JPH08239725A - 銀−錫酸化物複合材料 - Google Patents

銀−錫酸化物複合材料

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JPH08239725A
JPH08239725A JP8073257A JP7325796A JPH08239725A JP H08239725 A JPH08239725 A JP H08239725A JP 8073257 A JP8073257 A JP 8073257A JP 7325796 A JP7325796 A JP 7325796A JP H08239725 A JPH08239725 A JP H08239725A
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silver
tin
oxide
tin oxide
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JP8073257A
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Akira Shibata
昭 柴田
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温における強度に優れ、電気接点材料、電気
溶接用電極材料として有用である材料の提供。 【解決手段】銀母基質中に、金属換算で、 (a)1〜20重
量%の錫酸化物、場合によってはさらに (b)0.01〜8重
量%の Mg, Zr, Ca, Al, Ce, Cr, Mn 及び Ti の少なく
とも1種の酸化物、及び/又は (c)0.01〜15重量%の C
d, Sb, In, Bi, Zn 及び鉄族金属の少なくとも1種の酸
化物が、粒径 0.1μm以下の微粒子状態で、かつ均一
に、空隙のない密着した状態で分散している複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀−錫酸化物複合
材料に関し、特に電気接点材料、溶接用電極材料等とし
て好適な銀−錫酸化物複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】銀に酸化錫を添加した銀−錫酸化物複合
材料は、強度が大きく向上するため、大気中で使用され
る交流、直流用リレー、開閉器、電流遮断器等の電気接
点材料として使用され、特に中負荷用開閉電気接点材料
として適したものとして使用されている。従来、銀−錫
酸化物複合材料は、銀−錫合金を内部酸化させる方法、
銀粉末と錫酸化物粉末を粉末冶金法で焼結させる方法に
よって製造されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の内部酸化法は、
銀−錫の固溶合金をその融点以下で加熱し、酸素分圧を
高めることによって酸素を合金中に拡散させ、酸素親和
力が相対的に高い錫を酸化錫として銀母基質中に微粒子
として析出させるものである。しかし、この内部酸化法
によって製造することができる複合材料は銀含有量約4
重量%程度までが限界である上に、酸素の固溶合金中へ
の拡散速度が極めて小さいため製造に長時間を要すると
いう不利がある。酸化錫の含有量を約4重量%より大き
くするには、酸化速度を高める必要があり、In, Bi等の
酸化を促進する元素を添加して内部酸化に供することが
行われている。しかし、この場合でも例えば、片面より
約2mm厚の合金層を酸化するのに要する時間は約1カ月
の長時間であった。
【0004】また、内部酸化によると、酸素の固溶合金
中への拡散量が表面から深さの二乗に反比例して減少す
るので、表面に近いところほど酸化錫粒子が緻密となる
反面、深部では粗大な酸化錫粒子が低濃度で存在する合
金相が生じることは避けがたい。したがって、得られる
銀−錫複合材料は、酸化錫粒子の分布が不均一であるば
かりでなく、その粒径も不均一で深くなるほど大きくな
る。このように酸化錫粒子の粒径が不揃いでしかも偏析
しているために、得られる複合材料の強度の向上には限
界があり、一層の改良が求められていた。
【0005】粉末冶金法による銀−錫酸化物複合材料の
製造は、耐熱性の高い SnO2 粉末と銀粉末を銀の固相温
度で焼結するものであるため、銀相と錫酸化物粒子との
間に強い結合は得られないし、錫酸化物が有する結晶構
