JPH08245979A - (6e)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香料 - Google Patents

(6e)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香料

Info

Publication number
JPH08245979A
JPH08245979A JP7074679A JP7467995A JPH08245979A JP H08245979 A JPH08245979 A JP H08245979A JP 7074679 A JP7074679 A JP 7074679A JP 7467995 A JP7467995 A JP 7467995A JP H08245979 A JPH08245979 A JP H08245979A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dihydrofarnesol
fragrance
aroma
floral
synthesized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7074679A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3356242B2 (ja
Inventor
Mutsumi Harada
睦 原田
Hiroyuki Matsuda
洋幸 松田
Takeshi Yamamoto
健 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takasago International Corp, Takasago Perfumery Industry Co filed Critical Takasago International Corp
Priority to JP07467995A priority Critical patent/JP3356242B2/ja
Priority to CA002170185A priority patent/CA2170185C/en
Priority to US08/609,903 priority patent/US5753610A/en
Priority to EP96301501A priority patent/EP0731160B1/en
Priority to DE69621673T priority patent/DE69621673T2/de
Priority to ES96301501T priority patent/ES2178691T3/es
Publication of JPH08245979A publication Critical patent/JPH08245979A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3356242B2 publication Critical patent/JP3356242B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11BPRODUCING, e.g. BY PRESSING RAW MATERIALS OR BY EXTRACTION FROM WASTE MATERIALS, REFINING OR PRESERVING FATS, FATTY SUBSTANCES, e.g. LANOLIN, FATTY OILS OR WAXES; ESSENTIAL OILS; PERFUMES
    • C11B9/00Essential oils; Perfumes
    • C11B9/0007Aliphatic compounds
    • C11B9/0015Aliphatic compounds containing oxygen as the only heteroatom

