JPH0824652A - モリブデン、ビスマス及び鉄含有酸化物触媒の製造法 - Google Patents

モリブデン、ビスマス及び鉄含有酸化物触媒の製造法

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JPH0824652A
JPH0824652A JP6165590A JP16559094A JPH0824652A JP H0824652 A JPH0824652 A JP H0824652A JP 6165590 A JP6165590 A JP 6165590A JP 16559094 A JP16559094 A JP 16559094A JP H0824652 A JPH0824652 A JP H0824652A
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徹 黒田
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  • Catalysts (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 少なくともモリブデン、ビスマス及び鉄を含
有する酸化物触媒の製造法において、触媒活性を含む触
媒性能を向上させる、容易で且つ再現性に優れたモリブ
デン、ビスマス及び鉄含有酸化物触媒の製造法を提供す
る。 【構成】 モリブデン含有水溶液と鉄含有水溶液を混合
させて、少なくともモリブデン、ビスマス及び鉄を含む
酸化物触媒を製造する方法において、予めモリブデン含
有水溶液に三酸化ビスマスを加えてから超音波処理し、
次いでこれを鉄含有水溶液と混合することからなるモリ
ブデン、ビスマス及び鉄含有酸化物触媒の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、モリブデン、ビスマス
及び鉄含有酸化物触媒の製造法に関するものであり、更
に詳しくは有機化合物の酸化及び酸化的脱水素等の反応
に有効な、活性の良好なモリブデン、ビスマス及び鉄含
有酸化物触媒の製造法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】モリブデン、ビスマス及び鉄含有酸化物
触媒が、有機化合物の酸化によるアルデヒド類、酸類の
製造、酸化的脱水素による不飽和アルデヒド、不飽和酸
の製造等に有効であることは既に公知である。例えば、
プロピレンと酸素の気相接触酸化によるアクロレイン及
びアクリル酸の製造に有効な触媒、或いは、イソブチレ
ン、第三級ブチルアルコール(以下TBAと略す)又は
メチル第三級ブチルエーテル(以下MTBEと略す)と
酸素の気相接触酸化によるメタクロレイン及びメタクリ
ル酸の製造に有効な触媒として、少なくともモリブデ
ン、ビスマス及び鉄を含有する触媒が特開昭60−28
824号、特開昭62−234549号、特開昭63−
54941号及び特開昭63−54942号公報等に開
示されている。これら従来の提案では、ビスマス原料と
しては水溶性のビスマス化合物、即ち硝酸ビスマス又は
水酸化ビスマスを推奨している。
【0003】又、次炭酸ビスマス或いは他の金属元素と
ビスマスとの炭酸塩等を用いると優位であるという報告
もある。
【0004】しかしながら、これら提案では触媒活性を
含む触媒性能を向上させ、且つ触媒の再現性に優れたも
のとすることが困難な為、触媒性能を向上させ、且つ再
現性に優れた触媒の製造法の開発が望まれているのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、少なくとも
モリブデン、ビスマス及び鉄を含む酸化物触媒の製造法
において、触媒活性を含む触媒性能を向上させる、容易
で且つ再現性に優れたモリブデン、ビスマス及び鉄含有
酸化物触媒の製造法の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、モリブデン含
有水溶液(A液)と鉄含有水溶液(B液)を混合させ
て、少なくともモリブデン、ビスマス及び鉄を含む酸化