造の欠陥も改善されない。したがって、得られる焼結体
は機械的強度、特に高温での強度が低く、これは熱間押
出、鍛造等の後処理を施しても改良することができな
い。かかる粉末焼結法による銀−錫酸化物複合材料の改
良方法として、低級酸化物を形成するW, Mo 等の添加が
試みられているが、逆に接点材料として用いたときに接
触抵抗を増し、又溶着し易くなるため殆ど改良は期待で
きない。また、MnO, CaO, ZrO 等の耐熱性酸化物の添加
による改良が考えられるが、これらは焼結性を損なう結
果焼結体の機械的な強度はかえって低下する。
【0006】そこで、本発明の課題は、錫酸化物微粒子
が銀母基質と良好な濡れ状態で結合し、銀母基質中に均
一に分散してなる銀−錫酸化物複合材料を提供すること
になる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、銀−錫系の内
部酸化を行う際に、系を液相と固相の共存する状態にお
くことによって、酸素の拡散速度を高めることができ、
しかも目的とする錫酸化物微粒子が銀母基質と良好な濡
れ状態で結合し、銀母基質中に均一に分散してなる銀−
錫酸化物複合材料を得ることができることを見出した。
【0008】銀−錫酸化物複合材料 すなわち、本発明は、銀母基質と、(a) 金属換算で1〜
20重量%の錫酸化物と、場合によっては存在する(b) 金
属換算で0.01〜8重量%のMg、Zr、Ca、Al、Ce、Cr、Mn
及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の
酸化物及び/又は(c) 金属換算で0.01〜15重量%のCd、
Sb、In、Bi、Zn及び鉄族金属からなる群から選ばれる少
なくとも1種の元素の酸化物とからなり、(a) の錫酸化
物、及び場合によっては存在する前記(b) 及び/又は前
記(c) の元素の酸化物が硬質で緻密な結晶構造を有する
微粒子状態で銀母基質の表面から深部に到るまで該銀母
基質と良好な濡れ性を有する結合状態で該銀母基質中に
均一に分散されている銀−錫酸化物複合材料を提供す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の複合材料が錫酸化物のほ
かに前記(b) の元素の酸化物及び/又は前記(c) の元素
の酸化物を含有する場合には、通常、これらの酸化物は
共役酸化物(即ち、複合酸化物)を形成して存在してい
る。
【0010】本発明の複合材料は高温における強度が優
れ、例えば大気中で使用される交流、直流用リレー、開
閉器、電流遮断器等の電気接点材料として有用である。
特に、上記(b) の元素の酸化物は複合材料の耐熱性を高
めるので、(b) の金属酸化物を含むものは例えば電気溶
接用電極材料として適する。また、(c) の金属は後述す
るように製造方法において錫などの酸化を促進させる作
用を有するほか、この酸化物は錫などと共役酸化物を形
成して低電流領域における接触抵抗の安定化に有効であ
る。
【0011】本発明の複合材料は、(a) 錫及び、場合に
よっては存在する(b) 及び/又は(c) の元素を含む場合
には、(a) の元素及び(b) 、(c) の元素の酸化物を合計
で約50重量%以下が実用的で、好ましくは約30重量%以
下である。約50重量%を超えると複合材料の導電性が損
なわれる。
【0012】以下に説明するように、本発明の複合材料
としては、種々の態様があげられる。いずれの態様の場
合も、(a) 錫酸化物、及び態様によって存在する前記
(b) の元素の酸化物及び/又は(c) の元素の酸化物は上
述した状態で均一に銀母基質中に分散している。
【0013】本発明の複合材料の第一の態様では、該複
合材料は、銀母基質と、金属錫換算で1〜20重量%量の
錫酸化物とからなる。
【0014】本発明の複合材料の第二の態様では、該複
合材料は、銀母基質と、(a) 金属錫換算で1〜20重量%
量の錫酸化物と、(b) 金属換算で0.01〜8重量%の、M
g、Zr、Ca、Al、Ce、Cr、Mn及びTiからなる群から選ば
れる少なくとも1種の元素の酸化物とからなり、これら
の(a) 及び(b) の酸化物が共役酸化物を形成している。
【0015】本発明の複合材料の第三の態様では、銀母
基質と、(a) 金属錫換算で1〜20重量%量の錫酸化物
と、(c) 金属換算で0.01〜15重量%のCd、Sb、In、Bi、
Zn及び鉄族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種
