JP3304119B2 - エコーキャンセラ - Google Patents

エコーキャンセラ

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JP3304119B2
JP3304119B2 JP03865692A JP3865692A JP3304119B2 JP 3304119 B2 JP3304119 B2 JP 3304119B2 JP 03865692 A JP03865692 A JP 03865692A JP 3865692 A JP3865692 A JP 3865692A JP 3304119 B2 JP3304119 B2 JP 3304119B2
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家俊 曲
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エヌイーシーインフロンティア株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエコーキャンセラに係
り、特に長距離電話通信において遠隔エコーを打ち消す
ために使用されるエコーキャンセラに関する。
【0002】
【従来の技術】伝搬遅延の大きい長距離電話通信では、
長距離回線(4線区間)と加入者線区間(2線区間)と
の接続点に挿入される2線4線交換器の不整合によつて
送話者側に戻る遠端エコーが通話品質上問題になる。こ
の問題を解決するために、デイジタル受信信号と適応フ
イルタのタップ係数とが入力されるたたみ込み積分回路
による演算で擬似エコー信号を作成し、この擬似エコー
信号によりデイジタルエコー信号を消去するエコーキャ
ンセラが従来から使用されている。図2はこの種のエコ
ーキャンセラの構成を示す回路図であり、受信信号が入
力されるAD変換器1の出力端子は、ダブルトーク検出
器9とレジスタ2とに接続してあり、レジスタ2の出力
端子には、たたみ込み積分回路3と修正回路7とが接続
してある。一方、送信信号が入力するAD変換器4の出
力端子は、ダブルトーク検出器9と減算器5とに接続し
てあり、減算器5の出力端子は修正回路7とDA変換器
6とに接続してある。そして、修正回路7の出力端子が
適応フイルタを構成するレジスタ8に接続してあり、レ
ジスタ8の出力端子がたたみ込み積分回路3に接続して
あり、ダブルトーク検出器9の出力端子がレジスタ8に
接続してある。
【0003】■このような構成の従来のエコーキャンセ
ラでは、AD変換器1で変換されたデイジタル受信信号
がレジスタ2に入力記録され、たたみ込み積分回路3で
は、レジスタ2からこの受信信号を取込み、修正回路7
から修正されたタップ係数が入力記録されるレジスタ8
から、当該タップ係数を取込んでたたみ込み演算を行な
い、得られた擬似エコー信号が減算器5に入力される。
減算器5では、AD変換器4で変換されたデイジタルエ
コー信号と演算された擬似エコー信号との差演算を行な
うことにより、デイジタルエコー信号の消去を行なう。
減算器5の出力端子には擬似エコー信号とエコー信号と
の残差信号が得られ、この残差信号がDA変換器6によ
って出力され、修正回路7では、この残差信号とレジス
タ2から取込んだ受信信号とに基づいて、適応フイルタ
のタップ係数を更新する修正量を演算し、修正されたタ
ップ係数がレジスタ8に入力記録される。ダブルトーク
(双方向同時通話)が発生し、エコー信号に近端送話信
号が重畳すると、推定アルゴリズムにより近端送話信号
が雑音と判断されるので、インパルス応答は正しく修正
されず、エコー信号の消去能力が低下する。そこで、ダ
ブルトーク検出回路9が設けてあり、このダブルトーク
検出回路9は、送信信号レベルが受信信号レベルよりも
高くなることを判定してダブルトーク(双方向同時通
話)を検出し、レジスタ8への修正回路7からの修正さ
れたタップ係数の書込を禁止し、消去能力の低下を防止
するインパルス応答の修正が行なわれる。なお、インパ
ルス応答の修正動作が停止しても、保持されている推定
インパルス応答で擬似エコー信号の演算が行なわれ、エ
コー信号の消去動作は継続するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来のエコー
キャンセラでは、ダブルトーク検出回路9は送信信号の
レベルと受信信号のレベルとを比較し、送信信号のレベ
ルの方が高い時にダブルトークと判定するが、音声信号
では瞬時信号がダイナミックに変化するので、信号レベ
ルは所定時間内の信号値の平均値に基づいて決定しなく
てはならない。このために、信号のレベル検出に所定の
時間が必要であるが、従来のエコーキャンセラでは、こ
の所定時間内も修正回路7ではタップ係数の修正が行な
われるので、ダブルトーク状態であるとインパルス応答
が乱れてしまい、たたみ込み積分回路3で演算した擬似
エコー信号の誤差が大きくなってしまう。本発明は、前
述したようなこの種のエコーキャンセラの現状に鑑みて
なされたものであり、その目的は、ダブルトーク発生時
においても演算される擬似エコー信号に誤差が生じるこ
とがなく、常に安定した精度のエコー信号の消去動作を
