JPH0786444A - 半導体用複合放熱基板の製造方法 - Google Patents

半導体用複合放熱基板の製造方法

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JPH0786444A
JPH0786444A JP18203893A JP18203893A JPH0786444A JP H0786444 A JPH0786444 A JP H0786444A JP 18203893 A JP18203893 A JP 18203893A JP 18203893 A JP18203893 A JP 18203893A JP H0786444 A JPH0786444 A JP H0786444A
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JP
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heat dissipation
substrate
composite heat
metal coating
metal
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JP18203893A
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Inventor
Akira Fukui
彰 福井
Kenichiro Kawamoto
健一郎 河本
Junzo Matsumura
順三 松村
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 2以上の単位基板を重ねて接合した構造であ
って、全体に反りがなく且つ接合部の欠陥が少なく、セ
ラミックスパッケージに適用することが可能な半導体用
複合放熱基板を製造する方法を提供する。 【構成】 予め各単位基板1、2の接合面に、拡散係数
の高い金属からなり且つその融点が複合放熱基板4のセ
ラミックスパッケージング材料への組み付けに用いる接
合材の融点よりも高い金属被覆層を形成し、各単位基板
1、2を互いの金属被覆層が接触するように積層し、必
要に応じ応力緩和金属層3を介在させ、加圧しながら非
酸化性雰囲気中、還元性雰囲気中又は真空中において前
記融点より低い温度に加熱して接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、IC等の半導体素子を
搭載してパッケージング材料に組み付けるために用い
る、積層構造の半導体用複合放熱基板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子は高集積化及び高速化
が進んでおり、且つダウンサイジングの傾向が顕著であ
るため、高性能の半導体素子がワークステーションやパ
ーソナルコンピューター等にも搭載されるようになって
いる。このような傾向に伴い、ワークステーションやパ
ーソナルコンピューター等でも搭載された半導体素子の
冷却が重要な課題となり、安価で且つ性能的に優れた半
導体用放熱基板を大量に提供することが求められてい
る。
【0003】半導体用放熱基板には、搭載した半導体素
子から発生される熱を効率良く放熱するため高い熱伝導
度を有することと共に、熱応力を極力小さくするため半
導体素子や各種パッケージング材料と熱膨張係数が近似
していることが基本的に必要である。即ち、半導体素
子、放熱基板及びパッケージング材料の間に大きな熱膨
張係数の差異が存在すると、それぞれの接合部に熱応
力、熱歪等が発生し、パッケージの気密性が阻害された
り、半導体素子に悪影響が生ずるからである。
【0004】かかる要求に照らして、従来からW又はM
o、あるいは溶浸法又は焼結法により製造されるCu−
W又はCu−Moのような複合合金、W−Cu−Ni焼
結合金、Cu−Mo−Cuクラッド材、AlNのような
セラミックスが放熱基板材料として一般的に使用されて
いる。特に、Cu−W又はCu−Mo複合合金は、焼結
法又は特公平2−31863号公報に示されるごとくW
又はMoの多孔質焼結体中にCuを溶浸させる溶浸法に
より製造され、Cu含有量を変えることによって熱伝導
率と熱膨張係数を変え得る点で優れている。
