JP2008284416A - 金属酸化物触媒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高い選択率で製造可能な金属酸化物触媒の製造方法の提供。
【解決手段】プロピレン、イソブチレン又は第三級ブチルアルコールを分子状酸素で気相接触酸化することにより不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を合成する際に使用される、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む金属酸化物触媒の製造方法であって、モリブデンと、ビスマスと、鉄と、モリブデン1モルに対して0.001〜5モルのアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を用いることを特徴とする金属酸化物触媒の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】プロピレン、イソブチレン又は第三級ブチルアルコールを分子状酸素で気相接触酸化することにより不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を合成する際に使用される、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む金属酸化物触媒の製造方法であって、モリブデンと、ビスマスと、鉄と、モリブデン1モルに対して0.001〜5モルのアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を用いることを特徴とする金属酸化物触媒の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、プロピレン、イソブチレン又は第三級ブチルアルコール(以下、TBAということがある。)を分子状酸素で気相接触酸化することにより、当該原料有機化合物に対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を合成する際に使用される、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む金属酸化物触媒の製造方法に関する。
モリブデン、ビスマス及び鉄を含む金属酸化物触媒は、例えば、プロピレン、イソブチレン、TBA等の原料有機化合物を気相接触酸化して不飽和アルデヒドや不飽和カルボン酸を製造する際に用いられる触媒として知られている。
このような金属酸化物触媒の製造方法についてはいくつもの技術が開示されており、それらの中の1つとして、触媒の性能向上を目的に、モリブデン、ビスマスおよび鉄を含む原料液(溶液又はスラリー)に種々の化合物を添加する方法がある。例えば、原料液にキレート剤、または構成元素のキレート化合物を添加する方法(特許文献1、2)、スラリーの液媒体としてメタノール、エタノール、非アルコール有機液体を用いる方法(特許文献3)、調製時の硝酸根量とモリブデンの比を限定し、硝酸を添加する方法(特許文献4)等が報告されている。
特開昭50−89292号公報
特開昭51−40393号公報
特開昭58−143843号公報
特開2000−325795号公報
このような金属酸化物触媒の製造方法についてはいくつもの技術が開示されており、それらの中の1つとして、触媒の性能向上を目的に、モリブデン、ビスマスおよび鉄を含む原料液(溶液又はスラリー)に種々の化合物を添加する方法がある。例えば、原料液にキレート剤、または構成元素のキレート化合物を添加する方法(特許文献1、2)、スラリーの液媒体としてメタノール、エタノール、非アルコール有機液体を用いる方法(特許文献3)、調製時の硝酸根量とモリブデンの比を限定し、硝酸を添加する方法(特許文献4)等が報告されている。
しかしながら、従来の方法で得られる触媒は、触媒性能が必ずしも充分ではなく、更なる触媒性能の向上、特に、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造における選択率の更なる向上が望まれているのが実状である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高い選択率で製造可能な金属酸化物触媒の製造方法の提供を課題とする。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高い選択率で製造可能な金属酸化物触媒の製造方法の提供を課題とする。
本発明は、プロピレン、イソブチレン又は第三級ブチルアルコールを分子状酸素で気相接触酸化することにより不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を合成する際に使用される、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む金属酸化物触媒の製造方法であって、
モリブデンと、ビスマスと、鉄と、モリブデン1モルに対して0.001〜5モルのアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を用いることを特徴とする金属酸化物触媒の製造方法である。
モリブデンと、ビスマスと、鉄と、モリブデン1モルに対して0.001〜5モルのアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を用いることを特徴とする金属酸化物触媒の製造方法である。
本発明の金属酸化物触媒の製造方法によれば、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高い選択率で製造できる。
本発明の金属酸化物触媒の製造方法(以下、本発明の触媒製造方法ということがある。)により製造される金属酸化物触媒は、プロピレン、イソブチレン又はTBA(以下、これらを原料有機化合物ともいう。)を分子状酸素で気相接触酸化することにより不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を合成する際に使用されるものである。