物触媒を製造する方法において、予め前記A液に三酸化
ビスマスを加えてから超音波処理し、次いでこれを前記
B液と混合することを特徴とするモリブデン、ビスマス
及び鉄含有酸化物触媒の製造法である。
【0007】本発明のモリブデン、ビスマス及び鉄含有
酸化物触媒の製造法は、一般式 MoaBibFecdefgSihi (式中、Mo、Bi、Fe、Si及びOはそれぞれモリ
ブデン、ビスマス、鉄、ケイ素及び酸素を示し、Mはコ
バルト及びニッケルからなる群より選ばれた少なくとも
1種の元素を示し、Xはクロム、鉛、マンガン、カルシ
ウム、マグネシウム、ニオブ、銀、バリウム、スズ、タ
ンタル及び亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種
の元素を示し、Yはリン、ホウ素、硫黄、セレン、テル
ル、セリウム、タングステン、アンチモン及びチタンか
らなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Z
はリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシ
ウム及びタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1
種の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g、h及び
iは各元素の原子比を表し、a=12の時b=0.01
〜3、c=0.01〜5、d=1〜12、e=0〜8、
f=0〜5、g=0.001〜2、h=0〜20であ
り、iは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素
原子数である。)で表される組成を有する触媒の調製に
好ましい。
【0008】本発明において用いるモリブデン含有水溶
液であるA液としては、モリブデン原料としてパラモリ
ブデン酸アンモニウムを用いることが好ましいが、三酸
化モリブデン及び塩化モリブデン等の種々の原料を使用
することもできる。更にA液に、上記記載のM成分、X
成分、Y成分、Z成分及び/又はケイ素を添加すること
も可能である。
【0009】又、本発明において用いる鉄含有水溶液で
あるB液としては、鉄の原料として硝酸第二鉄を用いる
ことが好ましいが、水酸化鉄、三酸化鉄等の種々の原料
を使用することもできる。更にB液に、上記記載のM成
分、X成分、Y成分、Z成分及び/又はケイ素を添加す
ることもできる。
【0010】本発明の実施に際しては、更にA液とB液
を混合させたものに、上記記載のM成分、X成分、Y成
分、Z成分及び/又はケイ素を添加することも可能であ
る。又、M成分、X成分、Y成分、Z成分及びケイ素源
として、酸化物、炭酸塩、塩化物、アンモニウム塩、硝
酸塩、酢酸塩及び硫酸塩等の種々の原料を使用すること
ができる。更に又、本発明においては、一般によく用い
られる水溶性化合物だけでなく、特に金属及び難溶性化
合物等を使用することも可能である。
【0011】本発明においては、A液中に三酸化ビスマ
スを予め加え、超音波処理することが重要である。超音
波処理の方法としては、三酸化ビスマスを予め加えたA
液を入れた反応釜の内部或いは下部に超音波振動子を挿
入し、超音波発生装置にて超音波処理する方法等があ
る。
【0012】超音波処理条件については特に限定されな
いが、使用する音波の波長は通常は20,000〜40
0,000Hz程度の範囲であり、好ましくは21,0
00〜350,000Hzの範囲であり、更に好ましく
は22,000〜300,000Hzの範囲である。周
波数が低すぎると三酸化ビスマスの反応性が乏しく、本
発明の目的とする効果が十分得られにくい。又、周波数
が高すぎると超音波発生装置等の設計及びメンテナンス
が煩雑になり実用的でない。
【0013】超音波処理温度については特に限定されな
いが、通常は0〜100℃の範囲であり、好ましくは1
0〜90℃の範囲であり、更に好ましくは15〜85℃
の範囲である。処理温度が低すぎると三酸化ビスマスの
