JPH08283774A - (6e)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールを含有する香料組成物 - Google Patents

(6e)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールを含有する香料組成物

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JPH08283774A
JPH08283774A JP11767395A JP11767395A JPH08283774A JP H08283774 A JPH08283774 A JP H08283774A JP 11767395 A JP11767395 A JP 11767395A JP 11767395 A JP11767395 A JP 11767395A JP H08283774 A JPH08283774 A JP H08283774A
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trimethyl
dodecadien
trans
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fragrance
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JP11767395A
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Mutsumi Harada
睦 原田
Hiroyuki Matsuda
洋幸 松田
Takeshi Yamamoto
健 山本
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Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れたミューゲ様香気特性を有すると同時
に、抗菌活性を合わせ有し、かつ感作性のない安全なミ
ューゲ香料を提供する。 【構成】 (6E)−3,7,11−トリメチル−6,
10−ドデカジエン−3−オールを含有する香料組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は香粧品等の付香に用いら
れる(6E)−3,7,11−トリメチル−6,10−
ドデカジエン−3−オールを含有する香料組成物及び、
3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−
3−オールのシス体及びトランス体の合計量に対して、
該(6E)−3,7,11−トリメチル−6,10−ド
デカジエン−3−オールを50重量%を超えて含有する
香料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】3,7,11−トリメチル−6,10−
ドデカジエン−3−オールはカビ類の成分として存在す
ることが報告されているが(Arch. Pharm. (Weinheim.
Ger.)Vol.308, Number 11, p.843-851 (1975) )、その
香気質に関しては報告されておらず、またその他の文献
においてもその香気質に関しては全く知られていない。
また、3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジ
エン−3−オールの二重結合の位置異性体である3,
7,11−トリメチル−1,6−ドデカジエン−3−オ
ールについては、花様、ホップ様、甘いパウダリーな脂
肪様香気であることが報告されている(Seifen, Olele,
Fette, Wachse, Vol.103, Number 5, p.117-121(197
7)) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】香料の分野において
は、嗜好性の多様化により様々なタイプの香料組成物が
要求されてきている。中でも、重要な香料であるミュー
ゲ様のフローラル香の香料組成物においては、同じミュ
ーゲ系でもタイプの異なった、より強く、クリーンで保
留性のあるミューゲ様フローラル香が求められていた。
また近年、香料に付加価値のある多機能を有した香料が
望まれ、特に化粧品類に求められる抗菌性、特にアクネ
菌に対する抗菌活性を有する香料が望まれていた。
【0004】さらに、最近安全性に関する社会的関心が
高まり、香料の場合も変異原性、蓄積性、生分解性、皮
膚一次刺激、皮膚感作性、光毒性等、安全性の基準が厳
しくなってきている。代表的ミューゲ様のフローラル香
料であるα−メチル−p−tert−ブチルフェニルプ
ロピオンアルデヒド、シクラメンアルデヒド等の重要な
香料は優れた香気を持ちながら皮膚感作性があるため
に、使用量規制が行われている現状で、感作性の無い安
全なミューゲ香料の開発が望まれていた。従って、本発
明の目的は優れたミューゲ様香気特性を有するのみでな
く、それと同時に抗菌活性の機能も合わせ持ち、さらに
感作性がなく安全なミューゲ香料を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような実情におい
て、本発明者らは鋭意研究を行った結果、(6E)−
