JPH08250283A - 電子デバイス - Google Patents

電子デバイス

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JPH08250283A
JPH08250283A JP7050978A JP5097895A JPH08250283A JP H08250283 A JPH08250283 A JP H08250283A JP 7050978 A JP7050978 A JP 7050978A JP 5097895 A JP5097895 A JP 5097895A JP H08250283 A JPH08250283 A JP H08250283A
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俊郎 平岡
Yutaka Majima
豊 真島
Kou Jiyurian
ジュリアン・コウ
Shuji Hayase
修二 早瀬
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリシラン、ポリゲルマン、ポリスタナンな
どのポリマーからなる機能膜自体の化学的・光学的な耐
久性及び機械的強度を改善するとともに、素子動作時に
も機能膜の劣化や剥離が少なく、これらのポリマーが本
来的に有する優れた光学的、電気的な性質を有効に発現
し得る電子デバイスを提供する。 【構成】 電極とこの電極上に形成された機能膜とを具
備した電子デバイスにおいて、電極(2)が表面に官能
基を有し、かつ機能膜(3)がポリシラン、ポリゲルマ
ン及びポリスタナン並びにこれらの共重合体から選択さ
れるポリマー主鎖を有するものであり、電極(2)表面
と機能膜(3)を構成するポリマー主鎖とがポリマー主
鎖に直接結合した酸素原子を介して化学的に結合してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、EL素子、EO素子、
電子写真感光体、太陽電池などの電子デバイスに関し、
特に電極とその上に形成される機能膜に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリシラン、ポリゲルマン及びポリスタ
ナン(以下、ポリシラン類という場合がある)などのポ
リマーは主鎖のσ共役効果に起因して様々な光学的、電
気的な性質を発現するため、電子デバイスを構成する機
能膜材料としての応用が期待されている。しかしなが
ら、これらのポリマー主鎖のSi−Si、Ge−Ge、
Sn−Snといった化学結合は変性しやすく、例えば紫
外線の照射によって比較的容易に酸化されてしまうた
め、膜としての耐久性が弱い。また、これらのポリマー
からなる膜は機械的強度も弱いことが多く、デバイス材
料として用いる際に大きな問題となっている。
【0003】さらに、電極上にポリシラン類からなる機
能膜を形成して例えばEL素子などとして用いる際に
は、電極と機能膜との界面に大きな電界が印加されるこ
とが多く、高温状態になることもある。このため界面付
近の膜部分が急速に変性又は軟化して劣化したり、電極
から剥離するといった問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにポリシ
ラン、ポリゲルマン、ポリスタナンなどのポリマーは化
学的・光学的な耐久性が低く、これらのポリマーを機能
膜として用いたEL素子などの電子デバイスにおいては
電極との界面付近において膜の剥離や劣化が起こりやす
く、十分な特性を得ることができなかった。
【0005】本発明の目的は、ポリシラン、ポリゲルマ
ン、ポリスタナンなどのポリマーからなる機能膜の劣化
や剥離が素子動作時にも少なく、上記のポリマーが本来
的に有する優れた光学的、電気的な性質を有効に発現し
得る電子デバイスを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の電子デバ
イスは、電極と該電極上に形成された機能膜とを具備し
た電子デバイスにおいて、前記機能膜がポリシラン、ポ
リゲルマン及びポリスタナン並びにこれらの共重合体か
ら選択されるポリマー主鎖を有するものであり、前記電
極表面と前記機能膜を構成するポリマー主鎖とがポリマ
ー主鎖に直接結合した酸素原子を介して化学的に結合し
ていることを特徴とするものである。
【0007】この場合、ポリシラン、ポリゲルマン及び
ポリスタナン並びにこれらの共重合体から選択されるポ
リマー主鎖が光酸化されてなる領域が部分的に形成され
ていてもよい。
【0008】また、本発明の電子デバイスは、電極と該
電極上に形成された機能膜とを具備した電子デバイスに
おいて、前記機能膜が、表面に官能基を有する電極を下
記一般式(1)
【0009】
【化3】 (上記式中、MはSi,Ge及びSnから選択される少
なくとも1種、R1 及びR2 は水素並びに置換又は非置
換のアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択
され、同種でも異種でもよく、1〜15の炭素原子を含
む。)又は下記一般式(2)
【0010】
【化4】 (上記式中、MはSi,Ge及びSnから選択される少
なくとも1種、R1 は水素並びに置換又は非置換のアル
キル基、アリール基及びアラルキル基から選択され、1
〜15の炭素原子を含み、R2 は水素並びに置換又は非
置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基及びシリ
ル基から選択され、アルキル基、アリール基又はアラル
キル基である場合1〜15の炭素原子を含み、シリル基
である場合1〜10のケイ素原子を含む。)で表される
繰り返し単位を有する化合物で表面処理することにより
形成されたものであることを特徴とするものである。
【0011】この場合、例えば前記電極表面の官能基と
上記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を
有する化合物の側鎖の水酸基又はアルコキシル基が縮合
して化学的に結合する。
【0012】本発明において、機能膜を構成する複数の
ポリマー鎖は酸素原子を介して互いに架橋して三次元ネ
ットワーク構造を形成していることが好ましい。以下、
本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】本発明において電極材料としては導体又は
半導体が用いられる。具体的には、銅、アルミニウム、
錫、鉄、金、白金などの金属電極;グラファイト、グラ
ッシーカーボンなどの炭素電極;SnO2 、Sb23
−SnO2 、In23 −SnO2 (ITO)などの透
明な金属酸化物電極;Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−
O系、YBa2 Cu37-x などの超電導電極;Li2
47 、LiNbO3 などの圧電性電極;TiO3
どの光電気化学効果電極などが挙げられる。電極の形状
は特に限定されない。
【0014】これらの電極の表面の少なくとも一部に
は、水酸基、チオール基、アルコキシル基、チオエーテ
ル基、アミノ基、アミド基、エステル基、チオエステル
基及びスルホキシド基からなる群より選択される少なく
とも1種の官能基が存在する。これらの官能基の具体例
を以下に示す。
【0015】
【化5】
【0016】電極として例えば鉄やグラファイトを用い
る場合、その表面に生ずる自然酸化膜中には水酸基など
の官能基が存在しるので、電極表面に官能基を導入する
操作を特別に行う必要はない。また、金属酸化物電極を
ゾル−ゲル法や金属塩の焼成法などにより形成する場
合、ゲル化や焼成の途上において水酸基などが多数存在
しているため、この時点で後述するように電極表面とポ
リマーとを反応させ、その後に完全にゲル化や焼成を行
なえば、電極表面に官能基を導入する操作を特別に行う
必要はない。ただし、電極表面に官能基が十分に存在し
ない場合には、以下のような方法で電極表面に官能基を
導入する。
【0017】電極表面に官能基を導入する方法として
は、(a)電極表面を変性させて官能基を導入する方
法、又は(b)電極表面に官能基を有する物質を付着さ
せる方法が挙げられる。上記(a)の電極表面を変性さ
せて官能基を導入する方法としては、具体的にはアルミ
ニウム、銅、鉄などの表面を加熱などの操作によって酸
化することによって水酸基などの官能基を導入する方
法;ITO電極などの金属酸化物電極表面を酸やアルカ
リなどで処理することによって一部加水分解し、水酸基
を導入する方法などが挙げられる。上記(b)の電極表
面に官能基を有する物質を付着させる方法としては、例
えばシランカップリング剤などのカップリング剤を電極
表面に塗布する方法が挙げられる。
【0018】本発明において、上記のような電極上に形
成される機能膜は、ポリシラン、ポリゲルマン及びポリ
スタナン並びにこれらの共重合体から選択されるポリマ
ー主鎖を有する。このポリマー主鎖はこれらのポリマー
とこれら以外のポリマー例えばポリシロキサン(シリコ
ーン)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルなどと
のブロック共重合体からなるものでもよい。さらにポリ
マー鎖の形態は、一次元鎖、分岐鎖、ラダー状、三次元
鎖のいずれでもよく、重合度についても特に限定されな
い。
【0019】また、電極表面と機能膜を構成するポリマ
ー主鎖とはポリマー主鎖に直接結合した酸素原子を介し
て化学的に結合している。このように電極表面と機能膜
を構成するポリマー主鎖とを化学的に結合させるには、
表面に官能基を有する電極を上述した一般式(1)又は
(2)で表される繰り返し単位を有する化合物で表面処
理する。一般式(1)の化合物はケイ素原子、ゲルマニ
ウム原子又はスズ原子とアルコキシル基との数量比が