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた香気特性を有するとともに、感作性が
なく安全で、抗菌活性機能も合せ持つミューゲ香料 【構成】 トランス体の純度が50重量%より大きなつ
ぎの一般式(1) 【化1】 で表わされる(6E)−2,3−ジヒドロファルネソー
ルを含有する香料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は香粧品等の付香に用いら
れるトランス体の純度が50重量%よりも大きな(6
E)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香
料、及び該(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール
の(3S)−体を含有する香料に関する。
【0002】
【従来の技術】2,3−ジヒドロファルネソールは自然
界において動植物に存在することが知られている。例え
ば、植物からは Lonicera japonica Thunbのエッセンシ
ャルオイル〔 ZHONGGUO ZHONGYAO ZAZHI, VOL.15, NUMB
ER ; 11, P.680-682, (1990)〕、 Marine brounoおよび
Red algaeの成分〔日本水産学会誌、Vol.56, Number ;
6, P.973-983, (1990)〕、 Ku-Shui Rose のエッセンシ
ャルオイル〔 Zhiwu Xuebao, Vol.31, Number ; 4, P.2
89-295, (1989)〕、 Pyrus bretschneideri の皮の成分
〔 Spipin Kexue ( Beijing ), Vol.91, P.45-47, (198
7)〕、 Peony flower の成分〔 Pollena ; Tluszcze ,
Srodki Piorace , Kosmet , Vol.30, P.143-145, (198
6) 、及び Phytochemistry, Vol.25, P.250-253, (198
6)、及び Fagara macrophylla と Zanthoxylum rigidif
olium pericarps の成分〔 J. Nat.Prod., Vol.49, P.1
169-1171, (1986)〕として発見されている。また昆虫の
分泌物として、 Bombus jonellus males〔 Zoon, Supp
l., Number ; Suppl.1 , P.61-65, (1973) 〕、North E
uropean Pyrobombus 〔Insects Soc. Vol.24, Number;
2, P.213-224, (1977)〕、及び Workers of an army an
t 〔J. Chem. Ecol.Vol.17, P.1633-1639, (1991) 〕等
にその存在が知られている。
【0003】また、Phytochemistry Vol.25, No.1,P.
250-253 (1986)にもしゃくやくの花の数ある揮発性成分
の中の1つに2,3−ジヒドロファルネソールが挙げら
れている。しかしながらその具体的な香気や香気強度、
さらに感作性や抗菌性等については何ら記載されておら
ず、その幾何異性体についても何ら記載されていない。
また、2,3−ジヒドロファルネソールの光学活性体を
合成した例として、Izv.Akad.Nauk SSSR. Ser Khim. Nu
mber ; 3, P.699-700, (1989) ,特開昭63−1523
37号公報,Acta Chem. Scand. Vol.25, Number ; 5,
P.1685-1694, (1971) 、及び Indian J. Chem., Sect.
B, Vol.188, Number ; 1, P.31-32, (1979) の報告が知
られているが、2,3−ジヒドロファルネソールの光学
活性体の香気については、報告されていないし、勿論香
料として使用されたという報告もみられない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近安全性に関する社
会的関心が高まり、香料の場合も変異源性、蓄積性、生
分解性、皮膚一時刺激、皮膚感作性、光毒性等、安全性
の基準が厳しくなってきている。代表的ミューゲ様のフ
ローラル香料であるリリアール、シクラメンアルデヒド
等の重要な香料は優れた香気を持ちながら皮膚感作性が
あるために、大手ユーザーにおいては使用量規制が行わ
れている現状で、感作性の無い安全なミューゲ香料の開
発が望まれていた。
【0005】また近年香料に付加価値のある多機能を有
した香料が望まれ、特に化粧品類に求められる抗菌性を
有する香料が望まれていた。従って、本発明の目的は優
れた香気特性を有すのみでなく、それと同時に感作性が
なく、安全でさらに抗菌活性等の機能も合わせ持つミュ
ーゲ香料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような実情におい
て、本発明者らは鋭意研究を行った結果、トランス体の
純度が50重量%よりも大きな次の一般式(1)
【化2】 で表される(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール
がデリケイトで優れたミューゲ様香気に分類されるシク
ラメン様フローラルの強い香気を持ち、それと同時に感
作性がなく安全で、さらに抗菌性を合わせ持つことを見
出し本発明を完成した。
【0007】さらに、本発明者らは上記(6E)−2,
3−ジヒドロファルネソールの光学活性体についても研
究を進めた結果、その(3S)−体がクリーンで優雅な
シクラメン様の強い保留性のある香気を持つのに対し、
その(3R)−体は香気が弱く、少しメタリック(金属
様)でバルサミックなサイドノートがあり香気価値に乏
しく、(3S)−体が優れていることを見出した。
【0008】本発明はトランス体の純度が50重量%よ
りも大きな次の一般式(1)
【化3】 で表される(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール
を含有する香料に関する。
【0009】さらに本発明は上述の(6E)−2,3−
ジヒドロファルネソールの(3S)−体である次の一般
式(2)
【化4】 で表される(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファ
ルネソールを含有する香料に関する。
【0010】本発明の(6E)−2,3−ジヒドロファ
ルネソールは、ファルネソールを触媒の存在下選択的に
水素化することにより容易に合成することができる。触
媒としてはRu−カーボン、Rh−カーボン、Ru−ア
ルミナ、又はピリジン等のアミン類あるいは二硫化炭素
のようなイオウ化合物で被毒したニッケルあるいはパラ
ジウム等が挙げられる。
【0011】また、光学活性な(3S)−(6E)−
2,3−ジヒドロファルネソールは、ファルネソールを
光学活性なルテニウム−BINAP触媒、例えばRu2
Cl4((R)−T−BINAP)2 NEt3 ((R)
−T−BINAPは(R)−2,2′−ビス〔ジ(p−
トリル)ホスフィノ〕−1,1′−ビナフチルを示し、
Etはエチル基を示す)等の触媒の存在下、不斉水素化
することにより合成される(特開昭63−152337
号公報)。
【0012】このようにして得られるトランス体リッチ
な化合物、即ちトランス体の純度が50重量%よりも大
きい(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールはその
香気質が非常に優れたものである。詳細にはトランス体
が50重量%より大きな割合で存在するときは、香気が
強く、シクラメン様のフローラル香を有し、香気として
非常に優れたものである。しかしながら、逆にシス体リ
ッチ、即ちシス体が50重量%より大きな割合で存在す
ると、ウッディな香気が強くなりフローラル感が薄れ、
あるいはシス体の持つウッディ香がトランス体の持つフ
ローラル香気に影響を与えるようになることがわかっ
た。
【0013】上述のようにトランス体が50重量%より
も大きいことが必要であるが、好ましくは60重量%以
上、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは
90重量%以上が良く、当然ながら純度が高い程好まし
いことは言うまでもない。
【0014】また、上述のようなトランス体の純度が5
0重量%よりも大きな(6E)−2,3−ジヒドロファ
ルネソールは皮膚に対する感作性のないことがわかっ
た。従ってリリアールやシクラメンアルデヒド等の香料
とは異なり、感作性がなく、安全で安心して使用できる
ことがわかった。即ち、2,3−ジヒドロファルネソー
ルの類似化合物であるファルネソールでは、モルモット
の皮膚に対する感作のテストにおいて、5重量%の濃度
で感作が認められるのに対し、本発明の(6E)−2,
3−ジヒドロファルネソールでは同濃度で感作は認めら
れなかった。さらに、人間の皮膚に対するテストにおい
ても本発明の(6E)−2,3−ジヒドロファルネソー
ルでは、10%濃度(ラノリン溶液)でも感作は全く認
められず、安全性の高いものであることが理解される。
【0015】さらに、本発明の(6E)−2,3−ジヒ
ドロファルネソールは、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、皮膚
常在菌等の様々な菌に対して抗菌活性のあることがわか
った。この抗菌性については、類似化合物であるファル
ネソールは抗菌性のある化合物として知られているが
(特開昭60−64913号公報)、このものよりもあ
る菌に対しては高い抗菌活性を示すことがわかった。従
って本発明の(6E)−2,3−ジヒドロファルネソー
ルを香料に使用することにより優れた香気質を付与でき
ることはもちろん、さらに抗菌性という機能性をも合わ
せて付与することができる。
【0016】以上から、(6E)−2,3−ジヒドロフ
ァルネソールを香料に使用すれば優れた香気質を持ち、
感作性がなく安全で、しかも抗菌性という機能を合わせ
持つ付加価値の高い香料を提供することができる。
【0017】本発明者らは、さらに上述の(6E)−
2,3−ジヒドロファルネソールの光学活性体について
も合成し、それぞれの香気質の検討を行った。その結
果、(3S)−体はさらに強くてクリーンで、保留性が
あり、優雅なシクラメン様の優れたフローラル香気であ
るのに対し、(3R)−体は香気が弱くフローラルとは
異なる少しメタリックでバルサミックなサイドノートが