前記金属酸化物触媒を用いて合成される不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸は、プロピレン、イソブチレン又はTBAにそれぞれ対応したものである。たとえばプロピレンに対応する不飽和アルデヒドはアクロレインであり、プロピレンに対応する不飽和カルボン酸はアクリル酸である。イソブチレンに対応する不飽和アルデヒドはメタクロレインであり、イソブチレンに対応する不飽和カルボン酸はメタクリル酸である。TBAに対応する不飽和アルデヒドはメタクロレインであり、TBAに対応する不飽和カルボン酸はメタクリル酸である。
前記金属酸化物触媒を用いて合成される不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸は、プロピレン、イソブチレン又はTBAにそれぞれ対応したものである。たとえばプロピレンに対応する不飽和アルデヒドはアクロレインであり、プロピレンに対応する不飽和カルボン酸はアクリル酸である。イソブチレンに対応する不飽和アルデヒドはメタクロレインであり、イソブチレンに対応する不飽和カルボン酸はメタクリル酸である。TBAに対応する不飽和アルデヒドはメタクロレインであり、TBAに対応する不飽和カルボン酸はメタクリル酸である。
本発明の触媒製造方法により製造される金属酸化物触媒(以下、触媒と略すことがある。)としては、モリブデン、ビスマスおよび鉄を含むものであれば特に限定されないが、下記式(1)で表される組成のものが好ましい。
MoaBibFecMdXeYfZgSihOi (1)
MoaBibFecMdXeYfZgSihOi (1)
式(1)中、Mo、Bi、Fe、SiおよびOは、それぞれ、モリブデン、ビスマス、鉄、ケイ素および酸素を示し、Mはコバルトおよびニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Xは亜鉛、クロム、鉛、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ニオブ、銀、バリウム、スズ及びタンタルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Yはタングステン、アンチモン、リン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Zはセシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。
a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、各元素の原子比率を表し、a=12のとき、b=0.01〜3、c=0.01〜5、d=1〜12、e=0〜8、f=0〜5、g=0.001〜2、h=0〜20であり、iは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子比率である。
a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、各元素の原子比率を表し、a=12のとき、b=0.01〜3、c=0.01〜5、d=1〜12、e=0〜8、f=0〜5、g=0.001〜2、h=0〜20であり、iは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子比率である。
触媒の組成は、ICP(誘導結合高周波プラズマ)発光分析法、蛍光X線分析法、原子吸光分析法等により元素分析を行うことにより確認できる。
本発明の触媒製造方法では、触媒を構成する酸素以外の各元素を所定の比率で含むように、各元素の原料(以下、触媒原料と略すことがある。)と、溶媒と、所定量のアルデヒド及び/又は蟻酸とを混合し、溶液またはスラリーとすることによって調製される。本発明では、モリブデンと、ビスマスと、鉄と、所定量のアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を用いることが重要である。
原料液中のアルデヒド及び/又は蟻酸の含有量は、本発明の効果のためには、当該原料液中のモリブデン1モルに対して0.001モル以上であり、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.05モル以上である。また、上限は、5モル以下であり、好ましくは3モル以下、より好ましくは2モル以下である。0.001モル未満であると本発明の効果が充分に得られず、また5モルを超えると、逆に不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の選択性が低下する。
本発明では、このように、所定量(原料液中のモリブデン1モルに対して0.001〜5モル)となるようにアルデヒド及び/又は蟻酸を添加することにより、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸をより高い選択率で合成できる、触媒性能の高い触媒を製造することができる。
触媒性能が更に向上する理由については明らかではないが、アルデヒド及び/又は蟻酸により、モリブデン、ビスマス、鉄等が程よく還元され、触媒性能を発揮するために必要とされる、モリブデン、ビスマス、鉄等の複数の金属を含む複合酸化物構造の形成が有利に促進されるためと考えられる。
原料液中のアルデヒド及び/又は蟻酸の含有量は、本発明の効果のためには、当該原料液中のモリブデン1モルに対して0.001モル以上であり、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.05モル以上である。また、上限は、5モル以下であり、好ましくは3モル以下、より好ましくは2モル以下である。0.001モル未満であると本発明の効果が充分に得られず、また5モルを超えると、逆に不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の選択性が低下する。
本発明では、このように、所定量(原料液中のモリブデン1モルに対して0.001〜5モル)となるようにアルデヒド及び/又は蟻酸を添加することにより、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸をより高い選択率で合成できる、触媒性能の高い触媒を製造することができる。
