JPH08241942A - 薄膜積層体 - Google Patents

薄膜積層体

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JPH08241942A
JPH08241942A JP7340857A JP34085795A JPH08241942A JP H08241942 A JPH08241942 A JP H08241942A JP 7340857 A JP7340857 A JP 7340857A JP 34085795 A JP34085795 A JP 34085795A JP H08241942 A JPH08241942 A JP H08241942A
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diamond
film
thin film
films
laminate
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JP7340857A
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Masaharu Noda
正治 野田
Kiyoshi Uchida
清 内田
Akio Ito
明生 伊藤
Kazuo Higuchi
和夫 樋口
Mikio Niimi
幹夫 新美
Shunichi Murazaki
俊一 村崎
Yoshinobu Motokura
義信 本蔵
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Toyota Central R&D Labs Inc
Aichi Steel Corp
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Aichi Steel Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い熱放散性をもつ薄膜積層体を提供する。 【解決手段】この薄膜積層体は、少なくとも2層のダイ
ヤモンド膜2と少なくとも1層の炭化物形成金属の1種
以上を含むろう材を有する中間膜3とからなり、ダイヤ
モンド膜2と前記中間膜3とは交互に積層されダイヤモ
ンド膜2は薄膜積層体1の両外側面を形成している。こ
の薄膜積層体をヒートシンクとして用いる場合には、熱
膨張率が大きい中間膜3と熱膨張率が小さいダイヤモン
ド膜2との積層体であるため、発生する熱応力を低減で
きる。さらにダイヤモンド膜成膜時における基板面側の
平滑な面を外側に向けて形成できるため、特に表面の研
磨などの工程を省略することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高い熱放散性を要求され
る半導体デバイスなどに利用できるダイヤモンド膜と中
間膜との薄膜積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクスデバイスの高密度化、
ハイパワー化、高速化などの高機能化が進むにつれて、
素子自身が発生した熱をいかに速く外部に逃がすかが、
デバイスの性能を左右する重要な課題になってきてい
る。電子部品の実装回路基板には電気絶縁性が要求さ
れ、その基板上の導体の形成技術が特に重要な課題であ
る。一方パワートランジスタや半導体レーザ等の高エネ
ルギー出力素子に用いるヒートシンクは、その発生する
熱エネルギー密度が極めて高く全く異なる技術分野であ
る。特に熱放散性に要求されている特性は回路基板の1
000倍以上と飛躍的に高い性能が要求されている。併
せて電気的機械的要求も極めて厳しい。そのため、従来
から一部の半導体レーザ素子や高周波発振素子などで
は、熱伝導の最も優れた天然あるいは人工合成したダイ
ヤモンドを薄片化し、ヒートシンクとして用いている
(特開昭50−120979号公報)。しかし、単結晶
ダイヤモンドを薄片化したヒートシンクは難加工性のダ
イヤモンドを加工する困難さや、元の単結晶ダイヤモン
ドの大きさで制限され、使用面積に限界があったり、ま
たコストの面で問題があった。
【0003】一方、低圧下で合成するCVD法で形成さ
れるダイヤモンド薄膜を、自立膜あるいは適当な熱伝導
率の高い材料の上に析出させた多結晶膜としてヒートシ
ンクに利用する試みがある(特開昭61−146793
号公報、特開平4−245463号公報)。しかし、ダ
イヤモンド自体の熱膨張率がベースに用いる金属や、一
般にデバイス材料として用いられているシリコンの熱膨
張率に比べて大幅に小さいことによる熱歪みの発生と
か、ダイヤモンド多結晶膜は割れやすくハンドリングが
困難、1枚の膜でヒートシンクを構成した場合に、はん
だ材がクラックを通してしみだすなどの現象により絶縁
上の信頼性に欠ける、あるいは、CVD多結晶膜の成長
面の粗さが1〜10μmにもなり目的によっては研磨し
て平滑な面を作るのが大きなコストアップ要因となるな
どの問題があった。
【0004】さらに、CVD多結晶ダイヤモンド膜を有
機樹脂やガラスで接着した積層体を伝熱性基板に利用す
る試みがある(特開平4−333266号公報)。この
公報には接着方法として金属ろう付けも言及され、さら