3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−
3−オールがグリーンで強いミューゲ系のフローラル香
気を有し、それと同時に抗菌活性を合わせ持ち、さらに
感作性がなく安全であることを見出し本発明を完成し
た。
【0006】即ち、3,7,11−トリメチル−6,1
0−ドデカジエン−3−オールには次の一般式(1)、
【化1】 で表わされるトランス体((6E)−体)及び次の一般
式(2)、
【化2】 で表わされるシス体((6Z)−体)があり、本発明者
はこれら幾何異性体について研究を進めた結果、トラン
ス体((6E)−体)がデリケイトでクリーンな、さら
には強くて保留性がありグリーンなミューゲ系の非常に
優れたフローラル香気を持つのに対し、そのシス体
((6Z)−体)はフローラル感に乏しくミューゲ香を
有しておらず、香りの弱いウッデイ様の香気で、トラン
ス体とはその香質が異なり香気価値に乏しく、トランス
体((6E)−体)が優れていることを見出した。
【0007】さらに、該(6E)−3,7,11−トリ
メチル−6,10−ドデカジエン−3−オールが、3,
7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−
オールのシス体及びトランス体の合計量に対して50重
量%を超えて含まれるとき、即ち、用いる3,7,11
−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールの
幾何異性体の組成比において、トランス体((6E)−
体)が50重量%を超え、シス体((6Z)−体)が5
0重量%未満のとき、シス体の持つウッデイ様香気がな
く、より強いトランス体の持つクリーンでグリーンなよ
り好ましい香気が得られることを見出した。
【0008】本発明は、(6E)−3,7,11−トリ
メチル−6,10−ドデカジエン−3−オールを含有す
ることを特徴とする香料組成物及び、3,7,11−ト
リメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールのシス
体及びトランス体の合計量に対して、該(6E)−3,
7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−
オールを50重量%を超えて含有することを特徴とする
香料組成物に関する。
【0009】本発明の(6E)−3,7,11−トリメ
チル−6,10−ドデカジエン−3−オールは、反応式
1に示されるようにトランス体のネロリドールを触媒の
存在下選択的に水素化するか、あるいはトランス体のゲ
ラニルアセトンをエチルマグネシウムハライドと反応さ
せることにより容易に合成することができる。
【化3】 式中、Etはエチル基を示し、Xはハロゲン原子を示
す。
【0010】触媒としては、Ru−カーボン、Rh−カ
ーボン、Ru−アルミナ、ラネーニッケル、又はピリジ
ン等のアミン類あるいは二硫化炭素のような硫黄化合物
で被毒したニッケルあるいはパラジウム等が挙げられ
る。又、原料のネロリドール又はゲラニルアセトンのト
ランス体/シス体の比、即ちトランス体の純度を選択す
ることにより所望するトランス体の割合の(6E)−
3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−
3−オールを得ることができる。このようにして得られ
る(6E)−3,7,11−トリメチル−6,10−ド
デカジエン−3−オールは、グリーンでミューゲ系の強
いフローラル香気を有することがわかった。
【0011】また、(6E)−3,7,11−トリメチ
ル−6,10−ドデカジエン−3−オールは優れた抗菌
性を有することがわかった。即ち、後述の試験例1にお
いて、本発明化合物の類似化合物であるネロリドールで
はアクネ菌に対する最小阻止濃度が32(ppm,MI
C)であるが、本発明化合物では8(ppm,MIC)
以下であり、非常に抗菌活性の強いことがわかった。従
って、本発明の(6E)−3,7,11−トリメチル−
6,10−ドデカジエン−3−オールを香料に使用する
ことにより優れた香気質を付与できることはもちろん、
さらに抗菌性という機能性をも併せて付与することがで
きる。
【0012】さらに、本発明の(6E)−3,7,11
−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールは
皮膚に対する感作性のないことがわかった。従ってα−
メチル−p−tert−ブチルフェニルプロピオンアル
デヒドやシクラメンアルデヒド等の香料とは異なり、感
作性がなく、安全で安心して使用できることがわかっ
た。即ち、後述のモルモットによる試験例2において、
5重量%で感作性は全く認められなかった。さらに、実
際の人間の皮膚に対するパッチテスト(試験例3)にお
いても、10重量%(ラノリン溶液)の濃度でも感作は
全く認められず、安全性の高いものであることが理解さ
れる。
【0013】従って、本発明の(6E)−3,7,11
−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールを
使用すれば、ミューゲ様のフローラル香料組成物におい
て、感作性を有するα−メチル−p−tert−ブチル
フェニルプロピオンアルデヒドやシクラメンアルデヒド