行なうエコーキャンセラを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のエコーキャンセラは、受信信号と送信信号
とを入力してダブルトークを検出するダブルトーク検出
器と、前記受信信号を保持する保持回路と、適応フィル
タを有し、前記保持回路に保持された受信信号と前記適
応フィルタのタップ係数とをたたみ込み積分して疑似エ
コー信号を算出するたたみ込み積分回路と、前記送信信
号から前記たたみ込み積分回路で算出された疑似エコー
信号を減じて残差信号を算出する減算器と、該減算器で
算出した残差信号と前記保持回路に保持された受信信号
に基づいて前記適応フィルタのタップ係数を修正する修
正回路と、それぞれが前記修正回路で算出した前記適応
フィルタに用いる1群のタップ係数を保持し、保持した
タップ係数を前記たたみ込み積分回路に出力する、複数
の並列に設けられたレジスタと、制御回路とを有し、前
記制御回路は、前記ダブルトーク検出器の動作に同期し
て動作し、前記ダブルトーク検出器でダブルトークを検
出しないダブルトークの非発生時は前記修正回路を作動
させて新たなタップ係数を算出させ、該新たなタップ係
数を前記複数のレジスタに順次書込み、前記レジスタに
書込まれた修正タップ係数を前記たたみ込み積分回路に
順次入力し、前記ダブルトーク検出器がダブルトークを
検出した時は、前記修正回路の動作を停止し、ダブルト
ーク検出前に前記レジスタに保持されたタップ係数を前
記たたみ込み積分回路に入力する回路構成をしている。
【0006】
【作用】このような構成なので、ダブルトークの非発生
時には、制御回路によって修正回路が作動され、修正さ
れたタップ係数が適応フイルタの複数のレジスタに順次
書込まれ、書込まれたタップ係数は、順次たたき込み積
分回路に入力され、たたみ込み積分回路では、現在まで
の修正されたタップ係数に基づき擬似エコー信号を演算
し、この擬似エコー信号によって減算器でエコー信号が
消去される。また、ダブルトーク検出器がダブルトーク
を検出すると、制御回路によって修正回路の動作が停止
され、現在タップ係数が修正されていないレジスタに記
録されているタップ係数がたたみ込み積分回路に入力さ
れ、当該タップ係数に基づき演算された擬似エコー信号
により、減算器でエコー信号が消去される。このように
ダブルトークの発生時には、正しい修正動作を行なわな
い修正回路により修正されたタップ係数を使用せず、ダ
ブルトークの非発生時のタップ係数を記録しているレジ
スタからのタップ係数で、擬似エコー信号が演算される
ので、ダブルトークの非発生時及び発生時を通じて安定
した一定精度のエコー信号の消去が行なわれる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1を参照して説
明する。ここで、図1は実施例の回路図であり、すでに
説明した図2と同一部分には同一符号が付されている。
図1に示すように、実施例では、すでに図2を参照して
説明した従来のエコーキャンセラに対して、レジスタ8
に代えて2個のレジスタ8a及びレジスタ8bを使用
し、新たに制御回路10を設け、修正回路7に信号の授
受が可能に制御回路10が接続してある。そして、制御
回路10にレジスタ8aとレジスタ8bとが接続してあ
り、レジスタ8aとレジスタ8bとの出力端子には、た
たみ込み積分回路3が接続してあり、ダブルトーク検出
器9の出力端子が制御回路10に接続してある。この制
御回路10は、修正回路7の動作及び停止、修正回路7
で修正されたタップ係数のレジスタ8aとレジスタ8b
への入力及びレジスタ8aとレジスタ8bとからのタッ
プ係数のたたみ込み積分回路3への入力の制御をする機
能を有している。そして、制御回路10による、レジス
タ8a及びレジスタ8bからのタップ係数のたたみ込み
積分回路3への入力制御は、ダブルトーク検出器9がダ
ブルトーク状態の検出をするに必要な所定時間間隔で、
ダブルトーク検出器9に同期して行なわれるように構成
されている。実施例のその他の部分の構成は、すでに図
2を参照して説明した従来のエコーキャンセラと同一で
ある。
【0008】次に、このような構成の実施例の動作を説
明する。jをサンプリング信号、i=0、1、2・・・
N−1とし、レジスタ8aに書込まれるタップ係数を
〈H(j)〉(i)、レジスタ8bに書込まれるタップ
係数を〈H(j+M)〉(i)すると、ダブルトーク検
出器9がダブルトークを検出していない場合には、制御
回路10はMの時間間隔でレジスタ8aとレジスタ8b
に適応動作を行い、修正回路7で修正したタップ係数が
順次レジスタ8aとレジスタ8bとに書込まれる。そし
て、制御回路10によつてレジスタ8aとレジスタ8b
に書込まれたタップ係数が、前記所定時間間隔で順次た
たみ込み積分回路3に入力され、このタップ係数とレジ
スタ2から取込まれる受信信号とに基づいて、たたみ込
み積分回路3において擬似エコー信号Ynが、サンプリ
ング周期をTとし時刻nTでの受信信号をXnとして、
Yn=Σ{H(i)X(n−i)}として演算される。
また減算器5において、エコー経路のインパルス応答系
列を〈W(i)〉として得られるエコー信号Yo=Σ
{W(i)X(n−i)}と、前記擬似エコー信号との
差演算によってエコー信号の消去が行なわれる。この際
に得られる残差信号e=Yo−Yn=Σ{W(i)−H