【0005】しかし、放熱基板の熱膨張係数が半導体素
子又はパッケージング材料と比較的近似している場合に
おいても、最近は半導体素子が大径化しているため、更
に半導体素子への熱応力や熱歪を極力抑えることが望ま
れている。このため、半導体素子搭載部には半導体素子
と近似した熱膨張係数を有する材料を、及びアルミナ等
のパッケージング材料との接合部にはパッケージング材
料と近似した熱膨張係数を有する別の材料を用いた、即
ち2種以上の材料を組み合わせて構成した複合放熱基板
が提案されている。
【0006】例えば、特開平5−63313号公報に
は、半導体素子と近似した熱膨張係数を有する第1部材
と、エポキシ樹脂等の絶縁性基材と近似した熱膨張係数
を有する第2部材とを、溶接、ロウ付け又は接着剤で接
合した放熱基板が開示されている。しかしながら、溶接
又はロウ付けにより高温で熱膨張係数の異なる材料を直
接接合すれば、熱応力により材料に反りが発生するた
め、半導体素子と放熱基板との密着性を確保できないと
いう問題点があった。又、接着剤による接合では、接着
剤の熱伝導率が小さいため、半導体素子の放熱を阻害す
る欠点があった。
【0007】又、特開昭58−181771号公報に
は、放熱性に優れたセラミックス基板として使用される
銅−セラミックス複合体の製法として、Cuとセラミッ
クスの間にAl箔を介在させ、548℃から約650℃
の温度でAlを固相拡散させることにより接合する方法
が開示されている。しかし、CuとAlを500℃以上
の温度で接合すると脆性金属間化合物であるCuAl2
が生成し、接合強度を確保できない欠点があった。
【0008】更に、Alの融点は約660℃であり、こ
の複合体基板を後にセラミックスのパッケージング材料
に組み付ける際に接合材として用いられる共晶銀ロウの
融点(一般に780℃)より低いから、パッケージング
材料への組み付け時の熱でCuとセラミックスを接合し
ているAlが再溶融してしまう。従って、銅とセラミッ
クスの間の位置ズレ、接合層の酸化や欠陥の発生等の2
次的不具合が生じ、セラミックスパッケージング材料へ
の適用が不可能であるという大きな問題点があった。
【0009】尚、上記のような熱膨張係数の整合性や放
熱性の要求に基づく積層構造の複合放熱基板のほかに、
単なる構造上の要求に基づく段付き形状の放熱基板も知
られている。しかし、従来の段付き形状の放熱基板は、
1つの材料から切削加工等の機械加工により一体物とし
て製造されていたため、生産性が低く大量生産に不向き
であり、コストが非常に高いという欠点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、2以上の単位基板を重ねて接合した構造
であって、全体に反りがなく且つ接合部の欠陥が少な
く、半導体素子を搭載してセラミックスパッケージに適
用することが可能な半導体用複合放熱基板を、生産性良
く安価に製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する2以上の単位基板を重ねて接合し
た半導体用複合放熱基板の製造方法は、予め各単位基板
の少なくとも接合に供する面に、拡散係数の高い同一又
は別の金属からなり且つその融点又は液相形成温度が前
記複合放熱基板のセラミックスパッケージング材料への
組み付けに用いる接合材の融点よりも高い金属被覆層を
形成し、各単位基板を互いの金属被覆層が接触するよう
に重ねて加圧しながら、非酸化性雰囲気中、還元性雰囲
気中又は真空中において前記融点又は液相形成温度より
低い温度に加熱して接合することを特徴とする。
【0012】尚、金属被覆層は単一又は2種以上の金属
からなり、各単位基板毎に同一金属又は別の金属で形成
してよい。ただし、全ての金属被覆層が同一の単一金属
からなる場合はその金属の融点を基準にするが、その他
の場合には2種以上の金属又は単位基板毎に別の金属が
同一温度で溶融するとは限らないので、組み合わせた金
属の少なくとも一部が液相となる液相形成温度を考慮す
る必要がある。
【0013】
【作用】本発明方法においては、2以上の単位基板を重
ねて接合するのに、各単位基板に形成した金属被覆層の
固相拡散を使用する。固相拡散のための金属被覆層は、
接合により得られた複合放熱基板を後にセラミックスパ
ッケージング材料へ組み付ける際に熱によって接合層が