に全体の熱伝導性を高めるためにダイヤモンド粒子を接
着剤中に充填した複合体中間層とすることが開示されて
いる。ヒートシンクとしての実用に際し、有機樹脂やガ
ラスで接着した積層体は放熱特性が不十分であり金属ろ
う付けに関しても構造を維持し積層体の上下面に接合さ
れる素子及び放熱材との実用に足る密着性を確保するた
めには、さらなる工夫が必要であることがわかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に
鑑みてなされたもので、ヒートシンク等として利用でき
る従来の欠陥のない放熱特性の向上したダイヤモンド膜
と中間膜との薄膜積層体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜積層体は、
少なくとも2層のダイヤモンド膜と炭化物形成金属の1
種以上を含むろう材を有する少なくとも1層の中間膜と
からなる薄膜積層体であって、該ダイヤモンド膜と該中
間膜とは交互に積層され該ダイヤモンド膜は薄膜積層体
の両外側面を形成していることを特徴とする。
【0007】本発明の薄膜積層体は、ヒートシンクとし
て実用に足るように複数枚のダイヤモンド膜を接合性高
く金属ろう付けし、ヒートシンクに搭載される素子に加
わる熱応力を低減し、かつ放熱特性をさらに向上させ、
ダイヤモンド単層からなるヒートシンクに比べて信頼性
の高いヒートシンクとしたものである。本発明の薄膜積
層体は、最外両面にダイヤモンド膜をもち中間膜とダイ
ヤモンド膜とが交互に積層されて形成されている。
【0008】本発明で用いるダイヤモンド膜はその作製
方法により限定されない。たとえば、アセチレン/酸素
を原料とした平面火炎法(燃焼炎法)(参考文献 Combu
stion and Flame 91巻 239頁 (1992) )とか高周波誘導
熱プラズマ法(参考文献 Diamond and Related Materi
als, 2巻 612頁 (1993) )によって作製したダイヤモン
ド自立膜が利用できる。このダイヤモンド膜は、モリブ
デンないしはシリコン基板上に析出させて成膜後、自然
剥離したものか、または基板を研磨ないしは化学エッチ
ングによって除去した自立膜が利用できる。
【0009】ところで、気相合成により得られるダイヤ
モンド膜は、通常多結晶膜であり、成長面にダイヤモン
ド結晶の自形面が現れるため凹凸が大きい。この成長面
の凹凸はダイヤモンドの膜質が高いほど、そして膜厚が
厚いほど大きい。しかしながら、ダイヤモンド膜の基板
面側は、基板の表面形状の逆型であるため、平滑な基板
を用いると剥離した後のダイヤモンド膜の基板面側は平
滑面となる。よって、本発明において両表面が平滑な薄
膜積層体を作製する際には、この基板面側を薄膜積層体
の最外面にもってくることで、表面が円滑な薄膜積層体
を研磨などの加工をすることなく作製することもでき
る。
【0010】また、薄膜積層体の最外両面に用いるダイ
ヤモンド膜は、必ずしも自立膜でなくてもよく、基板に
析出した状態の膜をそのまま用いて中間膜を介して接合
し、その後基板を剥離、研磨ないしエッチングなどで除
去することもできる。この場合は、ダイヤモンド自立膜
に比べて最外両面に基板がついているので接合作業時の
ハンドリングが容易となる利点がある。
【0011】この薄膜積層体は、たとえば、ダイヤモン
ド膜2枚の間に中間膜を挟んだもの、ダイヤモンド膜3
枚の間に交互に中間膜を2枚挟んだもの、ダイヤモンド
膜4枚の間に交互に中間膜を3枚挟んだものなどとして
積層数を増すことが可能である。また、本発明において
薄膜積層体の両外側面を形成するダイヤモンド膜のう
ち、少なくとも片面のダイヤモンド膜は薄膜積層体の表
面をなす表面粗さが中間膜と接合する面の表面粗さより
も相対的に大きい成長面側を外側に向けることができ
る。この場合以下の複数の効果がある。
【0012】気相合成したダイヤモンド膜の面内方向の
熱伝導率は、基板面側よりも成長面側の方が高いことが
知られている(参考文献 Applied Physi
csLetters、60巻1576頁(199
3))。すなわち表面粗さが大きい成長面側に近い部分
では表面粗さが小さい基板面側に近い部分より熱を効率
よく面内方向に拡げる効果がある。すなわち、薄膜積層
体を作製する際に積層するダイヤモンド膜の方向を組み
合わせることで薄膜積層体内での熱流束を制御でき、素
子や放熱材の形状や熱物性を考慮した効率のよい放熱効
果を得ることができる。
【0013】たとえば薄膜積層体に表面積に比べて小さ
い素子を搭載しその放熱を行う場合、素子搭載側にダイ
ヤモンド膜の成長面をもってくると、素子の熱を素早く
薄膜積層体の面内方向に拡げるために、薄膜積層体のヒ
ートシンクとしての放熱効果が向上する。本発明では中
間膜とダイヤモンド膜との接合性が高いため、薄膜積層
体での各膜の剥離は実用条件下では生じない。しかし、
素子ないしは放熱材とはんだ等によって接合するために
薄膜積層体表面に形成するメタライズ層とダイヤモンド
膜との接合性は、中間膜とダイヤモンド膜とのそれより
低いため特定の実用条件下では剥離の危険性がある。と
ころが、本発明で示したように薄膜積層体の表面のダイ
ヤモンド膜の表面粗さを中間膜と接合するダイヤモンド
膜の表面粗さより相対的に大きくすることでメタライズ
