JPH082421Y2 - 内燃機関のウォータポンプ水抜構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は内燃機関のウォータポンプ水抜構造に係
り、特に内燃機関の小型化を図るとともに、ウォータポ
ンプの設置の自由度を大としつつ漏洩水を効果的に外部
に排出し得る内燃機関のウォータポンプ水抜構造に関す
る。

〔従来の技術〕

内燃機関においては、運転中の燃焼室内温度が高温と
なっているので、そのままで運転を続けると内燃機関が
加熱してピストンとシリンダの焼き付き、燃料の異常燃
焼等の不具合が生ずる。この不具合を解消するために、
内燃機関がどのような条件で運転されていても常に内燃
機関各部が適当な温度に保持すべく冷却装置が設けられ
ている。

内燃機関の冷却方式には、水冷式と空冷式とがある。
空冷式は、構造が簡単で取り扱いも容易であるが、温度
制御が困難で、しかも騒音が大きくなるという不都合が
ある。

そこで、一般に、内燃機関の冷却方式には、水冷式が
多用されている。水冷式の内燃機関においては、内燃機
関で発生した熱を冷却水によって冷却するものであり、
水冷式はウォータポンプによって強制循環させられ、冷
却水に伝達した熱をラジエータによって大気中に放散さ
せている。

内燃機関のウォータポンプにおいては、ブリーザ通路
として蒸気抜通路と水抜通路とがウォータポンプケース
に形成されており、これにより、漏洩水が軸受に悪影響
を及ぼすのを防止している。

前記水抜通路の出口は、タイミング伝動具であるタイ
ミングベルトのタイミングベルトカバーの外部に位置す
るのが望ましい。即ち、タイミングベルトカバー内に水
抜通路の出口が位置すると、漏洩水の影響によってタイ
ミングベルトの寿命が著しく低下するので、この不都合
が生ずるのを防止するものである。

このようなウォータポンプの水抜構造としては、例え
ば実開昭63−24325号公報に開示されている。この公報
に記載のものは、水抜通路であるドレン通路の下流部
を、ウォータポンプ取付用ボルト穴を横切って側方に延
長させ、且つベルトカバーの側方外部に漏洩水を導く構
成のものである。

また、第２図に示す如く、ウォータポンプ102は、内
燃機関104の本体であるシリンダブロック106の側面に取
付けられ、ウォータポンププーリ108がクランクプーリ1
10に巻掛けたタイミングベルト112によって回転され、
このウォータポンププーリ108の回転によって駆動する
ものである。ウォータポンプ102のウォータポンプ本体1
14には、水抜通路116を形成した水抜通路形成用ボス118
が第２図の左下方に指向して設けられている。この水抜
通路116の排出口120は、漏洩水がタイミングベルトカバ
ー122の外縁部位（第２図の実線Ａで示す）から外方に
位置している。

また、第３図に示す如く、ウォータポンプ102の一部
がタイミングベルトカバー122の外縁部位Ｂの外方に突
出すべく、ウォータポンプ102をシリンダブロック106に
取付け、タイミングベルトカバー122の外縁部位Ｂより
も突出したウォータポンプ本体114に水抜穴124を形成し
た構成のものがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、第２図においては、水抜通路形成用ボス11
8をタイミングベルトカバー122の外縁部位Ａから突出さ
せてウォータポンプ本体114に設けるので、タイミング
ベルトカバー122のシール面が確保することができず、
このため、タイミングベルトインサイドカバー等のシー
ル用カバーを別途に必要になり、構成が複雑になるとい
う不都合があった。

また、第３図においては、ウォータポンプ102の一部
がシリンダブロック106の側面から突出してしまうの
で、内燃機関104の幅が大となり、内燃機関104の大型化
を招くという不都合があった。

〔考案の目的〕

そこでこの考案の目的は、上述の不都合を除去すべ
く、機関本体の側面に接合されるオイルポンプのオイル
ポンプ本体の一部を機関本体の外形縁よりも外方に延設
し、オイルポンプ本体の接合面には漏洩水導出通路から
の漏洩水を外部に排出させるべく水導入口が漏洩水導出
通路に連通するとともに水排出口が機関本体の外形縁よ
りも外方に位置する水抜用溝を設けることにより、内燃
機関の小型化を図るとともに、ウォータポンプの設置の
自由度を大としつつ漏洩水を効果的に外部に排出させ得
る内燃機関のウォータポンプ水抜構造を実現するにあ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的を達成するためにこの考案は、機関本体にオ
イルポンプとこのオイルポンプ上方にウォータポンプと
を設置し、このウォータポンプの漏洩水を前記オイルポ
ンプ側に導く漏洩水導出通路を前記ウォータポンプのウ
ォータポンプ本体に設け、前記機関本体の側面に接合さ
れる前記オイルポンプのオイルポンプ本体の一部を前記
機関本体の外形縁よりも外方に延設し、前記オイルポン
プ本体の接合面には前記漏洩水導出通路からの漏洩水を
外部に排出させるべく水導入口が前記漏洩水導出通路に
連通するとともに水排出口が前記機関本体の外形縁より
も外方に位置する水抜用溝を設けたことを特徴とする。

〔作用〕

この考案の構成によれば、ウォータポンプで発生した
漏洩水は、ウォータポンプ本体に設けた漏洩水導出通路
から水抜用溝を経て途中で漏れることなく機関本体の外
形縁よりも外部に排出される。これにより、従来の如き
タイミングベルトカバーの外方に突出させる水抜通路形
成用ボスを設ける必要がなく、シール用カバーを不要と
して構成の簡素化を図り、また、ウォータポンプの設置
の自由度を大とし、しかも、ウォータポンプを機関本体
から突出させることなく設置し得て、内燃機関の小型化
を図ることができる。