あり、香料価値に乏しいことがわかった。
【0018】またこの(3S)−体である(3S)−
(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールは、上述の
(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールと同様、感
作性がなく安全で、抗菌活性のあることが確認された。
ここに、(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの
なかでもさらにその(3S)−体の香気質が優れてお
り、これを香料に用いればさらにクリーンで洗練され
た、高級感のある香気として非常に優れた香料を得るこ
とができる。
【0019】本発明の(6E)−2,3−ジヒドロファ
ルネソール及び(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロ
ファルネソールの使用量は特に限定されないが、香気質
のバランスを考慮すると0.01〜90重量%、好まし
くは1〜50重量%香料に使用するのがよい。
【0020】このように、本発明の(6E)−2,3−
ジヒドロファルネソール及び(3S)−(6E)−2,
3−ジヒドロファルネソールを用いることにより優れた
香気を有し、感作性がなく安全で、かつ抗菌性を有する
非常に優れた付加価値の高い香気付与あるいは香気改良
補助剤を提供でき、またそれを香気成分として含有する
香粧品類、保健衛生材料、医薬品等を提供することがで
きる。
【0021】すなわち、シャンプー、リンス類、香水、
コロン類、ヘヤートニック、ヘヤークリーム類、ポマー
ドその他毛髪用化粧料基剤、白粉、口紅、その他の化粧
料基材や化粧料洗剤、石鹸、皿洗い洗剤、洗濯用洗剤、
ソフトナー類、消毒用洗剤類、防臭洗剤類、室内芳香
剤、ファーニチアケアー、消毒剤、殺虫剤、漂白剤、そ
の他の各種保健衛生用洗剤類、歯磨、マウスウォッシ
ュ、トイレットペーパー、医薬品の服用を容易にするた
めの賦香剤等に、そのユニークな香気を付与できる適当
量を配合して商品価値を高めることができる。
【0022】
【実施例】以下、合成例、実施例、試験例及び処方例に
より本発明を更に詳細に説明する。 測定機器 ガスクロマトグラフィー 5890 (ヒューレットパ
ッカード社製) カラム;PEG CBP−20(0.25mm×25
m) 温度;100℃より220℃まで10℃/分昇温 旋光度 旋光度計DIP−4(日本分光工学株式会社
製)
【0023】合成例1 (6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの合成:フ
ァルネソール((2E,6E)−体,(2E,6Z)−
体,(2Z,6E)−体,(2Z,6Z)−体の比が
1:1:1:1)6.66g(30ミリモル)及びRu
−カーボン(5%担持品)0.3gを窒素雰囲気下で1
00mlのオートクレーブに入れ、充分窒素置換した。
これにメタノール33mlを窒素雰囲気下に加え水素置
換後、水素圧40atmとし、120℃で16時間攪拌
した。反応終了後、反応混合物の一部を取り、ガスクロ
マトグラフィーにて転化率を測定したところ、100%
であった。
【0024】反応液を減圧濃縮して5.2gの留分を得
た。ガスクロマトグラフィーで組成を分析したところ
(6E)−体が52%、(6Z)−体が48%であっ
た。この留分のうち、3gを硝酸銀を担持したシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーで処理し、シス体リッチな
留分を0.6g((6Z)−体85%、(6E)−体1
5%)得た。
【0025】合成例2 (6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの合成:ト
ランスファルネソール((2E,6E)−体/(2Z,
6E)−体=99/1)6.66g(30ミリモル)及
びRu−カーボン(5%担持品)0.3gを窒素雰囲気
下で100mlのオートクレーブに入れ、充分窒素置換
した。これにメタノール33mlを窒素雰囲気下に加え
水素置換後、水素圧40atmとし、120℃で16時
間攪拌した。反応終了後、反応混合物の一部を取り、ガ
スクロマトグラフィーにて転化率を測定したところ、1
00%であった。反応液を減圧濃縮して留分を得た。ガ
スクロマトグラフィーで組成を分析したところ(6E)
−体が99%以上であった。
【0026】合成例3 (3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール
の合成:トランスファルネソール((2E,6E)−体
/(2Z,6E)−体=99/1)6.66g(30ミ
リモル)及びRu2 Cl4 ((R)−T−BINAP)
2 NEt3 ((R)−T−BINAPは(R)−2,
2′−ビス〔ジ(p−トリル)ホスフィノ〕−1,1′
−ビナフチルを示し、Etはエチル基を示す)90mg
(0.1ミリモル)を窒素雰囲気下で100mlのオー
トクレーブに入れ充分窒素置換した。これにメタノール
33mlを窒素雰囲気下に加え水素置換後、水素圧40
atmとし、室温で16時間攪拌した。反応終了後、反
応混合物の一部を取り、ガスクロマトグラフィーにて転
化率を測定したところ、100%であった。反応液を減
圧濃縮して得られた粗生成物を減圧蒸留して、純度96
