JPH08240898A - 熱現像装置、記録装置、及び熱現像方法 - Google Patents

熱現像装置、記録装置、及び熱現像方法

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JPH08240898A
JPH08240898A JP4310695A JP4310695A JPH08240898A JP H08240898 A JPH08240898 A JP H08240898A JP 4310695 A JP4310695 A JP 4310695A JP 4310695 A JP4310695 A JP 4310695A JP H08240898 A JPH08240898 A JP H08240898A
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heat
sheet
endless belt
belt
developable
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JP4310695A
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Kenichi Suzuki
健一 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 現像ムラが少なく、特に医療画像のレーザー
イメージャに適した熱現像装置等を提供する。 【構成】 シート状の乾式銀塩フィルムの現像処理を行
う熱現像装置であって、2つのローラー(112)に張
り渡され乾式銀塩フィルム(110)を加熱搬送するエ
ンドレスベルト(114)と、ヒータ(109、11
7、118)とを有し、エンドレスベルト(114)の
単位面積当たりの熱容量がフィルム(110)の同熱容
量の10倍以上である熱現像装置、これを用いた記録装
置ならびに熱現像方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シート状熱現像型感光
体を加熱することにより現像処理を行う熱現像装置およ
びこれを用いた記録装置ならびに熱現像方法に関し、特
に、医療画像をレーザービームで記録する装置(レーザ
ーイメージャ)で記録されたシートフィルムを熱現像す
るに好適な熱現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザーイメージャーは、CTやMRI
等の診断装置を用いて得られた画像信号をフィルムに記
録する装置である。この様な装置では、入力された画像
信号をレーザービームの強度に変換し、この強度変調さ
れたレーザービームをフィルムに照射することによって
画像の濃度に応じて感光させる。感光されたフィルムは
現像機で現像処理され、画像信号に応じた濃淡の画像フ
ィルムが得られる。
【0003】この医療画像用のフィルムは高い階調性が
要求されることから、銀塩乳剤を塗布されたフィルムを
画像に応じた強度で感光させ(以下単に記録という)、
これを現像液および定着液の中に所定時間浸すことで現
像処理する、いわゆる湿式の現像処理が行われていた。
しかしながら、このような処理は、現像液、定着液等の
化学薬液を使用するため煩雑であり、またこれらの薬液
は一定の処理をすると劣化して使用できなくなるので交
換が必要である。更には、使用後の薬液を廃棄する必要
があり、環境問題を引き起こす等の不都合があった。
【0004】そこで、同様に銀塩乳剤が塗布されたフィ
ルムを使用するが、像露光された後、加熱処理によって
現像する、いわゆる乾式銀塩方式が提案されている。こ
の様なフィルムの一例は、特開昭53−34515号公
報に記載されている。またこの方式に用いることのでき
る熱現像装置は従来より種々提案されている。
【0005】図9は、従来の熱現像装置の一例を示す概
略断面図である。この図9に示す装置は、それぞれ2つ
のローラーに張り渡されたエンドレスベルトを相接する
ように配置し、その間にフィルム(シート状熱現像型感
光体、以下、シートと略称する)を挟持搬送しつつ、そ
の間にシートを加熱現像するものである。図9中、10
1は熱現像装置、102は熱現像装置の内部を覆う隔壁
で、断熱性の材料でできているのが望ましい。103,
104は隔壁102に設けられた開口で、シートが出入