の元素の酸化物とからなり、これらの(a) 及び(c) の酸
化物が共役酸化物を形成している。
【0016】本発明の第四の態様では、銀母基質と、
(a) 金属錫換算で1〜20重量%量の錫酸化物と、(b) 金
属換算で0.01〜8重量%の、Mg、Zr、Ca、Al、Ce、Cr、
Mn及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素
の酸化物と、(c) 金属換算で0.01〜15重量%のCd、Sb、
In、Bi、Zn及び鉄族金属からなる群から選ばれる少なく
とも1種の元素の酸化物とからなり、これらの(a) 、
(b) 及び(c) の酸化物が共役酸化物を形成している。
【0017】上記の第二〜第四の態様においては、通
常、形成された共役酸化物は、通常硬質で緻密な結晶構
造を有し、粒径 0.1μm以下の微粒子状態で銀母基質の
表面から深部に到るまで該銀母基質と良好な濡れ性を有
する結合状態、即ち、空隙のない密着した結合状態で該
銀母基質中に均一に分散されている。
【0018】製造方法 本発明の複合材料は次の方法により製造することができ
る。この方法においては、銀及び錫を含む出発材料が液
相と固相が共存する状態に置かれる。この状態において
は系の一部が液相状態で存在しているが、この液相部が
酸素の良好な運搬経路の役割を演じるため、従来の内部
酸化法に比較して速やかな酸素の拡散が行われ、表面か
ら深部に到るまで比較的短時間で均一な酸化が進行す
る。
【0019】この方法は、(A) 銀と、(a) 金属換算で1
〜20重量%の金属状及び/又は酸化物状の錫と、並びに
場合によってはさらに(b) 金属換算で0.01〜8重量%の
金属状及び/又は酸化物状のMg、Zr、Ca、Al、Ce、Cr、
Mn及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素
及び/又は(c) 金属換算で0.01〜15重量%の金属状及び
/又は酸化物状のCd、Sb、In、Bi、Zn及び鉄族金属から
なる群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有する
混合物を、加熱し、かつ酸素分圧を高めることにより液
相と固相が共存する状態に置き、これにより金属状のも
のが存在する場合には錫、並びに場合によって存在する
前記(b) の元素及び/又は前記(c) の元素の金属状のも
のの全量を酸化物として析出させる工程、及び(B) 次に
このように処理された混合物を冷却しかつ酸素分圧を低
下させる工程を有する。
【0020】この方法において、(A) 工程で出発材料と
して使用される混合物は、例えば銀、錫、並びに場合の
よっては必要に応じさらに添加される前記(b) の元素及
び/又は前記(c) の元素からなる合金の状態でもよい
し、粉末冶金法により作製された焼結体の状態でもよ
い。前記(b) の元素は酸素との親和性が高く、析出する
酸化物粒子の微細化に有効であり、その結果得られる複
合材料の耐火性を向上させる働きがある。錫が比較的少
なく、(b) の元素の含有量が多い混合物は一般に酸化が
困難であるが、この方法によれば容易に酸化が進行し、
耐火性が高く、溶接用電極材料として好適な複合材料が
得られる。前記(c) の元素は酸化促進に有効である。複
合材料に含有せしめ得る酸化物の量にはほとんど制限は
ないが、前記のように通常50重量%以下である。
【0021】出発混合物として使用する焼結体として
は、例えば銀粉末と、銀、錫、及び必要に応じてさらに
前記(b) の元素及び/又は前記(c) の元素からなる合金
粉末とから製造された焼結体が挙げられる。
【0022】また、出発混合物としての上記の焼結体と
しては、銀粉末と、(a) 錫、及び前記(b) 及び/又は
(c) からなる合金粉末とから製造された、焼結体も挙げ
られる。
【0023】上記の方法を実施する際には、合金又は焼
結体である混合物の表面を銀又は銀を主体とする銀合金
(他の成分金属が1重量%以下の低濃度)で被覆するの
が好ましい。というのは、錫を5〜20重量%含有する銀
混合物に高酸素圧を適用すると表面に SnO2 が集積し、
酸素の混合物内部への透過、侵入を妨げる恐れがある。
これを防止するためには酸素分圧を目標値まで徐々に高
めていくことが必要で、酸化処理に長時間を必要とする
ことになる。しかし、上記のような被覆を予め施してお