層とダイヤモンド膜との接合性が向上する。
【0014】さらに、本発明の薄膜積層体をヒートシン
ク等に使用する際、片面の表面粗さがもう片方の表面粗
さと異なると、ヒートシンクの表裏の識別が目視でも容
易に行うことができ、ヒートシンク実装工程の作業性が
向上する。これら、ダイヤモンド膜接合方向については
実装する素子や放熱材の熱物性、およびそれらと接合す
るはんだ等接合材の厚さや熱物性、接合性等を考慮して
最適な組み合わせを選択するのは言うまでもない。
【0015】中間膜は、ダイヤモンドと反応して炭化物
を形成する金属の1種以上を含むろう材を用いる。炭化
物を形成する金属としてチタン、クロム、バナジウム、
ジルコニウム、タンタル、ニオブおよびハフニウム等の
炭化物を形成する作用をする金属の1種または2種以上
を採用できる。望ましくはチタン、クロムおよびバナジ
ウムの1種または2種以上を用いればよい。
【0016】中間膜を形成する高熱伝導性のろう材とし
ては、たとえば、Tiを含むAg−Cu系ろう材の箔、
薄板またはペースト状のものなどが使用できる。Crや
Vを含むろう材としては、例えばCu−Ga−CrやC
u−Ga−V系ろう材の箔、薄板またはペースト状のも
のなどが使用できる。ろう材の種類としては、錫、銀、
銅、金、鉛などの単体あるいはそれらの複数の合金系や
銅−ガリウム、銅−錫、など、さらにはこれらにインジ
ウム、アルミニウム、シリコンなどを添加したものに前
記金属を加えたものなどを用いることができる。
【0017】炭化物を形成する金属のろう材中の含有量
は0.01〜20重量%であり、好ましくは0.1〜1
0重量%の範囲である。なお、ダイヤモンド表面に予め
真空蒸着法やメッキ法によって、上記の強固な接合層を
形成し易い炭化物を形成する金属の必要量の全部ないし
は一部を表面に付着させた後、炭化物を形成する金属の
量が少ないか、若しくは含まないろう材を用いて同様な
ろう付けは可能である。また、炭化物を形成する金属の
少ないか、もしくは含まないろう材箔の両面に炭化物を
形成する金属を蒸着したものを挟んでろう付け接合して
もよい。
【0018】また、ダイヤモンド膜にTi/Auなどを
メタライズ後、この金属面側同志を熱圧着して接合でき
る。また、ダイヤモンド膜をTi/Pt/AuやTi/
Niなどでメタライズ後、はんだ接合してもよい。予め
作製したダイヤモンド膜の間に炭化物形成金属を含むろ
う材を挟んで積層体を製造するものばかりでなく、炭化
物形成金属を含む金属薄板の両面にダイヤモンド膜を析
出させて、結果として2枚のダイヤモンド膜とその間に
炭化物形成金属を含む金属薄板からなる薄膜積層体を作
製することもできる。
【0019】中間膜を形成するろう材の熱伝導率が30
W/m・K以上であるのが好ましい。たとえば、熱伝導
率が1000W/m・Kのダイヤモンド膜2枚とその厚
さに対する厚さの比が0.15のろう材とから構成され
る薄膜積層体をシリコンパワートランジスタのヒートシ
ンクとして使用する場合と、同じ厚さのダイヤモンド単
層膜をシリコンパワートランジスタのヒートシンクとし
て使用する場合とを比較する。この薄膜積層体の放熱特
性の低下をダイヤモンド単層膜の放熱特性の10%以下
とするためには、図1に示したようにろう材の熱伝導率
は28W/m・K以上とする必要がある。なお、図1の
縦軸はダイヤモンド単層膜に対する本発明の薄膜積層体
の放熱性能を相対比で示す。また、横軸は本発明の薄膜
積層体の中間膜として使用したろう材の熱伝導率を示
す。
【0020】また、中間膜を形成するろう材の熱膨張率
が10×10-6-1以上35×10 -6-1以下であるの
が好ましい。熱膨張率が10×10-6-1以上としたの
は極端に熱膨張率の低いダイヤモンドを単層の板として
シリコウパワートランジスタ用ヒートシンクとして用い
る場合に、はんだ付けなどによる実装時あるいはその実
装品を200℃という温度差下で使用する際に発生する
熱応力を10%以上緩和させ、実用上の害をなくすのに
有効であることの理由による。また、熱膨張率が35×
10-6以下としたのはこれ以上大きくなるとダイヤモン
ドとの熱膨張率の差が大きくなりすぎ、積層体の作成時
ないしは実際の使用条件での冷熱サイクル試験時に積層
体自体が破壊する確率が急激に増大することの理由によ
る。
【0021】熱膨張率が10×10-6-1以上35×1
-6-1以下とすることにより積層体全体の熱膨張率を
同じ形状のダイヤモンド膜より相対的に大きくすること
で、本薄膜積層体をヒートシンクとして使用する際、ヒ
ートシンクを素子及び放熱材と接合するはんだの熱応力
と、特に素子自体に加わる熱応力を低減でき各接合部の
接合性の向上と素子の安定動作の信頼性を向上できる。
このような効果をより効果的に発現するのは、全中間膜
の厚さの総和を(a)、全ダイヤモンド膜の厚さの総和
を(b)としたとき、これらの厚さの比(a/b)を
0.01≦(a/b)≦10とした時であり、さらには
その効果が著しいのは0.1≦(a/b)≦1であっ
た。上記効果は全中間膜の厚さと全ダイヤモンド膜の厚
さとで定義できるが、前記中間膜は、少なくとも接合さ
れるダイヤモンド膜表面の凹凸を埋めるに十分な厚さを
有する必要があるのは言うまでもない。
