JPH08238078A - ソース類の製造方法 - Google Patents

ソース類の製造方法

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JPH08238078A
JPH08238078A JP7044634A JP4463495A JPH08238078A JP H08238078 A JPH08238078 A JP H08238078A JP 7044634 A JP7044634 A JP 7044634A JP 4463495 A JP4463495 A JP 4463495A JP H08238078 A JPH08238078 A JP H08238078A
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JP
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whey protein
viscosity
sauce
protein
sauces
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JP7044634A
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Shoichi Koizumi
詔一 小泉
Kaoru Sato
薫 佐藤
Masami Kawanari
真美 川成
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 部分加熱変性したホエー蛋白質を添加するこ
とを特徴とするソース類の製造方法。部分加熱変性した
ホエー蛋白質は、実質的に脱塩したホエー蛋白質を蛋白
質濃度15%以下で水に溶解し、55〜120℃で60
分間加熱することによって調製される。またこの溶液を
乾燥させたものを用いてもよい。 【効果】 得られたソース類は濃厚感が付与され、さら
に保存中の粘度低下や離水などの品質低下が抑制され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なソース類の製造
方法、およびこの製造方法により調製された適切な粘度
と濃厚感を有し、保存期間中の離水や粘度低下のないソ
ース類に関する。
【0002】
【従来の技術】西洋料理では、広く液体の調味料を総称
してソースといっている。このソースは西洋料理には欠
かせないものであり、約700種類以上あるといわれて
いる。ソース類には調理用とテーブル用があり、市販の
ソース類は調理用、テーブル用のいずれも主として野菜
および/または果実の搾汁、煮出汁、ピューレ等と調味
料、香辛料を原料とするものが多い。このようなソース
としては、例えばテーブルソースとしてはウスターソー
ス、中濃ソース、トンカツソース、調理用ソースとして
はデミグラスソース、調理用・テーブル用兼用ソースと
してはトマトケチャップ、さらにはトマトソースなどを
代表的なものとして挙げることができる。これらのソー
ス類の中でも、日本ではウスターソースがもっとも一般
的に使用されている。
【0003】ウスターソースとは、野菜、果実の搾汁、
煮出汁、ピューレもしくはこれを濃縮したものに糖類、
食酢、食塩、および香辛料を添加し調製したもの、また
はこれにカラメル、酸味料、アミノ酸液、糊料等を添加
して調製した液体調味料として日本農林規格(JAS)
で規格化されている。このようにして調製されたソース
は、その粘度により分類され、粘度が100cp未満の
ものをウスターソース、100cp以上、1500cp
未満のものを中濃ソース、1500cp以上の粘度のも
のを濃厚ソース(またはトンカツソース)としている
(現代食品産業事典III,調味・糖類)。中濃、およ
び濃厚ソースは、その粘度調整剤(増粘剤)としてデン
プンを用いる場合が多い。またデミグラスソースやトマ
トソースに一定の粘度を与えるためにもデンプンが使用
されることが多い。
【0004】デンプン粒子は、直鎖のアミロースと分枝
状のアミロペクチンから構成されており、β−デンプン
ではこれが部分的に規則正しく配列し、ミセル構造を示