1:2、一般式(2)の化合物は同数量比が1:1であ
るポリシラン類である。ここで、これら化合物の分子量
は500〜1000000、さらには2000〜500
000程度であることが好ましい。何となれば、化合物
の分子量が小さすぎるとポリマー特性が十分には得られ
難く、化合物の分子量が大きすぎるとその溶媒可溶性が
低下する傾向があるからである。具体的には、以下に示
すような化合物が挙げられる。
【0020】
【化6】
【0021】上記表面処理としては、一般式(1)もし
くは(2)の化合物又はこれらの混合物を電極上に塗布
するなどして成膜した後、加熱するか又は酸性もしくは
塩基性の触媒の作用により電極表面の官能基とポリマー
側鎖の水酸基又はアルコキシル基との間で脱溶媒縮合反
応を起こさせる方法が挙げられる。ここでは、一般式
(1)もしくは(2)の化合物の単分子膜を電極上に成
膜してもよく、その厚さについては特に限定されない。
なお、ポリマーどうしは必ずしも反応させる必要はない
が、一般的には上記の反応の際にポリマー側鎖のアルコ
キシル基どうしも反応するので、架橋三次元化して硬化
した機能膜が形成される。この際、金属アルコキシド;
SiO2 ゾル、アルミナゾルなどの金属酸化物ゾル;エ
ポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリビニ
ルピロリドン、ナイロン樹脂などの有機ポリマーなどを
添加剤として混合してもよい。また、ポリシラン類を成
形、硬化させた後に上記の添加剤を含浸させてもよい。
電極表面と機能膜を構成するポリマー主鎖とがポリマー
主鎖に直接結合した酸素原子を介して化学的に結合して
いることは、IR又はXPSなどの分析法により検出で
きる。
【0022】本発明の電子デバイスでは、電極表面に機
能膜を構成するポリシラン類のポリマー主鎖が化学的に
結合しているので、形成された機能膜は電極からの剥離
が起り難く、高い熱的又は機械的な耐久性を発現する。
なお、機能膜を構成するポリマー側の反応部位は主にポ
リマー主鎖に直接結合した水酸基またはアルコキシル基
であり、これらの官能基は架橋反応前の一次元ポリマー
に多数存在し、多くの場合架橋反応後にも依然として存
在している。したがって、電極表面とポリマー主鎖との
化学的な結合は、官能基を導入した電極表面に一次元ポ
リマーを塗布したり架橋させた三次元ポリマーを密着さ
せた後に、加熱などの処理を行うことによって容易に形
成することができる。また、多くの電子デバイスにおい
ては、異種材料間の界面における電気特性がデバイス全
体の性能を大きく左右する。本発明の電子デバイスで
は、電極表面と機能膜との界面が化学的に結合し、しか
もこの結合はポリマー主鎖に直接結合した酸素原子を介
して形成されるので、キャリヤー輸送を担うポリシラン
類の主鎖が電極表面に非常に近接して固定され、結果的
に電極−機能膜間でのキャリヤー例えばホールの注入特
性が大幅に改善される。したがって、電気的特性の向上
によりデバイス性能を大幅に増大させることができる。
【0023】さらに本発明においては、機能膜を構成す
る複数のポリマー鎖が酸素原子を介して互いに架橋され
た三次元ネットワーク構造を形成していれば、機能膜自
体の熱的・機械的な耐久性が一段と高められる。しか
も、紫外線が照射された際のポリマー主鎖の光酸化も著
しく抑えられ、機能膜の光学的な耐久性が大幅に向上す
る。
【0024】また、本発明の電子デバイスでは、上記の
ようなポリマー主鎖で構成される機能膜以外の他の機能
膜を具備していてもよいことはいうまでもなく、電極に
隣接して形成される機能膜の少なくとも1つが上記のよ
うなポリマー主鎖で構成されていれば、他の機能膜を構
成する機能膜材料について何ら限定されない。さらに、
電極に隣接して形成される機能膜の全部が上記のような
ポリマー主鎖で構成されている必要もない。時に、上述
した一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を
有する化合物を電極上に塗布し、その一部に紫外線を照
射した後に加熱などの処理を行なえば、紫外線照射部の
ポリマー主鎖が光酸化されるため、機能膜の一部の領域
が上記のようなポリマー主鎖で構成されるパターンを形
成することができる。しかも、一般式(1)又は(2)
で表される繰り返し単位を有する化合物は、十分熱処理
などして側鎖の水酸基やアルコキシル基どうしを架橋さ
せて三次元ポリマー化すると導電正が向上し、例えば体
積抵抗率が4×105 Ω・cm程度あるいはそれ以下と
なり、半導体あるいは導電性材料となる。したがって、
本発明では三次元ポリマーを配線材料あるいは電極や配
線間の接合材料として用いることもできる。この場合も
電極の表面に官能基を導入したうえで、ポリマー主鎖に
直接結合した酸素原子を介してこれらを化学的に結合さ
せることによって、三次元ポリマーを用いた接合部分の
電気抵抗が低減されるとともに、接着強度が向上し、良