【0022】厚さの比(a/b)の範囲を0.01≦
(a/b)≦10としたのは、厚さの比(a/b)が
0.01より小さいと、熱膨張率がダイヤモンド膜より
相対的に大きな中間膜の厚さが薄いために、薄膜積層体
全体の熱膨張率をダイヤモンド膜単層に比べて相対的に
大きくすることにより発現する上記の効果を実効的に得
られないからであり、逆に、厚さの比(a/b)が10
より大きいとダイヤモンド膜に比べて熱伝導率の低い中
間層による薄膜積層体のヒートシンクとしての放熱特性
が低下し、使用目的に沿わなくなるためである。
【0023】図2にダイヤモンド単層膜をシリコンパワ
ートランジスタのヒートシンクとした場合の熱応力と熱
膨張係数の異なるろう材をそれぞれ中間膜として用いた
各薄膜積層体をそれぞれシリコンパワートランジスタの
ヒートシンクとした場合の熱応力の関係を示す。なお、
縦軸はダイヤモンド単層膜に対する薄膜積層体の熱応力
の比を、横軸は使用した中間膜の熱膨張率を示す。な
お、薄膜積層体の中間膜と全ダイヤモンド膜の厚さの比
(a/b)を0.5とし、実用の冷熱環境時での温度変
化(200℃)において素子に発生する最大熱応力につ
いて比較した。
【0024】本発明で限定した範囲の熱膨張率を持つろ
う材金属ではダイヤモンド単層に対する熱応力は10%
以上低減できることがわかる。また、30GPa以上の
ヤング率を必要とする理由は以下の通りである。ダイヤ
モンドの熱膨張率は約1×10-6-1である。中間のろ
う材は10〜35×10-6-1の熱膨張率をもつ。もし
このろう材のヤング率が小さすぎると、温度が上がった
場合に、積層体の見掛けの熱膨張率を上げることが出来
ず、SiないしGaAsなどの半導体素材の熱膨張率に
近ずけることが出来ない。
【0025】本発明の薄膜積層体は、高性能のヒートシ
ンク等として利用できる。
【0026】
【発明の作用および効果】本発明では、中間膜に含まれ
る炭化物形成金属が、薄膜積層体の積層過程においてダ
イヤモンドを構成する炭素原子と反応し、薄膜積層体中
のダイヤモンドと中間膜との界面で炭化物を形成する。
このことによりダイヤモンドと中間膜との強固な接合が
可能となる。その結果、ダイヤモンドの熱膨張率と中間
膜の熱膨張率が大きく異なるにもかかわらず、高温で接
合して室温まで冷却して薄膜積層体を作製する過程での
温度変化、もしくは、例えばヒートシンクとして用いる
場合の素子実装時および使用環境下での温度変化におい
てもダイヤモンド膜と中間膜とが剥離することなく薄膜
積層構造を維持することができる。その結果、以下に示
すような薄膜積層構造としての機能が発現する。
【0027】本発明では、熱膨張率が小さいダイヤモン
ド膜で熱膨張率が大きな中間膜を挟んだ薄膜積層構造に
することにより、例えば、ヒートシンクとして用いる場
合に従来のダイヤモンド単体のヒートシンクに比べて素
子ないしははんだに発生する熱応力を低減できる。目
的、用途によっては2枚のダイヤモンド膜のそれぞれの
成長面側をろう材側に向けてろう付けすることが可能に
なり、ダイヤモンド膜成膜時に於ける基板面側の平滑な
面を外側に向けて形成できるため、特に表面の研磨など
の工程を省略することができる。
【0028】また、ダイヤモンド膜を2枚以上用いるこ
とにより、薄膜積層体は絶縁の信頼性を向上させること
ができる。さらに、目的、用途によっては2枚のダイヤ
モンド膜の少なくとも片面を成長面ないしは表面粗さの
大きい面を表面に向けて形成できるため、例えばヒート
シンクとしての放熱特性の向上効果、ないしは表面メタ
ライズ層およびはんだ等の接合材の接合性の向上効果が
えられる。このように成長面が表面にくると、ダイヤモ
ンド膜の基板側より成長面側のほうが膜を構成する結晶
子が大きく、粒界が少ないため膜の面内方向への熱伝導
率が高くなりヒートシンクとしての放熱特性を向上させ
ることができる。
【0029】この薄膜積層体は、積層構造にしてダイヤ
モンド膜の脆さを補強したため、表面へのメタライズ時
および実装時のハンドリング性が大幅に向上する。さら
に、熱容量の大きい金属層を中間に挟むことにより、薄
膜積層体をヒートシンクとして用いる場合には、ヒート
シンク全体としての熱容量があがり、過渡的な熱負荷に
対して熱溜効果が発揮され、特にパルス的に熱負荷がか
かる場合の放熱効果が向上する。
【0030】
【実施例】
(実施例1)本発明の実施例1の薄膜積層体1を図3に
示す。この薄膜積層体1はダイヤモンド膜2とこれらダ
イヤモンド膜2との間に介在する中間膜3とから形成さ
れている。これらのダイヤモンド膜2は次のようにして
形成されたものである。
【0031】ダイヤモンド成膜には、原料ガス中のアセ
チレン分子/酸素分子/水素分子比が1.01/1.0
0/0.50のアセチレン−酸素−水素混合ガスを原料
とした平面火炎法を用いた。基板にはMo(直径15m
mのロッド)を用い、2.0時間成膜した。成膜後、基
板冷却時にダイヤモンド膜は剥離し、厚さ40μm、直
径15mmのディスク状の自立膜が得られた。本実施例
では、同じ方法で得られた厚さ40μmの2枚の自立膜
をそれぞれダイヤモンド膜2として使用した。
【0032】中間膜3はTiを炭化物形成金属として含
む高熱伝導性の銀ろう(WESGO 社製活性ろう材 CUSIL-