反応性が著しく乏しく、本発明の目的とする効果が十分
得られない。又、処理温度が高すぎると超音波振動子の
耐久性が著しく劣るため実用的でない。
【0014】超音波処理時間については特に限定されな
いが、通常は1分〜10時間の範囲が適当であり、好ま
しくは10分〜7時間の範囲であり、更に好ましくは1
5分〜5時間の範囲である。処理時間が短すぎると三酸
化ビスマスの反応が不十分であり、本発明の目的とする
効果が十分得られない。又、処理時間が長すぎると触媒
の生産性が著しく劣る傾向となり好ましくない。
【0015】ところで、一般的にはA液と三酸化ビスマ
スとの反応性は著しく乏しいが、本発明によればA液に
予め三酸化ビスマスを加え超音波処理することで反応性
を著しく向上させることが可能となり、その結果、触媒
活性を含む触媒性能を著しく向上させることが可能とな
ったものである。A液に予め三酸化ビスマスを加え超音
波処理することにより触媒活性を含む触媒性能が著しく
向上する原因については明らかではないが、おそらく触
媒表面の構造が従来技術のものと異なるためであると考
えられる。
【0016】本発明の実施に際しては、A液に予め三酸
化ビスマスを加えてから超音波処理を行った後、B液を
加えるわけであるが、その後更に微粒化処理を行うこと
が好ましい。微粒化処理を行うことにより、触媒前駆体
が均一な粒子及び粒子径となり、本発明による効果が一
層向上する。
【0017】又、本発明においては、上述のようにA液
に予め三酸化ビスマスを加えてから超音波処理を行った
後、B液を加えるわけであるが、その後この混合液を更
に100〜200℃の温度範囲、好ましくは110〜1
80℃の温度範囲、更に好ましくは115〜175℃の
温度範囲に保持することが好ましい。超音波処理後の混
合液をこの温度範囲に保持することにより、触媒性能を
更に向上させることができる。
【0018】上述の保持する温度が100℃未満の場合
には、100〜200℃の温度範囲に保持した場合に比
べ触媒性能の向上が少ない。又、保持する温度が200
℃を超える場合には、触媒製造装置として設計及び制御
が難しくなり実用的でない。
【0019】なお、100〜200℃の温度範囲での保
持時間としては特に限定されないが、1秒〜30時間の
範囲が適当であり、好ましくは1分〜20時間の範囲、
特に好ましくは3分〜15時間の範囲である。保持時間
が短すぎると、本発明の目的とする効果が十分でない。
又、保持時間が長すぎると触媒生産性が著しく劣るため
好ましくない。
【0020】上述の100〜200℃の温度範囲に保持
することにより触媒性能が更に向上する原因については
明らかではないが、触媒前駆体の反応性が良くなること
により、触媒性能が向上するものと考えている。
【0021】本発明の製造法による酸化物触媒はその後
触媒として使用する際に、必要に応じて乾燥、焼成を行
う。乾燥方法としては、蒸発乾燥、噴霧乾燥等種々の乾
燥方法を用いることができる。又、焼成条件には特に限
定はなく、公知の焼成条件を適用することができる。焼
成は通常200〜400℃の温度範囲で行われる。
【0022】本発明の実施に際しては、その後、得られ
た触媒を成型することができる。なお、触媒を成型する
方法は特に限定されるものではなく、打錠成型機、押出
成型機、転動造粒機等の一般粉体用成型機を用いて、球
状、リング状、円柱状、星型状等の任意の形状に成型で
きる。又、担体に担持して使用することができる。
【0023】触媒を成型する際には、従来公知の添加
剤、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチル
セルロース等の有機化合物を更に添加しても良い。更に
は、グラファイト及びケイソウ土等の無機化合物、ガラ
ス繊維、セラミックファイバー及び炭素繊維等の無機フ
ァイバーを添加しても良い。又、担持を行う際に使用す
る担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミ
ナ、マグネシア、チタニア等が挙げられる。
【0024】上記のようにして得られた触媒は次いで熱