くことにより表面層での SnO2 の集積を防止することが
できるので、最初から必要な酸素圧で処理を開始するこ
とができ、酸化処理を短時間で終えることができる利点
がある。
【0024】この方法において、出発混合物として、錫
1〜20重量%で、残部銀からなる銀混合物を使用するこ
とにより、前記第一態様の複合材料が得られる。
【0025】また、この方法において、出発混合物とし
て、(a) 錫1〜20重量%、前記(b)の元素0.01〜8重量
%及び残部銀からなる銀混合物を使用することにより前
記第二の態様の複合材料が得られる。系が液相と固相が
共存する状態に置かれたとき、酸化の進行に伴い(a) 及
び(b) の金属の全量が酸化物として析出する。
【0026】さらに、この方法において、出発混合物と
して、(a) 錫1〜15重量%、前記(c) の元素0.01〜15重
量%の酸化物及び残部銀からなる銀混合物を使用するこ
とにより前記第三の態様の複合材料が得られる。系が液
相と固相が共存する状態に置かれたとき、酸化の進行に
伴い(a) 及び(c) の金属の全量が酸化物として析出す
る。
【0027】さらにまた、この方法において、出発混合
物として、 (a)錫1〜20重量%、前記(b) の元素0.01〜
8重量%、前記(c) の元素0.01〜15重量%及び残部銀か
らなる銀混合物を使用することにより前記第四の態様の
複合材料が得られる。系が液相と固相が共存する状態に
置かれたとき、酸化の進行に伴い(a) 、(b) 及び(c)の
金属の全量が酸化物として析出する。
【0028】上記の製造方法においては、(A) 工程で使
用される出発混合物に使用される錫、前記(b) の元素及
び前記(c) の元素の各々は、その一部又は全部が粒径
0.1μm以下の酸化物として存在してもよい。したがっ
て、この方法の別の態様として、(A) 工程で使用の前記
混合物が、銀粉末と、(a) 粒径 0.1μm以下の錫酸化物
粉末、必要ならばさらに前記(b) の元素の粒径 0.1μm
以下の酸化物粉末及び/又は前記(c) の元素の粒径 0.1
μm以下の酸化物粉末とから製造された焼結体である方
法があげられる。
【0029】この態様の場合には、銀母基質中に分散さ
れる(a) の酸化錫、及び場合により存在する(b) の元素
及び/又は(c) の元素の酸化物は予め粒径 0.1μm以下
の酸化物粉末の状態で使用される。系が一部液相となる
状態に置かれると、出発材料である焼結体中に存在する
銀粒子や酸化物粒子の間や周囲に存在する微細な空隙が
液相で満たされるので、緻密な組織になり、得られる複
合材料の強度が向上する。
【0030】この態様において、前記の焼結体が、銀粉
末と、金属換算で1〜20重量%の錫酸化物粉末とから製
造された焼結体である場合には、前記第一の態様の複合
材料が得られる。
【0031】また、この態様において、前記の焼結体と
して、銀粉末と、(a) 金属換算で1〜20重量%の錫酸化
物粉末と、金属換算で0.01〜8重量%のMg等の(b) の元
素の酸化物粉末とから製造された焼結体を使用すると、
前記第二の態様の複合材料が得られる。
【0032】さらに、この態様において、前記の焼結体
として、銀粉末と、(a) 金属換算で1〜20重量%の錫酸
化物粉末と、金属換算で0.01〜15重量%のCd等の(c) の
元素の酸化物とから製造された焼結体を使用すると、前
記第三の態様の複合材料が得られる。
【0033】さらにまた、前記の焼結体として、銀粉末
と、(a) 金属換算で1〜20重量%の錫酸化物粉末と、金
属換算で0.01〜8重量%のMg等の(b) の元素の酸化物粉
末と、金属換算で0.01〜15重量%のCd等の(c) の元素の
酸化物とから製造された焼結体を使用すると、前記第四
の態様の複合材料が得られる。
【0034】図1に、銀−酸素系の温度対圧力状態図を
示す。上記の方法において、出発混合物が錫、(b) 及び
/又は(c) の元素を金属状態で含む場合は、ある程度異
なった状態図になる。しかし、図1の状態図は、上記の
方法を理解するのに役立つ。系が、液相と固相が共存す
る状態(図1においてα+Lと示された領域)に置かれ
ると、銀相が部分的に液相化しているので、外側の酸素
圧によって酸素が系の中に浸透、拡散を起こしやすい。
この酸素拡散速度は、従来の内部酸化法で固溶体に酸素
を拡散する速度にに比し著しく大きい。酸素は液相を通
って運搬される。もし、系中に錫、(b) の元素及び/又