触媒性能が更に向上する理由については明らかではないが、アルデヒド及び/又は蟻酸により、モリブデン、ビスマス、鉄等が程よく還元され、触媒性能を発揮するために必要とされる、モリブデン、ビスマス、鉄等の複数の金属を含む複合酸化物構造の形成が有利に促進されるためと考えられる。
本発明の触媒製造方法は、具体的には、少なくともモリブデンと、ビスマスと、鉄と、所定量のアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を調製する工程(以下、原料液調製工程という。)と、該原料液を用いて触媒を形成する工程(以下、触媒形成工程という。)とを行うことにより実施できる。
[原料液調製工程]
前記原料液は、たとえば、触媒を構成する酸素以外の各元素を所定の比率で含むように、触媒原料と、溶媒と、所定量のアルデヒド及び/又は蟻酸とを混合し、溶液またはスラリーとすることによって調製できる。
触媒原料としては、特に限定されないが、通常は、各元素の酸化物、強熱することにより酸化物になり得る塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、又はそれらの混合物等が用いられる。
たとえばモリブデン原料としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、塩化モリブデン等が挙げられ、特にパラモリブデン酸アンモニウムが好ましい。
鉄原料としては、硝酸第二鉄、水酸化鉄、三酸化鉄等の種々の原料を使用でき、特に硝酸第二鉄が好ましい。
ビスマス原料としては、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。
また、上記記載の式(1)で表される触媒を製造する場合における、M成分、X成分、Y成分、Z成分及びケイ素にそれぞれ対応する触媒原料としては、各元素の酸化物、炭酸塩、塩化物、アンモニウム塩、硝酸塩、酢酸塩、及び硫酸塩等の種々の原料を使用することができる。更に、本発明においては、一般によく用いられる水溶性化合物だけでなく、金属亜鉛等の金属や、三酸化アンチモン等の水難溶性化合物などを使用することも可能である。
触媒原料は、各元素について、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記原料液は、たとえば、触媒を構成する酸素以外の各元素を所定の比率で含むように、触媒原料と、溶媒と、所定量のアルデヒド及び/又は蟻酸とを混合し、溶液またはスラリーとすることによって調製できる。
触媒原料としては、特に限定されないが、通常は、各元素の酸化物、強熱することにより酸化物になり得る塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、又はそれらの混合物等が用いられる。
たとえばモリブデン原料としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、塩化モリブデン等が挙げられ、特にパラモリブデン酸アンモニウムが好ましい。
鉄原料としては、硝酸第二鉄、水酸化鉄、三酸化鉄等の種々の原料を使用でき、特に硝酸第二鉄が好ましい。
ビスマス原料としては、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。
また、上記記載の式(1)で表される触媒を製造する場合における、M成分、X成分、Y成分、Z成分及びケイ素にそれぞれ対応する触媒原料としては、各元素の酸化物、炭酸塩、塩化物、アンモニウム塩、硝酸塩、酢酸塩、及び硫酸塩等の種々の原料を使用することができる。更に、本発明においては、一般によく用いられる水溶性化合物だけでなく、金属亜鉛等の金属や、三酸化アンチモン等の水難溶性化合物などを使用することも可能である。
触媒原料は、各元素について、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
原料液の調製方法としては、以下の工程(a)〜(e)を含む方法が好ましい。
工程(a):モリブデン原料を含有する溶液又はスラリー(A液)を調製する工程。
工程(b):鉄原料を含有する溶液又はスラリー(B液)を調製する工程。
工程(c):A液とB液とを混合して、モリブデン原料及び鉄原料を含有する溶液又はスラリー(C液)を調製する工程。
工程(d):調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかにビスマス原料を添加する工程。
工程(e):調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかにアルデヒド及び/又は蟻酸を添加する工程。
工程(a):モリブデン原料を含有する溶液又はスラリー(A液)を調製する工程。
工程(b):鉄原料を含有する溶液又はスラリー(B液)を調製する工程。
工程(c):A液とB液とを混合して、モリブデン原料及び鉄原料を含有する溶液又はスラリー(C液)を調製する工程。
工程(d):調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかにビスマス原料を添加する工程。
工程(e):調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかにアルデヒド及び/又は蟻酸を添加する工程。
工程(a)では、モリブデン原料を含有する溶液又はスラリー(A液)を調製する。すなわち、モリブデン原料を、溶媒中に溶解又は分散させる。
A液の溶媒としては、少なくとも水を用いることが好ましく、溶媒全体の50質量%以上が水であることが好ましく、水単独を使用しても構わない。溶媒は、水以外に、さらにアルコール、アセトン等を含有してもよい。
A液を調製する際に使用する溶媒の質量は、A液の調製に使用する触媒原料の合計100質量部に対して、70〜270質量部が好ましい。
工程(a)において、A液の調製には、鉄原料を使用しないことが好ましい。すなわち、A液は鉄原料を含有しないことが好ましい。
A液の溶媒としては、少なくとも水を用いることが好ましく、溶媒全体の50質量%以上が水であることが好ましく、水単独を使用しても構わない。溶媒は、水以外に、さらにアルコール、アセトン等を含有してもよい。