処理される。熱処理条件については特に限定はなく、公
知の熱処理条件を適用することができる。熱処理は、通
常300〜600℃の温度範囲で行われる。
【0025】本発明の製造法による触媒は、シリカ、ア
ルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、シ
リコンカーバイト等の不活性担体で希釈して用いること
もできる。
【0026】本発明の製造法による触媒は、プロピレン
と酸素の気相接触酸化及びイソブチレン、TBA又はM
TBEと酸素の気相接触酸化反応を行う際に用いる。原
料のプロピレン、イソブチレン、TBA又はMTBEに
分子状酸素を加え、前記の触媒の存在下に気相接触酸化
を行う。気相接触酸化反応を行うに当たっては、プロピ
レン、イソブチレン、TBA又はMTBE対酸素のモル
比は1:0.5〜3の範囲が好ましい。原料ガスは不活
性ガスで希釈して用いることが好ましい。酸素源として
は空気を用いることが経済的であるが、必要ならば純酸
素で富化した空気を用いうる。反応圧力は、常圧から数
気圧までが良い。反応温度は200〜450℃の範囲で
選ぶことができる。特に250〜400℃の範囲が好ま
しい。
【0027】
【実施例】以下、本発明による触媒の製造例、及びそれ
を用いての反応例を、比較例と共に説明する。説明中
「部」は重量部を意味する。分析はガスクロマトグラフ
ィーによった。実施例及び比較例中の触媒の活性試験
は、プロピレンと酸素の気相接触酸化及びイソブチレ
ン、TBA又はMTBEと酸素の気相接触酸化を例とし
て行った。原料オレフィン、TBA又はMTBEの反応
率、生成する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の
選択率はそれぞれ以下のように定義される。
【0028】原料オレフィン、TBA又はMTBEの反
応率(%)=(反応した原料オレフィン、TBA又はM
TBEのモル数/供給した原料オレフィン、TBA又は
MTBEのモル数)×100 不飽和アルデヒドの選択率(%)=(生成した不飽和ア
ルデヒドのモル数/反応した原料オレフィン、TBA又
はMTBEのモル数)×100 不飽和カルボン酸の選択率(%)=(生成した不飽和カ
ルボン酸のモル数/反応した原料オレフィン、TBA又
はMTBEのモル数)×100
【0029】実施例1 水1,000部にパラモリブデン酸アンモニウム500
部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、硝酸カ
リウム1.4部を60℃にて溶解、混合して(A−1)
液とした。その後、、三酸化ビスマス49.5部を加
え、60℃に保持したまま攪拌下、超音波処理条件とし
てBranson(ブランソン)社製超音波洗浄機82
00J4を用いて超音波処理を1時間行い、白色の沈殿
を得た。これとは別に純水1,000部に硝酸第二鉄1
33.5部、硝酸亜鉛14.0部及び硝酸コバルト29
5.3部を順次加えて(B−1)液とした。次いで上記
超音波処理した(A−1)液に(B−1)液を加えスラ
リー状とした。しかる後これに三酸化アンチモン6.9
部を加え80℃で1時間熟成した後、水の大部分を蒸発
させた。
【0030】得られたケーキ状物質を120℃で乾燥さ
せた後、空気雰囲気下300℃で1時間焼成し、粉砕し
た。その後、加圧成型し、再び空気雰囲気下500℃で
6時間焼成したものを触媒として用いた。
【0031】かくして得られた触媒の酸素以外の元素の
組成(以下同じ)はMo120.1Bi0.9Fe1.4Sb0.2
Co4.3Zn0.20.06であった。
【0032】この触媒をステンレス製反応管に充填し、
プロピレン5%、酸素12%、水蒸気10%及び窒素7
3%(容量%)の原料混合ガスを接触時間3.6秒で触
媒層を通過させ、310℃で反応させた。その結果、プ
ロピレンの反応率99.5%、アクロレインの選択率9
2.1%、アクリル酸の選択率6.6%であった。
【0033】実施例2 実施例1において、三酸化アンチモンの添加時期を三酸
化ビスマスと同時期とした点以外は、実施例1と同じ方