している。デンプン粒子を水とともに加熱することによ
り、このミセル構造がほぐれα−デンプンとなり(糊
化)、粘度が増加し、透明、または半透明のコロイド状
態を呈する様になり、粘性を示し口当たりが良くなる。
しかしながら、このデンプン糊液を放置した場合、加熱
によりほぐれたミセルが再び配列し、しだいに透明度、
および粘度が低下し、それに伴って水が遊離し、口当た
りが悪くなる(老化)。そのため、デンプンを増粘剤と
してソース類に用いた場合、保存中に発生するデンプン
の老化による粘度低下、および品質の劣化が問題とな
る。この品質劣化の問題は低温条件では特に顕著にな
る。このため保存料を添加しない場合には低温下で保存
するが品質の低下がより顕著になる。そこで、カラギー
ナン、グアガム、ローカストビーンガム、タマリンドガ
ム等の安定剤を併用して用い、この保存中の老化による
粘度低下、および品質の劣化をある程度抑えている。し
かしながら、これらの安定剤は、特に溶解性と分散性に
問題があるため、溶解・攪拌・混合等の製造工程で取り
扱いが困難な場合が多く、このためソース類に使用する
には適しておらず、ソース類に添加することは行われて
いない。このため、上記に示したような野菜、果実の搾
汁、煮出汁、ピューレもしくはこれを濃縮したものに糖
類、食酢、食塩、および香辛料を添加し調製した通常の
ソース類の経時的な品質劣化を抑制することはこれまで
できなかった。また、ソースに関しては、デンプン以外
の増粘剤の使用を言及している例は認められない。なお
本発明明細書においては、以下野菜および/または、果
実の搾汁、煮出汁、ピューレもしくはこれを濃縮したも
のに糖類、食酢、食塩、および香辛料を添加し調製した
ソース類をソースまたはソース類と称する。
【0005】近年牛乳などの乳から得られるホエー蛋白
質の物理化学的な特性が明らかになり種々の目的に使用
するための技術が提案されている。特にホエー蛋白質の
ゲル化特性が最近明らかになり、その利用範囲が広がっ
ている。例えば、特開平5−64550号、特開平3−
280834号、特開平3−277249号公報に記載
されたように、ホエー蛋白質のゲル化物の物性を改良す
る方法として、ホエー蛋白質を加熱凝固しない状態や濃
度に調製してから加熱処理し、一定の変性を蛋白質に生
じさせ、塩の添加や凍結処理によってゲル化を引き起こ
させる方法等がある。しかしながら、このようにして調
製した蛋白質やその結果生じるゲル化物をソース類の粘
度調整を目的としてソース類に添加して、ソース類の保
存性を改良できることは知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ホエー
蛋白質の特性について検討を行った結果、ホエー蛋白質
は通常は球状の蛋白質であるが、部分加熱変性操作を行
うと、蛋白質分子が鎖状に連結した可溶性の凝集体を形
成し、この可溶性凝集体をさらに加熱処理すると不溶性
のゲル化物を形成することを見いだした。この可溶性の
凝集体を効率良く調製するためには、ホエー蛋白質の水
溶液を加熱処理してもゲル化しないような濃度に調製
し、55〜120℃の温度で、60分以下の加熱処理を
行うと良いことを見いだした。またこの可溶性凝集体
は、噴霧乾燥や凍結乾燥処理を行うことで粉末化するこ
とができ、さらにこの粉末を水に溶解することにより、
可溶性凝集体の状態に戻ることを見いだした。この可溶
性凝集体は、凍結操作や塩によって不可逆的なゲルを形
成するために、食肉加工やデザート類の製造原料として
有用であることを見いだし、すでに特許出願を行ってい
る(特願平4─11234号)。本発明者らはこのよう
な知見に基づいてさらに研究を行ったところ、上記の可
溶性凝集体を、上記に示したような野菜および/または
果実の搾汁、煮出汁、ピューレもしくはこれを濃縮した
ものに糖類、食酢、食塩、および香辛料を添加し調製し
たソースの製造に用いると、ソース類の粘度を所望の粘
度に容易に調整でき、しかも得られたソース類の保存安
定性を大幅に向上させることができることを見出した。
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたもの
で、部分加熱変性したホエー蛋白質を配合することによ
り、目的とする適切な粘度と濃厚感を有し、保存期間中
の離水や粘度低下のないソースを提供することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述したよう
にホエー蛋白質の熱変性温度より高い温度で加熱した
時、加熱凝固しない濃度に調製したホエー蛋白質水溶液
を、前記蛋白質の熱変性温度で加熱して得られる、ホエ
ー蛋白質の部分加熱変性物を上記に示したような野菜お
よび/または、果実の搾汁、煮出汁、ピューレもしくは
これを濃縮したものに糖類、食酢、食塩、および香辛料
を添加し調製したソースの製造に用いるものである。本
発明に用いる蛋白質水溶液またはその乾燥粉末は、例え
ば以下のようにして調製される。ホエー蛋白質水溶液
は、通常、その蛋白質濃度を15%以上とした場合、加
熱により凝固し、脆いゲルを形成することが知られてい
る。加熱によって、このようなゲルを形成しないよう
に、蛋白質濃度を15%以下の濃度、好ましくは10%
以下、特に好ましくは8%以下の濃度に調整した水溶液
を55℃以上120℃以下、好ましくは65℃〜95℃
の温度で加熱すると蛋白質が部分変性し、球状蛋白質で
あるホエー蛋白質の分子表面に疎水性の部分が出現して
くる。このようにして調製されたホエー蛋白質は、ソー
ス類の製造に用いると、ソース類の粘度を所望の粘度に
容易に調整でき、しかも得られたソース類の保存安定性
を大幅に向上させることができる。このホエー蛋白質水
溶液は加熱によってゲル化はしないが、塩類イオンを添
加したり、あるいは凍結により蛋白質分子の周辺の塩類
イオン濃度をあげることでゲル化することが知られてい
る。本発明は、このような蛋白質の特性がソース類製造
において使用されるデンプンの持つ機能を代替し、保水
性や安定性を維持することができることを利用したもの
である。このホエー蛋白質水溶液は、ホエー蛋白質の疎
水性度によって特性が変わってくるが、通常は、上記の
濃度条件で、pH6〜9に調整して、5〜30分間加熱
することで、目的とする、ホエー蛋白質が可溶性凝集体
に変性した水溶液を得ることができる。この蛋白質水溶
液の調製方法は特開平5─64550号公報に開示され
た方法に従って実施することができる。
【0008】加熱により凝固しない蛋白質濃度でホエー
蛋白質溶液を加熱した場合、一定の変性状態が生じ、S
H/SS交換反応と同時に疎水性度も増加する。その結
果、蛋白質分子は互いに会合し可溶性の凝集体を形成す
る。この状態を可溶性凝集体と呼ぶ。本発明はこの可溶
性凝集体を添加することによって、ソース類の粘度を所
望の粘度に容易に調整でき、しかも得られたソース類の
保存安定性を大幅に向上させるために用いるところに、
新規性と進歩性を有している。この可溶性凝集体の段階
ではゲルは生じないが、この可溶性凝集体を上記のよう
に凍結/解凍処理を行ったり(特開平3−280834
号公報、特開平3−277249号公報)、食塩やカル
シウム等との塩類を添加したり(特開平5−64550
号公報)、溶液を酸性化すること(特開平2−1240
67号公報)により、可溶性凝集体は三次元のネットワ
ーク構造を形成し、不可逆のゲルを生じる。このように
して得られたゲルは保水性が高く、しかもデンプンの示
すような老化を起こさないという特徴を有している。
【0009】このゲル化挙動はソース類の原料である野
菜および/または果実の搾汁、煮出汁、ピューレもしく
はこれを濃縮したものの濃度や量、食酢の添加によるp
H変化、食塩濃度等さまざまな因子が複雑に絡み合うこ
とによって促進されたり、抑制されたりする。本発明の
ソース類は、上記の可溶性凝集体、即ちホエー蛋白質の
部分加熱変性物は、ソース類の製造工程中に配合される
塩や、食酢、果汁の濃度やpHによって組織化され、さ
らに加熱操作によって、より目的の製品の組織形成と安
定性を維持するようになるものと推定される。この組織
化形成によってソース類に好ましい粘度を与え、さらに
ソース類が長期保存された場合でも離水のない組織を付
与するものである。
【0010】本発明のソース類の製造に使用するホエー