ABA )(組成:63%Ag−35.25%Cu−1.7
5%Ti)を用いた。このろう材は、熱伝導率:180
W/m・K、熱膨張率:18.5×10-6(室温〜50
0℃)の物理特性を有している。そして2枚のダイヤモ
ンド膜2の間にろう材を介在させ、真空炉中に入れ、そ
の上に荷重をのせ、真空炉内を10-5Torr以下まで
減圧にした後、昇温を開始し840℃で10分間保持
し、ろう付けをおこなった。これにより全体として12
0μmの薄膜積層体1が得られた。
【0033】上記のろう付けは真空中でおこなったが、
アルゴンないしはヘリウムなどの不活性ガス中で加熱し
てろう付けをおこなってもよい。加熱方法は抵抗加熱な
いしは高周波加熱など、ろう付け時の雰囲気に影響を与
えないものならばよい。なお、ろう付け時には、2枚の
ダイヤモンド膜2ともダイヤモンドの成長面を同一方向
に揃えて積層した。これは、ダイヤモンド膜の基板側よ
り成長面側のほうが膜を構成する結晶子が大きく、粒界
が少ないため膜の面内方向への熱伝導率が高いことによ
る。これにより、薄膜積層体1をヒートシンクとして用
いた場合、より高熱伝導率側に発熱する素子等を積載す
ると、熱を面内方向(厚さと垂直方向)へより効率よく
拡散でき、ヒートシンク全体の放熱特性を向上できる。
【0034】または、ろう付の際にダイヤモンド膜2の
成長面を表面側になるように積層する。これは、成長し
たダイヤモンド膜の基板側より、成長面の方が構成する
結晶子が大きいため、熱電導率の高い面を表面に形成で
きる。その熱電導率の高い成長面と素子を接合すること
により、素子の発熱エネルギーを迅速に吸収、放散する
効果を得ることができる。
【0035】したがって、ヒートシンク全体としての放
熱特性、熱応力に関する効果は、前述の構成と同様の効
果が得られた。なお、上記Ag−Cu−Tiろう材に代
えてCu−Ga−Cr(組成:80.3重量%Cu−1
8.6重量%Ga−1.1%重量Cr)ろう材、Cu−
Ga−V(組成:80.3重量%Cu−18.6重量%
Ga−1.1重量%V)ろう材を使用しても同等の性能
をもつ薄膜積層体が得られる。
【0036】また、炭化物形成金属含まない銀ろう(WES
GO社製ろう材 Cusi1) (組成72%Ag−28%Cu)
を用いて5組のろう付けを行った。ろう材が十分に溶け
ているにも係わらずダイヤンモンド膜の全体ないしは一
部が浮き上がって、その部分が白くなっているのが全数
に見られた。これらはわずかな力を加えるだけで容易に
剥離してしまった。
【0037】実施例1の場合にはろう材とダイヤモンド
膜との界面にTiC が生成しているためにダイヤモンド膜
をとおして黒くみえ、浮き上がることはまず起こらな
い。 (実施例2)実施例1と同じ方法で、図3に示す構成
の、すなわち、ダイヤモンド膜2とこれらダイヤモンド
膜2との間に介在する中間膜3とからなる本実施例の薄
膜積層体1を得た。なお、本実施例2の薄膜積層体1の
上側のダイヤモンド膜2としては、実施例1と同じアセ
チレン分子/酸素分子/水素分子比が1.01/1.0
0/0.50のアセチレン−酸素−水素混合ガスを使用
し、1.7時間成膜することにより得られた厚さ33μ
mの自立膜を用いた。また、下側のダイヤモンド膜2と
しては、アセチレン分子/酸素分子/水素分子比が1.
04/1.00/0.50のアセチレン−酸素−水素混
合ガスを使用し、1.5時間成膜することにより得られ
た厚さ35μmの自立膜を用いた。ろう付けは実施例1
と全く同じ方法で行った。これにより全体として110
μmの薄膜積層体1が得られた。
【0038】本実施例2の薄膜積層体1を構成するダイ
ヤモンド膜2の膜質と応力をラマン分光法で評価した。
ラマンスペクトルは、日本分光製ラマン分光システム
RPM−1000型、励起光:Arレーザー(488n
m),200mW;ビーム径:80μmφを用いて測定
した。この薄膜積層体1の上層側から測定したラマンス
ペクトルを図4に示す。
【0039】この薄膜積層体1は銀ろうで形成された中
間膜3を使ってダイヤモンド膜2を2枚張り合わせた構
造なので、励起光のArレーザビームは銀ろうを含む膜
3を透過して下層のダイヤモンド膜までは届かない。よ
って、図4のラマンスペクトルは上層のダイヤモンド膜
2のみから得られたものである。図4のラマンスペクト
ルでは、1500cm-1付近に非ダイヤモンド成分に起
因するブロードなピークがわずかに認められるが、13
34cm-1から1337cm-1に観察される強い鋭いダ
イヤモンドピークに比べるとかなり弱い。非ダイヤモン
ド成分がかなり少ない高純度のダイヤモンド膜であるこ
とが分かる。また、ダイヤモンドのラマンピーク位置は
無応力状態の値(1333cm-1)よりわずかに高波数
側にシフトしている。高温でろう付けしているためろう
材とダイヤモンド膜の熱膨張差に起因した熱応力がわず
かにはいっていることがわかる。
【0040】ろう材の熱膨張率は18.5×10-6-1
(室温〜500℃)で、ダイヤモンドのそれ(室温で約
1×10-6-1)に比べて桁違いに大きい。ろう材の固
相点が780℃であるから、ろう付け後室温まで冷却す
ると約750℃の温度差に相当した熱応力(圧縮応力)
がダイヤモンド膜2に作用し、ダイヤモンドのラマンピ
ークは高波数側にシフトするはずである。本実施例の銀