A液を調製する際に使用する溶媒の質量は、A液の調製に使用する触媒原料の合計100質量部に対して、70〜270質量部が好ましい。
工程(a)において、A液の調製には、鉄原料を使用しないことが好ましい。すなわち、A液は鉄原料を含有しないことが好ましい。
工程(b)では、鉄原料を含有する溶液又はスラリー(B液)を調製する。すなわち、鉄原料を、溶媒中に溶解又は分散させる。
B液の溶媒としては、前記A液の溶媒と同様のものを使用できる。
B液を調製する際に使用する溶媒の質量は、B液の調製に使用する触媒原料の合計100質量部に対して、30〜230質量部が好ましい。
工程(b)において、B液の調製には、モリブデン原料を使用しないことが好ましい。すなわち、B液はモリブデン原料を含有しないことが好ましい。
B液の溶媒としては、前記A液の溶媒と同様のものを使用できる。
B液を調製する際に使用する溶媒の質量は、B液の調製に使用する触媒原料の合計100質量部に対して、30〜230質量部が好ましい。
工程(b)において、B液の調製には、モリブデン原料を使用しないことが好ましい。すなわち、B液はモリブデン原料を含有しないことが好ましい。
なお、上の説明では工程(a)、工程(b)の順に説明したが、これらの工程を実施する順序はこの順には限定されず、逆の順で実施してもよく、同時進行的に実施してもよい。
工程(c)では、上記のように調製したA液とB液とを混合して、モリブデン原料及び鉄原料を含有する溶液又はスラリー(C液)を調製する。
工程(d)では、ビスマス原料を、調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかに添加する。
ビスマス原料の添加量は、最終的に得られる原料液中に含まれるビスマスの量が、製造しようとする触媒に必要とされる量となる量であればよい。ビスマス原料は、全量を一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。
ビスマス原料を添加する方法としては、特に限定されず、調製途中又は調製後のA液、B液、C液のいずれか1つに全量を添加してもよく、2つ以上に添加してもよい。例えば、A液の調製途中又は調製後に添加する方法、B液の調製途中又は調製後に添加する方法、C液の調製途中又は調製後に添加する方法等が挙げられ、いずれでも好ましい結果が得られる。
また、ビスマス原料を、調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかに添加する場合、添加後にホモジナイザーによる微粒化、均一化を行うこともできる。
ビスマス原料の添加量は、最終的に得られる原料液中に含まれるビスマスの量が、製造しようとする触媒に必要とされる量となる量であればよい。ビスマス原料は、全量を一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。
ビスマス原料を添加する方法としては、特に限定されず、調製途中又は調製後のA液、B液、C液のいずれか1つに全量を添加してもよく、2つ以上に添加してもよい。例えば、A液の調製途中又は調製後に添加する方法、B液の調製途中又は調製後に添加する方法、C液の調製途中又は調製後に添加する方法等が挙げられ、いずれでも好ましい結果が得られる。
また、ビスマス原料を、調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかに添加する場合、添加後にホモジナイザーによる微粒化、均一化を行うこともできる。
工程(e)では、アルデヒド及び/又は蟻酸を、調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかに添加する。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドなどが挙げられ、中でもホルムアルデヒドが好ましい。ホルムアルデヒドは、通常、ホルマリンとして用いられる。
アルデヒド及び/又は蟻酸の添加量は、最終的に得られる原料液中に含まれるアルデヒド及び/又は蟻酸の量が、製造しようとする触媒に必要とされる量となる量であればよい。アルデヒド及び/又は蟻酸は、全量を一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。
アルデヒド及び/又は蟻酸を添加する方法としては、特に限定されず、調製途中又は調製後のA液、B液、C液のいずれか1つに全量を添加してもよく、2つ以上に添加してもよい。例えば、A液の調製途中又は調製後に添加する方法、B液の調製途中又は調製後に添加する方法、C液の調製途中又は調製後に添加する方法等が挙げられ、いずれでも好ましい結果が得られる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドなどが挙げられ、中でもホルムアルデヒドが好ましい。ホルムアルデヒドは、通常、ホルマリンとして用いられる。
アルデヒド及び/又は蟻酸の添加量は、最終的に得られる原料液中に含まれるアルデヒド及び/又は蟻酸の量が、製造しようとする触媒に必要とされる量となる量であればよい。アルデヒド及び/又は蟻酸は、全量を一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。
アルデヒド及び/又は蟻酸を添加する方法としては、特に限定されず、調製途中又は調製後のA液、B液、C液のいずれか1つに全量を添加してもよく、2つ以上に添加してもよい。例えば、A液の調製途中又は調製後に添加する方法、B液の調製途中又は調製後に添加する方法、C液の調製途中又は調製後に添加する方法等が挙げられ、いずれでも好ましい結果が得られる。
製造しようとする触媒が、モリブデン、ビスマス及び鉄以外の他の元素(ただし酸素を除く)を含む場合、該他の元素の触媒原料を、調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかに添加する工程(工程(f))を行う。
たとえば、調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかに、上述した、M成分、X成分、Y成分、Z成分及びケイ素にそれぞれ対応する触媒原料を添加することにより、前記式(1)で表される触媒が得られる。