蛋白質の部分加熱変性物を得るためのホエー蛋白質水溶
液の加熱方法としては、ホエー蛋白質が加熱により変性
する55〜120℃で加熱することが好ましく、特に好
ましくは65℃〜95℃で加熱するのが好ましい。55
℃以下ではホエー蛋白質の変性は変性しにくい。加熱時
間は、その温度で1秒〜60分間保持することが好まし
く、特に好ましくは10〜60分間保持する。加熱時間
が短いと変性がおこらず、下記に定義するFI値が低く
なり、また高いと褐変化などが起こり好ましくない。ま
たホエー蛋白質濃度としては、0.5〜15%、であ
り、特に5〜10%のホエー蛋白質を含んだ溶液である
ことが好ましい。0.5%よりも少ない濃度ではソース
類に添加しても目的とする効果を期待することはできな
い。また、15%以上では粘度が高くなり、一部あるい
は全体が加熱時に脆いゲルとなってしまうため、本発明
には使用できない。本発明の本体である部分加熱変性ホ
エー蛋白質の加熱変性度は、疎水性度を測定することで
確認することができる。通常は下記に定義される疎水性
度(FI/mg 蛋白質)で50以上であり、特に好ま
しくは100以上である。50/mg 蛋白質以上でな
いと、ソース類の製造に使用するに適したホエー蛋白質
の部分加熱変性物を得ることができない。
【0011】疎水性度:被検ホエー蛋白質水溶液を適正
濃度(0.1〜0.3g 蛋白質/L程度)に希釈し、
8mMの1─アニリノナフタレン─8─スルフォン酸を
蛍光プローブとして添加し、蛍光光度計にて励起波長3
70nm、発光波長470nmにて測定(蛍光量FI)
し、得られた値をホエー蛋白質(mg)当たりで示した
もの。
【0012】この加熱変性度測定方法は、上記 特開平
5─64550号公報に開示されている記述に従って実
施することができる。上記の方法で調製された麺類の品
質改良剤は、分析した場合、固形分あたり蛋白質約30
〜95%、灰分0.5〜10%を示すが、必要に応じ
て、澱粉や小麦粉末で希釈することもできる。本発明に
用いられるホエー蛋白質水溶液またはその粉末を調製す
るための原料としては、牛乳からチーズなどを製造する
過程で得られるホエーを原料として、精製されたホエー
蛋白質濃縮物(WPC)やホエー蛋白質分離物(WP
I)等を挙げることができる。特にWPIは精製度が高
く、本発明を実施する上で特に好ましいし、さらに風味
的にも望ましい。
【0013】本発明では、上記の部分加熱変性蛋白質を
含有する水溶液またはその乾燥粉末を単独で使用する
か、必要に応じて、通常ソース類の安定化および粘性を
付与するために採用されるデンプンやゲル化剤等と混合
しても良い。本溶液またはその粉末をソース類の製造に
使用する場合、ホエー蛋白質に換算して原料あたり0.
1〜5.0重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%、
さらに好ましくは0.5〜3重量%添加する。この場
合、上述したように、公知の従来のデンプンやゲル化剤
等の添加剤と併用しても良い。本発明のソース類の製造
においては、上記に述べたようにホエー蛋白質の水溶液
を加熱処理して得られた水溶液を直接使用しても良い
し、乾燥粉末としても良い。水溶液の場合には、ソース
類の製造工程では、必ず加水工程があるため、この加水
工程において使用し、原料粉と良く混合してその後常法
によりソース類の製造を行う。また粉末の場合は、少量
の水に溶解させたものを原料に配合し、混合してしばら
く静置した後、以下は通常のソース類の製造と同様に混
合、熟成、均質化を行って製造する。本発明のソース類
製造の一例を説明すると以下のような製造工程を例示で
きる。公知のソース製造工程において増粘剤として用い
ているデンプンの代替として使用し、例えば濃厚ソース
の製造では、野菜、果実、果菜を洗浄、選別し、破砕蒸
煮した後、裏漉し、主原料のパルプを調製した後、この
パルプを加熱・攪拌・濃縮しながら、砂糖、食塩、食
酢,調味料、香辛料、カラメル等を添加し、その後、加
熱・裏漉し、ソース原料を調製する。このソース原料に
対し、上記の部分加熱変性ホエー蛋白質をソース中に蛋
白質として0.1重量%から5重量%、好ましくは0.