りするためのものである。105,107はそれぞれエ
ンドレスベルト106,108がかけられたローラー
で、少なくとも一つは、不図示の駆動手段により回転駆
動される。109はベルトを熱するためのヒーター、1
10は記録が終了し現像されつつあるシートである。
【0006】図9に示す装置により現像処理を行う場合
は、図の左側からシート110が開口103を通って熱
現像機内に挿入され、ベルトに挟まれて搬送され、開口
104から出てくるまでの間に熱せられ、これにより現
像できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この様
な従来の熱現像装置をレーザーイメージャーに用いる場
合、種々の問題の有ることが分かった。
【0008】まず、記録の終了したシート110を加熱
する際、ヒーター109の温度ムラによりシート110
が一様に加熱されず、現像ムラを生じてしまう。また、
ベルト110に挟持されて搬送される際、シート110
とベルト106、108との密着の度合いが場所によっ
て異なり、ベルト106、108からシート110に伝
わる熱の伝わり方が場所によって異なり、やはり現像ム
ラを生じる。
【0009】図10は、その様な現像ムラを生じる原因
の説明図である。図10中、A部は、ベルト106、1
08とシート110が密着している部分である。このA
部では、ベルト106、108の熱は、実線の矢印に示
す様に直接シート110に伝わる。B部はベルト10
6、108とシート110が密着しておらず、間に隙間
111がある部分である。このB部では、ベルト10
6、108の熱は図の点線の矢印の様に、一旦隙間11
1の空気に伝えられ、この空気の熱がフィルム110に
伝えられる。従って、B部ではA部に比べてシート11
0に伝わる熱の伝わり方が著しく遅く、シート110の
温度上昇が遅くなる。この場合、シート110が熱現像
装置に入ってから出るまでの間にシート110に供給さ
れる熱量が部分によって異なってしまい、現像ムラとな
る。
【0010】これを避けるために、例えば特開昭61−
153650号公報では、加熱部分をベルトのかかって
いる2つのローラーの接線よりも持ち上げ、ベルトを下
側から押し上げることでベルトとシートを密着するよう
にしている。しかしながら、この方法では、加熱部分が
ベルトの裏側と常に接触することになり、ベルトを駆動
するトルクが余分に必要となり、ベルトが磨耗して頻繁
にベルトを交換する必要があり、磨耗片が散乱してフィ
ルムに付着し現像ムラが生じる等の不具合がある。ま
た、この方法では、ヒーターの温度ムラがベルトの温度
ムラを生じさせる問題は解消されない。
【0011】本発明の目的は、上述の従来技術における
課題を解決することにあり、他の問題を生じることなく
現像ムラを防止できる熱現像装置、これを用いた記録装
置、及びこれを用いた熱現像方法を提供することにあ
る。
【0012】
【問題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成できる。
【0013】像様露光の行われたシート状熱現像型感光
体を加熱することにより現像処理を行う熱現像装置であ
って、少なくとも2つのローラーに張り渡され該シート
状熱現像型感光体を加熱しつつ搬送するエンドレスベル
トと、該エンドレスベルトを加熱する加熱手段とを有
し、かつ該エンドレスベルトの単位面積当たりの熱容量
が該シート状熱現像型感光体の単位面積当たりの熱容量
の10倍以上であることを特徴とする熱現像装置。
【0014】シート状熱現像型感光体の像様露光を行な
う手段と、本発明の熱現像装置とを有する記録装置。
【0015】像様露光の行われたシート状熱現像型感光
体を加熱することにより現像処理を行う熱現像方法であ
って、少なくとも2つのローラーに張り渡され該シート
状熱現像型感光体の単位面積当たりの熱容量の10倍以
上の単位面積当たりの熱容量を有するエンドレスベルト
を用い、該シート状熱現像型感光体を加熱しつつ搬送し
て熱現像することを特徴とする熱現像方法。
【0016】
【作用】本発明においては、熱現像装置のエンドレスベ
ルトの単位面積当たりの熱容量を、現像しようとするシ
ート状熱現像型感光体の単位面積当たりの熱容量の10
倍以上という大きな値にした結果、加熱されたエンドレ
スベルトの温度分布を均一化でき、現像ムラを防止でき
