号よりエコー
経路のインパルス応答が推定され、推定インパルス応答
レジスタにおいて前記インパルス応答推定部により推定
されたインパルス応答を示す推定インパルス応答信号が
格納され、たたみ込み演算部において前記受信信号レジ
スタに格納された前記受信信号と前記推定インパルス応
答レジスタに格納された前記推定インパルス応答信号と
がたたみ込み演算され、擬似エコー信号として出力さ
れ、残差信号演算部において前記送信側入力信号より前
記擬似エコー信号に応じて演算することにより前記残差
信号が求められ、推定インパルス応答値制御部において
前記送信側入力信号及び前記残差信号に応じて前記推定
インパルス応答レジスタの値が制御される。
【0031】第2の発明に係るエコーキャンセラでは、
受信信号レジスタに受信信号が入力されると共に当該受
信信号が格納され、インパルス応答推定部において送信
側入力信号よりエコーが消去された後の残差信号よりエ
コー経路のインパルス応答が推定され、推定インパルス
応答レジスタにおいて前記インパルス応答推定部により
推定されたインパルス応答を示す推定インパルス応答信
号が格納され、たたみ込み演算部において前記受信信号
レジスタに格納された前記受信信号と前記推定インパル
ス応答レジスタに格納された前記推定インパルス応答信
号とがたたみ込み演算され、受信信号の第1の部分及び
第2の部分にそれぞれ対応した第1、第2の擬似エコー
信号として出力され、第1の残差信号演算部において前
記送信側入力信号より前記擬似エコー信号に応じて演算
することにより前記残差信号が求められ、第2の残差信
号演算部に前記送信側入力信号より前記擬似エコー信号
に応じて演算することにより受信信号の第1の部分及び
第2の部分にそれぞれ対応した第1、第2の残差信号が
求められ、推定インパルス応答値制御部において前記送
信側入力信号及び前記第1、第2の残差信号に応じて前
記推定インパルス応答レジスタの値が制御される。
【0032】第3の発明に係るエコーキャンセラでは、
電力算出部は残差信号の電力を算出し、送信側入力信号
電力算出部は送信側入力信号の電力を算出し、推定イン
パルス応答値制御部は、当該電力算出部において算出さ
れた残差信号の電力値と当該送信側入力信号電力算出部
において算出された送信側入力信号の電力値に応じて前
記推定インパルス応答レジスタの値を制御する。
【0033】第4の発明に係るエコーキャンセラでは、
しきい値設定部は前記推定インパルス応答レジスタに格
納された推定インパルス応答の値に基づいてしきい値を
設定し、推定インパルス応答値制御部はさらに当該しき
い値設定部において設定されたしきい値に基づき制御す
る。
【0034】第5の発明に係るエコーキャンセラでは、
前記しきい値設定部は、推定インパルス応答レジスタに
格納された推定インパルス応答の2乗和、絶対値和又は
最大値を算出するとともに算出された値に基づいてしき
い値を設定する。
【0035】第6の発明に係るエコーキャンセラでは、
インパルス応答推定動作制御部は前記受信信号、前記残
差信号、前記送信側入力信号の何れかの信号、またはそ
の組み合わせに基づいて前記インパルス応答推定部の動
作を制限し、前記インパルス応答推定動作制御部から出
力された前記インパルス応答推定部の動作の制限情報を
示す信号に基づいて前記2乗和、絶対値和又は最大値の
算出を制限する。
【0036】第7の発明に係るエコーキャンセラでは、
インパルス応答推定動作制御部は前記受信信号と前記残
差信号に基づいて前記インパルス応答推定部の動作を制
限する信号を出力し、前記インパルス応答推定動作制御
部から出力された前記インパルス応答推定部の動作の制
限情報を示す信号及び前記推定インパルス応答値制御部
から出力された前記インパルス応答レジスタの値の制御
情報を示す信号に基づいて前記インパルス応答推定部の
動作を制限する。
【0037】
【実施例】
実施例1.本実施例は、エコー経路のインパルス応答が
急激に変化したとき等に格納しているインパルス応答推
定値が実際のエコー経路のインパルス応答と大きく異な
っている場合に推定インパルス応答レジスタの内容を制
御することにより、エコーの増大を防止しようとするも
のである。
【0038】図1は、実施例1に係るエコーキャンセラ
の構成を示す図であり、1、2、4〜12は図18又は
図19で示した構成と同一又は相当する構成である。図
において、8は基本的には図18及び図19で示した推
定インパルス応答レジスタに相当するが、入力されるリ
セット信号に応じて格納値をリセットすることができる
ものである。15は減算器10より出力された残差信号
e(i)の電力を算出する電力算出部、16は送信側入
力信号y(i)の電力を算出する送信側入力信号電力算
出部、17は電力算出部15により算出された残差信号
e(i)の電力値と送信側入力信号電力算出部16によ
り算出された送信側入力信号y(i)の電力値としきい
値が入力され、推定インパルス応答レジスタ8の内容を
リセットするか否か決定する推定インパルス応答値リセ
ット部、18は推定インパルス応答値リセット部17に
対してしきい値を設定するしきい値設定部である。
【0039】次に動作について説明する。サンプリング
時刻iにおいて、受信信号入力端子1より入力された受
信信号x(i)はインパルス推定動作制御部12に入力
されるとともに受信信号レジスタ7に入力される。受信
信号レジスタ7はMサンプル分の受信信号x(i),x
(i−1),…x(i−M−1)を保持するように動作
し、新たな受信信号x(i)を入力すると代わりにMサ
ンプル前に入力した受信信号x(i−M)を切り捨て、
代わりにx(i)を格納する。推定インパルス応答レジ
スタ8には、受信信号出力端子2からハイブリッド回路
3を経由して送信信号入力端子5へと至るエコー経路の
インパルス応答の推定値が、受信信号レジスタ7と同じ
サンプル数分、すなわちMサンプル分格納されている。
ここで、サンプリング時刻iにおいて推定インパルス応
答レジスタ8に格納されているたたみ込み演算部9で
は、下式に示すように受信信号レジスタの格納値と推定
インパルス応答レジスタの格納値とのたたみ込み演算に
よって、擬似エコー信号r(i)を算出する。
【0040】
【数4】
【0041】このように算出された擬似エコー信号r
(i)は減算器10に入力され、減算器10では送信信
号入力端子5より入力した送信側入力信号から、前記擬
似エコー信号r(i)を減算してエコーを消去する。す
なわち、サンプリング時刻iにおける送信側入力信号を
y(i)、擬似エコー消去後の残差信号をe(i)とす
ると、下に示す式によりエコー消去が行われる。 e(i)=y(i)−r(i)
【0042】インパルス応答推定部11では、上記残差
信号e(i)が小さくなるように推定インパルス応答レ
ジスタ8の格納値を逐次更新する。更新の方法には一般
に学習同定法が用いられる。学習同定法によると、イン
パルス応答推定値a1(i),a2(i),…,aM−
1(i)は以下に示す式によって更新される。
【0043】
【数5】
【0044】この式においてαは0〜1までの正の値を
とる係数であり、状況に応じて適宜選択される。この式
からわかるように、送信側入力信号に含まれるエコー信
号が擬似エコー信号により完全に除去された場合には、
残差信号e(i)が0となり、インパルス推定値ak
(i+1)は1サンプル前のインパルスak(i)と同
じ値をとる。
【0045】インパルス応答推定動作制御部12は受信
信号x(i)および残差信号e(i)を入力して、両者
の電力を監視することによりエコー経路のインパルス応
答推定動作を行うべきか否かを判定する。具体的には、
受信信号の電力が残差信号の電力よりも十分大きい場合
にインパルス応答推定動作が可能と判定し、インパルス
応答推定動作制御部12はインパルス応答推定部11に
対して“1”を、そうでない場合にはインパルス応答推
定動作が不可能と判定して“0”を出力する。インパル
ス応推定部11はインパルス応答推定動作制御部12よ
り入力する信号が“1”の場合には、インパルス応答推
定部11が上述のようなインパルス応答の推定動作を行
う。また、インパルス応答推定動作制御部12より入力
する信号が“0”の場合にはインパルス応答推定動作を
停止するため、推定インパルス応答レジスタ8の格納値
は更新されない。
【0046】一方、残差信号e(i)は、電力算出部1
5に入力され、電力pe(i)が算出され、推定インパ
ルス応答値リセット部17に入力される。また、送信側
入力信号電力算出部16では送信側入力信号を入力して
この電力py(i)を算出し、推定インパルス応答値リ