を用いないあるいはその使用量を減らしたものが得られ
る。以上より、(6E)−3,7,11−トリメチル−
6,10−ドデカジエン−3−オールを香料に使用すれ
ば優れた香気質を持ち、また抗菌性という機能を合わせ
持ち、しかも感作性がなく安全であり、付加価値の高い
香料を提供することができる。
【0014】さらに本発明者らは、(6E)−3,7,
11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オー
ルが、3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジ
エン−3−オールのシス体及びトランス体の合計量に対
して50重量%を超えて含まれるとき(トランス体リッ
チ)、言い替えれば、用いる(6E)−3,7,11−
トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールの幾
何異性体の組成比あるいは純度において、シス体及びト
ランス体の合計量に対してトランス体((6E)−体)
が50重量%を超え、シス体((6Z)−体)が50重
量%未満のとき、シス体の持つウッデイ様香気がなく、
より強いトランス体の持つクリーンでグリーンなより好
ましい香気が得られることを見出した。
【0015】詳細には、トランス体が50重量%よりも
大きな割合で存在するときは、さらに香気が強くてクリ
ーンで保留性があり、ミューゲ系の優れたフローラル香
を有し、香気として非常に優れたものである。しかしな
がら、逆にシス体リッチ、即ちシス体が50重量%より
大きな割合で存在すると、フローラル香が薄れ、あるい
はシス体の持つウッデイ香がトランス体の持つフローラ
ル香に影響を与えるようになる。上述のように、(6
E)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジ
エン−3−オールであるトランス体の組成比、純度は、
50重量%よりも大きいことが好ましいが、より好まし
くは60重量%以上、さらに好ましくは75重量%以
上、最終的には90重量%以上が良く、より高い程好ま
しい。
【0016】また、上述のような3,7,11−トリメ
チル−6,10−ドデカジエン−3−オールのシス体及
びトランス体の合計量に対して50重量%を超える(6
E)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカジ
エン−3−オールを含有するときも同様に抗菌性を有
し、感作性がなく安全である。この3,7,11−トリ
メチル−6,10−ドデカジエン−3−オールのシス体
及びトランス体の合計量に対して50重量%を超える
(6E)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデ
カジエン−3−オールの香気質がさらに優れており、こ
れを香料組成物に用いればさらにクリーンで洗練され
た、高級感のある香気として非常に優れた香料組成物を
得ることができる。
【0017】本発明の(6E)−3,7,11−トリメ
チル−6,10−ドデカジエン−3−オール、及び3,
7,11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−
オールのシス体及びトランス体の合計量に対して50重
量%を超える(6E)−3,7,11−トリメチル−
6,10−ドデカジエン−3−オールを含有するものの
香料組成物中における使用量は特に限定されず、そのも
ののみで使用しても良いし、また香気質のバランス等を
考慮して0.01〜90重量%、好ましくは1〜50重
量%含有する香料組成物として使用することができる。
本発明の香料組成物は、その他の香料化合物、溶媒、保
留剤、その他の添加物を含有していてもよい。
【0018】このように、本発明の(6E)−3,7,
11−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オー
ル、及び3,7,11−トリメチル−6,10−ドデカ
ジエン−3−オールのシス体及びトランス体の合計量に
対して50重量%を超える(6E)−3,7,11−ト
リメチル−6,10−ドデカジエン−3−オールを含有
するものを用いることにより優れた香気を有し、また抗
菌性を有し、感作性がなく安全な非常に優れた付加価値
の高い香気付与あるいは香気改良補助剤を提供でき、ま
たそれを香気成分として含有する香粧品類、化粧品類、
保健衛生材料、医薬品等を提供することができる。
【0019】即ち、シャンプー、リンス類、香水、コロ
ン類、ヘアートニック、ヘアコンデイショナー、ヘアメ
イク、ヘアクリーム類、ポマード、育毛料、その他毛髪
用化粧料、アイシャドウ、白粉、クリーム、口紅、乳
液、その他の化粧料基剤や、ボデイソープ、洗顔剤、化
粧料洗剤、石鹸、皿洗い洗剤、洗濯用洗剤、ソフトナー
類、消毒用洗剤類、防臭洗剤類、芳香剤、消臭剤、防臭
剤、マスキング剤、制汗剤、入浴剤、ファーニチュアー
ケアー、殺菌剤、消毒剤、殺虫剤、漂白剤、歯磨、マウ
スウオッシュ、トイレットペッパー等のトイレタリー、
その他の各種保健衛生類などにそのユニークな機能を付
与し、適当量を配合して商品価値を高めることができ
る。
【0020】
【実施例】以下、合成例、実施例、試験例及び処方例に
より本発明を更に詳細に説明する。 測定機器:特に断りのある以外は次の測定機器を用い