る。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0018】図1は、本発明の熱現像装置の第一実施例
を示す概略断面図である。図1において、101は熱現
像装置、102は熱現像装置の内部を覆う隔壁で、断熱
性の材料でできているのが望ましい。112は、ローラ
ーで、いずれか一方は不図示の駆動手段により回転駆動
される。ローラー112は中が空洞になっていて、空洞
の中に加熱手段(ヒーター)113が設けられ、ローラ
ー112を熱するようになっている。114は、2つの
ローラー112に張り渡されたエンドレスベルトで、そ
の幅(シート進行方向と直交方向の幅)は現像するフィ
ルムであるシート状熱現像型感光体(すなわち乾式銀塩
フィルム。以下シートと略称する)110の最大幅より
も長くして十分な加熱ができる様にしてある。
【0019】115,116は、シート110を挟持搬
送する対になったローラーである。109は、ベルト1
14がシート110と接している部分の裏側を加熱する
ように配置した第一のベルト加熱手段である。117
は、ベルト114がシート110と接していない部分の
裏側を加熱するように配置した第二のベルト加熱手段で
あり、118は、ベルト114がシート110と接して
いない部分の表側も加熱するように配置した第三のベル
ト加熱手段である。これらの加熱手段113,109,
117,118は、必ずしも全て設ける必要はなく、一
部のみ設けても良い。ローラー115,116、ベルト
114の周速は等しくなるように制御されている。12
1,122は非接触式の温度センサーであり、ベルト1
14の表面の温度を検出するようになっている。接触式
のセンサーを用いても良い。センサーは1つでも良く、
また3つ以上でも良い。センサーで検出された温度は、
不図示の制御手段に送られ、各ヒーターの加熱温度を適
宜制御することによりフィードバック制御を行い、ベル
ト114の温度を所定の温度範囲内に入れるようにす
る。
【0020】不図示のスイッチにより熱現像装置の作動
を指示すると、ローラー112が回転を始めると共に、
ヒーター109,113,117,118がベルト11
4の加熱を始める。ベルト114が所定の温度範囲に達
したら、記録(像様露光)を終了したシート110を、
ローラー115により、開口103より熱現像機101
に送り、ベルト114により加熱しつつ搬送し、開口1
04よりローラー116により熱現像装置101から引
き出す。
【0021】図1に示す第一実施例において、エンドレ
スベルト114は耐熱性でかつ弾力性のある材料、例え
ばシリコンゴムでできている。このエンドレスベルト1
14の単位面積当たりの熱容量は、シート110の単位
面積当たりの熱容量の10倍以上である。ここで単位面
積当たりの熱容量とは、図2に示す様に、表面の面積が
単位面積Sでありかつ厚さがベルト114またはシート
110の厚さに等しい直方体が有する熱容量を意味す
る。この熱容量は、例えば、1cm3 を1℃上昇させる
のに必要な熱量を測定する等して求めればよい。
【0022】また、通常の乾式銀塩方式のシート状熱現
像型感光体、すなわち乾式銀塩フィルムの1cm2 当た
りの熱容量は、一般に0.01J/℃〜0.07J/℃
であり、望ましくは0.02J/℃〜0.05J/℃で
ある点から、本発明に用いるエンドレスベルトの単位面
積当たりの熱容量も具体的には、0.1J/℃〜0.7
J/℃程度以上、望ましくは0.2J/℃〜0.5J/
℃程度以上にすればよい。
【0023】次に、この様にベルト114の単位面積当
たりの熱容量を大きくすることにより、従来の問題を解
決できる理由について詳細に説明する。
【0024】まず、図1に示した装置においてヒーター
109が無い場合を考えると、ヒーター113,11
7,118であらかじめ加熱されたベルト114の一部
分がシート110に接触することにより、ベルト114
に接し初めてから接し終わるまでの間、このベルト11
4の熱がシート110に伝わる。このベルト114がシ
ート110に接している間は、加熱手段から熱がこの部
分に供給されず、ベルト114からフィルム110に熱
が伝わるだけである。この場合は、ベルト114の一部
分がシート110に接している間にもこの部分にヒータ
ーから熱を供給される場合(すなわち、ヒーター109
が有る場合)と比較して、ヒーターの熱がベルト114