セット部17に出力する。電力値pe(i)、py
(i)は、通常、2乗平均することにより求められる
が、送信側入力信号y(i)、残差信号e(i)にフィ
ルタをかけて包絡値を求める方法で代用してもよい。し
きい値設定部18は推定インパルス応答リセット部17
での判定に使用されるしきい値thrを設定する。本実
施例ではしきい値として「4」が設定されている。
【0047】推定インパルス応答値リセット部17で
は、電力算出部15より入力する残差信号e(i)の電
力が、送信側入力信号電力算出部16より入力する送信
側入力信号の電力に、しきい値設定部18より入力する
しきい値thrを乗算した値よりも大きい場合、すなわ
ちpe(i)がpy(i)×4よりも大きい場合に、推
定インパルス応答レジスタ8の格納値をリセットする。
【0048】ここで、推定インパルス応答レジスタ8の
格納値のリセットの判定に用いられる電力pe(i)、
py(i)について以下に考えてみる。従来技術で述べ
たように、送信側入力信号y(i)には電話端末から出
力された信号と、受信信号がハイブリッド回路で漏洩す
ることにより発生したエコー信号とが含まれている。従
って、電話端末からの出力信号をs(i)、エコー信号
をec(i)とすると送信側入力信号y(i)は以下の
式で表される。
【0049】
【数6】
【0050】また、受信信号をx(i)、実際のエコー
経路のインパルス応答をh0,h1,h2,…とすると
エコー信号ec(i)は以下の式で表される。
【0051】
【数7】
【0052】ここでエコー経路のインパルス応答が無限
に継続するものであると、上に示した数7のようになる
が一般的には継続時間は有限と考えても差し支えない。
従って、インパルス応答の継続時間はMサンプル時間以
内であるとすれば、ec(i)は以下のように表され
る。
【0053】
【数8】
【0054】数6に数7を代入すれば送信側入力信号y
(i)は以下のように表される。
【0055】
【数9】
【0056】また、残差信号e(i)は送信側入力信号
y(i)から擬似エコー信号r(i)を減算したもので
あるから、数9と数4とから以下のように表されること
が分かる。
【0057】
【数10】
【0058】ここで数9と数10とを比較すると、数1
0においてak(i)が全てのkについて0であると、
数9と数10とは等しくなることが分かる。残差信号の
電力pe(i)が送信側入力信号の電力py(i)より
も大きいということは、エコーが増大したという事を意
味する。従って、これは推定インパルス応答レジスタの
格納値ak(i)が0でないためにエコーが増大したと
言い換えることが出来る。本実施例においては、このよ
うな考え方に基づいて推定インパルス応答レジスタの格
納値ak(i)をリセットするか否かを判定するように
したものである。
【0059】以上で説明したエコーキャンセラにおい
て、エコー経路のインパルス応答が急激に変化した場
合、どのように動作するかについて以下に説明する。図
2はエコーキャンセラの推定インパルス応答レジスタ8
の格納値と実際のエコー経路のインパルス応答を示した
例であり、実線でプロットされたものが推定インパルス
応答レジスタの格納値ak(i)であり、破線が実際の
エコー経路のインパルス応答hkである。この図におい
ては、実線と破線がほぼ一致しているためエコーキャン
セラは正常にエコーを消去している状態である。また、
残差信号の電力pe(i)は送信側入力信号の電力py
(i)よりも小さい値となる。従って、推定インパルス
応答レジスタの格納値をリセットする条件を満足せず、
通常動作が継続される。
【0060】ここで、エコー経路のインパルス応答が急
激に変化し、図3に示すようになったとする。このよう
な場合、算出される残差信号の電力pe(i)は、実際
のエコー信号と全く異なる擬似エコー信号が算出される
ためにpy(i)よりも大きい値となる。従って、推定
インパルス応答レジスタ8がリセットされ、その格納値
は全て0となる。次のタイミングでは、0という値に基
づいてインパルス応答が推定される。エコー経路のイン
パルス応答が急激に変化し、実際のエコー経路のインパ
ルス応答と推定したインパルス応答には大きなずれが生
じているため、それまで保持していたインパルス応答よ
りもリセット後の値に基づき次のタイミングのインパル
ス応答を推定する方が実際のエコー経路のインパルス応
答への収束が早くなり、エコーの増大を防止することが
できる。
【0061】以上のように、本実施例によれば、例えば
エコー経路のインパルス応答が急激に変化した場合に、
特に送信側入力信号及び残差信号に応じて推定インパル
ス応答レジスタの値を制御するので、エコーの増大を防
止することが可能となる。
【0062】尚、この実施例ではpe(i)とpy
(i)の比較結果に基づいて推定インパルス応答レジス
タの格納値をリセットする構成としたが、必ずしも当該
格納値を0とする必要はなく、実際のエコー経路のイン
パルス応答への収束が早くなるよう、0以外の値にセッ
トするものであってもよい。
【0063】実施例2.本実施例は、推定インパルス応
答レジスタをN個のブロックに分割し、エコー経路のイ
ンパルス応答が急激に変化したとき、エコー増大の要因
となるブロックの推定インパルス応答レジスタ、すなわ
ち格納しているインパルス応答推定値が実際のエコー経
路のインパルス応答と大きく異なっているブロックの推
定インパルス応答レジスタの内容をリセットすることに
よって、エコー増大を防止しようとするものである。
【0064】図4は、第2の実施例となるエコーキャン
セラの構成を示したものであり、図において1、2、
5、6、11、12は図1、図19において同一符号を
付した構成と同一又は相当部を示す。71、72、7
3、74は受信信号入力端子より入力された受信信号x
(i)が入力され、それぞれのレジスタにおいてLサン
プル分の受信信号を保持する受信信号レジスタ、81、
82、83、84はそれぞれLサンプル分のエコー回路
のインパルス応答推定値が格納された推定インパルス応
答レジスタ、91、92、93、94は受信信号レジス
タ71、72、73、74の格納値と推定インパルス応
答レジスタ81、82、83、84の格納値とをたたみ
込み演算を行うたたみ込み演算部、13はたたみ込み演
算部91、92、93、94の出力値である部分擬似エ
コー信号r1(i)、r2(i)、r3(i)、r4
(i)の総和をとり、減算器11に出力する総和器であ
る。
【0065】141、142、143、144は送信側
入力信号y(i)からたたみ込み演算部91、92、9
3、94の出力値である部分擬似エコー信号r1
(i)、r2(i)、r3(i)、r4(i)を減算す
る減算器、151、152、153、154はそれぞれ
減算器141、142、143、144に対応して設け
られ、それぞれの電力を算出する電力算出部、16は送
信側入力信号y(i)の電力を算出する送信側入力信号
電力算出部、17は電力算出部151、152、15
3、送信側入力信号電力算出部16でそれぞれ算出され
た電力値及び所定のしきい値に基づいて推定インパルス
応答レジスタ81、82、83、84の格納値をリセッ
トする推定インパルス応答値リセット部、18は推定イ
ンパルス応答値リセット部17に対し、しきい値を設定
するしきい値設定部である。本実施例は、上記推定イン
パルス応答レジスタの分割数Nを4とした場合の例であ
る。また、このような分割単位を、以後便宜上ブロック
と称することとする。
【0066】次に動作を説明する。サンプリング時刻i
において、受信信号入力端子1より入力された受信信号
x(i)は受信信号レジスタ71に入力される。受信信
号レジスタ71は常にLサンプル分の受信信号x
(i),x(i−1),…x(i−L−1)を保持する
ように動作し、新たな受信信号x(i)を入力すると代
わりにLサンプル前に入力した受信信号x(i−L)を
受信信号レジスタ72に出力する。受信信号レジスタ7
2は、受信信号レジスタ71と同様に、新たな受信信号
x(i−L)を入力すると代わりにLサンプル前に入力
した受信信号x(i−2L)を受信信号レジスタ73に
出力する。受信信号レジスタ73は、新たな受信信号x
(i−2L)を入力すると代わりにLサンプル前に入力
した受信信号x(i−3L)を受信信号レジスタ74に
出力する。
【0067】受信信号レジスタ74は、新たな受信信号
x(i−3L)を入力すると代わりにLサンプル前に入
力した受信信号x(i−4L)を切り捨てる。このよう
に受信信号レジスタ71、72、73、74にはそれぞ
れLサンプル分の受信信号が常に格納され、合計4Lサ