溶融したり、位置ズレや酸化等の欠陥が発生したりする
ことのないように、セラミックスパッケージング材料へ
の組み付けに用いる接合材の融点よりも高い融点又は液
相形成温度を有することが必要である。
【0014】セラミックスパッケージング材料への組み
付けには一般に銀ロウが使用されるので、例えば一般的
な共晶銀ロウの融点である約780℃よりも高い融点又
は液相形成温度を持ち、拡散係数の高い金属からなる金
属被覆層が好ましい。かかる金属被覆層としてはCu、
Ni、Ag、Au、Ti、Cu−Ni、Cu−Au、A
u−Ni、Au−Ag、又はPd−Ag−Cu等を挙げ
ることができる。尚、2以上の各単位基板に形成する金
属被覆層は、前記のごとく互いに同一でも別々であって
もよいが、接合時の加熱温度はその融点又は液相形成温
度より低い温度で固相拡散させることが重要である。
【0015】単位基板への金属被覆層の形成は、メッ
キ、印刷、蒸着等の公知の金属皮膜形成法を利用する。
金属被覆層の厚さは1〜10μmの範囲が好ましく、3
〜10μmの範囲が更に好ましい。その理由は、金属被
覆層の厚さが1μm未満では被覆層が薄すぎるために金
属の固相拡散が不十分となり、10μmを越えると金属
被覆層の形成コストが上昇するからである。
【0016】一方、単位基板は従来から放熱基板材料と
して使用されているものでよく、例えばW又はMo、溶
浸法又は焼結法により製造されるCu−W又はCu−M
o複合合金、W−Cu−Ni焼結合金、Cu−Mo−C
uクラッド材、AlNやSiC等のセラミックスがあ
る。半導体素子がSiである場合その搭載部としては上
記いずれの材料も使用可能であり、パッケージング材料
がAl23の場合その接合部はCu−W又はCu−Mo
複合合金が好ましい。Cu−W複合合金からなる単位基
板の場合には、少なくとも接合に供する面のWのみをエ
ッチング除去することにより活性度の高いCuを表面に
残すことができるので、この表面に残ったCuを金属被
覆層とすることが可能である。
【0017】金属被覆層を形成した2以上の単位基板
は、互いに金属被覆層を重ねて積層した状態で加圧しな
がら、非酸化性雰囲気中、還元性雰囲気中又は真空中に
おいて金属被覆層の融点又は液相形成温度より低い温度
に加熱する。この加熱により金属被覆層の金属が互いに
単位基板内に固相拡散し、均一で強固な接合が達成され
る。この固相拡散によれば、溶接やロウ付けはもちろん
液相温度での接合よりも低温で接合できるので、得られ
る複合放熱基板の反りを抑えることができ、接合層に欠
陥が発生することも少ない。
【0018】又、半導体素子を搭載すべき部分には半導
体素子とほぼ同等の熱膨張係数をもつ単位基板を使用
し、パッケージング材料と接合すべき部分にはパッケー
ジング材料とほぼ同等の熱膨張係数をもつ単位基板を使
用することによって、半導体素子及びパッケージング材
料にかかる熱応力や熱歪を最小限度に抑え、半導体素子
の性能とパッケージの気密封止性を保持することが可能
である。更に、段付き形状の放熱基板を作製する場合に
も、外径寸法の異なる2以上の単位基板を接合するだけ
でよく、従来のように機械加工を施す必要がないから生
産性に優れ、製造コストを大幅に削減することができ
る。
【0019】本発明方法の固相拡散接合条件には加熱温
度、加熱時間、加圧力等があり、接合層の品質に最も影
響を及ぼす条件は加熱温度である。固相拡散での加熱温
度は当然に単位基板の融点又はその構成金属の融点より
も低いので、単位基板そのものを劣化させ又は変質させ
ることはない。しかし、金属被覆層が液化して流動する
と、応力による基板の反りや接合層の欠陥が発生しやす
いので、加熱温度は前記のごとく金属被覆層の融点又は
液相形成温度より低いことが必要であり、しかも金属被
覆層の融点又は液相形成温度に近い温度ほど望ましい。
【0020】固相拡散による接合を得るための加熱時間
は、1時間未満では固相拡散が不十分で強固な接合が得
られず、5時間を越えると大量生産に適さずコスト高と
なるので、1〜5時間の範囲が好ましい。又、加圧力は
0.1kg/cm2未満では固相拡散が不十分で強固な接
合が得られず、10kg/cm2を越えると重量が過大
となり、プッシャー炉やバッチ炉への投入量が少なくな
り、従って大量生産に適さずコスト高となるので、0.