他の元素の触媒原料の添加量は、最終的に得られる原料液中に含まれる他の元素の量が、製造しようとする触媒に必要とされる量となる量であればよい。他の元素の触媒原料は、全量を一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。
他の元素の触媒原料を添加する方法としては、特に限定されず、調製途中又は調製後のA液、B液、C液のいずれか1つに全量を添加してもよく、2つ以上に添加してもよい。例えば、A液の調製途中又は調製後に添加する方法、B液の調製途中又は調製後に添加する方法、C液の調製途中又は調製後に添加する方法等が挙げられ、いずれでも好ましい結果が得られる。
たとえば、調製途中又は調製後のA液、B液、C液の少なくともいずれかに、上述した、M成分、X成分、Y成分、Z成分及びケイ素にそれぞれ対応する触媒原料を添加することにより、前記式(1)で表される触媒が得られる。
他の元素の触媒原料の添加量は、最終的に得られる原料液中に含まれる他の元素の量が、製造しようとする触媒に必要とされる量となる量であればよい。他の元素の触媒原料は、全量を一度に添加してもよく、複数回に分けて添加してもよい。
他の元素の触媒原料を添加する方法としては、特に限定されず、調製途中又は調製後のA液、B液、C液のいずれか1つに全量を添加してもよく、2つ以上に添加してもよい。例えば、A液の調製途中又は調製後に添加する方法、B液の調製途中又は調製後に添加する方法、C液の調製途中又は調製後に添加する方法等が挙げられ、いずれでも好ましい結果が得られる。
以上のような方法により、モリブデンと、ビスマスと、鉄と、モリブデン1モルに対して0.001〜5モルのアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を調製できる。
本発明では、このようにして得られる原料液を用いて、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む触媒を製造する。
本発明では、このようにして得られる原料液を用いて、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む触媒を製造する。
本発明においては、前記原料液の調製後、触媒の製造に用いる前に、さらに、前記原料液を80〜120℃の温度範囲に保持(熟成)する工程(工程(g))を有することが好ましい。これにより、触媒性能を更に向上させることができる。保持温度は、90〜110℃の温度範囲がより好ましい。
なお、原料液を前記温度範囲に保持する保持時間としては、特に限定されないが、1秒間〜30時間の範囲が適当であり、好ましくは1分間〜20時間の範囲、特に好ましくは3分間〜15時間の範囲である。保持時間が短すぎると、保持により触媒性能を向上させる効果が得られにくい。又、保持時間をあまり長くしても、保持によるそれ以上の効果は得られにくい。
なお、原料液を前記温度範囲に保持する保持時間としては、特に限定されないが、1秒間〜30時間の範囲が適当であり、好ましくは1分間〜20時間の範囲、特に好ましくは3分間〜15時間の範囲である。保持時間が短すぎると、保持により触媒性能を向上させる効果が得られにくい。又、保持時間をあまり長くしても、保持によるそれ以上の効果は得られにくい。
触媒の成形は、たとえば以下の手順で行うことができる。
まず、前記原料液の乾燥を行う。乾燥には、箱形乾燥機、蒸発乾燥機、噴霧乾燥機等種々の乾燥装置用いることができる。乾燥条件は、例えば箱形乾燥機の場合は30〜150℃、噴霧乾燥機の場合は入口温度で100〜500℃が好ましい。
まず、前記原料液の乾燥を行う。乾燥には、箱形乾燥機、蒸発乾燥機、噴霧乾燥機等種々の乾燥装置用いることができる。乾燥条件は、例えば箱形乾燥機の場合は30〜150℃、噴霧乾燥機の場合は入口温度で100〜500℃が好ましい。
次いで、乾燥して得られた乾燥物(触媒前駆体)の焼成を行う。これにより、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む触媒が得られる。
焼成は、空気等の酸素含有ガス流通下、または窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス流通下で行うことが好ましい
焼成温度は、200〜600℃の温度範囲で行うことが好ましい。焼成時間(所定の焼成温度に達してから該温度持続する時間)は、目的とする触媒に応じて適宜選択される。
焼成する際の焼成装置の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば箱型焼成炉、トンネル炉型焼成炉等の焼成炉を用いて、乾燥物を固定した状態で焼成しても良いし、また、回転焼成炉等を用いて、乾燥物を流動させながら焼成しても良い。
焼成は、空気等の酸素含有ガス流通下、または窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス流通下で行うことが好ましい
焼成温度は、200〜600℃の温度範囲で行うことが好ましい。焼成時間(所定の焼成温度に達してから該温度持続する時間)は、目的とする触媒に応じて適宜選択される。
焼成する際の焼成装置の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば箱型焼成炉、トンネル炉型焼成炉等の焼成炉を用いて、乾燥物を固定した状態で焼成しても良いし、また、回転焼成炉等を用いて、乾燥物を流動させながら焼成しても良い。
得られた焼成物(触媒)は、さらに、成形してもよい。
触媒を成形する方法は、特に限定されるものではなく、打錠成形機、押出成形機、転動造粒機等の一般粉体用成形機を用いて、球状、リング状、円柱状、星型状等の任意の形状に成形できる。
触媒を成形する際には、従来公知の添加剤、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の有機化合物を更に添加してもよい。更には、グラファイト及びケイソウ土等の無機化合物、ガラス繊維、セラミックファイバー及び炭素繊維等の無機ファイバーを添加してもよい。
触媒を成形する方法は、特に限定されるものではなく、打錠成形機、押出成形機、転動造粒機等の一般粉体用成形機を用いて、球状、リング状、円柱状、星型状等の任意の形状に成形できる。