好な接合を形成することができる。
【0025】具体的には、例えば表面に水酸基などの官
能基を有する電極を備えた配線基板上に、一般式(1)
又は(2)で表される繰り返し単位を有する化合物、好
ましくはポリシランを塗布し、バンプを形成する領域を
マスクで被覆した後、紫外線を照射し、バンプ形成部以
外の領域のポリマー主鎖を光分解、酸化して絶縁体化す
る。次いで、やはり表面に官能基を有する電極がバンプ
形成部に接触するようにLSIなどの電子部品を配線基
板上に載置する。続いて、加熱処理などによってポリマ
ーを架橋させると、導電性の良好な三次元ポリマーが得
られるとともに電極とポリマー主鎖との間にも化学的な
結合が生成して、低抵抗で接着強度に優れたバンプ形成
を行うことができる。
【0026】このように本発明における機能膜は、電極
からのキャリヤーの注入特性が要求されるEL素子、E
O素子、電子写真感光体、太陽電池や、電極間の導電性
が求められる実装基板のバンプなどの多岐にわたる電子
デバイスに適用することが可能である。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例1 ここでは、EL素子、太陽電池などの各種電子デバイス
の電極として用いられるグラファイトを基板として用い
た。グラファイト基板上には一般的に水酸基、カルボキ
シル基などの官能基が存在する。グラファイト基板上に
下記「化7」で示される繰り返し単位を有する分子量2
700のポリシラン(A)のテトラヒドロフラン溶液を
スピンコートした後、窒素気流下において160℃で3
0分間加熱して硬化し、厚さ3μmのポリシラン膜を形
成した。得られたポリシラン膜の表面硬度は鉛筆硬度H
であった。この膜について碁盤目試験を行ったところ、
剥離は認められず、グラファイト基板との密着性が良好
であることがわかった。
【0028】
【化7】
【0029】実施例2 ITO電極を形成したガラス基板を真空中において25
0℃で1時間熱処理した。このITO電極付きの基板を
開放容器に入れた6規定塩酸とともにデシケーター中に
封入し、塩酸蒸気に1時間さらした。この塩酸処理によ
りITO電極の表面には水酸基が生じる。このITO電
極上に上記ポリシラン(A)のテトラヒドロフラン溶液
をスピンコートした後、窒素気流下において160℃で
30分間加熱して硬化し、厚さ3μmのポリシラン膜を
形成した。得られたポリシラン膜の表面硬度は鉛筆硬度
Hであった。この膜について碁盤目試験を行ったとこ
ろ、剥離は認められず、ITO電極との密着性が良好で
あることがわかった。さらに、ポリシラン膜をITO電
極との界面付近まで研磨しFT−IRで分析した結果、
Si−O−Si結合に起因する吸収とともに、In−O
−Siの結合に起因する吸収が認められ、ITO電極表
面とポリシランのポリマー主鎖とが酸素原子を介して化
学的に結合していることが確認された。
【0030】実施例3 本実施例では図1に示すEL素子を作製した。まず、I
TO電極2を形成したガラス基板1を真空中において2
50℃で1時間熱処理した。このITO電極2付きの基
板1を開放容器に入れた6規定塩酸とともにデシケータ
ー中に封入し、塩酸蒸気に1時間さらした。この塩酸処
理によりITO電極2の表面には水酸基が生じる。その
後、室温で10時間真空乾燥した。このITO電極2上
に上記ポリシラン(A)のテトラヒドロフラン溶液をス
ピンコートした後、160℃で30分間熱風乾燥して硬
化し、厚さ50nmのポリシラン膜3を形成した。この
ポリシラン膜3上に、発光層として厚さ50nmのAl
3 膜4を形成し、さらに蒸着により厚さ500nmの
アルミニウム電極5を形成して、EL素子を作製した。
【0031】このEL素子に10Vの電圧を印加して発
光輝度を調べたところ、初期輝度が200cd/cm
2 、100時間後の輝度が195cd/cm2 であり、
輝度が高く、耐久性にも優れていることがわかった。
【0032】比較例1 グラファイト基板上に下記「化8」で示される繰り返し
単位を有する分子量4000のポリシラン(B)のトル
エン溶液をスピンコートし、厚さ3μmのポリシラン膜
を形成した。得られたポリシラン膜の表面硬度は鉛筆硬
度2Bであった。この膜について碁盤目試験を行ったと
ころ、24%の剥離が認められ、実施例1の場合よりも
グラファイト基板とポリシラン膜との密着性が劣ってい
た。
【0033】
【化8】
【0034】比較例2 ITO電極を形成したガラス基板を真空中において25
0℃で1時間熱処理した。このITO電極に何ら処理を
施さずに、その上に上記ポリシラン(A)のテトラヒド
ロフラン溶液をスピンコートした後、窒素気流下におい
て160℃で30分間加熱して硬化し、厚さ3μmのポ
リシラン膜を形成した。得られたポリシラン膜について
碁盤目試験を行ったところ、11%の剥離が認められ、
実施例2の場合よりもITO電極とポリシラン膜との密
着性が劣っていた。さらに、ポリシラン膜をITO電極