法で触媒の調製、熱処理及び反応を行った。その結果、
プロピレンの反応率99.6%、アクロレインの選択率
92.3%、アクリル酸の選択率6.5%であった。
【0034】実施例3 実施例1において、超音波処理を行った後、150℃に
て1時間保持した点以外は実施例1と同じ方法で触媒の
調製、熱処理及び反応を行った。その結果、プロピレン
の反応率99.6%、アクロレインの選択率92.5
%、アクリル酸の選択率6.6%であった。
【0035】比較例1 超音波処理を行わない外は、実施例1と同じ方法で触媒
の調製、熱処理及び反応を行った。その結果、プロピレ
ンの反応率98.1%、アクロレインの選択率89.1
%、アクリル酸の選択率6.2%であった。
【0036】比較例2 水1,000部にパラモリブデン酸アンモニウム500
部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、硝酸カ
リウム1.4部を60℃にて溶解、混合して(A−2)
液とした。これとは別に純水1,000部に60%硝酸
41.9部を加え、均一にした後、硝酸ビスマス10
3.0部を加え溶解した。これに硝酸第二鉄133.5
部、硝酸亜鉛14.0部及び硝酸コバルト295.3部
を順次加えて溶解し(B−2)液とした。次いで上記
(A−2)液に(B−2)液を加えスラリー状とした。
しかる後これに三酸化アンチモン6.9部を加え80℃
で1時間熟成した後、水の大部分を蒸発させた。
【0037】得られたケーキ状物質を120℃で乾燥さ
せた後、空気雰囲気下300℃で1時間焼成し、粉砕し
た。その後、加圧成型し、再び空気雰囲気下500℃で
6時間焼成したものを触媒として用いた。
【0038】かくして得られた触媒の元素の組成はMo
120.1Bi0.9Fe1.4Sb0.2Co4.3Zn0.20.06
あった。
【0039】この触媒を実施例1と同じ条件にて反応を
行った。その結果、プロピレンの反応率99.5%、ア
クロレインの選択率91.0%、アクリル酸の選択率
6.6%であった。
【0040】比較例3 実施例1において、三酸化ビスマス45.9部の代わり
に硝酸ビスマス103部とした点以外は実施例1と同様
にして触媒を調製、熱処理及び反応を行った。その結
果、プロピレンの反応率98.6%、アクロレインの選
択率89.6%、アクリル酸の選択率6.2%であっ
た。
【0041】実施例4 水1,000部にパラモリブデン酸アンモニウム500
部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、硝酸セ
シウム27.6部を60℃にて溶解、混合して(A−
3)液とした。その後、、三酸化ビスマス38.5部を
加え、60℃に保持したまま攪拌下、超音波処理条件と
してBranson(ブランソン)社製超音波洗浄機8
200J4を用いて超音波処理を1時間行い、白色の沈
殿を得た。これとは別に純水1,000部に硝酸第二鉄
200.2部、硝酸ニッケル85.8部、硝酸亜鉛1
4.0部及び硝酸コバルト336.5部を順次加えて溶
解し(B−3)液とした。次いで上記超音波処理した
(A−3)液に(B−3)液を加えスラリー状とした。
しかる後これに三酸化アンチモン24.1部を加え80
℃で1時間熟成した後、水の大部分を蒸発させた。
【0042】得られたケーキ状物質を120℃で乾燥さ
せた後、空気雰囲気下300℃で1時間焼成し、粉砕し
た。その後、加圧成型し、再び空気雰囲気下500℃で
6時間焼成したものを触媒として用いた。
【0043】かくして得られた触媒の元素の組成はMo
120.1Bi0.7Fe2.1Sb0.7Ni2.5Co4.9Zn0.2
Cs0.6であった。
【0044】この触媒をステンレス製反応管に充填し、
イソブチレン5%、酸素12%、水蒸気10%及び窒素
73%(容量%)の原料混合ガスを接触時間3.6秒で
触媒層を通過させ、340℃で反応させた。その結果、
イソブチレンの反応率98.5%、メタクロレインの選
択率91.1%、メタクリル酸の選択率3.2%であっ
た。