5重量%〜3.0重量%となるように添加する。部分加
熱変性したホエー蛋白質添加後、ソース液の粘度が徐々
に増加し、1〜24時間で目的とする粘性を有するソー
スとなる。
【0014】ホエー蛋白質の水溶液を加熱処理して得ら
れた水溶液は、上記したように、乾燥処理により粉末化
する。粉末化する方法には噴霧乾燥法、凍結乾燥法、ド
ラムドライ方法を例示することができるが、いずれの方
法でも、本発明に使用する粉末化されたホエー蛋白質部
分加熱変性物を調製することができる。上記のように製
造されたホエー蛋白質部分加熱変性物は、通常のホエー
蛋白質とは明らかに異なった構造を呈していることが確
認された。即ち、通常は球状であるホエー蛋白質は部分
加熱変性により可溶性の線状凝集体を形成する。この線
状凝集体は上述した可溶性凝集体の別名であるが、球状
のホエー蛋白質が加熱により部分的に変性し、数珠玉の
ように連なった形状をとる。これは、蛋白質の荷電によ
る静電的な反発力と、疎水性相互作用の引力との微妙な
バランスにより線状になっているものである。この状態
におけるホエー蛋白質は疎水性度(FI)が高いため、
ソース類の調製に使用する果汁のpHや塩類作用を受け
やすくなっている。例えば、塩類による荷電の中和や、
酸性pH(6以下)などがあげられる。又、ホエー蛋白
質を構成するβ−ラクトグロブリンやα−ラクトアルブ
ミン中の−SH基も活性化されるため、ホエー蛋白質だ
けでなく、果汁中の蛋白質とも結合しやすくなる。さら
に又、塩の添加、あるいは酸性化により正の荷電が中和
され、静電的な反発力が減少するため、これらの蛋白質
同士が会合しやすくなる。そして、上記した理由から、
ソース類に部分加熱変性ホエー蛋白質が存在すると、果
汁との相互作用、及び食塩との反応を生じ、組織化され
粘性を付与するとともに、水分をゲル形成に使用し、さ
らにゲル中に取り込むことによって適度な粘性を付与し
離水の少ないソース類を得ることができる。この場合の
適度な粘性とは製品の種類と用途によって異なるが、本
発明のソース類においては官能検査等の結果から、この
好ましい粘性を回転粘度計で測定した場合300cp〜
2000cpの粘度を有することが好ましい。本発明に
よる調製されたソース類の品質改良剤は、ホエー蛋白質
の栄養効果付与することができ、リジンや含硫アミノ酸
などの必須アミノ酸を供給することができる、栄養効果
の高いものである。以下に実施例を示し本発明をさらに
詳細に説明する。
【0015】
【実施例】実施例1 本実施例では、本発明に使用する部分加熱変性ホエー蛋
白質の調製方法およびこの粉末の調製方法を説明する。 (1) 市販のホエー蛋白質分離物WPI(BIO−I
SOLATES LTD製、商品名.BIOPRO)1
kgを脱イオン水に溶解し、全量を10Kg(ホエー蛋
白質濃度10%、pH7)とした。攪拌しながら加熱
し、液温度が85℃に達してから25分間保持した。次
いで20℃に冷却し、加熱変性ホエー蛋白質水溶液とし
た。この水溶液のFI値を前記の定義に従って測定した
ところ98/mg 蛋白質であった。この溶液をホエー
蛋白質の部分加熱変性水溶液として用いた。上記の方法
で調製した水溶液1000lを、常法により噴霧乾燥装
置を用いて噴霧乾燥し、乾燥粉末8kgを得た。この粉
末は水溶性の高い微細粉末であった。この粉末を10%
濃度に水に溶解しFI値を測定したところ98/mg
蛋白質であった。
【0016】(2) ホエー蛋白質分離物(WPI、太
陽化学(株)製、サンラクトI−1、蛋白質含量89.
8%、灰分1.34%)200gを脱イオン水1800
gに溶解し、10%WPI溶液(蛋白質濃度9%、灰分
0.13%、pH7)を調製した。このWPI溶液を湯
浴中で攪拌しながら加熱し、液温が80℃になってから
25分間保持した。その後、氷水中で5℃まで冷却し、
部分加熱変性したホエー蛋白質を得た。この蛋白質のF
I値を測定したところ 93/mg蛋白質であった。 (3) ホエー蛋白質濃縮物WPC(EXPRESS
FOOD,TYPE7502、75%蛋白質、灰分5
%)120gを脱イオン水1880gに溶解し、6%W
PC溶液(蛋白質濃度4.5%、灰分0.3%、pH
6.8)を調製した。このWPC溶液を湯浴中で攪拌し
ながら加熱し、液温が95℃になってから5分間保持し
た。その後、30℃まで冷却し,限外濾過装置(分子量
分画10000)で9%固形濃度まで濃縮した。その
後、50℃に加温し、圧力噴霧乾燥装置により部分加熱
変性したホエー蛋白質の粉末を得た。この粉末を10%
濃度に水に溶解しFI値を測定したところ110/mg
蛋白質であった。
【0017】実施例2 タマネギ300g、ニンジン300gを細断し、水7k
gを加え、90分間蒸煮して裏漉し、この液を90℃で
30分間、加熱・攪拌しながら食塩700g、砂糖15
00g、ソルビトール1kg、トマトピューレ300
g、カラメル140g、調味料400g、香辛料15
g、食酢200gを添加し、ソース原料を調製した。こ
のソース原料1kgに対し、先に実施例1(2)で調製
した部分加熱変性ホエー蛋白質溶液を1g(ソース中の
ホエー蛋白質含量0.01重量%)、10g(ソース中
のホエー蛋白質含量0.1重量%)、250g(ソース
中のホエー蛋白質含量2重量%)、1500g(ソース
中のホエー蛋白質含量6重量%)を添加し、部分加熱変