ンプル分の受信信号が格納されている。また、推定イン
パルス応答レジスタ81、82、83、84には、それ
ぞれLサンプル分のエコー経路のインパルス応答推定値
が格納されている。
【0068】すなわち、サンプリング時刻iにおいて、
推定インパルス応答レジスタ81にはa0(i),a1
(i),…,aL−1(i)が、推定インパルス応答レ
ジスタ82にはaL(i),aL+1(i),…,a2
L−1(i)が、推定インパルス応答レジスタ83には
a2L(i),a2L+1(i),…,a3L−1
(i)が、推定インパルス応答レジスタ84にはa3L
(i),a3L+1(i),…,a4L−1(i)が、
それぞれ格納されている。そしてたたみ込み演算部91
は、受信信号レジスタ71の格納値と推定インパルス応
答レジスタ81の格納値とのたたみ込み演算を行い、こ
のブロックの部分擬似エコー信号を算出する。この部分
擬似エコー信号をr1(i)とすると、r1(i)は以
下に示す式によって与えられる。
【0069】
【数11】
【0070】たたみ込み演算部92、93、94につい
ても同様な演算が行われ、各部分擬似エコー信号をそれ
ぞれr2(i)、r3(i)、r4(i)とすると、こ
れらは以下に示す式によって与えられる。
【0071】
【数12】
【0072】
【数13】
【0073】
【数14】
【0074】このようにして得られた各部分擬似エコー
信号は、総和器13によって総和がとられ、擬似エコー
信号r(i)が算出される。擬似エコー信号r(i)は
以下に示す式によって与えられる。 r(i)=r1(i)+r2(i)+r3(i)+r4
(i)
【0075】以上のように動作する受信信号レジスタ7
1、72、73、74および推定インパルス応答レジス
タ81、82、83、84およびたたみ込み演算部9
1、92、93、94と総和器13とは、L=M/4で
あるとすれば、従来のエコーキャンセラの受信信号レジ
スタ、推定インパルス応答レジスタ、たたみ込み演算部
と同様の動作をすることが分かる。
【0076】さて、減算器141は送信側入力信号y
(i)から1ブロック目の部分擬似エコー信号r1
(i)を減算して、以下の式のように部分残差信号e1
(i)を算出する。 e1(i)=y(i)−r1(i)
【0077】これと同様に、減算器142、143、1
44においても、以下の式のように部分残差信号e2
(i)、e3(i)、e4(i)が以下の式によって算
出される。 e2(i)=y(i)−r2(i) e3(i)=y(i)−r3(i) e4(i)=y(i)−r4(i)
【0078】このようにして得られた各部分残差信号
は、それぞれ電力算出部151、152、153、15
4に入力され、それぞれその電力が算出される。電力算
出部151では部分残差信号e1(i)の電力pe1
(i)が、電力算出部152では部分残差信号e2
(i)の電力pe2(i)が、電力算出部153では部
分残差信号e3(i)の電力pe3(i)が、電力算出
部154では部分残差信号e4(i)の電力pe4
(i)がそれぞれ算出され、これらは推定インパルス応
答値リセット部17に入力される。また、送信側入力信
号電力算出部16では送信側入力信号を入力してこの電
力py(i)を算出し、推定インパルス応答値リセット
部17に出力する。
【0079】しきい値設定部18は推定インパルス応答
リセット部17での判定に使用されるしきい値を設定す
る。しきい値設定部18では、各ブロックのしきい値t
hr1、thr2、thr3、thr4として同一の固
定値、4をインパルス応答値リセット部17に出力す
る。
【0080】推定インパルス応答値リセット部17で
は、電力算出部151より入力する部分残差信号e1
(i)の電力が、送信側入力信号電力算出部16より入
力する送信側入力信号の電力に、しきい値設定部18よ
り入力するしきい値thr1を乗算した値よりも大きい
場合、すなわちpe1(i)がpy(i)×4よりも大
きい場合に、対応するブロックである推定インパルス応
答レジスタ81の格納値をリセットする。これと同様
に、pe2(i)がpy(i)×4よりも大きい場合に
は推定インパルス応答レジスタ82の格納値を、pe3
(i)がpy(i)×4よりも大きい場合には推定イン
パルス応答レジスタ83の格納値を、pe4(i)がp
y(i)×4よりも大きい場合には推定インパルス応答
レジスタ84の格納値をそれぞれリセットする。
【0081】以上で説明したエコーキャンセラにおい
て、エコー経路のインパルス応答が急激に変化した場
合、どのように動作するかについて以下に説明する。図
5はエコーキャンセラの推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84の格納値と実際のエコー経路のイ
ンパルス応答を示した例であり、実線でプロットされた
ものが推定インパルス応答レジスタの格納値ak(i)
であり、破線が実際のエコー経路のインパルス応答hk
である。
【0082】この図においては、実線と破線がほぼ一致
しているためエコーキャンセラは正常にエコーを消去し
ている状態である。また、インパルス応答のパワーは2
番目のブロックに集中している。このような場合、1番
目、3番目および4番目のブロックで算出される部分残
差信号の電力pe1(i)、pe3(i)、pe4
(i)は送信側入力信号の電力py(i)とほぼ同一の
値となり、2番目のブロックで算出される部分残差信号
の電力pe2(i)はpy(i)よりも小さい値とな
る。従って、どのブロックにおいても推定インパルス応
答レジスタの格納値をリセットする条件を満足せず、通
常動作が継続される。
【0083】ここで、エコー経路のインパルス応答が急
激に変化し、図6に示すようになったとする。このよう
な場合、1番目、3番目および4番目のブロックで算出
される部分残差信号の電力pe1(i)、pe3
(i)、pe4(i)については送信側入力信号の電力
py(i)とほぼ同一の値となるが、2番目のブロック
で算出される部分残差信号の電力pe2(i)は、この
ブロックのたたみ込み演算部92で実際のエコー信号と
全く異なる擬似エコー信号が算出されるためにpy
(i)よりも大きい値となる。従って、2番目のブロッ
クの推定インパルス応答レジスタ82がリセットされ、
その格納値は全て0となる。
【0084】また、インパルス応答推定動作制御部12
において例えば双方向同時通話状態の検出が遅れること
により、推定インパルス応答レジスタの格納値が実際の
エコー経路のインパルス応答と比べて微小な誤差を持っ
た場合を考えてみる。図7はそのような場合のエコーキ
ャンセラの推定インパルス応答レジスタ81、82、8
3、84の格納値と実際のエコー経路のインパルス応答
を示した例である。このような場合、1番目および4番
目のブロックで算出される部分残差信号の電力pe1
(i)、pe4(i)については送信側入力信号の電力
py(i)とほぼ同一の値となり、2番目のブロックで
算出される部分残差信号の電力pe2(i)については
送信側入力信号の電力py(i)よりも小さい値とな
る。しかしながら、3番目のブロックで算出される部分
残差信号の電力pe3(i)については、このブロック
のたたみ込み演算部93で実際のエコー信号と全く異な
る擬似エコー信号が算出されるためにpy(i)よりも
大きい値となる。従って、3番目のブロックの推定イン
パルス応答レジスタ82がリセットされ、その格納値は
全て0となる。この場合、全体的にみると実際のエコー
経路のインパルス応答とインパルス応答推定値との差は
微小であるから、ブロック毎に制御されていなければ、
レジスタ全体がリセットされないことになり、実際のエ
コー経路への収束が遅延する。
【0085】以上のように、本実施例によれば例えばエ
コー経路のインパルス応答が急激に変化した場合や、推
定インパルス応答レジスタの格納値がエコー経路のイン
パルス応答と比べて微小に異なる場合に、特に、推定イ
ンパルス応答レジスタの格納値をレジスタ全体を変更せ
ずにブロック毎に所定値に変更するため、より精度良く
エコーの増大を防止することが可能となる。
【0086】尚、この実施例ではpe(i)とpy
(i)の比較結果に基づいて推定インパルス応答レジス
タの格納値をリセットする構成としたが、必ずしも当該
格納値を0とする必要はなく、実際のエコー経路のイン
パルス応答への収束が早くなるよう、0以外の値にセッ
トするものであってもよい。
【0087】実施例3.本実施例は、推定インパルス応
答レジスタの格納値をリセットするか否かの判定に用い
るしきい値が、実施例1、2に示したような固定値では
なく、推定インパルス応答レジスタの格納値の2乗和に