1〜10kg/cm2の範囲が好ましい。
【0021】異なる単位基板の組み合わせによっては、
互いの熱膨張係数の差により接合後の残留応力による反
りの発生等が顕著になる場合があるので、各単位基板の
間に延性に富んだ軟質金属からなる応力緩和金属層を介
在させることが好ましい。これにより、単位基板の材質
が異なる場合であっても単位基板相互の応力が緩和さ
れ、得られる複合放熱基板の反りを抑えることができる
と同時に、接合層の欠陥を顕著に低下させ、高い信頼性
の接合を得ることができる。
【0022】応力緩和金属層を構成する軟質金属の融点
も複合放熱基板のパッケージング材料への組み付けに用
いる接合材の融点より高いことが必要であり、かかる軟
質金属としてはCuが好ましい。又、応力緩和金属層は
軟質金属の板材であってもよいし、単位基板表面の金属
被覆層の上に更に被覆層として形成してもよい。金属被
覆層の厚さは0.15〜3.0mmの範囲が好ましい。そ
の理由は、厚さが0.15mm未満では応力を緩和する
効果が得られず、3.0mmを越えると単位基板との間
の熱膨張係数の差による応力が過大となるため、やはり
応力緩和の効果がなくなるからである。
【0023】上記した本発明方法によって製造される複
合放熱基板は、2以上の単位基板を重ねて接合した構造
であって、反りがなく且つ接合部の欠陥が少ないうえ、
アルミナ等のセラミックスパッケージング材料へ組み付
ける際に、熱によって接合層が溶融したり、接合の位置
ズレや、接合層の酸化等の欠陥が発生したりすることが
ないので、セラミックスパッケージング材料への適用が
可能である。
【0024】即ち、セラミックスパッケージング材料へ
の組み付けには一般に銀ロウが接合材として使用され、
例えば通常の共晶銀ロウの融点は約780℃程度である
が、本発明の接合層はかかる接合材の融点よりも高い融
点又は液相形成温度を有する金属被覆層によって形成さ
れているので、セラミックスパッケージング材料への組
み付け時の熱の影響を受けることがない。
【0025】
【実施例】実施例1 図1に示すごとく寸法の異なる2枚の単位基板を接合し
て段付き形状の複合放熱基板を作製するため、半導体素
子搭載部を構成する第1単位基板1の材料として、Si
(熱膨張係数4.2×10-6/k)とぼぼ同等の熱膨張
係数をもつ純Mo(同5.1×10-6/k)、純W(同
4.5×10-6/k)、AlN(同4.5×10-6
k)、及びSiC(同3.7×10-6/k)を選択し、
20×20×1mmの形状に加工した。両第1単位基板
1のうちAlNとSiCには上下両表面に予めスクリー
ン印刷法によりWメタライズを施した後、これら全ての
各第1単位基板1の上下両表面にCuメッキを施し、厚
さ5μmのCuからなる金属被覆層を形成した。
【0026】一方、セラミックスパッケージング材料と
接合すべき第2単位基板2の材料として、Al23(熱
膨張係数6.5×10-6/k)と同程度の熱膨張係数を
もつ10重量%Cu−W複合合金(同6.5×10-6
k)を選択し、40×40×1mmの形状に加工した。
尚、このCu−W複合合金は、メッキ膨れ等の欠陥が生
じないように、工程を管理した溶浸法により密度が実質
的に100%となるように製造したものである。その
後、この第2単位基板2の上下両表面にCuメッキを施
し、厚さ5μmのCuからなる金属被覆層を形成した。
【0027】次に、第1単位基板1と第2単位基板2を
Cuの金属被覆層が重なるように積層し、更に両者の間
に20×20×0.5mmの形状に加工した純Cuから
なる応力緩和金属層3を挟み込んだ。この状態で第1単
位基板1と第2単位基板2の間に0.5kg/cm2の加
圧力をかけ、プッシャー炉を用いて水素還元性雰囲気中
1000℃で3時間加熱した。その結果、金属被覆層で
あるCuの固相拡散により、各第1単位基板1と第2単
位基板2からなる段付き形状の複合放熱基板4がそれぞ
れ得られた。
【0028】得られた各複合放熱基板4について、反り