た。 ガスクロマトグラフィー 5890(ヒューレットパッ
カード社製) カラム;PEG CBP−20(0.25mm×25
m) 温度;100℃より220℃まで10℃/分昇温
【0021】合成例1 (6E)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデ
カジエン−3−オールの合成:
【0022】(1)トランス−ゲラニルアセトンの合
成:100mlの耐圧ガラスオートクレーブに窒素雰囲
気下、Pd(acac)2(acacはアセチルアセト
ナトを示す)0.1ミリモルと次の一般式(3)
【化4】 (式中、i−Prはイソプロピル基を示す)で表される
ホスホレン配位子0.4ミリモルを入れ、次いでアセト
酢酸メチル150ミリモルとトランス−N,N−ジエチ
ルゲラニルアミン50ミリモルを加え、攪拌下100℃
で17時間反応を行い、α−アセチルゲラニル酢酸メチ
ルを含む反応溶液を得た。
【0023】この反応溶液に水酸化カリウムのアルコー
ル溶液を加えて5時間加熱還流後、希塩酸を加えて中和
し、脱炭酸を行い、エーテル抽出、乾燥、濃縮、蒸留に
よりトランスゲラニルアセトン留分を8.92g(46
ミリモル)得た。沸点105〜110℃/1mmHgガ
スクロマトグラフィーによる測定の結果、トランス体/
シス体の比は82/18であった。 測定機器;島津GC9A(水素炎検出器) カラム;シリカキャピラリーカラム(OV−101,2
5m) 上記留分を精密蒸留して100%のトランス−ゲラニル
アセトンを6.6g(34ミリモル)を得た。
【0024】(2)(6E)−3,7,11−トリメチ
ル−6,10−ドデカジエン−3−オールの合成:臭化
エチル4.36g(0.04モル)を無水テトラヒドロ
フラン50mlに溶解した後、マグネシウム0.97g
(0.04モル)、ヨウ素1片を加え、60℃でマグネ
シウムが完全に消失するまで攪拌した。反応溶液を0℃
に冷却した後、上記合成した100%のトランス−ゲラ
ニルアセトン4.85g(0.025モル)の無水テト
ラヒドロフラン溶液50mlを滴下して加え、そのまま
室温まで昇温させ2時間攪拌した後、ガスクロマトグラ
フィーにて原料の消失を確認した。この反応溶液にヘキ
サン100ml及び飽和食塩水100mlを加え、有機
層を抽出した。これを無水硫酸マグネシウムにて乾燥
後、減圧下溶媒、濃縮して、淡黄色油状物5.6gを得
た。減圧蒸留し、純度99%の無色油状物としてトラン
ス体100重量%の(6E)−3,7,11−トリメチ
ル−6,10−ドデカジエン−3−オールを4.87g
得た。収率87%
【0025】合成例2 (6E)−3,7,11−トリメチル−6,10−ドデ
カジエン−3−オールの合成:原料として市販のネロリ
ドール(トランス体/シス体の比が52/48)66.
6g(0.3モル)及びラネーニッケル148mg(原
料に対して0.2重量%)を500mlのオートクレー
ブに入れた。ここへエタノール130mlとピリジン1
1mlを加え水素置換後、水素圧40atmとし、70
℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物の一部を
ガスクロマトグラフィーにて転化率を測定したところ1
00%であった。反応液を減圧濃縮し、淡黄色の粗生成
物67gを得た。これをさらにウインドマー蒸留機で精
製し、純度99%の無色透明なトランス体/シス体の比
が52/48(トランス体が52重量%)の標題化合物
を58g得た。
【0026】参考合成例1 合成例2で得られたトランス体/シス体の比が52/4
8の(6E)−3,7,11−トリメチル−6,10−
ドデカジエン−3−オール 35gを精密蒸留及びカラ
ムクロマトグラフィーにかけ、トランス体/シス体の比
が10/90、即ちトランス体10重量%の3,7,1
1−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オール
を7g得た。
【0027】実施例1 香気質の評価:合成例1で合成したトランス体100重
量%の(6E)−3,7,11−トリメチル−6,10
−ドデカジエン−3−オール(a)、合成例2で合成し
たトランス体52重量%の(6E)−3,7,11−ト
リメチル−6,10−ドデカジエン−3−オール(b)
及び参考合成例1で得られたトランス体が10重量%
で、シス体が90重量%である3,7,11−トリメチ
ル−6,10−ドデカジエン−3−オール(c)のそれ
ぞれについて、7人の専門パネラーにより香気の差の検
討を行った。その結果、(a)は最も香気が強く、シャ
ープでクリーンな、グリーンでミューゲ様のフローラル
香気を有しているのに対し、トランス体が50重量%以
下である(c)はフローラル感に乏しく、弱いウッデイ
様の香気であり、両者の香質には著しく大きな差のある
ことがわかった。
【0028】(a)はミューゲ様のフローラル香料とし
て非常に有用であるが、(c)は香りが弱く、そのウッ
デイさにより香料価値に乏しいものである。トランス体
が52重量%である(b)は、(a)より若干フローラ
ル感が弱まり香気の強度が減少し高級感に欠けるもの
の、ミューゲ様フローラル用の香料としての目的におい
て十分使用可能であるという結果が得られた。評価の結
果を次の表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】試験例1 抗菌性テスト:抗菌剤試料として上述の(a),(b)