〔実施例〕

以下図面に基づいてこの考案の実施例を詳細且つ具体
的に説明する。

第１図は、この考案の実施例を示すものである。図に
おいて、２は内燃機関である。この内燃機関２は、機関
本体であるシリンダブロック４とシリンダヘッド（図示
せず）とを有している。

シリンダブロック４の側面には、オイルポンプ６のオ
イルポンプ本体８と、このオイルポンプ６よりも上方に
ウォータポンプ10のウォータポンプ本体12とを設置す
る。オイルポンプ本体８は、一部の延設部8bがシリンダ
ブロック４の外形縁（第１図の太い実線Ｓで示す）より
も外方に延設されている。

ウォータポンプ本体12には、オイルポンプ６側、つま
り、下方に指向する水導出通路形成用ボス14を設ける。
この水導出通路形成用ボス14は、ウォータポンプ本体12
の基部位からオイルポンプ本体８の外縁部8aに略達する
長さに形成されている。

この水導出通路形成用ボス14には、漏洩水導出通路16
を形成する。

また、シリンダブロック４の側面に接合されるオイル
ポンプ本体８の接合面（図示せず）には、前記漏洩水導
出通路16の通路端開口16aに連通すべく水抜用溝18を形
成する。この水抜用溝18は、シリンダブロック４の側面
と共働して水抜通路を形成するものであり、始端である
水導入口18aが通路端開口16aの位置に形成されていると
ともに終端である水排出口18bがオイルポンプ本体８の
延設部8bでシリンダブロック４の外縁部位、つまり外形
縁（第１図の太い実線Ｓで示す）よりも外方に位置して
形成されている。

次に、この実施例の作用を説明する。

ウォータポンプ10の稼動中にシール部位等から漏洩し
た漏洩水は、下方に指向する漏洩水導出通路16に流下
し、そして、この漏洩水導出通路16よりも下方に位置す
る水抜用溝18を経て水排出口18bから途中漏れることな
くシリンダブロック４の外形縁Ｓよりも外部に排出す
る。

このように、ウォータポンプ10からの漏洩水を下方に
位置するオイルポンプ本体８に形成した水抜用溝18から
外部に排出させることができるので、従来の如き水抜通
路形成用ボスをタイミングベルトカバーの外方に突出さ
せることがなく、従って、タイミングベルトインサイド
カバー等のシール用カバーを不要とし、構成の簡素化を
図ることができる。

また、ウォータポンプ10をシリンダブロック４の外形
縁Ｓ以内に設置することができ、シリンダブロック４か
ら突出することがなく、内燃機関２全体をコンパクトと
し、且つウォータポンプ10の形状や設置箇所とは無関係
に水抜通路を設けることができ、ウォータポンプ10の設
置の自由度を大とすることができる。

この結果、エンジンルーム内において、内燃機関２の
レイアウトを簡便に果し、実用上有利となる。

〔考案の効果〕

以上詳細な説明から明らかなようにこの考案によれ
ば、機関本体にオイルポンプとオイルポンプ上方にウォ
ータポンプとを設置し、ウォータポンプの漏洩水をオイ
ルポンプ側に導く漏洩水導出通路をウォータポンプのウ
ォータポンプ本体に設け、機関本体の側面に接合される
オイルポンプのオイルポンプ本体の一部を機関本体の外
形縁よりも外方に延設し、オイルポンプ本体の接合面に
は漏洩水導出通路からの漏洩水を外部に排出させるべく
水導入口が漏洩水導出通路に連通するとともに水排出口
が機関本体の外形縁よりも外方に位置する水抜用溝を設
けたことにより、従来の如きタイミングベルトカバーの
外方に突出させる水抜通路形成用ボスを設ける必要がな
く、これにより、シール用カバーを不要として構成の簡
素化を図り得て、また、漏洩水を途中で漏らすことなく
機関本体の外形縁よりも外方に排水させ、更に、ウォー
タポンプの設置の自由度を大とし、しかも、ウォータポ
ンプを機関本体から突出させることなく設置することが
でき、内燃機関の小型化を図り得る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示し、ウォータポンプ水抜
構造の概略説明図である。 第２、３図は従来におけるウォータポンプの設置状態を
説明する内燃機関の正面図である。 図において、２は内燃機関、４はシリンダブロック、６
はオイルポンプ、８はオイルポンプ本体、10はウォータ
ポンプ、12はウォータポンプ本体、14は水導出通路形成
用ボス、16は漏洩水導出通路、そして18は水抜用溝であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機関本体にオイルポンプとこのオイルポン
   プ上方にウォータポンプとを設置し、このウォータポン
   プの漏洩水を前記オイルポンプ側に導く漏洩水導出通路
   を前記ウォータポンプのウォータポンプ本体に設け、前
   記機関本体の側面に接合される前記オイルポンプのオイ
   ルポンプ本体の一部を前記機関本体の外形縁よりも外方
   に延設し、前記オイルポンプ本体の接合面には前記漏洩
   水導出通路からの漏洩水を外部に排出させるべく水導入
   口が前記漏洩水導出通路に連通するとともに水排出口が
   前記機関本体の外形縁よりも外方に位置する水抜用溝を
   設けたことを特徴とする内燃機関のウォータポンプ水抜
   構造。