の発生状況を40×40mmの基板対角線に沿って測定
した結果、及び接合層の欠陥率を水浸法の画像処理超音
波探傷装置により調査した結果を、各第1単位基板1毎
に表1にそれぞれ示した。複合放熱基板における反りの
規格は±50μm以内、欠陥率の規格は10%以内とな
っている。尚、欠陥率(%)とは接合部の欠陥面積の全
接合部面積に占める割合である。
【0029】
【表1】 (注)各数値は試料30個の平均であり、()内は標準
偏差である。
【0030】比較のために、接合時の温度を金属被覆層
のCuの融点以上である1150℃とした以外は上記実
施例1と同様にして接合した場合(液相接合法)、及び
上記実施例1と同じ寸法に加工した第1単位基板と第2
単位基板(共に金属被覆層なし)及び応力緩和金属層
を、従来の共晶銀ロウを用いて接合した場合(銀ロウ付
け法)について、それぞれ上記と同様の評価を行い、結
果を表2及び表3に示した。
【0031】
【表2】 (注)各数値は試料30個の平均であり、()内は標準
偏差である。
【0032】
【表3】 (注)各数値は試料30個の平均であり、()内は標準
偏差である。
【0033】固相拡散法の本発明方法によれば、反りの
発生量は充分に±50μmの規格内に入り且つそのバラ
ツキも小さいので、半導体素子及びパッケージング材料
との高度な密着性を確保でき、半導体素子の発生する熱
の放熱やパッケージング後の気密性に何ら支障を来さな
い。又、接合層は欠陥率が10%の規格内で且つそのバ
ラツキも小さく、放熱性の低下等のない高品質のもので
ある。このように、本発明方法によれば、外径寸法40
mmの大径の複合放熱基板であっても、規格に適合した
強固で信頼性の高い接合を得ることができた。
【0034】一方、比較例の液相接合法では応力緩和金
属層のCuが溶融して流出するために、応力を充分緩和
できず非常に大きな反りが発生して実用化に不適であ
り、接合層の欠陥率のバラツキが大きくなるため歩留り
が低下した。又、比較例の銀ロウ付け法の場合には、接
合層の欠陥率が規格を遥かに越えるため、やはり実用化
に適さない。
【0035】参考のため、純Moの第1単位基板とCu
−W複合合金の第2単位基板をCuの応力緩和金属層を
介して接合した本発明の複合放熱基板について、接合層
の断面写真を図2に示す。この図2からも接合層に欠陥
が認められないことが判る。尚、金属被覆層として、C
uの代わりに、Ni、Ag、Au、Cu−Ni、Cu−
Au、Au−Ni、Au−Ag、又はPd−Ag−Cu
を使用した場合も、上記Cuの金属被覆層の場合とほぼ
同様の結果が得られた。
【0036】実施例2 10重量%Cu−W複合合金を実施例1と同様に切断し
た第2単位基板を、フェリシアン化カリウムを主成分と
する溶液からなるWエッチング液に60秒間浸漬するこ
とにより表面のWを除去し、Cuの金属被覆層を形成さ
せた。この第2単位基板を実施例1と同じ第1単位基板
及び応力緩和金属層を用いて、実施例1と同じ条件で接
合させた。得られた本発明の各複合放熱基板について、
実施例1と同様の評価を行った結果を表4に示した。
【0037】
【表4】 (注)各数値は試料30個の平均であり、()内は標準
偏差である。
【0038】実施例3 図3に示すように、上記実施例1及び実施例2で製造し
た本発明の各複合放熱基板4を、端子7を具え配線を施
したAl23のセラミックスパッケージング材料5に適
用し、Ag:Cu=72:28の共晶銀ロウ(共晶点7
80℃)を用いた銀ロウ付けにより接合した。その結
果、本発明方法による複合放熱基板4は接合層が固相拡
散によるCu層であるため、接合層の融点はCuの融点
1083℃に等しく、この融点は共晶銀ロウの融点より
も高いため接合部に品質の劣化は全く起こらなかった。
【0039】一方、実施例1において比較のために製造
した従来の銀ロウ付け法による複合放熱基板では、共晶
銀ロウを用いたAl23のセラミックスパッケージング