をエタノールに溶解し、被験溶液を調製した。なお、比
較対照として本発明の(6E)−3,7,11−トリメ
チル−6,10−ドデカジエン−3−オールを加えない
エタノールを使用した。10×105mmのねじ付試験
管にGAM培地(日水製薬株式会社製)を6mlずつ分
注して滅菌し、被験溶液を添加した後、アクネ菌の培養
液を5μlずつ接種して、37℃で48時間培養し、ア
クネ菌の生育の有無を肉眼で観察して、生育しない最小
濃度(MIC)を求めた。
【0031】その結果、表2からわかるようにトランス
体52重量%の(b)では8ppm、トランス体100
重量%の(a)では4ppmの最小阻止濃度であり、本
発明の(6E)−3,7,11−トリメチル−6,10
−ドデカジエン−3−オールは、その抗菌性が非常に優
れている。なお、比較としてトランス体10重量%の
(c)及び類似化合物である市販のネロリドール(トラ
ンス体/シス体の比が52/48)についても同様に試
験を行ったところ、それぞれ64ppm、32ppmで
あった。
【0032】
【表2】 表中、−は菌の増加が認められなかったことを示し、 +は菌の増加が認められたことを示す。
【0033】試験例2 皮膚感作性テスト:100重量%(6E)−3,7,1
1−トリメチル−6,10−ドデカジエン−3−オール
(a)及び52重量%(6E)−3,7,11−トリメ
チル−6,10−ドデカジエン−3−オール(b)のそ
れぞれについてモルモットを使用した Magnusson法(Ma
gnusson ら、J.Inv. Derm. Vol.52, p.268-276 (196
9) ,別名 Maximization 法)による感作性のテストを
行った。
【0034】モルモット10匹に対し、化合物(a)と
(b)の感作性試験を感作誘導濃度5重量%、惹起濃度
5重量%で行った。なお、陽性対照として感作性物質で
あるシンナミックアルデヒドを用い、2匹のモルモット
に対して同一の条件で試験した。陽性対照群では2匹と
も強い陽性の皮膚反応が認められたのに対し、被験物質
の(a)と(b)では全く皮膚反応は認められなかっ
た。従って当該化合物の感作性は無いものと判定した。
【0035】試験例3 パッチテスト:上述の(a),(b)をそれぞれ10重
量%の濃度でラノリンに溶解させ、クローズドパッチ
(フィンチェンバー,大正製薬社製)に塗布した。この
パッチを30人の被験者の上腕の内側に貼り、24時間
後にパッチをはずし、皮膚刺激があるかどうかチェック
し、さらに24時間後に皮膚刺激の有無を調べた。な
お、コントロールとしてラノリンだけのパッチを用いて
比較した。その結果、30人全員が最初の24時間後及
び次の24時間後にも皮膚刺激は認められなかった。従
って、本発明の(a),(b)は実際の人間の皮膚に対
しても安全性のいいことが確認された。
【0036】処方例1 合成例1で合成した(6E)−3,7,11−トリメチ
ル−6,10−ドデカジエン−3−オールを用いて下記
処方の嗜好性の高いミューゲベースを作成した。
【0037】
【表3】<ミューゲベース>
【0038】上記処方のミューゲベースについて試験例
1と同様にアクネ菌に対する抗菌性テストを行ったとこ
ろ、その最小阻止濃度は25ppmであった。
【0039】
【発明の効果】本発明の(6E)−3,7,11−トリ
メチル−6,10−ドデカジエン−3−オールを含有す
る香料組成物及び、3,7,11−トリメチル−6,1
0−ドデカジエン−3−オールのシス体及びトランス体
の合計量に対して、該(6E)−3,7,11−トリメ
チル−6,10−ドデカジエン−3−オールを50重量
%を超えて含有する香料組成物は、ミューゲ様の強い優
れたフローラル香気を有し、また抗菌性機能を合わせ持
ち、さらに感作性がないため安全で安心して使用するこ
とのできる付加価値の高い優れたものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (6E)−3,7,11−トリメチル−
    6,10−ドデカジエン−3−オールを含有することを
    特徴とする香料組成物。
  2. 【請求項2】 3,7,11−トリメチル−6,10−
    ドデカジエン−3−オールのシス体及びトランス体の合
    計量に対して、(6E)−3,7,11−トリメチル−
    6,10−ドデカジエン−3−オールを50重量%を超
    えて含有することを特徴とする請求項1記載の香料組成
    物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012063241A (ja) * 2010-09-16 2012-03-29 Kao Corp ミューゲ香料素材の探索方法
JP2017514979A (ja) * 2014-05-08 2017-06-08 フイルメニツヒ ソシエテ アノニムFirmenich Sa フローラル、グリーン匂い物質

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JP2012063241A (ja) * 2010-09-16 2012-03-29 Kao Corp ミューゲ香料素材の探索方法
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