に伝えられてからシート110に伝えられるまで時間が
かかり、この間に熱が拡散してベルト114中の温度の
ムラが小さくなり、ベルト114からシート110に伝
えられる熱の不均一が少なくなる。
【0025】このベルト114の温度ムラの状態を図3
に示す。図3(a)は、ベルト114の裏側からヒータ
ー109で熱した場合のベルトのある断面の表面の温度
分布を示し、tは温度、xは図1の奥行き方向の座標を
示す。図3(b)は、ヒーター109が無い場合で、ベ
ルト114が加熱手段を離れてある時間がたった後のベ
ルトの温度分布を示す。図3(a)では温度ムラが大き
いが、図3(b)では熱が拡散によって均一化してい
る。
【0026】しかしながら、図3(b)の場合、ベルト
の熱容量がシートに比べてあまり大きくない従来のベル
トでは、ベルトから熱がシートに奪われて、シートを十
分に加熱できない。例えばシートの最初の温度をt10
ベルトの最初の温度をt20、シートとベルトの温度が同
じになったときの温度をtとし、シートとベルトの単位
面積当たりの熱容量をa1 ,a2 とすると、概略次式が
成り立つ。
【0027】 t=(a1 ・t10+a2 ・t20)/(a1 +a2 ) 上記式に従うと、例えば、a1 =a2 、t=120℃、
10=20℃とした場合は、t20=220℃になる。こ
れでは、ベルトの耐熱性がより要求され、またシートが
一時的に所定温度120℃より著しく高い温度となって
しまい、シートの乳剤や基材に悪影響を及ぼす。一方、
本発明においては、a2 がa1 の10倍以上と高く、例
えば、a1 ×10=a2 とした場合は、同じ条件でもt
20=130℃で良くなる。すなわち、本発明において
は、ベルト114の温度をあまり高温にしなくても熱現
像が可能であり、上述の悪影響を著しく少なくできるの
である。
【0028】次に、ヒーター109が有る場合を考え
る。この場合は、ヒーター109の熱がベルト114を
介してシート110に伝えられるが、本発明においては
ベルト114の熱容量が十分大きいので、ヒーター10
9の熱がシート110に伝えられるまで時間がかかり、
この間にヒーター109の温度ムラが拡散して、シート
110には均一に熱が伝えられる。これも図3で定性的
に説明できる。この場合は、図3(a)はベルト114
のある断面のヒーター109に面する側(裏側)の温度
分布であり、図3(b)はベルト114の同じ断面のシ
ート110に接する側(表側)の温度分布である。すな
わち本発明においては、ベルト114の熱容量が大きい
ので、ベルト114の裏側から表側に熱が伝わる間に熱
が拡散され、温度分布を均一化でき、現像ムラを防止で
きるのである。
【0029】次に、本発明に用いるエンドレスベルトの
変形例について説明する。
【0030】図4(a)は、そのエンドレスベルトの一
変形例を示す断面図である。図4(a)中、119は可
とう性でありかつ伸縮性の小さい部材から成る層であ
り、120は耐熱性の弾性部材から成る層であり、エン
ドレスベルト114は層119の両面に層120が積層
された三層構成から成る。このエンドレスベルト114
の幅は、前述した例と同様に、熱現像すべきシートの最
大幅よりも長くなっている。また、このエンドレスベル
ト114自体の単位面積当たりの熱容量は、熱現像すべ
きシートの単位面積当たりの熱容量の10倍以上であ
る。
【0031】ここで、エンドレスベルト114の単位面
積当たりの熱容量をシート110の単位面積当たりの熱
容量の10倍以上にするには、エンドレスベルト114
の材料として単位体積当たり熱容量がシート110と同
程度の材料を使った場合は、例えば、シート110の厚
さが0.1〜0.2mmとすると、ベルト114の厚さ
を1〜2mm以上とかなり厚くする必要がある。この場
合、図1に示す様に配設しエンドレスベルトとしての機
能を良好に果たすには、弾力のある部材を用いる必要が
ある。
【0032】ところが、弾力のある部材だけを用いてベ
ルト114を構成すると、例えば、ローラー112の片
方のみが駆動ローラーであり、他方のローラーはベルト
114を介して駆動回転させられる場合には、ベルト1
14が伸縮して正確に回転速度を伝えることができな
い。また、両方のローラー113が駆動ローラーである
場合でも、ベルト114は回転中に部分的に伸縮して、
ベルト114の周速が部分的に不均一になり易いという