(i)}・X(n−i)が、DA変換器6から出力され
る。さらに、修正回路7では制御回路10の制御によっ
て、この残差信号eとレジスタ2から入力される受信信
号とに基づいてタップ係数の修正を行い、修正されたタ
ップ係数がレジスタ8aとレジスタ8bとに入力記録さ
れる。
【0009】実施例では、ダブルトーク検出器9がダブ
ルトークを検出すると、ダブルトーク検出器9からの検
出信号が制御回路10に入力され、制御回路10からの
制御信号によつて修正回路7の動作が停止され、制御回
路10は直前に修正回路7から修正されたタップ係数が
入力記録されたレジスタ(例えばレジスタ8a)の当該
タップ係数のたたみ込み積分回路3への入力を中止し、
ダブルトークが発生する前に修正されたタップ係数が入
力記録されたレジスタ8bから、当該タップ係数をたた
み込み積分回路3に入力する。そして、このタップ係数
とレジスタ2からの受信信号に基づいてすでに説明した
ように擬似エコー信号Ynが演算され、エコー信号の消
去が行なわれる。このように、ダブルトークが発生しイ
ンパルス応答が乱れた状態でのタップ係数を使用せず
に、ダブルトーク発生前のタップ係数で擬似エコー信号
Ynの演算が行なわれるので、ダブルトーク発生時にお
いても平常時と同様にエコー信号の高精度の消去が行な
われる。
【0010】■このように、実施例によると、ダブルト
ークが発生するとダブルトークの発生により乱れたタッ
プ係数のたたみ込み積分回路3への入力が停止され、ダ
ブルトーク非発生時のタップ係数がたたみ込み積分回路
3に入力され、このタップ係数に基づいて演算された擬
似エコー信号でエコー信号の消去が行なわれ、常に安定
した高精度のエコー信号の消去が行なわれ、高通信品質
の維持が可能になる。なお、実施例では適応フイルタに
2個のレジスタを設けた場合を説明したが、本発明は実
施例に限定するものではなく、一般には複数個のレジス
タを設けた構成とすることができる。
【0011】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明で
は、ダブルトーク検出器がダブルトークを検出すると、
修正回路の動作を停止し、現在タップ係数が修正されて
いないレジスタに記録されているタップ係数をたたみ込
み積分回路に入力する制御回路を設けたので、本発明の
エコーキャンセラによると、ダブルトークの非発生時及
び発生時を通じて、安定に高精度のエコー信号の消去を
行い長距離電話通信で高通話品質を維持することが可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエコーキャンセラの一実施例の回路図
である。
【図2】従来のエコーキャンセラの回路図である。
【符号の説明】
1、4 AD変換器 6 DA変換器 2 レジスタ 3 たたみ込み積分回路 5 減算器 7 修正回路 8a、8b レジスタ 9 ダブルトーク検出器 10 制御回路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−100637(JP,A) 特開 昭59−167131(JP,A) 特開 昭62−24726(JP,A) 特開 昭62−98927(JP,A) 特開 平1−126839(JP,A) 特開 平2−305231(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/00 - 3/44

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】受信信号と送信信号とを入力してダブルト
    ークを検出するダブルトーク検出器と、 前記受信信号を保持する保持回路と、 適応フィルタを有し、前記保持回路に保持された受信信
    号と前記適応フィルタのタップ係数とをたたみ込み積分
    して疑似エコー信号を算出するたたみ込み積分回路と、 前記送信信号から前記たたみ込み積分回路で算出された
    疑似エコー信号を減じて残差信号を算出する減算器と、 該減算器で算出した残差信号と前記保持回路に保持され
    た受信信号に基づいて前記適応フィルタのタップ係数を
    修正する修正回路と、 それぞれが前記修正回路で算出した前記適応フィルタに
    用いる1群のタップ係数を保持し、保持したタップ係数
    を前記たたみ込み積分回路に出力する、複数の並列に設
    けられたレジスタと、 制御回路とを有するエコーキャンセラであって、 前記制御回路は、前記ダブルトーク検出器の動作に同期
    して動作し、 前記ダブルトーク検出器でダブルトークを検出しないダ
    ブルトークの非発生時は前記修正回路を作動させて新た
    なタップ係数を算出させ、該新たなタップ係数を前記複
    数のレジスタに順次書込み、前記レジスタに書込まれた
    修正タップ係数を前記たたみ込み積分回路に順次入力
    し、 前記ダブルトーク検出器がダブルトークを検出した時
    は、前記修正回路の動作を停止し、ダブルトーク検出前
    に前記レジスタに保持されたタップ係数を前記たたみ込
    み積分回路に入力するエコーキャンセラ。
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