は(c) の元素が金属状態で存在すると、これらは酸化さ
れることになる。酸化は系の表面から進行する。例え
ば、系中に錫が存在すると、酸化の進行に伴い、液相化
した銀−錫の溶体から錫が酸化されて SnO2 微粒子とし
て析出して純銀相が生成する。このプロセスが順次表面
から深部へ向かって進行し、終には系全体が銀母基質中
に錫酸化物微粒子が均一に分散した状態になると考えら
れる。
【0035】温度対圧力状態図は、錫、前記(b) の元素
及び/又は前記(c) の元素の存在又は不存在、並びに含
有量によって異なるので、液相が現れる温度及び圧力は
一概には言えない。しかし、一定の出発混合物について
温度及び圧力を高めて行くことによって固相のみの状態
から固相と液相とが共存する状態へ移行するので、かか
る状態はいずれの系についても当業者は容易に見出すこ
とができる。系のごく一部でも液相化すれば酸素の拡散
速度は飛躍的に増大する。したがって、液相が存在する
限り、低い圧力、温度でよい。このような条件が、エネ
ルギー消費が小さく有利である。固相と液相は広範囲の
状態(特に一定の温度範囲においては圧力の上限はな
い)において共存するが、温度 350〜830 ℃、圧力 100
〜450 気圧の範囲で、共存状態を見出して上記の方法を
行うのが実際的である。
【0036】出発混合物を目的とする温度及び酸素分圧
の状態に持っていく方法は何ら限定されないが、例えば
まず温度を必要な温度に調節し、次にα領域からα+L
領域の方へ酸素分圧を所要値に制御する方法でもよい。
又、酸素分圧をある目標まで高めた後にα+Ag2 O領
域からα+L領域の方へ温度を徐々に上げる方法でもよ
い。
【0037】
【実施例】
実施例1〜10 各実施例の試料を下記の方法A〜Eのいずれかの方法で
作製した。各実施例の試料の組成及び製造方法を表2に
示す。 方法A:所定の割合で錫を含有する銀−錫合金を、厚さ
1/10の純銀層を裏張した状態で、通常の熱間圧延法で
厚さ1mmに圧延し、得られた板から寸法4.5 mmφ×1mm
のディスクを打抜きする。このディスクの全表面にバレ
ル銀メッキ法で厚さ3ミクロンに銀メッキを施し、試料
を調製する。 方法B:Mg、Zr、Cd、Sb等の前記(a) 群及び/又は(b)
群の少なくとも1種を含む銀−錫合金の溶解湯を、炭素
板鋳型に設けられた直径4.5mm、深さ1.0 mmの穴で鋳造
した後、金型で急冷し、寸法4.5 mmφ×1mmのディスク
を作る。得られたディスクの全表面にバレル銀メッキ法
で厚さ5ミクロンに銀メッキを施し、試料を調製する。 方法C:錫30重量%を含有する銀−錫合金の溶湯を窒素
ガス中に噴射して粉末状にした。得られた銀−合金粉末
と銀粉末を、錫の割合が所定値になるように混合したの
ち、振動ミルで粉砕する。得られた混合粉末を、1トン
の加圧下で寸法 4.5mmφ× 1.1mmのディスクの成形す
る。得られた圧粉成形体を窒素雰囲気中、750 ℃に1時
間保持して仮焼結後、再成形して寸法を 4.5mmφ× 1.0
mmに調整し、試料とする。 方法D:錫75重量%と残部Mg、Zr、Ca、Al、Ce、Cr、Mn
及びTiの少なくとも1種とからなる金属間化合物の溶湯
を窒素ガス中に噴射して粉末状にした。得られた錫合金
粉末と銀粉末を、錫及びMg等の量が所定値になるように
混合したのち、振動ミルで粉砕する。得られた混合粉末
を方法Cと同様にして圧粉成形、仮焼結、再成形に供
し、試料とする。 方法E:銀粉末、酸化錫粉末及び必要に応じて使用され
る他の金属酸化物の粉末を各成分が金属換算で所定量に
なるように混合したのち、振動ミルで粉砕する。得られ
た混合粉末を方法Cと同様にして圧粉成形、仮焼結、再
成形に供し、試料とする。 実施例1〜10の試料を耐熱性ステンレス鋼製の耐熱容器
に入れ、密閉し、酸素気流中で510 ℃まで昇温後、徐々
に酸素分圧を414 気圧まで上げ、8時間保持した。その
後、500 ℃、500 気圧の条件で10分間保持した。その
後、減圧し、除々に冷却した。上記実施例で得られた複
合体を切断し、切断面を検査したところ、粒径 0.1μm
以下の酸化物粒子が均一に分散し、銀母基質と密着して
空隙がないことがわかった。
【0038】実施例11及び12 実施例11及び12の試料を前記の方法Aで作製した。試料
の組成は表1に示す。この試料を 700℃、酸素分圧 200
気圧の条件に5時間保持した。次に、該圧力を350気圧
まで高め、該気圧に10分間保持した後、1気圧まで減圧