ろうを含む膜3をサンドイッチした構造でも、ダイヤモ
ンド膜2にわずかに圧縮応力がはいっている。
【0041】このように熱膨張率が大きく異なる薄膜の
積層時には応力がかかるが、ダイヤモンド膜2が銀ろう
を含む膜3の片面のみに接合されているのでなく、両面
に接合されるためもあり、また張り合わせた膜の変形
(反り)も少ないことも、本構造の特長と言える。 (実施例3)本実施例は本発明の薄膜積層体上に搭載し
た素子にかかる熱応力を見るものである。実施例2と同
じ方法で、厚さ100μmのダイヤモンド膜とこれらダ
イヤモンド膜2との間に介在する厚さ50μmのろうう
材を構成する中間膜とから本実施例の薄膜積層体を得
た。
【0042】そしてこの薄膜積層体のダイヤモンド膜の
表面をTi/Niでメタライズ処理した。その後、得ら
れたメタライズ処理層の上にシリコン半導体素子をはん
だ接合した。このはんだ接合の際に生じる温度差(約2
00℃)に起因する熱応力をラマン分光法を用いて、シ
リコンのラマンピーク位置のシフトから評価した。な
お、比較のために同じ240μmの厚さのダイヤモンド
単結晶およびダイヤモンド多結晶板を準備し、同様にダ
イヤモンド膜の表面をTi/Niでメタライズ処理し、
その後得られたメタライズ処理層の上にシリコン半導体
素子をはんだ接合した。
【0043】その結果、本発明の薄膜積層体の場合は、
ダイヤモンド単結晶およびダイヤモンド多結晶板のダイ
ヤモンド単層よりなる基板に比較し、熱応力が15%低
減されることがわかった。さらに、本実施例の薄膜積層
体および比較のために用いられたダイヤモンド単層より
なる基板を用いて、同様にメタライズ処理をしその上に
シリコンパワートランジスタを搭載し、−40℃から+
150℃の温度で2000回の冷熱耐久試験を実施し
た。その後シリコンパワートランジスタの動作特性を評
価した。
【0044】その結果、本発明の実施例の薄膜積層体に
搭載されたトランジスタには、特性劣化が認められなか
った。しかし比較例では、約40%の特性劣化品があっ
た。これら劣化品のはんだ部分を調べたところ、接合部
分に亀裂が認められた。これは比較例の方が、はんだ歪
量が大きいためと考えられる。 (実施例4)本発明の実施例4の薄膜積層体1を図5に
示す。この薄膜積層体1は3枚のダイヤモンド膜2とこ
れらダイヤモンド膜2との間に介在する2枚の中間膜3
とから形成されている。
【0045】これらのダイヤモンド膜2はアセチレン/
酸素/水素を原料とし、モリブデン基板をほ使用した平
面火炎法(燃焼炎法)によって形成した。すなわち、モ
リブデン基板上に析出し、成膜後冷却時に自然剥離した
ダイヤモンド自立膜をダイヤモンド膜2として使用し
た。これらのダイヤモンド膜2の膜厚は40μmであっ
た。
【0046】中間膜3としては厚さ50μmのTiを炭
化物形成金属として含むAg−Cu系ろう材箔(組成:
63重量%Ag−35.25重量%Cu−1.75重量
%Ti)を使用した。そしてダイヤモンド自立膜3枚の
間にこのろう材箔2枚を交互に挟み真空でろう付けし
た。本実施例の薄膜積層体1の全体の厚さは200μm
であった。
【0047】なお、実施例1および本実施例4の方法
で、図6に示すn層の薄膜積層体1を形成できる。実施
例1〜3の方法ではダイヤモンド膜2としてはいずれの
場合も自立膜を使用したが、基板に一体的に接合された
ダイヤモンド膜も使用できる。この場合には、中間膜3
と基板に一体的に接合されたダイヤモンド膜とを接合し
た後、基板を除去する必要がある。この除去は、剥離、
研磨ないしはエッチングなどによって達成できる。
【0048】(実施例5)実施例1と同じ方法でダイヤ
モンド膜2枚とその間に介在する中間膜とからなる本実
施例の薄膜積層体を得た。2枚のダイヤモンド膜の成長
面側の粗い面を積層体の外側に向くように形成した。比
較のためにダイヤモンド膜2枚の両方とも表面粗さが小
さい基板面側を薄膜積層体両表面となるようにした薄膜
積層体と、これらの薄膜積層体と同じ膜厚のダイヤモン
ド多結晶板も準備した。これら2種類の薄膜積層体の表
面粗さの異なる面およびダイヤモンド多結晶板の基板面
側にTi/Niでメタライズ処理した。その上に、熱膨
張率の比較的大きい素子を想定してNiメッキ処理した
モリブデンチップをはんだ接合し実施例3と同様に冷熱
耐久試験を行った。
【0049】その結果、本発明の薄膜積層体のうち、表
面粗さの大きい成長面側にモリブデンチップをはんだ接
合したものではメタライズ層の剥離は認められなかった
が、表面粗さの小さい基板面側にモリブデンチップをは
んだ接合したものでは試験片全数の約30%、さらにこ
れと表面粗さの同じダイヤモンド多結晶板の基板面側に
モリブデンチップをはんだ接合したものでは試験片全数
の約60%が、メタライズ層の一部ないしは全部が剥離
した。薄膜積層体の方がダイヤモンド単層よりも熱膨張
率が大きく、また表面粗さが大きいほうがメタライズ層
の接合性が高かったためと考えられる。
【0050】(実施例6)表面が鏡面形状のモリブデン
基板上にダイヤモンドを析出後、基板を除去して得られ
たダイヤモンド膜(厚さ100μm)2枚でろう材(5
0μm)を挟み実施例1と同様にして薄膜積層体を作製
した。その際、ダイヤモンド膜の成長面同志を接合し、