性ホエー蛋白質含有ソースを調製した。比較例として未
加熱の10%WPI溶液を使用し、同様にしてソースの
調製を行った。それぞれのソースは製造直後の粘度を回
転粘度計を用いて測定し、さらに熟練したパネルを用い
て官能検査を行い製品の評価を行った。また対照として
従来の技術に従ってデンプンを2%配合して同様に調製
を行った。また製品は本発明品、比較例、対照品をガラ
スビンに充填密封し、5℃で30日間保存し、離水の状
態を観察した。表1、表2に示したように、部分加熱変
性ホエー蛋白質の添加量の増加にともない,ソースの粘
度が増加し、目的とする濃厚感が付与された。ソース中
のホエー蛋白質含量が0.01重量%の場合、ソースの
粘度の増加はなく、濃厚感に欠けるものとなった。0.
1〜2%の場合、ソースの粘度が増加し、好ましい濃厚
感を有し、滑らかな組織のソースとなった。また、保存
中に粘度低下や離水を起こさず、品質が安定していた。
ソース中のホエー蛋白質含量を6重量%とした場合、粘
度の増加が著しくゲル化した。未加熱のホエー蛋白質す
なわち市販のWPIを添加した場合、ソースの粘度は増
加せず、濃厚感に欠けるものとなった。またデンプンの
添加では顕著な離水を生じ、保存に耐えなかった。また
保存によって組織の滑らかさなどの官能評価値も低下し
ていた。
【0018】
【表1】 ────────────────────────────────── 試料 ホエー蛋白質含量 粘 度 性状 (%) (cp) ────────────────────────────────── 粘度が不十分 0.01 150 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ───────────────────────────── 濃厚感有り 本発明品 0.1 300 組織が滑らか 保存中の離水なし ───────────────────────────── 濃厚感有り,ペースト状 2.0 1600 組織が滑らか 保存中の離水なし ───────────────────────────── 6.0 ──── ゲル化 ───────────────────────────────────
【0019】
【表2】 ────────────────────────────────── 試料 ホエー蛋白質含量 粘 度 性状 (%) (cp) ────────────────────────────────── 粘度が不十分 0.01 150 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ───────────────────────────── 粘度が不十分 0.1 140 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた 比較例 ───────────────────────────── 粘度が不十分 2.0 120 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ───────────────────────────── 粘度が不十分 6.0 80 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ────────────────────────────────── デンプン 濃厚感有り 対照例 組織が滑らか、保存による劣化 2 % 保存中の離水顕著 ──────────────────────────────────
【0020】実施例3 トマトピューレ10kgを80℃で30分間、加熱・攪
拌しながら、砂糖500g、食塩100g、調味料10
0g、香辛料10gを添加し、トマトケチャップソース
原料を調製した。このソース液1kgに対し,先に実施
例1(3)で調製した部分加熱変性ホエー蛋白質の粉末
を0.1g(ソース中のホエー蛋白質含量0.01重量
%)、1.0g(ソース中のホエー蛋白質含量0.1重
量%)、20.4g(ソース中のホエー蛋白質含量2重
量%)、63.8g(ソース中のホエー蛋白質含量6重
量%)になるように添加し、トマトケチャップソースを
調製した。比較例として未加熱のWPC粉を使用して同
様の調製を行った。それぞれのソースは製造直後の粘度
を回転粘度計を用いて測定し、さらに熟練したパネルを
用いて官能検査を行い製品の評価を行った。また対照と
して従来の技術に従ってデンプンを2%配合して同様に
調製した。また各製品は本発明品、比較例、対照品をガ
ラスビンに充填密封し、5℃で30日間保存し、離水の
状態を観察した。表3、4に示すように、部分加熱変性
したホエー蛋白質の添加量の増加にともない、ソースの
粘度が増加し、濃厚感が付与された。ソース中のホエー
蛋白質含量が0.01%の場合、ソースの粘度の増加は
ほとんどなく濃厚感に欠けるものとなった。0.1〜2
%の場合、ソースの粘度が増加し、好ましい濃厚感を有
する滑らかな組織となった。また、保存中の粘度低下や
離水を起こさず、品質が安定していた。ソース中のホエ
ー蛋白質含量6%の場合、粘度の増加が著しくゲル化し
た。WPC粉を使用した場合、ソースの粘度の増加はな
く、濃厚感に欠けるものとなった。またデンプンの添加
では保存期間中に顕著な離水を生じ、保存に耐えなかっ
た。また保存によって組織の滑らかさなどの官能評価値