との界面付近まで研磨しFT−IRで分析したが、In
−O−Siの結合に起因する吸収は認められなかった。
【0035】比較例3 ITO電極表面を塩酸処理しなかった以外は実施例3と
全く同様にしてEL素子を作製した。このEL素子に1
0Vの電圧を印加して発光輝度を調べたところ、初期輝
度が180cd/cm2 、100時間後の輝度が160
cd/cm2 であり、実施例3のEL素子と比較して輝
度、耐久性ともに劣っていた。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ポ
リシラン、ポリゲルマン、ポリスタナンなどのポリマー
からなる機能膜の劣化や剥離が素子動作時にも少なく、
これらのポリマーが本来的に有する優れた光学的、電気
的な性質を有効に発現し得る電子デバイスを提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3において作製されたEL素子
の断面図。
【符号の説明】
1…ガラス基板、2…ITO電極、3…ポリシラン膜、
4…Alq3 膜、5…アルミニウム電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早瀬 修二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極と該電極上に形成された機能膜とを
    具備した電子デバイスにおいて、前記機能膜がポリシラ
    ン、ポリゲルマン及びポリスタナン並びにこれらの共重
    合体から選択されるポリマー主鎖を有するものであり、
    前記電極表面と前記機能膜を構成するポリマー主鎖とが
    ポリマー主鎖に直接結合した酸素原子を介して化学的に
    結合していることを特徴とする電子デバイス。
  2. 【請求項2】 ポリシラン、ポリゲルマン及びポリスタ
    ナン並びにこれらの共重合体から選択されるポリマー主
    鎖が光酸化されてなる領域が部分的に形成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の電子デバイス。
  3. 【請求項3】 電極と該電極上に形成された機能膜とを
    具備した電子デバイスにおいて、前記機能膜が、表面に
    官能基を有する電極を下記一般式(1) 【化1】 (上記式中、MはSi,Ge及びSnから選択される少
    なくとも1種、R1 及びR2 は水素並びに置換又は非置
    換のアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選択
    され、同種でも異種でもよく、1〜15の炭素原子を含
    む。)又は下記一般式(2) 【化2】 (上記式中、MはSi,Ge及びSnから選択される少
    なくとも1種、R1 は水素並びに置換又は非置換のアル
    キル基、アリール基及びアラルキル基から選択され、1
    〜15の炭素原子を含み、R2 は水素並びに置換又は非
    置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基及びシリ
    ル基から選択され、アルキル基、アリール基又はアラル
    キル基である場合1〜15の炭素原子を含み、シリル基
    である場合1〜10のケイ素原子を含む。)で表される
    繰り返し単位を有する化合物で表面処理することにより
    形成されたものであることを特徴とする電子デバイス。
  4. 【請求項4】 前記電極表面の官能基と、上記一般式
    (1)又は(2)で表される繰り返し単位を有する化合
    物の側鎖の水酸基又はアルコキシル基が縮合して、化学
    的に結合していることを特徴とする請求項3記載の電子
    デバイス。
  5. 【請求項5】 前記機能膜を構成する複数のポリマー鎖
    が酸素原子を介して互いに架橋していることを特徴とす
    る請求項1又は3記載の電子デバイス。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000129211A (ja) * 1998-10-22 2000-05-09 Shin Etsu Chem Co Ltd 金属パターン用被膜形成用ポリシラン組成物及び金属パターン形成方法
JP2001516939A (ja) * 1997-09-05 2001-10-02 ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド 有機発光デバイスのための自己組織化移送層
JP2005332633A (ja) * 2004-05-18 2005-12-02 Sharp Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示装置

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