薄膜積層体の表面はダイヤモンド膜を析出させた時の基
板側が現れるように積層した。したがって、本実施例品
の表面は鏡面基板のレブリカとなるため平滑な鏡面であ
る。この薄膜積層体の表面粗さを測定したところ、Ra
=8nmと小さく、高性能ヒートシンクとして薄膜積層
体の使用時に表面を研磨などの加工を施す必要がなかっ
た。
【0051】一方、気相合成で作製した厚さ200μm
の多結晶ダイヤモンド膜単体では、ダイヤモンド成長面
での凹凸が激しく、表面粗さはRa=900nm以上で
あったため、高性能ヒートシンクとして使用するために
は表面を研磨加工する必要があった。 (実施例7)熱抵抗を小さくした大型素子用として、薄
くて辺の長さが長いヒートシンク用の薄膜積層体を作製
した。薄膜積層体の形状は8mm×8mmで厚さ80μ
mである。すなわち、厚さ30μmのダイヤモンド膜2
枚をろうづけ後の厚さ20μmのろう材で接合して作製
した。本実施例品はダイヤモンド膜が薄いにも関わらす
ろう材の金属膜で補強されてるため、抗折強度が高く通
常のハンドリング時に破壊することは皆無であった。一
方、厚さ80μmのダイヤモンド膜単体では、抗折強度
が低いため割れたり、クラックの発生が生じるなどし
て、ハンドリング時に細心の注意が必要であり、作業性
が悪かった。
【0052】本実施例品20個とダイヤモンド膜単体の
比較例品20個について両表面をメタライズした後、実
施例1と同様にシリコンをはんだ接合し、実施例2と同
様の冷熱耐久試験をおこなった。その後、両メタライズ
部分に探針をおろし絶縁耐圧試験をおこなった。その結
果、本発明品は19個が所定の絶縁耐圧を示し、絶縁耐
圧低下を起こした不良品は1個であった。一方比較品で
は6個が絶縁耐圧が著しく低下した。不良品について詳
細に調べた結果、膜中わずかに発生したクラック部分で
放電ないしは導通を生じた形跡が認められた。本実施例
品は、絶縁の信頼性が高いことを示している。
【0053】(ヒートシンクとしての機能)本発明の薄
膜積層体のヒートシンクとしての機能を見るため、前記
実施例1および実施例2の薄膜積層体をヒートシンクと
して用いた。ヒートシンクの放熱特性を測定する際、ベ
ース金属と発熱体をそれぞれはんだ接合する必要があ
る。この時、はんだを十分濡らし密着性を高めるため
に、ダイヤモンド表面に電子ビーム蒸着法によってNi
/Tiでメタライジングをおこなった。
【0054】その後図7に示すように、Alベ−ス5の
上に薄膜積層体1をはんだ6ではんだ接合し、さらにそ
の上にはんだ6でアルミナ基板(3×4mm2 )表面に
白金をパターニングし白金線を取り出したマイクロヒー
タ7を接合した。このマイクロヒータ7の白金線はDC
電源に接続されている。放熱特性の測定には自然空冷
と、図7に示すようにAlベース5を水浴8に浸す場合
の2方法で行った。
【0055】試験はマイクロヒータ7に直流電圧を印加
して発熱させ、ヒータ7近傍でダイヤモンドのメタライ
ジング部分にはんだ接合した熱電対9によって、ヒート
シンクとして使用された薄膜積層体1上面の温度上昇を
測定した。薄膜積層体1近傍の温度分布は、放射率補正
用の塗料をスプレー塗布した後、日本電子製サーモビュ
ア(JTG−4600S)を用いて測定した。
【0056】実施例1および実施例2の薄膜積層体につ
いて横軸にマイクロヒータ発熱量を縦軸にヒートシンク
上面温度上昇をとりマイクロヒータ発熱量に対するヒー
トシンク上面温度上昇の関係を図8に示す。また、同様
に、横軸にマイクロヒータ発熱量を縦軸に熱抵抗をとり
上面温度上昇に対する熱抵抗の関係を図9に示す。図8
の直線の勾配が図9に対応し、図8の勾配ないしは図9
の熱抵抗が小さいほど放熱特性が高いことになる。
【0057】ベースを空冷した場合でも良好な放熱特性
が得られた。さらに、ベースを水冷しながら測定した放
熱特性をみると実施例1、実施例2のヒートシンクはマ
イクロヒータに電力を投入しても、ヒートシンク上面の
温度上昇は極めて低かった。このようにベースを水冷す
ると放熱特性は、非常に高いことが分かる。また、サー
モピュアを用いてヒートシンクの温度分布を測定したと
ころ、ヒートシンク全体に熱が効率よく拡散しているこ
とが確認できた。
【0058】(比較例)比較例品として基板に14mm
四方で厚さ0.5mmのMoを用い高周波RF誘導熱プ
ラズマ発生装置(電気興業(株)製)を用いて基板上に
ダイヤモンド膜を析出させた。基板は表面酸化物を除去
し核発生密度と膜の密着性を高める目的で、予め#70
0のサンドペーパーで研磨後、15μmのダイヤモンド
ペ−ストを用い傷付け処理をおこなったものを用いた。
ダイヤモンドの成膜条件は、高周波出力:17kw、ガ
ス流量:プラズマガス、Ar2slm(standard liter
per minute)、シースガス、Ar84slm、原料ガ
ス;メタン1slm、水素20slm(メタン/水素=
5%)、圧力:120Torr、基板温度:940℃、
析出時間:2.5時間でダイヤモンド膜厚33μm(比
較例1)と基板温度860℃で他は実施例1と同一条件
でダイヤモンド膜圧18μm(比較例2)の試料を作製
した。
【0059】この比較例の2つのMo基板付きの試料と
本実施例1および実施例2との発熱体発熱量に対するヒ