%の表記化合物5.54g(収率82%)を得た。
【0027】このものの旋光度は−3.92度であった
(〔α〕D 24 −3.92°(C=20,クロロホル
ム))。このことから光学純度は89%eeであること
がわかった。(文献値:Acta.Chem.Scand.1971 Vo
l.25 p1685−1694より算出)。また、トラ
ンス、シスに関しては原料のトランス体(6位)がその
まま維持され、(6E)−体が100%である。
【0028】合成例4 (3R)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール
の合成:Ru2 Cl4 ((R)−T−BINAP)2
Et3 の代わりにRu2 Cl4((S)−T−BINA
P)2 NEt3 を用いた以外は合成例3と同様に反応を
行い、ガスクロマトグラフィーでの純度95%の表記化
合物5.65g(収率84%)を得た。このものの旋光
度は+3.97度であった(〔α〕D 24 +3.97
°(C=20,クロロホルム))。このことから光学純
度は90%eeであることがわかった。
【0029】実施例1 香気質の評価 合成例2で合成した99%以上の(6E)−2,3−ジ
ヒドロファルネソール(a)、合成例1で合成した52
%の(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール(b)
及び合成例1で合成したトランス体が15%で、シス体
が85%である2,3−ジヒドロファルネソール(c)
のそれぞれについて、7人の専門パネラーにより香気の
差の検討を行った。その結果、(a)は最も香気が強
く、シャープでクリーンなシクラメン様のフローラル香
気を有しているのに対し、トランス体が50%以下であ
る(c)はメタリック(金属様)でウッディ、グリーン
な香気が全面に出て、フローラル感に乏しい香気であ
り、両者の香質には著しく大きな差があり、全く異なっ
た香気であることがわかった。
【0030】(a)はシクラメン様フローラル香料とし
て非常に有用であるが、(c)はそのメタリックさ、ウ
ッディさにより香料価値に乏しいものである。トランス
体が52%である(b)は、(a)より若干フローラル
感が弱まり香気の強度が減少し高級感に欠けるものの、
シクラメン様フローラル用の香料としての目的において
十分使用可能である。
【0031】実施例2 香気質の評価 合成例2で合成した(6E)−2,3−ジヒドロファル
ネソール(a)、合成例3で合成した(3S)−(6
E)−2,3−ジヒドロファルネソール(d)及び合成
例4で合成した(3R)−(6E)−2,3−ジヒドロ
ファルネソール(e)のそれぞれについて、7人の専門
パネラーにより香気の差の検討を行った。その結果、
(d)は若干ではあるが(a)よりもさらに強い香気を
有し、保留性があり、クリーンで優雅なシクラメン様の
優れたフローラル香気であるのに対し、(e)は香気が
弱く、フローラルとは異なる少しメタリックでバルサミ
ックなサイドノートがあり、(d)とは異なる香気質を
持ち、香料価値に乏しい。
【0032】試験例1 皮膚感作性テスト 99%(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール
(a)、52%(6E)−2,3−ジヒドロファルネソ
ール(b)及び(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロ
ファルネソール(d)のそれぞれについて、モルモット
を使用した Magnusson法による感作性のテストの結果、
いずれも濃度5%で感作は認められなかった。ここで、
本発明の(6E)−2,3−ジヒドロファルネソールの
類似化合物であるファルネソール((2E,6E)−
体,(2E,6Z)−体,(2Z,6E)−体,(2
Z,6Z)−体の比が1:1:1:1)についても同様
のテストを行ったところ濃度5%で感作が認められた。
【0033】試験例2 パッチテスト 上述の(a),(b),(d)をそれぞれ10%の濃度
でラノリンに溶解させ、この溶液をパッチ(フィンチェ
ンバー、大正製薬社製)に塗布した。このパッチを30
人の被験者の上腕の内側に貼り、24時間後にパッチを
はずし、皮膚刺激があるかどうかチェックし、さらに2
4時間後に皮膚刺激の有無を調べた。尚、コントロール
としてラノリンだけのパッチを用いて比較した。その結
果、30人全員が最初の24時間後及び次の24時間後
にも皮膚刺激は認められなかった。従って、本発明の
(a),(b),(d)は実際の人間の皮膚に対しても
非常に安全性の高いことが確認された。
【0034】試験例3 抗菌性テスト 寒天培地における段階希釈法により、下記の手順に従
い、表1の各菌に対する、合成例1で合成した(6E)
−2,3−ジヒドロファルネソールの最小阻止濃度を測
定した。プレインハートインフュージョン培地(日水製
薬株式会社製)10g、乾燥ブイヨン(日水製薬株式会
社製)10g、酵母エキス粉末( Difco Laboratories
製)4gおよび寒天14gを蒸留水1000mlに加え
て加温溶解し、試験管に10mlずつ分注して高圧滅菌
した。次いで、このものを再度加熱して溶液状態に保持
し、被検溶液および対照実験として本発明の抗菌性物質
を含有しないエタノールまたはDMSO(ジメチルスル
ホキシド)を各々5−200μlずつ添加して混合した