後冷却した。
【0039】比較例1及び2 表1に示す組成を有する銀合金を700 ℃、酸素分圧10気
圧の条件で内部酸化に供した。
【0040】比較例3及び4 それぞれ、実施例11及び12と同様に作製した比較例3、
4の試料を 700℃、酸素分圧30気圧の条件に5時間保持
した。酸化は表面から1mm以下の深さで停止しており、
酸化不可能と判定した。
【0041】上記実施例及び比較例で処理済の試料の表
面硬度、電導度を測定した。結果を表1に示す。
【0042】さらに、試料を接点支持合金に、Ag-In 15
%-Sn 13%(重量)の組成である銀ローで溶着し、下記
の電気的試験を行った。
【0043】1) 開閉試験 ASTM試験機を用いて、誘導負荷の過負荷条件で開閉試験
を行った。交流 220 V, 電流 50 A, 力率 0.28, 開閉
頻度 60 回/分、接触荷重 400 gf/組, 開離力600 gf,
回数3万回の条件で行う。ただし、接点に異常消耗又
は溶着が認められた時点で中止する。接点に使用した試
料の消耗重量を測定し、接点の試験後の表面状態を肉眼
で観察した。
【0044】2)溶着試験 充電式コンデンサーを使用して放電による耐溶着電流の
最大値を測定した。コンデンサー放電によるピーク電流
値を500 A ずつ上昇させていった。接点接触圧力 500 g
/組を超え、開離に必要な力が1500g を超えた時、溶着
と判定した。結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】(注)本発明の実施例の複合材料を使用し
た接点では、従来のものに比較してアーク量が少なく、
遮断時間が短縮されていた。
【0048】
【発明の効果】本発明により提供される、銀−錫酸化物
複合材料は、従来の内部酸化法によって製造されたもの
とは異なり、酸化錫等が硬質で緻密な結晶構造を有する
微粒子状態で銀母基質の表面から深部に到るまで該銀母
基質と良好な濡れ性を有する結合状態で該銀母基質中に
均一に分散しているので、物理的、化学的に強度が優れ
ている。また、従来の内部酸化法で得られる複合材料で
は約4重量%程度までしか酸化錫を含有することができ
なかったが、本発明の複合材料は1〜15重量%の酸化錫
を含有することができ、さらに強度の向上が可能であ
る。
【0049】また、従来の内部酸化法による複合材料は
その製造に錫などの酸化に長時間を必要としていた。特
に、肉厚材料として得ることは困難であった。しかし、
これに比較して本発明の複合材料は上述の製造方法によ
れば、著しく短時間で製造を行うことができ、生産性が
大きく改善され、しかも肉厚の複合材料としても容易に
製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】銀−酸素系の温度対圧力状態図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01H 11/04 H01H 11/04 C

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀母基質と、(a) 金属換算で1〜20重量
    %の錫酸化物と、場合によっては存在する(b) 金属換算
    で0.01〜8重量%のMg、Zr、Ca、Al、Ce、Cr、Mn及びTi
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物
    及び/又は(c)金属換算で0.01〜15重量%のCd、Sb、I
    n、Bi、Zn及び鉄族金属からなる群から選ばれる少なく
    とも1種の元素の酸化物とからなり、(a) の錫酸化物、
    及び場合によっては存在する(b) 及び/又は(c) の金属
    の酸化物が粒径 0.1μm以下の微粒子状態で銀母基質の
    表面から深部に到るまで該銀母基質と良好な濡れ性を有
    する結合状態で該銀母基質中に均一に分散されてなる銀
    −錫酸化物複合材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の複合材料であって、前記
    (a) の錫酸化物と、(b) の元素の酸化物及び/又は(c)
    の元素の酸化物が共役酸化物を形成して分散している複
    合材料。
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