触媒を成形する際には、従来公知の添加剤、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の有機化合物を更に添加してもよい。更には、グラファイト及びケイソウ土等の無機化合物、ガラス繊維、セラミックファイバー及び炭素繊維等の無機ファイバーを添加してもよい。
本発明においては、上記成形に引き続き、または成形を行わない場合は前記の焼成(1次焼成)に引き続き、酸素含有ガスの流通下で、さらに、焼成(2次焼成)を行うことが好ましい。これにより、触媒構造の安定性が増し、触媒寿命が向上する。成形を行う場合の2次焼成のタイミングは、成形の前、後、どちらでも構わない。
酸素含有ガスとしては、空気を用いるのが最も経済的である。
2次焼成温度は、300〜700℃の温度範囲が好ましく、400〜600℃の温度範囲がより好ましい。また、2次焼成時間は、特に限定されないが、より高性能な触媒が得られることから、10分間以上が好ましく、 1〜10時間がより好ましい。
2次焼成の際の焼成装置の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば箱型焼成炉、トンネル炉型焼成炉等の焼成炉を用いて、成形物又は1次焼成物を固定した状態で焼成しても良いし、また、回転焼成炉を用いて、成形物又は1次焼成物を流動させながら焼成しても良い。
酸素含有ガスとしては、空気を用いるのが最も経済的である。
2次焼成温度は、300〜700℃の温度範囲が好ましく、400〜600℃の温度範囲がより好ましい。また、2次焼成時間は、特に限定されないが、より高性能な触媒が得られることから、10分間以上が好ましく、 1〜10時間がより好ましい。
2次焼成の際の焼成装置の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば箱型焼成炉、トンネル炉型焼成炉等の焼成炉を用いて、成形物又は1次焼成物を固定した状態で焼成しても良いし、また、回転焼成炉を用いて、成形物又は1次焼成物を流動させながら焼成しても良い。
上記のようにして得られた触媒は、担体に担持させてもよい。担持を行う際に使用する担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、シリコンカーバイト等が挙げられる。
また、触媒は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、シリコンカーバイト等の不活性物質で希釈して用いることもできる。
また、触媒は、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、チタニア、シリコンカーバイト等の不活性物質で希釈して用いることもできる。
以上説明した本発明の製造方法により得られる触媒は、従来のものに比べて、プロピレン、イソブチレン又はTBAを分子状酸素で気相接触酸化することにより不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を合成する際の触媒性能が高く、高い選択率で、前記不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を製造できる。
前記不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造は、たとえば、気相接触酸化の反応器内で、前記触媒と、前記原料有機化合物及び分子状酸素を含む原料ガスとを接触させることにより実施できる。
反応器としては、一般的に気相接触酸化に用いられているものを使用でき、特に、触媒が充填される反応管を備える管式反応器を使用することが好ましく、工業的には該反応管を複数備える多管式反応器を用いることが特に好ましい。
原料ガス中の原料有機化合物濃度は広い範囲で変えることができ、例えば、1〜20容量%とすることができ、好ましくは3〜10容量%である。
原料ガスの分子状酸素源としては、空気を用いるのが工業的に有利である。必要に応じて、空気等に純酸素を混合したガスを用いることもできる。
原料ガス中の原料有機化合物と分子状酸素とのモル比は原料有機化合物:分子状酸素=1:0.1〜5の範囲が好ましく、1:0.5〜3の範囲がより好ましい。
原料ガスは、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス、水蒸気等で希釈して使用することが経済的である。
気相接触酸化における反応圧力は大気圧から数気圧までがよい。反応温度は、200〜450℃の範囲が好ましく、特に、250〜400℃の範囲が好ましい。原料ガスと触媒との接触時間は0.5〜10秒が好ましく、より好ましくは1.0〜5秒である。
反応器としては、一般的に気相接触酸化に用いられているものを使用でき、特に、触媒が充填される反応管を備える管式反応器を使用することが好ましく、工業的には該反応管を複数備える多管式反応器を用いることが特に好ましい。
原料ガス中の原料有機化合物濃度は広い範囲で変えることができ、例えば、1〜20容量%とすることができ、好ましくは3〜10容量%である。
原料ガスの分子状酸素源としては、空気を用いるのが工業的に有利である。必要に応じて、空気等に純酸素を混合したガスを用いることもできる。
原料ガス中の原料有機化合物と分子状酸素とのモル比は原料有機化合物:分子状酸素=1:0.1〜5の範囲が好ましく、1:0.5〜3の範囲がより好ましい。
原料ガスは、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス、水蒸気等で希釈して使用することが経済的である。
気相接触酸化における反応圧力は大気圧から数気圧までがよい。反応温度は、200〜450℃の範囲が好ましく、特に、250〜400℃の範囲が好ましい。原料ガスと触媒との接触時間は0.5〜10秒が好ましく、より好ましくは1.0〜5秒である。
このような気相接触酸化により、使用した原料有機化合物に対応する不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸が、高い選択率で得られる。たとえば原料有機化合物としてプロピレンを用いた場合は、アクロレイン及び/又はアクリル酸が得られる。原料有機化合物としてイソブチレンを用いた場合は、メタクロレイン及び/又はメタクリル酸が得られる。原料有機化合物としてTBAを用いた場合は、メタクロレイン及び/又はメタクリル酸が得られる。