問題が生じる。
【0033】そこで図4(a)に示すエンドレスベルト
114においては、可とう性であり伸縮性の小さい部材
から成る層(例えばポリエステルシート)119を芯材
として用い、その層の両面に耐熱性の弾性部材(例えば
シリコンゴムや、シリコンゴムを発泡させた部材)から
成る層120を積層して構成し、これによりエンドレス
ベルト114全体としては伸縮性が小さく、しかもベル
ト114の厚さが比較的厚くても可とう性の良いベルト
にしてある。したがって、図4(a)に示すエンドレス
ベルト114を用いれば、前述のベルトの伸縮による周
速の不均一等の不都合が無くなり、より良好な熱現像が
可能となる。ここで、層119はポリエステルシートに
限定されず、同様に適度な可とう性と伸縮性を有する部
材であって、前述の作用効果を奏する材料ならば公知の
種々の材料を適宜用いることができる。また、層120
についても同様にシリコンゴム類に限定されず、適度な
弾性を有する部材であって、前述の作用効果を奏する材
料ならば公知の種々の材料を適宜用いることができる。
【0034】図4(b)に示すエンドレスベルト114
は、可とう性でありかつ伸縮性の小さい部材から成る層
119はシートに接するべき側に位置し、耐熱性の弾性
部材から成る層120はシートに接しない側に位置した
二層構成から成る。このエンドレスベルト114も、図
4(a)に示した例と同様に、幅がシートの最大幅より
も長く、またエンドレスベルト114自体の単位面積当
たりの熱容量はシートの単位面積当たりの熱容量の10
倍以上である。
【0035】図4(a)に示すエンドレスベルト114
により、周速の不均一は解消されるのは先に述べた通り
である。しかし、芯材の外側の層120に着目すると、
ローラー112にかかっている部分では張力がかかるの
で伸ばされ、ローラー112にかかっていない部分(一
方のローラーと他方のローラーの中間部分)では張力の
影響が少なくなるので、伸ばされていたものが元に戻る
傾向を示す。すなわち、微視的には周速の不均一があ
り、これによりシート搬送中にシート110の速度と部
分的に不一致となり、シート110との間で部分的に摺
接することになる。したがって、表面が摺接に弱いシー
トを現像しようとする場合は、この部分的摺接によりシ
ートに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0036】図4(b)に示すエンドレスベルト114
は、この点に鑑み改良されたものである。すなわち、エ
ンドレスベルト114のシート110に接する側の面
が、伸縮性の小さい部材から成る層119で構成されて
いるので、シートとの間の摺接が生じ難く、シート11
0への悪影響を防止できる。また更に、先に述べた様に
耐熱性の弾性部材から成る層120は代表的にはシリコ
ンゴム層であるが、図4(b)に示すエンドレスベルト
114を用いれば、ゴムが直接シートに接することが無
く、フィルムへの影響を無くす点からも望ましい。また
同じ理由から、シート110に接する層119は、例え
ばポリエステルシートの様にシートに化学的影響を及ぼ
すことの少ない材質とすることが望ましい。
【0037】図5は、図4(b)で示したエンドレスベ
ルト114の簡単な製法を示す図である。まず、図5に
示す様に、可とう性でありかつ伸縮性の小さい部材から
成る層119と、耐熱性の弾性部材から成る層120と
を、それぞれ円筒状の形状で作製する。この様な円筒状
部材の作製は、通常の製法により容易に行なえる。次
に、円筒状の層119の中に円筒状の層120を押し込
み、必要によっては接着することにより、図4(b)に
示す様な2層構成のエンドレスベルト114が簡単に得
られる。
【0038】図6は、本発明の熱現像装置の第二実施例
を示す概略断面図である。この第二実施例においては、
図1に示した第一実施例におけるローラー、ベルト、ヒ
ーターの組がもう一つ設けられていて、シート110が
二つのエンドレスベルト114,214に挟持されて搬
送される構成になっている。すなわち、図6中、21
2,213,214,217,209,218,12
1’,122’は、それぞれ図6中の112,113,
114,117,109,118,121,122と同
様の機能の部材である。
【0039】図1に示した第一実施例においては、シー