ートシンク上面の上昇温度および発熱体発熱量に対する
熱抵抗を比較したのが図10および図11である。図1
0および図11で示すように本実施例の薄膜積層体を用
いたヒートシンクでは従来発明のように金属基板に単層
のダイヤモンド膜を析出させる比較例に比べ、上昇温度
および熱抵抗が少ないことを示している。ここには発熱
体としてマイクロヒータを使用した例を示したが、発熱
体としてシリコンパワートランジスタ、半導体レーザ等
を使用しても同等の結果が得られている。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンド単層膜に対する本発明の薄膜積層
体の放熱性能を相対比で示す線図である。
【図2】ダイヤモンド単層膜に対する本発明の薄膜積層
体の熱応力を相対比で示す線図である。
【図3】実施例1の薄膜積層体の積層状態を示す立面図
である。
【図4】実施例1の薄膜積層体のダイヤモンドのラマン
スペクトルである。
【図5】実施例4の薄膜積層体1の積層状態を示す立面
図である。
【図6】本発明の多層構造の薄膜積層体の積層状態を示
す立面図である。
【図7】薄膜積層体をヒートシンクとして使用した時の
放熱特性を調べる試験装置の立面図である。
【図8】実施例1、実施例2の薄膜積層体をヒートシン
クとして使用した時のマイクロヒータ発熱量とヒートシ
ンクの上面上昇温度との関係線図である。
【図9】実施例1、実施例2の薄膜積層体をヒートシン
クとして使用した時のマイクロヒータ発熱量と熱抵抗と
の関係線図である。
【図10】実施例1、実施例2と比較例1、比較例2と
の発熱体発熱量とヒートシンク上面上昇温度との関係線
図である。
【図11】実施例1、実施例2と比較例1、比較例2と
の発熱体発熱量と熱抵抗との関係線図である。
【符号の説明】
1:薄膜積層体 2:ダイヤモ
ンド膜 3:中間膜 4:フィラメ
ント 5:Alベ−ス 6:はんだ 7:ヒータ 8:水浴 9:熱電対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 清 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 伊藤 明生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 樋口 和夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 新美 幹夫 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 村崎 俊一 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内 (72)発明者 本蔵 義信 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知製 鋼株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2層のダイヤモンド膜と、炭化
    物形成金属の1種以上を含むろう材を有する少なくとも
    1層の中間膜とからなる積層体であって、該ダイヤモン
    ド膜と該中間膜とは交互に積層され該ダイヤモンド膜は
    積層体の両外側面を形成していることを特徴とする薄膜
    積層体。
  2. 【請求項2】前記炭化物形成金属は、チタン、クロム、
    バナジウムである請求項1に記載の薄膜積層体。
  3. 【請求項3】前記中間膜を構成するろう材は、熱伝導率
    が30W/m・K以上であり、熱膨張率が10×10-6
    -1以上35×10-6-1以下である請求項1に記載の
    薄膜積層体。
  4. 【請求項4】前記中間膜の厚さの総和(a)と全ダイヤ
    モンド膜の厚さの総和(b)の比(a/b)が0.1≦
    (a/b)≦10である請求項1に記載の薄膜積層体。
  5. 【請求項5】少なくとも2層のダイヤモンド膜と、少な
    くとも1層の中間膜とからなる積層体であって、該ダイ
    ヤモンド膜と該中間膜とは交互に積層され該ダイヤモン
    ド膜は積層体の両外側面を形成しており、前記積層体の
    両外側面を形成するダイヤモンド膜のうち、少なくとも
    片面のダイヤモンド膜は表面粗さが中間膜と接合する面
    の表面粗さより相対的に大きいことを特徴とする薄膜積
    層体。
  6. 【請求項6】前記中間膜は、炭化物形成金属の1種以上
    を含むろう材を有する請求項5に記載の薄膜積層体。
  7. 【請求項7】前記炭化物形成金属は、チタン、クロム、
    バナジウムである請求項6に記載の薄膜積層体。
  8. 【請求項8】前記中間膜を構成するろう材は、熱伝導率
    が30W/m・K以上であり、熱膨張率が10×10-6
    -1以上で35×10-6-1以下である請求項6に記載
    の薄膜積層体。
  9. 【請求項9】前記中間膜の厚さの総和(a)と全ダイヤ
    モンド膜の総和(b)の比(a/b)が0.01≦(a
    /b)≦10である請求項6に記載の薄膜積層体。
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