以下、本発明による触媒の製造例、及びそれを用いての反応例を、比較例と共に説明する。
下記の実施例および比較例中の「部」は質量部である。
反応評価における分析はガスクロマトグラフィーにて行った。実施例及び比較例中の触媒の活性試験は、イソブチレンの分子状酸素による気相接触酸化を例として行った。原料の反応率、生成するメタクロレイン(MAL)及びメタクリル酸(MAA)の選択率はそれぞれ以下のように定義される。
イソブチレン反応率(%)=(反応したイソブチレンのモル数/供給したイソブチレンのモル数)×100
MAL選択率(%)=(生成したMALのモル数/反応したイソブチレンのモル数)×100
MAAの選択率(%)=(生成したMAAのモル数/反応したイソブチレンのモル数)×100
下記の実施例および比較例中の「部」は質量部である。
反応評価における分析はガスクロマトグラフィーにて行った。実施例及び比較例中の触媒の活性試験は、イソブチレンの分子状酸素による気相接触酸化を例として行った。原料の反応率、生成するメタクロレイン(MAL)及びメタクリル酸(MAA)の選択率はそれぞれ以下のように定義される。
イソブチレン反応率(%)=(反応したイソブチレンのモル数/供給したイソブチレンのモル数)×100
MAL選択率(%)=(生成したMALのモル数/反応したイソブチレンのモル数)×100
MAAの選択率(%)=(生成したMAAのモル数/反応したイソブチレンのモル数)×100
<実施例1>
(触媒調製)
純水1,000部に、パラモリブデン酸アンモニウム500部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、及び硝酸セシウム27.6部を、60℃にて溶解、混合してA液とした。このA液に三酸化ビスマス27.5部を加えたところ、白色の沈殿が生じた。このA液に、さらに、アルデヒド及び/又は蟻酸として、蟻酸15.9部(モリブデン原子1モルに対して0.12モルの蟻酸)を加えた。
これとは別に、純水1,000部に、硝酸第二鉄200.2部、硝酸ニッケル78.9部、硝酸亜鉛14.0部、及び硝酸コバルト357.1部を、順次加えて溶解しB液とした。
次いで、三酸化ビスマス及び蟻酸を加えたA液にB液を加え、スラリー状のC液を得た。しかる後、C液に三酸化アンチモン24.1部を加えて原料液とした。この原料液を、80℃で1時間熟成した後、水の大部分を蒸発させて、ケーキ状物Aを得た。
該ケーキ状物Aを、120℃で16時間処理し、さらに空気雰囲気下300℃で1時間熱処理した後、粉砕した。これを加圧成形した後、破砕し、得られた破砕粒子を分級し、目開き2.36mmの篩を通過し、かつ目開き0.71mmの篩を通過しないものを回収した。その後、回収した特定の大きさの破砕粒子を再び空気雰囲気下500℃で6時間熱処理して、触媒を得た。
こうして得られた触媒の元素の組成(酸素を除く)は、Mo12Bi0.5Fe2.1Ni2.3Co5.2Zn0.2W0.1Sb0.7Cs0.6であった。
(触媒調製)
純水1,000部に、パラモリブデン酸アンモニウム500部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、及び硝酸セシウム27.6部を、60℃にて溶解、混合してA液とした。このA液に三酸化ビスマス27.5部を加えたところ、白色の沈殿が生じた。このA液に、さらに、アルデヒド及び/又は蟻酸として、蟻酸15.9部(モリブデン原子1モルに対して0.12モルの蟻酸)を加えた。
これとは別に、純水1,000部に、硝酸第二鉄200.2部、硝酸ニッケル78.9部、硝酸亜鉛14.0部、及び硝酸コバルト357.1部を、順次加えて溶解しB液とした。
次いで、三酸化ビスマス及び蟻酸を加えたA液にB液を加え、スラリー状のC液を得た。しかる後、C液に三酸化アンチモン24.1部を加えて原料液とした。この原料液を、80℃で1時間熟成した後、水の大部分を蒸発させて、ケーキ状物Aを得た。
該ケーキ状物Aを、120℃で16時間処理し、さらに空気雰囲気下300℃で1時間熱処理した後、粉砕した。これを加圧成形した後、破砕し、得られた破砕粒子を分級し、目開き2.36mmの篩を通過し、かつ目開き0.71mmの篩を通過しないものを回収した。その後、回収した特定の大きさの破砕粒子を再び空気雰囲気下500℃で6時間熱処理して、触媒を得た。
こうして得られた触媒の元素の組成(酸素を除く)は、Mo12Bi0.5Fe2.1Ni2.3Co5.2Zn0.2W0.1Sb0.7Cs0.6であった。
(反応評価)
この触媒をステンレス製反応管内に充填して触媒層を形成した後、組成(容量%)がイソブチレン(原料)5%、酸素12%、水蒸気10%、及び窒素73%である原料ガスを、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、2.9秒間の接触時間で反応管内の触媒層を通過させ、340℃で反応させた。
その結果、MAL選択率は89.8%、MAA選択率は3.6%、MALとMAAの合計選択率は93.4%であった。
この触媒をステンレス製反応管内に充填して触媒層を形成した後、組成(容量%)がイソブチレン(原料)5%、酸素12%、水蒸気10%、及び窒素73%である原料ガスを、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、2.9秒間の接触時間で反応管内の触媒層を通過させ、340℃で反応させた。
その結果、MAL選択率は89.8%、MAA選択率は3.6%、MALとMAAの合計選択率は93.4%であった。
<実施例2>
(触媒調製)
アルデヒド及び/又は蟻酸として、蟻酸43.7部(Mo原子1モルに対して0.34モルの蟻酸)を加えた以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、2.4秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は89.6%、MAA選択率は3.5%、MALとMAAの合計選択率は93.1%であった。
(触媒調製)