【0045】実施例5 実施例4において、三酸化アンチモンの添加時期を三酸
化ビスマスと同時期とした点以外は、実施例4と同じ方
法で触媒の調製、熱処理及び反応を行った。その結果、
イソブチレンの反応率98.4%、メタクロレインの選
択率91.1%、メタクリル酸の選択率3.3%であっ
た。
【0046】実施例6 実施例4において、超音波処理を行った後、160℃に
て2時間保持した点以外は実施例4と同じ方法で触媒の
調製、熱処理及び反応を行った。その結果、イソブチレ
ンの反応率98.6%、アクロレインの選択率91.4
%、アクリル酸の選択率3.4%であった。
【0047】比較例4 超音波処理を行わない外は、実施例4と同じ方法で触媒
の調製、熱処理及び反応を行った。その結果、イソブチ
レンの反応率98.1%、メタクロレインの選択率8
9.1%、メタクリル酸の選択率3.4%であった。
【0048】比較例5 水1,000部にパラモリブデン酸アンモニウム500
部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、硝酸セ
シウム27.6部を60℃にて溶解、混合して(A−
4)液とした。これとは別に純水1,000部に60%
硝酸41.9部を加え、均一にした後、硝酸ビスマス8
0.1部を加え溶解した。これに硝酸第二鉄200.2
部、硝酸ニッケル85.8部、硝酸亜鉛14.0部及び
硝酸コバルト295.3部を順次加えて溶解し(B−
4)液とした。次いで上記(A−4)液に(B−4)液
を加えスラリー状とした。しかる後これに三酸化アンチ
モン38.5部を加えた後は実施例4と同じ条件の処理
を施した。
【0049】かくして得られた触媒の元素の組成はMo
120.1Bi0.7Fe2.1Sb0.7Ni2.5Co4.9Zn0.2
Cs0.6であった。
【0050】この触媒を実施例4と同じ条件にて反応を
行った。その結果、イソブチレンの反応率97.7%、
メタクロレインの選択率89.1%、メタクリル酸の選
択率3.0%であった。
【0051】比較例6 実施例4において、三酸化ビスマス38.5部の代わり
に硝酸ビスマス80.1部とした点以外は実施例4と同
様にして触媒を調製、熱処理及び反応を行った。その結
果、イソブチレンの反応率97.9%、メタクロレイン
の選択率89.3%、メタクリル酸の選択率3.0%で
あった。
【0052】実施例7 実施例4で用いた触媒を用い、原料をTBAに変更する
以外は実施例4と同じ条件にて反応を行った。その結
果、TBAの反応率100%、メタクロレインの選択率
87.9%、メタクリル酸の選択率3.1%であった。
【0053】比較例7 比較例5で用いた触媒を用い、原料をTBAに変更する
以外は比較例5と同じ条件にて反応を行った。その結
果、TBAの反応率100%、メタクロレインの選択率
86.2%、メタクリル酸の選択率2.8%であった。
【0054】
【発明の効果】本発明は、上述した如き構成とすること
により原料オレフィン、第三級ブチルアルコール又はメ
チル第三級ブチルエーテル等から特に不飽和アルデヒド
を製造するための、触媒活性を含む触媒性能を向上させ
る容易で、且つ再現性に優れた触媒を製造することがで
きるという優れた効果を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モリブデン含有水溶液(A液)と鉄含有
    水溶液(B液)を混合させて、少なくともモリブデン、
    ビスマス及び鉄を含む酸化物触媒を製造する方法におい
    て、予め前記A液に三酸化ビスマスを加えてから超音波
    処理し、次いでこれを前記B液と混合することを特徴と
    するモリブデン、ビスマス及び鉄含有酸化物触媒の製造
    法。
  2. 【請求項2】 三酸化ビスマスを加えてから超音波処理
    したA液をB液と混合し、得られた混合液を100〜2
    00℃にて保持することを特徴とする請求項1記載のモ
    リブデン、ビスマス及び鉄含有酸化物触媒の製造法。
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