も低下していた。
【0021】
【表3】 ─────────────────────────────────── 試料 ホエー蛋白質含量 粘 度 性状 (%) (cp) ─────────────────────────────────── 粘度が不十分 0.01 170 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ────────────────────────────── 濃厚感有り 本発明 0.1 310 組織が滑らか 保存中の離水なし ────────────────────────────── 濃厚感有り,ペースト状 2.0 1800 組織が滑らか 保存中の離水なし ────────────────────────────── 6.0 ──── ゲル化 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0022】
【表4】 ─────────────────────────────────── 試料 ホエー蛋白質含量 粘 度 性状 (%) (cp) ─────────────────────────────────── 粘度が不十分 0.01 170 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ────────────────────────────── 粘度が不十分 0.1 170 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた 比較例 ────────────────────────────── 粘度が不十分 2.0 175 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ────────────────────────────── 粘度が不十分 6.0 175 濃厚感に欠ける 保存中に離水を生じた ─────────────────────────────────── デンプン 濃厚感有り 対照例 組織が滑らか、保存による劣化 2 % 保存中の離水顕著 ───────────────────────────────────
【0023】
【発明の効果】本発明により調製されるソース類は、部
分加熱変性したホエー蛋白質を配合することによって、
目的とする適切な粘度と濃厚感を有し、保存期間中の離
水や粘度低下のないものが得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】野菜および/または果実の搾汁、煮出汁、
    ピューレ等と調味料、香辛料を原料とするソース類の製
    造に当たり、部分加熱変性したホエー蛋白質を添加する
    ことを特徴とするソース類の製造方法。
  2. 【請求項2】 部分加熱変性したホエー蛋白質が、実質
    的に脱塩されたホエー蛋白質を蛋白質濃度15%以下で
    水に溶解し、55〜120℃の温度で、60分以下の加
    熱処理を行った加熱処理水溶液である請求項1記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 部分加熱変性したホエー蛋白質が実質的
    に脱塩されたホエー蛋白質を蛋白質濃度15%以下で水
    に溶解し、55〜120℃の温度で60分以下の加熱処
    理を行い、この加熱処理水溶液を乾燥して得られたもの
    である請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 部分加熱変性したホエー蛋白質の疎水性
    度(FI)が50/mg蛋白質以上である請求項1記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 部分加熱変性したホエー蛋白質をソース
    原料あたり0.1重量%以上添加することを特徴とする
    請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 部分加熱変性ホエー蛋白質をソース原料
    あたり0.1%以上を添加混合して調製することによ
    り、ソースに粘度と濃厚感を付与するともに、保存期間
    中の離水や粘度低下などの品質低下が抑制されたソース
    類。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005513076A (ja) * 2001-12-20 2005-05-12 テクノロジーズ バイオラクティス インコーポレイティド 可鍛性タンパク質マトリクス及びその使用
JP2006512073A (ja) * 2002-12-24 2006-04-13 フォンテラ コ−オペレイティブ グループ リミティド ミルクタンパク質処理及びその適用
JP2010166843A (ja) * 2009-01-21 2010-08-05 Morinaga Milk Ind Co Ltd 熱安定性に優れた改質ホエイ製品およびその製造方法
WO2020085409A1 (ja) * 2018-10-25 2020-04-30 味の素株式会社 ボディ感付与剤

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