ト110はエンドレスベルト114の上に自重で乗って
いるだけなので、シート110にカーリングがある場合
等、シート110とベルト114の接触状態が不均一に
なる可能性がある。
【0040】一方、図6に示す第二の実施例では、シー
ト110を2つのエンドレスベルト114,214で挟
持搬送しながら加熱するので、より均一な加熱が可能と
なる。更に、本発明に用いるエンドレスベルトのベルト
厚は比較的厚くする必要上、従来のものと比較してベル
トの腰が強くなる。その結果、より均一にシート110
を挟持できる。また更に、各エンドレスベルト114,
214を図5に示した製法に従い予め円筒状に作製し、
図6に示した様に各ローラー112,212に張り渡し
た時に、その各ローラー112,212のそれぞれのロ
ーラー間距離を適当に調節することにより、ベルト11
4,214の張力を調整でき、これにより、図6の2点
鎖線に示す様にベルト114,214がローラー間の中
間で外に膨らむようにすることもできる。この様な状態
で、図6に示す様に各ベルト114,214を相接する
ように配置すると、ベルトが互いに押し付け合う様にな
り、シート110を挟持搬送するとベルト114,21
4がシート110を押し付けることになり、ベルト11
4とシート110の密着が更に良くなり、接触面積が大
きくなり熱が伝わり易くなる。また、図10に示した様
な空気層(隙間111)の発生も防止でき、熱の伝達が
更に均一になる。
【0041】図6に示す第二の実施例においても、図4
(a)(b)に示したエンドレスベルトを使用すること
により、同様の効果が得られる。とりわけ、内側の弾力
性のある部分が圧縮を受ければ、この反発力により先に
述べたベルト114,214同士の押し付け効果が更に
著しく望める。
【0042】図7は、本発明の記録装置の実施例を示す
概略断面図である。図7中、11は画像記録装置であ
り、シートが通過するための開口12aを除き、カバー
12により光密に覆われている。13,14は隔壁であ
り、シートの通過する部分およびガイド板の部分に開口
14aが設けられている。開口12aから入る光は隔壁
13で遮られるようなっている。隔壁14は、熱現像部
(本発明の熱現像装置を備えた部分)の熱が光学ユニッ
トやマガジン、記録部に伝わるのを防いでいる。画像記
録装置11はまた、積層された未使用のフィルムである
シート状熱現像型感光体(不図示)を収納するサプライ
マガジン15を内蔵する。
【0043】このシート状熱現像型感光体フィルム(シ
ート)の表面には、銀塩乳剤層が設けられていて、この
乳剤層に微少レーザービームを当てることにより潜像が
形成され、これを熱現像することにより画像が形成され
る(レーザービームを当てて潜像を形成することを、記
録と略称する)。サプライマガジン15は、シートを感
光することなく内包したまま装置の外に取り出すことが
でき、かつ装置に装填することができる。また、サプラ
イマガジン15には不図示のシャッターが設けられ、不
図示の機構によりサプライマガジン15の中に積層され
た未使用シートの最上の一枚をサプライマガジン15の
外に取り出し、このシートの先端を搬送ローラー対1
8,19に挿入するようになっている。
【0044】更に、ローラー18は、不図示の機構によ
りシート搬送路より図中点線で示した位置に退避するこ
とができる。37と38、41と42、80と81は、
シートを挟持搬送するために各々対になったローラーで
ある。ローラー37は、不図示の駆動手段により図中点
線で示した位置に移動可能となっている。
【0045】20,21,35,36,39,40,4
3,44,78,79は各々対になったガイド板であ
り、搬送の際のシートの位置と進行方向を規制する。シ
ートにはある程度腰の強さがあるので、ローラー対でシ
ートを搬送することにより、シート先端は各ガイド板に
沿って移動する。22〜25は、不図示の駆動源および
動力伝達手段によりフィルムを挟持し図中下方向に搬送
することで副走査を行う副走査ローラーである。これら
副走査ローラー22〜25は、高精度のサーボをかけ、
均一なスピードで回転する様配慮されている。
【0046】27は光学ユニットであり、副走査ローラ
ー23,25の間のシートに光ビームLをシート搬送方
向と略直交する方向に偏向走査することで主走査を行
う。26’は、カバーに設けられた開口であり、光ビー