応じて変化するようにすることによって、より適切な判
定がなされるようにしたものである。
【0088】図8は、エコーキャンセラの推定インパル
ス応答レジスタの格納値とエコー経路のインパルス応答
とを示した別の例である。図において、1番目、3番目
および4番目のブロックについてはインパルス応答値が
殆ど0であり、2番目のブロックにインパルス応答のパ
ワーが集中している。2番目のブロックを見ると、実際
のエコー経路のインパルス応答と推定値とは、僅かに異
なっている。このようにインパルス応答推定値と実際の
エコー経路のインパルス応答とが僅かに異なる状態は、
前述のように双方向同時通話検出の検出遅延によりイン
パルス応答推定値に誤差が生じたり、エコー経路のイン
パルス応答が微小に変化した場合等に、発生し得る。
【0089】このようなとき、2番目のブロックにおい
て算出される部分擬似エコー信号の電力が、送信側入力
信号の電力よりも大きくなって、2番目のブロックの推
定インパルス応答レジスタがリセットされる可能性があ
る。以下にその理由を説明する。
【0090】2番目のブロックにおいて算出される部分
残差信号e2(i)は、送信側入力信号y(i)と部分
擬似エコー信号r2(i)との差であるから、数9と数
12より下のように表される。
【0091】
【数15】
【0092】ただし、ここで4L=Mであると仮定して
いる。ここで係数bk(i)を、次のように定義する。
すなわちbk(i)は、k=0〜L−1およびk=2L
〜M−1なるkに対してはhk、k=L〜2L−1なる
kに対してはhk−ak(i)という値をとるものとす
る。このbk(i)を用いると数15は以下のように表
すことができる。
【0093】
【数16】
【0094】係数bk(i)は、ブロック1、3、4に
ついては実際のエコー経路のインパルス応答、ブロック
2については実際のエコー経路のインパルス応答と推定
インパルス応答レジスタに格納された値との差であるか
ら、実際のエコー経路のインパルス応答と推定インパル
ス応答レジスタに格納された値が図8に示したような場
合には、bk(i)は図9のようになる。
【0095】このような場合に、受信信号x(i)、送
信側入力信号y(i)、ブロック2における部分残差信
号e2(i)がどのようになるかを示した例が図10で
ある。ここで図10は、電話端末の出力信号s(i)は
0である場合、すなわち電話端末の使用者が黙っている
場合の例である。数9に示したように送信側入力信号y
(i)は、s(i)=0であるとすると、受信信号x
(i)にエコー経路のインパルス応答をたたみ込み演算
した信号である。エコー経路のインパルス応答は、図8
の破線で示すようにLサンプルからL+mサンプルの間
に大きな振幅を持っており、それ以外のサンプルにおい
て殆ど0である。従って図10に示すように、送信側入
力信号y(i)は、受信信号x(i)が増大してからL
サンプル後に増大し始める。また、受信信号x(i)が
減少するとLサンプル後から減少し始め、L+mサンプ
ル後には殆ど0になる。一方、数16に示したように部
分残差信号e2(i)は、s(i)=0であるとする
と、受信信号x(i)に図9に示したbk(i)をたた
み込み演算した信号である。図9に示すように、bk
(i)はLサンプルから2Lサンプルの間にある程度の
振幅を持っており、それ以外のサンプルにおいて殆ど0
である。従って、部分残差信号e2(i)は、受信信号
x(i)が増大してからLサンプル後に増大し始め、受
信信号x(i)が減少するとLサンプル後から減少し始
めて2Lサンプル後には殆ど0になる。図8の破線と図
9とを比較すると分かるように、bk(i)の振幅はエ
コー経路のインパルス応答に比べて非常に小さいため、
部分残差信号e2(i)の振幅は送信側入力信号y
(i)に比べて小さくなる。しかしながら、例えば図1
0におけるA点の振幅は、部分残差信号e2(i)の方
が送信側入力信号y(i)よりも大きくなっている。こ
れは、受信信号x(i)にたたみ込まれる信号の振幅が
どの程度の広がりを持っているかの違いによるもので、
エコー経路のインパルス応答はその振幅がL+mサンプ
ル以降では殆ど0であるのに対して、bk(i)は2L
サンプルまである程度の振幅を持っているためである。
従って、以上のような場合、図10におけるA点で算出
される送信側入力信号の電力py(i)と部分残差信号
の電力pe2(i)を比較すると、pe2(i)の方が
大きくなり、ブロック2における推定インパルス応答レ
ジスタの格納値がリセットされてしまう事が、発生し得
る。図8を見ると明らかなように、エコー経路のインパ
ルス応答とインパルス応答推定値との差は微小であり、
また、図10を見ると明らかなように送信側入力信号y
(i)に比べて部分残差信号e2(i)の方が信号レベ
ルは低くなっている。従って、このような場合、ブロッ
ク2のインパルス応答推定値はリセットされない方が望
ましい。
【0096】以上のような問題は、この例のようにエコ
ー経路のインパルス応答の振幅の広がりが狭い場合に発
生する。ところが、一般にエコー経路のインパルス応答
はパワーが一点に集中しやすい、すなわち振幅の広がり
が狭いという性質を持つ。パワーが一点に集中した場合
であっても、ブロックを細分化すれば、その影響は除去
されるが、却って演算の増大という不都合が生じる。従
って、1ブロック内で部分的にインパルス応答のパワー
が集中しうる。よって、ブロックで部分的にパワーが集
中する場合には、リセットしにくくするため、しきい値
を変更する必要があることがわかる。
【0097】本実施例では、ブロック内で部分的にパワ
ーが集中していることを検出する手段の1つとして、イ
ンパルス応答の2乗和を求めたものである。即ち、この
2乗和が所定値以上である場合にはブロック内で部分的
にパワーが集中しているものと判断し、所定値以下の場
合、パワーは集中していないものと判断される。無論、
この2乗和は、ブロック内のインパルス応答全体のもの
であるから、このブロック内で一部分に集中しておら
ず、ブロック内全体に均一化されている可能性はないわ
けではないが、上述のようにインパルス応答のパワーは
一点に集中しやすい性質を有していることを考慮すれ
ば、このように判断しても実際上差し支えない。以上の
理由により、インパルス応答の2乗和を用いてしきい値
を調整する構成を採用している。
【0098】図11は、第3の発明の実施例となるエコ
ーキャンセラの構成を示したものであり、図において1
91、192、193、194は2乗和算出部である。
【0099】次に動作を説明する。受信信号レジスタ7
1、72、73、74、推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84、たたみ込み演算部91、92、
93、94、総和器13、減算器141、142、14
3、144、電力算出部151、152、153、15
4、送信側入力信号電力算出部16、推定インパルス応
答値リセット部17については、図4に示したエコーキ
ャンセラの場合と同様の動作を行う。2乗和算出部19
1は、サンプル時間毎に推定インパルス応答レジスタ8
1の格納値の2乗和を算出する。2乗和算出部192、
193、194についても同様に、それぞれ推定インパ
ルス応答レジスタ82、83、84の格納値の2乗和を
算出する。しきい値設定部は、2乗和算出部191、1
92、193、194で算出された2乗和を入力し、こ
の2乗和が最も大きいブロックおよび2番目に大きいブ
ロックについては、しきい値として「8」を出力し、そ
の他のブロックについてはしきい値として「4」を出力
する。
【0100】このように動作するエコーキャンセラにお
いて、エコー経路のインパルス応答、インパルス応答推
定値が前記図8に示したような状態となった場合を考え
てみる。この場合、2番目のブロックの推定インパルス
応答レジスタ82に格納される値の2乗和が最も大きく
なるため、このブロックについてはしきい値として大き
い値が設定される。従って、このような微小な誤差に対
しては、このブロックの推定インパルス応答レジスタ8
2はリセットされることはなくなる。ただし、前記図6
に示したように、エコー経路のインパルス応答と、推定
インパルス応答レジスタに格納されるインパルス応答推
定値とが大幅に異なる状態となった場合には、部分残差
信号の電力が送信側入力信号の電力にしきい値を乗算し
た値以上に大きくなり、2番目のブロックの推定インパ
ルス応答レジスタ82はリセットされる。
【0101】以上のように、本実施例によればエコー経