アルデヒド及び/又は蟻酸として、蟻酸43.7部(Mo原子1モルに対して0.34モルの蟻酸)を加えた以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、2.4秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は89.6%、MAA選択率は3.5%、MALとMAAの合計選択率は93.1%であった。
<実施例3>
(触媒調製)
アルデヒド及び/又は蟻酸として、ホルマリン250部(Mo原子1モルに対して1.03モルのホルムアルデヒド)を加えた以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、3.7秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は89.8%、MAA選択率は3.6%、MALとMAAの合計選択率は93.4%であった。
(触媒調製)
アルデヒド及び/又は蟻酸として、ホルマリン250部(Mo原子1モルに対して1.03モルのホルムアルデヒド)を加えた以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、3.7秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は89.8%、MAA選択率は3.6%、MALとMAAの合計選択率は93.4%であった。
<比較例1>
(触媒調製)
蟻酸を加えなかった以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、3.6秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は89.1%、MAA選択率は3.4%、MALとMAAの合計選択率は92.5%であった。
(触媒調製)
蟻酸を加えなかった以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、3.6秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は89.1%、MAA選択率は3.4%、MALとMAAの合計選択率は92.5%であった。
<比較例2>
(触媒調製)
アルデヒド及び/又は蟻酸として、蟻酸890部(Mo原子1モルに対して6.76モルの蟻酸)を加えた以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、4.9秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は84.1%、MAA選択率は3.1%、MALとMAAの合計選択率は87.2%であった。
(触媒調製)
アルデヒド及び/又は蟻酸として、蟻酸890部(Mo原子1モルに対して6.76モルの蟻酸)を加えた以外は実施例1の(触媒調製)と同様にして触媒を得た。
(反応評価)
得られた触媒について、接触時間を、イソブチレン反応率が約96.5%となるように、4.9秒間に変更した以外は実施例1の(反応評価)と同様にして反応評価を行った。
その結果、MAL選択率は84.1%、MAA選択率は3.1%、MALとMAAの合計選択率は87.2%であった。
以上のように、実施例1〜3で得られた触媒は、イソブチレン反応率が同じであるにも係らず、MAL、MAA、MALとMAAの合計のいずれの選択率も、比較例1〜2で得られた触媒に比べて高かった。この結果から、本発明の製造方法により製造された触媒を使用することによって、目的とする不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を高選択的に製造することができることが確認できた。
Claims (1)
- プロピレン、イソブチレン又は第三級ブチルアルコールを分子状酸素で気相接触酸化することにより不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸を合成する際に使用される、モリブデン、ビスマス及び鉄を含む金属酸化物触媒の製造方法であって、
モリブデンと、ビスマスと、鉄と、モリブデン原子1モルに対して0.001〜5モルのアルデヒド及び/又は蟻酸とを含有する原料液を用いることを特徴とする金属酸化物触媒の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007129040A JP2008284416A (ja) | 2007-05-15 | 2007-05-15 | 金属酸化物触媒の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012115825A (ja) * | 2010-08-04 | 2012-06-21 | Nippon Kayaku Co Ltd | メタクロレインおよびメタクリル酸製造用触媒、ならびにその製造方法 |
JP2013043125A (ja) * | 2011-08-24 | 2013-03-04 | Asahi Kasei Chemicals Corp | モリブデン、ビスマス、鉄及びコバルトを含む酸化物 |
JP2014161775A (ja) * | 2013-02-22 | 2014-09-08 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 酸化物触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒドの製造方法 |
JP2014161776A (ja) * | 2013-02-22 | 2014-09-08 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 酸化物触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒドの製造方法 |
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2007
- 2007-05-15 JP JP2007129040A patent/JP2008284416A/ja not_active Withdrawn
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