ムが通過出来るようになっている。図8は、図7に示し
た光学ユニット27の部分詳細図である。図8中、26
は光学ユニットを覆うカバーであり、光学ユニットを保
護すると共に、埃が入らないようにする。28はレーザ
ーで、画像データに応じて強度変調された光ビームを照
射する。29,30,33,34はレンズで、光ビーム
を所定の特性に変換する。32は回転多面鏡で、モータ
ー31によって所定のスピードで回転することによっ
て、光ビームLを略扇形の軌跡を描く様にスキャンさせ
る。スキャン角αをあまり大きくとると、光学系の収差
等の影響によりビームの形状が変形したり焦点ずれが大
きくなるなどの影響がでるので、スキャン角は通常30
〜40度程度にとる。従って、回転多面鏡で反射された
光が、シートに到達するまでに通過する経路(スキャン
面)の光の進行方向の長さAは、35cmx43cmの
シートを35cmの方向にスキャンする場合、有効幅W
を33cmとして、略45〜50cmの程度で、シート
の進行方向の長さと同程度以上になる。
【0047】図7中、101は熱現像装置であり、図1
や図6に例示した本発明の熱現像装置が好適に用いられ
る。ここでは縦に配置されている。また、82はファン
で、記録装置の中の空気を外に排出するようになってい
る。
【0048】次に、図7に示した記録装置を用いた記録
方法、熱現像方法を説明する。不図示の電源スイッチを
入れると、熱現像装置のエンドレスベルトが回転を始め
ると共に熱現像装置のヒーターが作動し、熱現像装置内
のエンドレスベルトを加熱する。このベルトが回転しな
がら加熱することにより、均一な加熱ができる。ベルト
が所定の温度範囲に達すると、不図示の表示手段により
記録可能状態が表示される。
【0049】ここで不図示の指示手段により記録を指示
すると、不図示の手段がサプライマガジン15の最上の
シートを取り出す。このときローラー18は実線の位置
にあり、シートの先端はローラー18,19の間に挟み
込まれる。次いでローラー18,19が回転し、これに
伴ってシートはガイド板20,21に沿って移動し、副
走査ローラー22,23の間に挟み込まれる。次いでロ
ーラー18,37が点線の位置に移動し、副走査ローラ
ー22〜25が回転を始める。この直後、光学ユニット
15が画像信号により変調されたレーザービームを照射
し、記録が行われる。次いで副走査を行いながら、シー
ト先端はガイド板35,36に沿って移動する。次いで
シート後端が副走査ローラー24,25から離れる直前
に、レーザービームの照射を完了する。
【0050】この後、ローラー37が実線の位置に移動
し、シートはローラー37,38に挟みこまれ、そのま
ま右方向に送られる。ここで、あるいはこれに先だっ
て、ローラー41,42,115,116,80,81
が回転を始め、引き続きシートはガイド板39,40,
43,44,78,79に沿って送られ、この間にシー
トは現像機101で加熱現像され、開口12aより排出
される。
【0051】連続して記録現像を行なう場合は、引き続
いて同じ動作を繰り返す。あるいは、記録中にシートの
後端がローラー24,25を通過したら、次のシートの
取り出し動作を始めてもよい。これにより、単位時間当
たりのシートの処理枚数(スループット)が向上する。
この間、ベルトは所定の温度を維持するように制御さ
れ、もし所定の温度を外れたことが検出されたら、シー
トが通過中であればそのシートを排出した後、次のシー
トをローラー115の手前で停止させ、ベルトが所定の
温度になってから再びフィルムを搬送する。
【0052】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、乾式銀塩フ
ィルム等のシート状熱現像型感光体を現像ムラ無く良好
に熱現像できる。
【0053】本発明の熱現像装置は、この様な効果を奏
する故に、特に乾式銀塩システムを用いた医療画像等の
レーザーイメージャーに使用するに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱現像装置の第一実施例を示す概略断
面図である。
【図2】熱容量に関する説明図である。
【図3】エンドレスベルトの温度分布を示すグラフであ
る。
【図4】エンドレスベルトの変形例を示す断面図であ
る。
【図5】エンドレスベルトの製法例を示す図である。
【図6】本発明の熱現像装置の第二実施例を示す概略断