路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコー
信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロック
の推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットする
ため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、格納される推定インパルス応答値の振幅が大きいブ
ロックについては、リセットするか否かの判定に用いる
しきい値が大きくなってリセットされにくくなるため、
微小なインパルス応答の誤差に対しては誤ってリセット
されにくいエコーキャンセラを得ることができる。
【0102】なお、本実施例では、実施例2で示したよ
うなブロック毎に処理する場合において、しきい値をブ
ロック毎に制御する構成としたが、実施例1で示したよ
うなブロックに分けずに処理する場合において、しきい
値を制御してもよい。この場合は図1の推定インパルス
応答レジスタの格納値の2乗和を算出する2乗和算出部
を設け、その出力値に応じてしきい値を変更することに
なる。具体的には、2乗和算出部の出力値が比較的に高
い場合には比較的大きいしきい値が設定され、推定イン
パルス応答レジスタ8がリセットされにくくなる一方、
2乗和算出部の出力値が比較的に低い場合には比較的小
さいしきい値が設定され、推定インパルス応答レジスタ
8がリセットされやすくなる。
【0103】実施例4.本実施例は、推定インパルス応
答レジスタの格納値をリセットするか否かの判定に用い
るしきい値が、実施例1に示したような固定値ではな
く、推定インパルス応答レジスタの格納値の絶対値和に
応じて変化するようにすることによって、より適切な判
定がなされるようにしたものである。
【0104】図12は、第3の発明の実施例となるエコ
ーキャンセラの構成を示したものであり、図において2
01、202、203、204は絶対値和算出部であ
る。
【0105】次に動作を説明する。受信信号レジスタ7
1、72、73、74、推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84、たたみ込み演算部91、92、
93、94、総和器13、減算器141、142、14
3、144、電力算出部151、152、153、15
4、送信側入力信号電力算出部16、推定インパルス応
答値リセット部17については、図11に示したエコー
キャンセラの場合と同様の動作を行う。絶対値和算出部
201は、サンプル時間毎に推定インパルス応答レジス
タ81の格納値の絶対値和を算出する。
【0106】絶対値和算出部202、203、204に
ついても同様に、それぞれ推定インパルス応答レジスタ
82、83、84の格納値の絶対値和を算出する。しき
い値設定部は、絶対値和算出部201、202、20
3、204で算出された絶対値和を入力し、この絶対値
和が最も大きいブロックおよび2番目に大きいブロック
については、しきい値として8を出力し、その他のブロ
ックについてはしきい値として4を出力する。このよう
に本実施例は、実施例3における2乗和に代えて絶対値
和を用いたものであり、実施例3と同様な動作を行うこ
とが分かる。
【0107】以上のように、本実施例によれば、エコー
経路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコ
ー信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロッ
クの推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットす
るため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、格納される推定インパルス応答値の振幅が大きいブ
ロックについては、リセットするか否かの判定に用いる
しきい値が大きくなってリセットされにくくなるため、
微小なインパルス応答の誤差に対しては誤ってリセット
されにくいエコーキャンセラを得ることができる。
【0108】特にこの実施例では推定インパルス応答レ
ジスタの格納値に基づき2乗和に代えて絶対値を用いて
いるので、乗算器が不要となり、回路規模が縮小し、消
費電力も低くなるという効果も奏する。
【0109】実施例5.本実施例は、推定インパルス応
答レジスタの格納値をリセットするか否かの判定に用い
るしきい値が、実施例1、2に示したような固定値では
なく、推定インパルス応答レジスタの格納値の最大値に
応じて変化するようにすることによって、より適切な判
定がなされるようにしたものである。
【0110】図13は、実施例5に係るエコーキャンセ
ラの構成を示したものであり、図において211、21
2、213、214は最大値算出部である。
【0111】次に動作を説明する。受信信号レジスタ7
1、72、73、74、推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84、たたみ込み演算部91、92、
93、94、総和器13、減算器141、142、14
3、144、電力算出部151、152、153、15
4、送信側入力信号電力算出部16、推定インパルス応
答値リセット部17については、図11に示したエコー
キャンセラの場合と同様の動作を行う。最大値算出部2
11は、サンプル時間毎に推定インパルス応答レジスタ
81の格納値のLサンプルの中で絶対値が最大であるサ
ンプルを検索して、そのサンプルの絶対値を出力する。
【0112】最大値算出部212、213、214につ
いても同様に、それぞれ推定インパルス応答レジスタ8
2、83、84の格納値の中で絶対値が最大であるサン
プルの絶対値を出力する。しきい値設定部は、最大値算
出部211、212、213、214より出力される値
を入力し、この値が最も大きいブロックおよび2番目に
大きいブロックについては、しきい値として8を出力
し、その他のブロックについてはしきい値として4を出
力する。このように本実施例は、実施例2における2乗
和に代えて、推定インパルス応答レジスタに格納された
値の絶対値の中の最大値を用いたものであり、実施例2
と同様な動作を行うことが分かる。
【0113】以上のように、本実施例によれば、エコー
経路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコ
ー信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロッ
クの推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットす
るため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、格納される推定インパルス応答値の振幅が大きいブ
ロックについては、リセットするか否かの判定に用いる
しきい値が大きくなってリセットされにくくなるため、
微小なインパルス応答の変化に対しては誤ってリセット
されにくいエコーキャンセラを得ることができる。
【0114】実施例6.本実施例は、実施例3に示した
動作を行うエコーキャンセラの2乗和算出部の動作に制
限を加えることにより、演算量の低減を図ったものであ
る。
【0115】図14は、実施例6に係るエコーキャンセ
ラの構成を示したものであり、図において191、19
2、193、194は2乗和算出部である。
【0116】次に動作を説明する。受信信号レジスタ7
1、72、73、74、推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84、たたみ込み演算部91、92、
93、94、総和器13、減算器141、142、14
3、144、電力算出部151、152、153、15
4、送信側入力信号電力算出部16、推定インパルス応
答値リセット部17、しきい値設定部18については、
図11に示したエコーキャンセラの場合と同様の動作を
行う。
【0117】2乗和算出部191は、インパルス応答推
定動作制御部12の判定結果を入力し、インパルス応答
推定動作を停止するように判定されたサンプル時刻にの
み、推定インパルス応答レジスタ81の格納値の2乗和
を算出し、そうでないサンプル時刻においては算出結果
を保持する。2乗和算出部192、193、194につ
いても同様に、インパルス応答推定動作を停止するよう
に判定されたサンプル時刻にのみ、それぞれ推定インパ
ルス応答レジスタ82、83、84の格納値の2乗和を