材料との接合時に複合放熱基板の接合部が再溶融し、段
付き部分の位置ずれや、接合部からのロウ材の流出によ
る接合部での欠陥の発生、接合部での酸化層の生成等が
認められた。
【0040】更に、上記のごとくAl23のセラミック
スパッケージング材料5に組み付けた本発明の複合放熱
基板4について、−65℃×30分〜150℃×30分
のヒートサイクルを1000サイクル行うヒートサイク
ルテストを実施した。しかし、テスト後においても接合
部等に欠陥の発生は認められず、パッケージの気密封止
性にも全く問題は生じなかった。
【0041】又、上記のごとくセラミックスパッケージ
ング材料5に組み付けた本発明の複合放熱基板4の半導
体素子搭載部に半導体素子6を搭載し、ボンディングワ
イヤー8でセラミックスパッケージング材料5の配線と
接続した。本発明による複合放熱基板の熱膨張係数で
は、半導体素子搭載部はSiの半導体素子6と及びパッ
ケージング材料との接合部はAl23のセラミックスパ
ッケージング材料5とそれぞれ近似しているので、15
mm以上の大径の半導体素子6を搭載する場合にも熱膨
張差による熱応力を極力抑制でき、パッケージの気密封
止性にも何ら影響を及ぼさないことが確認できた。
【0042】実施例4 単位基板の材料として10重量%Cu−W複合合金と1
2.5重量%Cu−Mo複合合金を選択し、それぞれの
外径が20×20×1mmと40×40×1mmの外径
寸法の異なる2枚の単位基板を作製した。このCu−W
複合合金及びCu−Mo複合合金からなる各2枚の単位
基板に、下記の方法により金属被覆層をそれぞれ形成し
た。
【0043】単位基板2枚に厚さ5μmのNiメッキ 単位基板2枚に厚さ3μmのCuメッキとその上に厚
さ3μmのNiメッキ 単位基板2枚にスクリーン印刷法による厚さ20μm
のTiメタライズ 単位基板2枚にスパッタリング法による厚さ5μmの
Au蒸着 一方の単一基板に厚さ5μmのCuメッキ、及び他方
の単一基板に厚さ5μmのAuメッキ
【0044】次に、この各2枚の単位基板を互いの金属
被覆層が重なるように積層し、2枚の単位基板の間に
0.5kg/cm2の加圧力をかけながら、バッチ式の炉
を用いて10-6torr以下の真空中1050℃で3時
間加熱した。その結果、それぞれの金属被覆層の固相拡
散により、2枚のCu−W複合合金又はCu−Mo複合
合金からなる段付き形状の複合放熱基板が得られた。
【0045】得られた段付き形状の複合放熱基板各30
枚について、実施例1と同様にして反りの発生状況と接
合層の欠陥率を調べた。反りの平均はいずれも20μm
以下及びその標準偏差は3.0以内であり、充分に規格
を満たしていた。又、接合部の欠陥率については、表5
及び表6に示した。
【0046】
【表5】 (注)各数値は試料30個の平均であり、()内は標準
偏差である。は金属被覆層が一方の単位基板でCuメ
ッキ及び他方の単位基板でAuメッキである。
【0047】
【表6】 (注)各数値は試料30個の平均であり、()内は標準
偏差である。は金属被覆層が一方の単位基板でCuメ
ッキ及び他方の単位基板でAuメッキである。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、2以上の単位基板を重
ねて接合した構造であって、全体に反りがなく且つ接合
部の欠陥が少ない、高品質で信頼性の高い半導体用複合
放熱基板を安価に製造できる。例えば半導体素子が15
mm角よりも小径のため半導体素子と近似した熱膨張係
数の放熱基板でなくてもよい場合でも、段付き形状の放
熱基板は本発明方法によれば機械加工の必要がないの
で、格段のコスト削減と生産性の向上を実現できる。
【0049】本発明の複合放熱基板は接合部の耐熱性に
優れているため、特に放熱量の大きい大径の半導体素子
を搭載するものについても、銀ロウ付け等によりセラミ
ックスパッケージに適用することが可能であり、ワーク
ステーション、サーバー、パーソナルコンピューター等