面図である。
【図7】本発明の記録装置の実施例を示す概略断面図で
ある。
【図8】図7に示す装置の光学ユニットの部分詳細図で
ある。
【図9】従来の熱現像装置の一例を示す概略断面図であ
る。
【図10】従来の熱現像装置において現像ムラを生じる
原因の説明図である。
【符号の説明】
11 画像記録装置 27 光学ユニット 101 熱現像装置 102 隔壁 110 シート状熱現像型感光体 112、212 ローラ 114、214 エンドレスベルト 109、113、117、118 ヒーター 121、122、121’、122’ 温度センサー 119 可とう性でありかつ伸縮性の小さい部材から成
る層 120 耐熱性の弾性部材から成る層 209、213、217、218 ヒーター

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 像様露光の行われたシート状熱現像型感
    光体を加熱することにより現像処理を行う熱現像装置で
    あって、少なくとも2つのローラーに張り渡され該シー
    ト状熱現像型感光体を加熱しつつ搬送するエンドレスベ
    ルトと、該エンドレスベルトを加熱する加熱手段とを有
    し、かつ該エンドレスベルトの単位面積当たりの熱容量
    が該シート状熱現像型感光体の単位面積当たりの熱容量
    の10倍以上であることを特徴とする熱現像装置。
  2. 【請求項2】 該エンドレスベルトのシートの幅は、該
    シート状熱現像型感光体の最大幅よりも長い請求項1記
    載の熱現像装置。
  3. 【請求項3】 該エンドレスベルトは、耐熱性の弾性部
    材から成る層を含んで成る請求項1または2記載の熱現
    像装置。
  4. 【請求項4】 該耐熱性の弾性部材は、シリコンゴムで
    ある請求項3記載の熱現像装置。
  5. 【請求項5】 該エンドレスベルトは、可とう性であり
    かつ伸縮性の小さい部材から成る層を更に含んで成る請
    求項3記載の熱現像装置。
  6. 【請求項6】 該可とう性でありかつ伸縮性の小さい部
    材から成る層は、ポリエステルシートである請求項5記
    載の熱現像装置。
  7. 【請求項7】 該可とう性でありかつ伸縮性の小さい部
    材から成る層はシート状熱現像型感光体に接するべき側
    に位置し、該耐熱性の弾性部材から成る層はシート状熱
    現像型感光体に接しない側に位置する請求項5記載の熱
    現像装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも2つのローラーに張り渡され
    た第1のエンドレスベルトと、少なくとも2つのローラ
    ーに張り渡された第2のエンドレスベルトとを有し、第
    該1のエンドレスベルトと該第2のエンドレスベルトは
    シート状熱現像型感光体を挟持し加熱しつつ搬送できる
    様に相接配置され、かつ該第1のエンドレスベルトおよ
    び該第2のエンドレスベルトのうち少なくとも一方の単
    位面積当たりの熱容量が該シート状熱現像型感光体の単
    位面積当たりの熱容量の10倍以上である請求項1〜7
    の何れか一項記載の熱現像装置。
  9. 【請求項9】 シート状熱現像型感光体の像様露光を行
    なう手段と、請求項1〜8の何れか一項記載の熱現像装
    置とを有する記録装置。
  10. 【請求項10】 未使用のシート状熱現像型感光体を積
    層収納する収納手段と、該収納手段から取り出した該シ
    ート状熱現像型感光体に対し主走査方向に記録走査を実
    行する光学ユニットと、該主走査方向と交差する方向に
    副走査を行う手段とを有する請求項9記載の記録装置。
  11. 【請求項11】 像様露光の行われたシート状熱現像型
    感光体を加熱することにより現像処理を行う熱現像方法
    であって、少なくとも2つのローラーに張り渡され該シ
    ート状熱現像型感光体の単位面積当たりの熱容量の10
    倍以上の単位面積当たりの熱容量を有するエンドレスベ
    ルトを用い、該シート状熱現像型感光体を加熱しつつ搬
    送して熱現像することを特徴とする熱現像方法。
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