算出し、そうでないサンプル時刻においては算出結果を
保持する。
【0118】このように動作すると、インパルス応答推
定部11における推定インパルス応答レジスタの格納値
の更新動作と2乗和の算出が同時に行われなくなり、エ
コーキャンセラをソフトウエアで構成した場合にはCP
Uに対して負荷を軽減することができ、またハードウエ
アで構成した場合には電力を軽減することができるとい
う効果を奏する。
【0119】以上のように、本実施例によればエコー経
路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコー
信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロック
の推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットする
ため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、微小なインパルス応答の変化に対しては誤ってリセ
ットされにくく、またエコーキャンセラをソフトウエア
で構成した場合にはCPUに対して負荷を軽減すること
ができ、またハードウエアで構成した場合には電力を軽
減することができるという効果を奏する。
【0120】尚、本実施例においては、インパルス応答
推定動作を停止するように判定されたサンプル時刻に2
乗和を算出する構成としたが、この間は格納値は更新さ
れないので算出を続ける必要はなく、インパルス応答推
定動作を行うように判定された状態からから停止するよ
うに判定された状態に変化したサンプル時刻にのみ2乗
和を算出し、その他のサンプル時刻には2乗和の算出を
止めてもよい。
【0121】尚、本実施例においては、上記インパルス
応答推定動作制御部が、残差信号及び受信信号に基づい
て、インパルス応答推定動作を停止するか否かを判定し
ているが、送信側入力信号、受信信号、残差信号に基づ
いて判定を行うようなものであってもよい。
【0122】実施例7.本実施例は、実施例4に示した
動作を行うエコーキャンセラの絶対値和算出部の動作に
制限を加えることにより、演算量の低減を図ったもので
ある。
【0123】図15は、実施例7となるエコーキャンセ
ラの構成を示したものであり、図において201、20
2、203、204は絶対値和算出部である。
【0124】次に動作を説明する。受信信号レジスタ7
1、72、73、74、推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84、たたみ込み演算部91、92、
93、94、総和器13、減算器141、142、14
3、144、電力算出部151、152、153、15
4、送信側入力信号電力算出部16、推定インパルス応
答値リセット部17、しきい値設定部18については、
図11に示したエコーキャンセラの場合と同様の動作を
行う。
【0125】絶対値和算出部201は、インパルス応答
推定動作制御部12の判定結果を入力し、双方向同時通
話状態であると判定されたサンプル時刻にのみ、推定イ
ンパルス応答レジスタ81の格納値の絶対値和を算出
し、そうでないサンプル時刻においては算出結果を保持
する。絶対値和算出部202、203、204について
も同様に、双方向同時通話状態であると判定されたサン
プル時刻にのみ、それぞれ推定インパルス応答レジスタ
82、83、84の格納値の絶対値和を算出し、そうで
ないサンプル時刻においては算出結果を保持する。この
ように動作すると、双方向同時通話状態と判定されたサ
ンプル時刻においては、インパルス応答推定部11にお
いて推定インパルス応答レジスタの格納値の更新が行わ
れないため、実施例3と比較して1サンプル時間内に必
要となる演算量は低減される。
【0126】以上のように、本実施例によればエコー経
路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコー
信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロック
の推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットする
ため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、格納される推定インパルス応答値の振幅が大きいブ
ロックについては、リセットするか否かの判定に用いる
しきい値が大きくなるため、微小なインパルス応答の変
化に対しては誤ってリセットされにくく、またエコーキ
ャンセラをソフトウエアで構成した場合にはCPUに対
して負荷を軽減することができ、またハードウエアで構
成した場合には電力を軽減することができるという効果
を奏する。
【0127】実施例8.本実施例は、実施例5に示した
動作を行うエコーキャンセラの最大値算出部の動作に制
限を加えることにより、演算量の低減を図ったものであ
る。
【0128】図16は、実施例8に係るエコーキャンセ
ラの構成を示したものであり、図において211、21
2、213、214は最大値算出部である。
【0129】次に動作を説明する。受信信号レジスタ7
1、72、73、74、推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84、たたみ込み演算部91、92、
93、94、総和器13、減算器141、142、14
3、144、電力算出部151、152、153、15
4、送信側入力信号電力算出部16、推定インパルス応
答値リセット部17、しきい値設定部18については、
図11に示したエコーキャンセラの場合と同様の動作を
行う。
【0130】最大値算出部211は、インパルス応答推
定動作制御部12の判定結果を入力し、双方向同時通話
状態であると判定されたサンプル時刻にのみ、推定イン
パルス応答レジスタ81の格納値の中で絶対値が最大の
サンプルを検索してそのサンプルの絶対値を保持すると
共に、しきい値設定部18に出力する。そうでないサン
プル時刻においては検索を行わずに保持した結果をその
まましきい値設定部18に出力する。最大値算出部21
2、213、214についても同様な動作を行う。この
ように動作すると、双方向同時通話状態と判定されたサ
ンプル時刻においては、インパルス応答推定部11にお
いて推定インパルス応答レジスタの格納値の更新する演
算が行われないため、実施例4と比較して1サンプル時
間内に必要となる演算量は低減される。
【0131】以上のように、本実施例によればエコー経
路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコー
信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロック
の推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットする
ため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、格納される推定インパルス応答値の振幅が大きいブ
ロックについてはリセットするか否かの判定に用いるし
きい値が大きくなるため、微小なインパルス応答の変化
に対しては誤ってリセットされにくく、またエコーキャ
ンセラをソフトウエアで構成した場合にはCPUに対し
て負荷を軽減することができ、またハードウエアで構成
した場合には電力を軽減することができるという効果を
奏する。
【0132】尚、上記実施例6、7、8はブロック毎に
制御したエコーキャンセラの2乗和算出部、絶対値和算
出部、最大値算出部の動作を制限したものを説明した
が、これに限定されず、実施例1で示したようなエコー
キャンセラに対して適用しても同様の効果を得ることが
できる。
【0133】実施例9.本実施例は、実施例2に示した
動作を行うエコーキャンセラのインパルス応答推定部の
動作に制限を加えることにより、演算量の低減を図った
ものである。
【0134】図17は実施例9に係るエコーキャンセラ
の構成を示したものであり、図において22は第2のイ
ンパルス応答推定動作制御部、23はAND回路であ
る。
【0135】次に動作を説明する。受信信号レジスタ7
1、72、73、74、推定インパルス応答レジスタ8
1、82、83、84、たたみ込み演算部91、92、
93、94、総和器13、減算器141、142、14
3、144、電力算出部151、152、153、15
4、送信側入力信号電力算出部16については、図11
に示したエコーキャンセラと同様の動作を行う。推定イ