に大量に使用される半導体用複合放熱基板として適して
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により、応力緩和金属層を介在させ
て2枚の単位基板を接合する一具体例を説明するための
斜視図である。
【図2】本発明方法により製造した複合放熱基板の一具
体例の断面の金属組織を示す顕微鏡写真(200倍)で
ある。
【図3】本発明方法により得られた複合放熱基板をセラ
ミックスパッケージング材料に組み込み、半導体素子を
搭載した状態を示す概略の側面図である。
【符号の説明】
1 第1単位基板 2 第2単位基板 3 応力緩和金属層 4 複合放熱基板 5 セラミックスパッケージング材料 6 半導体素子 7 端子 8 ボンディングワイヤー

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2以上の単位基板を重ねて接合した半導
    体用複合放熱基板の製造方法において、予め各単位基板
    の少なくとも接合に供する面に、拡散係数の高い同一又
    は別の金属からなり且つその融点又は液相形成温度が前
    記複合放熱基板のセラミックスパッケージング材料への
    組み付けに用いる接合材の融点よりも高い金属被覆層を
    形成し、各単位基板を互いの金属被覆層が接触するよう
    に重ねて加圧しながら、非酸化性雰囲気中、還元性雰囲
    気中又は真空中において前記融点又は液相形成温度より
    低い温度に加熱して接合することを特徴とする半導体用
    複合放熱基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属被覆層がCu、Ni、Ag、Au、
    Ti、Cu−Ni、Cu−Au、Au−Ni、Au−A
    g、又はPd−Ag−Cuからなることを特徴とする、
    請求項1に記載の半導体用複合放熱基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 金属被覆層の厚さが1〜10μmである
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体用複
    合放熱基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 単位基板の1つがCu−W複合合金から
    なり、この単位基板の少なくとも接合に供する面のWの
    みをエッチング除去することにより、Cuからなる金属
    被覆層を形成することを特徴とする、請求項1に記載の
    半導体用複合放熱基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 接合時に0.1〜10kg/cm2の加圧
    力で加圧しながら1〜5時間加熱することを特徴とす
    る、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体用複合
    放熱基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記金属被覆層を形成した各単位基板の
    間に、複合放熱基板のパッケージング材料への組み付け
    に用いる接合材の融点よりも高い融点を有し且つ延性に
    富んだ軟質金属からなる応力緩和金属層を介在させるこ
    とを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の半導
    体用複合放熱基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 応力緩和金属層が厚さ0.15〜3.0m
    mの銅であることを特徴とする、請求項6に記載の半導
    体用複合放熱基板の製造方法。
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