後、内径90mmのプラスチックシャーレに流し込んで
固化した。
【0035】固化したシャーレを9区画に分け、各々の
区画にアクネ菌を除く被検微生物の蒸留水懸濁液(菌数
または胞子数106 −109 /ml)を5μlずつ接種
して、30度で48時間培養し、各菌の生育の有無を肉
眼で観察して、微生物の生育しない最小濃度(MIC)
を求めた。アクネ菌は10×105mmのねじ付試験管
にGAM培地(日水製薬株式会社製)を6mlずつ分注
して滅菌し、試料溶液を添加した後、アクネ菌の培養液
を5μlずつ接種して、37度で48時間培養して生育
の有無を判定した。その結果、表1からわかるように3
0ppm以下でも抗菌能力があり、中でも緑膿菌、枯草
菌については最小阻止濃度は20ppmであり、またア
クネ菌は10ppm以下でも効果があるという抗菌性が
非常に優れているという結果が得られた。
【0036】さらに、合成例2で合成した(6E)−
2,3−ジヒドロファルネソール及び合成例3で合成し
た(3S)−(6E)−2,3−ジヒドロファルネソー
ルについても表1の各菌について同様な試験を行なった
ところ、若干の差はあるもののほぼ同じ結果を得た。
【0037】
【表1】
【0038】また、本発明の(6E)−2,3−ジヒド
ロファルネソールの類似化合物で抗菌性のあることが知
られている市販のファルネソール((2E,6E)−
体,(2E,6Z)−体,(2Z,6E)−体,(2
Z,6Z)−体の比が1:1:1:1)についても、黄
色ブドウ球菌、皮膚常在菌、コリネ菌について同様にテ
ストを行ったところ、最小阻止濃度はそれぞれ50,5
0,25ppmであった。従って、本発明化合物は従来
抗菌剤として知られるファルネソールよりもその活性の
高いことが理解され、抗菌剤としても有用である。
【0039】処方例1 合成例2で合成した(6E)−2,3−ジヒドロファル
ネソールを用いて下記処方の嗜好性の高いミューゲベー
スを作成した。ミューゲベース
【0040】 成 分 重量部 L−シトロネロール 120 L−ヒドロキシシトロネラール 100 コバノール(高砂香料工業(株)製)〔4−(4−ヒド ロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセ ン−1−カルボキシアルデヒド〕 80 リリアール(ジボーダン社製)(α−メチル−p−t−ブ チルフェニルプロピオンアルデヒド) 100 スザラール(高砂香料工業(株)製)(α−メチル−p −イソブチルフェニルプロピオンアルデヒド) 30 ベンジルアセテート 100 リナロール 100 ヘキシルシンナミックアルデヒド 100 テルピネオール 40 スチラックス 40 インドール5%安息香酸ベンジル溶液 10 合成例2で合成した(6E)−2,3−ジヒドロファル ネソール 180 計 1000
【0041】
【発明の効果】本発明のトランス体の純度が50重量%
よりも大きな(6E)−2,3−ジヒドロファルネソー
ル又はその(3S)−体を含有する香料はシクラメン様
のフローラルの強い優れた香気を有し、また感作性がな
いため安全で安心して使用することができ、さらに抗菌
性という機能を合わせ持った付加価値の高い優れた香料
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランス体の純度が50重量%よりも大
    きな次の一般式(1) 【化1】 で表される(6E)−2,3−ジヒドロファルネソール
    を含有する香料。
  2. 【請求項2】 (6E)−2,3−ジヒドロファルネソ
    ールが(3S)−体である請求項1記載の香料。
JP07467995A 1995-03-08 1995-03-08 (6e)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香料 Expired - Fee Related JP3356242B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07467995A JP3356242B2 (ja) 1995-03-08 1995-03-08 (6e)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香料
CA002170185A CA2170185C (en) 1995-03-08 1996-02-23 Perfume containing (6e)-2,3-dihydrofarnesol
US08/609,903 US5753610A (en) 1995-03-08 1996-02-29 Perfume containing (6E) -2,3-dihydrofarnesol
EP96301501A EP0731160B1 (en) 1995-03-08 1996-03-05 Parfume containing (3S)-(6E)-2,3-dihydrofarnesol
DE69621673T DE69621673T2 (de) 1995-03-08 1996-03-05 (3S)-(6E)-2,3-Dihydrofarnesol enthaltendes Parfüm
ES96301501T ES2178691T3 (es) 1995-03-08 1996-03-05 Perfume que contiene (3s)-(6e)-2,3-dihidrofarnesol.