ンパルス応答値リセット部17については、図11に示
したエコーキャンセラと同様の動作を行うと共に、各ブ
ロックの推定インパルス応答レジスタの格納値をリセッ
トしたかどうかを示す信号を、インパルス応答推定動作
制御部22に出力する。
【0136】インパルス応答推定動作制御部22は推定
インパルス応答値リセット部からこれらの信号を入力し
て、1ブロック以上の推定インパルス応答レジスタの格
納値がリセットされた場合には“0”を、そうでない場
合には“1”をAND回路22に出力する。AND回路
22は、インパルス応答推定動作制御部22の出力信号
とインパルス応答推定動作制御部12の出力信号との論
理積を算出し、その結果をインパルス応答推定部11に
出力する。
【0137】このように動作すると、インパルス応答推
定部11は、双方向同時通話状態と検出されたサンプル
時刻と、1個以上のブロックの推定インパルス応答レジ
スタがリセットされたサンプル時刻において、推定イン
パルス応答レジスタ81、82、83、84の格納値の
更新演算を行わなくなる。従って、実施例1と比較して
1サンプル時間内に必要となる演算量は低減される。
【0138】以上のようにこの実施例によればエコー経
路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコー
信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロック
の推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットする
ため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、このようなリセット処理に伴う演算量の増大が少な
いエコーキャンセラを得ることができる。
【0139】実施例10.また実施例3、4、5、6、
7、8に示したエコーキャンセラに対しても、実施例9
と同様な構成要素の追加により、インパルス応答推定部
11が、双方向同時通話状態と検出されたサンプル時刻
と、1個以上のブロックの推定インパルス応答レジスタ
がリセットされたサンプル時刻において、推定インパル
ス応答レジスタ81、82、83、84の格納値の更新
演算を行わなくなるようにすることができる。
【0140】以上のように、本実施例によればエコー経
路のインパルス応答が急激に変化すると、実際のエコー
信号と異なる擬似エコー信号を算出してしまうブロック
の推定インパルス応答レジスタの格納値をリセットする
ため、エコーの増大を防止することが可能となると共
に、格納される推定インパルス応答値の振幅が大きいブ
ロックについては、リセットするか否かの判定に用いる
しきい値が大きくなるため微小なインパルス応答の変化
に対しては誤ってリセットされにくく、またこのような
リセット処理に伴う演算量の増大の少ないエコーキャン
セラを得ることができる。
【0141】ところで、上記実施例1、2、3、4、
5、6、7、8、9に示したエコーキャンセラにおいて
は、推定インパルス応答レジスタ、受信信号レジスタ、
たたみ込み演算部などの分割ブロック数を4としたが、
全体の推定インパルス応答の長さに応じて分割数を変え
ることが可能であり、例えば5、6、7、8などのブロ
ック数とすることもできることは言うまでもない。
【0142】
【発明の効果】以上のように第1の発明に係るエコーキ
ャンセラは、受信信号が入力され、当該受信信号を格納
する受信信号レジスタと、送信側入力信号よりエコーが
消去された後の残差信号より、インパルス応答を推定す
るインパルス応答推定部と、前記インパルス応答推定部
により推定されたインパルス応答を示す推定インパルス
応答信号を格納する推定インパルス応答レジスタと、前
記受信信号レジスタに格納された前記受信信号と前記推
定インパルス応答レジスタに格納された前記推定インパ
ルス応答信号とをたたみ込み演算し、擬似エコー信号を
出力するたたみ込み演算部と、前記送信側入力信号より
前記擬似エコー信号に応じて演算することにより前記残
差信号を求める残差信号演算部と、前記送信側入力信号
及び前記擬似エコー信号に応じて前記インパルス応答レ
ジスタの値を制御する推定インパルス応答値制御部とを
備えているので、例えば、エコー経路のインパルス応答
が急激に変化した場合に、エコーの増大を防止すること
ができる。
【0143】第2の発明に係るエコーキャンセラは、受
信信号が入力され、当該受信信号を格納する受信信号レ
ジスタと、送信側入力信号よりエコーが消去された後の
残差信号より、インパルス応答を推定するインパルス応
答推定部と、前記インパルス応答推定部により推定され
たインパルス応答を示す推定インパルス応答信号を格納
する推定インパルス応答レジスタと、前記受信信号レジ
スタに格納された前記受信信号と前記推定インパルス応
答レジスタに格納された前記推定インパルス応答信号と
をたたみ込み演算し、受信信号の第1の部分及び第2の
部分にそれぞれ対応した第1、第2の擬似エコー信号を
出力するたたみ込み演算部と、前記送信側入力信号より
前記擬似エコー信号に応じて演算することにより前記残
差信号を求める第1の残差信号演算部と、前記送信側入
力信号より前記擬似エコー信号に応じて演算することに
より受信信号の第1の部分及び第2の部分にそれぞれ対
応した第1、第2の残差信号を求める第2の残差信号演
算部と、前記送信側入力信号及び前記第1、第2の擬似
エコー信号に応じて前記インパルス応答レジスタの値を
制御する推定インパルス応答値制御部とを備えているの
で、エコー経路のインパルス応答が急激に変化した場合
でも、実際のエコー信号と異なる擬似エコー信号を算出
してしまうブロックの推定インパルス応答レジスタの格
納値を制御するため、エコーの増大を防止することが可
能なエコーキャンセラを得ることができる。
【0144】第3の発明に係るエコーキャンセラは、第
1又は第2の発明に係るエコーキャンセラにおいてさら
に残差信号の電力を算出する電力算出部と、送信側入力
信号の電力を算出する送信側入力信号電力算出部を備
え、さらに前記推定インパルス応答値制御部は、当該電
力算出部において算出された擬似エコー信号の電力値と
当該送信側入力信号電力算出部において算出された送信
側入力信号の電力値に応じて前記インパルス応答レジス
タの値を制御するので、エコーの増大を防止することが
できる。
【0145】第4の発明に係るエコーキャンセラは、第
1、第2又は第3の発明に係るエコーキャンセラにおい
て、さらに前記推定インパルス応答レジスタに格納され
た推定インパルス応答の値に基づいてしきい値を設定す
るしきい値設定部を備えるとともに、前記推定インパル
ス応答値制御部はさらに当該しきい値設定部において設
定されたしきい値に基づくものであるので、微小なイン
パルス応答の変化に対して誤って推定インパルス応答レ
ジスタをリセットしてしまうことが少ないエコーキャン
セラを得ることができる。
【0146】第5の発明に係るエコーキャンセラは、第
4の発明に係るエコーキャンセラにおいて、しきい値設
定部は、推定インパルス応答レジスタに格納された推定
インパルス応答の2乗和、絶対値和又は最大値を算出す
るとともに算出された値に基づいてしきい値を設定する
ものであるので、微小なインパルス応答の変化に対して
誤って推定インパルス応答レジスタをリセットしてしま
うことが少ないエコーキャンセラを得ることができる。
【0147】第6の発明に係るエコーキャンセラは、第
5の発明に係るエコーキャンセラにおいて、さらに前記
受信信号、前記残差信号、前記送信側入力信号の何れか
の信号、またはその組み合わせに基づいて前記インパル
ス応答推定部の動作を制限するインパルス応答推定動作
制御部を備え、前記インパルス応答推定動作制御部から
出力された前記インパルス応答推定部の動作の制限情報
を示す信号に基づいて前記2乗和、絶対値和又は最大値
の算出を制限する構成としたので、演算量の増大が少な
いエコーキャンセラを得ることができる。
【0148】第7の発明に係るエコーキャンセラは、第
1、第2、第3、第4又は第5の発明に係るエコーキャ
ンセラにおいて、さらに前記受信信号、前記残差信号、
前記送信側入力信号の何れかの信号、またはその組み合
わせに基づいて前記インパルス応答推定部の動作を制限
するインパルス応答推定動作制御部を備え、前記インパ
ルス応答推定動作制御部から出力された前記インパルス
応答推定部の動作の制限情報を示す信号及び前記推定イ
ンパルス応答値制御部から出力された前記インパルス応
答レジスタの値の制御情報を示す信号に基づいて前記イ
ンパルス応答推定部の動作を制限する構成としたので、
演算量の増大が少ないエコーキャンセラを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるエコーキャンセラを示
した構成図である。
【図2】エコーキャンセラの推定インパルス応答レジス
タの格納値と実際のエコー経路のインパルス応答を示し
た波形図である。
【図3】エコー経路が急激に変化した場合における実際
のエコー経路のインパルス応答とエコーキャンセラの推
定インパルス応答レジスタの格納値とを示した波形図で
ある。
【図4】本発明の実施例2によるエコーキャンセラを示
した構成図である。
【図5】エコーキャンセラの推定インパルス応答レジス
タの格納値と実際のエコー経路のインパルス応答を示し
た波形図である。
【図6】エコー経路が急激に変化した場合における実際
のエコー経路のインパルス応答とエコーキャンセラの推
定インパルス応答レジスタの格納値とを示した波形図で
ある。
【図7】エコーキャンセラの推定インパルス応答レジス
タの格納値とエコー経路のインパルス応答との間に、微
小な誤差がある場合の、両者の波形を示した図である。
【図8】エコーキャンセラの推定インパルス応答レジス
タの格納値とエコー経路のインパルス応答との間に、微
小な誤差がある場合の、両者の波形を示した図である。
【図9】部分残差信号の意味を説明するため、受信信号
に対してたたみ込み演算が行われる係数の波形を示した
図である。
【図10】受信信号波形、送信側入力信号波形、部分残
差信号波形の例を示した図である。
【図11】本発明の実施例3によるエコーキャンセラを
示した構成図である。
【図12】本発明の実施例4によるエコーキャンセラを
示した構成図である。
【図13】本発明の実施例5によるエコーキャンセラを
示した構成図である。
【図14】本発明の実施例6によるエコーキャンセラを
示した構成図である。
【図15】本発明の実施例7によるエコーキャンセラを
示した構成図である。
【図16】本発明の実施例8によるエコーキャンセラを
示した構成図である。
【図17】本発明の実施例9によるエコーキャンセラを
示した構成図である。
【図18】従来のエコーキャンセラを示した構成図であ
る。
【図19】従来のエコーキャンセラを示した構成図であ
る。
【符号の説明】
71、72、73、74 受信信号レジスタ、81、8
2、83、84 推定インパルス応答レジスタ、91、
92、93、94 たたみ込み演算部、11インパルス
応答推定部、12、22 インパルス応答推定動作制御
部、141、142、143、144 減算器、15
1、152、153、154 電力算出部、16 送信
側入力信号電力算出部、17 推定インパルス応答リセ
ット部、18 しきい値設定部、191、192、19
3、194 2乗和算出部、201、202、203、
204 絶対値和算出部、211、212、213、2
14 最大値算出部。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受信信号が入力され、当該受信信号を格
    納する受信信号レジスタと、送信側入力信号よりエコー
    が消去された後の残差信号より、インパルス応答を推定
    するインパルス応答推定部と、前記インパルス応答推定
    部により推定されたインパルス応答を示す推定インパル
    ス応答信号を格納する推定インパルス応答レジスタと、
    前記受信信号レジスタに格納された前記受信信号と前記
    推定インパルス応答レジスタに格納された前記推定イン
    パルス応答信号とをたたみ込み演算し、擬似エコー信号
    を出力するたたみ込み演算部と、前記送信側入力信号よ
    り前記擬似エコー信号に応じて演算することにより前記
    残差信号を求める残差信号演算部と、前記送信側入力信
    号及び前記残差信号に応じて前記推定インパルス応答レ
    ジスタの値を制御する推定インパルス応答値制御部とを
    備えたエコーキャンセラ。
  2. 【請求項2】 受信信号が入力され、当該受信信号を格
    納する受信信号レジスタと、送信側入力信号よりエコー
    が消去された後の残差信号より、インパルス応答を推定
    するインパルス応答推定部と、前記インパルス応答推定
    部により推定されたインパルス応答を示す推定インパル
    ス応答信号を格納する推定インパルス応答レジスタと、
    前記受信信号レジスタに格納された前記受信信号と前記
    推定インパルス応答レジスタに格納された前記推定イン
    パルス応答信号とをたたみ込み演算し、受信信号の第1
    の部分及び第2の部分にそれぞれ対応した第1、第2の
    擬似エコー信号を出力するたたみ込み演算部と、前記送
    信側入力信号より前記擬似エコー信号に応じて演算する
    ことにより前記残差信号を求める第1の残差信号演算部
    と、前記送信側入力信号より前記擬似エコー信号に応じ
    て演算することにより受信信号の第1の部分及び第2の
    部分にそれぞれ対応した第1、第2の残差信号を求める
    第2の残差信号演算部と、前記送信側入力信号及び前記
    第1、第2の残差信号に応じて前記推定インパルス応答
    レジスタの値を制御する推定インパルス応答値制御部と
    を備えたエコーキャンセラ。
  3. 【請求項3】 前記エコーキャンセラは、さらに残差信
    号の電力を算出する電力算出部と、送信側入力信号の電
    力を算出する送信側入力信号電力算出部を備え、さらに
    前記推定インパルス応答値制御部は、当該電力算出部に
    おいて算出された残差信号の電力値と当該送信側入力信
    号電力算出部において算出された送信側入力信号の電力
    値に応じて前記推定インパルス応答レジスタの値を制御
    することを特徴とする請求項1又は2記載のエコーキャ
    ンセラ。
  4. 【請求項4】 前記エコーキャンセラは、さらに前記推
    定インパルス応答レジスタに格納された推定インパルス
    応答の値に基づいてしきい値を設定するしきい値設定部
    を備えるとともに、前記推定インパルス応答値制御部は
    さらに当該しきい値設定部において設定されたしきい値
    に基づいて動作することを特徴とする請求項1、2又は
    3記載のエコーキャンセラ。
  5. 【請求項5】 前記しきい値設定部は、推定インパルス
    応答レジスタに格納された推定インパルス応答の2乗
    和、絶対値和又は最大値を算出するとともに算出された
    値に基づいてしきい値を設定することを特徴とする請求
    項4記載のエコーキャンセラ。
  6. 【請求項6】 前記エコーキャンセラは、さらに前記受
    信信号、前記残差信号、前記送信側入力信号の何れかの
    信号、またはその組み合わせに基づいて前記インパルス
    応答推定部の動作を制限するインパルス応答推定動作制
    御部を備え、前記インパルス応答推定動作制御部から出
    力された前記インパルス応答推定部の動作の制限情報を
    示す信号に基づいて前記2乗和、絶対値和又は最大値の
    算出を制限することを特徴とする請求項5記載のエコー
    キャンセラ。
  7. 【請求項7】 前記エコーキャンセラは、さらに前記受
    信信号、前記残差信号、前記送信側入力信号の何れかの
    信号、またはその組み合わせに基づいて前記インパルス
    応答推定部の動作を制限するインパルス応答推定動作制
    御部を備え、前記インパルス応答推定動作制御部から出
    力された前記インパルス応答推定部の動作の制限情報を
    示す信号及び前記推定インパルス応答値制御部から出力
    された前記インパルス応答レジスタの値の制御情報を示
    す信号に基づいて前記インパルス応答推定部の動作を制
    限する請求項1、2、3、4又は5記載のエコーキャン
    セラ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010001508A1 (ja) * 2008-07-02 2010-01-07 パナソニック株式会社 音声信号処理装置

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JP2010016564A (ja) * 2008-07-02 2010-01-21 Panasonic Corp 音声信号処理装置

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