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07467995A JP3356242B2 (ja) 1995-03-08 1995-03-08 (6e)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08245979A true JPH08245979A (ja) 1996-09-24
JP3356242B2 JP3356242B2 (ja) 2002-12-16

Family

ID=13554162

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07467995A Expired - Fee Related JP3356242B2 (ja) 1995-03-08 1995-03-08 (6e)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香料

Country Status (6)

Country Link
US (1) US5753610A (ja)
EP (1) EP0731160B1 (ja)
JP (1) JP3356242B2 (ja)
CA (1) CA2170185C (ja)
DE (1) DE69621673T2 (ja)
ES (1) ES2178691T3 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100422757B1 (ko) * 2001-04-11 2004-03-12 주식회사 태평양 제주한란의 향취를 재현한 향료 조성물
EP2368602A1 (en) 2003-03-03 2011-09-28 Takasago International Corporation Deodorant perfume composition comprising essential oils for masking an acid odour
WO2014038665A1 (ja) 2012-09-07 2014-03-13 高砂香料工業株式会社 光学活性2,3-ジヒドロファルネサールの製造方法
WO2014054589A1 (ja) 2012-10-01 2014-04-10 高砂香料工業株式会社 フレグランス組成物

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9814648D0 (en) * 1998-07-07 1998-09-02 Quest Int Sub-lethal perfumes
US6284802B1 (en) 1999-04-19 2001-09-04 The Procter & Gamble Company Methods for regulating the condition of mammalian keratinous tissue
JP3877537B2 (ja) * 2001-03-07 2007-02-07 高砂香料工業株式会社 口腔用組成物用抗菌剤およびそれを含む口腔用組成物
GB0615583D0 (en) 2006-08-05 2006-09-13 Quest Int Serv Bv Perfume compositions
GB2528480A (en) * 2014-07-23 2016-01-27 Givaudan Sa Improvements in or relating to organic compounds

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2155285C3 (de) * 1971-11-06 1978-06-01 Basf Ag, 6700 Ludwigshafen Ungesättigte Alkohole sowie Verfahren zu der Herstellung
GB1561273A (en) * 1976-05-05 1980-02-20 Shell Int Research Aldehydes and alcohols and perfume compositions or perfumed products containing them
DE2728921C3 (de) * 1977-06-27 1984-07-05 Dragoco Gerberding & Co Gmbh, 3450 Holzminden Verwendung von Farnesol als Bakteriostatikum in Körperdesodorantien
EP0041235B1 (en) * 1980-05-30 1985-02-13 Eisai Co., Ltd. Alpha,beta-dihydropolyprenyl derivatives for treating liver diseases
DE3781749T3 (de) * 1986-08-27 1997-02-06 Takasago Perfumery Co Ltd Herstellungsverfahren von optisch aktiven Alkoholen.
JPS63152337A (ja) * 1986-08-27 1988-06-24 Takasago Corp 光学活性アルコ−ルの製法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100422757B1 (ko) * 2001-04-11 2004-03-12 주식회사 태평양 제주한란의 향취를 재현한 향료 조성물
EP2368602A1 (en) 2003-03-03 2011-09-28 Takasago International Corporation Deodorant perfume composition comprising essential oils for masking an acid odour
WO2014038665A1 (ja) 2012-09-07 2014-03-13 高砂香料工業株式会社 光学活性2,3-ジヒドロファルネサールの製造方法
US9284246B2 (en) 2012-09-07 2016-03-15 Takasago International Corporation Method for producing optically active 2,3-dihydrofarnesal
WO2014054589A1 (ja) 2012-10-01 2014-04-10 高砂香料工業株式会社 フレグランス組成物
JPWO2014054589A1 (ja) * 2012-10-01 2016-08-25 高砂香料工業株式会社 フレグランス組成物
US9464257B2 (en) 2012-10-01 2016-10-11 Takasago International Corporation Fragrance composition

Also Published As

Publication number Publication date
EP0731160A2 (en) 1996-09-11
EP0731160B1 (en) 2002-06-12
DE69621673D1 (de) 2002-07-18
ES2178691T3 (es) 2003-01-01
DE69621673T2 (de) 2002-10-17
CA2170185A1 (en) 1996-09-09
US5753610A (en) 1998-05-19
JP3356242B2 (ja) 2002-12-16
EP0731160A3 (en) 1997-04-16
CA2170185C (en) 2005-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1043968B1 (fr) Compositions parfumantes antimicrobiennes
EP3468527B1 (en) Fragrance material
JP2005516081A (ja) 芳香化合物
ES2412381T3 (es) Compuestos organolépticos y su uso en composiciones de perfume
JP3356242B2 (ja) (6e)−2,3−ジヒドロファルネソールを含有する香料
CN111108090A (zh) 香料前体
JP2003510343A (ja) 抗菌性付香組成物
ES2370580T3 (es) Compuestos éster ópticamente activos y su utilización en composiciones de perfume.
CN104046513B (zh) 癸烯醛混合物及其在香料组合物中的应用
KR20150061640A (ko) 향료 조성물
WO2022265935A1 (en) 1,3-butylene glycol compositions and methods of use thereof
JP2011037761A (ja) 脂肪族エステル類、該化合物を含有する香料組成物および該化合物の製造法
JP2789271B2 (ja) 香料組成物
WO2012046434A1 (ja) エビネ様香料組成物
ES2699240T3 (es) Formulación de aroma y fragancia (IV)
CN108203622A (zh) 新型感官化合物
JPS62153212A (ja) 香料組成物
JPH02158694A (ja) 香料組成物
CN106397376A (zh) 新型感官化合物
JP2011001351A (ja) 抗菌剤並びにそれを用いた口腔用組成物及び飲食品
JP3528072B2 (ja) (4r)−シス−4−メチル−2−置換テトラヒドロ−2h−ピラン誘導体を含有する香料組成物及び(4r)−シス−4−メチル−2−置換テトラヒドロ−2h−ピラン誘導体を用いる香気改善方法
US6585964B1 (en) Method for preventing or minimizing biodegradation of a substance
ES2394512T3 (es) Análogos de 1-fenil-espiro[2.5]octano-1-carbonitrilo y su uso en formulaciones de fragancias
JPH08283774A (ja) (6e)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールを含有する香料組成物
EP2904078A1 (en) Flavor and fragrance formulation (vi)

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071004

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101004

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101004

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111004

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees